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特表2025-503691RFパルス出力によるエッチングプロファイル制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】RFパルス出力によるエッチングプロファイル制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20250128BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/302 101B
H05H1/46 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541934
(86)(22)【出願日】2022-12-19
(85)【翻訳文提出日】2024-08-26
(86)【国際出願番号】 US2022053400
(87)【国際公開番号】W WO2023136913
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】63/299,588
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アガーワル・ダクシュ
(72)【発明者】
【氏名】ジアン・ベイベイ
(72)【発明者】
【氏名】ピー・シュアン
(72)【発明者】
【氏名】チェン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】オゼル・タナー
(72)【発明者】
【氏名】スー・チン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・マーレット
(72)【発明者】
【氏名】ムコパダヤイ・アミット
(72)【発明者】
【氏名】グプタ・アカンクシャ
(72)【発明者】
【氏名】オー・タエセオク
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084CC09
2G084CC12
2G084CC33
2G084DD02
2G084DD15
2G084DD55
5F004AA09
5F004BA09
5F004BA14
5F004BA20
5F004BB13
5F004BB22
5F004BB29
5F004CA03
5F004DA01
5F004DA15
5F004DA16
5F004DA17
5F004DA18
5F004DA24
5F004EA03
5F004EA13
5F004EA37
5F004EB01
5F004EB04
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】
プラズマエッチングプロセスを行う方法を提供する。方法は、基板をチャンバ内に受け取ることで開始する。高周波数(HF)RF信号が生成され、HFRF信号は、第1の状態と、第2の状態と、第3の状態とを含む少なくとも3状態サイクルでパルス出力される。第1の状態は、第1の電力レベルに構成される。第2の状態は、第1の電力レベルよりも低い第2の電力レベルに構成される。第3の状態は、第2の電力レベルよりも低い第3の電力レベルに構成される。HFRF信号の第2の電力レベルは、約0Wから3500Wの範囲内である。HFRF信号は、プラズマエッチングプロセスを行うためにチャンバの電極に適用される。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマエッチングプロセスを行う方法であって、
基板をチャンバ内に受け取ることと、
高周波数(HF)RF信号を生成することであって、前記HFRF信号は、第1の状態と、第2の状態と、第3の状態とを含む3状態サイクルでパルス出力されることと
を含み、
前記第1の状態は、第1の電力レベルに構成され、
前記第2の状態は、前記第1の電力レベルよりも低い第2の電力レベルに構成され、
前記第3の状態は、前記第2の電力レベルよりも低い第3の電力レベルに構成され、
前記HFRF信号の前記第2の電力レベルは、約0から3500Wの範囲内であり、
前記HFRF信号は、前記プラズマエッチングプロセスを行うために前記チャンバの電極に適用される、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記HFRF信号の前記第2の状態のデューティサイクルは、約0%から90%の範囲内である、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記第3の電力レベルは、実質的に0、またはおおよそ0である、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記プラズマエッチングプロセスは、基板上の高アスペクト比(HAR)フィーチャをエッチングするように構成され、前記HFRF信号の前記第2の状態は、前記HARフィーチャの側壁のボーイングを低減するように構成され、かつ前記HARフィーチャのネック領域におけるパッシベーションの堆積を低減するようにさらに構成される、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
低周波数(LF)RF信号を生成することであって、前記LFRF信号は、前記LFRF信号の少なくとも第1の状態と、第2の状態と、第3の状態とを含む多状態サイクルでパルス出力されることをさらに含む、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記LFRF信号の前記第1の状態は、第4の電力レベルに構成され、
前記LFRF信号の前記第2の状態は、前記第4の電力レベルよりも低い第5の電力レベルに構成され、
前記LFRF信号の前記第3の状態は、前記第5の電力レベルよりも低い第6の電力レベルに構成され、
前記第5の電力レベルは、約0から20000Wの範囲内であり、
前記LFRF信号は、前記チャンバの前記電極に適用される、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記LFRF信号は、基板のマスク層上におけるパッシベーションの堆積を制御するように構成される、方法。
【請求項8】
プラズマエッチングプロセスを行うためのシステムであって、
処理のために基板を受け取るように構成されるチャンバと、
高周波数(HF)RF信号を生成する高周波数発生器であって、前記HFRF信号は、第1の状態と、第2の状態と、第3の状態とを含む3状態サイクルでパルス出力される、高周波数発生器と
を含み、
前記第1の状態は、第1の電力レベルに構成され、
前記第2の状態は、前記第1の電力レベルよりも低い第2の電力レベルに構成され、
前記第3の状態は、前記第2の電力レベルよりも低い第3の電力レベルに構成され、
前記第2の電力レベルは、約0Wから3500Wの範囲内であり、
前記HFRF信号は、前記プラズマエッチングプロセスを行うために前記チャンバの電極に適用される、システム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムであって、
前記第2の状態のデューティサイクルは、約0%から90%の範囲内である、システム。
【請求項10】
請求項8に記載のシステムであって、
前記第3の電力レベルは、実質的に0、またはおおよそ0である、システム。
