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特表2025-504028セラグノスティクス葉酸コンジュゲート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】セラグノスティクス葉酸コンジュゲート
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/54 20170101AFI20250130BHJP
   C07K 5/06 20060101ALI20250130BHJP
   A61K 51/04 20060101ALI20250130BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
A61K47/54
C07K5/06
A61K51/04 100
A61K51/04
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544934
(86)(22)【出願日】2023-01-30
(85)【翻訳文提出日】2024-09-26
(86)【国際出願番号】 EP2023052116
(87)【国際公開番号】W WO2023148115
(87)【国際公開日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】22154653.4
(32)【優先日】2022-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】グレーン、 ヴィオーラ
(72)【発明者】
【氏名】レンツ、 マリー-ルイーゼ
(72)【発明者】
【氏名】モーザー、 ルドルフ
(72)【発明者】
【氏名】シブリ、 ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー、 クリスティーナ マグダレナ
(72)【発明者】
【氏名】ベネソヴァ、 マルティナ
(72)【発明者】
【氏名】グジク、 パトリーシャ
(72)【発明者】
【氏名】デベルレ、ルイーザ マリア
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー、 アンナ エリーザベト
(72)【発明者】
【氏名】ブシュリンゲル、 ザーラ ドーリナ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC27
4C076EE59
4C084AA12
4C084NA13
4C084ZB26
4C085HH03
4C085KA09
4C085KA29
4C085KB39
4C085KB56
4C085LL18
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA11
4H045BA51
4H045BA56
4H045BA71
4H045EA51
(57)【要約】
本開示は、5-メチルテトラヒドロ葉酸、放射性金属Mを任意に配位する放射性金属キレーター、および疎水性リンカーを介して連結されたアルブミン結合剤を含む新規の葉酸コンジュゲートに関し、さらに、画像診断、放射性核種治療、またはセラグノスティクス用途における、そのようなコンジュゲートおよび/またはその医薬組成物の使用を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I、Ia、Ibの化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩:
【化1】

【化2】
Ia
【化3】
Ib
ここで、
Yは、放射性金属Mを任意に配位する放射性金属キレーターであり、
pは3または4であり、
nは1~8であり、
mは1~8である。
【請求項2】
pが3である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
pが4である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記放射性金属キレーターが、直鎖状または大環状のポリアミノカルボキシレート、例えば、DTPA、DOTA(およびその誘導体、例えば、p-SCN-DOTA、マレイミド-DOTA、DOTA-NHS-エステル)、DFO、DFO、DO3A、HP-DO3A、AAZTA、EDTA、TETA、EHPG、HBED、NOTA(およびp-SCN-NOTAなどの誘導体)、DOTAGA、DOTMA、TETMA、PDTA、TTHA、LICAM、およびMECAMから選択される、先行する請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
任意に配位する放射性金属Mが、51Cr、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、47Sc、167Tm、141Ce、111In、168Yb、175Yb、140La、89Zr、90Y、88Y、153Sm、166Ho、52Mn、165Dy、166Dy、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、97Ru、103Ru、186Re、188Re、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi、105Rh、109Pd、212Pb、117mSn、149Pm、161Tb、149Tb、152Tb、155Tb、99mTc、165Er、169Er、172Yb、165Tm、177Lu、225Ac、198Au、199Au、および227Thから選択される、先行する請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
nが2、3、4、5、または6、好ましくは4である、先行する請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
mが2、3、4、5、または6、好ましくは4である、先行する請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
nが4であり、mが4である、先行する請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
式II、IIa、IIb、III、IIIa、またはIIIbを有する、請求項1に記載の化合物:
【化4】
II
【化5】
IIa
【化6】
IIb
【化7】
III
【化8】
IIIa
【化9】
IIIb
ここで、
Yは、放射性金属Mを任意に配位する放射性金属キレーターであり、
nは1~8であり、
mは1~8である。
【請求項10】
前記放射性金属キレーターが、直鎖状または大環状のポリアミノカルボキシレート、例えば、DTPA、DOTA(およびその誘導体、例えば、p-SCN-DOTA、マレイミド-DOTA、DOTA-NHS-エステル)、DFO、DFO、DO3A、HP-DO3A、AAZTA、EDTA、TETA、EHPG、HBED、NOTA(およびp-SCN-NOTAなどの誘導体)、DOTAGA、DOTMA、TETMA、PDTA、TTHA、LICAM、およびMECAMから選択される、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
任意に配位する放射性金属Mが、51Cr、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、47Sc、167Tm、141Ce、111In、168Yb、175Yb、140La、89Zr、90Y、88Y、153Sm、166Ho、52Mn、165Dy、166Dy、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、97Ru、103Ru、186Re、188Re、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi、105Rh、109Pd、212Pb、117mSn、149Pm、161Tb、149Tb、152Tb、155Tb、99mTc、165Er、169Er、172Yb、165Tm、177Lu、225Ac、198Au、199Au、および227Thから選択される、請求項9または10に記載の化合物。
【請求項12】
nが2、3、4、5、または6、好ましくは4である、請求項9~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
mが2、3、4、5、または6、好ましくは4である、請求項9~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
nが4であり、mが4である、請求項9~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
式IV、IVa、IVb、V、Va、Vbを有する、請求項1に記載の化合物:
【化10】
IV
【化11】
IVa
【化12】
IVb
【化13】

【化14】
Va
【化15】
Vb
ここで、Yは、放射性金属Mを任意に配位する放射性金属キレーターである。
【請求項16】
前記放射性金属キレーターが、直鎖状または大環状のポリアミノカルボキシレート、例えば、DTPA、DOTA(およびその誘導体、例えば、p-SCN-DOTA、マレイミド-DOTA、DOTA-NHS-エステル)、DFO、DFO、DO3A、HP-DO3A、AAZTA、EDTA、TETA、EHPG、HBED、NOTA(およびp-SCN-NOTAなどの誘導体)、DOTAGA、DOTMA、TETMA、PDTA、TTHA、LICAM、およびMECAMから選択される、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
任意に配位する放射性金属Mが、51Cr、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、47Sc、167Tm、141Ce、111In、168Yb、175Yb、140La、89Zr、90Y、88Y、153Sm、166Ho、52Mn、165Dy、166Dy、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、97Ru、103Ru、186Re、188Re、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi、105Rh、109Pd、212Pb、117mSn、149Pm、161Tb、149Tb、152Tb、155Tb、99mTc、165Er、169Er、172Yb、165Tm、177Lu、225Ac、198Au、199Au、および227Thから選択される、請求項15または16に記載の化合物。
【請求項18】
放射性金属Mを任意に配位する、式VI、VIa、VIb、VII、VIIa、またはVIIbを有する、請求項1に記載の化合物:
【化16】
VI
【化17】
VIa
【化18】
VIb
【化19】
VII
【化20】
VIIa
【化21】
VIIb。
【請求項19】
任意に配位する放射性金属Mが、51Cr、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、47Sc、167Tm、141Ce、111In、168Yb、175Yb、140La、89Zr、90Y、88Y、153Sm、166Ho、52Mn、165Dy、166Dy、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、97Ru、103Ru、186Re、188Re、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi、105Rh、109Pd、212Pb、117mSn、149Pm、161Tb、149Tb、152Tb、155Tb、99mTc、165Er、169Er、172Yb、165Tm、177Lu、225Ac、198Au、199Au、および227Thから選択される、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
先行する請求項のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物。
【請求項21】
画像診断薬として、または放射線治療薬として、またはセラグノスティクス薬として使用するための、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
インビトロまたはインビボで葉酸受容体を発現する細胞または細胞集団の画像診断において使用するための、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
診断上有効な量の請求項1~19のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物を投与するステップと、葉酸受容体を発現する細胞または細胞集団の診断画像を得るステップと、を含む、葉酸受容体を発現する細胞または細胞集団の画像診断において使用するための、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
治療計画および/または進行中の治療的処置の効果のモニタリングのための画像診断薬として使用するための、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
放射性核種治療を必要とする対象の放射性核種治療において使用するための、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
治療上有効な量の請求項1~19のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物を、それを必要とする対象に投与するステップと、前記少なくとも1つの化合物を治療すべき組織に局在させるステップと、所望の治療効果を達成するために組織に放射線を照射するステップと、を含む、放射性核種治療において使用するための、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
(i)診断画像を得るために、診断上有効な量の請求項1~19のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物を投与するステップと、(ii)腫瘍治療のために、治療上有効な量の請求項1~19のいずれか一項に記載の少なくとも1つのさらなる化合物を投与するステップと、を含む、腫瘍の治療計画および/またはモニタリングおよび/または治療において使用するための、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項28】
ステップ(i)の前記少なくとも1つの化合物が診断用化合物であり、ステップ(ii)の前記少なくとも1つのさらなる化合物が放射線治療用化合物である、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
ステップ(i)において投与された診断上有効な量の前記少なくとも1つの化合物から得られた診断画像が、ステップ(ii)において治療のために投与される前記少なくとも1つのさらなる化合物の治療上有効な量を決定するために使用される、請求項27または28に記載の化合物。
【請求項30】
葉酸受容体を発現する細胞または細胞集団の画像診断のための方法であって、診断上有効な量の請求項1~19のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物を投与するステップと、前記細胞または細胞集団の診断画像を得るステップと、を含む方法。
【請求項31】
前記画像診断が、インビトロまたはインビボで葉酸受容体を発現する細胞または細胞集団に対して行われる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
組織サンプル中の葉酸受容体を発現する細胞のインビトロ検出のための方法であって、前記組織サンプルを、診断上有効な量の請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物と、結合が起こるために十分な時間および条件において接触させること、およびPETイメージングによってそのような結合を検出すること、を含む、方法。
【請求項33】
