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特表2025-502605荷電粒子ビームシステムの電子源の汚れを落とすシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】荷電粒子ビームシステムの電子源の汚れを落とすシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/073 20060101AFI20250121BHJP
【FI】
H01J37/073
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529911
(86)(22)【出願日】2022-11-24
(85)【翻訳文提出日】2024-07-18
(86)【国際出願番号】 EP2022083068
(87)【国際公開番号】W WO2023117285
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】63/293,615
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.コンパクトフラッシュ
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ,ジドン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シュエドン
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA03
5C101BB01
5C101BB03
5C101CC04
5C101DD06
5C101DD23
5C101EE03
5C101EE13
5C101EE14
5C101FF02
5C101FF31
5C101FF32
5C101GG04
5C101GG05
5C101HH11
(57)【要約】
電子ビーム装置において電子源のエミッタ先端から汚染物質を除去するシステム及び方法が開示される。電子ビーム装置は、電子を放出するように構成されたエミッタ先端を含む電子源と、エミッタ先端の一部分を照射する光ビームを生成して、光ビームの表面モードを励起するように構成された光源と、を含んでもよく、励起された表面モードは、エミッタ先端の照射された部分の表面からの汚染物質の除去を促進する。励起された表面モードは、伝播する表面波又は局所的な表面波を含んでもよい。エミッタ先端は格子構造を含んでもよく、格子構造の特性は、光ビームの波動ベクトルと適合する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子を放出するように構成されたエミッタ先端を含む電子源と、
前記エミッタ先端の一部分を照射する光ビームを生成して前記光ビームの表面モードを励起するように構成された光源であって、前記励起された表面モードは、前記エミッタ先端の前記照射された部分の表面からの汚染物質の除去を促進する、光源と、
を備える、電子ビーム装置。
【請求項2】
前記電子源を封入するチャンバを更に含み、
前記チャンバは、前記光ビームが通過できるように構成されたビューポートを含む、請求項1に記載の電子ビーム装置。
【請求項3】
前記光ビームによる前記エミッタ先端の前記照射は、前記汚染物質と前記エミッタ先端の前記表面との間の結合の破壊を引き起こす、請求項1に記載の電子ビーム装置。
【請求項4】
前記光ビームによる前記エミッタ先端の前記照射は、光子支援量子プロセスによって支援された前記結合の破壊を引き起こす、請求項3に記載の電子ビーム装置。
【請求項5】
前記光ビームによる前記エミッタ先端の前記照射は、前記エミッタ先端の局所的な加熱により支援された前記結合の破壊を引き起こす、請求項3に記載の電子ビーム装置。
【請求項6】
前記光ビームによる前記エミッタ先端の前記照射は、光子支援量子プロセスと前記エミッタ先端の局所的な加熱との組み合わせによって支援された前記結合の破壊を引き起こす、請求項3に記載の電子ビーム装置。
【請求項7】
前記エミッタ先端の前記一部分を照射する前記光ビームの波長は、除去されるべき前記汚染物質に基づいて調整される、請求項1の何れか一項に記載の電子ビーム装置。
【請求項8】
前記光ビームの前記波長は、前記汚染物質の結合エネルギーに基づいて更に調整される、請求項7に記載の電子ビーム装置。
【請求項9】
前記光ビームによる前記エミッタ先端の照射は、前記エミッタ先端の温度の上昇を引き起こし、
前記エミッタ先端の前記温度は、前記光ビームの前記波長により影響を受ける、請求項7に記載の電子ビーム装置。
【請求項10】
前記汚染物質は、原子、分子、又はガス分子を含む、請求項1の何れか一項に記載の電子ビーム装置。
【請求項11】
前記汚染物質は、前記エミッタ先端の前記表面に吸着されているか、又は、前記エミッタ先端の前記表面に結合されている、請求項1に記載の電子ビーム装置。
【請求項12】
前記エミッタ先端は、格子構造を含み、
前記格子構造の特性は、前記光ビームの波動ベクトルと適合する、請求項1に記載の電子ビーム装置。
【請求項13】
前記表面モードは、伝播表面波又は局所表面波を含む、請求項1に記載の電子ビーム装置。
【請求項14】
前記光ビームは、直線偏光されている、請求項1に記載の電子ビーム装置。
【請求項15】
電子源のエミッタ先端から汚染物質を除去する方法を電子ビーム装置に実施させるように、前記電子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、
前記方法は、
光源を作動させて光ビームを生成することと、
前記光ビームで前記エミッタ先端の一部分を照射して前記光ビームの表面モードを励起することであって、前記励起された表面モードは、前記エミッタ先端の前記照射された部分の表面に結合された前記汚染物質の除去を促進することと、
を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年12月23日に出願された米国特許出願第63/293,615号の優先権を主張し、該出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本明細書で提供される実施形態は、荷電粒子ビームシステムの電子源に関し、より具体的には、光源を使用して電界放出型電子源の汚れを落とすシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 集積回路(IC)の製造工程では、未完成の又は完成した回路コンポーネントが、設計通りに製造されており欠陥がないことを保証するために、検査される。走査型電子顕微鏡(SEM)などの、荷電粒子(例えば、電子)ビーム顕微鏡又は光学顕微鏡を利用した検査システムが用いられることがある。ICコンポーネントの物理的なサイズが縮小し続けるにつれ、欠陥検出の精度、画像化分解能、及び歩留まりがより重要になっている。検査スループットの要件に対処するために、複数の荷電ビームを利用することがあるが、複数の荷電ビームシステムの画像化分解能が損なわれることがあり、所望の目的に対してその検査ツールが不適当になることがある。画像化分解能は、電子源の安定性によっても影響を受け、電子源の安定性は、電子エミッタの先端を定期的に汚染除去することにより維持される。電子源の電子エミッタの先端の汚れを落とすための既存の手法は、検査ツールの部分的な又は完全なシャットダウンを必要とすることがあり、問題点の中でもとりわけ、全体的な検査スループットに影響を及ぼすことがある。
【0004】
[0004] 従って、関連技術のシステムでは、電子源の汚染に起因して、例えば、画像分解能及び電子源安定性に限界がある。電子源から汚染物質を除去する既存の方法では、汚れを落とした後に生成される電流に変動が生じたり、又は、電子源の寿命が短くなったりし、それにより、費用対効果が低くなるか、又は信頼性が低くなるか、又はその両方になることがある。従って、画像化分解能、放射源安定性、及び検査スループットを維持しながら、電子源の汚れを落とすシステム及び方法が望まれている。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 本開示の一態様は、電子源及び光源を含む電子ビーム装置に関する。電子源は、電子を放出するように構成されたエミッタ先端を含んでもよく、光源は、エミッタ先端の一部分を照射する光ビームを生成して、光ビームの表面モードを励起するように構成されてもよく、励起された表面モードは、エミッタ先端の照射された部分の表面からの汚染物質の除去を促進する。
【0006】
[0006] 本開示の別の態様は、電子源及び光源を含む電子ビーム装置に関する。電子源は、電子を放出するように構成されたエミッタ先端を含んでもよく、光源は、エミッタ先端の一部分を照射する光ビームを生成して、エミッタ先端の照射された部分の表面から汚染物質を除去するように構成されてもよい。
【0007】
[0007] 本開示の別の態様は、電子源のエミッタ先端から汚染物質を除去する方法に関する。この方法は、光源を作動させて光ビームを生成することと、その光ビームでエミッタ先端の一部分を照射して光ビームの表面モードを励起することと、を含んでもよく、励起された表面モードは、エミッタ先端の照射された部分の表面からの汚染物質の除去を促進する。
【0008】
[0008] 本開示の別の態様は、電子源のエミッタ先端から汚染物質を除去する方法に関する。この方法は、光源を作動させて光ビームを生成することと、その光ビームでエミッタ先端の一部分を照射して、エミッタ先端の照射された部分の表面に結合された汚染物質を除去することと、を含んでもよい。
【0009】
[0009] 本開示の別の態様は、電子源のエミッタ先端から汚染物質を除去する方法を電子ビーム装置に実施させるように、電子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令、を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。この方法は、光源を作動させて光ビームを生成することと、その光ビームでエミッタ先端の一部分を照射して光ビームの表面モードを励起することと、を含んでもよく、励起された表面モードは、エミッタ先端の照射された部分の表面からの汚染物質の除去を促進する。
【0010】
