(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】異なる深さおよび形状の構造体を形成するためのリソグラフィシステムおよび関連方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20250121BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539294
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-08-14
(86)【国際出願番号】 US2022049410
(87)【国際公開番号】W WO2023129283
(87)【国際公開日】2023-07-06
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100219003
【氏名又は名称】太田 敢行
(72)【発明者】
【氏名】レイディグ トマス エル
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ チ-ミン
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA28
2H197CA02
2H197CA03
2H197CA07
2H197CC05
2H197CC11
2H197DA04
2H197DA09
2H197DB06
2H197HA03
2H197HA05
(57)【要約】
基板上の第1の層の第1のエリアに、それぞれのビームが第1のエリア内の複数の部分のうちの異なる1つの部分上に入射する複数の放射ビームを導くことを含む方法が提供される。それぞれの部分は、第1のサイズの面積を有し、複数の放射ビームは、第1のパターンに基づいて第1のエリアに導かれ、第1のパターンは、複数のオンセルおよび複数のオフセルを含む複数の単位セルを含み、それぞれの単位セルは、第1のサイズよりも小さい面積を有し、複数のオンセルは、複数の放射ビームのうちの1つの放射ビームの中心が集束する第1のエリア内の位置を識別し、複数のオフセルは、複数の放射ビームのうちのどの放射ビームもその中心が集束しない第1のエリア内の位置を識別する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の第1の層の第1のエリアに、それぞれのビームが前記第1のエリア内の複数の部分のうちの異なる1つの部分上に入射する複数の放射ビームを導くこと
を含み、
それぞれの部分が、第1のサイズの面積を有し、
前記複数の放射ビームが、第1のパターンに基づいて前記第1のエリアに導かれ、
前記第1のパターンが、複数のオンセルおよび複数のオフセルを含む複数の単位セルを含み、
それぞれの単位セルが、前記第1のサイズよりも小さい面積を有し、
前記複数のオンセルが、前記複数の放射ビームのうちの1つの放射ビームの中心が集束する前記第1のエリア内の位置を識別し、
前記複数のオフセルが、前記複数の放射ビームのうちのどの放射ビームもその中心が集束しない前記第1のエリア内の位置を識別する、
方法。
【請求項2】
前記第1のパターンの前記オフセルのうちの少なくとも一部のオフセルが、前記第1のパターンの前記オンセルのうちの一部のオンセル間に配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のエリアの全部が、前記複数の放射ビームのうちの少なくとも一部の放射ビームによって照射される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の層がフォトレジスト層である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のパターンのオンセルの百分率が、前記第1のパターンの単位セルの総数のうちの約75%~約95%である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のパターンのオンセルの百分率が、前記第1のパターンの単位セルの総数のうちの約50%~約75%である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のパターンのオンセルの百分率が、前記第1のパターンの単位セルの総数のうちの約25%~約50%である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のパターン内において、前記オンセルの少なくとも75%が、少なくとも10個の連続したオンセルを含むラインに沿って配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のパターン内において、前記オフセルの少なくとも75%が、少なくとも10個の連続したオフセルを含むラインに沿って配置されている。請求項8に記載の方法。
【請求項10】
基板上の第1の層の第1のエリアに、それぞれのビームが前記第1のエリア内の複数の部分のうちの異なる1つの部分上に入射する第1の複数の放射ビームを導くこと、および
前記基板上の前記第1の層の第2のエリアに、それぞれのビームが前記第2のエリア内の複数の部分のうちの異なる1つの部分上に入射する第2の複数の放射ビームを導くこと
を含み、
前記第1のエリアおよび前記第2のエリアのそれぞれの部分が第1のサイズの面積を有し、
前記第1の複数の放射ビームが、第1のパターンに基づいて前記第1のエリアに導かれ、
前記第2の複数の放射ビームが、第2のパターンに基づいて前記第2のエリアに導かれ、
前記第1のパターンおよび前記第2のパターンがそれぞれ、複数のオンセルおよび複数のオフセルを各々が含む複数の単位セルを含み、
前記第1のパターンおよび前記第2のパターンのそれぞれの単位セルが、前記第1のサイズよりも小さい面積を有し、
前記第1のパターンの前記複数のオンセルが、前記第1の複数の放射ビームのうちの1つの放射ビームの中心が集束する前記第1のエリア内の位置を識別し、
前記第1のパターンの前記複数のオフセルが、前記第1の複数の放射ビームのうちのどの放射ビームもその中心が集束しない前記第1のエリア内の位置を識別し、
前記第2のパターンの前記複数のオンセルが、前記第2の複数の放射ビームのうちの1つの放射ビームの中心が集束する前記第2のエリア内の位置を識別し、
前記第2のパターンの前記複数のオフセルが、前記第2の複数の放射ビームのうちのどの放射ビームもその中心が集束しない前記第2のエリア内の位置を識別する、
方法。
【請求項11】
前記第1のパターンが、前記第2のパターンとは異なるオンセルおよびオフセルの配列を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のパターンが、前記第1のパターンの単位セルの総数のうちのオンセルの第1の百分率を含み、
前記第2のパターンが、前記第2のパターンの単位セルの総数のうちのオンセルの第2の百分率を含み、
前記第1の百分率が前記第2の百分率とは異なる、
請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の層がフォトレジスト層である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のエリアの前記フォトレジスト層が、前記第2のエリアの前記フォトレジスト層が物理的に改変される最大深さとは異なる最大深さまで物理的に改変される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のエリアが前記第2のエリアよりも大きい、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のパターンおよび前記第2のパターンについて、前記オフセルのうちの少なくとも一部のオフセルが、前記オンセルのうちの一部のオンセル間に配置されている、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
基板上の第1の層の第1のエリアの第1の領域に第1の複数の放射ビームを導くことであって、前記第1の複数のビームのうちのそれぞれのビームが、前記第1の領域内の複数の部分のうちの異なる1つの部分上に入射する、導くこと、および
前記第1のエリアの第2の領域に第2の複数の放射ビームを導くことであって、前記第2の複数のビームのうちのそれぞれのビームが、前記第2の領域内の複数の部分のうちの異なる1つの部分上に入射する、導くこと
を含み、
前記第1の領域および前記第2の領域のそれぞれの部分が第1のサイズの面積を有し、
前記第2の複数の放射ビームが、第1のパターンに基づいて前記第1のエリアの前記第1の領域に導かれ、
