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特表2025-504197モリブデン膜エッチング液組成物及びそれを用いたエッチング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】モリブデン膜エッチング液組成物及びそれを用いたエッチング方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20250130BHJP
   C23F 1/26 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
H01L21/306 F
C23F1/26
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546502
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-08-06
(86)【国際出願番号】 KR2022016316
(87)【国際公開番号】W WO2023182602
(87)【国際公開日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】10-2022-0035197
(32)【優先日】2022-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523423908
【氏名又は名称】ワイシーケム カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】YCCHEM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】キム ジュンハン
(72)【発明者】
【氏名】ジン ソンオ
(72)【発明者】
【氏名】イ スンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イ スンフン
【テーマコード(参考)】
4K057
5F043
【Fターム(参考)】
4K057WA13
4K057WB08
4K057WE02
4K057WE03
4K057WE04
4K057WE07
4K057WE08
4K057WE11
4K057WE25
4K057WF06
4K057WN01
5F043AA26
5F043BB18
5F043DD07
5F043DD30
5F043GG02
5F043GG04
5F043GG10
(57)【要約】
本発明は、組成物の全重量に対して、無機酸0.1~10重量%、酸化剤0.001~5重量%、フッ素化合物0.001~3重量%、pH調整剤2~4重量%、添加剤0.0001~2重量%、及び残量の水からなることを特徴とする、酸化アルミニウム膜及び酸化シリコン膜のエッチングを抑制しながらモリブデン膜及び変性モリブデン膜をエッチングするためのエッチング液組成物、及びそれを用いたエッチングッ方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機酸、
酸化剤、
フッ素化合物、
pH調整剤、
添加剤、及び
水を含む、酸化アルミニウム膜及び酸化シリコン膜のエッチングを抑制しながらモリブデン膜及び変性モリブデン膜をエッチングするためのエッチング液組成物。
【請求項2】
組成物の全重量に対して、無機酸0.1~10重量%、
酸化剤0.001~5重量%、
フッ素化合物0.001~3重量%、
pH調整剤2~4重量%、
添加剤0.0001~2重量%、及び残量の水からなることを特徴とする、請求項1に記載の酸化アルミニウム膜及び酸化シリコン膜のエッチングを抑制しながらモリブデン膜及び変性モリブデン膜をエッチングするためのエッチング液組成物。
【請求項3】
前記無機酸は、硫酸、リン酸、ポリリン酸、塩酸、p-トルエンスルホン酸、及びこれらの混合物よりなる群から選択されるいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の酸化アルミニウム膜及び酸化シリコン膜のエッチングを抑制しながらモリブデン膜及び変性モリブデン膜をエッチングするためのエッチング液組成物。
【請求項4】
前記酸化剤は、過酸化水素、硝酸、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、過ヨウ素酸、尿素-過酸化水素、tert-ブチルヒドロペルオキシド、及び2-ブタンペルオキシドよりなる群から選択されるいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の酸化アルミニウム膜及び酸化シリコン膜のエッチングを抑制しながらモリブデン膜及び変性モリブデン膜をエッチングするためのエッチング液組成物。