[0010] 本開示の実施形態の他の利点は、添付の図面と併せて取り入れられる以下の説明から明らかになるであろう。以下の説明では、例示及び例として、本発明の特定の実施形態を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[0011]本開示の実施形態と整合性のある、例示的な電子ビーム検査(EBI)システムを示す概略図である。
図2】[0012]本開示の実施形態と整合性のある、図1の例示的な電子ビーム検査システムの一部であり得る、例示的な電子ビームツールを示す概略図である。
図3】[0013]本開示の実施形態と整合性のある、電子源の例示的な構成の概略図を示す。
図4A】[0014]本開示の実施形態と整合性のある、光子-汚染物質共振メカニズムを使用して汚れが落とされる電子源のエミッタ先端の概略図を示す。
図4B】[0014]本開示の実施形態と整合性のある、光子-汚染物質共振メカニズムを使用して汚れが落とされる電子源のエミッタ先端の概略図を示す。
図5A】[0015]本開示の実施形態と整合性のある、局所的光放射加熱メカニズムを使用して汚れが落とされる電子源のエミッタ先端の概略図を示す。
図5B】[0015]本開示の実施形態と整合性のある、局所的光放射加熱メカニズムを使用して汚れが落とされる電子源のエミッタ先端の概略図を示す。
図6】[0016]本開示の実施形態と整合性のある、光源を使用して電子源のエミッタ先端から汚染物質を除去する例示的な方法600を表すプロセスフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0017] ここで、例示的な実施形態を詳細に参照し、その例は、添付の図面に示されている。以下の説明は、添付の図面を参照し、別段の表現がない限り、異なる図面における同じ番号は、同じ又は同様の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明において記載される実装形態は、全ての実装形態を表すわけではない。代わりに、それらの実装形態は、添付の請求項において記述されるように、開示される実施形態に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例である。例えば、いくつかの実施形態は、電子ビームの利用に関連して説明されるが、本開示は、そのように限定されない。他のタイプの荷電粒子ビームを同様に適用することができる。その上、光学撮像、写真検出、X線検出など、他の撮像システムを使用することができる。
【0013】
[0018] 電子デバイスは、基板と呼ばれるシリコン片上に形成された回路で構築される。多くの回路は、同じシリコン片上にまとめて形成することができ、集積回路又はICと呼ばれる。これらの回路のサイズは、劇的に減少しており、その結果、更に多くの回路を基板に適合させることができる。例えば、スマートフォンのICチップは、親指の爪ほどの大きさであるが、それにもかかわらず、20億を超えるトランジスタを含むことができ、各トランジスタのサイズは、人間の毛髪のサイズの1/1000未満である。
【0014】
[0019] これらの極めて小さいICの作成は、多大な時間を要する複雑及び高価なプロセスであり、数百もの個々のステップを伴う場合が多い。1つのステップにおける誤差でさえ、完成ICに欠陥をもたらす可能性があり、それによって完成ICが無用なものとなる。従って、製造プロセスの目標の1つは、プロセスで作成される機能可能なICの数を最大化するため、すなわちプロセスの総歩留まりを向上させるために、そのような欠陥を回避することである。
【0015】
[0020] 歩留まりを向上させる要素の1つは、十分な数の機能可能な集積回路を生産することを保証するために、チップ作成プロセスをモニタすることである。プロセスをモニタする方法の1つは、それらの形成の様々な段階でチップ回路構造を検査することである。検査は、走査電子顕微鏡(SEM)を使用して行うことができる。SEMは、これらの極めて小さい構造を撮像するために使用することができ、実際には構造の「ピクチャ」を撮影する。画像は、構造が正しく形成されたかどうか、また構造が正しい場所に形成されたかどうかを判断するために使用することができる。構造に欠陥がある場合、欠陥が再発する可能性が低くなるようにプロセスを調整することができる。
【0016】
[0021] SEMを用いて高い分解能の画像を得ることは、輝度が高く、エネルギーの広がりが小さく、実効寸法が小さい電子源を用いることから始まる。タングステンヘアピンフィラメントなどの熱電子放出源は、安価で使用し易いものの、とりわけ、寿命が短い、動作温度が高い、輝度が低い、ビームエネルギーの広がりが広い、などの幾つかの欠点があり、その結果、画像品質が低下することがある。対照的に、電界放出源は、放出面積が大幅により小さく、ビームエネルギーの広がりが小さく、寿命が長く、画像分解能が高いことに起因して、より高い輝度を提供し、それにより、SEMにおける高分解能画像化のための望ましい電子源になる。しかしながら、高いスループットを必要とするシステム及び用途において、電界放出源の有効性及び有用性を制限しかねない幾つかの問題点がある。これらの問題点のうちの幾つかとしては、高真空状態であっても電流減衰時間が短い(100時間未満)こと、放出電流の変動が大きいこと、エミッタ先端における弧絡を防ぐための非常に高い(ultra-high)又は極端に高い(extremely high)真空要件、が挙げられる。
【0017】
[0022] 電界放出源の既存の問題点のうちの幾つかを緩和するために、電子源を定期的に抵抗加熱(オーム加熱)して放出表面の汚れを落とすことにより、又は、電子源の近傍に配置されたフィラメントの抵抗加熱からの放射を通じて電子放出源を間接的に加熱することなどにより、電子源の汚れが定期的に落とされる。「フラッシング」又は「フラッシュ加熱」としても知られる抵抗加熱では、フィラメント及びエミッタ先端に大きな電流を流し、全体的な温度を上昇させ、放出表面の汚染を除き、放出電流を回復させてもよい。フラッシングは、軽加熱又は強加熱を含むことがあり、700℃~2000℃の範囲内で、非放出表面を含め電子源の温度を上昇させる。強加熱手順が実施される場合、検査ツールをシャットダウンしなければならないことがあり、且つ電子光学コラムを再位置合わせ又は再較正しなければならないことがあり、それによって、スループットに大幅な影響がでる。軽加熱手順は、2回の強加熱手順の間の期間を延長するために、より頻繁に実施されてもよい。
【0018】
[0023] 何れのフラッシング技術でも、本開示の発明者らは、全体的な温度上昇に起因するガス放出が、電子源を封入するチャンバ内の真空状態、特に電子エミッタ先端の周囲の真空状態に悪影響を与えるほど有意であることを認識した。エミッタ先端の周囲の真空状態が不十分な場合の幾つかの問題点のうちの1つは、電子源の表面上での汚染物質の形成率がより高くなることに起因して、電子源の寿命がはっきり分かるほど低下することであり、これにより、より多くの且つより頻繁なフラッシングサイクルが必要になり、先端が鈍くなり、頻繁に先端を交換することになる。場合によっては、ガス放出は、真空ポンプ機構に「過大な負担」をかけ機械のダウンタイムがより長くなるほどはげしいことがあり、それによって、スループットにも悪影響を与える。従って、低いガス放出率及び高い検査スループットを維持しながら、電子源の放出表面から汚染物質を除去することが望ましいことがある。
【0019】
[0024] 本開示の幾つかの実施形態では、電子源及び光源を備えた電子ビーム装置が開示される。電子源は、電子を生成するように構成されたエミッタ先端を含んでもよく、光源は、光ビームを生成してエミッタ先端を照射し、エミッタ先端上に吸着した汚染物質を除去するために使用されてもよい。レーザビームなどの光ビームを用いる場合、ターゲットの汚染物質に基づいて波長を調整してもよく、エミッタ先端の頂点など、先端のより小さな部分にビームを集束させてもよい。赤外線レーザなどの、所望の波長のレーザビームが、エミッタ先端の加熱を引き起こしたとしても、生成される熱の量は相当に少なく、その結果、真空チャンバ内のガス放出は大幅に減少し、先端の鈍化も最小限に抑えられることがある。これは、既存の技術及び従来技術とは対照的である。従来技術では、汚染物質を除去するために、先端に電流を流すことにより、又は、先端の近くにあるフィラメントを加熱することにより、エミッタ先端全体を加熱する。更に、レーザビームは、レーザビームの電界成分が汚染物質の除去を支援し得るように、直線偏光されてもよく、それにより、生成される熱の量が更に減少する。
【0020】
[0025] 図面では、コンポーネントの相対寸法は、明確にするために拡大され得る。以下の図面の説明内では、同じ又は同様の参照番号は、同じ又は同様のコンポーネント又はエンティティを指し、個々の実施形態に対する違いのみを説明する。本明細書で使用される場合、別段の具体的な記述がない限り、「又は」という用語は、実行不可能な場合を除いて、考えられる全ての組み合わせを包含する。例えば、コンポーネントがA又はBを含み得ることが記述される場合、別段の具体的な記述がない限り又は実行不可能でない限り、コンポーネントは、A若しくはB又はA及びBを含み得る。第2の例として、コンポーネントがA、B又はCを含み得ることが記述される場合、別段の具体的な記述がない限り又は実行不可能でない限り、コンポーネントは、A、又はB、又はC、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA、B及びCを含み得る。
【0021】
[0026] ここで、図1を参照すると、図1は、本開示の実施形態と一致する、例示的な電子ビーム検査(EBI)システム100を図示する。図1に示されるように、荷電粒子ビーム検査システム100は、メインチャンバ10、装填・ロックチャンバ20、電子ビームツール40及び機器フロントエンドモジュール(EFEM)30を含む。電子ビームツール40は、メインチャンバ10内に位置する。説明及び図面は電子ビームを対象としているが、実施形態は、本開示を特定の荷電粒子及び荷電粒子ビーム装置に限定するために使用されるのではないことを理解されたい。例えば、荷電粒子とは、電子、イオン、又は任意の正に帯電した若しくは負に帯電した粒子を指してもよく、荷電粒子ビーム装置とは、電子ビーム装置、又はイオンビーム装置、又はSEMなどの電子及びイオンを使用した、若しくはSEMと組み合わせた集束イオンビーム(FIB)を使用した任意の装置を指してもよい。