前記第2の複数の放射ビームが、第2のパターンに基づいて前記第1のエリアの前記第2の領域に導かれ、
前記第1のパターンおよび前記第2のパターンがそれぞれ、複数のオンセルおよび複数のオフセルを含む複数の単位セルを含み、
前記第1のパターンおよび前記第2のパターンのそれぞれの単位セルが、前記第1のサイズよりも小さい面積を有し、
前記第1のパターンの前記複数のオンセルが、前記第1の複数の放射ビームのうちの1つの放射ビームの中心が集束する前記第1の領域内の位置を識別し、
前記第1のパターンの前記複数のオフセルが、前記第1の複数の放射ビームのうちのどの放射ビームもその中心が集束しない前記第1の領域内の位置を識別し、
前記第2のパターンの前記複数のオンセルが、前記第2の複数の放射ビームのうちの1つの放射ビームの中心が集束する第2の領域内の位置を識別し、
前記第2のパターンの前記複数のオフセルが、前記第2の複数の放射ビームのうちのどの放射ビームもその中心が集束しない前記第2の領域内の位置を識別する、
方法。
【請求項18】
前記第1の領域および前記第2の領域について、前記オフセルのうちの少なくとも一部のオフセルが、前記オンセルのうちの一部のオンセル間に配置されている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のエリアの全部が、前記第1の複数の放射ビームまたは前記第2の複数の放射ビームのうちの少なくとも一部の放射ビームによって照射される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の層がフォトレジスト層である、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は一般にリソグラフィシステムおよびリソグラフィ方法に関する。より詳細には、本明細書に記載された実施形態は、寸法が変動する(例えばさまざまな深さの)構造体をより少ない露光で、例えば1回通すことで形成するためのリソグラフィシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィは、半導体デバイスのバックエンド処理のためなど半導体デバイスの製造において、および液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイデバイスの製造において広く使用されている。例えば、LCDの製造では大面積基板がしばしば利用される。LCDまたはフラットパネルディスプレイは、コンピュータ、タッチパネルデバイス、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、テレビジョンモニタなどのアクティブマトリクスディスプレイに対して一般的に使用されている。一般に、フラットパネルディスプレイは、それぞれのピクセルにおける相変化材料としての液晶材料の層を2枚のプレート間に挟み込んだものを含む。電源からの電力が液晶材料を横切ってまたは液晶材料を通して印加されると、ピクセル位置において液晶材料を通過する光量が制御され、すなわち選択的に調節され、それによってディスプレイ上に像を生成することができる。
【0003】
異なる深さを有する構造体を従来のリソグラフィシステムを使用して形成するためには、リソグラフィシステムの書込み可能なエリアの下に基板を複数回通す必要がある。リソグラフィシステムの書込み可能なエリアの下に基板を複数回通すと、スループットが低下する。
【0004】
したがって、当技術分野では、異なる深さを有する構造体を形成するためのリソグラフィシステムおよび関連方法であって、上述のスループットの問題が生じないリソグラフィシステムおよび関連方法が求められている。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では方法が提供される。この方法は、基板上の第1の層の第1のエリアに複数の放射ビームを導くことを含み、それぞれのビームは、第1のエリア内の複数の部分のうちの異なる1つの部分上に入射する。それぞれの部分は、第1のサイズの面積を有し、複数の放射ビームは、第1のパターンに基づいて第1のエリアに導かれ、第1のパターンは、複数のオンセル(on cell)および複数のオフセル(off cell)を含み、それぞれの単位セルは、第1のサイズよりも小さい面積を有し、複数のオンセルは、複数の放射ビームのうちの1つの放射ビームの中心が集束する第1のエリア内の位置を識別し、複数のオフセルは、複数の放射ビームのうちのどの放射ビームもその中心が集束しない第1のエリア内の位置を識別する。
【0006】
別の実施形態では方法が提供される。この方法は、基板上の第1の層の第1のエリアに第1の複数の放射ビームを導くことを含み、それぞれのビームは、第1のエリア内の複数の部分のうちの異なる1つの部分上に入射する。この方法はさらに、基板上の第1の層の第2のエリアに第2の複数の放射ビームを導くことを含み、それぞれのビームは、第2のエリア内の複数の部分のうちの異なる1つの部分上に入射し、第1のエリアおよび第2のエリアのそれぞれの部分は第1のサイズの面積を有し、第1の複数の放射ビームは、第1のパターンに基づいて第1のエリアに導かれ、第2の複数の放射ビームは、第2のパターンに基づいて第2のエリアに導かれ、第1のパターンおよび第2のパターンはそれぞれ、複数のオンセルおよび複数のオフセルを各々が含む複数の単位セルを含み、第1のパターンおよび第2のパターンのそれぞれの単位セルは、第1のサイズよりも小さい面積を有し、第1のパターンの複数のオンセルは、第1の複数の放射ビームのうちの1つの放射ビームの中心が集束する第1のエリア内の位置を識別し、第1のパターンの複数のオフセルは、第1の複数の放射ビームのうちのどの放射ビームもその中心が集束しない第1のエリア内の位置を識別し、第2のパターンの複数のオンセルは、第2の複数の放射ビームのうちの1つの放射ビームの中心が集束する第2のエリア内の位置を識別し、第2のパターンの複数のオフセルは、第2の複数の放射ビームのうちのどの放射ビームもその中心が集束しない第2のエリア内の位置を識別する。
【0007】
別の実施形態では方法が提供される。この方法は、基板上の第1の層の第1のエリアの第1の領域に第1の複数の放射ビームを導くことを含み、第1の複数のビームのうちのそれぞれのビームは、第1の領域内の複数の部分のうちの異なる1つの部分上に入射する。この方法はさらに、第1のエリアの第2の領域に第2の複数の放射ビームを導くことを含み、第2の複数のビームのうちのそれぞれのビームは、第2の領域内の複数の部分のうちの異なる1つの部分上に入射し、第1の領域および第2の領域のそれぞれの部分は第1のサイズの面積を有し、第2の複数の放射ビームは、第1のパターンに基づいて第1のエリアの第1の領域に導かれ、第2の複数の放射ビームは、第2のパターンに基づいて第1のエリアの第2の領域に導かれ、第1のパターンおよび第2のパターンはそれぞれ、複数のオンセルおよび複数のオフセルを含む複数の単位セルを含み、第1のパターンおよび第2のパターンのそれぞれの単位セルは、第1のサイズよりも小さい面積を有し、第1のパターンの複数のオンセルは、第1の複数の放射ビームのうちの1つの放射ビームの中心が集束する第1の領域内の位置を識別し、第1のパターンの複数のオフセルは、第1の複数の放射ビームのうちのどの放射ビームもその中心が集束しない第1の領域内の位置を識別し、第2のパターンの複数のオンセルは、複数の放射ビームのうちの1つの放射ビームの中心が集束する第2の領域内の位置を識別し、第2のパターンの複数のオフセルは、第2の複数の放射ビームのうちのどの放射ビームもその中心が集束しない第2の領域内の位置を識別する。
【0008】
上に挙げた本開示の特徴を詳細に理解することができるように、そのうちのいくつかが添付図面に示されている実施形態を参照することによって、上に概要を簡単に示した本開示のより詳細な説明を得ることができる。しかしながら、添付図面は例示的な実施形態だけを示しており、したがって、添付図面を本開示の範囲を限定するものとみなすべきではなく、等しく有効な他の実施形態を受け入れる可能性があることに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態による、リソグラフィシステムの透視図である。
【
図2】一実施形態による、
図1のリソグラフィシステム内で使用してもよい例示的な像投影システムの概略図である。
【
図3B】一実施形態による、第1の放射パターンの上面図である。
【
図3C】一実施形態による、第2の放射パターンの上面図である。
【
図4】一実施形態による、基板上のフォトレジスト層の異なるエリアを異なる放射パターンを用いて変更する方法1000のプロセスフローである。
