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特表2025-503393電子光学デバイス、サブビームの特性の変動を補償する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】電子光学デバイス、サブビームの特性の変動を補償する方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/153 20060101AFI20250128BHJP
   H01J 37/09 20060101ALI20250128BHJP
   H01J 37/12 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
H01J37/153 B
H01J37/09 A
H01J37/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533974
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 EP2022082992
(87)【国際公開番号】W WO2023117277
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】21217583.0
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22163356.3
(32)【優先日】2022-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ウィーラント,マルコ,ジャン-ジャコ
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA03
5C101DD07
5C101EE03
5C101EE04
5C101EE08
5C101EE13
5C101EE14
5C101EE17
5C101EE19
5C101EE26
5C101EE59
5C101EE69
5C101FF02
5C101FF31
5C101FF32
5C101FF56
5C101GG04
5C101GG05
5C101GG36
(57)【要約】
電子光学デバイス及び関連する方法が開示される。一構成では、電子光学デバイスは、荷電粒子のサブビームのマルチビームをサンプルに投影する。複数のプレートが設けられ、その中に、それぞれのアパーチャアレイが画定される。プレートは、サブビームをサンプルに向かって投影するように構成された対物レンズアレイを備える。プレートのうちの少なくとも2つにおいて画定されるアパーチャアレイは各々が、サブビームの対応するターゲット特性に擾乱を印加するように構成された幾何学的特徴を有する。デバイスのパラメータの範囲にわたるターゲット特性の変動を印加された前記擾乱が一緒に実質的に補償するような幾何学的特徴、を有するプレートに印加されるポテンシャルをコントローラが制御する。
【選択図】 図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子のマルチビームをサンプルに投影するための電子光学デバイスであって、前記デバイスは、
複数のプレートであって、前記複数のプレート内にそれぞれのアパーチャアレイが画定され、前記複数のプレートは、前記マルチビームのサブビームを前記サンプルに向かって投影するように構成された対物レンズアレイを備え、前記アパーチャアレイは、前記プレートのうちの少なくとも2つのプレート内に画定され、各アパーチャアレイは、前記サブビームの対応するターゲット特性に擾乱を印加するように構成される幾何学的特徴を有する、複数のプレートと、
前記デバイスのパラメータの範囲にわたる前記ターゲット特性の変動を印加された前記擾乱が一緒に実質的に補償するような幾何学的特徴、を有する前記プレートに印加されるポテンシャルを印加及び制御するように構成されたコントローラと、
を備える、電子光学デバイス。
【請求項2】
前記プレートのうちの少なくとも2つのプレートにおいて画定された前記アパーチャアレイは各々が1つ以上の更なる幾何学的特徴を有し、前記更なる幾何学的特徴の各々が、前記サブビームの対応する更なるターゲット特性に擾乱を印加するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
異なるアパーチャアレイが、前記幾何学的特徴により、少なくとも前記ターゲット特性に対応する擾乱に対して、前記範囲にわたって前記パラメータの関数として異なって変動する擾乱を印加するように構成される、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記コントローラは、少なくとも前記ターゲット特性に対応する擾乱に対して、前記アパーチャアレイのうちの少なくとも2つにより印加される擾乱が、前記パラメータの前記範囲の少なくとも一部にわたって互いに相殺するように、前記印加されるポテンシャルを制御するように構成される、請求項1~3の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記コントローラは、少なくとも前記ターゲット特性に対応する擾乱に対して、前記パラメータの前記範囲の少なくとも一部にわたって、前記アパーチャアレイのうちの少なくとも2つにより印加される擾乱が累積的に寄与するように、前記印加されるポテンシャルを制御するように構成される、請求項1~4の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記プレートのうちの3つにおいて画定される前記アパーチャアレイは前記幾何学的特徴を有し、前記コントローラは、前記デバイスのパラメータの前記範囲にわたって、前記ターゲット特性の前記変動を印加されたそれぞれの前記擾乱が一緒に実質的に補償するように、前記プレートのうちの前記3つの全てにポテンシャルを印加し制御するように構成される、請求項1~5の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記複数のプレートのアップビーム側に変動電子光学デバイスを更に備え、前記変動電子光学デバイスは、前記サンプルに向けられた前記荷電粒子に電子光学擾乱を印加するように構成され、前記擾乱は、少なくとも前記サブビームの前記ターゲット特性に影響を及ぼすようなものである、請求項1~6の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記コントローラは、前記印加された電子光学擾乱と、前記アパーチャアレイにより印加されたそれぞれの前記擾乱とが、前記デバイスの前記パラメータの前記範囲にわたって、前記ターゲット特性の前記変動を一緒に実質的に補償するように、前記変動電子光学デバイスを制御するように構成される、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記印加された電子光学擾乱は、補償されるべき、前記ターゲット特性の前記変動の少なくとも一部を形成する、請求項7又は8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記デバイスは、前記変動電子光学デバイスのアップビーム側にビーム制限アパーチャアレイを備え、前記ビーム制限アパーチャアレイは前記サブビームを生成するように構成される、請求項7~9の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記変動電子光学デバイスは、マクロ電子光学デバイスである、及び/又はグループとしての複数のサブビームに対応する荷電粒子に作用するように構成される、請求項7~10の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記変動電子光学デバイスは、好ましくは前記サブビーム中の荷電粒子に作用して、前記サブビームに対応する前記荷電粒子をコリメートするように構成されたコリメータである、及び/又はコンデンサーレンズである、請求項7~11の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記コリメータは、巨視的なコリメーションを適用するように構成されたマクロコリメータを含む、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記幾何学的特徴は、前記2つ以上のプレートの前記アパーチャアレイに対するハードコード化された補正であり、楕円率、直径、及び規則格子からの変位のうちの1つ以上を含む、請求項1~13の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記アパーチャアレイにおける異なるアパーチャに適用される補正フィーチャ間の前記変動が、それぞれの前記アパーチャアレイにおける前記アパーチャの場所に依存する、請求項14に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年12月23日に出願された欧州特許出願第21217583.0号、及び2022年3月21日に出願された欧州特許出願第22163356.3号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002] 本明細書で提供される実施形態は、デバイスの動作構成の範囲にわたって電子光学デバイスのサブビームの特性の変動を補償することに関する。
【0003】
[0003] 半導体集積回路(IC)チップを製造する際、例えば光学効果及び偶発的粒子の結果として、望ましくないパターン欠陥が製作プロセス中に基板(即ちウェーハ)又はマスク上で不可避的に生じ、それにより歩留まりが低下する。従って、望ましくないパターン欠陥の程度をモニタリングすることは、ICチップの製造において重要なプロセスである。より一般的には、基板又は他の物体/材料の表面の検査及び/又は測定は、その製造中及び/又は製造後において重要なプロセスである。
【0004】
[0004] 荷電粒子ビームによるパターン検査ツールは、サンプルと呼ばれ得る物体を検査するために、例えばパターン欠陥を検出するために使用されている。これらのツールは、一般的に、走査電子顕微鏡(SEM)などの電子顕微鏡法技術を使用する。SEMでは、比較的高いエネルギーの電子の一次電子ビームが、比較的低い着地エネルギーでサンプル上に着地するために、最終減速ステップでターゲットにされる。電子ビームは、サンプル上にプロービングスポットとして集束される。プロービングスポットにおける材料構造と、電子ビームからの着地電子との相互作用により、二次電子、後方散乱電子又はオージェ電子などの信号電子が表面から放出される。信号電子は、サンプルの材料構造から放出され得る。サンプル表面にわたり、プロービングスポットとして一次電子ビームを走査することにより、サンプルの表面にわたって信号電子を放出させることができる。サンプル表面からのこれらの放出された信号電子を収集することにより、パターン検査ツールは、サンプルの表面の材料構造の特徴を表す画像を取得し得る。電子光学デバイスは、収差を低減させる補正フィーチャを備えることができる。補正フィーチャは、例えば、電子ビームが通過する、プレート内に画定されるアパーチャアレイのアパーチャの形状、サイズ及び/又は位置の変動であり得る。アパーチャアレイのそのようなアパーチャは、名目上は均一であり、少なくとも同様の形状及びサイズを有し、名目上は規則的なアレイの格子点に配置され得る。補正フィーチャは、例えばアパーチャアレイにおけるアパーチャの場所に応じて、アパーチャの形状及び/又はサイズを変動、調整、又は擾乱させることができ、及び/又は規則的なアレイの格子点に対してアパーチャの位置を変動、調整、又は擾乱させることができる。したがって、アパーチャアレイにおける異なるアパーチャに適用される補正フィーチャ間の変動が、アパーチャアレイにおけるアパーチャの場所に依存する。
【0005】
[0005] そのような補正フィーチャは、アパーチャアレイのアパーチャの幾何学的特徴であると考えることができる。補正フィーチャはアパーチャの構造的形状を調整するので、ハードコード化された補正と呼ばれる場合がある。ハードコード化された補正は、アパーチャアレイを画定するプレートに適用されるポテンシャルを制御することにより実装される補正フィーチャと対比することができる。そのようなハードコード化された補正は、容易に変更することができず、全ての状況において最適であるとは限らない。ハードコード化された補正を、より広い範囲のシナリオにおいて効果的にできることが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 荷電粒子ビームの制御を改善することが本開示の目的である。
【0007】
[0007] 本発明の一態様によれば、荷電粒子のサブビームのマルチビームをサンプルに投影するように構成された電子光学デバイスが提供され、デバイスは、複数のプレートであって、複数のプレート内にそれぞれのアパーチャアレイが画定され、複数のプレートは、サブビームをサンプルに向かって投影するように構成された対物レンズアレイを備え、アパーチャアレイは、プレートのうちの少なくとも2つのプレート内に画定され、各アパーチャアレイは、サブビームの対応するターゲット特性に擾乱を印加するように構成される幾何学的特徴を有する、複数のプレートと、デバイスのパラメータの範囲にわたるターゲット特性の変動を印加された擾乱が一緒に実質的に補償するような幾何学的特徴、を有するプレートに印加されるポテンシャルを印加及び制御するように構成されたコントローラと、を備える。
【0008】
[0008] 本発明の一態様によれば、サンプルに投影されるマルチビーム中の荷電粒子のサブビームの特性の変動を補償する方法が提供され、方法は、サブビームをサンプル向けて投影するために複数のプレートを使用することであって、プレートは、それぞれのアパーチャアレイを画定し、サブビームをサンプルに向かって投影するための対物レンズアレイを含み、プレートのうちの少なくとも2つにおいて画定されるアパーチャアレイは各々が、サブビームの対応するターゲット特性に擾乱を印加するように構成された幾何学的特徴を有する、使用することと、デバイスのパラメータの範囲にわたるターゲット特性の変動を印加された擾乱が一緒に実質的に補償するような幾何学的特徴、を有するプレートに印加されるポテンシャルを制御することと、を含む。
【0009】
[0009] 本発明の一態様によれば、サンプルに投影されるマルチビーム中の荷電粒子のサブビームの特性の変動を、それぞれのアパーチャアレイが画定されている複数のプレートを備える電子光学デバイスにおいて補償する方法が提供され、複数のプレートは対物レンズアレイを備え、プレートのうちの少なくとも2つにおいて画定されるアパーチャアレイは幾何学的特徴を有し、方法は、幾何学的特徴を有するアパーチャアレイを有するプレートを用いてサブビームに作用することにより、サブビームをサンプルに向かって投影することであって、動作させることは、それぞれのプレートを用いてサブビームのターゲット特性に擾乱を印加することを含む、投影することと、アパーチャプレートにポテンシャルを印加することと、デバイスのパラメータの範囲にわたって、印加された擾乱がターゲット特性の変動を一緒に実質的に補償するように、ポテンシャル制御することと、を含む。
【0010】
[0010] 本開示の上記及び他の態様は、添付の図面と併せた例示的な実施形態の説明からより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[0011]例示的な荷電粒子ビーム検査装置を示す概略図である。
図2】[0012]図1の例示的な荷電粒子ビーム検査装置の一部である例示的なマルチビーム装置を示す概略図である。
図3】[0013]集光レンズアレイを含む例示的な電子光学コラムの概略図である。
図4】[0014]例示的な配置の着地エネルギー対解像度のグラフである。
図5】[0015]対物レンズ及び制御レンズの拡大線図である。
図6】[0016]例示的な配置の対物レンズアレイの一部分の概略断面図である。
図7】[0017]図6の対物レンズアレイの一部の底面図である。
図8】[0018]図6の対物レンズアレイの一部の修正版の底面図である。
図9】[0019]図6の対物レンズに組み込まれた検出器の拡大概略断面図である。
図10】[0020]マクロコリメータ及びマクロ走査偏向器を含む例示的な電子光学デバイスの概略図である。
図11】[0021]像面湾曲などのオフアクシス収差を補償するための様々なアパーチャエリアの範囲を有するアパーチャを有するアパーチャアレイを画定するプレートの一部分の上面図である。
図12】[0022]非点収差などのオフアクシス収差を補償するためのある範囲の様々な楕円率を有するアパーチャを有するアパーチャアレイを画定するプレートの一部分の上面図である。
図13】[0023]テレセントリック性誤差により引き起こされる歪などのオフアクシス収差を補償するための名目位置に対して変位されたアパーチャを有するアパーチャアレイを画定するプレートの一部分の上面図である。
図14】[0024]電子光学デバイスの制御レンズアレイ及び対物レンズアレイの一部分の概略断面図である。
図15】[0025]ビーム分離器を備える例示的な電子光学デバイスの概略図である。
図16】[0026]電極歪(撓み)を示す対物レンズアレイ内の電極の一部分の概略断面図である。
図17】[0027]2つの異なる着地エネルギーに対する最小解像度の曲線を示す、ビーム電流対解像度のグラフである。
図18】[0028]システムの8つの異なる物理的構成の各々に対する、図17のグラフであり、着地エネルギーが、固定画像平面を用いて、最小解像度において、2.5keVから1keVまで段階的に変えられた曲線が追加で示される。
図19】[0029]図18のグラフに、電子光学デバイスの物理的構成のうちの1つ(すなわち、1セットのハードコード化された補正)に対する、固定画像平面位置における段階的な着地エネルギーの曲線と、(対物レンズアレイアセンブリのプレートに印加されるポテンシャルを制御することにより)縮小率を制御することにより実現されたビーム電流の変動を示す追加の曲線とを加えたものである。
図20】[0030]サブビーム特性に擾乱を印加するように構成される幾何学的特徴を有するプレートと、プレートのアップビーム側の変動電子光学デバイスとを備える、電子光学デバイスの概略側面図である。
図21】[0031]アパーチャ楕円率(Elli)の変化に対する非点収差(Ast)の感度(Ast/Elli)が、着地エネルギー(LE)の範囲にわたって様々なプレートに対してどのように変化するかを示すグラフである。
図22】[0032]非点収差による焦点ぼけ(焦点ぼけ(Ast))が、着地エネルギー(LE)の関数としてどのように変動するかを、補償のために使用されるプレートの3つの異なる組合せに対して示すグラフである。
図23】[0033]アパーチャ楕円率(Elli)の変化に対する非点収差(Ast)の感度(Ast/Elli)が、様々なプレートに対してどのように変化するかを、線形縮小率と角度縮小率との比率(M/Mα)の範囲にわたって示すグラフである。
図24】[0034]アパーチャ直径(直径)の変化に対する、像面湾曲に起因する焦点ぼけ(焦点ぼけ)の感度(焦点ぼけ/直径)が、様々なプレートに対してどのように変化するかを、線形縮小率と角度縮小率との比率(M/Mα)の範囲にわたって示すグラフである。
図25】[0035]非点収差による焦点ぼけ(焦点ぼけ(Ast))が、線形縮小率と角度縮小率との比率の関数としてどのように変動するかを、補償のために使用されるプレートの3つの異なる組合せに対して示すグラフである。
図26】[0036]図25のグラフで単一プレートのケースを省略し、それにより2つのプレートを使用する補償の性能を3つのプレートを使用する補償の性能と比較しているグラフである。
図27】[0037]収差を補償するための幾何学的特徴を有する複数のプレートの使用した及び使用しない実装形態において、縮小率を変動させることによりビーム電流を変動させた場合に、最適な解像度がビーム電流の関数としてどのように変動するかを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0038] ここで、例示的な実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。以下の説明は、添付の図面を参照し、別段の表示がない限り、異なる図面における同一の番号は、同一又は類似の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明に記載される実装形態は、本発明と一致するすべての実装形態を表すわけではない。代替的に、それらの実装形態は、添付の請求項において記述されるように、本発明に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例である。
【0013】
[0039] デバイスの物理的サイズを減少させる、電子デバイスの計算能力の向上は、ICチップ上のトランジスタ、キャパシタ、ダイオードなどの回路コンポーネントの実装密度を大幅に増加させることによって達成することができる。これは、さらに小さい構造の作製を可能にする分解能の向上によって可能にされてきた。例えば、親指の爪の大きさであり、2019年以前に利用可能なスマートフォンのICチップは、20億を超えるトランジスタを含むことができ、各トランジスタのサイズは、人間の毛髪の1/1000未満である。従って、半導体IC製造が、数百の個々のステップを有する、複雑で時間のかかるプロセスであることは、驚くべきことではない。1つのステップのエラーであっても、最終製品の機能に劇的に影響を与え得る。1つのみの「致命的欠陥」がデバイスの故障を生じさせ得る。製造プロセスの目標は、プロセスの全体的な歩留まりを向上させることである。例えば、50のステップを有するプロセス(ここで、ステップは、ウェーハ上に形成される層の数を示し得る)に関して75%の歩留まりを得るために、個々のステップは、99.4%を超える歩留まりを有しなければならない。個々のそれぞれのステップが95%の歩留まりを有した場合、全体的なプロセス歩留まりは、7%と低い。
【0014】
[0040] ICチップ製造設備において、高いプロセス歩留まりが望ましい一方、1時間当たりに処理される基板の数と定義される高い基板(即ちウェーハ)スループットを維持することも必須である。高いプロセス歩留まり及び高い基板スループットは、欠陥の存在による影響を受け得る。これは、欠陥を調査するためにオペレータの介入が必要な場合に特に当てはまる。従って、検査ツール(走査電子顕微鏡(「SEM」)など)によるマイクロスケール及びナノスケール欠陥の高スループット検出及び識別は、高い歩留まり及び低いコストを維持するために必須である。
