(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】荷電粒子評価システムでサンプルを処理する方法
(51)【国際特許分類】
H01J 37/147 20060101AFI20250128BHJP
H01J 37/20 20060101ALI20250128BHJP
H01J 37/28 20060101ALI20250128BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
H01J37/147 B
H01J37/20 D
H01J37/28 B
H01L21/66 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533837
(86)(22)【出願日】2022-11-21
(85)【翻訳文提出日】2024-07-31
(86)【国際出願番号】 EP2022082625
(87)【国際公開番号】W WO2023117245
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ゾースト,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ウィーラント,マルコ,ジャン-ジャコ
(72)【発明者】
【氏名】カイパー,ヴィンセント,シルヴェスター
【テーマコード(参考)】
4M106
5C101
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106BA02
4M106CA39
4M106CA50
4M106DB05
4M106DJ17
5C101AA03
5C101EE03
5C101EE22
5C101EE48
5C101FF02
5C101FF27
5C101FF52
5C101HH23
5C101HH28
(57)【要約】
サンプルを処理する方法及び荷電粒子評価システムが開示される。一構成では、サンプルは、荷電粒子のサブビームのマルチビームを使用して処理される。サブビーム処理可能エリアの少なくとも一部は、各サブビームで処理される。サブビーム処理可能エリアは、セクションの行及びセクションの列を有するセクションのアレイを含む。セクションの各行は、実質的に、マルチビーム中のサブビームの、サンプル表面でのピッチ以下である細長い領域を画定する。複数のセクションが処理される。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチビームをサンプル表面上に投影するための荷電粒子デバイスを使用して、荷電粒子のサブビームの前記マルチビームを使用してサンプルを処理する方法であって、順に、
(a)前記荷電粒子デバイスを使用しながら、第1の方向に平行な方向に前記サンプルを移動させて、第2の方向に平行な方向において前記サンプル表面に対して前記マルチビームを繰り返し移動させ、それにより前記第1の方向に平行な前記方向において及び前記第2の方向に平行な前記方向において繰り返し各サブビームを走査して、前記サブビームで前記サンプル表面上の複数の細長い領域の1つのセクションを処理することであって、(a)における前記サンプルの移動の距離は、前記第1の方向における、前記マルチビーム中の前記サブビームの、前記サンプル表面でのピッチの2分の1以下である、ことと、
(b)前記第1の方向に対して斜めの又は垂直な方向に前記サンプルを変位させることと、
(c)ステップ(a)を繰り返して、各サブビームで前記複数の細長い領域のうちの更なる細長い領域のセクションを処理することと、
(d)ステップ(b)及び(c)を複数回繰り返して、各サブビームで前記複数の細長い領域のうちの更なるそれぞれの細長い領域のセクションを処理することと、
(e)各サブビームについて、前記細長い領域の一連の未処理セクションに対してステップ(a)~(d)を繰り返すことであって、前記一連の未処理セクションは、ステップ(a)における前記移動と平行な方向において、前記サブビームによって先に処理されたそれぞれの細長い領域の対応する一連のセクションに隣接する、ことと
を含む方法。
【請求項2】
(a)における、前記荷電粒子デバイスによる前記サンプル表面に対する前記マルチビームの、前記第2の方向に平行な前記方向の前記移動の最大範囲は、前記マルチビーム中の前記サブビームの、前記サンプル表面での最小ピッチの実質的に半分以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(a)における前記サンプルの移動の前記距離は、前記第1の方向における、前記マルチビーム中の前記サブビームの、前記サンプル表面での前記ピッチを整数で除したものに実質的に等しい、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(e)は、1回又は複数回実施され、及び前記結果として生じる複数の処理されたセクションは、前記複数の細長い領域を覆い、前記処理された複数の細長い領域は、各サブビームのサブビーム処理エリアを画定する、請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
(b)における前記サンプルの変位の距離は、各サブビーム処理エリアにおける前記細長い領域が互いに部分的に重なるか、互いに連続するか、又は閾値間隙未満だけ互いに離間されるようなものである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
各サブビームは、それぞれのサブビーム処理エリアを処理し、及び前記結果として生じる複数のサブビーム処理エリアは、互いに対して重なり及び/又は連続する、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(a)~(e)後、順に、
(f)前記マルチビーム中の前記サブビームの、前記サンプル表面でのピッチの少なくとも2倍に等しい距離だけ前記サンプルを変位させるステップと、
(g)(a)~(e)を繰り返すステップと
を実施することを更に含む、請求項4~6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
(a)~(e)の1回の実施は、サブビーム処理エリアの第1のグループを画定し、及びステップ(g)は、前記サブビーム処理エリアの第1のグループと重なり及び/又は連続するサブビーム処理エリアの第2のグループを形成する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記荷電粒子デバイスのフットプリントは、(a)~(e)の実施からの前記サブビーム処理エリアの全てを囲む、前記サンプル表面上の最小境界ボックスとして画定され、
(f)における前記サンプルの変位の前記距離は、実質的に、前記移動の前記方向に平行な前記フットプリントの寸法以上である、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(e)は、1~9回繰り返される、請求項4~9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(a)は、前記サンプルの第1の処理領域が前記荷電粒子デバイスの出力部に面する位置から、更なる処理領域が前記荷電粒子デバイスの前記出力部に面する位置又はそれぞれの更なる処理領域が前記荷電粒子デバイスの前記出力部に面する複数の位置の各々に前記サンプルをステッピングすることと、前記荷電粒子デバイスを使用しながら、前記第1の方向に平行な方向における前記サンプルの前記移動を各位置で繰り返して、前記第2の方向に平行な前記方向において前記サンプル表面に対して前記マルチビームを繰り返し移動させ、それにより前記又はそれぞれの更なる処理領域において、各サブビームで前記サンプル表面上の複数の細長い領域の1つのセクションを処理することとを更に含み、及び
ステップ(b)は、前記サンプルを変位させて、前記第1の処理領域が前記荷電粒子デバイスの前記出力部に面する前記位置に前記サンプルを戻して位置決めすることを含む、請求項1~10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記サンプル表面の異なるセクションの処理間にサンプルアライメント動作を実施することを更に含む、請求項4~11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記サンプルアライメント動作は、同じサブビーム処理エリアにおける異なるセクションの処理間に実施される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記サンプルアライメント動作は、前記サンプル上の参照マーカ又は前記サンプル上の参照パターンを検出することと、前記サンプルをアライメントして、前記参照マーカ又は参照パターンを前記荷電粒子デバイスに対してアライメントすることとを含む、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記サンプルアライメント動作は、ステップ(d)内のステップ(c)の異なる実施間に実施される、請求項12~14の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2021年12月20日に出願され、参照によりその全体が本明細書に援用される欧州特許出願公開第21216074.1号の優先権を主張する。
【0002】
[0002] 本明細書に開示される実施形態は、特に、サンプルを検査して、例えば欠陥を識別することに関連して、荷電粒子のマルチビームを使用したサンプルの処理に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 半導体集積回路(IC)チップを製造する際、例えば光学効果及び偶発的粒子の結果として、望ましくないパターン欠陥が製作プロセス中に基板(即ちウェーハ)又はマスク上で不可避的に生じ、それにより歩留まりが低下する。従って、望ましくないパターン欠陥の程度をモニタリングすることは、ICチップの製造において重要なプロセスである。より一般的には、基板又は他の物体/材料の表面の検査及び/又は測定は、その製造中及び/又は製造後において重要なプロセスである。
【0004】
[0004] 荷電粒子ビームによるパターン検査装置は、サンプルと呼ばれ得る物体を検査するために、例えばパターン欠陥を検出するために使用されている。これらの装置は、一般的に、走査電子顕微鏡(SEM)などの電子顕微鏡法技術を使用する。SEMでは、比較的高いエネルギーの電子の一次電子ビームが、比較的低い着地エネルギーでサンプル上に着地するために、最終減速ステップでターゲットにされる。電子ビームは、サンプル上にプロービングスポットとして集束される。プロービングスポットにおける材料構造と、電子ビームからの着地電子との相互作用により、二次電子、後方散乱電子又はオージェ電子などの信号電子が表面から放出される。信号電子は、サンプルの材料構造から放出され得る。サンプル表面にわたり、プロービングスポットとして一次電子ビームを走査することにより、サンプルの表面にわたって信号電子を放出させることができる。サンプル表面からのこれらの放出された信号電子を収集することにより、パターン検査装置は、サンプルの表面の材料構造の特徴を表す画像を取得し得る。
【0005】
[0005] 電子ビームへのサンプルの暴露により、熱負荷がサンプルに適用され得る。そのような熱負荷は、サンプルに歪みを生じさせ、位置誤差を生じさせる。そのような熱負荷を軽減し、荷電粒子ツール及び方法のスループット、位置正確性及び他の特性を改善しないまでも少なくとも維持する一般的な必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本開示の目的は、荷電粒子ツールのスループット又は他の特性の改善を支援する実施形態を提供することである。
【0007】
[0007] 本発明の一態様によれば、マルチビームをサンプル表面上に投影するための荷電粒子デバイスを使用して、荷電粒子のサブビームのマルチビームを使用してサンプルを処理する方法が提供され、方法は、順に、(a)荷電粒子デバイスを使用しながら、第1の方向に平行な方向にサンプルを移動させて、第2の方向に平行な方向においてサンプル表面に対してマルチビームを繰り返し移動させ、それにより第1の方向に平行な方向において及び第2の方向に平行な方向において繰り返し各サブビームを走査して、サブビームでサンプル表面上の複数の細長い領域の1つのセクションを処理することであって、(a)におけるサンプルの移動の距離は、第1の方向における、マルチビーム中のサブビームの、サンプル表面でのピッチの2分の1以下である、処理することと、(b)第1の方向に対して斜めの又は垂直な方向にサンプルを変位させることと、(c)ステップ(a)を繰り返して、各サブビームで複数の細長い領域のうちの更なる細長い領域のセクションを処理することと、(d)ステップ(b)及び(c)を複数回繰り返して、各サブビームで複数の細長い領域のうちの更なるそれぞれの細長い領域のセクションを処理することと、(e)各サブビームについて、細長い領域の一連の未処理セクションに対してステップ(a)~(d)を繰り返すことであって、一連の未処理セクションは、ステップ(a)における移動と平行な方向において、サブビームによって先に処理されたそれぞれの細長い領域の対応する一連のセクションに隣接する、繰り返すこととを含む。
【0008】
[0008] 本発明の一態様によれば、マルチビームをサンプル表面上に投影するための荷電粒子デバイスを使用して、荷電粒子のサブビームのマルチビームを使用してサンプルを処理する方法が提供され、方法は、各サブビームでサブビーム処理可能エリアの少なくとも一部を処理することを含み、サブビーム処理可能エリアは、セクションの行及びセクションの列を有するセクションのアレイを含み、セクションの各行は、実質的に、マルチビーム中のサブビームの、サンプル表面でのピッチ以下である細長い領域を画定し、処理することは、複数のセクションを処理することを含む。
【0009】
[0009] 本発明の一態様によれば、荷電粒子評価システムが提供され、本システムは、サンプルを支持するように構成されたサンプルサポートと、荷電粒子の複数のサブビームをマルチビーム構成でサンプル表面の一部に投影するように構成された荷電粒子デバイスと、以下のステップ:(a)荷電粒子デバイスを使用しながら、第1の方向に平行な方向にサンプルを移動させて、第2の方向に平行な方向においてサンプル表面に対してマルチビームを繰り返し移動させ、それにより第1の方向に平行な方向において及び第2の方向に平行な方向において繰り返し各サブビームを走査して、サブビームでサンプル表面上の複数の細長い領域の1つのセクションを処理するステップであって、(a)におけるサンプルの移動の距離は、第1の方向における、マルチビーム中のサブビームの、サンプル表面でのピッチの2分の1以下である、ステップ、(b)第1の方向に対して斜めの又は垂直な方向にサンプルを変位させるステップ、(c)ステップ(a)を繰り返して、各サブビームで複数の細長い領域のうちの更なる細長い領域のセクションを処理するステップ、(d)ステップ(b)及び(c)を複数回繰り返して、各サブビームで複数の細長い領域のうちの更なるそれぞれの細長い領域のセクションを処理するステップ、及び(e)各サブビームについて、細長い領域の一連の未処理セクションに対してステップ(a)~(d)を繰り返すステップであって、一連の未処理セクションは、ステップ(a)における移動と平行な方向において、サブビームによって先に処理されたそれぞれの細長い領域の対応する一連のセクションに隣接する、ステップを順に実施するようにサンプルサポート及び荷電粒子デバイスを制御するように構成されたコントローラとを含む。
【0010】
[0010] 本発明の一態様によれば、荷電粒子評価システムが提供され、本システムは、サンプルを支持するように構成されたサンプルサポートと、荷電粒子の複数のサブビームをマルチビーム構成でサンプル表面の一部に投影するように構成された荷電粒子デバイスと、a)各サブビームでサブビーム処理可能エリアの少なくとも一部を処理することであって、サブビーム処理可能エリアは、セクションの行及びセクションの列を有するセクションのアレイを含み、セクションの各行は、実質的に、マルチビーム中のサブビームの、サンプル表面でのピッチ以下である細長い領域を画定し、処理することは、複数のセクションを処理することを含む、処理すること、b)サブビーム走査可能エリアの少なくとも一部を各サブビームに露出することであって、サブビーム走査可能エリアは、セクションの行及びセクションの列を有するセクションのアレイを含み、セクションの各行は、実質的に、マルチビーム中のサブビームの、サンプル表面でのピッチ以下である細長い領域を画定し、サンプルサポート及び荷電粒子デバイスは、複数のセクションを露出するように制御されるように構成される、露出すること、及び/又はc)サブビーム走査可能エリアの少なくとも一部を各サブビームに露出することであって、サブビーム走査可能エリアは、セクションの行及びセクションの列を有するセクションのアレイを含み、セクションの各行は、実質的に、マルチビーム中のサブビームの、サンプル表面でのピッチ以下である細長い領域を画定する、露出することを行うようにサンプルサポート及び荷電粒子デバイスを制御し、セクションのアレイにおける異なるセクションの走査間にサンプルアライメント動作を実施するように構成されたコントローラとを含む。
【0011】
[0011] 本発明の一態様によれば、サンプルの走査から導出された画像のレンダリングが提供され、画像は、グリッドに配置された複数の処理エリアを含み、各処理エリアは、マルチビーム構成のサブビームによって走査されるサンプル表面の一部に対応し、グリッドは、マルチビーム構成のサブビームのピッチに対応する寸法を有し、各処理エリアは、セクションの行及びセクションの列に配置されたセクションのアレイを含み、処理エリアにおける処理されたセクションの行は、処理エリアの幅の長尺状寸法を有する細長い領域に対応し、望ましくは、各処理エリアは、同じグリッドに配置されたセクションを有し、望ましくは、細長い領域におけるセクションは、長尺状寸法において同様の寸法を有する。
【0012】
[0012] 本発明の一態様によれば、マルチビームをサンプル表面上に投影するための荷電粒子デバイスを使用して、荷電粒子のサブビームのマルチビームを使用してサンプルを処理する方法が提供され、方法は、荷電粒子デバイスを使用して、荷電粒子の複数のサブビームをマルチビーム構成でサンプル表面の一部に投影することであって、一部は、マルチビーム構成の視野に対応し、各サブビームは、一部の下位部分に対応し、各下位部分は、マルチビーム構成の対応するサブビームの視野に対応し、下位部分は、第1の方向において視野にわたって延び、下位部分のサンプル表面のエリアを含むエリアを一緒に有する複数の細長い領域を含み、各細長い領域は、細長い領域内に配置された複数のセクションを含み、細長い領域は、任意選択的に、第1の方向に対して斜めの又は垂直な方向において同様の寸法を有する、投影することと、マルチビーム構成のサブビームが各下位部分内のセクションを走査するようにサンプルサポート及び荷電粒子デバイスを制御することであって、セクションを走査することは、第1の方向に平行な方向にサンプルを移動させることと、好ましくは第1の方向に対して傾斜した、第2の方向に平行な方向において、サンプル表面に対してマルチビームを移動させてセクションを走査することとを含む、制御することと、同じ移動を使用して、先に走査されたセクションに隣接する次のセクションを走査することとを含む。
【0013】
[0013] 本発明の一態様によれば、荷電粒子評価システムが提供され、荷電粒子評価システムは、サンプルを支持するように構成されたサンプルサポートと、荷電粒子の複数のサブビームをマルチビーム構成でサンプル表面の一部に投影するように構成された荷電粒子デバイスであって、一部は、マルチビーム構成の視野に対応し、各サブビームは、一部の下位部分に割り当てられ、各下位部分は、マルチビーム構成の対応するサブビームの視野に対応し、下位部分は、第1の方向において視野にわたって延び、下位部分のサンプル表面のエリアを含むエリアを一緒に有する複数の細長い領域を含み、各細長い領域は、細長い領域内に配置された複数のセクションを含み、細長い領域は、任意選択的に、第1の方向に対して斜めの又は垂直な方向において同様の寸法を有する、荷電粒子デバイスと、サンプルが、第1の方向に平行な方向に移動し、マルチビームが、好ましくは第1の方向に対して傾斜する、第2の方向に平行な方向においてサンプル表面に対して移動し、各セクションが、走査された後、先に走査されたセクションになり、先に走査されたセクションに隣接する次のセクションが同じ移動を使用して走査されるように、各下位部分内のセクションを走査するようにマルチビームのサブビームが制御されるように、サンプルサポート及び荷電粒子デバイスを制御するように構成されたコントローラとを含む。
【0014】