【
図5A】別の実施形態による、基板の上面図である。
【
図5B】一実施形態による、第1の放射パターンの上面図である。
【
図5C】一実施形態による、第2の放射パターンの上面図である。
【
図5D】一実施形態による、第3の放射パターンおよび第4の放射パターンの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするため、可能な場合には、図に共通する同一の要素を示すのに同一の参照符号を使用した。追加の記載なしに、1つの実施形態の要素および特徴を他の実施形態に有益に組み込むことができることが企図される。
【0011】
本開示の実施形態は一般にリソグラフィシステムおよびリソグラフィ方法に関する。より詳細には、本明細書に記載された実施形態は、寸法が変動する(例えばさまざまな深さの)構造体をより少ない露光で、例えば1回通すことで形成するためのリソグラフィシステムおよび方法に関する。
【0012】
図1は、一実施形態による、リソグラフィシステム100の透視図である。リソグラフィシステム100はデジタルリソグラフィシステムとすることができる。リソグラフィシステム100は、処理装置104、ステージ114、スラブ102および一対のトラック116を含む。
【0013】
ステージ114は、スラブ102上に配された一対のトラック116によって支持されている。処理装置104の下の異なる位置までトラック116に沿ってステージ114を移動させることができる。ステージ114上には基板120が配置されている。基板120上にフォトレジスト層を配することができる。処理装置104は、処理装置104の部分の下方に基板120が配置されているときに基板120上のフォトレジストに向かって放射(例えば紫外放射)を導くための機器を含む。以下の開示は、フォトレジスト層の部分を物理的に改変する(例えばフォトレジスト現像剤に対するフォトレジスト部分の溶解性を変化させる)ことによって構造体を形成することを記述しているが、本開示の利益は、任意の形態の放射によって物理的に改変されうる任意の層に当てはまりうる。
【0014】
ステージ114は、一対のトラック116に沿ってX方向に移動するように構成されており、X方向は、
図1に示された座標系によって示されている。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、一対のトラック116が、平行な一対の磁気チャネルである。示されているように、一対のトラック116のそれぞれのトラックは直線経路に沿って延びている。
【0015】
処理装置104は、支持体108および処理ユニット106を含む。支持体108はスラブ102上に配されている。処理装置104の支持体108は、一対のトラック116をまたいで開口112を形成している。処理ユニット106は、スラブ102の上に支持体108によって支持されている。一対のトラック116は、開口112を通って延びることができる。開口112は、トラック116に沿ってステージ114が処理ユニット106の下に移動することを可能にする。
【0016】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、処理ユニット106が、フォトリソグラフィプロセスにおいて基板120上のフォトレジストを放射(例えばUV放射)で露光するように構成されたパターン生成器である。
【0017】
処理ユニット106は、各々が1つのケース110内に配された複数の像投影システム200を含む。像投影システム200の詳細は
図2を参照して後に論じる。
図1には、像投影システム200を収容する18個のケース110が示されており、それぞれの像投影システム200はそのうちの1つのケース110内に配されている。図面を乱雑にしないように1つの像投影システム200だけが示されている。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態では、処理ユニット106が、これよりも少数の像投影システム(例えば5つの像投影システム200)またはこれよりも多数の像投影システム(例えば50個の像投影システム)を含むことができる。処理ユニット106は、フォトレジストまたは他の電磁放射感応性材料にマスクなしでパターンを直接に書き込むために使用される。
【0018】
リソグラフィシステム100はさらにコントローラ122およびエンコーダ118を含む。コントローラ122は一般に、本明細書に記載された処理方法の自動化を容易にするように設計されている。コントローラ122は、プラグラム可能な論理制御装置(PLC)など、工業環境で使用される任意のタイプのコントローラとすることができる。コントローラ122は、プロセッサ127、メモリ126および入力/出力(I/O)回路128を含む。コントローラ122はさらに、半導体機器のコントローラ内で通常見られる1つまたは複数の電源、クロック、通信構成要素(例えばネットワークインターフェースカード)およびユーザインターフェースなどの構成要素のうちの1つまたは複数の構成要素(図示せず)を含むことができる。
【0019】
メモリ126は非一時的メモリを含むことができる。この非一時的メモリを使用して、後に説明するプログラムおよび設定を格納することができる。メモリ126は、リードオンリーメモリ(ROM)(例えば電気的に消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、フロッピーディスク、ハードディスク、またはランダムアクセスメモリ(RAM)(例えば不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)などの、容易に入手可能な1つまたは複数のタイプのメモリを含むことができる。
【0020】
プロセッサ127は、
図4を参照して後に説明する方法1000を実行するように構成されたプログラムなど、メモリ126に格納されたさまざまなプログラムを実行するように構成されている。これらのプログラムの実行中に、コントローラ122は、I/O回路128を介してI/Oデバイス(例えば処理装置104、ステージ114およびエンコーダ118)と通信することができる。例えば、これらのプログラムの実行中およびI/O回路128を介した通信中に、コントローラ122は、例えばフィードバックデバイス(例えばエンコーダ118)からの情報およびリソグラフィシステム100内の他の入力(例えばセンサ)からの情報を使用してステージ114の位置を制御するために、出力を制御することができる。メモリ126はさらに、リソグラフィシステム100を制御するために使用するさまざまな動作設定を含むことができる。例えば、この設定は、1つまたは複数の基板に適用する異なる放射パターンのパターン情報を含むことができる。いくつかの実施形態では、処理装置104が、異なるプロセスのために基板に適用するパターンに関する情報を格納することができるコントローラを含むことができる。
【0021】
処理装置104はさらに、基板処理のステータスに関する情報をコントローラ122に提供してもよい。例えば、処理装置104は、基板処理の一部分が完了したことをコントローラ122に知らせるための情報をコントローラ122に提供してもよい。コントローラ122はさらに、ステージ114の位置などの情報を処理装置104に提供することができる。
【0022】
エンコーダ118は、ステージ114に結合されたものとすることができる。エンコーダ118を使用して、ステージ114の位置情報をコントローラ122に提供することができる。コントローラ122は、この位置情報を使用して、基板120上のフォトレジストの指定された部分を像投影システム200からの所定の量の放射で露光することができるように、処理ユニット106内の像投影システム200を制御することができ、これによって、意図する深さおよび形状を有する構造体を基板120上に形成することができる。
【0023】
イメージングプログラムと呼ばれることがある、メモリ126に格納された、コントローラ122が読むことができるプログラム(例えばソフトウェア命令)は、所与の基板120上でどのタスクが実行可能であるのかを決定する。これらのプログラムは、適用する放射パターンに関するデータ、ならびにプロセスの間、処理時間および基板位置を監視および制御するためのコードを含むことができる。放射パターン(例えば
図3Bを参照して後に説明する第1のパターン310)に関するデータは、像投影システム200から提供された電磁放射を使用してフォトレジストに書き込むパターンに対応しうる。リソグラフィを実行するのに従来のリソグラフィプロセスがどれだけ物理マスクを使用してきたかの結果として、たとえ本明細書に記載されたデジタルリソグラフィプロセスを実行するのに物理マスクが使用されない場合であっても、このパターンデータをマスクパターンデータと呼ぶこともありうる。
