(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】物理的現象に基づくモデルを使用した基板製造チャンバの診断方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20250121BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537970
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(85)【翻訳文提出日】2024-08-20
(86)【国際出願番号】 US2022052447
(87)【国際公開番号】W WO2023121893
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】カシボトラ ヴェンカタ ラヴィシャンカール
(72)【発明者】
【氏名】チャン タオ
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ シャオチュン
(72)【発明者】
【氏名】バラジ バラ シュヤマラ
(57)【要約】
方法は、基板製造チャンバに関連したセンサによって製造プロセス中に生成された第1のセンサデータを受け取ることを含む。この方法はさらに、訓練された物理的現象に基づくモデルによって生成されたシミュレートされたセンサデータを受け取ることを含む。この方法はさらに、製造チャンバのどの1つまたは複数の構成要素が第1のセンサデータとシミュレートされたセンサデータとの間の差に寄与しているのかを決定することを含む。この方法はさらに、この差を考慮して是正処置を実行させることを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板製造チャンバに関連したセンサによって製造プロセス中に生成された第1のセンサデータを受け取ること、
訓練された物理的現象に基づくモデルによって生成されたシミュレートされたセンサデータを受け取ること、
前記基板製造チャンバのどの1つまたは複数の構成要素が前記第1のセンサデータと前記シミュレートされたセンサデータとの間の差に寄与しているのかを決定すること、および
前記差を考慮して是正処置を実行させること
を含む方法。
【請求項2】
前記是正処置が、
オフセットテーブルを更新すること、
保守をスケジュールに入れること、または
製造レシピを更新すること
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オフセットテーブルが、圧力センサオフセット値、または前記基板製造チャンバ内の圧力を制御するために使用されるアクチュエータのオフセット値のうちの1つまたは複数を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
許容可能なチャンバ条件が達成された製造プロセスの実例に関連した第2のセンサデータを受け取ること、および
前記基板製造チャンバのどの構成要素が前記第1のセンサデータと前記第2のセンサデータとの間の差に寄与しているのかを決定すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記基板製造チャンバが2つの圧力センサ、第1の圧力センサおよび第2の圧力センサを含み、前記第1の圧力センサが圧力制御ループの部分であり、前記第2の圧力センサが前記圧力制御ループの部分でない、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のセンサデータが、
圧力センサデータ、
アクチュエータの位置を指示するデータ、
高周波(RF)マッチ電圧データ、
RFマッチ電流データ、または
RFマッチキャパシタ位置データ
のうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記物理的現象に基づくモデルがデジタルツインモデルを含み、前記物理的現象に基づくデジタルツインモデルが、前記基板製造チャンバ内のガスコンダクタンスを計算する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のセンサデータと前記シミュレートされたセンサデータとの間の差に寄与している前記基板製造チャンバの前記1つまたは複数の構成要素が、1つまたは複数の圧力センサおよび1つまたは複数のアクチュエータを含み、
アクチュエータの寄与を決定することが、チャンバ圧力を指示する第1のデータとチャンバ圧力を指示する第2のデータとを比較し、その差が、閾値よりも小さいことを見出すことを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のセンサデータと前記シミュレートされたセンサデータとの間の差に対する圧力センサの寄与を決定することが、チャンバ圧力を指示する第1のデータとチャンバ圧力を指示する第2のデータとを比較し、その差が、ゼロからの閾値よりも大きいことを見出すことを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記基板製造チャンバのどの1つまたは複数の構成要素が前記第1のセンサデータと前記シミュレートされたセンサデータとの間の前記差に寄与しているのかを決定することが、前記第1のセンサデータおよび前記シミュレートされたセンサデータを訓練された機械学習モデルに提供することを含み、前記訓練された機械学習モデルが、前記1つまたは複数の構成要素のうちのそれぞれの構成要素について、前記第1のセンサデータと前記シミュレートされたセンサデータとの間の前記差に対するその構成要素の推定された寄与を出力する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
基板製造機器に関連したセンサによって製造プロセス中に生成された第1のセンサデータを受け取ること、
物理的現象に基づくモデルによって生成された第1のシミュレートされたセンサデータを受け取ること、
前記第1のセンサデータと前記シミュレートされたセンサデータとの間の少なくとも1つの差を決定すること、および
前記第1のセンサデータと前記シミュレートされたセンサデータとの間の前記少なくとも1つの差が閾値よりも小さくなるまで前記物理的現象に基づくモデルに関連したパラメータを調整することによって、前記物理的現象に基づくモデルを訓練すること
を含む方法。
【請求項12】
前記訓練された物理的現象に基づくモデルから、第2のシミュレートされたセンサデータを受け取ること、
前記基板製造機器に関連したセンサから、第2のセンサデータを受け取ること、
前記基板製造チャンバのどの1つまたは複数の構成要素が前記第2のセンサデータと前記第2のシミュレートされたデータとの間の差に寄与しているのかを決定すること、および
前記差を考慮して是正処置を実行させること
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記物理的現象に基づくモデルによって生成された前記第1のセンサデータが、圧力センサデータ、および前記基板製造チャンバ内の圧力を制御するために使用されるアクチュエータの位置データを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記物理的現象に基づくモデルがデジタルツインモデルを含み、前記物理的現象に基づくデジタルツインモデルが、前記基板製造チャンバ内のガスコンダクタンスを計算する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のセンサデータと前記第2のシミュレートされたデータとの間の差に寄与している前記基板製造チャンバの前記1つまたは複数の構成要素が、1つまたは複数の圧力センサおよび1つまたは複数のアクチュエータを含み、
アクチュエータの寄与を決定することが、チャンバ圧力を指示する第1のデータとチャンバ圧力を指示する第2のデータとを比較し、その差が、ゼロである閾値の範囲内にあることを見出すことを含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項16】
チャンバ圧力を指示する前記第1および第2のデータが、
センサデータ、または
シミュレートされたセンサデータ
のうちの1つまたは複数を含み、前記センサデータまたはシミュレートされたセンサデータが、
圧力センサデータ、
アクチュエータの位置を指示するデータ、
高周波(RF)マッチ電圧データ、
RFマッチ電流データ、または
RFマッチキャパシタ位置データ
のうちの1つまたは複数を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
命令を格納した非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体であって、前記命令が、処理デバイスによって実行されたときに、
基板製造チャンバに関連したセンサによって製造プロセス中に生成された第1のセンサデータを受け取ること、
訓練された物理的現象に基づくモデルによって生成されたシミュレートされたセンサデータを受け取ること、
前記製造チャンバのどの1つまたは複数の構成要素が前記第1のセンサデータと前記シミュレートされたセンサデータとの間の差に寄与しているのかを決定すること、および
前記差を考慮して是正処置を実行させること
を含む操作を、前記処理デバイスに実行させる、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項18】
前記操作がさらに、
許容可能なチャンバ条件が達成された製造プロセスの実例に関連した第2のセンサデータを格納すること、および
前記製造チャンバのどの構成要素が前記第1のセンサデータと前記第2のセンサデータとの間の差に寄与しているのかを決定すること
を含む、請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項19】
前記第1のセンサデータと前記シミュレートされたセンサデータとの間の差に寄与している前記製造チャンバの前記1つまたは複数の構成要素が、1つまたは複数の圧力センサおよび1つまたは複数のアクチュエータを含み、アクチュエータの寄与を決定することが、チャンバ圧力を指示する第1のデータとチャンバ圧力を指示する第2のデータとを比較し、その差が、ゼロである閾値の範囲内にあることを見出すことを含む、請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項20】
前記製造チャンバのどの1つまたは複数の構成要素が前記第1のセンサデータと前記シミュレートされたセンサデータとの間の前記差に寄与しているのかを決定することが、前記第1のセンサデータおよび前記シミュレートされたセンサデータを訓練された機械学習モデルに提供することを含み、前記訓練された機械学習モデルが、前記第1のセンサデータと前記シミュレートされたセンサデータとの間の前記差に対する、前記製造チャンバの複数の構成要素のうちのそれぞれの構成要素の寄与を予測するように構成されている、請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、製造機器の欠陥を判定するための診断方法に関し、より詳細には、物理的現象に基づくモデルを使用して診断方法を支援することに関する。
【背景技術】
【0002】
製造機器を使用して1つまたは複数の製造プロセスを実行することにより製品が生産されることがある。例えば、半導体製造機器を使用して、基板を半導体製造プロセスによって生産することがある。製品は、特定の特性がターゲット用途に適したものになるように生産される。製造チャンバ内の特性を理解し、制御することは、製品の一貫した生産の助けとなる。
【発明の概要】
【0003】
以下は、本開示のいくつかの態様の基本的理解を提供するための本開示の簡略化された概要である。この概要は、本開示を広範囲に概観したものではない。この概要が、本開示の鍵となる要素もしくは決定的に重要な要素を識別すること、または、この概要が、本開示の特定の実施形態の範囲もしくは特許請求の範囲を限定することは意図されていない。この概要の唯一の目的は、後に示すより詳細な説明に対する前置きとして、本開示のいくつかの着想を簡略化された形で示すことにある。
【0004】
本開示の一態様では、方法が、基板製造チャンバに関連したセンサによって製造プロセス中に生成された第1のセンサデータを受け取ることを含む。この方法はさらに、訓練された物理的現象に基づくモデルによって生成されたシミュレートされたセンサデータを受け取ることを含む。この方法はさらに、製造チャンバのどの1つまたは複数の構成要素が第1のセンサデータとシミュレートされたセンサデータとの間の差に寄与しているのかを決定することを含む。この方法はさらに、この差を考慮して是正処置を実行させることを含む。
【0005】
本開示の別の態様では、方法が、基板製造機器に関連したセンサによって製造プロセス中に生成されたセンサデータを受け取ることを含む。この方法はさらに、物理的現象に基づくモデルによって生成されたシミュレートされたセンサデータを受け取ることを含む。この方法はさらに、測定されたセンサデータとシミュレートされたセンサデータとの間の少なくとも1つの差を決定することを含む。この方法はさらに、センサデータとシミュレートされたセンサデータとの間の少なくとも1つの差が閾値よりも小さくなるまで物理的現象に基づくモデルに関連したパラメータを調整することによって、物理的現象に基づくモデルを訓練することを含む。
【0006】
本開示の別の態様では、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体が命令を格納しており、これらの命令は、処理デバイスによって実行されたときに、処理デバイスに操作を実行させる。これらの操作は、基板製造チャンバに関連したセンサによって製造プロセス中に生成された第1のセンサデータを受け取ることを含む。これらの操作はさらに、訓練された物理的現象に基づくモデルによって生成されたシミュレートされたセンサデータを受け取ることを含む。これらの操作はさらに、製造チャンバのどの1つまたは複数の構成要素が第1のセンサデータとシミュレートされたセンサデータとの間の差に寄与しているのかを決定することを含む。これらの操作はさらに、この差を考慮して是正処置を実行させることを含む。
【0007】
添付図面の図において、本開示は例として示されており、限定するものとしては示されていない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】ある種の実施形態による例示的なシステムアーキテクチャを示すブロック図である。
【
図2A】ある種の実施形態による、モデルのためのデータセットを生成するデータセット生成器を示す図である。
【
図2B】ある種の実施形態による、モデルのためのデータセットを生成するデータセット生成器を示す図である。
【
図3】ある種の実施形態による、予測データの決定を示すブロック図である。
【
図4A】ある種の実施形態による、予測データの生成に関連した、是正処置を実行させるための方法の流れ図である。
【
図4B】ある種の実施形態による、予測データの生成に関連した、是正処置を実行させるための方法の流れ図である。
【
図4C】ある種の実施形態による、予測データの生成に関連した、是正処置を実行させるための方法の流れ図である。
【
図4D】ある種の実施形態による、予測データの生成に関連した、是正処置を実行させるための方法の流れ図である。
【
図5】ある種の実施形態による製造チャンバの断面図である。
【