【0022】
[0027] EFEM 30は、第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bを含む。EFEM 30は、追加の装填ポートを含み得る。第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bは、検査予定のウェーハ(例えば、半導体ウェーハ若しくは他の材料で作られたウェーハ)又はサンプルを含むウェーハ前面開口式一体型ポッド(FOUP)を受け取る(以下では、ウェーハ及びサンプルは、集合的に「ウェーハ」と呼ばれる)。EFEM 30の1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)は、装填・ロックチャンバ20にウェーハを移送する。
【0023】
[0028] 装填・ロックチャンバ20は、装填/ロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続され、装填/ロック真空ポンプシステムは、大気圧を下回る第1の圧力に達するように装填・ロックチャンバ20内の気体分子を取り除く。第1の圧力に達した後、1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)は、装填・ロックチャンバ20からメインチャンバ10にウェーハを移送する。メインチャンバ10は、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続され、メインチャンバ真空ポンプシステムは、第1の圧力を下回る第2の圧力に達するようにメインチャンバ10内の気体分子を取り除く。第2の圧力に達した後、ウェーハに対して、電子ビームツール40による検査が行われる。いくつかの実施形態では、電子ビームツール40は、シングルビーム検査ツールを含み得る。他の実施形態では、電子ビームツール40は、マルチビーム検査ツールを含むことがある。
【0024】
[0029] コントローラ50は、電子ビームツール40に電子的に接続することができ、また他のコンポーネントにも電子的に接続することができる。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査システム100の様々な制御を実行するように構成されたコンピュータであり得る。コントローラ50は、様々な信号及び画像処理機能を実行するように構成された処理回路も含み得る。図1では、コントローラ50は、メインチャンバ10、装填・ロックチャンバ20及びEFEM 30を含む構造の外部のものとして示されているが、コントローラ50は、構造の一部でもあり得ることが理解される。
【0025】
[0030] 実施形態によっては、コントローラ50は、1つ又は複数のプロセッサ(図示せず)を含んでもよい。プロセッサは、情報を操作又は処理できる汎用の又は専用の電子デバイスであってもよい。例えば、プロセッサは、中央処理装置(即ち「CPU」)、グラフィックス処理装置(即ち「GPU」)、光プロセッサ、プログラマブルロジックコントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、知的財産(IP)コア、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、プログラマブルアレイロジック(PAL)、汎用アレイロジック(GAL)、複合プログラマブルロジックデバイス(CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、システムオンチップ(SoC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、及びデータ処理が可能な任意のタイプの回路、の任意の数の任意の組み合わせを含んでもよい。プロセッサは、ネットワークを介して結合された複数の機械又はデバイスにまたがって分散した1つ又は複数のプロセッサを含む、仮想プロセッサであってもよい。
【0026】
[0031] 実施形態によっては、コントローラ50は、1つ又は複数のメモリ(図示せず)を更に含んでもよい。メモリは、(例えば、バスを介して)プロセッサがアクセス可能なコード及びデータを保存できる汎用の又は専用の電子デバイスであってもよい。例えば、メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、光ディスク、磁気ディスク、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、フラッシュドライブ、セキュリティデジタル(SD)カード、メモリスティック、コンパクトフラッシュ(CF)カード、又は任意のタイプのストレージデバイス、の任意の数の任意の組み合わせを含んでもよい。コードは、オペレーティングシステム(OS)、及び特定のタスクのための1つ又は複数のアプリケーションプログラム(即ち、「アプリ」)を含んでもよい。メモリは、ネットワークを介して結合された複数の機械又はデバイスにまたがって分散した1つ又は複数のメモリを含む、仮想メモリであってもよい。
【0027】
[0032] 本開示は、電子ビーム検査システムを収納するメインチャンバ10の例を提供するが、本開示の態様は、広い意味において、電子ビーム検査システムを収納するチャンバに限定されないことに留意すべきである。むしろ、前述の原理は、他のチャンバにも適用できることが理解される。
【0028】
[0033] ここで、図2を参照すると、図2は、本開示の実施形態と一致する、図1の例示的な荷電粒子ビーム検査システム100の一部とすることができる電子ビームツール40の例示的な構成を図示する概略図を示す。電子ビームツール40(本明細書では装置40とも称される)は、カソード203と引出し電極205とガンアパーチャ220とアノード222を含み得る、電子エミッタを含み得る。電子ビームツール40は、クーロンアパーチャアレイ224と、コンデンサレンズ226と、ビーム制限アパーチャアレイ235と、対物レンズアセンブリ232と、電子検出器244と、を更に含み得る。電子ビームツール40は、検査対象のサンプル250を保持するために電動ステージ234によって支持されたサンプルホルダ236を更に含み得る。他の関連するコンポーネントが、必要に応じて、追加又は省略され得ることを理解されたい。
【0029】
[0034] いくつかの実施形態では、電子エミッタは、カソード203と、アノード222と、を含み得、一次電子は、カソードから放出され、抽出又は加速され、一次ビームクロスオーバー202を形成する一次電子ビーム204を形成することができる。一次電子ビーム204は、一次ビームクロスオーバー202から放出されたものとして視覚化することができる。
【0030】
[0035] いくつかの実施形態では、電子エミッタ、コンデンサレンズ226、対物レンズアセンブリ232、ビーム制限アパーチャアレイ235、及び電子検出器244は、装置40の一次光軸201と位置合わせされ得る。いくつかの実施形態では、電子検出器244は、二次光軸(図示せず)に沿って、一次光軸201から外れて配置され得る。
【0031】
[0036] 実施形態によっては、対物レンズアセンブリ232は、改変されたswing objective retarding immersion lens(SORIL)を含むことがあり、これは、磁極片232aと、制御電極232bと、偏向器240a、240b、240d、及び240eを含むビームマニピュレータアセンブリと、励磁コイル232dと、を含む。一般的なイメージングプロセスでは、カソード203の先端から放射された一次電子ビーム204は、アノード222に印加された加速電圧によって加速される。一次電子ビーム204の一部は、ガンアパーチャ220とクーロンアパーチャアレイ224のアパーチャとを通過し、ビーム制限アパーチャアレイ235のアパーチャを完全に又は部分的に通過するように、コンデンサレンズ226によって集束される。ビーム制限アパーチャアレイ235のアパーチャを通過する電子は、改変されたSORILレンズによって集束されてサンプル250の表面上にプローブスポットを形成し、ビームマニピュレータアセンブリの1つ又は複数の偏向器によって偏向されてサンプル250の表面を走査することがある。サンプル表面から放射された二次電子は、電子検出器244によって集められて、走査された関心エリアの画像が形成されることがある。
【0032】
[0037] 対物レンズアセンブリ232では、励磁コイル232d及び磁極片232aが、磁界を生成することがある。一次電子ビーム204によって走査されるサンプル250の一部は、この磁界の中に浸され、電気的に帯電することがあり、次いで、これにより、電界が生成される。この電界は、サンプル250の表面上の又は表面付近の、衝突する一次電子ビーム204のエネルギーを低減することがある。制御電極232bは、磁極片232aから電気的に絶縁されており、例えば、サンプル250上の及びサンプル250の上方の電界を制御して、対物レンズアセンブリ232の収差を低減し、検出効率を高めるために信号電子ビームの集束状況を制御するか、又は、サンプルを保護するためにアーク放電を回避することがある。ビームマニピュレータアセンブリの1つ又は複数の偏向器は、一次電子ビーム204を偏向させて、サンプル250上でのビーム走査を容易にすることができる。例えば、走査プロセスでは、偏向器240a、240b、240d、及び240eを制御して、一次電子ビーム204を、異なる時点でサンプル250の上部表面の異なる位置に偏向させて、サンプル250の異なる部分の画像を再構築するためのデータを提供することができる。なお、異なる実施形態では、240a~240eの順序は異なっていることがある。
【0033】
