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特表2025-502879二酸化炭素の電気分解装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】二酸化炭素の電気分解装置および方法
(51)【国際特許分類】
   C25B 9/00 20210101AFI20250121BHJP
   C25B 1/23 20210101ALI20250121BHJP
   C25B 1/042 20210101ALI20250121BHJP
   C25B 9/23 20210101ALI20250121BHJP
【FI】
C25B9/00 Z
C25B1/23
C25B1/042
C25B9/00 A
C25B9/23
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541726
(86)(22)【出願日】2023-01-18
(85)【翻訳文提出日】2024-07-10
(86)【国際出願番号】 KR2023000855
(87)【国際公開番号】W WO2023140609
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】10-2022-0007386
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】テ・ミン・ノ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ジン・イ
(72)【発明者】
【氏名】テ・クン・キム
(72)【発明者】
【氏名】クワン・ファン・キム
(72)【発明者】
【氏名】テ・グン・ノ
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021AB25
4K021BA02
4K021BA17
4K021BB05
4K021BC09
4K021CA09
4K021CA15
4K021DB53
(57)【要約】
本発明は、アノード、カソード、電解質およびアノードとカソードとの間に配置された分離膜を含む二酸化炭素の電気分解セルと、気相の二酸化炭素および水蒸気を前記カソードに供給する供給ラインと、前記二酸化炭素の電気分解セルの内部で前記二酸化炭素の電気分解反応によって生成された生成物および水蒸気をセルの外部に排出する排出ラインとを含み、前記排出ラインは、前記排出ラインから排出される水蒸気を凝縮する凝縮部を含む二酸化炭素の電気分解装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード、カソード、電解質および前記アノードと前記カソードとの間に配置された分離膜を含む二酸化炭素の電気分解セルと、
気相の二酸化炭素および水蒸気を前記カソードに供給する供給ラインと、
前記二酸化炭素の電気分解セルの内部で前記二酸化炭素の電気分解反応によって生成された生成物および水蒸気をセルの外部に排出する排出ラインとを含み、
前記排出ラインは、前記排出ラインから排出される水蒸気を凝縮する凝縮部を含む、二酸化炭素の電気分解装置。
【請求項2】
前記気相の二酸化炭素は、前記水蒸気を含む状態で供給される、請求項1に記載の二酸化炭素の電気分解装置。
【請求項3】
前記供給ラインで供給される水蒸気の温度が40℃~60℃である、請求項1または2に記載の二酸化炭素の電気分解装置。
【請求項4】
前記凝縮部は、前記二酸化炭素の電気分解セルの外部に露出している、請求項1または2に記載の二酸化炭素の電気分解装置。
【請求項5】
前記凝縮部は、前記排出ラインから排出される水蒸気が凝縮して形成された水が貯蔵される貯蔵部を含む、請求項1または2に記載の二酸化炭素の電気分解装置。
【請求項6】
前記排出ラインは、
前記生成物および前記排出ラインから排出される水蒸気が前記二酸化炭素の電気分解セルから凝縮部まで移送される第1ラインと、
前記凝縮部から前記生成物が外部に排出される第2ラインとを含む、請求項1または2に記載の二酸化炭素の電気分解装置。
【請求項7】
前記凝縮部は、前記第1ラインと前記第2ラインに段差が形成されるように連結されている、請求項6に記載の二酸化炭素の電気分解装置。
【請求項8】
前記第2ラインは、前記段差によって前記第1ラインより高く配置されている、請求項7に記載の二酸化炭素の電気分解装置。
【請求項9】
アノード、カソード、電解質および分離膜を含む二酸化炭素の電気分解セルのカソードに気相の二酸化炭素および水蒸気を供給するステップ(S1)と、
前記ステップ(S1)で前記カソードに供給された二酸化炭素を電気分解するステップ(S2)と、
前記ステップ(S2)で電気分解によって生成された生成物および前記ステップ(S1)で供給された水蒸気を前記二酸化炭素の電気分解セルの外部に排出するステップ(S3)と、
前記ステップ(S3)で排出される水蒸気を凝縮するステップ(S4)とを含む、二酸化炭素の電気分解方法。
【請求項10】
前記ステップ(S4)で前記排出される水蒸気が凝縮して形成された水は、前記ステップ(S2)で電気分解によって電解質から生成された塩を溶解する、請求項9に記載の二酸化炭素の電気分解方法。
