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特表2025-504463フィルム温度および厚さ測定装置およびこれを用いた測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】フィルム温度および厚さ測定装置およびこれを用いた測定方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/92 20190101AFI20250204BHJP
   B29C 48/08 20190101ALI20250204BHJP
   B29C 48/15 20190101ALI20250204BHJP
【FI】
B29C48/92
B29C48/08
B29C48/15
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543024
(86)(22)【出願日】2023-09-21
(85)【翻訳文提出日】2024-07-18
(86)【国際出願番号】 KR2023014403
(87)【国際公開番号】W WO2024090804
(87)【国際公開日】2024-05-02
(31)【優先権主張番号】10-2022-0140518
(32)【優先日】2022-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0125503
(32)【優先日】2023-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ド・ヒュン・イ
(72)【発明者】
【氏名】スン・ホン・イ
【テーマコード(参考)】
4F207
【Fターム(参考)】
4F207AG01
4F207AM32
4F207AP05
4F207AP11
4F207AQ01
4F207AR06
4F207AR12
4F207KA01
4F207KA17
4F207KK64
4F207KL84
4F207KM06
4F207KM15
(57)【要約】
本発明は、インライン(In-line)方式で押出またはコーティング成形されるフィルムの同一地点でフィルムの表面温度と厚さを順次測定し、測定されたデータに基づき、フィルムの温度および厚さ制御により均一な厚さのフィルムを製造できるようにしたフィルム温度および厚さ測定装置およびこれを用いた測定方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出またはコーティング成形されるフィルムの温度と厚さを測定するための測定装置において、
前記成形されるフィルムを一方向に搬送させる回転ロールが備えられる搬送部と、
前記回転ロールの外周面から離隔設置され、前記搬送されるフィルムの厚さを測定する厚さ測定部と、
前記厚さ測定部に隣接して配置され、前記搬送されるフィルムの表面温度を測定する温度測定部と、
前記厚さ測定部および温度測定部によりそれぞれ測定された測定値が基準値を超えるか否かを判断する制御部と、を含むフィルム温度および厚さ測定装置。
【請求項2】
前記温度測定部および厚さ測定部は、
前記搬送されるフィルムの同一地点に対するフィルムの表面温度と厚さを順次測定できるように、前記フィルムの搬送方向と同一線上に配置されるものである、請求項1に記載のフィルム温度および厚さ測定装置。
【請求項3】
前記フィルムの搬送方向の上流から下流方向に厚さ測定部と温度測定部が順に配置されるものである、請求項2に記載のフィルム温度および厚さ測定装置。
【請求項4】
前記フィルムの搬送方向の上流から下流方向に温度測定部と厚さ測定部が順に配置されるものである、請求項2に記載のフィルム温度および厚さ測定装置。
【請求項5】
前記厚さ測定部は、
前記回転ロールの中心軸線と平行に離隔配置されるガイドレールと、
前記ガイドレールの長手方向に沿って動力を受けて往復移動可能に結合される移動プレートと、
前記移動プレート上に第1ブラケットを介して結合され、前記回転ロールにより搬送されるフィルムの表面に向かってレーザを照射して、フィルムの厚さを測定するレーザ変位センサと、を含む、請求項1に記載のフィルム温度および厚さ測定装置。
【請求項6】
前記移動プレートは、
前記ガイドレールの長手方向と交差する方向に往復移動可能に結合されて、前記回転ロールの外周面と離隔距離を調整できるようにしたことを含む、請求項5に記載のフィルム温度および厚さ測定装置。
【請求項7】
前記第1ブラケットは、