【請求項5】
前記フッ素化合物は、フッ酸、フッ化アンモニウム、テトラフルオロホウ酸、及びヘキサフルオロシリケートよりなる群から選択されるいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の酸化アルミニウム膜及び酸化シリコン膜のエッチングを抑制しながらモリブデン膜及び変性モリブデン膜をエッチングするためのエッチング液組成物。
【請求項6】
前記pH調整剤は、リン酸塩及び硫酸塩よりなる群から選択されるいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の酸化アルミニウム膜及び酸化シリコン膜のエッチングを抑制しながらモリブデン膜及び変性モリブデン膜をエッチングするためのエッチング液組成物。
【請求項7】
前記添加剤は、下記化学式1で表される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の酸化アルミニウム膜及び酸化シリコン膜のエッチングを抑制しながらモリブデン膜及び変性モリブデン膜をエッチングするためのエッチング液組成物。
[化学式1]
F(CF2CF2)xCH2CH2OH
(式中、xは1~10の範囲の自然数である。)
【請求項8】
前記添加剤は、前記化学式1で表される化合物中のxが3~7の範囲の整数であることを特徴とする、請求項7に記載の酸化アルミニウム膜及び酸化シリコン膜のエッチングを抑制しながらモリブデン膜及び変性モリブデン膜をエッチングするためのエッチング液組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のエッチング液組成物を用いて酸化アルミニウム膜及び酸化シリコン膜のエッチングを抑制しながらモリブデン膜及び変性モリブデン膜をエッチングするためのエッチング方法。
【請求項10】
モリブデン膜のエッチング速度は3Å/min以上であり、酸化モリブデン膜のエッチング速度は3Å/min以上であり、酸化アルミニウム膜のエッチング速度は2Å/min未満であり、酸化シリコン膜のエッチング速度は2Å/min未満であることを特徴とする、請求項9に記載の酸化アルミニウム膜及び酸化シリコン膜のエッチングを抑制しながらモリブデン膜及び変性モリブデン膜をエッチングするためのエッチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子を製造する工程においてモリブデン膜をエッチングすることができるエッチング液組成物、及び該組成物を用いたエッチング方法に係り、具体的には、絶縁膜のエッチングを顕著に抑制しながらモリブデン膜及び変性モリブデン膜を同時に除去することにより、モリブデン膜を十分にエッチングすることができるエッチング液組成物、及び該組成物を用いるエッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体を製造する工程において、モリブデン膜(Mo)は、半導体デバイス及び液晶ディスプレイの薄膜トランジスタのゲート電極、配線、バリア層やコンタクトホール又はビアホールの埋め込みなどに使用されている。
半導体を製造する工程において、前記モリブデン膜(Mo)は、伝導性金属として使用されており、単独で、又は前記酸化アルミニウム膜(AlO)及び酸化シリコン膜(SiO)を積層して使用できる。
半導体を製造する工程のうち、モリブデン膜(Mo)を除去する工程としては、ドライエッチング工程とウェットエッチング工程があり、これらを一緒に使用する場合もある。
このとき、特定部分の酸化アルミニウム膜(AlO)及び酸化シリコン膜(SiO)のエッチングを抑制しながらモリブデン膜(Mo)をエッチングすることができるエッチング工程は、ドライエッチング工程では困るため、ウェットエッチング工程が必要である。
また、モリブデン膜(Mo吸着剤)を除去することができながら、このようなエッチング過程において発生する酸化モリブデン膜(MoO)などの変性モリブデン膜を同時に除去することができるエッチング液組成物が求められる。
韓国公開特許第10-2021-0051085号公報には、モリブデン膜(Mo)のエッチングのためのエッチング液組成物、及びこれを用いたパターン形成方法に関する技術が開示されている。
しかし、上記の特許文献の場合には、エッチング対象膜であるモリブデン膜(Mo)をエッチングする過程でフッ素化合物を用いて酸化アルミニウム膜(AlO)及び酸化シリコン膜(SiO)の損傷を防止することについては開示されているが、酸化モリブデン膜(MoO)などの変性モリブデン膜を同時に除去することについては具体的に開示されていない。