【請求項11】
前記塩は、電解質と供給された二酸化炭素とが反応して生成される、請求項10に記載の二酸化炭素の電気分解方法。
【請求項12】
前記塩は、KHCOおよびKCOである、請求項10または11に記載の二酸化炭素の電気分解方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年1月18日付けの韓国特許出願第10-2022-0007386号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、二酸化炭素の電気分解装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
二酸化炭素は、地球温暖化を起こす温室ガスであって、削減しなければならない対象である。二酸化炭素を削減する方法として、捕集や化学的転換または電気化学的転換などの方法が知られている。このうち、電気化学的転換方法は、他の合成ガスを製造できるように成分を精密に調節することができ、単純に二酸化炭素を除去するより経済的な利得を得ることができる。
【0004】
二酸化炭素が電気化学的に分解される過程は、水の電気分解技術と類似するが、強塩基雰囲気で、電気化学反応の活性度が改善するため、一般的には、所定濃度のKOH水溶液を電解質として使用する。アノードに水を供給しながら電流を印加すると、前記水は、酸素ガスの発生とともに水素イオンと電子に分解される。前記電子は、外部導線を介してカソードに移動し、前記水素イオンは、イオン選択性分離膜を介してカソードに移動する。ここで、移動した前記電子は、前記カソードに供給された二酸化炭素および水とともに反応して、一酸化炭素と水酸化イオン(OH)に分解され、生成された水酸化イオンは、アノードの水素イオン(H)と反応して、水を生成することで、電気的中性状態になる。前記過程により二酸化炭素の電気化学的分解反応が完成される。ここで、二酸化炭素とともに供給された前記水は、前記一酸化炭素の生成反応とは別に移動した前記電子と反応して電気分解されて水素ガスを発生させ、且つ水酸化イオンを生成する。このような水と電子の反応は、前記一酸化炭素の生成反応と競争反応の関係であると言える。前記反応は、電気化学反応であることから、電圧を調節して、一酸化炭素の生成量および水素/二酸化炭素の比率を容易に調節することができる。
【0005】
一方、イオン選択性分離膜として陽イオン伝導性膜が使用される場合、電解質に含まれたKイオンが分離膜を介してカソードに移動し、この際、Kイオンは、前記カソードの二酸化炭素と反応し、炭酸カリウム(KCO)のような塩が析出される。また、イオン選択性分離膜として陰イオン伝導性膜が使用される場合、水酸化イオンが主に移動するが、Kイオンのような陽イオンも一部移動し、この場合にも、前記陽イオン伝導性膜を使用する場合と同様に塩が生成される。
【0006】
前記カソードから生成および析出された塩は、二酸化炭素の電気分解過程が進むにつれて装置の内部にたまる。このように、装置の内部にたまった塩は、二酸化炭素を供給および排出するための入口および出口を塞ぐ原因になり、そのため、二酸化炭素の電気分解装置の生産性および効率を低下させ、長時間連続した駆動を不可能にする。また、前記塩を除去するために、別の装置や作業を要し、設備や運営の面で非効率的であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1793711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、二酸化炭素の電気分解時に、電解質から発生する塩を水で溶解して除去することである。
【0009】
すなわち、本発明は、二酸化炭素の電気分解時に、電気分解の副反応によって生成された塩を二酸化炭素とともに供給された水蒸気が電気分解反応の生成物とともに排出される時に、水蒸気を凝縮して水を生成し、これにより前記塩を溶解して除去することができる二酸化炭素の電気分解装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、二酸化炭素の電気分解装置および二酸化炭素の電気分解方法を提供する。
【0011】
(1)本発明は、アノード、カソード、電解質およびアノードとカソードとの間に配置された分離膜を含む二酸化炭素の電気分解セルと、気相の二酸化炭素および水蒸気を前記カソードに供給する供給ラインと、前記二酸化炭素の電気分解セルの内部で前記二酸化炭素の電気分解反応によって生成された生成物および水蒸気をセルの外部に排出する排出ラインとを含み、前記排出ラインは、前記排出ラインから排出される水蒸気を凝縮する凝縮部を含む二酸化炭素の電気分解装置を提供する。
【0012】
(2)本発明は、前記(1)において、前記気相の二酸化炭素は、前記水蒸気を含む状態で供給される二酸化炭素の電気分解装置を提供する。
【0013】
(3)本発明は、前記(1)または(2)において、前記供給ラインで供給される水蒸気は、温度が40℃~60℃である二酸化炭素の電気分解装置を提供する。
【0014】
(4)本発明は、前記(1)~(3)のいずれか一つにおいて、前記凝縮部は、前記二酸化炭素の電気分解セルの外部に露出している二酸化炭素の電気分解装置を提供する。