【0015】
[0041] SEMは、走査デバイス及び検出器装置を含む。走査デバイスは、一次電子を発生させるための電子源を含む照明装置と、一次電子の1つ又は複数の集束ビームで基板などのサンプルを走査するための投影装置とを含む。共に、少なくとも照明装置又は照明システム及び投影装置又は投影システムは、合わせて電子光学デバイス又はコラムと呼ばれ得る。一次電子は、サンプルと相互作用し、二次電子を発生させる。検出装置は、SEMがサンプルの走査エリアの画像を生成できるように、サンプルが走査されるとき、サンプルからの二次電子を捕捉する。高スループットの検査のために、検査装置の一部は、一次電子の複数の集束ビーム、即ちマルチビームを使用する。マルチビームの成分ビームは、サブビーム又はビームレットと呼ばれ得る。マルチビームは、サンプルの異なる部分を同時に走査することができる。従って、マルチビーム検査装置は、単一ビーム検査装置よりもはるかに高速でサンプルを検査することができる。
【0016】
[0042] 既知のマルチビーム検査装置の実装形態を以下に説明する。
【0017】
[0043] 図面は概略的である。従って図面内の構成要素の相対寸法は明瞭化のために誇張される。図面の以下の説明では、同じ又は同様な参考番号は同じ又は同様な構成要素又はエンティティを指し、そして個々の実施形態に対する差だけが説明される。説明及び図面は、電子光学装置を対象とするが、実施形態は、本開示を特定の荷電粒子に限定するために使用されないことが理解される。従って、本明細書全体を通して、電子への言及は、より一般的に荷電粒子への言及であると見なすことができ、荷電粒子は、必ずしも電子ではない。
【0018】
[0044] ここで、荷電粒子ビーム評価システム又は単に評価システムとも呼ばれ得る例示的な荷電粒子ビーム検査装置100を示す概略図である図1を参照する。図1の荷電粒子ビーム検査装置100(又は荷電粒子装置)は、メインチャンバ10、装填ロックチャンバ20、電子ビームツール40、機器フロントエンドモジュール(EFEM)30及びコントローラ50を含む。電子ビームツール40は、メインチャンバ10内に位置する。
【0019】
[0045] EFEM30は、第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bを含む。EFEM30は、追加的な1つ又は複数の装填ポートを含み得る。第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bは、例えば、基板(例えば、半導体基板若しくは他の材料でできている基板)又は検査対象のサンプル(以降では、基板、ウェーハ及びサンプルは、まとめて「サンプル」と呼ばれる)を収容する基板前面開口式一体型ポッド(FOUP)を受け取り得る。EFEM30内の1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)は、サンプルを装填ロックチャンバ20に運ぶ。
【0020】
[0046] 装填ロックチャンバ20は、サンプルの周囲の気体を取り除くために使用される。これは、周囲環境の圧力より低い局所気体圧力である真空を生じさせる。装填ロックチャンバ20は、装填ロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続され得、装填ロック真空ポンプシステムは、装填ロックチャンバ20内の気体粒子を取り除く。装填ロック真空ポンプシステムの動作により、装填ロックチャンバが、大気圧を下回る第1の圧力に達することが可能になる。第1の圧力に達した後、1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)が装填ロックチャンバ20からメインチャンバ10にサンプルを運ぶ。メインチャンバ10は、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続される。メインチャンバ真空ポンプシステムは、サンプルの周囲の圧力が、第1の圧力を下回る第2の圧力に達するように、メインチャンバ10内の気体粒子を取り除く。第2の圧力に達した後、サンプルは、電子ビームツールに運ばれ、サンプルは、電子ビームツールによって検査され得る。電子ビームツール40は、マルチビーム電子光学装置を含み得る。
【0021】
[0047] コントローラ50は、電子ビームツール40に電子的に接続される。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査装置100を制御するように構成されたプロセッサ(コンピュータなど)であり得る。コントローラ50は、様々な信号及び画像処理機能を実行するように構成された処理回路も含み得る。図1では、コントローラ50は、メインチャンバ10、装填ロックチャンバ20及びEFEM30を含む構造の外部のものとして示されているが、コントローラ50は、構造の一部であり得ることが理解される。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査装置のコンポーネント要素の1つの内部に位置し得るか、又はコントローラ50は、コンポーネント要素の少なくとも2つに分散され得る。本開示は、電子ビーム検査ツールを収納するメインチャンバ10の例を提供するが、本開示の態様は、広い意味において、電子ビーム検査ツールを収納するチャンバに限定されないことに留意されたい。むしろ、前述の原理は、第2の圧力下で動作する装置の他のツール及び他の配置にも適用できることが理解される。
【0022】
[0048] 次に、図1の例示的な荷電粒子ビーム検査装置100の一部であるマルチビーム検査ツールを含む例示的な電子ビームツール40を示す概略図である図2を参照する。マルチビーム電子ビームツール40(本明細書では装置40とも呼ばれる)は電子源201、投影装置230、電動ステージ209(又はステージ)、及びサンプルホルダ207を含む。電子源201及び投影装置230はまとめて照明装置と呼ばれ得る。サンプルホルダ207は、検査のためにサンプル208(例えば、基板又はマスク)を保持するように電動又は作動式ステージ209により支持される。マルチビーム電子ビームツール40はさらに電子検出デバイス240を含む。
【0023】
[0049] 電子源201は、カソード(図示せず)及び抽出器又はアノード(図示せず)を含み得る。動作中、電子源201は、一次電子として電子をカソードから放出するように構成される。一次電子は、抽出器及び/又はアノードによって抽出又は加速されて、一次電子ビーム202を形成する。
【0024】
[0050] 投影装置230は、一次電子ビーム202を複数のサブビーム211、212、213に変換し、各サブビームをサンプル208上に導くように構成される。簡潔にするために3つのサブビームが示されているが、何十、何百、何千又は何十万(又はそれ以上)ものサブビームが存在し得る。サブビームは、ビームレットと呼ばれ得る。
【0025】
[0051] コントローラ50は、電子源201、電子検出デバイス240、投影装置230及び電動ステージ209など、図1の荷電粒子ビーム検査装置100の様々な部分に接続され得る。コントローラ50は、様々な画像及び信号処理機能を行い得る。コントローラ50は、荷電粒子マルチビーム装置を含む荷電粒子ビーム検査装置の動作を制御するための様々な制御信号を生成することもできる。
【0026】
[0052] 投影装置230は、検査のためにサブビーム211、212及び213をサンプル208上に集束するように構成され得、サンプル208の表面上に3つのプローブスポット221、222及び223を形成し得る。投影装置230は、サンプル208の表面のセクション内の個々の走査エリアにわたってプローブスポット221、222及び223を走査するために、一次サブビーム211、212及び213を偏向させるように構成され得る。サンプル208上のプローブスポット221、222及び223上への一次サブビーム211、212及び213の入射に応答して、信号粒子と呼ばれ得る二次電子及び後方散乱電子を含む電子がサンプル208から生成される。二次電子は一般的に50eV以下の電子エネルギーを有し、後方散乱電子は一般的に50eVと一次サブビーム211、212及び213の着地エネルギーとの間の電子エネルギーを有する。
【0027】
[0053] 電子検出デバイス240は二次電子及び/又は後方散乱電子を検出するようにそして対応信号を生成するように構成され、これらの信号はコントローラ50又は信号処理システム(図示せず)へ送信される(例えばサンプル208の対応走査エリアの画像を構築するために)。電子検出デバイスは投影装置に組み込まれ得る又はそれから分離し得、2次光学コラムが二次電子及び/又は後方散乱電子を電子検出デバイスへ誘導するように設けられる。
【0028】
[0054] コントローラ50は、画像取得器(図示せず)及びストレージデバイス(図示せず)を含む画像処理システムを含み得る。例えば、コントローラは、プロセッサ、コンピュータ、サーバ、メインフレームホスト、端末、パーソナルコンピュータ、任意の種類のモバイルコンピューティングデバイスなど、又はそれらの組み合わせを含み得る。画像取得器は、コントローラの処理機能の少なくとも一部を含み得る。従って、画像取得器は、少なくとも1つ又は複数のプロセッサを含み得る。画像取得器は、数ある中でも特に、導電体、光ファイバケーブル、ポータブル記憶媒体、IR、Bluetooth、インターネット、ワイヤレスネットワーク、ワイヤレス無線機又はこれらの組み合わせなど、信号通信を可能にする装置40の電子検出デバイス240に通信可能に結合され得る。画像取得器は、電子検出デバイス240から信号を受信し、信号に含まれるデータを処理し、そこから画像を構築することができる。従って、画像取得器は、サンプル208の画像を取得することができる。画像取得器は、輪郭の生成及び取得画像へのインジケータの重畳などの様々な後処理機能を行うこともできる。画像取得器は、取得画像の明度及びコントラストなどの調整を行うように構成され得る。ストレージは、ハードディスク、フラッシュドライブ、クラウドストレージ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、他のタイプのコンピュータ可読メモリなどの記憶媒体であり得る。ストレージは、画像取得器と結合され得、走査された生の画像データをオリジナルの画像として保存するか、又は後処理された画像を保存するために使用され得る。
【0029】
[0055] 画像取得器は、電子検出デバイス240から受信された撮像信号に基づきサンプルの1つ又は複数の画像を取得し得る。撮像信号は荷電粒子撮像を行うための走査動作に対応し得る。取得された画像は複数の撮像エリアを含む単一画像であり得る。単一画像はストレージデバイス内に格納され得る。単一画像は複数の領域に分割され得る元画像であり得る。これらの領域の各々は、サンプル208のフィーチャを含む1つの撮像エリアを含み得る。取得された画像は、一定期間にわたって複数回サンプリングされたサンプル208の単一撮像エリアの複数の画像を含み得る。この複数の画像はストレージデバイス内に格納され得る。コントローラ50は、サンプル208の同じ場所の複数の画像を用いて画像処理工程を行うように構成され得る。
【0030】
[0056] コントローラ50は、検出された二次電子の分布を得るために、測定回路(例えば、アナログ-デジタル変換器)を含み得る。検出時間窓の間に収集された電子分布データは、サンプル表面に入射した一次サブビーム211、212及び213の各々の対応する走査パスデータと組み合わせて、検査中のサンプル構造の画像を再構築するために使用することができる。再構築された画像は、サンプル208の内部又は外部の構造の様々なフィーチャを明らかにするために使用することができる。従って、再構築された画像は、サンプルに存在し得るいかなる欠陥も明らかにするために使用することができる。
【0031】
[0057] コントローラ50は、サンプル208の検査中にサンプル208を移動させるように電動ステージ209(又はステージ)を制御することができる。コントローラ50は、電動ステージ209が、少なくともサンプルの検査中、好ましくは継続的に例えば一定の速度である方向にサンプル208を移動させることを可能にし得る。コントローラ50は、電動ステージ209が、様々なパラメータに依存するサンプル208の移動の速度を変えるように、電動ステージ209の移動を制御することができる。例えば、コントローラは、少なくともステージの組み合わされたステップ/スキャン戦略に関する限り、例えば本明細書に援用される2021年5月3日に出願された欧州特許出願公開第A21171877.0号で開示されるように、走査プロセスの検査工程及び/又は走査の特徴に応じてステージ速度(その方向を含む)を制御し得る。
【0032】
[0058] 図3は、評価システムで使用される例示的な電子光学コラムの概略図である。この電子光学カラムは電子光学デバイスの一例である。図解を簡易にするために、レンズアレイは、本明細書では楕円形のアレイによって概略的に描写される。各楕円形状は、レンズアレイ内のレンズの1つを表す。楕円形状は、光学レンズで多くの場合に採用される両凸形状の類推により、レンズを表すために慣例的に使用される。しかし、本明細書で論述されるような荷電粒子配置に関連して、レンズアレイは、通常、静電的に動作するため、両凸形状を採用するいかなる物理的素子も必要としなくてよいことを理解されたい。以下に述べるように、レンズアレイは、代わりに、アパーチャを有する複数のプレートを含み得る。アパーチャを有する各プレートは、電極と呼ばれ得る。電極は、マルチビームのサブビームのサブビーム経路に沿って直列に設けられ得る。
【0033】
[0059] 電子源201は、投影デバイス230の一部を形成する集光レンズ231のアレイに向けて電子を誘導する。電子源は、望ましくは、輝度と全放出電流との間の良好な妥協点を有する高輝度熱場放出器である。何十、何百、又は何千又はさらには何万もの集光レンズ231が存在し得る。集光レンズのアレイ231は、多電極レンズを含み得、そして特に電子ビームを複数のサブビームに分割するためのレンズアレイ(サブビーム毎に1つのレンズを提供する)の開示を参照により本明細書に援用する欧州特許出願公開第1602121A1号に基づく構造を有し得る。集光レンズアレイは、電極として働く少なくとも2つ(好適には3つ)のプレートの形式を取り得、各プレート内のアパーチャはプレートを介したサブビームの経路を画定するために他のプレート内のアパーチャとアライメントされる。プレートの少なくとも2つは、所望のレンズ効果を実現するために、動作中に異なる電位に維持される。集光レンズアレイのプレート間には、例えばセラミック又はガラスなどの絶縁材で製作される電気的絶縁プレートがあり、サブビーム毎に1つ又は複数のアパーチャを有する。代替配置において、プレートの1つ又は複数は、それぞれが自らの電極を有するアパーチャであって、例えば、その周囲の周りに電極のアレイを有するか又は共通の電極を有するアパーチャの群として配置されるアパーチャを特徴とし得る。
【0034】
[0060] ある構成では、集光レンズアレイは、3つのプレートアレイから形成され、これらのプレートアレイでは、荷電粒子は、各レンズに入るときと、各レンズを出るときとで同じエネルギーを有し、この構成は、アインツェルレンズと呼ばれ得る。従って、分散は、アインツェルレンズ自体の内部(レンズの入口電極と出口電極との間)でのみ生じ、それによりオフアクシス色収差が制限される。集光レンズの厚さが薄い場合、例えば数mmである場合、そのような収差の影響は、小さいか又は無視できる。
【0035】
[0061] アレイ内の各集光レンズは、電子を、それぞれの中間焦点233において集束されるそれぞれのサブビーム211、212、213内に導く。コリメータ又はコリメータのアレイは、それぞれの中間焦点233上で動作するように位置決めされ得る。コリメータは、中間焦点233に設けられる偏向器235の形態を取り得る。偏向器235は、主光線(ビーム軸とも呼ばれ得る)がサンプル208にほぼ垂直に(即ちサンプルの公称表面に対してほぼ90°で)入射することを確実にするために、効果的な量だけそれぞれのビームレット211、212、213を曲げるように構成される。
【0036】
[0062] 偏向器235の下(即ち電子源201のダウンビーム側又は電子源201からより遠く)には、各サブビーム211、212、213の制御レンズ251を含む制御レンズアレイ250が存在する。制御レンズアレイ250は、例えば、好ましくは電極と接触する絶縁プレートを有する、電極間のそれぞれの電位源に接触する2つ以上、好ましくは少なくとも3つのプレート電極アレイを含み得る。プレート電極アレイの各々は、制御電極と呼ばれ得る。制御レンズアレイ250の機能は、ビームの縮小率に関してビーム開角度を最適化すること及び/又は対物レンズ234に送達されるビームエネルギーを制御することであり、対物レンズ234の各々は、それぞれのサブビーム211、212、213をサンプル208上に導く。
【0037】
[0063] 任意選択的に、走査偏向器260のアレイは、制御レンズアレイ250と、対物レンズ234のアレイ(対物レンズアレイ)との間に設けられる。走査偏向器260のアレイは、サブビーム211、212、213毎に1つの走査偏向器261を含む。各走査偏向器は、それぞれのサブビーム211、212、213をサンプル208全体にわたって一方向又は二方向に走査するように、サブビームを一方向又は二方向に偏向させるように構成される。
【0038】
[0064] 検出器の検出器モジュール402は、サンプル208から放射された信号電子/粒子を検出するために対物レンズ234とサンプル208との間に設けられる。このような検出器モジュール402の例示的な構成が以下に説明される。検出器は、対物レンズアレイ又はさらに制御レンズアレイの一次ビーム経路に沿ったアップビーム側に検出器素子を追加的又は代替的に有し得ることに留意されたい。
【0039】
[0065] 図3の電子光学デバイスは制御レンズ及び対物レンズの電極へ印加される電位を変えることによりサンプル上の電子の着地エネルギーを制御するように構成される。制御レンズ及び対物レンズは一緒に働き、そして対物レンズアセンブリと呼ばれ得る。着地エネルギーは、評価されているサンプルの性質に依存して二次電子の放出及び検出を増加させるように選択され得る。コントローラは着地エネルギーを所定範囲内の任意の所望値へ又は複数の所定値のうちの望ましい1つの所定値へ制御するように構成され得る。一実施形態では、着地エネルギーは所定範囲内(例えば1000eV~5000eV)の所望値へ制御され得る。図4は、ビーム開角度/縮小率が着地エネルギーを変動させるために再最適化されるということを仮定した着地エネルギーに応じた解像度を描写するグラフである。見て分かるように、評価ツールの解像度は、最小値LE_minまでの着地エネルギーの変化とともにほぼ一定に保たれ得る。解像度は、対物レンズ及び/又は検出器とサンプルとの間の最小間隔を維持するために対物レンズのレンズ強度及び対物レンズの内の電界を低減することが必要であるのでLE_min未満まで悪化する。交換可能モジュールが、以下にさらに論述されるように、また、着地エネルギーを変動させる又は制御するために採用され得る。
【0040】
[0066] 望ましくは、着地エネルギーは主として制御レンズを出る電子のエネルギーを制御することにより変動される。対物レンズ内の電位差は対物レンズ内の電界ができるだけ高いままであるようにこの変動中に一定に保たれることが好ましい。制御レンズへ印加される電位はビーム開角度及びビーム縮小率を最適化するために使用され得る。制御レンズはまた、着地エネルギーの変化を考慮して焦点位置を補正するように機能し得るので再集束レンズと呼ばれ得る。望ましくは、各制御レンズは以下にさらに論述されるように2つの独立制御変数を提供するように3つの電極を含む。例えば、電極の1つは縮小率を制御するために使用され得る一方で異なる電極は着地エネルギーを独立に制御するために使用され得る。代替的に、各制御レンズは2つの電極だけを有し得る。対照的に、2つの電極だけが存在する場合、電極の1つは縮小率及び着地エネルギーの両方を制御する必要があり得る。
【0041】
[0067] 図5は、対物レンズアレイの1つの対物レンズ300及び制御レンズアレイ250の1つの制御レンズ600の拡大概略図である。対物レンズ300は10より大きい係数(望ましくは50~100以上の範囲内の)だけ電子ビームを縮小するように構成され得る。対物レンズは中央又は第1の電極301、下側又は第2の電極302及び上側又は第3の電極303を含む。電圧源V1、V2、V3はそれぞれ電位を第1、第2、第3の電極へ印加するように構成される。別の電圧源V4が第4の電位(グランド電位であり得る)を印加するためにサンプルへ接続される。電位はサンプル208に対して定義され得る。第1、第2及び第3の電極は各々それぞれのサブビームがその中を伝播するアパーチャを備える。第2の電位はサンプルの電位と同様(例えばサンプルより正に50V~200Vの範囲内)であり得る。代替的に、第2の電位はサンプルに対して約+500V~約+1,500Vの範囲内にあり得る。より高い電位は、検出器モジュール402が最低電極より光学コラム内でより高ければ、役立つ。第1及び/又は第2の電位は焦点補正を達成するためにアパーチャ毎又は一群のアパーチャ毎に変動され得る。
【0042】
[0068] 望ましくは、一実施形態では第3の電極は省略される。2つだけの電極を有する対物レンズはより多くの電極を有する対物レンズより低い収差を有し得る。3電極対物レンズは電極間のより大きな電位差を有し得るのでより強力なレンズを可能にし得る。追加電極(即ち3つ以上の電極)は、例えば入射ビームだけでなく二次電子も集束させるために、電子軌道を制御するための追加の自由度を提供する。
【0043】
[0069] 上述のように、着地エネルギーを判断するために制御レンズを使用することが望ましい。しかし、着地エネルギーを制御するために対物レンズ300を追加で使用することが可能である。このような場合、対物レンズ全体にわたる電位差は、異なる着地エネルギーが選択される場合は変更される。対物レンズ全体にわたる電位差を変更することにより着地エネルギーを部分的に変更することが望ましい状況の一例は、サブビームの焦点が対物レンズに近づき過ぎることを防止するためのものである。この状況は例えば着地エネルギーが低下されれば発生し得る。これは、対物レンズの焦点距離が、選択される着地エネルギーに応じて粗くスケーリングされるからである。対物レンズ全体にわたり電位差を低下させることにより、そしてこれにより対物レンズの内側の電界を低下させることにより、対物レンズの焦点距離は再びより大きくされ、その結果対物レンズのさらに下の焦点位置を生じる。