図6】ある種の実施形態によるコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書には、製造機器の問題を診断するためのデジタルツインベースの診断方法に関する技術が記載されている。製造機器は、基板(例えばウエハ、半導体)などの製品を生産するために使用されるものであってもよい。製造機器はしばしば、処理されている基板を環境から切り離す製造チャンバを含む。生産された基板の特性は、特定の機能を容易にするためのターゲット特性値を満たすことが期待されている。ターゲット特性値を満たす基板を生産することを試みるために、製造パラメータが選択される。結果として生産される基板の特性に寄与する多くの製造パラメータ(例えばハードウェアパラメータ、プロセスパラメータなど)がある。製造システムは、特性値の設定点を指定し、製造チャンバ内に配されたセンサからデータを受け取り、センサ読みが設定点と一致するまで製造機器を調整することによって、そのようなパラメータを制御する。いくつかのケースでは、製造機器のいくつかの構成要素のセンサおよびコントローラが、閉じた制御ループを形成する。すなわち、製造機器は、センサによって測定された特性値と設定点との間の差が検出されたときに自動的に調整される。
【0010】
そのような閉じた制御ループは、例えばセンサドリフト、チャンバドリフト、構成要素の老朽化または故障などによって破損しうる。従来のシステムでは、製造機器を使用し続けたときに生産された基板の特性が変化したときに、このような破損が検出されることがある。基板の特性の測定(例えば計測データの収集)は、時間がかかることがあり、コストがかかる機器を使用することがあり、エネルギーを要し、制御ループまたはチャンバの機能不良とその機能不良の検出との間の遅延、続く検出と診断との間の遅延、および診断と是正との間の別の遅延を導入する。このような遅延は、計画に含まれていない製造機器の休止時間を導入すること、もしくはそのような休止時間を増大させることがあり、または問題が検出されている間に、1つもしくは複数の欠陥のある基板が生産される原因となることがあり、その結果、材料、エネルギーなどが無駄になる。
【0011】
製造された基板の誤差が、可能な原因の大きなリストの中の1つまたは多数の原因に基づくことがある。基板欠陥の特定の原因の診断に費用がかかることがある。従来のシステムでは、基板欠陥の原因の決定が経験的に実行される(例えば、パラメータの調整が製造チャンバ内の条件の改善につながるとの確かな認識なしにパラメータを調整する)ことがある。次いで、基板を生産し、計測を実行し、品質を評価し、生産された基板が許容可能な品質レベルに達するまでパラメータを再調整する。許容可能な基板を達成するプロセスに費用がかかるだけでなく、(例えば、チャンバ内の性能のドリフトが加熱装置の性能のドリフトに起因しているにもかかわらず、許容可能な性能を達成するために変更するパラメータが処理時間であった場合に)調整されたレシピが効率的ではないこともある。そのような場合、問題を含む基板生産の原因を発見するプロセスは無駄が多いだけでなく、後続のそれぞれの製造ランが、理想的な製造条件での動作が可能にするであろうものよりも、エネルギー、材料、時間または他の同種のものに関してより費用がかかるものになることもある。
【0012】
このような手法は、いくつかの製造部品の寿命を短くすることがある。理想的に適しているとは言えない条件で構成要素が動作することもある。時間が経つにつれて、このような動作により構成要素が早めに壊れることがあり、それによって、構成要素を交換するための製造機器の予定外の休止時間が生じることがある。
【0013】
本開示の方法およびデバイスは、従来の解決策のこれらの欠陥のうちの少なくとも1つまたは複数の欠陥を解決する。いくつかの実施形態では、物理的現象に基づくデジタルツインモデルを使用して製造チャンバをモデル化する。いくつかの実施形態では、チャンバのモデルをチャンバマッチングに対して較正するために、チャンバ内の気体力学的動態が、物理的現象に基づく相関およびデータ駆動型技法を使用してモデル化される、ハイブリッド方法論が使用される。
【0014】
製造チャンバ内の動作に関連した物理的現象(熱伝達、流体力学的動態など)の方程式を解くことに対応するチャンバのモデルを構築することができる。物理的現象に基づくモデルは、製造チャンバ内の物理センサによって提供された読みに対応するシミュレートされた読みを提供するデジタルセンサを含んでいてもよい。このようにして構築された物理的現象に基づくモデルはそれでも、計算誤差、機器の製作公差、機器の老朽化/ドリフトなどのためにやや不正確である可能性が高い。入力データ(例えば製造パラメータ)および物理的現象に基づくデジタルツインモデルに対応する製造チャンバからのセンサデータをモデルに提供することによって、このような物理的現象に基づくモデルを訓練してもよい。次いで、このモデルは、この入力データを使用して、提供されたセンサデータを再生成することを試みる。シミュレートされたセンサデータがチャンバセンサデータとは異なる場合には、処理論理が、モデルのいくつかのパラメータを、モデルと製造チャンバから提供されたデータとがより密接に連携するように調整してもよい。物理的現象に基づくモデルが製造チャンバ内のセンサデータを十分に再現することができるようになるまで、このプロセスを繰り返してもよい。
【0015】
物理的現象に基づくデジタルツインモデルを訓練した後、後続の製造ランからの入力データ(例えば製造パラメータ)を物理的現象に基づくモデルに入力してもよい。次いで、物理的現象に基づくモデルからの出力(例えばシミュレートされたセンサデータ)を、製造ラン中に製造チャンバから集められたセンサデータと比較してもよい。シミュレートされたセンサデータと測定されたセンサデータとの間の差が有意でない(例えばゼロである閾値の範囲内にある)場合、製造チャンバの構成要素は使用条件下にあるとみなしてもよい。シミュレートされたセンサデータと測定されたセンサデータとの間の差が有意である場合、製造チャンバの構成要素は、欠陥がある、損傷している、または他の同種のものであるとみなしてもよい。次いで、チャンバの劣化に寄与している構成要素を分離するために追加の調査を開始してもよい。製造チャンバを以前の条件に戻すために是正処置を実行してもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、本開示の態様をオンラインで、すなわち基板製造プロセスと並行して実行してもよい。計測データを使用してプロセスパラメータを更新するのには時間がかかることがあるが、本明細書に開示された方法を基板製造中に実行してもよい。予測データまたは是正データを取得するのには数秒の処理時間がかかることがあり、その間に、完成した基板を製造チャンバの外に移動させ、新たな基板で作業を開始し、プロセス方法を調整し、次の基板を理想的な条件で処理してもよい。いくつかの実施形態では、無駄をさらに減らすために、製造プロセス中に調整を実行してもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、さらに、許容可能な基板を生産した製造ランからのセンサデータを格納してもよい。次いで、成功したランを指示する追加のデータが、カレントセンサデータとの比較に利用可能である。いくつかの実施形態では、物理的現象ベースのモデルによっては十分に表現されないデータを、「ゴールデンラン(golden run)」データ、すなわち許容可能な製品を生産したラン、例えば高周波(RF)マッチデータによって捕捉してもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、物理的現象に基づくモデルからの出力および製造チャンバからのセンサデータを、訓練された機械学習モデルに入力として提供してもよい。訓練された機械学習モデルは、シミュレートされたセンサデータと測定されたセンサデータとの間の差に寄与している構成要素のリストを出力として提供してもよい。訓練された機械学習モデルはさらに、それぞれの構成要素がどの程度寄与しているのかを指示するデータを提供してもよい。いくつかの実施形態では、訓練された機械学習モデルに、ゴールデンランからのセンサデータを提供してもよい。訓練された機械学習モデルは、ゴールデンランデータおよびカレントセンサデータを、いくつかの実施形態ではシミュレートされたセンサデータと共に使用して、ゴールデンランデータ、測定されたセンサデータおよびシミュレートされたセンサデータ間の差に対する構成要素の寄与を指示する出力を提供してもよい。
【0019】
本開示の態様は、従来の解決策に比べて技術的に有利である。本開示は、無駄が最小化されたより効率的な基板製造プロセスに帰着する。製造チャンバに問題が生じた場合、本開示の方法は、次のウエハの処理が始まる前に是正処置を実行させることができることがある。このようにすると、無駄になる材料、製造チャンバ時間、および製造プロセスに供給されるエネルギーを最小化することができる。ウエハ品質の変動およびチャンバドリフトの根本的原因が識別および是正されることがあるため、製品の品質が向上することがある。プロセスパラメータをより正確にチューニングすることができ、材料、エネルギーおよび時間のコストを改善することができるため、許容可能な品質のウエハを生産する効率も向上することがある。老朽化した構成要素を識別し、交換または保守のためのフラグを立ててもよく、このことは、予定外の休止時間、交換部品を急行便で送ることの関連したコストおよび他の同種のものを低減させる。
【0020】
いくつかの実施形態において、本開示は、基板製造チャンバに関連したセンサによって製造プロセス中に生成された、測定されたセンサデータを受け取ることを含む方法を記載している。この方法はさらに、訓練された物理的現象に基づくモデルによって生成されたシミュレートされたセンサデータを受け取ることを含む。この方法はさらに、製造機器のどの1つまたは複数の構成要素が測定されたセンサデータとシミュレートされたセンサデータとの間の差に寄与しているのかを決定することを含む。この方法はさらに、この差を考慮して是正処置を実行させることを含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、本開示は、物理的現象に基づくデジタルツインモデルを訓練する方法であって、基板製造機器に関連したセンサによって製造プロセス中に生成されたセンサデータを受け取ることを含む方法を記載している。この方法はさらに、(訓練されていない)物理的現象に基づくモデルによって生成されたシミュレートされたセンサデータを受け取ることを含む。この方法はさらに、センサデータとシミュレートされたセンサデータとの間の少なくとも1つの差を決定することを含む。この方法はさらに、シミュレートされたセンサデータと測定されたセンサデータとの間の差が事実上ゼロになるまで(例えば、ゼロからの閾値よりも小さくなるまで)物理的現象に基づくモデルのパラメータを調整することによって、物理的現象に基づくモデルを訓練することを含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、本開示は、命令を格納した非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体を記載している。処理デバイスによって実行されたとき、これらの命令は、処理デバイスに操作を実行させる。これらの操作は、基板製造チャンバに関連したセンサによって製造プロセス中に生成されたセンサデータを受け取ることを含む。これらの操作はさらに、訓練された物理的現象に基づくモデルによって生成されたシミュレートされたセンサデータを受け取ることを含む。これらの操作はさらに、製造チャンバのどの1つまたは複数の構成要素がシミュレートされたセンサデータと測定されたセンサデータとの間の少なくとも1つの差に寄与しているのかを決定することを含む。これらの操作はさらに、この差を考慮して是正処置を実行させることを含む。
【0023】
図1は、ある種の実施形態による例示的なシステム100(例示的なシステムアーキテクチャ)を示すブロック図である。システム100は、クライアントデバイス120、製造機器124、センサ126、計測機器128、予測サーバ112およびデータストア140を含む。予測サーバ112は、予測システム110の部分であってもよい。予測システム110はサーバマシン170および180をさらに含んでいてもよい。
【0024】
センサ126は、製造機器124に関連した(例えば、製造機器124によって基板などの対応する製品を生産することに関連した)センサデータ142を提供してもよい。センサデータ142は、機器の健全性および/または製品の健全性(例えば製品の質)に対して使用されてもよい。製造機器124は、レシピに従って、または1つの期間にわたってランを実行して、製品を生産してもよい。いくつかの実施形態では、センサデータ142が、温度(例えば加熱装置の温度)、間隔(SP)、圧力、高周波無線周波数(HFRF)、高周波(RF)マッチ電圧、RFマッチ電流、RFマッチキャパシタ位置、静電チャック(ESC)の電圧、アクチュエータ位置、電流、流量、電力、電圧などのうちの1つまたは複数の値を含んでいてもよい。センサデータ142は、製造機器124のハードウェアパラメータ(例えば設定もしくは構成要素、例えばサイズ、タイプなど)または製造機器124のプロセスパラメータなどの製造パラメータに関連したものであってもよく、あるいはそのような製造パラメータを指示するものであってもよい。その代わりにまたはそれに加えて、いくつかのハードウェアパラメータに関連したデータが製造パラメータ150として格納されていてもよく、製造パラメータ150は、履歴製造パラメータ152およびカレント製造パラメータ154を含んでいてもよい。製造パラメータ150は、製造デバイスに対する入力設定(例え加熱装置の電力、ガスの流量など)を指示するものであってもよい。センサデータ142および/または製造パラメータ150は、製造機器124が製造プロセスを実行している間に提供されたもの(例えば製品を処理しているときの機器の読み)であってもよい。センサデータ142は製品ごとに(例えば基板ごとに)異なっていてもよい。基板は、計測機器128によって測定された特性値(膜厚、膜歪など)を有していてもよい。計測データ160がデータストア140の構成要素であってもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、センサデータ142、計測データ164または製造パラメータ150が、(例えばクライアントデバイス120および/または予測サーバ112によって)処理されてもよい。センサデータ142の処理は特徴を生成することを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、この特徴が、センサデータ142、計測データ160および/または製造パラメータ150のパターン(例えば傾き、幅、高さ、ピークなど)、またはセンサデータ142、計測データおよび/または製造パラメータからの値の組合せ(例えば電圧と電流から導き出された電力など)である。センサデータ142は特徴を含んでいてもよく、それらの特徴は、信号処理を実行するために、および/または是正処置を実行するための予測データ168を取得するために、予測構成要素114によって使用されてもよい。
【0026】
センサデータ142のそれぞれの実例(例えばセット)は、製品(例えば基板)、製造機器のセット、製造機器によって生産された基板のタイプ、または他の同種のものに対応してもよい。同様に、計測データ160および製造パラメータ150のそれぞれの実例も、製品、製造機器のセット、製造機器によって生産された基板のタイプ、または他の同種のものに対応してもよい。データストアはさらに、異なるデータタイプのセットを関連付ける情報、例えば、センサデータのセット、計測データのセットおよび製造パラメータのセットが全て、同じ製品、同じ製造機器、同じタイプの基板などに関連していることを指示する情報、を格納していてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、物理的現象に基づくデジタルツインモデルが、シミュレートされたセンサデータ162を生成してもよい。シミュレートされたセンサデータ162は、センサデータ142に関連して上で説明した任意のやり方で、例えば、特徴を生成する、値を結合する、特定のレシピ、チャンバまたは基板からのデータを連結するなどのやり方で、処理されたものであってもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、予測システム110が、教師あり機械学習を使用して(例えば、教師ありデータセットを使用する、予測データ168が計測データを含む、など)予測データ168を生成してもよい。いくつかの実施形態では、予測システム110が、半教師あり学習を使用して(例えば半教師ありデータセットを使用する、予測データ168が予測百分率である、など)予測データ168を生成してもよい。いくつかの実施形態では、予測システム110が、教師なし機械学習を使用して(例えば、教師なしデータセット、クラスタ化、計測データ160に基づくクラスタなどを使用して)予測データ168を生成してもよい。