(i)診断上有効な量の請求項1~19のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物を投与するステップと、(ii)前記少なくとも1つの化合物からの信号を検出することにより、PETを用いて画像診断を実施するステップと、を含む、対象を画像診断またはモニタリングするための方法。
【請求項34】
(i)診断画像を得るために、診断上有効な量の請求項1~19のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物を、それを必要とする対象に投与するステップと、(ii)治療のために投与すべき、請求項1~19のいずれか一項に記載の少なくとも1つのさらなる化合物の治療上有効な量を決定するステップと、を含む、対象における治療計画のための方法。
【請求項35】
(i)診断上有効な量の請求項1~19のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物を、それを必要とする対象に投与するステップと、(ii)治療すべき組織において、請求項1~19のいずれか一項に記載の前記少なくとも1つの化合物の診断画像を得るステップと、(iii)治療上有効な量の請求項1~19のいずれか一項に記載の少なくとも1つのさらなる化合物を投与するステップと、(iv)所望の治療効果を達成するために、前記組織に放射線を照射するステップと、を含む、セラグノスティクス用途のための方法。
【請求項36】
ステップ(i)の前記少なくとも1つの化合物が画像診断用化合物であり、ステップ(ii)の前記少なくとも1つのさらなる化合物が放射線治療用化合物である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
ステップ(ii)において得られた前記診断画像が、治療のためにステップ(iii)において投与される前記少なくとも1つのさらなる化合物の治療上有効な量を決定するために使用される、請求項35または36に記載の方法。
【請求項38】
がんの診断または治療の他の任意の方法と組み合わせて使用される、請求項30~37のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、5-メチルテトラヒドロ葉酸、放射性金属Mを任意に配位する放射性金属キレーター、および疎水性リンカーを介して連結されたアルブミン結合剤を含む新規の葉酸コンジュゲートに関し、さらに、画像診断、放射性核種治療、またはセラグノスティクス用途における、そのようなコンジュゲートおよび/またはその医薬組成物の使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
葉酸受容体α(本明細書では、FRと称する)は、様々なタイプの腫瘍、中でも卵巣がん、肺がん、乳がん、腎がん、および大腸がんにおいて過剰発現している膜結合型糖タンパク質である(Parker, N. et al., Anal Bioch, 2005, 338, (2), 284-93; Low, P. S. et al., Curr Opin Chem Biol, 2009, 13, (3), 256-62)。健康な組織において、FRはわずかな部位でしか発現しないが、中でも腎臓の近位尿細管細胞においては最も重要である(Holm, J. et al., Kidney Int, 1992, 41, (1), 50-5; Birn, H. et al., J Am Soc Nephrol: JASN 2005, 16, (3), 608-15)。したがって、核イメージングや標的放射性核種治療のための有望な腫瘍関連タンパク質である(Low, P. S. et al., Acc Chem Res, 2008, 41, (1), 120-9; Muller, C. Curr Pharm Design, 2012, 18, (8), 1058-83)。葉酸(葉酸ビタミンの酸化型)および5-メチルテトラヒドロ葉酸(5-MTHF;4つの立体異性体[6R-/6S-およびL-Glu/D-Glu]のいずれかとして調製できる還元された葉酸の形態)は、FRに高い親和性で結合し(ナノモル領域のK)、FRは、エンドサイトーシスを介して内在化する(Kamen, B. A. et al., Adv Drug Deliv Rev, 2004, 56, (8), 1085-97)。そのため、葉酸は、FRを発現するがんのイメージングや治療のための、付随する診断および治療ペイロードを送達するための標的化剤として使用されてきた(Low, P. S. et al., Acc Chem Res 2008, 41, (1))。開発された葉酸放射性コンジュゲートのうち、臨床で使用されたものは、わずかであり、その中に、単一光子放射断層撮影(SPECT)用の[111In]In-DTPA-葉酸および[99mTc]Tc-EC20(Etarfolatide(トレードマーク)、Endocyte Inc.)(Siegel, B. A. et al., J Nucl Med, 2003, 44, (5), 700-7; Fisher, R. E. et al., J Nucl Med, 2008, 49, (6), 899-906)、ならびに陽電子放射線断層撮影(PET)用の18F-AzaFol(3’-アザ-2’-[18F]フルオロ葉酸)(Gnesin, S. et al., EJNMMI Res, 2020, 10, (1), 32)がある。
【0003】
マウスを用いた前臨床試験に基づくと、葉酸放射性コンジュゲートの治療用途に関する主な懸念は、葉酸放射性コンジュゲートが腎臓に多く蓄積される結果としての、腎臓への損傷(放射性腎毒性)の潜在的リスクである(Muller, C. et al., Nucl Med Biol, 2011, 38, (5), 715-23)。アルブミン結合剤としての4-(p-ヨードフェニル)ブタン酸(Dumelin, C. E. et al., Angew Chem Int Ed Engl, 2008, 47, (17), 3196-201)を、葉酸放射性コンジュゲート([177Lu]Lu-cm09(Muller, C. et al., J Nucl Med, 2013, 54, (1), 124-31)および[177Lu]Lu-cm10(Muller et al., J Nucl Med, 2014, 55, (10), 1658-64、本明細書では[177Lu]Lu-OxFol-1と称する)の構造に組み込むと、それらの薬物動態学的特性に良い影響をもたらした。アルブミン結合特性によって葉酸放射性コンジュゲートの血液循環が促進され、その結果、腫瘍への蓄積が増加し、腎臓における滞留が減少したため、腫瘍対腎臓比が有意に改善した(Muller, C. et al., J Nucl Med, 2013, 54, (1), 124-31; Siwowska, K. et al., Mol Pharm, 2017, 14, (2), 523-532)。標的化剤としての5-メチルテトラヒドロ葉酸(5-MTHF)を含むアルブミン結合性放射性コンジュゲートの使用は、それぞれの葉酸ベースの化合物[177Lu]Lu-OxFol-1と比較して、腫瘍対腎臓比が高く、結果として優れた治療効果を示した(Guzik, P. et al., Eur J Nucl Med Mol Imaging, 2021, 48, 972-983)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Parker, N. et al., Anal. Bioch., 2005, 338, (2), 284-93
【非特許文献2】Low, P. S. et al., Curr. Opin. Chem. Biol., 2009, 13, (3), 256-62
【非特許文献3】Holm, J. et al., Kidney Int., 1992, 41, (1), 50-5
【非特許文献4】Birn, H. et al., J. Am. Soc. Nephrol.: JASN 2005, 16, (3), 608-15
【非特許文献5】Low, P. S. et al., Acc. Chem. Res., 2008, 41, (1), 120-9
【非特許文献6】Muller, C., Curr. Pharm. Design, 2012, 18, (8), 1058-83
【非特許文献7】Kamen, B. A. et al., Adv. Drug. Deliv. Rev., 2004, 56, (8), 1085-97
【非特許文献8】Siegel, B. A. et al., J. Nucl. Med., 2003, 44, (5), 700-7
【非特許文献9】Fisher, R. E. et al., J. Nucl. Med., 2008, 49, (6), 899-906
【非特許文献10】Gnesin, S. et al., EJNMMI Res., 2020, 10, (1), 32
【非特許文献11】Muller, C. et al., Nucl. Med. Biol., 2011, 38, (5), 715-23
【非特許文献12】Dumelin, C. E. et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 2008, 47, (17), 3196-201
【非特許文献13】Muller, C. et al., J. Nucl. Med., 2013, 54, (1), 124-31
【非特許文献14】Muller et al., J. Nucl. Med., 2014, 55, (10), 1658-64
【非特許文献15】Siwowska, K. et al., Mol. Pharm., 2017, 14, (2), 523-532
【非特許文献16】Guzik, P. et al., Eur. J. Nucl. Med. Mol. Imaging, 2021, 48, 972-983
【発明の概要】
【0005】
本開示は、第一の側面において、5-メチルテトラヒドロ葉酸、放射性金属Mを任意に配位する放射性金属キレーター、および疎水性リンカーを介して連結されたアルブミン結合剤を含む新規の葉酸コンジュゲートに向けたものである。
【0006】
具体的な一実施形態において、新規の葉酸コンジュゲートは、式Iの化合物、またはその立体異性体(または立体異性体の組み合わせ)、またはその薬学的に許容される塩である。
【0007】
【化1】
【0008】
ここで、Yは、放射性金属Mを任意に配位する放射性金属キレーターであり、pは3または4であり、nは1~8であり、mは1~8である。
【0009】
いくつかの実施形態において、pは3である。いくつかの実施形態において、pは4である。
【0010】
いくつかの実施形態において、放射性金属キレーターは、直鎖状または大環状のポリアミノカルボキシレート、例えば、DTPA、DOTA(およびその誘導体、例えば、p-SCN-DOTA、マレイミド-DOTA、DOTA-NHS-エステル)、DFO、DFO、DO3A、AAZTA、HP-DO3A、EDTA、TETA、EHPG、HBED、NOTA(およびp-SCN-NOTAのような誘導体)、DOTAGA、DOTMA、TETMA、PDTA、TTHA、LICAM、MECAM、AAZTAから選択され、好ましくは、大環状ポリアミノカルボキシレート、例えば、NOTA、DOTA、DTPA、DO3A、HP-DO3A、EDTA、TETA、DOTMA、AAZTAである。放射性金属キレーター、例えば大環状ポリアミノカルボキシレートは、そのカルボキシレート基の1つとのアミドカップリングを介して、本開示の化合物と共有結合している。
【0011】
放射性金属キレーターは、放射性金属Mを配位していてもよく、配位していなくてもよい。いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、51Cr、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、47Sc、167Tm、141Ce、111In、168Yb、175Yb、140La、89Zr、90Y、88Y、153Sm、166Ho、52Mn、165Dy、166Dy、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、97Ru、103Ru、186Re、188Re、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi、105Rh、109Pd、212Pb、117mSn、149Pm、161Tb、149Tb、152Tb、155Tb、99mTc、165Er、169Er、172Yb、165Tm、177Lu、225Ac、198Au、199Au、および227Thから選択される。
【0012】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、67Cu、43Sc、44Sc、99mTc、149Tb、152Tb、155Tb、161Tb、90Y、177Lu、および225Acから選択される。
【0013】
いくつかの実施形態において、画像診断(diagnostic imaging)に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、61Cu、62Cu、64Cu、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、52Mn、89Zr、99mTc、111In、152Tb、および155Tbから選択される。
【0014】
いくつかの実施形態において、画像診断に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、43Sc、44Sc、99mTc、152Tb、および155Tbから選択される。
【0015】
いくつかの実施形態において、放射性核種治療に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Cu、90Y、105Rh、117mSn、149Pm、153Sm、161Tb、149Tb、166Dy、166Ho、175Yb、177Lu、186Re、188Re、225Ac、および213Biから選択される。
【0016】
いくつかの実施形態において、放射性核種治療に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Cu、90Y、161Tb、149Tb、177Lu、および225Acから選択される。
【0017】
いくつかの実施形態において、nは2、3、4、5、または6であり、好ましくは4である。いくつかの実施形態において、mは2、3、4、5、または6であり、好ましくは4である。いくつかの実施形態において、nは4であり、mは4である。
【0018】
さらなる態様において、本開示は、画像診断、放射性核種治療、またはセラグノスティクス用途における、本開示の化合物および/または医薬組成物の使用を提供する。いくつかの実施形態において、本開示の方法の対象は、動物またはヒトなどの哺乳動物である。いくつかの実施形態において、本開示の方法の対象はヒトである。
【0019】
さらなる態様において、本開示は、本開示の化合物を調製するために必要なすべての成分を含む、シングルまたはマルチバイアルキットを提供する。
【0020】
本開示の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0021】
本明細書および実施形態は、その範囲を限定することなく、本開示の性質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供することを意図していることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】RedFol-3およびRedFol-25の合成スキーム:a)Fmoc-Lys(Alloc)-OH、DMF中のDIPEA;o/n;b)DMF中の50%ピぺリジン;2×5分;c)Dde-Lys(Fmoc)-OH、HBTU、DMF中のDIPEA;1時間;d)DOTA-トリス(tBu)エステル、HBTU、DMF中のDIPEA;3時間;e)Pd(PPh、DCM中のモルホリン;1時間;f)Fmoc-AMBA-OH、HBTU、DIPEA、DMF、1時間;f)5-(p-ヨードフェニル)ペンタン酸、HBTU、DMF中のDIPEA;1時間;g)DMF中の2%ヒドラジン;1.5時間;h)Fmoc-Glu-OtBu、HBTU、DMF中のDIPEA;1.5時間;i)10-ホルミル-5-メチルテトラヒドロプテロイン酸、HBTU;DMF中のDIPEA;2時間;j)TFA、TIPS、HO(95:2.5:2.5);2時間;k)NaOH水溶液(1M)、5時間。