[0038] 後方散乱電子(BSE)及び二次電子(SE)は、一次電子ビーム204を受け取ると、サンプル250の一部から放出されることがある。ビームセパレータ(図示せず)は、後方散乱電子及び二次電子を含む、二次の又は散乱した電子ビームを、電子検出器244のセンサ表面に向けることができる。検出された二次電子ビームは、対応するビームスポットを電子検出器244のセンサ表面上に形成することができる。電子検出器244は、受け取った二次電子ビームスポットの強度を表す信号(例えば、電圧、電流)を生成し、コントローラ50などの、処理システムに信号を提供することができる。二次電子ビーム又は後方散乱電子ビーム及び結果として得られる二次電子ビームスポットの強度は、サンプル250の外部構造又は内部構造に応じて変化する可能性がある。また、上で論じたように、一次電子ビーム204は、異なる強度の二次又は散乱電子ビーム(及び結果として得られるビームスポット)を生成するために、サンプル250の上面の異なる位置へ偏向させることができる。それゆえ、二次電子ビームスポットの強度をサンプル250の位置にマッピングすることによって、処理システムは、ウェーハサンプル250の内部又は外部構造を反映する画像を再構築することができる。
【0034】
[0039] いくつかの実施形態では、コントローラ50は、画像処理システムを含み得、画像処理システムは、画像取得器(図示せず)及びストレージ(図示せず)を含む。画像取得器は、1つ又は複数のプロセッサを含み得る。例えば、画像取得器は、コンピュータ、サーバ、メインフレームホスト、端末、パーソナルコンピュータ、任意の種類のモバイルコンピューティングデバイス及び同様のもの又はそれらの組み合わせを含み得る。画像取得器は、中でもとりわけ、導電体、光ファイバケーブル、ポータブル記憶媒体、IR、Bluetooth、インターネット、ワイヤレスネットワーク、ワイヤレス無線機又はそれらの組み合わせなどの媒体を通して装置40の電子検出器244に通信可能に結合することができる。いくつかの実施形態では、画像取得器は、電子検出器244から信号を受信し、画像を構築することができる。従って、画像取得器は、サンプル250の領域の画像を取得することができる。画像取得器は、輪郭の生成、取得画像へのインジケータの重畳及び同様のものなどの様々な後処理機能を実行することもできる。画像取得器は、取得画像の明度及びコントラストなどの調整を実行するように構成することができる。いくつかの実施形態では、ストレージは、ハードディスク、フラッシュドライブ、クラウドストレージ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、他のタイプのコンピュータ可読メモリ及び同様のものなどの記憶媒体であり得る。ストレージは、画像取得器と結合し、走査された生の画像データをオリジナルの画像として保存し、及び後処理された画像を保存するために使用することができる。
【0035】
[0040] いくつかの実施形態では、コントローラ50は、検出された二次電子と後方散乱電子の分布を得るために、測定回路(例えば、アナログ/デジタル変換器)を含み得る。検出時間窓中に収集された電子分布データは、サンプル(例えば、ウェーハ)表面に入射した一次ビーム204の対応する走査経路データと組み合わせて、検査中のウェーハ構造の画像を再構築するために使用することができる。再構築された画像は、サンプル250の内部又は外部の構造の様々な特徴を明らかにするために使用することができ、従ってウェーハに存在し得るいかなる欠陥も明らかにするために使用することができる。
【0036】
[0041] いくつかの実施形態では、コントローラ50は、検査中にサンプル250を動かすように電動ステージ234を制御することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ50は、電動ステージ234が、ある方向に一定の速さで継続的にサンプル250を動かせるようにすることができる。他の実施形態では、コントローラ50は、電動ステージ234が、走査プロセスのステップに応じて、サンプル250が動く速さを経時的に変更できるようにすることができる。
【0037】
[0042] 図3には、本開示の実施形態と整合性のある、電子ビーム検査ツール内の電子源の例示的な構成300が示されている。構成300では、装置40は、ビューポート350を含むチャンバ310、真空ポンプ機構320、エミッタ先端335を有する電子源330、抽出器電極338、光源340、電源360、及びコントローラ50を含んでもよい。
【0038】
[0043] 実施形態によっては、チャンバ310は、真空チャンバを含んでもよく、装置40の電子光学コラム(図示せず)の一部分であってもよい。チャンバ310は、電子源330及び抽出器電極338を封入してもよい。チャンバ310は、これに限定するものではないが、ステンレス鋼などの高真空又はUHV適合材料から構築されてもよく、真空ポンプ機構320の1つ又は複数の真空ポンプを使用して、排気されてもよい。実施形態によっては、チャンバ310は、利点の中でもとりわけ、電子源の信頼性及び安定性を向上させ、電子源の動作寿命を延ばすために、超高真空(UHV:ultra-high vacuum)又は極高真空(XHV:extreme high vacuum)状態までポンプ汲み出しされて、電子光学コラム内を下流に進む電子に長い平均自由行程を提供してもよい。
【0039】
[0044] 実施形態によっては、チャンバ310は、光源340によって生成された光ビーム345が通過できるように構成されたビューポート350を含んでもよい。ビューポート350は、通過する光ビーム345が、妨害されることなくエミッタ先端335に入射できるように、チャンバ310の外側表面に取り付けられていてもよい。実施形態によっては、ビューポート350は、広範囲の波長の電磁放射に対して実質的に透明である材料からできていてもよい。例えば、ビューポート350は、375nm~1900nmの波長範囲にわたって90%を超える光の透過率を有するホウケイ酸ガラスから作られていてもよい。適宜、望ましい特性を有する他の材料も使用してもよいことを理解されたい。実施形態によっては、実質的に透明であることに加えて、ビューポート350は、高真空又はUHV動作状態に適合した低ガス放出材料から作られていてもよい。
【0040】
[0045] 真空ポンプ機構320は、チャンバ310を効率的に排気できるように、チャンバ310と流体接続していてもよい。実施形態によっては、真空ポンプ機構320は、これらに限定するものではないが、真空ポンプの中でもとりわけ、ダイヤフラムポンプ、スクロールポンプ、吸着ポンプ、拡散ポンプ、ターボ分子ポンプ、低温ポンプ、イオンゲッターポンプ、チタンサブリメーションポンプ、を含む複数の真空ポンプを含んでもよい。動作においては、所望の真空レベルを達成するために、1つ又は複数のポンプを組み合わせて使用してもよい。実施形態によっては、真空ポンプの選択又は真空ポンプの組み合わせは、最終用途、排気されることなるガス、ガス放出に寄与する表面、又は所望の真空レベル、を含むがこれらに限定はされない要因に基づくことがある。
【0041】
[0046] 既存のSEMでは、電子源は、熱電子放出源又は電界放出源を含むことがある。一般的に、熱電子放出源は、タングステンフィラメント、LaB、又はCeB結晶などのカソードから電子を生成するために、抵抗加熱に依拠する。大電流がフィラメント(カソード)を流れ、フィラメントの抵抗に基づいて熱が発生し、それによって、電子に固体表面から逃げるためのエネルギーが供給される。そのような電子源は、安価で維持するのが容易であるが、輝度が低く、エネルギー分散が広いという欠点があり、結果的に画像品質が不適切になる。一方、電界放出源は、静電場を使用して電子放出を誘起する。この静電場は、導電性ワイヤから作製されたエミッタ先端の頂点に印加され、その先端では、量子力学トンネル効果により、高エネルギーの電子が放出される。電界放出源の場合の放出面積は、熱電子源よりも相当に小さく、典型的にはナノメートル単位であり、その結果、より優れた輝度がもたらされ、次いで、空間分解能の向上及び信号対雑音比の増加を含め、画像品質が高まる。
【0042】
[0047] 実施形態によっては、装置40は、電子源330を含んでもよく、この電子源330は、電界放出銃(FEG)又は冷電界エミッタとも呼ばれる電界放出源を含む。電子源330は、フィラメントに取り付けられ端部が先細になるように成形された、エミッタ先端335を含んでもよい。エミッタ先端335の先細の端部の頂点336は、先端半径が0.5μm以下、0.4μm以下、0.3μm以下、0.2μm以下、又は0.1μm以下まで鋭くなっていてもよく、その結果、電界は、ほぼ10V/cm程度と極めて高くなり、電子の「量子トンネル効果」が促進される。電界放出源内の放出電流は、純粋にトンネル効果に起因し、温度に依存しない。
【0043】
[0048] 電子源330などの電界エミッタの場合、実質的に汚染物質及び吸着物質のないクリーンなエミッタ先端表面を有することが望ましいことがある。クリーンなエミッタ先端表面を維持する幾つかの方法のうちの1つは、高い真空レベルを維持すること、場合によっては、電子源330の周囲に極端に高い真空を維持することを含む。一例として、10-6Torrの負圧では、1~2秒毎にガスの単分子層が、露出した表面に吸着される。単分子層の形成率は、例えば、10-10Torr以下の真空状態で動作させることにより、5~10分まで延ばすことができるものの、単分子層の形成率は依然として許容できるものではなく、ツール及び検査プロセスが非効率的になることがある。
【0044】
[0049] エミッタ先端表面の汚れを落とす既存の技術のうちの幾つかは、「フラッシング」プロセスを含み、このプロセスは、エミッタ先端に電流を流すことにより、エミッタ先端とエミッタ先端が取り付けられている支持フィラメントとを短時間の間700℃~2000℃の範囲の温度まで抵抗加熱することを含む。軽度のフラッシングを、より高温で実施されツールのシャットダウンを必要とすることがある強度のフラッシングと比較してより低い温度でより頻繁に実施してもよいが、フラッシュ加熱技術には、幾つかの欠点及び課題がある。課題のうちの幾つかとしては、とりわけ、はっきり分かるほどのチャンバ全体の温度の上昇に起因するガス放出の増加、真空レベルの一時的な低下によるエミッタ先端上での汚染物質の再吸着、電子源の動作寿命の低下、放出電流の不安定性、又は電子源の電流減衰時間の短縮が挙げられるが、これらに限定はされない。他の技術としては、エミッタ先端の近傍に配置されたフィラメントの放射加熱を挙げてもよいが、放射加熱及び抵抗加熱は、ガス放出率、又は高電圧破壊の危険性、又はその両方が増加する加熱手法を含む。従って、画像化分解能及び検査スループットを維持しながら、既存の汚れ落とし技術に関連した1つ又は複数の問題点を緩和することができる技術を用いて、電界放出源のエミッタ先端の汚れを落とすことが望ましいことがある。