【0029】
クライアントデバイス120、製造機器124、センサ126、計測機器128、予測サーバ112、データストア140、サーバマシン170およびサーバマシン180は、是正処置を実行するための予測データ168を生成するためにネットワーク130を介して互いに結合されていてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、ネットワーク130が、予測サーバ112、データストア140および他の公衆コンピューティングデバイスへのアクセスをクライアントデバイス120に提供する公衆ネットワークである。いくつかの実施形態では、ネットワーク130が、製造機器124、センサ126、計測機器128、データストア140および他の専用コンピューティングデバイスへのアクセスをクライアントデバイス120に提供する専用ネットワークである。ネットワーク130は、1つまたは複数のワイドエリアネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、有線ネットワーク(例えばEthernetネットワーク)、無線ネットワーク(例えば802.11ネットワークまたはWi-Fiネットワーク)、セルラーネットワーク(例えばロングタームエボルーション(LTE)ネットワーク)、ルータ、ハブ、スイッチ、サーバコンピュータ、クラウドコンピューティングネットワークおよび/またはこれらの組合せを含んでいてもよい。
【0031】
クライアントデバイス120は、パーソナルコンピュータ(PC)、ラップトップ、モバイルフォン、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ネットブックコンピュータ、ネットワーク接続されたテレビジョン(「スマートTV」)、ネットワーク接続されたメディアプレーヤ(例えばBlu-rayプレーヤ)、セットトップボックス、オーバーザトップ(OTT)ストリーミングデバイス、オペレータボックスなどのコンピューティングデバイスを含んでいてもよい。クライアントデバイス120は、是正処置構成要素122を含んでいてもよい。是正処置構成要素122は、製造機器124に関連した指示のユーザ入力を(例えば、クライアントデバイス120を介して表示されたグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して)受け取ってもよい。いくつかの実施形態では、是正処置構成要素122が、この指示を予測システム110に送信し、予測システム110から出力(例えば予測データ168)を受信し、この出力に基づいて是正処置を決定し、その是正処置を実施させる。いくつかの実施形態では、是正処置構成要素122が、製造機器124に関連したセンサデータ142(例えばカレントセンサデータ146)を(例えばデータストア140などから)取得し、製造機器124に関連したセンサデータ142(例えばカレントセンサデータ146)を予測システム110に提供する。いくつかの実施形態では、是正処置構成要素122がセンサデータ142をデータストア140に格納し、予測サーバ112がデータストア140からセンサデータ142を取り出す。いくつかの実施形態では、予測サーバ112が、訓練されたモデル190の出力(例えば予測データ168)をデータストア140に格納してもよく、クライアントデバイス120がこの出力をデータストア140から取り出してもよい。いくつかの実施形態では、是正処置構成要素122が予測システム110から是正処置の指示を受け取り、是正処置を実施させる。それぞれのクライアントデバイス120は、データ(例えば製造機器124に関連した指示、製造機器124に関連した是正処置など)を生成、調査または編集することのうちの1つまたは複数をユーザが実行することを可能にするオペレーティングシステムを含んでいてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、計測データ160が、製品(例えば、履歴センサデータ144および履歴製造パラメータ152に関連した製造パラメータを使用して生成された製品)の履歴特性データに対応し、予測データ168が、予測された特性データ(例えば、カレントセンサデータ146および/またはカレント製造パラメータ154によって記録された条件で生産される製品または生産された製品の予測された特性データ)に関連している。いくつかの実施形態では、予測データ168が、カレントセンサデータ146および/またはカレント製造パラメータ154として記録された条件に従って生産される製品または生産された製品の予測された計測データ(例えば仮想計測データ)である。いくつかの実施形態では、予測データ168が、異常(例えば異常な製品、異常な構成要素、異常な製造機器124、異常なエネルギー使用量など)の指示およびそれらの異常の1つもしくは複数の原因の指示である。いくつかの実施形態では、予測データ168が、製造機器124、センサ126、計測機器128および他の同種のもののある構成要素の時間変化またはドリフトの指示である。いくつかの実施形態では、予測データ168が、製造機器124、センサ126、計測機器128または他の同種のものの構成要素の寿命の終わりの指示である。
【0033】
欠陥製品に帰着する製造プロセスを実行することは、時間、エネルギー、製品、構成要素、製造機器124、欠陥を識別し、欠陥製品を廃棄するコストなどにおいてコスト高となりうる。センサデータ142(例えば、製品を製造するために使用されている、または使用される製造パラメータ)を予測システム110に入力し、予測データ168の出力を受け取り、予測データ168に基づいて是正処置を実行することにより、システム100は、欠陥製品を生産、識別および廃棄するコストを回避するという技術的利点を有しうる。
【0034】
製造機器124の構成要素の故障に帰着する製造プロセスを実行することは、休止時間、製品に対する損傷、機器に対する損傷、急遽発注する交換構成要素などにおいてコスト高となりうる。センサデータ142(例えば、製品を製造するために使用されている、または使用される製造パラメータを入力し、予測データ168の出力を受け取り、予測データ168に基づく是正処置(例えば予測された動作保守、例えば構成要素の交換、処理、洗浄など)を実行することにより、システム100は、構成要素の予期しない故障、予定外の休止時間、生産性の損失、機器の予期しない故障、製品廃棄または他の同種のもののうちの1つまたは複数のコストを回避するという技術的利点を有しうる。構成要素の性能、例えば製造機器124、センサ126、計測機器128および他の同種のものの性能を経時的に監視して、劣化している構成要素の指示を提供してもよい。
【0035】
製品を生産するのに製造パラメータが最適とは言えないことがあり、製品を生産することが、リソース(例えばエネルギー、冷却剤、ガスなど)消費の増大、製品を生産する時間の増大、構成要素故障の増大、欠陥製品量の増大などのコストのかかる結果を有することがある。センサデータ142を訓練されたモデル190に入力し、予測データ168の出力を受け取り、製造パラメータを更新する(例えば最適な製造パラメータを設定する)是正処置を(例えば予測データ168に基づいて)実行することによって、システム100は、最適な製造パラメータ(例えばハードウェアパラメータ、プロセスパラメータ、最適設計)を使用して、最適とは言えない製造パラメータのコストがかかる結果を回避するという技術的利点を有しうる。
【0036】
是正処置は、計算プロセス制御(Computational Process Control)(CPC)、統計的プロセス制御(Statistical Process Control)(SPC)(例えば、制御下にあるプロセスを決定するための電子構成要素に対するSPC、構成要素の有効寿命を予測するためのSPC、3シグマのグラフと比較するためのSPCなど)、高度プロセス制御(Advanced Process Control)(APC)、モデルベースのプロセス制御、予防的動作保守、設計最適化、製造パラメータの更新、製造レシピの更新、フィードバック制御、機械学習修正、または他の同種のもののうちの1つまたは複数に関連していてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、是正処置が警報(例えば、予測データ168が、製品、構成要素または製造機器124の異常などの予測された異常を指示している場合に、製造プロセスを停止するように、または実行しないように警告する警告)を出すことを含む。いくつかの実施形態では、是正処置が、フィードバック制御(例えば、予測データ168が予測された異常を指示していることに応答して製造パラメータを変更するフィードバック制御)を提供することを含む。いくつかの実施形態では、是正処置を実行することが、1つまたは複数の製造パラメータに対する更新を実行させることを含む。
【0038】
製造パラメータは、ハードウェアパラメータ(例えば、構成要素を交換すること、ある種の構成要素を使用すること、処理チップを交換すること、ファームウェアを更新することなど)、および/またはプロセスパラメータ(例えば温度、圧力、流量、レート、電流、電圧、ガス流量、リフト速度など)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、是正処置が、予防的動作保守(例えば製造機器124の構成要素の交換、処理、洗浄など)を実行させることを含む。いくつかの実施形態では、是正処置が、設計最適化(例えば、製品を最適化するために製造パラメータ、製造プロセス、製造機器124などを更新すること)を実行させることを含む。いくつかの実施形態では、是正処置が、レシピを更新すること(例えば、製造機器124をアイドルモード、スリープモード、ウォームアップモードなどにすること)を含む。
【0039】
予測サーバ112、サーバマシン170およびサーバマシン180はそれぞれ、ラックマウントサーバ、ルータコンピュータ、サーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ、メインフレームコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ、グラフィクス処理ユニット(GPU)、アクセラレータ特定用途向け集積回路(ASIC)(例えばテンソル処理ユニット(TPU))などの1つまたは複数のコンピューティングデバイスを含んでいてもよい。
【0040】
予測サーバ112は予測構成要素114を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、予測構成要素114が、カレントセンサデータ146および/またはカレント製造パラメータ154を受け取り(例えば、クライアントデバイス120から受け取り、データストア140から取り出し)、製造機器124に関連した是正処置を実行するための出力(例えば予測データ168)をカレントデータに基づいて生成してもよい。いくつかの実施形態では、予測構成要素114が、1つまたは複数の訓練されたモデル190を使用して、是正処置を実行するための出力をカレントデータに基づいて決定してもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、モデル190が、訓練された物理的現象に基づくデジタルツインモデルを含んでいてもよい。物理的現象に基づくモデルは、製造チャンバ内で起こる可能性がある物理的現象を記述した連立方程式、例えば、熱流、エネルギー収支、ガスコンダクタンス(gas conductance)、物質収支、流体力学的動態または他の同種のものを支配する方程式、を解くことができるものであってもよい。いくつかの実施形態では、物理的現象に基づくモデルが、製造チャンバ内のガスコンダクタンスの計算を実行する。訓練された物理的現象に基づくモデルに製造パラメータ150が提供されてもよい。訓練された物理的現象に基づくモデルは、製造チャンバ(例えば製造機器124)内に配されたセンサ126に対応する、チャンバ内の条件を指示するモデル化された特性値を出力として提供してもよい。物理的現象に基づくモデルの出力は、シミュレートされたセンサデータ162としてデータストア140に格納されてもよい。
【0042】
予測サーバ112の予測構成要素114は、訓練された物理的現象に基づくデジタルツインモデルから、シミュレートされたセンサデータを指示する出力を受け取ってもよい。予測構成要素114は、訓練された物理的現象に基づくモデルの出力をカレントセンサデータ146と比較してもよい。この比較に基づいて、予測構成要素114は、シミュレートされたセンサ読みと実際のセンサ読みとの間の1つまたは複数の差を決定してもよい。物理的現象に基づくデジタルツインモデルは、健全なチャンバまたは最適なチャンバからのデータで訓練されたものであってもよい。健全な状態または最適な状態を有するチャンバは、訓練されたデジタルツインモデルのシミュレートされたセンサ読みとほぼ一致する測定されたセンサ読みを生成すると期待してもよい。予測構成要素114は、決定された差が1つまたは複数の差閾値よりも大きいかどうかを判定してもよい。一実施形態では、複数の差閾値が使用され、個々の差閾値は、それぞれのタイプのセンサ読みに関連している。その代わりに、単一の差閾値を使用してもよい。モデルからのシミュレートされたセンサ読みとセンサ126からの測定されたセンサ読みとの差が閾値よりも大きいことが、製造機器構成要素の故障、チャンバのドリフト、センサのドリフトまたは他の同種のものを指示していることがある。差は、(いくつかのケースではやはりモデル190に含まれる)他のアルゴリズムおよびモデルによって分析することができる。予測構成要素114はさらに、例えばセンサが不正確な読みを提供していると予測される場合に、製造チャンバ内の実際の条件を指示する予測データ168を生成してもよい。一実施形態では、実際のセンサ読みおよび予測されたセンサ読みが、(例えばニューラルネットワークなどの)訓練された機械学習モデルに入力され、この訓練された機械学習モデルが、実際のセンサ測定値と予測されたセンサ測定値との差を生じさせたと予測される、またはこの差に寄与したと予測される、1つまたは複数の構成要素の指示を出力する。
【0043】