[0014] 本発明の一態様によれば、荷電粒子評価システムが提供され、荷電粒子評価システムは、サンプル表面を有するサンプルを支持するサンプルサポートと、荷電粒子のサブビームのマルチビームをサンプル表面に向けるように構成された荷電粒子デバイスであって、荷電粒子デバイスのマルチビーム出力領域に対応するサンプル表面の一部は、サンプル表面に面する、荷電粒子デバイスとを含み、システムは、一部がマルチビームのサブビームによって走査されるようにサンプルサポート及び荷電粒子デバイスを制御するように構成され、一部の下位部分は、各サブビームに割り当てられ、システムは、第1の方向に対して斜めの又は垂直な方向においてサンプルを連続ステップで変位させ、各ステップにおいて、各サブビームが、第1の方向に平行な方向において対応する下位部分のセクションにわたって走査するように、第1の方向に平行な方向においてサンプルを各ステップで移動させるようにサンプルサポートを制御するように構成され、第1の方向に平行な方向における対応する下位部分は、複数のセクションを含み、システムは、第1の方向に平行な方向におけるサンプルの移動中、第2の方向に平行な方向においてサンプル表面にわたってマルチビームを繰り返し走査するように荷電粒子デバイスを制御するように構成され、システムは、第1の方向に平行な方向において下位部分に沿った複数のセクション又は続く連続ステップの何れかである更なるセクションを走査するように構成される。
【0015】
[0015] 本開示の上記及び他の態様は、添付の図面と併せた例示的な実施形態の説明からより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】[0016]例示的な荷電粒子ビーム検査システムを示す概略図である。
【
図2】[0017]
図1の例示的な荷電粒子ビーム検査システムの一部である例示的なマルチビーム荷電粒子評価装置を示す概略図である。
【
図3】[0018]集光レンズアレイを含む例示的な電子光学コラムの概略図である。
【
図4】[0019]マクロコリメータ及びマクロ走査偏向器を含む例示的な電子光学コラムの概略図である。
【
図5】[0020]ビームセパレータを含む例示的な電子光学コラムの概略図である。
【
図6】[0021]一実施形態による荷電粒子評価システムの対物レンズアレイの概略断面図である。
【
図7】[0022]
図7の対物レンズアレイの修正形態の下面図である。
【
図8】[0023]一実施形態によるデータ処理デバイスを含むデータ経路の概略図である。
【
図9】[0024]一実施形態による方法の流れ図である。
【
図10】[0025]サブビーム処理エリアに対応するサンプル上の領域の処理を示す。
【
図11】[0026]六角形グリッドにおけるサブビームのポジショニングを示す。
【
図12】[0027]
図11に示されるように配置されたサブビームに対応するサブビーム処理エリアを示す。
【
図14】[0029]
図13のアレイを走査する一連のステップを示す。
【
図15】[0030]サブビーム処理エリアの異なるグループの形成間のサンプルの大きい変位移動の一例を示す。
【
図16】[0031]細長い領域内のサブビームの交互走査を示す。
【
図17】[0032]サブビーム処理エリアの処理中のサンプルのショートストローク移動例を示す。
【
図18】[0033]ステップアンドスキャンシーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0034] これらの概略図は、以下で説明されるコンポーネントを示す。しかし、図に描写されるコンポーネントは、原寸に比例していない。
【0018】
[0035] ここで、例示的な実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。以下の説明は、添付の図面を参照し、別段の表示がない限り、異なる図面における同一の番号は、同一又は類似の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明に記載される実装形態は、本発明と一致する全ての実装形態を表すわけではない。代替的に、それらの実装形態は、添付の請求項において記述されるように、本発明に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例である。
【0019】
[0036] デバイスの物理的サイズを減少させる、電子デバイスの計算能力の向上は、ICチップ上のトランジスタ、キャパシタ、ダイオードなどの回路コンポーネントの実装密度を大幅に増加させることによって達成することができる。これは、解像度の増大によって可能になった。例えば、親指のサイズであり得、20億を超えるトランジスタを含み得るスマートフォンのICチップでは、各トランジスタのサイズは、人間の毛髪の1/1000未満である必要があり得る。解像度の増大を達成するために、半導体ICの製造は、複雑で時間がかかるプロセスになり、数百もの個々の工程を有する。工程の1つにおけるエラーでも、最終製品の機能に影響する恐れがある。製造プロセスの目標は、プロセスの全体的な歩留まりを向上させることである。例えば、50のステップを有するプロセス(ここで、ステップは、ウェーハ上に形成される層の数を示し得る)に関して75%の歩留まりを得るために、個々のステップは、99.4%を超える歩留まりを有しなければならない。個々のそれぞれのステップが95%の歩留まりを有した場合、全体的なプロセス歩留まりは、7%と低い。
【0020】
[0037] ICチップ製造設備において、高いプロセス歩留まりが望ましい一方、1時間当たりに処理される基板の数と定義される高い基板(即ちウェーハ)スループットを維持することも必須である。高いプロセス歩留まり及び高い基板スループットは、欠陥の存在による影響を受け得る。これは、欠陥を調査するためにオペレータの介入が必要な場合に特に当てはまる。従って、検査デバイス(走査電子顕微鏡(「SEM」)など)によるマイクロスケール及びナノスケール欠陥の高スループット検出及び識別は、高い歩留まり及び低いコストを維持するために必須である。
【0021】
[0038] SEMは、走査デバイス及び検出器装置を含む。走査デバイスは、一次電子を発生させるための電子源を含む照明装置と、一次電子の1つ又は複数の集束ビームで基板などのサンプルを走査するための投影装置とを含む。共に、少なくとも照明装置又は照明システム及び投影装置又は投影システムは、合わせて電子光学システム又は装置と呼ばれ得る。一次電子は、サンプルと相互作用し、二次電子を発生させる。検出装置は、SEMがサンプルの走査エリアの画像を生成できるように、サンプルが走査されるとき、サンプルからの二次電子を捕捉する。高スループットの検査のために、検査装置の一部は、一次電子の複数の集束ビーム、即ちマルチビームを使用する。マルチビームの成分ビームは、サブビーム又はビームレットと呼ばれ得る。マルチビームは、サンプルの異なる部分を同時に走査することができる。従って、マルチビーム検査装置は、単一ビーム検査装置よりもはるかに高速でサンプルを検査することができる。
【0022】
[0039] 既知のマルチビーム検査装置の実装形態を以下に説明する。
【0023】
[0040] 説明及び図面は、電子光学システムを対象とするが、実施形態は、本開示を特定の荷電粒子に限定するために使用されないことが理解される。従って、本明細書全体を通して、電子への言及は、より一般的に荷電粒子への言及であると見なすことができ、荷電粒子は、必ずしも電子ではない。
【0024】
[0041] ここで、荷電粒子ビーム評価システム又は単に評価システムとも呼ばれ得る例示的な荷電粒子ビーム検査システム100を示す概略図である
図1を参照する。
図1の荷電粒子ビーム検査システム100は、メインチャンバ10、装填ロックチャンバ20、電子ビームシステム40、機器フロントエンドモジュール(EFEM)30及びコントローラ50を含む。電子ビームシステム40は、メインチャンバ10内に位置する。
【0025】
[0042] EFEM30は、第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bを含む。EFEM30は、追加的な1つ又は複数の装填ポートを含み得る。第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bは、例えば、基板(例えば、半導体基板若しくは他の材料でできている基板)又は検査対象のサンプル(以降では、基板、ウェーハ及びサンプルは、まとめて「サンプル」と呼ばれる)を収容する基板前面開口式一体型ポッド(FOUP)を受け取り得る。EFEM30内の1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)は、サンプルを装填ロックチャンバ20に運ぶ。
【0026】
[0043] 装填ロックチャンバ20は、サンプルの周囲の気体を取り除くために使用される。これは、周囲環境の圧力より低い局所気体圧力である真空を生じさせる。装填ロックチャンバ20は、装填ロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続され得、装填ロック真空ポンプシステムは、装填ロックチャンバ20内の気体粒子を取り除く。装填ロック真空ポンプシステムの動作により、装填ロックチャンバが、大気圧を下回る第1の圧力に達することが可能になる。第1の圧力に達した後、1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)が装填ロックチャンバ20からメインチャンバ10にサンプルを運ぶ。メインチャンバ10は、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続される。メインチャンバ真空ポンプシステムは、サンプルの周囲の圧力が、第1の圧力を下回る第2の圧力に達するように、メインチャンバ10内の気体粒子を取り除く。第2の圧力に達した後、サンプルは、電子ビームシステム40に運ばれ、サンプルは、電子ビームシステム40によって検査され得る。電子ビームシステム40は、マルチビーム電子光学装置を含み得る。
【0027】
[0044] コントローラ50は、電子ビームシステム40に電子的に接続される。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査装置100を制御するように構成されたプロセッサ(コンピュータなど)であり得る。コントローラ50は、様々な信号及び画像処理機能を実行するように構成された処理回路も含み得る。
図1では、コントローラ50は、メインチャンバ10、装填ロックチャンバ20及びEFEM30を含む構造の外部のものとして示されているが、コントローラ50は、構造の一部であり得ることが理解される。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査装置のコンポーネント要素の1つの内部に位置し得るか、又はコントローラ50は、コンポーネント要素の少なくとも2つに分散され得る。本開示は、電子ビームシステムを収納するメインチャンバ10の例を提供するが、本開示の態様は、広い意味において、電子ビームシステムを収納するチャンバに限定されないことに留意されたい。むしろ、前述の原理は、第2の圧力下で動作する装置の他のデバイス及び他の配置にも適用できることが理解される。
【0028】
[0045] ここで、
図1の例示的な荷電粒子ビーム検査システム100の一部である、マルチビーム電子光学システム41を含む例示的な電子ビームシステム40を示す概略図である
図2を参照する。電子ビームシステム40は、電子源201及び投影装置230を含む。電子ビームシステム40は、電動ステージ209及びサンプルホルダ207を更に含む。電子源201及び投影装置230は、併せて電子光学システム41又は電子光学コラムと呼ばれる。サンプルホルダ207は、検査のためのサンプル208(例えば、基板又はマスク)を保持するように電動ステージ209によって支持される。マルチビーム電子光学システム41は、検出器240(例えば、電子検出デバイス)を更に含む。
【0029】
[0046] 電子源201は、カソード(図示せず)及び抽出器又はアノード(図示せず)を含み得る。動作中、電子源201は、一次電子として電子をカソードから放出するように構成される。一次電子は、抽出器及び/又はアノードによって抽出又は加速されて、一次電子ビーム202を形成する。
【0030】
[0047] 投影装置230は、一次電子ビーム202を複数のサブビーム211、212、213に変換し、各サブビームをサンプル208上に導くように構成される。簡潔にするために3つのサブビームが示されているが、何十、何百、何千又は何十万ものサブビームが存在し得る。サブビームは、ビームレットと呼ばれ得る。
【0031】
[0048] コントローラ50は、電子放射源201、検出器240、投影装置230及び電動ステージ209など、
図1の荷電粒子ビーム検査装置100の様々な部分に接続され得る。コントローラ50は、様々な画像及び信号処理機能を行い得る。コントローラ50は、荷電粒子マルチビーム装置を含む荷電粒子ビーム検査装置の動作を制御するための様々な制御信号を生成することもできる。
【0032】
[0049] 投影装置230は、検査のためにサブビーム211、212及び213をサンプル208上に集束するように構成され得、サンプル208の表面上に3つのプローブスポット221、222及び223を形成し得る。投影装置230は、サンプル208の表面のセクション内の個々の走査エリアにわたってプローブスポット221、222及び223を走査するために、一次サブビーム211、212及び213を偏向させるように構成され得る。サンプル208上のプローブスポット221、222及び223上への一次サブビーム211、212及び213の入射に応答して、信号粒子と呼ばれ得る二次電子及び後方散乱電子を含む電子がサンプル208から生成される。二次電子は、通常、50eV以下の電子エネルギーを有する。実際の二次電子は、5eV未満のエネルギーを有し得るが、50eV未満の任意のエネルギーは、通常、二次電子において取り扱われる。後方散乱電子は、通常、0eVと一次サブビーム211、212、213の着地エネルギーとの間の電子エネルギーを有する。50eV未満のエネルギーを有する検出された電子は、通常、二次電子として取り扱われるため、実際の後方散乱電子のある割合が二次電子として計数される。
【0033】
[0050] 検出器240は、二次電子及び/又は後方散乱電子などの信号粒子を検出し、対応する信号を生成するように構成され、これらの信号は、例えば、サンプル208の対応する走査エリアの画像を構築するために、信号処理システム280に送られる。検出器240は、投影装置230に組み込まれ得る。
【0034】
[0051] 信号処理システム280は、画像を形成するために検出器240からの信号を処理するように構成された回路(図示せず)を含み得る。信号処理システム280は、他に画像処理システムと呼ばれ得る。信号処理システムは、電子ビームシステム40のコンポーネント、例えば検出器240内に組み込まれ得る(
図2に示すように)。しかし、信号処理システム280は、検査装置100又は電子ビームシステム40の任意の数のコンポーネント内に例えば投影装置230又はコントローラ50の一部として組み込まれ得る。信号処理システム280は、画像取得器(図示せず)及びストレージデバイス(図示せず)を含み得る。例えば、信号処理システムは、プロセッサ、コンピュータ、サーバ、メインフレームホスト、端末、パーソナルコンピュータ、任意の種類のモバイルコンピューティングデバイスなど、又はそれらの組み合わせを含み得る。画像取得器は、コントローラの処理機能の少なくとも一部を含み得る。従って、画像取得器は、少なくとも1つ又は複数のプロセッサを含み得る。画像取得器は、数ある中でも特に、導電体、光ファイバケーブル、ポータブル記憶媒体、IR、Bluetooth、インターネット、ワイヤレスネットワーク、ワイヤレス無線機又はこれらの組み合わせなど、信号通信を可能にする検出器240に通信可能に結合され得る。画像取得器は、検出器240から信号を受信し、信号に含まれるデータを処理し、そこから画像を構築することができる。従って、画像取得器は、サンプル208の画像を取得することができる。画像取得器は、輪郭の生成及び取得画像へのインジケータの重畳などの様々な後処理機能を行うこともできる。画像取得器は、取得画像の明度及びコントラストなどの調整を行うように構成され得る。ストレージは、ハードディスク、フラッシュドライブ、クラウドストレージ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、他のタイプのコンピュータ可読メモリなどの記憶媒体であり得る。ストレージは、画像取得器と結合され得、走査された生の画像データをオリジナルの画像として保存するか、又は後処理された画像を保存するために使用され得る。
【0035】
[0052] 信号処理システム280は、検出された二次電子の分布を得るために、測定回路(例えば、アナログ-デジタル変換器)を含み得る。検出時間窓中に収集された電子分布データは、サンプル表面に入射した一次サブビーム211、212及び213の各々の対応する走査パスデータと組み合わせて、検査中のサンプル構造の画像を再構築するために使用することができる。再構築された画像は、サンプル208の内部又は外部の構造の様々なフィーチャを明らかにするために使用することができる。従って、再構築された画像は、サンプルに存在し得るいかなる欠陥も明らかにするために使用することができる。信号処理システム280の上記の機能は、コントローラ50内で実行されるか、又は都合に応じて信号処理システム280とコントローラ50との間で共有され得る。
【0036】
[0053] コントローラ50は、サンプル208の検査中、サンプル208を移動させるように電動ステージ209を制御し得る。コントローラ50は、電動ステージ209が、1つ以上の選択された方向にサンプル208を連続的又は断続的に移動させるようにし得る。幾つかの構成では、移動は、一定の速度で実施され得る。サンプル208の移動は、走査と呼ぶことができる。従って、この走査は、連続的又は断続的であり得る。コントローラ50は、電動ステージ209が、様々なパラメータに依存するサンプル208の移動の速度を変えるように、電動ステージ209の移動を制御することができる。例えば、コントローラ50は、少なくともステージの組み合わされたステップ/スキャン戦略に関する限り、例えば本明細書に援用される2021年5月3日に出願された欧州特許出願公開第A21171877.0号で開示されるように、走査プロセスの検査ステップ及び/又は走査プロセスの走査の特徴に応じてステージ速度(及び/又は方向)を制御し得る。
【0037】
[0054] 上記で説明された電子ビームシステム40及び荷電粒子ビーム検査装置100などの既知のマルチビームシステムは、参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2020118784号、米国特許出願公開第20200203116号、米国特許出願公開第2019/0259570号及び米国特許出願公開第2019/0259564号に開示されている。
【0038】
[0055] 電子ビームシステム40は、サンプル208を照射することにより、サンプル上の蓄積電荷を規制するための投影アセンブリを含み得る。
【0039】
[0056]
図3は、評価システムで使用される例示的な電子光学コラム41の概略図である。図解を簡易にするために、レンズアレイは、本明細書では楕円形のアレイによって概略的に描写される。各楕円形状は、レンズアレイ内のレンズの1つを表す。楕円形状は、光学レンズで多くの場合に採用される両凸形状の類推により、レンズを表すために慣例的に使用される。しかし、本明細書で論述されるような荷電粒子配置に関連して、レンズアレイは、通常、静電的に動作するため、両凸形状を採用するいかなる物理的素子も必要としなくてよいことを理解されたい。以下に述べるように、レンズアレイは、代わりに、アパーチャを有する複数のプレートを含み得る。アパーチャを有する各プレートは、電極と呼ばれ得る。電極は、マルチビームのサブビームのサブビーム経路に沿って直列に設けられ得る。
【0040】
[0057] 電子源201は、電子を、集光レンズ231のアレイ(他に集光レンズアレイと呼ばれる)に向かって誘導する。電子源201は、望ましくは、輝度と全放出電流との間の良好な妥協点を有する高輝度の熱電界放出器である。何十、何百又は何千もの集光レンズ231が存在し得る。集光レンズ231は、多電極レンズを含み得、欧州特許出願公開第1602121A1号に基づく構造を有し得、この文献は、特に電子ビームを複数のサブビームに分割するためのレンズアレイ(このアレイは、サブビーム毎に1つのレンズを提供する)の開示に関して参照により本明細書に組み込まれる。集光レンズ231のアレイは、電極として機能する少なくとも2つ、好ましくは3つのプレートの形態を取り得、各プレートのアパーチャは、互いに位置合わせされ、サブビームの位置に対応する。プレートの少なくとも2つは、所望のレンズ効果を実現するために、動作中に異なる電位に維持される。集光レンズアレイのプレート間には、例えばセラミック又はガラスなどの絶縁材で製作される電気的絶縁プレートがあり、サブビーム毎に1つ又は複数のアパーチャを有する。プレートの1つ又は複数の代替配置は、それぞれが自らの電極を有するアパーチャであって、それぞれその周囲の周りに電極のアレイを有するか又は共通の電極を有するアパーチャの群として配置されるアパーチャを特徴とし得る。