前記移動プレートの第1ヒンジ軸を回転中心として前記フィルムの搬送方向に沿って所定角度旋回可能に結合されて、前記レーザ変位センサのレーザ照射角度を調整できるようにしたことを含む、請求項5に記載のフィルム温度および厚さ測定装置。
【請求項8】
前記温度測定部は、
前記第1ブラケット上に前記回転ロールの長手方向と交差する方向に沿って前後進可能に結合される第2ブラケットと、
前記第2ブラケット上に設けられて、前記回転ロールにより搬送されるフィルムの表面温度を測定する赤外線温度センサと、を含む、請求項5に記載のフィルム温度および厚さ測定装置。
【請求項9】
前記赤外線温度センサは、
前記第2ブラケットの第2ヒンジ軸を回転中心として前記フィルムの搬送方向に沿って所定角度旋回可能に結合されて、前記赤外線温度センサの赤外線照射位置を調整できるようにしたことを含む、請求項8に記載のフィルム温度および厚さ測定装置。
【請求項10】
前記温度測定部および厚さ測定部は、
前記フィルムが押出成形される場合、前記フィルムの搬送方向に沿って0~30mm以内の近接位置を測定するものである、請求項2に記載のフィルム温度および厚さ測定装置。
【請求項11】
前記温度測定部および厚さ測定部は、
前記フィルムがコーティング成形される場合、前記フィルムの搬送方向に沿って0~100mm以内の近接位置を測定するものである、請求項2に記載のフィルム温度および厚さ測定装置。
【請求項12】
押出またはコーティング工程によりフィルムを成形するステップと、
前記成形されるフィルムを回転ロールにより一方向に搬送するステップと、
前記回転ロールにより搬送されるフィルムの表面に向かって赤外線を照射して、所定地点のフィルム温度を測定するステップと、
前記温度が測定されたフィルムの表面の同一または近接位置にレーザを照射して、前記フィルムの厚さを測定するステップと、
前記フィルムの温度と厚さ測定値が基準値を超えるか否かを判断するステップと、
前記測定値が基準値を超える場合、前記フィルム製造工程の条件を変更するステップと、を含むフィルム温度および厚さ測定方法。
【請求項13】
前記フィルムの厚さを測定するステップは、
前記搬送されるフィルムの同一地点に対するフィルムの表面温度と厚さを順次測定できるように、前記フィルムの搬送方向と同一線上で前記フィルムの温度を測定した後、前記フィルムの厚さを測定するものである、請求項12に記載のフィルム温度および厚さ測定方法。
【請求項14】
前記フィルムの温度を測定するステップは、
前記搬送されるフィルムの同一地点に対するフィルムの厚さと表面温度を順次測定できるように、前記フィルムの搬送方向と同一線上で前記フィルムの厚さを測定した後、前記フィルムの温度を測定するものである、請求項12に記載のフィルム温度および厚さ測定方法。
【請求項15】
前記フィルムの厚さを測定するステップは、
レーザ変位センサにより前記フィルムが搬送されていない状態の回転ロール表面に向かってレーザを照射して、前記回転ロールの外径を測定し、これを基本値に設定するステップと、
前記回転ロールを用いたフィルムの搬送時、前記レーザ変位センサにより前記フィルムの表面にレーザを照射して、フィルムとの距離測定値を測定するステップと、
前記フィルムとの距離測定値から基本値を差し引いて、前記フィルムの厚さを導出するステップと、を含む、請求項12~14のいずれか1項に記載のフィルム温度および厚さ測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2022年10月27日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2022-0140518号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本発明に含まれる。
本発明は、インライン(In-line)方式を用いた高分子フィルムの製造工程時、製造されるフィルムの温度と厚さを順次測定できるフィルム温度および厚さ測定装置およびこれを用いた測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、二次電池用分離膜として多孔膜状の高分子フィルムが用いられる。高分子フィルムは、通常、押出機により吐出された高分子樹脂溶融物をフィルム状に成形した後、延伸および熱固定の工程を経て製造する。
【0003】
このようなフィルム製造工程は、ロールトゥロール(Roll to Roll)構造のインライン(In-line)方式で行われ、製造される結果物は長方形の分離膜原反の形態であり、追って、所定の大きさに切断された後、分離膜基材として用いられる。