【0045】
[0050] 図3に示すように、電子源330のエミッタ先端335は、光源340によって生成された光ビーム345で照射されてもよい。実施形態によっては、光源340は、レーザ、高強度レーザ、又は単色光源を含むがこれらに限定はされない光子源を含んでもよい。実施形態によっては、光源340は、コントローラ50によって制御されるように構成された調整可能レーザ源を含んでもよい。光源340を制御することは、レーザ源を作動させること、レーザ源を較正し安定化させること、光軸に沿って光子を向けること、光ビームの波長、周波数、デューティサイクル、又は強度を調整することなどを含んでもよいが、これらに限定はされない。調整可能レーザ源を使用して、例えば、除去されるべきターゲット汚染物質に基づいて、調整可能な波長を有する光ビーム345を生成してもよい。実施形態によっては、光ビーム345は、連続レーザビーム又はパルスレーザビームであってもよい。
【0046】
[0051] 実施形態によっては、光源340は、光源340から生成された光ビーム345がビューポート350を通過し、エミッタ先端335の先細の端部の一部分に入射することができるように、チャンバ310と固定して結合されてもよい。実施形態によっては、1つ又は複数の汚染物質が、照射されると、エミッタ先端335の露出表面から取り除かれ、表面が実質的に汚染物質又は吸着物質からきれいにされた状態になり得るように、光ビーム345は、エミッタ先端335の頂点336を照射するように位置合わせされてもよい。一旦位置合わせされると、光源340とチャンバ310との間の固定された結合により、エミッタ先端335の交換が認可されるまで、又は予定されたツールのメンテナンスを実施する必要が生じるまで、その位置合わせを確実に維持することができる。実施形態によっては、光源340は、ビーム偏光子(図示せず)を含んでもよい。ビーム偏光子は、光源340によって生成された光ビーム345を偏光させるように構成されてもよい。実施形態によっては、光ビーム345は、直線偏光、円偏光、楕円偏光、又はランダム偏光されていてもよい。本明細書で使用する場合、例えば光ビームなどのビームの偏光とは、光ビームの電界振動の方向を指す。例えば、直線偏光された光ビームでは、電界は、光ビームの伝播軸に垂直な直線方向に振動し、磁界は、光ビームの伝播軸に垂直で且つ電界方向に垂直な方向に振動する。
【0047】
[0052] 実施形態によっては、図示していないが、装置40は、光ビーム345などの光ビームでエミッタ先端335を照射するように構成された複数の光源340を含んでもよい。複数の光源340は、複数の光ビームが、エミッタ先端335の軸の周りの異なる位置でエミッタ先端335の頂点336に入射できるように、位置決めされてもよい。複数の光源340を含む構成では、対応する光ビームが通過するための対応するビューポート350も含まれてもよいことを理解されたい。実施形態によっては、使用される光源の数は、チャンバ310の機械的な、構造的な、空間的な、又は機能的な設計上の考慮事項に基づいて決定されてもよい。
【0048】
[0053] 実施形態によっては、光ビーム345は、一次光軸301と実質的に一致することがあるエミッタ先端335の軸に対して0°~90°の間の入射角で、エミッタ先端335の頂点336に又は頂点336の近傍の領域に入射してもよい。光ビーム345の入射角は、とりわけ、光源340の位置、光ビーム345の経路、ビューポート350の位置、チャンバ310内部のエミッタ先端335の位置、に基づいて決定されてもよい。
【0049】
[0054] 実施形態によっては、複数の光源340を含む構成では、2つ以上の光源340が、これらに限定するものではないが特性の中でもとりわけ、波長、周波数、強度、電力密度、入射角などの特性が似た又は似ていない光ビームで、エミッタ先端335を照射するように構成されてもよい。例えば、第1の光源が、エミッタ先端の第1の部分に45°の入射角で入射する紫外波長範囲の第1の光ビームを生成してもよく、第2の光源が、エミッタ先端の第2の部分に30°の入射角で入射する赤外波長範囲の第2の光ビームを生成してもよい。光ビーム345の特性は、とりわけ、汚染物質、汚染物質とエミッタ先端335の表面との間の結合の種類、エミッタ先端335の頂点336上の又はその周辺での汚染物質の位置、に基づいて決定されてもよい。対応する光源340からの1つ又は複数の光ビーム345は、同時に、又は実質的に同時に、エミッタ先端335に入射してもよい。実施形態によっては、複数の光ビームは、連続する入射の間に規則的な又は不規則なタイミング上のオフセットを伴って、順次エミッタ先端335を照射してもよい。複数の光源からの複数の光ビームで同時にエミッタ先端335を照射することの複数の利点のうちの1つとしては、エミッタ先端335の汚れを落とすのに必要な時間が短縮されることにより、汚れ落としの効率が上がり、スループットが向上することが挙げられる。
【0050】
[0055] 検査又は画像化のための装置40の動作において、電源360は、静電場を生成してエミッタ先端335から電子を抽出するように、又は抽出された電子を集束させるように、又はその両方を行うように、構成されてもよい。抽出された電子は、一次光軸301に沿って進行する電子ビーム302を形成してもよい。実施形態によっては、電源360は、コントローラ50によって制御されてもよい。電源360を制御することには、電源360によって生成される電圧、電流、又は電力を調整して、とりわけ、電子の数、電子ビームの分散、を含むがこれらに限定はされない電子ビームの特性を調整することが含まれてもよい。
【0051】
[0056] ここで図4A及び図4Bを参照すると、これらの図は、本開示の実施形態と整合性のある、光子-汚染物質共振メカニズムを使用して汚れを落としたエミッタ先端の例示的な頂点の概略図を示す。図4A及び図4Bは、エミッタ先端435の頂点436と、エミッタ先端435の表面に結合された1つ又は複数の汚染物質420と、頂点436の一部分を照射する光ビーム445と、を示す。エミッタ先端435及び頂点436は、図3のエミッタ先端335及び頂点336と実質的に類似していてもよく、実質的に同様の機能を実施してもよいことを理解されたい。
【0052】
[0057] 図4Aに示すように、レーザなどの光源(例えば、図3の光源340)から生成された光ビーム445は、頂点436の一部分を照射するように向けられてもよい。実施形態によっては、光ビーム445で頂点436の表面の一部分を照射すると、汚染物質420と頂点436の表面との間の結合が破壊されることがあり、エミッタ先端435の表面がクリーンになり、実質的に汚染物質がない状態になり得る。実施形態によっては、汚染物質420は、吸着物質、ガス分子、原子、分子、物理的に結合した原子若しくは分子、化学的に結合した原子若しくは分子、又はデブリ、又はそれらの任意の組み合わせ、を含んでもよい。実施形態によっては、複数の汚染物質420は、エミッタ先端435の表面の一部分上に形成された単分子層を含んでもよい。汚染物質420は、炭素原子、一酸化炭素、二酸化炭素、水分子、有機分子、又は無機分子を含んでもよい。本明細書で言及する場合、吸着物質とは、ファンデルワールス相互作用又は他の分子間力によって表面に物理的に吸着していることがある原子又は分子を含む。
【0053】
[0058] 実施形態によっては、光ビーム445は、頂点436の一部分を照射すると、1つ又は複数の汚染物質420とエミッタ先端435の表面との間の結合を破壊してもよい。結合を破壊することには、表面から除去する前の、吸着した分子の脱着、又は物理的若しくは化学的結合の開裂、又は分子の個々の原子への解離、が含まれてもよい。実施形態によっては、結合を破壊することには、表面から原子又は分子を除去するための、光子-汚染物質共振とも呼ばれる、光子支援量子プロセスが含まれてもよい。図4Aに示す例では、エネルギーhvを有する光子を含む光ビーム445は、原子がエミッタ先端435の表面との結合を破壊するのに必要なエネルギーを付与してもよい。実施形態によっては、頂点436の照射されたエリア内の汚染物質420だけを除去することができるように、光ビーム445を小さなエリアに集束させてもよい。光ビーム445の焦点をぼかすことにより照射エリアを増加させると、頂点436のターゲットエリアが拡大して、より大きな表面エリアの汚れを落とすことができる。
【0054】
[0059] 実施形態によっては、エミッタ先端の汚れを落とすための光子-汚染物質共振メカニズムには、汚染物質420とエミッタ先端435又は頂点436の表面との間の結合を破壊するために、光子を含む光ビーム445の波長を調整することが含まれてもよい。波長は、汚染物質420とエミッタ先端435の表面との間に形成された結合と共振するように調整されてもよい。
【0055】
[0060] 実施形態によっては、光子-汚染物質共振メカニズムによって結合を破壊して頂点436の表面から汚染物質420を除去することは、要素の中でもとりわけ、光ビーム445の電力、波長、周波数、露光の持続時間、強度などの特性、ターゲット材料、ターゲット汚染物質、又は汚染物質とエミッタ先端の表面との間の結合のタイプ、に基づいて、熱を生成してもよい。しかしながら、生成される熱の量は、電子源のエミッタ先端の汚れを落とすための抵抗加熱又は放射加熱の既存の技術と比べると、大幅に少ないことがある。図4Bは、汚染結合と共振する波長を有する光ビーム445によって照射したときに、汚染物質420が実質的になくなった、エミッタ先端435の頂点436の表面を示す。1つ又は複数の汚染物質420は、チャンバ空間内に放出されると、ポンプ機構(例えば、図3の真空ポンプ機構320)によって排出されてもよい。光子支援量子汚れ落としプロセスによって放出される汚染物質の数は、抵抗加熱又は放射加熱汚れ落としプロセスと比べると、大幅に少なくなることがある。これは、光ビーム445は、過剰なガス放出ひいては真空レベルの低下を引き起こすフラッシュ加熱プロセスにおいてフィラメント及びエミッタ先端を全体的に加熱するのに比べると、局所的により小さなスポットをターゲットにして、電子を放出することができる頂点436を選択的に露光させることができるから、であり得る。
【0056】