【0015】
(5)本発明は、前記(1)~(4)のいずれか一つにおいて、前記凝縮部は、前記排出ラインから排出される水蒸気が凝縮して形成された水が貯蔵される貯蔵部を含む二酸化炭素の電気分解装置を提供する。
【0016】
(6)本発明は、前記(1)~(5)のいずれか一つにおいて、前記排出ラインは、前記生成物および前記排出ラインから排出される水蒸気が前記二酸化炭素の電気分解セルから凝縮部まで移送される第1ラインと、前記凝縮部から前記生成物が外部に排出される第2ラインとを含む二酸化炭素の電気分解装置を提供する。
【0017】
(7)本発明は、前記(6)において、前記凝縮部は、前記第1ラインと第2ラインに段差が形成されるように連結されている二酸化炭素の電気分解装置を提供する。
【0018】
(8)本発明は、前記(7)において、前記第2ラインは、前記段差によって前記第1ラインより高く配置されている二酸化炭素の電気分解装置を提供する。
【0019】
(9)本発明は、アノード、カソード、電解質および分離膜を含む二酸化炭素の電気分解セルのカソードに気相の二酸化炭素および水蒸気を供給するステップ(S1)と、前記(S1)ステップで前記カソードに供給された二酸化炭素を電気分解するステップ(S2)と、前記(S2)ステップで電気分解によって生成された生成物および前記(S1)ステップで供給された水蒸気を前記二酸化炭素の電気分解セルの外部に排出するステップ(S3)と、前記(S3)ステップで排出される水蒸気を凝縮するステップ(S4)とを含む二酸化炭素の電気分解方法を提供する。
【0020】
(10)本発明は、前記(9)において、前記(S4)ステップで前記排出される水蒸気が凝縮して形成された水は、前記(S2)ステップで電気分解によって電解質から生成された塩を溶解する二酸化炭素の電気分解方法を提供する。
【0021】
(11)本発明は、前記(10)において、前記塩は、電解質と供給された二酸化炭素が反応して生成される二酸化炭素の電気分解方法を提供する。
【0022】
(12)本発明は、前記(10)または(11)において、前記塩は、KHCOおよびKCOである二酸化炭素の電気分解方法を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の二酸化炭素の電気分解装置および方法によると、二酸化炭素の電気分解時に、二酸化炭素とともに供給された水蒸気をそのまま活用して水を生成することができ、生成された水を用いて、別の塩除去装置や塩除去作業がなくても塩を継続して除去することができる。
【0024】
また、本発明の二酸化炭素の電気分解装置は、別の塩除去装置が必要ではなく、別の塩除去作業を必要としないことから、これを実施するための塩除去装置および空間を必要とせず、二酸化炭素の電気分解装置の体積を減少させることができる。
【0025】
また、本発明の二酸化炭素の電気分解装置および方法によると、別の塩除去装置や塩除去作業がなくても塩を継続して除去することができ、二酸化炭素の電気分解装置の入口および出口が塩によって塞がらないことから、電圧の変化なしにスムーズに継続した駆動が可能であり、継続した駆動によっても生産量および電気分解効率が低下しない。
【0026】
また、本発明の二酸化炭素の電気分解装置は、排出ラインの特殊な構造により、簡単に水を凝縮し、塩を溶解することができ、別の凝縮器を付加するか別の水噴霧装置を付加する必要がなく、設置およびメンテナンスが容易であり、構造設備の面で効率的である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態による二酸化炭素の電気分解装置の断面図である。
図2】従来の二酸化炭素の電気分解装置の断面図である。
図3】実施例1および2の時間の経過に伴う電圧の変化を示すグラフである。
図4】実施例3の時間の経過に伴う電圧の変化を示すグラフである。
図5】実施例4、5、6および7の時間の経過に伴う電圧の変化を示すグラフである。
図6】実施例8および9の時間の経過に伴う電圧の変化を示すグラフである。
図7】比較例1の時間の経過に伴う電圧の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に対する理解を容易にするために、本発明をさらに詳細に説明する。ここで、本明細書および特許請求の範囲にて使用されている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈されるものではなく、発明者が、自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念に解釈されるものである。
【0029】
二酸化炭素の電気分解装置
図1は、本発明の一実施形態による二酸化炭素の電気分解装置について説明するための断面図である。
【0030】
図1を参照すると、本発明の二酸化炭素の電気分解装置は、アノード100、カソード200、電解質400およびアノード100とカソード200との間に配置された分離膜300を含む二酸化炭素の電気分解セル1000と、気相の二酸化炭素および水蒸気を前記カソード200に供給する供給ライン500と、前記二酸化炭素の電気分解セル1000の内部で前記二酸化炭素の電気分解反応によって生成された生成物および水蒸気をセルの外部に排出する排出ライン700とを含み、前記排出ライン700は、前記排出ライン700から排出される水蒸気を凝縮する凝縮部750を含むことができる。