【0004】
前記分離膜に用いられる高分子フィルムは、製品歩留まりの向上のために、分離膜全体にわたって均一な厚さのばらつきを有することが好ましい。これによって、高分子フィルムの押出工程時に厚さを測定して、製造されるフィルムの厚さ均一性を制御する必要がある。
【0005】
従来は高分子フィルムの厚さのみを主に測定したが、高分子素材の熱膨張係数(Thermal expansion coefficient)によるリアルタイム工程温度により、製造されるフィルムの厚さが変化しうる。このようにフィルム厚さの均一度の差が発生する場合、後工程でうねりおよび素材の厚さのばらつきによって製品不良が発生することがある。
【0006】
今のところ、フィルムの温度変化によるリアルタイム測定方式がないことから、フィルムの厚さ変化に対する測定と温度変化による予測が不可能である。したがって、従来は、工程の変更後、サンプリング方式の厚さ実測および素材の特性によるサンプル測定と計測器キャリブレーション(Calibration)の進行を経て製品を製造した。
【0007】
具体的には、図1を参照すれば、従来は、押出機10によりフィルム1が押出成形された後、別の工程でスキャン方式のローディングレベル密度測定器3を活用してフィルム1の厚さを測定した。この場合、ローディングレベル密度測定器3で製品の厚さ値の確認のための事前準備作業が必要である。すなわち、フィルム1のサンプルを活用してキャリブレーション作業後、フィルム1の厚さの確認が可能であった。
【0008】
しかし、前記フィルム1のサンプルの厚さ実測は、巻取ロール5のリワインダの後の製造設備を停止した状態で確認が可能であり、別の赤外線表面赤外線温度センサを活用してフィルム1のサンプル温度を測定しなければならないなどの煩わしい問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の問題点を解決するためのものであって、インライン(In-line)方式で押出またはコーティング成形されるフィルムの同一地点でフィルムの表面温度と厚さを順次測定し、測定されたデータに基づき、フィルムの温度および厚さ制御により均一な厚さのフィルムを製造できるようにしたフィルム温度および厚さ測定装置およびこれを用いた測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を実現するための、本発明によるフィルム温度および厚さ測定装置は、押出またはコーティング成形されるフィルムの温度と厚さを測定するための測定装置において、前記成形されるフィルムを一方向に搬送させる回転ロールが備えられる搬送部と、前記回転ロールの外周面から離隔設置され、前記搬送されるフィルムの厚さを測定する厚さ測定部と、前記厚さ測定部に隣接して配置され、前記搬送されるフィルムの表面温度を測定する温度測定部と、前記厚さ測定部および温度測定部によりそれぞれ測定された測定値が基準値を超えるか否かを判断する制御部と、を含むことができる。
【0011】
この場合、前記温度測定部および厚さ測定部は、前記搬送されるフィルムの同一地点に対するフィルムの表面温度と厚さを順次測定できるように、前記フィルムの搬送方向と同一線上に配置される。
ここで、前記フィルムの搬送方向の上流から下流方向に厚さ測定部と温度測定部が順に配置される。
あるいは、前記フィルムの搬送方向の上流から下流方向に温度測定部と厚さ測定部が順に配置されてもよい。
【0012】
また、前記厚さ測定部は、前記回転ロールの中心軸線と平行に離隔配置されるガイドレールと、前記ガイドレールの長手方向に沿って動力を受けて往復移動可能に結合される移動プレートと、前記移動プレート上に第1ブラケットを介して結合され、前記回転ロールにより搬送されるフィルムの表面に向かってレーザを照射して、フィルムの厚さを測定するレーザ変位センサと、を含むことができる。
【0013】
また、前記移動プレートは、前記ガイドレールの長手方向と交差する方向に往復移動可能に結合されて、前記回転ロールの外周面と離隔距離を調整することができる。
また、前記第1ブラケットは、前記移動プレートの第1ヒンジ軸を回転中心として前記フィルムの搬送方向に沿って所定角度旋回可能に結合されて、前記レーザ変位センサのレーザ照射角度を調整できるようにしたことを含むことができる。
【0014】
また、前記温度測定部は、前記第1ブラケット上に前記回転ロールの長手方向と交差する方向に沿って前後進可能に結合される第2ブラケットと、前記第2ブラケット上に設けられて、前記回転ロールにより搬送されるフィルムの表面温度を測定する赤外線温度センサと、を含むことができる。