【請求項11】
請求項8に記載のシステムであって、
前記プラズマエッチングプロセスは、基板上の高アスペクト比(HAR)フィーチャをエッチングするように構成され、前記HFRF信号の前記第2の状態は、前記HARフィーチャの側壁のボーイングを低減するように構成され、かつ前記HARフィーチャのネック領域におけるパッシベーションの堆積を低減するようにさらに構成される、システム。
【請求項12】
請求項8に記載のシステムであって、
低周波数(LF)RF信号を生成する低周波数発生器であって、前記LFRF信号は、前記LFRF信号の第1の状態と、第2の状態と、第3の状態とを含む3状態サイクルでパルス出力される、低周波数発生器をさらに含む、システム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、
前記LFRF信号の前記第1の状態は、第4の電力レベルに構成され、
前記LFRF信号の前記第2の状態は、前記第4の電力レベルよりも低い第5の電力レベルに構成され、
前記LFRF信号の前記第3の状態は、前記第5の電力レベルよりも低い第6の電力レベルに構成され、
前記第5の電力レベルは、約0から20000Wの範囲内であり、
前記LFRF信号は、前記チャンバの前記電極に適用される、システム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムであって、
前記LFRF信号は、基板のマスク層上におけるパッシベーションの堆積を制御するように構成される、システム。
【請求項15】
少なくとも1つのプロセッサによって実行された場合に、前記少なくとも1つのプロセッサにプラズマエッチングプロセスを行う方法を実行させるプログラム命令を有し、前記プログラム命令がその上で具現される非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記方法は、
基板をチャンバ内に受け取ることと、
高周波数(HF)RF信号を生成することであって、前記HFRF信号は、第1の状態と、第2の状態と、第3の状態とを含む3状態サイクルでパルス出力されることと
を含み、
前記第1の状態は、第1の電力レベルに構成され、
前記第2の状態は、前記第1の電力レベルよりも低い第2の電力レベルに構成され、
前記第3の状態は、前記第2の電力レベルよりも低い第3の電力レベルに構成され、
前記HFRF信号の前記第2の電力レベルは、約0から3500Wの範囲内であり、
前記HFRF信号は、前記プラズマエッチングプロセスを行うために前記チャンバの電極に適用される、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体であって、
前記第2の状態のデューティサイクルは、約0から90%の範囲内である、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体であって、
前記第3の電力レベルは、実質的にゼロ電力レベルである、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体であって、
前記プラズマエッチングプロセスは、基板上の高アスペクト比(HAR)フィーチャをエッチングするように構成され、前記HFRF信号の前記第2の状態は、前記HARフィーチャの側壁のボーイングを低減するように構成され、かつ前記HARフィーチャのネック領域におけるパッシベーションの堆積を低減するようにさらに構成される、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体であって、
前記方法は、
低周波数(LF)RF信号を生成することであって、前記LFRF信号は、前記LFRF信号の第1の状態と、第2の状態と、第3の状態とを含む3状態サイクルでパルス出力されることをさらに含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
請求項19に記載の非一時的コンピュータ可読媒体であって、
前記LFRF信号の前記第1の状態は、第4の電力レベルに構成され、
前記LFRF信号の前記第2の状態は、前記第4の電力レベルよりも低い第5の電力レベルに構成され、
前記LFRF信号の前記第3の状態は、前記第5の電力レベルよりも低い第6の電力レベルに構成され、
前記LFRF信号の前記第5の電力レベルは、約0から20000Wの範囲内であり、
前記LFRF信号は、前記チャンバの前記電極に適用される、非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、多状態パルス出力形態が、半導体ウエハ上のフィーチャのRFプラズマエッチングにおいて典型的に観察されるボウ(bow)CDとマスク詰まりとの間のトレードオフ関係を克服するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマツールは、無線周波数(RF)発生器と、整合ネットワークと、プラズマリアクタとを含む。RF発生器は、整合ネットワークを介してプラズマリアクタに結合される。ウエハは、プラズマチャンバ内に配置され、エッチングされる。
【0003】
RF発生器は、RF信号を生成し、RF信号は、整合ネットワークに供給される。整合ネットワークは、RF発生器に向かう反射電力を減少させ、出力RF信号をプラズマリアクタに提供する。出力RF信号は、ウエハのエッチングに使用される。しかしながら、場合によっては、出力RF信号によって所望のものとは異なるプロセス結果が得られる場合がある。
【0004】
高アスペクト比のエッチング処理についての重大な課題は、ボウ限界寸法(critical dimension:CD)制御とキャッピングマージンとの間のトレードオフ関係である。現在、ボウ限界寸法(CD)を減少させるために使用される主要なメカニズムは、より重合する化学物質の使用である。しかしながら、この重合する化学物質からの堆積は、ボウ領域よりも、高アスペクト比(HAR)構造(ネック領域)の頂部領域でより多く発生する。これは、ボウCDよりもネックCDを大きく減少させ、ボウ領域における所望のパッシベーションを達成する前に、キャッピング(マスク開口の詰まり)を引き起こす。加えて、重合する化学物質からの堆積は、マスクの頂部でも発生し、それによってマスクの形態を悪化させ、同等のネックCDを有する場合であっても早期のキャッピングの発生を引き起こす。したがって、ボウ制御に用いられる現在の技術は、プロセス中にキャップマージンも減少させ、目標を満たさない。このボウ限界寸法(CD)制御とキャップマージンとの間のトレードオフ関係は、所望のHARフィーチャ寸法を達成するためのエッチングプロセスの能力を制限する。
【0005】
本明細書で提供される背景技術の説明は、本開示の内容を概ね提示することを目的とする。この背景技術のセクションで説明される範囲内における、現時点で名前を挙げられている発明者らによる研究、ならびに出願の時点で先行技術として別途みなされ得ない説明の態様は、明示または暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【発明の概要】
【0006】