履歴センサデータ144および履歴製造パラメータ152を使用して、物理的現象に基づくモデルを訓練してもよい。いくつかの実施形態では、物理的現象に基づくモデルが、訓練の前に、製造チャンバ内で起こる可能性がある大部分の物理的現象を捕捉することができるが、一部の態様は、物理的現象に基づくモデルによって記述されないことがある。そのような態様は、老朽化したもしくは非理想的な構成要素、製作公差もしくは製造誤差によって誘起された変動、チャンバの不完全な記述、または他の同種のものを含んでいることがある。物理的現象に基づくモデルに履歴データを提供することによって、これらの誤差を考慮に入れるように、モデル中のパラメータを調整してもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、センサデータ142が、許容可能な製品を生産した製造ランの間にセンサ126から集められた(例えば計測機器128によって測定された)データを含んでいてもよい。許容可能な製品を生産する製造ランをゴールデンランと呼ぶことがある。そのような製造ランに関連したセンサデータは、ゴールデンランセンサデータ148としてデータストア140に格納されてもよい。予測サーバ112の予測構成要素114は、ゴールデンランセンサデータ148、カレントセンサデータ146、および(例えば訓練された物理的現象に基づくモデルによって出力された)シミュレートされたセンサデータ162を比較して、構成要素の故障、ドリフトまたは他の同種のものが起こったかどうかを判定してもよい。いくつかの実施形態では、その代わりに、これらの操作の一部または全部を、異なるデバイス、例えばクライアントデバイス120、サーバマシン170、サーバマシン180などによって実行してもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、予測構成要素114が、シミュレートされたセンサデータ162、カレントセンサデータ146および/またはゴールデンランセンサデータ148間の差にどの構成要素が寄与しているのかを決定してもよい。これは、どのセンサ差がどの種類の欠陥の結果である可能性が高いのかを結びつけることによって実行してもよい。一例として、全ての圧力センサ読みが一貫しているが、カレントセンサデータ146が、ガスコンダクタンスを調整することによってチャンバ内の圧力を制御するアクチュエータの位置に対する異なる値を提供している場合には、チャンバ内の圧力は正しく、アクチュエータを含む閉じた制御ループに含まれる圧力センサは正しく動作しており、アクチュエータは、おそらく損傷、摩耗、堆積、腐食または他の同種のもののためにいくらかドリフトしたと推測してもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、予測構成要素114が、さまざまなセンサデータの差を、(いくつかのケースではモデル190に含まれる)訓練された機械学習モデルに提供してもよい。この訓練された機械学習モデルは、センサデータを指示するデータ(例えばシミュレートされたセンサデータ、カレントセンサデータ、前処理されたシミュレートされたセンサデータ、前処理されたカレントセンサデータバージョンなど)を入力として受け取り、センサデータの差に寄与している可能性が高い構成要素を、いくつかの実施形態ではその差に対するそれぞれの構成要素の寄与の程度と共に、出力として生成するように構成されていてもよい。
【0047】
機械学習モデルは、履歴センサデータ144を使用して訓練してもよく、シミュレートされたセンサデータ162は、履歴センサデータ144を測定したランに対応する履歴製造パラメータ152を使用して生成してもよい。上記のタスクの一部もしくは全部を実行するのに使用してもよい機械学習モデルの一型は、ディープニューラルネットワークなどの人工ニューラルネットワークである。人工ニューラルネットワークは一般に、特徴を所望の出力空間にマップする分類器または回帰層を有する特徴表現構成要素を含む。例えば畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、畳み込みフィルタの複数の層のホストの役目を果たす。プーリングが実行され、下層で非線形性がアドレスされてもよく、下層の上で、多層パーセプトロンが一般的に追加され、畳み込み層によって抽出された上層特徴を決定(例えば分類出力)にマップする。ディープラーニングは、非線形処理ユニットの複数の層のカスケードを使用して特徴抽出および変換を実行する、機械学習アルゴリズムの一種である。連続するそれぞれの層は、直前の層からの出力を入力として使用する。ディープニューラルネットワークは、教師ありで(例えば分類)および/または教師なしの方法で(例えばパターン分析)学習してもよい。ディープニューラルネットワークは、層の階層構造を含み、異なる層は、異なる抽象化レベルに対応する異なるレベルの表現を学習する。ディープラーニングでは、それぞれのレベルが、その入力データを、わずかにより抽象的で複合的な表現に変換するように学習する。例えば画像認識用途では、生入力が、ピクセルの行列であってもよく、第1の代表層がピクセルを取り出し、エッジをコード化してもよく、第2の層がエッジの配置を構成し、コード化してもよく、第3の層が、より高次の形状(例えば歯、唇、歯茎など)をコード化してもよく、第4の層が、走査任務を認識してもよい。特に、ディープラーニングプロセスは、どのレベルにどの特徴を最適に置くのかを独力で学習することができる。「ディープラーニング」の「ディープ」は、それを通してデータが変換される層の数を指す。より正確には、ディープラーニングシステムは、かなりの信用割当て経路(credit assignment path)(CAP)深さを有する。CAPは、入力から出力への変換の鎖である。CAPは、入力と出力との間の潜在的に原因となる接続を記述する。フィードフォワードニューラルネットワークに関して、CAPの深さは、ネットワークの深さであってもよく、隠れ層の数+1であってもよい。信号が層を2回以上通って伝搬してもよいリカレントニューラルネットワークに関しては、CAP深さが潜在的に無限である。
【0048】
物理的現象に基づくデジタルツインモデルを製造機器と共に使用することは、そのようなモデルなしで製造機器を動作させることに比べて技術的にかなり有利である。複数の構成要素(センサ、ハードウェア、処理など)が、閉じた制御ループの中で一緒に連結されていることがある。閉じた制御ループ内のいずれかの機器に問題がある場合には、他の構成要素が設定点などを調整することがあり、読みがターゲット値に戻ることがあり、さらにチャンバ内部の実際の条件が変化していることがある。このことは、一貫性に劣る基板生産、生産性の損失、エネルギー、時間および材料の非効率性につながり、構成要素の早すぎる故障、保守コストの増大などにつながりうる。いくつかの実施形態では、センサデータ、チャンバ条件または他の同種のもののシフトの根本的原因の追加の証拠を提供するために、同じ特性を指示する複数のデータストリームを監視してもよい。いくつかの実施形態では、チャンバ圧力を指示するセンサを監視する。これらのセンサは、チャンバ圧力、チャンバ圧力に影響を及ぼすアクチュエータのアクチュエータ位置、RFマッチ電圧、RFマッチ電流、RFマッチキャパシタ位置などを測定するサンサを含んでいてもよい。これらの特性の一部を2つ以上のセンサによって測定してもよい。例えば、製造チャンバは、複数の圧力センサを備えていてもよく、それらの圧力センサのサブセットは閉じた制御ループに含まれており、それらの圧力センサの別のサブセットは、チャンバ条件の測定値を自由に提供している。
【0049】
いくつかの実施形態では、予測構成要素114が、カレントセンサデータ146および/またはカレント製造パラメータ154を受け取り、信号処理を実行してカレントデータをカレントデータのセットに分解し、それらのカレントデータのセットを、訓練されたモデル190に入力として提供し、訓練されたモデル190から予測データ168を指示する出力を得る。いくつかの実施形態では、予測データが、計測データ(例えば基板品質の予測)を指示する。いくつかの実施形態では、予測データが、構成要素の健全性を指示する。
【0050】
いくつかの実施形態では、モデル190に関連して論じたさまざまなモデル(例えば物理的現象に基づくデジタルツインモデル、予測機械学習モデルなど)が、1つのモデル(例えばアンサンブルモデル)に結合されていてもよく、または別個のモデルであってもよい。予測構成要素114は、カレントセンサデータ146およびカレント製造パラメータ154を受け取り、そのデータを訓練されたモデル190に提供し、製造チャンバ内のいくつかの構成要素がそれらの構成要素の以前の性能からどれくらいドリフトしたのかを指示する情報を受け取る。データは、モデル190に含まれるいくつかの別個のモデルおよび予測構成要素114の間で双方向に受け渡されてもよい。いくつかの実施形態では、その代わりに、これらの操作の一部または全部を、異なるデバイス、例えばクライアントデバイス120、サーバマシン170、サーバマシン180などによって実行してもよい。データフローの変異、どの構成要素がどのプロセスを実行するのか、どのモデルにどのデータが提供されるのか、および他の同種のことは、本開示の範囲に含まれることを当業者は理解するであろう。
【0051】
データストア140は、メモリ(例えばランダムアクセスメモリ)、ドライブ(例えばハードドライブ、フラッシュドライブ)、データベースシステム、またはデータを格納することができる別のタイプの構成要素もしくはデバイスであってもよい。データストア140は、複数のコンピューティングデバイス(例えば複数のサーバコンピュータ)にまたがって存在していてもよい複数のストレージ構成要素(例えば複数のドライブまたは複数のデータベース)を含んでいてもよい。データストア140は、センサデータ142、製造パラメータ150、計測データ160、シミュレートされたセンサデータ162および予測データ168を格納してもよい。センサデータ142は、履歴センサデータ144およびカレントセンサデータ146を含んでいてもよい。センサデータは、製造プロセスの持続時間の全体にわたるセンサデータの時間追跡、データと物理センサとの関連、平均および複合データなどの前処理されたデータ、ならびにセンサ性能を経時的に(すなわち多くの製造プロセスにわたって)指示するデータを含んでいてもよい。製造パラメータ150および計測データ160も同様の特徴を含んでいてもよい。履歴センサデータ144および履歴製造パラメータ152は、履歴データ(例えば、少なくとも、モデル190を訓練するための部分)であってもよい。カレントセンサデータ146は、(例えば是正処置を実行するために)それに対して予測データ168を生成するカレントデータ(例えば、少なくとも、履歴データに続いて学習モデル190に入力する部分)であってもよい。シミュレートされたセンサデータは、製造機器124に関連したセンサ126のうちのいずれかのセンサの予測されたセンサ読みを指示するデータを含んでいてもよい。シミュレートされたセンサデータは、カレントデータと履歴データの両方を含んでいてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、予測システム110がさらに、サーバマシン170およびサーバマシン180を含む。サーバマシン170は、物理的現象に基づくデジタルツインモデルおよびいくつかの実施形態では1つまたは複数の機械学習モデルを含むモデル190を訓練、確認および/または試験するためのデータセット(例えばデータ入力のセットおよびターゲット出力のセット)を生成することができるデータセット生成器172を含む。データセット生成器172のいくつかの動作は
図2A~Bおよび4Aに関して下で詳細に説明される。いくつかの実施形態では、データセット生成器172が、履歴データ(例えば、データストア140に格納された履歴センサデータ144、履歴製造パラメータ152、シミュレートされたセンサデータ162)を、訓練セット(例えば履歴データの60パーセント)、確認セット(例えば履歴データの20パーセント)および試験セット(例えば履歴データの20パーセント)に分割してもよい。いくつかの実施形態では、予測システム110が、特徴の複数のセットを(例えば予測構成要素114を介して)生成する。例えば、特徴の第1のセットは、データセット(例えば訓練セット、確認セットおよび試験セット)の各々に対応する(例えばセンサの第1のセット、センサの第1のセットからの値の第1の組合せ、センサの第1のセットからの値の第1のパターンからの)センサデータのタイプの第1のセットに対応していてもよく、特徴の第2のセットは、データセットの各々に対応する(例えば、センサの第1のセットとは異なるセンサの第2のセット、第1の組合せとは異なる値の第2の組合せ、第1のパターンとは異なる第2のパターンからの)センサデータのタイプの第2のセットに対応していてもよい。
【0053】
サーバマシン180は、訓練エンジン182、確認エンジン184、選択エンジン185および/または試験エンジン186を含む。エンジン(例えば訓練エンジン182、確認エンジン184、選択エンジン185および試験エンジン186)は、ハードウェア(例えば回路、専用論理回路、プログラム可能な論理回路、マイクロコード、処理デバイスなど)、ソフトウェア(例えば処理デバイス、汎用コンピュータシステムもしくは専用マシン上で実行される命令)、ファームウェア、マイクロコードまたはこれらの組合せのことを指していることがある。訓練エンジン182は、データセット生成器172からの訓練セットに関連した特徴の1つまたは複数のセットを使用してモデル190を訓練することができるものであってもよい。訓練エンジン182は、訓練された複数のモデル190を生成してもよく、その場合、それぞれの訓練されたモデル190は、訓練セットの特徴の異なるセット(例えばセンサの異なるセットからのセンサデータ)に対応する。例えば、第1の訓練されたモデルは、全ての特徴(例えばX1~X5)を使用して訓練されたものであってもよく、第2の訓練されたモデルは、特徴の第1のサブセット(例えばX1、X2、X4)を使用して訓練されたものであってもよく、第3の訓練されたモデルは、特徴の第2のサブセット(例えばX1、X3、X4およびX5)を使用して訓練されたものでもよく、特徴の第2のサブセットは、特徴の第1のサブセットと部分的に重なっていてもよい。データセット生成器172は、訓練されたモデル(例えば物理的現象に基づくデジタルツインモデル)の出力を受け取り、そのデータを集めて訓練、確認および試験データセットとし、それらのデータセットを使用して第2のモデル(例えば、予測データ、是正処置などを出力するように構成された機械学習モデル)を訓練してもよい。
【0054】
確認エンジン184は、データセット生成器172からの確認セットの特徴の対応するセットを使用して、訓練されたモデル190を確認することができるものであってもよい。例えば、訓練セットの特徴の第1のセットを使用して訓練された第1の訓練されたモデル190は、確認セットの特徴の第1のセットを使用して確認されてもよい。確認エンジン184は、訓練されたモデル190の各々の精度を、確認セットの特徴の対応するセットに基づいて決定してもよい。確認エンジン184は、閾値精度を満たしていない精度を有する訓練されたモデル190を捨ててもよい。いくつかの実施形態では、選択エンジン185が、閾値精度を満たしている精度を有する1つまたは複数の訓練されたモデル190を選択することができてもよい。いくつかの実施形態では、選択エンジン185が、訓練されたモデル190のうち最も高い精度を有する訓練されたモデル190を選択することができてもよい。
【0055】
試験エンジン186は、データセット生成器172からの試験セットの特徴の対応するセットを使用して、訓練されたモデル190を試験することができるものであってもよい。例えば、訓練セットの特徴の第1のセットを使用して訓練された第1の訓練されたモデル190は、試験セットの特徴の第1のセットを使用して試験されてもよい。試験エンジン186は、試験セットに基づいて、訓練されたモデルの全てのモデルのうち最も高い精度を有する訓練されたモデル190を決定してもよい。
【0056】
機械学習モデル(例えば、センサ126からのデータおよび物理的現象に基づくデジタルツインモデルによって生成されたシミュレートされたセンサデータを入力としてとるモデル)の場合には、モデル190が、データ入力および対応するターゲット出力(対応するそれぞれの訓練入力に対する正しい回答)を含む訓練セットを使用して訓練エンジン182によって生成されたモデルアーチファクトのことを指すことがある。データ入力をターゲット出力(正しい回答)にマップするデータセット中のパターンを見つけることができ、機械学習モデル190には、これらのパターンを捕らえるマッピングが提供される。機械学習モデル190は、サポートベクターマシン(SVM)、放射基底関数(RBF)、クラスタ化、教師あり機械学習、半教師あり機械学習、教師なし機械学習、k近傍法アルゴリズム(k-NN)、直線回帰、ランダムフォレスト、ニューラルネットワーク(例えば人工ニューラルネットワーク)などのうちの1つまたは複数を使用するものであってもよい。
【0057】