図2図2A/B:37℃で2時間および4時間培養後のKB腫瘍細胞における葉酸放射性コンジュゲートの取り込みおよび内在化。(A)KB腫瘍細胞における葉酸放射性コンジュゲートの取り込み。(B)KB腫瘍細胞における葉酸放射性コンジュゲートの内在化画分(internalized fraction)。
図3】1時間後、4時間後、24時間後の腫瘍保有マウスにおける葉酸放射性コンジュゲートの減衰補正KB腫瘍取り込み。
図4】各放射性コンジュゲートの注射後1時間、4時間、および24時間において得られた生体内分布データに基づいて決定された腫瘍対血液比。
図5】各放射性コンジュゲートの注射後1時間、4時間、および24時間において得られた生体内分布データに基づいて決定された腫瘍対腎臓比。
図6177Lu-葉酸放射性コンジュゲート(25MBq;マウス1匹当たり0.5nmol)の注射1時間後のKB腫瘍保有マウスのSPECT/CT画像を最大強度投影(MIP)として示す。(A)参照(リファレンス):[177Lu]Lu-OxFol放射性コンジュゲートのSPECT/CTスキャン;(B)6R-5-MTHFベースの放射性コンジュゲートのSPECT/CTスキャン;(C)6S-5-MTHFベースの放射性コンジュゲートのSPECT/CTスキャン;Tu=KB腫瘍;Ki=腎臓;H=心臓。
図7177Lu-葉酸放射性コンジュゲート(25MBq;マウス1匹当たり0.5nmol)の注射4時間後のKB腫瘍保有マウスのSPECT/CT画像を最大強度投影(MIP)として示す。(A)参照:[177Lu]Lu-OxFol放射性コンジュゲートのSPECT/CTスキャン;(B)6R-5-MTHFベースの放射性コンジュゲートのSPECT/CTスキャン;(C)6S-5-MTHFベースの放射性コンジュゲートのSPECT/CTスキャン;Tu=KB腫瘍;Ki=腎臓;H=心臓。
図8177Lu-葉酸放射性コンジュゲート(25MBq;マウス1匹当たり0.5nmol)の注射24時間後のKB腫瘍保有マウスのSPECT/CT画像を最大強度投影(MIP)として示す。(A)参照:[177Lu]Lu-OxFol放射性コンジュゲートのSPECT/CTスキャン;(B)6R-5-MTHFベースの放射性コンジュゲートのSPECT/CTスキャン;(C)6S-5-MTHFベースの放射性コンジュゲートのSPECT/CTスキャン;Tu=KB腫瘍;Ki=腎臓;H=心臓。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示の詳細な説明
本開示は、第一の側面において、5-メチルテトラヒドロ葉酸(5-MTHF)、放射性金属Mを任意に配位する放射性金属キレーター、および疎水性リンカーを介して連結されたアルブミン結合剤を含む新規の葉酸コンジュゲート(以下、本開示の化合物またはコンジュゲートともいう)に向けたものである。
【0024】
「放射性金属キレーター」(または(金属)キレーター)という用語は、放射性金属または放射性核種を錯体化するために(および意図される用途に有用な)、当技術分野で知られている金属キレーターのいずれであってもよい。キレーターの放射性金属への結合は、キレーターと放射性金属と間の解離定数を測定することによって決定することができる。本開示の目的のために、キレーターと放射性金属との間の解離定数Kは、約10-3~約10-15-1である。好ましくは、キレーターと放射性金属との解離定数Kは、約10-6~約10-15-1である。いくつかの実施形態において、本開示で使用するための放射性金属は、インビボでの投与後に非侵襲的な方法で外部から検出することができるものである。いくつかの実施形態において、放射性金属は、特に、SPECTまたはPETを用いたイメージングに適したものである。
【0025】
キレーターの例は当技術分野でよく知られており、直鎖状、三脚状、および大環状の形態の二座、三座、ならびに四座のリガンドが含まれる。典型的な例としては、ビピリジル(bipy);ターピリジル(terpy);クラウンエーテル;アザクラウンエーテル;コハク酸;クエン酸;サリチル酸;ヒスチジン;イミダゾール;エチレングリコール-ビス-(β-アミノエチルエーテル)N,N’-四酢酸(EGTA);ニトリロ三酢酸(nitroloacetic acid);アセチルアセトナート(acac);硫酸;ジチオカルバメート;カルボキシレート;アルキルジアミン;エチレンジアミン(en);ジエチレントリアミン(dien);硝酸塩(nitrate);ニトロ;ニトロソ;(CPCHCHP(C(diphos);グリム;ジグリム;ビス(アセチルアセトナート)エチレンジアミン(acacen);エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA);N-[2-[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-3-(4-エトキシフェニル)プロピル]-N-[2-[ビス(カルボキシメチル)-アミノ]エチル]-L-グリシン(EOB-DTPA);N,N-ビス[2-[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-エチル]-L-グルタミン酸(DTPA-Glu);N,N-ビス[2-[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-エチル]-L-リジン(DTPA-Lys);N,N-ビス[2-[カルボキシメチル[(メチルカルバモイル)メチル]アミノ]-エチル]グリシン(DTPA-BMA)などのDTPAのモノ-またはビス-アミド誘導体;N’-[5-(アセチル-ヒドロキシ-アミノ)ペンチル]-N-{5-[3-(5-アミノペンチル-ヒドロキシ-カルバモイル)プロパノイルアミノ]ペンチル}-N-ヒドロキシ-ブタンジアミド(DFO);N1-(27-アミノ-11,22-ジヒドロキシ-7,10,18,21-テトラオキソ-6,11,17,22-テトラアザヘプタコシル)-N1-ヒドロキシ-N4-(5-(N-ヒドロキシアセトアミド)ペンチル)スクシンアミド(DFO);4-カルボキシ-5,8,11-トリス(カルボキシメチル)-1-フェニル-2-オキサ-5,8,11-トリアザトリデカン(triazamidecan)-13-オイックアシッド(BOPTA);2,2’-(6-(ビス(カルボキシメチル)アミノ)-6-(4-カルボキシブチル)-1,4-ジアゼパン-1,4-ジイル)二酢酸(AAZTA);1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-三酢酸(DO3A);1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA);1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン,1-(グルタル酸)-4,7,10-三酢酸(DOTAGA);10-(2-ヒドロキシプロピル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-三酢酸(HPDO3A);2-メチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(MCTA);テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTMA);3,6,9,15-テトラアザビシクロ[9.3.1]ペンタデカ-1(15),11,13-トリエン-3,6,9-三酢酸(PCTA);PCTA12;シクロ-PCTA12;N,N’-ビス(2-アミノエチル)-1,2-エタンジアミン(TETA);1,4,7,10-テトラアザシクロトリデカン-N,N’,N’’,N’’’-四酢酸(TRITA);1,12-ジカルボニル、15-(4-イソチオシアナトベンジル)1,4,7,10,13-ペンタアザシクロヘキサデカン-N,N’,N’’-三酢酸(HETA);1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-四酢酸モノ(N-ヒドロキシスクシンイミジル)エステル(DOTA-NHS);N,N’-ビス(2-アミノエチル)-1,2-エタンジアミン-N-ヒドロキシ-スクシンイミドエステル(TETA-NHS);[(2S,5S,8S,11S)-4,7,10-トリス-カルボキシメチル-2,5,8,11-テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]酢酸(M4DOTA);[(2S,5S,8S,11S)-4,7-ビスカルボキシメチル-2,5,8,11-テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]酢酸;(M4DO3A);(R)-2-[(2S,5S,8S,11S)-4,7,10-トリス-((R)-1-カルボキシエチル)-2,5,8,11-テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]プロピオン酸(M4DOTMA);10-ホスホノメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-三酢酸(MPDO3A);ヒドロキシベンジル-エチレンジアミン-二酢酸(HBED)、およびN,N’-エチレンビス-[2-(o-ヒドロキシフェノール)グリシン](EHPG)を挙げることができる。
【0026】
本開示の化合物において使用するために適した金属キレーターには、本明細書において明記したように、直鎖状、三脚状、および大環状の形態の二座、三座、ならびに四座のリガンドが含まれる。いくつかの実施形態において、本開示のために使用される金属キレーターとしては、直鎖状または大環状のポリアミノカルボキシレート、例えば、DTPA、DOTA(およびその誘導体、例えば、p-SCN-DOTA、マレイミド-DOTA、DOTA-NHS-エステル)、DFO、DFO、DO3A、HP-DO3A、AAZTA、EDTA、TETA、EHPG、HBED、NOTA(およびp-SCN-NOTAなどの誘導体)、DOTAGA、DOTMA、TETMA、PDTA、TTHA、LICAM、MECAMなどが挙げられる。いくつかの実施形態において、本開示のために使用される金属キレーターは、NOTA、DOTA、DTPA、DO3A、HP-DO3A、EDTA、TETA、DOTMA、AAZTAなどの大環状ポリアミノカルボキシレートを含む。本明細書において定義される放射性金属キレーターは、そのカルボキシレート基の1つを介して、例えばアミノ基とのカップリングを介して、本開示の化合物に連結され、アミド結合を与える。
【0027】
放射性金属キレーターは、放射性金属Mを配位していてもよく、配位していなくてもよい。本明細書において使用される場合、「放射性金属」(放射性核種とも称する)との用語は、放射性崩壊を受けることができる原子を指し、以下に記載されるように、画像診断薬または治療薬として使用され得る。いくつかの実施形態において、核イメージングまたは放射性核種治療のための放射性金属は、51Cr、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、47Sc、167Tm、141Ce、111In、168Yb、175Yb、140La、89Zr、90Y、88Y、153Sm、166Ho、52Mn、165Dy、166Dy、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、97Ru、103Ru、186Re、188Re、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi、105Rh、109Pd、212Pb、117mSn、149Pm、161Tb、149Tb、152Tb、155Tb、99mTc、165Er、169Er、172Yb、165Tm、177Lu、225Ac、198Au、199Au、および227Thを含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、67Cu、43Sc、44Sc、99mTc、149Tb、152Tb、155Tb、161Tb、90Y、177Lu、および225Acから選択される。
【0029】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、43Sc、44Sc、99mTc、152Tb、155Tb、67Cu、90Y、161Tb、149Tb、177Lu、および225Acから選択される。
【0030】
金属の選択は、目的とする治療または診断用途に基づいて決定される。当業者であれば、目的の用途に応じてどの放射性金属を選択すればよいかが分かる。
【0031】
いくつかの実施形態において、画像診断に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、61Cu、62Cu、64Cu、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、52Mn、89Zr、99mTc、111In、152Tb、および155Tbから選択される。
【0032】
いくつかの実施形態において、画像診断に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、43Sc、44Sc、99mTc、152Tb、および155Tbから選択される。
【0033】
いくつかの実施形態において、放射性核種治療に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Cu、90Y、105Rh、117mSn、149Pm、153Sm、161Tb、149Tb、166Dy、166Ho、175Yb、177Lu、186Re、188Re、225Ac、および213Biから選択される。
【0034】
いくつかの実施形態において、放射性核種治療に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Cu、90Y、161Tb、149Tb、177Lu、および225Acから選択される。
【0035】
「本開示の化合物」という用語は、式(I)~(VII)の化合物、およびそれらの任意の立体異性体(例えば、明示的に(6R)-または(6S)-異性体)、ならびにそれらの任意の薬学的に許容される塩を包含する。
【0036】
本開示はまた、1つ以上の原子が、対応する原子の特定の同位体で置換された本開示の化合物、例えば、1つ以上または全ての水素原子が重水素原子Dで置換され、重水素に富む本開示の化合物を形成する、本開示の化合物を包含する。
【0037】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体である。
【0038】
【化2】
【0039】
ここで、
Yは、放射性金属Mを任意に配位する放射性金属キレーターであり、
pは3または4であり、nは1~8であり、mは1~8である。
【0040】
いくつかの実施形態において、pは3である。いくつかの実施形態において、pは4である。
【0041】
いくつかの実施形態において、放射性金属キレーターは、本明細書において上記で定義したとおりである。いくつかの実施形態において、放射性金属キレーターは、直鎖状または大環状のポリアミノカルボキシレート、例えば、DTPA、DOTA(およびその誘導体、例えば、p-SCN-DOTA、マレイミド-DOTA、DOTA-NHS-エステル)、DFO、DFO、DO3A、HP-DO3A、AAZTA、EDTA、TETA、EHPG、HBED、NOTA(およびp-SCN-NOTAなどの誘導体)、DOTAGA、DOTMA、TETMA、PDTA、TTHA、LICAM、MECAMから選択される。
【0042】
いくつかの実施形態において、本開示のために使用される金属キレーターは、NOTA、DOTA、DTPA、DO3A、HP-DO3A、AAZTA、EDTA、TETA、DOTMAなどの大環状ポリアミノカルボキシレートを含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、51Cr、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、47Sc、167Tm、141Ce、111In、168Yb、175Yb、140La、89Zr、90Y、88Y、153Sm、166Ho、52Mn、165Dy、166Dy、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、97Ru、103Ru、186Re、188Re、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi、105Rh、109Pd、212Pb、117mSn、149Pm、161Tb、149Tb、152Tb、155Tb、99mTc、165Er、169Er、172Yb、165Tm、177Lu、225Ac、198Au、199Au、および227Thから選択される。
