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特表2025-502304殺虫性タンパク質をスクリーニングするための組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】殺虫性タンパク質をスクリーニングするための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20250117BHJP
   C12N 15/32 20060101ALI20250117BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20250117BHJP
   C12N 15/10 20060101ALI20250117BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20250117BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20250117BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20250117BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20250117BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20250117BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20250117BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20250117BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20250117BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/32
C12N15/113 Z
C12N15/10 220Z
C12N15/10 200Z
C07K19/00
C12N15/63 Z
C12Q1/04
C12Q1/6869 Z
C12N1/21
C12N15/11 Z
C12N15/10 210Z
C12N1/15
G01N33/53 D
G01N33/543 541A
G01N33/543 597
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542143
(86)(22)【出願日】2023-01-13
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 US2023060676
(87)【国際公開番号】W WO2023137458
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】63/299,567
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520222106
【氏名又は名称】シンジェンタ クロップ プロテクション アクチェンゲゼルシャフト
(71)【出願人】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】嘉祥寺谷 幸子
(72)【発明者】
【氏名】浅野 眞一郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 貴志
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QS39
4B063QX02
4B065AA15X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BD15
4B065CA24
4B065CA48
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA41
4H045CA11
4H045DA83
4H045EA06
4H045FA74
4H045GA15
(57)【要約】
提供される方法において有用な組換え核酸、DNA構築物、ベクター、融合タンパク質及び胞子と共に殺虫性タンパク質をスクリーニング及び同定するための方法が本明細書で提供される。提供される方法は、天然に存在する合成タンパク質及び操作された合成タンパク質を含む候補殺虫性タンパク質の効果的なハイスループットスクリーニングを可能にする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
融合タンパク質をコードする組換え核酸であって、
a)胞子外殻ポリペプチドをコードする第1の核酸配列;
b)リンカーをコードする第2の核酸配列;及び
c)推定殺虫性ポリペプチドをコードする第3の核酸配列
を含む、組換え核酸。
【請求項2】
前記胞子外殻ポリペプチドがバチルス属(Bacillus)細菌に由来する、請求項1に記載の組換え核酸。
【請求項3】
前記胞子外殻ポリペプチドが、CotC、CotG、CotB、CotA、CotD、CotE、CotX、CotY、又はCotZである、請求項1又は2に記載の組換え核酸。
【請求項4】
前記胞子外殻ポリペプチドが、CotC又はCotGである、請求項1~3のいずれか一項に記載の組換え核酸。
【請求項5】
前記推定殺虫性ポリペプチドがバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)結晶(Bt Cry)タンパク質である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組換え核酸配列。
【請求項6】
前記Bt Cryタンパク質が、野生型タンパク質と比較して少なくとも1つの改変を含む、請求項5に記載の組換え核酸。
【請求項7】
前記改変が、DNAシャッフリング、ブロックスワップ、部位特異的突然変異誘発、飽和突然変異誘発、ランダム突然変異誘発、又はそれらの組み合わせの結果である、請求項6に記載の組換え核酸。
【請求項8】
前記Bt Cryタンパク質改変が、セリンプロテアーゼ消化に対する耐性をもたらす、請求項6又は7に記載の組換え核酸。
【請求項9】
前記推定殺虫性ポリペプチドが、昆虫消化系上皮細胞の細胞表面タンパク質と相互作用する、請求項1~8のいずれか一項に記載の組換え核酸。
【請求項10】
前記細胞表面タンパク質が、ATP結合カセット(ABC)輸送体タンパク質、カドヘリンタンパク質、アミノペプチダーゼNタンパク質又はアルカリホスファターゼタンパク質である、請求項9に記載の組換え核酸。
【請求項11】
前記細胞表面タンパク質がABC輸送体タンパク質である、請求項9又は10に記載の組換え核酸。
【請求項12】
前記ABC輸送体タンパク質が、PxABCC2、Bm-ABCC2、Sf-ABCC2、Sf-ABCC3、Dv-ABCB1、Bm-ABCB1、Sf-ABCB1、Bm-ABCA2、又はTc-ABCC4である、請求項10又は11に記載の組換え核酸。
【請求項13】
前記ABC輸送体タンパク質が、PxABCC2、Bm-ABCC2、Sf-ABCC2、又はSf-ABCC3である、請求項10~12のいずれか一項に記載の組換え核酸。
【請求項14】
前記胞子外殻ポリペプチド及び前記推定殺虫性ポリペプチドが、前記リンカーによって構造的に単離されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の組換え核酸。
【請求項15】
前記リンカーが、少なくとも1つのアミノ酸を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の組換え核酸。
【請求項16】
前記リンカーが、少なくとも2つのアミノ酸を含むポリペプチドである、請求項1~15のいずれか一項に記載の組換え核酸。
【請求項17】
前記リンカーが、構造的に可撓性である、請求項1~16のいずれか一項に記載の組換え核酸。
【請求項18】
前記リンカーが、プロテアーゼ消化に耐性である、請求項1~17のいずれか一項に記載の組換え核酸。
【請求項19】
前記リンカーが、配列番号20、21、又は38~61のいずれかと少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである、請求項1~18のいずれか一項に記載の組換え核酸。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の組換え核酸に作動可能に連結されたプロモーターを含むDNA構築物。
【請求項21】
請求項1~19のいずれか一項に記載の組換え核酸又は請求項20に記載のDNA構築物を含むベクター。
【請求項22】
請求項1~19のいずれか一項に記載の組換え核酸、請求項20に記載のDNA構築物、又は請求項21に記載のベクターによってコードされる融合タンパク質。
【請求項23】
請求項1~19のいずれか一項に記載の組換え核酸、請求項20に記載のDNA構築物、請求項21に記載のベクター、又は請求項22に記載の融合タンパク質を含む胞子。
【請求項24】
前記融合タンパク質が前記胞子の表面に提示される、請求項23に記載の胞子。
【請求項25】
前記胞子が、細菌胞子又は真菌胞子である、請求項23又は24に記載の胞子。
【請求項26】
請求項23~25のいずれか一項に記載の複数の胞子を含む組成物であって、前記複数の胞子の各々が、異なる推定殺虫性ポリペプチドをコードする組換え核酸を含む、組成物。
【請求項27】
殺虫性タンパク質を同定する方法であって、
a)請求項22に記載の融合タンパク質又は請求項23~25のいずれか一項に記載の胞子を殺虫性タンパク質受容体と接触させること、及び
b)前記融合タンパク質又は胞子と前記殺虫性タンパク質受容体との間の相互作用を検出すること、
を含み、前記相互作用が、前記融合タンパク質又は胞子の推定殺虫性タンパク質が殺虫性タンパク質であることを示す、方法。
【請求項28】
前記殺虫性タンパク質受容体が、精製殺虫性タンパク質受容体タンパク質である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記殺虫性タンパク質受容体が、SMA脂質粒子の一部である、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
前記殺虫性タンパク質受容体が、細胞上で発現される、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記細胞が昆虫細胞である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記殺虫性タンパク質受容体がABC輸送体タンパク質である、請求項27~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記融合タンパク質又は胞子と前記殺虫性タンパク質受容体との間の前記相互作用を検出することが、免疫磁気分離、フローサイトメトリー、細胞傷害性アッセイ、配列決定、又はそれらの組み合わせを行うことを含む、請求項27~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記融合タンパク質又は胞子と前記殺虫性タンパク質受容体タンパク質との間の前記相互作用を検出することが、前記殺虫性タンパク質受容体タンパク質と相互作用する前記融合タンパク質をコードする前記組換え核酸を単離し、配列決定を行って前記殺虫性タンパク質の同一性を決定することをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年1月14日に出願された米国仮出願第63/299,567号に対する優先権の利益を主張し、その全内容は、あらゆる目的のために参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、植物バイオテクノロジーの分野に関する。特に、本発明は、殺虫性タンパク質を所望の形質についてスクリーニングするための方法に関する。
【0003】
EFS-WEBを介したXMLファイルとして提出された配列表の参照
本出願には、2023年1月13日に作成された109098-1360060.xmlという名称の配列表が添付されており、これはサイズが約1,03,846バイトである。この配列表は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。この配列表は、EFS-Webを介して本明細書と共に提出され、37C.F.R.§1.824(a)(2)~(6)及び(b)に準拠している。
【背景技術】
【0004】
殺虫性タンパク質は、天然に存在するタンパク質及び合成タンパク質を含み得る。候補の殺虫性タンパク質、特にバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(Bt)の殺虫性タンパク質は、DNAシャッフリング、ブロック交換、部位特異的、飽和及びランダム突然変異誘発によって操作(すなわち、人工的に改変)されていてもよい。これらの操作技術は、集合的なグループとしてライブラリーと呼ばれる多数の変異体を生成することが多い。そのようなライブラリーは、所望の形質又は所望の形質についてスクリーニングされ得る。このプロセスは、ハイスループットなタンパク質産生及び多様なタンパク質のスクリーニングを必要とする。そのようなハイスループットスクリーニングは、時間及び費用がかかる。このプロセスは、典型的には、1)タンパク質操作技術を使用して多様な殺虫性タンパク質(すなわち、天然に存在する及び/又は操作されたタンパク質)のライブラリーを作製すること;2)タンパク質産生のために大腸菌(Escherichia coli)又はバチルス(Bacillus)種などの宿主生物においてライブラリー遺伝子をクローニングすること;3)マルチウェルプレート中のライブラリーを含有する宿主生物の形質転換体を個別に採取して、種子培養物を作製すること;4)ライブラリタンパク質をマルチウェルプレートで発現させ、それらを個別に単離すること;5)単離されたタンパク質を純度及び濃度について分析し、使用のためにタンパク質(すなわち、タンパク質濃度を調整することによって)を正規化すること;6)生きている昆虫における単離及び分析されたタンパク質の殺虫活性及び他の形質をアッセイして、所望の形質を有するタンパク質を同定すること;及び7)上記の工程を繰り返して、所望の形質を有するさらなるタンパク質を同定することを含む。
【0005】
現在のスクリーニングプロセスの欠点は、実験スループットが最大で数千のサンプルに制限され、マンパワー及びインフラストラクチャに大きな投資がないことである。律速因子は、プロセスが生昆虫バイオアッセイ及びバイオアッセイに必要な単離タンパク質の量を使用することを含むことである。したがって、上記の従来の方法を超えるスループットの向上は、新しい受容体特異性を見出すことを追求する上で非常に望ましい。
【発明の概要】
【0006】
この概要は、本開示の様々な態様の高レベルの概要であり、本明細書及び添付の図面に記載及び図示されている概念のいくつかを紹介する。この概要は、特許請求される主題の重要な又は本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求される主題の範囲を決定するために単独で使用されることも意図していない。主題は、明細書全体、任意の又はすべての図及び各請求項の適切な部分を参照することによって理解されるべきである。以下、本開示の実施の形態のいくつかについて説明する。
【0007】
本開示は、昆虫活性毒素タンパク質を同定するために細胞(粒子)選別技術を使用して推定毒素タンパク質及び/又はタンパク質バリアントのライブラリーをスクリーニングする新規方法の本発明者らによる発見に部分的に基づく。いくつかの実施形態では、さらに以下に記載されるように、昆虫活性毒素は、繋ぎ止められたタンパク質の遺伝情報を含有する担体粒子(例えば、胞子)上に個別に繋ぎ止められる(すなわち、タグ付け)。
【0008】
一態様では、融合タンパク質をコードする組換え核酸が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、組換え核酸は、a)胞子外殻ポリペプチドをコードする第1の核酸配列;b)リンカーをコードする第2の核酸配列;c)推定殺虫性ポリペプチドをコードする第3の核酸配列を含む。
【0009】
本明細書で提供される組換え核酸のいくつかの実施形態では、胞子外殻ポリペプチドはバチルス属(Bacillus)細菌に由来する。いくつかの実施形態では、胞子外殻ポリペプチドは、CotC、CotG、CotB、CotA、CotD、CotE、CotX、CotY又はCotZである。いくつかの実施形態では、胞子外殻ポリペプチドは、CotC又はCotGである。
【0010】
本明細書で提供される組換え核酸のいくつかの実施形態では、推定殺虫性ポリペプチドはバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)結晶(Bt Cry)タンパク質である。いくつかの実施形態では、Bt Cryタンパク質は、野生型タンパク質と比較して少なくとも1つの改変を含む。いくつかの実施形態では、改変は、DNAシャッフリング、ブロックスワップ、部位特異的突然変異誘発、飽和突然変異誘発、ランダム突然変異誘発、又はそれらの組み合わせの結果である。いくつかの実施形態では、Bt Cryタンパク質改変は、セリンプロテアーゼ消化に対する耐性をもたらす。
【0011】
いくつかの実施形態において、推定殺虫性ポリペプチドは、昆虫消化系上皮細胞の細胞表面タンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、細胞表面タンパク質は、ATP結合カセット(ABC)輸送体タンパク質、カドヘリンタンパク質、アミノペプチダーゼNタンパク質、又はアルカリホスファターゼタンパク質である。いくつかの態様では、細胞表面タンパク質はABC輸送体タンパク質である。いくつかの実施形態では、ABC輸送体タンパク質は、PxABCC2、Bm-ABCC2、Sf-ABCC2、Sf-ABCC3、Dv-ABCB1、Bm-ABCB1、Sf-ABCB1、Bm-ABCA2、又はTc-ABCC4である。いくつかの実施形態では、ABC輸送体タンパク質は、PxABCC2、Bm-ABCC2、Sf-ABCC2、又はSf-ABCC3である。
【0012】
本明細書で提供される組換え核酸のいくつかの実施形態では、胞子外殻ポリペプチド及び推定殺虫性ポリペプチドは、リンカーによって構造的に単離される。いくつかの実施形態では、リンカーは、少なくとも1つのアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、少なくとも2つのアミノ酸を含むポリペプチドである。いくつかの実施形態では、リンカーは、構造的に可撓性である。いくつかの実施形態では、リンカーは、プロテアーゼ消化に耐性である。いくつかの実施形態では、リンカーは、配列番号20、21、又は38~61のいずれかと少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0013】
本明細書に記載の組換え核酸のいずれかを含むDNA構築物も提供される。本明細書に記載の組換え核酸又はDNA構築物のいずれかを含むベクターも提供される。
【0014】
本明細書に記載の組換え核酸、DNA構築物又はベクターのいずれかによってコードされる融合タンパク質も本明細書で提供される。
【0015】
本明細書に記載の組換え核酸、DNA構築物、ベクター、又は融合タンパク質のいずれかを含む胞子も本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、胞子は融合タンパク質を含み、融合タンパク質は胞子の表面に提示される。いくつかの実施形態において、胞子は、細菌胞子又は真菌胞子である。
【0016】
本明細書に記載の胞子のいずれかを複数含む組成物も本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、複数の胞子の各々は、異なる推定殺虫性ポリペプチドをコードする組換え核酸を含む。
【0017】
別の態様では、殺虫性タンパク質を同定する方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、a)本明細書に記載の融合タンパク質又は胞子のいずれかを殺虫性タンパク質受容体と接触させること、及びb)融合タンパク質又は胞子と殺虫性タンパク質受容体との間の相互作用を検出することを含む。いくつかの実施形態において、前記相互作用は、融合タンパク質又は胞子の推定殺虫性タンパク質が殺虫性タンパク質であることを示す。いくつかの実施形態において、殺虫性タンパク質受容体は、精製殺虫性タンパク質受容体タンパク質である。いくつかの実施形態において、殺虫性タンパク質受容体は、SMA脂質粒子の一部である。いくつかの実施形態において、殺虫性タンパク質受容体は、細胞上で発現される。いくつかの実施形態では、細胞は昆虫細胞である。いくつかの実施形態において、殺虫性タンパク質受容体はABC輸送体タンパク質である。
【0018】
本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態では、融合タンパク質又は胞子と殺虫性タンパク質受容体との間の相互作用を検出することは、免疫磁気分離、フローサイトメトリー、細胞傷害性アッセイ、配列決定、又はそれらの組み合わせを行うことを含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質又は胞子と殺虫性タンパク質受容体タンパク質との間の相互作用を検出することは、殺虫性タンパク質受容体タンパク質と相互作用する融合タンパク質をコードする組換え核酸を単離すること、及び殺虫性タンパク質の同一性を決定するために配列決定を行うことをさらに含む。
【0019】
本開示は、以下の図を含む。図面は、組成物及び方法の特定の実施形態及び/又は特徴を例示すること、並びに組成物及び方法の任意の説明を補足することを意図している。図面は、記載された説明がそのようであることを明示的に示さない限り、組成物及び方法の範囲を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本開示の態様による、cotC又はcotG(バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)外殻タンパク質遺伝子)をそれら自体のプロモーターを用いてPCRによって増幅する方法を示す。この方法は、構造的に可撓性のリンカーを有するCot-Cry融合タンパク質を形成するために、リンカーを介してcot遺伝子をバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)cry遺伝子に連結することをもたらす。
図2図2は、本開示の態様による、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)cotC又はcotG遺伝子及びバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)cry1Aa遺伝子を有する胞子提示ベクターを構築するための例示的な方法を示す。2つのバチルス(Bacillus)-大腸菌(E.coli)シャトルベクターpSB634、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)のpBC16.1と大腸菌(E.coli)のpBluescript KSとの融合物及びpHY300PLK、ストレプトコッカス・ファエカリス(Streptococcus faecalis)のpAMα1と大腸菌(E.coli)のpACYC177との融合物を使用した。
図3図3は、本開示の態様に従って、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)cotC又はcotG遺伝子が、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)cry1Ac遺伝子から得られるリンカー及びターミネーターを用いてバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)cry1Aa又はcry1Fa遺伝子と融合されたことを示す。Cry1タンパク質のArg 27/28(R27/28)アミノ酸残基をLeu(L)に変異させてセリンプロテアーゼ消化を防止した。
図4図4は、本開示の態様による、抗Cry1抗体(Ab)を用いてバチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)胞子上に提示されるバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)Cry1タンパク質を検出する方法を示す。概略図(上のパネル)に示されるように、Alexa Fluor 488蛍光色素で標識された抗体は、結合すると胞子蛍光をもたらす。下のパネルは、抗Cry1抗体に結合すると蛍光になるSpore-Cry1Fa(Cry1Faタンパク質を提示する胞子)の顕微鏡図である(右下のパネル)。