すなわち、従来技術によれば、酸化アルミニウム膜(AlO)及び酸化シリコン膜(SiO)のエッチングを抑制しながらモリブデン膜(Mo)をエッチングすることができるだけであり、モリブデン膜(Mo)をエッチングする過程において発生する酸化モリブデン膜(MoO)などの変性モリブデン膜を同時に除去することができないので、結局、モリブデン膜(Mo)に対するエッチングを満たすエッチング液組成物を提供することができないという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、モリブデン膜(Mo)に対する多様なウェットエッチング工程を行う上で、酸化アルミニウム膜(AlO)及び酸化シリコン膜(SiO)のエッチングを抑制しながらモリブデン膜(Mo)をエッチングすることができるだけであり、酸化モリブデン(MoO)などの変性モリブデン膜を同時に除去することができずにパーティクルが生成される従来技術によるエッチング液組成物の問題点を解決するためのものであって、酸化アルミニウム膜(AlO)及び酸化シリコン膜(SiO)のエッチングを顕著に抑制するとともに、モリブデン膜(Mo)及び酸化モリブデン膜(MoO)などの変性モリブデン膜を同時に除去することにより、モリブデン膜(Mo)に対するエッチングを満たすことができながら半導体製造工程において広範囲に適用可能であるうえ、パーティクルが生成される問題点を改善することができるエッチング液組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、このようなエッチング液組成物を用いるエッチング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係るエッチング液組成物は、無機酸、酸化剤、フッ素化合物、pH調整剤、下記化学式1で表される添加剤、及び残量の水を含むエッチング液組成物であって、酸化アルミニウム膜(AlO)及び酸化シリコン膜(SiO)のエッチングを顕著に抑制しながら、モリブデン膜(Mo)及び変性膜質(酸化モリブデン膜(MoO))を同時に除去することにより、モリブデン膜(Mo)に対するエッチングを満たすエッチング液組成物である。
本発明のエッチング液組成物中に含まれる無機酸は、硫酸、リン酸、ポリリン酸、塩酸、p-トルエンスルホン酸、及びこれらの混合物よりなる群から選択されるいずれか1種であってもよい。
ここで、前記無機酸の含有量は、エッチング液組成物の総重量に対して0.1~10重量%で含んでもよい。
また、本発明のエッチング液組成物中に含まれる酸化剤は、過酸化水素、硝酸、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、過ヨウ素酸、尿素-過酸化水素、tert-ブチルヒドロペルオキシド、及び2-ブタンペルオキシドよりなる群から選択されるいずれか1種であってもよい。
このとき、前記酸化剤の含有量は、エッチング液組成物の総重量に対して0.001~5重量%で含んでもよい。
また、本発明のエッチング液組成物中に含まれるフッ素化合物は、フッ酸、フッ化アンモニウム、テトラフルオロホウ酸、及びヘキサフルオロシリケートよりなる群から選択されるいずれか1種であってもよい。
このとき、前記フッ素化合物の含有量は、エッチング液組成物の総重量に対して0.001~3重量%で含んでもよい。
また、本発明のエッチング液組成物中に含まれるpH調整剤は、リン酸塩及び硫酸塩よりなる群から選択されるいずれか1種であってもよい。
このとき、前記pH調整剤の含有量は、エッチング液組成物の総重量に対して0.1~10重量%で含んでもよい。
また、本発明のエッチング液組成物中に含まれる添加剤は、下記化学式1で表されるものであって、前記化学式1の含有量は、エッチング液組成物の総重量に対して0.0001~2重量%で含んでもよい。
【0005】
[化学式1]
F(CF2CF2)xCH2CH2OH
(式中、xは1~10の範囲の整数である。)
前記エッチング液組成物は、工程において要求されるモリブデン膜(Mo)及び変性膜質(酸化モリブデン膜(MoO))のエッチング速度を著しく速く維持しながらも、酸化アルミニウム膜(AlO)及び酸化シリコン膜(SiO)のエッチング抑制を行うために、組成物の組成成分及び組成比率を調節することができるものであり、特に、化学式1で表される添加剤の含有量を調節することができるものであって、これにより、モリブデン膜(Mo)及び変性膜質(酸化モリブデン膜(MoO))をエッチングしながら、酸化アルミニウム膜(AlO)及び酸化シリコン膜(SiO)のエッチング抑制が可能である。