予測構成要素114は、モデル190にカレントセンサデータ146を提供してもよく、入力に対してモデル190を実行して、1つまたは複数の出力を取得してもよい。予測構成要素114は、モデル190の出力から予測データ168を決定すること(例えば抽出すること)ができてもよく、その出力から、予測データ168が、製造機器124を使用してカレントセンサデータ146および/またはカレント製造パラメータ154において生産されたまたは生産される製品に対する入力データに関連したプロセスの正確な予測子である信頼度を指示する信頼データを決定(例えば抽出)してもよい。予測構成要素114または是正処置構成要素122は、この信頼データを使用して、製造機器124に関連した是正処置を実行させるかどうかを予測データ168に基づいて決めてもよい。
【0058】
信頼データは、予測データ168が、入力データの少なくとも一部分に関連した製品または構成要素に対する正確な予測である信頼度を含んでいてもよく、または指示していてもよい。一例では、信頼度が、0および1を含む0から1の間の実数であり、ここで、0は、予測データ168が、入力データに従って処理された製品に対する正確な予測または製造機器124の構成要素の構成要素健全性に対する正確な予測である信頼がないことを示し、1は、予測データ168が、入力データに従って処理された製品の特性または製造機器124の構成要素の構成要素健全性を正確に予測している絶対的な信頼を指示する。信頼データが、所定の数の実例(例えば実例の百分率、実例の頻度、実例の総数など)に対して閾値レベルよりも低い信頼度を指示していることに応答して、予測構成要素114は、訓練されたモデル190を(例えばカレントセンサデータ146、カレント製造パラメータ154などに基づいて)再訓練させてもよい。
【0059】
限定のためではなく例示の目的上、本開示の態様は、履歴データ(例えば履歴センサデータ144、履歴製造パラメータ152)を使用して1つまたは複数の機械学習モデル190を訓練すること、および1つまたは複数の訓練された機械学習モデルにカレントデータ(例えばカレントセンサデータ146、カレント製造パラメータ154およびカレント計測データ164)を入力して、予測データ168を決定することを記述している。他の実施形態では、予測データ168を決定するのに、(例えば訓練された機械学習モデルを使用せずに)発見的モデルまたはルールに基づくモデルを使用する。予測構成要素114は、履歴センサデータ144、履歴製造パラメータ152、シミュレートされたセンサデータ162および計測データ160を監視してもよい。
図2A~Bのデータ入力210に関して説明した情報のうちの任意の情報を発見的モデルまたはルールに基づくモデルで監視してもよく、または他のやり方で使用してもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、クライアントデバイス120、予測サーバ112、サーバマシン170およびサーバマシン180の機能が、より少数のマシンによって提供されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、サーバマシン170と180が単一のマシンに統合されていてもよく、他のいくつかの実施形態では、サーバマシン170、サーバマシン180および予測サーバ112が単一のマシンに統合されていてもよい。いくつかの実施形態では、クライアントデバイス120と予測サーバ112が単一のマシンに統合されていてもよい。
【0061】
一般に、1つの実施形態において、クライアントデバイス120、予測サーバ112、サーバマシン170およびサーバマシン180によって実行されると記述された機能が、他の実施形態では、適切な場合に、予測サーバ112上で実行されることもありうる。さらに、特定の構成要素によるものとされる機能が、一緒に動作している異なるまたは複数の構成要素によって実行されることもありうる。例えば、いくつかの実施形態では、予測サーバ112が、予測データ168に基づいて是正処置を決定してもよい。別の例では、クライアントデバイス120が、訓練された機械学習モデルからの出力に基づいて予測データ168を決定してもよい。
【0062】
さらに、一緒に動作している異なるまたは複数の構成要素によって、特定の構成要素の機能を実行することができる。適切なアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を通して、他のシステムまたはデバイスに提供されたサービスとして、予測サーバ112、サーバマシン170またはサーバマシン180のうちの1つまたは複数にアクセスしてもよい。
【0063】
実施形態では、「ユーザ」が単一の個人として表現されることがある。しかしながら、本開示の他の実施形態は、「ユーザ」が、複数のユーザおよび/または自動化された源によって制御された実体であることを包含する。例えば、一群の管理者として統合された個々のユーザの集合を「ユーザ」とみなしてもよい。
【0064】
本開示の実施形態を、データの質の評価、特徴の増強、モデルの評価、仮想計測(VM)、予測保守(PdM)、限界最適化または他の同種のものに適用してもよい。
【0065】
図2A~Bは、ある種の実施形態による、モデル(例えば
図1のモデル190)の訓練、試験、確認などのためのデータセットを生成する例示的な1つまたは複数のデータセット生成器272(例えば
図1のデータセット生成器172)である。それぞれのデータセット生成器272は、
図1のサーバマシン170の部分であってもよい。いくつかの実施形態では、
図2A~Bのデータセット生成器272が共に同じデータセット生成器である。いくつかの実施形態では、
図2A~Bのそれぞれの図のデータセット生成器が別個のデータセット生成器である。
【0066】
図2Aを参照すると、データセット生成器272A(例えば
図1のデータセット生成器172)を含むシステム200Aは、物理的現象に基づくデジタルツインモデル(例えば
図1のモデル190)のためのデータセットを生成する。データセット生成器272Aは、履歴製造パラメータ252(例えば
図1の履歴製造パラメータ152)を使用してデータセット(例えばデータ入力210A)を生成してもよい。システム200Aを使用して、物理的現象に基づくデジタルツインモデルを訓練、試験および確認するためのデータセットを生成してもよい。いくつかの実施形態では、物理的現象に基づくモデルに、履歴センサデータ244Aをターゲット出力220Aとして提供する。物理的現象に基づくモデルは、製造チャンバ内で起こる可能性がある物理的現象を記述した連立方程式を解くように構成されていてもよい。チャンバ形状寸法、チャンバ組成、ガス組成などのプロセスの諸態様が、ある種のパラメータによってこのモデルの中に表現されていてもよい。訓練プロセスは、ターゲット出力220Aと一貫した、物理的現象に基づくモデルからの出力を生成するように(例えば、チャンバ内の物理的現象をより正確に捕捉するように)、これらのパラメータのうちの一部または全部を調整してもよい。
図2Aのシステム200Aは、データセット生成器272A、データ入力210Aおよびターゲット出力220Aを示している。
【0067】
図2Bを参照すると、データセット生成器272B(例えば
図1のデータセット生成器172)を含むシステム200Bは、いくつかの実施形態では物理的現象に基づくデジタルツインモデル(例えば
図1のモデル190)と組み合わせて使用してもよい、機械学習モデルのためのデータセットを生成する。データセット生成器272Bは、履歴センサデータ244およびシミュレートされたセンサデータ262を使用してデータセットを生成してもよい。これらのデータセットを、機械学習モデル、例えば
図1のモデル190に訓練入力として供給してもよい。データセット生成器272Bはさらに、訓練中の機械学習モデルに、構成要素寄与データをターゲット出力として提供してもよい。構成要素寄与データは、製造機器のある種の構成要素に既知のオフセットを導入して実験を実行することによって取得してもよい。この機械学習モデルを、既知のオフセットを再現するように訓練してもよい。いくつかの実施形態では、入力データがさらに、ゴールデンランセンサデータを含んでいてもよい。
【0068】
図2A~Bを参照すると、いくつかの実施形態では、データセット生成器272が、データセット(例えば訓練セット、確認セット、試験セット)を生成し、このデータセットは、1つまたは複数のデータ入力210(例えば訓練入力、確認入力、試験入力)を含んでおり、データ入力210に対応する1つまたは複数のターゲット出力220を含んでいてもよい。このデータセットはさらに、データ入力210をターゲット出力220にマップするマッピングデータを含んでいてもよい。データ入力210は、「特徴」、「属性」または「情報」と呼ばれることもある。いくつかの実施形態では、データセット生成器272が、このデータセットを、訓練エンジン182、確認エンジン184または試験エンジン186に提供してもよく、これらのエンジンで、このデータセットは、モデル190(例えば、モデル190、アンサンブルモデル190などに含まれるモデルのうちの1つ)を訓練、確認または試験するために使用される。いくつかの実施形態では、モデル190が、物理的現象に基づくデジタルツインモデルと、物理的現象に基づくモデルの出力を分析するために使用するモデルとを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、データセット生成器272が、物理的現象に基づくモデルに入力を、訓練入力(例えば製造パラメータ)として供給してもよく、第2のモデルの出力に関連したデータ(例えば機械学習モデルからの構成要素寄与データ)をターゲット出力として提供してもよく、これらの関連データセットを使用してモデル190を訓練してもよい。訓練セットを生成するいくつかの実施形態は
図4Aに関してさらに説明される。
【0069】
いくつかの実施形態では、データセット生成器272が、教師なし機械学習モデルに供給するために、データ入力210を生成し、ターゲット出力220を生成しない(例えば、データセット生成器272Aが、履歴計測データのセット262A~262Zをデータ入力210Aとして生成する)。いくつかの実施形態では、データセット生成器272が、(例えば教師なしモデルまたは半教師ありモデルを訓練するために)データ入力210およびターゲット出力220を生成する。いくつかの実施形態では、データ入力210が、データの1つまたは複数のセットを含んでいてもよい。一例として、システム200Bは、1つまたは複数のタイプのセンサからのセンサデータ、1つまたは複数のタイプのセンサからのセンサデータの組合せ、1つまたは複数のタイプのセンサからのセンサデータのパターン、1つまたは複数の製造パラメータからの製造パラメータ、ある製造パラメータデータとあるセンサデータの組合せなどのうちの1つまたは複数を含んでいてもよいセンサデータのセットを生成してもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、データセット生成器272が、第1の機械学習モデルを訓練、確認または試験するために、履歴センサデータの第1のセット244Aおよび/または履歴製造パラメータの第1のセット252Aに対応する第1のデータ入力を生成してもよく、データセット生成器272が、第2の機械学習モデルを訓練、確認または試験するために、履歴センサデータの第2のセット244Bおよび/または履歴製造パラメータの第2のセット252Bに対応する第2のデータ入力を生成してもよい。
【0071】
機械学習モデルを訓練、確認または試験するためのデータ入力210およびターゲット出力220は、(例えば特定の基板製造機器の)特定の製造チャンバのための情報を含んでいてもよい。例えば、履歴製造パラメータ252、履歴センサデータ244、シミュレートされたセンサデータ262および構成要素寄与データ222は、同じ製造チャンバに関連していてもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、機械学習モデルを訓練するのに使用される情報が、製造設備の特定の特性を有する特定のタイプの製造機器(例えば
図1の製造機器124)からのものであってもよく、この情報によって、特定のグループの製造機器124に対する結果を、訓練されたモデルが、その特定のグループの特性を共有している1つまたは複数の構成要素に関連したカレントセンサデータ(例えばカレントセンサデータ146)に対する入力に基づいて決定することが可能になってもよい。いくつかの実施形態では、モデルを訓練するのに使用される情報が、2つ以上の製造設備からの構成要素のための情報であってもよく、この情報によって、構成要素に対する結果を、訓練された機械学習モデルが、1つの製造設備からの入力に基づいて決定することが可能になってもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、データセットを生成すること、およびそのデータセットを使用して機械学習モデル190を訓練、確認または試験することに続いて、モデル190をさらに訓練、確認もしくは試験し、または調整してもよい(例えば、モデル190の入力データに関連した、物理的現象に基づくモデルのパラメータまたはニューラルネットワークの接続重みなどの重みまたはパラメータを調整してもよい)。
【0074】
図3は、いくつかの実施形態による、出力データ(例えば
図1の予測データ168)を生成するためのシステム300を示すブロック図である。いくつかの実施形態では、システム300を、物理的現象に基づくモデル(例えば
図1のモデル190)と共に使用して、シミュレートされたセンサデータを決定してもよく、シミュレートされたセンサデータは、是正処置の実行を通知してもよい(例えば、シミュレートされたセンサデータを考慮して是正処置を実行してもよい)。いくつかの実施形態では、システム300に類似したシステムを機械学習モデルと共に使用して、製造機器に関連した是正処置を決定してもよい。
【0075】
ブロック310で、システム300(例えば
図1の予測システム110の構成要素)は、履歴データ364(例えば、
図1のモデル190に対する履歴製造パラメータ152および履歴センサデータ144)のデータ分割を(例えば
図1のサーバマシン170のデータセット生成器172を介して)実行して、訓練セット302、確認セット304および試験セット306を生成する。例えば、訓練セットは、履歴データの60%であってもよく、確認セットは、履歴データの20%であってもよく、試験セットは、履歴データの20%であってもよい。
【0076】
訓練セット302、確認セット304および試験セット306の生成は、特定の用途に合わせて調節することができる。例えば、訓練セットは、履歴データの60%であってもよく、確認セットは、履歴データの20%であってもよく、試験セットは、履歴データの20%であってもよい。システム300は、訓練セット、確認セットおよび試験セットごとに特徴の複数のセットを生成してもよい。例えば、履歴データ364が、20個のセンサ(例えば
図1のセンサ126)からのセンサデータおよび10個の製造パラメータ(例えば20個のセンサからのセンサデータに対応する製造パラメータ)から導き出された特徴を含む場合、センサデータを、センサ1~10を含む特徴の第1のセットおよびセンサ11~20を含む特徴の第2のセットに分割してもよい。さらに、製造パラメータを複数のセットに分割してもよく、例えば、パラメータ1~5を含む製造パラメータの第1のセットおよびパラメータ6~10を含む製造パラメータの第2のセットに分割してもよい。ターゲット入力を複数のセットに分割してもよく、ターゲット出力を複数のセットに分割してもよく、ターゲット入力とターゲット出力の両方を複数のセットに分割してもよく、またはターゲット入力とターゲット出力のどちらも複数のセットに分割しなくてもよい。複数のモデルを、データの異なるセットで訓練してもよい。
【0077】
ブロック312で、システム300は、訓練セット302を使用してモデル訓練を(例えば