【0031】
本発明の一実施形態によると、前記二酸化炭素の電気分解セル1000は、二酸化炭素を投入して一酸化炭素に変換する装置であって、アノード100、カソード200、電解質400および分離膜300を含むことができる。電気分解は、自ら発生しない分解反応を、直流電圧を加えて、酸化還元反応により物質を分解することを意味する。前記アノード100は、酸化電極として水を酸化させて酸素を発生させ、この際、水素イオンが生成される。前記アノード100から生成された水素イオンは、前記電解質400を介して前記カソード200に伝達され、前記カソード200は、還元電極として前記カソード200に投入された反応物が、前記アノード100から移動した電子および水素イオンと反応して、生成物を生成することができる。また、前記分離膜300は、前記アノード100とカソード200との間に配置されることができる。前記分離膜300は、それ自体では電気化学反応に参加しない不活性素材からなることができるが、アノード100とカソード200との間においてイオンが移動することができる経路を提供し、前記アノード100と前記カソード200の物理的接触を分離する役割を果たすことができる。
【0032】
また、本発明の二酸化炭素の電気分解セル1000の前記アノード100と前記カソード200は、それぞれ触媒層を含むことができる。また、前記カソード領域内において二酸化炭素とともに供給された水蒸気は、カソード200の表面で電気還元反応によって還元生成物を発生させる。したがって、前記カソード200は、前記カソード領域側に加湿された二酸化炭素ガスを均一に供給するために、ガス拡散層210を含むことができる。前記カソード200が疎水性のガス拡散層210を含む場合、供給された二酸化炭素を前記カソードの触媒層230までスムーズに拡散、分配、供給することができる。また、疎水性のガス拡散層210は、水分の凝縮を効果的に防止することで、二酸化炭素の供給が継続して均一になるようにし、且つ電気分解反応がスムーズに行われるようにする。また、前記触媒層230は、表面にガス透過特性がよく発揮されるように、多孔性構造などの表面を有することができる。
【0033】
本発明の一実施形態によると、前記アノード100は、水の電気分解に活性を有する触媒を含むことができ、前記アノード100の触媒層は、酸素発生反応のために、Pt、Au、Pd、Ir、Ag、Rh、Ru、Ni、Al、Mo、Cr、Cu、Ti、W、これらの合金、または混合金属酸化物、例えば、Ta、IrOなどからなる群から選択される1種以上を含むことができる。具体的には、本発明の二酸化炭素の電気分解装置での前記アノード100は、ルテニウム酸化物(RuO)とセリウム酸化物(CeO)でコーティングされたニッケル(Ni)を含むことができる。
【0034】
また、前記カソード200で発生する二酸化炭素還元反応は、水素発生反応と競争反応であるため、水素発生反応に要する電圧が大きく、二酸化炭素還元反応に活性を示す触媒を含むことができる。前記カソード200の触媒層230は、水素発生反応のために、Sn、Sn合金、Al、Au、Ag、C、Cd、Co、Cr、Cu、Cu合金、Ga、Hg、In、Mo、Nb、Ni、NiCo、Ni合金、Ni-Fe合金、Pb、Rh、Ti、V、W、Znおよびこれらの混合物からなる群から選択される1種以上を含むことができる。具体的には、本発明の二酸化炭素の電気分解装置での前記カソード200は、銀(Ag)を含むことができる。
【0035】
また、前記分離膜300としては、陽イオン交換膜(CEM、cation exchange membrane)または陰イオン交換膜(AEM、anion exchange membrane)を含むことができる。
【0036】
また、前記電解質400は、KHCO、KCO、KOH、KCl、KClO、KSiO、NaSO、NaNO、NaCl、NaF、NaClO、CaCl、グアニジニウム陽イオン、H陽イオン、アルカリ金属陽イオン、アンモニウム陽イオン、アルキルアンモニウム陽イオン、ハライドイオン、アルキルアミン、ボラート、カーボネート、グアニジニウム誘導体、ニトリト、ナイトレート、ホスフェート、ポリホスフェート、パークロレート、シリケート、サルフェート、テトラアルキルアンモニウム塩、またはこれらの混合物を含有する水溶液からなる群から選択されるものを使用することができ、本発明の二酸化炭素の電気分解装置の電解質400は、KOHを含むことができる。
【0037】
また、前記ガス拡散層210は、炭素繊維布、炭素繊維フェルト、炭素繊維紙など炭素素材を使用した多孔体や、エキスパンデッドメタル(Expanded Metal)、金属メッシュ(Metal Mesh)などの網構造の薄い板金からなる金属多孔体を使用することができ、本発明の二酸化炭素の電気分解装置において、前記ガス拡散層は、炭素繊維布を使用することができる。
【0038】