【0024】
コントローラ122はさらに、メモリ126内の仮想マスクファイル(例えばイメージファイル)に格納された放射パターン(例えば
図3Bを参照して後に説明する第1のパターン310)を基板120上のフォトレジスト層上に形成するために、仮想マスクファイルに格納されたそのパターンを、像投影システム200が使用することができるデータに変換するのを支援するラスタライザを含んでいてもよい。このラスタライザは、ラスタライザ計算エンジンを含むことができ、このラスタライザ計算エンジンは、1つまたは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、グラフィクス処理ユニット(GPU)、FPGAとGPUとの組合せを含む。
【0025】
コントローラ122は単一の構成要素として示されているが、これは必須ではない。いくつかの実施形態では、リソグラフィシステム100の複数の構成要素にわたってコントローラ122を分散させることができる。例えば、仮想マスクファイルをサーバ上に格納することができ、その一方で、別個のコントローラを使用してステージ114の移動を制御することができ、別個のコントローラを使用して、像投影システム200からの放射を基板120上のフォトレジスト層に導くことができる。使用するサーバおよび別個のコントローラは全て、各々が、非一時的メモリ、およびこの非一時的メモリに格納されたプログラムを実行するためのプロセッサを含むことができ、これによって、後に説明する方法を実行することができる。
【0026】
基板120は、限定はされないが、シリコン(Si)、二酸化シリコン(SiO2)、溶融シリカ、石英、ガラス、炭化シリコン(SiC)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、リン化インジウム(InP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)またはサファイヤを含む、適当な任意の材料で形成されたものとすることができる。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態では、基板120が、フラットパネルディスプレイの部分として使用することができる他の材料で形成されている。
【0027】
基板120上に膜層(例えばクロムを含む膜層)を形成することができる。この膜層上にフォトレジスト層を形成することができる。いくつかの実施形態では、フォトレジスト層を、電磁放射、例えばUVまたはディープUV「光」に対して感応性のものとすることができる。この電磁放射でフォトレジストを露光した後、フォトレジストを現像して指定されたパターンを残す。
【0028】
図2は、リソグラフィシステム100内で使用してもよい例示的な像投影システム200の概略図である。
図1を参照して上で述べたとおり、処理ユニット106は、各々が1つのケース110内に配された複数の像投影システム200を含む。それぞれの像投影システム200は、基板120上のフォトレジストの異なる部分に放射を提供することができる。ここでは、これらの像投影システム200のうちの1つが
図2を参照して説明される。
【0029】
像投影システム200は、光源202、開孔204、レンズ206、フラストレーティッドプリズムアセンブリ(frustrated prism assembly)208、空間光変調器210および投影光学部品212を含む。光源202は、開孔204を通してレンズ206に光ビーム201を放射することができる。レンズ206は、光ビーム201を、フラストレーティッドプリズムアセンブリ208に導くことができ、フラストレーティッドプリズムアセンブリ208は、その光を、空間光変調器210上の複数のミラーに反射することができる。空間光変調器210上の複数のミラーをそれぞれ個別にオンまたはオフに制御(例えば電気制御)することができる。空間光変調器210の「オン」状態のミラーは次いで、複数の書込みビーム203を、投影光学部品212を通して、基板120上のフォトレジストの異なる部分に反射することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、例えば光源202がレーザであるときに、複数のビームのそれぞれのビーム203が多数のショットを含むことができる。これらのうちの一部の実施形態では、この多数のショットが、レーザからの別個のパルスである。これらのうちの一部の実施形態では、この多数のショットを、ビーム203を導く個々の位置ごとの指定された数のショットとすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、この多数のショットを、個々の位置(例えば
図3Bを参照して後に説明する部分305を参照されたい)ごとに約50ショット~約500ショットの間とすることができる。他の実施形態では、フォトレジスト上のそれぞれの別個の位置に適用する放射の量を制御する別の方法を可能にするために、この多数のショットを、フォトレジスト上の異なる位置に対して変動させることができる。
【0031】
複数の書込みビーム203は、基板120上のフォトレジスト層(第1の層)を物理的に改変することができる。例えば、複数の書込みビーム203からの放射は、1つまたは複数のフォトレジスト現像剤に対するフォトレジストの溶解性を変化させることができる。空間光変調器210のオフ状態のミラーは、(1)フォトレジストの対応する部分が放射で露光されないこと、または(2)フォトレジストの対応する部分がより少ない放射で露光されることに帰着しうる。後にさらに詳細に説明するが、基板120上のフォトレジストに放射パターンを導いて、異なる深さおよび/または形状を有する構造体を形成することができる。放射に対する他の全ての動作パラメータ(例えば放射持続時間、電力レベル、デューティサイクル、ショットの多重度など)が一定に維持されているとき、全ミラーに対する「オン」ミラーの比率がより高い放射パターンは一般に、全ミラーに対する「オン」ミラーの比率がより低い放射パターンよりも大きな深さまで、フォトレジストを物理的に改変することができる。
【0032】
光源202は、1つまたは複数の波長を生成することができる適当な光源、例えば発光ダイオード(LED)またはレーザとすることができる。光源202がレーザである、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、レーザが放出する波長を、青または近紫外(UV)範囲の波長、例えば約450nmよりも短い波長とすることができる。
【0033】
投影光学部品212は、放射を基板120上に投影するのに使用する投影レンズ、例えば10×対物レンズを含むことができる。
【0034】
一実施形態では、空間光変調器210がデジタルマイクロミラーデバイス(digital micromirror device)(DMD)である。DMD内の複数のミラーのうちのそれぞれのミラーは、後に説明するパターンの単位セル(例えば
図3Bを参照して後に説明する単位セル320を参照されたい)に対応しうる。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態では、DMDが、約4,000,000個を超えるミラーを含む。本開示では、放射パターンを導くのに使用する個別に制御可能な要素を一般にミラー(例えばデジタルマイクロミラー)として説明するが、個別に制御可能なこれらの要素は、液晶ディスプレイ(LCD)、リキッドクリスタルオーバーシリコン(liquid crystal over silicon)(LCoS)デバイス、フェロエレクトリックリキッドクリスタルオンシリコン(ferroelectric liquid crystal on silicon)(FLCoS)デバイス、およびマイクロシャッタも含みうる。
【0035】
図3Aは、一実施形態による、基板120の上面図である。
図3Aでは、基板120が、フォトレジスト層121、第1の変更部分300および第2の変更部分350を含む。変更部分300、350は、基板120上のフォトレジスト層121(第1の層とも呼ぶ)の変更部分である。第1の変更部分300は、フォトレジスト層121の第1のエリア301に第1の放射パターン310(
図3B参照)を導くことによって形成されたものである。第2の変更部分350は、フォトレジスト層121の第2のエリア351に第2の放射パターン360(
図3C参照)を導くことによって形成されたものである。
【0036】