【0041】
[0058] ある構成では、集光レンズ231のアレイは、3つのプレートアレイから形成され、これらのプレートアレイでは、荷電粒子は、各レンズに入るときと、各レンズを出るときとで同じエネルギーを有し、この構成は、アインツェルレンズと呼ばれ得る。従って、分散は、アインツェルレンズ自体の内部(レンズの入口電極と出口電極との間)でのみ生じ、それによりオフアクシス色収差が制限される。集光レンズの厚さが薄い場合、例えば数mmである場合、そのような収差の影響は、小さいか又は無視できる。
【0042】
[0059] アレイ内の各集光レンズは、電子を、それぞれの中間焦点233において集束されるそれぞれのサブビーム211、212、213内に導く。コリメータ又はコリメータのアレイは、それぞれの中間焦点233上で動作するように位置決めされ得る。コリメータは、中間焦点233に設けられる偏向器235の形態を取り得る。偏向器235は、主光線(ビーム軸とも呼ばれ得る)がサンプル208にほぼ垂直に(即ちサンプルの公称表面に対してほぼ90°で)入射することを確実にするために、効果的な量だけそれぞれのビームレット211、212、213を曲げるように構成される。
【0043】
[0060] 偏向器235の下(即ち電子源201のダウンビーム側又は電子源201からより遠く)には、各サブビーム211、212、213の制御レンズ251を含む制御レンズアレイ250が存在する。制御レンズアレイ250は、例えば、好ましくは電極と接触する絶縁プレートを有する、電極間のそれぞれの電位源に接触する2つ以上、好ましくは少なくとも3つのプレート電極アレイを含み得る。プレート電極アレイの各々は、制御電極と呼ばれ得る。制御レンズアレイ250の機能は、ビームの縮小率に関してビーム開角度を最適化すること及び/又は対物レンズ234に送達されるビームエネルギーを制御することであり、対物レンズ234の各々は、それぞれのサブビーム211、212、213をサンプル208上に導く。
【0044】
[0061] 任意選択的に、走査偏向器260のアレイは、制御レンズアレイ250と、対物レンズ234のアレイ(対物レンズアレイ)との間に設けられる。走査偏向器260のアレイは、サブビーム211、212、213毎に1つの走査偏向器261を含む。各走査偏向器は、それぞれのサブビーム211、212、213をサンプル208全体にわたって一方向又は二方向に走査するように、サブビームを一方向又は二方向に偏向させるように構成される。
【0045】
[0062] 検出器の検出器モジュール240は、サンプル208から放射された信号電子/粒子を検出するために対物レンズ234とサンプル208との間に設けられる。このような検出器モジュール240の例示的な構成が以下に説明される。検出器は、対物レンズアレイ又は更に制御レンズアレイの一次ビーム経路に沿ったアップビーム側に検出器素子を追加的又は代替的に有し得ることに留意されたい。
【0046】
[0063]
図4は、代替の電子光学コラム41’を有する例示的な電子ビームシステムの概略図である。電子光学コラム41’は、対物レンズアレイ241を含む。対物レンズアレイ241は、複数の対物レンズを含む。対物レンズアレイ241は、交換可能モジュールであり得る。簡潔さのために、上記で既に説明された電子ビームシステムの特徴は、ここでは繰り返されない場合がある。
【0047】
[0064]
図4に示すように、電子光学コラム41’は、電子源201を含む。電子源201は、荷電粒子(例えば、電子)のビームを提供する。サンプル208上に集束するマルチビームは、電子源201によって提供されるビームから導出される。サブビームは、例えば、ビーム制限アパーチャのアレイを画定するビーム制限器を使用することにより、ビームから導出され得る。ビームは、制御レンズアレイ250に当たると、サブビームに分離し得る。サブビームは、制御レンズアレイ250上の入射時にほぼ平行である。マルチビームのサブビームは、マルチビーム配置と呼ばれ得るパターンで配置され得る。パターンは、グリッドを形成し得る。グリッドは、六角形、直線、菱形又は正方形であり得る。示された例では、コリメータは、対物レンズアレイアセンブリのアップビーム側に設けられる。
【0048】
[0065] コリメータは、マクロコリメータ270を含み得る。マクロコリメータ270は、ビームがマルチビームに分割される前に電子源201からのビームに作用する。マクロコリメータ270は、ビームから導出されたサブビームの各サブビームのビーム軸がサンプル208にほぼ垂直に(即ちサンプル208の公称表面に対してほぼ90°で)入射することを確実にするために、効果的な量だけビームのそれぞれの部分を曲げる。マクロコリメータ270は、磁気レンズ及び/又は静電レンズを含む。別の構成(図示せず)では、マクロコリメータは、上側ビーム制限器のダウンビーム側に設けられるコリメータ素子アレイによって部分的又は全体的に置換され得る。
【0049】
[0066]
図4の電子光学コラム41’では、マクロ走査偏向器265は、サブビームにサンプル208全体にわたって走査させるために設けられる。マクロ走査偏向器265は、ビームのそれぞれの部分を偏向させて、サブビームにサンプル208全体にわたって走査させる。一実施形態では、マクロ走査偏向器265は、例えば、8極以上を有するマクロマルチ極偏向器を含む。偏向は、ビームから導出されたサブビームに一方向(例えば、X軸などの単一軸に平行な)又は二方向(例えば、X軸及びY軸などの2つの非平行軸に対して)でサンプル208全体にわたって走査させるような偏向である。マクロ走査偏向器265は、ビームの異なる個々の部分に作用するようにそれぞれ構成された偏向器素子のアレイを含むのではなく、ビームの全てに対してマクロ的に作用する。示された実施形態では、マクロ走査偏向器265は、マクロコリメータ270と制御レンズアレイ250との間に設けられる。別の構成(図示せず)では、マクロ走査偏向器265は、例えば、各サブビームの走査偏向器267として走査偏向器アレイによって部分的又は完全に置換され得る。他の実施形態では、マクロ走査偏向器265と走査偏向器アレイとの両方が設けられ得、同期して動作し得る。
【0050】
[0067] 幾つかの実施形態では、電子光学システム41は、上側ビーム制限器252を更に含む。上側ビーム制限器252は、ビーム制限アパーチャのアレイを画定する。上側ビーム制限器252は、上側ビーム制限アパーチャアレイ又はアップビーム側ビーム制限アパーチャアレイと呼ばれ得る。上側ビーム制限器252は、複数のアパーチャを有するプレート(板状体であり得る)を含み得る。上側ビーム制限器252は、電子源201によって発射された荷電粒子のビームからサブビームを形成する。サブビームの形成に寄与するもの以外のビームの部分は、ダウンビーム側のサブビームと干渉しないように、上側ビーム制限器252によって阻止(例えば、吸収)され得る。上側ビーム制限器252は、サブビーム画定アパーチャアレイと呼ばれ得る。
【0051】
[0068] 幾つかの実施形態では、
図4に例示するように、対物レンズアレイアセンブリ(対物レンズアレイ241を含むユニットである)は、ビーム整形制限器262を更に含む。ビーム整形制限器262は、ビーム制限アパーチャのアレイを画定する。ビーム整形制限器262は、下側ビーム制限器、下側ビーム制限アパーチャアレイ又は最終ビーム制限アパーチャアレイと呼ばれ得る。ビーム整形制限器262は、複数のアパーチャを有するプレート(板状体であり得る)を含み得る。ビーム整形制限器262は、制御レンズアレイ250の少なくとも1つの電極(任意選択的に全て電極)からダウンビーム側にあり得る。幾つかの実施形態では、ビーム整形制限器262は、対物レンズアレイ241の少なくとも1つの電極(任意選択的に全て電極)からダウンビーム側にある。一配置では、ビーム整形制限器262は、対物レンズアレイ241の電極と構造的に一体化され得る。望ましくは、ビーム整形制限器262は、低静電界強度の領域内に位置決めされる。ビーム制限アパーチャと対物レンズアレイとのアライメントは、対応する対物レンズからのサブビームの一部がビーム制限アパーチャを通過し、サンプル208に衝突し得るように行われ、その結果、ビーム整形制限器262に入射するサブビームの選択された部分のみがビーム制限アパーチャを通過する。
【0052】
[0069] 本明細書で説明される対物レンズアレイアセンブリの何れも検出器240を更に含み得る。検出器は、サンプル208から放射された電子を検出する。検出された電子は、サンプル208から放出される二次電子及び/又は後方散乱電子などの信号粒子を含む、SEMによって検出される電子の任意のものを含み得る。検出器240の例示的な構造は、
図6及び
図7を参照して以下でより詳細に説明される。
【0053】
[0070]
図5は、一実施形態による電子光学コラム41’’を含む電子ビームシステム40を概略的に描写する。上記で説明した特徴と同じ特徴は、同じ参照符号を付される。簡潔さのために、このような特徴は、
図5を参照して詳細に説明されない。例えば、電子源201、集光レンズ231、マクロコリメータ270、対物レンズアレイ241及びサンプル208は、上記で説明したようなものであり得る。
【0054】
[0071] 上記で説明したように、一実施形態では、検出器240は、対物レンズアレイ241とサンプル208との間にある。検出器240は、サンプル208に面し得る。代替的に、
図5に示すように、一実施形態では、複数の対物レンズを含む対物レンズアレイ241は、検出器240とサンプル208との間にある。
【0055】
[0072] 一実施形態では、偏向器アレイ95は、検出器240と対物レンズアレイ241との間にある。一実施形態では、偏向器アレイ95は、ウィーンフィルタアレイを含むため、ビーム分離器と呼ばれ得る。偏向器アレイ95は、サンプル208に投射された荷電粒子と、サンプル208から検出器240に向かう二次電子とを分離するための磁場を提供するように構成される。偏向器アレイ95は、走査偏向器として機能し得る。そのような走査偏向器は、サンプル208の評価中、サンプル表面に対してサブビームを走査し得る。
【0056】
[0073] 一実施形態では、検出器240は、荷電粒子のエネルギーを参照することにより、即ちバンドギャップに依存して信号粒子を検出するように構成される。このような検出器240は、間接電流検出器と呼ばれ得る。サンプル208から放出された二次電子は、電極間の電場からエネルギーを得る。二次電子は、検出器240に到達すると、十分なエネルギーを有する。異なる配置では、検出器240は、ウィーンフィルタに対して一次ビーム経路に沿ってアップビーム側に位置決めされるビーム間の例えば蛍光ストリップのシンチレータアレイであり得る。ウィーンフィルタアレイ(一次ビーム経路に対して直角な磁気ストリップ及び静電気ストリップの)を通過する一次ビームは、ウィーンフィルタアレイのほぼ平行なアップビーム側及びダウンビーム側に経路を有する一方、サンプルからの信号電子は、シンチレータアレイに向かってウィーンフィルタアレイによって導かれる。生成された光子は、光子輸送ユニット(例えば、光ファイバのアレイ)を介して、光子の検出に応じて検出信号を生成するリモート光検出器に導かれる。
【0057】
[0074] 任意の実施形態の対物レンズアレイ241は、アパーチャアレイが画定される少なくとも2つの電極を含み得る。換言すれば、対物レンズアレイは、複数の穴又はアパーチャを有する少なくとも2つの電極を含む。
図5は、それぞれのアパーチャアレイ245、246を有する例示的な対物レンズアレイ241の一部である電極242、243を示す。電極内の各アパーチャの位置は、別の電極内の対応するアパーチャの位置に対応する。対応するアパーチャは、使用時、マルチビーム内の同じビーム、サブビーム又は一群のビーム対して作用する。換言すれば、少なくとも2つの電極内の対応するアパーチャは、サブビーム経路、即ちサブビーム経路220の1つと位置合わせされ、及びそれに沿って配置される。従って、電極は、それぞれのサブビーム211、212、213がその中を伝播するアパーチャをそれぞれ備える。
【0058】
[0075] 対物レンズアレイ241は、
図6に示すように2つの電極若しくは3つの電極を含み得るか又はより多くの電極(図示せず)を有し得る。2つの電極のみを有する対物レンズアレイ241では、より多くの電極を有する対物レンズアレイ241よりも収差が小さくてよい。3電極対物レンズでは、電極間の電位差をより大きくすることができるため、より強力なレンズが可能になる。追加的な電極(即ち3つ以上の電極)により、例えば入射ビームに加えて二次電子も集束させるために、電子の軌道を制御する際の更なる自由度がもたらされる。アインツェルレンズにわたる2電極レンズの利点は、入ってくるビームのエネルギーが、出ていくビームと必ずしも同じではないことである。そのような2電極レンズアレイに関する電位差は、それが加速又は減速レンズアレイの何れかとして機能することを有利に可能にする。
【0059】
[0076] 対物レンズアレイ241の隣接する電極は、サブビーム経路に沿って互いに離間される。絶縁構造が以下に述べるように配置され得る、隣接する電極間の距離は、対物レンズアレイの対物レンズより大きい。
【0060】
[0077] 好ましくは、対物レンズアレイ241内に設けられる電極のそれぞれは、プレートである。電極は、他に平坦シートとして記述され得る。好ましくは、電極のそれぞれは、平坦である。換言すれば、電極のそれぞれは、好ましくは、プレートの形態の薄い平坦プレートとして提供される。当然のことながら、電極は、平坦である必要はない。例えば、電極は、高静電界に起因する力に起因して撓み得る。既知の製作方法が使用され得るため、平坦電極は、電極の製造をより容易にすることから、平坦電極を提供することが好ましい。平坦電極はまた、様々な電極間のアパーチャのより正確なアライメントを提供し得るため、好ましい場合がある。
【0061】
[0078] 対物レンズアレイ241は、10を超える倍率、望ましくは50~100以上の範囲の倍率だけ荷電粒子ビームを縮小するように構成され得る。
【0062】
[0079] 検出器240は、サンプル208から放出された信号粒子、即ち二次荷電粒子及び/又は後方散乱荷電粒子を検出するために設けられる。検出器240は、対物レンズ234とサンプル208との間に位置決めされる。信号粒子の方向に応じて、検出器は、検出信号を生成する。検出器240は、他に検出器アレイ又はセンサアレイと呼ばれ得、用語「検出器」及び「センサ」は、本願全体にわたって交換可能に使用される。
【0063】
[0080] 電子光学システム41の電子光学デバイスが提供され得る。電子光学デバイスは、電子ビームをサンプル208に向かって投射するように構成される。電子光学デバイスは、対物レンズアレイ241を含み得る。電子光学デバイスは、検出器240を含み得る。対物レンズのアレイ(即ち対物レンズアレイ241)は、検出器(即ち検出器240)のアレイに対応し得、及び/又はビーム(即ちサブビーム)の任意のビームに対応し得る。
【0064】
[0081] 例示的な検出器240が以下に説明される。しかし、検出器240の任意の参照は、必要に応じて単一の検出器(即ち少なくとも1つの検出器)又は複数の検出器であり得る。検出器240は、検出器素子405(例えば、捕捉電極などのセンサ素子)を含み得る。検出器240は、任意の適切なタイプの検出器を含み得る。例えば、電子電荷を例えば直接検出するための捕捉用電極、シンチレータ又はPIN素子が使用され得る。検出器240は、直接電流検出器又は間接電流検出器であり得る。検出器240は、
図7に関して以下に説明されるような検出器であり得る。
【0065】
[0082] 検出器240は、対物レンズアレイ241とサンプル208との間に位置決めされ得る。検出器240は、サンプル208に近接するように構成される。検出器240は、サンプル208に非常に近接し得る。代替的に、検出器240からサンプル208まで大きい間隙が存在し得る。検出器240は、サンプル208に面するようにデバイス内に位置決めされ得る。代替的に、検出器240は、検出器ではない電子光学デバイスの一部がサンプル208に面するように電子光学システム41内の他の箇所に位置決めされ得る。
【0066】
[0083]
図7は、それぞれビームアパーチャ406を取り囲む複数の検出器素子405が設けられる基板404を含む検出器240の底面図である。ビームアパーチャ406は、基板404をエッチングすることによって形成され得る。
図7に示される配置では、ビームアパーチャ406は、六角形最密アレイで配置される。ビームアパーチャ406は、例えば、矩形又は菱形アレイで異なって配置することもできる。
図7の六角形配置のビーム装置は、正方形ビーム配置より密に詰め込まれ得る。検出器素子405は、矩形アレイ又は六角形アレイで配置され得る。ビームアパーチャは、基板404に向かうサブビームのマルチビーム配置に対応し得る。
【0067】
[0084] 捕捉電極405は、検出器モジュール240の一番下、即ちサンプルの最も近くに表面を形成する。シリコン基板404の捕捉電極405と本体との間に論理層が設けられる。論理層は、増幅器、例えばトランスインピーダンス増幅器、アナログ/デジタル変換器及び読み出し論理を含み得る。一実施形態では、捕捉電極405毎に1つの増幅器及び1つのアナログ/デジタル変換器が存在する。これらの素子を特徴とする回路は、アパーチャに関連付けられたセルと呼ばれる単位エリア内に含まれ得る。検出器モデル240は、それぞれアパーチャに関連付けられた幾つかのセルを有し得る。基板内又は基板上には、論理層に接続される配線層であって、各セルの論理層を例えば電力線、制御線及びデータ線を介して外部に接続する配線層がある。上記で説明された集積化検出器モジュール240は、二次電子捕捉が一連の着地エネルギーに関して最適化され得るため、調整可能着地エネルギーを有するシステムと共に使用されると特に有利である。アレイの形態の検出器モジュールは、最下電極アレイだけでなく、他の電極アレイにも一体化され得る。このような検出器モジュールは、例えば、対物レンズの最ダウンビーム側表面の上方における、シンチレータ又は半導体検出器、例えばPIN検出器である検出器を特徴とし得る。このような検出器モジュールは、電流検出器を含む検出器モジュールと同様の回路アーキテクチャを特徴とし得る。対物レンズに一体化される検出器モジュールの更なる詳細及び代替配置は、少なくとも検出器モジュールの詳細に関する限り、参照により本明細書に援用される欧州特許出願公開第20184160.8号及び欧州特許出願公開第20217152.6号に見出され得る。
【0068】
[0085] 検出器は、複数の部分、具体的には複数の検出部分を備え得る。複数の部分を含む検出器は、サブビーム211、212、213の1つに関連付けられ得る。従って、1つの検出器240の複数の部分は、一次ビーム(他にサブビーム211、212、213と呼ばれ得る)の1つに関連してサンプル208から放射された信号粒子を検出するように構成され得る。換言すれば、複数の部分を含む検出器は、対物レンズアセンブリの電極の少なくとも1つの電極内のアパーチャの1つに関連付けられ得る。より具体的には、複数の部分を含む検出器405は、単一のアパーチャ406の周囲に配置され得、これは、このような検出器の一例を提供する。述べられたように、検出器モジュールからの検出信号は、画像を生成するために使用される。複数の検出部分により、検出信号は、データセットとして又は検出画像内で処理され得る様々な検出信号からの成分を含む。
【0069】
[0086] 一実施形態では、対物レンズアレイ241は、それ自体が交換可能モジュールであるか、又は制御レンズアレイ及び/又は検出器アレイなどの他の素子と組み合わせた交換可能モジュールであるかの何れかである。交換可能モジュールは、現場で交換可能であり得、即ちフィールドエンジニアによって新しいモジュールと交換され得る。一実施形態では、複数の交換可能モジュールは、システム内に含まれ、従って電子ビームシステムを開けることなく動作可能位置と動作不能位置との間で交換され得る。
【0070】
[0087] 幾つかの実施形態では、サブビーム内の1つ又は複数の収差を低減する1つ又は複数の収差補正器が提供される。中間焦点(又は中間像面)において又はそれに直接隣接して位置決めされる収差補正器は、電子源201を補正して、電子源201が異なるビームに関して異なる位置にあるように見えるようにする偏向器を含み得る。補正器は、各サブビームと、対応する対物レンズとの間の良好なアライメントを妨げる、放射源に起因するマクロ収差を補正するために使用され得る。収差補正器は、適切なコラムアライメントを妨げる収差を補正し得る。収差補正器は、欧州特許出願公開第2702595A1号に開示されたCMOSベースの個別のプログラム可能な偏向器又は欧州特許出願公開第2715768A2号に開示された複数の偏向器のアレイであり得、両方の特許文献内のビームレットマニュピレータの説明は、参照により本明細書に援用される。収差補正器は、像面湾曲、焦点誤差及び非点収差の1つ又は複数を低減し得る。
【0071】