本発明の一実施形態によると、本発明の二酸化炭素の電気分解装置は、気相の二酸化炭素および水蒸気を前記カソード200に供給する供給ライン500と、供給された前記二酸化炭素および水蒸気が前記カソード200領域に移動して、最小限の抵抗で反応に参加できるように移送される移送ライン600と、前記反応によって生成された生成物および水蒸気がセルの外部に排出される排出ライン700とを含むことができる。
【0039】
前記供給ライン500、移送ライン600および排出ライン700は、二酸化炭素と水蒸気がスムーズに移送されることができる機能を有するものであれば、その長さ、素材および形態は制限されない。前記移送ライン600の形態は、直線状のラインが互いに平行に配置された平行(parallel)構造または繰り返した「S」字状を有するサーペンタイン(serpentine)構造の形態を含むことができる。前記供給ラインと排出ラインは、前記二酸化炭素の電気分解セル1000と連結されることができ、前記移送ライン600は、前記二酸化炭素の電気分解セル1000の内部の前記カソード200側に隣接して配置されることができる。ただし、下記に説明するように、前記排出ライン700は、凝縮部750を含むことができ、前記二酸化炭素の電気分解セル1000の外部に位置して、前記二酸化炭素の電気分解セル1000と連結されることが好ましい。
【0040】
本発明の一実施形態によると、本発明の二酸化炭素の電気分解装置は、前記排出ライン700に凝縮部750を含むことができる。前記凝縮部750は、前記供給ライン500を介して供給された水蒸気が、反応ラインを経て排出ライン700から排出される時に、前記水蒸気を凝縮させて水を生成する役割を果たすことができる。
【0041】
一方、二酸化炭素の電気分解装置において電気分解反応時に使用される電解質400-1は、陽イオンと陰イオンの状態で存在し、一部の陽イオンが分離膜300-1を介してカソード領域に移動すると、カソード領域に供給された二酸化炭素と反応して塩(salt)を形成し析出される。従来の二酸化炭素の電気分解装置の場合、前記塩が除去されることができず、二酸化炭素の電気分解セル、供給ライン500-1および排出ライン700-1などに継続してたまり、最終には、供給ライン500-1と排出ライン700-1が詰まる。この場合、前記二酸化炭素の電気分解装置を連続して駆動することができず、長時間の評価を要する実験および研究に不都合が生じる。したがって、このような塩を除去するために、本発明の二酸化炭素の電気分解装置は、供給された水蒸気を排出ライン700に位置した凝縮部750が水に変換して前記塩を溶解する役割を果たすことができ、前記のような従来の問題を解決することができる。
【0042】
本発明の一実施形態によると、前記気相の二酸化炭素は、前記水蒸気を含む状態で供給されることができる。これは、二酸化炭素を単独で供給する場合よりもさらに多い量を供給することができ、前記二酸化炭素の電気分解装置の効率が向上することができる。具体的には、別の加湿器を介して前記二酸化炭素と水蒸気がバブリングして前記水蒸気を含む状態で供給されてもよく、または別の装置を介して二酸化炭素と水蒸気が接触して互いに混合された状態で供給されてもよい。この場合、前記二酸化炭素が加湿された状態で供給ライン500を介して前記カソード200領域に供給されることができれば、加湿された状態の二酸化炭素を供給する方法は制限されない。
【0043】
前記二酸化炭素を加湿された状態で供給する場合、前記排出ライン700に含まれた凝縮部750を介して水に変換することができ、前記二酸化炭素の電気分解装置の体積を低減し、簡素化することができる効果がある。
【0044】
本発明の一実施形態によると、前記供給ライン500で供給される水蒸気は、温度が40℃~60℃であることができ、具体的には、前記供給される水蒸気の温度は、40℃以上、43℃以上、46℃以上、49℃以上であることができ、また、60℃以下、57℃以下、54℃以下、51℃以下であることができる。前記二酸化炭素の電気分解装置は、40℃~60℃の温度を維持しながら稼動可能であるが、前記二酸化炭素の電気分解装置内において発熱または供給物の温度によって装置の温度が上昇し得る。前記二酸化炭素の電気分解装置は、前記温度範囲で作動したときに電気分解効率が維持され、生成物の生産量が低下しなくなる。したがって、前記供給された水蒸気の温度が前記範囲を満たす場合、前記二酸化炭素の電気分解装置の適正温度を維持して、生成物の生産量を維持し、電気分解効率を高める効果がある。
【0045】
本発明の一実施形態によると、前記凝縮部750は、前記二酸化炭素の電気分解セル1000の外部に露出していることができる。上記で記載したように、前記凝縮部750は、前記供給ライン500を介して供給された水蒸気を凝縮させて水に変換させる役割を果たすことができ、前記凝縮部750は、前記二酸化炭素の電気分解セル1000と連結された前記排出ライン700に含まれていることができる。また、前記凝縮部750は、前記二酸化炭素の電気分解セル1000の外部に露出して外部の常温の空気に接しており、別の凝縮器または熱交換装置なしに、常温の大気によって前記水蒸気を自然凝縮することができる。本発明の二酸化炭素の電気分解装置は、前記凝縮部750を前記二酸化炭素の電気分解セル1000の外部に露出することで、凝縮のための別の設備を必要とせず、装置の体積を減少化させることができ、別のエネルギーが必要でないという効果を有する。