図5図5は、本開示の態様による、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)Cryタンパク質を提示するバチルス(Bacillus)胞子がフローサイトメトリーによって選別され得ることを実証する実現可能性試験を示す。Cryタンパク質を提示するそれらの胞子を蛍光抗Cry抗体を用いて(例えば、図4に示すように)蛍光させた。2つの連続的な選別実験を行った:左パネルが最初の選別であり、その箱形領域の胞子を使用して右パネルを得た。
図6図6は、本開示の態様による、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)のABCC2遺伝子を発現するSf9細胞(スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞株)(上のパネル)(Sf9::Sf-ABCC2)及びABCC2遺伝子を発現しない別の細胞(下のパネル)の顕微鏡図を示す。これらのSf9細胞を、Cry1Faタンパク質を提示するSpore-Cry1Fa バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)胞子と混合し、胞子に結合させた。結合したSpore-Cry1Fa胞子は、蛍光顕微鏡法によってAlexa標識抗Cry1Fa抗体で輝点として可視化された(右上パネル)。宿主Sf9細胞はまた、GFP遺伝子を発現したので、蛍光顕微鏡法によって可視化された。下のパネルは、Spore-Cry1FaがSf-ABCC2タンパク質を発現しないSf9細胞に結合しなかったことを示す陰性対照である。
図7図7は、本開示の態様による、Sf-ABCC2を発現するSf9細胞に対するSpore-Cry1Faの細胞傷害活性の顕微鏡観察を示す。Spore-Cry1FaがSf9細胞に結合した後、胞子上のCry1Faタンパク質は、1時間以内に細胞膜を崩壊させた(上のパネル)。Spore-Cry1Faは、胞子上に結合したAlexa標識抗Cry抗体を有する輝点として蛍光顕微鏡下で可視であった。より長いインキュベーションにより、Sf9細胞が完全に崩壊したことが示された(下のパネル)。
図8図8は、本開示の態様による、SMALP(スチレン-マレイン酸脂質粒子)にABC輸送体タンパク質をパッケージングする方法を示す。昆虫細胞膜に発現している輸送体タンパク質をSMA(スチレンマレイン酸)で抽出した。この図において、「抽出」は、SMAを用いた昆虫細胞膜からのABC輸送体タンパク質の除去、及びSMALP(スチレン-マレイン酸脂質粒子)における輸送体タンパク質のそれ自身のリン脂質によるパッケージングを指す。
図9図9は、本開示の態様による、抗FLAG抗体を使用するSMALPにおけるSf-ABCC2-FLAGのアフィニティーカラム精製を示す。本明細書の実施例で使用されるABC輸送体タンパク質を、C末端のFLAGタグで標識した。SMALP-Sf-ABCC2-FLAGを、1ml Pierce(商標)Spin Column(Thermo-Fisher)に充填した200μlの抗FLAG抗体固定化アガロースゲルに負荷した。10%グリセロール(TBS-グリセロール)を含むTBSでカラムを洗浄し、1.2mlの溶出緩衝液(TBS-10%グリセロール中0.1mg/ml FLAGペプチド)でSf-ABCC2を溶出した。カラム溶出液を6つの200μl画分に分画し、Alexa標識抗FLAG抗体を用いたドットブロッティングによって分析した。最初(Fr.1)を除いて最終的なスピンオフ(Fr.7)を含むすべての画分(「Fr」)は強い蛍光シグナルを示し、Sf-ABCC2が親和性カラムから首尾よく溶出されたことを確認した。
図10図10は、本開示の態様による、LB-tet-寒天プレート上で増殖するバチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)コロニーを示す。これらのコロニーは、Spore-pSB634(Cryタンパク質が提示されていない)又はSpore-Cry1Fa胞子由来であり、免疫磁気選別によって選別された。これらの胞子をSMALP-Sf-ABCC2-FLAGに(例えば、図9で精製されたように)結合させ、ABCC2結合胞子のみを捕捉するように設計された抗FLAG抗体固定化磁気ビーズで選別した。選別した胞子をLB-tet-寒天プレート上に播種し、37℃でインキュベートして16時間で発芽させ、コロニーを形成した。陰性対照として同一のプロトコルの下で選別されたSpore-pSB634は、わずかなコロニー(左パネル)しか示さず、この胞子試料とSMALP中のSf-ABCC2との間の結合がほとんどないことを示した。Spore-Cry1Faの選別は、計数するには多すぎるコロニーを生じた(右パネル)。
図11図11は、本開示の態様による、フローサイトメトリーによるSpore-Cry1Aa(バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)胞子提示バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)Cry1Aaタンパク質)の選別を示す。Spore-Cry1Aa-Bm-ABCC2複合体を、抗FLAG-mouse-抗体及びAlexa標識抗マウスIgG-抗体と順次混合することによって蛍光性にした。0.2% SDS(本明細書の実施例8に記載)で処理して、Cry1AaとABC輸送体タンパク質の間の結合を部分的に切断することによって、細胞サイトメトリー用の蛍光胞子の集団を減少させた。これは、フローサイトメトリーによる胞子分離の実現可能性を実証するためである。顕微鏡観察により、少数の胞子のみが蛍光色素を保持していることが明らかになった。これらの蛍光胞子を、フローサイトメーター、On-chip Sortセルソーター(On-Chip Biotechnologies)によって選別した。セルソーターは、おそらくBm-ABCC2に結合した約1000個の胞子を蛍光として引き出した。選別された1000個の蛍光胞子(セルソータ出力に囲まれている)をサンプリングし、LB-寒天プレートに播種した。LBプレートをLB-tet-寒天プレート上にコピーした。800個を超える胞子が発芽してテトラサイクリン選択プレート上にコロニーを形成することが見出され、これは、それらがCry1Aaを胞子表面に向けるプラスミドを含有し、テトラサイクリン耐性を付与することを示している。この選別プロセスは、捕捉された胞子が回収され得、Cryタンパク質の配列がプラスミドのDNA配列決定によって推定され得ることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
I.序論
本開示は、胞子提示技術を使用して推定殺虫性タンパク質のライブラリーをスクリーニングするための効果的でハイスループットな方法の本発明者らによる発見に部分的に基づく。胞子提示技術はこれまで酵素及び抗原を提示するために利用されてきたが(例えば、ワクチン開発のために)、本開示は、受容体結合能についての殺虫性タンパク質のスクリーニングへの胞子提示の最初の応用を提供する。
【0022】
提供される方法において有用な組換え核酸、DNA構築物、ベクター、融合タンパク質及び胞子と共に殺虫性タンパク質を同定するための方法が本明細書で提供される。提供される方法は、天然に存在する合成タンパク質及び操作された合成タンパク質を含む候補殺虫性タンパク質の効果的なハイスループットスクリーニングを可能にする。本明細書で詳述するように、提供される方法の実施形態は、微生物胞子(例えば、細菌胞子又は真菌胞子)の表面上に機能的に活性な殺虫性タンパク質(例えば、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)結晶[Bt Cry]タンパク質)を提示することを含む。いくつかの実施形態において、胞子表面提示は、(例えば、構造的に可撓性のリンカーによって)候補殺虫性タンパク質に連結された胞子外殻タンパク質を含む融合タンパク質の使用を含む。いくつかの実施形態において、胞子における融合タンパク質の発現時に、融合タンパク質は、胞子表面に移動して、胞子外部に向かって(例えば、溶媒又は媒体に向かって)配置された殺虫性タンパク質を提示する。
【0023】
本明細書の実施例に記載される実験の前に、殺虫性タンパク質(例えば、Bt Cry毒素)が胞子表面に機能的に(すなわち、殺虫性タンパク質受容体結合及びその後の殺虫性機能が保存される場合)提示され得るかどうかは知られていなかった。いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、殺虫性タンパク質(例えば、Cryタンパク質)部分が適切に折り畳まれ得、その受容体結合ドメインが受容体に曝露されるように、推定殺虫性タンパク質を胞子外殻タンパク質に一定の自由度又は完全な自由度で固定するために構造的に可撓性のリンカーを利用する融合タンパク質を含む。
【0024】
本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態では、殺虫性タンパク質は、スクリーニング中に胞子に付着したままであり、殺虫性タンパク質をコードする遺伝子を(例えば、以下に詳述するように、胞子提示ベクター中に)含む胞子は、その表面に固定された殺虫性タンパク質の配列タグを有する。スクリーニング中に殺虫性タンパク質の所望のバリアントを保有する胞子が見出された場合、そのバリアントの配列は、胞子中の殺虫性タンパク質遺伝子を配列決定することによって決定することができる。これにより、マルチウェルプレートにおいて個々のクローンを分離する必要がなくなる。本明細書で提供される胞子提示システムはまた、胞子のフローサイトメトリー選別を可能にするという利点を有するが、ファージ提示系で使用される大腸菌ファージは、フローサイトメトリーによって選別することができない。
【0025】
受容体結合活性についてBt Cry変異体をスクリーニングするために関連技術であるファージ提示を使用する最近の試みは成功していないことが証明されている(Fujii et al.,2012,Mol.Biotech.54:888-899)。ファージ提示に対する制限は、ファージ粒子が大腸菌で産生されるので、バチルス(Bacillus)種(例えばBt Cryタンパク質及びその変異型)由来の不均一遺伝子が確実に発現されない可能性があることである。これは、スクリーニングライブラリーが多種多様なタンパク質配列を含む場合に特に問題となる。実際、Fujii et al(2012,Mol.Biotech.54:888-899)は、ファージ提示によって殺虫活性の改善が得られなかったことを見出した。さらに、結果は、ファージ提示Bt Cryタンパク質の構造が天然タンパク質の構造と同じでない可能性を示している。本明細書で提供される方法及び組成物は、この制限を克服する。いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、バチルス(Bacillus)宿主におけるバチルス(Bacillus)遺伝子(例えば、Bt Cry殺虫性タンパク質遺伝子)の均一な発現を可能にする。
【0026】
要約すると、本明細書で提供される方法は、限定するものではないが、以下を含む、他の殺虫性タンパク質スクリーニング技術を超えるいくつかの利点を有する:1)候補殺虫性タンパク質ライブラリー(例えば、免疫磁気分離及びフローサイトメトリーなどの細胞選別技術を使用する)のハイスループットスクリーニング;2)胞子がバチルス種において産生され得るので、ファージ提示と比較して、バチルス種由来の候補殺虫性タンパク質(例えば、Bt Cryタンパク質)の発現及びスクリーニングに対するより高い耐性;3)候補殺虫性タンパク質に対する受容体の可撓性の増加。
【0027】
II.用語
本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、以下に特に定義されない限り、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有することが意図される。本明細書で使用される技術への言及は、当業者には明らかであろうそれらの技術の変形及び/又は同等の技術の置換を含む、当技術分野で一般的に理解されている技術を指すことを意図している。以下の用語は、当業者によって十分に理解されていると考えられるが、以下の定義は、本開示の主題の説明を容易にするために記載されている。
【0028】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、内容が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「抗体」への言及は、任意選択的に、2つ以上のそのような分子の組み合わせなどを含む。
【0029】
本明細書で使用される「約」という用語は、この技術分野の当業者に容易に知られているそれぞれの値の通常の誤差範囲を指し、例えば±20%、±10%、又は±5%は、列挙された値の意図された意味の範囲内にある。
【0030】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」又は「含む(comprise)」という用語はオープンエンドである。対象の核酸(又はアミノ酸配列)に関連して使用される場合、それは、対象配列をその一部又は全体の配列として含む核酸配列(又はアミノ酸配列)を指す。
【0031】
「複数」という用語は、2つ以上の実体を指す。したがって、「複数の個体」は、少なくとも2つの個体を指す。いくつかの実施形態では、複数という用語は全体の半分以上を指す。例えば、いくつかの実施形態では、「複数の集団」は、その集団のメンバーの半分超を指す。
【0032】
「次世代発見技術」又は「NGDT」という用語は、以下に詳述するように、本開示の特定の実施形態を指すために使用される。
【0033】
「Cry」という用語は、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)結晶タンパク質ファミリーのメンバーを指し、そのメンバーは殺虫性であり得る。
【0034】
用語「Cry1Fa」は、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(Sf、ツマジロクサヨトウ(Fall Armyworm))に対して高い活性を示し、Sf-ABCC2に結合することが知られているCryタンパク質(又は、イタリック体化した場合[cry1Fa]、前記タンパク質をコードする遺伝子)を指す。Cry1Faのアミノ酸配列を配列番号1に示し、cry1Faのタンパク質コード領域の塩基配列を配列番号2に示す。
【0035】
用語「Cry1Aa」は、カイコ(Bombyx mori)(Bm、カイコ(Silkworm))及びコナガ(Plutella xylostella)(Px、コナガ(Diamondback Moth))に対して高い活性を示し、Bm/Px-ABCC2に結合することが知られているCryタンパク質(又は、イタリック体化した場合[cry1Aa]、前記タンパク質をコードする遺伝子)を指す。Cry1Aaのアミノ酸配列を配列番号3に示し、cry1Aaのタンパク質コード領域の塩基配列を配列番号4に示す。
【0036】
「ATP結合カセット輸送体」又は「ABC輸送体」という用語は、現存するすべての門に代表される輸送系タンパク質の大きなファミリーを指す。「ABCC」という用語は、ABC輸送体サブファミリーC、2型(ABCC2)タンパク質及び/又は3型(ABCC3)タンパク質(又は、イタリック体化した場合[ABCC]、前記タンパク質をコードする遺伝子)を指す。Px-ABCC2のアミノ酸配列を配列番号5に、Px-ABCC2のタンパク質コード領域のヌクレオチド配列を配列番号6に示す。Bm-ABCC2のアミノ酸配列を配列番号7に、Bm-ABCC2のタンパク質コード領域の塩基配列を配列番号8に示す。Sf-ABCC2のアミノ酸配列を配列番号9に、Sf-ABCC2のタンパク質コード領域の塩基配列を配列番号10に示す。Cry1Fa耐性Sf株由来のSf-ABCC2変異体(本明細書では「Sf-ABCC2変異体」と呼ぶ)のアミノ酸配列を配列番号11に示し、Sf-ABCC2変異体のタンパク質コード領域のヌクレオチド配列を配列番号12に示す。Sf-ABCC3のアミノ酸配列を配列番号13に、Sf-ABCC3のタンパク質コード領域の塩基配列を配列番号14に示す。同じクラスのABC輸送体(例えば、異なる昆虫種のABCC2タンパク質)内のタンパク質配列に違いがあるため、本明細書ではABCCは一般に昆虫種の略語、例えばSf(ツマジロクサヨトウ(Fall armyworm)、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda))、Bm(カイコ(Silkworm)、ボンビクス・モリ(Bombyx mori))、Dv(ウェスタンコーンルートワーム(Western corn rootworm)(WCR)、ディアブロティカ・バーギフェラ・バーギフェラ(Diabrotica virgifera virgifera))、Tc(コクヌストモミ(Red flour beetle)、トリボリウム・カスタネウム(Tribolium castaneum))などで言及され、供給源を示す。
【0037】
本明細書で使用される場合、改変なしの「胞子」という用語は、任意の胞子産生微生物の胞子を指す。胞子を生成する微生物の例としては、本明細書で以下に詳述するように、細菌種及び真菌種が挙げられる。特定の供給源からの胞子は、本明細書では属又は種の名称、例えば一般にB.チューリンゲンシス(B.thuringiensis)胞子又はバチルス(Bacillus)胞子で示され得る。いくつかの実施形態では、本開示は、タンパク質(例えば、胞子の表面上に発現され得る胞子によって発現されるタンパク質)及び/又はベクター(例えば、タンパク質が胞子の表面に提示されると予想されない場合)を含む胞子を提供する。そのような胞子は、「Spore-[タンパク質名]」(例えば、Spore-Cry1Fa又はSpore-Cry1Aa)又は「Spore-[ベクター名]」(例えば、Spore-pSB634又はSpore-pHY300PLK)として示される。
【0038】
「CotC」という用語は、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)胞子外殻C型タンパク質(又は、イタリック体化した場合[cotC]、前記タンパク質をコードする遺伝子)を指す。CotCのアミノ酸配列を配列番号15に、cotCのヌクレオチド配列(自身のプロモーターを含む)を配列番号16に示す。
【0039】
「CotG」という用語は、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)胞子外殻G型タンパク質(又は、イタリック体化した場合[cotG]、前記タンパク質をコードする遺伝子)を指す。CotGのアミノ酸配列を配列番号17に、cotGの塩基配列(自身のプロモーターを含む)を配列番号18に示す。
【0040】
「cry1Acターミネーター」という用語は、そのヌクレオチド配列が配列番号19に示されている二重ヘアピンRNA構造を有するBt cry1Ac遺伝子の翻訳ターミネーターを指す。
【0041】
「Cry1Aaリーダー配列」及び「Cry1Faリーダー配列」という用語は、成熟Cry1Aa及びCry1Faタンパク質のN末端に結合した短い(約27アミノ酸)天然アミノ酸配列を指し、これは昆虫腸内のプロテアーゼ消化によって除去され、プロトキシンを成熟毒素に変換する。いくつかの実施形態では、リーダー配列は、Cotタンパク質とCryタンパク質との間の可撓性のリンカーとして働く。Cry1Aaリーダー配列を配列番号20に示し、Cry1Faリーダー配列を配列番号21に示す。
【0042】
「胞子提示ベクター」という用語は、殺虫性タンパク質が胞子外殻タンパク質遺伝子と共にクローニングされてタンパク質(例えば、1つ以上の胞子の表面上)を発現(又は提示)するプラスミドベクターを指す。本開示では、2つのバチルス(Bacillus)-大腸菌(E.coli)シャトルベクター、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)pBC16.1及び大腸菌(E.coli)pBluescript-KSを含有するpSB634(配列番号22)、並びにストレプトコッカス・ファエカリス(Streptococcus faecalis)pAM-アルファ及び大腸菌(E.coli)pACYC177を含有するpHY300PLK(配列番号23)を例として使用した。
【0043】
「tet」という用語は、抗生物質化合物テトラサイクリンを指す。
【0044】
「LB」という用語は、ルリアブロスを指す。いくつかの実施形態では、LBは、1Lの水中に10gのトリプトン、5gの酵母抽出物、及び10gのNaClを含む。本開示において、1/2 LBは2倍希釈LB(例えば、水で希釈)を意味し、「LB-Agar」は1.5%寒天で作製した固体LB培地を指す。
【0045】
「Sf9」という用語は、親細胞株スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)Sf21 IPLB-Sf21-AE(蛹卵巣組織に由来する)のクローン単離昆虫細胞株を指す。
【0046】
「核酸」及び「ポリヌクレオチド」という用語は互換的に使用され、本明細書で使用される場合、RNA、cDNA、ゲノムDNA、ミトコンドリアDNA、並びに上記の合成形態及び混合ポリマーのセンス鎖及びアンチセンス鎖の両方を指す。特定の実施形態では、ヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、又はいずれかのタイプのヌクレオチドの改変形態、及びそれらの組み合わせを指す。この用語には、DNA及び/又はRNAの一本鎖及び二本鎖形態も含まれるが、これらに限定されない。さらに、本明細書に開示されるポリヌクレオチド、例えば環状DNA鋳型、本明細書に開示される核酸コンカテマーは、天然に存在するヌクレオチド結合及び/又は天然に存在しないヌクレオチド結合によって互いに結合された天然に存在するヌクレオチド及び改変ヌクレオチドのいずれか又は両方を含むことができる。当技術分野の当業者によって容易に理解されるように、核酸分子は、化学的若しくは生化学的に改変され得るか、又は非天然若しくは誘導体化ヌクレオチド塩基を含有し得る。そのような改変としては、例えば、標識、メチル化、天然に存在するヌクレオチドの1つ以上の類似体との置換、ヌクレオチド間改変、例えば、非荷電結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、カルバメートなど)、荷電結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)、ペンダント部分(例えば、ポリペプチド)、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)、キレート剤、アルキル化剤及び改変結合(例えば、アルファアノマー核酸など)が挙げられる。上記の用語はまた、一本鎖、二本鎖、部分的に二重鎖化された、三重鎖、ヘアピンニングされた、円形及びパッドロックされた立体配座を含む任意のトポロジカルコンフォメーションを含むことが意図される。核酸配列への言及は、特に明記しない限り、その相補体を包含する。したがって、特定の配列を有する核酸分子への言及は、その相補鎖、その相補配列を包含すると理解されるべきである。ヌクレオチド配列は、溶液中で特異的に(例えば、ワトソン・クリック型塩基対合規則に従って)ハイブリダイズする場合、「相補的」である。この用語はまた、同じポリペプチド配列をコードするコドン最適化された核酸を含む。核酸は、未精製、精製、又は例えばビーズ若しくはカラムマトリックスなどの合成材料に結合され得ることも理解される。
【0047】
別段示されない限り、特定の核酸配列はまた、その保存的に改変されたバリアント、対立遺伝子、オルソログ、SNP及び相補的配列、並びに明示的に示された配列を暗黙的に包含する。
【0048】
本明細書に記載のポリヌクレオチド又はポリペプチド配列の文脈で使用される「同一性」又は「実質的同一性」という用語は、参照配列と少なくとも60%の配列同一性を有する配列を指す。或いは、同一性パーセントは、60%~100%の任意の整数であり得る。例示的な実施形態は、少なくとも以下:本明細書に記載のプログラム;好ましくは、以下に記載されるような標準的なパラメータを使用するBLASTを使用した参照配列と比較して、60%、65%、70%、75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%を含む。当業者は、これらの値を、コドン縮重、アミノ酸類似性、リーディングフレーム配置などを考慮に入れることによって、2つのヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質の対応する同一性を決定するために適切に調整することができることを認識するであろう。
【0049】
