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特表2025-502686静電気放電用途のための導電性ポリマーコーティングを有する方法およびシステム
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  • 特表-静電気放電用途のための導電性ポリマーコーティングを有する方法およびシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】静電気放電用途のための導電性ポリマーコーティングを有する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/02 20060101AFI20250121BHJP
   C09D 149/00 20060101ALI20250121BHJP
   C09D 5/24 20060101ALI20250121BHJP
   H01L 21/673 20060101ALI20250121BHJP
   B05D 5/12 20060101ALI20250121BHJP
   B05D 3/10 20060101ALI20250121BHJP
   B05D 7/02 20060101ALI20250121BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
C09D201/02
C09D149/00
C09D5/24
H01L21/68 V
B05D5/12 B
B05D3/10 K
B05D3/10 F
B05D7/02
B05D7/00 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537106
(86)(22)【出願日】2022-12-21
(85)【翻訳文提出日】2024-08-15
(86)【国際出願番号】 US2022053716
(87)【国際公開番号】W WO2023122214
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】63/292,927
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リー, チーフェン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァラナシ, プシュカラ ラオ
(72)【発明者】
【氏名】ジャブカ, マイケル シー.
【テーマコード(参考)】
4D075
4J038
5F131
【Fターム(参考)】
4D075AB01
4D075BB24Z
4D075BB65Z
4D075BB76Z
4D075BB99Z
4D075CA22
4D075DA06
4D075DB31
4D075DB36
4D075DB48
4D075DC19
4D075DC22
4D075EA06
4D075EB14
4D075EB47
4J038CB001
4J038CC001
4J038CK001
4J038CL001
4J038CN001
4J038DC001
4J038DC011
4J038DJ011
4J038DK001
4J038EA011
4J038NA20
4J038PB09
4J038PC08
5F131AA02
5F131CA05
5F131GA12
5F131GA55
(57)【要約】
ポリマー材料層を含む基板、および基板のポリマー材料層の少なくとも一部をコーティングする導電性ポリマーコーティング層を含む半導体処理装置であって、導電性ポリマーコーティング層が共役ポリマーを含み、導電性ポリマーコーティング層が400ng/g未満の総抽出可能金属を有し、導電性ポリマーコーティング層が、半導体処理システムに接続されたときに半導体処理装置内の静電気蓄積を放電するように構成される、半導体処理装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー材料層を含む基板、および
基板のポリマー材料層の少なくとも一部をコーティングする導電性ポリマーコーティング層
を含む半導体処理装置であって、
導電性ポリマーコーティング層が共役ポリマーを含み、
導電性ポリマーコーティング層が400ng/g未満の総抽出可能金属を有し、
導電性ポリマーコーティング層が、半導体処理システムに接続されたときに半導体処理装置内の静電気蓄積を放電するように構成される、半導体処理装置。
【請求項2】
導電性ポリマーコーティング層がポリマーから本質的になる、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項3】
導電性ポリマーコーティング層が半透明である、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項4】
基板がポリマーを含み、ポリマーが、ポリカーボネート、ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、ポリオレフィン、環状オレフィンコポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、またはそれらの組合せの少なくとも1つである、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項5】
導電性ポリマーコーティング層が、E+5からE+9Ωcmの間の表面抵抗率を有する、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項6】
導電性ポリマーコーティング層が、4μg/g未満、好ましくは0.5μg/g未満のガスを放出する、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項7】
導電性ポリマーコーティング層が、200ng/g未満、好ましくは100ng/g未満の総抽出可能金属を有する、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項8】
導電性ポリマーコーティング層が200nmから10マイクロメートルの間の厚さを有する、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項9】
導電性ポリマーコーティング層が表面活性材料である、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項10】
導電性ポリマーコーティング層が、ポリアセチレン、ポリ(フルオレン)、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリピレン、ポリアズレン、ポリナフタレン、ポリ(ピロール)、ポリカルバゾール、ポリインドール、ポリアゼピン、ポリアニリン、ポリアセン、ポリチオフェン、ポリチオフェンビニレン、ポリ(p-フェニレンスルフィド)、ポリピリジン、またはこれらの官能化誘導体、前駆体もしくは組合せの少なくとも1種を含む、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項11】
共役ポリマーが、窒素を含むまたは硫黄を含むヘテロ原子を含む、請求項10に記載の半導体処理装置。
【請求項12】
半導体処理用の前面開口一体型ポッド、ウェハキャリア、レチクルキャリア、または同様の容器もしくは箱からなる群から選択される、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項13】
1つまたは複数の半導体基板を収容するように構成された半導体支持構造をさらに含み、導電性ポリマーコーティング層が半導体支持構造の少なくとも一部をコーティングする、請求項12に記載の半導体処理装置。
【請求項14】
導電性ポリマーコーティング層が、半導体処理装置が半導体処理システムのロードポートに接続されたときに、接地への経路を提供することによって静電気蓄積を放電するように構成される、請求項13に記載の半導体処理装置。
【請求項15】
導電性ポリマーコーティング層がシステム内の相対湿度に依存しないように、導電性ポリマーコーティング層がポリマーに付着した水分子を含まない、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項16】
