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特表2025-503447線維症発症を予測するための予後モデル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】線維症発症を予測するための予後モデル
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20250128BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20250128BHJP
   G06T 7/11 20170101ALI20250128BHJP
   G06N 3/0464 20230101ALI20250128BHJP
【FI】
A61B3/10 100
G06T7/00 350C
G06T7/11
G06T7/00 612
G06N3/0464
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536115
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-02
(86)【国際出願番号】 US2022081817
(87)【国際公開番号】W WO2023115007
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/290,628
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/330,756
(32)【優先日】2022-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】514099673
【氏名又は名称】エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヘルナンデス サンチェス, ジュリオ
(72)【発明者】
【氏名】マウンツ, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ユイ, スーチン
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア ガルシア, ベアトリス
【テーマコード(参考)】
4C316
5L096
【Fターム(参考)】
4C316AA09
4C316AA25
4C316AB02
4C316AB11
4C316AB16
4C316FB21
5L096AA06
5L096BA06
5L096BA13
5L096CA02
5L096DA01
5L096DA02
5L096FA02
5L096FA52
5L096FA59
5L096FA64
5L096FA69
5L096GA51
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】
線維症発症を予測するための方法およびシステム。新生血管加齢黄斑変性(nAMD)を有する対象の網膜についての光干渉断層撮影(OCT)画像データを受信し得る。OCT画像データは、予測出力を生成するために機械学習モデルを含むモデルシステムを使用して処理される。最終出力は、予測出力に基づいて生成され、最終出力は、網膜における線維症を発症するリスクを示す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
新生血管加齢黄斑変性(nAMD)を有する対象の網膜についての光干渉断層撮影(OCT)画像データを受信することと、
機械学習モデルを含むモデルシステムを使用して前記OCT画像データを処理して予測出力を生成することと、
前記予測出力に基づいて、前記網膜の線維症を発症するリスクを示す最終出力を生成することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記機械学習モデルが、深層学習モデルを含み、前記処理は、
少なくとも1つのニューラルネットワークを含むセグメント化モデルを介して、前記OCT画像データをセグメント化して、セグメント化画像データを形成することと、
前記モデルシステムの前記深層学習モデルを使用して前記セグメント化画像データを処理して前記予測出力を生成することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記機械学習モデルは回帰モデルを含み、前記処理は、
特徴抽出モデルを介して、前記セグメント化画像データから網膜特徴データを抽出することであって、前記網膜特徴データが、少なくとも1つの網膜層要素に関連する第1の特徴値、または少なくとも1つの網膜病理要素に関連する第2の特徴値のうちの少なくとも1つを含む、網膜特徴データを抽出することと、
前記回帰モデルを使用して前記OCT画像データを処理して前記予測出力を生成することと
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記機械学習モデルが少なくとも1つの畳み込みニューラルネットワークを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記機械学習モデルは深層学習モデルを含み、前記処理は、
前記深層学習モデルを使用して前記OCT画像データおよび臨床データを処理して前記予測出力を生成することであって、前記臨床データが、ベースライン脈絡膜新生血管(CNV)タイプ、ベースライン視力測定値、またはベースライン年齢のうちの少なくとも1つを含む、前記予測出力を生成すること
を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記深層学習モデルは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)システムを含み、前記CNNシステムの第1の部分は畳み込みニューラルネットワークを含み、前記CNNシステムの第2の部分はカスタム高密度層部分を含み、前記OCT画像データおよび前記臨床データの前記処理は、
前記CNNシステムの前記第1の部分を使用して前記OCT画像データを処理して第1の中間出力を生成することと、
前記臨床データのためのベクトルのセットを前記第1の中間出力に連結して第2の中間出力を形成することと、
前記カスタム高密度層部分を使用して前記第2の中間出力を処理して前記予測出力を生成することと
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記最終出力は、
線維症の発症が予測されるか否かを示すバイナリ分類、
前記予測出力もしくは前記バイナリ分類のいずれかに基づいて前記対象を臨床試験に含めるかもしくは除外するための臨床試験推奨、または
前記予測出力もしくは前記バイナリ分類のいずれかに基づいて、前記対象の治療のタイプを変更する、もしくは前記対象の治療レジメンを調整する、の少なくとも1つを行うための治療の推奨
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
方法であって、
新生血管加齢黄斑変性(nAMD)を有する対象の網膜についての光干渉断層撮影(OCT)画像データを受信することと、
セグメント化モデルを使用して前記OCT画像データをセグメント化して、セグメント化画像データを生成することと、
深層学習モデルを使用して前記セグメント化画像データを処理して予測出力を生成することと、
前記予測出力に基づいて、前記網膜の線維症を発症するリスクを示す最終出力を生成することと
を含む、方法。
【請求項9】
前記セグメント化モデルまたは前記深層学習モデルの少なくとも一方が、少なくとも1つの畳み込みニューラルネットワークを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記処理が、
前記深層学習モデルを使用して前記セグメント化画像データおよび臨床データを処理して前記予測出力を生成することであって、前記臨床データが、ベースライン脈絡膜新生血管(CNV)タイプ、ベースライン視力測定値、またはベースライン年齢のうちの少なくとも1つを含む、前記予測出力を生成すること
を含む、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記深層学習モデルは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)システムを含み、前記CNNシステムの第1の部分は畳み込みニューラルネットワークを含み、前記CNNシステムの第2の部分はカスタム高密度層部分を含み、前記セグメント化画像データおよび前記臨床データの前記処理は、
前記CNNシステムの前記第1の部分を使用して前記セグメント化画像データを処理して第1の中間出力を生成することと、
前記臨床データのためのベクトルのセットを前記第1の中間出力に連結して第2の中間出力を形成することと、
前記カスタム高密度層部分を使用して前記第2の中間出力を処理して前記予測出力を生成することと
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記最終出力は、
線維症の発症が予測されるか否かを示すバイナリ分類、
前記予測出力もしくは前記バイナリ分類のいずれかに基づいて前記対象を臨床試験に含めるかもしくは除外するための臨床試験推奨、または
前記予測出力もしくは前記バイナリ分類のいずれかに基づいて、前記対象の治療のタイプを変更する、もしくは前記対象の治療レジメンを調整する、の少なくとも1つを行うための治療の推奨
のうちの少なくとも1つを含む、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
方法であって、
新生血管加齢黄斑変性(nAMD)を有する対象の網膜についての臨床データまたは網膜特徴データの少なくとも1つを受信することと、
回帰モデルを使用して前記臨床データまたは前記網膜特徴データの前記少なくとも1つを処理して予測出力を生成することと、
前記予測出力に基づいて、前記網膜の線維症を発症するリスクを示す最終出力を生成することと
を含む、方法。
【請求項14】
特徴抽出モデルを介して、セグメント化画像データから前記網膜特徴データを抽出することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つのニューラルネットワークを含むセグメント化モデルを介して、OCT画像データをセグメント化して前記セグメント化画像データを形成することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記臨床データが、ベースライン脈絡膜新生血管(CNV)タイプ、ベースライン視力測定値、またはベースライン年齢のうちの少なくとも1つを含み、前記網膜特徴データが、少なくとも1つの網膜層要素に関連する第1の特徴値または少なくとも1つの網膜病理要素に関連する第2の特徴値のうちの少なくとも1つを含む、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記回帰モデルが、Ridge正則化、Lasso正則化、またはElastic Net正則化のうちの少なくとも1つを使用して訓練される、請求項13から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記予測出力が、線維症が発症する見込みがある確率を示すスコアを含む、請求項13から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記最終出力は、
線維症の発症が予測されるか否かを示すバイナリ分類、
前記予測出力もしくは前記バイナリ分類のいずれかに基づいて前記対象を臨床試験に含めるかもしくは除外するための臨床試験推奨、または
前記予測出力もしくは前記バイナリ分類のいずれかに基づいて、前記対象の治療のタイプを変更する、もしくは前記対象の治療レジメンを調整する、の少なくとも1つを行うための治療の推奨
のうちの少なくとも1つを含む、請求項13から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記網膜特徴データが、網膜下高輝度物質(SRHM)に対するグレード、色素上皮剥離(PED)に対するグレード、網膜下滲出液(SRF)の最大の高さ、外網状層(OPL)とヘンレの線維層(HFL)の界面と網膜色素上皮(RPE)層との間の最大の厚さ、または内境界膜(ILM)層と前記RPE層との間の厚さのうちの少なくとも1つを含む、請求項3または請求項13から19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明者:
Julio Hernandez Sanchez、Andreas Maunz、Siqing Yu、Beatriz Garcia Garcia
関連出願の相互参照
本出願は、2022年4月13日に出願された米国仮特許出願第63/330,756号、発明の名称「Prognostic Models for Predicting Fibrosis Development」、および2021年12月16日に出願された米国仮特許出願第63/290,628号、発明の名称「Prognostic Models for Predicting Fibrosis Development」に対する優先権を主張し、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、一般に、線維症の発症を予測することに関し、より詳細には、機械学習を使用して線維症の発症の予測を自動化するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