【0044】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、67Cu、43Sc、44Sc、99mTc、149Tb、152Tb、155Tb、161Tb、90Y、177Lu、および225Acから選択される。
【0045】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、43Sc、44Sc、99mTc、152Tb、155Tb、67Cu、90Y、161Tb、149Tb、177Lu、および225Acから選択される。
【0046】
いくつかの実施形態において、画像診断に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、61Cu、62Cu、64Cu、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、52Mn、89Zr、99mTc、111In、152Tb、および155Tbから選択される。
【0047】
いくつかの実施形態において、画像診断に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、43Sc、44Sc、99mTc、152Tb、および155Tbから選択される。
【0048】
いくつかの実施形態において、放射性核種治療に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Cu、90Y、105Rh、117mSn、149Pm、153Sm、161Tb、149Tb、166Dy、166Ho、175Yb、177Lu、186Re、188Re、225Ac、および213Biから選択される。
【0049】
いくつかの実施形態において、放射性核種治療に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Cu、90Y、161Tb、149Tb、177Lu、および225Acから選択される。
【0050】
いくつかの実施形態において、nは2、3、4、5、または6であり、好ましくは4である。いくつかの実施形態において、mは2、3、4、5、または6であり、好ましくは4である。いくつかの実施形態において、nは4であり、mは4である。
【0051】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、式IaまたはIbを有する。
【0052】
【化3】
Ia
【0053】
【化4】
Ib
【0054】
ここで、
Yは、放射性金属Mを任意に配位する放射性金属キレーターであり、
pは3または4であり、nは1~8であり、mは1~8である。
【0055】
いくつかの実施形態において、pは3である。いくつかの実施形態において、pは4である。
【0056】
いくつかの実施形態において、放射性金属キレーターは、本明細書において上記で定義したとおりである。いくつかの実施形態において、放射性金属キレーターは、直鎖状または大環状のポリアミノカルボキシレート、例えば、DTPA、DOTA(およびその誘導体、例えば、p-SCN-DOTA、マレイミド-DOTA、DOTA-NHS-エステル)、DFO、DFO、DO3A、HP-DO3A、AAZTA、EDTA、TETA、EHPG、HBED、NOTA(およびp-SCN-NOTAなどの誘導体)、DOTAGA、DOTMA、TETMA、PDTA、TTHA、LICAM、MECAMから選択される。
【0057】
いくつかの実施形態において、本開示のために使用される金属キレーターは、NOTA、DOTA、DTPA、DO3A、HP-DO3A、AAZTA、EDTA、TETA、DOTMAなどの大環状ポリアミノカルボキシレートを含む。
【0058】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、51Cr、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、47Sc、167Tm、141Ce、111In、168Yb、175Yb、140La、89Zr、90Y、88Y、153Sm、166Ho、52Mn、165Dy、166Dy、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、97Ru、103Ru、186Re、188Re、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi、105Rh、109Pd、212Pb、117mSn、149Pm、161Tb、149Tb、152Tb、155Tb、99mTc、165Er、169Er、172Yb、165Tm、177Lu、225Ac、198Au、199Au、および227Thから選択される。
【0059】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、67Cu、43Sc、44Sc、99mTc、149Tb、152Tb、155Tb、161Tb、90Y、177Lu、および225Acから選択される。
【0060】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、43Sc、44Sc、99mTc、152Tb、155Tb、67Cu、90Y、161Tb、149Tb、177Lu、および225Acから選択される。
【0061】
いくつかの実施形態において、画像診断に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、61Cu、62Cu、64Cu、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、52Mn、89Zr、99mTc、111In、152Tb、および155Tbから選択される。
【0062】
いくつかの実施形態において、画像診断に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、43Sc、44Sc、99mTc、152Tb、および155Tbから選択される。
【0063】
いくつかの実施形態において、放射性核種治療に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Cu、90Y、105Rh、117mSn、149Pm、153Sm、161Tb、149Tb、166Dy、166Ho、175Yb、177Lu、186Re、188Re、225Ac、および213Biから選択される。
【0064】
いくつかの実施形態において、放射性核種治療に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Cu、90Y、161Tb、149Tb、177Lu、および225Acから選択される。
【0065】
いくつかの実施形態において、nは2、3、4、5、または6であり、好ましくは4である。いくつかの実施形態において、mは2、3、4、5、または6であり、好ましくは4である。いくつかの実施形態において、nは4であり、mは4である。
【0066】
式IIまたはIIIを有する請求項1に記載の化合物。
【0067】
【化5】
II
【0068】
【化6】
III
【0069】
ここで、Yは、放射性金属Mを任意に配位する放射性金属キレーターであり、
nは1~8であり、mは1~8である。
【0070】
いくつかの実施形態において、放射性金属キレーターは、本明細書において上記で定義したとおりである。いくつかの実施形態において、放射性金属キレーターは、直鎖状または大環状のポリアミノカルボキシレート、例えば、DTPA、DOTA(およびその誘導体、例えば、p-SCN-DOTA、マレイミド-DOTA、DOTA-NHS-エステル)、DFO、DFO、DO3A、HP-DO3A、AAZTA、EDTA、TETA、EHPG、HBED、NOTA(およびp-SCN-NOTAなどの誘導体)、DOTAGA、DOTMA、TETMA、PDTA、TTHA、LICAM、MECAMから選択される。
【0071】
いくつかの実施形態において、本開示のために使用される金属キレーターは、NOTA、DOTA、DTPA、DO3A、HP-DO3A、AAZTA、EDTA、TETA、DOTMAなどの大環状ポリアミノカルボキシレートを含む。
【0072】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、51Cr、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、47Sc、167Tm、141Ce、111In、168Yb、175Yb、140La、89Zr、90Y、88Y、153Sm、166Ho、52Mn、165Dy、166Dy、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、97Ru、103Ru、186Re、188Re、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi、105Rh、109Pd、212Pb、117mSn、149Pm、161Tb、149Tb、152Tb、155Tb、99mTc、165Er、169Er、172Yb、165Tm、177Lu、225Ac、198Au、199Au、および227Thから選択される。
【0073】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、67Cu、43Sc、44Sc、99mTc、149Tb、152Tb、155Tb、161Tb、90Y、177Lu、および225Acから選択される。
【0074】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、43Sc、44Sc、99mTc、152Tb、155Tb、67Cu、90Y、161Tb、149Tb、177Lu、および225Acから選択される。
【0075】
いくつかの実施形態において、画像診断に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、61Cu、62Cu、64Cu、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、52Mn、89Zr、99mTc、111In、152Tb、および155Tbから選択される。
【0076】
いくつかの実施形態において、画像診断に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、43Sc、44Sc、99mTc、152Tb、および155Tbから選択される。
【0077】
いくつかの実施形態において、放射性核種治療に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Cu、90Y、105Rh、117mSn、149Pm、153Sm、161Tb、149Tb、166Dy、166Ho、175Yb、177Lu、186Re、188Re、225Ac、および213Biから選択される。
【0078】
いくつかの実施形態において、放射性核種治療に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Cu、90Y、161Tb、149Tb、177Lu、および225Acから選択される。
【0079】
いくつかの実施形態において、nは2~6であり、好ましくは4である。いくつかの実施形態において、mは2~6であり、好ましくは4である。いくつかの実施形態において、nは4であり、mは4である。
【0080】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、式IIa、IIbまたはIIIa、IIIbを有する。
【0081】
【化7】
IIa
【0082】
【化8】
IIb
【0083】
【化9】
IIIa
【0084】
【化10】
IIIb
【0085】
ここで、Yは、放射性金属Mを任意に配位する放射性金属キレーターであり、nは1~8であり、mは1~8である。
【0086】
いくつかの実施形態において、放射性金属キレーターは、本明細書において上記で定義したとおりである。いくつかの実施形態において、放射性金属キレーターは、直鎖状または大環状のポリアミノカルボキシレート、例えば、DTPA、DOTA(およびその誘導体、例えば、p-SCN-DOTA、マレイミド-DOTA、DOTA-NHS-エステル)、DFO、DFO、DO3A、HP-DO3A、AAZTA、EDTA、TETA、EHPG、HBED、NOTA(およびp-SCN-NOTAなどの誘導体)、DOTAGA、DOTMA、TETMA、PDTA、TTHA、LICAM、MECAMから選択される。
【0087】
いくつかの実施形態において、本開示のために使用される金属キレーターは、NOTA、DOTA、DTPA、DO3A、HP-DO3A、AAZTA、EDTA、TETA、DOTMAなどの大環状ポリアミノカルボキシレートを含む。
【0088】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、51Cr、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、47Sc、167Tm、141Ce、111In、168Yb、175Yb、140La、89Zr、90Y、88Y、153Sm、166Ho、52Mn、165Dy、166Dy、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、97Ru、103Ru、186Re、188Re、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi、105Rh、109Pd、212Pb、117mSn、149Pm、161Tb、149Tb、152Tb、155Tb、99mTc、165Er、169Er、172Yb、165Tm、177Lu、225Ac、198Au、199Au、および227Thから選択される。
【0089】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、67Cu、43Sc、44Sc、99mTc、149Tb、152Tb、155Tb、161Tb、90Y、177Lu、および225Acから選択される。
【0090】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、43Sc、44Sc、99mTc、152Tb、155Tb、67Cu、90Y、161Tb、149Tb、177Lu、および225Acから選択される。
【0091】
いくつかの実施形態において、画像診断に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、61Cu、62Cu、64Cu、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、52Mn、89Zr、99mTc、111In、152Tb、および155Tbから選択される。
【0092】
いくつかの実施形態において、画像診断に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、43Sc、44Sc、99mTc、152Tb、および155Tbから選択される。
【0093】
いくつかの実施形態において、放射性核種治療に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Cu、90Y、105Rh、117mSn、149Pm、153Sm、161Tb、149Tb、166Dy、166Ho、175Yb、177Lu、186Re、188Re、225Ac、および213Biから選択される。
【0094】
いくつかの実施形態において、放射性核種治療に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Cu、90Y、161Tb、149Tb、177Lu、および225Acから選択される。
【0095】
いくつかの実施形態において、nは2、3、4、5、または6であり、好ましくは4である。いくつかの実施形態において、mは2、3、4、5、または6であり、好ましくは4である。いくつかの実施形態において、nは4であり、mは4である。