図1の訓練エンジン182を介して)実行する。機械学習モデルの訓練および/または物理的現象に基づくモデル(例えばデジタルツイン)の訓練は、教師あり学習方法で達成されてもよく、教師あり学習は、ラベル付き入力からなる訓練データセットをモデルを通してフィードすること、その出力を観察すること、(出力とラベル値との間の差を測定することによって)誤差を規定すること、ならびにディープ勾配降下法およびバックプロパゲーションなどの技法を使用して、モデルの重みを、誤差が最小化されるようにチューニングすることを含む。多くの用途で、訓練データセットの多くのラベル付き入力を横断してこのプロセスを繰り返すことは、訓練データセットに存在するものとは異なる入力と共に提示されたときに正しい出力を生成することができるモデルを与える。
【0078】
訓練データセット内の訓練データ項目ごとに、その訓練データ項目をモデル(例えば物理的現象に基づくモデル)に入力してもよい。次いで、モデルは、入力された訓練データ項目(例えば履歴ゴールデンランからのプロセスレシピ)を処理して、出力を生成してもよい。出力は、例えば、複数のシミュレートされたセンサ読みを含んでいてもよい。この出力を、訓練データ項目のラベル(例えば測定された実際のセンサ読み)と比較してもよい。
【0079】
次いで、処理論理は、生成された出力(例えばセンサ読み)を、訓練データ項目に含まれたラベル(例えば実際のセンサ読み)と比較してもよい。処理論理は、出力とラベルとの間の差に基づいて誤差(すなわち分類誤差)を決定する。処理論理は、この誤差に基づいてモデルの1つまたは複数の重みおよび/または値を調整する。
【0080】
ニューラルネットワークを訓練する場合には、人工ニューラルネットワークのノードごとに誤差項またはデルタを決定してもよい。この誤差に基づいて、人工ニューラルネットワークは、人工ニューラルネットワークのノードのうちの1つまたは複数のノードに対する人工ニューラルネットワークのパラメータのうちの1つまたは複数のパラメータ(1つのノードの1つまたは複数の入力に対する重み)を調整する。最上位層のノードを最初に更新し、続いて次の層のノードを更新し、以下同様に更新するような形で、パラメータをバックプロパゲーションの方法で更新してもよい。人工ニューラルネットワークは「ニューロン」の複数の層を含み、それぞれの層は、前の層のニューロンからの値を入力として受け取る。それぞれのニューロンに対するパラメータは、前の層のニューロンの各々から受け取った値に関連した重みを含む。したがって、パラメータの調整は、人工ニューラルネットワークの1つまたは複数の層の1つまたは複数のニューロンに対する入力の各々に割り当てられた重みを調整することを含んでいてもよい。
【0081】
システム300は、訓練セット302の特徴の複数のセット(例えば訓練セット302の特徴の第1のセット、訓練セット302の特徴の第2のセットなど)を使用して複数のモデルを訓練してもよい。例えば、システム300は、訓練セット中の特徴の第1のセット(例えばセンサ1~10からのセンサデータ)を使用して第1の訓練されたモデルを生成するように、および訓練セット中の特徴の第2のセット(例えばセンサ11~20からのセンサデータ)を使用して第2の訓練されたモデルを生成するように、モデルを訓練してもよい。いくつかの実施形態では、第1の訓練されたモデルと第2の訓練されたモデルとを結合して、(例えば、単独で、第1または第2の訓練されたモデルよりも優れた予測器であってもよい)第3の訓練されたモデルを生成してもよい。いくつかの実施形態では、モデルを比較する際に使用される特徴のセットが重複していてもよい(例えば、特徴の第1のセットがセンサ1~15からのセンサデータであってもよく、特徴の第2のセットがセンサ5~20であってもよい)。いくつかの実施形態では、特徴のさまざまな置換を有するモデルおよびモデルの組合せを含む、数百のモデルが生成されてもよい。
【0082】
ブロック314で、システム300は、確認セット304を使用してモデル確認を(例えば
図1の確認エンジン184を介して)実行する。システム300は、訓練されたモデルの各々を、確認セット304の特徴の対応するセットを使用して確認してもよい。例えば、システム300は、第1の訓練されたモデルを、確認セット中の特徴の第1のセット(例えばセンサ1~10からのセンサデータ)を使用して確認してもよく、第2の訓練されたモデルを、確認セット中の特徴の第2のセット(例えばセンサ11~20からのセンサデータ)を使用して確認してもよい。いくつかの実施形態では、システム300が、ブロック312で生成された数百のモデル(例えば、特徴のさまざまな置換を有するモデル、モデルの組合せなど)を確認してもよい。ブロック314で、システム300は、1つまたは複数の訓練されたモデルの各々の精度を(例えばモデル確認を介して)決定してもよく、訓練されたモデルのうちの1つまたは複数のモデルが、閾値精度を満たす精度を有しているかどうかを判定してもよい。訓練されたモデルはいずれも閾値精度を満たす精度を有していないと判定したことに応答して、フローはブロック312に戻り、ブロック312で、システム300は、訓練セットの特徴の異なるセットを使用してモデル訓練を実行する。訓練されたモデルのうちの1つまたは複数のモデルが閾値精度を満たす精度を有していると判定したことに応答して、フローはブロック316に進む。システム300は、(例えば確認セットに基づいて)閾値精度よりも低い精度を有する訓練されたモデルを捨ててもよい。
【0083】
ブロック316で、システム300は、モデル選択を(例えば
図1の選択エンジン185を介して)実行して、閾値精度を満たす1つまたは複数の訓練されたモデルのうちのどのモデルが最も高い精度を有するのか(例えば、ブロック314の確認に基づいて、選択されたモデル308)を決定する。閾値精度を満たす訓練されたモデルのうちの2つ以上のモデルが同じ精度を有すると判定したことに応答して、フローはブロック312に戻ってもよく、ブロック312で、システム300は、モデル訓練を実行して、特徴のさらに改良されたセットに対応するさらに改良された訓練セットを使用して、最も高い精度を有する訓練されたモデルを決定する。
【0084】
ブロック318で、システム300は、試験セット306を使用してモデル試験を(例えば
図1の試験エンジン186を介して)実行して、選択されたモデル308を試験する。システム300は、試験セット中の特徴の第1のセット(例えばセンサ1~10からのセンサデータ)を使用して第1の訓練されたモデルを試験して、(例えば試験セット306の特徴の第1のセットに基づいて、)第1の訓練されたモデルは閾値精度を満たしていると判定してもよい。選択されたモデル308の精度が閾値精度を満たしていない(例えば、選択されたモデル308は、訓練セット302および/または確認セット304に適合しすぎており、試験セット306などの他のデータセットに適用することができない)ことに応答して、フローはブロック312に進み、ブロック312で、システム300は、特徴の異なるセットに対応する異なる訓練セット(例えば異なるセンサからのセンサデータ)を使用して、モデル訓練(例えば再訓練)を実行する。試験セット306に基づいて、選択されたモデル308が閾値精度を満たす精度を有していると判定したことに応答して、フローはブロック320に進む。少なくともブロック312で、このモデルは、予測を実施するために履歴データ中のパターンを学習してもよく、ブロック318で、システム300は、予測を試験するために、残りのデータ(例えば試験セット306)にこのモデルを適用してもよい。
【0085】
ブロック320で、システム300は、訓練されたモデル(例えば選択されたモデル308)を使用して、カレント製造パラメータ354(例えば
図1のカレント製造パラメータ154)を受け取り、訓練されたモデルの出力から、シミュレートされたセンサデータ362(例えば
図1のシミュレートされたセンサデータ162)を決定する(例えば抽出する)。シミュレートされたセンサデータ362を考慮して、
図1の製造機器124に関連した是正処置を実行してもよい。いくつかの実施形態では、カレント製造パラメータ354が、履歴製造パラメータデータの同じタイプの特徴に対応していてもよい。いくつかの実施形態では、カレント製造パラメータ354が、選択されたモデル308を訓練するのに使用する履歴製造パラメータデータの特徴のタイプのサブセットと同じタイプの特徴に対応していてもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、カレントデータを受け取る。カレントデータは、カレントセンサデータ346(例えば
図1のカレントセンサデータ146)を含んでいてもよい。カレントデータに基づいてモデル308を再訓練する。いくつかの実施形態では、カレントセンサデータ346およびカレント製造パラメータ354に基づいて新たなモデルを訓練する。
【0087】
いくつかの実施形態では、操作310~320のうちの1つまたは複数の操作を、さまざまな順序で実行してもよく、かつ/または本明細書に提示および記載されていない他の操作と一緒に実行してもよい。いくつかの実施形態では、操作310~320のうちの1つまたは複数の操作を実行しなくてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ブロック310のデータ分割、ブロック314のモデル確認、ブロック316のモデル選択、またはブロック318のモデル試験のうちの1つまたは複数を実行しなくてもよい。
【0088】
図3は、物理的現象に基づくデジタルツインモデルを訓練、確認、試験および使用するように構成されたシステムを示している。この物理的現象に基づくモデルは、製造パラメータ(例えば製造機器に提供された設定点)を入力として受け入れ、シミュレートされたセンサデータ(例えば予測されたセンサデータ)を出力として提供するように構成されている。この物理的現象に基づくモデルに関連した他のモデルも、訓練、確認、試験および使用に際して同様のデータフローに従ってもよい。いくつかの実施形態では、モデルが、シミュレートされたセンサデータおよび測定されたセンサデータを受け取ってもよく、2つのデータセット間の差に寄与すると予測された構成要素のリストを出力するように構成されていてもよい。モデルは、それぞれの構成要素がそれらの変動にどれくらい寄与しているのかの推定値を提供してもよい。例えば、モデルは、圧力センサの寄与、アクチュエータの寄与などの推定値を提供してもよい。システム300の分割、訓練、確認、選択、試験および使用ブロックを同様に実行して、第2のモデルを、異なるデータタイプのデータを利用して訓練してもよい。さらに、シミュレートされたカレントセンサデータおよび測定されたカレントセンサデータを利用して再訓練を実行してもよい。いくつかの実施形態ではさらに、機械学習モデルを分割、訓練、確認、選択、試験および使用するためにゴールデンランデータを供給してもよい。
【0089】
図4A~Dは、ある種の実施形態による、予測データの生成に関連した、是正処置を実行させるための方法400A~Dの流れ図である。方法400A~Dは、処理論理によって実行されてもよく、処理論理は、ハードウェア(例えば回路、専用論理回路、プログラム可能な論理回路、マイクロコード、処理デバイスなど)、ソフトウェア(例えば処理デバイス、汎用コンピュータシステムもしくは専用マシン上で実行される命令)、ファームウェア、マイクロコードまたはこれらの組合せを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、方法400A~Dが、部分的に予測システム110によって実行されてもよい。方法400Aは、部分的に、予測システム110(例えば
図1のサーバマシン170およびデータセット生成器172、
図2A~Bのデータセット生成器272)によって実行されてもよい。予測システム110は、方法400Aを使用して、機械学習モデルの訓練、確認または試験のうちの少なくとも1つを本開示の実施形態に従って実行するためのデータセットを生成してもよい。方法400Cは、サーバマシン180(例えば訓練エンジン182など)によって実行されてもよい。方法400Bおよび400Dは、予測サーバ112(例えば予測構成要素114)によって実行されてもよい。いくつかの実施形態では、非一時的ストレージ媒体が、処理デバイス(例えば予測システム110の処理デバイス、サーバマシン180の処理デバイス、予測サーバ112の処理デバイスなど)によって実行されたときに、その処理デバイスに、方法400A~Dのうちの1つまたは複数の方法を実行させる命令を格納している。
【0090】
説明を簡単にするために、方法400A~Dは一連の操作として図示および説明される。しかしながら、本開示による操作は、さまざまな順序でおよび/または同時に実行すること、ならびに本明細書に提示および記載されていない他の操作と一緒に実行することができる。さらに、開示された主題による方法400A~Dを実施するのに、図示された全ての操作が実行されるとは限らない。さらに、方法400A~Dが、状態図または事象によって相互に関係する一連の状態として表現されることもありうることを当業者は理解および認識するであろう。
【0091】
図4Aは、ある種の実施形態による、予測データ(例えば
図1の予測データ168)を生成するためのモデルのためのデータセットを生成する方法400Aの流れ図である。
【0092】
図4Aを参照すると、いくつかの実施形態では、ブロック401で、方法400Aを実施する処理論理が、訓練セットTを初期化して空セットにする。
【0093】
ブロック402で、処理論理は、センサデータ(例えば、
図1の履歴センサデータ144、シミュレートされたセンサデータ162またはゴールデンランセンサデータ148、
図2Bの履歴センサデータ244)、製造パラメータ(例えば
図1の履歴製造パラメータ152)などのうちの1つまたは複数を含んでいてもよい第1のデータ入力(例えば第1の訓練入力、第1の確認入力)を生成する。いくつかの実施形態では、(例えば
図3に関して説明したように、)この第1のデータ入力が、データのタイプのための特徴の第1のセットを含んでいてもよく、第2のデータ入力が、データのタイプのための特徴の第2のセットを含んでいてもよい。
【0094】
いくつかの実施形態では、ブロック403で、処理論理が、これらのデータ入力のうちの1つまたは複数のデータ入力(例えば第1のデータ入力)に対する第1のターゲット出力を生成する。いくつかの実施形態では、この第1のターゲット出力が、(例えば物理的現象に基づくデジタルツインモデル、例えば、モデル190に含まれていてもよい物理的現象に基づくデジタルツインモデルのための)シミュレートされたセンサデータである。いくつかの実施形態では、物理的現象に基づくデジタルツインモデルに関連して実行するように構成された機械学習モデルの場合のように、入力データが、センサデータの形態であってもよく、ターゲット出力が、欠陥がある可能性が高い構成要素のリストでもあってもよい。いくつかの実施形態では、ターゲット出力が生成されない(例えば、ターゲット出力を提供することを必要とせずに入力データの相関をクループ化することまたは見つけることができる教師なし機械学習モデル)。
【0095】
ブロック404で、処理論理は、任意選択で、入力/出力マッピングを指示するマッピングデータを生成する。この入力/出力マッピング(またはマッピングデータ)は、データ入力(例えば、本明細書に記載されたデータ入力のうちの1つまたは複数のデータ入力)、データ入力に対するターゲット出力、およびデータ入力とターゲット出力との間の関連に関するものであってもよい。ターゲット出力が提供されない機械学習モデルに関連した実施形態などのいくつかの実施形態では、ブロック404を実行しなくてもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、ブロック405で、処理論理が、ブロック404で生成されたマッピングデータをデータセットTに追加する。
【0097】