【0046】
本発明の一実施形態によると、前記凝縮部750は、前記排出ライン700から排出される水蒸気が凝縮して形成された水が貯蔵される貯蔵部770を含むことができる。前記凝縮器は、前記排出ライン700から排出される水蒸気を凝縮させて水を形成し、前記形成された水は、後述する塩を溶解して除去する役割をする。したがって、前記形成された水が所定の空間に貯蔵されて前記塩が排出ライン700を介して排出される時に、前記水と接触して溶解される空間が必要となり得るが、本発明の二酸化炭素の電気分解装置は、前記排出ライン700に含まれた前記凝縮部750に貯蔵部770を含むことにより、凝縮した水を貯蔵し、前記貯蔵部770で塩を溶解することができる。
【0047】
本発明の一実施形態によると、前記排出ライン700は、前記生成物および前記排出ライン700から排出される水蒸気が、前記二酸化炭素の電気分解セル1000から凝縮部750まで移送される第1ライン710と、前記凝縮部750から前記生成物が外部に排出される第2ライン730とを含むことができる。前記凝縮部750は、前記二酸化炭素の電気分解セル1000と連結された前記排出ライン700に含まれ、前記第1ライン710と前記第2ライン730を連結する役割を果たすこともできる。前記第1ライン710は、前記カソード200領域から電気反応によって生成された生成物および水蒸気を前記凝縮部750まで移送する役割を果たすことができ、前記水蒸気は、一部反応に参加することもでき、供給された水蒸気量のうち一部が排出されることができる。また、前記第2ライン730は、前記生成物と前記凝縮部750から前記塩が溶解されて生成されたイオン物質を外部に排出する役割を果たすことができる。
【0048】
一方、従来の二酸化炭素の電気分解装置での排出ライン700-1は、単純な直線の管形態を有することが一般的であり、ひたすら電気分解反応の生成物を排出する役割を果たすことに満足した。これに対し、本発明の二酸化炭素の電気分解装置での前記排出ライン700は、第1ライン710と第2ライン730との間に凝縮部750を配置して連結される構造を有することで、前記排出ライン700の外部の別の空間に凝縮部750を配置する必要がなく、別の複数の排出ライン700がなくても生成物を外部に排出させるだけでなく、前記電気分解反応時に副生成物として生成された塩を除去することもできる。
【0049】
本発明の一実施形態によると、前記凝縮部750は、前記第1ライン710と第2ライン730に段差が形成されるように連結されることができ、前記第2ライン730は、前記段差によって前記第1ライン710より高く配置されることができる。本発明の二酸化炭素の電気分解装置は、前記第1ライン710と第2ライン730が段差構造を有する排出ライン700を含むことで、前記排出ライン700に別の空間および装置を設置する必要なしに前記凝縮部750と前記貯蔵部770を同時に含むことができる。
【0050】
一方、従来の二酸化炭素の電気分解装置の排出ライン700-1の場合、生成された気相の生成物を外部に排出させることを目的とし、直線状の管構造を有することが一般的であった。これに対し、本発明の二酸化炭素の電気分解装置の前記排出ライン700は、前記二酸化炭素の電気分解セル1000と連結された第1ライン710と生成物を外部に排出する第2ライン730との間を前記凝縮部750で連結し、前記第2ライン730が第1ライン710より高く配置されるように段差を設けることで、一種の濾過または入口の役割を果たすことができる。具体的には、前記二酸化炭素の電気分解反応により生成された生成物は、一酸化炭素、水素ガスであることができ、前記生成物および未反応の二酸化炭素ガスもともに排出されることができる。これに対し、電気分解の副生成物として生成された塩は、前記電解質400の陽イオンが前記二酸化炭素と反応してイオン結合したものであり、固相を有する。したがって、電気分解反応によって生成された気相の生成物は、前記排出ラインを介して外部に排出されることができ、電気分解反応時に副生成物として生成された塩は、前記段差によって外部に排出されることができず、前記貯蔵部770において前記水と接触して溶解されることができる。前記段差のその高さは、前記気相の生成物を排出させることができ、前記水蒸気の凝縮により生成された水を貯蔵し、前記塩と接触させることができる程度の高さであってもよく、制限されるものではない。
【0051】
二酸化炭素の電気分解方法
本発明の二酸化炭素の電気分解方法は、アノード100、カソード200、電解質400および分離膜300を含む二酸化炭素の電気分解セル1000のカソード200に気相の二酸化炭素および水蒸気を供給するステップ(S1)と、前記(S1)ステップで前記カソード200に供給された二酸化炭素を電気分解するステップ(S2)と、前記(S2)ステップで電気分解によって生成された生成物および前記(S1)ステップで供給された水蒸気を前記二酸化炭素の電気分解セル1000の外部に排出するステップ(S3)と、前記(S3)ステップで排出される水蒸気を凝縮するステップ(S4)とを含むことができる。
【0052】
本発明の一実施形態によると、前記(S4)ステップで前記排出される水蒸気が凝縮して形成された水は、前記(S2)ステップで電気分解によって電解質400から生成された塩を溶解することができる。