また、前記赤外線温度センサは、前記第2ブラケットの第2ヒンジ軸を回転中心として前記フィルムの搬送方向に沿って所定角度旋回可能に結合されて、前記赤外線温度センサの赤外線照射位置を調整できるようにしたことを含むことができる。
【0015】
また、前記温度測定部および厚さ測定部は、前記フィルムが押出成形される場合、前記フィルムの搬送方向に沿って0~30mm以内の近接位置を測定することができる。
また、前記温度測定部および厚さ測定部は、前記フィルムがコーティング成形される場合、前記フィルムの搬送方向に沿って0~100mm以内の近接位置を測定することができる。
【0016】
一方、本発明によるフィルム温度および厚さ測定方法は、
押出またはコーティング工程によりフィルムを成形するステップと、前記成形されるフィルムを回転ロールにより一方向に搬送するステップと、前記回転ロールにより搬送されるフィルムの表面に向かって赤外線を照射して、所定地点のフィルム温度を測定するステップと、前記温度が測定されたフィルムの表面の同一または近接位置にレーザを照射して、前記フィルムの厚さを測定するステップと、前記フィルムの温度と厚さ測定値が基準値を超えるか否かを判断するステップと、前記測定値が基準値を超える場合、前記フィルム製造工程の条件を変更するステップと、を含むことができる。
【0017】
ここで、前記フィルムの厚さを測定するステップは、前記搬送されるフィルムの同一地点に対するフィルムの表面温度と厚さを順次測定できように、前記フィルムの搬送方向と同一線上で前記フィルムの温度を測定した後、前記フィルムの厚さを測定することができる。
【0018】
あるいは、前記フィルムの温度を測定するステップは、前記搬送されるフィルムの同一地点に対するフィルムの厚さと表面温度を順次測定できるように、前記フィルムの搬送方向と同一線上で前記フィルムの厚さを測定した後、前記フィルムの温度を測定することができる。
【0019】
この場合、前記フィルムの厚さを測定するステップは、レーザ変位センサにより前記フィルムが搬送されていない状態の回転ロールの表面に向かってレーザを照射して、前記回転ロールの外径を測定し、これを基本値に設定するステップと、前記回転ロールを用いたフィルムの搬送時、前記レーザ変位センサにより前記フィルムの表面にレーザを照射して、フィルムとの距離測定値を測定するステップと、前記フィルムとの距離測定値から基本値を差し引いて、前記フィルムの厚さを導出するステップと、を含むことができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のような構成の本発明によるフィルム温度および厚さ測定装置およびこれを用いた測定方法は、インライン(In-line)方式で押出またはコーティング成形されるフィルムの同一地点で表面温度と厚さを順次測定し、測定された当該データ測定値を基準値と比較して、多様なフィルム製造工程の条件を変更したり、熱固定などの過程を経たりすることができる。
【0021】
すなわち、本発明によるフィルム温度および厚さ測定装置を用いて、前記フィルムの温度および厚さ測定値により製造されるフィルムの温度変化および素材変化を予め予測することができ、これに基づき、均一な厚さのフィルムを製造することができる。
【0022】
特に、フィルムの押出またはコーティング成形後に搬送されるフィルムの同一近接位置でフィルムの温度および厚さを順次測定できることにより、従来のようなフィルム製品のサンプル実測過程を必要とせず、製造工程にかかる時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】従来のインライン方式のフィルム製造工程を示す概略図、
図2】本発明によるフィルム温度および厚さ測定装置が適用されたインライン方式のフィルム製造工程を示す概略図、
図3】本発明によるフィルム温度および厚さ測定装置の概略構成図、
図4】本発明によるフィルム温度および厚さ測定装置の斜視図、
図5】本発明によるフィルム温度および厚さ測定装置の要部斜視図、
図6】本発明によるフィルム温度および厚さ測定装置の側面図、
図7】本発明による厚さ測定部の構造を示す側面図、
図8】本発明による厚さ測定部の厚さ測定原理を示す概略図、
図9】本発明による温度測定部の構造を示す側面図、
図10】本発明によるフィルム温度および厚さ測定装置の要部詳細図、
図11】本発明によるフィルム温度および厚さ測定装置の配置状態を示す図、
図12】本発明によるフィルム温度および厚さ測定過程を示すフローチャート、