静電気放電を制御するための半導体処理装置をコーティングするための方法であって、
半導体処理装置の基板または半導体支持構造の少なくとも1つの少なくとも一部を導電性ポリマーコーティング層でコーティングすることであり、基板および/または半導体支持構造がポリマー材料層を含み、導電性ポリマーコーティング層が共役ポリマーを含む、半導体処理装置の基板または半導体支持構造の少なくとも1つの少なくとも一部をコーティングすること、
導電性ポリマーコーティング層を有する基板および/または半導体支持構造を乾燥させること、
導電性ポリマーコーティング層を有する乾燥した基板および/または半導体支持構造を5%HCl水溶液に浸漬させること、
導電性ポリマーコーティング層を有する基板および/または半導体支持構造を5%HCl水溶液から取り出し、導電性ポリマーコーティング層を有する基板および/または半導体支持構造を脱イオン水ですすぐおよび/または脱イオン水に浸漬させること、ならびに
導電性ポリマーコーティング層を有する基板および/または半導体支持構造を乾燥させること
を含み、
導電性ポリマーコーティング層が400ng/g未満の総抽出可能金属を有する、半導体処理装置をコーティングするための方法。
【請求項17】
コーティングが、基板および/または半導体支持構造の全体を導電性ポリマーコーティング層でコーティングすることをさらに含む、請求項16に記載の半導体処理装置をコーティングするための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体処理および半導体処理で使用される装置に関する。より具体的には、本開示は、静電気放電緩和を提供するために半導体処理で使用される装置の基板上の導電性ポリマーコーティングに関する。
【0002】
優先権
本開示は、参照により本明細書に組み込まれる、2021年12月22日の出願日を有する米国仮特許第63/292,927号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
半導体処理に使用される装置は、ウェハ、レチクル、および他の基板を保護、製造、搬送および送達するための装置、ならびにこれらの製造および搬送中の劣化および汚染(例えば、化学物質、粒子状物質、ガスなど)を防止する装置を含む。このような装置として、これらに限定されないが、前面開口統合ポッド(FOUP)、レチクルポッド、ウェハキャリア、半導体処理に使用される他の容器および箱、ロボットアーム、ロード/アンロードポート、ならびに流体取扱パイプ、フィルター、バルブおよびコネクタなどが挙げられる。
【0004】
しかし、半導体処理に使用される装置は、本質的に電気絶縁材料であり、半導体処理システムの損傷につながり得る静電荷の蓄積の影響を受けやすい。したがって、静電気放電(ESD)の防止は、半導体処理システムおよび他の技術用途の重要な技術課題である。例えば、半導体処理システムにおける流体と様々な動作構成要素(例えば、キャリア、搬送装置、チューブまたは管、バルブ、継手など)の表面との摩擦接触は、静電荷の発生および蓄積をもたらす可能性がある。電荷発生の程度は、構成要素の性質、構成要素間の接触の種類、相対湿度、接地への経路、および表面積を含むがこれらに限定されない様々な要因で決まる。さらに、流体がシステム内を流れる際、電荷は、電荷が発生した場所を超えて電荷が蓄積し得る流動(streaming)電荷と呼ばれる現象で下流に運ばれる場合がある。十分な電荷の集積は、パイプ壁、構成要素の表面で、あるいは様々なプロセス工程での基板またはウェハ上に放電を引き起こす可能性がある。
【0005】
静電気の蓄積は、影響を受けた部品が作業するのに危険または困難になるスパークおよびショートなどの有害な副作用をもたらし、急激な放電は、電子部品を損傷するか、または爆発を引き起こす可能性がある。さらに、多くの半導体デバイスは静電気の存在に非常に敏感である。例えば、半導体基板は非常に敏感であり、このような放電は基板の損傷または破壊につながる可能性があり、例えば、基板上の回路が破壊される可能性があり、光活性化合物が通常の露光前に活性化される可能性がある。さらに、蓄積された静電荷は、流体管理システムの動作構成要素内から外部環境へ放電する場合があり、配管内の構成要素(例えば、チューブ、継手、容器、フィルターなど)を損傷する可能性があり、システム内の流体の漏れ、流出、および構成要素の性能低下をもたらし、それにより火災および/または爆発が生じる可能性がある。生産歩留まりを改善し、製造コストを削減し、製品品質および製品信頼性を向上させるために、半導体処理システム全般において静電荷を消散させるための解決策を見出す必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、半導体処理および半導体処理で使用される装置に関する。より具体的には、本開示は、静電気放電緩和を提供するために半導体処理で使用される装置の基板上の導電性ポリマーコーティングに関する。
【0007】
一実施形態では、ポリマー材料層を有する基板、基板のポリマー材料層の少なくとも一部をコーティングする導電性ポリマーコーティング層を含む半導体処理装置であって、導電性ポリマーコーティング層が共役ポリマーを含み、導電性ポリマーコーティング層が400ng/g未満の総抽出可能金属を有し、導電性ポリマーコーティング層が、半導体処理システムに接続されたときに半導体処理装置内の静電気蓄積を放電するように構成される、半導体処理装置が提供される。
【0008】
別の実施形態では、半導体処理プロセスにおいて静電気放電を制御するための半導体処理装置をコーティングするための方法であって、半導体処理装置の基板または半導体支持構造の少なくとも1つの少なくとも一部を導電性ポリマーコーティング層でコーティングすることであり、基板および/または半導体支持構造がポリマー材料層を含み、導電性ポリマーコーティング層が共役ポリマーを含む、コーティングすること、導電性ポリマーコーティング層を有する基板および/または半導体支持構造を乾燥させること、導電性ポリマーコーティング層を有する乾燥した基板および/または半導体支持構造を5%HCl水溶液に浸漬させること、導電性ポリマーコーティング層を有する基板および/または半導体支持構造を5%HCl水溶液から取り出し、導電性ポリマーコーティング層を有する基板および/または半導体支持構造を脱イオン水ですすぐおよび/または脱イオン水に浸漬させること、ならびに導電性ポリマーコーティング層を有する基板および/または半導体支持構造を乾燥させることを含み、導電性ポリマーコーティング層が400ng/g未満の総抽出可能金属を有する、半導体処理装置をコーティングするための方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】少なくとも1つの実施形態例による導電性ポリマーコーティング層を有する容器の正面透視図である。
図2】少なくとも1つの実施形態例による導電性ポリマーコーティング層の概略図である。
図3】少なくとも1つの他の実施形態例による導電性ポリマーコーティング層を有する容器の正面透視図である。
図4】少なくとも1つの実施形態例による導電性ポリマーコーティング方法を示すフローチャートである。
図5】比較例および少なくとも1つの実施形態例のガス放出を示す表である。
図6】比較例および少なくとも1つの実施形態例の総抽出可能金属を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
同様の参照文字は同様の特徴を指す。
【0011】
本明細書および添付の請求項で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容が別段明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書および添付の請求項で使用される場合、「または」という用語は、内容が別段明確に指示しない限り、一般に「および/または」を含む意味で利用される。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、一般に、それに含まれる値の±5%を含むように使用される。