変更部分300、350は、フォトレジスト層121の無変更部分に比べて物理的に改変されている。変更部分300、350は、対応する第1のエリア301および第2のエリア351に導かれた放射によって物理的に改変されている。例えば、この放射によってエリア301、351のフォトレジスト層121の溶解性を変更して基板120にフォトレジスト現像剤を塗布することを可能にし、その結果、変更部分300、350から構造体(例えばビア)を形成することができるようにすることができる。
【0037】
図3Bは、一実施形態による、第1の放射パターン310の上面図を示している。第1の放射パターン310に従って第1のエリア301に放射を導いて、
図3Aの第1の変更部分300を形成することができる。第1のパターン310の部分は第1のエリア301の部分に対応しうるため、以下の開示では、第1のパターン310のいくつかの部分を第1のエリア301の部分とも呼ぶ。第1のパターン310の斜線が引かれたエリアは、放射ビーム(例えば
図2のビーム203)の中心がその付近に集束する、フォトレジスト121の第1のエリア301の対応する部分を識別し、一方、第1のパターン310の斜線が引かれていないエリアは、どの放射ビームもその中心がその付近に集束しない、第1のエリア301の対応する部分を識別する。特定のエリア上に放射ビームの中心が集束するこの概念については後により詳細に説明する。
【0038】
第1のパターン310は、第1のエリア301などの所与のエリアの特定の位置に放射が導かれ、その放射の中心がその特定の位置に集束するかどうかを識別するための複数の単位セル320を含む。単位セル320は、オンセル320Aおよびオフセル320Bを含む。第1のパターン310の斜線が引かれたエリアは、第1のパターン310に従って放射ビームがそこに導かれ、その放射ビームの中心がそこに集束する、第1のエリア301の部分を識別するオンセル320A(そのうちのいくつかが示されている)を含む。反対に、第1のパターン310の斜線が引かれていないエリアは、第1のパターン310に従ったどの放射ビームもその中心が集束しない、第1のエリア301の部分を識別するオフセル320B(そのうちのいくつかが示されている)を含む。
【0039】
第1のパターン310は、同心リング状に配列されたオンセル320Aおよびオフセル320Bのグループを含むリング形パターンである。第1のパターン310は、オンセル320Aの中心部分315を含む。中心部分315は、いくつかのリング形部分によって取り囲まれている。中心部分315の周囲にはオフセル320Bの第1のリング形部分311が配されている。第1のリング形部分311の周囲にはオンセル320Aの第2のリング形部分312が配されている。第2のリング形部分312の周囲にはオフセル320Bの第3のリング形部分313が配されている。第3のリング形部分313の周囲にはオンセル320Aの第4のリング形部分314が配されている。
【0040】
第1のリング形部分311は、中心部分315と第2のリング形部分312との間に配置されており、中心部分315および第2のリング形部分312と接触している。第2のリング形部分312は、第1のリング形部分311と第3のリング形部分313との間に配置されており、第1のリング形部分311および第3のリング形部分313と接触している。第3のリング形部分313は、第2のリング形部分312と第4のリング形部分314との間に配置されており、第2のリング形部分312および第4のリング形部分314と接触している。第4の部分314は、第1のパターン310の最も外側の部分である。
【0041】
第1のパターン310は、
図3Aの第1のエリア301に放射を導くために使用される。リソグラフィシステム100(
図1参照)を使用して、この放射を、第1のパターン310(
図3B参照)に従って第1のエリア301(
図3A参照)に導くことができる。例えば、リソグラフィシステム100の複数の像投影システム200(
図2参照)のうちの1つまたは複数の像投影システム200を使用して、この放射を、第1のエリア301に導くことができる。一実施形態では、像投影システム200が、第1のパターン310の複数の単位セル320のうちの全ての単位セル320に対応する、オンおよびオフ状態に電気制御することができる十分な数のミラーのアレイを含むことができ、その結果、第1のパターン310に対応する幾何学的パターンをとるこれらの別個のミラーから第1のエリア301に放射が導かれる。
【0042】
別の実施形態では、像投影システム200が、第1のパターン310を経時的に形成するようにミラーを電気制御することができる。例えば、いくつかの実施形態では、複数の像投影システム200のうちの1つの像投影システム200の単一のミラーを使用して、第1のパターン310の複数のオンセル320Aのうちの2つ以上のオンセル320Aに対して対応する放射ビームを導くことができる。単一のミラーを使用して、第1のパターンの2つ以上のオンセル320Aに対して対応する放射ビームを導くことは、とりわけ、(1)ステージ114を使用して基板120を移動させ、ステージの移動の前後にミラーを起動させることによって、(2)ミラーから反射された放射ビームが基板上の異なる位置に導かれるようにミラーの角度を変化させることによって、および/または(3)ミラーから反射されたビームの軌道を、リソグラフィシステム100内の他の光学部品によって変化させることによって、達成することができる。
【0043】
第1のパターン310に従って第1のエリア301に適用する放射ビームは第1のパターン310の構成要素よりも大きい(すなわち、第1のパターン310の斜線が引かれたエリアおよび斜線が引かれていないエリアを形作っている単位セル320よりも大きい)。例えば、第1の単位セル320A1に基づいて第1のエリア301に放射ビームを適用すると、第1のエリア301の部分3051に単一の放射ビームが入射する。部分3051は、第1のパターン310および第1のエリア301の第4の部分314の斜線が引かれた部分から、第3の部分313の斜線が引かれていない部分内まで広がっている。したがって、放射は、第1のパターン310の斜線が引かれていないエリアに対応する第1のエリア301の部分にも導かれうる。これは、第1のパターン310の斜線が引かれていない部分は、第1のパターン310の斜線が引かれていないエリアに対応する第1のエリア301の部分に中心が集束する放射ビームがないことを示しているだけであるためである。例えば、オフセル320B2は、第1のパターン310の斜線が引かれていない部分にあるため、第1のエリア301の部分3052のオフセル320B2上に中心が集束するように第1のエリア301に導かれる放射ビームはない。
【0044】
図面を乱雑にしないように、
図3Bには、少数の単位セル320だけが示されているが、全ての単位セル320を示した場合には、第1のパターン310の全体を単位セル320が、例えば互いに重ならない配列で埋めることになる。一実施形態では、
図3Bに示されているように、複数の単位セル320を2次元アレイ(例えばグリッド)として配列することができる。いくつかの実施形態では、必須ではないが、複数の単位セル320のそれぞれの単位セル320が同じサイズを有する(例えば、全ての単位セル320を同じサイズの正方形とする)ことができる。それぞれの単位セル320の面積を部分305の面積よりも小さくすることができる。例えば、
図3Bでは、それぞれの部分305の内側に9つの単位セル320がぴったり入り、それぞれの部分305を埋めることができるので、単位セル320の面積は部分305の面積の1/9である。他の実施形態では、単位セル320が、1/9よりも大きな程度でまたは1/9よりも小さな程度で部分305の面積よりも小さい面積を有することができる。
【0045】
第1のエリア301などのエリアが、第1の放射パターン310を受け取るように選択されると、第1のパターン310の単位セル320は第1のエリア301の位置に対応する。例えば、第1のエリア301が、第1のパターン310に従った放射を受け取るように選択されると、第1のパターン310の左上隅の単位セル320A3は、第1のパターン310の単位セル320A3の位置に従って放射が適用されたときに左上の部分3053が受け取る放射に対応しうる。適用される放射ビームは単位セル320よりも大きいため、第1のエリア301に適用される放射は第1のパターン310よりも大きいことに留意されたい。例えば、左上隅の部分3053によって示されているように、第1のエリア301は、第1のパターン310の4つの全ての辺の1つの単位セル320の分だけ第1のパターン310よりも大きい。
【0046】