【0044】
[0070] 描写される配置では、制御レンズ600は電位源V5~V7へ接続される3つの電極601~603を含む。電極601~603は数ミリメートル(例えば3mm)互いに離間され得る。制御レンズと対物レンズとの間隔(即ち対物レンズの下側電極602と上側電極とのギャップ)は広範囲(例えば2mm~200mm以上)から選択され得る。小さな離間距離はアライメントをより容易にする一方で、より大きな離間距離はより弱いレンズが使用されることを可能にし、収差を低減する。望ましくは、制御レンズ600の最上側電極603の電位V5は制御レンズ(例えば偏向器235)のアップビーム側の次の電子光学素子の電位と同じに維持される。下側電極602へ印可される電位V7はビームエネルギーを判断するために変動され得る。中央電極601へ印可される電位V6は、制御レンズ600のレンズ強さを判断するためにそして従ってビームの開角度及び縮小率を制御するために変動され得る。望ましくは、制御レンズの下側電極602及び対物レンズの最上側電極及びサンプルはほぼ同じ電位を有する。一設計では、対物レンズV3の上側電極は省略される。この場合、望ましくは、制御レンズの下側電極602及び対物レンズの電極301はほぼ同じ電位を有する。着地エネルギーが変更される必要がなくても又は他の手段により変更されても制御レンズはビーム開角度を制御するために使用され得るということに留意すべきである。サブビームの焦点の位置は、それぞれの制御レンズの作用とそれぞれの対物レンズの作用との組み合わせにより判断される。
【0045】
[0071] 一例では、1.5kV~2.5kVの範囲内の着地エネルギーを取得するために、電位V1、V2、V4、V5、V6及びV7が下表1に示されるように設定され得る。この表内の電位は、ビーム源201の陰極に対する電極電位と等価であるkeVのビームエネルギーの値として与えられる。電子光学デバイスを設計する際に電子光学デバイス内のどの点がグランド電位に設定されるかに関するかなりの設計自由度があり、そして電子光学デバイスの動作が絶対電位よりむしろ電位差により判断されるということが理解されることになる。
【0046】
【表1】
【0047】
[0072] V1、V3、V7におけるビームエネルギーは同じであるということが分かるようになる。いくつかの実施形態では、これらの点におけるビームエネルギーは10keV~50keVであり得る。より低い電位が選択されれば、電極間隔(特に対物レンズ内の)は電界の低減を制限するために低減され得る。
【0048】
[0073] 制御レンズ(集光レンズよりむしろ)が電子ビームの開角度/縮小率補正のために使用される場合、コリメータは中間焦点にあるままであるのでコリメータの非点補正値の必要性はない。加えて、着地エネルギーは対物レンズ内の最適電界強度を維持する一方で広範囲のエネルギーにわたって変動され得る。これは対物レンズの収差を最小限にする。集光レンズ(使用されれば)の強度も一定に維持され、コリメータが中間焦点面に存在しないことに起因する又は集光レンズを通る電子の経路の変化に起因する追加収差のいかなる導入も回避する。
【0049】
[0074] いくつかの実施形態では、荷電粒子評価ツールはサブビーム内の1つ又は複数の収差を低減する1つ又は複数の収差補正器をさらに含む。一実施形態では、収差補正器の少なくともサブセットの各々は、中間焦点のそれぞれ1つに位置決めされる又はそれに直接隣接する(例えば、中間像面内にある又はそれに隣接する)。サブビームは、中間面などの焦点面内に又はその近くに最小断面積を有する。これにより、他の場所(即ち中間平面のアップビーム又はダウンビーム側)で利用可能な収差補正器のためのより大きな空間(又は中間像面を有しない代替構成において利用可能だろうものよりも大きな空間)を提供する。
【0050】
[0075] 一実施形態では、中間焦点(又は中間像面)内に位置決めされる又はそれに直接隣接する収差補正器は、源201が様々なビームの様々な位置にあるように見えるように補正するために偏向器を含む。補正器は、各サブビームと対応対物レンズとの間の良好なアライメントを妨げる源に由来するマクロ収差を補正するために使用され得る。
【0051】
[0076] 収差補正器は適正なコラムアライメントを妨げる収差を補正し得る。このような収差はサブビームと補正器との間のミスアライメントにも到り得る。このため、収差補正器を集光レンズアレイ231に又はその近くに追加的に又は代替的に位置決めする(例えば、各このような収差補正器が集光レンズ231の1つ又は複数と一体化される又はそれらに直接隣接する)ことが望ましいかもしれない。これは、集光レンズアレイ231において又はその近くで収差は集光レンズがビームアパーチャと垂直方向に近い又はそれと一致するので対応サブビームのずれに未だ到らいないので望ましい。しかし、集光レンズにおいて又はその近くに補正器を位置決めすることに伴う挑戦は、各サブビームがさらなるダウンストリーム側の場所と比べてこの場所では比較的大きな断面積と比較的小さなピッチとを有することである。収差補正器は、そのビームレットマニピュレータの説明が参照により本明細書に援用される欧州特許出願公開第2702595A1号に開示されるようなCMOSベースの個々のプログラム可能偏向器又は欧州特許出願公開第2715768A2号に開示されるような多極偏向器のアレイであり得る。
【0052】
[0077] いくつかの実施形態では、収差補正器の少なくともサブセットの各々は、対物レンズ234の1つ又は複数と一体化される又はそれらに直接隣接する。一実施形態では、これらの収差補正器は、像面湾曲、焦点誤差及び非点収差のうちの1つ又は複数を低減する。追加的に又は代替的に、1つ又は複数の走査偏向器(図示せず)は、サンプル208全体にわたりサブビーム211、212、214を走査するための対物レンズ234のうちの1つ又は複数と一体化され得る又はそれに直接隣接し得る。一実施形態では、その全体を参照により本明細書に援用する米国特許出願公開第2010/0276606号に記載の走査偏向器が使用され得る。
【0053】
[0078] いくつかの実施形態では、対物レンズアレイアセンブリは、対物レンズアレイ241の少なくとも1つの電極のダウンビーム側に検出器モジュール402を有する検出器を含む。検出器モジュール402は検出器アレイの形式を取り得る。一実施形態では、検出器の少なくとも一部は対物レンズアレイ241に隣接する及び/又はそれと一体化される。例えば、検出器モジュール402は、CMOSチップ検出器を対物レンズアレイ241の底部電極へ一体化することによって実装され得る。対物レンズアレイへの検出器モジュール402の一体化は2次コラムを置換する。CMOSチップはサンプルに面するように配向されることが好ましい(ウェーハと電子光学系の底部との間の短い距離(例えば100μm)のために)。一実施形態では、二次電子信号を捕捉するための電極がCMOSデバイスの最上金属層内に形成される。電極は(例えばCMOSチップの)基板の他の層内に形成され得る。CMOSチップの電力及び制御信号はシリコン貫通ビアによりCMOSチップへ接続され得る。頑強性のために、好適には最下電極は次の2つの要素から成る:CMOSチップ及び穴を有するパッシブシリコン板。パッシブシリコン板はCMOSチップを高電界から遮蔽する。
【0054】
[0079] 検出効率を最大化するためには、(アパーチャを除く)対物レンズアレイのほぼすべてのエリアが電極により占められそして各電極がアレイピッチにほぼ等しい径を有するように電極表面をできる限り大きくすることが望ましい。一実施形態では、電極の外形は円形であるが、検出エリアを最大化するために正方形にされ得る。基板貫通穴の径も最小化され得る。電子ビームの典型的サイズは約5~15マイクロメートルである。
【0055】
[0080] 一実施形態では、単一電極が各アパーチャを囲む。別の実施形態では、複数の電極素子が各アパーチャの周囲に設けられる。1つのアパーチャを取り囲む電極素子により捕捉された電子は単一信号へ合成され得る又は独立信号を生成するために使用され得る。電極素子は、半径方向に分割され得る(即ち複数の同心環を形成するように)、角度的に分割され得る(即ち複数の扇状部分を形成するように)、半径方向及び角度的の両方で分割され得る、又は他の任意の便利なやり方で分割され得る。
【0056】
[0081] しかし、より大きな電極表面はより大きな寄生容量に至るのでより狭い帯域幅に到る。このため、電極の外径を制限することが望ましいかもしれない。特に、より大きな電極が若干大きな検出効率を与えるだけでなく若干大きな容量も与える場合。円形(環状)電極は収集効率と寄生容量との間の良好な妥協点を提供し得る。
【0057】
[0082] 電極のより大きな外径はまたより大きなクロストーク(近隣穴の信号に対する感度)に至り得る。これは、電極外径をより小さくするための理由でもあり得る。特に、より大きな電極が若干大きな検出効率を与えるだけでなく著しく大きなクロストークも与える場合。
【0058】
[0083] 電極により収集された後方散乱及び/又は二次電子電流はトランスインピーダンス増幅器により増幅される。
【0059】
[0084] 対物レンズアレイへ一体化された検出器の例示的な実施形態が、マルチビーム対物レンズ401の一部を概略断面図で示す図6に示される。この実施形態では、検出器は、好適には検出器素子のアレイ(即ち好適には2次元面全体にわたるパターン又は配置の複数の検出器素子)として複数(例えばアレイ)の検出器素子405(例えば捕捉電極などのセンサ素子)を含む検出器モジュール402を含む。この実施形態では、検出器モジュール402は対物レンズアレイの出力側に設けられる。出力側は対物レンズ401の出力側である。図7は、それぞれがビームアパーチャ406を取り囲む複数の捕捉電極405が設けられる基板404を含む検出器モジュール402の底面図である。ビームアパーチャ406は基板404をエッチングすることにより形成され得る。図7に示される構成では、ビームアパーチャ406は矩形アレイで示される。ビームアパーチャ406はまた、異なるやり方で(例えば図8に描写するような最密六角形アレイで)配置され得る。
【0060】
[0085] 図9は断面での検出器モジュール402の一部をより大きい縮尺で描写する。捕捉電極405は検出器モジュール402の最底(即ちサンプルに最も近い)面を形成する。捕捉電極405とシリコン基板404の本体との間には論理層407が設けられる。論理層407は増幅器(例えばトランスインピーダンス増幅器)、アナログ/デジタル変換器及び読み出し論理を含み得る。一実施形態では、捕捉電極405毎に1つの増幅器及び1つのアナログ/デジタル変換器が存在する。これらの素子を特徴とする回路が、アパーチャに関連付けられたセルと呼ばれる単位エリア内に含まれ得る。検出器モジュール402はそれぞれがアパーチャに関連付けられたいくつかのセルを有し得、好適にはセルは同様な形状を有する。論理層407及び捕捉電極405はCMOSプロセスを使用することにより製造され得、捕捉電極405は最終金属化層を形成する。
【0061】
[0086] 配線層408は、基板404の裏側又は内部に設けられ、そしてシリコン貫通ビア409により論理層407へ接続される。シリコン貫通ビア409の数はビームアパーチャ406の数と同じである必要はない。具体的には、電極信号が論理層407内でデジタル化されれば、データバスを提供するために少数のシリコン貫通ビアだけが必要とされ得る。配線層408は制御線、データ線及び電力線を含み得る。ビームアパーチャ406にも関わらずすべての必要な接続のための十分な空間が存在するということに留意されたい。検出器モジュール402はまた、バイポーラ製造技術又は他の製造技術を使用することにより製造され得る。プリント回路基板及び/又は他の半導体チップが検出器モジュール402の裏側に設けられ得る。
【0062】
[0087] 上に説明された集積化検出器モジュール402は、二次電子捕捉が一連の着地エネルギーに関して最適化され得るので調節可能着地エネルギーを有するツールとともに使用されると特に有利である。アレイの形式の検出器モジュールはまた、最下電極アレイだけでなく他の電極アレイへも一体化され得る。対物レンズへ一体化される検出器モジュールのさらなる詳細及び代替構成は参照により本明細書に援用される欧州特許出願公開第20184160.8号に見出され得る。
【0063】
[0088] 図10は評価システムにおいて使用される別の例示的な電子光学コラムの概略図である。この電子光学カラムは電子光学デバイスの更なる例である。電子光学コラムは対物レンズアレイアセンブリを含む。対物レンズアレイアセンブリは対物レンズアレイ241を含む。対物レンズアレイ241は複数の対物レンズを含む。各対物レンズはそれぞれの電位源に接続された少なくとも2つの電極(例えば、2つ又は3つの電極)を含む。対物レンズアレイ241はそれぞれの電位源へ接続された2つ以上(例えば3つ)のプレート電極アレイを含み得る。対物レンズアレイ241のプレート電極アレイは対物電極と呼ばれ得る。プレート電極アレイにより形成される各対物レンズは、マルチビーム内の異なるサブビーム又は一群のサブビーム対し働くマイクロレンズであり得る。各プレートは複数のアパーチャ(穴とも呼ばれ得る)を画定する。プレート内の各アパーチャの位置は他のプレート(又は複数の他のプレート)内の対応アパーチャ(又は対応穴)の位置に対応する。対応アパーチャは対物レンズを画定し、従って、各組の対応穴はマルチビーム内の同じサブビーム又は一群のサブビーム上の使用時に働く。各対物レンズはマルチビームのそれぞれのサブビームをサンプル208上へ投射する。対物レンズ234の説明も参照。
【0064】
[0089] いくつかの配置では、対物レンズアレイ241内のアパーチャはマルチビーム内の軸外収差を補償するように適合化される。例えば、対物電極のうちの1つ又は複数の対物電極のアパーチャは、軸外収差を補償するように成形、サイジング、及び/又は位置決めされ得る。アパーチャは、例えば、像面湾曲を補償するための一連の様々なエリア(又は一連の直径)、非点収差を補償するための一連の様々な楕円率、及び/又はテレセントリック性誤差により引き起こされる歪を補償するための公称グリッド位置からの一連の様々な変位を有し得る。軸外収差補正に関する限り参照により本明細書に援用される、例えば欧州特許出願公開第A-21166214.3号を参照。
【0065】
[0090] 図11は、像面湾曲などのオフアクシス収差を補償するための様々なエリアを有するアパーチャアレイにおけるアパーチャの例示的な構成を示す。少なくともアパーチャのサブセットが、様々なアパーチャエリアの範囲を有する。図11に示されるアパーチャエリアの変動は、明確化のために誇張されており、実際は示されるものよりも小さくなる。実線の円は、様々なアパーチャエリアの範囲を有するアパーチャを表す。破線の円は、アパーチャエリアにおいて示される変動の視認を支援するための、変更されていないアパーチャ寸法を表す。同じアパーチャエリアを有する円の直径を参照することで、異なるアパーチャエリアを記述することができる。したがって、対応するアパーチャが必ずしも円形ではない場合であっても、直径を参照することによりアパーチャエリアを記述できる。この変動は、多くの場合、マルチビームの主要軸からの増加する距離の関数としてアパーチャエリアの増加を伴うことになる(図11に概略的に示すように、主要軸はページに垂直であり、最も中央のアパーチャを通過する)。適切な補正が、マルチビームの主要軸からの増加する距離の関数としてアパーチャエリアの減少を伴うことも可能である。図11に示す実施例では、アパーチャは、格子点801及び格子ライン802により画定される規則格子上に配置される。
【0066】
[0091] 図12は、非点収差などのオフアクシス収差を補償するためのある範囲の楕円率を有するアパーチャアレイにおけるアパーチャの例示的な構成を示す。少なくともアパーチャのサブセットが、ある範囲の様々な楕円率を有する。図12に示される楕円率の変動は、明確化のために誇張されており、実際は示されるものよりも小さい。ある範囲の様々な楕円率は、非点収差などのオフアクシス収差を補償するように選択される。この変動は、マルチビームの主要軸からの増加する距離の関数として、アパーチャの主軸であり得る半径方向に向いた軸の寸法の増加を伴ってもよい(図12に概略的に示すように、主要軸はページに垂直であり、最も中央のアパーチャを通過する)。適切な補正が、マルチビームの主要軸からの増加する距離の関数として、アパーチャの主軸であり得る方位角方向に向いた軸の寸法の増加を伴うことも可能である。図12に示す実施例では、アパーチャは、格子点801及び格子ライン802により画定される規則格子上に配置される。
【0067】
[0092] 図13は、テレセントリック性誤差により引き起こされる歪などのオフアクシス収差を補償するための、名目格子位置からのある範囲の様々な変位を有する、アパーチャアレイにおけるアパーチャの例示的な構成を示す。少なくともアパーチャのサブセットが、名目位置に対して変位されている。そのような名目位置は、格子の格子ライン802間の交差点に対応してもよい。アパーチャはそれぞれ、格子上の対応する名目位置801に対して変位されている。名目位置は、規則格子上に設けられてもよい。規則格子は、例えば、矩形、正方形、又は六角形の格子を含んでもよい。名目位置は、オフアクシス収差がない理想的な構成に対応する位置を表し得る。図13に示される変位は、明確化のために誇張されており、実際は示されるものよりも小さい。変位により、アパーチャは(格子ライン802で示す)名目格子に対して歪んだ(太い破線で示す)格子上に位置する。変位により補償されるオフアクシス収差は、テレセントリック性誤差により生じる歪を含み得る。変位は、図13に例示されるように半径方向内向き(マルチビームの主要軸に向かって)、又は半径方向外向きであり得る。どちらの場合も、変位の寸法は、半径方向距離の増加に伴い増加し得る。図13の簡略化された実施例では、これにより角のアパーチャが横のアパーチャよりも変位が大きくなる。
【0068】
[0093] 対物レンズアレイアセンブリはさらに制御レンズアレイ250を含む。制御レンズアレイ250は複数の制御レンズを含む。各制御レンズはそれぞれの電位源に接続された少なくとも2つの電極(例えば、2つ又は3つの電極)を含む。制御レンズアレイ250はそれぞれの電位源に接続された2つ以上(例えば、3つ)のプレート電極アレイを含み得る。制御レンズアレイ250のプレート電極アレイは制御電極と呼ばれ得る。制御レンズアレイ250は、対物レンズアレイ241に関連付けられる(例えば、2つのアレイは、互いの近くに配置される、及び/又は互いに機械的に接続される、及び/又はユニットとして一緒に制御される)。制御レンズアレイ250は対物レンズアレイ241のアップビーム側に配置される。制御レンズはサブビームを事前集束する(例えば、サブビームが対物レンズアレイ241に到達することに先立って集束作用をサブビームへ適用する)。事前集束化により、サブビームの発散度を低減し得る又はサブビームの収束率を高め得る。制御レンズアレイ及び対物レンズアレイは合成された焦点距離を提供するように一緒に動作する。中間焦点のない合成動作が収差のリスクを低減し得る。
【0069】
[0094] 一実施形態では、対物レンズアレイアセンブリを含む電子光学デバイスは、制御レンズの焦点距離が制御レンズアレイ250と対物レンズアレイ241との間の離隔距離よりも大きくなるように(例えば、制御レンズアレイ250の電極に印加される電位を制御することにより)対物レンズアセンブリを制御するように構成される。従って、制御レンズアレイ250及び対物レンズアレイ241は互いに比較的近くに配置され得、制御レンズアレイ250からの集束作用は制御レンズアレイ250と対物レンズアレイ241との間に中間焦点を形成するためには余りに弱い。他の実施形態では、対物レンズアレイアセンブリは、制御レンズアレイ250と対物レンズアレイ241との間に中間焦点を形成するように構成され得る。
【0070】
[0095] 一実施形態では、制御レンズアレイは、それ自体が交換可能モジュールであるか、対物レンズアレイ及び/又は検出器モジュールなどの他の要素と組み合わせた交換可能モジュールであるかの何れかである。交換可能モジュールはフィールド交換可能であり得る、即ちモジュールはフィールドエンジニアにより新しいモジュールとスワップされ得る。フィールド交換可能は、その中に電子光学ツール40がある真空を維持しながらモジュールが取り外され、同じ又は異なるモジュールと交換され得るということを意味するように意図されている。交換可能モジュールに対応するコラムの一セクションだけが、交換可能モジュールが取り外され戻される又は置換されるために排出される。
【0071】
[0096] 制御レンズアレイは、対物レンズアレイ241と同じモジュール内にあり得る(即ち対物レンズアレイアセンブリ又は対物レンズ配置を形成し得る)、又は別個のモジュール内にあり得る。
【0072】
[0097] 電源が、それぞれの電位を制御レンズアレイ250の制御レンズの電極及び対物レンズアレイ241の対物レンズの電極へ印加するために設けられ得る。
【0073】
[0098] 対物レンズアレイ241に加えた制御レンズアレイ250の提供が、サブビームの特性を制御するための追加自由度を提供する。この追加自由度は、例えばいかなる中間焦点も制御レンズアレイ250と対物レンズアレイ241との間に形成されないように、制御レンズアレイ250及び対物レンズアレイ241が互いの比較的近くに設けられる場合でも、提供される。制御レンズアレイ250は、ビームの縮小率に関してビーム開角度を最適化するために及び/又は対物レンズアレイ241へ送達されるビームエネルギーを制御するために使用され得る。制御レンズは2又は3以上の電極を含み得る。2つの電極が存在すれば、縮小率及び着地エネルギーは一緒に制御される。3つ以上の電極があれば、縮小率及び着地エネルギーは独立に制御され得る。従って、制御レンズはそれぞれのサブビームの縮小率及び/又はビーム開角度を調節するように構成され得る(例えば、適切なそれぞれの電位を制御レンズ及び対物レンズの電極へ印加するために電源を使用することにより)。この最適化は、対物レンズの数に過度な悪影響を及ぼすことによりそして対物レンズの収差を過度に悪化させることなく(例えば、対物レンズの強度を増加させることなく)、達成され得る。
【0074】