[0088] 荷電粒子評価システム、例えば電子ビームシステム40から出力された画像(画像データセットによって表され得る)は、自動的に処理されて、評価中のサンプル208における欠陥を検出し得る。画像データセット(画像と呼ばれることもある)は、データ点を含み得る。データ点は、画素と呼ばれることもある。画素の領域は、クリップと呼ぶことができる画像である。画素の領域は、潜在的な欠陥として識別された画素又は画素群を囲み得る。荷電粒子評価システムによって生成される画像における欠陥を検出するための一例のデータ処理デバイス500を
図8に示す。データ処理デバイス500は、コントローラ50の一部であり得るか、組立て工場における別のコンピュータの一部であり得るか、又は荷電粒子評価デバイスにおける他の箇所に統合され得る。
図8を参照して示され、説明されるデータ処理デバイス500のコンポーネントの構成は、例示であり、荷電粒子評価システムによって生成される画像に対して動作するデータプロセッサの機能の説明を補助するために提供されることに留意されたい。本明細書に記載のデータ処理デバイス500の機能を達成することが可能である、データプロセッサの技術分野の当業者によって考えられる任意の実現可能な構成が使用され得る。
【0072】
[0089] 幾つかの実施形態では、データ処理デバイス500は、荷電粒子評価システム40からのサンプル画像を受信し、フィルタリングするフィルタモジュール501と、ソース画像に基づいて基準画像を生成する基準画像生成器503と、フィルタリングされたサンプル画像と基準画像とを比較する比較器502と、比較の結果を処理し、出力する出力モジュール504とを含む。
【0073】
[0090] フィルタモジュール501は、所定のサイズのフィルタ、例えば均一フィルタをサンプル画像に適用する。均一フィルタを適用することは、サンプル画像を均一カーネルによって畳み込むことを含む。均一カーネルのサイズは、例えば、サンプル上のフィーチャのサイズ、検出される欠陥のサイズ、荷電粒子評価デバイスの解像度、画像内の雑音の量及び感度と選択性との間の望ましい妥協点に基づいて、所与のサンプルの検査に向けて例えばユーザによって判断される。数学的均一フィルタからの偏差が許容可能である。例えば、コーナフィルタは、それらの画素を、過度にではなく、若干過剰に重み付けするであろう値を有し得る。非均一フィルタ、例えばガウシアンフィルタは、好適なカーネルとの畳み込みによって好都合に実装され得る。フィルタモジュール501は、特に所定のサイズの均一フィルタを適用するように構成された場合、専用ハードウェア、例えばFPGA又はASICによって好都合に実装される。
【0074】
[0091] 基準画像生成器503は、それぞれ基準画像の生成に対する異なる手法を表す1つ又は複数のモードで動作可能であり得る。
【0075】
[0092] ライブラリモードでは、基準画像生成器503は、現在評価されているパターンと名目上同じパターンの、以前の走査から取得された多数のソース画像を平均化する。このような画像は、サンプルの同じバッチ内で以前に生成されるか又は前のバッチ内のサンプルから生成され得る。ライブラリ画像は、試験サンプル又は生産サンプルから導出され得る。平均化前に、画像は、望ましくは、互いにアライメントされる。基準画像を生成するためにソース画像を平均化することは、雑音を低減する効果がある。ソース画像をこのように平均化することは、ソース画像内で可視であり得るいかなる欠陥も平均化して除去する。
【0076】
[0093] 検査されているパターンが繰り返しパターンである場合、ソース画像の複数のシフトバージョンを平均化することによって基準画像を生成することが可能である。単位セルの何れかの寸法又は両方の寸法が画素の整数に等しくない場合、シフト量は、最も近い画素に丸められ得るか、又は分数画素シフトは、補間、例えば線形若しくは双3次補間などの3次元補間又は任意の他の既知の補間技術によって実施され得る。別の可能性は、その倍数が整数の画素となるように繰り返しパターンのピッチの倍数だけシフトすることである。事実上、単位セルの複数のインスタンスがソース画像から抽出され、平均化される。この手法は、アレイモード、より具体的にはアレイモードのための基準画像の提供の一例として参照され得る。
【0077】
[0094] ダイツーダイモードでは、マルチコラム荷電粒子評価デバイスの3つのコラムがサンプル画像及び2つの基準画像を生成するために使用され得る。画像アライナは、必要に応じて画像が基準画像生成器503及びフィルタモジュール501に供給される前に画像をアライメントするために設けられる。この配置は、コラムが、次に、対応するパターンフィーチャを同時に自動的に走査するため、コラム間の間隔が検査中のサンプルのダイサイズに等しい場合に特に効率的である。コラム間隔とダイサイズとの間に差がある場合、データ処理デバイスへの画像入力のタイミングを補正するためにバッファが採用され得る。
【0078】
[0095] ダイツーダイモードの代替的な変形形態では、同じビーム(マルチコラムシステムの場合には同じ列の)がサンプル画像及び2つの基準画像を生成するために使用される。これは、列間補正及びビーム間補正が必要とされず(例えば、そのビーム又は各ビームに理想的なビーム位置に対するビームの相対位置の補正)、データのルーティングが単純化され得るという利点を有する。同じビームを使用することで、比較される様々な走査のビーム間の較正、例えばオフセットの評価を回避する。同じビームを使用することは、ビームが理想ビーム位置に対してオフセットを有し得るが、比較データが走査から回収された場合の補正のためのいかなる位置オフセットも存在しないことを意味する。しかし、データバッファリングの必要性は、例えば、異なるダイからのデータの比較の開始前にバッファされるデータの量でなくても頻度の点で増大され得る。
【0079】
[0096] 例えば、シングルコラムシステムの単一のコラムを使用するアレイモードの代替的なバージョンは、ソース画像としてそれ自体の2つのシフトバージョンから導出された基準画像に対して比較されるサンプル画像を提供する。バッファは、シフトされた画像を提供するために使用され得る。
【0080】
[0097] 特に、ソース画像と同時に取得される少数のソース画像から基準画像が導出される場合、ソース画像及び/又は基準画像に均一フィルタを適用することも可能であることに留意されたい。
【0081】
[0098]
図8を再び参照すると、比較器502は、2つの値を比較することができる任意の論理回路、例えばXORゲート、減算器であり得る。比較器502は、専用ハードウェア、例えばFPGA、ASICによる実装にも好適である。望ましくは、比較器502は、フィルタモジュール501と同じ専用ハードウェア上で実装される。
【0082】
[0099] 幾つかの場合、基準画像生成器503は、特に基準画像が少数、例えば2つのソース画像から生成されるモードでのみ基準画像生成器が動作する場合、専用ハードウェア内にも実装され得る。この場合、基準画像生成器は、比較器及び/又はフィルタモジュールと同じ専用ハードウェア内に実装されることが望ましい。ソース画像の画素を平均化し、サンプル画像の画素と比較する数学的演算は、好適な事例では、単一の論理回路に合成され得る。
【0083】
[0100] 出力モジュール504は、比較器502によって出力された結果を受信し、ユーザ又は他の工場システムへの出力を作製する。出力は、幾つかの様々な形態の何れかであり得る。最も簡単な選択肢では、出力は、単純にサンプルが欠陥を有するか又は有しないという指標であり得る。しかし、ほぼ全てのサンプルは、少なくとも1つの潜在的な欠陥を有するため、より詳細な情報が望ましい。出力は、例えば、欠陥場所のマップ、差画像及び/又はサンプル画像と基準画像との差異の大きさによって表される潜在的な欠陥の重大度に関する情報を含み得る。出力モジュール504は、例えば、サンプル画像と基準画像との差異の大きさが閾値より大きいか、又は差異を示す画素の密度が閾値より高い欠陥場所のみを出力することにより、潜在的な欠陥もフィルタリングし得る。別の可能性は、差異の大きさによって示される所定の数の最も深刻な欠陥部位のみを出力することである。これは、欠陥部位をバッファ510内に格納することにより、バッファが一杯であるとき、より大きい大きさの欠陥が検出される場合に最も小さい大きさの欠陥を上書きすることによって行われ得る。
【0084】
[0101] データセットとして欠陥情報を出力するための任意の好適なフォーマット、例えばリスト又はマップが使用され得る。望ましくは、出力モジュール504は、クリップを出力し得る。クリップは、サンプル表面の一部の画像又は潜在的な欠陥を表す画素の領域の画像である。これは、潜在的な欠陥を更に調べて、クリップが欠陥を表すか否かを判断できるようにする。即ち、欠陥は、実際には、不便な信号ではない。クリップの処理は、欠陥がサンプル上に形成されるか若しくは形成される可能性があるか、又は存在するか若しくは存在する可能性があるデバイス構造の動作に影響するのに十分に重大であるか否かを判断し得る。ソース画像の残り、即ちクリップとして保存されない部分は、データストレージ及びデータ転送要件を守るために回避するように破棄され得る。
【0085】
[0102]
図9は、荷電粒子のサブビームのマルチビームを使用してサンプル208を処理する方法の枠組み(又はプロセスの流れ)を示す。方法は、荷電粒子評価システムを使用して実施することができる。これに関連して、「サンプルの処理」は、荷電粒子ビーム及びサンプル208の表面の相対走査、通常、サンプル表面にわたる荷電粒子ビームの走査を意味することが意図される。走査は、例えば、例として偏向器による荷電粒子ビームの電子光学的作動及び/又は例として作動可能ステージによる荷電粒子ビームの経路に対するサンプルの相対移動であり得る。評価システムでは、処理は、サンプルからの信号電子を検出することを含み得る。信号電子は、サンプル及び荷電粒子ビームの相対走査に応答して生成される。
【0086】
[0103] 荷電粒子評価システムは、サンプルサポートを含み得る。サンプルサポートは、サンプル208を支持する。サンプル208は、サンプル表面を有する。サンプルサポートは、ステージ209を含み得るか又はそれからなり得る。ステージ209は、
図1~
図7を参照して上述した形態の何れかを取り得る。ステージ209は、例えば、サンプルホルダ207を介してサンプル208を支持し得る。サンプルサポートは、サンプル208とコラムとの間に相対移動を提供するように構成され得る。サンプルサポートは、例えば、電動ステージ209を含み得る。
【0087】
[0104] 荷電粒子評価システムは、荷電粒子デバイスを含み得る。荷電粒子デバイスは、1つの電子光学コラム又は更に複数のコラム、例えばマルチコラムを含み得るか又はそれからなり得る。荷電粒子デバイスは、マルチビームをサンプル表面上に投影する。マルチビームは、マルチビーム構成と呼ばれ得る。荷電粒子デバイスは、
図1~
図7を参照して上述したものなど、電子光学コラムの任意の好適な形態を取り得る。複数のコラムを有する構成では、コラムは、上記の実施形態又は態様の何れかに記載される電子光学システム41を含み得る。複数のコラム(又はマルチコラムシステム)として、デバイスは、2~100列又はそれを超える数の列を有し得るアレイに配置され得る。
【0088】
[0105] 方法は、
図9のステップS1~S5を順に実施することを含む。方法は、
図9のステップS6及びS7を順に実施することも含む。幾つかの実施形態では、荷電粒子評価システムは、システムにステップを実施させるコントローラ50を含む。コントローラ50は、
図1及び
図2を参照して上述した形態の何れか又は他の形態を取り得る。コントローラ50は、方法を実施するように少なくともサンプルサポート及び荷電粒子デバイス(例えば、コラム)を制御するように構成され得る。コントローラ50は、分散サブコントローラの形態を取り得る。例えば、コントローラ50は、所望の機能提供に必要なデータ処理ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア及び/又はコンピュータ制御されるアクチュエータ、センサなどの任意の好適な組合せを含み得る。
【0089】
[0106] ステップS1では、マルチビームの単一のサブビーム例について
図10に例示されるように、サンプルサポートは、第1の方向に平行な方向に(例えば、
図10に示される水平経路721の1つに沿って)サンプル208を移動させるために使用される。サンプル208の移動は、マルチビームの経路(例えば、静電偏向に起因するサブビームの経路の変動を無視して、マルチビームの全体経路)に対しての移動であると見なすことができる。この移動中、荷電粒子デバイスが使用されて、第1の方向と異なる第2の方向に平行な方向に(例えば、
図10に示される垂直経路722に沿って)マルチビームをサンプル表面に対して繰り返し移動する。サンプル表面のそうした走査、例えば処理により、細長い領域724が走査される。サブビームによるサンプル208の表面の細長い領域724の走査は、連続している。荷電粒子デバイスは、例えば、ステップS1において、サンプル表面に対するマルチビームの移動を実施するように構成された静電偏向器を含み得る。偏向器は、
図3~
図7を参照して上述した形態の何れかを取り得る。偏向器は、
図3に例示される走査偏向器260、267のアレイ、
図4に例示されるマクロ走査偏向器265又は
図5に例示される偏向器アレイ95として実装され得る。荷電粒子デバイスによって提供される、サンプル表面に対するマルチビームの移動の成分は、マルチビーム及び/又はサブビームの静電走査と呼ぶことができる。幾つかの実施形態では、偏向器(例えば、偏向器260、265、267及び95)は、サンプル208の比較的近くに位置する。その結果として、偏向器が動作するレバレッジ(又はビーム経路の長さ)は、サンプル208の規模と比べて小さい。走査偏向器がサンプルからより長い距離にあり、従ってより大きいレバレッジを有する他の設計の走査偏向器も既知である。レバレッジが小さいほど、許容可能な閾値を超える収差を導入することなくサブビームを走査することができるサンプル208上の走査距離が短くなる。0.5μm又は2.0μmの走査距離の場合、許容不可能閾値は、約10パーセント以上であり得る。
【0090】
[0107] サンプルサポートによるサンプル208の移動と静電走査(渦電粒子デバイスによるサンプル表面に対するマルチビームの移動)との組合せは、それぞれ第1の方向に平行な方向において及び第2の方向に平行な方向において繰り返し各サブビームを走査して、サンプル表面上の細長い領域724を処理する。各サブビームは、異なる細長い領域724の各々を同時に処理し得る。異なる細長い領域724の各々は、処理エリア740と呼ぶことができる、マルチビーム構成の異なるサブビームに割り当てられたサンプルの異なる部分の各々のものである。従って、マルチビームは、マルチビーム中の複数のサブビームに対応する複数の細長い領域724を同時に処理することができる。処理は、荷電粒子をサンプル208から放出させることを含み得る。放出された荷電粒子は、検出され、各細長い領域724におけるサンプル表面についての情報を特定するために使用され得る。放出された荷電粒子は、例えば、処理された細長い領域724の画像を取得するために使用され得る。画像は、画像データセットによって表すことができる。異なる画像における公称的に同一のパターンを互いに比較して欠陥を検出し得る。
【0091】
[0108] 経路721及び722並びに細長い領域724は、図において見えるように、
図10で概略的に示されている。実際には、経路721及び722の間隔は、より密であり、はるかに多く、例えば20~1000の細長い領域724が処理されることになる。静電偏向器の利用可能な範囲によって画定され得る細長い領域724の幅は、典型的には、0.2~5.0μmの範囲、例えば0.5~2.0μmの範囲であり得る。マルチビーム中のサブビームのピッチによって画定され得る領域724の長さは、典型的には、50~500μmの範囲であり得る。サブビームによって走査されるサンプルの表面の異なる細長い領域724は、一緒に処理領域740を画定する。従って、サブビームによる処理エリア740の走査、従って処理は、不連続である。
【0092】
[0109]
図10の例では、第1及び第2の方向は、水平及び垂直である(ページの平面において)。従って、第1及び第2の方向は、この例では互いに垂直である。従って、連続移動(例えば、経路721に沿った)であり得るマルチビームに対するサンプル表面の移動は、荷電粒子デバイスによって提供されるマルチビームとサンプルとの間の相対移動に直交する方向(例えば、サブビームの静電走査の方向)であり得る。他の実施形態では、第1及び第2の方向は、互いに対して斜めである。
【0093】
[0110] 移動は、経路721の長さに沿って連続することに留意されたい。経路721の長さは、細長い領域724の長さに対応する(即ち細長い領域724の長さと同じである)。経路721の長さは、細長い領域724の長尺方向におけるサブビーム間のピッチである。経路の長さを超えて又は経路の長さよりも遠く、細長い領域724の経路721の方向においてサブビームピッチよりも長くなると、移動は、不連続である。これは、細長い領域724の一端部で走査されるサンプルの領域(サブビームがマルチビーム構成のサイドを画定する場合)又は両端部における領域(サブビームがマルチビーム構成において2つの他のサブビーム間にある場合)が隣接する各サブビームによってそれぞれ走査されるためである。
【0094】
[0111] 時間に伴い、サブビームの性質及びサブビームに対して動作する電子光学コンポーネントが変動する。この変動は、ドリフトと呼ぶことができる。従って、サブビームの性質及び偏向器アレイの偏向器などの電子光学コンポーネントの強度の変動が生じ得る。サブビームの電子光学的性質及び偏向器アレイの偏向器(各偏向器は、異なるサブビームに対して動作し得るため、サブビーム偏向器と呼ぶことができる)の強度のドリフトは、各サブビームが入射するサンプルの表面上の位置の変動に繋がり得る。電子などの荷電粒子は、衝突時に表面に熱を与える。従って、サブビームは、熱負荷をサンプル208の表面に与える。そのような与えられた熱負荷は、サンプルの表面の熱膨張などの歪みを生じさせ得る。従って、熱の付与は、サンプル表面上のサブビームの入射場所の不確実性を高める。サンプル表面に付与された熱負荷は、サンプル及びサブビームの相対位置の経時ドリフトの一因になり得る。マルチビーム構成によるサンプル表面の局所加熱(又はマルチビームが入射するサンプル表面のフットプリント)及び瞬間における細長い領域への各サブビームの局在性に鑑みて、付与される熱負荷は、非均一である。サンプル表面の膨張は、マルチビームの全てのサブビームで共通ではない。各細長い領域に関する各サブビームの位置精度への、異なるソースの1つ以上からのドリフトの影響は、大きすぎるため、各サブビームは、サンプル表面の細長い領域を確実に走査することができない。
【0095】
[0112] 本開示の実施形態では、サンプル表面に関するサブビームの位置精度に対するドリフトの影響を軽減して、マルチビーム構成の各サブビームによる処理エリアの走査及び処理を改善できるようにする様々な戦略が提案される。
【0096】
[0113] 一実施形態では、サンプルサポートによるサンプル208の移動と静電走査(荷電粒子デバイスによるサンプル表面に対するマルチビームの移動)との組合せは、それぞれ第1の方向に平行な方向において及び第2の方向に平行な方向において繰り返し各サブビームを走査して、細長い領域724の全体ではなく、サンプル表面上の細長い領域724のセクション730のみを処理する。
【0097】
[0114] 例えば、サンプルサポート及び荷電粒子デバイスを有する荷電粒子評価システムが提供され得る。荷電粒子デバイスは、荷電粒子のサブビームのマルチビームをサンプル表面上に向ける。サンプル表面の一部は、サンプル表面に面する荷電粒子デバイスのマルチビーム出力領域に対応する。システムは、一部がマルチビームのサブビームによって走査されるように、サンプルサポート及び荷電粒子デバイスを制御する。一部の下位部分が各サブビームに割り当てられる。サンプルサポートは、第1の方向に対して斜めの又は垂直な方向にサンプル208を連続ステップで変位させる。各ステップにおいて、サンプル208は、第1の方向に平行な方向に移動し、それにより、各ステップでは、各サブビームは、第1の方向に平行な方向において、対応する下位部分のセクション730(例えば、細長い領域724のセクション730)を走査する。対応する下位部分は、第1の方向に平行な方向に複数のセクション730を含む。複数のセクション730は、細長い領域724を形成する。荷電粒子デバイスは、第1の方向に平行な方向におけるサンプル208の移動中、第2の方向に平行な方向にサンプル表面にわたってマルチビームを繰り返し走査する。次に、更なるセクション730が走査される。更なるセクション730は、第1の方向に平行な方向において下位部分に沿った(例えば、セクション730の同じ行における)複数のセクション730であり得るか、又は続く連続ステップのものであり得る(例えば、セクション730の異なる行における)。
【0098】