加齢黄斑変性症(AMD)は、先進国の50歳以上の人々における不可逆的な失明の最も頻発する原因であり続けている。血管新生型AMD(nAMD)は、AMDの進行型である。抗血管内皮成長因子(抗VEGF)療法の導入は、nAMDの予後を有意に改善した。しかしながら、患者の大部分は、治療にもかかわらず不可逆的な視力の喪失に苛まれている。多くの場合、この視力の喪失は、例えば線維症の発症などの不可逆的な変化に起因する。
【0004】
線維症は、異なる網膜層の構造および機能を劇的に変化させるコラーゲン線維の沈着を特徴とし得る異常な創傷治癒過程の結果であると考えられる。しかしながら、網膜線維症の病態生理学は複雑であり、完全には理解されておらず、特定の治療法の開発および信頼性の高いバイオマーカーの特定を困難にしている。線維症の発症を予測するバイオマーカーを検出するための現在利用可能な方法は、人間の評価者による画像の手動での評価を含み、検出を、所望するよりも正確でなく、効率的でなく、また遅いものにする。
【発明の概要】
【0005】
概要
1つまたは複数の実施形態では、線維症の発症を予測する方法が提供される。新生血管加齢黄斑変性(nAMD)を有する対象の網膜についての光干渉断層撮影(OCT)画像データを受信し得る。OCT画像データは、予測出力を生成するために機械学習モデルを含むモデルシステムを使用して処理される。最終出力は、予測出力に基づいて生成され、最終出力は、網膜における線維症を発症するリスクを示す。
【0006】
1つまたは複数の実施形態では、線維症の発症を予測するための方法が提供される。新生血管加齢黄斑変性(nAMD)を有する対象の網膜の光干渉断層撮影(OCT)画像データを受信する。OCT画像データは、セグメント化モデルを使用してセグメント化され、セグメント化画像データを生成する。セグメント化画像データは、深層学習モデルを使用して処理され、予測出力を生成する。予測出力に基づいて、網膜における線維症の発症のリスクを示す最終出力が生成される。
【0007】
1つまたは複数の実施形態では、線維症の発症を予測するための方法が提供される。新生血管加齢黄斑変性(nAMD)の対象の網膜についての臨床データまたは網膜特徴データの少なくとも1つが受信される。臨床データまたは網膜特徴データの少なくとも一方は、予測出力を生成するために回帰モデルを使用して処理される。予測出力に基づいて網膜における線維症の発症のリスクを示す最終出力が、生成される。
【0008】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のデータプロセッサと、非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、1つまたは複数のデータプロセッサ上で実行されると、1つまたは複数のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つまたは複数の方法の一部もしくはすべてを実行させる命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体とを含むシステムが提供される。
【0009】
いくつかの実施形態では、非一時的機械可読記憶媒体に有形に具現化され、1つまたは複数のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つまたは複数の方法の一部もしくはすべてを実行させるように構成された命令を含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示は、以下の添付の図面と併せて説明される。
【0011】
図1】1つまたは複数の実施形態による予測システム100のブロック図である。
【0012】
図2】1つまたは複数の実施形態による、図1のモデルシステムの実施態様の一例のブロック図である。
【0013】
図3】1つまたは複数の実施形態による、図1のモデルシステムの実施態様の一例のブロック図である。
【0014】
図4】1つまたは複数の実施形態による線維症の発症を予測するためのプロセスのフローチャートである。
【0015】
図5】1つまたは複数の実施形態による、OCT画像データを使用して線維症の発症を予測するためのプロセスのフローチャートである。
【0016】
図6】1つまたは複数の実施形態による線維症の発症を予測するためのプロセスのフローチャートである。
【0017】
図7】1つまたは複数の実施形態による線維症の発症を予測するためのプロセスのフローチャートである。
【0018】
図8】1つまたは複数の実施形態によるOCT画像である。
【0019】
図9】1つまたは複数の実施形態によるセグメント化画像である。
【0020】
図10】1つまたは複数の実施形態による臨床データを使用する特徴ベースのモデルの統計結果を比較する表である。
【0021】
図11】1つまたは複数の実施形態による、OCT画像データから導出された網膜特徴を使用した特徴ベースのモデルの統計結果を比較する表である。
【0022】
図12】1つまたは複数の実施形態による、OCT画像データおよびセグメント化画像データを使用した深層学習モデルの統計結果を比較する表である。
【0023】
図13】1つまたは複数の実施形態による、臨床データと組み合わせてOCT画像データおよびセグメント化画像データを使用した深層学習モデルの統計結果を比較する表である。
【0024】
図14】1つまたは複数の実施形態によるコンピュータシステムのブロック図である。
【0025】
添付の図面において、同様の構成要素および/または特徴は、同じ参照ラベルを有することができる。さらに、同じタイプの様々な構成要素は、参照ラベルの後に同様の構成要素を区別するダッシュおよび第2のラベルを続けることによって区別され得る。本明細書において第1の参照ラベルのみが使用される場合、説明は、第2の参照ラベルに関係なく、同じ第1の参照ラベルを有する同様の構成要素のいずれか1つに適用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
詳細な説明
I.概要
本明細書に記載の実施形態は、現在利用可能な方法およびシステムよりも侵襲性が低く、効率的であり、かつ/またはより速い、新生血管加齢黄斑変性(nAMD)対象における線維症の発症を予測するための方法およびシステムを有することが所望され得ることを認識している。線維症の発症は、線維症の発病を含み得、線維症の進行の継続を含み得る。線維症は、不可逆的な視力の喪失につながる可能性があり、いったん発症すると、線維症に特異的に標的化された治療法が現在存在しないので、nAMDの治療を受けている対象またはその治療を受ける対象が線維症を発症するかどうか、およびいつ発症するかを予測することが、重要であり得る。
【0027】
典型的には、古典的な脈絡膜新生血管(CNV)が、線維症の発症の予後バイオマーカーとして使用されてきた。CNVのタイプおよびサイズは、従来、フルオレセイン蛍光眼底造影(FFA)とも呼ばれ得るフルオレセイン蛍光眼底造影(FA)を介して生成された画像における色素漏出の手動観察によって検出される。しかし、FA(またはFFA)撮像は侵襲的であり、そのような撮像モダリティの画像を使用することは、所望されるよりも負担が大きい場合がある。例えば、線維症を検出するためにFAの画像を解釈することは、現在、必要な専門知識を有するかまたは訓練を積んだ人間の評価者に依拠している。
【0028】
光干渉断層撮影(OCT)撮像は、OCT撮像が低侵襲性であるので、線維症のリスクがあるnAMD患者の診断およびフォローアップを改善するために使用され得る。低侵襲性であることに加えて、必要とされ得る技術者訓練が低減されるので、OCT画像を取得することは、より容易になる。さらに、OCT撮像は、定性的情報と定量的情報の両方を得ることを可能にし得る。したがって、実施形態は、OCT画像を介して線維症発症の予測を自動化するための方法およびシステムを有することが所望される場合があることを認識する。OCT画像に見られる様々な形態学的特徴は、網膜下高輝度物質(SHRM)、中心窩網膜下滲出液(SRF)、色素上皮剥離(PED)、および中心窩網膜の厚さを含むがこれらに限定されない線維症発症のリスクの増加に関連している。
【0029】
したがって、本明細書に記載の実施形態は、OCT画像および機械学習を使用して線維症発症の予測を自動化するための方法およびシステムを提供する。OCT画像は、例えば、ベースラインのOCT画像であってもよい。1つまたは複数の実施形態では、深層学習モデルを使用して、OCT画像またはOCT画像から発展させたセグメント化画像(例えば、セグメント化マスク)を処理して線維症を予測する。これらのセグメント化画像は、訓練された深層学習モデルを使用して生成し得る。これらの深層学習モデルは、人間の評価者によるFA画像を介したCNVのタイプおよびサイズの手動での評価を使用する場合と比較して、線維症予測の精度を類似させるまたは改善し得る。さらに、線維症を予測するためにこれらの深層学習モデルを使用することは、FA画像または手動のグレーディングを使用するよりも容易、迅速、および効率的であり得る。またさらに、本明細書に記載の深層学習モデルを使用することにより、必要なコンピューティングリソースの量を減らす方法で、線維症の予測を改善し得る。
【0030】
1つまたは複数の実施形態では、特徴ベースのモデリングを使用して、セグメント化画像から抽出された網膜特徴データを処理し、線維症を予測する。これらのセグメント化画像は、深層学習モデルのアプローチのためのセグメント化画像に関して上述したセグメント化画像と同じ訓練された深層学習モデルから生成し得る。これらの特徴ベースのモデルは、人間の評価者によるFA画像を介したCNVのタイプおよびサイズの手動での評価を使用する場合と比較して、線維症予測のための同様のまたは改善された精度を提供し得る。さらに、線維症を予測するためにこれらの特徴ベースのモデルを使用することは、FA画像または手動のグレーディングを使用するよりも容易、迅速、および効率的であり得る。またさらに、本明細書に記載の特徴ベースのモデルを使用することにより、必要なコンピューティングリソースの量を削減する方法で、線維症の予測を改善し得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、OCT画像データ、セグメント化画像データ、および/または上述の網膜特徴データに加えて、臨床データを使用し得る。この臨床データは、例えば、限定されないが、FA画像から決定された年齢、視力(例えば、最高矯正視力測定値(BCVA)などの視力測定値)、またはCNVタイプなどの様々な臨床変数の値を含むベースライン臨床データであり得る。
【0032】
様々な実施形態では、機械学習モデルは、OCT画像、セグメント化画像、および/または網膜特徴データを処理して、CNVの存在を検出し、CNVをそのタイプによって分類し得る。これらの機械学習モデルは、人間の評価者によるFA画像の手動での評価と比較して改善された精度で、CNVのタイプを検出し得る。さらに、CNVのタイプを検出するために機械学習モデルを使用すると、CNVのタイプを検出するために必要な時間およびコンピューティングリソースの量を削減し得る。
【0033】
本明細書に記載の機械学習ベースの方法およびシステムを使用した自動化された線維症検出は、予後を導き、nAMDおよび/または線維症の新しい治療戦略の開発を助力し得る。さらに、自動化された線維症予測は、臨床試験のためにより豊富かつ/またはより正確な集団を選択するのを確実にするために、臨床試験のための対象のより良好な層別化および選択を可能にし得る。またさらに、自動化された線維症予測は、治療反応のより正確な評価を可能にし得る。例えば、線維症の発症を予測するために本明細書に記載されるような機械学習モデル(例えば、深層学習および特徴ベース)を使用することは、利用可能な医療資源の使用を最適化し、治療効果を改善し、それによって全体的な対象(例えば、患者)のヘルスケアを改善するのに役立ち得る。
【0034】
上記の改善をもたらすことができる方法論およびシステムの重要性および有用性を認識し、考慮に入れて、本明細書に記載の実施形態は、nAMDと診断されたおよび/またはnAMDの治療を受けている対象における線維症発症の予測の精度、速度、効率、および容易さを改善するための機械学習モデルを提供する。さらに、本明細書に記載の方法およびシステムは、線維症の発症を予測する侵襲性の低い方法を可能にし、予測を実行するために必要な専門知識または専門家の訓練のレベルを低減し得る。
【0035】
II.nAMDにおける線維症の発症を予測するための例示的なシステム
II.A.システムの概要
ここで図面を参照すると、図1は、1つまたは複数の実施形態による予測システム100のブロック図である。予測システム100は、新生血管加齢黄斑変性(nAMD)と診断された対象の眼の線維症の発症を予測するために使用され得る。1つまたは複数の実施形態では、予測システム100は、コンピューティングプラットフォーム102と、データストレージ104と、ディスプレイシステム106とを含む。コンピューティングプラットフォーム102は、様々な形態をとり得る。1つまたは複数の実施形態では、コンピューティングプラットフォーム102は、互いに通信する単一のコンピュータ(もしくはコンピュータシステム)または複数のコンピュータを含む。他の例では、コンピューティングプラットフォーム102は、クラウドコンピューティングプラットフォーム、モバイルコンピューティングプラットフォーム(例えば、スマートフォン、タブレットなど)、またはそれらの組み合わせの形態をとる。