[0099] 制御レンズアレイ250は、例えば対物レンズアレイ241の電極に加えて、電極を提供するものと見なすことができる。対物レンズアレイ241は、対物レンズアレイ241に関連し、これに隣接する、任意の数の、例えば5個、7個、10個、又は15個の追加電極を有し得る。例えば制御レンズアレイ250の、そのような追加電極は、サブビームの電子光学パラメータを制御する際に更なる自由度を可能にする。そのような追加の関連する電極は、対物レンズアレイ241のそれぞれの対物レンズの追加機能を可能にする、対物レンズアレイ241の追加電極であると見なすことができる。一構成では、そのような電極は、対物レンズアレイ241の対物レンズに追加機能を提供する、対物レンズアレイ241の一部と見なすことができる。したがって、制御レンズは、制御レンズが対物レンズの一部であるとのみ言及されることさえある程度に、対応する対物レンズの一部であると見なされる。
【0075】
[0100] 図10の実施形態では、電子光学デバイスは源201を含む。源201は荷電粒子(例えば、電子)のビームを提供する。サンプル208上に集束されるマルチビームは源201により提供されるビームから導出される。サブビームは、例えばビーム制限アパーチャのアレイを画定するビーム制限器を使用することによりビームから導出され得る。源201は、輝度と全放出電流との間の良好な妥協点を有する高輝度熱電界放出器であることが望ましい。示された例では、コリメータが対物レンズアレイアセンブリのアップビーム側に設けられる。コリメータは、マクロコリメータ270を含み得る。マクロコリメータ270は、ビームがマルチビームに分割される前に電子源201からのビームに作用する。マクロコリメータ270は、ビームから導出されたサブビームの各サブビームのビーム軸がサンプル208にほぼ垂直に(即ちサンプル208の公称表面に対してほぼ90°で)入射することを確実にするために、効果的な量だけビームのそれぞれの部分を曲げる。マクロコリメータ270はマクロコリメーションをビームに適用する。従って、マクロコリメータ270は、ビームの異なる個々の部分に作用するようにそれぞれが構成されたコリメータ素子のアレイを含むのではなくむしろビームのすべてに作用し得る。マクロコリメータ270は、磁気レンズを含み得る又は複数の磁気レンズサブユニット(例えば、多極構成を形成する複数の電磁石)を含む磁気レンズ構成を含み得る。代わりに又は加えて、マクロコリメータは静電的に少なくとも部分的に実装され得る。マクロコリメータは、静電レンズを含み得る又は複数の静電レンズサブユニットを含む静電レンズ構成を含み得る。マクロコリメータ270は磁気レンズと静電レンズとの組み合わせを使用し得る。
【0076】
[0101] 図10の実施形態では、マクロ走査偏向器265は、サブビームにサンプル208全体にわたって走査させるために設けられる。マクロ走査偏向器265は、ビームのそれぞれの部分を偏向させて、サブビームにサンプル208全体にわたって走査させる。一実施形態では、マクロ走査偏向器256は、例えば、8極以上を有するマクロマルチ極偏向器を含む。偏向は、ビームから導出されたサブビームに一方向(例えば、X軸などの単一軸と平行な)又は二方向(例えば、X軸及びY軸などの2つの非平行軸に対して)でサンプル208全体にわたって走査させるような偏向である。いくつかの配置では、サブビームの走査はサンプル208の運動とコーディネートされる。例えば、サンプル208をY軸に平行に移動させながらサブビームをX軸に平行に走査する組み合わせが、サンプル208上の複数の平行な細長いストリップを処理するためにサンプルの様々な段差位置において繰り返され得る。このとき、サンプル208のより大きな運動が、サンプル208上の新しい処理場所へジャンプするために使用され得る。この運動の例は、ステージ運動を伴うビーム走査に関する限り参照により本明細書に援用される2021年5月3日申請の欧州特許出願公開第A-21171877.0号に記載されている。マクロ走査偏向器265は、それぞれがビームの異なる個々の部分に作用するように構成された一連の偏向器素子を含むのではなくむしろビームのすべてに対しマクロ的に作用する。示された実施形態では、マクロ走査偏向器265はマクロコリメータ270と制御レンズアレイ250との間に設けられる。
【0077】
[0102] 本明細書において説明される対物レンズアレイアセンブリの何れもさらに検出器を含み得る(例えば検出器モジュール402を含む)。検出器はサンプル208から放出された荷電粒子を検出する。検出される荷電粒子はSEMにより検出される荷電粒子(サンプル208から放出された二次電子及び/又は後方散乱電子を含む)の任意のものを含み得る。検出器モジュール402の例示的な構造は図6~9を参照して上に説明された。
【0078】
[0103] 図10の実施形態の変形形態では、対物レンズアレイアセンブリは走査偏向器アレイを含み得る。走査偏向器アレイは複数の走査偏向器を含む。各走査偏向器はそれぞれのサブビームをサンプル208全体にわたって走査する。従って、走査偏向器アレイはサブビーム毎に走査偏向器を含み得る。偏向は、サブビームを一方向又は二方向(即ち1次元的又は2次元的)にサンプル208全体にわたって走査させるような偏向である。一実施形態では、特に走査偏向器に関してその全体を参照により本明細書に援用する欧州特許第2425444号に記載される走査偏向器が走査偏向器アレイを実装するために使用され得る。走査偏向器アレイは対物レンズアレイ241と制御レンズアレイ250との間に位置決めされる。走査偏向器アレイはマクロ走査偏向器265の代わりに設けられ得る。他の実施形態では、マクロ走査偏向器265及び走査偏向器アレイの両方が、設けられ、そして同期して操作され得る。いくつかの実施形態では、図10に例示するように、制御レンズアレイ250は源201のダウンビーム側のビーム経路内の第1の偏向又はレンズ電子光学アレイ素子である。
【0079】
[0104] コリメータ素子アレイがマクロコリメータ270の代わりに設けられ得る。示さないが、マクロ走査偏向器及びコリメータ素子アレイを有する実施形態を提供するためにこの変形形態を図3の実施形態へ適用することも可能である。各コリメータ素子はそれぞれのサブビームをコリメートする。コリメータ素子アレイはマクロコリメータ270より空間的にコンパクトであり得る。従って、コリメータ素子アレイ及び走査偏向器アレイ260を一緒に設けることでスペース節約を提供し得る。このスペース節約は、対物レンズアレイアセンブリを含む複数の電子光学デバイスが電子光学デバイスアレイ内に設けられる場合に望ましい。このような実施形態では、いかなるマクロ集光レンズも集光レンズアレイもないかもしれない。従って、このシナリオでは、制御レンズは、着地エネルギーの変化に対するビーム開角度及び縮小率を最適化する可能性を提供する。
【0080】
[0105] 一実施形態では、アレイの形の電子光学デバイスが提供される。アレイは、本明細書で説明する電子光学デバイスのいずれか(例えば、電子光学カラム)を複数備え得る。アレイにおける電子光学デバイスの各々が、それぞれのマルチビームを同時に同じサンプルの異なる領域上に焦束させる。アレイにおける各電子光学デバイスが、異なるそれぞれの源201からの荷電粒子のビームからサブビームを形成できる。それぞれの源201は、複数の源201のうちの1つの源であり得る。少なくとも複数の源201のサブセットが、源アレイとして提供され得る。源アレイは、共通基板上に複数のエミッタを備えることができる。複数のマルチビームを同時に同じサンプルの異なる領域上に焦束させることにより、サンプル208のより広い領域を同時に処理する(例えば、評価する)ことが可能になる。それぞれのマルチビームをサンプル208の隣接した領域に投影するように、アレイにおける電子光学デバイスを互いに隣接して配置させてもよい。アレイでは、いかなる数の電子光学デバイスが使用されてもよい。好ましくは、電子光学デバイスの数は9~200の範囲にある。一実施形態では、電子光学デバイスは、矩形アレイで、又は六角形アレイで配置される。他の実施形態では、電子光学デバイスは、不規則なアレイで、又は矩形若しくは六角形以外の幾何学的形状を有する規則的なアレイで提供される。単一の電子光学デバイス又はシステム又はカラムに言及する場合、アレイにおける各電子光学デバイスは、本明細書で説明される方法のいずれかで構成され得る。上述したように、走査偏向器アレイ260及びコリメータ要素アレイ271は、それらが空間的にコンパクトであって、アレイにおける電子光学デバイスを互いに近くに配置することが容易であるため、電子光学デバイス内にアレイの形で組み込むことが特に適している。
【0081】
[0106] 図14は、対物レンズアレイアセンブリの更なる実施例の一部分を示す。レンズアレイアセンブリは、マルチビームのサブビーム経路に直交して及び/又はこの経路に沿って直列に配置された一連の電極501~504を備える。4つの電極が示され説明されるが、変形形態では望み得る数の電極を特徴とすることができ、したがって、レンズアレイアセンブリは少なくとも4つの電極を備えてもよい。この対物レンズアレイアセンブリは、図10の構成において使用することができ、図5の構成の実施形態である。対物レンズアレイアセンブリは、制御レンズアレイ250、600及び対物レンズアレイ241、300を備える。図5に示され、図5を参照して説明される構成では、対物レンズのアップビーム側の電極303と、制御レンズの最もダウンビーム側の電極602との相対ポテンシャルは実質的に同一である。電極のレンズ効果が電極の表面によって提供されることにも留意すべきである。図14に示すように、制御レンズアレイ250は、複数の電極501~503により、又は少なくとも電極501及び電極503のアップビーム側表面により画定され得る。制御レンズアレイに寄与する各電極501、502、503(少なくとも1つの電極だけが制御レンズアレイに部分的に寄与する場合であっても、制御電極と呼ばれ得る)が、各サブビーム経路510に対してアパーチャを画定するプレートを備え得る(アパーチャが一緒になってアパーチャアレイとなる)。対物レンズアレイ241は、複数の対物電極503、504により、又は少なくとも電極504及び電極503のダウンビーム表面により画定され得る。対物レンズアレイに寄与する各電極503、504(少なくとも1つの電極だけが対物レンズアレイに部分的に寄与する場合であっても、対物電極と呼ばれ得る)が、各サブビーム経路510に対してアパーチャを有するプレートを備え得る(アパーチャが一緒になってアパーチャアレイとなる)。制御電極501~503及び対物電極503、504は、レンズ電極と称され得る。(変形形態では、対物電極及び制御電極の両方で呼ばれ得る電極503は、サブビームの経路に沿って間隔を空け実質的に同じ印加ポテンシャルを有する2つの別々の電極であってもよい)。
【0082】
[0107] 5つの例示的なサブビーム経路510が図14に示される。制御電極501~503は、サブビーム経路510に沿って直列に配置され、そして制御レンズを規定するためにサブビーム経路510とアライメントされたそれぞれのアパーチャを規定する。従って、各制御レンズは、それぞれのサブビームのサブビーム経路510とアライメントされ、そしてサブビームに作用する(例えば、サブビームを静電気的に操作する)。各制御電極501~503はサブビームの一部又はサブビームのすべてに作用し得る。対物レンズアレイ241内の各対物レンズは、それぞれの制御レンズとアライメントされたサブビーム経路510とアライメントされ得る。対物レンズアレイ241はサブビームをサンプル208上へ誘導する。
【0083】
[0108] この配置は、プレートである4つ以上のレンズ電極として説明され得る。プレート内に画定されるのは、対応ビームアレイ内の多くのビームとアライメントされたアパーチャ(例えばアパーチャアレイ)である。電極は、例えば制御電極群及び対物電極群を提供するために2つ以上の電極内へグループ化され得る。一配置では、対物電極群は少なくとも3つの電極を有しそして制御電極群は少なくとも2つの電極を有する。
【0084】
[0109] 図14の例では、サンプル208から最も遠い対物電極503(対物レンズアレイ241の最アップビーム側電極と呼ばれ得る)及びサンプル208に最も近い制御電極503(制御レンズアレイ250の最ダウンビーム側電極と呼ばれ得る)は共通電極により提供される。従って、対物電極群の最アップビーム側電極はまた、制御電極群のメンバーでもある共通電極である。サンプル208から見て外方に向く共通電極503の表面(アップビーム面として説明され得る)は、制御レンズアレイに機能的に貢献し、従って、制御レンズアレイの一部を含むと考えられ得る。サンプル208に面する共通電極503の表面(ダウンビーム面と呼ばれ得る)は対物レンズアレイ241に機能的に貢献し、従って、対物レンズアレイ241の一部を含むと考えられ得る。
【0085】
[0110] 共通電極の提供は、制御レンズアレイ250が対物レンズアレイ241近くに位置決めされることが望ましい場合に有益である。これは、走査偏向器260のアレイが使用されない場合(例えばマクロ走査偏向器265が代わりに使用される場合)の配置におけるケースである可能性が高い。これは、走査偏向器260のアレイが使用される場合、走査偏向器260のアレイを制御レンズアレイ250と対物レンズアレイ241との間に位置決めする(例えば走査偏向器260と対物レンズアレイ241との間の距離をできるだけ短くするために)ことが望ましいからである。マクロ走査偏向器265を有する配置が図10に例示される。しかし、集光レンズアレイを依然として有しないが走査偏向器のアレイを有する図10の配置に関する変形形態が可能であるということに留意されたい。このような配置では、走査偏向器のアレイを制御レンズアレイと対物レンズアレイとの間に位置決めすることが望ましいかもしれない。代替的に、走査偏向器のアレイは、制御レンズアレイ内に又は制御レンズアレイのアップビーム側など(制御レンズアレイとビーム制限アパーチャのアレイとの間など)の他のどこかに位置決めされる可能性がある。
【0086】
[0111] 図14のこの例では、対物レンズアレイアセンブリはビーム整形制限器242をさらに含む。ビーム整形制限器242はビーム制限アパーチャのアレイを画定する。ビーム整形制限器242はビーム整形制限アパーチャアレイ又は最終ビーム制限アパーチャアレイと呼ばれ得る。ビーム整形制限器242は複数のアパーチャを有するプレート(板状体であり得る)を含み得る。ビーム整形制限器242は制御レンズアレイ250の少なくとも1つの電極(任意選択的にすべて電極)のダウンビーム側にある。いくつかの実施形態では、ビーム整形制限器242は対物レンズアレイ241の少なくとも1つの電極(任意選択的にすべて電極)のダウンビーム側にある。別の実施形態では、これはアレイ(例えば対物レンズアレイ241の最下アレイ)であり得る。
【0087】
[0112] 一配置では、ビーム整形制限器242は対物レンズアレイ241の電極と構造的に一体化される。各ビーム制限アパーチャは、ビーム整形制限器242に入射するサブビームの選択された部分だけがビーム制限アパーチャ124を通過することを許容するビーム制限効果を有する。選択された部分は、対物レンズアレイ内のそれぞれのアパーチャの中央部分を通過するそれぞれのサブビームの一部分だけがサンプル208に到達するようにし得る。
【0088】
[0113] いくつかの実施形態では、電子光学デバイスは上側ビーム制限器252をさらに含む。上側ビーム制限器252はビーム制限アパーチャのアレイを規定する又は例えば源201からの源ビームからビームのアレイを生成する。上側ビーム制限器252は複数のアパーチャを有するプレート(板状体であり得る)を含み得る。上側ビーム制限器252は源201により放射された荷電粒子のビームからサブビームを形成する。サブビームの形成に貢献するもの以外のビームの部分は、ダウンビーム側のサブビームと干渉しないように上側ビーム制限器252により阻止(例えば吸収)され得る。
【0089】
[0114] 上側ビーム制限器252は対物レンズアレイアセンブリの一部を形成し得る。上側ビーム制限器252は例えば制御レンズアレイ250に隣接し得る及び/又はそれと一体化され得る(例えば、源201に最も近い制御レンズアレイ250の電極にすら隣接し得る及び/又はそれと一体化され得る)。一実施形態では、上側ビーム制限器252は、ビーム整形制限器242のビーム制限アパーチャより大きい(例えばより大きな断面積を有する)ビーム制限アパーチャを画定する。従って、ビーム整形制限器242のビーム制限アパーチャは、対物レンズアレイ241内に及び/又は制御レンズアレイ250内に画定される対応アパーチャより小さな寸法のものであり得る。
【0090】
[0115] ビーム整形制限器242は望ましくは、ビーム制限効果を有する(即ちビーム整形制限器242に入射する各サブビームの一部を除去する)ように構成される。ビーム整形制限器242は例えば、対物レンズアレイ241を出る各サブビームがそれぞれの対物レンズの中心を通過したということを保証するように構成され得る。さらに、ビーム整形制限器242は、走査がサブビームに作用する長さを低減する。この距離はビーム整形制限器242からサンプル表面までのビーム経路の長さまで低減される。
【0091】
[0116] ビーム整形制限器242は対物レンズアレイ241の最下電極と一体的に形成され得る。ビーム整形制限器242を最強レンズ効果を有する各対物レンズの電極に隣接して位置決めすることが通常望ましい。一配置では、ビーム整形制限器242を検出器の検出器モジュール402のアップビーム側に設けることが望ましい。検出器モジュール402をビーム整形制限器242のアップビーム側に設けることは、ビーム整形制限器242が、サンプル208から放出された荷電粒子を妨害せず、そしてこれら荷電粒子が検出器モジュール402に到達するのを防止するということを保証する。従って、ビーム整形制限器242はアップビーム方向に検出器モジュール402に直接隣接して設けられ得る。
【0092】
[0117] 図15は、電子光学デバイス(電子光学カラム)の更なる実施例を概略的に示す。上述したものと同じフィーチャには同じ参照番号が与えられている。簡潔化のため、そのようなフィーチャは、図15に関して詳述されることはない。例えば、源201、コンデンサーレンズ231、マクロコリメータ270、対物レンズアレイ241、及びサンプル208は、上述した通りであり得る。変形形態では、マクロコリメータ270は、サブビームをコリメートするように構成された偏向器アレイを備えてもよい。代わりに、コリメータは、サブビームをコリメートするように構成された偏向器のアレイであってもよい。一構成では、コンデンサーレンズは、ビーム制限アパーチャアレイ用の単一プレートであってもよく、その単一プレート内に、単一のアパーチャを有する1つ以上の関連するマクロ電極を有する複数のアパーチャが画定されている。そのようなビーム制限アパーチャアレイ及び関連するマクロ電極が、コンデンサーレンズアレイを形成して、望ましくコリメータ270の位置に対応する中間焦点に、生成されたビームを焦束させることもできる。
【0093】
[0118] 上述したように、一実施形態では、検出器240は対物レンズアレイ241とサンプル208との間にある。検出器240は、サンプル208に面していてもよい。代わりに、図15に示すように、一実施形態では、複数の対物レンズを備える対物レンズアレイ241は、検出器240とサンプル208との間にある。
【0094】
[0119] 一実施形態では、偏向器アレイ95が、検出器240と対物レンズアレイ241との間にある。一実施形態では、偏向器アレイ95はウィーンフィルタアレイを備え、したがって偏向器アレイはビーム分離器と呼ばれる場合がある。偏向器アレイ95は、サンプル208に投影された荷電粒子を、サンプル208から放出されて検出器240に向かう2次電子から分離するための磁場を供給するように構成される。
【0095】
[0120] 一実施形態では、検出器240は、荷電粒子のエネルギーを参照して、すなわち、そのような半導体ベースのタイプの検出器ではバンドギャップに応じて、信号粒子を検出するように構成される。そのような検出器240は、間接的電流検出器と呼ばれる場合がある。サンプル208から放出された2次電子は、電極間のフィールドからエネルギーを得る。2次電子は、いったん検出器240に達すると十分なエネルギーを有している。異なる配置では、検出器240は、例えば、ウィーンフィルタに対して主ビーム経路に沿ってアップビーム側に位置するビーム間の蛍光ストリップの電子光子変換器、例えばシンチレータアレイ、であってもよい。(主ビーム経路に直交する磁気及び静電ストリップの)ウィーンフィルタアレイを通過する主ビームは、ウィーンフィルタアレイのアップビーム側及びダウンビーム側に実質的に平行な経路を有する一方で、サンプルからの信号電子は、ウィーンフィルタアレイによってシンチレータアレイに向かって導かれる。電子光子変換器は、光子電子変換器に光学的に結合されて、電子光子変換器で生成され電子光子変換器により放出されたいかなる光子をも変換することができる。光子電子変換器は、検出信号を処理するための電子回路に電気的に接続されてもよい。異なる実施形態では、光子電子変換器は、電子光学デバイスの内部にあってもよく、又は外部にあってもよい。一実施形態では、光子輸送ユニット(例えば、光ファイバのアレイ)を介して遠隔の光検出器に光子結合が行われてもよく、光検出器は光子を検出すると検出信号を発生する。
【0096】
[0121] 動作中、電子光学デバイスは対物レンズアレイ241の電極(例えば、プレート)間に強電界を生成する。著しい電界はまた、システム内の他のどこかの電極間に生成され得る。強電界はそれに応じた強い静電気圧力を伴う。静電気圧力はフィールドエネルギー密度ηに比例し、フィールドエネルギー密度は延いてはη=1/2εEに従ってEに比例する(ここでεは誘電率であり、Eは電界強度である)。従って、静電気圧力はEの増加とともに急速に増加する。
【0097】
[0122] いくつかの配置では、静電気圧力は、電極(プレート)のうちの1つ以上の電極の形状及び/又は位置の変化を引き起こす。形状及び/又は位置のそのような変化は、プレートの電極歪又はフィールド誘起歪と呼ばれ得る。図16は、対物レンズアレイ241の電極503及び504に関するそのような電極歪を概略的に示す。図示を容易にするため、電極503、504は、アパーチャなしで示され、縮尺通りではない。矩形の形状である破線は、電子光学システムがオンにされる前(すなわち、電極503、504の間に電界が存在しない場合)の、電極503、504の例示的な断面形状を表す。この例では、電極503、504は、この段階では実質的に平面である。実線の矩形は、電子光学システムがオンにされ電極間に例示的な電界が存在するときの電極503、504の例示的な断面形状を示す。図16は、高い電界強度の領域内へと電極が撓んでいる典型的なケースを示す。電極歪のこのモードは、撓みと呼ばれ得る。撓みは、放物線形状又はほぼ放物線形状を有する歪を引き起こし得る。すなわち、歪は半径方向位置の2乗の近似関数として変動する。
