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特表2025-502997光学装置をハンドリングするための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】光学装置をハンドリングするための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/10 20150101AFI20250123BHJP
【FI】
G02B1/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542904
(86)(22)【出願日】2023-01-06
(85)【翻訳文提出日】2024-09-13
(86)【国際出願番号】 US2023010334
(87)【国際公開番号】W WO2023141025
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】63/300,543
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アハムド, ヤシール アラファス
(72)【発明者】
【氏名】リックス, ニール
(72)【発明者】
【氏名】シュトラスナー, ジェームズ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ワン, カンカン
【テーマコード(参考)】
2K009
【Fターム(参考)】
2K009DD02
(57)【要約】
本開示の実施形態は、概して、光学装置に関する。より具体的には、本明細書に記載の実施形態は、光学装置を把持する装置及び方法に関する。実施形態では、光学装置を把持する装置は、ベースの底面から延びているステムの近位端に連結されたベースを含む。本装置はまた、ベースの底面に可動連結された複数のアームを含む。複数のアームは、ベースの底面に平行なX-Y平面に沿って複数のアームを横方向に移動させるように動作可能なアクチュエータに連結されている。幾つかの実施形態では、本装置は、非接触の垂直吸引力を与えるように動作可能な吸引パッドを含む。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学装置を保持する装置であって、
ステムの近位端に連結されたベースであって、前記ステムはベースの底面から延びている、ベースと、
前記ステムの遠位端に配置された吸引パッドであって、保持される基板に対して垂直吸引力を与えるように動作可能な吸引パッドと、
前記ベースの底面に可動連結された複数のアームであって、前記ベースの底面に平行なX-Y平面に沿って複数のアームを横方向に移動させるように動作可能なアクチュエータに連結された複数のアームと、
前記複数のアームの各々に配置された複数の保持パッドと
を備える装置。
【請求項2】
空気口を更に備え、前記空気口は空気源及び前記吸引パッドと流体連通している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
可視化システムを更に備え、前記可視化システムは、コントローラに通信可能に連結された1又は複数のカメラ及び/又は1又は複数のセンサを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記保持される基板に光を供給するように構成された光源を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ベースの底面に沿った前記複数のアームの移動により、前記複数の保持パッドが、前記保持される基板のエッジに設定可能な横方向の力を加えることが可能になる、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記吸引パッドは、前記保持される基板に非接触の垂直吸引力を与えるように動作可能であり、前記吸引パッドは、約0.3ミリメートルから約0.8ミリメートルの範囲の間隙によって前記保持される基板から離間している、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
アクチュエータは、前記複数の保持パッドが前記保持される基板のエッジに横方向の力を加えることを可能にするように構成され、前記横方向の力は、約0.1から約3.8N、又は約10グラムから約350グラムの範囲である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記アクチュエータは、電気的プログラム可能なグリッパ装置を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
光学装置を保持する装置であって、
ステムの近位端に連結されたグリッパアクチュエータであって、前記ステムはグリッパアクチュエータの底面から延びている、グリッパアクチュエータと、
前記ステムの遠位端に配置された吸引パッドであって、保持される基板に対して垂直吸引力を与えるように動作可能な吸引パッドと、
前記グリッパアクチュエータに連結された第1及び第2のアームであって、前記グリッパアクチュエータは、前記グリッパアクチュエータの底面に平行なX-Y平面に沿って前記第1及び第2のアームを横方向に移動させるように動作可能である、第1及び第2のアームと、