【0053】
一方、従来、二酸化炭素の電気分解方法は、電解質400-1に含まれた陽イオンが分離膜300-1を介してカソード領域を移動し、供給された二酸化炭素と反応して塩を析出する。前記塩は、二酸化炭素の電気分解装置の触媒層230-1とガス拡散層210-1に固体形態で存在し、供給ライン500-1や排出ライン700-1にたまるため、実験または研究が長時間行われるほど効率が低下し、長時間連続した実験または研究を行うには制約があり、生成物の生産量を一定に維持し難い欠点があった。また、前記塩を除去するために別の塩除去装置または水処理装置を設けるか、直接塩を除去するなどの方法を使用する必要があったため、装置設備上、非効率的であり、装置自体の体積が肥大化し得るという問題があった。
【0054】
前記のような問題点を解決するために、本発明の二酸化炭素の電気分解方法は、電気分解によって生成された生成物と二酸化炭素とともに供給された水蒸気を排出する時に、前記水蒸気を凝縮して水に変換することで、塩を効果的に除去できるようにしている。
【0055】
本発明の二酸化炭素の電気分解方法は、生成物と水蒸気を排出する時に、前記水蒸気を凝縮して水を生成し、塩を溶解して除去することができることから、従来の複雑で別の装置を要する不都合なく単純化することができ、連続した長時間の実験および研究が可能であるという効果がある。
【0056】
また、本発明の二酸化炭素の電気分解方法は、二酸化炭素と水蒸気をともに供給することで、前記二酸化炭素の供給量を増加させることができ、一酸化炭素の生産量を増加させることができる効果を有し、前記供給された水蒸気を活用して凝縮することから、生成物と水蒸気を排出する時に塩を溶解する別の水を供給する必要がなく、工程効率が向上することができるという効果を有する。
【0057】
本発明の一実施形態によると、前記塩は電解質400と供給された二酸化炭素が反応して生成されることができ、前記塩は、KHCOおよびKCOであることができる。具体的には、本発明の二酸化炭素の電気分解方法では、電解質としてKOHを使用することから、カリウムイオンが二酸化炭素と反応して炭酸カリウム塩を生成することができる。
【0058】
以下、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施することができるように、本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な相違する形態に実現されることができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0059】
実施例1
図1に図示されているように、二酸化炭素を電気還元させて一酸化炭素を製造する二酸化炭素の電気分解装置を作製した。前記二酸化炭素の電気分解装置は、排出ライン700に凝縮部750を含み、前記二酸化炭素の電気分解装置の運転条件を下記のように調節して、二酸化炭素の電気分解を実施した。
【0060】
反応電流密度:200mA/cm(定電流運転)
反応電圧:3~3.5V
反応温度:40℃
反応圧力:1atm(常圧)
分離膜:陰イオン交換膜(Sustainion X37、二酸化物)
アノード触媒:RuO+CeO on Niメッシュ
カソード触媒:Ag粉末
電極面積:100cm
ガス拡散層:Sigracet 39BB
アノード電解質:1M KOH(200ml/min)
カソード反応物:40℃加湿(Humidified)COガス(800ccm)
移送ラインの形態:平行(parallel)タイプ
移送ラインの断面積:0.55mm
前記電気分解時の一酸化炭素の転化率(%)、一酸化炭素のファラデー効率(CO Faraday efficiency、%)および電圧を測定した。
【0061】
実施例2
反応電流密度を300mA/cmに設定した以外は、前記実施例1と同様に実施して前記電気分解時の一酸化炭素の転化率(%)、一酸化炭素のファラデー効率(CO Faraday efficiency、%)および電圧を測定した。
【0062】
実施例3
アノード電解質として1M KHCO(200ml/min)を使用した以外は、前記実施例1と同様に実施して前記電気分解時の一酸化炭素の転化率(%)、一酸化炭素のファラデー効率(CO Faraday efficiency、%)および電圧を測定した。
【0063】
実施例4
前記移送ラインの形態を平行(parallel)タイプから「S」字が繰り返したサーペンタイン(serpentine)タイプに変更した以外は、前記実施例1と同様に実施して前記電気分解時の一酸化炭素の転化率(%)、一酸化炭素のファラデー効率(CO Faraday efficiency、%)および電圧を測定した。
【0064】
実施例5
反応電流密度を300mA/cmに設定した以外は、前記実施例4と同様に実施して前記電気分解時の一酸化炭素の転化率(%)、一酸化炭素のファラデー効率(CO Faraday efficiency、%)および電圧を測定した。
【0065】
実施例6
前記移送ラインの断面積を0.75mmmに変更した以外は、前記実施例1と同様に実施して前記電気分解時の一酸化炭素の転化率(%)、一酸化炭素のファラデー効率(CO Faraday efficiency、%)および電圧を測定した。