【0096】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、式IVまたはVを有する。
【0097】
【化11】
IV
【0098】
【化12】
【0099】
ここで、Yは、放射性金属Mを任意に配位する放射性金属キレーターである。
【0100】
いくつかの実施形態において、放射性金属キレーターは、本明細書において上記で定義したとおりである。いくつかの実施形態において、放射性金属キレーターは、直鎖状または大環状のポリアミノカルボキシレート、例えば、DTPA、DOTA(およびその誘導体、例えば、p-SCN-DOTA、マレイミド-DOTA、DOTA-NHS-エステル)、DFO、DFO、DO3A、HP-DO3A、AAZTA、EDTA、TETA、EHPG、HBED、NOTA(およびp-SCN-NOTAなどの誘導体)、DOTAGA、DOTMA、TETMA、PDTA、TTHA、LICAM、MECAMから選択される。
【0101】
いくつかの実施形態において、本開示のために使用される金属キレーターは、NOTA、DOTA、DTPA、DO3A、HP-DO3A、AAZTA、EDTA、TETA、DOTMAなどの大環状ポリアミノカルボキシレートを含む。
【0102】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、51Cr、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、47Sc、167Tm、141Ce、111In、168Yb、175Yb、140La、89Zr、90Y、88Y、153Sm、166Ho、52Mn、165Dy、166Dy、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、97Ru、103Ru、186Re、188Re、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi、105Rh、109Pd、212Pb、117mSn、149Pm、161Tb、149Tb、152Tb、155Tb、99mTc、165Er、169Er、172Yb、165Tm、177Lu、225Ac、198Au、199Au、および227Thから選択される。
【0103】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、67Cu、43Sc、44Sc、99mTc、149Tb、152Tb、155Tb、161Tb、90Y、177Lu、および225Acから選択される。
【0104】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、43Sc、44Sc、99mTc、152Tb、155Tb、67Cu、90Y、161Tb、149Tb、177Lu、および225Acから選択される。
【0105】
いくつかの実施形態において、画像診断に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、61Cu、62Cu、64Cu、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、52Mn、89Zr、99mTc、111In、152Tb、および155Tbから選択される。
【0106】
いくつかの実施形態において、画像診断に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、43Sc、44Sc、99mTc、152Tb、および155Tbから選択される。
【0107】
いくつかの実施形態において、放射性核種治療に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Cu、90Y、105Rh、117mSn、149Pm、153Sm、161Tb、149Tb、166Dy、166Ho、175Yb、177Lu、186Re、188Re、225Ac、および213Biから選択される。
【0108】
いくつかの実施形態において、放射性核種治療に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Cu、90Y、161Tb、149Tb、177Lu、および225Acから選択される。
【0109】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、式IVa、IVbまたはVa、Vbを有する。
【0110】
【化13】
IVa
【0111】
【化14】
IVb
【0112】
【化15】
Va
【0113】
【化16】
Vb
【0114】
ここで、Yは、放射性金属Mを任意に配位する放射性金属キレーターである。
【0115】
いくつかの実施形態において、放射性金属キレーターは、本明細書において上記で定義したとおりである。いくつかの実施形態において、放射性金属キレーターは、直鎖状または大環状のポリアミノカルボキシレート、例えば、DTPA、DOTA(およびその誘導体、例えば、p-SCN-DOTA、マレイミド-DOTA、DOTA-NHS-エステル)、DFO、DFO、DO3A、HP-DO3A、AAZTA、EDTA、TETA、EHPG、HBED、NOTA(およびp-SCN-NOTAなどの誘導体)、DOTAGA、DOTMA、TETMA、PDTA、TTHA、LICAM、MECAMから選択される。
【0116】
いくつかの実施形態において、本開示のために使用される金属キレーターは、NOTA、DOTA、DTPA、DO3A、HP-DO3A、AAZTA、EDTA、TETA、DOTMAなどの大環状ポリアミノカルボキシレートを含む。
【0117】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、51Cr、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、47Sc、167Tm、141Ce、111In、168Yb、175Yb、140La、89Zr、90Y、88Y、153Sm、166Ho、52Mn、165Dy、166Dy、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、97Ru、103Ru、186Re、188Re、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi、105Rh、109Pd、212Pb、117mSn、149Pm、161Tb、149Tb、152Tb、155Tb、99mTc、165Er、169Er、172Yb、165Tm、177Lu、225Ac、198Au、199Au、および227Thから選択される。
【0118】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、67Cu、43Sc、44Sc、99mTc、149Tb、152Tb、155Tb、161Tb、90Y、177Lu、および225Acから選択される。
【0119】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、43Sc、44Sc、99mTc、152Tb、155Tb、67Cu、90Y、161Tb、149Tb、177Lu、および225Acから選択される。
【0120】
いくつかの実施形態において、画像診断に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、61Cu、62Cu、64Cu、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、52Mn、89Zr、99mTc、111In、152Tb、および155Tbから選択される。
【0121】
いくつかの実施形態において、画像診断に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、43Sc、44Sc、99mTc、152Tb、および155Tbから選択される。
【0122】
いくつかの実施形態において、放射性核種治療に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Cu、90Y、105Rh、117mSn、149Pm、153Sm、161Tb、149Tb、166Dy、166Ho、175Yb、177Lu、186Re、188Re、225Ac、および213Biから選択される。
【0123】
いくつかの実施形態において、放射性核種治療に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Cu、90Y、161Tb、149Tb、177Lu、および225Acから選択される。
【0124】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、式VIまたはVIIを有し、放射性金属Mを任意に配位する。
【0125】
【化17】
VI
【0126】
【化18】
VII
【0127】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、51Cr、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、47Sc、167Tm、141Ce、111In、168Yb、175Yb、140La、89Zr、90Y、88Y、153Sm、166Ho、52Mn、165Dy、166Dy、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、97Ru、103Ru、186Re、188Re、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi、105Rh、109Pd、212Pb、117mSn、149Pm、161Tb、149Tb、152Tb、155Tb、99mTc、165Er、169Er、172Yb、165Tm、177Lu、225Ac、198Au、199Au、および227Thから選択される。
【0128】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、67Cu、43Sc、44Sc、99mTc、149Tb、152Tb、155Tb、161Tb、90Y、177Lu、および225Acから選択される。
【0129】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、43Sc、44Sc、99mTc、152Tb、155Tb、67Cu、90Y、161Tb、149Tb、177Lu、および225Acから選択される。
【0130】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、画像診断に使用するためのものであり、61Cu、62Cu、64Cu、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、52Mn、89Zr、99mTc、111In、152Tb、および155Tbから選択される。
【0131】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、画像診断に使用するためのものであり、67Ga、68Ga、64Cu、43Sc、44Sc、99mTc、152Tb、および155Tbから選択される。
【0132】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、放射性核種治療に使用するためのものであり、67Cu、90Y、105Rh、117mSn、149Pm、153Sm、161Tb、149Tb、166Dy、166Ho、175Yb、177Lu、186Re、188Re、225Ac、および213Biから選択される。
【0133】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、放射性核種治療に使用するためのものであり、67Cu、90Y、161Tb、149Tb、177Lu、および225Acから選択される。
【0134】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、式VIa、bまたはVIIa、bを有し、放射性金属Mを任意に配位する。
【0135】
【化19】
VIa
【0136】
【化20】
VIb
【0137】
【化21】
VIIa
【0138】
【化22】
VIIb
【0139】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、51Cr、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、47Sc、167Tm、141Ce、111In、168Yb、175Yb、140La、89Zr、90Y、88Y、153Sm、166Ho、52Mn、165Dy、166Dy、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、97Ru、103Ru、186Re、188Re、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi、105Rh、109Pd、212Pb、117mSn、149Pm、161Tb、149Tb、152Tb、155Tb、99mTc、165Er、169Er、172Yb、165Tm、177Lu、225Ac、198Au、199Au、および227Thから選択される。
【0140】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、67Cu、43Sc、44Sc、99mTc、149Tb、152Tb、155Tb、161Tb、90Y、177Lu、および225Acから選択される。
【0141】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、43Sc、44Sc、99mTc、152Tb、155Tb、67Cu、90Y、161Tb、149Tb、177Lu、および225Acから選択される。
【0142】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、画像診断に使用するためのものであり、61Cu、62Cu、64Cu、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、52Mn、89Zr、99mTc、111In、152Tb、および155Tbから選択される。
【0143】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、画像診断に使用するためのものであり、67Ga、68Ga、64Cu、43Sc、44Sc、99mTc、152Tb、および155Tbから選択される。
【0144】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、放射性核種治療に使用するためのものであり、67Cu、90Y、105Rh、117mSn、149Pm、153Sm、161Tb、149Tb、166Dy、166Ho、175Yb、177Lu、186Re、188Re、225Ac、および213Biから選択される。
【0145】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、放射性核種治療に使用するためのものであり、67Cu、90Y、161Tb、149Tb、177Lu、および225Acから選択される。
【0146】
本開示の化合物は、合成化学の分野において公知の方法、および本開示の実施例に記載されている方法によって調製することができる。
【0147】
さらなる態様において、本開示は、診断上有効な量または治療上有効な量の少なくとも1つの本開示の化合物と、そのための薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物を提供する。本明細書において、適切な用量で存在する薬学的に許容される担体には、生理学的に許容される、溶媒、分散媒体、抗菌剤および抗真菌剤、等張化剤などが含まれる。このような媒体や薬剤の使用は、当技術分野でよく知られている。
【0148】
さらなる態様において、本開示は、(i)画像診断薬としての使用のため、(ii)放射性核種治療における使用のため、または(iii)セラグノスティクス薬としての使用のため、例えば、腫瘍の標的化、可視化、および治療における使用のため、特に、腫瘍の異なる段階、進行、および移動をモニタリングおよび評価し、適切な放射性核種治療レジメン(頻度、用量など)を決定するために使用するための、本開示の化合物および/または医薬組成物を提供する。