前記第1及び第2のアームの各々に配置された複数の保持パッドと
を備える装置。
【請求項10】
空気口を更に備え、前記空気口は空気源及び前記吸引パッドと流体連通している、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
可視化システムを更に備え、前記可視化システムは、コントローラに通信可能に連結された1又は複数のカメラ及び/又は1又は複数のセンサを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記保持される基板に光を供給するように構成された光源を更に備える、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記グリッパアクチュエータの底面に沿った前記第1及び第2のアームの移動により、前記複数の保持パッドが、前記保持される基板のエッジに設定可能な横方向の力を加えることが可能になる、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記吸引パッドは、約0.3ミリメートルから約0.8ミリメートルの範囲の間隙によって、前記保持される基板の上面から離間している、請求項9に記載の装置。
【請求項15】
前記グリッパアクチュエータは、前記複数の保持パッドが、前記保持される基板のエッジに横方向の力を加えることを可能にするように構成され、前記横方向の力は、約0.1から約3.8N、又は約10グラムから約350グラムの範囲である、請求項9に記載の装置。
【請求項16】
光学装置を保持する方法であって、
保持装置の第1のアーム及び第2のアームに配置された複数の保持パッドの下方に保持される基板を位置決めすることであって、前記第1及び第2のアームはアクチュエータに動作可能に連結され、吸引パッドの対向する側に配置され、前記吸引パッドは前記保持される基板に垂直保持力を与えるように動作可能である、保持装置の第1のアーム及び第2のアームに配置された複数の保持パッドの下方に保持される基板を位置決めすることと、
前記第1のアームに配置された前記保持パッドを移動させて、前記保持される基板のエッジにちょうど接触させるように、前記第1のアームを操作することと、
前記第2のアームに配置された前記保持パッドを移動させ、前記保持される基板に接触させて横方向の力を加えるように、前記第2のアームを操作することと、
前記保持される基板に垂直保持力を与えるように、前記吸引パッドを作動させることと
を含む方法。
【請求項17】
前記保持装置に連結された可視化システムで前記保持される基板を走査することを更に含み、前記可視化システムは、コントローラに通信可能に連結された1又は複数のカメラ及び/又は1又は複数のセンサを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記保持される基板を走査することにより、前記保持される基板上の1又は複数のフィデューシャルの検出、及び/又は前記保持される基板のサイズ、配向、位置、及び/又は任意の他の物理的特性の決定が可能になる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記保持される基板に垂直保持力を与えるように前記吸引パッドを作動させることにより、前記保持される基板を保持するために前記複数の保持パッドによって必然的に加えられる横方向の力を変化させることが可能になる、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記保持される基板に横方向の力を加えるように前記第2のアームを操作することにより、前記保持される基板の横方向の移動及び/又は回転が防止される、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、概して、光学装置に関する。より具体的には、本明細書に記載の実施形態は、光学装置を保持する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]仮想現実は、一般に、ユーザが見かけ上の物理的な存在感を有する、コンピュータによって生成されたシミュレートされた環境であるとみなされている。仮想現実体験は、3Dで生成され、実際の環境を置き換える仮想現実環境を表示するために、レンズとして近眼ディスプレイパネルを有する眼鏡又は他のウェアラブルディスプレイ装置等のヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いて見ることができる。
【0003】
[0003]拡張現実導波路コンバイナ等の導波路コンバイナ及びメタサーフェス等の平面光学装置を含む光学装置が、画像の重ね合わせを支援するために使用される。生成された光は、光が光学装置を出て周囲環境に重ね合わさるまで、光学装置を通って伝搬される。
【0004】
[0004]光学装置は、概して、光学装置上に配置された構造及び構成要素を含む。光学装置及び構造は、外部応力又は外部汚染物質に曝されると損傷を受ける可能性のある薄くて脆い材料から形成される。更に、構造の上に塗布されるコーティングの一部は傷つきやすく、適切にハンドリングされないと製造中に損傷を受ける可能性がある。このように、光学装置は、異なる処理ツール間で光学装置を移送することが困難な場合、損傷を受けやすい。光学装置の薄くて繊細な性質だけでなく、その形状寸法も様々であるため、光学装置を保持すること、例えば把持することは困難である。上記の困難のうちの1つは、光学装置に損傷を与える、変形させる、歪ませる、跡を残す、及び/又はその上に常在することなく、光学装置を把持することである。