【0036】
データストレージ104およびディスプレイシステム106はそれぞれ、コンピューティングプラットフォーム102と通信する。いくつかの例では、データストレージ104、ディスプレイシステム106、またはその両方は、コンピューティングプラットフォーム102の一部と見なされてもよく、さもなければコンピューティングプラットフォーム102と統合され得る。したがって、いくつかの例では、コンピューティングプラットフォーム102、データストレージ104、およびディスプレイシステム106は、互いに通信する別個の構成要素であってもよいが、他の例では、これらの構成要素のいくつかの組み合わせが一緒に統合され得る。
【0037】
予測システム100は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせを使用して実装され得る線維症予測器110を含む。1つまたは複数の実施形態では、線維症予測器110は、コンピューティングプラットフォーム102に実装される。
【0038】
線維症予測器110は、入力データ112を受信し、処理して最終出力114を生成する。最終出力114は、例えば、線維症の発症が予測されるか否かを示すバイナリ分類であり得る。この表示は、線維症を発症するリスクに関するものであり得る。例えば、バイナリ分類は、線維症発症の陽性または陰性予測であってもよく、高リスクまたは低リスクの予測であり得る。この予測は、将来の時点(例えば、治療の最初の投与またはより最近の投与から1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、8ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、24ヶ月後など)または不特定の期間に対して行われ得る。他の例では、最終出力114は、線維症の発症が予測されるか否かを示すスコアであり得る。例えば、選択された閾値(例えば、0.4と0.9との間の閾値)以上のスコアは、線維症の発症の陽性予測を示し得、選択された閾値未満のスコアは陰性予測を示し得る。場合によっては、スコアは、線維症が発症する確率の値または尤度の値であり得る。
【0039】
入力データ112は、nAMDと診断された対象のデータであり得る。対象は、以前にnAMD治療(例えば、ラニビズマブなどの抗VEGF療法;抗体療法、例えば、ファリシマブ、または何らかの他のタイプの治療)で治療されていた場合もある。他の実施形態では、対象は治療未経験であり得る。
【0040】
入力データ112は、例えば、光干渉断層撮影(OCT)画像データ116、セグメント化画像データ118、網膜特徴データ120、臨床データ122、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含み得るが、これらに限定されない。1つまたは複数の実施形態では、入力データ112は、光干渉断層撮影(OCT)画像データ116、セグメント化画像データ118、または網膜特徴データ120のうちの少なくとも1つを含み、任意に、臨床データ122を含む。
【0041】
OCT画像データ116は、例えば、前処理されていない1つまたは複数の生OCT画像、または1つまたは複数の標準化もしくは正規化の手順を使用して前処理された1つまたは複数のOCT画像を含み得る。OCT画像は、時間領域光干渉断層撮影(TD-OCT)画像、スペクトル領域光干渉断層撮影(SD-OCT)画像、2次元OCT画像、3次元OCT画像、OCT血管造影(OCT-A)画像、またはそれらの組み合わせの形態をとり得るが、これらに限定されない。フーリエ領域OCTとしても知られるSD-OCTは、本明細書に記載の実施形態に関して参照し得るが、本明細書に記載の方法論およびシステムと共に使用するために他のタイプのOCT画像も企図される。したがって、画像、画像タイプ、および技術に関する実施形態の説明は、そのような画像、画像タイプ、および技術の非限定的な例を提供するに過ぎない。
【0042】
セグメント化画像データ118は、網膜のセグメント化を介して生成された1つまたは複数のセグメント化画像を含み得る。網膜セグメント化には、網膜画像の1つまたは複数の網膜(例えば、網膜関連)要素の検出および識別が含まれる。セグメント化画像は、1つまたは複数のグラフィカルインジケータを使用して、セグメント化画像の1つまたは複数の網膜(例えば、網膜関連)要素を識別する。セグメント化画像は、1つまたは複数の網膜要素を識別するOCT画像の表現であってもよく、または1つまたは複数の網膜要素が識別されたOCT画像であり得る。
【0043】
例えば、1つまたは複数の色インジケータ、形状インジケータ、パターンインジケータ、シェーディングインジケータ、線、曲線、マーカー、ラベル、タグ、テキスト特徴、他の種類のグラフィカルインジケータ、またはそれらの組み合わせを使用して、網膜要素として識別された画像の部分(例えば、画素単位)を識別し得る。1つの具体例として、画素のグループは、特定の網膜液(例えば、網膜内滲出液または網膜下滲出液)を取得するものとして識別され得る。セグメント化画像は、色インジケータを使用してこの画素のグループを識別し得る。例えば、画素のグループの各画素は、特定の網膜流体に固有の色を割り当てられ、それによって各画素を特定の網膜流体に割り当て得る。別の例として、セグメント化画像は、パターン化された領域または形状(連続的または不連続的)を画素のグループにわたって適用することによって、画素のグループを識別し得る。
【0044】
網膜要素は、網膜層要素または網膜病理要素のうちの少なくとも1つから構成され得る。1つまたは複数の網膜層要素の検出および特定は、層要素(または網膜層要素)のセグメント化と呼ばれ得る。1つまたは複数の網膜病理要素の検出および識別は、病理要素(または網膜病理要素)のセグメント化と呼ばれ得る。
【0045】
網膜層要素は、例えば、網膜層または網膜層に関連する境界であり得る。網膜層の例には、内境界膜(ILM)層、網膜神経線維層、神経節細胞層、内網状層、内顆粒層、外網状層、外顆粒層、外境界膜(ELM)層、光受容体層、網膜色素上皮(RPE)層、RPE剥離、ブルッフ膜(BM)層、脈絡毛細管層、脈絡膜間質層、楕円体領域(EZ)、および他の種類の網膜層が含まれるが、これらに限定されない。場合によっては、網膜層は、1つまたは複数の層から構成され得る。一例として、網膜層は、外網状層とヘンレの線維層(OPL-HFL)との間の界面であり得る。網膜層に関連する境界は、例えば、網膜層の内側境界、網膜層の外側境界、網膜層の病理学的特徴に関連する境界(例えば、網膜層の剥離の内側または外側の境界)、または何らかの他の種類の境界であり得る。例えば、境界は、RPE(IB-RPE)剥離層の内側境界、RPE(OB-RPE)剥離層の外側境界、または別のタイプの境界であり得る。
【0046】
網膜病理要素は、例えば、網膜の病理(例えば、AMDまたは糖尿病性黄斑浮腫などの疾患または状態)を示す流体(例えば、流体ポケット)、細胞、固体物質、またはそれらの組み合わせを含み得る。例えば、特定の網膜液の存在は、nAMDの徴候であり得る。網膜病理要素の例には、網膜内滲出液(IRF)、網膜下滲出液(SRF)、色素上皮剥離に関連する液(PED)、反射亢進物質(HRM)、網膜下高輝度物質(SHRM)、網膜内反射亢進物質(IHRM)、反射亢進病巣(HRF)、網膜液ポケット、ドルーゼンおよび線維症が挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、網膜病理要素は、網膜層または網膜帯の破壊(例えば、不連続、層間剥離、損失など)であり得る。例えば、破壊は、楕円体領域、ELM、RPE、または別の層または領域の破壊であり得る。破壊は、破壊の領域における細胞(例えば、感光体)の損傷または喪失を表し得る。いくつかの例では、網膜病理要素は、透明IRF、濁ったIRF、透明SRF、濁ったSRF、何らかの他の種類の透明な網膜液、何らかの他の種類の濁った網膜液、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0047】
1つまたは複数の実施形態では、セグメント化画像データ118は、深層学習モデルを介して生成され得る。深層学習モデルは、1つまたは複数のニューラルネットワークで構成される畳み込みニューラルネットワークシステムで構成され得る。これら1つまたは複数のニューラルネットワークのそれぞれまたは少なくとも1つは、それ自体、畳み込みニューラルネットワークであり得る。
【0048】
網膜特徴データ120は、例えば、限定はしないが、セグメント化画像データ118から抽出された特徴データを含み得る。例えば、特徴データは、セグメント化画像データ118において識別された1つまたは複数の網膜要素について抽出し得る。この特徴データは、任意の数または組み合わせの特徴(例えば、定量的特徴)の値を含み得る。これらの特徴は、病理学に関連する特徴、層に関連する体積の特徴、層に関連する厚さの特徴、またはそれらの組み合わせを含み得る。特徴の例には、最大網膜層厚、最小網膜層厚、平均網膜層厚、網膜層に関連する境界の最大の高さ、網膜液ポケットの容積、液ポケットの長さ、液ポケットの幅、網膜液ポケットの数、および複数の過反射焦点が含まれるが、これらに限定されない。したがって、特徴の少なくともいくつかは、体積測定的な特徴であり得る。例えば、特徴データは、選択された各OCT画像(例えば、単一OCT Bスキャン)について導出され、次いで組み合わされてボリューム全体の値を形成し得る。1つまたは複数の実施形態では、1から200個の特徴が網膜特徴データ120に含まれ得る。
【0049】
臨床データ122は、例えば、限定するものではないが、年齢、視力測定値、脈絡膜新生血管(CNV)タイプ、またはそれらの組み合わせを含み得る。視力測定値は、例えば、最高矯正視力(BCVA)の測定値であり得る。CNVタイプは、フルオレセイン血管造影(FA)画像データの評価に基づくタイプの識別であり得る。CNVタイプは、例えば、潜在性CNV、主に古典的CNV、最小古典的CNV、または網膜血管腫状増殖(RAP)であり得る。場合によっては、「古典的CNV」は、主に古典的なCNVまたは最小限の古典的なCNVの両方を取得するCNVタイプとして使用され得る。場合によっては、CNVタイプは番号付け方式(例えば、タイプ1は潜在性CNVを指し、タイプ2は古典的CNVを指し、タイプ3はRAPを指す)に基づいて識別される。1つまたは複数の実施形態では、少なくとも一部の臨床データ122は、ベースライン時点のものであり得る。例えば、ベースライン時点についてCNVタイプおよび/またはBCVAを得てもよい。ベースライン時点は、nAMD診断後であるが治療直前の時点(例えば、最初の投与の前)、治療の最初の投与後の期間(例えば、最初の投与の6ヶ月後、9ヶ月後、12ヶ月後、15ヶ月後など)、または別のタイプのベースライン時点であり得る。
【0050】
線維症予測器110は、モデルシステム124を使用して、上述の異なる種類のデータのいずれか1つまたは複数を含み得る入力データ112を処理し、最終出力114を生成する。モデルシステム124は、異なるタイプのアーキテクチャを使用して実装され得る。モデルシステム124は、機械学習モデルのセット126を含み得る。機械学習モデルのセット126のうちの1つまたは複数は、処理のために入力データ112(例えば、入力データ112の一部または全部)を受信し得る。入力データ112に含まれるデータは、モデルシステム124に使用されるアーキテクチャのタイプに基づいて変化し得る。モデルシステム124に使用され得る様々なタイプのアーキテクチャ、および入力データ112に含まれ得る様々なタイプのデータの例は、セクションII.B.およびII.C.で、以下により詳細に説明される。
【0051】
1つまたは複数の実施形態では、最終出力114は、他の種類の情報を含んでもよい。例えば、場合によっては、最終出力114は、臨床試験推奨、治療の推奨、またはその両方を含み得る。臨床試験推奨は、対象を臨床試験に含めるかまたは臨床試験から除外するための推奨であり得る。治療の推奨は、治療の種類の変更、治療レジメンの調整(例えば、注射の頻度、投与量など)、またはその両方の推奨であり得る。
【0052】
少なくとも一部の最終出力114、または少なくとも一部の最終出力114のグラフィカルな表現が、ディスプレイシステム106に表示され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも一部の最終出力114、または少なくとも一部の最終出力114のグラフィカルな表現は、遠隔装置128(例えば、モバイル装置、ラップトップ、サーバ、クラウドなど)に送信される。
【0053】
II.B.深層学習モデルを用いた線維症予測器
図2は、1つまたは複数の実施形態による、図1のモデルシステム124の実施態様の一例のブロック図である。図1を引き続き参照して、図2のモデルシステム124について説明する。モデルシステム124は、機械学習モデルのセット126における機械学習モデルの実施態様の一例であり得る深層学習モデル200を含む。深層学習モデル200は、モデル入力202を受信し、予測出力204を生成し得る。
【0054】