本開示の実施形態は、多状態パルス出力形態が、高アスペクト比エッチング中の堆積コンフォーマリティ(conformality)を向上し、ボウCDとキャッピング-ネックCDとの間のトレードオフ関係を克服するためのシステム、装置、方法、およびコンピュータプログラムを提供する。本実施形態は、数多くの方法、例えば、プロセス、装置、システム、デバイス、またはコンピュータ可読媒体上の方法で実施可能であることを理解されたい。いくつかの実施形態が、以下で説明される。
【0007】
高アスペクト比のエッチング処理についての重大な課題は、ボウ限界寸法(CD)制御とキャッピングマージンとの間のトレードオフ関係である。ボウCDを大きくする横方向エッチングは、典型的に、重合する化学物質を用いた側壁パッシベーションによって防止される。この側壁パッシベーションは、マスクの頂部近くにも堆積することでネッキングを引き起こし、いくつかの例では、マスクのキャッピングまたは詰まりを引き起こす。したがって、提供され得る側壁パッシベーションの量は、キャッピングのためのプロセスマージンによって制限される。
【0008】
しかしながら、本開示の実施態様に従って、ボウCDの減少とマスクキャッピングとの間のトレードオフ関係は、高いHFRF電力の中間の状態を伴う、多状態パルス出力形態の導入によって克服できる。中間のパルス出力状態は、マスク上および高アスペクト比(HAR)フィーチャ上の堆積コンフォーマリティを向上させる。これは、ネック領域内の堆積を減少させるだけでなく、底部領域内の堆積を増加させ、それによって、従来のプロセス制御ノブを用いたパッシベーションと比較して、より大きなネックCDを伴うボウの保護(および、それに対応してより小さなボウCD)をもたらす。
【0009】
加えて、中間のパルス状態における高密度の中性種がマスクの頂部における不規則性を低減することで、マスクの形態の改善につながる。このマスクの頂部におけるマスク形態の改善は、同等のネックCDsを有する場合であっても、多状態パルス出力を用いない場合と比較して、多状態パルス出力を用いたキャッピングの可能性をさらに低減させる。
【0010】
いくつかの実施態様では、プラズマエッチングプロセスを行う方法が提供され、基板をチャンバ内に受け取ることと、高周波数(HF)RF信号を生成することであって、HFRF信号は、第1の状態と、第2の状態と、第3の状態とを含む3状態サイクルでパルス出力されることとを含む。第1の状態は、第1の電力レベルに構成される。第2の状態は、第1の電力レベルよりも低い第2の電力レベルに構成される。第3の状態は、第2の電力レベルよりも低い第3の電力レベルに構成される。HFRF信号の第2の電力レベルは、約0から3500Wの範囲内である。HFRF信号は、プラズマエッチングプロセスを行うためにチャンバの電極に適用される。
【0011】
いくつかの実施態様では、第2の状態のデューティサイクルは、約0%から90%の範囲内である。
【0012】
いくつかの実施態様では、第3の電力レベルは、実質的に0、またはおおよそ0である。
【0013】
いくつかの実施態様では、プラズマエッチングプロセスは、基板上の高アスペクト比(HAR)フィーチャをエッチングするように構成され、HFRF信号の第2の状態は、HARフィーチャの側壁のボーイングを減少させるように構成され、かつHARフィーチャのネック領域におけるパッシベーションの堆積を低減するようにさらに構成される。
【0014】
いくつかの実施態様では、方法は、低周波数(LF)RF信号を生成することであって、LFRF信号は、LFRF信号の少なくとも第1の状態と、第2の状態と、第3の状態とを含む多状態サイクルでパルス出力されることをさらに含む。
【0015】
いくつかの実施態様では、LFRF信号の第1の状態は、第4の電力レベルに構成される。LFRF信号の第2の状態は、第4の電力レベルよりも低い第5の電力レベルに構成される。LFRF信号の第3の状態は、第5の電力レベルよりも低い第6の電力レベルに構成される。第5の電力レベルは、0~6000Wの範囲内である。LFRF信号は、チャンバの電極に適用される。
【0016】
いくつかの実施態様では、LFRF信号は、基板のマスク層上におけるパッシベーションの堆積を制御するように構成される。
【0017】
いくつかの実施態様では、プラズマエッチングプロセスを行うためのシステムが提供され、処理のために基板を受け取るように構成されるチャンバと、高周波数(HF)RF信号を生成する高周波数発生器であって、HFRF信号は、第1の状態と、第2の状態と、第3の状態とを含む3状態サイクルでパルス出力される、高周波数発生器とを含む。第1の状態は、第1の電力レベルに構成される。第2の状態は、第1の電力レベルよりも低い第2の電力レベルに構成される。第3の状態は、第2の電力レベルよりも低い第3の電力レベルに構成される。第2の電力レベルは、約0から3500Wの範囲内である。HFRF信号は、プラズマエッチングプロセスを行うためにチャンバの電極に適用される。
【0018】
いくつかの実施態様では、少なくとも1つのプロセッサによって実行された場合に、少なくとも1つのプロセッサにプラズマエッチングプロセスを行う方法を実行させるプログラム命令を有し、プログラム命令がその上で具現される非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。方法は、基板をチャンバ内に受け取ることと、高周波数(HF)RF信号を生成することであって、HFRF信号は、第1の状態と、第2の状態と、第3の状態とを含む3状態サイクルでパルス出力されることとを含む。第1の状態は、第1の電力レベルに構成される。第2の状態は、第1の電力レベルよりも低い第2の電力レベルに構成される。第3の状態は、第2の電力レベルよりも低い第3の電力レベルに構成される。HFRF信号の第2の電力レベルは、約0から3500Wの範囲内である。HFRF信号は、プラズマエッチングプロセスを行うためにチャンバの電極に適用される。
【0019】
他の態様は、添付の図面と併せて捉えれば、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本実施形態は、添付図面と併せて捉えれば、以下の説明を参照することによって、最もよく理解され得る。
【0021】
図1図1は、本開示の実施態様に従って、エッチングプロセスを行うためのシステム100の実施形態の図である。
【0022】
図2A図2Aは、本開示の実施態様に従って、3状態RFパルス出力形態の相を概念的に示すグラフである。
【0023】
図2B図2Bは、本開示の実施態様に従って、3状態RFパルス出力形態の相を概念的に示すグラフである。
【0024】
図3A図3Aは、本開示の実施態様に従って、異なるエッチングプロセスを経たエッチングフィーチャの断面図を概念的に示す。
図3B図3Bは、本開示の実施態様に従って、異なるエッチングプロセスを経たエッチングフィーチャの断面図を概念的に示す。
図3C図3Cは、本開示の実施態様に従って、異なるエッチングプロセスを経たエッチングフィーチャの断面図を概念的に示す。
【0025】
図4A図4Aは、本開示の実施態様に従って、低周波数RF電力に対する低周波数(LF)RF信号(例えば、400kHz)のパルス出力時間を示すグラフである。
【0026】
図4B図4Bは、本開示の実施態様に従って、LFRF電力に対するLFRF信号のパルス出力時間を示すグラフである。
【0027】
図5A図5Aは、本開示の実施態様に従って、マスク形状の制御におけるLFRF電力の影響を示す基板表面の概念的な上面概略図である。
