IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー・ケム・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-吸収体および衛生用品 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】吸収体および衛生用品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/534 20060101AFI20250130BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20250130BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20250130BHJP
   A61F 13/531 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
A61F13/534 110
A61F13/15 323
A61F13/15 321
A61F13/15 329
A61F13/15 355A
A61F13/15 357
A61F13/53 300
A61F13/531
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546004
(86)(22)【出願日】2023-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-01
(86)【国際出願番号】 KR2023018484
(87)【国際公開番号】W WO2024106983
(87)【国際公開日】2024-05-23
(31)【優先権主張番号】10-2022-0153919
(32)【優先日】2022-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0159226
(32)【優先日】2023-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ユン・キョン・ド
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA01
3B200BA16
3B200BB03
3B200BB17
3B200BB20
3B200DB01
3B200DB02
3B200DB12
3B200DB18
3B200DB23
(57)【要約】
本発明は、パルプ(Pulp)を用いることなく、吸収体および衛生用品内に高吸水性樹脂粒子を適切に固定して吸収体および衛生用品の薄形化に寄与することができ、水分吸収後にも優れた形状保持力を示す吸収体および前記吸収体を含む衛生用品に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1不織布と、
第2不織布と、
前記第1および第2不織布の間に高吸水性樹脂層と、を含み、
前記高吸水性樹脂層は、高吸水性樹脂および接着剤を含み、
前記高吸水性樹脂層は、接着剤を媒介として前記第1および第2不織布に接着されており、パルプ(pulp)を含まず、
下記(1)および(2)を満足する、
吸収体。
(1)前記吸収体を振動回数65回/分、振幅15mm、100回振動させ、漏れずに吸収体内に残存する高吸水性樹脂の量を測定した固定率が90%以上であり、
(2)前記吸収体を染料で染色した後に乾燥させ、高吸水性樹脂の部分だけ選択的に染色されたことを確認した後、染色された部分の面積をカラーメーターで測定した充填率が90%以上である。
【請求項2】
前記高吸水性樹脂層は、高吸水性樹脂と接着剤とが交互に2回以上塗布された、
請求項1に記載の吸収体。
【請求項3】
前記高吸水性樹脂層は、高吸水性樹脂の第1塗布層、接着剤の第1塗布層、高吸水性樹脂の第2塗布層、接着剤の第2塗布層および高吸水性樹脂の第3塗布層が順次に積層された、
請求項1に記載の吸収体。
【請求項4】
前記高吸水性樹脂層の厚さは、5mm以下である、
請求項1に記載の吸収体。
【請求項5】
前記高吸水性樹脂層は、単位面積(m)当り100g以上の高吸水性樹脂を含む、
請求項1に記載の吸収体。
【請求項6】
前記高吸水性樹脂は、
酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和したアクリル酸系単量体および内部架橋剤の架橋重合体を含むベース樹脂と、
前記ベース樹脂上に形成されており、前記架橋重合体が表面架橋剤を媒介として追加架橋された表面架橋層を含む高吸水性樹脂であって、
下記の1)ないし4)を満足する、
請求項1に記載の吸収体。
1)EDANA NWSP 241.0.R2(15)によって測定した保水能(CRC)が32g/gないし40g/g、
2)EDANA NWSP 270.0.R2(15)によって測定した16時間膨潤後に測定した水可溶成分が10重量%以下、
3)vortex法による吸収速度(vortex time)が30秒以下、
4)EDANA NWSP 251.0.R2(15)によって測定したバルク密度(bulk density)が0.50g/ml以上0.65g/ml以下。
【請求項7】
前記吸収体のリウェット値は、3g以下である、
請求項1に記載の吸収体。
【請求項8】
前記接着剤は、パターンなしに塗布される、
請求項1に記載の吸収体。
【請求項9】
前記吸収体は、
第1不織布上に接着剤および高吸水性樹脂を2回以上塗布して高吸水性樹脂層を形成する第1ステップと、
前記高吸水性樹脂上に接着剤を塗布する第2ステップと、
前記第2ステップが完了した第1不織布上に第2不織布を付着して密封する第3ステップと、を含む製造方法によって製造される、
請求項1に記載の吸収体。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の吸収体を含む、衛生用品。
【請求項11】
前記吸収体、前記吸収体の上部に形成された液体透過性の上部シート、および前記吸収体の下部に形成された防水性背面シートを含む、請求項10に記載の衛生用品。
【請求項12】
おむつ、生理用ナプキンまたは尿漏れパッドになる、請求項10に記載の衛生用品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2022年11月16日付の韓国特許出願第10-2022-0153919号および2023年11月16日付の韓国特許出願第10-2023-0159226号に基づいた優先権の利益を主張して、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、パルプ(Pulp)を用いることなく、吸収体および衛生用品内に高吸水性樹脂粒子を適切に固定して吸収体および衛生用品の薄形化に寄与することができ、水分吸収後にも優れた形状保持力を示す吸収体およびこれを含む衛生用品に関するものである。
【背景技術】
【0003】
一般に各種のおむつ、生理用ナプキンまたは尿漏れパッドなどの衛生用品には、高吸水性樹脂粒子(SUPER ABSORBENT POLYMER PARTICLE)を含む吸収体が含まれるが、このような吸収体は、主に前記高吸水性樹脂粒子と、このような高吸水性樹脂粒子を適切に固定しながらも前記吸収体および衛生用品の形態を保持させるためにパルプを用いることが一般的であった。
【0004】
しかし、このようなパルプの存在によって、吸収体および衛生用品のスリム化および薄形化が難しく、ユーザーの皮膚と衛生用品の間に汗がたまるなど着用感が悪いという問題点があった。しかも、主に木材を原料として得られる前記パルプを多量に使用する必要性があるので、最近の環境保護の時流に逆行する点があり、前記吸収層および衛生用品の製造単価を高める主原因中の一つになったのが事実である。
【0005】
そのため、前記吸収層および衛生用品において、パルプの使用量を減らすか、パルプを用いない所謂パルプレス(pulpless)おむつなどの衛生用品を提供するために多くの試みが行われている。
【0006】
しかし、前記パルプの使用量を過度に減らす場合、結合力が低いため吸収体の破れが複数発生し、さらに、吸収体および衛生用品内で高吸水性樹脂粒子がまともに固定されないことにより衛生用品の運送過程で吸収体が特定の部位に移動して不均一な吸収性能を起こし、衛生用品の形態がまともに保持できなくなるなどの問題点が存在した。
【0007】
一方、従来提示されたパルプレスおむつなどパルプを用いない衛生用品では、主にパルプの代わりに液状の接着剤組成物などを用いて前記高吸水性樹脂粒子を固定しており、これによって前記吸収体および衛生用品の薄形化と、スリム化、並びにパルプの未使用による低い単価を実現しようとした。しかし、従来の衛生用品において、接着剤が過度に多量に用いられる場合、接着剤によって高吸水性樹脂粒子およびこれを含む吸収体自らの性能が低下するか、接着剤の移動による工程トラブルが発生するなどのデメリットがあった。