1つまたは複数の実施形態では、モデル入力202は、図1に関して上述した少なくとも一部の入力データ112を使用して形成される。いくつかの実施形態では、モデル入力202は、OCT画像データ116を含む。他の実施形態では、モデル入力202は、OCT画像データ116および少なくとも一部の臨床データ122(例えば、ベースラインCNVタイプ、ベースライン視力測定値、年齢、またはそれらの組み合わせ)を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、モデル入力202は、セグメント化画像データ118を含む。他の実施形態では、モデル入力202は、セグメント化画像データ118および少なくとも一部の臨床データ122(例えば、ベースラインCNVタイプ、ベースライン視力測定値、年齢、またはそれらの組み合わせ)を含む。
【0056】
深層学習モデル200は、バイナリ分類モデルを使用して実施され得る。1つまたは複数の実施形態では、深層学習モデル200は、1つまたは複数のニューラルネットワークで構成され得る畳み込みニューラルネットワークシステムを使用して実装される。これら1つまたは複数のニューラルネットワークのそれぞれまたは少なくとも1つは、それ自体、畳み込みニューラルネットワークであり得る。いくつかの実施形態では、深層学習モデル200は、50層の深さの畳み込みニューラルネットワークであるResNet-50モデル、またはResNet-50の修正形態を使用して実装される。
【0057】
モデル入力202がOCT画像データ116またはセグメント化画像データ118のいずれかに加えて少なくとも一部の臨床データ122を含む場合、深層学習モデル200は、畳み込みニューラルネットワークの修正形態を使用して、臨床データ(臨床変数)のベクトルをOCT画像データ116またはセグメント化画像データ118にそれぞれ連結し得る。一例として、深層学習モデル200がResNet-50を使用して実装される場合、深層学習モデル200の第1の部分は、その最上層なしのResNet-50を含む。深層学習モデル200のこの第1の部分を使用して、OCT画像データ116またはセグメント化画像データ118に基づいて第1の中間出力を生成する。深層学習モデルの第2の部分(例えば、ResNet-50の最上層の置き換え)は、カスタム高密度層部分(例えば、1つまたは複数の高密度層)を含み得る。臨床変数(例えば、ベースラインCNVタイプ、ベースライン視力、および/またはベースライン年齢)のベクトルのセットは、深層学習モデル200の第1の部分によって生成された第1の中間出力に連結されて第2の中間出力を形成する。第2の中間出力は、深層学習モデル200のカスタム高密度層部分に送られる。場合によっては、深層学習モデル200の第1の部分におけるResNet-50の出力は、第1の中間出力を形成するために平均プーリング層を通過し得る。
【0058】
深層学習モデル200は、モデル入力202に基づいて予測出力204を出力する。線維症予測器110は、予測出力204を使用して最終出力114を形成し得る。例えば、予測出力204は、nAMDと診断された対象の眼が線維症を発症する可能性であり得る。1つまたは複数の実施形態では、予測出力204は、線維症の発症が予測されるか否かを示すバイナリ分類である。そのような例では、最終出力114は予測出力204を含み得る。他の実施形態では、予測出力204は、線維症の発症が予測されるか否かを示すスコア(例えば、確率分布の値または尤度の値)の形態をとる。そのような例では、最終出力114は、予測出力204および/またはスコアに基づいて形成されたバイナリ分類を含み得る。例えば、線維症予測器110は、深層学習モデルによって生成されたスコアが選択された閾値(例えば、0.4と0.9との間の閾値)を上回るかどうかに基づいて、バイナリ分類または表示として最終出力114を生成し得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、モデルシステム124は、セグメント化モデル206をさらに含み得る。セグメント化モデル206は、入力としてOCT画像データ116を受信し得、セグメント化画像データ118などのセグメント化画像データを生成し得る。セグメント化モデル206は、OCT画像データ116のセグメント化を自動化するために使用される。セグメント化モデル206は、例えば、限定されないが、深層学習モデルを含み得る。セグメント化モデル206は、例えば、1つまたは複数のニューラルネットワークを含み得る。1つまたは複数の実施形態では、セグメント化モデル206は、Uネットの形態をとる。
【0060】
深層学習モデル200は、nAMDと診断され治療されている対象の訓練データ208を使用して訓練し得る。訓練データ208は、訓練用臨床データ210および訓練用画像データ212を含み得る。訓練用画像データ212は、治療開始後の将来の時点におけるOCT画像を含むか、またはOCT画像から生成し得る。例えば、OCT画像は、治療開始後の6ヶ月間隔、9ヶ月間隔、12ヶ月間隔、24ヶ月間隔、または何らかの他の時間間隔で生成され得る。この将来の時点での線維症の発症は、人間の評価者によって評価され得る。
【0061】
II.C.特徴ベースのモデルを使用した線維症予測器
図3は、1つまたは複数の実施形態による、図1のモデルシステム124の実施態様の一例のブロック図である。図1および図2を引き続き参照して、図3のモデルシステム124について説明する。モデルシステム124は、機械学習モデルのセット126における機械学習モデルの実施態様の一例であり得る特徴ベースのモデル300を含む。特徴ベースのモデル300は、モデル入力302を受信し、予測出力304を生成し得る。
【0062】
1つまたは複数の実施形態では、モデル入力302は、図1に関して上述した一部の入力データ112を使用して形成される。例えば、モデル入力302は網膜特徴データ120を含む。他の実施形態では、モデル入力302は、網膜特徴データ120および少なくとも一部の臨床データ122(例えば、ベースラインCNVタイプ、ベースライン視力測定値、年齢、またはそれらの組み合わせ)を含む。さらに他の実施形態では、モデル入力302は、ベースラインCNVタイプ、ならびにベースライン視力測定値、年齢、またはその両方を含む少なくとも一部の臨床データ122を含む。
【0063】
特徴ベースのモデル300は、回帰モデル(またはアルゴリズム)であり得る。例えば、特徴ベースのモデル300は、ロジスティック回帰モデル、線形回帰モデル、または他の何らかの種類の回帰モデルであり得る。特徴ベースのモデル300は、スコア(例えば、確率の値または尤度の値)の形式で予測出力304を生成し得る。選択された閾値(例えば、0.5、0.6、0.7、または0.4から0.9の間の他の何らかの値)を超えるスコアは、線維症の発症を陽性で示すスコアであり得る。この選択された閾値を下回るスコアは、線維症が発症すると予測されないことを示し得る。
【0064】
1つまたは複数の実施形態では、特徴ベースのモデル300は、オーバーフィッティングを低減するために、1つまたは複数の正則化技術を使用して訓練された回帰モデルであり得る。これらの正則化技術は、Ridge正則化、Lasso正則化、Elastic Net正則化、またはそれらの組み合わせを含み得る。例えば、特徴ベースのモデルで使用される特徴の数は、予測出力304に対して閾値を超える重要性を有するものに減少させ得る。場合によっては、このタイプの訓練は、特徴ベースのモデル300を単純化して、より短い実行時間を可能にし得る。例えば、Lasso正則化技術を使用して、回帰モデルで使用される特徴の数を減らし、および/または重要な特徴(例えば、回帰モデルによって生成された予測に対して最も高い重要性を有する特徴)を識別し得る。Elastic Net正則化技術は、総合的な正則化の量(ラムダ)およびLasso正則化とRidge正則化の混合(アルファ)の両方に依存する。交差検証戦略は、5分割または10分割の交差検証戦略を含み得る。交差検証された逸脱を最小にするパラメータアルファおよびラムダを選択し得る。
【0065】
1つまたは複数の実施形態では、モデル入力302は、CNVタイプ、BCVA、および年齢を含む臨床データ122からの3つのベースライン臨床変数を含む。1つまたは複数の実施形態では、モデル入力302は、1mmおよび3mmの中心窩領域のそれぞれについて、SHRMグレード(例えば、集中格付けプロトコルに従って格付けする)、PEDグレード(例えば、集中格付けプロトコルに従って格付けする)、およびSRFの最大の高さを含む。1つまたは複数の実施形態では、モデル入力302は、OPL-HFL層とRPEとの間の最大の厚さ、ILM層からRPE層までの神経網膜全体の厚さ、またはその両方を含む。1つまたは複数の実施形態では、モデル入力302は、臨床データ122からのベースラインCNVタイプ、ベースライン年齢、およびベースラインBCVA、ならびに網膜中心窩厚(CRT)、中心窩下脈絡膜厚(SFCT)、PEDのグレード、SRFの最大の高さ、および網膜特徴データ120からのSHRMのグレードを含む。他の実施形態では、モデル入力302は、CRT、SFCT、PED、SRF、およびSHRMを含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、モデルシステム124は、セグメント化モデル206、特徴抽出モデル306、またはその両方を含む。セグメント化モデル206は、図2で説明したのと同じ事前訓練モデルであり得る。セグメント化モデル206を使用して、モデル入力302で提供されるOCT画像データ116からセグメント化画像データ118を生成し得る。特徴抽出モデル306は、機械学習モデルのセット126における機械学習モデルの実施態様の一例であり得、モデル入力302に含まれるセグメント化画像データ118またはセグメント化モデル206によって生成されたセグメント化画像データ118に基づいて網膜特徴データ120を生成するために使用され得る。
【0067】
1つまたは複数の実施形態では、CNVタイプは、網膜特徴データ120に含まれる特徴のタイプであり得る。例えば、CNVタイプは、特徴抽出モデル306によって決定され得る。他の実施形態では、モデルシステム124はCNV分類器308を含む。CNV分類器308は、機械学習モデルのセット126における機械学習モデルの実施態様の一例であり得る。例えば、CNV分類器308は、FA画像の代わりにOCT画像データ116を用いてCNVタイプを検出可能な機械学習モデル(例えば、1つまたは複数のニューラルネットワークを含む深層学習モデル)を含んでもよい。このCNVタイプは、モデル生成CNVまたはOCTベースのCNVタイプと呼ばれることがある。場合によっては、このCNVタイプは、処理のためにCNV分類器308から特徴ベースのモデル300に直接送信される。
【0068】
特徴ベースのモデル300は、モデル入力302に基づいて予測出力304を出力する。線維症予測器110は、予測出力304を使用して最終出力114を形成し得る。例えば、予測出力304は、nAMDと診断された対象の眼が線維症を発症する可能性であり得る。1つまたは複数の実施形態では、予測出力304は、線維症の発症が予測されるか否かを示すバイナリ分類である。そのような例では、最終出力114は予測出力304を含み得る。他の実施形態では、予測出力304は、線維症の発症が予測されるか否かを示すスコア(例えば、確率分布の値または尤度の値)の形態をとる。そのような例では、最終出力114は、予測出力304および/またはスコアに基づいて形成されたバイナリ分類を含み得る。例えば、線維症予測器110は、深層学習モデルによって生成されたスコアが選択された閾値(例えば、0.4と0.9との間の閾値)を上回るかどうかに基づいて、バイナリ分類または表示として最終出力114を生成し得る。
【0069】
特徴ベースのモデル300は、nAMDと診断され、治療されている対象の訓練データ208を使用して訓練し得る。訓練データ208は、図2に関して説明したのと同じ訓練データを含み得る。
【0070】
III.線維症発症を予測するための例示的な方法論
図4は、1つまたは複数の実施形態による線維症の発症を予測するためのプロセス400のフローチャートである。1つまたは複数の実施形態では、プロセス400は、図1に記載の予測システム100および/または図1図3に記載の線維症予測器110を使用して実施し得る。プロセス400は様々なステップを含み、図1図3を引き続き参照して説明し得る。図4に明示的に示されていない1つまたは複数のステップが、プロセス400のステップの前、後、間、または一部として含まれ得る。いくつかの実施形態では、プロセス400はステップ402から開始され得る。
【0071】
ステップ402は、新生血管加齢黄斑変性(nAMD)を有する対象の網膜についての光干渉断層撮影(OCT)画像データを受信することを含む。OCT画像データは、例えば、図1図3を参照して説明したOCT画像データ116であり得る。
【0072】
ステップ404は、機械学習モデルを含むモデルシステムを使用してOCT画像データを処理して予測出力を生成することを含む。モデルシステムは、例えば、図1図3に関して説明したモデルシステム124であり得る。機械学習モデルは、例えば、図2の深層学習モデル200または図3の特徴ベースのモデル300を含み得る。場合によっては、モデルシステムはセグメント化モデル(例えば、図2図3のセグメント化モデル206)を含む。場合によっては、モデルシステムは、特徴抽出モデル(例えば、図3の特徴抽出モデル306)を含む。場合によっては、モデルシステムはCNV分類器(例えば、図3のCNV分類器308)を含む。
【0073】
ステップ404で生成される予測出力は、例えば、図2の予測出力204または図3の予測出力304であり得る。予測出力は、nAMDと診断された対象の網膜が線維症を発症する可能性であり得る。1つまたは複数の実施形態では、予測出力は、線維症の発症が予測されるか否かを示すバイナリ分類である。例えば、バイナリ分類は、線維症発症のリスクが低いか高いかを示し得る。予測出力は、線維症の発症が予測されるか否かを示すスコア(例えば、確率分布の値または尤度の値)の形態をとり得る。