【0149】
いくつかの実施形態において、本開示の方法の対象は、動物またはヒトなどの哺乳動物である。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。
【0150】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物および/または医薬組成物は、画像診断、すなわち、インビトロまたはインビボで葉酸受容体を発現する細胞または細胞集団の画像診断における使用のため、すなわち、画像診断を必要とする対象への簡便かつ効果的な投与のために使用され得る。
【0151】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物および/または医薬組成物は、診断上有効な量の少なくとも1つの本開示の化合物および/または医薬組成物を投与するステップと、葉酸受容体を発現する細胞または細胞集団の診断画像を得るステップと、を含む、葉酸受容体を発現する細胞または細胞集団の画像診断のために使用され得る。
【0152】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物および/または医薬組成物は、治療計画および/または進行中の治療的処置(therapeutic treatment)の効果のモニタリングのための画像診断薬として使用され得る。
【0153】
いくつかの実施形態において、本開示は、FRを発現する細胞または細胞集団の画像診断のための方法を提供し、該方法は、診断上有効な量の少なくとも1つの本開示の化合物または組成物を投与するステップと、前記細胞または細胞集団の診断画像を得るステップと、を含む。
【0154】
いくつかの実施形態において、本開示は、組織サンプル、例えば対象から採取した組織生検において葉酸受容体を発現する細胞、例えば腫瘍細胞を、インビトロで検出するための方法を提供し、該方法は、前記組織サンプルを、診断上有効な量の本開示の化合物または組成物と、結合が起こるために十分な時間および条件において接触させること、ならびにPETイメージングなどのイメージング(画像化)技術によって、そのような結合を検出することを含む。
【0155】
いくつかの実施形態において、本開示は、(i)診断上有効な量の少なくとも1つの本開示の化合物および/または医薬組成物を対象に投与するステップと、(ii)前記少なくとも1つの本開示の化合物および/または医薬組成物からの信号を検出することにより、PETを用いて画像診断を実施するステップ(がん治療の経過を追跡するため、および/または治療のために投与すべき、少なくとも1つの本開示のさらなる組成物の化合物の治療上有効な量を決定するため)と、を含む、対象の画像診断またはモニタリング(例えば、がん治療)のための方法を提供する。
【0156】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物および/または医薬組成物は、放射性核種治療のために、すなわち、放射性核種治療を必要とする対象への簡便かつ効果的な投与のために使用され得る。
【0157】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物および/または医薬組成物は、治療上有効な量の少なくとも1つの本開示の化合物および/または医薬組成物を、それを必要とする対象に投与するステップと、前記少なくとも1つの化合物および/または医薬組成物を治療すべき組織に局在させるステップと、所望の治療効果を達成するために組織に放射線を照射するステップと、を含む放射性核種治療のために使用され得る。
【0158】
いくつかの実施形態において、本開示は、治療上有効な量の少なくとも1つの本開示の化合物または医薬組成物を、それを必要とする対象に投与するステップと、所望の組織における前記少なくとも1つの化合物または医薬組成物の局在後、所望の治療効果を達成するために組織に放射線を照射するステップと、を含む、放射性核種治療のための方法を提供する。
【0159】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物および/または医薬組成物は、セラグノスティクス用途のためのセラグノスティクス薬として使用され得る。
【0160】
「theragnostic(セラグノスティクス、セラノスティクス)」という用語は、therapy(治療)およびdiagnostics(診断)に由来し、用途や薬剤に関して、最終的には異なる放射性核種を含む同じ放射性標識薬剤を、診断および治療に利用する戦略のことを表す。これにより、診断および治療計画の目的に有効な放射性核種に配位させた(coordinated)本開示の化合物を用いて、疾患の画像を撮影することができる。したがって、腫瘍治療に有効な放射性核種に変えて、疾患を治療することができる。これがいわゆる「見たものを治療する」原則である。より具体的には、本開示の同化合物は、セラグノスティクス薬として、第一に、腫瘍の局在化、評価、モニタリング、または治療計画のために有効な放射性核種を用いた診断上有効な量の画像診断薬(「本開示の診断用化合物」)として、そして第二に、腫瘍治療に有効な放射性核種を用いた治療上有効な量の治療薬(「本開示の治療用化合物」)として、使用され得る。両方の機能を組み合わせることにより、例えば、まず、本開示の診断用化合物を用いて腫瘍またはがん組織を局在化およびモニタリングし、続いて個々の対象の必要性に応じて本開示の治療用化合物の適切な投与レジメン(すなわち、頻度、用量など)を調整することによって、選択性(すなわち、生体内分布)および有効性(すなわち、有効用量)を最適化することができる。
【0161】
したがって、いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、それを必要とする対象に(i)診断上有効な量(すなわち、診断画像を得るためおよび/または治療計画のため、すなわち治療レジメンを確立するために有効な量)の少なくとも1つの本開示の化合物または組成物を投与することによって、そして(ii)所望の治療効果を達成するために、腫瘍治療のために(腫瘍(またはがん組織)に放射線を照射することによって)、治療上有効な量の、少なくとも1つの本開示のさらなる化合物または組成物を投与することによって、腫瘍(またはがん組織)の治療計画および/または治療および/またはモニタリングにおいて使用され得る。
【0162】
診断上有効な量は、画像診断に有効な量、すなわち、治療計画のための診断画像を得るのに有効な量、すなわち、それに基づき、治療レジメンが設計され得る(すなわち、投与すべき少なくとも1つの本開示のさらなる化合物または組成物の治療上有効な量が決定または算出され得る)、または進行中の治療レジメンが変更され得る、診断画像を得るのに有効な量である。
【0163】
いくつかの実施形態において、診断上有効な量の少なくとも1つの本開示の化合物または組成物は、本明細書で定義される画像診断において使用するための放射性金属Mを配位する診断用化合物である。
【0164】
いくつかの実施形態において、治療上有効な量の少なくとも1つの本開示のさらなる化合物または組成物は、本明細書で定義される放射性核種治療において使用するための放射性金属Mを配位する治療用化合物である。
【0165】
投与すべき本開示の化合物または組成物の「診断上有効な量」とは、対象の腫瘍、がん組織、臓器、もしくは他の部位の診断画像を作成するために十分な量、および/または治療のための治療上有効な量を決定するために十分な量である。診断上有効な量の本開示の化合物または組成物は、放射性核種治療の前、治療中、および治療後に、腫瘍の増殖または大きさをモニターするために投与され、治療経過中の治療の計画、調整、および調節を可能にする。セラグノスティクス用途においては、診断上有効な量の本開示の化合物または組成物を投与して得られた結果が、治療上有効な量の算出に使用される。
【0166】
投与すべき本開示の化合物または組成物の「治療上有効な量」とは、所望の放射線治療効果をもたらすのに十分な量である。より具体的には、治療上有効な量とは、疾患または状態に関連する少なくとも1つの症状を実質的に改善、すなわち、緩和、軽減、または抑制する、および/または疾患または状態の発症を遅延、阻害、または予防するために十分な、少なくとも1つの本開示の化合物の量である。
【0167】
いくつかの実施形態において、本開示の診断用化合物は、放射性金属Mが腫瘍の診断を可能にする診断用放射性核種である、本開示の化合物である。いくつかの実施形態において、診断用放射性核種は、61Cu、62Cu、64Cu、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、52Mn、89Zr、99mTc、111In、152Tb、および155Tbから選択される。いくつかの実施形態において、診断用放射性核種は、67Ga、68Ga、64Cu、43Sc、44Sc、99mTc、152Tb、および155Tbから選択される。
【0168】
いくつかの実施形態において、本開示の治療用化合物は、放射性金属Mが腫瘍の治療を可能にする治療用放射性核種である、本開示の化合物である。いくつかの実施形態において、治療用放射性核種は、67Cu、90Y、105Rh、117mSn、149Pm、153Sm、161Tb、149Tb、166Dy、166Ho、175Yb、177Lu、186Re、188Re、225Ac、および213Biから選択される。いくつかの実施形態において、治療用放射性核種は、67Cu、90Y、161Tb、149Tb、177Lu、および225Acから選択される。
【0169】
本開示の診断用化合物および本開示の治療用化合物は、対象に順次投与されることが理解される。
【0170】
いくつかの実施形態において、本開示は、(i)診断画像を得るために、診断上有効な量の少なくとも1つの本開示の化合物または組成物を、それを必要とする対象に投与するステップと、(ii)治療のために投与すべき少なくとも1つの本開示のさらなる化合物または組成物の治療上有効な量を決定するステップと、を含む、対象における治療計画のための方法を提供する。
【0171】
いくつかの実施形態において、本開示は、(i)診断画像を得るために、診断上有効な量の少なくとも1つの本開示の化合物または組成物を、それを必要とする対象に投与するステップと、(ii)治療のために(すなわち、所望の治療効果を達成するために組織に放射線を照射することによって)、治療上有効な量の少なくとも1つの本開示のさらなる化合物または組成物を投与するステップと、を含む、対象におけるセラグノスティクス用途のための方法を提供する。
【0172】
いくつかの実施形態において、治療すべき組織中の少なくとも1つの化合物または組成物について得られた診断画像は、治療のために使用される本発明の化合物または組成物の治療上有効な量を決定(もしくは計算)するために使用される。
【0173】
いくつかの実施形態において、本開示は、(i)診断上有効な量の少なくとも1つの本開示の化合物または組成物を、それを必要とする対象に投与するステップと、(ii)治療すべき組織において、前記少なくとも1つの化合物または組成物の診断画像を得るステップと、(iii)治療上有効な量の少なくとも1つの本開示のさらなる化合物または組成物を投与するステップと、(iv)所望の治療効果を達成するために、組織に放射線を照射するステップと、を含む、セラグノスティクス用途のための、すなわち、診断および放射性核種治療の両方を包含する、方法を提供する。
【0174】
いくつかの実施形態において、診断上有効な量の少なくとも1つの本開示の化合物または組成物は、本明細書で定義される画像診断に使用するための放射性金属Mを配位する診断用化合物である。
【0175】
いくつかの実施形態において、診断上有効な量の少なくとも1つの本開示のさらなる化合物または組成物は、本明細書で定義される放射性核種治療に使用するための放射性金属Mを配位する治療用化合物である。
【0176】
いくつかの実施形態において、治療すべき組織における少なくとも1つの化合物または組成物の診断画像は、治療効果を得るために投与される少なくとも1つのさらなる化合物または組成物の治療上有効な量を決定する(例えば計算する)ために使用される。
【0177】
1つまたは複数の本開示の化合物または組成物によって標識された、FRを発現する細胞または組織、すなわち腫瘍細胞または組織の画像は、放射線検出器、例えばγ-放射線検出器を用いて検出することができる。そのような方法の1つにシンチグラフィがある。SPECTのような断層画像法も、可視化を改善するために用いることができる。このような放射線検出器の選択および使用は、当業者の技術の範囲内である。
【0178】
画像診断または放射性核種治療の用量を決定する際には、選択された放射性画像診断用(radioimaging)金属イオン、例えば、51Cr、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、47Sc、167Tm、141Ce、111In、168Yb、175Yb、140La、89Zr、90Y、88Y、153Sm、166Ho、52Mn、165Dy、166Dy、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、97Ru、103Ru、186Re、188Re、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi、105Rh、109Pd、212Pb、117mSn、149Pm、161Tb、149Tb、152Tb、155Tb、99mTc、165Er、169Er、172Yb、165Tm、177Lu、225Ac、198Au、199Au、および227Thの特定の活性(放射能、activity)が考慮されることが理解される。
【0179】
いくつかの実施形態において、投与される単位用量は、約0.1MBq~約10MBqの放射能を有する。いくつかの実施形態において、画像診断のために投与される単位用量は、約1MBq~約1,000MBq、例えば、約100MBq~約600MBqの放射能を有する。いくつかの実施形態において、放射性核種治療のために投与される単位用量は、約1000MBq~約10MBq、例えば、約5,000MBq~8,000MBqの放射能を有する。注射される溶液の場合、好ましい単位用量は、約0.01mL~約10mLである。例えば、静脈内投与後、放射性標識試薬が対象に投与されてから、所望により、数分から数時間、あるいはそれ以上の期間、インビボで臓器または腫瘍のイメージングを行うことができる。
【0180】
本開示の化合物および/または組成物は、非経口的(parentally)に(例えば、静脈内)、筋肉内、もしくは腹腔内などの適切な経路によって、または任意の他の適切な方法によって投与され得る。例えば、本開示の化合物および/または組成物は、ボーラス注射もしくは緩徐注入静脈内注射によって対象に投与することができる。注射に適した形態としては、本開示の上記の化合物および/または組成物の、無菌水溶液または分散液および無菌粉末が挙げられる。
【0181】
化合物または医薬組成物は一般的に無菌である。滅菌は、無菌濾過、抗菌・抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、およびチメロサールなどの添加を含むが、これらに限定されず、当業者が認める任意の技術によって達成できる。
【0182】
サンプルは、当業者に公知の手順、例えば、組織生検や体液の採取、気管や肺のサンプルの吸引などによって採取することができる。
【0183】
検査される組織サンプルには、腫瘍細胞、上皮細胞、腎臓、胃腸、または肝胆道系やその他、FRを発現する細胞を含むと疑われる任意の組織が含まれる。結合した複合体の顕微鏡検査や観察を容易にするために、サンプルを、例えばミクロトームによって切片化することができる。サンプルはまた、本開示の化合物または組成物の1つとの培養の前または後のいずれかに、適切な固定剤によって固定することができ、サンプル組織の組織学的な質が改善される。
【0184】
本開示の複合体が細胞上のFRに結合するために十分な時間および条件には、標準的な組織の培養条件が含まれる。すなわち、サンプルをインビトロで培養し、生理的培地中で本開示の化合物または組成物の1つと共に培養することができる。このような条件は当業者によく知られている。あるいは、サンプルを固定した後、等張緩衝液または生理的緩衝液中で本開示の複合体または組成物と共に培養することもできる。
【0185】