【0008】
逆に、接着剤の使用量を減らす場合、前記吸収体および衛生用品内で高吸水性樹脂粒子がまともに固定されず、粒子移動による不均一な吸収性能などが現れるデメリットがあった。また、前記高吸水性樹脂粒子による水分吸収後に、吸収体および衛生用品の形態がまともに保持できないという問題点も解決できていない。
【0009】
このような従来技術の問題点により、フラッフパルプを用いないか、これを顕著に減らしながらも吸収体および衛生用品内に高吸水性樹脂粒子を性能低下なしに適切に固定することができ、水分吸収後にも優れた形状保持力を示す吸収体および衛生用品に関する技術開発が継続して要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、パルプ(Pulp)を用いることなく、吸収体および衛生用品内に高吸水性樹脂粒子を適切に固定して吸収体および衛生用品の薄形化に寄与することができ、水分吸収後にも優れた形状保持力を示す吸収体に関するものである。
【0011】
本発明は、また、前記吸収体を含む衛生用品に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本発明は、
第1不織布と、
第2不織布と、
前記第1および第2不織布の間に高吸水性樹脂層と、を含み、
前記高吸水性樹脂層は、接着剤を媒介として前記第1および第2不織布に接着されており、パルプ(pulp)を含まず、
下記(1)および(2)を満足する、
吸収体。
【0013】
(1)前記吸収体を振動回数65回/分、振幅15mm、100回振動させ、漏れずに吸収体内に残存する高吸水性樹脂の量を測定した固定率が90%以上であり、
(2)前記吸収体を染料で染色した後に乾燥させ、高吸水性樹脂の部分だけ選択的に染色されたことを確認した後、染色された部分の面積をカラーメーターで測定した充填率が90%以上である。
【0014】
また、本発明は、前記吸収体を含む衛生用品を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、パルプを用いることなく、高吸水性樹脂を適切に固定して水分吸収後にも優れた形状保持力を有しながら、吸収性能も優れた吸収体が提供される。前記吸収体は、パルプを用いないため、スリム化および薄形化した構造を有することができ、製造単価も下げることができる。
【0016】
したがって、本発明は、おむつなど衛生用品のスリム化、薄形化、高性能化に寄与して着用感を改善させることができ、製造単価も大きく下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施例1ないし実施例3の吸収体断面に関するものであって、第1不織布1、接着剤層3、高吸水性樹脂の第1塗布層4、接着剤の第1塗布層5、高吸水性樹脂の第2塗布層6、接着剤の第2塗布層7、高吸水性樹脂の第3塗布層8、接着剤層9、第2不織布2が順次に積層された吸収体を示したものである。前記4ないし8が高吸水性樹脂層である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書で使用される用語は、単に例示的な実施例を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書で、「含む」、「備える」または「有する」等の用語は、実施された特徴、ステップ、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはその以上の他の特徴やステップ、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解されなければならない。
【0019】
本発明は、多様な変更を加えることができ、色々な形態を有することができるので、特定の実施例を例示し、下記で詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物または代替物を含むものと理解されなければならない。
【0020】
また、本明細書に使用される専門用語は、単に特定の具現例を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。そして、ここで使用される単数形態は、文面がこれと明確に反対の意味を示さない限り複数形態も含む。
【0021】
本発明において、第1、第2、第3等の用語は、多様な構成要素を説明するために使用され、前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的だけで使用される。
【0022】
本発明の明細書に使用される用語「重合体」または「高分子」は、水溶性エチレン系不飽和単量体であるアクリル酸系単量体が重合された状態であることを意味し、あらゆる水分含有量範囲または粒径範囲を包括することができる。前記重合体のうち、重合後乾燥前の状態のものであって、含水率(水分含有量)が約40重量%以上の重合体を含水ゲル重合体と称することができ、このような含水ゲル重合体が粉砕および乾燥された粒子を架橋重合体と称することができる。
【0023】
また、用語「高吸水性樹脂粒子」は、酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和したアクリル酸系単量体が重合され、内部架橋剤によって架橋された架橋重合体を含む粒子状の物質を称する。
【0024】
また、用語「高吸水性樹脂」は、文脈によって酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和したアクリル酸系単量体が重合された架橋重合体、または前記架橋重合体が粉砕された高吸水性樹脂粒子からなる粉末(powder)状のベース樹脂を意味するか、または前記架橋重合体や前記ベース樹脂に対して追加の工程、例えば、表面架橋、微粉再造粒、乾燥、粉砕、分級などを経て製品化に適した状態にしたことを全て包括するものと使用される。したがって、用語「高吸水性樹脂」は、つまり、複数個の高吸水性樹脂粒子を含むものと解釈することができる。
【0025】
薄くて軽いおむつに対する需要が増加するにつれて、パルプを含まないパルプレス(Pulpless)おむつに対する研究が行われている。パルプレスおむつは、パルプが除去された状態でも高吸水性樹脂(SAP)がおむつの吸収体内で固定されなければならない。
【0026】
そこで、本発明の発明者は、パルプを用いることなく、接着剤と高吸水性樹脂を順次に複数回塗布して高吸水性樹脂の固定率を高めながらも、吸収体内に高吸水性樹脂を均一に塗布して充填率を向上させることによって、吸収体の優れた形状保持力と吸収性能を有することを確認し、本発明を完成した。
【0027】
以下、発明の具体的な具現例により吸収体および衛生用品についてより詳しく説明する。
【0028】
吸収体
本発明の一具現例に係る吸収体は、第1不織布と、第2不織布と、前記第1および第2不織布の間に高吸水性樹脂層と、を含み、前記高吸水性樹脂層は、接着剤を媒介として前記第1および第2不織布に接着されており、パルプ(pulp)を含まず、下記(1)および(2)を満足する。
【0029】
(1)前記吸収体を振動回数65回/分、振幅15mm、100回振動させ、漏れずに吸収体内に残存する高吸水性樹脂の量を測定した固定率が90%以上であり、
(2)前記吸収体を染料で染色した後に乾燥させ、高吸水性樹脂の部分だけ選択的に染色されたことを確認した後、染色された部分の面積をカラーメーターで測定した充填率が90%以上である。
【0030】
具体的には、前記吸収体は、パルプを含まないが、高吸水性樹脂と接着剤とが交互に2回以上塗布され、高吸水性樹脂を吸収体内により堅く固定することができ、前記構造によって吸収体内の高吸水性樹脂の充填率を高めることができる。したがって、一具現例の吸収体を適用する場合、パルプなどを用いることなく、前記高吸水性樹脂粒子の移動を抑制して吸収体および衛生用品が均一な吸収性能を示すようにして、吸収体およびこれを含む衛生用品の薄形化、スリム化および低単価化に大きく寄与することができる。
【0031】
同時に、接着剤と交互に塗布する構造を適用することによって、接着剤組成物を従来より少なく用いても高吸水性樹脂粒子を安定的に位置させることができ、固定率および充填率が向上して、接着剤組成物の多量使用時のような高吸水性樹脂粒子の物性低下が起こる恐れがなくなる。
【0032】
したがって、一具現例の吸収体は、既知のパルプレスおむつなどパルプを用いない衛生用品の問題点を解決するとともに、優れた性能、形状保持力および着用感などを示し、衛生用品の薄形化およびスリム化などに大きく寄与できることが確認された。