配列比較のために、典型的には、1つの配列が、試験配列が比較される参照配列として作用する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列及び参照配列をコンピュータに入力し、必要に応じて部分配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。デフォルトのプログラムパラメータを使用することも、代替パラメータを指定することもできる。次いで、配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列の配列同一性パーセントを計算する。
【0050】
本明細書で使用される「比較ウィンドウ」は、20~600、通常は約50~約200、より通常は約100~約150からなる群から選択される連続位置の数のいずれか1つのセグメントへの言及を含み、ここで、配列は、2つの配列が最適にアラインメントされた後に、同じ数の連続位置の参照配列と比較され得る。比較のための配列のアラインメント方法は、当技術分野で周知である。比較のための配列の最適なアラインメントは、Smith and Waterman Add.APL.Math.2:482(1981)による局所相同性アルゴリズム、Needleman and Wunsch J.Mol.Biol.48:443(1970)による相同性アラインメントアルゴリズム、Pearson and Lipman Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)85:2444(1988)による類似性探索方法、これらのアルゴリズムのコンピュータ実装(例えば、BLAST)、又は手動位置合わせ及び目視検査による方法によって行うことができる。
【0051】
特に、パーセント配列同一性及びパーセント配列類似性を決定するのに適したアルゴリズムは、Altschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403-410及びAltschul et al.(1977)Nucleic Acids Res.25:3389-3402にそれぞれ記載されているBLAST及びBLAST 2.0アルゴリズムである。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(NCBI)のウェブサイトを通じて公的に入手可能である。このアルゴリズムは、クエリ配列中の長さWの短い単語を同定することによって高スコア配列対(HSP)を最初に同定することを含み、これは、データベース配列中の同じ長さの単語とアラインメントされたときにいくつかの正の値の閾値スコアTと一致するか又はそれを満たす。Tは、近傍ワードスコア閾値(Altschul et al、前出)と呼ばれる。これらの初期近傍ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見つけるために検索を開始するためのシードとして作用する。次いで、単語ヒットは、累積アラインメントスコアを増加させることができる限り、各配列に沿って両方向に拡張される。累積スコアは、ヌクレオチド配列について、パラメータM(一対のマッチング残差に対する報酬スコア;常に>0)及びN(ミスマッチ残差に対するペナルティスコア;常に<0)を使用して計算される。アミノ酸配列の場合、スコア行列を使用して累積スコアを計算する。各方向へのワードヒットの拡張は、累積アラインメントスコアがその最大達成値から量Xだけ低下する場合に停止され;累積スコアは、1つ又はそれを超える負スコアの残基アラインメントの蓄積のために0以下になるか;又はいずれかの配列の末端に達する。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、及びXは、アラインメントの感度及び速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、デフォルトとしてワードサイズ(W)28、期待値(E)10、M=1、N=-2、及び両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラムは、デフォルトとしてワードサイズ(W)3、期待値(E)10、及びBLOSUM62スコア行列を使用する(Henikoff&Henikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915(1989))。
【0052】
BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似性の統計分析を行う(例えば、Karlin&Altschul,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 90:5873-5787(1993))。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの尺度は、最小和確率(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間のマッチが偶然に起こる確率の指標を提供する。例えば、試験核酸と参照核酸との比較における最小和確率が約0.01未満、より好ましくは約10-5未満、最も好ましくは約10-20未満である場合、核酸は参照配列に類似していると見なされる。
【0053】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指すために本明細書で互換的に使用される。本明細書で使用される場合、この用語は、全長タンパク質を含む任意の長さのアミノ酸鎖を包含し、アミノ酸残基は共有結合性ペプチド結合によって連結されている。
【0054】
本明細書に記載のポリペプチド中のアミノ酸は、20個の天然アミノ酸、天然アミノ酸のD-立体異性体、非天然アミノ酸及び化学改変アミノ酸のいずれかであり得る。非天然アミノ酸(すなわち、タンパク質に天然には見られないもの)も、例えばZhang et al.“Protein engineering with unnatural amino acids”Curr.Opin.Struct.Biol.23(4):581-587(2013);Xie et la.“Adding amino acids to the genetic repertoire”,9(6):548-54(2005))及びそこに引用されているすべての参考文献に記載されているように、当技術分野で公知である。β及びγアミノ酸は当技術分野で公知であり、本明細書では非天然アミノ酸としても企図される。
【0055】
本明細書で使用される場合、化学改変アミノ酸は、側鎖が化学改変されているアミノ酸を指す。例えば、側鎖は、シグナル伝達部分、例えばフルオロフォア又は放射性標識を含むように改変することができる。側鎖は、チオール、カルボン酸又はアミノ基などの新しい官能基を含むように改変することもできる。翻訳後改変アミノ酸も化学改変アミノ酸の定義に含まれる。
【0056】
保存的アミノ酸置換も企図される。例として、保存的アミノ酸置換は、1つ以上のアミノ酸残基、例えば、本明細書で提供されるポリペプチドのいずれかの1つ以上のリジン残基で行うことができる。当技術分野の当業者は、保存的置換が、あるアミノ酸残基を生物学的及び/又は化学的に類似する別のアミノ酸残基で置換することであることを知っているであろう。以下の8つの群はそれぞれ、互いに保存的置換であるアミノ酸を含有する。
1)アラニン(A)、グリシン(G);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7)セリン(S)、トレオニン(T);及び
8)システイン(C)、メチオニン(M)
【0057】
例として、アルギニンからセリンが言及される場合、セリンの保存的置換(例えば、トレオニン)も企図される。例えばリジンをアスパラギンで置換する非保存的置換も企図される。
【0058】
本明細書で使用される場合、「プライマー」という用語は、DNAポリメラーゼ及び/又は逆転写酵素がそれに結合することを可能にする核酸標的にアニーリング(いくつかの実施形態では、核酸標的に特異的にアニーリング)することができ、それによってプライマー伸長産物の合成が誘導される条件下(例えば、ヌクレオチド及び重合のための薬剤(例えば、DNAポリメラーゼなど)の存在下、適切な温度及びpHで)に置かれた場合にDNA合成の開始点として働くオリゴヌクレオチドを指す。いくつかの実施形態では、植物核酸(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応を用いる;PCR)を増幅するために、1つ又は複数のプライマーが使用される。
【0059】
III.組換え核酸、構築物、ベクター及び胞子
一態様では、融合タンパク質をコードする組換え核酸であって:a)胞子外殻ポリペプチドをコードする第1の核酸配列;b)リンカーをコードする第2の核酸配列;c)推定殺虫性ポリペプチドをコードする第3の核酸配列を含む組換え核酸が本明細書において提供される。
【0060】
A.胞子外殻ポリペプチド
組換え核酸のいくつかの実施形態では、胞子外殻ポリペプチドは、胞子を産生する任意の微生物由来である。いくつかの実施形態では、微生物は、内生胞子産生細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、以下の属のいずれかの種である:アセトネマ(Acetonema)、アクチノマイセス(Actinomyces)、アルカリバチルス(Alkalibacillus)、アンモニフィラス(Ammoniphilus)、アンフィバチルス(Amphibacillus)、アネロバクター(Anaerobacter)、アネロスポラ(Anaerospora)、アノイリニバチルス(Aneurinibacillus)、アノキシバチルス(Anoxybacillus)、バチルス(Bacillus)、ブレビバチルス(Brevibacillus)、カルダネロバクター(Caldanaerobacter)、カロラマター(Caloramator)、カミニセラ(Caminicella)、セラシバチルス(Cerasibacillus)、クロストリジウム(Clostridium)、クロストリジイサリバクター(Clostridiisalibacter)、コネラ(Cohnella)、コクシエラ(Coxiella)(すなわち、コクシエラ・バーネティー(Coxiella burnetii))、デンドロスポロバクター(Dendrosporobacter)、出スルフォトマクラム(Desulfotomaculum)、デスルフォスポロムサ(Desulfosporomusa)、デスルフォスポロシヌス(Desulfosporosinus)、デスルフォバーグラ(Desulfovirgula)、デスルフニスポラ(Desulfunispora)、デスルフリスポラ(Desulfurispora)、フィリファクター(Filifactor)、フィロバチルス(Filobacillus)、ゲルリア(Gelria)、ゲオバチルス(Geobacillus)、ゲオスポロバクター(Geosporobacter)、グラシリバチルス(Gracilibacillus)、ハロバチルス(Halobacillus)、ハロナトロヌム(Halonatronum)、ヘリオバクテリウム(Heliobacterium)、ヘリオフィルム(Heliophilum)、ラセイエラ(Laceyella)、レンチバチルス(Lentibacillus)、リシンバチルス(Lysinibacillus)、マヘラ(Mahella)、メタバクテリウム(Metabacterium)、モオレラ(Moorella)、ナトロニエラ(Natroniella)、オセアノバチルス(Oceanobacillus)、オレニア(Orenia)、オルニチニバチルス(Ornithinibacillus)、オキサロファガス(Oxalophagus)、オキソバクター(Oxobacter)、パエニバチルス(Paenibacillus)、パラリオバチルス(Paraliobacillus)、ペロスポラ(Pelospora)、ペロトマクルム(Pelotomaculum)、ピスシバチルス(Piscibacillus)、プラニフィルム(Planifilum)、ポンチバチルス(Pontibacillus)、プロピオニスポラ(Propionispora)、サリニバチルス(Salinibacillus)、サルスギニバチルス(Salsuginibacillus)、セイノネラ(Seinonella)、シマズエラ(Shimazuella)、スポラセチゲニウム(Sporacetigenium)、スポロナエロバクター(Sporoanaerobacter)、スポロバクター(Sporobacter)、スポロバクテリウム(Sporobacterium)、スポロハロバクター(Sporohalobacter)、スポロラクトバチルス(Sporolactobacillus)、スポロムサ(Sporomusa)、スポロサルシナ(Sporosarcina)、スポロタレア(Sporotalea)、スポロトマクルム(Sporotomaculum)、シントロフォモナス(Syntrophomonas)、シントロフォスポラ(Syntrophospora)、テヌイバチルス(Tenuibacillus)、テピジバクター(Tepidibacter)、テリバチルス(Terribacillus)、タラッソバチルス(Thalassobacillus)、サーモアセトゲニウム(Thermoacetogenium)、サーモアクチノミエス(Thermoactinomyces)、サーモアルキルバチルス(Thermoalkalibacillus)、サーモアナエロバクター(Thermoanaerobacter)、サーモアナエロモナス(Thermoanaeromonas)、サーモバチルス(Thermobacillus)、サーモフラビミクロビウム(Thermoflavimicrobium)、サーモヴェナブルム(Thermovenabulum)、ツベリバチルス(Tuberibacillus)、バージバチルス(Virgibacillus)、又はブルカノバチルス(Vulcanobacillus)。
【0061】
いくつかの実施形態において、胞子外殻ポリペプチドは、バチルス(Bacillus)種に由来する。いくつかの実施形態では、胞子外殻ポリペプチドは、バチルス(Bacillus)種(例えば、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis))胞子外殻(Cot)タンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、Cotタンパク質は、CotC、CotG、CotB、CotA、CotD、CotE、CotX、CotY又はCotZである。いくつかの実施形態では、Cotタンパク質は、CotC又はCotGである。
【0062】
本明細書において提供する組換え核酸のいくつかの実施形態では、胞子外殻ポリペプチドをコードする第1の核酸配列は、配列番号16又は配列番号18と少なくとも60%の同一性(例えば、少なくとも65%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも75%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、又は少なくとも99%の同一性)を有する核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、配列番号15又は配列番号17と少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列を含む胞子外殻ポリペプチドをコードする。
【0063】
本明細書で提供される組換え核酸のいくつかの実施形態では、胞子外殻ポリペプチドは胞子産生真菌に由来する。いくつかの実施形態では、真菌は、以下の門のいずれかに由来する:接合菌門(Zygemycota)、子嚢菌門(Ascomycota)、担子菌門(Basidiomycota)又は卵菌門(Oomycota)。
【0064】
B.推定殺虫性ポリペプチド
本明細書で提供される組換え核酸は、以下の構造クラスのいずれかの推定殺虫性ポリペプチドをコードすることができる:App、Cry、Cyt、Gpp、Mcf、Mpf、Mpp、Mtx、Pra、Prb、Spp、Tpp、Vip、Vpa、又はVpb。例えば、Crickmore,N.,et al.“A structure-based nomenclature for Bacillus thuringiensis and other bacteria-derived pesticidal proteins.”Journal of Invertebrate Pathology,107438(2020);doi.org/10.1016/j.jip.2020.107438を参照されたい。
【0065】
いくつかの実施形態において、殺虫性ポリペプチドは、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)殺虫性タンパク質(Cryタンパク質、栄養性殺虫性タンパク質(VIP)、及び前述の殺虫性タンパク質のいずれかの殺虫性キメラが含まれるが、これらに限定されない)である。いくつかの実施形態において、推定殺虫性ポリペプチドは、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)結晶(Bt Cry)タンパク質である。
【0066】
Cryタンパク質の例としては、Cry1Aa、Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1Ad、Cry1Ae、Cry1Af、Cry1Ag、Cry1Ah、Cry1Ai、Cry1Aj、Cry1Ba、Cry1Bb、Cry1Bc、Cry1Bd、Cry1Be、Cry1Bf、Cry1Bg、Cry1Bh、Cry1Bi、Cry1Ca、Cry1Cb、Cry1Da、Cry1Db、Cry1Dc、Cry1Dd、Cry1Ea、Cry1Eb、Cry1Fa、Cry1Fb、Cry1Ga、Cry1Gb、Cry1Gc、Cry1Ha、Cry1Hb、Cry1Hc、Cry1Ia、Cry1Ib、Cry1Ic、Cry1Id、Cry1Ie、Cry1If、Cry1Ig、Cry1Ja、Cry1Jb、Cry1Jc、Cry1Jd、Cry1Ka、Cry1La、Cry1Ma、Cry1Na、Cry1Nb、Cry2Aa、Cry2Ab、Cry2Ac、Cry2Ad、Cry2Ae、Cry2Af、Cry2Ag、Cry2Ah、Cry2Ai、Cry2Aj、Cry2Ak、Cry2Al、Cry2Ba、Cry3Aa、Cry3Ba、Cry3Bb、Cry3Ca、Cry4Aa、Cry4Ba、Cry4Ca、Cry4Cb、Cry4Cc、Cry5Aa、Cry5Ab、Cry5Ac、Cry5Ad、Cry5Ba、Cry5Ca、Cry5Da、Cry5Ea、Cry6Aa、Cry6Ba、Cry7Aa、Cry7Ab、Cry7Ac、Cry7Ba、Cry7Bb、Cry7Ca、Cry7Cb、Cry7Da、Cry7Ea、Cry7Fa、Cry7Fb、Cry7Ga、Cry7Gb、Cry7Gc、Cry7Gd、Cry7Ha、Cry7Ia、Cry7Ja、Cry7Ka、Cry7Kb、Cry7La、Cry8Aa、Cry8Ab、Cry8Ac、Cry8Ad、Cry8Ba、Cry8Bb、Cry8Bc、Cry8Ca、Cry8Da、Cry8Db、Cry8Ea、Cry8Fa、Cry8Ga、Cry8Ha、Cry8Ia、Cry8Ib、Cry8Ja、Cry8Ka、Cry8Kb、Cry8La、Cry8Ma、Cry8Na、Cry8Pa、Cry8Qa、Cry8Ra、Cry8Sa、Cry8Ta、Cry9Aa、Cry9Ba、Cry9Bb、Cry9Ca、Cry9Da、Cry9Db、Cry9Dc、Cry9Ea、Cry9Eb、Cry9Ec、Cry9Ed、Cry9Ee、Cry9Fa、Cry9Ga、Cry10Aa、Cry11Aa、Cry11Ba、Cry11Bb、Cry12Aa,Cry13Aa、Cry14Aa、Cry14Ab、Cry15Aa、Cry16Aa、Cry17Aa、Cry18Aa、Cry18Ba、Cry18Ca、Cry19Aa、Cry19Ba、Cry19Ca、Cry20Aa、Cry20Ba、Cry21Aa、Cry21Ba、Cry21Ca、Cry21Da、Cry21Ea、Cry21Fa、Cry21Ga、Cry21Ha、Cry22Aa、Cry22Ab、Cry22Ba、Cry22Bb、Cry23Aa、Cry24Aa、Cry24Ba、Cry24Ca、Cry25Aa、Cry26Aa、Cry27Aa、Cry28Aa、Cry29Aa、Cry29Ba、Cry30Aa、Cry30Ba、Cry30Ca、Cry30Da、Cry30Db、Cry30Ea、Cry30Fa、Cry30Ga,Cry31Aa、Cry31Ab、Cry31Ac、Cry31Ad、Cry32Aa、Cry32Ab、Cry32Ba、Cry32Ca、Cry32Cb、Cry32Da、Cry32Ea、Cry32Eb、Cry32Fa、Cry32Ga、Cry32Ha、Cry32Hb、Cry32Ia、Cry32Ja、Cry32Ka、Cry32La、Cry32Ma、Cry32Mb、Cry32Na、Cry32Oa、Cry32Pa、Cry32Qa、Cry32Ra、Cry32Sa、Cry32Ta、Cry32Ua、Cry33Aa、Cry34Aa、Cry34Ab、Cry34Ac、Cry34Ba、Cry35Aa、Cry35Ab、Cry35Ac、Cry35Ba、Cry36Aa、Cry37Aa、Cry38Aa、Cry39Aa、Cry40Aa、Cry40Ba、Cry40Ca、Cry40Da、Cry41Aa、Cry41Ab、Cry41Ba、Cry42Aa、Cry43Aa、Cry43Ba、Cry43Ca、Cry43Cb、Cry43Cc、Cry44Aa、Cry45Aa、Cry46Aa Cry46Ab、Cry47Aa、Cry48Aa、Cry48Ab、Cry49Aa、Cry49Ab、Cry50Aa、Cry50Ba、Cry51Aa、Cry52Aa、Cry52Ba、Cry53Aa、Cry53Ab、Cry54Aa、Cry54Ab、Cry54Ba、Cry55Aa、Cry56Aa、Cry57Aa、Cry57Ab、Cry58Aa、Cry59Aa、Cry59Ba、Cry60Aa、Cry60Ba、Cry61Aa、Cry62Aa、Cry63Aa、Cry64Aa、Cry65Aa、Cry66Aa、Cry67Aa、Cry68Aa、Cry69Aa、Cry69Ab、Cry70Aa、Cry70Ba、Cry70Bb、Cry71Aa、Cry72Aa、Cry73Aa、又は前述の任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。そのようなCryタンパク質のリスト及び関連情報は、例えば、Bacterial Pesticidal Protein Resource Center(BPPRC)(Crickmore,N.,Berry,C.,Panneerselvam,S.,Mishra,R.,Connor,T.R.and Bonning,B.C.(2020)Bacterial Pesticidal Protein Resource Center、bpprc.org)に見ることができる。配列は、BPPRC及びNCBIデータベース(ncbi.nlm.nih.gov)を通じて入手可能である。
【0067】
Vip3クラスのメンバー及びそれらのそれぞれのGenBankアクセッション番号、米国特許又は特許公開番号の非限定的な例は、Vip3Aa1(AAC37036)、Vip3Aa2(AAC37037)、Vip3Aa3(米国特許第6,137,033号明細書参照)、Vip3Aa4(AAR81079)、Vip3Aa5(AAR81080)、Vip3Aa6(AAR81081)、Vip3Aa7(AAK95326)、Vip3Aa8(AAK97481)、Vip3Aa9(CAA76665)、Vip3Aa10(AAN60738)、Vip3Aa11(AAR36859)、Vip3Aa12(AAM22456)、Vip3Aa13(AAL69542)、Vip3Aa14(AAQ12340)、Vip3Aa15(AAP51131)、Vip3Aa16(AAW65132)、Vip3Aa17(米国特許第6,603,063号明細書参照)、Vip3Aa18(AAX49395)、Vip3Aa19(DQ241674)、Vip3Aa19(DQ539887)、Vip3Aa20(DQ539888)、Vip3Aa21(ABD84410)、Vip3Aa22(AAY41427)、Vip3Aa23(AAY41428)、Vip3Aa24(BI880913)、Vip3Aa25(EF608501)、Vip3Aa26(EU294496)、Vip3Aa27(EU332167)、Vip3Aa28(FJ494817)、Vip3Aa29(FJ626674)、Vip3Aa30(FJ626675)、Vip3Aa31(FJ626676)、Vip3Aa32(FJ626677)、Vip3Aa33(GU073128)、Vip3Aa34(GU073129)、Vip3Aa35(GU733921)、Vip3Aa36(GU951510)、Vip3Aa37(HM132041)、Vip3Aa38(HM117632)、Vip3Aa39(HM117631)、Vip3Aa40(HM132042)、Vip3Aa41(HM132043)、Vip3Aa42(HQ587048)、Vip3Aa43(HQ594534)、Vip3Aa44(HQ650163)、Vip3Ab1(AAR40284)、Vip3Ab2(AAY88247)、Vip3Ac1(米国特許出願公開第20040128716号明細書参照)、Vip3Ad1(米国特許出願公開第20040128716号明細書参照)、Vip3Ad2(CAI43276)、Vip3Ae1(CAI43277)、Vip3Af1(米国特許第7,378,493号明細書参照)、Vip3Af2(ADN08753)、Vip3Af3(HM117634)、Vip3Ag1(ADN08758)、Vip3Ag2(FJ556803)、Vip3Ag3(HM117633)、Vip3Ag4(HQ414237)、Vip3Ag5(HQ542193)、Vip3Ah1(DQ832323)、Vip3Ba1(AAV70653)、Vip3Ba2(HM117635)、Vip3Bb1(米国特許第7,378,493号明細書参照)、Vip3Bb2(AB030520)及びVip3Bb3(ADI48120)である。