図5B図5Bは、本開示の実施態様に従って、マスク形状の制御におけるLFRF電力の影響を示す基板表面の概念的な上面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の実施形態は、多状態パルス出力形態が、高アスペクト比エッチング中の堆積コンフォーマリティを向上させ、ボウCDとキャッピング-ネックCDとの間のトレードオフ関係を克服するためのシステムおよび方法について説明する。本実施形態は、これらの具体的な詳細の一部または全てが欠けている場合も実施し得ることが明らかであろう。他の例では、本実施形態を不必要に曖昧にしないように、周知の動作を詳細には説明していない。
【0029】
第3の状態で高いHFRF電力を用いた多状態パルス出力は、ボウ限界寸法(CD)制御とキャッピングマージンとの間のトレードオフ関係の問題に2つの方法で対処する。第1に、それは、HAR構造内の堆積のコンフォーマリティを向上し、その結果、ネック領域内の堆積を減少させ、ボウ領域内の堆積を増加させる。ボウの不動態化を高速で実行するたけでなく、ネックCDの減少も低減する。したがって、キャッピングの発生前により多くのパッシベーションを達成できる。第2に、高いHFRF電力状態の間に生成された中性種がマスクの頂部を洗浄することで、マスクの形態の改善につながり、それによってキャッピングマージンがさらに増大する。これは、マスクの形態がより良好であるため、高いHFRF電力の中間の状態を有するプロセスにおいて、そうでない場合に達成可能であるよりも、同等のネックCDsについてキャッピングがより少ない/存在しないと言い換えられる。
【0030】
パッシベーションの程度は、HFRF電力の中間の状態を制御することによって制御できる。ボウCDをより減少させるために、中間の状態のHFRF電力を増加できる。あるいは、中間の状態の継続時間もまた、パルス幅を増加させることによって増やされ、それによってパッシベーションを増大できる。これらの2つのノブ(手段)を併用することにより、所望のパッシベーションを達成できる。
【0031】
本開示の多状態パルス出力形態の大きな利点は、ボウCDと、ネックCD-キャッピングとの間のトレードオフ関係の克服である。HFRF電力の中間の状態は、HAR構造上へのよりコンフォーマルな堆積につながり、それは、別の方法ではHARエッチングプロセスにおける制御が非常に困難である。これは、ネック領域内の堆積を減少させるが、ボウ領域内の堆積を増加させる。結果的に、従来の化学物質チューニングノブと比較して、キャッピングを引き起こすことなくより良いボウの保護が達成可能である。
【0032】
第2の利点は、多状態パルス出力形態がボウを改善する一方で、マスクの頂部の洗浄も行い、それによってマスクの形態を改善する点である。この改善されたマスクの形態は、同等またはより小さなネックCDsについても、キャッピングのリスクを低減する。
【0033】
図1は、本開示の実施態様に従って、エッチングプロセスを行うためのシステム100の実施形態の図である。
【0034】
システム100は、高周波数(HF)RF発生器と、低周波数(LF)RF発生器と、整合器104と、プラズマチャンバ106と、ホストコンピュータ108とを含む。LFRF発生器の例示としては、100キロヘルツ(kHz)、または400kHz、または1メガヘルツ(MHz)、または2MHzの低動作周波数を有するRF発生器が挙げられる。HFRF発生器の例示としては、2MHz、13.56MHz、27MHz、60MHz、または120MHzの高動作周波数を有するRF発生器が挙げられる。さらに例示すると、HFRF発生器は、LFRF発生器の動作周波数よりも高い周波数を有する。LFRF発生器は第1発生器の例であり、HFRF発生器は第2RF発生器の例である。
【0035】
本明細書において、整合器104は、インピーダンス整合回路またはインピーダンス整合ネットワークと称される場合がある。例として、整合器104は、互いに結合される回路部品のネットワークを含む。回路部品の例としては、抵抗器、インダクタ、またはキャパシタが挙げられる。
【0036】
ホストコンピュータ108の例としては、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット、スマートフォン、およびコントローラが挙げられる。ホストコンピュータ108は、プロセッサ112とメモリデバイス114とを含む。例えば、プロセッサ112は、中央処理装置(CPU)、CPUおよび画像処理装置(GPU)の組み合わせ、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、またはマイクロコントローラであり得る。メモリデバイス114の例としては、リードオンリーメモリ(ROM)およびランダムアクセスメモリ(RAM)が挙げられる。プロセッサ112は、メモリデバイス114と結合される。
【0037】
プラズマチャンバ106は、静電チャック(ESC)などの基板支持部116を含む。プラズマチャンバ106は、基板支持部116の上方に位置する上部電極118をさらに備え、上部電極118と基板支持部116との間にギャップ120を形成する。基板支持部116内に埋め込まれる、下部電極は、アルミニウムまたはアルミニウムの合金など、金属製である。基板支持部116は、酸化アルミニウム(Al2O3)など、金属製、およびセラミック製である。上部電極118は、金属で製作され、接地電位または負電位など、基準電気に結合される。プラズマチャンバ106の例は、容量結合プラズマ(CCP)チャンバである。
【0038】
本明細書で使用される、基板Sの例としては、複数の層を有する半導体ウエハが挙げられる。例えば、基板は、ASICまたはPLDなど、集積回路を形成する複数の層を含む。プロセッサ112は、LFRF発生器、HFRF発生器、および電子顕微鏡110に結合される。
【0039】
LFRF発生器の出力O1は、整合器104の入力I1にRFケーブルRFC1を介して結合される。さらに、整合器104の出力OMは、RF伝送線路RFTを介して基板支持部116の下部電極に結合される。RF伝送線路RFTの例としては、RFシースによって囲まれるRFケーブルが挙げられ、RFケーブルとRFシースとの間には絶縁体を有する。
【0040】
プラズマチャンバ106は、側壁122と、上壁124と、底壁126とを含む。側壁122は、上壁124と底壁126との間に位置する。側壁122には、上壁124および底壁126が取り付けられる。スロット129が、側壁122を通って延びる。
【0041】
プロセッサ114は、レシピ信号128を生成し、レシピ信号128をLFRF発生器に送信する。レシピ信号128は、LFRF発生器によって生成されるRF信号130のパラメータの状態数、RF信号130の各状態についてのパラメータレベル、各状態のデューティサイクル、およびRF信号130の周波数などのLFレシピ情報を含む。同様に、プロセッサ114は、レシピ信号132を生成し、レシピ信号132をHFRF発生器に送信する。レシピ信号132は、HFRF発生器によって生成されるRF信号102のパラメータの状態数、RF信号102の各状態についてのパラメータレベル、各状態のデューティサイクル、およびRF信号102の周波数を含む。
【0042】