【0033】
前記一具現例の吸収体で、前記不織布は、通常吸収体に用いられる不織布であれば特別な制限はない。一例として、前記不織布は、ポリプロピレン系不織布、ポリエチレン系不織布またはポリオレフィン系多成分不織布(例えば、PE/PP二成分不織布層)、PLA(Poly lactic acid)/PBS(Poly Butyl Succinate)材質の不織布、その他の多様な材質の不織布からなってもよい。このようなそれぞれの不織布は、通常の不織布製造方法によって直接製造するか、商業的に入手して使用できるので、これに関する追加的な説明は省略する。
【0034】
好ましくは、前記不織布は起毛を含まない。前記「起毛」は、繊維を掻き取ったり引き抜いたりして布の表面に毛羽を立てる工法であって、通常起毛製造方法で製造されたものに該当すれば特に制限はない。不織布が起毛を含み、起毛の間に高吸水性樹脂が担持される場合、担持された高吸水性樹脂の固定率が低下する可能性がある。起毛の間に高吸水性樹脂を担持する形態で高吸水性樹脂の固定は起毛との吸着にだけ依存するほかはないが、前記吸着だけで高吸水性樹脂を固定することに限界があるためである。
【0035】
前記高吸水性樹脂層は、高吸水性樹脂と接着剤とが交互に塗布および積層されて構成されるが、好ましくは、2回以上、または3回以上で、かつ10回以下、8回以下、6回以下、または5回以下に交互に塗布されてもよい。また、前記高吸水性樹脂層は、接着剤を媒介として不織布と接着されるので、好ましくは、高吸水性樹脂層の最上段および最下段層が高吸水性樹脂で塗布される。
【0036】
より好ましくは、前記高吸水性樹脂層は、高吸水性樹脂の第1塗布層、接着剤の第1塗布層、高吸水性樹脂の第2塗布層、接着剤の第2塗布層および高吸水性樹脂の第3塗布層が順次に積層されてもよい。
【0037】
好ましくは、前記高吸水性樹脂層の厚さは、5mm以下、4mm以下、または3mm以下であってもよい。前記高吸水性樹脂層の厚さが薄いほど着用感に優れているが、一例として、1mm以上であってもよい。前記高吸水性樹脂層の厚さが5mmを超える場合、衛生用品の薄形化およびスリム化が難しくなるという問題がある。
【0038】
好ましくは、前記高吸水性樹脂層は、単位面積(m)当り100g以上の高吸水性樹脂を含んでもよい。好ましくは、110g以上、120g以上、130g以上、140g以上、または150g以上で、かつ300g以下、250g以下、240g以下、230g以下、220g以下、210g以下、または200g以下であってもよい。前記高吸水性樹脂層の単位面積(m)当り高吸水性樹脂含有量が100g未満の場合、高吸水性樹脂の絶対的な量が不足して吸収性能が低下する可能性があり、高吸水性樹脂層の単位面積(m)当り高吸水性樹脂含有量が300gを超える場合、高吸水性樹脂層の体積が増加して吸収体の薄形化およびスリム化が難しくなる。
【0039】
一方、前記吸収体を振動回数65回/分、振幅15mm、100回振動させ、漏れずに吸収体内に残存する高吸水性樹脂の量を測定した固定率が90%以上である。好ましくは、前記固定率は、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、または99.1%以上であってもよく、100%以下であってもよい。
【0040】
前記吸収体を染料で染色した後に乾燥させ、高吸水性樹脂の部分だけ選択的に染色されたことを確認した後、染色された部分の面積をカラーメーターで測定した充填率は、90%以上である。好ましくは、前記充填率は、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、または99.5%以上であってもよく、100%以下であってもよい。
【0041】
一方、本発明の吸収体が含む高吸水性樹脂は、下記の通りである。
【0042】
前記高吸水性樹脂は、酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和したアクリル酸系単量体および内部架橋剤の架橋重合体を含むベース樹脂と、前記ベース樹脂上に形成されており、前記架橋重合体が表面架橋剤を媒介として追加架橋された表面架橋層を含む。
【0043】
前記高吸水性樹脂は、EDANA NWSP 241.0.R2(15)によって測定した保水能(CRC)が32g/gないし40g/gであってもよい。好ましくは、前記高吸水性樹脂の保水能が、32g/g以上、33g/g以上、または33.4g/g以上で、かつ40g/g以下、39g/g以下、または38.7g/g以下であってもよい。前記高吸水性樹脂の保水能が、32g/g未満の場合、リウェット性能および吸収力が低下するという問題があり、前記高吸水性樹脂の保水能が40g/gを超える場合、高吸水性樹脂の製造が難しいだけでなく、加圧性能が低くなってリウェット特性が低下するという問題がある。
【0044】
前記高吸水性樹脂は、EDANA NWSP 270.0.R2(15)によって測定した16時間膨潤後に測定した水可溶成分が10重量%以下であってもよい。好ましくは、前記高吸水性樹脂の16時間膨潤後に測定した水可溶成分が、9重量%以下、8重量%以下、または7.7重量%以下で、かつ1重量%以上、3重量%以上、または5重量%以上であってもよい。
【0045】
前記高吸水性樹脂は、vortex法による吸収速度(vortex time)が30秒以下であってもよい。好ましくは、29秒以下、または28秒以下であってもよい。また、前記吸収速度は、その値が小さいほど優れており、前記吸収速度の下限は、理論上0秒であるが、一例として、10秒以上、15秒以上、18秒以上、20秒以上、21秒以上、または22秒以上であってもよい。前記高吸水性樹脂の吸収速度が30秒を超える場合、リウェット性能も低下するという問題があり、吸収速度が10秒未満の高吸水性樹脂は、その製造が難しいだけでなく、おむつに製造時におむつの内部で拡散が難しいため局部的に吸収され、コアが破れるか凝集する恐れがある。このとき、前記高吸水性樹脂の吸収速度を測定する方法は、後述する実験例でより具体的に説明する。
【0046】
前記高吸水性樹脂は、EDANA NWSP 251.0.R2(15)によって測定したバルク密度(bulk density)が0.55g/ml以上0.65g/ml以下であってもよい。好ましくは、前記高吸水性樹脂のバルク密度は、0.56g/ml以上、0.57g/ml以上、または0.58g/ml以上で、かつ0.63g/ml以下、0.62g/ml以下、または0.60g/ml以下であってもよい。
【0047】
おむつの製造時に同じ重量の高吸水性樹脂を用いるため、バルク密度が0.55g/ml未満の場合、高吸水性樹脂の体積が増加してゲルブロッキングが発生する恐れがあり、0.65g/mlを超える場合、同一重量内の粒子体積が減少して吸収速度が低下する恐れがある。
【0048】
一方、前記アクリル酸系単量体は、下記の化学式1で表される化合物である。
【0049】
[化学式1]
-COOM
【0050】
前記化学式1で、
は、不飽和結合を含む炭素数2ないし5のアルキル基であり、
は、水素原子、1価または2価金属、アンモニウム基または有機アミン塩である。
【0051】
好ましくは、前記アクリル酸系単量体は、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩および有機アミン塩からなる群より選択される1種以上を含む。
【0052】
ここで、前記アクリル酸系単量体は、酸性基を有し、前記酸性基の少なくとも一部が中和したものであってもよい。好ましくは、前記単量体を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどのアルカリ物質で部分的に中和させたものを用いることができる。このとき、前記アクリル酸系単量体の中和度は、40ないし95モル%、または40ないし80モル%、または45ないし75モル%であってもよい。前記中和度の範囲は、最終物性により調節することができる。しかし、前記中和度が過度に高いと中和した単量体が析出され、重合が円滑に行われにくいことがあり、逆に、中和度が過度に低いと高分子の吸収力が大きく低下するだけでなく、取り扱いにくい弾性ゴムのような性質を示すことができる。
【0053】
前記アクリル酸系単量体の濃度は、前記高吸水性樹脂の原料物質および溶媒を含む単量体組成物に対して、約20ないし約60重量%、好ましくは、約40ないし約50重量%であってもよく、重合時間および反応条件などを考慮して適切な濃度になってもよい。ただし、前記単量体の濃度を過度に下げると高吸水性樹脂の収率が低く経済性に問題が生じる可能性があり、逆に濃度が過度に高いと単量体の一部が析出されるか、重合された含水ゲル重合体の粉砕時に粉砕効率が低く現れるなど工程上問題が生じる可能性があり、高吸水性樹脂の物性が低下する可能性がある。