【0068】
いくつかの実施形態において、殺虫性ポリペプチドは、B.チューリンゲンシス(B.thuringiensis)タンパク質以外のタンパク質であり得る。例えば、殺虫性ポリペプチドは、α-アミラーゼ、ペルオキシダーゼ、コレステロール酸化酵素、パタチン、プロテアーゼ、プロテアーゼ阻害剤、ウレアーゼ、α-アミラーゼ阻害剤、細孔形成タンパク質、キチナーゼ、レクチン、操作された抗体又は抗体断片、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)殺虫性タンパク質、ゼノラブダス(Xenorhabdus)属(例えば、X.ネマトフィラ(X.nematophila)又はX.ボヴィエニイ(X.bovienii))殺虫性タンパク質、フォトルハブデュス(Photorhabdus)属(例えば、P.ルミネセンス(P.luminescens)又はP.アシモビオティカ(P.asymobiotica)殺虫性タンパク質、ブレビバチルス(Brevibacillus)属(例えば、B.ラテロスポラス(B.laterosporous))殺虫性タンパク質、リシニバチルス(Lysinibacillus)属(例えば、L.スフェアリクス(sphearicus))殺虫性タンパク質、クロモバクテリウム(Chromobacterium)属(例えば、C.スブツガエ(C.subtsugae)又はC.ピスシナエ(C.piscinae))殺虫性タンパク質、エルシニア(Yersinia)属(例えば、Y.エントモファガ(Y.entomophaga))殺虫性タンパク質、パエニバチルス(Paenibacillus)属(例えば、P.プロピラエア(P.propylaea))殺虫性タンパク質、クロストリジウム(Clostridium)属(例えば、C.ビフェルメンタンス(C.bifermentans))殺虫性タンパク質、シュードモナス(Pseudomonas)属(例えばP.フルオレセンス(fluorescens))及びリグニンであり得る。他の実施形態において、殺虫性ポリペプチドは、フォトルハブデュス(Photorhabdus)、ゼノラブダス(Xenorhabdus)、セラティア(Serratia)又はエルシニア(Yersinia)由来の殺虫性毒素複合体(Tc)由来の少なくとも1つの殺虫性タンパク質であり得る。いくつかの実施形態において、殺虫性ポリペプチドは、フォトルハブデュス(Photorhabdus)属などの殺虫性細菌由来のADP-リボシルトランスフェラーゼであり得る。いくつかの実施形態において、殺虫性ポリペプチドは、B.セレウス(B.cereus)由来のVIP1及び/又はVIP2などのVIPタンパク質であり得る。いくつかの実施形態では、殺虫性ポリペプチドは、殺虫性細菌由来の二成分毒素、例えば、B.ラテロスポラス(B.laterosporous)由来のISP1A及びISP2A、又はL.スファエリクス(L.sphaericus)由来のBinA及びBinBであり得る。いくつかの実施形態では、殺虫性ポリペプチドは、操作されたバージョンであり得、又は前述の殺虫性ポリペプチドのいずれかのハイブリッド若しくはキメラであってもよい。
【0069】
他の非限定的な例の殺虫性ポリペプチドとしては、DIG-657(米国特許出願公開第2015366211号明細書参照);PtIP-96(米国特許出願公開第2017233440号明細書参照);PIP-72(米国特許出願公開第2016366891号明細書参照);PIP-83(米国特許出願公開第2016347799号明細書参照);PIP-50(米国特許出願公開第2017166921号明細書参照);IPD73(米国特許出願公開第2019119334号明細書参照);IPD090(米国特許出願公開第2019136258号明細書参照);IPD80(米国特許出願公開第2019256563号明細書参照);IPD078、IPD084、IPD086、IPD087、IPD089(米国特許出願公開第2020055906号明細書参照);IPD093(国際公開第2018111551号パンフレット参照);IPD059(国際公開第2018232072号パンフレット参照);IPD113(国際公開第2019178042号パンフレット参照);IPD121(国際公開第2018208882号パンフレット参照);IPD110(国際公開第2019178038号パンフレット参照);IPD103(国際公開第2019125717号パンフレット参照);IPD092;IPD095;IPD097;IPD099;IPD100、IPD105;IPD106;IPD107;IPD111;IPD112(国際公開第2020055885号パンフレット参照);IPD102(国際公開第2020076958号パンフレット参照)Cry1B.868及びCry1Da_7(米国特許出願公開第2020-032289号明細書参照);TIC107(米国特許第8049071号明細書参照);Cry2Ab及びCry1A.105(米国特許第10584391号明細書参照);Cry1F、Cry34Ab1、Cry35Ab1(米国特許第10407688号明細書参照);TIC6757、TIC7472、TIC7473、TIC6757(米国特許出願公開第2017058294号明細書参照);TIC3668、TIC3669、TIC3670、TIC4076、TIC4078、TIC4260、TIC4346、TIC4826、TIC4861、TIC4862、TIC4863、TIC-3668(米国特許出願公開第2016319302号明細書参照);TIC7040、TIC7042、TIC7381、TIC7382、TIC7383、TIC7386、TIC7388、TIC7389(米国特許出願公開第2018291395号明細書参照);TIC7941(米国特許出願公開第2020229445号明細書参照)TIC836、TIC860、TIC867、TIC868、TIC869、及びTIC1100(国際公開第2016061391号パンフレット参照)、TIC2160(国際公開第2016061392号パンフレット参照)、ET66、TIC400、TIC800、TIC834、TIC1415、AXMI-001、AXMI-002、AXMI-030、AXMI-035、及びAXMI-045(米国特許出願公開第20130117884号明細書参照)、AXMI-52、AXMI-58、AXMI-88、AXMI-97、AXMI-102、AXMI-112、AXMI-117、AXMI-100(米国特許出願公開第201-0310543号明細書参照)、AXMI-115、AXMI-113、AXMI-005(米国特許出願公開第20130104259号明細書参照)、AXMI-134(米国特許出願公開第20130167264号明細書参照)、AXMI-150(米国特許出願公開第20100160231号明細書参照)、AXMI-184(米国特許出願公開第20100004176号明細書参照)、AXMI-196、AXMI-204、AXMI-207、AXMI-209(米国特許出願公開第2011-0030096号明細書参照)、AXMI-218、AXMI-220(米国特許出願公開第20140245491号明細書参照)、AXMI-221z、AXMI-222z、AXMI-223z、AXMI-224z、AXMI-225z(米国特許出願公開第20140196175号明細書参照)、AXMI-238(米国特許出願公開第20140033363号明細書参照)、AXMI-270(米国特許出願公開第20140223598号明細書参照)、AXMI-345(米国特許出願公開第20140373195号明細書参照)、AXMI-335(国際公開第2013134523号パンフレット参照)、DIG-3(米国特許出願公開第20130219570号明細書参照)、DIG-5(米国特許出願公開第20100317569号明細書参照)、DIG-11(米国特許出願公開第20100319093号明細書参照)、AfIP-1A(米国特許出願公開第20140033361号明細書参照)、AfIP-1B(米国特許出願公開第20140033361号明細書参照)、PIP-1APIP-1B(米国特許出願公開第20140007292号明細書参照)、PSEEN3174(米国特許出願公開第20140007292号明細書参照)、AECFG-592740(米国特許出願公開第20140007292号明細書参照)、Pput_1063(米国特許出願公開第20140007292号明細書参照)、DIG-657(国際公開第2015195594号明細書参照)、Pput_1064(米国特許出願公開第20140007292号明細書参照)、GS-135(米国特許出願公開第20120233726号明細書参照)、GS153(米国特許出願公開第20120192310号明細書参照)、GS154(米国特許出願公開第20120192310号明細書参照)、GS155(米国特許出願公開第20120192310号明細書参照)、DIG-911及びDIG-180(米国特許出願公開第20150264940号明細書参照);などが挙げられる。
【0070】
いくつかの実施形態において、推定殺虫性ポリペプチドは、野生型タンパク質(すなわち、それが由来するタンパク質)に対して少なくとも1つの改変を含む。いくつかの実施形態では、改変は、DNAシャッフリング、ブロックスワップ、部位特異的突然変異誘発、飽和突然変異誘発、ランダム突然変異誘発、又はそれらの組み合わせの結果である(例えば、Cong et al.,ed.Akhurst et al.,2002,Proceedings of the 4th Pacific Rim Conferences on Biotechnology of Bacillus thuringiensis and its environmental impact:118-123,米国特許第8,530,411号明細書,Hou et al.,2019,Toxins 11(3):162及び米国特許出願公開第20210147492号明細書に記載の通りである)。いくつかの実施形態では、改変は、野生型タンパク質と比較した1つ又は複数のヌクレオチドの欠失である。いくつかの実施形態において、改変は、野生型タンパク質に対する1つ又は複数のヌクレオチドの挿入である。いくつかの実施形態において、改変は、野生型タンパク質の5’末端及び/又は3’末端からの1つ又は複数のヌクレオチドの短縮、すなわち欠失である。いくつかの実施形態において、推定殺虫性ポリペプチドは、Bt Cryタンパク質に由来し、野生型タンパク質に対する改変は、セリンプロテアーゼ消化に対する耐性をもたらす(すなわち、セリンプロテアーゼ活性の阻害)。いくつかの実施形態において、セリンプロテアーゼ阻害は、Bt Cryタンパク質(例えば、Pardo-Lopez,et al.,2009,Peptides 30(3):589-595を参照のこと)の殺虫活性を増強する。
【0071】
本明細書で提供される組換え核酸のいくつかの実施形態では、推定殺虫性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号2又は配列番号4と少なくとも60%の同一性(例えば、少なくとも65%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも75%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、又は少なくとも99%の同一性)を有する核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、核酸配列は、配列番号1又は配列番号3と少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列を含む推定殺虫性ポリペプチドをコードする。
【0072】
Cryタンパク質の1つのファミリーは、3ドメインCryファミリーとして公知であり、活性毒素タンパク質中に3つのドメインを有するタンパク質を含む。ドメインI、ドメインII、及びドメインIIIと呼ばれるこれらのドメインは、例えば、Bravo et al.,2008,Toxicon 49(4):423-435及びPalma et al.,2014,Toxins 6(12):3296-3325に記載されている。そのようなCryタンパク質は、一般に毒性に必要とされないさらなるドメインIV-VIIを含むプロトキシンとして発現され得る。いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される推定殺虫性ポリペプチドは、ドメインI、II及びIIIを含む。いくつかの実施形態において、推定殺虫性ポリペプチドは、ドメインI、II、III、並びにドメインIV、V、VI及びVIIのうちの少なくとも1つを含む。
【0073】
C.殺虫性タンパク質受容体
いくつかの実施形態において、本開示の推定殺虫性ポリペプチドは、有害生物細胞(例えば、昆虫細胞)の細胞表面タンパク質と相互作用することができる。推定殺虫性タンパク質によって標的化され得る有害生物は、以下に列挙されるもののいずれかを含み得る。いくつかの実施形態では、有害生物細胞は上皮細胞である。一部の実施形態では、有害生物細胞は有害生物消化系の一部である。本開示の細胞表面タンパク質は、殺虫性タンパク質の任意の既知の受容体又は任意の潜在的な受容体を含むことができる。いくつかの実施形態では、細胞表面タンパク質は、上記の推定殺虫性タンパク質のいずれかに対する受容体である。いくつかの実施形態では、細胞表面タンパク質は公知のBt Cryタンパク質受容体である。いくつかの実施形態では、細胞表面タンパク質は、ATP結合カセット(ABC)輸送体タンパク質、カドヘリンタンパク質、アミノペプチダーゼNタンパク質、又はアルカリホスファターゼタンパク質である。いくつかの実施形態では、細胞表面タンパク質は、例えばVPAC1及び/又はVPAC2などのVIP受容体である。いくつかの実施形態では、細胞表面タンパク質は、スカベンジャー受容体(例えば、SR-C)である(例えば、Wang et al.,2019,Appl.Environ.Microbiol.85(16):e00579-19参照)。
【0074】
いくつかの実施形態において、推定殺虫性ポリペプチドはABC輸送体タンパク質と相互作用する。最近、ABC輸送体はバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(Bt)殺虫性タンパク質の受容体として同定された(Sato et al.,2019,Toxins 11:124及びEndo et al.,2018,J.Biol.Chem.293:8569-8577)。例えば、Cry1Faと呼ばれるBt殺虫性毒素(Bt Cry殺虫性毒素)は、その受容体としてハスモンヨトウ(Spodoptera frugiperda)(ハスモンヨトウ(Fall Armyworm))のABCC2を利用して虫を死滅させる。Cry1Aa毒素は、Sato et al.(2019,Toxins 11:124)によって記載されるように、Bm-ABCC2、ECL1及びECL4の6つの細胞外ループ(ECL)のうちの2つに結合する。Cry1Faは、構造的類似性に基づいて、Sf-ABCC2のECL1及びECL4にも結合すると予想される(図8)。いくつかの実施形態では、図8に示すように、ABC輸送体タンパク質は2つの膜貫通αヘリックスバンドルを有し、各バンドルは6つのヘリックスからなる。いくつかの実施形態において、2つのバンドルの間には、第1のATPアーゼ(ヌクレオチド結合)ドメインが存在する。いくつかの実施形態において、第2のαヘリックスバンドルの最後のαヘリックスのC’末端に結合している第2のATPアーゼドメインが存在する。いくつかの実施形態では、両方のATPアーゼドメインが細胞質(すなわち、細胞内側)にある(図8)。いくつかの実施形態では、第2のATPアーゼを含まないABC輸送体タンパク質は、αヘリックス束及びECLの(すなわち、両方のATPアーゼドメインを有するABC輸送体タンパク質と比較して)同じ立体配座を保持する。いくつかの実施形態において、第1のATPアーゼドメイン(すなわち、上記の2つのアルファ-ヘリックス束の間のATPアーゼドメイン)は、ECL1及びECL4の確認を補助するために必要である。いくつかの態様において、ABC輸送体タンパク質は第2のATPアーゼドメインを含まない。
【0075】
いくつかの実施形態では、ABC輸送体は、ABCA、ABCB、ABCC、ABCD、ABCE、ABCF、ABCG、及びABCHを含むABC輸送体サブファミリーのいずれかからのタンパク質を含み得る。ABC輸送体タンパク質は、以下に列挙する有害生物のいずれかに由来し得る。いくつかの実施形態では、ABC輸送体タンパク質は、PxABCC2、Bm-ABCC2、Sf-ABCC2、Sf-ABCC3、Dv-ABCB1、Bm-ABCB1、Sf-ABCB1、Bm-ABCA2、又はTc-ABCC4である。いくつかの実施形態では、ABC輸送体タンパク質は、PxABCC2、Bm-ABCC2、Sf-ABCC2、又はSf-ABCC3である。いくつかの実施形態では、ABC輸送体タンパク質はABC輸送体機能を保持する。いくつかの実施形態では、ABC輸送体タンパク質はABC輸送体機能を保持していない(例えば、上記のように、第2のATPアーゼドメインを有しないABC輸送体)。いくつかの実施形態では、ABC輸送体タンパク質は、配列番号5、7、9、11、又は13のいずれかと少なくとも60%の同一性(例えば、少なくとも65%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも75%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、又は少なくとも99%の同一性)を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ABC輸送体タンパク質は、配列番号6、8、10、12、又は14のいずれかと少なくとも60%の同一性を有する核酸配列によってコードされる。
【0076】
いくつかの実施形態では、細胞表面タンパク質は、1つ以上の殺虫剤に耐性であることが知られている有害生物由来であり得る。いくつかの実施形態では、細胞表面タンパク質は、1つ以上の目的の殺虫性タンパク質との相互作用が低下していることが知られている変異細胞表面タンパク質である。例えば、S.フルギペルダ(S.frugiperda)のCry1Fa耐性コロニーは、Cry1Faが結合できなかったそのABCC2に突然変異を有することが見出された(Banerjee et al.,2017,Sci.Rep.7:10877)。これらの報告は、殺虫性タンパク質を、新しい受容体又は既存の受容体の変異体に結合させて耐性を克服するように操作することができることを示している。例えば、Cry1Fa耐性S.フルギペルダ(S.frugiperda)のABCC2の変異体に結合する新しい操作されたタンパク質は、耐性を克服することができる可能性がある。同様に、スポドプテラ・フルギペルダ(S.frugiperda)ABCC3に結合する操作されたタンパク質は、Cry1Fa耐性S.フルギペルダ(S.frugiperda)に対して活性であり得る。いくつかの実施形態では、細胞表面タンパク質は、殺虫性タンパク質受容体の変異型を含む。いくつかの実施形態では、細胞表面タンパク質は、Cry1Fa耐性S.フルギペルダ(S.frugiperda)由来のABCC2の変異体を含む。いくつかの実施形態では、Sf ABCC2変異体は、配列番号11と少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、Sf ABCC2変異体は、配列番号12と少なくとも60%の同一性を有する核酸配列によってコードされる。
【0077】
いくつかの実施形態では、細胞表面タンパク質は、それが由来する野生型タンパク質に対して1つ又は複数の改変を含む。いくつかの実施形態では、改変は、DNAシャッフリング、ブロックスワップ、部位特異的突然変異誘発、飽和突然変異誘発、ランダム突然変異誘発、又はそれらの組み合わせの結果である(例えば、Cong et al.,ed.Akhurst et al.,2002,Proceedings of the 4th Pacific Rim Conferences on Biotechnology of Bacillus thuringiensis and its environmental impact:118-123,米国特許第8,530,411号明細書,Hou et al.,2019,Toxins 11:162及び米国特許出願公開第20210147492号明細書に記載の通りである)。いくつかの実施形態では、改変は、野生型タンパク質と比較した1つ又は複数のヌクレオチドの欠失である。いくつかの実施形態において、改変は、野生型タンパク質に対する1つ又は複数のヌクレオチドの挿入である。いくつかの実施形態において、改変は、野生型タンパク質の5’末端及び/又は3’末端からの1つ又は複数のヌクレオチドの短縮、すなわち欠失である。
【0078】
D.標的有害生物
本明細書で提供される殺虫性タンパク質は、鱗翅目有害生物、鞘翅目有害生物、半翅目有害生物、双翅目有害生物、リガス(Lygus)属有害生物及び線虫有害生物を含む様々な標的有害生物に対して活性を有することができる。
【0079】