[0115] そのような縮小エリア(即ち細長い領域724の全体ではなく、セクション730)の走査により、例えば以下で説明するようにドリフトの影響を小さくすることができる。セクション730のレイアウトについて、
図13を参照して以下で更に詳述する。各サブビームは、異なる各細長い領域724のセクション730を処理することができる。従って、マルチビームは、マルチビーム中の複数のサブビームに対応する細長い領域724の複数のセクション730を同時に処理することができる。処理は、荷電粒子をサンプル208から放出させることを含み得る。放出された荷電粒子は、検出され、各セクション730におけるサンプル表面についての情報を特定するために使用され得る。放出された荷電粒子は、例えば、セクション730の画像の取得に使用され得る。画像は、画像データセットによって表すことができる。異なる画像における公称的に同一のパターンを互いに比較して欠陥を検出し得る。
【0099】
[0116]
図10における細長い領域724を隣接構成におけるセクション730と見なして、長尺方向に垂直な方向における細長い領域724の隣接するセクション730を
図10に示し得る。同じコメント、例えば経路721及び722並びに細長い領域724(これに関連してセクション730に対応する)は、図において見えるように、
図10で概略的に示されていること、はるかに多く、例えば20~1000のセクション730が処理されるように、経路721及び722の間隔は、より密であること、静電偏向器の利用可能な範囲によって画定され得るセクション730の幅は、典型的には、0.2~5.0μmの範囲、例えば0.5~2.0μmの範囲であり得ること、及びマルチビーム中のサブビームのピッチによって画定され得るセクション730の長さは、典型的には、50~500μmの割合であり得ることが当てはまる。サブビームによって走査されるサンプルの表面の異なるセクション730は、一緒に経路721の方向における細長い領域724、列737内のセクション730間の相対移動の方向における列737(
図13も参照されたい)を画定し、全ての細長い領域724の全てのセクション730の走査、従って処理は、処理エリア740を画定する。従って、サブビームによるコラム内及び細長い領域724内のセクション730の走査は、不連続である。
【0100】
[0117] 方法が、以下で考察する
図13及び
図14に示されるように、セクション730の行及びセクション730の列のアレイに配置されたセクション730を処理する場合、各セクション730は、荷電粒子デバイスを使用しながら、行に平行な方向にサンプルを移動させて、行に対して斜めの又は垂直な方向においてマルチビームをサンプル表面に対して繰り返し移動することによって処理され得る。望ましくは、行に対して斜めの又は垂直な方向は、セクション730のアレイの列に平行な方向である。
【0101】
[0118] 各サブビームは、各細長い領域724のセクション730を走査する。各細長い領域724は、第1の方向における、マルチビーム中のサブビームの、サンプル表面でのピッチに実質的に等しい長さを有し得る。各細長い領域724は、セクション730の少なくとも2つを含み得る。一構成では、2つのセクション730は、同様のサイズであり、代替的に、セクション730は、異なるサイズである。例えば、あるセクション730は、セクション730の別のセクションよりも大きい係数であり得る。セクション730は、サブビームのサンプル表面でのピッチの半分よりも大きい大きさであり得る。
【0102】
[0119] 従って、例えば、セクション730が同様の長さである場合、ステップS1におけるサンプル208の移動の距離は、実質的に、第1の方向における、マルチビーム中のサブビームの、サンプル表面でのピッチの2分の1以下であり得る。ステップS1における限られた移動により、ステップS1~S5又はS1~S7に従ってステップS1が複数回実施された後でも、各サブビームが、サンプル表面上のそれ自体に割り当てられた領域におけるサンプル表面を主に又は専ら処理することが保証される。後述するように、割り当てられた各領域は、サブビーム処理エリア740、サブビーム処理可能エリア又はマルチビーム(マルチビーム構成)の視野に対応するサンプル表面の一部の下位部分(サブビームに割り当てられる)と呼ばれ得る。サブビームに割り当てられた領域は、サブビームの視野と呼ばれることもある。サブビーム処理エリア740は、複数の細長い領域724を含み得、各細長い領域724は、第1の方向においてサブビーム処理エリア740にわたって延びる。複数の細長い領域724は、一緒にサブビーム処理エリア740のサンプル表面のエリアを含むか又はそれからなるエリアを有し得る。細長い領域724は、第1の方向に対して斜めの又は垂直な方向において同様の寸法であり得る。
【0103】
[0120] サブビーム処理エリア740の組合せは、例えば、サンプル表面上の荷電粒子デバイスのフットプリント、荷電粒子デバイスの視野又はマルチビーム若しくはマルチビーム構成の視野と呼ばれ得る。サンプル表面上のフットプリントにわたるサブビームの走査は、マルチビーム構成の全てのサブビームによる連続走査の限界を画定し、各サブビームは、フットプリント内のサンプル表面の各サブビーム処理エリアを走査する。サンプル表面を更に走査するには、不連続走査が必要である。サンプルは、サブビームがサンプル表面の新しいフットプリント内の各サブビーム処理エリアを走査することができるように、マルチビーム構成の経路に対して移動する。サンプル表面の新しいフットプリントは、サンプル表面の前のフットプリントに隣接し得、それにより不連続走査によって連続表面を走査、従って処理することができる。
【0104】
[0121] 1つのサブビームによって処理されるセクション730又は細長い領域724は、近隣のサブビームによって処理されるいかなるセクション730又は細長い領域724とも全く又は過度に重ならない。幾つかの実施形態では、ステップS1におけるサンプルの移動の距離は、第1の方向における、マルチビーム中のサブビームの、サンプル表面でのピッチを整数、任意選択的に3、任意選択的に4、任意選択的に5、任意選択的に6、任意選択的に8、任意選択的に10以上で除したものに実質的に等しい。細長い領域724の全体は、ステップS1を繰り返し実施して、細長い領域724を埋めるのに必要な数のセクション730を処理することによって処理され得る。セクション730及び細長い領域724のジオメトリ例について、
図13及び
図14を参照して以下で更に詳述する。
【0105】
[0122]
図11及び
図12は、マルチビームにおけるサブビームのグリッドのジオメトリ(サブビームのグリッド位置702によって画定される)と、
図9の方法のステップS1~S5を実施することによって取得されるサブビーム処理エリア740のジオメトリとの関係の一例を示す。各サブビーム処理エリア740は、セクション730の行及びセクション730の列を含むセクション730のアレイによって形成され得る。アレイは、典型的には、矩形又は正方形である。アレイは、平行四辺形又は菱形などの他の形態を有し得る。サブビーム処理エリア740は、異なるサブビームによって一緒に走査され、従ってサンプル208の表面の不連続走査領域を画定する。サンプル208の表面のフットプリントは、サンプル208の表面の不連続走査部分であると見なすことができる。
【0106】
[0123]
図11及び
図12の例は、サブビームのグリッドの対称性がサブビーム処理エリア740の対称性と同じである必要がないことを実証する。図示の例では、サブビームは、六角形グリッド(即ち六角形対称性を有するグリッド)上に提供される一方、サブビーム処理エリア740は、矩形である。第1の方向(図示の向きでは水平)に平行なサンプル表面の連続カバレッジは、細長い領域724の長さを、第1の方向におけるサブビームのグリッドのピッチ711(即ちグリッド位置702を中心としたモザイク状六角形の幅)に実質的に等しく構成することによって達成される。第2の方向(図示の向きでは垂直)に平行なサンプル表面の連続カバレッジは、セクション730の各列737中のセクション730(従って細長い領域724)の幅の和を、第2の方向におけるサブビームのグリッドのピッチ712に実質的に等しく構成することによって達成され得る。しかし、サブビームの走査は、連続カバレッジが不連続走査セクション730による連続カバレッジを通して達成されるように不連続であり得る。実際には、コラムに沿って細長い領域724がわずかに重なる必要があり得、その場合、各列737における細長い領域724の幅の和は、それに対応してより長くなる必要があり得る。100%未満のカバレッジを許容することができ得る。例えば、場合により、閾値間隙、例えば100nmまでの間隙が許容され得る。そのような場合、各列737における細長い領域724の幅の和がピッチ712よりもわずかに小さいことが可能であり得る。
【0107】
[0124] サブビームが70μmピッチを有する六角形アレイで提供される特定の事例では(簡易化のために、セクション730間の重複又は間隙の可能性を無視する)、各サブビームは、70μm×60.6μmの矩形エリア(サブビーム処理エリア740を画定する)にわたって走査されて、連続エリア(0.5×√3×70=60.6であるために生じる60.6)を走査する。対物レンズの視野(荷電粒子デバイスが荷電粒子デバイスに対するサンプルの固定位置において提供することができる、マルチビームとサンプル表面との間の相対移動の最大範囲を画定する)が約1μmである事例では、70μm×60.6μmの1つのエリアをカバーするには、セクション730の各列737における1.01μm幅のセクション730の60回のスキャンが必要である。各セクション730の長さをセクション730の列数で乗じたものは、70μmに等しくなる。異なる構成では、サブビームは、異なる形状、例えば平行四辺形、菱形、矩形又は正方形のグリッドを有するアレイで提供され得ることに留意されたい。各形状のビーム構成では、サブビーム処理エリア740は、矩形であり得る。
【0108】
[0125]
図13は、細長い領域724のセクション730が単一のサブビーム処理エリア740をどのように埋めることができるかを概略的に示す。セクション730は、連続として(重複又は間隙なしで触れている)示されているが、上述したように、実際には、セクション730は、その間に小さい重複及び/又は間隙が存在するように処理され得る。重複又は間隙は、セクション730の幅を制御する(例えば、静電走査が実施される距離を変更する)こと及び/又はセクション730のポジショニングを制御する(例えば、セクション730を一緒により近くに位置決めして重複を増大するか、又はセクション730を更に離れて位置決めして重複を低減するか、又はセクション730間に間隙を提供する)ことによって制御され得る。セクション730は、7行及び3列を有する矩形アレイで提供される。3つのセクション730の各行は、単一の細長い領域724を埋める。単一の細長い領域724は、サブビームピッチに対応し得る。
【0109】
[0126] 細長い領域724の長さがピッチであることを保証するために、細長い領域724の走査は、セクション730の少なくとも長尺方向においてセクション730間に重複を有して達成され得る。細長い領域724は、一緒にサブビーム処理エリア740を画定する。従って、サブビーム処理エリア740は、セクション730の複数の列で構成される。セクション730間の重複は、マルチビーム構成の異なるサブビームによって同時に走査される全ての細長い領域724で同じであるように構成され得る。一例の細長い領域724は、太字で示され、724と記されている。上述したように、コラムに沿ってセクション730が重複する程度(又は重複するか否か)は、コラムに沿ったセクション730の幅及び/又は位置を制御することによって制御され得る。
【0110】
[0127]
図14は、
図13に示されるものなどのサブビーム処理エリア740を各サブビームで処理するために、ステップS1~S5をどのように使用することができるかを概略的に示す。
【0111】
[0128] 各サブビーム処理エリア740は、全体的に又は部分的にのみ処理され得る。例えば、サブビーム処理エリア740の処理中、マルチビームのサブビームは、停止されるか又はサンプルの異なるエリアを処理するように切り替えられ得る。サブビームは、
図14の走査の一部中、空白(「スイッチオフ」と呼ぶことができる)であり得る。従って、本開示の方法は、各サブビームでサブビーム処理エリア740の少なくとも一部を処理するように構成され得る。各サブビーム処理エリア740は、セクション730の行及びセクション730の列を有するセクション730のアレイを含み得る。セクション730の各行は、上述したように、細長い領域724を画定し得る(細長い領域724は、実質的に、マルチビーム中のサブビームの、サンプル表面でのピッチ以下であり得る)。サブビーム処理エリア740の少なくとも一部の処理は、複数のセクション730を処理することを含む。
【0112】
[0129] 上述したように、ステップS1では、1つのセクション730が各サブビームで処理される。このステップS1の処理は、セクション730のアレイの左上隅に位置するセクション730で右を指すS1と記された水平の実線矢印により、1つのサブビーム(
図13及び
図14に示されるサブビーム処理エリア740に対応するサブビーム)について
図14に例示される。
【0113】
[0130] ステップS2では、サンプル208は、第1の方向に対して斜めの又は垂直な方向に変位される。サンプル208の変位は、マルチビームの経路に対するものとして見なすことができる。
図14の例では、サンプル208の変位は、S2と記された破線によって示されるように、対物レンズの視野の中心をサンプル208に対して移動させる。
図10及び
図14の例では、対物レンズの視野は、S2において、第1の方向に垂直な方向(例えば、ページの平面において垂直下方)に変位される。サンプル208の対応する変位は、ステップと呼ぶことができる。従って、サンプルサポート(例えば、ステージ209)は、サンプル208をステッピングするように構成され得る。変位の方向は、ステップ方向と呼ぶことができる。従って、経路721に沿ったマルチビームに対するサンプル表面の移動は、ステージ209のステッピングに直交する方向におけるものであり得る。ステップS1の各繰り返し後のステップS2におけるサンプルの変位の距離は、各列737における複数の処理されたセクション730が部分的に重複するか(
図10に例示されるように)、連続するか、又は不完全性を考慮に入れて、サンプル表面の許容可能なカバレッジを提供するのに十分に近い、例えば20nm、50nm、100nm若しくは200nmなどのカバレッジ間隙未満であるようなものであり得る。そのような重複は、ストライプオーバースキャンと呼ぶことができる。そのようなオーバースキャンは、広くなるようにセクション730を走査するか、又はセクション730を一緒により密に位置決めすることによって達成され得る。ストライプオーバースキャンは、サブビーム処理エリア740の全体の処理するために、各列で追加のセクション730を走査する必要があり得ることを意味し得る。各列でより多くのセクション730を走査することは、スループットを低下させるため、望ましくない。
【0114】
[0131] 従って、第1の方向に対して斜めの又は垂直な方向におけるサンプルサポート(例えば、ステージ209)によるサンプル208の連続ステップでの変位の距離は、ステップS1における、荷電粒子デバイスによるサンプル表面に対するマルチビームの、第2の方向に平行な方向の移動の最大範囲(例えば、静電偏向の最大範囲)に近い(典型的にはその移動の最大範囲よりもわずかに狭い)範囲であり得る。
【0115】
[0132] オーバースキャンという用語は、走査不完全性がない場合に適切な処理(例えば、サブビームによるサンプル表面の走査)を達成するために公称的に必要なものよりも広いエリアを走査することを指す。オーバースキャンは、様々な異なる理由で実施することができる:例えば、隣接走査のデータを一緒に組み合わせて(例えば、一緒に縫合して)、より大きいエリアの画像を形成できるようにするため、アライメントエラーを考慮するため(正確に知られていない関心領域の場所)又は複数の理由の組合せのため。その幾つかが本明細書に開示され得る。例えば、
図9を参照して上述したタイプの方法に関して、ストライプオーバースキャンは、サブビームの性質のドリフト又はサブビーム偏向器の強度変動を考慮に入れるために必要であり得る。ストライプオーバースキャンは、セクション730がセクション730の列737に沿って互いに重なるように配置されるようなものであり得る。重複は、例えば、セクション730の幅の5%~10%の範囲であり得る。1.0μmの典型的な偏向範囲では、これは、10~250nm、例えば50nm~100nmの範囲の重複に対応するであろう。セクション730間に小さい間隙が許容可能である(例えば、約100nmまでなどの閾値間隙まで)実施形態では、セクション730は、走査プロセスでの不完全性を補償するために、公称的に許容可能な間隙サイズにより近い平均間隔を有するように配置され得る。従って、セクション730は、不完全性を補償するために公称的に必要とされるよりも密に走査される。
【0116】
[0133] ステップS3では、ステップS1が繰り返されて、各サブビームでセクション730を処理する。セクションは、ステップS1中、先に走査されたセクション730の細長い領域724に隣接し得る更なる細長い領域724の部分であると見なすことができる。
図14の例では、ステップS1の繰り返しは、アレイの最初の列737(例えば、図示のように一番左側の列)における下に2番目のセクションを処理する。列737において下降して2番目のセクション730、例えば下に2番目のセクション730は、2行目の部分である。2行目は、更なる細長い領域724を形成する。ステップS2におけるサンプルの変位の距離は、上述したように、ストライプオーバースキャンを含むようなものであり得る。従って、ステップS1でセクション730を走査した後、先に走査されたセクション730に隣接する次のセクション730は、先に走査されたセクション730の走査に使用された移動と同じ移動を使用して走査される(ステップS3において)(両方のセクション730は、ステップS1で画定された移動を使用して走査されるため)。
【0117】
[0134] ステップS4では、ステップS2及びS3が複数回繰り返されて、各サブビームで更なる細長い領域724の各々のセクション730を処理する。各細長い領域724は、アレイ内の異なる各行に対応する。
図14の例では、S2及びS3の繰り返しは、アレイの最初の列737中の3番目~7番目のセクション730を処理し、それによりアレイ内の1つの列737の処理を完了する。変形形態では、ステップS2は、ステップS3におけるサンプル及びサブビームの相対移動がステップS1と同じであり、それによりS3がS1の代替ラベルであるように、サブビームの経路に対してサンプルを移動させることに留意されたい。即ち、サンプル208を列737に沿って隣接セクション730に、サブビームの経路に対して移動させる代わりに、サンプルは、ビーム経路に対するサンプルの走査移動がステップS1及びステップS3で同じであるように、S1における移動の逆方向に移動する。同様に、ステップS4は、ステップS1~S3(又は代替的に、S3がS1と同じ移動を有するため、代替実施形態)に従ってステップS1及びS2)の繰り返し移動を有する。
【0118】
[0135] ステップ又はピッチエリアオーバースキャン(又は列に適用される場合には列エリアオーバースキャン)は、列を形成するセクション730を走査する場合にステップS4で適用され得る。ピッチエリアオーバースキャンは、不完全性が存在しない場合に公称的に必要であるよりも大きいようにサブビーム処理エリア740の全体サイズを構成することを指す。例えば、サブビーム処理エリア740のサイズは、セクション730の列に平行な方向及び/又はセクション730の行に平行な方向におけるマルチビーム構成のピッチよりも若干大きくすることができる。ピッチエリアオーバースキャンは、サブビーム処理エリア740の公称境界を超えて延びるように、サブビーム処理エリア740のエッジにセクション730を手配することによって達成され得る。これは、これらのセクション730の幅、長さ及び/又は位置を制御し、及び/又は追加のセクション730を行及び/又は列に追加することによって達成され得る。ピッチエリアオーバースキャンは、サブビーム処理エリア740の全体の走査中のビーム又はサンプルのドリフト及び/又はサブビームグリッドにおける不完全性に対処することができる。それは、サブビーム処理エリア740を一緒に縫合するのに有用であり得る。
【0119】
[0136] ステップS5では、ステップS1~S4が繰り返されて、各サブビームで細長い領域724の一連のセクション730を処理する。処理される一連のセクションは、処理前の未処理領域と呼ぶことができる。ステップS1~S4の各繰り返しは、セクション730の列737を処理する。従って、一連の各々の未処理セクション730は、セクション730の1つの列737に対応し得る。
図14の例では、一連の未処理セクションは、アレイの中央列737におけるセクション730からなる。一連の未処理セクションは、ステップS1における移動と平行な方向において、サブビームによって先に処理されたそれぞれの細長い領域724の対応する一連のセクション730に隣接する。