【0074】
ステップ404の処理は、様々な方法で実行され得る。1つまたは複数の実施形態では、機械学習は、深層学習モデル(例えば、畳み込みニューラルネットワークなどの少なくとも1つのニューラルネットワーク)を含む。深層学習モデルは、OCT画像データを処理し、予測出力を生成し得る。深層学習モデルは、例えば、バイナリ分類モデルであり得る。OCT画像データは、OCT撮像装置によって生成された生のOCT画像データであってもよく、または生のOCT画像データの前処理された形態(例えば、任意の数の標準化手順または正規化手順によって前処理される)であり得る。
【0075】
他の実施形態では、ステップ404は、セグメント化モデル(例えば、図2図3のセグメント化モデル206)を介して、OCT画像データをセグメント化して、セグメント化画像データを形成することを含む。OCT画像データは、OCT撮像装置によって生成された生のOCT画像データであってもよく、または生のOCT画像データの前処理された形態(例えば、任意の数の標準化手順または正規化手順によって前処理される)であり得る。次いで、セグメント化画像は、予測出力を生成するために深層学習モデルによって処理され得る。
【0076】
さらに他の実施形態では、ステップ404は、機械学習モデルが特徴ベースのモデル(例えば、図3の特徴ベースのモデル300)を含むことを含み、モデルシステムは、特徴抽出モデル(例えば、図3の特徴抽出モデル306)、CNV分類器308、またはその両方をさらに含み得る。特徴抽出モデルは、セグメント化モデルからセグメント化画像データを受信し得、セグメント化画像データを使用して、セグメント化画像データから網膜特徴データ(例えば、図1および図3の網膜特徴データ120)を抽出し得る。網膜特徴データは、少なくとも1つの網膜層要素に関連する少なくとも1つの第1の特徴値または少なくとも1つの網膜病理要素に関連する第2の特徴値を含み得る。網膜特徴データは、例えば、1から200個の網膜の特徴(または網膜の特徴の値)を含み得る。
【0077】
ステップ404の機械学習モデルはまた、OCT画像データ、セグメント化画像データ、または網膜特徴データに加えて、臨床データ(例えば、図1図3の臨床データ122)を処理するために使用することもできる。臨床データは、ベースライン臨床データを含み得る。例えば、臨床データは、ベースライン脈絡膜新生血管(CNV)タイプ、ベースライン視力測定値、またはベースライン年齢を含み得る。ベースライン視力測定値は、ベースラインBCVAまたは他の何らかのタイプの視力測定値であり得る。
【0078】
機械学習モデルがOCT画像データまたはセグメント化画像データのいずれかを処理するための深層学習モデルを含む場合、深層学習モデルは、例えば、ResNet-50またはResNet-50の修正形態を含み得る畳み込みニューラルネットワーク(CNN)システムを含み得る。1つまたは複数の実施形態では、深層学習システムの第1の部分(例えば、1つまたは複数の上層を有しないResNet-50)を使用して、OCT画像データまたはセグメント化画像データを処理し、第1の中間出力を生成する。深層学習モデルの第2の部分(例えば、ResNet-50の1つまたは複数の最上層の置き換え)は、カスタム高密度部分(例えば、1つまたは複数の高密度層)を含み得る。臨床データに含まれる1つまたは複数の臨床変数のベクトルのセットは、第1の中間出力に連結されて第2の中間出力を形成し得る。第2の中間出力は、予測出力を生成するために、深層学習モデルの第2の部分、カスタム高密度層部分を使用して処理され得る。
【0079】
ステップ406は、予測出力に基づいて網膜に線維症を発症するリスクを示す最終出力を生成することを含む。例えば、図1図3の最終出力114とし得る最終出力は、予測出力および/または予測出力に基づいて形成されたバイナリ分類を含み得る。場合によっては、図1図3の最終出力114であり得る最終出力は、予測出力および/またはバイナリ分類に加えて、他の情報を含むレポートであり得る。例えば、この他の情報は、予測出力またはバイナリ分類のいずれかに基づいて対象を臨床試験に含めるかまたは除外するための臨床試験推奨を含み得る。情報は、予測出力またはバイナリ分類のいずれかに基づいて、治療のタイプを変更する、対象の治療レジメンを調整する、またはその両方を行うための治療の推奨を含み得る。いくつかの実施形態では、最終出力は、予測出力を生成するために使用される少なくとも一部の入力を含む。
【0080】
図5は、1つまたは複数の実施形態による、OCT画像データを使用して線維症の発症を予測するためのプロセス500のフローチャートである。1つまたは複数の実施形態では、プロセス500は、図1に記載の予測システム100および/または図1図2に記載の線維症予測器110を使用して実施し得る。プロセス500は様々なステップを含み、図1図2を引き続き参照して説明し得る。図5に明示的に示されていない1つまたは複数のステップが、プロセス500のステップの前、後、間、または一部として含まれ得る。いくつかの実施形態では、プロセス500はステップ502から開始され得る。図5のプロセス500は、OCT画像データに基づく最終出力の生成に特有の図4のプロセス400のより詳細なバージョンであり得る。
【0081】
ステップ502は、新生血管加齢黄斑変性(nAMD)を有する対象の網膜についての光干渉断層撮影(OCT)画像データを受信することを含む。OCT画像データは、例えば、図1図2を参照して説明したOCT画像データ116であり得る。OCT画像データは、OCT撮像装置によって生成された生のOCT画像データであってもよく、または生のOCT画像データの前処理された形態(例えば、任意の数の標準化手順または正規化手順によって前処理される)であり得る。
【0082】
ステップ504は、モデルシステムの深層学習モデルを使用してOCT画像データを処理して予測出力を生成することを含む。深層学習モデルは、例えば、図2の深層学習モデル200とし得る。1つまたは複数の実施形態では、深層学習モデルは、バイナリ分類モデルを含む。深層学習モデルは、畳み込みニューラルネットワークを含み得る。
【0083】
ステップ504で生成される予測出力は、例えば、図2の予測出力204であり得る。予測出力は、nAMDと診断された対象の網膜が線維症を発症する可能性であり得る。1つまたは複数の実施形態では、予測出力は、線維症の発症が予測されるか否かを示すバイナリ分類である。例えば、バイナリ分類は、線維症の発症に対する低リスクまたは高リスク、線維症の発症に対する陽性または陰性予測、または他のタイプのバイナリ分類を示し得る。予測出力は、線維症の発症が予測されるか否かを示すスコア(例えば、確率分布の値または尤度の値)の形態をとり得る。
【0084】
ステップ506は、予測出力に基づいて網膜に線維症を発症するリスクを示す最終出力を生成することを含む。最終出力は、例えば、図1図2に関して説明した最終出力114であり得る。最終出力は、図4のステップ406に関して説明した最終出力と同様であり得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、ステップ502は、処理のために臨床データ(例えば、図1および図2の臨床データ122)を受信することを含む。臨床データは、ベースラインCNVタイプ、ベースライン視力測定値、またはベースライン年齢のうちの少なくとも1つを含み得る。これらの実施形態では、ステップ502で臨床データが受信されると、ステップ504は、予測出力を生成するためにモデルシステムを使用してOCT画像データと臨床データの両方を処理することを含み得る。
【0086】
図6は、1つまたは複数の実施形態による線維症の発症を予測するためのプロセス600のフローチャートである。1つまたは複数の実施形態では、プロセス600は、図1に記載の予測システム100および/または図1図2に記載の線維症予測器110を使用して実施し得る。プロセス600は様々なステップを含み、図1図2を引き続き参照して説明し得る。図6に明示的に示されていない1つまたは複数のステップが、プロセス600のステップの前、後、間、または一部として含まれ得る。いくつかの実施形態では、プロセス600はステップ602から開始され得る。図6のプロセス600は、セグメント化画像データに基づく最終出力の生成に特有の図4のプロセス400のより詳細なバージョンであり得る。
【0087】
ステップ602は、任意に、新生血管加齢黄斑変性(nAMD)を有する対象の網膜の光干渉断層撮影(OCT)画像を受信することを含み得る。OCT画像データは、例えば、図1図2を参照して説明したOCT画像データ116であり得る。OCT画像データは、OCT撮像装置によって生成された生のOCT画像データであってもよく、または生のOCT画像データの前処理された形態(例えば、任意の数の標準化手順または正規化手順によって前処理される)であり得る。
【0088】
ステップ604は、任意に、セグメント化モデルを使用してOCT画像データをセグメント化して、セグメント化画像データを生成することを含み得る。セグメント化モデルは、例えば、図2のセグメント化モデル206であり得る。1つまたは複数の実施形態では、セグメント化モデルは、人間の評価者(例えば、認定された評価者)を介して注釈付けされたOCT画像を含むOCT画像データを訓練することで事前訓練されたU-Netベースのアーキテクチャを含む。セグメント化モデルは、1つまたは複数の網膜病理要素(例えば、SHRM、SRF、PED、IRFなど)、1つまたは複数の網膜層要素(例えば、ILM、OPL-HFL、RPE、BMなど)、またはその両方を自動的にセグメント化するように訓練され得る。
【0089】
ステップ606は、深層学習モデルにおいてセグメント化画像データを受信することを含み得る。深層学習モデルは、例えば、図2の深層学習モデル200とし得る。
【0090】
ステップ608は、予測出力(例えば、図2の予測出力204)を生成するために深層学習モデルを使用してセグメント化画像データを処理することを含み得る。予測出力は、nAMDと診断された対象の網膜が線維症を発症する可能性であり得る。1つまたは複数の実施形態では、予測出力は、線維症の発症が予測されるか否かを示すバイナリ分類である。例えば、バイナリ分類は、線維症の発症に対する低リスクまたは高リスク、線維症の発症に対する陽性または陰性予測、または他のタイプのバイナリ分類を示し得る。予測出力は、線維症の発症が予測されるか否かを示すスコア(例えば、確率分布の値または尤度の値)の形態をとり得る。
【0091】
ステップ610は、予測出力に基づいて網膜に線維症を発症するリスクを示す最終出力を生成することを含み得る。最終出力は、例えば、図1図2に関して説明した最終出力114であり得る。最終出力は、図4のステップ406に関して説明した最終出力と同様であり得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、ステップ602は、処理のために臨床データ(例えば、図1および図2の臨床データ122)を受信することを含む。臨床データは、ベースラインCNVタイプ、ベースライン視力測定値、またはベースライン年齢のうちの少なくとも1つを含み得る。これらの実施形態では、ステップ602で臨床データが受信されると、ステップ608は、予測出力を生成するために深層学習モデルを使用してセグメント化画像データと臨床データの両方を処理することを含み得る。
【0093】
図7は、1つまたは複数の実施形態による線維症の発症を予測するためのプロセス700のフローチャートである。1つまたは複数の実施形態では、プロセス700は、図1に記載の予測システム100および/または図1および図3に記載の線維症予測器110を使用して実施し得る。プロセス700は様々なステップを含み、図1および図3を引き続き参照して説明し得る。図7に明示的に示されていない1つまたは複数のステップが、プロセス700のステップの前、後、間、または一部として含まれ得る。いくつかの実施形態では、プロセス700はステップ702から開始され得る。図7のプロセス700は、特徴ベースのモデルを使用した最終出力の生成に特有の図4のプロセス400のより詳細なバージョンであり得る。
【0094】
ステップ702は、任意に、新生血管加齢黄斑変性(nAMD)を有する対象の網膜の光干渉断層撮影(OCT)画像を受信することを含み得る。OCT画像データは、例えば、図1および図3を参照して説明したOCT画像データ116であり得る。OCT画像データは、OCT撮像装置によって生成された生のOCT画像データであってもよく、または生のOCT画像データの前処理された形態(例えば、任意の数の標準化手順または正規化手順によって前処理される)であり得る。
【0095】
ステップ704は、任意に、セグメント化モデルを使用してOCT画像データをセグメント化して、セグメント化画像データ(例えば、図1および図3のセグメント化画像データ118)を生成することを含み得る。セグメント化モデルは、例えば、図3のセグメント化モデル206であり得る。1つまたは複数の実施形態では、セグメント化モデルは、人間の評価者(例えば、認定された評価者)を介して注釈付けされたOCT画像を含むOCT画像データを訓練することで事前訓練されたU-Netベースのアーキテクチャを含む。セグメント化モデルは、1つまたは複数の網膜病理要素(例えば、SHRM、SRF、PED、IRFなど)、1つまたは複数の網膜層要素(例えば、ILM、OPL-HFL、RPE、BMなど)、またはその両方を自動的にセグメント化するように訓練され得る。