いくつかの実施形態において、殺虫性タンパク質は、鱗翅目有害生物の以下の非限定的な例の1つ以上に対して活性を有することができる:スポドプテラ(Spodoptera)属、例えば、S.フルギペルダ(S.frugiperda(ツマジロクサヨトウ(fall armyworm))、S.リトラリス(S.littoralis)(エジプトヨトウ(Egyptian cotton leafworm))、S.オルニソガリ(S.ornithogalli)(イエローストライドアーミーワーム(yellowstriped armyworm))、S.プラエフィカ(S.praefica)(西洋イエローストライドアーミーワーム(western yellowstriped armyworm))、S.エリダニア(S.eridania)(南アーミーワーム(southern armyworm))、S.リツラ(S.litura)(ハスモンヨトウ(Common cutworm/Oriental leafworm))及び/又はS.エキシグア(S.exigua)(ビートアーミーワーム(beet armyworm));オストリニア(Ostrinia)属、例えばO.ヌビリアリス(O.nubilalis)(ヨーロッパコーンボーラー(European corn borer))及び/又はO.フルナカリス(O.furnacalis)(アジアンコーンボーラー(Asian corn borer));コナガ属(Plutella)属、例えばP.キシロステラ(P.xylostella)(コナガ(diamondback moth));アグロティス(Agrotis)属、例えば、A.イプシロン(A.ipsilon)(黒色ヨトウムシ(black cutworm))、A.セゲツム(A. segetum)(普通ヨトウムシ(common cutworm))、A.グレーディアリア(A.gladiaria)(粘土状ヨトウムシ(claybacked cutworm))、及び/又はA.オルトゴニア(A.orthogonia)(淡色西洋ヨトウムシ);スタリアコスタ(Striacosta)属、例えばS.アルビコスタ(S.albicosta)(西洋マメヨトウムシ(western bean cutworm));ヘリコベルパ(Helicoverpa)属、例えばH.ジー(H.zea)(コーンイヤーワーム(corn earworm))、H.プンクチゲラ(H.punctigera)(ネイティブブドワーム(native budworm))及び/又はH.アルミゲラ(H.armigera)(コットンボールワーム(cotton bollworm));ヘリオチス(Heliothis)属、例えばH.ビレセンス(H.virescens)(タバコブドワーム(tobacco budworm));ディアトレア(Diatraea)属、例えばD.グランディオセラ(D.grandiosella)(南西コーンボーラー(southwestern corn borer))及び/又はD.サッカラリス(D.saccharalis)(サトウキビボーラー(sugarcane borer);トリコプルシア(Trichoplusia)属、例えばT.ニ(T.ni)(キャベツルーパー(cabbage looper));セサミア(Sesamia)属、例えばS.ノナゴリド(S.nonagroides)(地中海コーンボーラー(Mediterranean corn borer))、S.インフェレンス(S.inferens)(ピンクステムボーラー(Pink stem borer))及び/又はS.カラミスティス(S.calamistis)(ピンクステムボーラー(pink stem borer));ペクチノフォラ(Pectinophora)属、例えばP.ゴシピエラ(P.gossypiella)(ピンクボールワーム(pink bollworm));コヒリス(Cochylis)属、例えばC.ホスペス(C.hospes)(シマヒマワリガ(banded sunflower moth));マンデュカ(Manduca)属、例えば、M.セクスタ(M.sexta)(タバコホーンワーム(tobacco hornworm))及び/又はM.クインクエマクラタ(M.quinquemaculata)(トマトホーンワーム(tomato hornworm));エラスモパルプス(Elasmopalpus)属、例えばE.リグノセルス(E.lignosellus)(小コーンストークボーラー(lesser cornstalk borer));シュードプルジア(Pseudoplusia)属、例えばP.インクルーデンス(P.includens)(ダイズルーパー(soybean looper));アンチカルジア(Anticarsia)属、A.ジェムマタリス(A.gemmatalis)(ベルベットビーンキャタピラ(velvetbean caterpillar));プラチペナ(Plathypena)属、例えば、P.スカブラ(P.scabra)(ミドリクローバーワーム(green cloverworm));モンシロチョウ(Pieris)属、例えばP.ブラシカエ(P.brassicae)(モンシロチョウ(cabbage butterfly));パパイペマ(Papaipema)属、例えばP.ネブリス(P.nebris)(ストークボーラー(stalk borer));シュードアレチア(Pseudaletia)属、例えばP.ユニパンクタ(P.unipuncta)(コモンアームワーム(common armyworm));ペリドロマ(Peridroma)属、例えばP.ソーシア(P.sausia)(マダラカットワーム(variegated cutworm));キーフェリア(Keiferia)属、例えば、K.リコペルシセラ(K.lycopersicella)(トマトピンワーム(Tomato pinworm));アルトゲイア(Artogeia)属、例えば、A.ラパエ(A.rapae)(青虫(imported cabbageworm));フトリマイア(Phthorimaea)属、例えばP.オペルクレラ(P.operculella)(ジャガイモガ幼虫);クリソデイキス(Chrysodeixis)属、例えばC.インクルーデンス(C.includens)(ダイズルーパー(soybean looper));フェルチア(Feltia)属、例えばF.ドュセンス(F.ducens)(ディンジーカットワーム(dingy cutworm));チロ(chilo)属、例えばC.サプレッサリス(C.suppressalis)(シマステムボーラー(striped stem borer))、クナフハロクロシス(Cnaphalocrocis)属、例えばC.メディナリス(C.medinalis)(イネリーフフォルダー(rice leaffolder))、コノゲテス(Conogethes)属、例えばC.パンクチフェラリス(C.punctiferalis)(イエローピーチモース(Yellow peach moth))、ミシムナ(Mythimna)属、例えばM.セパラタ(M.separata)(オリエンタルアーミーワーム(Oriental armyworm))、アテチス(Atetis)属、例えばA.レピゴン(A.lepigone)(2スポットアーミーワーム(Two-spotted armyworm))、又はこれらの任意の組み合わせ。
【0080】
いくつかの実施形態において、殺虫性タンパク質は、鞘翅目害虫に対する活性を有することができる。実施形態では、開示されるタンパク質は、ディアボロティカ(Diabrotica)属に対する活性を有する。ディアボロティカ(Diabrotica)は、一般に「トウモロコシ根虫」又は「キュウリビートル」と呼ばれる鞘翅目のビートルの属である。例示的なディアボロティカ(Diabrotica)種としては、限定されないが、ディアボロティカ・バルベリ(Diabrotica barberi)(北コーンルートワーム(northern corn rootworm))、D.バーギフェラ・バーギフェラ(D.virgifera virgifera)(西コーンルートワーム(western corn rootworm))、D.ウンデシムプンクタータ・ホワルディ(D.undecimpunctata howardii)(南コーンルートワーム(southern corn rootworm))、D.バルテアータ(D.balteata)(シマキュウリビートル(banded cucumber beetle))、D.ウンデシムプンクタータ・ウンデシムプンクタータ(D.undecimpunctata undecimpunctata)(西スポットキュウリビートル(western spotted cucumber beetle))、D.シグニフィカータ(D.significata)(3-スポットリーフビートル(3-spotted leaf beetle))、D.スペシオーサ(D.speciosa)(クリサンセマムビートル(chrysanthemum beetle))、D.バーギフェラ・ゼアエ(D.virgifera zeae)(メキシココーンルートワーム(Mexican corn rootworm))、D.ベニエンシス(D.beniensis)、D.クリスタータ(D.cristata)、D.クルヴィプルスタラータ(D.curviplustalata)、D.ディシミリス(D.dissimilis)、D.エレガンツラ(D.elegantula)、D.エモルシタンス(D.emorsitans)、D.グラミネア(D.graminea)、D.ヒスパンロエ(D.hispanloe)、D.レムニスカータ(D.lemniscata)、D.リンスレイ(D.linsleyi)、D.ミレリ(D.milleri)、D.ヌムムラリス(D.nummularis)、D.オククルサル(D.occlusal)、D.ポルレセア(D.porrecea)、D.スクテラータ(D.scutellata)、D.チビアリス(D.tibialis)、D.トリファスシアタ(D.trifasciata)及びD.ビリドゥラ(D.viridula);及びそれらの任意の組み合わせを含む。本発明による鞘翅目害虫の他の非限定的な例としては、レプチノタルサ(Leptinotarsa)属、例えばL.デセムリネータ(L.decemlineata)(コロラドジャガイモビートル(Colorado potato beetle));クリソメラ(Chrysomela)属、例えばC.スクリプタ(C.scripta)(コットンウッドリーフビートル(Cottonwood leaf beetle));ヒポセネムス(Hypothenemus)属、例えばH.ハンペイ(H.hampei)(コーヒーベリーボーラー(coffee berry borer));シトフィルス(Sitophilus)属、例えばS.ジーマイス(S.zeamais)(トウモロコシゾウムシ(maize weevil));エピトリピクス(Epitrix)属、例えばE.ヒルティペンニス(E.hirtipennis)(タバコノミハムシ(tobacco flea beetle))、E.ククメリス(E.cucumeris)(ジャガイモノミハムシ);フィロトレタ(Phyllotreta)属、例えば、P.クルシフェラエ(P.cruciferae)(アブラナノミハムシ(crucifer flea beetle))、及びP.プシラ(P.pusilla)(西洋黒ノミハムシ(western black flea beetle));アンソノムス(Anthonomus)属、例えばA.オイゲニイ(A.eugenii)(コショウゾウムシ(pepper weevil));ヘミクレピダス(Hemicrepidus)属、例えばH.メムノニウス(H.memnonius)(コメツキムシ(wireworm));メラノツス(Melanotus)属、例えばM.コムニス(M.communis)(コメツキムシ(wireworm));セウトルフィカス(Ceutorhychus)属、例えばC.アシミリス(C.assimilis)(キャベツ鞘ゾウムシ(cabbage seedpod weevil));フィロトレタ(Phyllotreta)属、例えばP.クルシフェラエ(P.cruciferae)(アブラナノミハムシ(crucifer flea beetle));アエオルス(Aeolus)属、例えばA.メルリルルス(A.mellillus)(コメツキムシ(wireworm));アエオルス(Aeolus)属、例えば、A.マンクス(A.mancus)(コムギコメツキムシ(wheat wireworm));ホリストノツス(Horistonotus)属、例えば、H.ウフレリイ(H.uhlerii)(スナコメツキムシ(sand wireworm));スフェノホルス(Sphenophorus)属、例えば、S.マイディス(S.maidis)(トウモロコシビルバグ(maize billbug))、S.ゼアエ(S.zeae)(チモシービルバグ(timothy billbug))、S.パルブルス(S.parvulus)(ブルーグラスビルバグ(bluegrass billbug))、及びS.カロスス(S.callosus)(南コーンビルバグ((southern corn billbug)));フィロファガ(Phyllophaga)属(白色グラブ(White grubs));チャエトクネマ(Chaetocnema)属、例えば、C.プルリカリア(C.pulicaria)(コーンノミハムシ(corn flea beetle));ポピリア(Popillia)属、例えばP.ジャポニカ(P.japonica)(マメコガネ(Japanese beetle));エピラクナ(Epilachna)属、例えばE.バリベスティス(E.varivestis)(メキシコマメビートル(Mexican bean beetle));セロトマ(Cerotoma)属、例えばC.トリフルケート(C.trifurcate)(マメリーフビートル);エピカッタ(Epicauta)属、例えばE.ペスチフェラ(E.pestifera)及びE.レムニスカータ(E.lemniscata)(ブリスタービートル(Blister beetle));及び上記の任意の組み合わせが挙げられる。
【0081】
開示される殺虫性タンパク質は、半翅目、双翅目、リグス(Lygus)属、及び/又は他の、例えば直翅目又は総翅目の穿孔性及び吸汁性昆虫に対して活性であり得る。双翅目の昆虫としては、それに限定されるものではないが、リリオミザ(Liriomyza)属、例えば、L.トリフォリ(L.trifolii)(ハモグリバエ(leafminer))及びL.サティバエ(L.sativae)(植物ハモグリバエ((vegetable leafminer));スクロビパルプラ(Scrobipalpula)属、例えばS.アブソルータ(S.absoluta)(トマトハモグリバエ(tomato leafminer));デリア(Delia)属、例えばD.プラツラ(D.platura)(シードコーンマゴット(seedcorn maggot))、D.ブラシカエ(D.brassicae)(キャベツマゴット(cabbage maggot))及びD.ラジクム(D.radicum)(キャベツネバエ(cabbage root fly));プシリア(Psilia)属、例えばP.ロザエ(P.rosae)(ニンジンラストバエ(carrot rust fly));テタノプス(Tetanops)属、例えば、T.ミオパエフォルミス(T.myopaeformis)(サトウダイコン根マゴット(sugarbeet root maggot));及び上記の任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない、現在知られている又は後に特定される双翅目昆虫が挙げられる。直翅目の昆虫としては、それに限定されるものではないが、例えば、メラノプラス(Melanoplus)属、例えば、M.ディファレンシャリスバッタ(M.Differential grasshopper)、M.フェムルブルム(M.femurrubrum)(アカアシトビバッタ(Redlegged grasshopper))、M.ビビタツス(M.bivittatu)(2ストライプバッタ(Twostriped grasshopper))及びそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない、現在知られている又は後に特定される直翅目昆虫が挙げられる。総翅目の昆虫としては、それに限定されるものではないが、フランクリニエラ(Frankliniella)属、例えばF.オシデンタリス(F.occidentalis)(西洋フラワーアザミウマ(western flower thrips))及びF.フスカ(F.fusca)(タバコアザミウマ(tobacco thrips));及びスリップス(Thrips)属、例えばT.タバシ(T.tabaci)(タマネギアザミウマ(onion thrips))、T.パルミ(T.palmi)(メロンアザミウマ(melon thrips));及び上記の任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない、現在知られている又は後に特定される総翅目昆虫が挙げられる。
【0082】
開示される殺虫性タンパク質は、線虫に対して活性であり得る。本明細書で使用される「線虫」という用語は、動物界、線虫門に分類される現在知られている又は後に特定される任意の生物を包含し、それには、限定するものではないが、双器綱(例えば、エノプルス目(Enoplida)、イソライミダ目(Isolaimida)、モンキダ目(Mononchida)、ドリルアミダ目(Dorylaimida)、トリコケファリダ目(Trichocephalida)、メリメチダ目(Mermithida)、ムスピケア目(Muspiceida)、アレオライミダ目(Araeolaimida)、クロマドリダ目(Chromadorida)、デスモスコレシダ目(Desmoscolecida)、デスモドリダ目(Desmodorida)及びモンヒステリダ目(Monhysterida)を含む)及び/又は線虫綱(例えば、ラブディタ目(Rhabdita)、円虫目(Strongylida)、回虫目(Ascaridida)、旋尾線虫目(Spirurida)、カマラヌス目(Camallanida)、ジプロガステリダ目(Diplogasterida)、チレンクス目(Tylenchida)及びアフェレンキダ目(Aphelenchida)を含む)内の線虫が含まれる。線虫としては、それらに限定されないが、ネコブ線虫、シスト線虫及び/又は病変線虫などの寄生線虫が挙げられる。本発明による線虫の例示的な属としては、これらに限定されないが、メロイドギネ(Meloidogyne)(ネコブセンチュウ(root-knot nematodes))、ヘテロデラ(Heterodera)(シスト線虫(cyst nematodes))、グロボデラ(Globodera)(シスト線虫(cyst nematodes))、ラドホルス(Radopholus)(包埋線虫(burrowing nematodes))、ロチレンクルス(Rotylenchulus)(腎形線虫(reniform nematodes))、プラチレンクス(Pratylenchus)(病変線虫(lesion nematodes))、アフェレンコイデス(Aphelenchoides)(葉線虫(foliar nematodes))、ヘリコチレンクス(Helicotylenchus)(らせん線虫(spiral nematodes))、ホプラライムス(Hoplolaimus)(ランス線虫(lance nematodes))、パラトリコドーラス(Paratrichodorus)(副根線虫(stubby-root nematodes))、ロンギドルス(Longidorus)、ナコブス(偽根結節線虫(false root-knot nematodes))、スバンギナ(Subanguina)、ベロンライムス(Belonlaimus)(刺線虫)、クリコネメラ、クリコネモイド(Criconemoides)(環線虫(sting nematodes))、ディチレンクス(Ditylenchus)、ドリコドーラス(Dolichodorus)、ヘミクリコネモイド(Hemicriconemoides)、ヘミシクロホラ(Hemicycliophora)、ヒルシュマニエラ(Hirschmaniella)、ヒプソペリン(Hypsoperine)、マクロポストニア(Macroposthonia)、メリニウス(Melinius)、パンクトデラ(Punctodera)、キニスルキウス(Quinisulcius)、スクテロネマ(Scutellonema)、キフィネマ(Xiphinema)(ダッガー線虫(dagger nematodes))、チレンコルヒンクス(Tylenchorhynchus)(スタント線虫(stunt nematodes))、チレンチルス(Tylenchulus)、バーサフェレンチルス(Bursaphelenchus)(丸ワーム)、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。本開示による例示的な植物寄生性線虫としては、これらに限定されるものではないが、ベロノラミムス・グラシリス(Belonolaimus gracilis)、ベロノラミムス・ロンギカウダツス(Belonolaimus longicaudatus)、ブルサフェレンクス・キシロフィルス(Bursaphelenchus xylophilus)(マツ木材線虫(pine wood nematode))、クリコネモイデス・オルナータ(Criconemoides ornata)、ジチレンクス・デストラクター(Ditylenchus destructor)(ジャガイモ腐敗線虫(potato rot nematode))、ジチレンクス・ジプサチ(Ditylenchus dipsaci)(茎及び球根線虫(stem and bulb nematode)、グロボデラ・パリダ(Globodera pallida)(ジャガイモシスト線虫)、グロボデラ・ロストキエンシス(Globodera rostochiensis)(ゴールデン線虫(golden nematode))、ヘテロデラ・グリシネス(Heterodera glycines)(ダイズシスト線虫(soybean cyst nematode))、ヘテロデラ・スキャクティ(Heterodera schachtii)(サトウダイコンシスト線虫(sugar beet cyst nematode));ヘテロデラ・ゼアエ(Heterodera zeae)(コーンシスト線虫(corn cyst nematode))、ヘテロデラ・アベナエ(Heterodera avenae)(穀物シスト線虫)、ヘテロデラ・カロタエ(Heterodera carotae)、ヘテロデラ・トリフォリ(Heterodera trifolii)、ホプロライムス・コロンブス(Hoplolaimus columbus)、ホプロライムス・ガレアツス(Hoplolaimus galeatus)、ホプロライムス・マグニスチルス(Hoplolaimus magnistylus)、ロンギドルス・ブレビアンヌラツス(Longidorus breviannulatus)、メロイドギネ・アレナリア(Meloidogyne arenaria)、メロイドギネ・キトウッディ(Meloidogyne chitwoodi)、メロイドギネ・ハプラ(Meloidogyne hapla)、メロイドギネ・インコグニタ(Meloidogyne incognita)、メロイドギネ・ジャバニカ(Meloidogyne javanica)、メソクリコネマ・ゼノプラックス(Mesocriconema xenoplax)、ナコブス・アベランス(Nacobbus aberrans)、ナコブス・ドルサリス(Naccobus dorsalis)、パラトリコドルス・クリスティエイ(Paratrichodorus christiei)、パラトリコドルス・マイナー(Paratrichodorus minor)、プラチレンクス・ブラキュルス(Pratylenchus brachyurus)、プラチレンクス・クレナトゥス(Pratylenchus crenatus)、プラチレンクス・ヘキシンシスス(Pratylenchus hexincisus)、プラチレンクス・ネグレクトゥス(Pratylenchus neglectus)、プラチレンクス・ペネトランス(Pratylenchus penetrans)、プラチレンクス・プロジェクトゥス(Pratylenchus projectus)、プラチレンクス・スクリブネリ(Pratylenchus scribneri)、プラチレンクス・テヌイカウダトゥス(Pratylenchus tenuicaudatus)、プラチレンクス・スロネイ(Pratylenchus thornei)、プラチレンクス・ゼアエ(Pratylenchus zeae)、プンクトデラ・チャコエンシス(Punctodera chaccoensis)、キニスルシウス・アクトゥス(Quinisulcius acutus)、ラドフォルス・シミリス(Radopholus similis)、ロチレンクルス・レニホルミス(Rotylenchulus reniformis)、チレンコルヒンクス・ドゥビウス(Tylenchorhynchus dubius)、チレンクルス・セミペネトランス(Tylenchulus semipenetrans)(柑橘線虫(citrus nematode))、シフェネマ・アメリカヌム(Siphinema americanum)、X.メディテラネウム(X.Mediterraneum)、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0083】
E.リンカー
本明細書で提供される組換え核酸のいくつかの実施形態では、核酸配列はリンカーをコードする。いくつかの実施形態において、リンカーは、胞子外殻ポリペプチドを推定殺虫性ポリペプチドに連結する。いくつかの実施形態において、胞子外殻ポリペプチド及び推定殺虫性ポリペプチドは、リンカーによって構造的に単離される。本明細書に記載される融合タンパク質中で「構造的に単離された」ポリペプチドは、それらの適切な形態に折り畳まれ、したがって機能性を維持することができる。例えば、胞子外殻ポリペプチドから構造的に単離された殺虫性ポリペプチドは、その適切な形状に折り畳まれ、1)標的タンパク質(例えば、昆虫細胞表面タンパク質受容体)に結合する能力及び2)その殺虫活性を維持することができる。同様に、推定殺虫性タンパク質から構造的に単離された胞子外殻ポリペプチドは、その適切な形状に折り畳まれ、融合タンパク質を胞子の外殻に配置する能力を維持することができる。本明細書中に記載されるリンカーの重要な特徴は、推定殺虫性ポリペプチドを、それが発現される胞子に付着させ続ける能力である。本開示のリンカーは、組換え核酸によってコードされる融合タンパク質において所望の効果(例えば、構造的分離)をもたらすように最適化することができる。リンカー設計の局面及び考察は、例えば、Klein et al.,2014,Protein Eng.Des.Sel.27(10):325-330に記載されている。いくつかの実施形態では、リンカーは、プロテアーゼ消化に耐性である。いくつかの実施形態において、リンカーのプロテアーゼ消化耐性は、胞子外殻ポリペプチドに連結された推定殺虫性ポリペプチドを保持する(すなわち、推定殺虫性タンパク質を、それが発現される胞子の表面に付着させたままにする)。いくつかの実施形態では、リンカーは、プロテアーゼが豊富な環境(例えば、胞子形成及び/又は溶解したバチルス培養培地)でのプロテアーゼ消化に耐性である。