【0012】
本開示の特定の実施形態を、添付の図面を参照して本明細書で説明するが、開示された実施形態は、様々な形態で具体化され得る本開示の単なる例であることを理解されたい。周知の機能または構造は、不必要な詳細で本開示を不明瞭にすることを避けるため、詳細には説明されない。したがって、本明細書で開示される特定の構造的および機能的な詳細は、限定的と解釈されるべきではなく、単に請求項の基礎として、および本開示を実質的にあらゆる適切に詳述された構造で様々に利用することを当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。本明細書および図面において、同様に参照される番号は、同一、類似、または同等の機能を果たすことができる要素を表す。
【0013】
本開示の範囲は、本明細書で与えられる例によってではなく、添付の請求項およびそれらの法的同等物によって決定されるべきである。例えば、任意の方法の請求項に記載された工程は、任意の順序で実行されてもよく、請求項に示された順序に限定されない。さらに、本明細書で「重要」または「必須」と明記されない限り、いかなる要素も本開示の実施に必須ではない。
【0014】
本開示は、半導体処理および半導体処理で使用される装置に関する。より具体的には、本開示は、静電気放電緩和を提供するために半導体処理で使用される動作構成要素用の基板上の導電性ポリマーコーティングに関する。
【0015】
半導体処理の高純度要件を満たすために、半導体処理システムの装置は、ポリマー、例えば電気的に不活性なポリマーから作製されたFOUP、レチクルポッド、ウェハキャリア、他の容器および箱、ロボットアーム、ロード/アンロードポート、チューブ、継手、バルブならびに他の要素を提供する。これらの電気的に不活性なポリマーとしては、ポリカーボネート、ポリエチレン、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)および超高分子量ポリエチレン(UPE)、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、またはこれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。しかし、これらの材料は、本質的に電気絶縁材料であり、半導体処理システムの損傷につながり得る静電荷の蓄積の影響を受けやすい。
【0016】
静電気は、電荷の不均衡が材料の表面にある表面電荷の問題であることが理解されているため、静電荷の蓄積を防止するために静電気消散材料が使用されてきた。一部の静電気散逸材料は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、パーフルオロアルコキシアルカンなどのフルオロポリマーなどのポリマー樹脂、および金属粒子などの導電性充填剤を配合し、次いでこれを最終的な半導体処理装置および/またはその構成要素に成型することによって生産される。しかし、ポリマー樹脂と導電性充填剤の配合は、ポリマー樹脂の材料特性、例えば、製品の脆性の増加に影響を及ぼすだけでなく、半導体処理の少なくとも一部の清浄度要件、例えば、ガス放出、抽出可能金属などに関する純度制限を満たさない製品をもたらす可能性があることが見出された。例えば、多くの材料は、分子汚染を絶えずガスを放出し、さらに半導体処理中に放出され得る化学物質を空気から吸収することが理解されている。同様に、基板に付与される金属含有物は、デバイスの性能および歩留まりに有害な影響を与え、例えば、ゲート酸化物の完全性を低下させることによって可動電荷を導入し、中心の再結合、接合リーク、または暗電流などを引き起こす可能性がある。
【0017】
導電性ポリマーコーティングは、ESD用途のために多くの異なる産業で広く使用されてきたが、先行する導電性ポリマーコーティングはまた、半導体処理用に設定された少なくとも一部の清浄度基準を満たさないため、製品、例えばウェハ、レチクルなどの許容されない汚染につながる可能性があることから、導電性ポリマーコーティングは典型的に、半導体処理で使用不可能であった。例えば、Heraeus Medical Components LLCに対する米国特許第10,731,041号は、三次元基板および/または高度の可撓性を有する基板表面への適用に好適な導電性ポリマーコーティングを開示している。導電性ポリマーコーティングは、導電性、耐久性および耐摩耗性を提供する一方で、例えば、許容されないレベルのガス放出および抽出可能金属含有量など、半導体処理の少なくとも一部の清浄度要件を満たしていない。
【0018】
ポリマー樹脂とカーボンブラック、カーボンナノチューブなどの配合から生産される静電気散逸材料は、上記の欠陥に対する解決策であるが、本開示は、半導体処理の清浄度要件を満たす静電気放電緩和を提供するための導電性ポリマーコーティングの薄膜層を有することにより、先行技術の欠陥を克服する半導体処理で使用される装置に関する。具体的には、導電性ポリマーコーティングは、半導体プロセスに使用される装置の表面上に薄膜表面コーティング層として設けられる。導電性ポリマーコーティングは、少なくとも2μg/g未満、好ましくは1μg/g未満、最も好ましくは0.5μg/g未満のガスを放出し、かつ400ng/g未満、好ましくは200ng/g未満、最も好ましくは100ng/g未満の総抽出可能金属を有することにより、清浄度要件を満たす。基板表面に導電性ポリマーコーティングを設けることにより、製品材料自体の特性を変えることなくESD機能を達成することができ、配合プロセスが不要になり、清浄度制御が向上し、基板のコーティングが配合および成型よりも安価であるため費用対効果が高く、色は半透明または水色になる。導電性ポリマーは、本質的に導電性ポリマーからなる均質な導電性ポリマー層であってもよいか、または導電性ポリマーは、表面層として結合剤内の粒子および/もしくは化合物として提供されてもよいか、または静電気放電緩和を提供するために基板材料と配合されてもよいことが理解される。
【0019】
一部の実施形態では、導電性ポリマーコーティング層は、以下でさらに考察されるように、静電気蓄積を接地に継続的に分散させるように構成されるので、静電荷の蓄積を低減させるために、半導体処理装置内の特定の構成要素が接地され、システム内の静電気の蓄積を緩和する。
【0020】
本出願では、「導電性ポリマー」は、電気を伝導する有機ポリマーである。理論に束縛されることを望むことなく、導電性ポリマーは、連続したsp混成炭素中心の骨格を有すると理解される。各中心上の1個の価電子は、他の3個のシグマ結合と直交するp軌道に存在する。すべてのp軌道は互いに組み合わされ、分子全体に非局在化した軌道の集合になる。これらの非局在化軌道の電子は、これらの非局在化電子の一部を取り除く酸化によって材料が「ドープ」されると、移動度が高くなる。したがって、共役p軌道は一次元の電子バンドを形成し、このバンド内の電子は、バンドが部分的に空になると可動性になる。これらの同じ材料はまた、そうでなければ未充填のバンドに電子を追加する還元によってドープされてもよい。実際には、ほとんどの有機伝導体は酸化的にドープされ、p型材料が得られる。
【0021】
一実施形態では、導電性ポリマーは共役ポリマーを含む。「共役ポリマー」という用語は、交互の二重結合および単結合の骨格鎖を特徴とする有機高分子を指す。重なり合うp軌道は、非局在化π電子の系を作り出し、電子的特性をもたらす。
【0022】
導電性ポリマーとしては、ポリマー、例えばポリアセチレン、ポリ(フルオレン)、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリピレン、ポリアズレン、ポリナフタレン、ポリ(ピロール)、ポリカルバゾール、ポリインドール、ポリアゼピン、ポリアニリン、ポリアセン、ポリチオフェン、ポリチオフェンビニレン、ポリ(p-フェニレンスルフィド)、ポリピリジン、またはこれらの官能化誘導体、前駆体もしくは組合せを挙げることができる。
【0023】
例えば、非限定的な例において、導電性ポリマーは、以下のようなポリマーを含んでもよい:
【0024】
【0025】
PEDOT:PSS
【0026】
【0027】
好ましい実施形態では、導電性ポリマーは、芳香族環を含む主鎖を含み、窒素(N)または硫黄(S)を含むヘテロ原子を有する共役ポリマーであり、ここでNまたはSのヘテロ原子は、芳香族環内または芳香族環外のいずれかにある。例えば、芳香族環内にNを含むヘテロ原子を有するポリマーとしては、ポリピロール、ポリカルバゾール、ポリインドールおよびポリアゼピンが挙げられ、芳香族環外にNを含むヘテロ原子を有するポリマーは、ポリアニリンである。芳香族環内にSを含むヘテロ原子を有するポリマーとしては、ポリチオフェンおよびポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)が挙げられ、芳香族環外にSを含むヘテロ原子を有するポリマーは、ポリ(p-フェニレンスルフィド)である。
【0028】
典型的に、導電性ポリマーはカチオン性である。したがって、一部の実施形態では、導電性ポリマーに結合する荷電官能基を実質的に中和する主対イオンが提供される。主対イオンは、負に帯電した官能基を有する1つまたは複数の繰り返し単位を含むことができる。図1は、実施形態による容器1の透視図である。図1に示されるように、容器1は、前面ドア4およびシェル6を含む。前面ドア4は、シェル6の前面開口内に受容され、前面開口を塞いでいる。シェル6は、容器の内部空間を画定し、容器1の内部空間にウェハまたはレチクルが収納されてもよい。容器1は、ドア4を移動させる(例えば、開ける、取り外す)ことによってアクセスされてもよい。例えば、図1のドア4は、ドア4をシェル6に挿入することによってシェル6に受容される。一実施形態では、ドア4およびシェル6の1つまたは複数は、ドア4が偶発的に外れるのを防止するためのロック機構(図示せず)を含むことができる。容器1は、例えば、前面開口一体型ポッド(FOUP)、またはレチクルポッドなどのレチクル用容器であってもよい。
【0029】
シェル6は、第1の側壁、第2の側壁、後壁、および頂壁および底壁を含む。第1の側壁は第2の側壁に対向し、頂壁は底壁に対向する。容器1は、シェル6の頂壁に機器連結部を含むことができる。一実施形態では、機器連結部により、これに限定されないが、自動ロボットアームなどの容器1を移動させるための標準的な自動アタッチメント(図示せず)を容器1に接続させることができる。例えば、自動ロボットアームは、異なる処理機器間で容器1を移動させるために使用されてもよい。一実施形態では、容器1は、使用者(例えば、技術者など)が容器1を手動で移動することができるように、1つまたは複数のハンドル(図示せず)を含んでもよい。容器1は、底壁に、容器1の入口および/または出口に対応する複数の入口パージポートおよび/または出口パージポートを含むことができる。複数の入口パージポート(および出口パージポート)は、容器1からパージガスをパージして排出するためのパージ流分配システムに接続されてもよい。
【0030】
容器1は、複数のウェハまたはレチクル支持構造、例えば、内部空間内にウェハまたはレチクル(図示せず)を保持するための棚を含むことができる。棚は、レールまたはスロットに挿入されてもよく、それぞれ内部空間内にウェハまたはレチクル(図示せず)を保持する大きさに調整される。例えば、実施形態における棚は、特定の大きさのウェハまたはレチクル(例えば、150mmウェハ、200mmウェハなど)を保持する大きさに調整される。容器1は、ウェハまたはレチクルを容器1にロードするため、および/または容器1内でウェハまたはレチクルを処理するために、ロード/アンロードポートからロードおよび/またはアンロードされてもよい。
【0031】
容器1は、ポリマー、例えば電気的に不活性なポリマーから作製されてもよい。これらの電気的に不活性なポリマーとしては、ポリカーボネート、ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、ポリオレフィン、環状オレフィンコポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、またはそれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0032】
図2は、一実施形態において、導電性ポリマーコーティング層220が、非限定的な態様で、側壁、後壁、頂壁、および底壁の外面および/もしくは内面、ドア、基板支持構造、またはそれらの組合せを含む、容器1の少なくとも一部210上にコーティングされ得ることを示す。導電性ポリマーコーティング層220は、導電性ポリマーコーティング層が容器内に蓄積した静電気を放電するための接地への経路を提供できるように、表面全体、またはその一部だけをコーティングしてもよい。例えば、導電性ポリマーコーティング層220は、容器の頂壁、側壁、および底壁の外面に沿ってコーティングストリップとして設けられてもよく、および/またはその全体をコーティングしてもよい。したがって、容器1がロード/アンロードポートにロードされると、導電性ポリマーコーティング層220およびロード/アンロードポートに設けられた接地を通して接地への経路が提供される。
【0033】
一実施形態では、容器1の表面層上に、50ナノメートル~50マイクロメートル、好ましくは200ナノメートル~10マイクロメートル、より好ましくは200ナノメートル~500ナノメートルの厚さを有する導電性ポリマーコーティング層220がコーティングされ得ることが理解される。導電性ポリマーコーティング層の所望の厚さは、装置の用途および装置の使用条件に依存するため、導電性ポリマーコーティング層の所望の厚さは、これに限定されない。導電性ポリマーコーティング層220は、基板の表面層上の薄いコーティング層として設けられるため、一部の利点が提供される。例えば、導電性ポリマーコーティング層は基板の表面層上に設けられるため、導電性ポリマーコーティング層は表面活性材料であり、先行するESD材料の導電性充填剤を有する配合ポリマー樹脂と同等またはそれ以上の導電性を提供しながら、下地基板の物理的および/または機械的特性を変化させない。さらに、導電性ポリマーコーティング層は基板上にコーティングされた別個の層であるため、導電性ポリマーコーティング層の清浄度を制御するのがより容易であり、これは導電性ポリマーコーティング層を設けるために使用される材料が、導電性ポリマー、および任意選択で導電性ポリマーと共に使用される添加剤、結合剤、溶媒、界面活性剤などに限定されるためである。さらに、静電気散逸材料は、ポリマー樹脂と導電性金属充填剤の配合から生産されるのではなく、導電性ポリマーのコーティングであるため、基板に異なる着色を付与するために、導電性ポリマーコーティング層を半透明または青色のコーティング層として設けることができることが理解される。
【0034】
一実施形態では、導電性ポリマーコーティング層220は、重なり合うp軌道を有する共役ポリマーを含むことができ、ここで共役ポリマーは、交互の二重結合および単結合の骨格鎖によって特徴付けられる有機高分子を指す。例えば、共役ポリマーは、芳香族環を含み、窒素(N)または硫黄(S)を含むヘテロ原子を有する主鎖を含むことができ、ここでNまたはSのヘテロ原子は、芳香族環内または芳香族環外のいずれかにある。芳香族環内にNを含むヘテロ原子を有するポリマーとしては、ポリピロール、ポリカルバゾール、ポリインドールおよびポリアゼピンが挙げられ、芳香族環外にNを含むヘテロ原子を有するポリマーとしては、ポリアニリンが挙げられる。芳香族環内にSを含むヘテロ原子を有するポリマーとしては、ポリチオフェンおよびポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)が挙げられ、芳香族環外にSを含むヘテロ原子を有するポリマーとしては、ポリ(p-フェニレンスルフィド)が挙げられる。導電性ポリマーコーティング層220はまた、添加剤、例えばメタクリレート、アクリレート、および/またはアクリルアミドベースのモノマー、ビニルベースのモノマー、光活性結合剤またはフォトポリマー、安定剤、例えば2,2,6,6-テトラメチルピペリジンおよびその誘導体、ベンゾフェノン、ベンゾフラノン、オキサニリド、p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン、エチレンジウレア、ヒンダードフェノール、芳香族アミン、ベンゾトリアゾール、およびヒドロキシフェニルトリアジン、増粘剤、溶媒、界面活性剤、架橋剤、コーティング層の材料を配置し結合させる結合剤を含み、接着、耐久性、可撓性、光沢などを提供してもよい。したがって、導電性ポリマーコーティング層220は、装置内の静電気蓄積を放電するための導電性を提供するためのポリマーから本質的になり、層の導電性を提供するための導電性充填剤、例えば、金属などを含まないことが理解される。