放射ビームは、単位セル320よりも大きい第1のエリア301の部分305に入射するため、放射ビームが入射する第1のエリア301の部分305は互いに重なる。重なる量は、部分305の面積と比較した単位セル320の面積によって決まる。部分3051に示されているように、1つの部分305の内側には9つの単位セル320がぴったり入り、1つの部分305を完全に埋めることができる。異なるオンセル320Aからの放射が単一のエリアにおいて互いに重なるときには、部分305の単位セル320の数が多いほど、第1のエリア301の所与の位置に入射しうるビームの数は多くなる。例えば、部分305が、斜線が引かれた9つの単位セル320Aで完全に埋められている場合、その部分305の中心位置(すなわち単位セル320のサイズの位置)は、このパターンに従って放射が適用されたときに互いに重なる9つの異なる放射ビームを受け取ることになる。
【0047】
したがって、第1のエリア301のそれぞれの位置が少なくとも1つの放射ビームを受け取る場合には、エリア301の位置が、1つの放射ビームを受け取るものから9つの放射ビームを受け取るものまで変動しうる。例えば、オフセル320B4によって囲われたエリアに対応するフォトレジスト121の位置は、オンセル320A4に従って放射が適用されたときに1つの放射ビームを受け取るだけであろう。反対に、オンセル320A5によって囲われたエリアに対応する、中心に位置するフォトレジスト321のエリアは、オンセル320A5に従って放射が適用され、次いでオンセル320A5を取り囲む8つのオンセル320A(図示せず)に従って放射が適用されたときに、互いに重なる9つの放射ビームを受け取るであろう。
【0048】
所与のパターン(例えば第1のパターン310)の単位セルの総数のうちのオンセル320Aの百分率を大幅に変動させることができる。同じフォトレジスト層に適用する放射に関して他の因子を一定に維持すると、対応するそれぞれのパターンに従って放射が適用されたときに、オンセル320Aの百分率がより高いパターンは一般に、オンセル320Aの百分率がより低いパターンに比べてより深い深さまで変更されたフォトレジストに帰着しうる。単位セル320の総数のうちのオンセル320Aの百分率は、0%~100%の間の任意の数値とすることができるが、パターン内で使用してもよい、単位セル320の総数のうちのオンセル320Aの百分率のいくつかの非限定的な例は、約25%~約50%のパーセント、約50%~約75%のパーセント、約75%~約95%のパーセントを含む。
【0049】
第1のエリア301全体の全部は放射で露光されるが、第1のエリア301の全部が同じ量の放射で露光されるわけではない。第1のパターン310は、第1のエリア301のフォトレジスト121の異なる部分がどれくらいの放射を受け取るのかを制御するのに使用される。例えば、複数のオフセル320Bによって占められた第1のパターン310の第1の部分311および第3の部分313は、第1のパターン310がオンセル320Aだけを含む場合には第1のエリア301によって受け取られたであろう放射の量を低減させる。放射パターン(例えば第1のパターン310)の単位セル320の総数のうちのオフセル320Bの百分率を、1つのエリア(例えば第1のエリア301)がどのくらいの放射を受け取るのかを制御するための方法として使用することができる。さらに、放射パターン内にオフセル320Bを配置することを、1つのエリアの特定の部分がそのエリアの他の部分に比べてどのくらいの放射を受け取るのかを制御するための方法として使用することができる。
【0050】
フォトレジストの特定の部分が受け取る放射の量は、フォトレジストのその特定の部分がその放射によって最終的にどれくらい変更されるのかに関係する。例えば、より多くの放射量を受け取るフォトレジスト部分は一般に、より少ない放射を受け取る他のフォトレジスト部分よりも大きな深さまで変更される。したがって、放射パターン(例えば第1のパターン310)を使用して、所与のエリア(例えば第1のエリア301)においてフォトレジストが変更される深さを制御すること、およびフォトレジストが変更される深さを所与のエリアにわたって変更することができる(後に論じる
図5の説明を参照されたい)。さらに、異なる放射パターンを使用して、異なる深さまで変更されたフォトレジストを有するエリアを形成することができ、これによって、最終的に、異なる深さおよび/または形状の構造体(例えばビア)を基板上に形成することができる。異なる放射パターンの一例は、
図3Cを参照して下で説明される。
【0051】
図3Cは、一実施形態による、第2の放射パターン360の上面図を示している。第2の放射パターン360に従って第2のエリア351に放射を導いて、
図3Aに示されているフォトレジスト121の第2の変更部分350を形成することができる。第2のパターン360の部分は第2のエリア351の部分に対応しうるため、第2のパターン360のいくつかの部分を第2のエリア351の部分とも呼ぶ。
【0052】
第2のパターン360ではリング形部分311~314のサイズが第1のパターン310とは異なっていることを除き、第2の放射パターン360は第1の放射パターン310と同じである。例えば、第2のパターン360では、オフセル320Bの第1の部分311および第3の部分313が、第1のパターン310の対応する部分311、313に比べて小さい。さらに、第2のパターン360では、オンセル320Aの第2の部分312および第4の部分314が、第1のパターン310の対応する部分312、314に比べて大きい。したがって、第2のパターン360では、第2のパターン360内の単位セル320の総数のうちのオンセル320Aの百分率が、第1のパターン310に比べて大きい。
【0053】
第2のパターン360ではオンセル320Aの百分率が第1のパターン310に比べて大きいため、両方の放射パターン310、360を適用するときに放射に対する他の全ての動作パラメータ(例えば放射強度、持続時間、ショットの多重度、デューティサイクルなど)を一定に維持すると、第2のパターン360を使用したときに第2のエリア351の部分に向かって導かれる放射の量が、第1のパターン310を使用したときに比べて大きくなる。第2のエリア351の部分に向かって導かれるこのより大きな放射量によって、変更部分350のフォトレジストの部分を、変更部分300のフォトレジストよりも深くまで変更することができる。したがって、異なるパターン310、360は、フォトレジストの異なるエリアを異なる深さまでどのように変更することができるのかを示し、このことは、最終的に、異なる深さおよび/または形状の構造体(例えばビア)を形成することを可能にする。これらのパターンに応じて、フォトレジストの異なるエリアに適用された異なる放射パターンは、異なる最大深さおよび/またはそれらのエリアの対応する部分を横切る異なる深さを有するフォトレジストの変更部分に帰着しうる。
【0054】
放射パターンを調整して、異なる形状の構造体を形成することもできる。例えば、パターンの縁に向かって放射を低減させて、傾きがより小さい構造体の側壁を形成することができる。反対に、中心から縁まで実質的に一定の放射を要求するパターンまたは縁の放射量が中心に比べて大きいことを要求するパターンを使用すると、その放射によって形成している構造体の側壁をより急にすることができる。
【0055】
図4は、一実施形態による、基板120上のフォトレジスト層121の異なるエリアを異なる放射パターンを用いて変更する方法1000のプロセス流れ図である。
図1~3Cを参照して方法1000を説明する。コントローラ122(
図1参照)は、メモリに格納されたプログラムを実行して、方法1000の一部または全部を実行することができる。方法1000はブロック1002から始まる。
【0056】
ブロック1002で、基板120をステージ114上に配置する。
【0057】
ブロック1004で、ステージ114を処理ユニット106の下に移動させて、複数の像投影システム200のうちの1つまたは複数の像投影システム200が基板120上のフォトレジスト層121に向かって放射を導くことができるようにする。
【0058】
ブロック1006で、第1のパターン310を使用して、基板120上のフォトレジスト121の第1のエリア301に第1の複数の放射ビームを導いて、第1の変更部分300を形成する。第1のパターン310に従って第1の複数の放射ビームを第1のエリア301に導くことができるように、複数の空間光変調器210のうちの1つまたは複数の空間光変調器210の複数のミラーを使用して、第1のパターン310の複数のオンセル320Aおよび複数のオフセル320Bを形成することができる。いくつかの実施形態では、第1のパターン310のそれぞれの単位セル320に対して別個のミラーを使用することができるように、空間光変調器210に十分な数のミラーがある。他の実施形態では、ステージ114が基板120を異なる位置に移動させたときに、空間光変調器210の複数のミラーのうちの一部のミラーを、そのパターンの2つ以上の単位セル320に対して再使用することができ、それによって、それらのミラーは、ステージ114を移動させたときに、第1のパターン310を経時的に生成することができる。いくつかの実施形態では、空間光変調器の複数のミラーのうちの一部のミラーの角度を調整することができ、それによって、それらのミラーを、第1のパターン310の2つ以上の単位セル320に対して使用することができる。