【0096】
ステップ706は、任意に、特徴抽出モデルを介して、セグメント化画像データから網膜特徴データを抽出することを含む。特徴抽出モデルは、例えば、図3の特徴抽出モデル306であり得る。特徴抽出モデルは、セグメント化モデルからセグメント化画像データを受信し得て、セグメント化画像データを使用して、セグメント化画像データから網膜特徴データ(例えば、図1および図3の網膜特徴データ120)を抽出し得る。網膜特徴データは、少なくとも1つの網膜層要素に関連する少なくとも1つの第1の特徴値または少なくとも1つの網膜病理要素に関連する第2の特徴値を含み得る。網膜特徴データは、例えば、1から200個の網膜の特徴(または網膜の特徴の値)を含み得る。
【0097】
ステップ708は、任意に、CNV分類器(例えば、CNV分類器308)を使用して脈絡膜新生血管(CNV)タイプを識別することを含み得る。CNV分類器は、例えば、限定はしないが、OCT画像データを使用してCNVタイプを検出および識別する深層学習モデルを使用して実施し得る。このCNVタイプはモデル生成CNVタイプであり得、臨床データに含まれるベースラインCNVタイプとは異なり得る(例えば、CNVタイプは、FA画像データに基づいて人間の評価者によって決定される)。
【0098】
ステップ710は、処理のために網膜特徴データ、臨床データ、またはCNVタイプのうちの少なくとも1つを受信することを含む。ステップ710のCNVタイプは、ステップ708で特定されたモデル生成CNVタイプであり得る。網膜特徴データは、ステップ706で生成された網膜特徴データであり得る。臨床データは、例えば、図1および図3の臨床データ122であり得る。臨床データは、ベースラインCNVタイプ、ベースライン視力測定値、またはベースライン年齢のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0099】
ステップ712は、予測出力を生成するために、特徴ベースのモデルを使用して臨床データ、網膜特徴データ、またはCNVタイプのうちの少なくとも1つを処理することを含む。特徴ベースモデルは、例えば、図3の特徴ベースのモデル300であり得る。特徴ベースのモデルは、例えば、回帰モデルを含み得る。ステップ708のCNVタイプは、ステップ708で特定されたモデル生成CNVタイプであり得る。
【0100】
予測出力は、nAMDと診断された対象の網膜が線維症を発症する可能性であり得る。1つまたは複数の実施形態では、予測出力は、線維症の発症が予測されるか否かを示すバイナリ分類である。例えば、バイナリ分類は、線維症の発症に対する低リスクまたは高リスク、線維症の発症に対する陽性または陰性予測、または他のタイプのバイナリ分類を示し得る。予測出力は、線維症の発症が予測されるか否かを示すスコア(例えば、確率分布の値または尤度の値)の形態をとり得る。
【0101】
ステップ714は、予測出力に基づいて網膜に線維症を発症するリスクを示す最終出力を生成することを含む。最終出力は、例えば、図1および図3に関して説明した最終出力114であり得る。最終出力は、図4のステップ406に関して説明した最終出力と同様であり得る。
【0102】
IV.例示的な画像
図8は、1つまたは複数の実施形態によるOCT画像である。OCT画像800は、セクションII.A.およびII.B.で上述したOCT画像データ116に含まれ得るOCT画像の実施態様の一例である。OCT画像800は、単一のOCT Bスキャンであり得る。1つまたは複数の実施形態では、OCT画像800は、図2の深層学習モデル200のモデル入力202の一部として処理され得る。1つまたは複数の実施形態では、
【0103】
図9は、1つまたは複数の実施形態によるセグメント化画像である。セグメント化画像900は、セクションII.A.およびII.B.で上述したセグメント化画像データ118に含まれ得るセグメント化画像の実施態様の例である。セグメント化画像900は、複数のマスク902が表現に重ね合わされたOCT画像(例えば、図8のOCT画像800)を表現したものであり得る。他の例では、セグメント化画像900は、複数のマスク902が表現に重ね合わされたOCT画像(例えば、図8のOCT画像800)であり得る。
【0104】
ここで、複数のマスク902は、様々な網膜要素を表す。これらの網膜要素には、網膜内滲出液(IRF)、網膜下滲出液(SRF)、網膜下高輝度物質(SHRM)、色素上皮剥離(PED)、内境界膜(ILM)層および外境界膜(ELM)層の間の界面(これらを含み得る)、ILM層と網膜色素上皮(RPE)層との間の界面(これらを含み得る)、ならびにRPE層とブルッフ膜(BM)層との間の界面(これらを含み得る)が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0105】
V.機械学習モデルの例示的な訓練および検証
V.A.例示的なデータ
様々な機械学習モデルを訓練し、それらのパフォーマンスを評価した。訓練は、臨床試験から得られたおよび/または臨床試験から得られたデータに基づいて生成された訓練データを使用することを含んでいる。特に、935の眼を、ランダム化多施設HARBOR試験の第3相に参加したnAMD対象の1097の治療未経験の眼から選択した。これらのnAMD対象を、12ヶ月にわたって毎月または必要に応じて0.5mgまたは2.0mgのラニビズマブで治療した。HARBOR試験では、FA画像に基づいて、潜在性CNV(例えば、潜在性CNV病変を伴う)、主に古典的なCNV、または最小限の古典的なCNVとしてCNVタイプを等級付けした。HARBOR試験では、0日目、3ヶ月目、6ヶ月目、12ヶ月目、および24ヶ月目に線維症の存在を評価した。
【0106】
選択された935の眼は、12ヶ月目に明確な線維症記録が利用可能であり、ベースラインOCT画像データが利用可能であったものを含んでいた。OCT画像データは、各眼のベースラインOCTボリュームスキャンを含んでいた。
【0107】
深層学習モデルの訓練のために、中心の黄斑の1.44mmをカバーする、935回のOCTボリュームスキャンのそれぞれから、5回の等間隔のBスキャンを選択した。具体的には、128回のBスキャンのうち、スキャン49、56、63、70、および77が選択された。第1の深層学習モデルは、生のOCT Bスキャンを使用して訓練された。第2の深層学習モデルは、生のOCT Bスキャンに基づいて生成されたセグメント化画像を使用して訓練された。ランダムな水平方向および垂直方向のフリップ、スケーリング、回転、およびせん断を使用してデータを増強し、合計3万個のサンプルを得た。
【0108】
OCTボリュームスキャンは、事前訓練されたセグメント化モデル(例えば、図2図3のセグメント化モデル206の実施態様の一例)を使用してセグメント化した。セグメント化モデルは、認定された評価者によって作成された注釈に基づいて事前訓練された。セグメント化モデルは、5つの網膜層要素(ILM、OPL-HLF界面、RPEの内側境界および外側境界、ならびにBM)と共に4つの網膜病理要素(SHRM、SRF、PED、およびIRF)を自動的にセグメント化するように訓練された。要素は、OCTボリュームスキャンごとに3つのトポグラフィ位置(例えば、直径1mm、3mm、および6mmの円)にセグメント化した。
【0109】
セグメント化画像データに基づいて、特徴抽出モデル(例えば、図3の特徴抽出モデル306の実施態様の一例)を用いて網膜特徴データを抽出した。特徴抽出モデルは、105の定量的な網膜特徴を自動的に抽出した。具体的には、これらの網膜特徴は、36個の体積測定的病理関連特徴(例えば、3つのトポグラフィ位置のそれぞれについての3つの読み出し異形のそれぞれについて4つの網膜病理要素)、15個の層関連の体積特徴(例えば、3つのトポグラフィ位置の各々について5対の層)、および54個の層関連の厚さ特徴(例えば、3つのトポグラフィ位置ごとの3つの読み出し異形のそれぞれについての6対の層)を含む。すべての特徴は、OCTボリュームスキャンの個々のBスキャンごとに導出され、次いで組み合わされてボリューム全体の測定値を形成した。
【0110】
V.B.機械学習モデルの訓練
モデルの訓練および検証の結果として、12ヶ月目の線維症の存在が定められた。転帰変数がフォールドにわたって層別化されたことを確実にするために、対象の数のレベルに対する5分割交差検証に対するフォールドが事前に定められた。これを10回繰り返し、5回の分割で10回繰り返し、合計50回の訓練/試験分割を得た。モデルは常に訓練セットで訓練され、次いでテストセットを予測するために使用された。検証は、特徴ベースのモデル(例えば、図3の特徴ベースのモデル300の実施態様の例)については50個すべての分割に対して行われたが、計算の労力を限定するために、深層学習モデル(例えば、図2の深層学習モデル200の実施態様の例)については検証が最初の反復の5つの分割に対してのみ行われた。
【0111】
特徴ベースのモデルについては、特徴ベースのモデル(例えば、ロジスティック回帰モデル)を様々な特徴の構成に適合させるために、Lasso正則化を使用した。選択されたOCT由来定量的網膜特徴と3つのベースライン臨床変数(CNVタイプ、BCVAおよび年齢)の組み合わせを使用した。OCT由来の定量的網膜特徴を使用した場合、正則化度を一定の高い値に設定した。
【0112】
深層学習モデル(例えば、畳み込みニューラルネットワーク)については、ImageNetで事前訓練されたResNet-50アーキテクチャを使用した。アーキテクチャは、最上層をカスタム高密度部分に置き換えることによって調整され、臨床変数のベクトルをOCT画像データに連結することを可能にするか、または臨床データを使用しない場合にそのまま使用された。ベースResNet-50層を凍結したままにする20エポックの転移学習を適用し、その後、臨床データを使用する場合と使用しない場合の両方で、セグメント化画像データまたは生のOCT画像データで完全なネットワークを微調整するために40または120エポックを適用した。
【0113】
V.C.モデルのパフォーマンス
ベースラインの比較のために、特徴ベースのモデルを臨床データのみのために構築した(例えば、ベースラインCNVタイプのみのもの;ベースライン視力(BVA)および年齢のみのもの;ベースラインCNV、BVAおよび年齢のもの)。パフォーマンスは、観察された事象率を予測された事象率に対してプロットすることによって、受信者動作特性(AUC)曲線下面積を使用して評価した。さらに、AUC曲線にヨーデンの指数を適用してカットオフポイントを選択し、モデルの予測の陽性および陰性予測値として報告した。特異度および感度も評価した。
【0114】
図10は、1つまたは複数の実施形態による臨床データを使用する特徴ベースのモデルの統計結果を比較する表1000である。表1000に示すように、平均AUCに基づいて、ベースラインCNVタイプのみを使用した特徴ベースのモデル、およびBVAおよび年齢と共にベースラインCNVタイプを使用した特徴ベースのモデルが最も良好に機能した。しかしながら、ベースラインCNVのみを使用した特徴ベースのモデルは、BVAおよび年齢を伴うベースラインCNVタイプを使用した特徴ベースのモデルよりも低い特異度を有していた。
【0115】
図11は、1つまたは複数の実施形態による、OCT画像データから導出された網膜特徴を使用した特徴ベースのモデルの統計結果を比較する表1100である。表1100に示すように、平均AUCに基づいて、OCT由来の網膜特徴を使用して線維症の発症を予測する第1の特徴ベースのモデルと、OCT由来の網膜特徴をBVAおよび年齢と共に使用して線維症の発症を予測する第2の特徴ベースのモデルとを、ベースラインCNVタイプ(図10に示すように)を使用した特徴ベースのモデルと比較して同様に行った。表1100には示されていないが、ベースラインCNVタイプを第1または第2の特徴ベースのモデルに追加すると、平均AUCはそれぞれ0.809および0.821に増加した。これらの結果は、OCT由来の網膜特徴を使用した特徴ベースのモデルを使用して、線維症の発症を正確かつ確実に予測し得ることを示している。
【0116】
図12は、1つまたは複数の実施形態による、OCT画像データおよびセグメント化画像データを使用した深層学習モデルの統計結果を比較する表1200である。表1200に示すように、線維症の発症を予測するためにセグメント化画像を使用する深層学習モデルの平均AUCは、線維症の発症を予測するためにOCT画像データを使用する深層学習モデルの平均AUCよりもわずかに高かった。さらに、これらの2つの深層学習モデルの平均AUCは、ベースラインCNVタイプを使用した特徴ベースのモデルと比較して同様に実行された(図10に示すように)。
【0117】
図13は、1つまたは複数の実施形態による、臨床データと組み合わせてOCT画像データおよびセグメント化画像データを使用した深層学習モデルの統計結果を比較する表1300である。表1300に示すように、臨床データ(例えば、BVA、年齢およびベースラインCNVタイプ)を深層学習モデルに追加すると、セグメント化画像データを使用する深層学習モデルの平均AUCは、OCT画像データを使用する深層学習モデルの平均AUCよりも増加した。
【0118】
VI.コンピュータ実装システム