【0035】
一実施形態では、共役ポリマーは、ポリスチレンスルホン酸(PSSまたはPSSA)の存在下でのモノマー3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)の水性酸化重合によって作製されるPEDOT:PSSである。複合体中のPSSは、カチオン性の導電性PEDOTの対イオンとして機能し、PEDOT:PSSポリマーゲル粒子の安定で処理しやすい分散液を形成することが理解される。これらのゲル粒子は、分散液中でおよそ90~95%が水からなり、優れた膜形成特性を有し、様々な基板上の導電性ポリマーコーティング層の薄いコーティングに容易に処理可能である。
【0036】
導電性ポリマーコーティング層220の共役ポリマーは、ポリマーに付着した水分子を含まないため、導電性ポリマーコーティング層は系内の相対湿度に依存しないことが理解される。すなわち、一部の導電性ポリマーは、疎水性骨格、およびポリマー骨格に、もしくはポリマー骨格の末端に付着した少量のイオン性部位からなるアイオノマー、ならびに/またはポリエステル-エーテルもしくは他の親水性基と共重合したコポリマーを含み、ここで導電性は、これらのポリマーのイオン性基またはエーテル基によって吸収される水分子または金属イオンに基づくが、本発明の導電性ポリマーは、導電性が環境中の相対湿度に依存しない、例えば、導電性が相対湿度にあまり影響されない共役ポリマーである。例えば、理論に束縛されることを望むことなく、共役ポリマーは交互の二重結合および単結合の骨格鎖を含み、ここで重なり合うp軌道が非局在化π電子の系を作るため、導電性ポリマーの導電性がもたらされ、そのような導電性のために水分子および/または金属イオンに依存しないことが理解される。
【0037】
さらに、導電性ポリマーコーティング層220は、E+5からE+9Ωcmの間の表面抵抗率を有する。また、導電性ポリマーコーティング層220は、4μg/g未満、好ましくは2μg/g未満、最も好ましくは0.5μg/g未満のガスを放出し、かつ400ng/g未満、好ましくは200ng/g未満、最も好ましくは100ng/g未満の総抽出可能金属を有することにより、半導体処理に対する清浄度要件を満たす。導電性ポリマーコーティング層220の清浄度要件は、以下で考察されるように、特定の導電性ポリマーおよび特定の処理を使用することによってのみ達成可能であることが理解される。
【0038】
図3は、別の実施形態による、前面ドア304が取り外された容器300の透視図である。図3に示されるように、容器300は、前面ドア304およびシェル306を含み、構造および材料が図1の容器1と同様である。前面ドア304は、シェル306の前面開口内に受容され、前面開口を塞いでいる。シェル306は、容器の内部空間を画定し、ここでウェハまたはレチクルは、容器30の内部空間に収納されてもよい。容器300は、ドア304を移動させる(例えば、開ける、取り外す)ことによってアクセスされてもよい。例えば、図3のドア304は、ドア304をシェル306に挿入することによってシェル306に受容される。一実施形態では、ドア304およびシェル306の1つまたは複数は、ドア304が偶発的に外れるのを防止するためのロック機構(図示せず)を含むことができる。容器300は、例えば、前面開口一体型ポッド(FOUP)またはレチクルポッドなどのレチクル用容器であってもよい。
【0039】
容器300は、複数のウェハまたはレチクル支持構造308、例えば、内部空間内にウェハまたはレチクル(図示せず)を保持するための棚を含むことができる。棚308は、レールまたはスロットに挿入されてもよく、それぞれ内部空間内にウェハまたはレチクル(図示せず)を保持する大きさに調整される。例えば、一実施形態における棚308は、特定の大きさのウェハまたはレチクル(例えば、150mmウェハ、200mmウェハなど)を保持する大きさに調整される。容器300は、ウェハもしくはレチクルを容器300にロードするため、および/または容器300内でウェハもしくはレチクルを処理するために、ロード/アンロードポートからロードおよび/またはアンロードされてもよい。
【0040】
この実施形態では、容器300のハウジングの内部および/または外部の全体は導電性ポリマーコーティング層でコーティングされないが、代わりに、導電性ポリマーコーティング層320は、容器300の少なくとも内面に沿ってストリップとして設けられる。導電性ポリマーコーティング層320は、容器300の底壁を通した接地への経路として提供されてもよい。導電性ポリマーコーティング層320は、側壁および/または支持構造308に沿って設けられ、容器300の底壁を通した接地への連続的な経路を提供することができることが理解される。容器300がロード/アンロードポートにロードされた後、接地への経路が完成し、それにより容器300内またはその周囲に蓄積された静電気を放電することができる。この実施形態は、内面に沿った導電性ポリマーコーティング320のストリップを示しているが、単独で、または内面に沿った導電性ポリマーコーティング層と組み合わせて提供されるさらなる静電気放電のために、ストリップを外面に沿って設けることもできることが理解される。
【0041】
図4は、一実施形態による、静電気放電を制御するための半導体取扱装置をコーティングする方法400のフローチャートである。例えば、方法400は、上記および図1に記載されるように、容器1をコーティングするために使用されてもよい。一実施形態では、容器1は、FOUPまたはレチクル容器である。
【0042】
操作または処理フローチャート400は、1つまたは複数のブロック410、420、430、440、および450によって示される1つまたは複数の操作、行為、または機能を含むことができる。個別のブロックとして示されているが、所望の実装に応じて、様々なブロックを追加のブロックに分割するか、より少ないブロックに組み合わせるか、または排除することができる。非限定的な例として、フローチャート400のブロックは、例えば、プロセッサおよび/またはメモリを有する任意の好適なコントローラによって実行されてもよい。方法400は、ブロック410またはブロック420またはブロック430のいずれかで開始してもよい。ブロック410がブロック420に先行するか、またはその逆も可能であることが理解される。
【0043】
410において、半導体処理装置のハウジング用の基板または半導体支持構造の少なくとも一部は、導電性ポリマーコーティング層でコーティングされる。ハウジングおよび/または半導体支持構造は、少なくともポリマー材料層を含み、導電性ポリマーコーティング層は、少なくともポリマー材料層をコーティングし、共役ポリマーを含む。導電性ポリマー導電性材料層は、その部分のみ、またはハウジングおよび/もしくは半導体支持構造の全体を導電性ポリマーコーティング層でコーティングされ得ることが理解される。基板はコーティング前に処理されてもよい。例えば、水、有機溶媒、プラズマ、オゾン、アルコールを使用して、酸などを使用して基板を洗浄し、基板をコーティングする前に乾燥させることができる。コーティングは、基板がコーティング前駆体溶液に浸されるディップコーティングプロセスを使用して適用されてもよい。基板の一部のみがコーティングされる場合、マスキング工程を使用して、コーティングされない基板の部分をマスクしてもよい。その後、方法400は420に進む。
【0044】