腫瘍細胞のインビトロ検出のための本開示の前記複合体の典型的な量は、約1ng/L~約1,000μg/Lの範囲であり得る。いくつかの実施形態において、その量は約1μg/L~約100μg/Lである。
【0186】
いくつかの実施形態において、腫瘍細胞のインビトロ診断における使用およびインビボ用途における使用のための本開示の化合物は、放射性金属キレーターが、51Cr、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、47Sc、167Tm、141Ce、111In、168Yb、175Yb、140La、89Zr、90Y、88Y、153Sm、166Ho、52Mn、165Dy、166Dy、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、97Ru、103Ru、186Re、188Re、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi、105Rh、109Pd、212Pb、117mSn、149Pm、161Tb、149Tb、152Tb、155Tb、99mTc、165Er、169Er、172Yb、165Tm、177Lu、225Ac、198Au、199Au、および227Thから選択される放射性金属M部位を配位する本開示の化合物である。
【0187】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、67Cu、43Sc、44Sc、99mTc、149Tb、152Tb、155Tb、161Tb、90Y、177Lu、および225Acから選択される。
【0188】
いくつかの実施形態において、任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、43Sc、44Sc、99mTc、152Tb、155Tb、67Cu、90Y、161Tb、149Tb、177Lu、および225Acから選択される。
【0189】
いくつかの実施形態において、画像診断に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、61Cu、62Cu、64Cu、67Ga、68Ga、43Sc、44Sc、52Mn、89Zr、99mTc、111In、152Tb、および155Tbから選択される。
【0190】
いくつかの実施形態において、画像診断に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Ga、68Ga、64Cu、43Sc、44Sc、99mTc、152Tb、および155Tbから選択される。
【0191】
いくつかの実施形態において、放射性核種治療に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Cu、90Y、105Rh、117mSn、149Pm、153Sm、161Tb、149Tb、166Dy、166Ho、175Yb、177Lu、186Re、188Re、225Ac、および213Biから選択される。
【0192】
いくつかの実施形態において、放射性核種治療に使用するための任意に配位する放射性金属Mは、67Cu、90Y、161Tb、149Tb、177Lu、および225Acから選択される。
【0193】
本開示の化合物の1つの細胞結合を検出するために、サンプルを化合物の存在下で培養した後、洗浄し、標準的なシンチレーションカウンターで計数することができる。別の方法が適用され、当業者に知られている。
【0194】
本開示の上記方法は、既に開発されている他の診断薬および/または治療薬を用いる方法、ならびにX線コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)、SPECT、光イメージング、および超音波を利用する方法を含む、がんの診断または治療の他の任意の方法と組み合わせて実施され得ることが理解される。
【0195】
画像診断、放射性核種治療、またはセラグノスティクスの用途では、本開示の化合物を、それが使用される部位で、またはその近くで調製するのが便利であろう。したがって、本開示は、さらなる態様において、放射性金属イオン自体以外の、本開示の化合物または組成物を調製するために必要なすべての成分を含む、シングルまたはマルチバイアルキットを提供する。したがって、本開示の好ましいシングルキットは、放射性金属キレーターが配位していない本開示の化合物と、スズ(II)塩のような薬学的に許容される還元剤の供給源と、を含む。さらに、キットは、任意にさらなる添加剤を含み、例えば、キットは、薬学的に許容される酸または塩基により緩衝化され、複合体形成のためにpHを所望の値に調整される。このようなシングルバイアルキットは、グルコヘプトン酸、グルコン酸、マンニトール、マレイン酸、クエン酸、または酒石酸などの交換リガンドを任意に含むことができ、ジエチレントリアミン五酢酸またはエチレンジアミン四酢酸などの反応修飾剤を含むこともできる。最終製品の放射化学的純度および安定性を改善するため、あるいはキットの製造を補助するために、可溶化剤(例えば、シクロデキストリン)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸)、および/または充填剤(例えば、NaCl)のような追加の添加剤を用いることができる。放射性金属は、通常、溶液の形態で別途添加される。
【0196】
同様に、本開示の好ましいマルチバイアルキットは、1つのバイアルに、放射性金属自体以外の成分、すなわち、交換リガンドおよびスズ(II)塩のような薬学的に許容される還元剤を含む。本開示の化合物において、放射性金属キレーターは第2のバイアルに含まれており、pHを最適値に調整するために適した緩衝液などの任意の添加剤も含まれる。場合によって、放射性金属は添加される溶液の形態で提供される。
【0197】
キットの全成分は、液体、凍結、または乾燥のいずれの形態でもよい。いくつかの実施形態において、キットの成分は、凍結乾燥形態で提供される。
【0198】
本明細書に開示され、クレームされるすべての化合物、組成物、および/または方法は、本開示に照らして、過度な実験を行うことなく製造および実施することができる。本開示の範囲から逸脱することなく、本開示に変形を適用できることは、当業者には明らかであろう。本明細書において提供される実施例は、例示を意図するものであり、網羅的なものではない。したがって、例示された実施例は、本開示をいかなる意味においても限定するものと見なすべきではない。
【実施例
【0199】
方法:一般:市販の溶媒および化学物質はすべて、abcr、Bachem、Fluka、CheMatech、Iris Biotech、Merck KGaA、またはSigma Aldrichから購入し、さらなる精製をすることなく使用した。葉酸およびプテロエート前駆体は、Merck&Cie、Schaffhausen、スイスから入手した。
【0200】
樹脂からの切断および脱保護。典型的には、樹脂からの切断およびトリ-tert-ブチル保護基の同時除去は、2.5%ミリQ水と2.5%TIPSとを含む95%トリフルオロ酢酸(TFA)(v/v/v)を用いた酸性条件下で行われた。トリフルオロアセチル、イソブチリル、およびホルミル保護基は、水酸化リチウム(LiOH)または水酸化ナトリウム(NaOH)溶液(1~2M、水溶液)中で撹拌することにより除去した。その後、塩酸溶液(1M、水溶液)を加えてpH4にすると、最終生成物が沈殿した。混合物を14000rpmにて5分間遠心分離した後、上清を廃棄し、粗葉酸コンジュゲートを再溶解して、RP-HPLCを用いて精製した。6R-RedFol-25および6S-RedFol-25の場合は、樹脂からの切断は、ジクロロメタン(DCM)中の2%TFA(v/v)を使用し、次いでリン酸(60%、水溶液、24時間)中でトリ-tert-ブチルおよびホルミル保護基を除去した。NaOH溶液(32%、w/v、水溶液)をpHが約4になるまで加えて、粗生成物を上記のように沈殿させた。
【0201】
葉酸コンジュゲートの精製。最終生成物の精製は、D-7000インターフェース、L-7200オートサンプラー、L-7400UV検出器、L-7100ポンプ、およびセミ分取逆相C18カラム(5μm、10×150mm、Sunfire(トレードマーク)、Waters、Milford、US-MA)を備えたMerck-Hitachi LaChrom HPLCシステムを用いて行った。生成物を、ミリQ水/アセトニトリル(MeCN)/TFAまたはミリQ水/MeCN/NHHCO系にて、4mL/分の流速で可変グラジエント条件を用いて溶出した。純粋な生成物を含む画分を丸底フラスコに集め、液体窒素中で凍結し、24時間以上凍結乾燥した。
【0202】
葉酸コンジュゲートの特性評価。最終生成物について、高分解能MALDI-TOF-MS(Bruker UltraFlex II;Billarica、US-MA)を用いて特性評価を行った。
【0203】
放射性標識:葉酸コンジュゲートを、最終葉酸濃度が1mMになるように、4~6%のL-アスコルビン酸ナトリウム(0.5M)を含むミリQ水に溶解し、ストック溶液として、-20℃にて凍結した。このコンジュゲートを、ルテチウム-177(キャリア無添加、0.04MのHCl中;ITM Medical Isotopes GmbH、ミュンヘン、ドイツ)を用いて標識し、モル活性を50MBq/nmolとした。放射性標識は、酢酸ナトリウム(0.5M)と塩酸(0.05M)との混合物中、pH約4.5においてストック溶液を解凍した後に行った。5-MTHFベースのコンジュゲート(RedFolコンジュゲート)の場合は、葉酸コンジュゲートの酸化を防ぐために、6mgのL-アスコルビン酸を標識混合物に添加した。反応混合物を95℃にて10~15分間培養した。参照コンジュゲート(OxFol-1コンジュゲート)の放射性標識は、L-アスコルビン酸を添加せずに行った(Siwowska,K.et al.,Mol Pharm,2017,14,(2),523―532)。
【0204】
品質管理:放射性標識コンジュゲートのアリコートを、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム(Na-DTPA;50μM)を含むミリQ水中で希釈し、L-7100ポンプ、D7000インターフェース、L-7200オートサンプラー、放射能検出器(LB506B、Berthold Technologies GmbH)、および逆相C18カラム(5μm、4.6×150mm、Xterra(トレードマーク)、Waters、米国)から構成されるMerck Hitachi LaChrom HPLCシステムを用いて評価した。MeCN(15分間で5~80%)中の0.1%TFA(15分間で95~20%)を含むミリQ水の直線勾配を1.0mL/分の流速で使用した。
【0205】
放射線分解安定性:HPLCを用いて、放射性コンジュゲートの品質管理(50MBq/nmol)を行った(t=0h)後、該放射性コンジュゲートを、PBS pH7.4で希釈して、100MBq/500μLの活性(放射能)濃度を得た。参照放射性コンジュゲート([177Lu]Lu-OxFol-1)の場合、3mgのL-アスコルビン酸を放射性標識後に添加した。アスコルビン酸ナトリウム溶液(3M、水溶液)を、それぞれの放射性コンジュゲートを含む反応混合物に1:1(v/v)の比で添加し、pHを約6.0に調整した。放射性コンジュゲート希釈液を室温で培養した。放射性コンジュゲートの完全性(integrity)は、それぞれ4時間後と24時間後にHPLCを用いて評価した。HPLCクロマトグラムは、放射性標識生成物、放出されたルテチウム-177、および未知の構造の分解生成物のピーク面積を決定することによって分析された。インタクト生成物の量は、クロマトグラム全体の積分ピーク面積の合計のパーセンテージで表され、tにおいて決定した元の値と関連して設定された(放射化学的純度≧95%を100%として設定)。
【0206】
葉酸コンジュゲートOxFol-1を参照化合物として使用した。
【0207】
【化23】
【0208】
OxFol-1は、以前に報告された手順に従って合成した(Deberle,L.M.et al.,Bioconj.Chem.,2021,32,p.1617)。
【0209】
[例1:6R-RedFol-3および6S-RedFol-3の固相合成]
【0210】
【化24】
【0211】
2-クロロトリチルクロリド(2-CTC)樹脂(0.1mmol)を、フィルター付き5mLシリンジに秤量し、無水DCM中で45分間膨潤させた。Nα-フルオレニルメチルオキシカルボニル-Nε-(4-アリルオキシカルボニル)-L-リジン(Fmoc-Lys(Alloc)-OH、0.12mmol、1.2当量)を、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、0.8mmol、8.0当量)存在下、乾燥DCM中で溶解し、樹脂に添加して、一晩(o/n)撹拌した。各反応ステップの後、使用する溶媒に応じてジメチルホルムアミド(DMF)またはDCMを用いて樹脂を3回洗浄することにより、残留反応物を除去した。2-CTC樹脂の潜在的な未反応のカルボカチオンを、DCM、メタノール、およびDIPEA(17:2:1、v/v/v)の溶液でキャップした。DMF中でコンディショニングした後、Fmoc保護基を、DMFとピペリジンの1:1(v/v)の比の混合物中で5分間×2回振とうして除去し、化合物1を得た。次に、Nα-1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキス-1-イリデン)エチル-Nε-Fmoc-L-リジン(Dde-Lys(Fmoc)-OH、0.4mmol、4.0当量)を、乾燥DMF中のDIPEA(0.8mmol、8.0当量)の存在下で、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム-ヘキサフルオロホスフェート(HBTU、0.396mmol、3.96当量)を用いて1分間活性化した後、樹脂固定化リジン化合物1に添加して、1時間反応させた。Fmoc保護基を除去して化合物2を得た後、活性化トリ-tert-ブチル 1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA-トリス(tBu)エステル、0.3mmol、3.0当量)を3時間かけて樹脂固定化化合物2にカップリングさせた。リジン残基のAlloc保護基の切断は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh、0.045mmol、0.45当量)を用いて、乾燥DCM中のモルホリン(1.0mmol、10当量)存在下、暗所で1時間以内に行った。残留パラジウムを除去するため、樹脂固定化化合物をDMF中の1%DIPEA(v/v)、およびDMF中のジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム(35mg/mL)溶液を用いて洗浄し、樹脂固定化化合物3を得た。
【0212】
Fmoc-アミノメチル安息香酸(Fmoc-AMBA-OH、0.40mmol、4.0当量)を、乾燥DMF中で1分間撹拌しながら、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、0.4mmol、4.0当量)の存在下、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU、0.396mmol、3.96当量)を用いて活性化した。反応混合物を樹脂固定化化合物3(0.1mmol、1.0当量)に加え、1時間撹拌した後、DMFで洗浄し、DMFとピペリジンの1:1(v/v)の比の混合物を用いてFmoc保護基を除去して化合物4を得た。
【0213】
活性化4-(p-ヨードフェニル)ブタン酸(0.4mmol、4.0当量)を化合物4に加えて1時間撹拌した後、ヒドラジン溶液(DMF中2%、v/v)中で1.5時間撹拌することにより、Dde保護基を除去して化合物5を得た。活性化Fmoc-L-グルタミン酸 5-tert-ブチルエステル(Fmoc-Glu-OtBu、0.4mmol、4.0当量)を1.5時間カップリングさせて、Fmoc保護基を除去することにより、化合物6を得た。10-ホルミル-5-メチル-(6S)-テトラヒドロプテロイン酸(6S-5-MTHP)を活性化し、樹脂固定化化合物6に加えて2時間撹拌した。得られた樹脂固定化化合物7を、DMF、DCM、およびジエチルエーテル(EtO)で洗浄し、減圧下で乾燥させた。樹脂からの切断および保護基の除去は、以下に記載するように行った。沈殿物をMeCNと炭酸水素アンモニウム水溶液(aqueous ammonium hydrogen solution、NHHCO水溶液、50mM;1:1、v/v)の混合液に溶解し、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)を用いて精製した。