レシピ信号128を受信した後、LFRF発生器は、レシピ信号128内で受け取った数の状態についてのパラメータレベルに基づいてRF信号130を生成する。例えば、いくつかの実施態様では、RF信号130は3つの状態を有し、3つの状態の各々が、レシピ信号128内で受け取ったパラメータレベルのうち対応するパラメータレベルを有する。RF信号130は、レシピ信号128内で受け取った周波数も有する。さらに、レシピ信号132を受信した後、HFRF発生器は、レシピ信号132内で受け取った数の状態についてのパラメータレベルを有するRF信号134を生成する。例えば、いくつかの実施態様では、RF信号134は3つの状態を有し、各状態が、レシピ信号132内で受け取ったパラメータレベルのうち対応するパラメータレベルを有する。RF信号134は、レシピ信号132内で受け取った周波数も有する。
【0043】
RF信号130は、出力O1からRFケーブルRFC1および入力I1を介して整合器104に送られる。さらに、RF信号134は、出力O2からRFケーブルRFC2および入力I2を介して整合器104に送られる。
【0044】
整合器104は、RF信号130および134を受信し、出力OMに結合された負荷のインピーダンスと、入力I1およびI2に結合されたソースのインピーダンスとを整合する。インピーダンス整合によってRF信号130および134のインピーダンスを修正し、修正されたRF信号136が出力OMにおいて出力される。負荷の例としては、RF伝送線路RFTおよびプラズマチャンバ106が挙げられる。入力I1およびI2に結合されたソースの例としては、LFRF発生器、RFケーブルRFC1、HFRF発生器、およびRFケーブルRFC2が挙げられる。修正されたRF信号136は、出力OMからRF伝送線路RFTを介して基板支持部116の下部電極に送られる。
【0045】
修正されたRF信号136に加えて、1つ以上のプロセスガスがプラズマチャンバ106内のギャップ120に供給されると、プラズマが打たれるか、またはギャップ120内に維持されることで、基板Sを処理する。基板Sの処理の例としては、基板S上への材料の堆積、基板Sの層のエッチング、基板Sの洗浄、および基板Sのスパッタリングが挙げられる。1つ以上のプロセスガスの例としては、酸素含有ガス、フッ素含有ガス、およびそれらの組み合わせが挙げられる。例示すると、1つ以上のプロセスガスは、例えば、CHF3など、炭素および水素を含む。いくつかの実施態様では、1つ以上のプロセスガスは、H2、CF4、NF3、CH2F2、SF6、および/またはCH3Fを含む。別の例示として、炭素および水素の量が減少される場合には、水素ガスまたは三フッ化窒素(NF3)ガスを1つ以上のプロセスガスとして使用できる。
【0046】
15分間または20分間など、所定の時間の基板処理の直後に、基板Sをプラズマチャンバ106からスロット129を介して除去できる。例として、いくつかの実施態様では、基板Sの処理を終えるのに、おおよそ1時間を要する。
【0047】
図2Aは、本開示の実施態様に従って、3状態RFパルス出力形態の相を概念的に示すグラフである。図示のグラフでは、RF電力対時間が示され、2つのサイクルのパルス出力高周波数(HF)RF信号が示される。いくつかの実施態様では、パルス出力HFRF信号は、高周波数RF発生器によっておおよそ2から100MHz(例えば、2MHz、13.56MHz、27.12MHz、40.68MHz、60MHz等)の範囲の周波数で生成されたRF信号のパルス出力HFRF信号である。他の実施態様では、パルス出力RF信号は、エッチングプロセスに使用される別の周波数のRF信号のパルス出力RF信号である。
【0048】
引き続き図2Aを参照すると、各RFパルス出力サイクルは、少なくとも3つの別個の状態からなる。状態S1は、RF電力レベルP1およびデューティサイクルDC1を有する高電力状態である。状態S2は、RF電力レベルP2およびデューティサイクルDC2を有する中電力状態である。状態S0は、RF電力レベルP0およびデューティサイクルDC0を有する低電力状態である。例示された3状態パルス出力RFサイクルは、高電力状態S1および低電力状態S0のみを採用する2状態パルス出力RF信号とは対照的である。しかしながら、本開示の実施態様に従って、本明細書に記載の中電力状態S2の導入が、ボウCDとキャッピングマージンとの間のトレードオフ関係の克服に大きな利益をもたらす。
【0049】
3状態パルス出力RF信号は、HFRF電力および状態S2のパルス幅を含むチューニングパラメータによって、少なくとも一部がチューニングされる。単なる説明のための一例として、S1電力は1000Wとすることができ、S2電力は100Wとすることができる。
【0050】
原理を説明するための単なる一例として、S1デューティサイクルがRFパルスサイクルの全パルス幅の33%である場合、S2デューティサイクルは、パルス幅の33%であり得る。加えて、パルス幅の残りの34%は、3状態パルス出力サイクルにおける状態S0となり得る。
【0051】
状態S1、S2、およびS0の特定のデューティサイクルは、所与のエッチングプロセスのためにパルス出力されるRF信号の特定のチューニングに応じて変動可能であるが、典型的には、S1は最も短いデューティサイクルである。S2のデューティサイクルは、プロセスおよび所望の結果に応じて、S1のデューティサイクルよりも長いか、または短くできる。S0のデューティサイクルは、典型的には、最も長いデューティサイクルであるが、S2のデューティサイクルが非常に長い場合には、場合によっては最も長いデューティサイクルでなくてもよい。概して、いくつかの実施態様では、S2のデューティサイクルが所与のプロセスのためにチューニングされ、S1のデューティサイクルは固定され、S0のデューティサイクルはS2のデューティサイクルのチューニング後の残りである。言い換えると、いくつかの実施態様では、S2のデューティサイクルの増加は、S0のデューティサイクルに相当および同等の減少をもたらすが、S1のデューティサイクルには影響を与えない。
【0052】
いくつかの実施態様では、状態S2の高周波数(HF)RF電力は、約0から3500Wの範囲内である。いくつかの実施態様では、状態S2のHFRF電力は、約1000Wから3500Wの範囲内である。いくつかの実施態様では、状態S2のHFRF電力は、約1000Wから2000Wの範囲内である。
【0053】
いくつかの実施態様では、状態S2のパルス幅(デューティサイクル)は、(1つのパルス出力サイクルの合計継続時間の)約0から90%の範囲内である。いくつかの実施態様では、状態S2のパルス幅は、約20%から90%の範囲内である。いくつかの実施態様では、状態S2のパルス幅は、約30%から70%の範囲内である。
【0054】
図2Bは、本開示の実施態様に従って、3状態RFパルス出力形態の相を概念的に示すグラフである。図示のグラフでは、RF電力対時間が示され、2つのサイクルのパルス出力RF信号が示される。RFパルスサイクルは、図2Bの実施態様において、RFパルスサイクル内で状態S0が状態S1の直後に続き、状態S2が状態S0の直後に続く点を除いて、図2AのRFパルスサイクルと同様である。対照的に、図2Aの実施態様では、状態S2とS0の順番が入れ替わり、S2がS1の直後に続き、S0がS2の直後に続く。
【0055】
図3A、3B、および3Cは、本開示の実施態様に従って、異なるエッチングプロセスを経たエッチングフィーチャの断面図を概念的に示す。