エッチング液組成物のエッチング工程の温度は、常温~60℃であってもよく、エッチング工程の安定性を増大させるために、無機酸と残りの組成成分とを設備内で混合して使用することができ、設備外で混合する場合にはエッチング工程の直前に混合して使用することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係るエッチング液組成物は、モリブデン膜(Mo)に対する多様なウェットエッチング工程を行う際に、酸化アルミニウム膜(AlO)及び酸化シリコン膜(SiO)のエッチングを抑制しながらモリブデン膜(Mo)をエッチングすることができるだけであり、酸化モリブデン膜(MoO)などの変性モリブデン膜を同時に除去することができずにパーティクルが生成される従来技術によるエッチング液組成物の問題点を解決する効果を有するものであって、酸化アルミニウム膜(AlO)及び酸化シリコン膜(SiO)のエッチングを顕著に抑制するとともに、モリブデン膜(Mo)及び酸化モリブデン膜(MoO)などの変性モリブデン膜を同時に除去することにより、モリブデン膜(Mo)に対するエッチングを満たすことができながら、半導体製造工程において広範囲に適用可能であるだけでなく、パーティクルが生成される問題点を改善することができるエッチング液組成物、及びそれを用いたエッチング方法を提供する効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明をより詳細に説明する。別に定義されない限り、本発明の明細書で使用された全ての技術的及び科学的用語は、本発明の属する技術分野における熟練した専門家によって通常理解されるのと同じ意味を有する。
一般に、本発明の明細書で使用された命名法は、本発明の属する技術分野でよく知られており、通常使用されるものである。本発明の明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
本発明の一実施形態に係るエッチング用組成物は、無機酸、酸化剤、フッ素化合物、pH調整剤、添加剤及び残量の水を含むエッチング液組成物であって、酸化アルミニウム膜(AlO)及び酸化シリコン膜(SiO)のエッチングを顕著に抑制しながら、モリブデン膜(Mo)及び変性膜質(酸化モリブデン膜(MoO))を同時に除去することにより、モリブデン膜(Mo)に対するエッチング量を満たすエッチング液組成物である。
本発明の一実施形態によるエッチング液組成物中に含まれる無機酸は、硫酸、リン酸、ポリリン酸、塩酸、p-トルエンスルホン酸、及びこれらの混合物よりなる群から選択されるいずれか1種であり得る。
このとき、前記無機酸の含有量は、エッチング液組成物の総重量に対して0.1~10重量%で含むことができる。
また、本発明のエッチング液組成物中に含まれる酸化剤は、過酸化水素、硝酸、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、過ヨウ素酸、尿素-過酸化水素、tert-ブチルヒドロペルオキシド、及び2-ブタンペルオキシドよりなる群から選択されるいずれか1種であり得る。
ここで、前記酸化剤の含有量は、エッチング液組成物の総重量に対して0.001~5重量%で含むことができる。
また、本発明のエッチング液組成物中に含まれるフッ素化合物は、フッ酸、フッ化アンモニウム、テトラフルオロホウ酸、及びヘキサフルオロシリケートよりなる群から選択されるいずれか1種であり得る。
ここで、前記フッ素化合物の含有量は、エッチング液組成物の総重量に対して0.001~3重量%で含むことができる。
また、本発明のエッチング液組成物中に含まれるpH調整剤は、リン酸塩及び硫酸塩よりなる群から選択されるいずれか1種であり得る。
ここで、前記pH調整剤の含有量は、エッチング液組成物の総重量に対して0.1~10重量%で含むことができる。
また、本発明のエッチング液組成物中に含まれる添加剤は、下記化学式1で表されるものであって、前記化学式1の含有量は、エッチング液組成物の総重量に対して0.0001~2重量%で含むことができる。
【0008】
[化学式1]
F(CF2CF2)xCH2CH2OH
(式中、xは1~10の範囲の自然数である。)
本発明の一実施形態によれば、組成物の全重量に対して、無機酸0.1~10重量%、酸化剤0.001~5重量%、フッ素化合物0.001~3重量%、pH調整剤2~4重量%、添加剤0.0001~2重量%、及び残量の水からなることを特徴とする、酸化アルミニウム膜及び酸化シリコン膜のエッチングを抑制しながらモリブデン膜及び変性モリブデン膜をエッチングするためのエッチング液組成物、及びそれを用いたエッチング方法に関する。
前記エッチング液組成物は、工程において要求されるモリブデン膜(Mo)及び変性膜質(酸化モリブデン膜(MoO))のエッチング速度を著しく速く維持しながらも、酸化アルミニウム膜(AlO)及び酸化シリコン膜(SiO)のエッチングを抑制するために、組成物の組成成分及び組成比率を調節することができるものであり、特に、化学式1で表される添加剤の含有量を調節することができるものであって、これにより、モリブデン膜(Mo)及び変性膜質(酸化モリブデン膜(MoO))をエッチングしながら、酸化アルミニウム膜(AlO)及び酸化シリコン膜(SiO)のエッチングを抑制することが可能である。