【0005】
[0005]従って、当技術分野において、光学装置を保持するための改良された装置及び方法が必要である。
【発明の概要】
【0006】
[0006]実施形態では、光学装置を保持する装置が提供される。本装置は、ベースの底面から延びているステムの近位端に連結されたベースを含む。吸引パッドは、ステムの遠位端に配置される。吸引パッドは、本装置によって保持される基板に対して非接触の垂直吸引力を与えるように動作可能である。本装置はまた、ベースの底面に可動連結された複数のアームを含む。複数のアームは、ベースの底面に平行なX-Y平面に沿って複数のアームを横方向に移動させるように動作可能なアクチュエータに連結されている。複数のアームは、複数のアームの各々に配置された複数の保持パッドも含む。
【0007】
[0007]別の実施形態では、光学装置を保持する装置が提供される。本装置は、ステムの近位端に連結されたグリッパアクチュエータであって、ステムは、アクチュエータの底面から延びている、グリッパアクチュエータと、ステムの遠位端に配置された吸引パッドであって、保持される基板に対して非接触の垂直吸引力を与えるように動作可能な吸引パッドとを含む。本装置はまた、グリッパアクチュエータに連結された第1及び第2のアームを含む。アクチュエータは、アクチュエータの底面に平行なX-Y平面に沿って複数のアームを横方向に移動させるように動作可能である。複数のアームはまた、複数のアームの各々に配置された複数の保持パッドを含む。
【0008】
[0008]更に別の実施形態では、光学装置を保持する方法が提供される。本方法は、保持装置の第1のアーム及び第2のアームに配置された複数の保持パッドの下方に保持される基板を位置決めすることを含む。保持装置の第1のアーム及び第2のアームは、アクチュエータに動作可能に連結され、保持される基板に垂直保持力を与えるように動作可能な吸引パッドの対向する側に配置される。本方法は、第1のアームに配置された保持パッドを移動させて、保持される基板のエッジにちょうど接触させるように、第1のアームを操作することと、第2のアームに配置された保持パッドを移動させ、保持される基板に接触させて横方向の力を加えるように、第2のアームを操作することと、保持される基板に垂直保持力を与えるように、吸引パッドを作動させることとに続く。
【0009】
[0009]上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、上記に要約した本開示をより具体的に説明する。しかし、添付の図面は例示的な実施形態を示すものに過ぎず、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なすべきではなく、他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本明細書に記載の特定の実施形態に係る保持装置の概略断面図である。
図1B】本明細書に記載の特定の実施形態に係る、図1Aに示す保持装置の一部の概略断面図である。
図1C】本明細書に記載の特定の実施形態に係る、図1Aに示す保持装置の一部の概略断面図である。
図2】A及びBは、本明細書に記載の特定の実施形態に係る把持装置の概略底面図である。
図3】本明細書に記載の特定の実施形態に係る保持パッドの概略斜視図である。
図4】本明細書に記載の特定の実施形態に係る、図1Aに示す保持装置の実施形態を使用して光学装置を保持する方法のフロー図である。
図5】本明細書に記載の特定の実施形態に係る、図1Aに示す保持装置の実施形態を使用して光学装置を保持する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0017]理解を容易にするために、可能な限り、図面に共通の同一要素を示すのに同一の参照番号を使用している。一実施形態の要素及び特徴は、更に詳述することなく、他の実施形態に有益に組み込まれ得ると考えられる。
【0012】
[0018]本開示の実施形態は、概して、光学装置に関する。より具体的には、本明細書に記載の実施形態は、光学装置を保持する装置及び方法に関する。一実施形態では、装置は、ベースの底面から延びているステムに連結されたベースを含む。ステムに配置された吸引パッドは、装置によって保持される基板に非接触の垂直保持力を与えるように動作可能である。複数のアームがベースから延び、複数のアームの各々は、複数のアームの各々をベースの底面に対して平行に、かつベースの底面に沿って横方向に移動させるように動作可能なアクチュエータに連結され得る。複数の保持パッドもまた、複数のアームの各々に配置され、光学装置を保持するために直接接触して横方向の力を与える。
【0013】
[0019]図1Aは、本明細書に記載の実施形態に係る保持装置100の概略断面図である。実施形態では、保持装置100は、基板102を保持するように動作可能である。保持装置100は、処理前、処理後、及び/又は処理中に基板102を移送し、ハンドリングするように動作可能である。
【0014】