【0056】
図3Aは、従来の高アスペクト比(HAR)エッチングプロセスによるエッチングフィーチャ300の断面図を概念的に示す。典型的なHARエッチングプロセスでは、エッチャントおよびパッシバントの組み合わせが利用される。しかしながら、エッチングがHARフィーチャ内でより深く進行すると、イオン散乱がより深いフィーチャ内でより顕著になるため、フィーチャ300内の側壁302のボーイングが発達する傾向がある。これは、エッチングプロセスの指向性(異方性)に悪影響を及ぼし、ボーイングおよびボウCDを増大させるプロファイルを引き起こす側壁のいくらかのエッチングをもたらす。高いボウCDは、短絡によるデバイスの故障を引き起こし得る。
【0057】
図3Bは、ボウ制御に適用される化学物質チューニングを用いたHARエッチングプロセスによるエッチングフィーチャ300の概念的な断面図を示す。上述のような高ボウCDの問題に対抗するために、パッシベーション化学物質が適用され、それによってフィーチャの側壁に沿ってパッシベーション306(例えば、ポリマー)の堆積を生成し、したがってフィーチャをボーイングから保護する。しかしながら、そのようなパッシベーション化学物質は、マスク層308の頂部上にも堆積し、フィーチャの頂部/ネック領域内により多くのパッシベーション304が堆積する傾向がある。これにより、ネックCDが減少し、ネック領域内の堆積が穴を詰まらせるか、または完全に閉じる場合に、フィーチャのキャッピングリスクが生じる。したがって、フィーチャプロファイルのボーイングを減少させようとすると、フィーチャのキャッピングの可能性とトレードオフの関係となる。キャッピングのリスクは、ボウプロファイルを改善するために適用可能なパッシベーション化学物質の量を制限する。
【0058】
図3Cは、本開示の実施態様に従って、ボウ制御に適用される化学物質チューニングおよび上述の3状態RFパルス出力を用いたHARエッチングプロセスによるエッチングフィーチャ300の概念的な断面図を示す。図示のように、HFRF電力およびパルス幅を含む多状態パルス出力の使用により、パッシベーション化学物質のよりコンフォーマルな堆積が可能となる。従来通り、パッシベーション306が側壁に沿って堆積してボウCDを減少させるが、フィーチャ300のネック/頂部内のパッシベーション304の堆積も減少させ、ネックCDを開けてキャッピングマージンを改善する。したがって、ボウCDを減少させると同時にキャッピングマージンを改善し、典型的なトレードオフ関係を克服する。
【0059】
動作のいかなる特定のセオリに縛られることなく、様々な状態S1、S2、およびS0は、HARエッチングにおいてボウ制御とキャッピンマージンとの間のトレードオフ関係を克服できるように組み合わせる異なる活動を提供すると考えられる。状態S1は、高エネルギーイオンを提供する高電力状態であり、高電力状態は、エッチングフロントにおいて高アスペクト比のエッチングをもたらす。高エネルギーイオンは垂直に移動し、その高いエネルギーによって非常に深く移動する。しかしながら、これらの高エネルギーイオンは、膜の頂部からパッシベーションも除去する。したがって、S1は、RFサイクルの全体については望ましくない。
【0060】
状態S0は、非常に低い電力状態(例えば、いくつかの実施態様では、0、またはおおよそ0電力、いくつかの実施態様では、数百ワット未満、いくつかの実施態様では、500W未満、いくつかの実施態様では、1000W未満等)であり、非常に低い電力状態により、堆積反応が発生し得る。エッチング反応は非常に高速であるが、堆積反応は大抵それよりも遅く、したがって、S0は、エッチングされるフィーチャの側壁に堆積種が付着するのに十分な時間を提供する。しかしながら、より低いアスペクト比(より浅い深さ)においてより多く堆積し、それによってキャッピングを引き起こし、次のステップでは、貫通およびエッチング可能な高エネルギーイオンの量を減少させる問題がある。
【0061】
状態S2は、S0よりも高い電力を提供するが、中間スタックからのパッシベーションの除去を引き起こすほどには高くない。S2は、低AR領域から堆積された種を除去するのに十分であるが、穴の中間領域からパッシベーションを除去するのには十分ではない電力を提供する。S2は、キャッピングを引き起こすマスクの頂部における不要な堆積を除去するのに十分な量の中性種およびイオンを生成する高いHFRF電力を提供する。そのため、これによって、キャッピングマージンを改善すると同時に、より深い領域においてフィーチャの側壁に沿ったパッシベーションも提供する。
【0062】
いくつかのエッチングプロセスでは、上述のようなパルス出力HFRF信号が単体で適用される。しかしながら、他のエッチングプロセスでは、パルス出力低周波数(LF)RF信号も提供される。例えば、いくつかの実施態様では、エッチングプロセスは、パルス出力HFRF信号を単体で利用するように構成され、一方で他の実施態様では、そのようなエッチングプロセスは、パルス出力HFRF信号ならびにパルス出力LFRF信号の両方を利用するように構成される。
【0063】
図4Aは、本開示の実施態様に従って、低周波数RF電力に対する低周波数(LF)RF信号(例えば、400kHz)のパルス出力時間を示すグラフである。いくつかの実施態様では、パルス出力LFRF信号は、上述のようにLFRF発生器によって生成される。
【0064】
引き続き図4Aを参照すると、各LFRFパルスサイクルは、3つの別個の状態により構成される。それらの状態は、上述のHFRF信号の3つの状態と時間的に同期し、かつそれらと同じデューティサイクルを有する。LFRF信号の状態S1は、HFRF信号のS1と同じデューティサイクルDC1を有する高電力状態である。LFRF信号の状態S2は、HFRF信号のS2と同じデューティサイクルDC2を有する中電力状態である。LFRF信号の状態S0は、HFRF信号のS0と同じデューティサイクルDC0を有する低電力状態(いくつかの実施態様では、ゼロ電力)である。
【0065】
3状態パルス出力LFRF信号は、LFRF電力を含むチューニングパラメータによって、少なくとも一部がチューニングされる。単なる説明のための一例として、S1電力が1000Wである場合、S2電力は500Wであり得る。
【0066】
いくつかの実施態様では、LFRF電力は、約0から20000Wの範囲内である。いくつかの実施態様では、LFRF電力は、約4000Wから16000Wの範囲内である。いくつかの実施態様では、LFRF電力は、約6000Wから12000Wの範囲内である。
【0067】
多状態パルス出力形態に低周波数電力を加えることにより、特定のプロセスのためのマスク形状の制御を提供できるようになる。この動向をさらに延長することにより、ボウCDとキャッピング/ネックCDとの間のトレードオフの克服を助けるボウ制御も提供される。
【0068】
いくつかのプロセスは、S2においてLFRF電力を必要としない。そのような実施態様では、LFRF電力は、0に設定される。図4Bは、本開示の実施態様に従って、LFRF電力に対するLFRF信号のパルス出力時間を示すグラフである。グラフに図示されるように、LRFR電力がゼロに設定された結果、LFについての状態S0が本質的に延長されて、前述の状態S2のデューティサイクルを含む。これは、図示のような2状態パルス出力LFRF信号を生成し、LFRF信号のS1はHFRF信号のS1と同期し、LFRF信号のS0はHFRF信号のS2およびS0状態を組み合わせたデューティサイクルと同期する。