【0098】
[0123] 対物レンズアレイ241における電極歪はマルチビームのサブビームに影響し得る。電極歪は、例えば像面湾曲に寄与し得る。像面湾曲は、マルチビームの異なるサブビームに対して焦点面が異なるようなものであり、これが、サンプル208の平坦面において焦点誤差を引き起こし得る。対物レンズアレイにおける予測される電極歪からのサブビームへの予測される影響を補償するように、対物レンズアレイを構成することが可能である。したがって、対物レンズアレイはハードウェア補正を備え得る(これは、ハードコード化された補正と呼ばれ得る)。いくつかの配置では、ハードウェア補正は、各電極内の位置に応じた、電極のうちの1つ以上に画定されたアパーチャのサイズ(例えばアパーチャが円形である場合は直径)の変動を含む。電極内のアパーチャのサイズを変動させることにより、像面湾曲の変化を補償できる。
【0099】
[0124] 有限製造公差が電極歪予測の精度を制限する。有限製造公差は、対物レンズアレイ241の様々な製造インスタンス間の小さいが有意な変動(電極厚さ及び/又はアパーチャサイズの差など)に至る。これらの変動は電極の剛性に影響し得、所与の静電気圧力が様々な製造インスタンスの様々な電極歪を伴うという結果を生じ得る。この変動性は、上に説明されたタイプのハードウェア補正が最適補償を実現し得ないということを意味する。図3に示されるタイプの典型的実装形態に関して、電極歪は約10マイクロメートルまでの表面変位に至る可能性があるということが予測される。100nmの予算デフォーカス量がこの効果に割り当てられれば、これは、ハードウェア補正(例えば開口径を変えることによる)が効果的であれば電極歪は1%以内で再生可能であるべきであるということを意味するだろう。このような厳しい製造公差に制約されることは望ましくない。図10に示されるタイプの配置に関して、電極歪ははるかに小さくなると予想されるが、調節可能着地エネルギーを支援することがこのようなシステムにおいて特に望ましい。着地エネルギーを調整することは対物レンズアレイ内の静電界の著しい変化に至り、不適切なハードウェア補正に再び至り得る。以下に説明される配置は、電極歪の影響の補償を改善することを目標とする。改善された補償は、製造公差が緩和されること(例えば1%から10%へ)及び/又は調節可能着地エネルギー機能を支援することを可能にし得る。着地エネルギーを変動させながら、同時に像面湾曲及び非点収差を抑制することを可能にする配置について以下で説明する。
【0100】
[0125] アパーチャアレイ(例えば、制御レンズアレイ250及び/又は対物レンズアレイ241を含む)を画定するプレートを備える配置は、後述するような様々な機能を行うように構成され得る。これら機能は、例えばプレートに印加されるポテンシャルを制御することにより、プレート(例えば制御レンズアレイ250及び/又は対物レンズアレイ241)を制御することにより行われ得る。(図3及び図10に概略的に示すような)コントローラ500は、この目的で提供され得る。後述するように、コントローラ500は、必要な機能を提供するために使用される要素(例えば、CPU、RAM等)の任意の適切な組合せと共にコンピュータ実装され得る。図5を参照して上述したように、制御電極及び対物電極は、電極をポテンシャル源に接続することによって制御できる。したがって、コントローラ500は、様々なレンズ電極にポテンシャルを印加するポテンシャル源を備えてもよい及び/又はそれを制御してもよい。
【0101】
[0126] 本明細書において、デバイス又はシステムが機能を実施するように構成されることへの言及は、(例えば、必要な制御信号をポテンシャル源などの装置に提供するように適切にプログラムされることにより)コントローラ500が機能を実施するように構成されるケースを含むことが意図されている。
【0102】
[0127] いくつかの配置では、電子光学デバイスは(例えばコントローラ500を介して)、マルチビームのサブビームに対して(任意選択で、サブビームの全てに対して)、複数の選択可能な着地エネルギーを実装するように構成される。対応するポテンシャルを、制御電極501~503及び対物電極503及び504に、(例えば、それぞれのポテンシャル源を介して)印加することにより、複数の選択可能な着地エネルギーを実装できる。選択可能な着地エネルギーの各々に異なるポテンシャルが印加されてもよい。したがって、デバイスは、異なる対応する時間において、サブビーム用に異なる着地エネルギーが選択されることを可能にする。選択可能な着地エネルギーは、着地エネルギーの1つ以上の連続範囲を含み得る。この場合、デバイスは、1つ以上の連続範囲内の任意の着地エネルギーを選択することが可能となる。代わりに又は加えて、選択可能な着地エネルギーは、複数の所定の離散的な着地エネルギーを含んでもよい。選択は、ユーザにより行われてもよい。したがって、デバイスは、(例えば、コンピュータシステムのユーザインタフェースを介して、又は入力データストリームとして)ユーザ入力を受信してもよく、受信したユーザ入力に少なくとも部分的に(すなわち、完全に又は部分的に)基づいて、選択可能な着地エネルギーを選択してもよい。代わりに又は加えて、デバイスは、少なくとも部分的に(すなわち、完全に又は部分的に)、自動的に動作してもよい。デバイスは、例えば、所定のプログラムに少なくとも部分的に基づいて、又は例えばアプリケーション若しくはモデルにより決定された1つ以上の入力パラメータに応じて、着地エネルギーを選択してもよい。入力パラメータは、例えばシステムによって行われる測定値を表してもよい。
【0103】
[0128] 着地エネルギーの選択は、特定の検査シナリオに依存し得る。例えば、着地エネルギーは、2次電子利得及びコントラスト(フィーチャとバックグラウンドとの間の利得差として定義される)などの、特定のタイプの信号粒子のパラメータに対して最適化されるように選択されてもよい。これを実現する着地エネルギーは、検査されている材料の関数となる。関心の対象である欠陥の性質も役割を担い得る。物理的欠陥が関心の対象である場合、材料特性が2次電子利得を決定することになる。電圧コントラスト欠陥が関心の対象である場合、帯電挙動、したがって2次電子利得は、回路が電荷を流出させることが可能かどうかに依存することになる。代わりに又は加えて、着地エネルギーは、帯電(歪並びに2次電子利得に影響を及ぼす)を制御するように選択できる。代わりに又は加えて、着地エネルギーは、所望の電子光学性能を実現するように選択できる。例えば、より低い着地エネルギーを選択することにより生じる解像度の劣化が、2次電子放出利得の改善とトレードオフの関係にあり得る。
【0104】
[0129] (例えばサンプル上の)電子光学デバイスの画像平面と、制御電極501~503及び対物電極503及び504の全てとの間の空間的関係が、選択可能な着地エネルギーの各々に対して同一となるように、電子光学デバイスが、様々な着地エネルギーに対して対応するポテンシャルを選択するように(例えばコントローラ500を介して)構成され得る。したがって、電極の全て間の離隔距離、及び電極の各々とデバイスの画像平面との間の離隔距離は、どの選択可能な着地エネルギーが実装されているかに関わらず同一のままである。したがって、ユーザは、電極501~504、サンプル208、又は検出器モジュール402のいずれかの位置を調整する必要なく、様々な着地エネルギーを選ぶことができる。
【0105】
[0130] いくつかの配置では、デバイスは、選択可能な着地エネルギーの少なくとも一部分に対して、サンプル208から最も遠い制御電極501に(及び、着地エネルギーが選択されているサブビームのサブビーム経路に整列された制御レンズの一部に)同じポテンシャルを印加するように(例えばコントローラ500を介して)構成される。制御電極501に印加されるポテンシャルは、例えば、源モジュールにより送達されるビームエネルギーにより決定され得る。源モジュールは荷電粒子ビームを供給し、荷電粒子ビームからサブビームが導出される。制御電極501は、例えば、10keV~50keVのビームエネルギーに対応するポテンシャルに固定できる。
【0106】
[0131] いくつかの配置では、デバイスは、選択可能な着地エネルギーの少なくとも一部分の各々に対して、サンプル208から最も遠い対物電極503に(及び、着地エネルギーが選択されているサブビームのサブビーム経路に整列された対物レンズの一部に)異なるポテンシャルを印加するように(例えばコントローラ500を介して)構成される。各ポテンシャルは、例えば、対物電極503とシステムの画像平面との間に同じ距離を提供するように選択され得る。対物電極503に印加されるポテンシャルは、対物レンズアレイ241における電界のフィールド強度を、したがって、各対物レンズの焦点距離を決定する。したがって、対物電極503に印加されるポテンシャルを制御することにより、画像平面の位置を制御することが可能である。
【0107】
[0132] いくつかの配置では、デバイスは、少なくとも、サンプルに最も近い対物電極504に(及び、着地エネルギーが選択されているサブビームのサブビーム経路に整列された対物レンズの一部に)印加されるポテンシャルを制御することにより、着地エネルギーを制御するように、(すなわち、利用可能な選択可能な着地エネルギーの範囲から所望の着地エネルギーを選択するように)(例えば、コントローラ500を介して)構成される。例えば、対物電極504は、所望の着地エネルギーに所定のオフセットを加えたものに等しいビームエネルギーに対応するポテンシャルに設定されてもよい。所定のオフセットは、例えば、-50eV~300eVの範囲にあり得る。オフセットは、電界強度をサンプル表面に設定するために使用される。電界強度は、特に電圧コントラストを使用する場合に、2次電子コントラストを決定する役割を担う。2次電子が検出されることになる場所では、オフセット電圧は、適切な検出効率を確実にするために典型的には約50V以上であり得るが、検出器とサンプルとの間の距離が十分に小さい場合、より低いオフセット電圧が適切であり得る。例えば、後方散乱信号に関心がある場合、2次電子を跳ね返すことが望まれる場合には負電圧が使用される。
【0108】
[0133] いくつかの配置では、デバイスは、複数の選択可能な着地エネルギーの各々に対して解像度を最小化するために、(例えば、コントローラ500を介して)制御レンズアレイ250を制御するように構成される。これは、(電子源からサンプルへの)デバイスの縮小率をデバイスの角度縮小率で除算したものを、選択可能な着地エネルギーの各々に対して同じに保つために、少なくとも部分的に、選択可能な着地エネルギーの各々において制御レンズアレイ250を調整することにより実現され得る。これは、例えば、制御レンズアレイ250の中間の、好ましくは中央の制御電極502に印加されるポテンシャルを制御することによって実現される(例えば、制御レンズアレイ250が3つの制御電極501~503により画定される場合、中間電極は、奇数個の電極を有するレンズアレイの中央制御電極だけであり得ることに留意されたい)。中間の、好ましくは中央の制御電極502に印加されるポテンシャルを制御することにより、縮小率が制御される。様々な着地エネルギーに対して縮小率を角度縮小率で除算した値を同じに維持することにより、オフアクシス収差が一定のままであることが確実になる。したがって、オフアクシス収差のためのハードコード化された補正は有効なままであり、それにより、(補正後に)様々な着地エネルギーに対して正味の収差が低く保たれる。これは、それぞれの対物電極又は対物レンズアレイ241を交換する必要なく実現され、この交換は、望ましくないことに、ダウン時間及び/又は不便を導入し得る。これは更に、現場での交換が可能な電子構成要素を交換可能モジュールとして有する必要性を不要にする又は減らす。したがって、真空チャンバに必要とされる複雑さを減らすことができる。
【0109】
[0134] 図17は、例えば、マクロコンデンサーレンズ270を特徴とする図10に示すようなコンデンサーレンズアレイのない、又は例えば図15に示すようなマクロコリメータ270などのマクロ電子光学コンポーネントのない、電子光学デバイスを使用する電子光学システムに関する、サブビームのビーム電流の予測される変動をサンプル208におけるサブビーム解像度に対して示すグラフである。そのようなマクロ電子光学コンポーネントは磁性を有してもよい。曲線は、静電界をシミュレートし、フィールドを通る電子を光線追跡することにより得た。曲線521は、2.5keVの着地エネルギーに対応する。曲線522は、1keVの着地エネルギーに対応する。各曲線に関して、曲線上の別個の点はそれぞれ、ビーム電流及び解像度のそれぞれの組合せに対して最適化された、電子光学カラムの別個の物理的構成を表す(例えば、ハードコード化されたオフアクシス補償を含む)。良好なスループットを実現するために全電流が高いこと、及び測定に良好な空間解像度を提供するために解像度が最小化されることが通常は望ましい。グラフは、2つの量の間でバランスを実現する必要があることを示す。すなわち、ビーム電流を増加させると解像度が上昇し、その逆も同様である。ビーム電流対解像度の曲線は、異なる着地エネルギーについては更に異なる。
【0110】
[0135] 図18は、電子光学デバイスの8つの異なる物理的形状における異なる着地エネルギーの選択を示す8つの例示的な曲線(白抜き四角を有する実線曲線523)を示すグラフである。曲線523のうちの対応する1つにより表される各構成について、複数の異なる着地エネルギーが、曲線521に対応する2.5keVの着地エネルギーと曲線522に対応する1keVの着地エネルギーとの間で250eVのステップにて選択される。選択された着地エネルギーの各々において、電子光学システムは、縮小率を変えることにより解像度を最小化するために、制御レンズアレイ250を制御する。これは、例えば、電子光学システムの縮小率を電子光学システムの角度縮小率で除算したものを一定に保って、ハードコード化されたオフアクシス収差補償を有効なままであることを確実にすることにより、及び/又は制御レンズアレイの縮小率を変動させて、電界によって生じる要素(例えば電極)の歪によって生じる像面湾曲の変化などの他の効果を補償することにより実現され得る。いずれの場合も、制御電極及び対物電極に印加されるポテンシャルは、画像平面と制御電極及び対物電極の全てとの間に同じ空間的関係を維持するようにも選択されている。したがって、各曲線523は、異なる着地エネルギーの範囲、並びに利用可能になった対応するビーム電流及び最小化された解像度を示す。
【0111】
[0136] いくつかの配置では、図18にて例示される状況とは対照的に、解像度は意図的に最小化されていない。この制限の除去により、選択可能な着地ビームエネルギーの各々について、様々なビーム電流の範囲を選択することが可能である。したがって、ビーム電流を図18の曲線523のうちの1つに対応させるという制限の代わりに、ビーム電流は他の値をとることができる。より高いビーム電流は、より大きい(より最適でない)解像度という犠牲を払って選択され得る。ビーム電流がこのように変動することを可能にすることにより、電子光学システムは、したがって、選択可能な着地ビームエネルギーのうちの1つ以上の各々に対して、サブビームの複数の選択可能なビーム電流を提供する。したがって、より大きい解像度で動作させることと引き換えに、ビーム電流を、選択された着地ビームエネルギーにおいて選択可能なビーム電流の範囲から選択できる。
【0112】
[0137] 図19は、ビーム電流が上記の方法でどのように変動し得るかを示す4つの例示的な曲線(実線曲線524~527)を示すグラフである。各曲線524~527は、着地エネルギー(524=2.5keV、525=2.0keV、526=1.5keV、527=1keV)は異なるが、同じ物理的形状(同じビーム制限アパーチャ直径及びハードコード化されたオフアクシス補正)、及び同じ画像平面に対応する。各曲線524~527は、放物線を90度回転させたような形状を有する。曲線527では、放物線の上側分岐と下側分岐の両方が示される。曲線524~526では、明確化のために上側分岐(すなわち、解像度の増加と共にビーム電流が増加する分岐)だけが示されるが、両方の分岐が存在する。デバイスは、制御レンズアレイ250の対応する縮小率を選択することにより、選択可能なビーム電流の各々を実装するように構成され得る。各縮小率が、異なるビーム電流に対応する。図19の実施例では、各曲線524~527上の異なる点は、異なる縮小率に対応する。各曲線524~527に対して縮小率を調整して、解像度を最適化してもよい。代わりに、縮小率を調整して、より大きいビーム電流を実現しながら、解像度の劣化を許容してもよい。上述したように、制御レンズアレイ250が3つの制御電極501~503を備える場合、対応するポテンシャルを3つの制御電極501~503のうちの中央の電極502に印加することにより、各縮小率が選択されてもよい。したがって、電子光学システムは、対応するポテンシャルを3つの制御電極501~503のうちの中央の電極502に印加することにより、選択可能なビーム電流の各々を実装するように構成されてもよい。
【0113】
[0138] 本明細書の導入部分で述べたように、電子光学デバイスにおけるハードコード化された補正は、全ての状況において最適であるというわけではない。そのようなハードコード化された補正は、対物レンズ、制御レンズの好ましい電極、又は他の関連する電極若しくはプレートに印加されてもよい。例えば、像面湾曲及び非点収差のための補正は、対物レンズアレイのプレート(例えば、対物レンズアレイの特定のプレート)におけるアパーチャアレイにおけるアパーチャの直径及び楕円率にハードコード化される場合がある。電子光学デバイスの使用中に像面湾曲及び非点収差の変動が生じる場合があり、これによりハードコード化された補正が準最適となる。
【0114】
[0139] 電子光学デバイスのいくつかの構成では、例えば、着地エネルギーを変化させることにより、像面湾曲の変化が生じる場合がある。これは、画像平面を同じ場所に保つ場合には、着地エネルギーの変化には、対物レンズアレイ241のプレート間の電界の変化が伴う必要があり得るからである。図16を参照して上述したように、電界は、静電気圧力に起因してプレートの歪、例えば撓みを引き起こす。これら歪が、サブビームの収差、例えば像面湾曲に寄与する。
【0115】
[0140] いくつかの実施形態では、プレートのアップビーム側に設けられた変動電子光学デバイスも像面湾曲に寄与する。これは、例えば、マクロコリメータ270(巨視的コンデンサーレンズとも呼ばれ得る)も像面湾曲に大きく寄与する、図10及び図15に示すような構成が該当する。マクロコリメータ270が寄与する像面湾曲の大きさは、(上述したように制御レンズアレイ250を使用して制御できる)縮小率に応じて、対物レンズアレイの画像平面内で1~3マイクロメートルの大きさであり得る。ここで参照される縮小率は、電子光学デバイスのビーム経路に沿った全てのレンズの組合せにより測定される全体的なシステム縮小率であり、全体的なシステム縮小率は、電子光学システムのものであることに留意されたい。各サブビームは、それ自体のレンズのセットを通過するが、縮小率は全てのサブビームに対してほぼ同じである。したがって、全体的なシステム縮小率は、サブビームにわたって平均をとることにより、又は軸方向中心のサブビームなどの基準サブビームの縮小率を参照することにより定量化できる。マクロコリメータ270が寄与する像面湾曲は、符号が反対であって、対物レンズアレイ241におけるプレートのフィールド誘起歪によって生じる像面湾曲の変動の大きさと同じ又はそれより大きい場合がある。したがって、プレートのフィールド誘起歪により生じる像面湾曲の変動を補償するために、マクロコリメータ270により印加される像面湾曲の大きさが制御され得る。この大きさは、例えば、制御レンズアレイ250を使用して縮小率を制御することによって制御され得る。この大きさは、線形縮小率を角度縮小率で除算したものに比例して変動すると予想される。しかしながら、そのような変動電子光学デバイス(例えば、マクロコリメータ270)は、像面湾曲以外のサブビームの特性に変動をもたらし得る。例えば、図10及び図15の配置では、マクロコリメータ270は、像面湾曲並びに非点収差に寄与することになる。予想されるフィールド誘起歪の計算により、プレートが着地エネルギーの典型的な範囲にわたって約200~400nmも撓み得ることが示唆される。マクロコリメータ270により印加される非点収差により生じる焦点ぼけの大きさが、マクロコリメータ270により印加される像面湾曲の大きさの約半分となる。非点収差は(例えば、源からサンプルに向かう方向の、例えば、サンプル208の平面に対するz軸方向の)焦点に関するものであり、(例えば、サンプル208の平面に実質的に平行な方向の、例えば、x及びy軸の平面内の)ぼけ又は解像度に関するものではないことに留意されたい。これは、典型的な着地エネルギー範囲にわたって非点収差が約100~200nmだけ変動し得ることを意味し、これは、焦点ぼけ性能に極めて大きな負の寄与を示すことになる。
【0116】
[0141] 着地エネルギーが変えられるにつれて、マクロコリメータ270により印加される像面湾曲が、マクロコリメータ270のダウンビーム側のプレート(例えば、対物レンズアレイ)により印加される像面湾曲をキャンセルし続けるように、制御レンズアレイ250により印加される縮小率が調整され得る。しかしながら、縮小率の変化は、非点収差の変化につながることになり、これは通常、ダウンビーム側のプレートにより補償されることがない。非点収差を補償することを意図したハードコード化された補正が存在してもよいが、これらハードコード化された補正は、縮小率が変わっても変化させることができず、したがって通常、着地エネルギーが変化すると無効になる。着地エネルギーの狭い範囲について、低い像面湾曲と低い非点収差との望ましい組合せを実現できるが、本明細書で説明される実施形態が存在しない場合、着地エネルギーの狭い範囲の外側では、像面湾曲及び非点収差のどちらか又は両方が比較的急速に劣化する。
【0117】
[0142] 以下で説明する実施形態は、ハードコード化された補正が効果的である状況の範囲(例えば、電子光学デバイスの動作パラメータの範囲)を拡大することを意図している。
【0118】