図13】本発明によるフィルム温度および厚さ測定方法と従来の厚さ測定方法とを比較した図面代用写真、 である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付した図面を参照して、本発明の具体的な実施例に対する構成および作用を詳細に説明する。
ここで、各図面の構成要素に対して参照符号を付すにあたり、同一の構成要素に限っては、たとえ他の図面上に表示されてもできるだけ同一の符号で表記されていることに留意しなければならない。
【0025】
図2は、本発明によるフィルム温度および厚さ測定装置が適用されたインライン方式のフィルム製造工程を示す概略図であり、図3は、本発明によるフィルム温度および厚さ測定装置の概略構成図である。
【0026】
図2および図3を参照すれば、本発明の好ましい一実施例によるフィルム温度および厚さ測定装置100は、搬送部110と、厚さ測定部120と、温度測定部130と、制御部140とを含むことができる。
【0027】
参照として、以下、説明の便宜のために、本発明によるフィルム温度および厚さ測定装置100を用いて、押出機10により押出成形されるフィルム1の温度および厚さを測定する場合の一例を挙げて図示および説明する。もちろんこれに限定されるものではなく、基材上にコーティングスラリーを塗布してコーティング層(WETコーティング)が形成されるフィルム1の製造工程時にも、本発明による前記測定装置100を適用してコーティング層が形成されたフィルム1の温度および厚さを測定することができる。
【0028】
このような本発明の構成について具体的に説明すれば、次の通りである。
まず、前記搬送部110は、押出機10から押出成形される高分子フィルム1(以下、「フィルム」と略称する)を一方向に搬送させるもので、このような搬送部110は、ロールトゥロール(Roll to Roll)構造のインライン(In-line)方式が適用されてフィルム1を連続的に製造することができる。
【0029】
具体的には、前記搬送部110は、モータの動力を受けて所定速度で回転しながらフィルム1を搬送させる複数の回転ロール111を含むことができる。
この場合、本発明によるフィルム温度および厚さ測定装置100は、複数の回転ロール111のいずれか1つに設けられる。
【0030】
図4および図5を参照すれば、前記厚さ測定部120は、回転ロール111の外周面から所定間隔離隔して設けられるもので、前記搬送されるフィルム1の厚さをリアルタイムに測定することができる。
【0031】
具体的には、前記厚さ測定部120は、回転ロール111の中心軸線と平行に離隔配置されるガイドレール121と、前記ガイドレール121の長手方向に沿って動力を受けて往復移動可能に結合される移動プレート123と、前記移動プレート123上に第1ブラケット125を介して結合され、回転ロール111により搬送されるフィルム1の表面に向かってレーザを照射して、フィルム1の厚さを測定するレーザ変位センサ127とを含むことができる。
【0032】
図6を参照すれば、前記移動プレート123は、ガイドレール121の長手方向と交差する方向に往復移動可能に結合されて、回転ロール111の外周面との離隔距離を調整することができる。この場合、移動プレート123の離隔距離は、動力を受けて自動調整するか、または手動調整することができる。本発明では、移動プレート123の離隔距離を手動調整する場合を例とする。
【0033】
図7を参照すれば、前記第1ブラケット125は、移動プレート123の第1ヒンジ軸125aを回転中心としてフィルム1の搬送方向に沿って所定角度旋回可能に結合される。これによって、前記フィルム1の表面に向かって照射されるレーザ変位センサ127のレーザ照射角度を調整することができる。
【0034】
この場合、前記レーザ変位センサ127をフィルム1の長手方向や、長手方向と交差する方向にスライド移動する構造は、従来公知の多様な構成要素を選択的に適用して構成できることから、これについての詳細な構造の説明は省略する。
【0035】
図8を参照すれば、前記のような構成の厚さ測定部120を用いたフィルム1の厚さ測定原理は、まず、前記レーザ変位センサ127を用いて、フィルム1が搬送されていない回転ロール111の表面に向かってレーザを照射して、回転ロール111の表面との離隔距離により回転ロール111の外径dを測定し、これを基本値に設定する。参照として、基本値には回転ロール111の真円度などが考えられる。その後、前記回転ロール111を用いたフィルム1の搬送時、レーザ変位センサ127によりフィルム1の表面にレーザを照射して、フィルム1との距離測定値を測定する。その後、前記レーザ変位センサ127によりフィルム1の表面との距離を測定した測定値から基本値を差し引くと、フィルム1の厚さtを導出することができる。