図13の例では、先に処理されたセクションは、アレイの左列737におけるセクション730である。従って、中央列のセクション730は、図示のように、水平方向において左列におけるセクション730に隣接し得る。
【0120】
[0137] ステップS5は、1回又は複数回実施され得る。例えば、ステップS5は、1~9回又は各細長い領域724のサンプル表面のセクション730が処理されるのに十分な回数繰り返され得る。幾つかの実施形態では、S5は、生成された複数の処理されたセクション730が複数の細長い領域724を覆うのに十分な回数実施される。次に、処理された複数の細長い領域724は、各サブビームのサブビーム処理エリア740を覆い及び/又は画定する。典型的には、ステップS5の繰り返し回数は、細長い領域724におけるセクション730の数から1を差し引いた回数又は細長い領域724がその構成セクション730を画定するために経る分割と同じである。例えば、細長い領域724ごとに10個のセクション730がある場合、ステップS5は、9回繰り返される。これは、10個のセクション730を画定するために細長い領域724に対して行われる分割の数に対応する。
図14の例では、各細長い領域724は、3つのセクション730を含むため、ステップS5は、2回実施される。S5の最初の実施は、セクション730の中央列737を処理する。S5の2番目の実施は、セクション730の右列737を処理する。各列737のセクション730を処理する方向は、ステップS2と同じ方向、例えば列737を下がる方向であり得るか、又は異なる方向、例えば列737を上がる方向であり得る。列737のセクション730を処理する方向は、同じであり得るか、又は異なる列内のセクション730を走査する方向は、例えば、1つおき又は隣接する列737で逆であり得る。
【0121】
[0138] 従って、ステップS1~S5の方法は、セクション730の列を順に処理するために使用され得、各列737内の全てのセクション730が処理されてから後続列737が処理される。従って、セクション730のアレイが処理される他の実施形態では、セクション730の行は、順に交互に処理され得、任意選択的に各行の全てのセクション730が処理されてから後続行が処理される。
【0122】
[0139] 上述したように、オーバースキャンは、偏向器性能の変動及びサブビームによって生じる加熱からの熱効果などの経時ドリフトする要因を含む不完全性を補償するために使用され得る。オーバースキャンは、必要とされる走査の総量を増大させることでスループットを低下させる。必要とされるオーバースキャンの程度は、オーバースキャンによって補償する必要がある不完全性の大きさに依存する。従って、不完全性の大きさは、あるセクション730の処理と、次のセクション730の処理との間の遅延に依存する。この遅延は、セクション730を細長い領域724よりも小さくすることにより、各細長い領域724が全体的に処理されてから次の細長い領域724に移る場合と比べて低減する。セクション730をより小さくすることは、同じドーズでより高速に走査することができることを意味する。セクションが小さいほど、細長い領域724ごと又は処理エリア740にわたるセクション数が増える。小さいセクションを有する処理エリアほど、多くの列737を有する。異なるセクション730の走査間の遅延を低減すると、異なるセクション730の走査間のマルチビームの経路に対するサンプルのポジショニング精度のドリフトの影響が低下する。その結果として生じるポジショニング精度の改善は、サンプル表面の適切なカバレッジを保障するために必要とされるオーバースキャンの数が減ることを意味する。例えば、セクション730の列内の近隣セクション730間で必要とされる重複がより小さくなり得る。オーバースキャンの低減は、行われる走査の総量を低減することによってスループットを改善する。例えば、2回走査される各サブビーム処理エリア740の部分が低減する。オーバースキャンにより、追加のセクション730がセクション730のアレイの列内で必要になる場合、そのような追加のセクション730の数が少なくなる。従って、複数の列(単一の列ではなく)を有するセクションのアレイにおけるサブビーム処理エリア740を処理することは、スループットの改善に寄与する。
【0123】
[0140] 本開示の実施形態は、特に、ステップS1における静電偏向範囲()が、マルチビーム中のサブビームの、サンプル表面での最小ピッチの実質的に半分(50%)以下、任意選択的に10%未満、任意選択的に5%未満、任意選択的に2%未満、任意選択的に1%未満、任意選択的に0.5%未満である場合に適用可能である。
図11を参照して上述したように、マルチビーム中のサブビームは、グリッド位置702によって画定されるグリッドで提供され得る。サブビームのピッチとは、グリッド位置702のピッチを指し得る。従って、サブビームは、ピッチ内で走査するように配置される。グリッドの異なる主軸に沿ったピッチは、異なり得る。最小ピッチは、最小ピッチを有する主軸のピッチであり得る。従って、実施形態は、特に、ハードウェアが、荷電粒子デバイス41、41’、41’’に対するサンプル208の移動がない状態でのピッチの半分超をカバーするのに十分に大きい距離にわたりサブビームを走査可能ではない場合に適用可能である。従って、手法は、
図3~
図7を参照して上述した対物レンズアレイアセンブリなどの対物レンズアレイアセンブリを有する実施形態に効率的に適用することができる。述べたように、そのようなデバイスは、サンプルに比較的近い走査偏向器を有し得、偏向器の静電走査範囲を制限する。
【0124】
[0141] 幾つかの実施形態では、方法は、ステップS6及びステップS7を順に(S6後にS7が続く)更に含む。ステップS6では、サンプルサポートが使用されて、マルチビーム中のサブビームの、サンプル表面でのピッチの少なくとも2倍に等しい距離だけサンプル208を変位させる。この変位は、リープ変位と呼ぶことができる。変位の距離は、ピッチの2倍よりもはるかに大きくてもよく、任意選択的に何倍も長くてもよく、例えばピッチの10~100倍、任意選択的にサンプル表面上のマルチビームのフットプリントの全体サイズほどの大きさであり得る。
【0125】
[0142] ステップS7では、ステップS1~S5、任意選択的にステップS1~S6は、ステップS6の変位後のサンプル208の新しい場所から繰り返される。従って、連続ステップ(例えば、ステップS1~S5)でのマルチビームの走査は、複数回実施されて、対応する複数のサブビーム処理エリア740を各サブビームで処理し、ステージ209は、任意選択的に、連続ステップの各実施後、リープ変位(例えば、ステップS6)を実施し得る。従って、サンプル208は、サンプル表面の新しい領域が荷電粒子デバイスのマルチビーム出力領域の下に位置するように毎回移動される。方法は、ステップS1~S5の各実施でマルチビームサイズのエリアを処理するために使用され得る。マルチビームサイズのエリアは、互いに隣接して、大きい連続エリア、即ちマルチビーム構成のサブビームによって不連続に走査されるサンプルの連続エリアを走査することができる。代替的に、互いに隔てられたマルチビームサイズのエリアが処理され得る。S6におけるサンプル208の移動は、第1の方向又は第2の方向であり得る。しかし、移動は、サンプル表面の任意の領域への任意の方向であり得る。
【0126】
[0143] 幾つかの実施形態では、各サブビームは、各サブビーム処理エリア740を処理し、結果として生じる複数のサブビーム処理エリア740は、互いに対して重なり及び/又は連続する。従って、任意の個々のサブビーム処理エリア740よりも大きい連続領域が各リープ変位間に処理される。連続領域を形成する複数のサブビーム処理エリア740は、荷電粒子デバイス41、41’、41’’のフットプリントを画定し得る。
図15に例示されるように、荷電粒子デバイスのフットプリント732は、サブビーム処理エリア740の全てを囲むサンプル表面上の最小境界ボックスとして画定され得る。従って、フットプリント732は、サブビーム処理エリア740の全てを囲むサンプル表面上の最小境界ボックスの輪郭に対応する(例えば、同じ)輪郭又は境界を有する。最小境界ボックスによって囲まれるサブビーム処理エリア740は、リープ変位(ステップS6の実施)間に小さい位置範囲(ステップS1~S5の実施に必要なサンプル208の移動に対応する)で形成されるサブビーム処理エリア740である。荷電粒子デバイスのフットプリントのサイズ及び形状は、荷電粒子デバイスのマルチビーム出力表面(例えば、サンプル208に最も近い対物レンズ例の部分)のサイズ及び形状によって画定され得る。幾つかの実施形態では、ステップS6におけるサンプル208の変位の距離(あるフットプリント732の中心731から別のフットプリント732の中心731に繋がる矢印734によって概略的に示される)は、実質的に、移動方向に平行なフットプリントの寸法735以上である。ステップS6におけるサンプル208の変位の方向は、第1の方向(ステップS1におけるサンプル208の移動方向に対応する)に平行であり得るか又は異なる方向であり得る。ステップS6における変位は、
図15に例示されるように、リープ変位間のフットプリントを埋めるサブビーム処理エリア740が一緒に適合するように構成され得る。従って、ステップS1~S5の1回の実施は、サブビーム処理エリア740の第1のグループ(例えば、
図15における左下のフットプリント732内)を画定し得る。ステップS7は、続いて、サブビーム処理エリア740の第1のグループと重なりび/又は連続するサブビーム処理エリア740の第2のグループ(例えば、
図15における右上のフットプリント732内)を形成し得る。
【0127】
[0144] 上述した実施形態では、セクション730のアレイにおけるセクション730は、列ごとに処理される。他の実施形態では、セクション730は、異なる順序で処理される。例えば、幾つかの実施形態では、セクション730は、行ごとに処理される(即ち各行の処理が完了してから次の行の処理が開始される)。例えば、
図13の構成例における一番上の行におけるセクション730の全ての処理後、下方に次の行におけるセクション730の全ての処理が続き得る。処理は、サブビーム処理エリア740の全てが処理されるまで続けられる。幾つかの実施形態では、セクション730の異なるサブセットは、ステップS1及びS3におけるサンプルの変位の異なる各方向を使用して処理される。これは、
図14に例示されており、
図14では、セクション730の半分は、サンプルがS1及びS3で右に移動する状態で処理され、セクション730の半分は、サンプルがS1及びS3で左に移動する状態で処理される。様々な他の構成も可能である。例えば、サンプルは、ある列における全てのセクション730で同じ方向に移動し、別の列における全てのセクション730で逆方向に移動することができる。更に、列737におけるあるセクション730から列737における次のセクション730に下方に(
図13に示されるように)移動する必要はない。各列737内のセクション730は、代わりに、下から上に処理され得る。代替的に、異なる列737は、異なる方向に処理され得る。ある列737におけるセクション730は、上から下に処理され得、隣接する列737におけるセクション730は、下から上に処理され得る。幾つかの実施形態では、アレイにおけるセクション730は、1つの行における複数であるが、全てではないセクション730が処理されてから、隣接行などの異なる行における複数であるが、全てではないセクション730の処理が続くように処理することができる。幾つかの実施形態では、セクション730の第1の列が処理され、セクション730の第1の列の直後にセクション730の第2の列が処理され、セクション730の第1の列及びセクション730の第2の列は、互いに直接隣接しない。従って、セクション730の第3の列は、第1の列と第2の列との間に提供され、後に処理され得る。同様に、幾つかの実施形態では、セクション730の第1の行が処理され、セクション730の第1の行の直後にセクション730の第2の行が処理され、セクション730の第1の行及びセクション730の第2の行は、互いに直接隣接しない。従って、セクション730の第3の行は、第1の行と第2の行との間に提供され、後に処理され得る。
【0128】
[0145] 幾つかの実施形態では、ステップS1における荷電粒子デバイスによるサンプル208に対するマルチビームの移動の経路722は、
図10に例示されるように、全て同じ方向である。この手法は、ある走査から次の走査への走査プロセスの均一性を促進し得、及び/又はエラーをより容易に修正できるようにし得る。例えば、ステップS1中の荷電粒子デバイスによる走査が全て同じ方向に実施される(即ちステッピングされる)場合、偏向器と検出器との間の同期の不一致は、パターンのシフトに繋がり得る。そのようなシフトは、画像の下流の処理で修正され得る。しかし、ステップS1中の荷電粒子デバイスによる走査が交互の方向で実施される場合、偏向器と検出器との間の同期の不一致は、パターンのブラーリングに繋がり得る(画像の交互になった画素行が上下にシフトするため)。このブラーリングは、修正がより難しい。他の実施形態では、
図16に例示されるように、ステップS1における荷電粒子デバイスによるサンプル209にわたるマルチビームの走査は、交互の方向で(例えば、
図16に示される向きで上-下-上-下-上の順に)実施される。これにより、走査経路をより連続させることができる。走査経路722をより連続するように配置することにより、
図10の手法と比べて帯域幅要件を低減し得る。
【0129】
[0146] 幾つかの実施形態では、
図10及び
図14に例示されるように、ステップS1の繰り返される実施中、ステップS1におけるサンプル208の移動は、交互の方向に(例えば、経路721が、
図10に示される向きにおいて右-左-右-左の順を辿るように)実施される。そのような構成では、シーケンシャル経路721の方向は、連続及び蛇行と呼ぶことができる。この手法は、サンプル208による全体移動距離を最小化する。他の実施形態では、
図17に例示されるように、ステップS1の繰り返される実施中、ステップS1におけるサンプル208の移動は、全て同じ方向である。そのような構成では、シーケンシャル経路721の方向は、ステッピングと呼ぶことができる。
【0130】
[0147] 先に述べたように、サブビームによる処理は、荷電粒子をサンプル208から放出させ得る。放出された荷電粒子は、検出され、サンプル208についての情報の特定に使用され得る。幾つかの実施形態では、方法は、複数のセクション730の処理中、サンプル208から放出された荷電粒子を検出することにより、画像データセットを生成することを含む。一実施形態では、各画像データセットは、セクション730のそれぞれ異なる1つに対応するサンプル表面の部分についての情報を表す。幾つかの実施形態では、サンプル208は、サンプル表面上の異なる位置に公称的に同一のパターン繰り返し部分を有する。方法は、サンプルが公称的に同一のパターンを有するセクション730の画像データセットを比較することにより、サンプルにおける欠陥を検出することを含み得る。例えば、公称的に同一のパターン繰り返し部分がサンプル表面の大きい部分にわたって延びる場合、画像データセットは、異なる公称的に同一のパターン繰り返し部分における対応する位置に位置するセクション730と比較され得る。対応する位置は、セクション730内のパターンが、公称的に同一のパターン繰り返し位置が完全に同一である場合、同一であるようなものである。例えば、セクション730は、公称的に同一のパターン繰り返し部分の各々の境界に対して同じ場所に位置し得る。例えば、公称的に同一のパターン繰り返し部分の1つの幾何中心におけるセクション730は、公称的に同一のパターン繰り返し部分のうち、別の公称的に同一のパターン繰り返し部分の幾何中心におけるセクション730と比較することができる。比較は、
図8を参照して上述した手法の何れかを使用して実施され得る。比較は、
図8を参照して上述したものなどのデータ処理デバイス500によって実施され得る。比較は、画像データセットの第1のサブセットを使用して、基準画像を生成すること(例えば、基準画像生成器503を使用して)と、画像データの第2のサブセットを基準画像と比較して、欠陥を検出することとを含み得る。異なる画像データセットが同時に又は異なるときに取得され得る。画像データセットは、サンプル上の異なる場所のものであり得る。画像データセットは、異なる場所の各サブビーム処理エリア740を含み得る。
【0131】
[0148] 幾つかの実施形態では、各サブビームは、サンプル表面上の複数の異なる処理領域でサブビーム処理エリア740を処理する。異なる処理領域は、同じダイ(例えば、アレイモード)内の異なる領域であり得るか、又は異なるダイ(例えば、ダイツーダイモード)内の領域であり得る。異なる処理領域は、離間され得るサンプル208の表面の異なるフットプリントに対応し得る。
図18は、パターン繰り返し領域760の矩形グリッドがサンプル表面上に存在する一実施形態例におけるステップ及び走査シーケンスの一例を示す。この場合、異なる処理領域は、異なる各パターン繰り返し領域760又はパターン繰り返し領域760の組合せ内にあり得るか又はそれと重複し得る。従って、サブビームは、荷電粒子デバイスが主にパターン繰り返し領域760の1つに面した状態でサブビーム処理エリア740を処理し、次に荷電粒子デバイスが主にパターン繰り返し領域760の異なる1つに面する位置にサンプル208を移動させ得る。これは、ステップ及び走査シーケンスと呼ぶことができる。図示の例では、各走査フェーズに対応するサブビーム処理エリア740は、六角形フットプリント732(例えば、
図15を参照して上述したようなマルチビームのジオメトリ例に対応する)内にある。ステップ及び走査シーケンスの例は、フットプリント732を、順に開始フットプリント位置821からステップ802を介してフットプリント位置822~823を通して移動させる。次に、より大きいステップ803により、フットプリント732を異なる開始フットプリント位置824(
図18に示されるように)又は同じ開始フットプリント位置(図示せず)の何れかに戻し、シーケンスを繰り返すことができる。
【0132】
[0149] 幾つかの実施形態では、各サブビーム処理エリア740における全てのセクション730は、各フットプリント位置821~823で処理される。この場合、シーケンスが繰り返される前に、
図18に例示されるように、より大きいステップ803により、フットプリント732を異なる開始フットプリント位置に運ぶことが適切であり得る。
【0133】
[0150] 幾つかの実施形態では、サブビーム処理エリア740のセクション730のサブグループ(全て未満)のみ、例えば少なくとも1つのセクション730がフットプリント位置821~823への各訪問で処理される。セクション730は、例えば、各サブビームについてグループで処理され得る。各グループは、サンプル208上の2つ以上の異なる処理領域の各々における1つ以上のセクション730のサブグループ(例えば、異なるダイ上に配置されても又はされなくてもよい2つ以上の異なる公称的に同一のパターン繰り返し部分760)を含む。従って、
図18の例では、サブビームの1つのグループは、フットプリント位置821におけるフットプリント732内にセクション730の第1のサブグループ(1つ以上のセクションを含む)、フットプリント位置822におけるフットプリント732内にセクション732の第2のサブグループ(1つ以上のセクションを含む)、フットプリント位置823におけるフットプリント732内にセクション732の第3のサブグループ(1つ以上のセクションを含む)を含み得る。グループのサブグループは、順に処理され得、その後、続くグループが処理される。各グループにおけるセクション730の処理から導出された画像データセットは、互いに比較されて、サンプル208の欠陥を検出することができる。セクション730のサブグループのみがフットプリント821~823への各訪問で処理されるそのような実施形態では、より大きいステップ803により、フットプリント732を同じ開始フットプリント位置824に戻すことが適切であり得る。次に、ステップ及び走査シーケンスが繰り返され得、各フットプリント位置821~823でセクション730の異なるサブグループが処理される。
【0134】
[0151] 異なる公称的に同一のパターン繰り返し部分における対応する位置に配置された任意のセクション730又はセクション730のグループは、互いに比較されて、サンプル208の欠陥を検出することができる。
【0135】