420において、導電性ポリマーコーティング層を有するハウジングおよび/または半導体支持構造は、80℃から160℃の間の温度で乾燥される。各ディップ後、基板は短時間で焼成され、直近に適用されたコーティング層を固化させる。典型的に、基板は通常、約80℃から約160℃の間の温度で、コーティングの間に約2分~約30分間焼成される。
【0045】
最終ディップ後、所望のコーティング厚さが達成されると、コーティングされた基板を熱硬化することができる。熱硬化工程は、各ディップ後の比較的短い焼成期間よりも顕著に長い期間にわたって、上昇した温度で基板を焼成することを含む。例えば、熱硬化工程は、典型的に約80℃~約160℃の温度で約15分~約4時間基板を焼成することを含む。
【0046】
コーティング工程は、コーティングのための他の手段、例えば、スプレーコーティング、蒸着、化学的および電気化学的コーティング、スピンコーティング、ロールツーロールコーティング、バーコーティングなど、およびそれらの組合せを含むことができることも理解される。導電性ポリマーがUV開始重合を使用して重合され得るポリマーを含む場合、方法はUV開始重合工程を含むこともできる。
【0047】
430において、導電性ポリマーコーティング層を有する乾燥したハウジングおよび/または半導体支持構造は、5%HCl水溶液に浸漬される。
【0048】
440において、導電性ポリマーコーティング層を有するハウジングおよび/または半導体支持構造は5%HCl水溶液から除去され、導電性ポリマーコーティング層を有するハウジングおよび/または半導体支持構造は、脱イオン水ですすがれるおよび/または脱イオン水に浸漬される。
【0049】
450において、導電性ポリマーコーティング層を有するハウジングおよび/または半導体支持構造は乾燥される。得られた導電性ポリマーコーティング層は、200ng/g未満、好ましくは100ng/g未満の総抽出可能金属を有する。
【実施例
【0050】
半導体処理では、導電性ポリマーコーティングの以下の特性が達成されるべきである:
- ESD目標:E+5~E+9Ωcmの表面抵抗率。
- コーティングのESD安定性:異なる温度(100℃まで)および異なる相対湿度で安定である。
- コーティングの清浄度:
a.ガス放出<4μg/g、好ましくは<2μg/g、最も好ましくは<0.5μg/g
b.総抽出可能金属<400ng/g、好ましくは<200ng/g、最も好ましくは<100ng/g
- コーティングの堅牢性
a.コーティングの結合安定性を決定するためのテープ接着試験。テープ接着試験は、修正ASTM D3359 方法B(クロスカット)に基づいて行う。試験を、各方向の2つの切り込みによって作成されるクロスカット格子パターンで、鋭利なナイフの刃でコーティングを基板にスクライブすることによって実施する。切開を行ったら、GLTL ASTM D3359クロスハッチ接着試験テープを切開部の上に貼り、消しゴムを使用して定位置に押し付ける。約60秒間の短い「回復」期間の後、テープの自由端をつかみ、可能な限り180°に近い角度で急速に折り曲げて引き剥がすことによって取り外す。テープを取り外した後、基板およびテープの裏面から剥がれたコーティングの量を調べる。接着を、ASTM D3359規格に規定された尺度に基づき評価する。導電性ポリマーコーティング層は、コーティングの剥離または剥がれがなければテープ接着試験に合格する。
a.脱粒およびウェハ挿入試験などの他の用途要件。
【0051】
一実施形態では、表面抵抗率を以下の方法によって決定できることが理解される:
1)導電性ポリマーでコーティングされたポリマープラークをまず拭き取って洗浄する。洗浄は、水および/または石鹸を使用し、有機溶媒、過酸化水素、酸またはエッチング溶液、プラズマ洗浄/エッチングなどを使用して行われ得る。
2)次に、表面抵抗率計、例えばPRS-801抵抗システムから2本のプローブを使用して、プラークの抵抗率を測定する。
【0052】
一実施形態では、ガス放出は以下の方法によって決定され得ることが理解される:
1)基板試料を0.1~0.2グラム採取し、空の熱脱着(TD)チューブに入れる。
2)100または200℃の温度でTDチューブ内の基板試料に対して30分間熱脱着を使用して、基板試料からガスを分離する。
3)ガスクロマトグラフィーおよび質量分析を使用してTDチューブ内の放出ガスを分析する。
【0053】
一実施形態では、抽出可能金属は以下の方法によって決定され得ることが理解される:
1)基板試料20グラムを採取し、基板試料を瓶、例えば清浄なPFA瓶に入れ、5%HNO3を20ml添加する。
2)基板試料を5%HNO3で70℃で4時間浸出する。
3)浸出液をボトル、例えば清浄なPFAボトルに取り出し、誘導結合プラズマ質量分析を使用して浸出液を分析する。
4)20mlの5%HNO3のブランクを結果から差し引いてもよい。
【0054】
導電性ポリマーコーティングの上記の特性および試験手順を念頭に置いて、本開示の様々な実施形態をさらに説明するために、以下の実施例を提供する。
【0055】
比較例1:
ポリカーボネート(PC)または超高分子量ポリエチレン(UPE)を含む基板を用意する。次いで、PCおよびUPEの基板を、ポリスチレンスルホン酸(PSSまたはPSSA)の存在下でのモノマー3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)の水性酸化重合を含む前駆体コーティング組成物中でディップコーティングする。前駆体コーティング組成物は、約90~95%が水である。基板を、導電性ポリマーコーティング層が所望の厚さ、例えば約200nm~10μmに到達するまで前駆体コーティング組成物でコーティングし、80℃~160℃の温度で乾燥させてコーティング組成物を固化する。基板のコーティング中、基板を所望の厚さに到達するまで複数回ディップすることができる。各ディップ後、基板を乾燥させてコーティング層を固化することができる。
【0056】
比較例2:
ポリカーボネート(PC)または超高分子量ポリエチレン(UPE)を含む基板を、比較例1と同様に準備する。しかし、ディップコーティングの前に、PCおよびUPEの基板を予備洗浄する。洗浄は、水および/または石鹸でのすすぎ、有機溶媒、過酸化水素、酸またはエッチング溶液の使用、プラズマ洗浄/エッチングなどを含むがこれらに限定されない。次いで、PCおよびUPEの基板を、ポリスチレンスルホン酸(PSSまたはPSSA)の存在下でのモノマー3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)の水性酸化重合を含む前駆体コーティング組成物中でディップコーティングする。基板を、導電性ポリマーコーティング層が所望の厚さ、例えば約200nm~10μmに到達するまで前駆体コーティング組成物でコーティングし、80℃から160℃の間の温度で乾燥してコーティング組成物を固化する。基板のコーティング中、基板を所望の厚さに到達するまで複数回ディップすることができる。各ディップ後、基板を乾燥させてコーティング層を固化することができる。
【0057】
実施形態例1:
ポリカーボネート(PC)または超高分子量ポリエチレン(UPE)を含む基板を、比較例2と同様に準備する。例えば、ディップコーティングの前に、PCおよびUPEの基板を予備洗浄する。次いで、PCおよびUPEの基板を、ポリスチレンスルホン酸(PSSまたはPSSA)の存在下でのモノマー3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)の水性酸化重合を含む前駆体コーティング組成物中でディップコーティングする。基板を、導電性ポリマーコーティング層が所望の厚さ、例えば約200nm~10μmに到達するまで前駆体コーティング組成物でコーティングし、80℃から160℃の間の温度で乾燥させてコーティング組成物を固化する。基板のコーティング中、基板を所望の厚さに到達するまで複数回ディップすることができる。各ディップ後、基板を乾燥させてコーティング層を固化することができる。しかし、ディップコーティング工程後、PCおよびUPEの基板を酸洗浄する。具体的には、乾燥したPCおよびUPEの基板を5%HCl水溶液に少なくとも約10時間、好ましくは約15時間浸漬させる。次に、PCおよびUPEの基板を脱イオン水ですすぎ、脱イオン水に少なくとも約4時間、好ましくは約8時間、最も好ましくは約10時間浸漬させる。最後に、PCおよびUPEの基板を80℃から160℃の間の温度で乾燥させ、コーティング組成物を固化してPCおよびUPEの基板を乾燥させる。