【0054】
また、本明細書で使用する用語「内部架橋剤」は、後述する高吸水性樹脂粒子の表面を架橋させるための表面架橋剤と区別するために使用する用語であって、前述の水溶性エチレン系不飽和単量体の不飽和結合を架橋させ、重合させる役割を果たす。前記ステップでの架橋は表面または内部の区別なしに行われるが、後述する高吸水性樹脂粒子の表面架橋工程が行われる場合、最終製造された高吸水性樹脂の粒子表面は、表面架橋剤によって架橋された構造からなっており、内部は、前記内部架橋剤によって架橋された構造からなっている。
【0055】
前記内部架橋剤としては、前記アクリル酸系不飽和単量体の重合時に架橋結合の導入を可能にするものであれば、いかなる化合物も使用可能である。具体的には、前記内部架橋剤としては、前記アクリル酸系不飽和単量体の水溶性置換基と反応できる官能基を1個以上有し、エチレン性不飽和基を1個以上有する架橋剤;あるいは、前記単量体の水溶性置換基および/または単量体の加水分解によって形成された水溶性置換基と反応できる官能基を2個以上有する架橋剤を用いることができる。一例として、前記内部架橋剤は、エポキシ化合物であってもよい。
【0056】
前記内部架橋剤としては、前記アクリル酸系不飽和単量体の重合時に架橋結合の導入を可能にするものであれば、いかなる化合物も使用可能である。具体的には、前記内部架橋剤としては、前記アクリル酸系不飽和単量体の水溶性置換基と反応できる官能基を1個以上有し、エチレン性不飽和基を1個以上有する架橋剤;あるいは、前記単量体の水溶性置換基および/または単量体の加水分解によって形成された水溶性置換基と反応できる官能基を2個以上有する架橋剤を用いることができる。
【0057】
前記内部架橋剤としては、エポキシ化合物またはポリエチレングリコール系高分子であってもよく、非制限的な例として、前記内部架橋剤は、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、トリメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラアクリレートなどのアクリレート系化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテルなどのエポキシ系化合物;トリアリールアミン;プロピレングリコール;グリセリン;またはエチレンカーボネートなどの多官能性架橋剤が単独使用または2以上併用されてもよいが、これらに制限されるものではない。
【0058】
一具現例によると、前記内部架橋剤としては、前記エポキシ系化合物を用いることができる。例えば、前記内部架橋剤としては、2価以上の多価エポキシ化合物、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテルを用いることができるが、この場合にも、疎水性粒子によって発泡剤による発泡を安定的に行うことができる。
【0059】
前記単量体組成物で、このような内部架橋剤は、前記アクリル酸系単量体100重量部に対して、0.01ないし5重量部で用いることができる。例えば、前記内部架橋剤は、水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して、0.01重量部以上、0.05重量部以上、0.1重量部、または0.15重量部以上で、かつ5重量部以下、3重量部以下、2重量部以下、1重量部以下、または0.7重量部以下で用いることができる。前記内部架橋剤の含有量が過度に低い場合、架橋が十分に起きないため、適正水準以上の強度の実現が難しい可能性があり、前記内部架橋剤の含有量が過度に高い場合、内部架橋密度が高くなって所望の保水能の実現が難しいこともある。
【0060】
このような内部架橋剤の存在下での前記水溶性エチレン系不飽和単量体の架橋重合は、重合開始剤、必要に応じて増粘剤(thickener)、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤などの存在下で、熱重合、光重合または混成重合で行われてもよいが、具体的な内容は、後述する。
【0061】
また、前記高吸水性樹脂は、前記ベース樹脂の表面のうちの少なくとも一部に、表面架橋剤を媒介として前記ベース樹脂内に含まれた架橋重合体が追加架橋されて形成された表面架橋層をさらに含む。これは、高吸水性樹脂の表面架橋密度を高めるためのものであり、前記のように高吸水性樹脂が表面架橋層をさらに含む場合、内部より外部の架橋密度が高い構造を有することになる。
【0062】
前記表面架橋剤としては、従来から高吸水性樹脂の製造に用いられていた表面架橋剤を特別な制限なしにいずれも用いることができる。例えば、前記表面架橋剤は、多価アルコール系化合物、多価エポキシ系化合物、ポリアミン化合物、ハロエポキシ化合物、ハロエポキシ化合物の縮合生成物、オキサゾリン系化合物およびアルキレンカーボネート系化合物で構成される群から選択された1種以上を含んでもよい。
【0063】
具体的には、前記多価アルコール系化合物としては、モノ-、ジ-、トリ-、テトラ-またはポリエチレングリコール、モノプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,3,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、ポリグリセロール、2-ブテン-1,4-ジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、または1,2-シクロヘキサンジメタノールなどを用いることができる。
【0064】
また、前記多価エポキシ系化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、またはグリシドールなどを用いることができる。
【0065】
また、前記ポリアミン化合物としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン、またはポリアミドポリアミンなどを用いることができる。
【0066】
また、前記ハロエポキシ化合物としては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンまたはα-メチルエピクロロヒドリンなどを用いることができる。
【0067】
また、オキサゾリン系化合物としては、モノ-、ジ-またはポリオキサゾリジノンなどを用いることができる。
【0068】
そして、アルキレンカーボネート化合物としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、またはグリセロールカーボネートなどを用いることができる。
【0069】
より具体的には、前記表面架橋剤として前述の表面架橋剤のうち一つを単独で用いるか、または互いに組み合わせて用いることができる。一例として、前記表面架橋剤としてエチレンカーボネートなどのアルキレンカーボネート化合物を用いることができる。
【0070】
一方、このような前記高吸水性樹脂は、高吸水性樹脂に対して粒径が710μm以上850μm以下である粒子を10重量%以下で含んでもよい。また、前記高吸水性樹脂に対して粒径が150μm以下である粒子を10重量%以下で含んでもよい。このような高吸水性樹脂粒子の粒径は、ヨーロッパ不織布産業協会(European Disposables and Nonwovens Association、EDANA)規格EDANA WSP 220.3方法によって測定されてもよい。
【0071】
前記粒径が710μm以上850μm以下である粒子の含有量が10重量%を超えて高い場合、概して厚さが薄いパルプレスおむつが固く感じられ、着用感が悪いなど触感問題が生じる可能性があり、吸収速度も低下する。また、粒径が150μm以下である粒子が10重量%を超える場合、多量の微粉により工程上フィルターの詰りが発生する問題が生じる可能性があり、作業環境も悪くなるというデメリットがある。
【0072】
一方、前記高吸水性樹脂を含む吸収体に対して測定したリウェット値は、3g以下であってもよい。好ましくは、前記リウェット値は、1g以上、1.5g以上、2.0g以上、または2.4g以上で、かつ3g以下、2.9g以下、または2.7g以下であってもよい。
【0073】