[0061] 実施形態によっては、光学ビーム又は光ビームの伝播は、光波を電磁的な横波として認識することができる波動現象とみなしてもよい。電磁的横波では、電界及び磁界は互いに対して直交して、且つ、光波の伝播の方向に対して直交して振動する。光ビームは、直線偏光、円偏光、楕円偏光、又はランダム偏光されていてもよい。
【0057】
[0062] 図4Aに戻ると、光ビーム445は、電界448が光ビーム445の伝播に垂直な方向に、且つ、エミッタ先端435の先細の縁部と実質的に平行な方向に振動するように、直線偏光された光ビームを含んでもよい。実施形態によっては、エミッタ先端435の先細の縁部の1つ又は複数の部分は、格子構造455を含んでもよい。格子構造455の特性は、光ビーム445の波動ベクトルと適合するように、又は波動ベクトルに基づいて、調整されてもよい。波動ベクトルは、とりわけ、波数、角波数、波長、波の伝播の方向、を含んでもよい。格子構造455の特性は、ピッチ、間隔、高さ、幅、格子の角度などを含んでもよいが、これらに限定はされない。
【0058】
[0063] 実施形態によっては、格子構造455を含むエミッタ先端435の表面を照射するとき、直線偏光された光ビーム445の表面モードが励起されてもよい。直線偏光された光ビーム445の表面モードは、エミッタ先端445の照射時に、光エネルギーの吸収を高めることがある伝播表面波452を含んでもよい。エミッタ先端435の先細の縁部上の格子構造455に沿って伝播する伝播表面波452は、エミッタ先端435の表面からの汚染物質420の剥離を可能にしてもよい。伝播表面波452は、直線偏光された光ビーム445が格子構造455に入射すると励起されてもよい。光ビーム445の伝播表面波の幾つかの利点のうちの1つとしては、エミッタ先端435からの反射光子又は散乱光子の低下、及びそれによるエミッタ先端435の近隣領域からのガス放出の低下、が挙げられる。図示していないが、格子構造455は、エミッタ先端445の1つ又は複数の表面上に形成されてもよいことを理解されたい。実施形態によっては、格子構造455は、頂点446上の又はその周辺の小さな領域に形成されてもよい。その代わりに又はこれに加えて、格子構造455は、エミッタ先端435の先細の縁部の大部分に形成されてもよい。
【0059】
[0064] ここで図5A及び図5Bを参照すると、これらの図は、本開示の実施形態と整合性のある、局所的な光放射加熱メカニズムを使用して汚れを落としたエミッタ先端の例示的な頂点の概略図を示す。図5A及び図5Bは、エミッタ先端535の頂点536と、エミッタ先端535の表面に結合された1つ又は複数の汚染物質520と、頂点536の一部分を照射する光ビーム545と、を示す。エミッタ先端535及び頂点536は、図3のエミッタ先端335及び頂点336と実質的に類似していてもよく、実質的に同様の機能を実施してもよいことを理解されたい。
【0060】
[0065] 実施形態によっては、光ビーム545は、頂点536の一部分を照射すると、1つ又は複数の汚染物質520とエミッタ先端535の表面との間の結合を破壊してもよい。汚染物質520とエミッタ先端535の表面との間の結合を破壊してエミッタ先端535の汚れを落とすことは、局所的な光放射加熱メカニズムを含んでもよい。このメカニズムでは、光ビーム545は、エミッタ先端535の頂点536に集束されてもよく、それにより、1つ又は複数の汚染物質520を表面から脱着できるように、頂点536の温度の局所的な上昇が引き起こされる。実施形態によっては、光ビーム545は、近赤外レーザビーム又は中赤外レーザビームを含んでもよい。光ビーム545の波長は、汚染物質520のタイプ、又は汚染物質520と頂点536の表面との間に形成された結合の性質、に基づいて選択されてもよい。例えば、800nmの波長を有する赤外レーザビームを使用して、頂点536から水分子を脱着させてもよく、1500nmの波長を有する近赤外レーザビームを使用して、頂点536に結合した一酸化炭素分子を除去してもよい。これらの例示的な波長は、限定するものでも特定するものでもないことを理解されたい。適宜、他のレーザ波長及び強度を使用してもよい。エミッタ先端535の局所温度は、光ビーム545への露光により上昇することがあるが、温度の上昇は、抵抗加熱及び放射加熱技術に比べると、大幅に小さくなる。これは、加熱が局所的であり、エミッタ先端535の放出表面又は頂点536に限定されるからである。更に、エミッタ先端535の小さなターゲットエリア(例えば、頂点536)のみが汚れを落とされるので、解放される汚染物質の数は、真空ポンプ機構に負荷をかけず、エミッタ先端535の周囲の真空レベルの大幅な低下を引き起こすことはないことがある。図5Bは、光ビーム545によって照射したときに、汚染物質520が実質的になくなった、エミッタ先端535の頂点536の表面を示す。
【0061】
[0066] 図5Aに戻ると、光ビーム545は、電界548が光ビーム545の伝播に垂直な方向に、且つ、エミッタ先端535の先細の縁部と実質的に平行な方向に振動するように、直線偏光された光ビームを含んでもよい。実施形態によっては、エミッタ先端535の表面が照射されると、直線偏光された光ビーム545の表面モードが励起されてもよい。直線偏光された光ビーム545の表面モードは、局所的表面波552を含んでもよい。実施形態によっては、局所的表面波552は、エミッタ先端535の頂点536の表面に結合された汚染物質420の除去を可能に又は除去を容易にしてもよい。
【0062】
[0067] レーザなどの光ビームを使用した電子エミッタ先端汚れ落とし技術は、本明細書で考察する以下の利点のうちの一部又は全部を有してもよい。
1.高い汚れ落とし効率 - フィラメントとフィラメントによって支持されたエミッタ先端とを含む電子放出源の汚れを落とす従来のフラッシュ加熱技術とは異なり、レーザなどの光ビームを使用すると、エミッタ先端の小さな領域又はエリア、通常は頂点、のみをターゲットにして、エミッタ先端の有用な放出部分から汚染物質又は吸着物質を除去することが可能になり、それにより、汚れ落としのプロセスがより効率的になり得る。
2.少ないガス放出 - 光ビームがターゲットにされ、エミッタ先端の放出部分のみの汚れを落とすように局所化されていることがあるので、排出される汚染物質がより少なくなり、その結果、チャンバ空間へのガス放出が少なくなる。ガス放出が少ないと、チャンバ表面及びエミッタ先端表面をクリーンに保つのに役立つことがあり、従って、真空レベル要件が低くなる。
3.高い放出-電流安定性及び電流減衰時間 - 電界放出源は、電子を放出するために、エミッタ先端全体にわたる高い電界に依拠する。エミッタ上に汚染物質層が形成されると、放出電流が不安定になり、且つ電流減衰時間が短くなることがある。光ビームを使用した放出源汚れ落とし技術では、より頻繁に汚れを落とすことが可能になり、その結果、放出電流の安定性が維持され、電流減衰時間を延ばすことができる。
4.短い汚れ落とし期間 - レーザなどの光ビームを用いた汚れ落としは、非常に迅速で効率的である。例えば、汚れ落としサイクルには、エミッタ先端表面をレーザビームに数ミリ秒間以下の間さらすことが含まれることがある、というのも、エミッタ先端の小さなエリアを一度にターゲットにして汚れを落とすことができるからである。
5.高い画像化分解能 - 頻繁で効率的な汚れ落としサイクルにより、放出電流の安定性を維持することができ、電流減衰時間を延長することができ、画像化分解能が向上する。
6.高い検査スループット - 電子源のエミッタ先端は、メンテナンスのためにツールをシャットダウンすることなく、ウェーハ検査中に汚れを落とすことができるので、機械の起動時間及び全体的な検査スループットが向上する。
7.高い費用対効果 - 光ビーム汚れ落とし技術により、ユーザが、非常に短い時間の間、エミッタ先端を局所的に加熱して汚れを落とすことが可能になり、従って、先端が鈍化する危険性を低減することができる。その結果、エミッタ先端の動作寿命が長くなり、必要とされる先端の交換回数が少なくなり、検査スループットも向上する。
【0063】
[0068] ここで図6を参照すると、この図は、本開示の実施形態と整合性のある、電子源のエミッタ先端から汚染物質を除去する例示的な方法600を表すプロセスフローチャートを示す。方法600は、例えば図1に示すようなEBIシステム100のコントローラ50によって実施されてもよい。コントローラ50は、方法600の1つ又は複数のステップを実施するようにプログラムされていてもよい。例えば、コントローラ50は、光源を作動させて光ビームを生成したり、生成される光ビームの特性を調整したり、他の機能を実行したりしてもよい。
【0064】
[0069] ステップ610では、レーザなどの光源(例えば、図3の光源340)を作動させて、光ビーム(例えば、図3の光ビーム345)を生成してもよい。実施形態によっては、光ビームの特性は、光ビームを電子源に向ける前に調整されてもよい。光源は、ビューポート(例えば、図3のビューポート350)を備えたチャンバ(例えば、図3のチャンバ310)に固定して結合されてもよい。光源は、生成された光ビームがビューポートを通過できるように、チャンバと位置合わせされてもよい。
【0065】
[0070] ステップ620では、光ビームを導いてエミッタ先端(例えば、図3のエミッタ先端335)の一部分を照射し、それにより光ビームの表面モードを励起してもよい。光ビームの励起された表面モードは、エミッタ先端表面に結合又は吸着した1つ又は複数の汚染物質(例えば、図4の汚染物質420)の除去を容易にしてもよい。1つ又は複数の汚染物質を除去することは、汚染物質とエミッタ先端表面との間の結合を破壊することを含んでもよく、その結果、破壊すると、汚染物質が取り出されチャンバから排出され、エミッタ先端の表面から実質的に汚染物質がなくなる。実施形態によっては、励起された表面モードは、伝播する表面波(例えば、図4Aの伝播する表面波452)又は局所的な表面波(例えば、図5Aの局所的な表面波552)を含んでもよい。
【0066】
[0071] 実施形態によっては、結合を破壊することには、エミッタ先端の表面から原子又は分子を除去するための、光子-汚染物質共振とも呼ばれる、光子支援量子プロセスが含まれてもよい。エミッタ先端の汚れを落とすための光子-汚染物質共振メカニズムには、汚染物質とエミッタ先端又は頂点(例えば、図4の頂点436)の表面との間の結合を破壊するために、光子を含む光ビームの波長を調整することが含まれてもよい。波長は、汚染物質とエミッタ先端の表面との間に形成された結合と共振するように調整されてもよい。