【0084】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のリンカーは、少なくとも1つのアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、少なくとも2つのアミノ酸を含むポリペプチドである。リンカー配列は、融合タンパク質のポリペプチドが採用することができる配向の範囲を増加させることができる。ペプチドリンカーは、例えば、1~100又はそれを超えるアミノ酸長(例えば、1aa、2aa、3aa、4aa、5aa、10aa、15aa、20aa、25aa、30aa、35aa、40aa、45aa、50aa、55aa、60aa、65aa、70aa、75aa、80aa、85aa、90aa、95aa、100aa以上)であり得る。長さに応じて、リンカー配列は、らせん、β鎖、コイル/屈曲、及びターンなどの二次構造において様々な立体配座を有し得る。いくつかの例では、リンカー配列は、拡張された立体配座を有し、隣接するタンパク質ドメインと相互作用しない独立したドメインとして機能することができる。リンカー配列は、構造的に可撓性又は構造的に剛直であり得る。可撓性リンカーは、ポリペプチドドメイン間のある程度の移動又は相互作用を提供し、一般に、Gly及びSerなどの小さいアミノ酸又は極性アミノ酸が豊富である。剛性リンカーを使用して、ドメイン間の一定の距離を維持し、それらの独立した機能を維持するのを助けることができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組換え核酸は、表1の任意のリンカー又はKlein et al.,2014,Protein Eng.Des.Sel.27(10):325-330に記載されている任意のリンカーと少なくとも60%の同一性(例えば、少なくとも65%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも75%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、又は少なくとも99%の同一性)を有するリンカーをコードする。いくつかの実施形態では、リンカーは、配列番号20、21、又は38~61のいずれかと少なくとも60%の同一性(例えば、少なくとも65%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも75%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、又は少なくとも99%の同一性)を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである。いくつかの実施形態では、リンカーは、親水性タンパク質(例えば、マルトース結合タンパク質)由来の配列を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、アミノ酸配列GGGGS(配列番号38)の1つ又は複数のリピートと、それに続くアラニン残基及びセリン残基とを含む。GGGGSのリピート数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又はそれ以上であり得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、Bt Cryタンパク質リーダー配列(例えば、配列番号20又は配列番号21のアミノ酸配列)を含む。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
F.DNA構築物及びベクター
本明細書に記載の組換え核酸のいずれかに作動可能に連結されたプロモーターを含むDNA構築物も本明細書で提供される。核酸は、この核酸が別の核酸配列と機能的関連性に置かれる場合、「作動可能に連結されて」いる。多数のプロモーターが、本明細書中に記載される構築物において使用され得る。プロモーターは、転写を開始するためのRNAポリメラーゼ及び他のタンパク質の認識及び結合に関与する、転写開始の上流及び/又は下流に位置する領域又は配列である。プロモーターは、真核生物プロモーター又は原核生物プロモーターであり得る。いくつかの実施形態において、プロモーターは誘導性プロモーターである。いくつかの態様において、プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、プロモーターは、胞子外殻ポリペプチド遺伝子に対する内因性プロモーターである(すなわち、プロモーターは、その天然のゲノム状況において遺伝子の発現を駆動する)。いくつかの実施形態では、プロモーターは、組換え核酸によってコードされる特定の胞子外殻ポリペプチド遺伝子に対する内因性プロモーターである。いくつかの態様では、プロモーターは内因性CotC又はCotGプロモーターである。いくつかの実施形態において、プロモーターは、CotA、CotB、CotD、CotE、CotX、CotY又はCotZプロモーターである。いくつかの実施形態では、プロモーターは、バチルス(Bacillus)種プロモーターである。いくつかの実施形態では、プロモーターは、バチルス(Bacillus)種においてシグマK因子制御下にある。
【0090】
いくつかの実施形態では、プロモーターは、胞子形成特異的プロモーターである。胞子の合成及び構造に関与する遺伝子が同定及びクローニングされ、そのような遺伝子からのプロモーター配列が単離され、特徴付けられている。当技術分野の当業者は、これらのプロモーター及び調節配列の中から選択することによって、胞子又は栄養細胞における目的のポリペプチドの発現の物理的位置、並びに胞子及び/又は栄養細胞のライフサイクルにおける発現のタイミングを制御することが可能であることを理解するであろう。例えば、Hill et al.,Soc.Appl.Bacteriol.Symp.Ser.23:129S-134S(1998)を参照されたく、これは、ルシフェラーゼ及びβ-ガラクトシダーゼなどのモデルタンパク質が、これらのタンパク質をコードする核酸配列を胞子形成特異的プロモーターに作動可能に連結することによって、胞子形成プロセス中に内生胞子に指向され得ることを実証している。Hillらは、これらのモデル酵素が効果的に保存され、それらの活性を保持することをさらに実証している。米国特許出願公開第20030165538号明細書も参照されたい。
【0091】
本明細書で提供される組換え核酸は、目的の宿主細胞又は生物における発現のための発現カセットに含めることができる。カセットは、融合タンパク質の発現を可能にする本明細書で提供される組換え核酸に作動可能に連結された5’及び3’調節配列を含むことができる。カセットは、生物に同時形質転換される少なくとも1つの追加の遺伝子又は遺伝要素をさらに含むことができる。さらなる遺伝子又はエレメントが含まれる場合、構成要素は作動可能に連結される。或いは、追加の遺伝子又は要素は、複数の発現カセット上に提供することができる。そのような発現カセットは、調節領域の転写調節下にあるポリヌクレオチドの挿入のための複数の制限部位及び/又は組換え部位を備える。発現カセットは、転写の5’から3’方向に:目的の細胞又は生物において機能する転写及び翻訳開始領域(すなわち、プロモーター)、本明細書に開示される組換え核酸、並びに転写及び翻訳終結領域(すなわち、終端領域)を含み得る。本明細書に記載のプロモーターは、宿主細胞におけるコード配列の発現を指示又は駆動することができる。調節領域(すなわち、プロモーター、転写調節領域及び翻訳終結領域)は、宿主細胞又は互いに対して内因性又は異種性であり得る。本明細書で使用される場合、配列に関して「異種性」とは、外来種に由来する配列、又は同じ種に由来する場合、意図的なヒトの介入によって組成及び/又はゲノム遺伝子座においてその天然の形態から実質的に改変されている配列である。
【0092】
さらなる調節シグナルとしては、転写開始開始部位、オペレーター、アクチベーター、エンハンサー、他の調節エレメント、リボソーム結合部位、開始コドン、終結シグナルなどが挙げられるが、これらに限定されない。Sambrook et al.(1992)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,ed.Maniatis et al.(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.);Davis et al.,eds.(1980)Advanced Bacterial Genetics(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、Cold Spring Harbor,N.Y.、及びそこに引用されている参考文献を参照されたい。
【0093】
発現カセットはまた、形質転換細胞を選択するための選択マーカー遺伝子を含むことができる。マーカー遺伝子には、いくつか例を挙げると、ハイグロマイシン耐性、アンピシリン耐性、ゲンタマイシン耐性、ネオマイシン耐性を付与するものなどの抗生物質耐性を付与する遺伝子が含まれる。さらなる選択マーカーは公知であり、任意のものを使用することができる。
【0094】
発現カセットを調製する際に、DNA配列を適切な向きで、必要に応じて適切な読み枠で提供するように、様々なDNA断片を操作することができる。この目的のために、アダプター又はリンカーを使用してDNA断片を結合することができ、又は便利な制限部位、余分なDNAの除去、制限部位の除去などを提供するために他の操作が関与し得る。この目的のために、in vitro突然変異誘発、プライマー修復、制限、アニーリング、再置換、例えば転移及びトランスバージョンが関与し得る。
【0095】
本明細書に記載の組換え核酸又は発現カセットを含むベクターを、本明細書中にさらに提供する。ベクターは、挿入された核酸の転写を指示及び調節する必要な機能的要素を有することが企図される。これらの機能的エレメントとしては、プロモーター、プロモーターの上流又は下流の領域、例えばプロモーターの転写活性を調節し得るエンハンサー、複製起点、プロモーターに隣接するインサートのクローニングを容易にするための適切な制限部位、ベクター又はインサートを含むベクターを含む細胞を選択するのに役立ち得る抗生物質耐性遺伝子若しくは他のマーカー、RNAスプライスジャンクション、転写終結領域、又は挿入された遺伝子若しくはハイブリッド遺伝子の発現を容易にするのに役立ち得る任意の他の領域が挙げられるが、これらに限定されない(一般に、Sambrook et al.Molecular Cloning: A Laboratory Manual,4th ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,2012を参照されたい)。ベクターは、例えば、プラスミドであり得る。
【0096】
本明細書に記載の組換え核酸、DNA構築物、又はベクターを含む宿主細胞も提供される。いくつかの実施形態では、宿主細胞は細菌細胞又は真菌細胞である。宿主細胞は、例えば、上記の細菌又は真菌種のいずれかに由来する細胞を含む、任意の胞子産生微生物細胞であり得る。宿主細胞は、in vitro(インビトロ)、ex vivo(エクスビボ)、又はin vivo(インビボ)宿主細胞であり得る。本明細書に記載の宿主細胞のいずれかの集団も提供される。本明細書に記載の1つ又は複数の宿主細胞を含む細胞培養物も提供される。細菌(例えば、大腸菌(E.coli)及び他の細菌株)起源の細胞を含む多くの細胞の培養及び産生のための方法は、当技術分野で利用可能である。例えば、Sambrook(前出),Ausubel et al.,(2010)Current protocols in molecular biology,John Wiley and Sons,New York、及びBerger and Kimmel(1987)Guide to Molecular Cloning Techniques,Methods in Enzymology 152:3-812、並びにFreshney(1994)Culture of Animal Cells,a Manual of Basic Technique,3rd Ed.,Wiley-Liss,NY及びそこに引用されている参考文献;Doyle and Griffiths(1997)Mammalian Cell Culture:Essential Techniques John Wiley and Sons,NY;Humason(1979)Animal Tissue Techniques,4th Ed.W.H.Freeman and Company;及びRicciardelli,et al.,(1989)In vitro Cell Dev.Biol.25:1016-1024を参照されたい。
【0097】
本明細書で使用される場合、核酸を細胞に導入する文脈における「導入する」という語句は、細胞の外側から細胞の内側への核酸配列の転座を指す。エレクトロポレーション、ナノ粒子送達、ウイルス送達、ナノワイヤ又はナノチューブとの接触、受容体媒介内在化、細胞透過性ペプチドを介した移行、リポソーム媒介移行、DEAEデキストラン、リポフェクタミン、リン酸カルシウム、又は核酸を原核細胞宿主又は真核細胞宿主に導入するための現在知られている若しくは将来同定される任意の方法を含むがこれらに限定されない、そのような移行の様々な方法が企図される。標的化されたヌクレアーゼシステム(例えば、RNAガイドヌクレアーゼ(CRISPR-Cas9)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、又はmegaTAL(MT)(Li et al.Signal Transduction and Targeted Therapy 5,Article No.1(2020))を使用して、核酸、例えば本明細書に記載の組換えタンパク質をコードする核酸を宿主細胞に導入することもできる。
【0098】
G.融合タンパク質
本明細書に記載の組換え核酸、DNA構築物又はベクターのいずれかによってコードされる融合タンパク質も本明細書で提供される。
【0099】
本明細書に記載のポリペプチド又はタンパク質のいずれも、検出可能な部分、例えば蛍光タンパク質又はその断片をさらに含むことができる。蛍光タンパク質の例には、黄色蛍光タンパク質(YFP、例えばVenus)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、及び赤色蛍光タンパク質(RFP)、並びにこれらのタンパク質の誘導体、例えば変異体誘導体が含まれるが、これらに限定されない。例えば、Chudakov et al.“Fluorescent Proteins and Their Applications in Imaging Living Cells and Tissues”,Physiological Reviews 90(3):1103-1163(2010);及びSpecht et al.,“A Critical and Comparative Review of Fluorescent Tools for Live-Cell Imaging”,Annual Review of Physiology 79:93-117(2017)を参照されたい。
【0100】
本明細書に記載されるポリペプチド又はタンパク質のいずれも、タンパク質単離に有用なドメイン又は配列をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、いくつか例を挙げると、親和性タグ、例えばFLAGタグ(配列番号24)、Mycタグ(EQKLISEEDL(配列番号26))、ポリヒスチジンタグ(例えば、8XHisタグ(配列番号27))、アルブミン結合タンパク質、アルカリホスファターゼ、AU1エピトープ、AU5エピトープ、ビオチン-カルボキシ担体タンパク質(BCCP)を含む。いくつかの実施形態では、アフィニティタグは、タンパク質単離に有用である。Kimple et al.“Overview of Affinity Tags for Protein Purification”,Curr.Protoc.Protein Sci.73:Unit-9.9(2013)を参照されたい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリペプチド又はタンパク質は、タンパク質単離に有用なシグナル配列を含む。例えば、Low et al.“Optimisation of signal peptide for recombinant protein secretion in bacterial host”Applied Microbiology and Biotechnology 97:3811-3826(2013)を参照されたい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリペプチド又はタンパク質は、プロテアーゼ認識部位を含む。そのようなプロテアーゼ認識部位は、とりわけ、タンパク質単離後のシグナルペプチド又は親和性精製タグの除去を可能にするために有用であり得る。
【0101】
H.胞子
本明細書に記載の組換え核酸、DNA構築物、ベクター、又は融合タンパク質のいずれかを含む微生物胞子も本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、胞子の成分として発現される。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、胞子の表面に提示される。
【0102】
いくつかの実施形態において、胞子は、細菌胞子又は真菌胞子である。いくつかの実施形態では、胞子は、本開示のセクションAに列挙された胞子産生微生物のいずれかに由来する。いくつかの実施形態では、胞子は、その胞子中に殺虫性タンパク質を産生することが知られていないバチルス種に由来する。
【0103】
胞子の混合物を含む組成物であって、混合物中の胞子の少なくとも2つが異なる推定殺虫性ポリペプチドを含む組成物も本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、組成物は、本明細書に記載の複数の胞子を含み、複数の胞子は、異なる推定殺虫性ポリペプチドをコードする組換え核酸を含む胞子を含む。例えば、混合物又は複数の胞子は、第1の推定殺虫性ポリペプチドをコードする第1の組換え核酸を含む胞子と、第2の推定殺虫性ポリペプチドをコードする第2の組換え核酸を含む胞子とを含み得る。混合物又は複数の胞子は、広範囲の推定殺虫性ポリペプチドをコードする胞子を含み得る。いくつかの実施形態において、混合物又は複数の胞子は、10×10^8個までの異なる推定殺虫性ポリペプチド(例えば、最大10×10^7個、最大10×10^6個、又は最大10×10^5個)を含む胞子を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、本明細書に記載の複数の胞子を含み、複数の胞子の各々は、異なる推定殺虫性ポリペプチドをコードする組換え核酸を含む。
【0104】
IV.殺虫性タンパク質及び殺虫性タンパク質受容体を同定する方法
別の態様では、殺虫性タンパク質をスクリーニング及び同定する方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、細菌又は真菌胞子(例えば、バチルス(Bacillus)種の胞子)上に殺虫性タンパク質ライブラリーを提示すること、及び1つ以上の受容体タンパク質に対してスクリーニングすることを含む。いくつかの実施形態において、上記方法は、上記の融合タンパク質又は上記の融合タンパク質を含む胞子を上記の殺虫性タンパク質受容体と接触させることを含む。いくつかの実施形態において、殺虫性タンパク質受容体タンパク質はABC輸送体タンパク質である。いくつかの実施形態において、本方法は、融合タンパク質又は胞子と殺虫性タンパク質受容体との間の相互作用を検出することを含む。いくつかの実施形態において、そのような相互作用は、融合タンパク質又は胞子の推定殺虫性タンパク質が殺虫性タンパク質であることを示す。
【0105】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質又は胞子を精製殺虫性タンパク質受容体タンパク質と接触させる。いくつかの実施形態では、融合タンパク質又は胞子を、殺虫性タンパク質受容体タンパク質を含む粗抽出物と接触させる。いくつかの実施形態では、融合タンパク質又は胞子を、関連する生物学的環境を模倣する環境において殺虫性タンパク質受容体と接触させる。例えば、シミュレートされる環境は、昆虫の中腸環境であり得る。環境は、緩衝溶液などの中性又はアルカリ性pH(すなわち、7.0以上のpHレベル)環境であり得る。いくつかの実施形態において、pHは、トリス緩衝生理食塩水(TBS)を使用して7.5pHに維持される。いくつかの実施形態において、pHは、8.0 pH~11.0 pHに維持される。例えば、pHを最大11.0 pH(例えば、11pH、10.5pH、10pH、9.5pH、9pH、8.5pH、又は8pH)に維持することができる。適切なアルカリ性緩衝液(例えば、8.2以上のpKa値を有する緩衝液)は当技術分野で公知であり、それらに限定されないが、CAPS、CABS、塩化コラミン、MOPS、BES、TES、HEPES、DIPSO、MOBS、アセトアミドグリシン、TAPSO、TEA、POPSO、HEPPSO、EPS、HEPPS、トリシン、トリス、グリシンアミド、グリシルグリシン、HEPBS、ビシン、TAPS、AMPB、CHES、CAPSO、及びAMP)を含む。いくつかの実施形態では、CAPS緩衝液又はCABS緩衝液を使用してpHを約10pHに維持する。
【0106】
いくつかの実施形態において、殺虫性タンパク質受容体は膜タンパク質である。特異的な産生及び/又は単離方法を使用して、膜タンパク質を(すなわち、膜タンパク質の構造及び/又は機能を維持するために)精製することができる。いくつかの実施形態において、タンパク質は、コポリマーの一部として精製される。例えば、いくつかの実施形態において、殺虫性タンパク質受容体は、スチレンマレイン酸(SMA)脂質粒子(SMALP)の一部として(例えば、本明細書の実施例7に記載の方法によって)精製される。いくつかの実施形態において、受容体タンパク質は、特定のSを有するSMAコポリマーの一部としてS;M比(すなわち、コポリマー中のスチレン対無水マレイン酸の比)として精製される。この比は、当業者による実験によって決定され得る。いくつかの実施形態では、ABC輸送体タンパク質の精製のためのS:M比は2:1~3:1(例えば、2:1、2.1:1、2.2:1、2.3:1、2.4:1、2.5:1、2.6:1、2.7:1、2.8:1、2.9:1、又は3:1)である。SMALPにおいて殺虫性タンパク質受容体タンパク質(例えば、ABC輸送体タンパク質)を調製することにより、受容体タンパク質の構造及び機能を保存することができる。Cry結合アッセイにおけるSMALP-ABC輸送体タンパク質の使用は以前に記載されていない。以前は、Cry結合アッセイのためにABC輸送体を精製するために、DDMなどの界面活性剤が使用されてきた。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、ABC輸送体の構造及び機能は、ABC輸送体の構造を支持する昆虫リン脂質を置換又は除去する界面活性剤によって悪影響を受ける可能性がある。
【0107】
本開示の殺虫性タンパク質受容体タンパク質は、任意の適切な細胞(例えば、昆虫細胞、原核細胞、真核細胞など)において発現され得る、及び/又は任意の適切な細胞から精製され得る。いくつかの実施形態では、受容体タンパク質は昆虫細胞で発現される。いくつかの態様では、受容体タンパク質はバキュロウイルス発現ベクターから発現される。バキュロウイルスベクターを用いて昆虫細胞で産生された組換えタンパク質は、翻訳後改変を受ける。適切なベクターは当業者に公知である。本明細書における受容体タンパク質の発現に有用な昆虫細胞には、Sf9細胞、Sf21細胞、カイコ蛹細胞、又は当業者に公知の他の昆虫細胞株が含まれる。本明細書における受容体タンパク質の発現に有用であり得る他の細胞には、Expi293細胞及びHEK293細胞が含まれる。Willcoxon et al.,2016,J.Biotech 217:72-81及びNiu et al.,2020,Sci.Reports 2020(10):15830を参照されたい。
【0108】
いくつかの態様において、受容体タンパク質は原核細胞において発現され、原核細胞から精製される。受容体タンパク質の発現及び精製に有用な、当業者に公知の多数の大腸菌発現ベクターが存在する。使用に適した他の微生物宿主には、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)などの桿菌、及びサルモネラ(Salmonella)、セナティア(Senatia)、及び様々なシュードモナス(Pseudomonas)種などの他の腸内細菌科が含まれる。これらの原核生物宿主において、典型的には宿主細胞と適合性の発現制御配列(例えば、複製起点)を含有する発現ベクターを作製することもできる。さらに、プロモーターは、受容体タンパク質をコードする配列に作動可能に連結されている。例示的な周知のプロモーターとしては、ラクトースプロモーター系、トリプトファン(Trp)プロモーター系、ベータラクタマーゼプロモーター系、及びファージラムダ由来のプロモーター系が挙げられる。さらに、酵母発現を使用することができ、例えば、受容体タンパク質はピキア・パストリス(Pichia pastoris)又はS.セレビシエ(S.cerevisiae)によって発現させることができる。
【0109】