前記リウェット値は、吸収体から測定して得ることができる。吸収体(350mm×100mmの大きさ)の中央の部分に0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)85mLを注入して2分後、吸収体上に300mm×90mmの大きさの紙(300gsmのフィルター紙)を位置させる。それから2分後、吸収体から紙に染み出た塩水量を測定し、紙を除去する。前記生理食塩水の注入時点から15分後、前記吸収体に重りを載せて0.42psiの圧力を加えながら、同じ位置に生理食塩水85mLをさらに注入する。15分後、吸収体上に置かれた重りをしばらく除去した後、吸収体上に新たな紙を置いた後、紙の上に再び重りを置いて吸収体と重りの間に紙を位置させる。2分後、吸収体から紙に染み出た塩水の量を測定して、下記の数学式3によって再湿潤量(g)を算出する。
【0074】
[数学式3]
再湿潤量(g)=(W(g)-W(g))+(W(g)-W(g))
【0075】
前記数学式3で、
(g)は、無加圧下で、前記吸収体に生理食塩水を注入した2分後、2分間吸収体から染み出た液体を吸収した紙の重量であり、W(g)は、紙の初期重量であり、W(g)は、無加圧および加圧下で前記吸収シートに生理食塩水を注入した後、荷重(0.42psi)下で、2分間吸収シートから染み出た液体を吸収した紙の重量である。
【0076】
また、前記高吸水性樹脂は、疎水性粒子を含んでもよい。ここで、疎水性粒子とは、水に対する接触角が50°以上であるか、または水に溶けない水不溶性(water-insoluble)粒子を意味する。水に対する接触角が50°未満である粒子および水溶性(water-soluble)粒子は、水溶液形態である単量体組成物に溶解することができ、重合工程で発生する気泡を捕獲する役割を果たしにくいのに対し、疎水性粒子は、中和液の内部で疎水性を示す二酸化炭素などの気泡と中和液の間の界面に位置することになり、気泡を効果的に捕獲した後、安定化させることができる。
【0077】
したがって、前記疎水性粒子は、水に対する接触角が50°以上である。より具体的には、前記疎水性粒子は、水に対する接触角が、70°以上、100°以上、120°以上、または130°以上で、かつ175°以下であってもよい。
【0078】
このとき、前記疎水性粒子の接触角は、それぞれ以下のような方法で測定されてもよい。まず、前記疎水性粒子を5重量%の濃度でメチレンクロリド溶媒に分散させたコーティング液を製造する。次いで、このようなコーティング液を表面粗さのないウエハーにスピンコーティングした後、常温に乾燥して残っている溶媒を除去する。その後、このようなコーティング層上に水を滴下(dropwise)で滴下して接触角を測定し、これを各疎水性粒子の接触角として定義する。
【0079】
また、前記疎水性粒子は、0.2μmないし50μmの平均粒径を有するが、前記疎水性粒子の平均粒径が0.2μm未満の場合、製造工程中に発生する気泡を効果的に捕集しにくいため、均一な気孔を作ることができないという問題があり、前記疎水性粒子が50μm超過の平均粒径を有する場合、作られる気孔の大きさが過度に大きくなって高吸水性樹脂の吸収速度を向上させにくいことがある。具体的には、例えば、前記疎水性粒子は、平均粒径(μm)が、0.3以上、0.5以上、1以上、2以上、または3以上で、かつ40以下、35以下、または30以下であってもよい。
【0080】
ここで、前記疎水性粒子の平均粒径はD50を意味し、前記「粒径Dn」は、粒径による粒子個数累積分布のn%地点での粒径を意味する。つまり、D50は、粒径による粒子個数累積分布の50%地点での粒径であり、D90は、粒径による粒子個数累積分布の90%地点での粒径を、D10は、粒径による粒子個数累積分布の10%地点での粒径である。前記Dnは、レーザ回折法(laser diffraction method)を用いて測定することができる。具体的には、測定対象粉末を分散媒中に分散させた後、市販のレーザ回折粒度測定装置(例えば、Microtrac S3500)に導入して粒子がレーザビームを通過するとき、粒子の大きさによる回折パターンの差を測定して粒度分布を算出する。測定装置における粒径による粒子個数累積分布の10%、50%および90%となる地点での粒子直径を算出することによって、D10、D50およびD90を測定することができる。
【0081】
このような疎水性粒子は、疎水性シリカ、炭素数7ないし24の脂肪酸の金属塩および疎水性有機粒子で構成される群より選択される1種以上であってもよい。
【0082】
ここで、疎水性シリカは、表面にシラノール(-SiOH)の含有量が少ないため、水に対する接触角が50°以上であるシリカを総称するものであって、当該技術分野に知られた疎水性シリカを制限なしに用いることができる。
【0083】
また、炭素数7ないし24の脂肪酸の金属塩とは、分子内の炭素数が炭素数7ないし24個であり、線状構造を有する不飽和または飽和脂肪酸末端のカルボキシル基の水素イオンの代わりに、金属カチオンが結合された化合物を称するものであって、このとき、金属塩は、1価金属塩または2価以上の多価金属塩であってもよい。このとき、前記疎水性粒子が炭素数7未満の脂肪酸の金属塩の場合、水溶液状態でイオン化して粒子形態に発生する気泡を捕集することができず、前記疎水性粒子が炭素数24超過の脂肪酸の金属塩の場合、脂肪酸の鎖が長くなって分散が難しいことがある。
【0084】
具体的には、前記脂肪酸の金属塩が1価金属塩である場合には、1価の金属カチオンであるアルカリイオンに1個の脂肪酸カルボキシレートアニオンが結合している構造を有する。また、前記脂肪酸の金属塩が2価以上の多価金属塩である場合には、金属カチオンに金属カチオンの原子価(valance)個数の脂肪酸カルボキシレートアニオンが結合された構造を有する。
【0085】
一具現例で、前記疎水性粒子は、炭素数12ないし20の飽和脂肪酸の金属塩であってもよい。例えば、前記疎水性粒子は、分子内の炭素数12個を含むラウリン酸の金属塩;分子内の炭素数13個を含むトリデシル酸の金属塩;分子内の炭素数14個を含むミリスチン酸の金属塩;分子内の炭素数15個を含むペンタデカン酸の金属塩;分子内の炭素数16個を含むパルミチン酸の金属塩;分子内の炭素数17個を含むマルガリン酸の金属塩;分子内の炭素数18個を含むステアリン酸の金属塩;分子内の炭素数19個を含むノナデシル酸の金属塩と;分子内の炭素数20個を含むアラキジン酸の金属塩で構成される群より選択される1種以上の飽和脂肪酸の金属塩であってもよい。
【0086】
好ましくは、前記脂肪酸の金属塩は、ステアリン酸金属塩であってもよいが、例えば、カルシウムステアレート、マグネシウムステアレート、ナトリウムステアレート、亜鉛ステアレートおよびカリウムステアレートで構成される群より選択される1種以上のステアリン酸の金属塩であってもよい。
【0087】
また、疎水性有機粒子は、エチレン重合体、プロピレン重合体、スチレン重合体、ブタジエン重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、アルキルアクリレート重合体、アルキルメタクリレート重合体、アルキルアクリレート-アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、アクリロニトリル-アルキルアクリレート-スチレン共重合体、アルキルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合体およびアルキルアクリレート-アルキルメタクリレート共重合体で構成される群より選択される1種以上の疎水性高分子粒子であってもよい。
【0088】
また、前記疎水性粒子は、前記水分散液内に前記水分散液の総重量を基準に10ないし70重量%で含まれていてもよい。前記疎水性水分散液内に前記疎水性粒子の含有量が過度に低いかまたは過度に高い場合には、疎水性粒子が分散安定化(dispersion stabilization)せず、粒子相互間で互いに凝集するかあるいは重力によって沈降するという問題が生じる可能性がある。
【0089】
また、前記疎水性粒子水分散液で、疎水性粒子を分散させる役割を果たす界面活性剤としては、前記疎水性粒子の分散を安定化できるものと当該技術分野に知られた界面活性剤を制限なしに用いることができる。例えば、前記界面活性剤として、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤および非イオン性界面活性剤で構成される群より選択される1種以上の界面活性剤を用いることができる。好ましくは、前記疎水性粒子の分散安定化の面で、2種以上の界面活性剤を用いることができる。より具体的には、前記疎水性粒子の形態、例えば、飽和脂肪酸の金属塩形態などを考慮して、このような疎水性粒子をより効果的に水分散させるために、非イオン性界面活性剤およびアニオン性界面活性剤、例えば、炭素数10以上の長鎖炭化水素が結合された非イオン性界面活性剤および硫酸塩系アニオン性界面活性剤とともに用いることができる。
【0090】