【0067】
[0072] 実施形態によっては、汚染物質とエミッタ先端の表面との間の結合を破壊してエミッタ先端の汚れを落とすことは、局所的な光放射加熱メカニズムを含んでもよい。このメカニズムでは、光ビームは、エミッタ先端の頂点に集束されてもよく、それにより、1つ又は複数の汚染物質を表面から脱着できるように、頂点の温度の局所的な上昇が引き起こされる。実施形態によっては、光ビームは、近赤外レーザビーム又は中赤外レーザビームを含んでもよい。
【0068】
[0073] 画像検査を実行し、画像取得を実行し、光源を作動させ、ポンプ機構及びポンプを調節し、光ビームを電子源のエミッタ先端に入射するように方向づけ、光ビームの波長又は他のビーム特性を調整する、などするための、コントローラ(例えば、図1のコントローラ50)のプロセッサ用の命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体が提供されてもよい。非一時的な媒体の一般的な形態としては、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ、又は任意の他の磁気データ記憶媒体、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、任意の他の光学データ記憶媒体、穴のパターンを有する任意の物理媒体、RAM(Random Access Memory)、PROM(Programmable Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、FLASH-EPROM、又は任意の他のフラッシュメモリ、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)、キャッシュ、レジスタ、任意の他のメモリチップ若しくはカートリッジ、及びそれらのネットワーク版、が挙げられる。
【0069】
[0074] 本開示の実施形態については、以下の条項を使用して、更に説明することができる。
1.電子を放出するように構成されたエミッタ先端を含む電子源と、
エミッタ先端の一部分を照射する光ビームを生成して光ビームの表面モードを励起するように構成された光源であって、励起された表面モードは、エミッタ先端の照射された部分の表面からの汚染物質の除去を促進する、光源と、
を含む、電子ビーム装置。
2.電子源を封入するチャンバを更に含み、チャンバは、光ビームが通過できるように構成されたビューポートを含む、条項1に記載の電子ビーム装置。
3.生成された光ビームがビューポートを通ってエミッタ先端に向けて進行するように、光源はチャンバに結合される、条項2に記載の電子ビーム装置。
4.光ビームによるエミッタ先端の照射は、汚染物質とエミッタ先端の表面との間の結合の破壊を引き起こす、条項1~3の何れか一項に記載の電子ビーム装置。
5.光ビームによるエミッタ先端の照射は、光子支援量子プロセスによって支援された結合の破壊を引き起こす、条項4に記載の電子ビーム装置。
6.光ビームによるエミッタ先端の照射は、エミッタ先端の局所的な加熱により支援された結合の破壊を引き起こす、条項4に記載の電子ビーム装置。
7.光ビームによるエミッタ先端の照射は、光子支援量子プロセスとエミッタ先端の局所的な加熱との組み合わせによって支援された結合の破壊を引き起こす、条項4に記載の電子ビーム装置。
8.エミッタ先端の一部分を照射する光ビームの波長は、除去されるべき汚染物質に基づいて調整される、条項1~7の何れか一項に記載の電子ビーム装置。
9.光ビームの波長は、汚染物質の結合エネルギーに基づいて更に調整される、条項8に記載の電子ビーム装置。
10.光ビームによるエミッタ先端の照射は、エミッタ先端の温度の上昇を引き起こし、エミッタ先端の温度は、光ビームの波長により影響を受ける、条項8~9の何れか一項に記載の電子ビーム装置。
11.汚染物質は、原子、分子、又はガス分子を含む、条項1~10の何れか一項に記載の電子ビーム装置。
12.汚染物質は、エミッタ先端の表面に吸着されているか、又はエミッタ先端の表面に結合されている、条項1~11の何れか一項に記載の電子ビーム装置。
13.光源はレーザ源を含む、条項1~12の何れか一項に記載の電子ビーム装置。
14.光ビームは、連続レーザビーム又はパルスレーザビームを含む、条項1~13の何れか一項に記載の電子ビーム装置。
15.電子源は、冷電界エミッタ又は電界放出源を含む、条項1~14の何れか一項に記載の電子ビーム装置。
16.真空ポンプ機構であって、チャンバと流体接続しており、除去された汚染物質をチャンバから排出するように構成された真空ポンプ機構を更に含み、このポンプ機構は複数の真空ポンプを含む、条項2~15の何れか一項に記載の電子ビーム装置。
17.エミッタ先端は、格子構造を含む、条項1~16の何れか一項に記載の電子ビーム装置。
18.格子構造の特性は、光ビームの波動ベクトルと適合する、条項17に記載の電子ビーム装置。
19.表面モードは、伝播表面波又は局所表面波を含む、条項1~18の何れか一項に記載の電子ビーム装置。
20.光ビームは直線偏光されている、条項1~19の何れか一項に記載の電子ビーム装置。
21.電子源のエミッタ先端から汚染物質を除去する方法であって、
光源を作動させて光ビームを生成することと、
その光ビームでエミッタ先端の一部分を照射して光ビームの表面モードを励起することであって、励起された表面モードは、エミッタ先端の照射された部分の表面に結合された汚染物質の除去を促進することと、
を含む、方法。
22.エミッタ先端の一部分を照射することは、電子源を封入するチャンバのビューポートを通して光ビームを導くことを含む、条項21に記載の方法。
23.生成された光ビームがビューポートを通ってエミッタ先端に向けて進行するように、光源をチャンバに結合することを更に含む、条項22に記載の方法。
24.エミッタ先端の一部分を照射することは、汚染物質とエミッタ先端の表面との間の結合の破壊を引き起こす、条項21~23の何れか一項に記載の方法。
25.結合の破壊は、光子支援量子プロセスによって支援される、条項24に記載の方法。
26.結合の破壊は、エミッタ先端の照射された部分を局所的に加熱することにより支援される、条項24に記載の方法。
27.結合の破壊は、光子支援量子プロセスとエミッタ先端の照射された部分の局所的加熱との組み合わせにより支援される、条項24に記載の方法。
28.除去されるべき汚染物質に基づいて、エミッタ先端の一部分を照射する光ビームの波長を調整することを更に含む、条項21~27の何れか一項に記載の方法。
29.汚染物質の結合エネルギーに基づいて光ビームの波長を更に調整することを含む、条項28に記載の方法。
30.光ビームでエミッタ先端の一部分を照射することは、エミッタ先端の温度を上昇させ、エミッタ先端の温度は、光ビームの波長により影響を受ける、条項28~29の何れか一項に記載の方法。
31.汚染物質は、原子、分子、又はガス分子を含む、条項21~30の何れか一項に記載の方法。
32.汚染物質は、エミッタ先端の表面に吸着されているか、又はエミッタ先端の表面に結合されている、条項21~31の何れか一項に記載の方法。
33.光源はレーザ源を含む、条項31~32の何れか一項に記載の方法。
34.光ビームは、連続レーザビーム又はパルスレーザビームを含む、条項21~33の何れか一項に記載の方法。
35.電子源は、冷電界エミッタ又は電界放出源を含む、条項21~34の何れか一項に記載の方法。
36.真空ポンプ機構を使用して、除去された汚染物質をチャンバから排出することを更に含み、この真空ポンプ機構は複数の真空ポンプを含む、条項22~35の何れか一項に記載の方法。
37.エミッタ先端は、格子構造を含む、条項21~36の何れか一項に記載の方法。
38.格子構造の特性は、光ビームの波動ベクトルと適合する、条項37に記載の方法。
39.表面モードは、伝播表面波又は局所表面波を含む、条項21~38の何れか一項に記載の方法。
40.光ビームを直線偏光させることを更に含む、条項21~39の何れか一項に記載の方法。
41.電子源のエミッタ先端から汚染物質を除去する方法を電子ビーム装置に実施させるように、電子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、この方法は、
光源を作動させて光ビームを生成することと、
その光ビームでエミッタ先端の一部分を照射して光ビームの表面モードを励起することであって、励起された表面モードは、エミッタ先端の照射された部分の表面に結合された汚染物質の除去を促進することと、
を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体。
42.エミッタ先端の一部分を照射することは、電子源を封入するチャンバのビューポートを通して光ビームを導くことを含む、条項41に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
43.電子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、生成された光ビームがビューポートを通ってエミッタ先端に向かって進行するように、電子ビーム装置に、光源とチャンバとの結合を更に行わせる、条項42に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
44.エミッタ先端の一部分を照射することは、汚染物質とエミッタ先端の表面との間の結合の破壊を引き起こす、条項41~43の何れか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
45.結合の破壊は、光子支援量子プロセスによって支援される、条項44に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
46.結合の破壊は、エミッタ先端の照射された部分を局所的に加熱することにより支援される、条項44に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
47.結合の破壊は、光子支援量子プロセスとエミッタ先端の照射された部分の局所的加熱との組み合わせにより支援される、条項44に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