【0036】
再び図6を参照すれば、前記温度測定部130は、厚さ測定部120に隣接して配置されるもので、前記搬送されるフィルム1の表面温度をリアルタイムに測定することができる。
【0037】
図9を参照して具体的に説明すれば、前記温度測定部130は、第1ブラケット125上に回転ロール111の長手方向と交差する方向(フィルム1の搬送方向)に沿って前後進可能に結合される第2ブラケット131と、前記第2ブラケット131上に設けられて、回転ロール111により搬送されるフィルム1の表面温度を測定する赤外線温度センサ133とを含むことができる。
【0038】
この場合、前記赤外線温度センサ133は、第2ブラケット131の第2ヒンジ軸131aを回転中心としてフィルム1の搬送方向に沿って所定角度旋回可能に結合される。これによって、前記赤外線温度センサ133の赤外線照射位置を調整することができる。
前記のような温度測定部130および厚さ測定部120が備えられた温度および厚さ測定装置100は、複数の回転ロール111のうちフィルム1の搬送方向の1番目に位置した回転ロール111(図2参照)に設けられることが好ましい。
【0039】
すなわち、前記フィルム1が押出された後、複数の回転ロール111によりフィルム1が搬送される過程で、熱によってフィルム1が収縮または膨張できる。したがって、搬送過程でフィルム1の収縮と膨張が行われる前、フィルム1が押出成形された直後の温度と厚さを測定することにより、正確な測定データを得ることができる。
【0040】
ただし、本発明では、前記測定装置100を用いたフィルム1の温度/厚さ測定位置を特に限定しない。すなわち、前記測定装置100は、フィルム1の押出工程直後の1番目の回転ロール(ChillまたはCooling roll)や、または2番目や3番目に位置した回転ロールに適用されるか、フィルムの幅方向または長手方向の延伸工程後の回転ロールに適用されてもよい。
【0041】
この場合、前記温度測定部130および厚さ測定部120は、搬送されるフィルム1の同一地点に対するフィルム1の温度と厚さを順次測定できるように、フィルム1の搬送方向と同一線上に配置される。もちろんこれに限定されるものではなく、前記温度測定部130および厚さ測定部120を搬送されるフィルム1の幅方向に近接して配置して、近接位置の温度と厚さを測定することもできる。本発明では、温度測定部130および厚さ測定部120は、搬送されるフィルム1の同一線上に配置された場合の一例を挙げて図示および説明する。
【0042】
図10を参照すれば、前記温度測定部130および厚さ測定部120の測定位置Lは、フィルム1が押出成形される場合には、フィルム1の搬送方向に沿って0~30mm以内、好ましくは、0~10mm以内で同一近接位置を順次測定することが好ましい。すなわち、前記温度測定部130および厚さ測定部120の測定位置Lが30mm超過の場合、フィルム押出後の温度変化によって誤差が発生することがある。
【0043】
そして、前記フィルム1がコーティング成形される場合の前記温度測定部130および厚さ測定部120の測定位置Lは、フィルム1の搬送方向に沿って0~100mm以内の近接位置を測定することが好ましい。すなわち、前記フィルム1がコーティング成形される場合、押出成形より速い搬送速度でフィルム1を搬送させる。これによって、前記測定位置Lも、速度に比例して範囲が増加できる。
図11を参照すれば、前記のような構造の温度測定部130および厚さ測定部120は、ガイドレール121の長手方向に沿って複数個が離隔配置されて、フィルム1の複数の地点に対する温度と厚さを順次測定することができる。
【0044】
この場合、本発明では、押出搬送されるフィルム1の所定地点の温度を先に測定した後、フィルム1の同一地点の厚さを測定する場合の一例を挙げて図示および説明したが、これに限定されるものではなく、前記押出搬送されるフィルム1の厚さを先に測定した後、フィルム1の温度を測定する場合に変更適用可能である。
【0045】
すなわち、押出搬送されるフィルム1の、該回転ロール111により搬送される搬送方向の上流から下流方向を基準として、上流側に厚さ測定部120が形成され、下流側に温度測定部130が形成される。あるいは、押出搬送されるフィルム1の、該回転ロール111により搬送される搬送方向の上流から下流方向を基準として、上流側に温度測定部130が形成され、上流側に温度測定部120が形成されてもよい。