一例として、前記カチオン性界面活性剤としては、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルメチルアンモニウム塩などが挙げられ、前記アニオン性界面活性剤としては、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、モノアルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、モノアルキルリン酸塩、ナトリウムラウリルサルフェート、ナトリウムドデシルサルフェートまたはナトリウムラウレスサルフェートなどの長鎖炭化水素またはそのナトリウム塩含有官能基を有する硫酸塩などが挙げられ、前記両性界面活性剤としては、アルキルスルホベタイン、アルキルカルボキシベタインなどが挙げられ、前記非イオン性界面活性剤としては、ポリエチレングリコールなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル、ソルビタンモノパルミテート、脂肪酸ソルビタンエステル、またはグリセリンモノステアレートなどの脂肪酸エステル、アルキルモノグリセリルエーテル、アルカノールアミド、アルキルポリクルコシドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0091】
そして、前記疎水性粒子水分散液は、pHが7以上であってもよい。前記疎水性粒子水分散液のpHが7未満の場合、酸性を示すようになるので、脂肪酸の金属塩である疎水性粒子を安定化させにくいため、適していない。
【0092】
一方、前記疎水性粒子は、前記アクリル酸系単量体100重量部に対して、0.01ないし0.5重量部で用いられる。前記疎水性粒子の含有量が過度に低い場合、気泡安定効果が十分でなく、吸収速度が遅くなることがあり、前記疎水性粒子の含有量が過度に高い場合、疎水性粒子水分散液内に疎水性粒子を安定させるために用いられた界面活性剤の量が増加して表面張力が低下する恐れがある。例えば、前記疎水性粒子は、前記アクリル酸系単量体100重量部に対して、0.01以上、0.03以上、0.05以上、または0.08以上で、かつ0.5重量部以下、0.4重量部以下、0.3重量部以下、または0.2重量部以下で用いることができる。
【0093】
また、前記炭酸塩系発泡剤は、重合時に発泡が起き、含水ゲル重合体内の気孔を形成して表面積を増やす役割を果たし、一例として、ナトリウムビカーボネート(sodium bicarbonate)、ナトリウムカーボネート(sodium carbonate)、カリウムビカーボネート(potassium bicarbonate)、カリウムカーボネート(potassium carbonate)、カルシウムビカーボネート(calcium bicarbonate)、カルシウムカーボネート(calcium bicarbonate)、マグネシウムビカーボネート(magnesium bicarbonate)およびマグネシウムカーボネート(magnesium carbonate)で構成される群より選択される1種以上を用いることができる。
【0094】
前記炭酸塩系発泡剤は、前記アクリル酸系単量体100重量部に対して、0.005ないし1重量部で用いることができる。前記発泡剤の含有量が0.005重量部未満の場合には、発泡剤としての役割が微小であることがあり、前記発泡剤の含有量が1重量部を超える場合には、架橋重合体内の気孔が過度に多いため製造される高吸水性樹脂のゲル強度が低下して密度が小さくなって流通と保管に問題をもたらす可能性がある。例えば、前記炭酸塩系発泡剤は、前記アクリル酸系単量体100重量部に対して、0.01重量部以上、0.05重量部以上で、かつ0.5重量部以下、0.3重量部以下、または0.2重量部以下であってもよい。
【0095】
また、このような炭酸塩系発泡剤および前記疎水性粒子は、1:0.1ないし1:2の重量比で用いることができる。前記疎水性粒子が前記炭酸塩系発泡剤に比べて過度に低い含有量で用いられる場合、発生する気泡を効果的に捕集しにくく、発泡剤に比べて過度に高い含有量で用いられる場合、保水能および吸収速度などの諸物性が下落する可能性がある。具体的には、前記炭酸塩系発泡剤および前記疎水性粒子は、1:0.4以上、1:0.6以上、または1:0.8以上で、かつ1:1.7以下、1:1.5以下、または1:1.2以下の重量比で用いることができる。一例として、前記炭酸塩系発泡剤および前記疎水性粒子は、1:1の重量比で用いることができる。
【0096】
一方、前記発泡剤を代替して気泡発生器を用いることができるが、このような気泡発生器としては、以前から高吸水性樹脂の製造工程のうち、単量体組成物の発泡のために用いられていたマイクロバブル発生器などを特別な制限なしにいずれも用いることができる。このようなマイクロバブル発生器の一例は、複数の突出ピンが内部に取り付けられた管型流路を通じて、例えば、前記単量体組成物を所定の供給速度、例えば、50~1500(L/min)で通過させ、前記単量体組成物を前記突出ピンに衝突させて発泡させるものになってもよい。このようなマイクロバブル発生器の一例は、韓国公開特許公報第2020-0128969号に開示されており、後述する実施例で適用された商業用品を入手して適用できることはもちろんである。
【0097】
好ましくは、前記接着剤は、特定のパターンなしに均一にまたは無作為に塗布されてもよい。
【0098】
前記接着剤は、当業者に知られた多数の方法によって塗布されてもよい。例えば、接着剤は、前記不織布または高吸水性樹脂の表面上に噴霧されるか、ローリングされるか、スパンされてもよい。接着剤の種類も、通常吸収体に用いられる接着剤であれば特別な制限はない。一例として、前記接着剤は、親水性、疎水性、生体分解性、生体誘導されるか、これらの組み合わせであってもよい。好ましくは、前記接着剤の塗布時に高吸水性樹脂層と不織布の間に離隔されるボンドサイトなしに高吸水性樹脂層と不織布とは連続的に存在する。吸収体が離隔したボンドサイトを有する場合、超音波ボンディング等を通じて不織布などの織物上に格子などのボンドサイトを形成し、高吸水性樹脂は、ボンドサイトの間に充填されることによって固定される。このような高吸水性樹脂の固定方式は、高吸水性樹脂の固定率は向上させることができるが、高吸水性樹脂がボンドサイトの間で移動することができ、充填率が劣るというデメリットがあり得る。
【0099】
一方、好ましくは、350cmの不織布の上に接着剤(製品名:FLC7228AZP、メーカー:HB Fuller)の1回塗布量は、0.3ないし3gであり、塗布回数により総塗布量は変わり得る。好ましくは、350cmの不織布の上に接着剤(製品名:FLC7228AZP、メーカー:HB Fuller)の総塗布量は、0.3ないし10gであってもよい。
【0100】
一方、前記吸収体は、
第1不織布上に接着剤および高吸水性樹脂を2回以上塗布して高吸水性樹脂層を形成する第1ステップと、
前記高吸水性樹脂上に接着剤を塗布する第2ステップと、
前記第2ステップが完了した第1不織布上に第2不織布を付着して密封する第3ステップと、を含む製造方法によって製造されてもよい。
【0101】
前記各製造ステップでの塗布、付着および密封方法は、当業者に知られた多数の方法によって行われてもよく、通常使用される方法であれば特別な制限はない。
【0102】
衛生用品
一方、発明の他の具現例によると、前述の一具現例の吸収体を含む衛生用品が提供される。このような衛生用品は、例えば、前記吸収体とともに、前記吸収体の上部(例えば、ユーザーの皮膚に接触する方向)に形成された液体透過性の上部シート、および前記吸収体下部(例えば、ユーザーの皮膚に接触する方向の反対方向)に形成された防水性背面シートを含んでもよい。
【0103】
このような衛生用品の構成で、前記液体透過性の上部シートは、通常感触が柔らかくてユーザーの皮膚に刺激を与えない素材を含んでもよい。また、前記上部シートは、小便など液状の体分泌物が吸収体に速かに通過できるようにする素材を含むことが適切である。このような点を考慮して、前記上部シートは、多孔性樹脂フィルム、天然繊維、合成繊維または天然および合成繊維の混合物などの広範囲な物質から製造されて用いることができる。
【0104】
また、防水性背面シートは、液体に対して不透過性であるので、吸収体に吸収されて含有される体分泌物がユーザーの衣服やベッドシートなど衛生用品と触れる製品を汚さないようにする特性を示す必要がある。このような点を考慮して、前記背面シートは、液体に対しては不透過性であり、気体に対しては透過性である素材を含むことが適切で、例えば、樹脂フィルムまたはこれに不織布をさらに付着した素材を含んでもよい。
【0105】