哺乳動物細胞はまた、タンパク質の発現及び精製を可能にする。哺乳動物細胞における活性タンパク質の発現に有用なベクターは当技術分野で公知であり、ハイグロマイシン耐性、ジェネテシン若しくはG418耐性、又は選択マーカーとしての使用に適した他の遺伝子若しくは表現型、又は遺伝子増幅のためのメトトレキサート耐性を付与する遺伝子を含むことができる。インタクトなタンパク質を分泌することができるいくつかの適切な宿主細胞株が当技術分野で開発されており、CHO細胞、HeLa細胞、HEK-293細胞、HEK-293T細胞、U2OS細胞、又は任意の他の初代細胞株若しくは形質転換細胞株が含まれる。他の適切な宿主細胞株には、COS-7細胞、骨髄腫細胞株、Jurkat細胞などが含まれる。これらの細胞の発現ベクターには、複製起点、プロモーター、エンハンサー、及びリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位、及び転写ターミネーター配列などの必要な情報処理部位などの発現制御配列が含まれ得る。
【0110】
本明細書に記載のタンパク質の発現のための発現ベクターはまた、テトラサイクリン誘導性プロモーター又はグルココルチコイド誘導性プロモーターなどの誘導性プロモーターの制御下で本明細書に記載のタンパク質をコードする核酸を含み得る。核酸はまた、特定の細胞、組織又は器官における核酸の発現を促進するために組織特異的プロモーターの制御下にあり得る。多くの例が当技術分野で周知である、メタロチオネインプロモーター、ヒートショックプロモーター、及び他の調節可能なプロモーターなどの任意の調節可能なプロモーターも企図される。さらに、Cre-loxP誘導性系、並びにFlpリコンビナーゼ誘導性プロモーター系も使用することができ、これらは両方とも当技術分野で公知である。
【0111】
本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態では、融合タンパク質又は胞子を、細胞(すなわち、精製タンパク質又は細胞溶解物中に存在するタンパク質ではなく)の表面上の殺虫性タンパク質受容体と接触させる。いくつかの実施形態では、細胞は、昆虫細胞である(例えば、セクションD:上記標的有害生物に列挙されている昆虫のいずれかに由来する)。いくつかの実施形態では、細胞は細胞培養物の一部である。いくつかの実施形態では、細胞は生きている昆虫に存在する。
【0112】
いくつかの実施形態において、融合タンパク質又は胞子と殺虫性タンパク質受容体との間の相互作用を検出することは、免疫磁気分離、フローサイトメトリー、細胞傷害性アッセイ、配列決定又はそれらの組み合わせを行うことを含む。いくつかの実施形態において、殺虫性タンパク質受容体タンパク質(例えば、FLAGエピトープ)上のエピトープは、殺虫性タンパク質受容体を(例えば、免疫磁気分離を介して)精製するためにエピトープに対する抗体と共に使用される。融合タンパク質又は胞子が受容体と相互作用した場合、それは受容体タンパク質と共に精製される。いくつかの実施形態では、受容体タンパク質と相互作用する胞子は、フローサイトメトリーによって同定することができる。いくつかの実施形態では、受容体タンパク質と相互作用する胞子は、細胞傷害性アッセイによって(例えば、本明細書の実施例5に記載されるように)同定することができる。
【0113】
本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態では、推定殺虫性ポリペプチドが胞子に(例えば、胞子外殻ポリペプチドへの融合を介して)つながれるため、結合した胞子(すなわち、受容体タンパク質と相互作用した胞子)が選別された後に推定殺虫性ポリペプチドを同定することができる。この態様は、ハイスループットスクリーニングを可能にし、本明細書中の方法を、推定殺虫性タンパク質を宿主微生物において(例えば、各ウェルが異なる推定殺虫性タンパク質を発現する宿主細胞を有する96ウェルプレートにおいて)個々に産生させ、受容体タンパク質に対して別々に試験しなければならなかった以前の昆虫活性毒素スクリーニング方法と区別する。
【0114】
いくつかの実施形態において、融合タンパク質又は胞子と殺虫性タンパク質受容体との間の相互作用を検出することは、殺虫性タンパク質受容体タンパク質と相互作用する融合タンパク質をコードする組換え核酸を単離すること、及び殺虫性タンパク質の同一性を決定するために配列決定を行うことをさらに含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、以下のステップを(例えば、本明細書の実施例で実証されているように)含むが、番号が付けられているが、特定のステップは、列挙されたものとは異なる順序で及び/又は同時に実行することができる。
1.多様化した殺虫性タンパク質のライブラリーは、様々なタンパク質操作技術を使用し、天然に存在する殺虫性タンパク質を単離することによって作製される;
2.ステップ1のライブラリーを胞子提示ベクターにクローニングして、胞子の表面にタンパク質を提示させる;
3.所望の受容体(例えば、耐性を克服するためのCry1Fa耐性S.フルギペルダ(S.frugiperda)コロニー由来のABCC2変異体)のタンパク質サンプルは、受容体発現系(例えば、バキュロウイルス発現系を用いたSf9などの昆虫細胞株又はカイコなどの生きている昆虫)において産生される;
4.受容体タンパク質は、その天然のタンパク質構造が次のステップのために保存及び精製されるように、細胞膜から抽出される;
5.ステップ2から産生された胞子は、免疫磁気分離及びフローサイトメトリーなどの細胞選別技術を使用して、ステップ4で産生された受容体への結合能についてスクリーニングされる;
6.上記のステップ1~5を、1つ以上の殺虫性タンパク質が得られるまで繰り返す。
【0116】
いくつかの実施形態では、特定の殺虫性タンパク質受容体に結合することができる殺虫性タンパク質を同定する方法であって、受容体が昆虫細胞の表面に発現され、(a)推定殺虫性タンパク質の受容体結合部分が溶媒に曝露され、昆虫細胞受容体タンパク質に結合することができるような配向で宿主微生物中にクローニングされた胞子提示ベクターからの微生物内生胞子の表面に推定殺虫性タンパク質のライブラリーを提示すること;(b)天然受容体タンパク質構造を保持し、推定殺虫性タンパク質に結合することができる形態の殺虫性タンパク質受容体タンパク質(すなわち、毒素受容体)を単離し、調製すること;(c)細胞(粒子)選別技術(例えば、フローサイトメトリー又は磁気的選別)を用いて、(b)で調製した昆虫細胞膜タンパク質に対する推定殺虫性タンパク質の結合能に基づいて、推定殺虫性胞子を選別すること;(d)場合により、受容体タンパク質に結合する胞子に繋がれた推定殺虫性タンパク質の遺伝子配列を決定すること;及び必要に応じて、(e)毒素受容体がクローン化され発現されるSf9及びHEK293などの培養細胞を使用して、(c)で選別された胞子に対する毒素タンパク質の細胞傷害性を決定することを含む、方法が本明細書において提供される。
【0117】
特定の殺虫性タンパク質に対する殺虫性タンパク質受容体を同定する方法も本明細書で企図される。いくつかの実施形態において、既知又は推定殺虫性ポリペプチドを含む融合タンパク質又は胞子を(例えば、本明細書に記載されるように)受容体タンパク質のライブラリーと接触させることができる。いくつかの実施形態において、ライブラリーは、公知の受容体又は操作された合成受容体(例えば、DNAシャッフリング、ブロックスワップ、部位特異的突然変異誘発、飽和突然変異誘発、ランダム突然変異誘発、又はそれらの組み合わせによって産生される)を含む。いくつかの実施形態では、融合タンパク質又は胞子間の相互作用は、上記のように(例えば、免疫磁気分離における融合タンパク質上のエピトープを使用して)検出される。いくつかの実施形態において、そのような相互作用は、受容体タンパク質が融合タンパク質又は胞子の殺虫性ポリペプチドに対する受容体であることを示す。
【0118】
V.有害生物防除方法
本明細書では、有害生物防除のための生物学的薬剤として本明細書に記載の融合タンパク質又は胞子を使用する方法も企図される。本明細書で使用される場合、「有害生物防除」は、植物に対する有害生物の悪影響の低減を指す。有害生物又は植物有害生物は、植物又は植物製品を直接又は間接的に損傷するか、植物又は植物製品に損傷を与えるか、植物又は植物製品に疾患を引き起こす植物、動物又は病原体の種、株又は生物型である。本開示の文脈において、「有害生物」は害虫である。いくつかの実施形態において、有害生物は、上記のセクションIII.Dに列挙された有害生物のいずれかである。いくつかの実施形態において、有害生物防除は、殺生物活性によって(すなわち、有害生物を死滅させることによって)達成される。害虫に関して、殺生物性活性は殺虫活性と呼ぶことができる。いくつかの実施形態では、有害生物防除は、植物に対する有害生物の影響を低減することによって達成される。
【0119】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質又は胞子を含む組成物は、植物、植物種子又は植物繁殖材料(例えば、種子、葉、茎、根、又は任意の他の植物組織)に施用される。いくつかの実施形態では、組成物は、本明細書に記載の胞子を産生する細菌を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、当技術分野で公知の他の殺虫剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、当技術分野で従来使用されている追加の補助成分、例えば賦形剤、安定剤、担体、分散剤、肥料、栄養素、成長添加剤、安定剤、「徐放性」助剤、着色剤、及び適切な場合は表面活性物質(界面活性剤)を含む。適切な補助成分には、作物保護製品に従来使用されている全ての物質が含まれる。
【0120】
いくつかの態様において、組成物は1つ又は複数の賦形剤を含む。1つ以上の賦形剤は、1種又は複数の安定剤、1種又は複数の添加剤、1種又は複数の担体、1種又は複数の分散剤、1種又は複数の肥料、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。一例では、1つ以上の賦形剤はアセトンを含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の安定剤及び/又は他の添加剤を含む。安定剤及び/又は添加剤としては、浸透剤、接着剤、固化防止剤、染料、分散剤、湿潤剤、乳化剤、消泡剤、抗菌剤、不凍液、顔料、着色剤、緩衝剤及び担体が挙げられるが、これらに限定されない。組成物は、界面活性剤及び/又はアジュバントをさらに含んでもよい。
【0122】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、1つ以上の担体をさらに含み得る。担体の例としては、固体担体、スポンジ、織物及び合成材料が挙げられるが、これらに限定されない。合成材料は、多孔質合成材料であってもよい。追加の担体としては、ワックス、リノリン、パラフィン、デキストロース顆粒、スクロース顆粒及びマルトース-デキストロース顆粒などの有機担体を挙げることができる。或いは、担体は、天然粘土、カオリン、パイロフィライト、ベントナイト、アルミナ、モンモリロナイト、珪藻土、チョーク、珪藻土、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム、硫黄、石灰、小麦粉又はタルクなどの無機担体であり得る。組成物は、担体に吸着され得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の分散剤を含む。分散剤は、負に帯電したアニオン分散剤であってもよい。分散剤は、非イオン性分散剤であってもよい。
【0124】
いくつかの実施形態では、組成物は、肥料、栄養素、又は他の成長添加剤を含む。肥料は化学肥料であってもよい。肥料は有機肥料であってもよい。肥料は無機肥料であってもよい。肥料は、粒状又は粉末状の肥料であってもよい。肥料は液体肥料であってもよい。肥料は、徐放性肥料であってもよい。
【0125】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される有害生物防除方法は、有害生物防除有効量の本明細書に記載の融合タンパク質又は胞子(又は本明細書に記載の融合タンパク質又は胞子を含む組成物)で植物、植物種子又は植物繁殖材料を処理することを含む。本明細書で使用する「有害生物防除有効量」とは、標的有害生物を死滅させ、防除し、若しくは感染させ、標的有害生物の成長若しくは繁殖を遅延させ、標的有害生物の集団を減少させ、及び/又は標的有害生物によって引き起こされる植物への損傷を減少させることができる融合タンパク質、胞子又は組成物の量を指す。所与の融合タンパク質、胞子、又は組成物の有害生物防除有効量は、植物種、植物、植物種子、又は植物繁殖物質の表面積、担体の種類、他の有効成分の有無、製剤化の方法、送達経路、使用される特定の融合タンパク質又は胞子、融合タンパク質又は胞子の供給源(すなわち、融合タンパク質又は胞子を産生する胞子産生微生物)、標的有害生物種、及び植物への有害生物感染又は損傷の重症度を含むがこれらに限定されない要因に応じて変化する。
【0126】
本明細書で提供される有害生物防除方法は、意図された目的及び一般的な状況に応じて、当業者に知られている任意の適切な方法で、すなわち本明細書に記載の融合タンパク質又は胞子を含む組成物の噴霧、湿潤、注射、霧化、散布、ブラッシング、種子粉衣、散布又は注入によって行うことができる。いくつかの実施形態では、組成物は、植物、植物種子又は植物繁殖材料に直接適用される。いくつかの実施形態では、組成物は、植物、植物種子又は植物繁殖材料に(例えば、前記組成物を灌漑用水、植物生息地、土壌、植物成長容器などに添加することによって)間接的に適用される。胞子形成細菌及び真菌の場合、植物繁殖材料(例えば種子処理)に対する施用量は、約1×104~1×1012(又はそれ以上)個の胞子/種子の範囲であり得る。さらなる実施形態では、胞子濃度は、約1×106個~約1×1011個の胞子/種子、1×106個~約1×1010個の胞子/種子、1×106個~約1×109個の胞子/種子、1×106個~約1×108個の胞子/種子、又は1×106個~約1×107個の胞子/種子の範囲であり得る。さらなる実施形態では、胞子濃度は、約1×107個~約1×1011個の胞子/種子、1×107個~約1×1010個の胞子/種子、1×107個~約1×109個の胞子/種子又は1×107個~約1×108個の胞子/種子の範囲であり得る。さらなる実施形態において、胞子濃度は、約1×107個の胞子/種子であり得る。
【0127】
繁殖材料は、植物繁殖のために繁殖材料を使用する前に組成物で処理することができ、例えば、種子は播種前にドレッシングされる。有効成分はまた、穀粒を液体組成物に浸漬することによって、又は穀粒を固体組成物でコーティングすることによって、種子穀粒に適用されてもよい(コーティング)。本明細書で提供される方法で使用することができる本明細書に記載の融合タンパク質又は胞子を含む組成物の製剤の例としては、限定されないが、溶液、顆粒、ペレット、ビーズ、粉剤、噴霧可能な粉末、乳剤、コーティングされた顆粒及び懸濁濃縮物が挙げられる。
【実施例
【0128】
以下の実施例は、説明のために提供されるが、特許請求される発明を限定するものではない。
【0129】
実施例1.胞子提示ベクターにおけるBt cry1Aa及びcry1Fa遺伝子のクローニング
Bt Cry殺虫性タンパク質をバチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)胞子の表面に提示した。提示されたCryタンパク質をABC輸送体受容体に結合することができるようにするために、Cryタンパク質自身のリーダー配列を含む構造的に可撓性のリンカーを胞子外殻(CotC/G)とCryタンパク質との間に挿入した。
【0130】
リーダー配列を含むcry1Aa(配列番号4)及びcry1Fa(配列番号2)遺伝子は、GenScript Japan(Tokyo,Japan)により合成された。Cry1Aa及びCry1Faをセリンプロテアーゼに対して耐性にするために、合成したcry1Aa又はcry1Fa遺伝子にR28L又はR27L変異を含めた。表2のプライマー1F(配列番号28及び29)及びプライマー2R(配列番号30及び31)を用いて、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)ISW1214のゲノムDNA調製物から、プロモーター(5’上流領域)を含むcotC(配列番号16)及びcotG(配列番号18)遺伝子を増幅した。これらのプライマーを、cotC及びcotGをL1をコードするヌクレオチド(短:GGGGGSAS[配列番号54])及びL2(長:GGGGSGGGGSAS[配列番号55])リンカーペプチドに図1に示すスキームで連結するように設計した。
【0131】
図1に示すように、2段階増幅を行い、プロモーター-cotC/G-リンカー(L1又はL2)を得た。プライマー3R L1(配列番号32)による第1の増幅はリンカーの一部を付加し、プライマー3R L2(配列番号33)による第2の増幅(表2)は、完全なリンカー配列及びNcoI部位に対するものであった。第2の増幅の産物をpGEM-T easy(Promega,Madison,WI,US)にクローニングした。
【0132】
表2のプライマー4F(配列番号34)及びプライマー5R(配列番号35)を用いて合成cry1Aa遺伝子からcry1Aa遺伝子を増幅し、NcoI及びBamHI制限部位を付加した。タンパク質コード配列の5’末端にNcoI部位及び3’末端にBamHI部位を有するPCR産物をpGEM-T-easyにクローニングした。これらの制限酵素部位を使用して、cry1Faなどの他のcry遺伝子をクローニングした。これらの2つのpGEM-Tクローン、一方はcotC/G-L1/L2遺伝子を含むものをXhoI及びNcoIで消化し、他方はcry1Aaを含むものをNcoI及びBamHIで消化した。これら2つのDNA断片、XhoI-cotC/G-リンカー-Nco1及びNcoI-cry1Aa-BamHIを、XhoI及びBamHIで消化したpSB634(配列番号22)中で三方向ライゲーションによってクローニングした。このpSB634プラスミドはSasaki et al.(1996、Curr.Microbiol.32:195-200)によって記載されている。また、合成cry1Acターミネーター及びXhoI部位をクローニングしたpHY300PLK(配列番号23)に、cot-cry断片をクローニングした。クローニングスキームを図2に示す。
【0133】
pHY300PLKはそのマルチクローニングサイト(MCS)にXhoI部位を有さないため、表2に示すように、リンカーF及びリンカーRのオリゴヌクレオチド(配列番号36及び37)からなる小さなDNA片をクローニングすることによって、MCSのXbaI部位とBamHI部位との間にXhoI部位を挿入した。
【0134】
最終的な胞子提示プラスミドを図3に示す。本図において、「シャトルベクター」は、pSB634又はpHY300PLKを意味する。他のcry遺伝子をクローニングするために、cotC/G-L1/2-cry1Aaを有するpSB634及びpHY300PLKの最終構築物中のcry1Aa遺伝子を消化し、NcoI及びBamHI部位を利用してcry1Faなどの新しい遺伝子をクローニングした。
【0135】
【表4】
【0136】
実施例2.Spore-pSB634、Spore-Cry1Aa及びSpore-Cry1Faの調製
Cryタンパク質を表面に発現する枯草菌胞子を単離する方法を確立した。栄養細胞の汚染を防ぐために、完全且つ同期的な胞子形成のために、バチルス(Bacillus)培養物を1/2 LB寒天プレートの表面上で増殖させた。
【0137】
図3に示すように、cot-cry遺伝子をpSB634及びpHY300PLKにクローニングした後、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)ISW1214(宿主株)をエレクトロポレーションによってこれらのプラスミド構築物で形質転換した。エレクトロコンピテントバチルス(Bacillus)細胞の調製及びエレクトロポレーションは、TaKaRa Bio Inc.,Shiga,Japanのプロトコルに従って行い、そこからpHY300PLK及びバチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)宿主株を購入した。形質転換されたバチルス(Bacillus)細胞を1/2 LB-tet寒天プレート上に広げてコンフルエントな増殖をさせ、37℃でインキュベートした。完全な胞子形成後、プレートあたり1mlのTBS(20mM Tris-HCl、150mM NaClを含有するpH7.5)で胞子を収集し、15ml遠心管に移した。チューブにTBSを14mlまで充填し、胞子を懸濁した。胞子を14,000xgで30分間遠心分離して沈殿物を保存した。沈殿物中の胞子は、気泡を形成することなく14mlのTBSに穏やかだが完全に懸濁し、同じ速度及び時間で再び遠心分離した。懸濁及び遠心分離のこの手順は「洗浄」と呼ばれ、この用語は同じ又は同様の手順を意味する他の実施例で使用される。最終沈殿物を1mlのTBSに懸濁し、長期保存が必要な場合は-20℃で凍結状態を維持した。この胞子懸濁液を顕微鏡下で試験し、胞子数を決定した。pSB634にはcot-cry遺伝子をクローニングしなかったことを除いて、Spore-pSB634の調製に差異なかった。1/2 LBのみ(tetなし)プレートを使用したことを除いて、同じ方法で枯草菌ISW1214の野生型胞子を調製した。
【0138】
実施例3.胞子表面におけるCry1Aa及びCry1Faの発現の確認
B.スブチリス(B.subtilis)胞子の表面におけるBt Cryタンパク質の発現を、顕微鏡観察及び蛍光抗Cry抗体を用いたフローサイトメトリーによって確認した。B.Cryタンパク質を発現するサブチリス胞子をフローサイトメトリーによって選別することができた。
【0139】
可溶性、無胞子Cry1Aa及びCry1Faタンパク質は、Sasaki et al.(1996、Curr.Microbiol.32:195-200)によって記載されているように、これらの遺伝子をpSB634においてcry1Caプロモーターでクローニングすることによって作製し、Cryタンパク質を、Yamamoto et al.(1989,ACS Symposium Series 432:46-60)らによって報告された方法に従って精製した。これらの精製Cryタンパク質を使用して、Cry1Aa及びCry1Faに対する抗体をモルモットにおいて作製し、標識キット(Molecular Probe Inc.,Eugene,OR,USA)を使用してAlexa Fluor 488(「Alexa」)で標識した。TBS中の数μlの109個の胞子/ml Spore-Cry1Aa/Cry1Fa懸濁液を等体積の抗血清と混合し、25℃で1時間インキュベートした。次いで、実施例2に記載したように遠心分離によってTBS中で胞子を洗浄し、蛍光顕微鏡下で観察した。図4の上部パネルに示されるモデルは、バチルス胞子上のCryタンパク質が蛍光抗体によってどのように検出されたかを示す。このモデルは、胞子表面に1つのCryタンパク質分子のみを示すが、複数の分子が存在すると考えられる。蛍光顕微鏡法(図4、底部)は、すべてではないにしてもほとんどの胞子が蛍光性であることを示し、Cryタンパク質が発現され、胞子表面に局在していることを確認した。
【0140】
胞子表面上のCry1Faの局在化を、On-Chip Biotechnologies Co.Ltd.(Tokyo,Japan)のOn-chip Sortマイクロチップ細胞選別機を用いてフローサイトメトリーによって確認した。この実験では、Alexa標識抗Cry1Fa抗体を結合させた10% Spore-Cry1Faを、抗体を含まないSpore-Cry1Faと混合した。図5(左パネル)に示すように、選別機は9.17%の蛍光胞子を小さなピークとして分離した。残りの90.8%の胞子(主要ピーク)は蛍光性ではなかった。これらの9.17%の蛍光胞子を再吸収し(図5、右パネル)、それらの純度が74.5%であることが明らかになった。胞子数スケールが2つのグラフ間で異なることに留意されたい。結果は、バチルス(Bacillus)胞子が実際にCryタンパク質を発現しているという顕微鏡観察を確認した。また、フローサイトメトリーによりバチルス(Bacillus)胞子を分取できることが確認された。
【0141】
実施例4.ABC輸送体を発現するSf9細胞とCryタンパク質を提示するバチルス胞子との間の結合
枯草菌胞子の表面に提示されたBt Cryタンパク質は、Sf9昆虫細胞の表面に機能的に発現されたそれぞれの受容体に結合することができた。
【0142】