ブロック406で、処理論理は、モデル190の訓練、確認および/または試験のうちの少なくとも1つに対してデータセットTが十分かどうかに基づいて枝分かれする。十分な場合、実行はブロック407に進み、十分でない場合、実行はブロック402に戻る。いくつかの実施形態では、データセットTが十分かどうかを、単純に、データセットの中の入力の数に基づいて、いくつかの実施形態では出力にマップされたデータセットの中の入力の数に基づいて判定してもよく、他のいくつかの実施形態では、データセットTが十分かどうかを、入力の数に加えてまたは入力の数の代わりに、1つまたは複数の他の判定基準(例えばデータ例の多様性、精度などの測度)に基づいて判定してもよいことに留意すべきである。
【0098】
ブロック407で、処理論理は、機械学習モデル190を訓練、確認および/または試験するためにデータセットTを(例えばサーバマシン180に)提供する。いくつかの実施形態では、データセットTが訓練セットであり、訓練を実行するためにデータセットTをサーバマシン180の訓練エンジン182に提供する。いくつかの実施形態では、データセットTが確認セットであり、確認を実行するためにデータセットTをサーバマシン180の確認エンジン184に提供する。いくつかの実施形態では、データセットTが試験セットであり、試験を実行するためにデータセットTをサーバマシン180の試験エンジン186に提供する。例えばニューラルネットワークの場合には、所与の入力/出力マッピングの入力値(例えばデータ入力210に関連した数値)が、ニューラルネットワークに入力され、入力/出力マッピングの出力値(例えばターゲット出力220に関連した数値)が、ニューラルネットワークの出力ノードに格納される。次いで、ニューラルネットワークの接続重みが、学習アルゴリズム(例えばバックプロパゲーションなど)に従って調整され、データセットTの残りの入力/出力マッピングに対してこの手順が繰り返される。ブロック407の後、モデル(例えばモデル190)をサーバマシン180の訓練エンジン182を使用して訓練すること、サーバマシン180の確認エンジン184を使用して確認すること、またはサーバマシン180の試験エンジン186を使用して試験することのうちの少なくとも1つを実行することができる。訓練されたモデルは、信号処理を実行するためまたは製造機器124に関連した是正処置を実行するための予測データ168を生成するために、(予測サーバ112の)予測構成要素114によって実施されてもよい。
【0099】
図4Bは、訓練された物理的現象に基づくモデルを使用して是正処置を指示するデータを生成するための方法400Bである。
【0100】
図4Bを参照すると、方法400Bのブロック410で、処理論理が、基板製造機器(例えば基板製造チャンバ)によって実行される基板製造プロセスに関連した第1のセンサデータ(例えば
図1のカレントセンサデータ146)を受け取る。
図2~3に関連して上で説明したとおり、方法400Bの入力データには、グループ化、パターン認識、組合せなどのさまざまな前処理操作が実行されていてもよい。センサデータは、温度、ガス流量、ハードウェアパラメータ(例えばアクチュエータまたはバルブ位置)、圧力、RFマッチ電圧、RFマッチ電流、RFマッチキャパシタ位置などを指示するデータを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、センサデータが、チャンバ内の圧力を指示する(例えばチャンバ内の圧力と相関した)データを含む。
【0101】
ブロック412で、処理論理は、訓練された物理的現象に基づくデジタルツインモデルによって生成されたシミュレートされたセンサデータを受け取る。物理的現象に基づくモデルは、製造チャンバ内の関心の物理的現象を記述するように設計されている。物理的現象に基づくモデルは、熱流、物質収支、流体力学的動態などのチャンバ内の条件を記述した連立方程式の解を提供してもよい。物理的現象に基づくモデルは、製造チャンバ内のガスコンダクタンスを計算してもよい。
【0102】
ブロック414で、処理論理は、任意選択で、許容可能なチャンバ条件を達成した製造プロセスの実例に関連した第2のセンサデータを受け取る。このような製造ランは、チャンバ内に配されたセンサ、完成したウエハの計測などによって決定してもよい。許容可能な条件を達成した製造ランはゴールデンランと呼ばれる。ゴールデンランデータは、第1のセンサデータを生成するセンサと同じ製造機器に関連したセンサから集めてもよい。
【0103】
ブロック416で、処理論理は、第1のセンサデータ、第2のセンサデータおよびシミュレートされたセンサデータのうちの2つ以上のデータ間の差に製造チャンバのどの構成要素が寄与しているのかを決定する。処理デバイスは、センサデータの2つのセット(例えばシミュレートされたセンサデータと第1のセンサデータ)を比較し、閾値よりも大きな差があるかどうかを判定してもよい。いくつかの実施形態では、定常状態条件に関連したセンサデータが使用される。いくつかの実施形態では、処理論理が、いくつかのデータセット間でのセンサデータ値の比較を使用して、ドリフトまたは故障している可能性がある構成要素を決定してもよい。このようなプロセスについては
図4Dに関連してより詳細に説明する。いくつかの実施形態では、センサデータ間の差にどの構成要素が寄与しているのかを決定することが、訓練された機械学習モデルにデータ(センサデータ、センサデータ間の差、センサデータの他の処理など)を提供することを含む。いくつかの実施形態では、訓練された機械学習モデルが、構成要素のリストを、センサデータセットの差に対する構成要素の相対寄与と共に提供してもよい。
【0104】
ブロック418で、センサデータのセット間の差を考慮して是正処置を実行させる。是正処置は、第1および第2のセンサデータを提供するセンサに関連した製造機器の構成要素に関連していてもよい。是正処置は、製造機器の構成要素に対する保守、例えば2つ以上のセンサデータセット間の差に寄与していると識別された部品に対する保守、をスケジュールに入れることを含んでいてもよい。保守は是正的であってもまたは予防的であってもよい。是正処置は、製造レシピを更新することを含んでいてもよく、いくつかの実施形態では、ドリフトしているまたは老朽化した構成要素を考慮するように製造レシピを更新することを含んでいてもよい。是正処置は、オフセットテーブルを作成または更新することを含んでいてもよい。オフセットテーブルは、製造機器の構成要素の性能を指示する情報を含んでいてもよい。例えば、本開示の方法は、センサの読みが不正確であることを明らかにすることがある。センサの読みを真のチャンバ条件に関連付けるために、オフセットテーブルを保持し、参照してもよい。オフセットテーブルは、圧力センサオフセット、温度センサオフセット、流量センサオフセットなどを含むセンサオフセットの値を含んでいてもよい。オフセットテーブルは、アクチュエータ、バルブなどの位置データを含むハードウェアセンサオフセットの値を含んでいてもよい。オフセットテーブルは、製造チャンバ内の圧力を制御するために使用されるアクチュエータのオフセット値を含んでいてもよい。オフセットテーブル中のオフセット値によって、製造機器に関連したセンサから受け取ったセンサ読みまたは製造機器の構成要素に提供された設定点を調整してもよい。
【0105】
図4Cは、ある種の実施形態による、物理的現象に基づくデジタルツインモデルを訓練するための方法400Cである。
【0106】
図4Cを参照すると、方法400Cのブロック420で、処理論理が、基板製造機器に関連したセンサによって生成されたセンサデータを受け取る。このデータは、製造プロセス中に生成されたものである。いくつかの実施形態では、方法400Cに関連したセンサデータが、前処理にかけられたものであってもよい。センサデータは、さまざまな形態をとっていてもよく、製造チャンバ内部のさまざまな特性を対象としたものであってよく、本開示の範囲に含まれるものであってもよい。
【0107】
ブロック422で、処理論理は、物理的現象に基づくモデルによって生成されたシミュレートされたセンサデータを受け取る。物理的現象に基づくモデルは、チャンバ内の物理的現象を記述するように設計されていてもよい。いくつかの実施形態では、物理的現象に基づくモデルが、チャンバ内のガスコンダクタンスを計算し、チャンバ圧力を指示するシミュレートされたセンサデータを生成する。いくつかのケースでは、ユーザによって開始された物理的現象に基づくモデルが、製造チャンバを完全に記述していなくてもよい。モデル化された振る舞いと物理デバイスの振る舞いとの間には差があることがある。差は、製作公差、不正確な仮定、不完全な記述、老朽化した構成要素などに起因することがある。
【0108】
ブロック424で、処理論理は、基板製造機器に関連したセンサによって生成されたセンサデータと物理的現象に基づくモデルによって生成されたシミュレートされたセンサデータとの間に少なくとも1つの差があるかどうかを判定する。差は、閾値差よりも大きな差であることがある。閾値は、製作公差、測定誤差、センサ値の百分率、品質を保証するための選ばれたレベルなどに関係したものであってもよい。有意な差(例えば閾値よりも大きな差)が見られない場合、方法は終了し、物理的現象に基づくモデルの訓練は成功である。少なくとも1つの有意な差が見られた場合、方法400Cはブロック426に進む。
【0109】
ブロック426で、処理論理は、物理的現象に基づくモデルに関連したパラメータを調整する。この調整は、較正テーブル(例えば圧力較正テーブル)中の値を更新すること、チャンバ内での物理的相互作用に対応する、物理的現象に基づくモデルのパラメータを更新すること、または他の同種のことを含んでいてもよい。パラメータが調整された後、方法400Cはブロック422に戻り、更新された物理的現象に基づくモデルから、シミュレートされた新たなセンサデータを受け取る。次いで、製造機器に関連したセンサによって生成されたセンサデータと物理的現象に基づくモデルによって生成されたシミュレートされたセンサデータとの間の差が閾値よりも小さくなるまで、ブロック424、426および422を繰り返す。その時点で、方法400Cは終了となり、物理的現象に基づくモデルは訓練されたとみなされる。
【0110】
図4Dは、いくつかの実施形態による、予期しないセンサ読みに製造機器のどの構成要素が寄与しているのかを決定するための方法400Dの流れ図である。
【0111】
方法400Dは、製造チャンバ内の圧力を測定および維持することに関連した製造機器に関連した是正処置を決定するための例示的な方法である。機能を異なる順序で実行したり、プロセスの異なる時点で異なるデータをチェックしたりすることが同様の結果を返すことがあり、そのような変異は本開示の範囲に含まれる。いくつかの実施形態では、製造チャンバ内でウエハを処理するたびに方法400Dを繰り返してもよい。そうすることによって、無駄を最小化しつつ、製造プロセス、是正処置などを変更することができる。ブロック430で、処理論理がセンサデータを受け取る。センサデータは、カレントセンサデータ(例えば
図1のカレントセンサデータ146)、ゴールデンランセンサデータ(許容可能な製造プロセス中に生成されたセンサデータ。例えば
図1のゴールデンランセンサデータ148)、およびシミュレートされたセンサデータ(物理的現象に基づくモデルによって生成されたセンサデータ。例えば
図1のシミュレートされたセンサデータ162)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、製造チャンバが、複数の圧力センサを備えていてもよい。いくつかの実施形態では、圧力制御デバイス、例えばアクチュエータの位置を指示するセンサデータが含まれている。いくつかの実施形態では、RFマッチ特性値など、高度の相関を有する特性値を測定するセンサが含まれている。いくつかの実施形態では、方法400Dで使用するために、いくつかのセンサからのデータが抽出される。いくつかの実施形態では、選択されたセンサからのデータのサブセットだけが使用される。例えば、いくつかの実施形態では、トレースデータから定常状態データを抽出してもよい。さらに、レシピの特定の動作、例えば、定常状態に達するに足る十分に長い動作、RFプラズマが使用される動作などに関連したデータを抽出してもよい。
【0112】
ブロック432で、センサデータのさまざまなセット間に有意な差があるかどうかを判定する。この文脈において、有意な差は、差の絶対値が閾値よりも大きいことを指示していてもよい。それぞれのセンサに関連したデータが、提供されたデータセットの全体にわたって許容範囲内にある場合、そのウエハランは成功したとみなしてもよく、フローはブロック430に戻り、ブロック430で、次の製造ランに関連した異なるセンサデータを提供してもよい。差が検出された場合、方法はブロック434に進む。いくつかの実施形態では、ブロック432で、処理論理が、シミュレートされたアクチュエータ位置データを、測定されたアクチュエータ位置データと比較してもよい。
【0113】
ブロック434で、センサデータの2つのセット間で検出された少なくとも1つの有意な差に寄与している構成要素を識別するのを補助するために、より具体的なセンサ差を調査する。いくつかの実施形態では、製造チャンバに関連した2つの圧力センサ(例えばマノメータ)からの測定値を比較する。いくつかの実施形態では、RFマッチ特性値を測定する、製造チャンバに関連したセンサからの測定値とゴールデンランデータからの同じセンサからの値とを比較してもよい。いくつかの実施形態では、RFマッチ特性値が電圧、電流またはキャパシタ位置であってもよい。いくつかの実施形態では、組合せを監視および比較してもよい。いくつかの実施形態では、両方の条件が満たされている場合、すなわち、2つの圧力センサが一致しておらず、かつゴールデンランRFマッチデータがカレントRFマッチセンサデータと一致していない場合には、圧力センサの欠陥である確率が高い。方法400Dはブロック436に進む。両方の条件が満たされていない場合にはアクチュエータの欠陥である確率が高い。方法400Dはブロック446に進む。
【0114】
センサ欠陥が予測されるとして方法400Dに従って、ブロック436で、センサデータが利用可能なレシピ動作に対してセンサオフセット推定アルゴリズムを実行する。方法400Dで使用するセンサデータの可能な条件およびパターンについては上記のブロック430に関連して論じた。このアルゴリズムは、センサデータセットからのさまざまなセンサのセンサデータ、計算された以前のオフセットなどを考慮してもよく、少なくとも1つのセンサに対する適切なオフセットまたはオフセット関数を推定してもよい。レシピ動作の全体にわたってセンサオフセットが一貫している場合には、センサオフセットがセンサデータセット間の差の原因であると結論してもよく、ブロック438で方法400Dは終了となる。次いで、そのセンサオフセットを考慮して、オフセットテーブルを更新すること、レシピ動作を調整すること、保守をスケジュールに入れることなどを含む是正処置を実行してもよい。センサオフセットが一貫していない場合、方法400Dはブロック440に進む。
【0115】
ブロック440で、処理論理は、センサ利得推定アルゴリズムを実行する。センサ利得推定アルゴリズムは、ブロック436に関連して論じたセンサオフセット推定アルゴリズムと同様の特徴を含んでいてもよい。センサ利得がレシピ動作の全体にわたって一貫している場合には、センサ利得に関連した欠陥である確率が高い。次いで、方法400Dはブロック442で終了となる。このセンサ利得欠陥を考慮して是正処置を実行してもよい。センサ利得がレシピ動作の全体にわたって一貫していない場合には、欠陥の組合せである確率が高い可能性があり、方法400Dはブロック444で終了となる。構成要素のどの組合せがセンサデータセット間の差の原因であるのかを決定するために追加の処理を実行してもよく、その構成要素の組合せを考慮して是正処置を実行しもよい。
【0116】