[0152] フットプリント位置821~823への各訪問でセクション730のサブグループのみ(セクション730の全てではなく)を処理することは、有利には、欠陥を検出するために互いに比較されることになる異なる処理領域におけるセクション730の処理間の遅延を短縮し得る。遅延の短縮は、各セクション730の測定間でサブビームの性質が変化する可能性を低減し得、それにより精度を改善する。遅延の短縮は、データ処理デバイス500におけるバッファリング要件を低減することもできる。バッファリングは、少なくとも2つのフットプリント間の移動を考慮に入れるように低減され得る。そのような移動は、細長い領域724の全体の代わりにセクション730の処理後に行われ得る。フットプリント732をフットプリント位置821~823間でより頻繁に移動させることで、マルチビームによって生じる加熱からの悪影響を低減することもできる。フットプリント732のより頻繁な移動は、加熱をサンプル208にわたってより均等に拡散させる。非均一な加熱は、マルチビームの全てのサブビームに対して共通でない膨張を生じさせる。全てのサブビームに共通でない影響は、サンプル208のリアライメントによって補正することが完全にはできない。従って、サンプル208の非均一加熱を最小に抑えることが特に望ましい。
【0136】
[0153] フットプリント821~823への各訪問でセクション730のサブグループのみ、例えば単一のセクション730のみを処理することは、サブビーム処理エリア740のセクションの同じ列737におけるセクション730の処理間の遅延を増大させ得る。例えば、セクション730の処理に30秒かかる場合、セクション730の処理の開始と、同じ列737におけるセクション730の下のセクション730の処理の開始との間の遅延は、列737におけるセクション730が直接順次処理される場合、約30秒であろうが、
図18に示されるものなどの方式に従って処理が実施される場合には90秒(3倍長い)であろう。走査される細長い領域724よりも短い、例えばサブビーム処理エリア740の長さよりも短いセクション730の処理を含む、
図9~
図17を参照して上述した方法は、ドリフトの影響を制御するのに特に有利であり、それによりストライプオーバースキャンにおけるスループット低下増大の必要性を低減する。セクション730は、例えば、
図13~14)に例示されるように、サブビーム処理エリア740の長さの一部又は長さの1/3などの長さの任意の割合であり得る。
【0137】
[0154] サンプルアライメント動作は、定期的に実施されて、マルチビームによる処理中のサンプル208の加熱によって誘導される熱膨張などの影響を補償し得る。従って、幾つかの実施形態では、本開示の方法は、1つ以上のサンプルアライメント動作を実施することを含む。幾つかの実施形態では、方法は、
図13及び
図14に示されるものなど、セクション730のアレイにおける異なるセクション730の処理間にサンプルアライメント動作を実施することを含む。異なるセクション730の処理間にサンプルアライメント動作を実施することは、アライメント動作が、サブビーム処理エリアのセクション730のアレイ全体が処理された後にのみ実施される代替の手法と比べて、サンプルアライメント動作間の遅延を短縮し得る。上述したように、遅延の短縮は、ドリフトの影響を低減し得、ストライプオーバースキャン要件を低減し得る。各サンプルアライメント動作は、実施するのに特定の時間期間(例えば、2秒)がかかる。オーバースキャン要件の増大(例えば、各セクションに関するストライプオーバースキャン要件並びに列及び処理エリア740に関するステップオーバースキャン要件)は、処理する必要があるセクション730の数を増やすことにより、サブビーム処理エリア740の全体を処理するために必要な時間量も増やす。サンプルアライメント動作は、アライメントを完了するために時間を追加するように見え得るが、総時間は、ドリフトなどに起因する追加のオーバースキャンに要する時間を考慮すると、サンプルアライメント動作がない場合の同じプロセスで要する時間よりも短い。サンプルアライメント動作の包含は、サンプルアライメント動作がない場合のドリフトなどに起因するオーバースキャン要件を考慮して必要とされる時間よりもサンプル処理の総時間を短縮するのに役立つ。例えば、一実装形態例では、セクション730の列737は、インタリーブされたサンプルアライメント動作がない場合、76のセクションを含む必要がある一方、インタリーブされたサンプルアライメント動作が用いられる場合、1列当たりわずか64のセクションが必要であった(ストライプオーバースキャン要件の低下に起因して)ことがわかった。一実装形態例では、インタリーブされたサンプルアライメント動作は、ストライプオーバースキャン要件をセクション730間の約20~25%の重複から、セクション730間の約10~15%の重複に低減することができる。従って、スループットを改善するバランスを見つけることができる。実施形態の1つのクラスでは、最適なバランスは、サンプルアライメント動作が10~50秒ごと、任意選択的に20~40秒ごと、任意選択的に約30秒ごとに実施される場合に見られる。
【0138】
[0155] サンプルアライメント動作は、基準に対してサンプル208をアライメントするための様々な既知の手法の何れを使用して実施され得る。例えば、サンプルアライメント動作は、サンプル208上の基準マーカ又はサンプル208上の基準パターンを検出することと、サンプル208をアライメントして、基準マーカ又は基準パターンを荷電粒子デバイスにアライメントすることとを含み得る。
【0139】
[0156] 幾つかの実施形態では、サンプルアライメント動作は、セクション730の少なくともサブセットの各々がセクション730の処理の直前及び直後にサンプルアライメント動作を実施させるように、セクション730の処理間にインタリーブされる。従って、サンプルアライメント動作の数は、セクション730の数に実質的に等しくてもよい。
【0140】
[0157] 他の実施形態では、サンプルアライメント動作は、2つ以上のセクション730のグループの処理間にインタリーブされる。セクション730は、同じサブビーム処理エリア740にあり得るか、又は異なるサブビーム処理エリア740にあり得る。グループは、アレイにおけるセクション730の列737の異なる部分からなり得る。グループは、アレイにおけるセクション730の異なる列全体からなり得る。グループは、アレイにおけるセクション730の行の異なる部分、例えば処理エリア740の同じ細長い領域724の異なるセクション730からなり得る。グループは、アレイにおけるセクション730の異なる行全体からなり得る。2つ以上のセクション730のグループは、それぞれ同じ数のセクション730を含み得る。グループは、任意選択的に、少なくとも3つ、少なくとも5つ、少なくとも10、少なくとも20又は少なくとも50のセクション730を含み得る。一構成では、少なくとも1つのアライメント動作が処理エリア740のセクション730の走査で行われ得る。一構成では、アライメント動作は、セクションのオーバースキャン(即ちストライプオーバースキャン)が閾値を超える場合又はセクションの列若しくは処理エリア全体のオーバースキャン(即ちステップオーバースキャン又はピッチエリアオーバースキャン)がオーバースキャン閾値及び/又はピッチエリア閾値を超える場合、コントローラによって実施され得る。
【0141】
[0158] ステップS1~S5を含む方法は、異なるサブビーム処理エリア740におけるシングルセクション(1つのセクションのグループ)の処理間にインタリーブされたサンプルアライメント動作を実施して、本明細書に記載の様々な異なる実施形態を実施するために使用され得る。そのような一実施形態では、ステップS1は、サンプルの第1の処理領域が荷電粒子デバイスの出力部に面する位置から、更なる処理領域が荷電粒子デバイスの出力部に面する位置又はそれぞれの更なる処理領域が荷電粒子デバイスの出力部に面する複数の位置の各々にサンプル208をステッピングすることを含むように構成され得る。サンプルの第1の処理領域が荷電粒子デバイスの出力部に面する位置は、
図18におけるフットプリント位置821にある荷電粒子デバイスのフットプリント732に対応し得る。更なる処理領域が荷電粒子デバイスの出力部に面する位置は、例えば、フットプリント位置822にある荷電粒子デバイスのフットプリント732に対応し得る。例えば、それぞれの更なる処理領域が荷電粒子デバイスの出力部に面する複数の位置は、それぞれフットプリント位置822及び823にあるフットプリント732に順に、例えば順次又は交互に順に及び逆順に対応し得る。方法は、荷電粒子デバイスを使用しながら、第1の方向に平行な方向にサンプル208を移動させることを各位置で繰り返して、第2の方向に平行な方向においてサンプル表面に対してマルチビームを繰り返し移動させる。それにより、サンプル表面上の複数の細長い領域の1つのセクション730は、1つ又は複数の更なる処理領域の各々において各サブビームで処理される。サンプルアライメント動作は、例えば、ステップS4内のステップS3の異なる実施間に実施され得る。従って、続くシーケンスが実施され得る。開始するために、単一のセクション730(例えば、対応するサブビーム処理エリアのサイズ未満の長さを有する)がフットプリント位置821で処理される。続いて、サンプルアライメント動作が実施される。続いて、単一のセクション730がフットプリント位置822で処理される。続いて、サンプルアライメント動作が実施される。続いて、単一のセクション730がフットプリント位置823で処理される。続いて、サンプルは、フットプリント位置821にフットプリント732を戻すように移動する。
【0142】
[0159] 幾つかの実施形態では、画像レンダリングがサンプル208の走査から導出される。画像は、グリッドに配置された複数の処理エリア740を含む。各処理エリア740は、マルチビーム構成のサブビームによって走査されたサンプル表面の一部に対応する。グリッドは、マルチビーム構成のサブビームのピッチに対応する寸法を有する。各処理エリア740は、セクション730の行及びセクション730の列に配置されたセクション730のアレイを含む。処理エリア740における処理されたセクションの行は、処理エリア740の幅の長尺方向を有する細長い領域724に対応する。各処理エリアは、同じグリッドに配置されたセクション730を有し得る。細長い領域におけるセクション730は、長尺寸法において同様の寸法であり得る。
【0143】
[0160] 上側及び下側、アップ及びダウン、上及び下の参照は、サンプル208に衝突する電子ビーム又はマルチビームの(常にではないが、典型的には垂直な)アップビーム及びダウンビーム方向に対して平行な方向を指すとして理解されるべきである。従って、アップビーム及びダウンビームの参照は、いかなる現在の重力場とも無関係に、ビーム経路に対する方向を参照するように意図される。
【0144】
[0161] 本明細書で説明される実施形態は、ビーム経路又はマルチビーム経路に沿ってアレイ内に配置された一連のアパーチャアレイ又は電子光学素子の形態を取り得る。このような電子光学素子は、静電的であり得る。一実施形態では、例えば、ビーム制限アパーチャアレイからサンプルの前のサブビーム経路内の最終電子光学素子までの全ての電子光学素子は、静電的であり得、及び/又はアパーチャアレイ若しくはプレートアレイの形態であり得る。幾つかの構成では、電子光学素子の1つ又は複数は、微小電子機械システム(MEMS)として(即ちMEMS製造技術を使用することによって)製造される。電子光学素子は、磁性素子及び静電気素子を有し得る。例えば、複合アレイレンズは、磁気レンズ内に上側及び下側極プレートによってマルチビーム経路を包含し、マルチビーム経路に沿って配置されたマクロ磁気レンズを特徴とし得る。極プレート内には、マルチビームのビーム経路のアパーチャのアレイが存在し得る。電極は、複合レンズアレイの電磁場を制御及び最適化するために極プレートの上、下又はその間に存在し得る。
【0145】
[0162] 本開示による評価ツール又は評価システムは、サンプルの定性的評価(例えば、合格/不合格)を行う装置、サンプルの定量的(例えば、フィーチャのサイズ)測定を行う装置又はサンプルのマップの画像を生成する装置を含み得る。評価ツール又はシステムの例は、検査ツール(例えば、欠陥を識別するための)、精査ツール(例えば、欠陥を分類するための)及び計測学ツール又は検査ツール、精査ツール若しくは計測学ツール(例えば、メトロ検査ツール)に関連付けられた評価機能の任意の合成を行うことができるツールである。
【0146】
[0163] 荷電粒子ビームをある方法で操作するために制御可能である部品又は部品若しくは素子のシステムの参照は、荷電粒子ビームを上述の方法で操作するために部品を制御するようにコントローラ、又は制御システム、又は制御ユニットを構成することと、荷電粒子ビームをこの方法で操作するように部品を制御するために他のコントローラ又はデバイス(例えば、電圧源)を任意選択的に使用することとを含む。例えば、電圧源は、コントローラ、又は制御システム、又は制御ユニットの制御下で電位を部品に印加するために、1つ又は複数の部品、例えば制御レンズアレイ250及び対物レンズアレイ241の電極に電気的に接続され得る。ステージなどの活性化可能部品は、部品の活性化を制御するために、1つ又は複数のコントローラ、制御システム又は制御ユニットを使用することによって活性化し、従ってビーム経路などの別の部品に対して移動するように制御可能であり得る。
【0147】
[0164] コントローラ、又は制御システム、又は制御ユニットによって提供される機能は、コンピュータ実装され得る。素子の任意の好適な組み合わせは、例えば、CPU、RAM、SSD、マザーボード、ネットワーク接続、ファームウェア、ソフトウェア及び/又は必要とされるコンピューティング操作が行われることを可能にする当技術分野で知られている他の素子を含む必要な機能を提供するために使用され得る。必要なコンピューティング操作は、1つ又は複数のコンピュータプログラムによって定義され得る。1つ又は複数のコンピュータプログラムは、コンピュータ可読命令を格納する媒体、任意選択的に非一時的媒体の形態で提供され得る。コンピュータ可読命令がコンピュータによって読み込まれると、コンピュータは、必要とされる方法ステップを行う。コンピュータは、内蔵ユニットで又はネットワークを介して互いに接続される複数の異なるコンピュータを有する分散コンピューティングシステムで構成される。
【0148】
[0165] 用語「サブビーム」及び「ビームレット」は、本明細書では互換的に使用され、両方とも親放射ビームを分割又は分離することによって親放射ビームから導出された任意の放射ビームを包含するものと理解される。用語「マニピュレータ」は、レンズ又は偏向器など、サブビーム又はビームレットの経路に影響を与える任意の素子を包含するように使用される。ビーム経路又はサブビーム経路に沿ってアライメントされる素子の参照は、それぞれの素子がビーム経路又はサブビーム経路に沿って位置決めされることを意味するものと理解される。光学システムの参照は、電子光学システムを意味するものと理解される。
【0149】
[0166] 本発明の方法は、1つ又は複数のコンピュータを含むコンピュータシステムによって行われ得る。本発明を実施するために使用されるコンピュータは、汎用CPU、グラフィック処理ユニット(GPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)又は他の専用プロセッサを含む1つ又は複数のプロセッサを含み得る。上記で論述されたように、幾つかの場合、特定のタイプのプロセッサは、低減された費用及び/又は増加した処理速度の観点で利点を提供し得、本発明の方法は、特定のプロセッサタイプの使用に適合され得る。本発明の方法の幾つかのステップは、並列処理能力のあるプロセッサ、例えばGPU上で実装されやすい並行処理に関与する。
【0150】
[0167] 本明細書で使用される用語「画像」は、値の任意のアレイを指すように意図され、各値は、ある場所のサンプルに関係し、アレイ内の値の配置は、サンプリングされた場所の空間的配置に対応する。画像は、単一の層又は複数の層を含み得る。複数の層の画像の場合、チャネルとも呼ばれ得る各層は、幾つかの場所の異なるサンプルを表す。用語「画素」は、アレイの単一の値又は複数の層の画像の場合、単一の場所に対応する値の群を指すように意図される。
【0151】
[0168] 本発明を実施するために使用されるコンピュータは、物理的又は仮想的であり得る。本発明を実施するために使用されるコンピュータは、サーバ、クライアント又はワークステーションであり得る。本発明を実施するために使用される複数のコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又は広域ネットワーク(WAN)を介して分散され、相互接続され得る。本発明の方法の結果は、ユーザに表示され得るか、又は任意の好適なストレージ媒体内に蓄積され得る。本発明は、本発明の方法を実行するための命令を格納する非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体内に具体化され得る。本発明は、1つ又は複数のプロセッサと、本発明の方法を実行するための命令を格納するメモリ又はストレージとを含むコンピュータシステム内に具体化され得る。
【0152】
[0169] 本発明の態様は、以下の番号付き条項に記載される。
【0153】
[0170] 条項1:マルチビームをサンプル表面上に投影するための荷電粒子デバイスを使用して、荷電粒子のサブビームのマルチビームを使用してサンプルを処理する方法であって、順に、(a)荷電粒子デバイスを使用しながら、第1の方向に平行な方向にサンプルを移動させて、第2の方向に平行な方向においてサンプル表面に対してマルチビームを繰り返し移動させ、それにより第1の方向に平行な方向において及び第2の方向に平行な方向において繰り返し各サブビームを走査して、サブビームでサンプル表面上の複数の細長い領域の1つのセクションを処理することであって、(a)におけるサンプルの移動の距離は、第1の方向における、マルチビーム中のサブビームの、サンプル表面でのピッチの2分の1以下である、処理することと、(b)第1の方向に対して斜めの又は垂直な方向にサンプルを変位させることと、(c)ステップ(a)を繰り返して、各サブビームで複数の細長い領域のうちの更なる細長い領域のセクションを処理することと、(d)ステップ(b)及び(c)を複数回繰り返して、各サブビームで複数の細長い領域のうちの更なるそれぞれの細長い領域のセクションを処理することと、(e)各サブビームについて、細長い領域の一連の未処理セクションに対してステップ(a)~(d)を繰り返すことであって、一連の未処理セクションは、ステップ(a)における移動と平行な方向において、サブビームによって先に処理されたそれぞれの細長い領域の対応する一連のセクションに隣接する、繰り返すこととを含む方法。
【0154】
[0171] 条項2:(a)における、荷電粒子デバイスによるサンプル表面に対するマルチビームの、第2の方向に平行な方向の移動の最大範囲は、マルチビーム中のサブビームの、サンプル表面での最小ピッチの実質的に半分以下である、条項1に記載の方法。
【0155】
[0172] 条項3:(a)におけるサンプルの移動の距離は、第1の方向における、マルチビーム中のサブビームの、サンプル表面でのピッチを整数で除したものに実質的に等しい、条項1又は2に記載の方法。
【0156】
[0173] 条項4:ステップ(e)は、1回又は複数回実施され、及び結果として生じる複数の処理されたセクションは、複数の細長い領域を覆い、処理された複数の細長い領域は、各サブビームのサブビーム処理エリアを画定する、条項1~3の何れかに記載の方法。
【0157】
[0174] 条項5:(b)におけるサンプルの変位の距離は、各サブビーム処理エリアにおける細長い領域が互いに部分的に重なるか、互いに連続するか、又は閾値間隙未満、例えば100nm未満だけ互いから離間されるようなものである、条項4に記載の方法。
【0158】
[0175] 条項6:各サブビームは、それぞれのサブビーム処理エリアを処理し、結果として生じる複数のサブビーム処理エリアは、互いに対して重なり及び/又は連続する、条項4又は5に記載の方法。
【0159】
[0176] 条項7:ステップ(a)~(e)後、順に、(f)マルチビーム中のサブビームの、サンプル表面でのピッチの少なくとも2倍に等しい距離だけサンプルを変位させるステップと、(g)(a)~(e)を繰り返すステップとを実施することを更に含む、条項4~6の何れかに記載の方法。
【0160】
[0177] 条項8:(a)~(e)の1回の実施は、サブビーム処理エリアの第1のグループを画定し、及びステップ(g)は、サブビーム処理エリアの第1のグループと重なり及び/又は連続するサブビーム処理エリアの第2のグループを形成する、条項7に記載の方法。
【0161】
[0178] 条項9:荷電粒子デバイスのフットプリントは、(a)~(e)の実施からのサブビーム処理エリアの全てを囲む、サンプル表面上の最小境界ボックスとして画定され、(f)におけるサンプルの変位の距離は、実質的に、移動の方向に平行なフットプリントの寸法以上である、条項7又は8に記載の方法。
【0162】
[0179] 条項10:ステップ(e)は、1~9回繰り返される、条項4~9の何れかに記載の方法。
【0163】