Sf9細胞でABC輸送体タンパク質を発現させるために、Bm-ABCC2(配列番号8)、Sf-ABCC2(配列番号10)、Sf-ABCC2変異体(配列番号12)及びSf-ABCC3(配列番号14)をコードする遺伝子を、GenScript Japan(Tokyo,Japan)によって合成した。これらの配列番号に示すように、C末端にFLAGタグを付加して標識した。これらの遺伝子を、それらの公開されたプロトコルに従って、Thermo-Fisher Scientific(Tokyo,Japan)のBac-to-Bac(商標)バキュロウイルス発現系にクローニングした。簡潔には、輸送体遺伝子を、AcMNPVポリヘドリンプロモーターを利用してpFastBac(商標)にクローニングした。マーカーとして機能するEGFP(Enhanced Green Fluorescent Protein)遺伝子もまた、NheI部位とSphI部位との間で同じベクターにクローニングした。GFP遺伝子をpEGFP-1(Clontech、Mountain View、CA、USA)から増幅した。pFastBac発現プラスミドをDH10Bac(商標)細胞に形質転換した後、pFastBacベクター上のmini-Tn7エレメントとバクミド上のmini-attTn7標的部位との間で転位が起こり、組換えバクミドが生成した。転位反応が完了した後、高分子量の組換えバクミドDNAを単離し、ExpiFectamine(商標)Transfection Reagentを用いてSf9細胞にバクミドDNAをトランスフェクトし、組換えバキュロウイルスを作製した。72時間後、細胞を覆う培地を回収し、500xgで5分間の遠心分離によって清澄化した。上清をウイルス溶液として使用した。Nakaishi et al.(2018,Journal of Insect Biotechnology and Sericology 87(2):45-51)は、FLAGタグ(配列番号6)を有するPx-ABCC2をバキュロウイルスにクローニングし、ウイルスを提供した。この輸送体タンパク質を発現するSf9細胞を、他の輸送体遺伝子と同じ方法で作製し、Spore-Cry1Aaの細胞傷害性を試験するために使用した。Sf9細胞を、26℃で10%熱不活性化ウシ胎児血清(Thermo-Fisher)を含むGraceの補足昆虫培地で維持した。Spore-Cry結合及び細胞生存率アッセイのために、80%超の集密度を有するSf9細胞をウイルス懸濁液に感染させた。感染したSf9細胞を26℃で72時間インキュベートした。Spore-CryがABC輸送体を発現するSf9細胞に結合するかどうかを調べるために、PBS(8.1mMリン酸二ナトリウム-1.5mMリン酸一カリウム緩衝液、pH 7.4、2.7mM塩化カリウム、137mM NaCl)に懸濁したSpore-Cryを昆虫培地中でSf9細胞懸濁液と混合し、顕微鏡下で観察した。Sf9細胞表面に見られる粒子がCryタンパク質を発現する胞子であることを確認するために、Alexa標識抗Cry抗体を胞子に添加し、蛍光顕微鏡で観察した。図6は、Sf-ABCC2を発現するSf9に結合したSpore-Cry1Faの一例である。結合した胞子は、明視野顕微鏡(図6、左上パネル)によって細胞上の灰色のスポットとして、蛍光顕微鏡(図6、右上パネル)によって白色のスポットとして見られた。Alexa標識抗Cry1Fa抗体は、Sf9細胞表面に結合した胞子上のCry1Faに結合した。Spore-Cry1Faの結合は、Sf-ABCC2を含まないSf9細胞(図6、左下及び右下パネル)又はSf-ABCC2変異体を発現するSf9細胞では観察されなかった。Sf9細胞は蛍光顕微鏡下で可視であり、これはEGFPがcry遺伝子と共クローニングされたためである。
【0143】
実施例5.Cryタンパク質を発現するバチルス(Bacillus)胞子の細胞毒性
バチルス(Bacillus)胞子の表面に提示されたBt Cryタンパク質は、細胞がCryタンパク質の受容体を発現している場合にのみ、Sf9昆虫細胞に対して毒性であった。
【0144】
細胞をSpore-Cry1Faと混合した後、混合物を26℃で60分間インキュベートした。図7に示すように、Sf-ABCC2を発現するSf9細胞は膨潤し(図7、左上及び右上パネル)、次いで完全に破壊された(図7、左下及び右下パネル)。図7の右下のパネルは、細胞壁が完全に崩壊したことを示す、細胞から漏出したGFPを示す。
【0145】
Spore-Cry1Faの細胞傷害性は、ABC輸送体を発現していないSf9細胞及びSf-ABCC2変異体を発現しているSf9細胞では見られなかった。Spore-Cry1AaとSf9発現Bm-ABCC2の組み合わせでも同様の観察が見られた。Spore-Cryの細胞毒性アッセイを以下のように要約する:Spore-Cry1Aaは、Px-ABCC2、Bm-ABCC2、Sf-ABCC3に対して細胞毒性であり;Spore-Cry1Faは、Cry1Fa耐性S.フルギペルダ(S.frugiperda)コロニー由来のSf-ABCC2変異体に対して細胞傷害性であったが、Sf-ABCC2変異体に対しては細胞傷害性でなかった。
【0146】
実施例6.カイコ(Silkworm Pupae)におけるABC輸送体タンパク質の産生
Bt Cry殺虫性タンパク質の受容体を、バキュロウイルス発現系を利用してカイコ蛹において発現させて、大量の受容体タンパク質を産生した。
【0147】
合成されたBm-ABCC2、Sf-ABCC2及びSf-ABCC3遺伝子は、Sysmex Corporation(Kobe,Japan)に送られ、ProCube(商標)技術を利用してタンパク質を産生した。SysmexのProCube Technologyについては、ウェブサイト(Sysmex Corporation ProCube Technology,procube.sysmex.co.jp/eng/p/e_silkworm_outline/)で説明されている。手短に言えば、ABC輸送体遺伝子をバキュロウイルス発現系にクローニングしてウイルスを作製した。組換えバキュロウイルスをB.mori(B.モリ)(カイコ(silkworm))細胞内で増殖させ、10匹のカイコ蛹に注射した。プロテアーゼ阻害剤カクテルとメラニン化阻害剤を含むTBS中で、ウイルス感染カイコ蛹を超音波処理によりホモジナイズした。超音波処理によって生成された細胞膜断片を、以下のように分画遠心分離によって収集した。均質化された蛹組織を1,000xgで遠心分離して、大きなサイズの物質を除去した。沈殿物をさらに超音波処理し、さらに2回遠心分離した。低速遠心分離の上清を合わせ、100,000xgで1時間遠心分離して沈殿を回収した。次いで、沈殿を10mlのTBSに懸濁し、10個の1mlアリコート(1蛹あたり1ml)に分割し、-80℃で凍結したままにした。「膜断片」と呼ばれるこの試料を使用して、ABC輸送体タンパク質を抽出及び精製した。
【0148】
実施例7.ABC輸送体タンパク質の抽出及び精製
カイコ蛹細胞膜で産生されたABC輸送体を抽出し、SMALP(Styrene Malecic Acid Lipid Particles)にパッケージングし、輸送体タンパク質の第2のATPアーゼのC末端に結合したFLAGタグを利用するアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。抗FLAG抗体に結合したFLAGタグは、タグが溶媒に曝露されていることを意味する。結果は、SMALPにおけるABC輸送体タンパク質の予想される構造を支持する。
【0149】
ABC輸送体タンパク質をSMA(スチレンマレイン酸)で抽出した。本実施例において、「SMAで可溶化した」又は「SMAで抽出した」とは、図8に示すように、昆虫細胞膜からABC輸送体タンパク質を抽出し、SMALP(Styrene Maleic Acid Lipid Particle)にパッケージングしたものを意味する。すぐに使用可能な粉末SMA試薬を、Cube Biotech(Monheim,Germany)から購入し、5%でTBSに溶解した。3つの異なるS:M比のSMA試薬を使用してSf-ABCC2を抽出した。S:M比は、SMAコポリマー中のスチレン(S)対無水マレイン酸(M)比である。例えば、S:M=3:1は、n=3、m=1であるコポリマー[スチレン]n-[無水マレイン酸]mを意味する。実施例6で調製した膜断片懸濁液を等体積のTBS中5% SMAと混合し、25℃で2時間インキュベートした。混合物を100,000xgで30分間4℃で遠心分離した。上清及び沈殿をSDS-PAGE及び抗FLAG抗体を使用するウェスタンブロッティングによって分析して、上清中のSf-ABCC2を確認した。S:M比2.3:1及び3:1を有するSMAのみがSf-ABCC2を抽出し、S:M=1.4:1を有するSMAではSf-ABCC2は抽出されなかった。SMAは、図8に示されるように、細胞のリン脂質二重層を有する小膜断片として細胞膜からABC輸送体を打ち抜くと考えられる。この断片はSMALPである。このモデル(図8、右パネル)では、Cryタンパク質のドメインIIループ領域に結合するECL(細胞外ループ)、及び第2のATPアーゼに結合したFLAGタグと共に輸送体のATPアーゼ領域(ヌクレオチド結合領域)が、Cryタンパク質と抗FLAG抗体の両方への結合を可能にする溶媒に曝露される。本発明で使用されるすべてのABC輸送体は、第2のATPアーゼのC末端にFLAGタグが付加されている。
【0150】
SMALPのサイズは、S:M比によって決定され、ABC輸送体タンパク質を有する脂質粒子を含有するのに十分な大きさでなければならない。S:M比1.4:1のSMAは、ABC輸送体には不適切なサイズの脂質粒子を生成すると考えられる。Sf-ABCC2を含有するSMALPを、MBL International Corp.,Woburn,MA,USAから入手した抗FLAG抗体固定化アガロースゲルを用いたアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。1mlの細胞膜断片試料の1つのアリコートを2つの500μlのアリコートに分割した。1つの500ulアリコートでは、SDS-PAGEにより、約150μgのABC輸送体タンパク質を含有すると推定された。アフィニティークロマトグラフィーのために、1つの500μlアリコートを500μlの5% SMAと混合し、インキュベートし、遠心分離して、約1mlのSMA抽出Sf-ABCC2(すなわち、SMALP-Sf-ABCC2)を得た。SDS-PAGEは、輸送体タンパク質の約50%が抽出されたことを示した。SMALP-Sf-ABCC2を、1ml Pierce(商標)Spin Column(Thermo-Fisher)に充填した200μlの抗FLAG抗体固定化アガロースゲルにロードした。10%グリセロール(TBS-グリセロール)を含有するTBSでカラムを洗浄し、SMALP-Sf-ABCC2を1.2mlの溶出緩衝液(10%グリセロールを含むTBS中の0.1mg/ml FLAGペプチド)で溶出した。カラム溶出液を6つの200μl画分に分画し、図9に示すようにドットブロッティングによって分析した。図9において、すべての200μl画分(最初(Fr.1)以外の最後のスピンオフ(Fr.7)を含む「Fr.」)、は強い蛍光シグナルを示し、Sf-ABCC2が親和性カラムから首尾よく溶出したことを確認した。
【0151】
Fr.1を除くすべての画分を合わせ、Amicon Ultra Centrifugal Filter(MilliporeSigma,Saint Louis,MO,USA)から購入、50kDaカットオフ)で300ulまで濃縮した。次いで、濃縮したカラム溶出液を2mlのZeba Spin Desalting Column(Thermo-Fisher)中で脱塩して、FLAGペプチドを除去した。SMALP-Sf-ABCC2と呼ばれるこの親和性精製ABC輸送体が約300μlあった。SDS-PAGE及び抗FLAG抗体を用いたウェスタンブロッティングにより、150kDa付近に一つのバンドが示された。これを6つの50μlアリコートに分割し、液体窒素中で急速凍結し、-80℃で保存した。抗FLAG-抗体アフィニティークロマトグラフィーによるSMALP-Sf-ABCC2の精製の成功は、FLAGタグが溶媒に曝露されていることを示す。これは、図8に示すSMALPモデルを支持する。ABCC2の細胞外ループ(ECL)も溶媒に曝露され、Cryタンパク質に結合することができることは、SMALPモデルに基づいている可能性が高い。
【0152】
実施例8.Cryタンパク質とその特異的受容体との間の相互作用に基づくCryタンパク質を発現するバチルス(Bacillus)胞子の選別
Cryタンパク質を発現し、その受容体が特異的に結合したバチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)胞子を、受容体に結合したFLAGタグ及び磁気ビーズに固定化された抗FLAG抗体を用いた免疫磁気分離によって単離した。また、受容体に結合した胞子は、フローサイトメトリーによって選別できることが実証された。
【0153】
胞子選別実験は、免疫磁気分離及びフローサイトメトリーによって行った。選別の目的は、胞子上のCryタンパク質と特定のABC輸送体タンパク質との間の親和性を利用して、Cryタンパク質を発現するバチルス(Bacillus)胞子を引き出すことである。胞子選別の実現可能性を実証するために、Spore-Cry1FaをSf-ABCC2で選別し、Spore-Cry1AaをBm-ABCC2で選別した。SMALP-Sf-ABCC2が結合したSpore-Cry1Faを用いて免疫磁気分離を行った。以下のようにして、抗FLAG抗体固定化磁気ビーズを用いて、輸送体に結合した胞子を取り出した。100μlのTBSに懸濁した約106個のSpore-Cry1Faの胞子を実施例7からの50μlの親和性精製SMALP-Sf-ABCC2と混合し、25℃で2時間インキュベートし、14,000xgで30分間の遠心分離によって1.5mlのTBSで2回洗浄した。洗浄した胞子を100μlのTBSに懸濁し、5μlの抗FLAG抗体固定化磁気ビーズ(MilliporeSigmaのカタログ番号M8823)と混合した。磁気ビーズ上に結合した胞子を磁石上に保持し、TBSで5回洗浄した。洗浄した胞子を100μlのTBSに懸濁した。SMALP-Sf-ABCC2に結合したSpore-Cry1Faを、10mM TBS中の1.5mg/ml FLAGペプチドを含む抗FLAG抗体固定化磁気ビーズから分離した。この最終胞子懸濁液をLB-tetプレートにプレーティングした。Cryタンパク質が発現していないSpore-pSB634を用いて、全く同じ実験を行った。結果を図10に示す。
【0154】
図10に示すように、磁気ビーズは、Cryタンパク質が発現していないSpore-pSB634の106個の胞子から9個の胞子(コロニー)しか引き出さなかった(図10左パネル)。胞子の数は、非特異的結合のバックグラウンドレベルとして予想されるよりもはるかに少なかった。一方、ビーズは、Spore-Cry1Fa出発試料において多数の胞子(すなわち、多すぎる数のコンフルエントな成長)を捕捉した(図10、右パネル)。
【0155】
磁気分離がSpore-Cry1Faを選択的に単離できるかどうかを調べるために、Spore-Cry1Faと野生型胞子との混合物を用いて同様の実験を行った。混合物-1において、106個(約10%)のSpore-Cry1Fa胞子及び107個の野生型胞子が存在した。混合物-2は、2×103個(0.1%)のSpore-Cry1Fa及び2×106個の野生型胞子からなっていた。混合物-3は、2×103個(0.01%)のSpore-Cry1Fa及び2×107個の野生型胞子を含有した。混合物-4は、2×103個(0.001%)のSpore-Cry1Fa及び2×108個の野生型胞子を有していた。これらの試料は、tet耐性Spore-Cry1Faとtet感受性野生型胞子との間で胞子を分離するためのものであったため、選別された胞子はtet選択によって同定することができた。免疫磁気ビーズで分離した胞子を最初にLBプレート(tetなし)に蒔き、次いでLB-tetプレートに移した。混合物-1は359個の胞子(コロニー)を生成し、混合物-2は180個の胞子(コロニー)を生成し、混合物-3は1500個の胞子(コロニー)を生成し、混合物-4は1700個の胞子(コロニー)をLB-tetプレート上に生成した。混合物-3及び4中の0.01%及び0.001%のSpore-Cry1Faの回収率を高めるために、5μlの代わりに50μlの抗FLAG抗体固定磁気ビーズを使用した。磁気ビーズによって捕捉されたこれらの胞子の数は、分離が選択的であることを示した。混合物-1由来の胞子の70%、混合物(Miture)-2由来の胞子の61%、混合物-3由来の胞子の60%及び混合物-4由来の胞子の70%がテトラサイクリン耐性Spore-Cry1Faであることが明らかになった。これは、SMALP-Sf-ABCC2がSpore-Cry1Faに選択的に結合したことを強く示し、図8に示すSMALP-ABC輸送体モデルを確認した。
【0156】
受容体親和性に基づくCryタンパク質を発現するバチルス(Bacillus)胞子の選別をフローサイトメーターによって行った。この場合、Spore-Cry1Aaを、1% Triton X100に可溶化したBm-ABCC2と共に使用し、続いてSMALP-Sf-ABCC2と同様に親和性精製を行った。PBSに懸濁したSpore-Cry1Aaを、単純に混合し、25℃で2時間インキュベートすることによって、1% Triton X100を含有するPBS中の5μlのBm-ABCC2(約0.3mg/ml)で標識した。未結合Bm-ABCCを、0.2% SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)及び500mM NaClを含有する10 mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.4)で胞子を洗浄することによって除去した。次いで、Spore-Cry1Aa-Bm-ABCC2複合体を抗FLAG-マウス-抗体及びAlexa標識抗マウスIgG-抗体と順次混合して蛍光性にした。胞子複合体を、0.02% Triton X100を含有するPBS中で洗浄し、蛍光顕微鏡法によって観察した。観察の結果、蛍光色素を保持している胞子はごく少数であったため、On-chip Sort セルソーター(On-Chip Biotechnologies)を用いてフローサイトメーターで選別した。セルソーターは、おそらくBm-ABCC2に結合した約1000個の胞子を蛍光として引き出した。洗浄溶液中の0.2% SDSの使用は、Bm-ABCC2を多くの胞子から引き離したが、セルソーターが少数の残存する蛍光胞子を選別できるかどうかを調べるために意図的に行われた。図11に示すように、1000個の蛍光胞子を分離し、LBプレートにプレーティングした。LBプレートをLB-tetプレート上にコピーした。800個を超える胞子が出芽して、tet選択プレート上にコロニーを形成することが見出された。これらのコロニーの一部を採取し、それらの胞子中のプラスミドがPCR及びシーケンシングによってcry1Aa遺伝子であることを確認した(実施例9)。Spore-Cry1Aaを用いたこの実験により、Cryタンパク質を発現するバチルス(Bacillus)胞子を、受容体親和性に基づいてフローサイトメトリーによって選別することができることが確認された。
【0157】
実施例9.選別された胞子におけるcry遺伝子の同定
胞子表面に提示されたCryタンパク質を同定するために、フローサイトメトリーによって選別された胞子中のプラスミドを単離し、配列決定した。
【0158】
フローサイトメトリーによって選別された胞子中のcry遺伝子を同定するために、図10に示すLB-tetプレート上の約10個のコロニーを採取し、細胞密度がOD600nm=0.2~0.3に達するまでシェーカー中37℃で数時間、1mlのLB-tetブロス中で増殖させた。細胞を遠心分離によって収集し、Hou et al.(2019,Toxins 11:162)によって記載された方法に従ってそれらのコロニーからプラスミドを単離した。Houらのこのプラスミド単離方法は、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)のためのものであるが、B.スブチリス(B.subtilis)でうまく機能した。単離されたプラスミドを配列決定して、胞子中のcry遺伝子を決定した。
【0159】
本開示で論じられているすべての特許、特許公報、特許出願、雑誌記事、書籍、技術参考文献などは、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0160】
本開示の図及び説明は、本開示の明確な理解に関連する要素を示すために簡略化されていることを理解されたい。図面は例示を目的として提示されており、構造図として提示されていないことを理解されたい。省略された詳細及び修正又は代替の実施形態は、当業者の理解の範囲内である。
【0161】
本開示の特定の態様では、要素若しくは構造を提供するために、又は所与の1つ若しくは複数の機能を実行するために、単一の構成要素を複数の構成要素に置き換えることができ、複数の構成要素を単一の構成要素に置き換えることができることが理解されよう。そのような置換が本開示の特定の実施形態を実施するように機能しない場合を除いて、そのような置換は本開示の範囲内であると考えられる。
【0162】
本明細書に提示される例は、本開示の潜在的且つ具体的な実施態様を例示することを意図している。例は、主に当技術分野の当業者のための本開示の例示を目的としていることが理解されよう。本開示の趣旨から逸脱することなく、これらの図又は本明細書に記載された動作には変形例があり得る。例えば、特定の場合には、方法ステップ又は動作を異なる順序で実行又は実行することができ、或いは動作を追加、削除又は変更することができる。
【0163】
値の範囲が提供される場合、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、下限の単位の最小部分まで、その範囲の上限と下限との間の各介在値も具体的に開示されることが理解される。記載された範囲内の任意の記載された値又は記載されていない介在値と、その記載された範囲内の任意の他の記載された値又は介在値との間の任意のより狭い範囲が包含される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、独立して範囲に含まれてもよく、又は除外されてもよく、いずれかの、いずれの、又は両方の限界がより小さい範囲に含まれる各範囲もまた、記載された範囲内の任意の具体的に除外された限界を条件として、本技術に包含される。記載された範囲が限界の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限界の一方又は両方を除外した範囲も含まれる。
【0164】
前述の説明では、本発明のより完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本開示に記載された本発明は、これらの特定の詳細の1つ又は複数なしで実施され得ることは当技術分野の当業者には明らかであろう。他の例では、当技術分野の当業者に周知の、周知の特徴及び手順は、本発明を不明瞭にすることを避けるために記載されていない。本開示の実施形態は、例示を目的として説明されており、限定を目的とするものではない。本発明は主に特定の実施形態を参照して説明されているが、他の実施形態が本開示を読むと当技術分野の当業者に明らかになることも想定され、そのような実施形態が本発明の方法の範囲内に含まれることが意図される。したがって、本開示は、上述又は図面に示された実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態及び変更を行うことができる。
【0165】
【表5】
【0166】
【表6】
【0167】
【表7】
【0168】
【表8】
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【表9】
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【表10】
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【表11】
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【表12】
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【表13】
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【表16】
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【表17】
【0178】
【表18】
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【表19】
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図2
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図5
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図7
図8
図9
図10
図11
【配列表】
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【国際調査報告】