図14は、様々な実施形態による、コンピュータシステムを示すブロック図である。コンピュータシステム1400は、図1のコンピューティングプラットフォーム102についての実施態様の一例とし得る。本教示の様々な実施形態では、コンピュータシステム1400は、情報を通信するためのバス1402または他の通信機構と、情報を処理するためのバス1402に結合されたプロセッサ1404とを含むことができる。様々な実施形態では、コンピュータシステム1400はまた、プロセッサ1404によって実行される命令を決定するためにバス1402に結合された、ランダムアクセスメモリ(RAM)1406または他の動的記憶装置とすることができるメモリを含むことができる。メモリはまた、プロセッサ1404によって実行される命令の実行中に一時変数または他の中間情報を記憶するために使用され得る。様々な実施形態では、コンピュータシステム1400は、プロセッサ1404のための静的情報および命令を記憶するためにバス1402に結合された読み出し専用メモリ(ROM)1408または他の静的記憶装置をさらに含むことができる。磁気ディスクまたは光ディスクなどの記憶装置1410が設けられ、情報および命令を記憶するためにバス1402に結合され得る。
【0119】
様々な実施形態では、コンピュータシステム1400は、バス1402を介して、コンピュータユーザに情報を表示するために、陰極線管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイ1412に結合され得る。英数字および他のキーを含む入力装置1414は、情報およびコマンド選択をプロセッサ1404に通信するためにバス1402に結合され得る。別の種類のユーザ入力装置は、プロセッサ1404に方向情報およびコマンド選択を通信し、ディスプレイ1412のカーソル移動を制御するための、マウス、トラックボール、またはカーソル方向キーなどのカーソル制御装置1416である。この入力装置1414は、典型的には、装置が平面での位置を指定することを可能にする第1の軸(すなわち、x)および第2の軸(すなわち、y)の2軸の2自由度を有する。しかしながら、3次元(x、yおよびz)でのカーソル移動を可能にする入力装置1414も本明細書で企図されることを理解されたい。
【0120】
本教示の特定の実施態様と一致して、結果は、RAM1406に含まれる1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスを実行するプロセッサ1404に応答して、コンピュータシステム1400によって提供され得る。そのような命令は、記憶装置1410などの別のコンピュータ可読媒体またはコンピュータ可読記憶媒体からRAM1406に読み込まれ得る。RAM1406に含まれる命令のシーケンスの実行は、プロセッサ1404に本明細書に記載のプロセスを実行させることができる。あるいは、本教示を実装するために、ソフトウェア命令の代わりに、またはソフトウェア命令と組み合わせて、ハードワイヤード回路が使用され得る。したがって、本教示の実施態様は、ハードウェア回路とソフトウェアとのいかなる特定の組み合わせにも限定されるものではない。
【0121】
本明細書で使用される「コンピュータ可読媒体」(例えば、データストア、データストレージなど)または「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、実行のためにプロセッサ1404に命令を与えることに関与する任意の媒体を指す。そのような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含むがこれらに限定されるものではない多くの形態をとることができる。不揮発性媒体の例は、限定されるものではないが、記憶装置1410などの光学、固体、磁気ディスクを含むことができる。揮発性媒体の例は、これに限定されないが、RAM1406などのダイナミックメモリを含むことができる。伝送媒体の例は、限定されるものではないが、バス1402を備えるワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線、および光ファイバを含むことができる。
【0122】
コンピュータ可読媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、または任意の他の磁気媒体、CD-ROM、任意の他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを有する任意の他の物理媒体、RAM、PROM、およびEPROM、フラッシュEPROM、任意の他のメモリチップまたはカートリッジ、またはコンピュータが読み取ることができる任意の他の有形媒体を含む。
【0123】
コンピュータ可読媒体に加えて、命令またはデータは、実行のためにコンピュータシステム1400のプロセッサ1404に1つまたは複数の命令のシーケンスを提供するために、通信装置またはシステムに含まれる伝送媒体上の信号として提供され得る。例えば、通信装置は、命令およびデータを示す信号を有するトランシーバを含み得る。命令およびデータは、1つまたは複数のプロセッサに、本明細書における開示に概説される機能を実装させるように構成されている。データ通信伝送接続の代表的な例は、これらに限定されないが、電話モデム接続、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、赤外線データ接続、NFC接続などを含むことができる。
【0124】
本明細書に記載の方法論、例えば、フローチャート、図、および付随する開示は、コンピュータシステム1400をスタンドアロン装置として使用して、またはクラウドコンピューティングネットワークなどの共有コンピュータ処理リソースの分散ネットワークで実装され得ることを理解されたい。
【0125】
本明細書に記載の方法論は、用途に応じて様々な手段によって実装され得る。例えば、これらの方法論は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装され得る。ハードウェア実施態様の場合、処理ユニットは、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル論理装置(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子装置、本明細書で説明される機能を実施するように設計された他の電子ユニット、またはそれらの組み合わせの中に実装され得る。
【0126】
様々な実施態様において、本教示の方法は、C、C++、Pythonなどの従来のプログラミング言語で記述されたファームウェアおよび/またはソフトウェアプログラム、およびアプリケーションとして実装され得る。ファームウェアおよび/またはソフトウェアとして実施される場合、本明細書に記載される実施形態は、コンピュータに上述の方法を実行させるためのプログラムが格納された非一時的コンピュータ可読媒体において実装され得る。本明細書に記載の様々なエンジンは、コンピュータシステム1400などのコンピュータシステムに設けることができ、それによって、プロセッサ1404は、メモリ構成要素RAM1406、ROM1408、または記憶装置1410のいずれか1つ、またはそれらの組み合わせによって与えられる命令、および入力装置1414を介して提供されるユーザ入力に従って、これらのエンジンによって提供される分析および決定を実行することを理解されたい。
【0127】
VII.例示的な定義およびコンテキスト
本開示は、本明細書に記載の例示的な実施形態および適用例、または例示的な実施形態および適用例が動作する、もしくは本明細書に記載される方法に限定されない。さらに、図は、簡略化されたまたは部分的な図を示す場合があり、図の要素の寸法は、誇張されているか、または比例していない場合がある。
【0128】
特に定義されない限り、本明細書に記載の本教示に関連して使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈上別段の定めがない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。一般に、本明細書に記載される化学、生化学、分子生物学、薬理学および毒物学に関連して利用される命名法ならびにそれらの技術は、当技術分野では周知であり、一般的に使用されるものである。
【0129】
さらに、「~の上にある(on)」、「~に取り付けられている(attached to)」、「~に接続されている(connected to)」、「~に結合されている(coupled to)」という用語または同様の用語が本明細書で使用される際、1つの要素が別の要素の上に直接あるか、別の要素に直接取り付けられているか、別の要素に接続されているか、別の要素に結合されているか、または1つの要素と別の要素との間に1つまたは複数の介在要素が存在するかどうかにかかわらず、1つの要素(例えば、構成要素、材料、層、基板など)は、別の要素「の上にある」、「に取り付けられている」、「に接続されている」、または「に結合されている」可能性がある。さらに、要素のリスト(例えば、要素a、b、c)が参照される場合、そのような参照は、リスト化された要素のいずれか1つそれ自体、リスト化された要素のすべてより少ないものからなる任意の組み合わせ、および/または、リスト化された要素のすべての組み合わせを含むことが意図されている。本明細書におけるセクションの分割は、単に検討を容易にするためのものであり、説明された要素の任意の組み合わせを限定するものではない。
【0130】
「対象」という用語は、臨床試験の対象、治療を受ける人、抗がん剤療法を受けている人、寛解または回復に向けて監視されている人、(例えば、病歴により)予防健康分析を受ける人、または任意の他の人もしくは対象の患者を指し得る。様々な場合において、「対象」および「患者」は、本明細書で交換可能に使用され得る。
【0131】
本明細書で使用される場合、「実質的に」は、意図された目的のために機能するのに十分であることを意味する。したがって、「実質的に」という用語は、当業者によって予想されるような、絶対的または完全な状態、寸法、測定値、結果などからのわずかな、有意でない変動を可能にするが、全体的なパフォーマンスに目立つほど影響を及ぼさない。数値または数値として表すことのできるパラメータもしくは特性について、「実質的に」とは、10%以内を意味する。
【0132】
本明細書で使用される場合、数値または数値として表すことができるパラメータもしくは特性に関して使用される「約」という用語は、数値の10%以内を意味する。例えば、「約50」は、45以上55以下の範囲の値を意味する。
【0133】
「複数形の1(ones)」という用語は、2つ以上を意味する。
【0134】
本明細書で使用される場合、「複数」という用語は、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上であり得る。
【0135】
本明細書で使用される場合、「のセット」という用語は、1つまたは複数を意味する。例えば、項目のセットは、1つまたは複数の項目を含む。
【0136】
本明細書で使用される場合、「少なくとも1つ」という語句は、項目のリストと共に使用される場合、列挙された項目のうちの1つまたは複数の異なる組み合わせが使用され得、リスト内の項目のうちの1つのみが使用され得ることを意味する。項目は、特定の物体、物、ステップ、操作、プロセス、またはカテゴリであり得る。換言すれば、「のうちの少なくとも1つ」は、リストから項目の任意の組み合わせまたは任意の数の項目を使用し得るが、リスト内の項目のすべてが使用されるわけではないことを意味する。例えば、限定されないが、「項目A、項目B、または項目Cの少なくとも1つ」は項目A;項目Aおよび項目B;項目B;項A、項B、項C;項B、項C;または項目AおよびCを意味する。場合によっては、「項目A、項目B、または項目Cの少なくとも1つ」は、項目Aのうちの2つ、項目Bのうちの1つ、および項目Cの10;項目Bの4個と項目Cの7個;またはいくつかの他の適切な組み合わせを意味するが、これらに限定されない。
【0137】
本明細書で使用される際、「モデル」は、1つまたは複数のアルゴリズム、1つまたは複数の数学的手法、1つまたは複数の機械学習アルゴリズム、またはこれらの組み合わせを含んでよい。
【0138】
本明細書で使用される場合、「機械学習」は、アルゴリズムを使用してデータを解析し、データから学習し、次いで世の中の何かについての決定または予測を行う実践を含み得る。機械学習は、ルールベースのプログラミングに頼ることなくデータから学習し得るアルゴリズムを使用し得る。深層学習は、機械学習の一形態であり得る。
【0139】
本明細書で使用される「人工ニューラルネットワーク」または「ニューラルネットワーク」(NN)は、算出のコネクショニスティック手法に基づいて情報を処理する人工ニューロンの相互接続されたグループを模倣する数学的アルゴリズムまたは算出モデルを指し得る。ニューラルネットとも呼ばれるニューラルネットワークは、非線形ユニットの1つまたは複数の層を使用して、受信された入力の出力を予測し得る。いくつかのニューラルネットワークは、出力層に加えて1つまたは複数の隠れ層を含み得る。それぞれの隠れ層の出力は、ネットワークにおける次の層、すなわち、次の隠れ層または出力層への入力として使用され得る。ネットワークの各層は、各パラメータセットの現在の値に従って、受信した入力から出力を生成する。様々な実施形態において、「ニューラルネットワーク」への言及は、1つまたは複数のニューラルネットワークへの言及であり得る。
【0140】