【0059】
ブロック1008で、第2のパターン360を使用して、基板120上のフォトレジスト121の第2のエリア351に第2の複数の放射ビームを導いて、第2の変更部分350を形成する。第2のパターン360に従って第2のエリア351に放射を導くことができるように、複数の空間光変調器210のうちの1つまたは複数の空間光変調器210の複数のミラーを使用して、第2のパターン360の複数のオンセル320Aおよび複数のオフセル320Bを形成することができる。いくつかの実施形態では、第2のパターン360のそれぞれの単位セル320に対して別個のミラーを使用することができるように、空間光変調器210に十分な数のミラーがある。他の実施形態では、ブロック1006に関して上で説明した方法と同様の方法を使用して、空間光変調器210の複数のミラーのうちの一部のミラーを再使用することができる。いくつかの実施形態では、ブロック1006、1008が別個の時刻に実行され、他の実施形態では、ブロック1006、1008を同時に実行することができる。
【0060】
上で述べたとおり、第2のパターン360は、第1のパターン310に比べて高いオンセル320Aの百分率を有する。このより高い比率は、対応するそれぞれのパターン310、360のそれぞれのオンセル320Aから同じ量および同じタイプの放射が放出されたときに、第2の部分350の部分のフォトレジスト121が、第1の変更部分300の対応する部分に比べてより深い深さまで変更される(例えば、フォトレジスト現像剤に対するフォトレジストの溶解性が変化する)ことに帰着する。方法1000中には基板120に2つの放射パターン310、360だけが導かれるが、さまざまな深さおよび/または形状の他の構造体を形成することができるように、方法1000は、追加のパターン(図示せず)または同じパターン310、360をフォトレジスト121の他のエリアで使用して放射を導き続けることができる。
【0061】
単一のエリアの2つ以上の領域に異なる放射パターンを適用することができるように、方法1000を、単一のエリアの2つ以上の領域上で実行することもでき、その結果、変更されたフォトレジストの深さおよび/または形状を単一のエリアを横切って調整することができる。単一のエリア内の2つの領域に異なる2つの放射パターンを適用する例を、
図5Dを参照して後に詳細に説明する。
【0062】
図5Aは、別の実施形態による、基板120の上面図である。
図5Aでは、基板120が、フォトレジスト層121、第1の変更部分500、第2の変更部分550および第3の変更部分570を含む。変更部分500、550、570は、基板120上のフォトレジスト層121(第1の層とも呼ぶ)の変更部分である。第1の変更部分500は、フォトレジスト層121の第1のエリア501に第1の放射パターン510(
図5B参照)を導くことによって形成されたものである。第2の変更部分550は、フォトレジスト層121の第2のエリア551に第2の放射パターン560(
図5C参照)を導くことによって形成されものである。第3の変更部分570は、フォトレジスト層121の第3のエリア571の第1の領域571Aに第3の放射パターン580を導き、フォトレジスト層121の第3のエリア571の第2の領域571Bに第4の放射パターン590(
図5D参照)を導くことによって形成されたものである。
【0063】
変更部分500、550、570は、フォトレジスト層121の無変更部分に比べて物理的に改変されている。変更部分500、550、570は、対応する第1のエリア501、第2のエリア551および第3のエリア571に導かれた放射によって物理的に改変されている。例えば、この放射によってエリア501、551、571のフォトレジスト層121の溶解性を変更して基板120にフォトレジスト現像剤を塗布することを可能にし、その結果、変更部分500、550、570から構造体(例えばビア)を形成することができるようにすることができる。
【0064】
図5Bは、一実施形態による、第1の放射パターン510の上面図を示している。第1の放射パターン510に従って第1のエリア501に放射を導いて、
図5Aの第1の変更部分500を形成することができる。第1のパターン510の部分は第1のエリア501の部分に対応しうるため、第1のパターン510のいくつかの部分を第1のエリア501の部分とも呼ぶ。
【0065】
第1の放射パターン510は、オンセル320Aおよびオフセル320Bの配列が異なることを除き、
図3Bおよび3Cを参照して上で説明したパターン310、360と同様である。必須ではないが、第1のパターン510の単位セル320は、パターン310、360の単位セル320と同じサイズを有することができる。さらに、必須ではないが、第1のパターン510に従って適用されるそれぞれの放射ビームは、
図3Bおよび3Cを参照して上で説明した部分305と同じサイズを有する部分305上に入射することができる。第1のパターン510の右上隅に例示的な部分305
1が示されており、部分305
1の中心がオンセル320A
1上に集束する。
【0066】
第1のパターン510では、斜線が引かれたエリアが、オンセル320Aを含み、オンセル320Aによって完全に埋められており、斜線が引かれていないエリアが、オフセル320Bを含み、オフセル320Bによって完全に埋められている。オンセル320Aは、Y方向に延びる列として配列されている。同様に、オフセル320Bも、Y方向に延びる列として配列されている。オンセル320Aを列として配列すると、連続したオンセル320Aを含みオフセル320Bが介在しないラインに沿って複数のオンセル320Aが配置される。オフセル320Bを列として配列しても、連続したオフセル320Bを含みオフセル320Aが介在しないラインに沿って複数のオフセル320Bが配置される。
【0067】
連続したオンセル320Aおよび連続したオフセル320Bのグルーピングを有するパターンを使用することは、放射パターンを基板に適用する処理速度を増大させるのに役立ちうる。連続したオンセル320Aおよび連続したオフセル320Bを使用すると、ラスタライザなどのリソグラフィシステム100の構成要素に対する処理要求を低減させることができる。連続したオンセル320Aまたはオフセル320Bの大きなグルーピングを含まないパターン(例えばチェッカー盤パターン)を使用すると、その放射パターンを適用する処理速度はしばしば、
図5B~5Dを参照して説明するパターン510、560、580および590など、連続したオンセル320Aおよび連続したオフセル320Bのグルーピングをより多く有する放射パターンを適用する処理速度よりも遅くなる。
【0068】
オンセル320Aおよびオフセル320Bは全て、連続したオンセル320Aおよびオフセル320Bのラインに含まれているが、処理速度の増大を達成するのにこのことは必須ではない。連続したオンセル320Aおよびオフセル320Bの対応するライン内にあるオンセル320Aおよび/またはオフセル320Bの百分率(例えば25%、50%、75%、90%、95%、99%またはそれ以上)を増大させることによって、処理速度を増大させることができる。同様に、連続した単位セル320のこれらのライン内にある連続したオンセル320Aおよび連続したオフセル320Bの数(例えば、少なくとも10個の連続したセル、少なくとも50個の連続したセル、少なくとも100個の連続したセル、少なくとも250個の連続したセル、少なくとも500個の連続したセル、少なくとも1000個の連続したセル)を増大させることによっても処理速度を増大させることができる。
【0069】
図5Cは、一実施形態による、第2の放射パターン560の上面図を示している。第2の放射パターン560に従って第2のエリア551に放射を導いて、
図5Aの第2の変更部分550を形成することができる。第2のパターン560の部分は第2のエリア551の部分に対応しうるため、第2のパターン560のいくつかの部分を第2のエリア551の部分とも呼ぶ。
【0070】
第2の放射パターン560が、