【0066】
実施例7
反応電流密度を300mA/cmに設定した以外は、前記実施例6と同様に実施して前記電気分解時の一酸化炭素の転化率(%)、一酸化炭素のファラデー効率(CO Faraday efficiency、%)および電圧を測定した。
【0067】
実施例8
アノードの触媒をRuO+CeO on NiメッシュからIrO-Tiメッシュに変更した以外は、前記実施例1と同様に実施して一酸化炭素の転化率(%)、一酸化炭素のファラデー効率(CO Faraday efficiency、%)および電圧を測定した。
【0068】
実施例9
反応電流密度を300mA/cmに設定した以外は、前記実施例8と同様に実施して前記電気分解時の一酸化炭素の転化率(%)、一酸化炭素のファラデー効率(CO Faraday efficiency、%)および電圧を測定した。
【0069】
比較例1
凝縮部を含んでいない以外は、前記実施例1と同様に実施して前記電気分解時の一酸化炭素の転化率(%)、一酸化炭素のファラデー効率(CO Faraday efficiency、%)および電圧を測定した。
【0070】
*測定方法
(1)一酸化炭素の転化率(%)
転化率(conversion rate、%)は、時間当たり投入された二酸化炭素(CO)ガス量に対する生成された一酸化炭素(CO)の比率で計算した。
【0071】
(2)一酸化炭素のファラデー効率(Faraday efficiency、%)
排出ラインでガス組成をGC(Gas-Chromatography、ガスクロマトグラフィ)分析により測定した。また、ファラデー効率(FEproduct)は、下記の式により計算した。
【0072】
[式1]
FEproduct(%)=(iproduct/itotal)×100=[(Vproduct×Q×(2Fp/RT))/itotal]×100
【0073】
前記式1中、Qは、排出ラインでの流量、Fは、ファラデー定数、pは、圧力、Tは、測定温度、Rは、理想気体定数である。全電流(total current、itotal)は、時間の経過に伴い印加された全電流の値であり、生成物に対する電流(iproduct)は、GC分析により測定されたガスの体積(Vproduct)から計算した値である。
【0074】
(3)電圧(V)
電流の印加および電圧の測定は、BioLogic社製のVSPポテンシオスタット(potentiostat)により行った。80Aのブースターを取り付け、大面積に該当する電流の印加を実施した。前記電流の印加は、100mA/cm、200mA/cm、300mA/cmを段階別に、所定時間維持した後、10分の時間が経過した時点の電圧を記録した。ここで、GC(Gas-Chromatography、ガスクロマトグラフィ)分析も同時に行った。
【0075】
【表1】
【0076】
前記表1を参照すると、排出ラインに凝縮部を含んでいない比較例1は、凝縮部を含む実施例1~6に比べて、一酸化炭素の転化率、一酸化炭素のファラデー効率および電圧の面で劣っている結果を示している。また、実施例4の場合、比較例1と一酸化炭素の転化率は類似する結果を示しているが、一酸化炭素のファラデー効率および電圧の面でさらに優れた結果値を示したことを確認することができた。前記結果により、排出ラインの凝縮部を配置し、塩を除去することで、過電圧なしに高い一酸化炭素の転化率および一酸化炭素のファラデー効率を維持することができることを確認することができた。
【0077】
また、図3図6は、実施例1~6の時間の経過に伴う電圧の変化を示した図であり、図7は、比較例1の時間の経過に伴う電圧の変化を示した図である。上記図3~7を参照すると、比較例1は、供給ラインおよび排出ラインが、電気分解時に生成された塩によって詰まり、供給および流れに異常が生じて、時間の経過に伴う電圧の変化が急激に発生することを確認することができた。これに対し、それぞれの実施例は、時間の経過に伴う電圧の変化が大きくない状態で、一酸化炭素の転化がスムーズに行われていることを確認することができた。
【符号の説明】
【0078】
100 アノード
200 カソード
210 ガス拡散層
230 触媒層
300 分離膜
400 電解質
1000 二酸化炭素の電気分解セル
500 供給ライン
600 移送ライン
700 排出ライン
710 第1ライン
730 第2ライン
750 凝縮部
770 貯蔵部
100-1 従来の二酸化炭素の電気分解装置のアノード
200-1 従来の二酸化炭素の電気分解装置のカソード
210-1 従来の二酸化炭素の電気分解装置のガス拡散層
230-1 従来の二酸化炭素の電気分解装置の触媒層
300-1 従来の二酸化炭素の電気分解装置の分離膜
400-1 従来の二酸化炭素の電気分解装置の電解質
1000-1 従来の二酸化炭素の電気分解装置の二酸化炭素の電気分解セル
500-1 従来の二酸化炭素の電気分解装置の供給ライン
600-1 従来の二酸化炭素の電気分解装置の移送ライン
700-1 従来の二酸化炭素の電気分解装置の排出ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】