ブロック434に戻る。いくつかの実施形態では、圧力センサデータおよびRFマッチデータの有意な差が検出されなかった場合、方法400Dはブロック446に進む。ブロック436で、センサデータが利用可能なレシピ動作に対してアクチュエータオフセットアルゴリズムを実行する。このアルゴリズムは、さまざまなセンサのセンサデータ、異なるセンサデータセット(例えばシミュレートされたデータセット、ゴールデンランデータセットなど)、以前に計算されたオフセットなどを考慮してもよく、少なくとも1つのアクチュエータに対する適切なオフセットまたはオフセット関数を推定してもよい。レシピ動作の全体にわたってアクチュエータオフセットが一貫している場合には、アクチュエータオフセットがセンサデータセット間の差の原因であると結論してもよく、ブロック448で方法400Dは終了となる。次いで、そのアクチュエータオフセットを考慮して、オフセットテーブルを更新すること、レシピ動作を調整すること、保守をスケジュールに入れることなどを含む是正処置を実行してもよい。アクチュエータオフセットが一貫していない場合、方法400Dはブロック450に進む。
【0117】
ブロック450で、処理論理は、アクチュエータ利得推定アルゴリズムを実行する。アクチュエータ利得推定アルゴリズムは、アクチュエータオフセット推定アルゴリズムと同様の特徴を含んでいてもよい。アクチュエータ利得がレシピ動作の全体にわたって一貫している場合には、アクチュエータ利得に関連した欠陥である確率が高い。次いで、方法400Dはブロック452で終了となる。このアクチュエータ利得欠陥を考慮して是正処置を実行してもよい。アクチュエータ利得がレシピ動作の全体にわたって一貫していない場合には、欠陥の組合せである確率が高い可能性があり、方法400Dはブロック444で終了となる。構成要素のどの組合せがセンサデータセット間の差の原因であるのかを決定するために追加の処理を実行してもよい。いくつかの実施形態では、訓練された機械学習モデルに、センサデータを指示するデータを提供してもよい。方法400Dの多くの異なる段階で機械学習モデルにデータを提供してもよい。例えば、方法400Dのそれぞれの終点は、別個の訓練された機械学習モデルに対応していてもよく、方法400Dがその終点に達したときに、その訓練された機械学習モデルにデータが提供される。別の実施形態では、
図4Dのより早期のブロックに対応する時点で、訓練された機械学習モデルにセンサデータを提供してもよく、訓練された機械学習モデルは、方法400Dの構成要素の一部または全部を実行してもよい。方法400Dは、どの構成要素が製造ランに関連したセンサデータの差の原因であるのかに関する情報を提供することができるデータフローの一例である。他の特性値を指示するセンサ間の差をこの方法の他の時点で決定することが、同様の情報を結論として出すことを可能にすることがあり、そのような変異は本開示の範囲に含まれる。
【0118】
図5は、本開示のいくつかの態様による、製造チャンバ500(例えば半導体ウエハ製造チャンバ)の断面図を示している。製造チャンバ500は、エッチングチャンバ(例えばプラズマエッチングチャンバ)、(原子層堆積チャンバ、化学気相堆積チャンバ、物理的気相堆積チャンバまたはこれらのプラズマ強化型を含む)堆積チャンバ、アニールチャンバ、または他の同種のもののうちの1つまたは複数であってもよい。例えば、製造チャンバ500は、プラズマエッチング器用のチャンバ、プラズマ洗浄器用のチャンバなどであってもよい。チャンバ構成要素の例は、基板支持アセンブリ504、静電チャック、リング(例えばプロセスキットリング)、チャンバ壁、ベース、シャワーヘッド506、ガス分配板、ライナ、ライナキット、シールド、プラズマスクリーン、流量平衡器、冷却ベース、チャンバビューポート、チャンバリッド、ノズルなどを含んでもよい。
【0119】
一実施形態では、製造チャンバ500が、内部容積510を取り囲むチャンバ本体508およびシャワーヘッド506を含む。いくつかのチャンバでは、シャワーヘッド506の代わりにリッドおよびノズルが使用されていてもよい。チャンバ本体508は、アルミニウム、ステンレス鋼または他の適当な材料から構築されていてもよい。チャンバ本体508は一般に側壁512および底部514を含む。
【0120】
チャンバ本体508に排気ポート516が画定されていてもよく、排気ポート516が内部容積510をポンプシステム518に結合していてもよい。ポンプシステム518は、製造チャンバ500の内部容積510を排気し、製造チャンバ500の内部容積510の圧力を調節するために利用される1つまたは複数のポンプおよびバルブを含んでいてもよい。排気ポート516のところにまたは排気ポート516の近くに、チャンバからのガス流量および/またはチャンバ内の圧力を制御するためのアクチュエータが配されていてもよい。
【0121】
シャワーヘッド506は、チャンバ本体508の側壁512またはチャンバ本体の頂部に支持されていてもよい。製造チャンバ500の内部容積510へのアクセスを可能にするために、シャワーヘッド506(またはいくつかの実施形態ではリッド)を開いてもよく、閉じている間、シャワーヘッド506(またはいくつかの実施形態ではリッド)が、製造チャンバ500に対するシールを提供してもよい。シャワーヘッド506(またはリッドおよびノズル)を通して内部容積510にプロセスガスまたは洗浄ガスを供給するため、製造チャンバ500にガスパネル520が結合されていてもよい。シャワーヘッド506は、全面に、複数のガス供給穴を含んでいてもよい。製造チャンバ500内で基板を処理するために使用してもよい処理ガスの例は、ハロゲン含有ガス、例えば、とりわけC2F6、SF6、SiCl4、HBr、NF3、CF4、CHF3、F2、Cl2、CCl4、BCl3およびSiF4、ならびにO2またはN2Oなどの他のガスを含む。キャリアガスの例は、N2、He、Ar、およびプロセスガスに対して不活性な他のガス(例えば非反応性ガス)を含む。
【0122】
基板支持アセンブリ504は、製造チャンバ500の内部容積510内のシャワーヘッド506の下方に配されている。いくつかの実施形態では、基板支持アセンブリ504が、サセプタ522およびシャフト524を含む。基板支持アセンブリ504は、処理の間、基板を支持する。いくつかの実施形態では、製造チャンバ500内にさらに、1つまたは複数の加熱装置526および反射器528が配されている。
【0123】
いくつかの実施形態では、シャワーヘッド506が、RF放電を介してプラズマを生成するように構成されている。最大電力供給は、RF源とプラズマとの間でインピーダンスを整合させることに依存する。インピーダンス整合は、閉ループ制御システムによって実行してもよい。RFインピーダンス整合(RFマッチ)に関係する特性を測定するセンサを監視してもよい。製造チャンバ500内のインピーダンスはチャンバ圧力と高度に相関している。RFインピーダンス整合に関係する特性(例えばRFマッチ電圧、RFマッチ電流、RFマッチキャパシタ位置)を監視することが、製造チャンバ500内部の圧力に対する洞察を提供することがある。
【0124】
製造チャンバ500内の追加の特性値を測定するために追加のセンサが使用される。製造チャンバ500に関連したセンサは、温度センサ、圧力センサ(いくつかの実施形態では少なくとも2つの圧力センサが存在していてもよい)、流量センサなどを含んでいてもよい。製造チャンバ500の物理的現象に基づくデジタルツインモデルを利用することによって、故障した構成要素を識別することができ、是正処置を実行することができる。
【0125】
本開示の1つの実施形態では、このチャンバが、2つの圧力センサ(一方のセンサは、閉じた圧力制御ループに含まれており、もう一方のセンサは、チャンバ内の条件を測定する)、チャンバ圧力を調節するアクチュエータの位置を測定するセンサ、およびRFインピーダンス整合を達成するのに使用される電圧を測定するセンサを含む。センサのこの配置により、センサ測定値のパターンが製造チャンバ構成要素の欠陥を指示する。例えば、アクチュエータ位置の予期しない(例えばシミュレートされたデータまたはゴールデンランデータとは異なる)値が、いくつかの構成要素が原因で生じていることがある。その原因を経験的に発見しようとすると費用がかかることがある。しかしながら、フリーの圧力センサおよびRFマッチ電圧センサの読みが、シミュレートされたデータおよび/またはゴールデンランデータと一貫している場合には、アクチュエータは予期しない動作をしているが、チャンバ圧力は正しく設定されている可能性が高い。アクチュエータは、堆積、摩耗、損傷または他の同種のもののために予期しないやり方で動作していることがあり、アクチュエータ保守をスケジュールに入れることが賢明であることがある。この状況およびその他の状況を、訓練された物理的現象に基づくモデルによって生成されたシミュレートされたセンサデータを使用して理解してもよい。
【0126】
図6は、ある種の実施形態によるコンピュータシステム600を示すブロック図である。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム600が、(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネットまたはインターネットなどのネットワークを介して)他のコンピュータシステムに接続されていてもよい。コンピュータシステム600は、クライアント-サーバ環境のサーバもしくはクライアントコンピュータの資格で、またはピアツーピアもしくは分散型ネットワーク環境のピアコンピュータとして動作してもよい。コンピュータシステム600は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ウエブアプライアンス、サーバ、ネットワークルータ、スイッチもしくはブリッジ、またはそのデバイスがとるべき動作を指定する一組の(逐次もしくはそれ以外の)命令を実行することができるデバイスによって提供されたものであってもよい。さらに、用語「コンピュータ」は、一組の(または数組の)命令を個別にまたは共同で実行して、本明細書に記載された方法のうちの1つまたは複数の任意の方法を実行するコンピュータの集合体を含むものとする。
【0127】
追加の態様では、コンピュータシステム600が、処理デバイス602、揮発性メモリ604(例えばランダムアクセスメモリ(RAM))、不揮発性メモリ606(例えばリードオンリーメモリ(ROM)または電気的に消去可能なプログラマブルROM(EEPROM))、およびデータストレージデバイス618を含んでいてもよく、これらはバス608を介して互いに通信してもよい。
【0128】
処理デバイス602は、汎用プロセッサ(例えば複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、他のタイプの命令セットを実施するマイクロプロセッサ、もしくは命令セットのタイプの組合せを実施するマイクロプロセッサ)、または専門プロセッサ(例えば特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号処理プロセッサ(DSP)、もしくはネットワークプロセッサ)などの1つまたは複数のプロセッサによって提供されたものであってもよい。
【0129】
コンピュータシステム600はさらに、(例えばネットワーク674に結合された)ネットワークインターフェースデバイス622を含んでいてもよい。コンピュータシステム600はさらに、ビデオディスプレイユニット610(例えばLCD)、文字数字入力デバイス612(例えばキーボード)、カーソル制御デバイス614(例えばマウス)、および信号生成デバイス620を含んでいてもよい。
【0130】
いくつかの実施形態では、データストレージデバイス618が、
図1の構成要素(例えば予測構成要素114、是正処置構成要素122、モデル190など)をコード化した命令および本明細書に記載された方法を実施するための命令を含む、本明細書に記載された方法または機能のうちの1つまたは複数の方法または機能をコード化した命令626を格納した非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体624(例えば非一時的機械可読媒体)を含んでいてもよい。
【0131】
命令626はさらに、コンピュータシステム600によって命令626が実行されている間、揮発性メモリ604内および/または処理デバイス602内に完全にまたは部分的に存在してもよく、したがって、揮発性メモリ604および処理デバイス602も機械可読ストレージ媒体を構成することがある。
【0132】
例示のための例では、コンピュータ可読ストレージ媒体624が単一の媒体として示されているが、用語「コンピュータ可読ストレージ媒体」は、1組または数組の実行可能命令を格納する単一の媒体または複数の媒体(例えば集中型もしくは分散型データベースならびに/または関連キャッシュおよびサーバ)を含むものとする。用語「コンピュータ可読ストレージ媒体」はさらに、コンピュータが実行するための一組の命令であって、本明細書に記載された方法のうちの1つまたは複数の方法をそのコンピュータに実行させる一組の命令を格納またはコード化することができる任意の有形媒体を含むものとする。用語「コンピュータ可読ストレージ媒体」は、限定はされないが、固体メモリ、光学媒体および磁気媒体を含むものとする。
【0133】
本明細書に記載された方法、構成要素および特徴は、個別ハードウェア構成要素によって実施されてもよく、またはASIC、FPGA、DSPもしくは同種のデバイスなどの他のハードウェア構成要素の機能に統合されていてもよい。さらに、本明細書に記載された方法、構成要素および特徴は、ファームウェアモジュールによってまたはハードウェアデバイス内の機能回路によって実施されてもよい。さらに、本明細書に記載された方法、構成要素および特徴は、ハードウェアデバイスおよびコンピュータプログラム構成要素の任意の組合せで、またはコンピュータプログラムで実施されてもよい。
【0134】
特段の記載がない限り、「受け取る」、「実行する」、「提供する」、「取得する」、「実行させる」、「アクセスする」、「決定する」、「追加する」、「使用する」、「訓練する」、「低減させる」、「生成する」、「是正する」または他の同種の用語などの用語は、コンピュータシステムによって実行または実施される動作およびプロセスであって、物理的な(電子的な)量として表されたコンピュータシステムレジスタおよびメモリ内のデータを操作し、同様に物理的な量として表された、コンピュータシステムメモリもしくはレジスタ内、または他のそのような情報ストレージ、送信もしくは表示デバイス内の他のデータに変換する動作およびプロセスに関する。さらに、本明細書で使用されている「第1」、「第2」、「第3」、「第4」などの用語は、異なる要素間で区別するための標識としての意味を有し、それらの用語の数的呼称に基づく序数の意味は持たないことがある。
【0135】
本明細書に記載された例はさらに、本明細書に記載された方法を実行するための装置に関する。この装置は、本明細書に記載された方法を実行するために特に構築されたものであってもよく、またはコンピュータシステムに格納されたコンピュータプログラムによって選択的にプログラムされる汎用コンピュータシステムを含んでいてもよい。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータ可読の有形のストレージ媒体に格納されていてもよい。
【0136】
本明細書に記載された方法および例示のための例は本来的に、特定のコンピュータまたは他の装置に関係していない。本明細書に記載された教示に従ってさまざまな汎用システムを使用してもよく、または、本明細書に記載された方法および/もしくはそれらの方法の個々の機能、ルーチン、サブルーチンもしくは操作の各々を実行するのには、より専門化された装置を構築することが都合がよいこともある。以上の説明には、これらのさまざまなシステムのための構造の例が示されている。
【0137】
上記の説明は例示のためであることが意図されており、限定するものであることは意図されていない。特定の例示のための例および実施形態に関して本開示を説明してきたが、本開示は、説明された例および実施形態に限定されないことが認識されよう。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲と共に決定されるべきである。
【国際調査報告】