前述の衛生用品は、一具現例の吸収体を含むことによって、フラッフパルプを含まないスリム化および薄形化した構造を有することができ、その単価も下げることができる。また、このような吸収層および衛生用品内で高吸水性樹脂粒子の移動が多孔性不織布層によって効果的に抑制されることによって、より均一な性能を示すことができ、多量の水分吸収後にも適切な形態を保持することができる。これに加えて、多量の接着剤などによる高吸水性樹脂粒子の物性低下も抑制することができ、優れた吸収性能などを保持することができる。
【0106】
このような衛生用品は、おむつ、生理用ナプキンまたは尿漏れパッドなどの任意の個人用衛生用品にすることができ、前述の構成以外には、各衛生用品の種類によって通常の構成を備えることができる。
【0107】
以下、本発明の理解のためにより詳しく説明する。但し、下記の実施例は、本発明を例示することだけであり、本発明の内容が、下記の実施例によって限定されるものではない。
【0108】
製造例1:疎水性シリカ水分散液の製造
高せん断ミキサー(high shear mixer)に水100gを入れた後、5000rpmで撹拌しながら、平均粒径が0.3μmであり、水に対する接触角が130°である疎水性シリカ、および平均粒径が3μmであり、水に対する接触角が130°である疎水性シリカのそれぞれを最終水分散液の総重量を基準に0.2重量%および2重量%となるように分散させ、徐々に投入した。前記シリカが完全に添加されると、45℃の温度で、8000rpmで、30分間撹拌した。このとき、前記得られた疎水性シリカ水分散液のpHは9であった。
【0109】
製造例2:高吸水性樹脂の製造
(ステップ1)アクリル酸100重量部に、内部架橋剤であるPEGDA 400(ポリエチレングリコールジアクリレート400)0.01重量部、光開始剤として、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Phenylbis(2,4,6-trimethylbenzoyl)phosphine oxide)0.1重量部を混合して単量体溶液を製造した。次いで、前記単量体溶液を定量ポンプに連続供給しながら、同時に24重量%水酸化ナトリウム水溶液160重量部を連続的に投入して4重量%過硫酸ナトリウム水溶液3重量部、4重量%エチレングリコールジグリシジルエーテル(EJ1030s)5重量部、4重量%炭酸水素ナトリウム水溶液5重量部、製造例1で製造した平均粒径0.3μmの疎水性シリカ0.2重量%および平均粒径3μmの疎水性シリカ2重量%が含まれた疎水性シリカ水分散液5重量部を高速ラインミキシングして単量体組成物を製造した。このような移送を通じて、移動するコンベヤーベルトからなる重合反応器に単量体組成物を投入し、UV照射装置を通じて紫外線を照射して3分間UV重合を行い、シート状の含水ゲル重合体を製造した。
【0110】
(ステップ2)前記含水ゲル重合体を平均の大きさが約300mm以下となるように切断した後、粉砕機(15mmの直径を有する複数の孔を含む多孔板を備える)に投入して含水ゲルを切断した。次いで、前記粉砕された含水ゲルを風向を上下に変更可能な乾燥機で乾燥させた。乾燥された粉の含水量が約5%以下となるように、180℃のホットエアー(hot air)を流して前記含水ゲルを均一に乾燥させた。
【0111】
(ステップ3)前記乾燥された樹脂を粉砕機で粉砕した後、分級して150ないし850μmの大きさのベース樹脂を得た。粉砕機は、FRITSCH社製のPULVERISETTE 19を用いた。粉砕機に12mm sieve cassetteを設け、乾燥した含水ゲルを1次粉砕した。下記のsieve(W.S.Tylor、8” STAINLESS-STAINLESS TEST SIEVE)のうち、mesh number 24/32/48/100/panを順次に設け、#24mesh上段に粉砕された粒子を投入した後、sieve shakerに固定した後、10分間1.5amplitudeで分級する。
【0112】
【表1】
【0113】
分級完了後、#24mesh上段の樹脂含有量を測定すると、全体投入した乾燥した含水ゲルに対し、50重量%以上の粒子が測定された。
【0114】
#24mesh上段の粒子は、2次粉砕を実施するが、2次粉砕は、粉砕機に1.0mm sieve cassetteを設け、乾燥した含水ゲルを粉砕した。Sieve(W.S.Tylor、8” STAINLESS-STAINLESS TEST SIEVE)のうち、mesh number 20/32/48/100/panを順次に設け、#20mesh上段に2次粉砕された粒子を投入した後、sieve shakerに固定した後、10分間1.5amplitudeで分級する。
【0115】
分級後の粒子重量は、下記のように計算して得ることができる。
【0116】
粒子大きさ別の粒度分布={(Sieve重量+分級後乾燥体)-(空のSieve重量)}/(粉砕後乾燥体)×100
【0117】
(ステップ4)分級して得られたベース樹脂粉末100重量部に、エチレンカーボネート1.2重量部、プロピレンカーボネート0.5重量部、プロピレングリコール0.5重量部、親水性水分散シリカ(snotex)0.5重量部を含む表面架橋剤水溶液8重量部を噴射し、常温で撹拌してベース樹脂粉末上に表面架橋液が均等に分布するように混合した。次いで、表面架橋液と混合されたベース樹脂粉末を表面架橋反応器に入れ、表面架橋反応を行った。
【0118】
このような表面架橋反応器内で、ベース樹脂粉末は、80℃近辺の初期温度で漸進的に昇温するものと確認され、30分経過後に190℃の反応最高温度に到達するように操作した。このような反応最高温度に到達した以降に、15分間追加反応させた後、最終製造された高吸水性樹脂サンプルを取った。前記表面架橋工程後、ASTM規格の標準網ふるいで分級して150μmないし850μmの粒径を有する実施例1の高吸水性樹脂を製造した。
【0119】
実験例1
前記製造例2で製造した高吸水性樹脂に対して、以下のような方法で物性を評価し、下記の表1に示した。異なって表記しない限り、下記の物性評価はいずれも常温(23±1℃)、相対湿度45±1%で行っており、生理食塩水または塩水は、0.9重量%塩化ナトリウム(NaCl)水溶液を意味し、23±1℃温度の塩水を用いた。
【0120】
(1)バルク密度(g/ml):150~850μm粒径の粒子を測定
前記実施例および比較例の高吸水性樹脂約100gを漏斗状のバルク密度測定機器に入れ、100ml容器に流し込み、容器内に入った高吸水性樹脂の重量を測定した。バルク密度は、(高吸水性樹脂重量)/(容器体積、100ml)で計算した。
【0121】
バルク密度測定は、EDANA NWSP 251.0.R2(15)測定法に従った。
【0122】
密度カップは、シリンダー状のステンレススチール材質からなっており、(ISO/TR 15510)Capacity(100.0±0.5ml)容量を有し、内部直径45.0±0.1mm、内部高さ63.1±0.1mmの大きさを有するものを用いた。
【0123】
ファネルは、ステンレススチールからなっており、細部デザインは、ISO/TR 15510に従う。a)Orifice internal diameter(10.00±0.01)mm、Inclination angle of cone generatrix 20°、Height(145.0±0.5mm)の大きさを有した。
【0124】
バルク密度分析は、(23±2℃) and (45±15)%相対湿度で測定した。
【0125】
まず、ファネルの下に密度カップを置き、100gのSAPをオリフィスで閉じたファネルに充填した。オリフィスを開けながらタイマーをスタートし、全てのSAPがファネルから落下するまでの時間を測定した。密度カップにあふれたSAPは除去した後、重量を測定(W2)した。空の密度カップの重量(W1)を測定し、二つの重量の差を計算して、密度カップにあるSAPの重量を測定することができた。
【0126】
バルク密度(ρ、g/ml)は、「ρ=(W2-W1)/100」で計算しており、このとき、100(ml)は、密度カップの体積である。
【0127】
(2)16時間膨潤後に測定した水可溶成分(16hr EC、%):150~850μm粒径の粒子を測定
前記実施例および比較例の水可溶成分は、EDANA NWSP 270.0.R2(15)の方法によって測定した。
【0128】
(3)遠心分離保水能(CRC:Centrifuge Retention Capacity、g/g):150~850μm粒径の粒子を測定
各樹脂の無荷重下の吸収倍率による保水能を、EDANA NWSP 241.0.R2(15)によって測定した。
【0129】