【0058】
結果
比較例1および2、ならびに実施形態例1は、一部の類似した結果を有していた。例えば、導電性ポリマーコーティング層は均一であり、半透明であるか、または水色であった。
【0059】
さらに、表1に見られるように、比較例1および2ならびに実施形態例1の導電性ポリマーコーティング層を有するPCおよびUPEの基板は、E+5からE+9Ωcmの間であることにより、半導体処理のための目標表面抵抗率を満たした。共役ポリマーを有する導電性ポリマーコーティング層は、他のESDポリマー、例えばアイオノマー型ESDポリマーよりも有利であることが理解される。例えば、共役ポリマーを有する導電性ポリマーコーティング層は、高温、例えば100℃および高湿度状態、例えば浸水時でも安定した表面抵抗率を有する。
【0060】
【0061】
さらに、比較例1および2ならびに実施形態例1の共役ポリマーを有する導電性ポリマーコーティング層を有するPCおよびUPEの基板は、試験時に導電性ポリマーコーティング層の剥離または剥がれがなかったため、テープ試験に合格した。より堅牢なコーティングを得るために、オゾンを使用してUPEの基板を前処理してもよく、これは実施例のいずれにも使用され得ることが理解される。
【0062】
比較例1および2ならびに実施形態例1の共役ポリマーを有する導電性ポリマーコーティング層を有するPCおよびUPEの基板は、半導体処理のための表面抵抗率、コーティングの安定性、およびコーティングの堅牢性の特性を満たしたが、比較例1および2の導電性ポリマーコーティング層を有する基板は、以下で考察されるように、半導体処理のための清浄度目標のすべてを満たさなかった。
【0063】
図5に見られるように、比較例1の導電性ポリマーコーティングを有する基板は、ガス放出に関するコーティング清浄度基準を満たさなかった。むしろ、比較例1の導電性ポリマーコーティングを有する基板は、約4.3μg/gで0.5μg/gより高いガスを放出していた。しかし、比較例2および実施形態例1の導電性ポリマーコーティングを有する基板は、0.5μg/g未満の目標ガス放出レベルを満たした。
【0064】
図6に見られるように、比較例1および2の導電性ポリマーコーティングを有する基板はいずれも、総抽出可能金属に関するコーティング清浄度基準を満たさなかった。代わりに、比較例1の導電性ポリマーコーティングを有する基板は、約1190ng/gの総抽出可能金属を有する導電性ポリマーコーティング層を有し、一方、比較例2の導電性ポリマーコーティングを有する基板は、約820ng/gの総抽出可能金属を有する導電性ポリマーコーティング層を有していた。比較例2の導電性ポリマーコーティングを有する基板を、実施形態例1で行ったように酸洗浄すると、導電性ポリマーコーティング層の総抽出可能金属は約350ng/gに減少したことが驚くべきことに見出された。したがって、例えば酸洗浄を含む、実施形態例1のように調製された導電性ポリマーコーティングを有する基板のみが、400ng/g未満、好ましくは200ng/g未満、最も好ましくは100ng/g未満の総抽出可能金属を有し、半導体処理のための総抽出可能金属の清浄度目標を満たす導電性ポリマーコーティング層をもたらした。
【0065】
図6に見られるように、特定の金属の量が少ないかもしくは全くない結合剤および/または界面活性剤、例えば中性界面活性剤を含む前駆体コーティング組成物の選択と酸洗浄工程の組合せにより、半導体処理のガス放出および総抽出可能金属の清浄度基準を満たすかまたはそれを超える導電性ポリマーコーティングが得られることが驚くべきことに見出された。すなわち、酸洗浄工程は、導電性ポリマーコーティング層中の総抽出可能金属の一部を低減させるが、実施形態例1の導電性ポリマーコーティングを有する基板の調製の組合せは、驚くべきことに、100ng/g未満の総抽出可能金属を有することにより、導電性ポリマーコーティング層中の総抽出可能金属を相加的以上に低減させた。
【0066】
上記を考慮して、本明細書で考察された導電性ポリマーコーティング層は、半導体処理のための導電性ポリマーコーティングの特性を満たしたか、またはそれを超えたことが理解される。したがって、本明細書で開示される実施形態は、半導体処理システムの静電気放電消散を改善し、したがって半導体処理システムで使用される様々な装置および基板の寿命、歩留まりなどを改善し、静電荷の蓄積に関連する欠陥および/または損傷および/または安全性の問題を緩和することができる。
【0067】
態様。態様1~15のいずれかを態様16~17のいずれか1つと組み合わせることができ、その逆も同様であることに留意されたい。
【0068】
態様1.ポリマー材料層を含む基板、基板のポリマー材料層の少なくとも一部をコーティングする導電性ポリマーコーティング層を含む半導体処理装置であって、導電性ポリマーコーティング層が共役ポリマーを含み、導電性ポリマーコーティング層が400ng/g未満の総抽出可能金属を有し、導電性ポリマーコーティング層が、半導体処理システムに接続されたときに半導体処理装置内の静電気蓄積を放電するように構成される、半導体処理装置。
【0069】
態様2.導電性ポリマーコーティング層がポリマーから本質的になる、態様1に記載の半導体処理装置。
【0070】
態様3.導電性ポリマーコーティング層が半透明である、態様1および2のいずれかに記載の半導体処理装置。
【0071】
態様4.基板がポリマーを含み、ポリマーが、ポリカーボネート、ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、ポリオレフィン、環状オレフィンコポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、またはそれらの組合せの少なくとも1つである、態様1から3のいずれかに記載の半導体処理装置。
【0072】
態様5.導電性ポリマーコーティング層が、E+5からE+9Ωcmの表面抵抗率を有する、態様1から4のいずれかに記載の半導体処理装置。
【0073】
態様6.導電性ポリマーコーティング層が、4μg/g未満、好ましくは0.5μg/g未満のガスを放出する、態様1から5のいずれかに記載の半導体処理装置。
【0074】
態様7.導電性ポリマーコーティング層が、200ng/g未満、好ましくは100ng/g未満の総抽出可能金属を有する、態様1から6のいずれかに記載の半導体処理装置。
【0075】
態様8.導電性ポリマーコーティング層が200nmから10マイクロメートルの間の厚さを有する、態様1から7のいずれかに記載の半導体処理装置。
【0076】
態様9.導電性ポリマーコーティング層が表面活性材料である、態様1から8のいずれかに記載の半導体処理装置。
【0077】
態様10.導電性ポリマーコーティング層が、ポリアセチレン、ポリ(フルオレン)、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリピレン、ポリアズレン、ポリナフタレン、ポリ(ピロール)、ポリカルバゾール、ポリインドール、ポリアゼピン、ポリアニリン、ポリアセン、ポリチオフェン、ポリチオフェンビニレン、ポリ(p-フェニレンスルフィド)、ポリピリジン、またはこれらの官能化誘導体、前駆体もしくは組合せの少なくとも1種を含む、態様1から9のいずれかに記載の半導体処理装置。
【0078】
態様11.共役ポリマーが、窒素を含むまたは硫黄を含むヘテロ原子を含む、態様10に記載の半導体処理装置。
【0079】
態様12.半導体処理用の前面開口一体型ポッド、ウェハキャリア、レチクルキャリア、または同様の容器もしくは箱からなる群から選択される、態様1から11のいずれかに記載の半導体処理装置。
【0080】
態様13.1つまたは複数の半導体基板を収容するように構成された半導体支持構造をさらに含み、導電性ポリマーコーティング層が半導体支持構造の少なくとも一部をコーティングする、態様12に記載の半導体処理装置。
【0081】