[0020]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、基板102は、当技術分野で使用される任意の基板であってよく、基板の用途に応じて不透明又は透明のいずれかであってよい。更に、基板102の選択は、様々な形状、厚さ、及び直径を有する基板を更に含み得る。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、基板102は、ガラス、炭化ケイ素、又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、基板102は、導波路コンバイナなどの光学デバイス、メタサーフェス等の平面光学装置、光学レンズ、光学レンズアセンブリ、光学フレーム、半導体ウエハ等である。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更に別の実施形態では、基板102は、基板102の1又は複数の表面上にパターニングされた光学装置構造を有していてよい。
【0015】
[0021]一実施形態では、保持装置100は、2軸リニア保持装置である。保持装置100は、ベース104と、ステム106と、複数のアーム108と、吸引パッド110と、空気口112と、保持パッド114とを含む。本明細書の他の実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、ベース104は、モジュラカート、処理チャンバの内部部分、処理チャンバの外部部分等を延伸する移送ロボットのロボットアームアセンブリ等の、基板102を移送してハンドリングするように動作可能なベース装置(図示せず)に連結されていてよい、又はそこから延びていてよい。ベース104は、ベース104及び保持装置100全般が、処理チャンバに対して相対的に移動して、保持装置100及びそれに保持されている任意の基板102の総体的な移動及び位置決めを提供することができるように、ベース装置に可動接続されていてよい。
【0016】
[0022]ステム106の近位端は、ベース104の底面118に連結され、吸引パッド110は、ベース104とは反対側のステム106の遠位端に配置される。吸引パッド110は、基板102に物理的に接触することなく、基板102を「保持」するための非接触の吸引力を与えるように構成される。一実施形態では、基板102を接触せずに支持するために、保持パッド114の代わりに吸引パッド110の力を使用することができる。あるいは、保持パッド114に加えて吸引パッド110を使用して、保持装置100による基板102へのより強い保持力を可能にすることもできる。
【0017】
[0023]一実施形態では、吸引パッド110は、吸引パッド110が保持パッド114によって保持された基板102の上面から約0.3ミリメートルから約0.8ミリメートル、例えば約0.5ミリメートルの間隙だけ離間するように、基板102に非接触の垂直吸引力を与える。本明細書の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、吸引パッド110は、ベルヌーイパッド又はコアンダパッドであってよい。例えば、吸引パッド110は、ベルヌーイの原理又はコアンダ効果を利用して、基板102に吸引力を生じさせることができる。実施形態では、ステム106は、吸引パッド110に動作可能に接続され、外部空気源又は外部真空源(図示せず)と流体連通している空気口112を更に含み得る。空気口112は、外部空気源又は外部真空源を使用して、吸引パッド110による垂直保持吸引力の生成を可能にするために、吸引パッド110に空気を供給及び/又は吸引パッド110から空気を除去することができる。特定の実施形態では、吸引パッド110は、基板102に接触することなく基板102に垂直保持力を与えるように動作可能な任意の装置であってよい。
【0018】
[0024]実施形態では、図1A及び図2Aに示すように、複数のアーム108は、第1のアーム108A及び第2のアーム108Bを含み得る。第1及び第2のアーム108A、108Bは各々、ベース104の底面118に隣接し、ベース104の対向する端部に配置された長方形の部材として形成され得る。第1及び第2のアーム108A、108Bは、ステム106及び吸引パッド110が第1及び第2のアーム108A、108Bの間の中間部分に配置されるように、互いに平行に配置され得る。複数のアーム108は各々、複数の保持パッド114を含む。保持パッド114は、基板102を保持するために基板102のエッジに接触するように構成される。図1B及び図2Aに示すように、保持装置100は、複数の保持パッド114によって画定される保持領域を有する。実施形態では、保持領域は、保持装置100によって保持される光学装置の表面積に対応する大きさである。実施形態では、吸引パッド110からの力は、基板102を垂直方向すなわちZ方向に保持するために使用され、保持パッド114は、基板102の横方向の移動及び/又は回転、すなわちX方向の移動及びX-Y平面に沿った回転を防止する。
【0019】