【0069】
図5Aおよび図5Bは、本開示の実施態様に従って、マスク形状の制御におけるLFRF電力の影響を示す基板表面の概念的な上面概略図である。
【0070】
図5Aは、LFRF電力を用いないエッチング処理後の基板の一部の上面図500を示す。元の穴形は円形であるが、図示のように、エッチング処理後のエッチングされた穴502の形は一貫しておらず、しばしば非円形である。いくつかの穴は、所与の軸に沿って細長く、穴のサイズは一貫していない。これは、パッシベーションの目的で適用される重度に重合する化学物質によって、マスク上に制御されていない堆積が生じることに起因し得る。制御されていない堆積は、穴の歪みを引き起こし、その円形性を失わせる。非均一および非円形の穴は、エッチングフィーチャ内に一貫性のない側壁プロファイルを引き起こし、イオン偏向の影響によってボウCDを悪化させる。
【0071】
図5Bは、LFRF電力を用いたエッチング処理後の基板の一部の上面図510を示す。図示のように、均一性、および円形の維持の両方の点で、穴512の形が改善される。したがって、LFRF信号の電力の適用は、不要な堆積を制御する。
【0072】
いくつかの実施態様では、前述のように、LFRF電力は不要であり、したがってゼロに設定される。その結果、2状態LFRF信号となる。しかしながら、他のプロセス形態では、LFRF電力が適用されることで、マスク上の堆積を制御し、穴の形および一貫性を改善する。
【0073】
チューニングプロセスの間に、HFRF電力、S2のデューティサイクル、および、場合によってはLFRF電力が、所与のプロセスのための適切な値に調整およびチューニングされることが理解されるであろう。HFRF信号のRF電力およびS2のデューティサイクル、ならびに任意選択で(LFRF信号のS2状態についての)LFRF電力は、ボウの低減、およびネッキングの低減を同時に達成するために適用されるノブを提供し、この典型的なトレードオフ関係を克服する。このような多状態パルス出力により、側壁に沿ったよりコンフォーマルな堆積が可能となり、ボウCDを減少させると同時に、マスクの頂部により少ない堆積をもたらしてキャッピングマージンを改善する。
【0074】
いくつかの実施態様では、上述のHFRF電力、デューティサイクル、およびLFRF電力のパラメータは、コンピュータまたはコントローラを通じて提供されるユーザインターフェースを介して調整可能である。コンピュータまたはコントローラは、図1のホストコンピュータ108の一例であってもよい。いくつかの実施態様では、そのようなユーザインターフェースは、これらのパラメータの値を入力するためのフィールド、および/または値の段階的な調整を可能にする選択可能なアイコン、または、パラメータ設定用の他の種類のインターフェースメカニズムを提供する。いくつかの実施態様では、HFRF電力、デューティサイクル、および/またはLFRF電力のパラメータについての所定の値および/または所定の範囲が、ユーザインターフェースを通じて提供される。いくつかの実施態様では、そのような所定の値または範囲は、プロセスの種類や、LFRF信号を含むか否かなど、プロセスに関する他の設定の選択または入力に応じて自動で生成される。いくつかの実施態様では、所定の値は、ユーザの要望に応じてチューニングまたは調整可能なデフォルト値として提供される。
【0075】
本明細書で説明される実施形態は、ハンドヘルドハードウェアユニット、マイクロプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースまたはプログラム可能な家電、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータなどを含む様々なコンピュータシステム構成で実施されてもよい。実施形態は、ネットワークを介してリンクされる遠隔処理ハードウェアユニットによってタスクが実行される分散型コンピューティング環境で実施することも可能である。
【0076】
いくつかの実施形態では、コントローラはシステムの一部であってもよく、システムは上述の例の一部であってもよい。そのようなシステムは、1つまたは複数の処理ツール、1つまたは複数のチャンバ、1つまたは複数の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理部品(ウエハ台座、ガスフローシステム等)を含む半導体処理設備を含む。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後の電子機器の動作を制御するために、電子機器と統合される。電子機器は、1つまたは複数のシステムの様々な部品またはサブ部品を制御し得る「コントローラ」と称する。コントローラは、処理要件および/またはシステムの種類に応じて、本明細書に開示のいずれかのプロセスを制御するようにプログラムされてもよい。そのようなプロセスはとしては、プロセスガスの送達、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、RF発生器の設定、RF整合回路の設定、周波数設定、流量設定、流体送達設定、位置および動作設定、ツールに対するウエハの搬出入、ならびに、システムに接続または結合された他の移送ツールおよび/またはロードロックに対するウエハの搬出入が挙げられる。
【0077】
概して、多様な実施形態において、コントローラは、命令を受信し、命令を出し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント計測を可能にするなどの各種集積回路、ロジック、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義される。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSPs)、ASICsとして定義されたチップ、PLDs、および/またはプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1つ以上のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含む。プログラム命令は、様々な個別設定(またはプログラムファイル)の形でコントローラに伝達される命令であって、半導体ウエハ上もしくは半導体ウエハ用に、またはシステムに対して特定のプロセスを実行するためのパラメータ、因子、変数などを定義する。いくつかの実施形態では、プログラム命令は、1つ以上の層、材料、金属、酸化物、ケイ素、酸化ケイ素、表面、回路、および/またはウエハのダイの製作中に1つ以上の処理ステップを達成するためにプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、コントローラは、システムに統合されているか、結合されているか、そうでなければシステムにネットワーク接続されているか、それらの組み合わせであるコンピュータの一部であるか、あるいはコンピュータに結合されていてもよい。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあるか、またはファブホストコンピュータシステムの全体もしくは一部であってもよく、それによってウエハ処理の遠隔アクセスが可能になる。コンピュータは、システムへの遠隔アクセスを可能とすることで、製作動作の現在の進行を監視し、過去の製作動作の履歴を検証し、複数の製作動作からトレンドまたはパフォーマンスメトリクスを検証することで、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理ステップを設定し、または新しいプロセスを開始する。