エッチング液組成物のエッチング工程の温度は、常温~60℃であってもよく、エッチング工程の安定性を増大させるために、無機酸と残りの組成成分とを設備内で混合して使用することができ、設備外で混合する場合にはエッチング工程の直前に混合して使用することができる。
【実施例
【0009】
実施例1~22及び比較例1~9
マグネチックバーが設置されているそれぞれの実験用ビーカーに、[表1]に記載された組成比で実施例及び比較例のエッチング液組成物を投入し、ビーカーの上部を密閉させた後、常温で30分間400rpmの速度で攪拌して組成物を製造した。
【表1】
A-1:リン酸
A-2:硫酸
B-1:過酸化水素
B-2:過ヨウ素酸
C-1:ヘキサフルオロシリケート
C-2:フッ化アンモニウム
C-3:テトラブチルアンモニウムフルオロ
D-1:リン酸塩
E-1:化学式1におけるx=3
E-2:化学式1におけるx=4
E-3:化学式1におけるx=5
E-4:化学式1におけるx=6
E-5:化学式1におけるx=7
F-1:脱イオン水

実験例1~22及び比較実験例1~9
実施例1~22及び比較例1~9で製造されたエッチング液によるモリブデン膜(Mo)、変性膜質(酸化モリブデン膜(MoO))、酸化アルミニウム膜(AlO)及び酸化シリコン膜(SiO)のエッチング速度を測定し、その結果を実験例1~22及び比較実験例1~9として表2に記載した。
まず、測定のために、CVD法を用いて半導体製造過程と同様に蒸着してモリブデン膜(Mo)、酸化アルミニウム膜(AlO)及び酸化シリコン膜(SiO)ウエハをそれぞれ準備した。
また、モリブデン膜(Mo)の表面を500℃の温度で30分間熱処理する方法によってMoの表面に変性膜質(酸化モリブデン膜(MoO))を形成させたMoO/Moウエハを準備した。
エッチングを開始する前に、走査電子顕微鏡を用いてエッチング前の厚さを測定した。その後、300rpmの速度で撹拌される石英材質の撹拌槽で、60℃の温度に維持されているエッチング液にモリブデン膜(Mo)、変性膜質(酸化モリブデン膜(MoO))、酸化アルミニウム膜(AlO)、及び酸化シリコン膜(SiO)ウエハを浸漬してエッチング工程を1分間行った。
エッチング完了後に超純水で洗浄した後、乾燥装置を用いて残余エッチング液及び水分を完全に乾燥させた。
乾燥したウエハのクーポンは、走査電子顕微鏡を用いてエッチング後の薄膜の厚さを測定した。これにより、エッチング前とエッチング後の薄膜の厚さの差を計算し、与えられた温度でモリブデン膜、変性膜質(酸化モリブデン膜(MoO))、酸化アルミニウム膜(AlO)、及び酸化シリコン膜(SiO)の1分間のエッチング量を測定した。
【0010】
<評価基準>
モリブデン膜(Mo)
◎:エッチング速度10Å/min以上
○:エッチング速度3Å/min~10Å/min未満
△:エッチング速度1Å/min~3Å/min未満
×:エッチング速度0Å/min以下
酸化モリブデン膜(MoO
◎:エッチング速度10Å/min以上
○:エッチング速度1Å/min~10Å/min未満
△:エッチング速度1Å/min未満
×:エッチング速度0Å/min以下
酸化アルミニウム膜(AlO
◎:エッチング速度1Å/min未満
○:エッチング速度1Å/min~2Å/min未満
△:エッチング速度2Å/min~3Å/min未満
×:エッチング速度3Å/min以上
酸化シリコン膜(SiO
◎:エッチング速度1Å/min未満
○:エッチング速度1Å/min~2Å/min未満
△:エッチング速度2Å/min~3Å/min未満
×:エッチング速度3Å/min以上
【表2】
前記表2に示すように、実験例1~22の結果を見ると、モリブデン膜及び変性膜質(酸化モリブデン膜(MoO))のエッチング量を満たしながら、酸化アルミニウム膜(AlO)、酸化シリコン膜(SiO)のエッチングを顕著に抑制する効果を示している。
【0011】
これに対し、比較実験例1~9の結果を見ると、モリブデン膜(Mo)及び変性膜質(酸化モリブデン膜(MoO))のエッチング量を満たすが、酸化アルミニウム膜(AlO)、酸化シリコン膜(SiO)のエッチングを顕著に抑制することができないので、本発明のエッチング液として採用することができないのである。
以上、本発明の特定の部分を詳細に記述したが、当業分野における通常の知識を有する者にとって、このような具体的記述は、好適な実施態様に過ぎず、この実施態様によって本発明の範囲が制限されるものではない点は明らかであろう。よって、本発明の実質的な範囲は、請求項とそれらの等価物によって定義されるというべきである。
【国際調査報告】