ニューラルネットワークは2つのやり方で情報を処理し得、すなわち、ニューラルネットワークが訓練されているとき、ニューラルネットワークは訓練モードにあり、ニューラルネットワークが学習したものをニューラルネットワークが実践に移すとき、ニューラルネットワークは推論(または予測)モードにある。ニューラルネットワークは、出力が訓練データの出力と一致するように、ネットワークが中間隠れ層内の個々のノードの重み係数を調整する(その挙動を修正する)ことを可能にするフィードバックプロセス(例えば、逆伝播)を通じて学習し得る。言い換えれば、ニューラルネットワークは、訓練データ(学習例)を供給されることによって学習し得て、最終的には、新しい範囲または入力のセットが提示された場合でも、正しい出力に到達する方法を学習する。ニューラルネットワークは、例えば、限定されるものではないが、フィードフォワードニューラルネットワーク(FNN)、リカレントニューラルネットワーク(RNN)、モジュラーニューラルネットワーク(MNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、残留ニューラルネットワーク(ResNet)、常微分方程式ニューラルネットワーク(ニューラルODE)、U-Net、完全畳み込みネットワーク(FCN)、積層FCN、マルチチャネル学習を伴う積層FCN、圧搾および励起組込み型ニューラルネットワーク、MobileNet、または別のタイプのニューラルネットワークのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0141】
本明細書で使用される「深層学習」は、オブジェクト検出/識別、音声認識、言語翻訳などのタスクにおいて非常に正確な予測を供給するために、人間が提供した知識なしに、画像、ビデオ、テキストなどの入力データから表現を自動的に学習するためのマルチレイヤ人工ニューラルネットワークの使用を指し得る。
【0142】
VIII.例示的な実施形態の列挙
実施形態1:方法であって、新生血管加齢黄斑変性(nAMD)を有する対象の網膜についての光干渉断層撮影(OCT)画像データを受信することと、機械学習モデルを含むモデルシステムを使用してOCT画像データを処理して予測出力を生成することと、予測出力に基づいて、網膜の線維症を発症するリスクを示す最終出力を生成することとを含む、方法。
【0143】
実施形態2:機械学習モデルが、深層学習モデルを含み、処理は、少なくとも1つのニューラルネットワークを含むセグメント化モデルを介して、OCT画像データをセグメント化して、セグメント化画像データを形成することと、モデルシステムの深層学習モデルを使用してセグメント化画像データを処理して予測出力を生成することとを含む、実施形態1に記載の方法。
【0144】
実施形態3:機械学習モデルは回帰モデルを含み、処理は、特徴抽出モデルを介して、セグメント化画像データから網膜特徴データを抽出することであって、網膜特徴データが、少なくとも1つの網膜層要素に関連する第1の特徴値、または少なくとも1つの網膜病理要素に関連する第2の特徴値のうちの少なくとも1つを含む、網膜特徴データを抽出することと、回帰モデルを使用してOCT画像データを処理して予測出力を生成することとをさらに含む、実施形態2に記載の方法。
【0145】
実施形態4:機械学習モデルが少なくとも1つの畳み込みニューラルネットワークを含む、実施形態1から3のいずれか1つに記載の方法。
【0146】
実施形態5:機械学習モデルは深層学習モデルを含み、処理は、深層学習モデルを使用してOCT画像データおよび臨床データを処理して予測出力を生成することであって、臨床データが、ベースライン脈絡膜新生血管(CNV)タイプ、ベースライン視力測定値、またはベースライン年齢のうちの少なくとも1つを含む、予測出力を生成することを含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
実施形態6:深層学習モデルは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)システムを含み、CNNシステムの第1の部分は畳み込みニューラルネットワークを含み、CNNシステムの第2の部分はカスタム高密度層部分を含み、OCT画像データおよび臨床データの処理は、CNNシステムの第1の部分を使用してOCT画像データを処理して第1の中間出力を生成することと、臨床データのためのベクトルのセットを第1の中間出力に連結して第2の中間出力を形成することと、カスタム高密度層部分を使用して第2の中間出力を処理して予測出力を生成することとを含む、実施形態5に記載の方法。
【0148】
実施形態7:最終出力は、線維症の発症が予測されるか否かを示すバイナリ分類、予測出力もしくはバイナリ分類のいずれかに基づいて対象を臨床試験に含めるかもしくは除外するための臨床試験推奨、または予測出力もしくはバイナリ分類のいずれかに基づいて、対象の治療のタイプを変更する、もしくは対象の治療レジメンを調整する、の少なくとも1つを行うための治療の推奨のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1から6のいずれか1つに記載の方法。
【0149】
実施形態8:方法であって、新生血管加齢黄斑変性(nAMD)を有する対象の網膜についての光干渉断層撮影(OCT)画像データを受信することと、セグメント化モデルを使用してOCT画像データをセグメント化して、セグメント化画像データを生成することと、深層学習モデルを使用してセグメント化画像データを処理して予測出力を生成することと、予測出力に基づいて、網膜の線維症を発症するリスクを示す最終出力を生成することとを含む、方法。
【0150】
実施形態9:セグメント化モデルまたは深層学習モデルの少なくとも一方が、少なくとも1つの畳み込みニューラルネットワークを含む、実施形態8に記載の方法。
【0151】
実施形態10:処理が、深層学習モデルを使用してセグメント化画像データおよび臨床データを処理して予測出力を生成することであって、臨床データが、ベースライン脈絡膜新生血管(CNV)タイプ、ベースライン視力測定値、またはベースライン年齢のうちの少なくとも1つを含む、予測出力を生成することを含む、実施形態8または実施形態9に記載の方法。
【0152】
実施形態11:深層学習モデルは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)システムを含み、CNNシステムの第1の部分は畳み込みニューラルネットワークを含み、CNNシステムの第2の部分はカスタム高密度層部分を含み、セグメント化画像データおよび臨床データの処理は、CNNシステムの第1の部分を使用してセグメント化画像データを処理して第1の中間出力を生成することと、臨床データのためのベクトルのセットを第1の中間出力に連結して第2の中間出力を形成することと、カスタム高密度層部分を使用して第2の中間出力を処理して予測出力を生成することとを含む、実施形態10に記載の方法。
【0153】
実施形態12:最終出力は、線維症の発症が予測されるか否かを示すバイナリ分類、予測出力もしくはバイナリ分類のいずれかに基づいて対象を臨床試験に含めるかもしくは除外するための臨床試験推奨、または予測出力もしくはバイナリ分類のいずれかに基づいて、対象の治療のタイプを変更する、もしくは対象の治療レジメンを調整する、の少なくとも1つを行うための治療の推奨のうちの少なくとも1つを含む、実施形態8から11のいずれか1つに記載の方法。
【0154】
実施形態13:方法であって、新生血管加齢黄斑変性(nAMD)を有する対象の網膜についての臨床データまたは網膜特徴データの少なくとも1つを受信することと、回帰モデルを使用して臨床データまたは網膜特徴データの少なくとも1つを処理して予測出力を生成することと、予測出力に基づいて、網膜の線維症を発症するリスクを示す最終出力を生成することとを含む、方法。
【0155】
実施形態14:特徴抽出モデルを介して、セグメント化画像データから網膜特徴データを抽出することをさらに含む、実施形態13に記載の方法。
【0156】
実施形態15:少なくとも1つのニューラルネットワークを含むセグメント化モデルを介して、OCT画像データをセグメント化してセグメント化画像データを形成することをさらに含む、実施形態14に記載の方法。
【0157】
実施形態16:臨床データが、ベースライン脈絡膜新生血管(CNV)タイプ、ベースライン視力測定値、またはベースライン年齢のうちの少なくとも1つを含み、網膜特徴データが、少なくとも1つの網膜層要素に関連する第1の特徴値または少なくとも1つの網膜病理要素に関連する第2の特徴値のうちの少なくとも1つを含む、実施形態13から15のいずれか1つに記載の方法。
【0158】
実施形態17:回帰モデルが、Ridge正則化、Lasso正則化、またはElastic Net正則化のうちの少なくとも1つを使用して訓練される、実施形態13から16のいずれか1つに記載の方法。
【0159】
実施形態18:予測出力が、線維症が発症する見込みがある確率を示すスコアを含む、実施形態13から17のいずれか1つに記載の方法。
【0160】
実施形態19:最終出力は、線維症の発症が予測されるか否かを示すバイナリ分類、予測出力もしくはバイナリ分類のいずれかに基づいて対象を臨床試験に含めるかもしくは除外するための臨床試験推奨、または予測出力もしくはバイナリ分類のいずれかに基づいて、対象の治療のタイプを変更する、もしくは対象の治療レジメンを調整する、の少なくとも1つを行うための治療の推奨のうちの少なくとも1つを含む、実施形態13から18のいずれか1つに記載の方法。
【0161】
実施形態20:網膜特徴データが、網膜下高輝度物質(SRHM)に対するグレード、色素上皮剥離(PED)に対するグレード、網膜下滲出液(SRF)の最大の高さ、外網状層(OPL)とヘンレの線維層(HFL)の界面と網膜色素上皮(RPE)層との間の最大の厚さ、または内境界膜(ILM)層とRPE層との間の厚さのうちの少なくとも1つを含む、実施形態3または実施形態13から19のいずれか1つに記載の方法。
【0162】
IX.さらなる考察
本文書のセクションおよびサブセクション間の見出しおよび小見出しは、読みやすさを改善するために含まれるに過ぎず、セクションおよびサブセクションにわたって特徴を組み合わせることができないことを示唆するものではない。したがって、セクションおよびサブセクションは、別個の実施形態を説明するものではない。任意のセクションまたは任意の図に関して本明細書に記載されている実施形態のうちの任意の1つまたは複数は、本明細書に記載されている他の実施形態のうちの任意の1つまたは複数と組み合わされてもよく、またはさもなければ統合され得る。
【0163】
本開示のいくつかの実施形態は、1つまたは複数のデータプロセッサを含むシステムを含む。いくつかの実施形態では、システムは、1つまたは複数のデータプロセッサ上で実行されると、1つまたは複数のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つまたは複数の方法の一部または全部および/または1つまたは複数のプロセスの一部または全部を実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む。本開示のいくつかの実施形態は、非一時的機械可読記憶媒体に有形に具現化されたコンピュータプログラム製品であって、1つまたは複数のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つまたは複数の方法の一部または全部ならびに/あるいは1つまたは複数のプロセスの一部または全部を実行させるように構成された命令を含んでいる、コンピュータプログラム製品を含む。
【0164】
採用された用語および表現は、説明の用語として使用されたものであり、限定を意味するものではなく、このような用語および表現の使用には、示され、説明された特徴またはその一部の等価物を排除する意図はないが、特許請求された発明の範囲内で様々な変更が可能であることが認識される。したがって、特許請求される本発明は、実施形態および任意の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示される概念の変更および変形が当業者によって採用され得ること、ならびにそのような変更および変形は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にあると見なされることを理解されたい。
【0165】
その後の説明は、好ましい例示的な実施形態のみを提供し、本開示の範囲、適用可能性または構成を限定することを意図しない。むしろ、好ましい例示的な実施形態のその後の説明は、様々な実施形態を実装するための可能な説明を当業者に提供する。添付の特許請求の範囲に記載の趣旨および範囲から逸脱することなく、要素(例えば、ブロック図または概略図の要素、フロー図の要素など)の機能および配置に様々な変更が加えられ得ることが理解される。
【0166】
実施形態の完全な理解を提供するために、以下の説明において具体的な詳細が与えられる。しかしながら、これらの具体的な詳細なしで実施形態が実施され得ることが理解されよう。例えば、回路、システム、ネットワーク、プロセス、および他の構成要素は、実施形態を不必要な詳細で不明瞭にしないために、ブロック図の形態の構成要素として示されることがある。他の例では、実施形態を不明瞭にすることを避けるために、周知の回路、プロセス、アルゴリズム、構造、および技術が不必要な詳細なしに示され得る。
図1
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【国際調査報告】