[0143] 図20は、電子光学デバイス(電子光学カラム)の更なる実施例を概略的に示す。上述したものと同じフィーチャ、例えば、図3図10図14及び図15に示され、これらを参照して説明される配置には、同じ参照番号が与えられている。簡潔化のため、そのようなフィーチャは、図20に関して詳述されることはない。同じ参照番号を有するフィーチャは、別様の記述がない限り、先に述べたものと同じ説明が当てはまる。例えば、源201、マクロコリメータ270、上側ビーム制限器252、電極502~504、及びサンプル208は、上述した通りであり得る。図20は更に、電極502~504を支持するための剛性取付具730を概略的に示す。電極を取り付けるための例示的な配置に関する更なる詳細が、2021年12月23日の優先日を有するPCT/EP2021/084737号に見出すことができ、特に電極の取り付けに関する本開示の部分に関して、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0119】
[0144] 図1~10、図14図15及び図20を参照して例示されるように、荷電粒子のサブビームのマルチビームをサンプル208に投影する電子光学デバイスが提供され得る。
【0120】
[0145] デバイスは、複数のプレートを備える。プレートは、導電性であってもよい又は導電性コーティングを有してもよい。したがって、プレートは等電位面を画定し得る。プレートは、電極と呼ばれ得る。プレートは、それぞれのアパーチャアレイを画定する。したがって、各プレートはアパーチャアレイを画定する。各アパーチャアレイは、複数のアパーチャを備える。各プレートは、アレイにおけるアパーチャの周辺部が電気的に一緒に接続されて互いに同じ電位になるように配置されて(例えば、同じ等電位面の一部を形成して)もよい。プレートは、サブビーム経路510に沿って直列に配置されてもよい。各サブビーム経路510は、各プレートにおけるそれぞれのアパーチャに交差してもよい。したがって、異なるプレートにおけるアパーチャは、それぞれのサブビーム経路510に沿って互いに整列されてもよい。図5図14及び図20では、電極301~303、501~504、及び601~603は全て、そのようなプレートの例を表す。電子光学デバイスは、プレートにポテンシャルを印加してマルチビームのサブビームを制御する(例えば、サブビームを縮小する、及び/又は評価されるサンプル208にサブビームを正しく集束させる)。そのようなプレートにおけるアパーチャの近傍で生成された電界は、アパーチャを通過する荷電粒子に対してレンズ効果を生成することが知られている。
【0121】
[0146] 複数のプレートは、対物レンズアレイ241を備える。プレートのサブセット又は全てが、対物レンズアレイ241を形成し得る。対物レンズアレイ241は、サブビームをサンプル208に向かって投影する。対物レンズアレイ241は、図3図5図10、及び図14図16を参照して説明した形態のいずれかをとってもよい。いくつかの配置では、複数のプレートは、制御レンズアレイ250などの対物レンズアレイに関連し、それに近接する電極を更に備える。存在する場合、制御レンズアレイ250は、図3図5図10、及び図14を参照して説明した形態のいずれかをとってもよく、図15に示し図15を参照して説明した電子光学デバイス41における特徴であってもよい。電子光学デバイスは、サンプル208に関する情報を得るために、(例えば、上述したような検出器モジュール402を備え得る検出器を使用して)サンプル208から放出された信号電子を検出するように構成されてもよい。そのようなプレートが、図3及び図15のコンデンサーレンズアレイ231における特徴であってもよい。
【0122】
[0147] 電子光学デバイスは、(例えば、プレートに印加されるポテンシャルを印加及び制御するために)プレートの動作を制御するためのコントローラ500(図3図10及び図15に概略的に示すような)を備えてもよい。後述するように、コントローラ500は、必要な機能を提供するために使用される要素(例えば、CPU、RAM等)の任意の適切な組合せと共にコンピュータ実装され得る。図5を参照して上述したように、プレートは、プレートをポテンシャル源に接続することによって制御され得る。したがって、コントローラ500は、ポテンシャル源を備えてもよく及び/又はポテンシャル源を制御し得る。ポテンシャル源は、ポテンシャルを異なるプレート、サンプル208、及び/又は他の要素に印加し得る。コントローラ500は、サンプル208を支持するためのステージを更に制御し得る。
【0123】
[0148] 本明細書において、電子光学デバイス(又は関連する評価システム)が機能を実施するように構成されることへの言及は、(例えば、必要な制御信号をポテンシャル源及び/又はステージなどの装置に提供するように適切にプログラムされることにより)コントローラ500が機能を実施するように構成されるケースを含むことが意図されている。
【0124】
[0149] 一実施形態では、プレートのうちの少なくとも2つにおいて画定されるアパーチャアレイは幾何学的特徴を有する。幾何学的特徴は、それぞれのプレートの、例えばプレートのうちの少なくとも2つプレートの、それぞれのアパーチャに又はアパーチャのアレイに印加され得る。幾何学的特徴は、プレートにおけるアパーチャを通過するサブビームの対応するターゲット特性(又は特性)に擾乱を印加するように構成される。したがって、幾何学的特徴は、サブビームの特定のターゲット特性に対応する。ターゲット特性は、非点収差、像面湾曲、歪、コマ収差、又は関心の対象である他の特性を含み得る。幾何学的特徴を有するアパーチャが画定されているプレートは、ハードコード化された補正を有するプレートと呼ばれ得る。
【0125】
[0150] 一実施形態では、図12を参照して上述したように、ターゲット特性は非点収差を含み、ターゲット特性に対応する(したがって、対応する擾乱を印加するように構成される)幾何学的特徴は、アパーチャアレイにおいて様々なアパーチャ楕円率の範囲を含む。
【0126】
[0151] 一実施形態では、図11を参照して上述したように、ターゲット特性は像面湾曲を含み、ターゲット特性に対応する(したがって、対応する擾乱を印加するように構成される)幾何学的特徴は、アパーチャアレイにおいて、面積などの様々なアパーチャ寸法の範囲を含む。
【0127】
[0152] 一実施形態では、図13を参照して上述したように、ターゲット特性は(例えば、テレセントリック性誤差に起因する)歪を含み、ターゲット特性に対応する(したがって、対応する擾乱を印加するように構成される)幾何学的特徴は、それぞれの名目位置に対する、好ましくは規則格子(例えば、矩形格子又は六角形格子)上の、アパーチャアレイにおける様々なアパーチャ位置の範囲を含む。
【0128】
[0153] 一実施形態では、図13を参照して上述したように、ターゲット特性はコマ収差を含み、ターゲット特性に対応する(したがって、対応する擾乱を印加するように構成される)幾何学的特徴は、それぞれの名目位置に対する、好ましくは規則格子(例えば、矩形格子又は六角形格子)上の、アパーチャアレイにおける様々なアパーチャ位置の範囲を含む。
【0129】
[0154] 各アパーチャアレイは、そのような擾乱を印加するように構成される単一の幾何学的特徴を有し得る、又は複数の異なるそのような幾何学的特徴を有し得る。第1の幾何学的特徴を越える追加の幾何学的特徴の各々が、更なる幾何学的特徴と呼ばれる場合があり、上述した形態のいずれかをとり得る。そのような更なる幾何学的特徴の各々が、サブビームの対応する更なるターゲット特性に擾乱を印加するように構成され、更なるターゲット特性は、上述したターゲット特性のいずれかを含み得る。したがって、アパーチャアレイは、対応する複数の幾何学的特徴を有することにより、複数のターゲット特性に擾乱を印加するように構成され得る。このようにして、単一のアパーチャアレイにより、前述したターゲット特性のいかなる組合せにも擾乱を印加できる。
【0130】
[0155] いくつかの実施形態では、コントローラ500は、幾何学的特徴に対応するターゲット特性の変動を印加された擾乱が一緒に実質的に補償するような幾何学的特徴、を有するプレートにポテンシャルを印加及び制御するように構成される。ターゲット特性の変動は、収差であり得る。ターゲット特性の変動の補償は、収差を抑制し得る。デバイスは、この変動がデバイスのパラメータの範囲にわたって実質的に補償されるように構成される。したがって、補償は1つの特定の構成に制限されることはないが、ターゲット特性の変動に対する典型的なハードコード化された補正に関するケースでは制限され得る。複数の異なるプレートに幾何学的特徴を提供し、異なるプレートに幾何学的特徴を独立に適用することを可能にし、プレート自体が独立に制御されることを可能にすることにより、構成のより広い範囲にわたって補償する能力が実現される。この手法は、幾何学的特徴が単一プレートだけに提供されるケース、又は幾何学的特徴が複数のプレートの各々において同じに固定されるケースと比較して、少なくとも1つの追加の自由度を効果的に提供する。追加の自由度により、ハードコード化された補正をデバイスの動作構成のより広い範囲(例えば、デバイスのパラメータのより広い範囲)にわたって適用可能となるように調整することが可能になることが見出された。
【0131】
[0156] 2つ以上の異なるプレート、例えば3つのプレート、4つのプレート、又は5つのプレートに、幾何学的特徴(ハードコード化された補正と呼ばれ得る)を提供することにより、更なる自由度がもたらされる。それにより、より高い程度の補償を実現することが可能になり、及び/又はパラメータのより長い(又はより大きい)範囲にわたって及び/又は様々なパラメータの範囲にわたって補償を実現することが可能になる。一配置では、同じ幾何学的特徴が、ハードコード化された補正として2つ以上の異なるプレートに適用され得る。2つ以上のプレートのアパーチャアレイへのハードコード化された補正として適用される幾何学的特徴は、楕円率、直径及び規則格子からの変位のうちの1つ以上を、例えば、楕円率、直径及び規則格子からの変位のうちの1つ以上の変動を含み得る。アパーチャアレイにおける異なるアパーチャに適用される補正フィーチャ間の変動が、アパーチャアレイにおけるアパーチャの場所に依存する。プレートのアパーチャに適用される幾何学的特徴の大きさがプレートにおける他のアパーチャとは異なっていてもいいように、プレートのアパーチャに適用される幾何学的特徴が、幾何学的特徴の範囲にわたっていてもよい。プレートのうちの3つにおいて画定されるアパーチャアレイが幾何学的特徴を有し、コントローラがプレートのうちの3つ全てへのポテンシャルを印加及び制御する場合に、性能とデバイス複雑性との特に良好なバランスが実現されることが見出された。そのような実施形態において印加されるそれぞれの擾乱が、デバイスのパラメータの範囲にわたって、ターゲット特性の変動を高いレベルで実質的に補償することが見出された。
【0132】
[0157] 以下の議論は、理論的なモデル及びシミュレーションを指す。これらシミュレーションのうちのいくつかでは、異なるデータ点が、1つ以上のプレートにおける異なるハードコード化された補正を表すことができるが、実際には、ハードコード化された補正は、典型的には、ハードコード化された補正が画定される1つ以上の要素(例えば、プレート)を機械的に変更及び/又は置換することなしには、ハードコード化された補正を変更できないことが理解されるであろう。
【0133】
[0158] 上述した使用事例では、図10及び図15の配置での、対物レンズアレイ241におけるプレート及び制御レンズ250へのポテンシャルは、着地エネルギーの範囲にわたって像面湾曲を補償するために変動させている。このシナリオにおける課題は、非点収差もまた、マクロコリメータ270から像面湾曲への寄与を調整するために使用される縮小率の関数として変動することである。本開示の実施形態の一態様は、サブビームが通過する全てのプレートのアパーチャ(例えば、制御レンズアレイ250及び対物レンズアレイ241のプレートにおけるアパーチャ)における楕円率が非点収差に影響を及ぼすという観察、及び各プレートに関する感度(すなわち、所与の量の楕円率が非点収差に寄与する程度)が着地エネルギーの関数として異なる形で変化するという観察に基づいている。これは、図10及び図14の配置に基づく例示的な構成に関して、図21に示すシミュレーションの結果に示される。シミュレーションを、2.5eVの着地エネルギーにて、5nmに調整された解像度で実施した。曲線701~703は、それぞれのプレートのアパーチャアレイにおける楕円率(「Elli」と呼ばれる)に対する非点収差(「Ast」と呼ばれる)の感度(「Ast/Elli」と呼ばれる)のシミュレートされた変動を着地エネルギー(LE)の範囲にわたって示す。曲線701は、図14における電極502(制御レンズアレイにおける中央電極と呼ばれ得る)に対応するプレートに関する楕円率に対する、非点収差の感度の変動を示す。曲線702は、図14における電極503(対物レンズアレイにおける上部電極と呼ばれ得る)に対応するプレートに関する楕円率に対する、非点収差の感度の変動を示す。曲線703は、図14における電極504(対物レンズアレイにおける底部電極と呼ばれ得る)に対応するプレートに関する楕円率に対する、非点収差の感度の変動を示す。図21は、異なるプレートについて、感度が着地エネルギーごとに異なり、着地エネルギーの関数として異なって(例えば、異なる傾斜を有して)変動することを示す。
【0134】
[0159] 単一プレートについて、着地エネルギーの関数としての感度の変動は、マクロコリメータ270から非点収差への寄与が(例えば、線形縮小率と角度縮小率との比率を一定に保つことによって)一定に保たれている場合であったとしても、プレートから非点収差への寄与が着地エネルギーの範囲にわたって変動することを意味する。しかしながら、実際には、像面湾曲の変化を補償するために、線形縮小率と角度縮小率との比率を調整することが望ましいので、マクロコリメータ270により適用される非点収差は着地エネルギーの関数として変動することになる。複数のプレートの適切な構成により、(例えば、複数のプレートの各々に、非点収差を擾乱させる幾何学的特徴、例えば図12を参照して上述したようなアパーチャ楕円率の範囲、を設けることにより)複数のプレートに、着地エネルギーの関数として所望の形で変動する擾乱を非点収差に印加させることができ、したがって、複数のプレートは、マクロコリメータ270により印加される非点収差の変動を補償するように構成され得る。異なるプレートからの補正は、累積的に寄与し得る、又は互いに相殺し得る。すなわち着地エネルギーのある範囲について、1つのプレートにより過大補償が印加されて、別のプレートにより再補償が印加されてもよい。異なる配置では、1つのプレートにより過小補償が印加されてもよく、他のプレートにより再補償が印加されてもよい。一連のプレートが、過大補償及び/又は過小補償を印加してもよく、これらは相殺及び累積してもよく、正味の効果が、プレートのうちの1つが再補償を印加することであり得る。複数のプレートを使用して非点収差補正を制御する能力により提供される増加した自由度により、着地エネルギーの広い範囲にわたって非点収差及び像面湾曲の完璧に近い補正を実現することが可能になる。
【0135】
[0160] したがって、本開示の実施形態は、変動させているデバイスのパラメータが着地エネルギーであり、補償されるターゲット特性が非点収差を含む場合に、効果的であることが見出された。アパーチャアレイのそれぞれの幾何学的特徴により、着地エネルギーの範囲にわたって、非点収差を実質的に着地エネルギーに依存しないようにすることが可能になる。同時に、コントローラ500は、プレートにより印加される像面湾曲の擾乱が、着地エネルギーの範囲にわたって、プレートのアップビーム側のマクロコリメータ270(変動電子光学デバイスの一例)により印加される像面湾曲の擾乱を補償するように、プレートに印加されるポテンシャルを制御してもよい。例えば、コントローラ500は、プレートにより印加される像面湾曲の擾乱が、マクロコリメータ270により印加される像面湾曲の擾乱を補償するように、プレートにより印加される縮小率を制御してもよい。したがって、この手法により、着地エネルギーの範囲にわたって像面湾曲と非点収差とを同時に制御することが可能になる。
【0136】
[0161] 像面湾曲は、複数のプレートにおける幾何学的特徴により補償されるターゲット特性と見なすことができる。例えば、図11を参照して上述したような異なるアパーチャエリアの範囲を有するアパーチャを各アパーチャアレイが備えるなどの、アパーチャアレイのそれぞれの幾何学的特徴によってもまた、着地エネルギーの範囲にわたって、像面湾曲を実質的に着地エネルギーに依存させないようにすることが可能になる。同時に、コントローラ500は、プレートにより印加される非点収差の擾乱がマクロコリメータ270により印加される非点収差の擾乱を着地エネルギーの範囲にわたって実質的に補償するように、プレートにより印加される縮小率を制御する。
【0137】
[0162] 改善された性能が、図22に例示される。図22は、3つの異なるケースについて、非点収差に起因する焦点ぼけ(「焦点ぼけ(Ast)」と呼ばれる)の変動を、着地エネルギーの範囲にわたって着地エネルギー(LE)の関数として示すグラフである。各ケースは、図14の配置の使用を伴うが、非点収差の変動を補償するために電極502~504の異なるそれぞれの組合せを用いている。この例では、非点収差の変動は、例えば図10及び図15に示すように、プレート(電極)のアップビーム側のマクロコリメータ270により印加される非点収差により少なくとも部分的に引き起こされる。それぞれのケースにおいて、1つの幾何学的特徴(例えば、非点収差に擾乱をもたらす幾何学的特徴、例えば図12を参照して上述したようなアパーチャ楕円率の範囲)、又は複数の幾何学的特徴が、着地エネルギーの範囲にわたって非点収差の2乗和が最小化されるように選択される。曲線711は、マクロコリメータ270により引き起こされる非点収差の変動を補償するために、電極504に対応するプレートのアパーチャアレイにおいてのみ幾何学的特徴が使用されるケースを表す。曲線712は、非点収差の変動を補償するために、図14の電極502及び504にそれぞれ対応する2つのプレートにおけるアパーチャアレイの幾何学的特徴が使用されるケースを表す。曲線713は、非点収差の変動を補償するために、図14の電極502、503及び504にそれぞれ対応する3つのプレートにおけるアパーチャアレイの幾何学的特徴が使用されるケースを表す。図から分かるように、着地エネルギーの範囲にわたる非点収差の補償は、曲線711により表されるケースに関するよりも、曲線712により表されるケースに関してより良好である。したがって、ちょうど2つのプレートのアパーチャアレイにおける幾何学的特徴を使用して提供される追加の自由度が明らかな改善をもたらしている。曲線713は、更なる自由度を提供することにより、性能に更なる改善がもたらされることを示す。
【0138】
[0163] 図23図27は、非点収差及び像面湾曲が、線形縮小率と角度縮小率との比率M/Maに実質的に依存しないようにするために複数のプレートにおける幾何学的特徴が調整される、更なる例示的な使用事例に関するグラフである。
【0139】
[0164] 図23及び図24は、図10及び図14に示すタイプの配置におけるプレートに関する感度の変動をM/Maの関数として決定するためのシミュレーション結果を示す。図23は、3つの異なるプレートに関する、アパーチャアレイにおける楕円率(「Elli」と呼ばれる)に対する非点収差(「Ast」と呼ばれる)の感度(「Ast/Elli」と呼ばれる)のシミュレートされた変動をM/Maの範囲にわたって示すグラフである。図24は、3つの異なるプレートに関する、アパーチャアレイにおける像面湾曲(「焦点ぼけ」と呼ばれる)と直径(「直径」と呼ばれる)とに起因する焦点ぼけの感度(「焦点ぼけ/直径」と呼ばれる)のシミュレートされた変動をM/Maの範囲にわたって示すグラフである。曲線721及び731は、図14における電極502(制御レンズアレイの中央電極)に対応するプレートに関するそれぞれの感度の変動を示す。曲線722及び732は、図14における電極503(対物レンズアレイの上部電極)に対応するプレートに関するそれぞれの感度の変動を示す。曲線723及び733は、図14における電極504(対物レンズアレイの底部電極)に対応するプレートに関するそれぞれの感度の変動を示す。
【0140】
[0165] この使用事例は、M/Maを変化させることを伴うので、像面湾曲を補正するためにこの自由度を使用することはできない。この理由で、非点収差及び像面湾曲が同時にM/Maに依存しないように調整して、非点収差及び像面湾曲の補正がM/Maの範囲にわたって有効なままであることを可能にすることが必要である。
【0141】
[0166] 複数のプレートにおいて幾何学的特徴を使用して擾乱を印加することにより実現される改善された性能が、図25~27に例示される。図25及び図26は、3つの異なるケースについて、非点収差に起因する焦点ぼけ(焦点ぼけ(Ast))の変動を、M/Maの範囲にわたってM/Maの関数として示すグラフである。この文脈における焦点ぼけは、最悪ケースの方向における、(非点収差及び像面湾曲に起因する)合計焦点ぼけである。最悪ケースの方向が存在する理由は、いくつかの方向では、非点収差に起因する焦点ぼけが像面湾曲に起因する焦点ぼけを部分的に補償することになり、他の方向では、非点収差に起因する焦点ぼけと像面湾曲に起因する焦点ぼけとが加算されることになるからである。最悪ケースの方向は、合計焦点ぼけが最大となる方向である。図25は3つのケース全てに関する曲線741~743を示すのに対し、図26は第2及び第3のケースに関する曲線742及び743だけを示す(これら2つの曲線間の差をより明確に見えるように)。各ケースは、図14の配置の使用を伴うが、非点収差及び像面湾曲の変動を補償するために電極502~504の異なるそれぞれの組合せを用いている。幾何学的特徴は、各ケースにおいて、M/Maの範囲にわたって、(非点収差及び像面湾曲に起因する)合計焦点ぼけの二乗和が最小化されるように選択される。(図25にだけ示される)曲線741は、非点収差及び像面湾曲を補償するために、電極504に対応するプレートにおけるアパーチャアレイのアパーチャだけに適用される幾何学的特徴が使用されるケースを表す。曲線742は、非点収差及び像面湾曲を補償するために、図14の電極502及び504にそれぞれ対応する2つのプレートにおけるアパーチャアレイの幾何学的特徴が使用されるケースを表す。曲線743は、非点収差及び像面湾曲を補償するために、図14の電極502、503及び504にそれぞれ対応する3つのプレートにおけるアパーチャアレイの幾何学的特徴が使用されるケースを表す。図から分かるように、図22を参照して上述した状況と同様に、M/Maの範囲にわたる非点収差の補償は、曲線741により表されるケースに関するよりも、曲線742により表されるケースに関してより良好である。したがって、ちょうど2つのプレートのアパーチャアレイにおける幾何学的特徴を使用して提供される追加の自由度が改善をもたらしている。曲線743は、更なる自由度を提供することにより、性能に極めて大きな更なる改善がもたらされることを示す。全体的な改善は、絶対値で見ると大きい。なぜなら、曲線741により表される状況における合計焦点ぼけの変動が約4000nmであるとシミュレートされるからである。比較として、図22の曲線711により表される状況における焦点ぼけの変動は、約150nmであるためとシミュレートされている。これは、依然として有意であるが、遥かに小さい。