[0025]本明細書に記載の他の実施形態を含むことができる一実施形態では、複数のアーム108は、複数のアーム108を制御してベース104に対して相対的に移動させるためのアクチュエータ119に接続されていてよい。実施形態では、アーム108A、108Bは、基板102を支持し保持するために、互いから離れるように延びる、及び/又は互いに向かって後退するように動作することができる。一実施形態では、複数のアーム108は、力、位置、又は速度において個々に制御され得る。別の実施形態では、複数のアーム108は一緒に制御され得る。複数のアーム108は各々、ベース104の底面118に平行なX-Y平面に沿って複数のアーム108(及び複数のアーム108の各々に配置された複数の保持パッド114)を横方向に移動させるためのアクチュエータ119を含み得る、又はアクチュエータ119に連結され得る。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態では、アクチュエータは、ベース104に連結された、又はベース104に組み込まれたSMACグリッパ等の電気的プログラム可能なグリッパ装置であってよい。別の実施形態では、アクチュエータはマイクロアクチュエータであってよい。更に、アクチュエータはボイスコイルアクチュエータであってよい。ボイスコイルアクチュエータは、単極永久磁石と銅コイルで構成された非整流型DCリニアアクチュエータである。
【0020】
[0026]図1B及び図1Cに示すように、第1及び第2のアーム108A、108Bを互いに相対的に移動させて距離「D」を変更することができ、それによって複数の保持パッド114間の空間によって画定された保持装置100の保持領域を変化させることができる。保持領域は、第1及び第2のアーム108A、108B間の距離「D」をそれぞれ増加及び減少させることによって、必要に応じて増加及び減少させることができる。基板102を保持するために、保持パッドの位置を、基板102のサイズ、形状、及び位置に基づいて調整することができる。本明細書の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態では、アーム108A、108Bは独立して制御可能であってよい。
【0021】
[0027]図2Aは、保持装置100の概略底面図である。保持装置100は、ベース104、ステム106、吸引パッド110、第1及び第2のアーム108A、108B、及び保持パッド114を含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、第1及び第2のアーム108A、108Bは各々、複数の貫通孔120を通して固定された複数のファスナを介してベース104のアクチュエータに連結される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、複数の保持パッド114の各々は、複数の開口部122を介して複数のアーム108A、108Bに連結される。複数の開口部122は、第1及び第2のアーム108A、108Bの各々に配置される保持パッド114の様々な配置及び数を可能にする。
【0022】
[0028]本明細書における他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、ベース104は、複数のアーム108がZ軸の周囲を回転することができ、それによってベース104の底面118に平行なX-Y平面に沿って複数のアーム108及びそれに配置された保持パッド114の回転並進移動が可能になるように、シータアクチュエータに連結され得る、又はそれを更に含み得る。このような回転移動により、保持装置100が、様々なサイズ及び配向の基板102に対して、より良好に位置合わせされ、対応可能になり得る。別の実施形態では、保持パッド114は、複数のアーム108の各々に接続されるときに、様々な配向及び位置合わせにすることができる。例えば、一実施形態では、第1のアーム108Aの保持パッド114は、第2のアーム108Bの保持パッド114と横方向に位置合わせされ得る。別の実施形態では、図1Bに示すように、第1のアーム108Aの保持パッド114は、第2のアーム108Bの保持パッド114とは位置がずれていてよい。
【0023】
[0029]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、保持装置100は光源124を含む。一態様では、光源124は保持装置100に対して可動であってよい、又は固定であってよい。別の態様では、光源は保持装置100の外部に設けられていてよい、又は保持装置100と一体化されていてよい。光源124は、基板102の追加処理のための光を供給し得る。例えば、光源124は、基板102に紫外線を供給する等、硬化プロセスのための光を供給し得る。光源124は、保持装置100の周囲環境に照明を提供するために用いられ得る。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、光源124はリングライトである、すなわち光源124は、光が基板102に均等に又は実質的に均等に供給されるようなリング形状である。
【0024】