図5Bを参照して上で説明したY方向に延びる列としてでははなしにX方向に延びる行として配列された連続したオンセル320Aおよび連続したオフセル320Bを含むことを除き、第2の放射パターン560は第1の放射パターン510と同じである。使用されている機器(例えばリソグラフィシステム100)のタイプ、使用されている基板、または所与の基板上の放射パターンを受け取るエリアの位置によっては、連続した単位セル320のラインを、列としてではなく行として配列することが有用でありうる。例えば、ある機器では、連続した単位セル320のラインを基板支持体(例えばステージ114)の移動方向に対して平行または垂直にすることが、放射パターンを適用する処理時間を短縮するのにより有益であることがある。
【0071】
連続したオンセル320Aおよび連続したオフセル320Bの他の配列も有用であることがある。例えば、一実施形態では、連続したオンセル320Aおよび連続したオフセル320Bを、連続したオンセル320Aおよび連続したオフセル320Bの斜めのライン(例えば45度の斜めのラインまたは直線もしくは垂直線以外の任意の角度)に沿って配列することができる。これらのラインは、パターンの縁(例えば
図5Bに示された第1のパターン510の縁)、基板上に印刷された特徴の縁、または基板の縁(例えば
図1Aに示された長方形基板120の縁)に対して斜めとすることができる。例えば、いくつかの例では、基板上に印刷された特徴に対して斜めである連続したオンセル320Aおよび連続したオフセル320Bの斜めのラインを使用することによって、より優れた製品を生産することができる(すなわち、電子デバイス上のディスプレイなどの最終製品のユーザにとって製品上のパターンがより目立たないものになることがある)。オンセル320Aおよびオフセル320Bのランダムパターンも、より優れた製品を生産するのに有益であることがある(すなわち、電子デバイス上のディスプレイなどの最終製品のユーザにとって製品上のパターンがより目立たないものになることがある)。
【0072】
図5Dは、一実施形態による、第3の放射パターン580および第4の放射パターン590の上面図を示している。第3の放射パターン580および第4の放射パターン590に従って第3のエリア571に放射を導いて、
図5Aの第3の変更部分570を形成することができる。第3のパターン580および第4のパターン590の部分は第3のエリア571の部分に対応しうるため、第3のパターン580および第4のパターン590のいくつかの部分を第3のエリア571の部分とも呼ぶ。上で説明したパターンと同様に、パターン580、590の斜線が引かれたエリアも、オンセル320Aを含むことができ、オンセル320Aによって完全に埋めることができ、一方、パターン580、590の斜線が引かれていないエリアも、オフセル320Bを含むことができ、オフセル320Bによって完全に埋めることができる。さらに、パターン580、590のそれぞれのオンセル320Aは、対応するそれぞれのパターンに従って放射の中心がその付近に集束する部分305を識別することができる。
【0073】
図5Dのパターンは、どのようにしたら2つの放射パターン580、590を単一のエリア571に導くことができるのかの一例を提供している。2つ以上のパターンを単一のエリア(例えば第3のエリア571)に導くことを使用して、フォトレジスト121の部分が変更される深さを、その単一のエリアを横切って変動させることができる。例えば、第4のパターン590は、第3のパターン580よりも高い、斜線が引かれたエリア(すなわち放射ビームの中心が集束する部分を識別するエリア)の百分率を含むため、第2の領域571Bのフォトレジスト121の部分を、第1の領域571Aのフォトレジスト121よりも深い深さまで変更することができる。
【0074】
2つ以上のパターンを単一のエリア(例えば第3のエリア571)に導くことを使用して、変更されるフォトレジスト121の部分の形状を変動させることもできる。例えば、第1の領域571Aは、第2の領域571Bの側壁572Bに接続された側壁572Aを含む。第3のパターン580の一番上の行の単位セルは、第1の領域571Aの側壁572Aを含むセクションに導かれる放射の一部に対応する。第3のパターン580のこの一番上の行は7つのオフセル320Bを含む。一方、第2の領域571Bの側壁572Bを含むこの一番上のセクションに導かれる放射の一部に対応する第4のパターン590の対応する一番上の行はオフセル320Bを含まない。第4のパターン590のこの一番上のセクションは、第3のパターン580の対応するセクションよりも少数のオフセル320Bを有するため、第2の領域571Bの一番上のセクションは、第1の領域571Aの対応するセクションよりも多くの放射を受け取ることができる。いくつかの実施形態では、第1の領域571Aの一番上の部分に比べて増大した第2の領域571Bの一番上の部分の放射によって、側壁572Bが、側壁572Aよりも急な傾きを有しうる。
【0075】
本明細書に記載された放射パターンの全てに関して、複数のオフセル320Bのうちの少なくとも一部のオフセルは、複数のオンセル320Aのうちの一部のオンセル間に配置される。複数のオンセル320Aのうちの一部のオンセル間にオフセル320Bをこのように配置することによって、パターン内の放射を変更することができ、それによって、放射によって変更されるフォトレジストの深さおよび形状を制御することができる。
【0076】
上述のパターンの説明では、同じサイズの単位セル320を使用して説明したが、1つもしくは複数の基板上の異なる放射パターンに対して、または基板上の単一のパターン内で、単位セル320のサイズを調整することも可能である。例えば、放射によって形成されている構造体の形状および/または深さの変化がより少ない部分では、より大きい面積を有する単位セルを使用することができる。一方、放射によって形成されている構造体の形状および/または深さの変化がより大きい部分では、より小さい面積を有する単位セルを使用することができる。より小さい面積を有する単位セルを使用することによって、形成されている構造体のより精密な制御を可能にすることができる。反対に、基板に導かれるビームの数は単位セルの数に正比例し、したがって互いに重ならない単位セルのサイズ(すなわち面積)に反比例するため、より大きな単位セルは処理時間を短縮することができる。
【0077】
さらに、1つもしくは複数の基板上の異なる放射パターンに対して、または基板上の単一のパターン内で、放射が導かれる部分(例えば
図3Bの部分305参照)のサイズを調整することもできる。より大きな部分を使用して処理時間を短縮することができ、一方で、より小さい部分は、放射によって形成されている構造体の深さおよび形状のより精密な制御を可能にすることができる。
【0078】
上で説明した実施形態は、異なる深さおよび形状の構造体を単一の露光で(すなわち、
図1に示された処理ユニット106の下に基板を1回通すことで)形成するシステムおよび方法を提供する。処理ユニット106内の像投影システム200は、適用されているパターン(例えば
図3Bの第1のパターン310)に従って、放射の重なり合う部分305をフォトレジスト121に導くことができる。放射の重なり合う部分は、適用されているパターンのオンセル320Aおよびオフセル320Bのレイアウトに従って導かれる。適用されるそれぞれの放射ビームは、その中心が、適用されているパターンの複数のオンセル320Aのうちの1つのオンセル320Aに対応するフォトレジストのエリア上に集束する。単位セル320のサイズは、適用されている放射のサイズよりも小さく、このことは、上述のフォトレジストの単位セルサイズのそれぞれのエリアに適用されている放射の量の精密な制御を可能にする。この精密な制御は、放射によって形成されている構造体の深さおよび形状を細かく制御すること、およびそのような深さおよび形状を、リソグラフィシステムの下に基板を1回通すことで完成させることを可能にする。
【0079】
異なる深さおよび形状を有する構造体を、従来のマスクを用いる従来のリソグラフィシステムを使用して形成するためには、リソグラフィシステムの書込み可能なエリアの下に基板を複数回通す必要がある。リソグラフィシステムの書込み可能なエリアの下に基板を複数回通すと、スループットが低下する。したがって、基板を1回通すことで異なる深さおよび/または形状の構造体を形成することができる上で説明したシステムおよび方法は、従来のリソグラフィシステムを使用する技術に優る重大な改良を提供する。
【0080】
以上の説明は本開示の例を対象としているが、本開示の例の基本的な範囲を逸脱することなく本開示の他の例および追加の例が考案される可能性があり、本開示の例の範囲は以下の請求項によって決定される。
【国際調査報告】