【0142】
[0167] 図27は、ビーム電流を変動させたときに、M/Maの範囲にわたる非点収差及び像面湾曲の制御が改善された性能をどのようにもたらすかを示す。図27は、2.5keVの着地エネルギー、及び上側ビーム制限器252における異なるビーム制限アパーチャ直径に関する、サンプル208におけるサブビーム解像度に対する、ビーム電流の予想される変動の曲線を示す。曲線741~744は、それぞれ、6マイクロメートル、8マイクロメートル、10マイクロメートル、及び12マイクロメートルのビーム制限アパーチャ直径に対応し、少なくとも制御電極501、502、503及び対物電極503、504に対応するプレートにおいて、したがって少なくとも図14及び図20を参照して示され説明される配置におけるプレートの全てにおいて、固定されたハードコード化された補正を有する。図27に示す曲線521は、図17図19を参照して上述した曲線521に対応する(異なる最適化されたハードコード化された補正に対応する、曲線上の異なる点を有する)。したがって、図27に示す曲線521は、ハードコード化された補正を再最適化することが許容される完全に最適化されたケースを示す。異なる曲線741~744は全てが、複数のプレートのアパーチャアレイにおける幾何学的特徴を使用して、ハードコード化された補正のいかなる再最適化をも許容することなく、ビーム電流を調整するためにM/Maを変動させながら、非点収差及び像面湾曲を補償するケースを表す。曲線752は、本開示の手法が適用されない例示的なケースを表し、それにより、形状が図19を参照して上述した異なる曲線524~527に対応する。曲線752は、ビーム制限アパーチャ直径が8マイクロメートルであるケースを表す。曲線752は、曲線742に直接対応する。全ての場合について、M/Maは、ビーム電流の観察された変動を実現するような範囲にわたって変動させた。各点において、利用可能な自由度を用いて解像度を最適化した。本開示の実施形態により提供される増加した数の自由度により、(曲線752により例示されるような)そうでない場合よりも、曲線741~744が遥かに急峻になることが可能になるように思われる。実際、曲線741~744は、ビーム電流の異なる値に対するシミュレーションにおいてハードコード化された補正を再最適化することが許容される最適ケース521に非常に類似しているが、曲線741~744のケースでは、ハードコード化された補正のいかなる再最適化(すなわち、変更)も必要とすることなく、性能が実現される。したがって、曲線741~744は、固定されたハードコード化された補正に対して、すなわちプレートなどの物理的要素のいかなる交換も必要とすることなく、実現できる性能を表す。
【0143】
[0168] したがって、本開示の実施形態は、(補償が適用される範囲にわたる)デバイスのパラメータが荷電粒子のビーム電流を含み、ターゲット特性が非点収差及び像面湾曲の一方又は両方を含む場合に効果的であることが見出された。そのような場合、アパーチャアレイのそれぞれの幾何学的特徴は、非点収差及び像面湾曲が、ターゲット特性の補償が適用されるビーム電流の範囲にわたって、総線形縮小率と総角度縮小率との比率に実質的に依存しないようにし得るものである。ビーム電流/解像度の作動点は、縮小率を変えることにより変えられる。したがって、非点収差及び像面湾曲を、総線形縮小率と総角度縮小率との比率に実質的に依存しないように構成することは、性能への悪影響を最小限に抑えながら、(例えば、図27の曲線743をたどる)ビーム電流/解像度の作動点を変えることができることを意味する。また、MとM/Maとの間には1対1の対応関係があるため、図23図26のプロットにおいて、横軸は代わりに、M/MaではなくMであってもよいことに留意されたい。また、アパーチャサイズが固定の場合、線形縮小率とビーム電流との間にも1対1の対応関係があることに留意されたい。
【0144】
[0169] (例えば、図10及び図15に示すような)マクロコリメータ270は、いくつかの実施形態において、複数のプレートのアップビーム側に設けられ得る変動電子光学デバイスの一例である。変動電子光学デバイスは、サンプルに向けられた荷電粒子に電子光学擾乱を印加するように構成される。変動電子光学デバイスは、いかなるマクロ電子光学デバイスを備えてもよい。したがって、変動電子光学デバイスは、グループとしての複数のサブビームに対応する荷電粒子に作用することができる。いくつかの実施形態では、変動電子光学デバイスは、サブビームに対応する荷電粒子をコリメートするように構成されたコリメータを備える。変動電子光学デバイスは、サブビーム中の荷電粒子に直接作用してもよい又は直接作用しなくてもよい。変動電子光学デバイスは、サブビームが形成される前に又は形成された後に荷電粒子に作用してもよい。いくつかの実施形態では、変動電子光学デバイスはコンデンサーレンズを備える。いくつかの実施形態では、変動電子光学デバイスは、(荷電粒子がサブビームに形成される前又は後に)荷電粒子に巨視的なコリメーションを適用するように構成されたマクロコリメータを備える。変動電子光学デバイスからの擾乱は、少なくともサブビームのターゲット特性に影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、変動電子光学デバイスにより印加される擾乱は、複数のプレートにおける幾何学的特徴からの擾乱により補償されるサブビームのターゲット特性(例えば、上述したような非点収差及び/又は像面湾曲)の変動である。
【0145】
[0170] このような変動電子光学デバイスが存在する実施形態では、コントローラ500は、印加された電子光学擾乱と、アパーチャアレイにより印加されたそれぞれの擾乱とが、デバイスのパラメータの範囲にわたって、ターゲット特性における変化を一緒に実質的に補償するように、変動電子光学デバイスを制御するように構成され得る。コントローラ500は、変動電子光学デバイスに印加される1つ以上のポテンシャルを印加及び制御することにより、変動電子光学デバイスを制御し得る(すなわち、変動電子光学デバイスは、静電要素を備え得る)。コントローラ500は、変動電子光学デバイスに印加される1つ以上の電流を印加及び制御することにより、変動電子光学デバイスを制御し得る(すなわち、変動電子光学デバイスは、電磁要素を備え得る)。したがって、変動電子光学デバイスは、静電的に及び/又は磁気的に動作し得る。図22に示すように、例えば、変動電子光学デバイス(例えば、マクロコリメータ270)により、及びアパーチャアレイが幾何学的特徴を有することにより、非点収差などの収差への寄与がなされて、電子光学デバイスのパラメータ(例えば、着地エネルギー)の範囲にわたって実質的に互いにキャンセルされ得る。
【0146】
[0171] いくつかの実施形態では、電子光学デバイス41は、ビーム制限アパーチャアレイを更に備える。ビーム制限アパーチャアレイは、変動電子光学デバイスのアップビーム側に又は変動電子光学デバイスとプレートとの間に設けられ得る。ビーム制限アパーチャアレイは、源ビームからサブビームを生成するように構成され得る。ビーム制限アパーチャアレイは、電極として動作し得る最もアップビーム側のプレートであり得る。図14及び図20を参照して上述した上側ビーム制限器252は、そのようなビーム制限アパーチャアレイの例である。ビーム制限アパーチャアレイは、上側ビーム制限器252に関して上述した形態のいずれかをとり得る。源ビームは、変動電子光学デバイスが電子光学擾乱を適用する対象である荷電粒子を含む。電子光学デバイスは、源ビームを放出するための源201を備え得る。源201は、図2及び図3を参照して上述したいずれかの構成をとってもよい。
【0147】
[0172] ターゲット特性の補償は、デバイスのパラメータの範囲にわたって実現される。パラメータは、荷電粒子の着地エネルギー、荷電粒子のビーム電流、サンプルと電子光学デバイスの検出器との間の離隔間隔、縮小率(例えば、線形縮小率と角度縮小率との比率)、解像度のうちの1つ以上を含む。実施例は、パラメータが着地エネルギー(図21及び図22に関する記述を参照)及び縮小率(図23~27に関する記述を参照)であるケースについて上述している。
【0148】
[0173] いくつかの実施形態では、様々なアパーチャアレイが、幾何学的特徴により、少なくともターゲット特性に対応する擾乱に対して、その範囲にわたってパラメータの関数として異なって変動する擾乱を印加するように構成される。パラメータの範囲にわたって異なって寄与するようにアパーチャアレイを調整することにより、その範囲にわたってターゲット特性の変動を効果的に補償することが容易になる。図21図23及び図24は、それぞれの幾何学的特徴に対する擾乱の感度が、(プレート位置に起因して)異なるプレートにとってどのように異なり得るか、及びデバイスのパラメータの関数として、どのように異なって変動し得るかを示すことにより、この機能がどのように実現できるかを示す。
【0149】
[0174] 異なるプレートにより印加される擾乱は、協働してターゲット特性の変動を補償する。異なるプレートからの寄与は、全体的効果がターゲット特性の変動を補償することである限り、累積的に寄与するか又は互いに相殺し得る。したがって、コントローラ500は、少なくともターゲット特性に対応する擾乱に対して、アパーチャアレイのうちの少なくとも2つにより印加される擾乱が、パラメータの範囲の少なくとも一部にわたって互いに相殺するように、印加されるポテンシャルを制御し得る。代わりに又は加えて、コントローラ500は、少なくともターゲット特性に対応する擾乱に対して、アパーチャアレイのうちの少なくとも2つにより印加される擾乱が、パラメータの範囲の少なくとも一部にわたって累積的に寄与するように、印加されるポテンシャルを制御し得る。
【0150】
[0175] いくつかの実施形態では、コントローラはプレートに印加されるポテンシャルを印加及び制御して、デバイスのパラメータの範囲にわたって、デバイスの画像平面と剛性取付具730との間の空間的関係を実質的に一定に維持する。一定の空間的関係は、例えば、画像平面と剛性取付具730との間の一定の離隔距離を含み得る。取付具730は、プレート(単数又は複数)の少なくとも一部分を、電子光学デバイスの基準フレームにおける固定位置に保持する。プレート(単数又は複数)の他の部分は、プレートに隣接する領域で生成される電界に起因して使用中に変形する場合があり、これは、例えば16を参照して本明細書で説明するような撓みである。そのような変形は、画像平面と取付具730との間の空間的関係に影響を及ぼさない。いくつかの実施形態では、デバイスのパラメータの範囲にわたって画像平面と取付具730との間の実質的に一定の空間的関係を維持しながら、追加的に、変動電子光学デバイス(例えば、マクロコリメータ270)が制御される。
【0151】
[0176] 本開示の実施形態が、上述した装置を使用する方法のいずれかを含む方法として提示できる。本方法は、サンプル208に投影されるマルチビーム中の荷電粒子のサブビームの特性の変動を補償する方法を含む。本方法は、サブビームをサンプル208に向けて投影するために複数のプレートを使用することを含み得る。プレートは、それぞれのアパーチャアレイを画定する。プレートは、サブビームをサンプル208に向かって投影するための対物レンズアレイを含む。プレートのうちの少なくとも2つにおいて画定されるアパーチャアレイは各々が、サブビームの対応するターゲット特性に擾乱を印加するように構成された幾何学的特徴を有する。デバイスのパラメータの範囲にわたるターゲット特性の変動を印加された擾乱が一緒に実質的に補償するような幾何学的特徴、を有するプレートに印加されるポテンシャルが制御されてもよい。電子光学デバイスにおいてサンプル208に投影されるマルチビーム中の荷電粒子のサブビームの特性の変動を補償する方法が提供され得る。電子光学デバイスは、それぞれのアパーチャアレイが画定されている複数のプレートを備え得る。複数のプレートは対物レンズアレイを備える。プレートのうちの少なくとも2つにおいて画定されるアパーチャアレイは幾何学的特徴を有する。方法は、幾何学的特徴を有するアパーチャアレイを有するプレートを用いてサブビームに作用することにより、サブビームをサンプル208に向かって投影することを含む。作用することは、それぞれのプレートを用いてサブビームのターゲット特性に擾乱を印加することを含む。アパーチャプレートにポテンシャルが印加され、デバイスのパラメータの範囲にわたって、それぞれの擾乱がターゲット特性の変動を一緒に実質的に補償するように、ポテンシャルが制御される。
【0152】
[0177] 上側及び下側、アップ及びダウン、の上及びの下などへの参照は、サンプル208に衝突する電子ビーム又はマルチビームの(常ではないが通常は垂直な)アップビーム及びダウンビーム方向に対し平行な方向を指すとして理解されるべきである。従って、アップビーム及びダウンビームへの参照は、いかなる現在の重力場とも無関係にビーム経路に対する方向を参照するように意図されている。
【0153】
[0178] 本明細書で説明される実施形態は、ビーム経路又はマルチビーム経路に沿ってアレイ内に配置された一連のアパーチャアレイ又は電子光学素子の形態を取り得る。このような電子光学素子は、静電的であり得る。一実施形態では、例えば、ビーム制限アパーチャアレイからサンプルの前のサブビーム経路内の最終電子光学素子までのすべての電子光学素子は、静電的であり得、及び/又はアパーチャアレイ若しくはプレートアレイの形態であり得る。いくつかの構成では、電子光学素子の1つ又は複数は、微小電子機械システム(MEMS)として(即ちMEMS製造技術を使用することによって)製造される。電子光学素子は、磁性素子及び静電気素子を有し得る。例えば、複合アレイレンズは、磁気レンズ内に上側及び下側極プレートによってマルチビーム経路を包含し、マルチビーム経路に沿って配置されたマクロ磁気レンズを特徴とし得る。極プレート内には、マルチビームのビーム経路のアパーチャのアレイが存在し得る。電極は、複合レンズアレイの電磁場を制御及び最適化するために極プレートの上、下又はその間に存在し得る。
【0154】
[0179] 互いに対し異なる電位へ設定され得る電極又は他の素子が設けられる場合、このような電極/素子群は互いに電気的に絶縁されるということが理解されることになる。電極/素子群が互いに機械的に接続されれば、電気的絶縁コネクタが設けられ得る。例えば、それぞれがアパーチャアレイを画定する一連の導電板として電極/素子群が設けられる場合(例えば対物レンズアレイ又は制御のレンズアレイを形成するために)、電気的絶縁板が導電板間に設けられ得る。絶縁板は、導電板へ接続され得、これにより絶縁コネクタとして働き得る。導電板同士は絶縁板によりサブビーム経路に沿って互いに分離され得る。絶縁プレートにおいて、サブビームのマルチビームの経路の周囲に(例えば全てのサブビームの周囲に)アパーチャが画定され得る。
【0155】
[0180] 本開示による評価ツール又は評価システムは、サンプルの定性的測定(例えば、合格/不合格)を実施する装置、サンプルの定量的評価(例えば、フィーチャのサイズ)を実施する装置、又はサンプルのマップの画像を生成する装置を備え得る。例えば、評価ツールは、評価のために使用される場合、例えば、荷電粒子ビーム装置100の一部、又はより具体的には(荷電粒子光学カラムであり得る)荷電粒子光学デバイス40、及び/又は光学レンズアレイアセンブリの一部としての、荷電粒子光学デバイスのいずれかであってもよい。評価ツール又はシステムの例は、(例えば欠陥を特定するための)検査ツール、(例えば欠陥を分類するための)レビューツール、及び計測ツール、又は、検査ツール、レビューツール若しくは計測ツール(例えば計測検査ツール)に関連付けられた評価機能の任意の組合せを実施することが可能なツールである。(荷電粒子光学カラムであってもよい)荷電粒子ビームツール40は、評価ツールの構成要素、例えば、検査ツール若しくは計測検査ツール、又は電子ビームリソグラフィツールの一部、であってもよい。本明細書では、ツールへのいかなる参照も、デバイス、装置又はシステムを包含することを意図しており、ツールは様々な構成要素を備え、これらは、共存してもしなくてもよく、特に、例えばデータ処理要素に関して別々の部屋に配置される場合さえある。
【0156】
[0181] 荷電粒子ビームをある方法で操作するために制御可能である部品又は部品若しくは素子のシステムの参照は、荷電粒子ビームを上述の方法で操作するために部品を制御するようにコントローラ、又は制御システム、又は制御ユニットを構成することと、荷電粒子ビームをこの方法で操作するように部品を制御するために他のコントローラ又はデバイス(例えば、電圧源)を任意選択的に使用することとを含む。例えば、電圧源は、コントローラ、又は制御システム、又は制御ユニットの制御下で電位を部品に印加するために、1つ又は複数の部品、例えば制御レンズアレイ250及び対物レンズアレイ241の電極に電気的に接続され得る。ステージなどの活性化可能部品は、部品の活性化を制御するために、1つ又は複数のコントローラ、制御システム又は制御ユニットを使用することによって活性化し、従ってビーム経路などの別の部品に対して移動するように制御可能であり得る。
【0157】
[0182] コントローラ、又は制御システム、又は制御ユニットによって提供される機能は、コンピュータ実装され得る。素子の任意の好適な組み合わせは、例えば、CPU、RAM、SSD、マザーボード、ネットワーク接続、ファームウェア、ソフトウェア及び/又は必要とされるコンピューティング操作が行われることを可能にする当技術分野で知られている他の素子を含む必要な機能を提供するために使用され得る。必要なコンピューティング操作は、1つ又は複数のコンピュータプログラムによって定義され得る。1つ又は複数のコンピュータプログラムは、コンピュータ可読命令を格納する媒体、任意選択的に非一時的媒体の形態で提供され得る。コンピュータ可読命令がコンピュータによって読み込まれると、コンピュータは、必要とされる方法工程を行う。コンピュータは、内蔵ユニットで又はネットワークを介して互いに接続される複数の異なるコンピュータを有する分散コンピューティングシステムで構成される。
【0158】
[0183] 用語「サブビーム」及び「ビームレット」は、本明細書では互換的に使用され、両方とも親放射ビームを分割又は分離することによって親放射ビームから導出された任意の放射ビームを包含するものと理解される。用語「マニピュレータ」は、レンズ又は偏向器など、サブビーム又はビームレットの経路に影響を与える任意の素子を包含するように使用される。ビーム経路又はサブビーム経路に沿ってアライメントされる素子の参照は、それぞれの素子がビーム経路又はサブビーム経路に沿って位置決めされることを意味するものと理解される。光学系の参照は、電子光学系を意味するものと理解される。
【0159】
[0184] 複数の要素がビーム経路又はサブビーム経路に沿って整列されているという言及は、それぞれの要素がビーム経路又はサブビーム経路に沿って配置されていることを意味するものと理解される。
【0160】
[0185] 構成要素又は構成要素若しくは要素のシステムが、荷電粒子ビームを特定の方法で操作及び作用するように制御可能であることへの言及は、構成要素を制御するようにコントローラ又は制御システム若しくは制御ユニットを構成して、説明される方法で荷電粒子ビームを操作すること、並びに、任意選択で、他のコントローラ又はデバイス(例えば、電圧供給部及び/又は電流供給部)を使用して構成要素を制御して、この方法で荷電粒子ビームを操作すること、を含む。例えば、電圧供給部が、コントローラ又は制御システム若しくは制御ユニットの制御下で、例えば、非限定的なリストとして、制御レンズアレイ250、対物レンズアレイ234、コンデンサーレンズ231、補正器、及び走査偏向器アレイ260を含む、1つ以上の構成要素に電気的に接続されて構成要素にポテンシャルを印加してもよい。ステージなどの作動可能な構成要素は、構成要素の作動を制御するための1つ以上のコントローラ、制御システム又は制御ユニットを使用して、作動させ、したがってビーム経路などの別の構成要素を基準にして移動させるように制御可能であってもよい。
【0161】
[0186] コンピュータプログラムが、コントローラ50に以下のステップを実施するように命令する命令を含んでもよい。コントローラ50は、荷電粒子ビーム装置を制御して、荷電粒子ビームをサンプル208に向かって投影させる。一実施形態では、コントローラ50は、少なくとも1つの荷電粒子光学要素(例えば、多重偏向器又は走査偏向器260のアレイ)を制御して、荷電粒子ビーム経路内の荷電粒子ビームに作用する。加えて又は代わりに、一実施形態では、コントローラ50は、少なくとも1つの荷電粒子光学要素(例えば、検出器240)を制御して、荷電粒子ビームに応じてサンプル208から放出された荷電粒子ビームに作用する。本発明を、様々な実施形態と関連させて説明してきたが、本明細書で開示される本発明の仕様及び実施を考慮することで、本発明の他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。本明細書及び実施例は単なる例示と見なされ、本発明の真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲及び条項により示されることが意図される。
【0162】
[0187] 本発明の実施形態は、以下の条項を提供する。
【0163】