[0030]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、保持装置100は可視化システム126を含む。可視化システム126は、保持装置100の外部に設けられていてよい、又は保持装置100と一体化されていてよい。実施形態では、図2Aに示すように、保持装置100は、可視化システム126を保持装置100と一体化するためにステム106に配置された複数のポート128を含む。複数のポート128は、可視化システム126の1又は複数のカメラ及び/又はセンサ等の1又は複数の装置を収納するように動作可能である。実施形態では、可視化システム126はまた、コントローラ130に通信可能に連結され得る。コントローラ130は、可視化システム126からの基板102について収集されたデータに応答して、可視化システム126の動作、及び保持装置100による基板102のハンドリング及び移送を容易にし得るように、保持装置100に通信可能に連結され得る。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、コントローラ130は、中央処理装置(CPU)132に通信可能に連結されている。コントローラ130は、入出力(I/O)装置(図示せず)を通してメモリ記憶媒体に記憶されたプログラムをダウンロードし、プログラムに従って可視化システム126及び保持装置100を制御することによって、以下に記載の方法400を実行することができる。
【0025】
[0031]複数のポート128に収納された1又は複数のカメラは、保持装置100の機能だけでなく計測プロセスを支援するように動作可能であり得る。複数のポート128に収納された1又は複数のセンサは、近接センサであってよく、コントローラ130と通信するように動作可能である。例えば、センサは、基板102が保持装置100によって保持されているときに、コントローラ130と通信することができる。図2Aに、複数のポート128のうちの4つを有する可視化システム126を図示したが、複数のポート128のうちの1又は複数を用いることができる。任意の数の装置、例えば1又は複数のカメラ及びセンサを、保持装置100と共に用いることができる。更に、複数のポート128は、保持装置100の他の部分、例えばベース104の底面118に沿って配置されていてよく、したがって、複数のアーム108に配置されることに限定されない。
【0026】
[0032]複数のアーム108の各々は、力モード及び/又は位置モードで操作され得る。位置モードでは、それぞれのアーム108は、それぞれのアーム108上の保持パッドが基板102のエッジに接触して、複数のアーム108の保持パッド114間に基板102を「把持」するための位置合わせ面を提供するように、基板102に対して所定の位置に移動させられる。力モードでは、別のアーム108を操作して基板102に接触させ、基板102に位置合わせ面を提供する保持パッド114に対して設定可能な力を基板102に加え、保持パッド114の間に基板102を「把持」する。例えば、図1Bに示す実施形態では、第1のアーム108Aが、基板102に接触し、基板102を保持するための位置合わせ面を提供する位置モードで操作され、第2のアーム108Bは、基板102に設定可能な力を加え、複数のアーム108A、108Bから延びた複数の保持パッド114の間に基板102を保持する力モードで操作され得る。基板102の中心に向かって非接触の垂直真空力を加えるための吸引パッド110の使用と組み合わせると、保持装置100によって基板102のエッジに沿って加えられる横方向の力は高度に制御可能であり、形状寸法に関係なく、基板102を把持するために使用することができる。
【0027】
[0033]保持装置100によって複数の保持パッド114の間で基板102に加えられる保持力は、約0.1から約3.8N、又は約10グラムから約350グラムの範囲であり得る。保持装置100によって基板102に加えられる実際の保持力は、基板102に、及び吸引パッド110が使用中であるかどうかに依存し得る。この保持力により、レンズアセンブリ及びレンズフレーム等の光学装置の繊細なハンドリングが可能になる。一実施形態では、吸引パッド110は、真空吸引が適用される表面を有さないレンズフレームを保持するために保持装置100が使用される場合等、基板102の「保持」を支援する垂直吸引力を発生させるためには作動されない。この実施形態では、基板102は、保持パッド114によって加えられる横方向の力によって完全に支持される。
【0028】
[0034]図2Bは、本明細書に記載の特定の実施形態に係る保持装置200の概略底面図である。保持装置200は、ベースプレート204、ステム206、吸引パッド210、複数のアーム208、及び保持パッド214を含む。本明細書の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、ベース204は、モジュラカート、処理チャンバの内部部分、処理チャンバの外部部分等を延伸する移送ロボットのロボットアームアセンブリ等の、基板102を移送してハンドリングするように動作可能なベース装置(図示せず)に連結され得る、又はそこから延びていてよい。ベース204は、ベース204及び保持装置200全般が、処理チャンバに対して相対的に移動して、保持装置200及びそれに保持されている任意の基板102の総体的な移動及び位置決めを提供し得るように、ベース装置に可動接続され得る。
【0029】
[0035]本明細書における他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、吸引パッド210は、複数の開孔216を含む。複数の開孔216は、入口212と連結している。したがって、複数の開孔216を介して空気を供給又は除去して、基板102上に保持力を生じさせることができる。例えば、基板上の保持力は、コアンダ効果を利用する等、複数の開孔216を介して印加される真空力で生成され得る。
【0030】