【0079】
いくつかの実施形態では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)が、ローカルネットワークまたはインターネットを含む、ネットワークを通じてシステムにプロセスレシピを提供する。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能とするユーザインターフェースを含み、パラメータおよび/または設定はその後、リモートコンピュータからシステムに伝達される。いくつかの例では、コントローラは、1つ以上の動作中に実行される各処理ステップのパラメータ、因子、および/または変数を特定する、データの形式で命令を受信する。パラメータ、因子、および/または変数は、実行されるプロセスの種類、およびコントローラが結合または制御するように構成されるツールの種類に特有のものであることを理解されたい。したがって、上述のように、コントローラは、互いにネットワーク接続されて、本明細書に記載のプロセスおよび制御など、共通の目的に向かって働く1つ以上の別個のコントローラを含めることなどにより、分散される。そのような目的のために分散されたコントローラの例としては、遠隔に配置されて(プラットフォームレベルで、またはリモートコンピュータの一部としてなど)、チャンバ上でのプロセスを協働で制御する1つ以上の集積回路と通信するチャンバ上の1つ以上の集積回路が挙げられる。
【0080】
様々な実施形態において、方法が適用されるシステムの例としては、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、クリーンチャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理気相堆積(PVD)チャンバまたはモジュール、化学気相堆積(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウエハの製作および/または製造に関連づけられるか、または使用される他の任意の半導体処理システムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
いくつかの実施形態では、上述の動作は、いくつかの種類のプラズマチャンバ、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)リアクタを含むプラズマチャンバ、トランス結合プラズマチャンバ、導体ツール、誘電体ツール、電子サイクロトロン共鳴(ECR)リアクタを含むプラズマチャンバ等に適用されることにさらに留意されたい。例えば、1つまたは複数のRF発生器が、ICPリアクタ内でインダクタに結合される。インダクタの形状の例としては、ソレノイド、ドーム型コイル、フラット型コイル等が挙げられる。
【0082】
上述のように、ツールによって行われる1つまたは複数のプロセスステップに応じて、ホストコンピュータは、他のツール回路またはモジュール、他のツール部品、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接ツール、近隣ツール、工場全体に配置されたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体製造工場内においてウエハの容器をツール位置および/あるいはロードポートに対して搬出入する材料搬送に使用されるツールのうちの1つ以上と通信する。
【0083】
上記の実施形態を念頭に置いて、実施形態のいくつかは、コンピュータシステムに格納されたデータを伴う様々なコンピュータ実装動作を採用することを理解されたい。これらの動作は、物理量を物理的に操作する動作である。本明細書に記載の実施形態の一部を構成するあらゆる動作は、有用な機械動作である。
【0084】
また、実施形態のいくつかは、これらの動作を実施するためのハードウェアユニットまたは装置に関する。装置は、専用コンピュータ用に特別に構築されている。専用コンピュータとして定義されるとき、コンピュータは、その専用の目的のために動作可能でありつつ、専用の目的の一部ではない他の処理、プログラム実行、またはルーチンを実施する。
【0085】
いくつかの実施形態では、動作は、コンピュータメモリ、キャッシュに格納されるか、またはコンピュータネットワークを介して取得される1つ以上のコンピュータプログラムによって、選択的にアクティブ化または構成されるコンピュータによって処理されてもよい。コンピュータネットワークを介してデータが取得される場合、そのデータは、コンピュータネットワーク上の他のコンピュータ、例えば、コンピューティング資源のクラウドによって処理されてもよい。
【0086】
また、1つ以上の実施形態は、非一時的コンピュータ可読媒体上のコンピュータ可読コードとして製作され得る。非一時的コンピュータ可読媒体は、データを格納する、任意のデータストレージハードウェアユニット、例えば、メモリデバイス等であり、データはその後、コンピュータシステムによって読み取られる。非一時的コンピュータ可読媒体の例としては、ハードドライブ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、ROM、RAM、コンパクトディスクROMs(CD-ROMs)、CDレコーダブル(CD-Rs)、CDリライタブル(CD-RWs)、磁気テープ、ならびに他の光学および非光学データストレージハードウェアユニットが挙げられる。いくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読コードが分散方式で格納および実行されるように、ネットワーク結合コンピュータシステム上に分散されたコンピュータ可読有形媒体を含む。
【0087】
上記の方法動作は特定の順序で説明されたが、様々な実施形態において、各動作の間に他のハウスキーピング動作が実施されるか、または各方法動作がわずかに異なる時間に発生するように調整されるか、または各方法動作を様々な間隔で発生可能にするシステムに分散されるか、または上述の順序とは異なる順序で実施されることを理解されたい。
【0088】
一実施形態では、本開示で説明される様々な実施形態において説明される範囲から逸脱することなく、上述の、任意の実施形態の1つ以上の特徴が同じく上述の他の任意の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わされることにさらに留意されたい。
【0089】
前述の実施形態は、明確な理解のためにいくらか詳しく説明されているが、特定の変更および修正を添付の特許請求の範囲の範囲内で実施できることは明らかであろう。したがって、本実施形態は、限定ではなく例示と見なされるべきであり、実施形態は本明細書にて提供される詳細に限定されるべきではない。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
【国際調査報告】