[0188] 条項1.荷電粒子の複数のビームをサンプルに向かって投影するための、又は荷電粒子のサブビームのマルチビームをサンプルに向かって投影するように構成された、電子光学デバイスであって、デバイスは、複数のプレートであって、複数のプレート内にそれぞれのアパーチャアレイが画定され、複数のプレートは、マルチビームのサブビームをサンプルに向かって投影するように構成された対物レンズアレイを備え、アパーチャアレイは、プレートのうちの少なくとも2つのプレート内に画定され、各アパーチャアレイは、サブビームの対応するターゲット特性に擾乱を印加するように構成される幾何学的特徴を有する、複数のプレートと、デバイスのパラメータの範囲にわたるターゲット特性の変動を印加された擾乱が一緒に実質的に補償するような幾何学的特徴、を有するプレートに印加されるポテンシャルを、印加及び制御するように構成されたコントローラと、を備える電子光学デバイス。
【0164】
[0189] 条項2.プレートのうちの少なくとも2つにおいて画定されたアパーチャアレイは各々が1つ以上の更なる幾何学的特徴を有し、更なる幾何学的特徴の各々が、サブビームの対応する更なるターゲット特性に擾乱を印加するように構成される、条項1に記載のデバイス。
【0165】
[0190] 条項3.様々なアパーチャアレイが、幾何学的特徴により、少なくともターゲット特性に対応する擾乱に対して、その範囲にわたってパラメータの関数として異なって変動する擾乱を印加するように構成される、条項1又は2に記載のデバイス。
【0166】
[0191] 条項4.コントローラは、少なくともターゲット特性に対応する擾乱に対して、アパーチャアレイのうちの少なくとも2つにより印加される擾乱が、パラメータの範囲の少なくとも一部にわたって互いに相殺するように、印加されるポテンシャルを制御するように構成される、条項1~3の何れか一項に記載のデバイス。
【0167】
[0192] 条項5.コントローラは、少なくともターゲット特性に対応する擾乱に対して、アパーチャアレイのうちの少なくとも2つにより印加される擾乱が、パラメータの範囲の少なくとも一部にわたって累積的に寄与するように、印加されるポテンシャルを制御するように構成される、条項1~4の何れか一項に記載のデバイス。
【0168】
[0193] 条項6.プレートのうちの3つにおいて画定されるアパーチャアレイは幾何学的特徴を有し、コントローラは、デバイスのパラメータの範囲にわたって、印加されたそれぞれの擾乱がターゲット特性の変動を一緒に実質的に補償するように、プレートのうちの3つの全てにポテンシャルを印加し制御するように構成される、条項1~5の何れか一項に記載のデバイス。
【0169】
[0194] 条項7.複数のプレートのアップビーム側に変動電子光学デバイスを更に備え、変動電子光学デバイスは、サンプルに向けられた荷電粒子に電子光学擾乱を印加するように構成され、擾乱は少なくともサブビームのターゲット特性に影響を及ぼすようなものである、条項1~6の何れか一項に記載のデバイス。
【0170】
[0195] 条項8.コントローラは、印加された電子光学擾乱と、アパーチャアレイにより印加されたそれぞれの擾乱とが、デバイスのパラメータの範囲にわたって、ターゲット特性の変化を一緒に実質的に補償するように、変動電子光学デバイスを制御するように構成される、条項7に記載のデバイス。
【0171】
[0196] 条項9.印加された電子光学擾乱は、補償されるべき、ターゲット特性の変動の少なくとも一部を形成する、条項7又は8に記載のデバイス。
【0172】
[0197] 条項10.デバイスは、変動電子光学デバイスのアップビーム側にビーム制限アパーチャアレイを備え、ビーム制限アパーチャアレイはサブビームを生成するように構成される、又はデバイスは、変動電子光学デバイスとプレートとの間にビーム制限アパーチャアレイを備え、ビーム制限アパーチャアレイは源ビームからサブビームを生成するように構成される、のいずれかである、条項7~9の何れか一項に記載のデバイス。
【0173】
[0198] 条項11.源ビームは荷電粒子を含み、変動電子光学デバイスは荷電粒子に電子光学擾乱を印加し、デバイスは、好ましくは、源ビームを放出するための源を備える、条項7~10の何れか一項に記載のデバイス。
【0174】
[0199] 条項12.変動電子光学デバイスは、マクロ電子光学デバイスである、及び/又はグループとしての複数のサブビームに対応する荷電粒子に作用するように構成される、条項7~11の何れか一項に記載のデバイス。
【0175】
[0200] 条項13.変動電子光学デバイスは、好ましくはサブビーム中の荷電粒子に作用して、サブビームに対応する荷電粒子をコリメートするように構成されたコリメータである、及び/又はコンデンサーレンズである、条項7~12の何れか一項に記載のデバイス。
【0176】
[0201] 条項14.コリメータは、巨視的なコリメーションを適用するように構成されたマクロコリメータを含む、条項13に記載のデバイス。
【0177】
[0202] 条項15.パラメータは、荷電粒子の着地エネルギー、荷電粒子のビーム電流、サンプルと電子光学デバイスの検出器との間の離隔間隔、拡大率、解像度のうちの1つ以上を含む、条項1~14の何れか一項に記載のデバイス。
【0178】
[0203] 条項16.ターゲット特性は、非点収差、像面湾曲、歪、コマ収差のうちの1つ以上を含む、条項1~15の何れか一項に記載のデバイス。
【0179】
[0204] 条項17.ターゲット特性は非点収差を含み、及び/又は対応する擾乱を印加するように構成される幾何学的特徴は、アパーチャアレイにおける様々なアパーチャ楕円率の範囲を含む、条項1~16の何れか一項に記載のデバイス。
【0180】
[0205] 条項18.ターゲット特性は像面湾曲を含み、及び/又は対応する擾乱を印加するように構成される幾何学的特徴は、アパーチャアレイにおける様々なアパーチャ寸法、例えば面積、の範囲を含む、条項1~17の何れか一項に記載のデバイス。
【0181】
[0206] 条項19.ターゲット特性は歪を含み、及び/又は対応する擾乱を印加するように構成される幾何学的特徴は、それぞれの名目位置に対する、アパーチャアレイにおける様々なアパーチャ位置の範囲を、好ましくは規則格子上に含む、条項1~18の何れか一項に記載のデバイス。
【0182】
[0207] 条項20.ターゲット特性はコマ収差を含み、及び/又は対応する擾乱を印加するように構成される幾何学的特徴は、それぞれの名目位置に対する、アパーチャアレイにおける様々なアパーチャ位置の範囲を、好ましくは規則格子上に含む、条項1~19の何れか一項に記載のデバイス。
【0183】
[0208] 条項21.コントローラは、プレートに印加されるポテンシャルを印加及び制御して、デバイスの画像平面と、デバイスのパラメータの範囲にわたってプレートのうちの少なくとも1つを支持する剛性取付具との間の空間的関係を実質的に一定に維持するように構成され、好ましくは、コントローラは、実質的に一定の空間的関係を維持するように構成される一方で、加えてデバイスのパラメータの範囲にわたって、変動電子光学デバイスを制御するように構成される、条項1~20の何れか一項に記載のデバイス。
【0184】
[0209] 条項22.パラメータは荷電粒子の着地エネルギーを含み、ターゲット特性は非点収差を含む、条項1~21の何れか一項に記載のデバイス。
【0185】
[0210] 条項23.コントローラは、プレートにより印加される像面湾曲の擾乱が、パラメータの範囲にわたって、プレートのアップビーム側の変動電子光学デバイスにより印加される像面湾曲の擾乱を補償するように、プレートに印加されるポテンシャルを制御するように構成される、条項22に記載のデバイス。
【0186】
[0211] 条項24.コントローラは、プレートにより印加される像面湾曲の擾乱が、パラメータの範囲にわたって、プレートのアップビーム側の変動電子光学デバイスにより印加される像面湾曲の擾乱を補償するように、プレートに印加される縮小率を制御するように構成される、条項23に記載のデバイス。
【0187】
[0212] 条項25.パラメータは荷電粒子の着地エネルギーを含み、ターゲット特性は像面湾曲を含む、条項1~24の何れか一項に記載のデバイス。
【0188】
[0213] 条項26.コントローラは、プレートにより印加される非点収差の擾乱が、パラメータの範囲にわたって、プレートのアップビーム側の変動電子光学デバイスにより印加される非点収差の擾乱を補償するように、プレートに印加される縮小率を制御するように構成される、条項25に記載のデバイス。
【0189】
[0214] 条項27.変動電子光学デバイスは、巨視的なコリメーションを適用するように構成されたマクロコリメータを備える、条項23、24、又は26に記載のデバイス。
【0190】
[0215] 条項28.アパーチャアレイのそれぞれの幾何学的特徴は、非点収差及び/又は像面湾曲が、着地エネルギーの範囲にわたって、実質的に着地エネルギーに依存しないようなものである、条項22~27の何れか一項に記載のデバイス。
【0191】
[0216] 条項29.パラメータは荷電粒子のビーム電流を含み、ターゲット特性は非点収差及び像面湾曲の一方又は両方を含む、条項1~28の何れか一項に記載のデバイス。
【0192】
[0217] 条項30.アパーチャアレイのそれぞれの幾何学的特徴は、非点収差及び像面湾曲が、ビーム電流の範囲にわたって、総線形縮小率と総角度縮小率との比率に実質的に依存しないようなものである、条項29に記載のデバイス。
【0193】
[0218] 条項31.コントローラは、プレートにより印加される像面湾曲及び/又は非点収差の擾乱が、パラメータの範囲にわたって、プレートのアップビーム側の変動電子光学デバイスにより印加される像面湾曲及び/又は非点収差の擾乱を補償するように、プレートに印加されるポテンシャルを制御するように構成される、条項29又は30に記載のデバイス。
【0194】
[0219] 条項32.ターゲット特性の変動は収差である、条項1~31の何れか一項に記載のデバイス。
【0195】
[0220] 条項33.荷電粒子のマルチビームをサンプルに投影するための電子光学デバイスであって、デバイスは、複数のプレートであって、複数のプレート内にアパーチャアレイが画定され、複数プレートは、マルチビームのビームをサンプルに向かって投影するように構成された対物レンズアレイを備え、複数のプレートのうちの少なくとも2つが、ビームの特性(例えば、ターゲット特性)に擾乱を印加するように構成された、又は擾乱を適用するような、アパーチャのそれぞれのアレイに適用される幾何学的特徴を有する、複数のプレートと、デバイスのある範囲のパラメータにわたる特性の変動をプレートによりビームに印加された擾乱が一緒に実質的に補償するように、幾何学的特徴を有するプレートのうちの少なくとも2つに印加されるポテンシャルを印加及び制御するように構成されたコントローラと、を備える電子光学デバイス。
【0196】
[0221] 条項34.荷電粒子の複数のビームをサンプルに向かって投影するための電子光学デバイスであって、デバイスは、複数のプレートであって、そのうちの少なくとも2つのプレート内にアパーチャアレイが画定され、複数プレートはビームをサンプルに向かって投影するように構成された対物レンズアレイを備え、少なくとも2つのプレート内のアパーチャアレイは、ビームのターゲット特性に擾乱を印加するように構成された幾何学的特徴を有する、複数のプレートと、デバイスのある範囲のパラメータにわたるターゲット特性の変動を、ビームに印加された擾乱が一緒に実質的に補償するように、幾何学的特徴を有するプレートに印加されるポテンシャルを印加及び制御するように構成されたコントローラと、を備える電子光学デバイス。
【0197】
[0222] 条項35.複数のプレートのアップビーム側に変動マクロ電子光学デバイスを更に備え、変動マクロ電子光学デバイスはサンプルに向けられた荷電粒子に電子光学擾乱を印加するように構成され、擾乱は少なくともビームのターゲット特性に影響を及ぼすようなものである、条項33又は34に記載の電子光学デバイス。
【0198】
[0223] 条項36.複数のプレートのアップビーム側に変動マクロ電子光学デバイスを更に備え、望ましくは、変動マクロ電子光学デバイスは、サンプルに向けられた荷電粒子に電子光学擾乱を印加するように構成され、望ましくは、擾乱は少なくともビームのターゲット特性に影響を及ぼすようなものである、条項33又は34に記載の電子光学デバイス。
【0199】
[0224] 条項37.コントローラは、デバイスのパラメータの範囲にわたって、擾乱がターゲット特性の変動を一緒に実質的に補償するように、変動電子光学デバイス及びアパーチャアレイを制御するように構成される、条項35又は36に記載の電子光学デバイス。
【0200】
[0225] 条項38.コントローラは、印加された電子光学擾乱と、アパーチャアレイにより印加されたそれぞれの擾乱とが、デバイスのパラメータの範囲にわたって、ターゲット特性の変動を一緒に実質的に補償するように、変動電子光学デバイスを制御するように構成される、条項35又は36に記載の電子光学デバイス。
【0201】
[0226] 条項39.コントローラは、好ましくは、少なくともターゲット特性に対応する擾乱に対して、パラメータの範囲の少なくとも一部にわたって、アパーチャアレイのうちの少なくとも2つにより印加される擾乱が互いに相殺するように、及び/又はアパーチャアレイのうちの少なくとも2つが累積的に寄与するように、印加されるポテンシャルを制御するように構成される、条項33又は38に記載の電子光学デバイス。
【0202】
[0227] 条項40.パラメータは、荷電粒子の着地エネルギー、荷電粒子のビーム電流、サンプルと電子光学デバイスの検出器との間の離隔間隔、拡大率、解像度のうちの1つ以上を含む、条項33~39の何れか一項に記載の電子光学デバイス。
【0203】
[0228] 条項41.ターゲット特性は、非点収差、像面湾曲、歪、コマ収差のうちの1つ以上を含む、条項33~40の何れか一項に記載の電子光学デバイス。
【0204】
[0229] 条項42.幾何学的特徴は、2つ以上のプレートのアパーチャアレイに対するハードコード化された補正であり、楕円率、直径、及び規則格子からの変位のうちの1つ以上を含む、条項1~32の何れか一項に記載のデバイス、又は条項33~41の何れか一項に記載のデバイス。
【0205】
[0230] 条項43.アパーチャアレイにおける異なるアパーチャに適用される補正フィーチャ間が、それぞれのアパーチャアレイにおけるアパーチャの場所に依存する、条項42に記載のデバイス又は条項42に記載のデバイス。
【0206】
[0231] 条項44.条項1~32、42若しくは43の何れか一項に記載のデバイス、又は条項43の33の何れか一項に記載の電子光学デバイスを備える、荷電粒子装置。
【0207】
[0232] 条項45.サンプルを支持するように構成されたステージを更に備える、条項44に記載の荷電粒子装置。
【0208】
[0233] 条項46.条項1~32、42若しくは43の何れか一項に記載のデバイス、又は条項43の33の何れか一項に記載の電子光学デバイス、又は条項44若しくは45の何れか一項に記載の荷電粒子装置、を備える評価システム。
【0209】
[0234] 条項47.サンプルに投影されるマルチビーム中の荷電粒子のサブビームの特性の変動を補償する方法であって、方法は、サブビームをサンプルに向けて投影するために複数のプレートを使用することであって、プレートは、それぞれのアパーチャアレイを画定し、サブビームをサンプルに向かって投影するための対物レンズアレイを含み、プレートのうちの少なくとも2つにおいて画定されたアパーチャアレイは各々が、サブビームの対応するターゲット特性に擾乱を印加するように構成された幾何学的特徴を有する、使用することと、デバイスのパラメータの範囲にわたるターゲット特性の変動を印加された擾乱が一緒に実質的に補償するような幾何学的特徴、を有するプレートに印加されるポテンシャルを制御することと、を含む方法。
【0210】
[0235] 条項48.サンプルに投影されるマルチビーム中の荷電粒子のサブビームの特性の変動を、それぞれのアパーチャアレイが画定されている複数のプレートを備える電子光学デバイスにおいて補償する方法であって、複数のプレートは対物レンズアレイを備え、プレートのうちの少なくとも2つにおいて画定されるアパーチャアレイは幾何学的特徴を有し、方法は、幾何学的特徴を有するアパーチャアレイを有するプレートを用いてサブビームに作用することにより、サブビームをサンプルに向かって投影することであって、作用することは、それぞれのプレートを用いてサブビームのターゲット特性に擾乱を印加することを含む、投影することと、アパーチャプレートにポテンシャルを印加することと、デバイスのパラメータの範囲にわたって、印加された擾乱がターゲット特性の変動を一緒に実質的に補償するように、ポテンシャル制御することと、を含む方法。
図1
図2
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図5
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【手続補正書】
【提出日】2024-08-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子のマルチビームをサンプルに投影するための電子光学デバイスであって、前記デバイスは、
複数のプレートであって、前記複数のプレート内にそれぞれのアパーチャアレイが画定され、前記複数のプレートは、前記マルチビームのサブビームを前記サンプルに向かって投影するように構成された対物レンズアレイを備え、前記アパーチャアレイは、前記プレートのうちの少なくとも2つのプレート内に画定され、各アパーチャアレイは、前記サブビームの対応するターゲット特性に擾乱を印加するように構成される幾何学的特徴を有する、複数のプレートと、
前記デバイスのパラメータの範囲にわたる前記ターゲット特性の変動を印加された前記擾乱が一緒に実質的に補償するような幾何学的特徴、を有する前記プレートに印加されるポテンシャルを印加及び制御するように構成されたコントローラと、
を備える、電子光学デバイス。
【請求項2】
前記プレートのうちの少なくとも2つのプレートにおいて画定された前記アパーチャアレイは各々が1つ以上の更なる幾何学的特徴を有し、前記更なる幾何学的特徴の各々が、前記サブビームの対応する更なるターゲット特性に擾乱を印加するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
異なるアパーチャアレイが、前記幾何学的特徴により、少なくとも前記ターゲット特性に対応する擾乱に対して、前記範囲にわたって前記パラメータの関数として異なって変動する擾乱を印加するように構成される、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記コントローラは、少なくとも前記ターゲット特性に対応する擾乱に対して、前記アパーチャアレイのうちの少なくとも2つにより印加される擾乱が、前記パラメータの前記範囲の少なくとも一部にわたって互いに相殺するように、前記印加されるポテンシャルを制御するように構成される、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記コントローラは、少なくとも前記ターゲット特性に対応する擾乱に対して、前記パラメータの前記範囲の少なくとも一部にわたって、前記アパーチャアレイのうちの少なくとも2つにより印加される擾乱が累積的に寄与するように、前記印加されるポテンシャルを制御するように構成される、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項6】
前記プレートのうちの3つにおいて画定される前記アパーチャアレイは前記幾何学的特徴を有し、前記コントローラは、前記デバイスのパラメータの前記範囲にわたって、前記ターゲット特性の前記変動を印加されたそれぞれの前記擾乱が一緒に実質的に補償するように、前記プレートのうちの前記3つの全てにポテンシャルを印加し制御するように構成される、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項7】
前記複数のプレートのアップビーム側に変動電子光学デバイスを更に備え、前記変動電子光学デバイスは、前記サンプルに向けられた前記荷電粒子に電子光学擾乱を印加するように構成され、前記擾乱は、少なくとも前記サブビームの前記ターゲット特性に影響を及ぼすようなものである、請求項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記コントローラは、前記印加された電子光学擾乱と、前記アパーチャアレイにより印加されたそれぞれの前記擾乱とが、前記デバイスの前記パラメータの前記範囲にわたって、前記ターゲット特性の前記変動を一緒に実質的に補償するように、前記変動電子光学デバイスを制御するように構成される、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記印加された電子光学擾乱は、補償されるべき、前記ターゲット特性の前記変動の少なくとも一部を形成する、請求項7又は8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記デバイスは、前記変動電子光学デバイスのアップビーム側にビーム制限アパーチャアレイを備え、前記ビーム制限アパーチャアレイは前記サブビームを生成するように構成される、請求項7又は8に記載のデバイス。
【請求項11】
前記変動電子光学デバイスは、マクロ電子光学デバイスである、及び/又はグループとしての複数のサブビームに対応する荷電粒子に作用するように構成される、請求項7又は8に記載のデバイス。
【請求項12】
前記変動電子光学デバイスは、好ましくは前記サブビーム中の荷電粒子に作用して、前記サブビームに対応する前記荷電粒子をコリメートするように構成されたコリメータである、及び/又はコンデンサーレンズである、請求項7又は8に記載のデバイス。
【請求項13】
前記コリメータは、巨視的なコリメーションを適用するように構成されたマクロコリメータを含む、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記幾何学的特徴は、前記2つ以上のプレートの前記アパーチャアレイに対するハードコード化された補正であり、楕円率、直径、及び規則格子からの変位のうちの1つ以上を含む、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項15】
前記アパーチャアレイにおける異なるアパーチャに適用される補正フィーチャ間の前記変動が、それぞれの前記アパーチャアレイにおける前記アパーチャの場所に依存する、請求項14に記載のデバイス。
【国際調査報告】