[0036]特定の実施形態では、保持パッド114は、基板102のエッジへの角部接触又は直接接触を利用することができる。したがって、光学装置構造及びその上のコーティング等の基板102の繊細な部分が、移送又はハンドリングの間に損傷を受けない。
【0031】
[0037]図3は、本明細書に開示される特定の実施形態に係る例示的な保持パッド114の概略斜視図である。保持パッド114は、保持装置100において用いられ、基板102のエッジに接触するように動作可能である。図2A及び図2Bでは、複数のアーム108の各々に保持パッド114を2つのみ図示したが、任意の数の保持パッド114を用いて基板102を保持することができる。本明細書の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、保持パッド114は各々、シリコーンスリーブを更に含み得る。
【0032】
[0038]図4は、本明細書に記載の特定の実施形態に係る図1に記載の保持装置100を用いて基板102を保持するための例示的な方法400のフロー図である。実施形態では、方法400は、保持装置100を用いて基板102をピックアップし、ターゲットステージに移動させることを提供する。
【0033】
[0039]方法400は、工程402において、基板102を走査して保持装置100に位置合わせするために、基板102を保持装置100の下方、及び可視化システム126による視界内に位置決めすることによって開始する。保持装置100に通信可能に連結された視覚化システム126は、保持装置100の外部に設けられていてよい、又は保持装置100と一体化されていてよい。可視化システム126が保持装置100の外部に設けられた実施形態では、可視化システム126は、基板102を走査するために必要に応じて制御及び移動させることができる1又は複数の可動カメラ及び/又はセンサを含み得る。別の実施形態では、可視化システム126の1又は複数のカメラ及び/又はセンサは保持装置100と一体化され、これにより、移送の準備のために保持装置100の下方に基板102を位置決めすることが、走査のために可視化システム126による視界内に基板102を位置決めすることにもなり得る。
【0034】
[0040]次に、工程404において続いて、基板102上の1又は複数のフィデューシャルの検出、及び/又は基板102の位置、配向、サイズ、及びエッジ等の基板102の特性及び関連仕様の検出のために、可視化システム126の1又は複数のカメラ及び/又はセンサを使用して基板102を走査する。実施形態では、基板102は、保持装置100による位置合わせ及び保持のために、保持装置100が基板102の配向、位置、及び/又は任意の他の物理的特性を決定するのを支援するために、1又は複数のフィデューシャルを有するように形成されていてよい。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、工程402は、基板102の特性及び保持装置100が吸引パッド110を採用するか否かを決定するために、可視化システム126の1又は複数のセンサで基板102を走査することを含む。例えば、基板102が吸引パッド110が吸引力を加えるための表面を有しないフレームアセンブリであると可視化システム126が決定した場合、走査された基板102を保持するために吸引パッド110を作動させない場合がある。
【0035】
[0041]工程406において、可視化システム126による基板102の走査時に、コントローラ130は、複数の保持パッド114との接触に備えて、基板の走査に基づき、保持装置100の複数のアーム108A、108Bを基板102の上に基板102に対して相対的に位置合わせする。実施形態では、コントローラ130は、保持装置100を位置合わせする際に、利用可能であれば、走査された基板102に関連する記憶されたデータを用いる場合もある。実施形態では、基板102の特性に関連する仕様等の、走査された基板102に関連する記憶されたデータがCPU132によって取得され、視覚化システム126によって走査された基板102上の1又は複数のそれぞれのフィデューシャルに基づいて用いられ得る。
【0036】
[0042]基板102の保持又は「把持」を開始するために、工程408において、保持装置100は、まず、第1のアーム108Aを位置モードで操作して、基板102に対して第1のアーム108Aを所定の位置に移動させ、基板102を「把持」するための位置合わせ面を基板102に提供することから開始する。実施形態では、第1のアーム108は、したがって、第1のアーム108A上の複数の保持パッド114がちょうど基板102と接触するような位置に移動される。
【0037】
[0043]第1のアーム108Aの保持パッド114が基板102に隣接して位置決めされると、工程410において、第2のアーム108Bを力モードで操作して基板102に接触させ、第1及び第2のアーム108A、108Bの保持パッド114の間に基板102を位置決めし、保持パッド114の間に設定可能な力を加える。
【0038】
[0044]工程412において、保持装置100はオプションとして基板102に応じて、吸引パッド110を作動させ、基板102の中心に向かって非接触の真空力を加える場合がある。吸引パッド110が、垂直保持力の印加を支援するために作動される場合、ハンドリング中の基板102の横方向の移動及び/又は回転を防止するために、保持パッド114によって低い横方向の力のみが加えられる必要があり得る。実施形態では、保持パッド114の力及び吸引パッド110への供給空気の圧力を変化させることによって、基板102の欠陥、損傷、及び歪みを回避するために基板102に利用される保持力も変化させることができる。