態様14.導電性ポリマーコーティング層が、半導体処理装置が半導体処理システムのロードポートに接続されたときに、接地への経路を提供することによって静電気蓄積を放電するように構成される、態様13に記載の半導体処理装置。
【0082】
態様15.導電性ポリマーコーティング層がシステム内の相対湿度に依存しないように、導電性ポリマーコーティング層がポリマーに付着した水分子を含まない、態様1から14のいずれかに記載の半導体処理装置。
【0083】
態様16.静電気放電を制御するための半導体処理装置をコーティングするための方法であって、半導体処理装置の基板または半導体支持構造の少なくとも1つの少なくとも一部を導電性ポリマーコーティング層でコーティングすることであり、基板および/または半導体支持構造がポリマー材料層を含み、導電性ポリマーコーティング層が共役ポリマーを含む、コーティングすること、導電性ポリマーコーティング層を有する基板および/または半導体支持構造を乾燥させること、導電性ポリマーコーティング層を有する乾燥した基板および/または半導体支持構造を5%HCl水溶液に浸漬させること、導電性ポリマーコーティング層を有する基板および/または半導体支持構造を5%HCl水溶液から取り出し、導電性ポリマーコーティング層を有する基板および/または半導体支持構造を脱イオン水ですすぐおよび/または脱イオン水に浸漬させること、ならびに導電性ポリマーコーティング層を有する基板および/または半導体支持構造を乾燥させることを含み、導電性ポリマーコーティング層が400ng/g未満の総抽出可能金属を有する、半導体処理装置をコーティングするための方法。
【0084】
態様17.コーティングが、基板および/または半導体支持構造の全体を導電性ポリマーコーティング層でコーティングすることをさらに含む、態様16に記載の半導体処理装置をコーティングするための方法。
【0085】
このように、本開示の一部の例示的な実施形態を記載してきたが、当業者であれば、本明細書に添付された特許請求の範囲内でさらに他の実施形態が作製され、使用されてもよいことを容易に理解する。本文書によって包含される本開示の多数の利点は、前述の説明に示されている。しかし、本開示は、多くの点で例示に過ぎないことが理解される。本開示の範囲を超えることなく、細部、特に部品の形状、大きさ、および配置に関する事項に変更がなされてもよい。当然ながら、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲が表現する言語で定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-10-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー材料層を含む基板、および
基板のポリマー材料層の少なくとも一部をコーティングする導電性ポリマーコーティング層
を含む半導体処理装置であって、
導電性ポリマーコーティング層が共役ポリマーを含み、
導電性ポリマーコーティング層が400ng/g未満の総抽出可能金属を有し、
導電性ポリマーコーティング層が、半導体処理システムに接続されたときに半導体処理装置内の静電気蓄積を放電するように構成される、半導体処理装置。
【請求項2】
導電性ポリマーコーティング層が半透明である、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項3】
基板がポリマーを含み、ポリマーが、ポリカーボネート、ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、ポリオレフィン、環状オレフィンコポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、またはそれらの組合せの少なくとも1つである、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項4】
導電性ポリマーコーティング層が、E+5からE+9Ωcmの間の表面抵抗率を有する、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項5】
導電性ポリマーコーティング層が、4μg/g未満、好ましくは0.5μg/g未満のガスを放出する、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項6】
導電性ポリマーコーティング層が、200ng/g未満、好ましくは100ng/g未満の総抽出可能金属を有する、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項7】
導電性ポリマーコーティング層が200nmから10マイクロメートルの間の厚さを有する、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項8】
導電性ポリマーコーティング層が表面活性材料である、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項9】
導電性ポリマーコーティング層が、ポリアセチレン、ポリ(フルオレン)、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリピレン、ポリアズレン、ポリナフタレン、ポリ(ピロール)、ポリカルバゾール、ポリインドール、ポリアゼピン、ポリアニリン、ポリアセン、ポリチオフェン、ポリチオフェンビニレン、ポリ(p-フェニレンスルフィド)、ポリピリジン、またはこれらの官能化誘導体、前駆体もしくは組合せの少なくとも1種を含む、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項10】
半導体処理用の前面開口一体型ポッド、ウェハキャリア、レチクルキャリア、または同様の容器もしくは箱からなる群から選択される、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項11】
1つまたは複数の半導体基板を収容するように構成された半導体支持構造をさらに含み、導電性ポリマーコーティング層が半導体支持構造の少なくとも一部をコーティングする、請求項10に記載の半導体処理装置。
【請求項12】
導電性ポリマーコーティング層が、半導体処理装置が半導体処理システムのロードポートに接続されたときに、接地への経路を提供することによって静電気蓄積を放電するように構成される、請求項11に記載の半導体処理装置。
【請求項13】
導電性ポリマーコーティング層がシステム内の相対湿度に依存しないように、導電性ポリマーコーティング層がポリマーに付着した水分子を含まない、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項14】
静電気放電を制御するための半導体処理装置をコーティングするための方法であって、
半導体処理装置の基板または半導体支持構造の少なくとも1つの少なくとも一部を導電性ポリマーコーティング層でコーティングすることであり、基板および/または半導体支持構造がポリマー材料層を含み、導電性ポリマーコーティング層が共役ポリマーを含む、半導体処理装置の基板または半導体支持構造の少なくとも1つの少なくとも一部をコーティングすること、
導電性ポリマーコーティング層を有する基板および/または半導体支持構造を乾燥させること、
導電性ポリマーコーティング層を有する乾燥した基板および/または半導体支持構造を5%HCl水溶液に浸漬させること、
導電性ポリマーコーティング層を有する基板および/または半導体支持構造を5%HCl水溶液から取り出し、導電性ポリマーコーティング層を有する基板および/または半導体支持構造を脱イオン水ですすぐおよび/または脱イオン水に浸漬させること、ならびに
導電性ポリマーコーティング層を有する基板および/または半導体支持構造を乾燥させること
を含み、
導電性ポリマーコーティング層が400ng/g未満の総抽出可能金属を有する、半導体処理装置をコーティングするための方法。
【請求項15】
コーティングが、基板および/または半導体支持構造の全体を導電性ポリマーコーティング層でコーティングすることをさらに含む、請求項14に記載の半導体処理装置をコーティングするための方法。
【国際調査報告】