【0046】
一方、前記制御部140(図3参照)は、厚さ測定部120および温度測定部130によりそれぞれ測定された測定値が基準値を超えるか否かを判断することができる。
【0047】
すなわち、制御部140は、前記厚さ測定部120および温度測定部130によるフィルム1の厚さと温度測定値に基づき、押出成形されるフィルム1製造工程の条件を変更して均一な厚さのフィルム1を製造することができる。
【0048】
一例として、前記制御部140は、フィルム1の押出成形後、延伸および熱固定などによりフィルム1を熱処理して、成形時に発生した局所的なねじれなどを除去することができる。これによって、フィルム1の収縮とシワが生じることを抑制し、フィルム1の均一な厚さを維持するなどの寸法安定性を高めることができる。
【0049】
以下、本発明のフィルム温度および厚さ測定装置100を用いたフィルム温度および厚さ測定過程について、図12を参照して説明する。
まず、前記押出機10によりフィルムを押出成形する(S1)。
その後、前記押出成形されるフィルムを回転ロール111により一方向に搬送する(S2)。
その後、前記フィルム1が押出成形された後、搬送される回転ロール111からフィルム1の表面の所定地点に向かって赤外線を照射して、フィルム1の温度を測定する(S3)。
【0050】
これとともに、前記温度が測定されたフィルム1の同一地点にレーザを照射して、フィルム1の厚さを測定する(S4)。
この場合、本発明では、フィルム1の温度を先に測定した後(S3)、フィルム1の厚さを測定(S4)する順に説明したが、逆に、フィルム1の厚さを先に測定した後(S3’)、フィルム1の厚さが測定されたフィルム1の同一地点に向かって赤外線を照射して、フィルム1の温度を測定することに変更することができる(S4’)。
【0051】
すなわち、搬送されるフィルム1の同一地点に対するフィルム1の表面温度と厚さを順次測定できるように、フィルム1の搬送方向と同一線上でフィルム1の温度を測定した後、フィルム1の厚さを測定することができる。あるいは、搬送されるフィルム1の同一地点に対するフィルム1の厚さと表面温度を順次測定できるように、フィルム1の搬送方向と同一線上でフィルム1の厚さを測定した後、フィルム1の温度を測定することができる。
【0052】
そして、制御部140では、測定されたフィルム1の温度と厚さ測定値が基準値を超えるか否かを比較判断し(S5)、前記測定値が基準値を超える場合、フィルム1製造工程の条件を変更する(S6)。
【0053】
以上のような構成の本発明によるフィルム温度および厚さ測定装置100は、図13に示されるように、本発明は、インライン(In-line)方式で成形されるフィルム1の同一地点で表面温度と厚さを順次測定するとともに、測定された測定値を基準値とリアルタイムに比較して、フィルムの温度変化および素材変化を予め予測することができる。これに基づき、フィルム製造工程の条件を変更したり、熱固定などの過程を経たりして均一な厚さのフィルムを製造することができる。
【0054】
特に、本発明は、フィルム1の押出またはコーティング工程中にリアルタイムにフィルム1の温度および厚さを順次測定できることにより、従来のようなフィルム製品のサンプル実測過程を必要とせず、製造工程にかかる時間を短縮することができる。
【0055】
以上、本発明を特定の具体的な実施例を挙げて図示および説明したが、本発明は上記の実施例に限定されず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内で多様な変更と修正が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0056】
1:フィルム、100:温度および厚さ測定装置
110:搬送部、111:回転ロール
120:厚さ測定部、121:ガイドレール
123:移動プレート、125:第1ブラケット
125a:第1ヒンジ軸、127:レーザ変位センサ
130:温度測定部、131:第2ブラケット
131a:第2ヒンジ軸、133:赤外線温度センサ
140:制御部
図1
図2
図3
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図5
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図7
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図12
図13
【国際調査報告】