具体的には、高吸水性樹脂W0(g)(約0.2g)を不織布製の封筒に均一に入れ、密封(seal)した後、常温で生理食塩水(0.9重量%)に浸水させた。30分経過後、遠心分離機を用いて250Gの条件下で前記封筒から3分間水気を抜いて、封筒の重量W2(g)を測定した。また、樹脂を用いずに同一な操作を行った後、そのときの重量W1(g)を測定した。得られた各重量を用いて、以下の式によりCRC(g/g)を算出した。
【0130】
[数学式1]
CRC(g/g)={[W2(g)-W1(g)]/W0(g)}-1
【0131】
(3)加圧吸収能(0.7AUP:Absorbtion Under Pressure、g/g):150~850μm粒径の粒子を測定
各樹脂の0.7psiの加圧吸収能を、EDANA NWSP 242.0.R2(15)によって測定した。
【0132】
具体的には、内径60mmのプラスチックの円筒底にステンレス製の400mesh鉄網を取り付けた。常温および湿度50%の条件下で、鉄網上に高吸水性樹脂W0(g)(0.90g)を均一に散布し、その上に0.3psiの荷重を均一にさらに付与できるピストンを載せた。ピストンは、外径60mmより若干小さく、円筒の内壁との隙間がなく、上下の動きが妨げられないようにした。このとき、前記装置の重量W3(g)を測定した。
【0133】
直径150mmのペトロ皿の内側に直径90mmおよび厚さ5mmのガラスフィルターを置いて、0.9重量%塩化ナトリウムで構成された生理食塩水をガラスフィルターの上面と同一のレベルになるように注いだ。その上に直径90mmのろ過紙1枚を載せた。ろ過紙の上に前記測定装置を載せ、液を荷重下で1時間吸収させた。1時間後に測定装置を持ち上げ、その重量W4(g)を測定した。
【0134】
得られた各重量を用いて、以下の式により加圧吸収能(g/g)を算出した。
【0135】
[数学式2]
AUP(g/g)=[W4(g)-W3(g)]/W0(g)
【0136】
(4)吸収速度(Vortex time、s):150~850μm粒径の粒子を測定
前記実施例および比較例の高吸水性樹脂の吸収速度(vortex time)を下記の方法で測定した。
【0137】
(i)まず、底が平らな100mLのビーカーに100mLのMass Cylinderを用いて50mLの0.9%塩水を入れた。
(ii)次いで、前記ビーカーがマグネチック撹拌機の中央に位置するように置いた後、前記ビーカー中に円形マグネチックバー(直径30mm)を入れた。
(iii)その後、前記マグネチックバーが600rpmで撹拌するように撹拌機を作動させ、撹拌によって生じた渦流(vortex)の最も下部が前記マグネチックバーの上に当たるようにした。
(iv)ビーカー内の塩水の温度が24.0℃となったことを確認した後、2±0.01gの高吸水性樹脂試料を投入しながら、同時にストップウォッチを作動させ、渦流が無くなって液表面が完全に水平になるまでの時間を秒単位で測定し、これを吸収速度とした。
【0138】
【表2】
【0139】
実施例1
350mm×100mmの大きさの第1不織布(製品名:Softhann(登録商標)、メーカー: Sambo)1の上に接着剤(製品名:FLC7228AZP、メーカー:HB Fuller)(接着剤層、3)0.4gをhot melt sprayerで均一に塗布した後、前記製造例で製造した高吸水性樹脂4gを供給速度(feed rate)2g/sで均一に塗布して高吸水性樹脂の第1塗布層4を製造した。その上に0.4gの接着剤を塗布して接着剤の第1塗布層5を製造した。その後、前記高吸水性樹脂の第1塗布層4と接着剤の第1塗布層5の製造過程を2回さらに繰り返し、高吸水性樹脂の第2塗布層6、接着剤の第2塗布層7、高吸水性樹脂の第3塗布層8および接着剤層4を製造した後、第2不織布(製品名:Softhann(登録商標)、メーカー:Sambo)2を付着して吸収体を製造した。各接着剤層に用いられた接着剤量は0.4gで同一であり、各高吸水性樹脂層に用いられた高吸水性樹脂量は4gで同一である。
【0140】
実施例2
接着剤をそれぞれ0.8gずつ塗布したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で吸収体を製造した。
【0141】
実施例3
接着剤をそれぞれ1.6gずつ塗布したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で吸収体を製造した。
【0142】
比較例1
350mm×100mmの大きさの第1不織布(製品名:Softhann(登録商標)、メーカー:Sambo)の上に接着剤(製品名:FLC7228AZP、メーカー:HB Fuller)(接着剤層)0.6gをhot melt sprayerで均一に塗布した後、前記製造例で製造した高吸水性樹脂12gを供給速度(feed rate)2g/sで均一に塗布して高吸水性樹脂塗布層を製造した。その上に0.6gの接着剤を同一に塗布して接着剤層を製造した後、第2不織布(製品名:Softhann(登録商標)、メーカー:Sambo)を付着して吸収体を製造した。
【0143】
比較例2
350mm×100mmの大きさの第1不織布(製品名:Softhann(登録商標)、メーカー:Sambo)の上に前記製造例で製造した高吸水性樹脂12gを塗布した後、熱接着器(製品名SK110、メーカー:LOVERO)を用いて、100℃以上150℃以下の温度で、10秒以上30秒以下に熱を加え、Thermal bondingを通じて前記高吸水性樹脂を格子形式で固定させて吸収体を製造した。
【0144】
実験例2
前記実施例および比較例で製造した吸収体に対して、以下のような方法で物性を評価し、下記の表2に示した。
【0145】
(1)吸収体内の高吸水性樹脂層固定率(重量%)
不織布内の高吸水性樹脂層の固定率は、不織布内のコア(core)高吸水性樹脂の流出量をテストしたものである。前記各実施例および比較例の吸収体を振動回数65回/分、振幅15mm、100回振動させ、漏れずに吸収体内に残存する高吸水性樹脂の量を測定して重量%に示した。
【0146】
(2)高吸水性樹脂充填率(%)
高吸水性樹脂充填率は、吸収体内に高吸水性樹脂が占める面積比率を意味するものであり、以下のように測定される。
【0147】
吸収体を染料(製品名:FD&C BLUE NO.1 POWDER、メーカー:SENSIENT)で染色した後に乾燥させ、高吸水性樹脂の部分だけ選択的に染色されたことを確認した後、染色された部分の面積をスペクトル範囲(spectral range)400nmないし700nm、波長分解能(wavelength resolution)<3nmの条件で、カラーメーター(機器名:Labscan XE、メーカー:Hunter lab)で測定した。
【0148】
(3)リウェット(Rewet、g)
加圧条件での再湿潤特性を評価するために、下記の方法でリウェット特性を測定した。
【0149】
前記方法で製造された吸収体(350mm×100mm×3mmの大きさ)の真ん中に0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)85mLを注入して2分後、前記吸収体の真ん中に300mm×90mmの大きさの紙(300gsmのフィルター紙(S-300、 HANKUK PAPER)、1枚約1.5g(W(g)))を位置させた。それから2分後、紙の重量(W(g))を測定して吸収体から紙に染み出た塩水量を測定し、紙を除去した。前記生理食塩水の注入時点から15分後、前記吸収体の中央に重りを載せて0.42psiの圧力を加えながら、同じ位置に生理食塩水85mLをさらに注入した。15分後、吸収体上に置かれた重りをしばらく除去して吸収体上に新たな紙(300gsmのフィルター紙(S-300、HANKUK PAPER)、1枚約1.5g(W(g)))を置いた後、紙の上に再び重りを置いて吸収体と重りの間に紙を位置させた。2分後、紙の重量(W(g))を測定して吸収体から紙に染み出た塩水の量を測定して、下記の数学式3によって再湿潤量(g)を算出した。
【0150】
[数学式3]
再湿潤量(g)=(W(g)-W(g))+(W(g)-W(g))
【0151】
前記数学式3で、
(g)は、無加圧下で、前記吸収体に生理食塩水を注入した2分後、2分間吸収体から染み出た液体を吸収した紙の重量であり、W(g)は、紙の初期重量であり、W(g)は、無加圧および加圧下で前記吸収シートに生理食塩水を注入した後、荷重(0.42psi)下で、2分間吸収シートから染み出た液体を吸収した紙の重量である。
【0152】
【表3】
【符号の説明】
【0153】
1:第1不織布
2:第2不織布
3:接着剤層
4:高吸水性樹脂の第1塗布層
5:接着剤の第1塗布層
6:高吸水性樹脂の第2塗布層
7:接着剤の第2塗布層
8:高吸水性樹脂の第3塗布層
9:接着剤層
図1
【国際調査報告】