[0180] 条項11:ステップ(a)は、サンプルの第1の処理領域が荷電粒子デバイスの出力部に面する位置から、更なる処理領域が荷電粒子デバイスの出力部に面する位置又はそれぞれの更なる処理領域が荷電粒子デバイスの出力部に面する複数の位置の各々にサンプルをステッピングすることと、荷電粒子デバイスを使用しながら、第1の方向に平行な方向におけるサンプルの移動を各位置で繰り返して、第2の方向に平行な方向においてサンプル表面に対するマルチビームを繰り返し移動させ、それによりその又はそれぞれの更なる処理領域において、各サブビームでサンプル表面上の複数の細長い領域の1つのセクションを処理することとを更に含み、及びステップ(b)は、サンプルを変位させて、第1の処理領域が荷電粒子デバイスの出力部に面する位置にサンプルを戻して位置決めすることを含む、条項1~10の何れかに記載の方法。
【0164】
[0181] 条項12:サンプル表面の異なるセクションの処理間にサンプルアライメント動作を実施することを更に含む、条項4~11の何れかに記載の方法。
【0165】
[0182] 条項13:サンプルアライメント動作は、同じサブビーム処理エリアにおける異なるセクションの処理間に実施される、条項12に記載の方法。
【0166】
[0183] 条項14:サンプルアライメント動作は、サンプル上の参照マーカ又はサンプル上の参照パターンを検出することと、サンプルをアライメントして、参照マーカ又は参照パターンを荷電粒子デバイスに対してアライメントすることとを含む、条項12又は13に記載の方法。
【0167】
[0184] 条項15:サンプルアライメント動作は、ステップ(d)内のステップ(c)の異なる実施間に実施される、条項12~14の何れかに記載の方法。
【0168】
[0185] 条項16:マルチビームをサンプル表面上に投影するための荷電粒子デバイスを使用して、荷電粒子のサブビームのマルチビームを使用してサンプルを処理する方法であって、各サブビームでサブビーム処理可能エリアの少なくとも一部を処理することを含み、サブビーム処理可能エリアは、セクションの行及びセクションの列を有するセクションのアレイを含み、セクションの各行は、実質的に、マルチビーム中のサブビームの、サンプル表面でのピッチ以下である細長い領域を画定し、処理することは、複数のセクションを処理することを含む、方法。
【0169】
[0186] 条項17:セクションのアレイにおける異なるセクションの処理間にサンプルアライメント動作を実施することを更に含む、条項16に記載の方法。
【0170】
[0187] 条項18:サンプルアライメント動作は、サンプル上の参照マーカ又はサンプル上の参照パターンを検出することと、サンプルをアライメントして、参照マーカ又は参照パターンを荷電粒子デバイスに対してアライメントすることとを含む、条項17に記載の方法。
【0171】
[0188] 条項19:サンプルアライメント動作は、セクションの少なくともサブセットの各々がサンプルアライメント動作をセクションの処理の直前及び直後に実施させるように、セクションの処理間にインタリーブされる、条項17又は18に記載の方法。
【0172】
[0189] 条項20:サンプルアライメント動作は、2つ以上のセクションのグループの処理間、任意選択的にアレイにおけるセクションの列の異なる部分からなるグループ間、任意選択的にアレイにおけるセクションの異なる全列からなるグループ間、任意選択的にアレイにおけるセクションの行の異なる部分からなるグループ間、任意選択的にアレイにおけるセクションの異なる全行からなるグループ間にインタリーブされる、条項17又は18に記載の方法。
【0173】
[0190] 条項21:各セクションは、荷電粒子デバイスを使用して、行に対して斜めの又は垂直な方向にサンプル表面に対してマルチビームを移動させながら、行に平行な方向にサンプルを移動させることによって処理され、好ましくは、行に対して斜めの又は垂直な方向は、セクションのアレイの列に平行な方向である、条項16~20の何れかに記載の方法。
【0174】
[0191] 条項22:各セクションの処理中、荷電粒子デバイスによるサンプルに対するマルチビームの移動の最大範囲は、マルチビーム中のサブビームの、サンプル表面での最小ピッチの半分未満であり、好ましくは、最大範囲は、最小ピッチを整数で除したものに実質的に等しい、条項16~21の何れかに記載の方法。
【0175】
[0192] 条項23:セクションの列は、順に処理され、各列の全セクションは、後続列の処理前に処理される、条項16~22の何れかに記載の方法。
【0176】
[0193] 条項24:セクションの行は、順に処理され、各行の全セクションは、後続行の処理前に処理される、条項16~23の何れかに記載の方法。
【0177】
[0194] 条項25:セクションのアレイは、矩形、正方形又は平行四辺形のアレイである、条項16~24の何れかに記載の方法。
【0178】
[0195] 条項26:各サブビームは、サンプル表面上の複数の異なる処理領域におけるサブビーム処理可能エリアを処理して、各サブビームの対応する複数のサブビーム処理エリアを画定する、条項16~25の何れかに記載の方法。
【0179】
[0196] 条項27:セクションは、各サブビームについてグループで処理され、各グループは、2つの異なる処理領域の各々における1つ以上のセクションのサブグループを含み、グループのサブグループは、後続グループが処理される前に順に処理される、条項26に記載の方法。
【0180】
[0197] 条項28:複数の異なる処理領域は、公称的に同一のパターン繰り返し部分に対応する、条項27に記載の方法。
【0181】
[0198] 条項29:方法は、複数のセクションの処理中、サンプルから放出された荷電粒子を検出することにより、画像データセットを生成することを含む、条項16~28の何れかに記載の方法。
【0182】
[0199] 条項30:公称的に同一のパターンを有するセクションの画像データセットを比較することにより、サンプルの欠陥を検出することを更に含む条項29に記載の方法。
【0183】
[0200] 条項31:異なる画像データセットは、同時に取得される、条項30に記載の方法。
【0184】
[0201] 条項32:画像データセットは、サンプル上の異なる場所のものであり、異なる場所の各サブビーム処理可能エリアを順次含む、条項30又は31に記載の方法。
【0185】
[0202] 条項33:荷電粒子評価システムであって、サンプルを支持するように構成されたサンプルサポートと、荷電粒子の複数のサブビームをマルチビーム構成でサンプル表面の一部に投影するように構成された荷電粒子デバイスと、以下のステップ:(a)荷電粒子デバイスを使用しながら、第1の方向に平行な方向にサンプルを移動させて、第2の方向に平行な方向においてサンプル表面に対してマルチビームを繰り返し移動させ、それにより第1の方向に平行な方向において及び第2の方向に平行な方向において繰り返し各サブビームを走査して、サブビームでサンプル表面上の複数の細長い領域の1つのセクションを処理するステップであって、(a)におけるサンプルの移動の距離は、第1の方向における、マルチビーム中のサブビームの、サンプル表面でのピッチの2分の1以下である、ステップ、(b)第1の方向に対して斜めの又は垂直な方向にサンプルを変位させるステップ、(c)ステップ(a)を繰り返して、各サブビームで複数の細長い領域のうちの更なる細長い領域のセクションを処理するステップ、(d)ステップ(b)及び(c)を複数回繰り返して、各サブビームで複数の細長い領域のうちの更なるそれぞれの細長い領域のセクションを処理するステップ、及び(e)各サブビームについて、細長い領域の一連の未処理セクションに対してステップ(a)~(d)を繰り返すステップであって、一連の未処理セクションは、ステップ(a)における移動と平行な方向において、サブビームによって先に処理されたそれぞれの細長い領域の対応する一連のセクションに隣接する、ステップを順に実施するようにサンプルサポート及び荷電粒子デバイスを制御するように構成されたコントローラとを含む荷電粒子評価システム。
【0186】
[0203] 条項34:荷電粒子評価システムであって、サンプルを支持するように構成されたサンプルサポートと、荷電粒子の複数のサブビームをマルチビーム構成でサンプル表面の一部に投影するように構成された荷電粒子デバイスと、a)各サブビームでサブビーム処理可能エリアの少なくとも一部を処理することであって、サブビーム処理可能エリアは、セクションの行及びセクションの列を有するセクションのアレイを含み、セクションの各行は、実質的に、マルチビーム中のサブビームの、サンプル表面でのピッチ以下である細長い領域を画定し、処理することは、複数のセクションを処理することを含む、処理すること、b)サブビーム走査可能エリアの少なくとも一部を各サブビームに露出することであって、サブビーム走査可能エリアは、セクションの行及びセクションの列を有するセクションのアレイを含み、セクションの各行は、実質的に、マルチビーム中のサブビームの、サンプル表面でのピッチ以下である細長い領域を画定し、サンプルサポート及び荷電粒子デバイスは、複数のセクションを露出するように制御されるように構成される、露出すること、及び/又はc)サブビーム走査可能エリアの少なくとも一部を各サブビームに露出することであって、サブビーム走査可能エリアは、セクションの行及びセクションの列を有するセクションのアレイを含み、セクションの各行は、実質的に、マルチビーム中のサブビームの、サンプル表面でのピッチ以下である細長い領域を画定する、露出することを行うようにサンプルサポート及び荷電粒子デバイスを制御し、セクションのアレイにおける異なるセクションの走査間にサンプルアライメント動作を実施するように構成されたコントローラとを含む荷電粒子評価システム。
【0187】
[0204] 条項35:サンプルの走査から導出された画像のレンダリングであって、画像は、グリッドに配置された複数の処理エリアを含み、各処理エリアは、マルチビーム構成のサブビームによって走査されるサンプル表面の一部に対応し、グリッドは、マルチビーム構成のサブビームのピッチに対応する寸法を有し、各処理エリアは、セクションの行及びセクションの列に配置されたセクションのアレイを含み、処理エリアにおける処理されたセクションの行は、処理エリアの幅の長尺状寸法を有する細長い領域に対応し、望ましくは、各処理エリアは、同じグリッドに配置されたセクションを有し、望ましくは、細長い領域におけるセクションは、長尺状寸法において同様の寸法を有する、画像のレンダリング。
【0188】
[0205] 条項36:マルチビームをサンプル表面上に投影するための荷電粒子デバイスを使用して、荷電粒子のサブビームのマルチビームを使用してサンプルを処理する方法であって、荷電粒子デバイスを使用して、荷電粒子の複数のサブビームをマルチビーム構成でサンプル表面の一部に投影することであって、一部は、マルチビーム構成の視野に対応し、各サブビームは、一部の下位部分に対応し、各下位部分は、マルチビーム構成の対応するサブビームの視野に対応し、下位部分は、第1の方向において視野にわたって延び、下位部分のサンプル表面のエリアを含むエリアを一緒に有する複数の細長い領域を含み、各細長い領域は、細長い領域内に配置された複数のセクションを含み、細長い領域は、任意選択的に、第1の方向に対して斜めの又は垂直な方向において同様の寸法を有する、投影することと、マルチビーム構成のサブビームが各下位部分内のセクションを走査するようにサンプルサポート及び荷電粒子デバイスを制御することであって、セクションを走査することは、第1の方向に平行な方向にサンプルを移動させることと、好ましくは第1の方向に対して傾斜した、第2の方向に平行な方向において、サンプル表面に対してマルチビームを移動させてセクションを走査することとを含む、制御することと、同じ移動を使用して、先に走査されたセクションに隣接する次のセクションを走査することとを含む方法。
【0189】
[0206] 条項37:荷電粒子評価システムであって、サンプルを支持するように構成されたサンプルサポートと、荷電粒子の複数のサブビームをマルチビーム構成でサンプル表面の一部に投影するように構成された荷電粒子デバイスであって、一部は、マルチビーム構成の視野に対応し、各サブビームは、一部の下位部分に割り当てられ、各下位部分は、マルチビーム構成の対応するサブビームの視野に対応し、下位部分は、第1の方向において視野にわたって延び、下位部分のサンプル表面のエリアを含むエリアを一緒に有する複数の細長い領域を含み、各細長い領域は、細長い領域内に配置された複数のセクションを含み、細長い領域は、任意選択的に、第1の方向に対して斜めの又は垂直な方向において同様の寸法を有する、荷電粒子デバイスと、サンプルが、第1の方向に平行な方向に移動し、マルチビームが、好ましくは第1の方向に対して傾斜する、第2の方向に平行な方向においてサンプル表面に対して移動し、各セクションが、走査された後、先に走査されたセクションになり、先に走査されたセクションに隣接する次のセクションが同じ移動を使用して走査されるように、各下位部分内のセクションを走査するようにマルチビームのサブビームが制御されるように、サンプルサポート及び荷電粒子デバイスを制御するように構成されたコントローラとを含む荷電粒子評価システム。
【0190】
[0207] 条項38:荷電粒子評価システムであって、サンプル表面を有するサンプルを支持するサンプルサポートと、荷電粒子のサブビームのマルチビームをサンプル表面に向けるように構成された荷電粒子デバイスであって、荷電粒子デバイスのマルチビーム出力領域に対応するサンプル表面の一部は、サンプル表面に面する、荷電粒子デバイスとを含み、一部がマルチビームのサブビームによって走査されるようにサンプルサポート及び荷電粒子デバイスを制御するように構成され、一部の下位部分は、各サブビームに割り当てられ、システムは、第1の方向に対して斜めの又は垂直な方向においてサンプルを連続ステップで変位させ、各ステップにおいて、各サブビームが、第1の方向に平行な方向において対応する下位部分のセクションにわたって走査するように、第1の方向に平行な方向においてサンプルを各ステップで移動させるようにサンプルサポートを制御するように構成され、第1の方向に平行な方向における対応する下位部分は、複数のセクションを含み、システムは、第1の方向に平行な方向におけるサンプルの移動中、第2の方向に平行な方向においてサンプル表面にわたってマルチビームを繰り返し走査するように荷電粒子デバイスを制御するように構成され、システムは、第1の方向に平行な方向において下位部分に沿った複数のセクション又は続く連続ステップの何れかである更なるセクションを走査するように構成される、荷電粒子評価システム。
【0191】
[0208] 本発明について種々の実施形態に関連して説明したが、本発明の他の実施形態は、本明細書に開示される本発明の記載及び実施を考慮して当業者に明らかになるであろう。使用及び例が例示としてのみ見なされ、本発明の真の範囲及び趣旨が以下の特許請求の範囲によって示されることが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチビームをサンプル表面上に投影するための荷電粒子デバイスを使用して、荷電粒子のサブビームの前記マルチビームを使用してサンプルを処理する方法であって、順に、
(a)前記荷電粒子デバイスを使用しながら、第1の方向に平行な方向に前記サンプルを移動させて、第2の方向に平行な方向において前記サンプル表面に対して前記マルチビームを繰り返し移動させ、それにより前記第1の方向に平行な前記方向において及び前記第2の方向に平行な前記方向において繰り返し各サブビームを走査して、前記サブビームで前記サンプル表面上の複数の細長い領域の1つのセクションを処理することであって、(a)における前記サンプルの移動の距離は、前記第1の方向における、前記マルチビーム中の前記サブビームの、前記サンプル表面でのピッチの2分の1以下である、ことと、
(b)前記第1の方向に対して斜めの又は垂直な方向に前記サンプルを変位させることと、
(c)ステップ(a)を繰り返して、各サブビームで前記複数の細長い領域のうちの更なる細長い領域のセクションを処理することと、
(d)ステップ(b)及び(c)を複数回繰り返して、各サブビームで前記複数の細長い領域のうちの更なるそれぞれの細長い領域のセクションを処理することと、
(e)各サブビームについて、前記細長い領域の一連の未処理セクションに対してステップ(a)~(d)を繰り返すことであって、前記一連の未処理セクションは、ステップ(a)における前記移動と平行な方向において、前記サブビームによって先に処理されたそれぞれの細長い領域の対応する一連のセクションに隣接する、ことと
を含む方法。
【請求項2】
(a)における、前記荷電粒子デバイスによる前記サンプル表面に対する前記マルチビームの、前記第2の方向に平行な前記方向の前記移動の最大範囲は、前記マルチビーム中の前記サブビームの、前記サンプル表面での最小ピッチの実質的に半分以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(a)における前記サンプルの移動の前記距離は、前記第1の方向における、前記マルチビーム中の前記サブビームの、前記サンプル表面での前記ピッチを整数で除したものに実質的に等しい、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(e)は、1回又は複数回実施され、及び前記結果として生じる複数の処理されたセクションは、前記複数の細長い領域を覆い、前記処理された複数の細長い領域は、各サブビームのサブビーム処理エリアを画定する、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
(b)における前記サンプルの変位の距離は、各サブビーム処理エリアにおける前記細長い領域が互いに部分的に重なるか、互いに連続するか、又は閾値間隙未満だけ互いに離間されるようなものである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
各サブビームは、それぞれのサブビーム処理エリアを処理し、及び前記結果として生じる複数のサブビーム処理エリアは、互いに対して重なり及び/又は連続する、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(a)~(e)後、順に、
(f)前記マルチビーム中の前記サブビームの、前記サンプル表面でのピッチの少なくとも2倍に等しい距離だけ前記サンプルを変位させるステップと、
(g)(a)~(e)を繰り返すステップと
を実施することを更に含む、請求項
4に記載の方法。
【請求項8】
(a)~(e)の1回の実施は、サブビーム処理エリアの第1のグループを画定し、及びステップ(g)は、前記サブビーム処理エリアの第1のグループと重なり及び/又は連続するサブビーム処理エリアの第2のグループを形成する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記荷電粒子デバイスのフットプリントは、(a)~(e)の実施からの前記サブビーム処理エリアの全てを囲む、前記サンプル表面上の最小境界ボックスとして画定され、
(f)における前記サンプルの変位の前記距離は、実質的に、前記移動の前記方向に平行な前記フットプリントの寸法以上である、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(e)は、1~9回繰り返される、請求項
4に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(a)は、前記サンプルの第1の処理領域が前記荷電粒子デバイスの出力部に面する位置から、更なる処理領域が前記荷電粒子デバイスの前記出力部に面する位置又はそれぞれの更なる処理領域が前記荷電粒子デバイスの前記出力部に面する複数の位置の各々に前記サンプルをステッピングすることと、前記荷電粒子デバイスを使用しながら、前記第1の方向に平行な方向における前記サンプルの前記移動を各位置で繰り返して、前記第2の方向に平行な前記方向において前記サンプル表面に対して前記マルチビームを繰り返し移動させ、それにより前記又はそれぞれの更なる処理領域において、各サブビームで前記サンプル表面上の複数の細長い領域の1つのセクションを処理することとを更に含み、及び
ステップ(b)は、前記サンプルを変位させて、前記第1の処理領域が前記荷電粒子デバイスの前記出力部に面する前記位置に前記サンプルを戻して位置決めすることを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項12】
前記サンプル表面の異なるセクションの処理間にサンプルアライメント動作を実施することを更に含む、請求項
4に記載の方法。
【請求項13】
前記サンプルアライメント動作は、同じサブビーム処理エリアにおける異なるセクションの処理間に実施される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記サンプルアライメント動作は、前記サンプル上の参照マーカ又は前記サンプル上の参照パターンを検出することと、前記サンプルをアライメントして、前記参照マーカ又は参照パターンを前記荷電粒子デバイスに対してアライメントすることとを含む、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記サンプルアライメント動作は、ステップ(d)内のステップ(c)の異なる実施間に実施される、請求項12
又は13に記載の方法。
【国際調査報告】