48.電子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、除去されるべき汚染物質に基づいて、電子ビーム装置が、エミッタ先端の一部分を照射する光ビームの波長の調整を更に行うようにする、条項41~47の何れか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
49.汚染物質の結合エネルギーに基づいて光ビームの波長を更に調整することを含む、条項48に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
50.光ビームでエミッタ先端の一部分を照射することは、エミッタ先端の温度を上昇させ、エミッタ先端の温度は、光ビームの波長により影響を受ける、条項48~49の何れか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
51.汚染物質は、原子、分子、又はガス分子を含む、条項41~50の何れか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
52.汚染物質は、エミッタ先端の表面に吸着されているか、又はエミッタ先端の表面に結合されている、条項41~51の何れか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
53.光源はレーザ源を含む、条項41~52の何れか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
54.光ビームは、連続レーザビーム又はパルスレーザビームを含む、条項41~53の何れか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
55.電子源は、冷電界エミッタ又は電界放出源を含む、条項41~54の何れか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
56.電子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、電子ビーム装置が、真空ポンプ機構を使用して、除去された汚染物質のチャンバからの排出を更に行うようにし、真空ポンプ機構は複数の真空ポンプを含む、条項42~55の何れか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
57.エミッタ先端は、格子構造を含む、条項41~56の何れか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
58.格子構造の特性は、光ビームの波動ベクトルと適合する、条項57に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
59.表面モードは、伝播表面波又は局所表面波を含む、条項41~58の何れか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
60.電子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、電子ビーム装置が、光ビームを直線偏光させることを更に行うようにする、条項42~55の何れか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
61.電子を放出するように構成されたエミッタ先端を含む電子源と、
エミッタ先端の一部分を照射する光ビームを生成して、エミッタ先端の照射された部分の表面から汚染物質を除去するように構成された光源と、
を含む、電子ビーム装置。
62.電子源を封入するチャンバを更に含み、チャンバは、光ビームが通過できるように構成されたビューポートを含む、条項61に記載の電子ビーム装置。
63.生成された光ビームがビューポートを通ってエミッタ先端に向けて進行するように、光源はチャンバに結合される、条項62に記載の電子ビーム装置。
64.光ビームによるエミッタ先端の照射は、汚染物質とエミッタ先端の表面との間の結合の破壊を引き起こす、条項61~63の何れか一項に記載の電子ビーム装置。
65.光ビームによるエミッタ先端の照射は、光子支援量子プロセスによって支援された結合の破壊を引き起こす、条項64に記載の電子ビーム装置。
66.光ビームによるエミッタ先端の照射は、エミッタ先端の局所的な加熱により支援された結合の破壊を引き起こす、条項64に記載の電子ビーム装置。
67.光ビームによるエミッタ先端の照射は、光子支援量子プロセスと局所的加熱との組み合わせによって支援された結合の破壊を引き起こす、条項64に記載の電子ビーム装置。
68.エミッタ先端の一部分を照射する光ビームの波長は、除去されるべき汚染物質に基づいて調整される、条項61~67の何れか一項に記載の電子ビーム装置。
69.光ビームの波長は、汚染物質の結合エネルギーに基づいて更に調整される、条項68に記載の電子ビーム装置。
70.光ビームによるエミッタ先端の照射は、エミッタ先端の温度の上昇を引き起こし、エミッタ先端の温度は、光ビームの波長により影響を受ける、条項68~69の何れか一項に記載の電子ビーム装置。
71.汚染物質は、原子、分子、又はガス分子を含む、条項61~70の何れか一項に記載の電子ビーム装置。
72.汚染物質は、エミッタ先端の表面に吸着されているか、又はエミッタ先端の表面に結合されている、条項61~71の何れか一項に記載の電子ビーム装置。
73.光源はレーザ源を含む、条項61~72の何れか一項に記載の電子ビーム装置。
74.光ビームは、連続レーザビーム又はパルスレーザビームを含む、条項61~73の何れか一項に記載の電子ビーム装置。
75.電子源は、冷電界エミッタ又は電界放出源を含む、条項61~74の何れか一項に記載の電子ビーム装置。
【0070】
[0075] 本開示の実施形態は、上記で説明し、添付の図面で示した通りの構造に限定されないことと、その範囲から逸脱することなく、様々な修正形態及び変更形態がなされ得ることとが理解されるであろう。本開示は、様々な実施形態と関連付けて説明されており、本明細書で開示される本発明の仕様及び実践を考慮することから、本発明の他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。仕様及び例は、単なる例示と見なされ、本発明の真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示されることが意図される。
【0071】
[0076] 上記の説明は、限定ではなく、例示を意図する。従って、以下に記載される特許請求の範囲から逸脱することなく、説明されるように修正形態がなされ得ることが当業者に明らかであろう。

図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-07-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子を放出するように構成されたエミッタ先端を含む電子源と、
前記エミッタ先端の部分を照射する光ビームを生成して前記光ビームの表面モードを励起するように構成された光源と、を備え、
励起された前記表面モードは、前記エミッタ先端の照射された前記部分の表面からの汚染物質の除去を促進する、
電子ビーム装置。
【請求項2】
前記電子源を封入するチャンバを更に備え、
前記チャンバは、前記光ビームが通過できるように構成されたビューポートを有する、請求項1に記載の電子ビーム装置。
【請求項3】
前記光ビームによる前記エミッタ先端の前記照射は、前記汚染物質と前記エミッタ先端の前記表面との間の結合の破壊を引き起こす、請求項1に記載の電子ビーム装置。
【請求項4】
前記光ビームによる前記エミッタ先端の前記照射は、光子支援量子プロセスによって支援された前記結合の破壊を引き起こす、請求項3に記載の電子ビーム装置。
【請求項5】
前記光ビームによる前記エミッタ先端の前記照射は、前記エミッタ先端の局所的な加熱により支援された前記結合の破壊を引き起こす、請求項3に記載の電子ビーム装置。
【請求項6】
前記光ビームによる前記エミッタ先端の前記照射は、光子支援量子プロセスと前記エミッタ先端の局所的な加熱との組み合わせによって支援された前記結合の破壊を引き起こす、請求項3に記載の電子ビーム装置。
【請求項7】
前記エミッタ先端の前記部分を照射する前記光ビームの波長は、除去されるべき前記汚染物質に基づいて調整される、請求項1に記載の電子ビーム装置。
【請求項8】
前記光ビームの前記波長は、前記汚染物質の結合エネルギーに基づいて更に調整される、請求項7に記載の電子ビーム装置。
【請求項9】
前記光ビームによる前記エミッタ先端の照射は、前記エミッタ先端の温度の上昇を引き起こし、
前記エミッタ先端の前記温度は、前記光ビームの前記波長により影響を受ける、請求項7に記載の電子ビーム装置。
【請求項10】
前記汚染物質は、原子、分子、又はガス分子を含む、請求項1に記載の電子ビーム装置。
【請求項11】
前記汚染物質は、前記エミッタ先端の前記表面に吸着されているか、又は、前記エミッタ先端の前記表面に結合されている、請求項1に記載の電子ビーム装置。
【請求項12】
前記エミッタ先端は、格子構造を有し、
前記格子構造の特性は、前記光ビームの波動ベクトルと適合する、請求項1に記載の電子ビーム装置。
【請求項13】
前記表面モードは、伝播表面波又は局所表面波を有する、請求項1に記載の電子ビーム装置。
【請求項14】
電子を放出するように構成されたエミッタ先端を含む電子源と、
前記エミッタ先端の部分を照射する光ビームを生成して、前記エミッタ先端の照射された前記部分の表面から汚染物質を除去するように構成された光源と、
を備える、電子ビーム装置。
【請求項15】
電子源のエミッタ先端から汚染物質を除去する方法を電子ビーム装置に実施させるように、前記電子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、
前記方法は、
光源を作動させて光ビームを生成することと、
前記光ビームで前記エミッタ先端の一部分を照射して前記光ビームの表面モードを励起することであって、前記励起された表面モードは、前記エミッタ先端の前記照射された部分の表面に結合された前記汚染物質の除去を促進することと、
を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【国際調査報告】