【0214】
還元型葉酸コンジュゲート6S-RedFol-3の合成は、10-ホルミル-5-メチル-(6S)-テトラヒドロプテロイン酸(6S-5-MTHP)の代わりに、10-ホルミル-5-メチル-(6R)-テトラヒドロプテロイン酸(6R-5-MTHP)を、窒素雰囲気下および遮光下で、樹脂固定化した接合前駆体にコンジュゲートさせた以外は、6R-RedFol-3について記載した手順に従って行った。
【0215】
[例2:6R-RedFol-25および6S-RedFol-25の固相合成]
【0216】
【化25】
【0217】
6R-RedFol-25および6S-RedFol-25の合成は、コンジュゲート6R-RedFol-3および6S-RedFol-3について記載したように行った。コンジュゲーションに4-(p-ヨードフェニル)ブタン酸を使用する代わりに、アルブミン結合剤として5-(p-ヨードフェニル)ペンタン酸を使用した。
【0218】
[例3:本開示の葉酸コンジュゲートの特性評価]
表1:葉酸コンジュゲートの化学的特性(:MALDI-MSにより測定し、[M+H]として検出;**:ESI-MSにより測定し、[M+2H]2+として検出;n.d.=検出されず)。
【0219】
【表1】
【0220】
[例4:葉酸放射性コンジュゲートの安定性]
表2:生成物のピークは、標識直後に得られた値(n=2~3として個別に行った実験の平均)に対する、クロマトグラム全体の積分ピーク面積の合計(100%とした)のパーセンテージとして表した。
【0221】
【表2】
【0222】
[例5:PBS/n-オクタノール分配係数(LogD値)
親水性/疎水性を評価するために、本開示の各葉酸放射性コンジュゲートおよび参照化合物について、n-オクタノール/PBS分配係数(logD値)を測定した。本開示の葉酸放射性コンジュゲート(50MBq/nmol)のlogD値は、活性濃度が10MBq/500μLとなるようにPBS pH7.4中で希釈した後、以前に報告されたように決定した。各放射性葉酸のサンプル(約0.5MBq、25μL、0.01nmol)を、1475μLのPBS pH 7.4と1500μLのn-オクタノールの混合物に加えた。バイアルを1分間激しくボルテックスした後、2500rpmで6分間遠心分離して、相分離した。各相からアリコートを採取し、ガンマカウンター(Perkin Elmer、Wallac Wizard 1480)にて測定した。分配係数は、PBS相で測定した1分間あたりのカウント数(cpm)に対するn-オクタノール相で測定したcpmの比の対数として計算した。結果は、それぞれ5回繰り返し行った3~4つの独立した実験から得られたデータの平均±SDとして記載した。
【0223】
本開示の葉酸放射性コンジュゲートのlogD値は、一般的に親水性であることを示している(表3)。しかし、5-MTHFベースの標的分子中の追加のメチル基、AMBAリンカーの存在、および5-(p-ヨードフェニル)ペンタノエートユニット中の追加のメチレン基によって、本開示の放射性コンジュゲートの疎水性は、参照化合物と比較して増加した。
【0224】
表3:本開示の葉酸放射性コンジュゲートと参照放射性コンジュゲートのLogD値。
【0225】
【表3】
【0226】
[例6:アルブミン結合特性(フィルターアッセイ)]
アルブミン結合特性は、マウスおよびヒト血漿中で測定した。マウス血漿(Rockland Immunochemicals,Inc.、米国)およびヒト血漿(Stiftung Blutspende SRK Aargau-Solothurn、スイス)における本開示の葉酸放射性コンジュゲートのアルブミン結合特性を、限外濾過法を用いて測定した(Deberle,L.M.et al.,Molecules,2020,25,(11))。マウス(MSA)およびヒト(HSA)の血漿中の血清アルブミン量は、ドライケミストリーアナライザー(DRI-CHEM 4000i、富士フイルム、日本)を用いた測定に基づき、それぞれ550μMおよび800μMと定義した。本開示の葉酸放射性コンジュゲート(50MBq/nmol、約300kBq、15μL中に0.006nmol)を、マウスおよびヒトの血漿サンプル(150μL)に添加し、その後、サンプルを37℃にて30分間培養した。サンプルを、アミコン遠心フィルター(カットオフ10kDa;Merck Millipore)にロードした後、遠心分離(14,000rcf、30分、4℃)を行い、各サンプルの血漿結合画分と血漿非結合(遊離)画分を分離した。フィルター装置のインサートを反転させ、200rcfで3分間遠心分離し、タンパク質結合画分を回収した。タンパク質結合画分の放射能に加え、濾液およびフィルターユニット中の放射能を、ガンマカウンター(Perkin Elmer,Wallac Wizard 1480)で別々に測定した。マウスとヒトのアルブミンにそれぞれ結合した放射性コンジュゲートの割合を、測定した全放射能との関係で設定した(表4)。表4は、本開示の葉酸放射性コンジュゲートにおけるAMBAリンカーの存在が、AMBAリンカーを含まない葉酸放射性コンジュゲートの結合と比較して、マウス血漿中のアルブミンへの結合を増加させたことを示す。
【0227】
本開示の葉酸放射性コンジュゲートの相対的アルブミン結合親和性:本開示の葉酸放射性コンジュゲートのアルブミン結合親和性を評価し、[177Lu]Lu-OxFol-1のアルブミン結合親和性と比較した。一定量の放射性コンジュゲート(50MBq/nmol)~300kBq、15μL、0.006nmol)を、決められた量(150μL)のマウスおよびヒトの血漿、ならびにPBS pH7.4中のそれらの様々な希釈液に添加し、マウス血清アルブミン(MSA)対葉酸放射性コンジュゲート、またはヒト血清アルブミン(HSA)対葉酸放射性コンジュゲートのモル濃度比を、それぞれ0.01~12,500および0.01~20,000の範囲に定義した。アルブミン結合画分は、上記のように限外濾過装置を用いて測定した。
【0228】
データは、最大結合率を100%と仮定して、片対数プロットを用いて分析した。データポイントにHill方程式を当てはめ、得られた結合曲線に基づいて結合の半値最大値(B50)を決定した(GraphPad Prismソフトウェア、バージョン8)。相対アルブミン結合親和性は、参照化合物[177Lu]Lu-OxFol-1(1.0に設定した)に対する本開示の各放射性コンジュゲートのB50値の逆比として定義した。対照実験において、本開示の葉酸放射性コンジュゲートを、(血漿の代わりに)PBS中で培養した後に濾過したところ、本開示の未結合葉酸放射性コンジュゲートの94%超が膜を通して容易に濾過されることが示された(データは示さず)。結果は、2~3回の独立した実験の平均±SDとして示した(表5)。
【0229】
表4:マウスおよびヒト血漿中における本開示の葉酸放射性コンジュゲートおよび参照放射性コンジュゲートのアルブミン結合画分。データは2回の実験のアルブミン結合画分の平均値として示す。
【0230】
【表4】
【0231】
相対的アルブミン結合親和性は、疎水性を高めると、参照放射性コンジュゲートと比べて、マウス血清アルブミンに対する結合親和性が増加することを示した(表5)。
【0232】
表5:マウスおよびヒト血漿中における本開示の葉酸放射性コンジュゲートの相対的アルブミン結合親和性(参照化合物[177Lu]Lu-OxFol-1に対して標準化)。
【0233】
【表5】
【0234】
[例7:細胞の取り込みおよび内在化]
方法:実験は、以前に報告されたように行った(Deberle,L.M.et al.,Bioconj.Chem.,2021,32,p.1617)。KB腫瘍細胞(ヒト子宮頸がん細胞株、ACC-136)を、10%ウシ胎児血清、L-グルタミン、抗生物質を添加した葉酸フリーRPMI(FFRPMI)培地を用いて、12ウェルプレートに播種した(1ウェルあたり2mL中0.5×10細胞)。腫瘍細胞は一晩培養して接着させ、37℃、5%COで一晩増殖させた。上清を除去した後、KB細胞をPBSで洗浄し、サプリメントを含まないFFRPMI培地を添加した(975μL/ウェル)。本開示の葉酸放射性コンジュゲート(50MBq/nmol)を各ウェルに25μL(0.75pmol、38kBq)添加した。いくつかのウェルでは、KB腫瘍細胞を過剰の葉酸(100μM)と共培養して、細胞表面のFRをブロックした。ウェルプレートを37℃、5%COで2時間または4時間培養した後、KB腫瘍細胞を、氷冷PBSを用いて3回洗浄し、本開示の葉酸放射性コンジュゲートの総取り込み量を測定した。内在化画分を評価するために、ストリッピングバッファー(0.1M酢酸と0.15M NaClの溶液、水溶液、pH3)を適用し、本開示のFR結合葉酸放射性コンジュゲートを細胞表面から放出させた。各ウェルにNaOH溶液(1M、水溶液、1mL)を加えることにより、細胞サンプルを溶解した。細胞溶解液について、ガンマカウンター(Perkin Elmer,Wallac Wizard 1480)にて放射能をカウントした。細胞懸濁液をボルテックスにより均質化した後、測定された放射能を単一ウェル中のタンパク質の平均含有量に標準化するために、各サンプルのタンパク質濃度を、Micro BCAタンパク質アッセイキット(Pierce,Thermo Scientific)を用いて測定した。取り込みおよび内在化画分は、添加した全放射能のパーセンテージとして表され、n=2~6の独立した実験の平均±SDとして示した(図2A/B)。
【0235】
[例8:FR結合親和性(K値)]
値の決定は、以前に報告されたように行った(Deberle,L.M.et al.,Bioconj.Chem.,2021,32,p.1617)。FR陽性IGROV-1細胞(ヒト卵巣がん細胞株、オランダ、アムステルダム自由大学医療センター、Gerrit Janssen博士の好意により提供された)を、サプリメント入りの500μLのFFRPMI培地にて48ウェルプレートに播種した(2.5×10細胞/ウェル)。細胞を、37℃、5%COで一晩培養し、細胞接着を行った。実験は、氷冷した培地および緩衝液を用いて氷上で行った。上清を除去した後、細胞をPBSで1回洗浄して、サプリメントを含まないFFRPMI培地を添加した(450μL/ウェル)。本開示のそれぞれの葉酸放射性コンジュゲート(20MBq/nmol)を、様々な濃度(0.1~500nMの範囲、1ウェルあたり50μL)で各ウェルに添加した。本開示の葉酸放射性コンジュゲートの非特異的結合を測定するため、細胞サンプルの半分を過剰の葉酸(100μM)と共培養し、細胞表面のFRをブロックした。IGROV-1腫瘍細胞を、4℃で1時間、シェーカーで培養した後、上清を除去し、PBSを用いて細胞を2回洗浄した。NaOH溶液(1M、水溶液、500μL)を用いて細胞を溶解した後、サンプルの放射能を、γ-カウンター(Wallac Wizard 1480、Perkin Elmer)でカウントした。特異的結合の1分間あたりのカウント数(cpm、全結合のcpmから非特異的結合のcpmを差し引くことにより決定)を、添加した本開示の葉酸放射性コンジュゲートのモル濃度に対してプロットした。K値を決定するための非線形回帰分析は、GraphPad Prismソフトウェア(バージョン8)を用いて行った。結果は、3回繰り返し行った2~4つの実験のK値の平均と、それぞれの95%信頼区間として表した。すべての葉酸放射性コンジュゲートは、低ナノモル領域(K=1.4~5.6nM)においてFR結合親和性を示した(表6)。
【0236】
表6:本開示の各葉酸放射性コンジュゲートおよび参照化合物について決定されたK値。
【0237】
【表6】
【0238】
[例9:生体分布試験]
5週齢のメスの無胸腺性ヌードマウス(CD-1 Foxn1nu)をCharles River Laboratories(Sulzfeld、ドイツ)から購入し、葉酸欠乏げっ歯類用飼料(ssniff Spezialdiaten GmbH、ドイツ)を自由摂取させた。少なくとも7日間の馴化期間の後、マウスの肩にKB腫瘍細胞(100μLのPBS中に5×10細胞)を皮下接種した。約2週間後、本開示の葉酸放射性コンジュゲート(3MBq、0.5nmol、0.05%BSAを含む100μLのPBS)を静脈内投与した後、タイムポイントごとにn=3~4のマウスを用いて生体内分布試験を行った。注射後(p.i.)1時間、4時間、および24時間にマウスを犠牲にし、選択した組織および臓器を採取し、重量を測定し、ガンマカウンター(PerkinElmer Wallac Wizard 1480)を用いて放射能をカウントした。結果は、減衰補正されたデータを取得するために同時に測定された元の注射溶液の規定量のカウントを用いて、組織質量1gあたりの注射放射能のパーセンテージ(%IA/g)として報告される。
【0239】
生体分布データ(特に、KB腫瘍における取り込みおよび血中滞留)が、本開示の葉酸放射性コンジュゲートを注射した後の様々な時点で取得された(図3)。本開示のコンジュゲートにおける、アルブミン結合剤に隣接するAMBAリンカーの組み込み、および5-MTHFベースの標的分子における追加のメチル基の存在は、参照化合物と比べて、本開示の放射性コンジュゲートの血中滞留、および本開示の放射性コンジュゲートのKB腫瘍の取り込みを増加させた(図3)。
【0240】
本開示のコンジュゲートでは、参照コンジュゲートと比較して、より高い腫瘍対血液比が観察された。この比率は、時間とともに増加し、注射後24時間で最大となった(図4)。本開示の放射性コンジュゲートにAMBAリンカーを組み込むと、参照コンジュゲートと比較して、腫瘍対腎臓比が増加し(図5)、腫瘍対肝臓比が増加した。
【0241】
[例10:SPECT/CT画像検査]
KB腫瘍保有マウスにおいて、本開示の葉酸放射性コンジュゲートの全身分布を調べるために、SPECT/CT画像検査を実施した(図6、7、8)。SPECT/CT実験は、腫瘍細胞接種から約2週間後、腫瘍の大きさが約300mmの体積に達したときに行った。マウスに、本開示の葉酸放射性コンジュゲート(25MBq、0.5nmol、100μL、0.05%BSAを含むPBSで希釈)を注射し、注射後1時間、4時間、24時間、および48時間にスキャンした。画像検査は、以前報告しているように、4ヘッド、マルチプレキシング、マルチピンホール小動物SPECTカメラ(NanoSPECT/CT(トレードマーク)、Mediso Medical Imaging Systems、ブダペスト、ハンガリー)を用いて行った。各ヘッドには、直径1.4mmのピンホールが9個あり、厚さ10mmのタングステンベースのアパーチャーが取り付けられている。約7.5分間のCTスキャン後に、約40分間のSPECTスキャンを行った。画像は、Nuclineソフトウェア(バージョン1.02、Mediso Ltd.、ブダペスト、ハンガリー)を用いて取得した。リアルタイムCT再構成には、コーンビームフィルターバックプロジェクションが用いられた。SPECTデータの再構成は、HiSPECTソフトウェア(バージョン1.4.3049、Scivis GmbH、ゲッティンゲン、ドイツ)によって、ルテチウム-177のγエネルギー56.1keV(±10%)、112.9keV(±10%)、および208.4keV(±10%)を用いて行った。画像は、VivoQuant後処理ソフトウェア(バージョン3.5、inviCRO Imaging Services and Software、ボストン、米国)を用いて作成した。Gauss後再構成フィルター(FWHM=1.0mm)が適用され、放射能のスケールは画像に示すように設定された(最小値=2Bq/ボクセル~最大値=30Bq/ボクセル)。
【0242】
図6、7、および8は、177Lu-葉酸放射性コンジュゲート(25MBq;マウス1匹当たり0.5nmol)の注射後1時間、4時間、および24時間のKB腫瘍保有マウスのSPECT/CT画像を最大強度投影(MIP)として示したものである。(A)参照:[177Lu]Lu-OxFol放射性コンジュゲートのSPECT/CTスキャン;(B)6R-5-MTHFベースの放射性コンジュゲートのSPECT/CTスキャン;(C)6S-5-MTHFベースの放射性コンジュゲートのSPECT/CTスキャン;Tu=KB腫瘍;Ki=腎臓;H=心臓。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】