【0039】
[0045]本明細書の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態では、吸引パッド110が基板102の保持に利用されない場合、基板102は、保持パッド114の間で基板102のエッジに対して加えられる設定可能な横方向の力によって完全に支持される。複数のアーム108の各々は、位置モード又は力モードのいずれかで別々に操作可能であるため、基板102のエッジに対して加えられる力は細かく調整可能であり、基板102を歪ませる、又は損傷させることなく、基板102を「把持」するように調整することができる。
【0040】
[0046]基板102が保持パッド114の間に確実に保持されると、工程414において、保持装置100に接続されたベース装置のアクチュエータを操作して、保持装置100及びその中に保持された基板102を移動させ、基板102をターゲットステージに移送することができる。本明細書の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態では、工程414は、基板102が保持装置100によって適切かつ確実に保持されていることを確認するために、基板102を移送する前に基板102を走査することをオプションで含むことができる。基板102をターゲット部位に移送したら、工程416において、保持装置のアーム108を後退させて、基板102をターゲットステージ上で解放する。
【0041】
[0047]図5は、本明細書に記載の特定の実施形態に係る基板102を保持する例示的な方法500のフロー図である。実施形態では、方法500は、保持装置100を使用して基板102をピックアップし、ターゲットステージに移動させることを提供する。
【0042】
[0048]方法500は、工程502において、保持装置100の下方の保持装置100によって保持されるための位置に基板102を位置決めすることによって開始する。工程504において、保持装置100は、まず、第1のアーム108Aを位置モードで操作して、第1のアーム108Aを基板102に対して所定の位置に移動させ、基板102を「把持」するための位置合わせ面を基板102に提供することによって開始する。実施形態では、第1のアーム108は、したがって、第1のアーム108A上の複数の保持パッド114がちょうど基板102と接触するような位置に移動される。
【0043】
[0049]第1のアーム108Aの保持パッド114が基板102に隣接して位置決めされると、工程506において、第2のアーム108Bを力モードで操作して基板102に接触させ、第1及び第2のアーム108A、108Bの保持パッド114の間に基板102を位置決めして、保持パッド114の間に設定可能な力を加える。
【0044】
[0050]工程508において、保持装置100はオプションとして基板102に応じて、吸引パッド110を作動させ、基板102の中心に向かって非接触の真空力を加える場合がある。吸引パッド110が、垂直保持力の印加を支援するために作動される場合、ハンドリング中の基板102の横方向の移動及び/又は回転を防止するために、保持パッド114によって低い横方向の力のみを加える必要があり得る。実施形態では、保持パッド114の力及び吸引パッド110への供給空気の圧力を変化させることによって、基板102の欠陥、損傷、及び歪みを回避するために基板102に利用される保持力も変化させることができる。
【0045】
[0051]本明細書の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態では、吸引パッド110が基板102の保持に利用されない場合、基板102は、保持パッド114の間で基板102のエッジに対して加えられる設定可能な横方向の力によって完全に支持され得る。複数のアーム108の各々は、位置モード又は力モードのいずれかで別々に操作可能であるため、基板102のエッジに対して加えられる力は細かく調整可能であり、基板102を歪ませる、又は損傷させることなく、基板102を「把持」するように調整することができる。
【0046】
[0052]基板102が保持パッド114の間に確実に保持されると、工程510において、保持装置100に接続されたベース装置のアクチュエータを操作して、保持装置100及びその中に保持された基板102を移動させ、基板102をターゲットステージに移送することができる。基板102をターゲット部位に移送したら、工程512において、保持装置のアーム108を後退させ、基板102をターゲットステージ上で解放する。
【0047】
[0053]要約すると、基板を把持する装置及び基板を把持する方法が本明細書に図示及び記載されている。前述の内容は本開示の実施例を対象としているが、以下の特許請求の範囲によって決定されるその基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他のさらなる実施例を考案することが可能である。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】