(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-14
(54)【発明の名称】光学デバイス
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1339 20060101AFI20250206BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20250206BHJP
G02F 1/1337 20060101ALI20250206BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20250206BHJP
C09J 183/04 20060101ALI20250206BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20250206BHJP
G02F 1/13 20060101ALN20250206BHJP
【FI】
G02F1/1339 500
G02F1/1335 510
G02F1/1337
G02F1/1333 500
C09J183/04
C09J201/00
G02F1/13 505
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544367
(86)(22)【出願日】2023-02-10
(85)【翻訳文提出日】2024-07-24
(86)【国際出願番号】 KR2023001953
(87)【国際公開番号】W WO2023153848
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】10-2022-0018465
(32)【優先日】2022-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨウ、ジュン スン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュン ウォーン
(72)【発明者】
【氏名】ギム、ミン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】オー、ドン ヒュン
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
2H190
2H290
2H291
4J040
【Fターム(参考)】
2H088FA29
2H088GA13
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(57)【要約】
本出願は光学デバイスに関する。本出願の光学デバイスは液晶セルのセルギャップが適切に維持され、上部基板と下部基板の優秀な付着力を有し、高温および高圧のオートクレーブ工程後に押され黒点を防止することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基材層および粘着剤層を含む上部基板、
第2基材層およびスペーサーを含む下部基板および
上部基板と下部基板の間に液晶化合物を含む液晶層を含み、
前記粘着剤層は110℃温度および1rad/sec周波数での貯蔵弾性率が18,000Pa以上であり、110℃温度および1rad/sec周波数でのタンジェントデルタ値が0.32以下である液晶セルを含む、光学デバイス。
【請求項2】
前記第1基材層と前記粘着剤層間に第1電極層をさらに含み、前記第2基材層と前記スペーサー間に第2電極層をさらに含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
上部基板は配向膜を含まず、下部基板は配向膜をさらに含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項4】
粘着剤層はシリコーン粘着剤を含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項5】
粘着剤層は110℃温度および1rad/sec周波数での貯蔵弾性率が18,000Pa~100,000Paの範囲内である、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項6】
粘着剤層は110℃温度1rad/sec周波数でのタンジェントデルタ値が0.1~0.32の範囲内である、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項7】
粘着剤層は25℃温度および1rad/sec周波数での貯蔵弾性率が10,000Pa~1,100,000Paである、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項8】
粘着剤層は25℃温度および1rad/sec周波数でのタンジェントデルタ値が0.1~2.0である、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項9】
第1外郭基板、第1接着剤層、前記液晶セル、第2接着剤層および第2外郭基板を順に含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記第1外郭基板および前記第2外郭基板はそれぞれガラス基板である、請求項9に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記第1接着剤層および前記第2接着剤層はそれぞれ熱可塑性ポリウレタン(TPU;Thermoplastic Polyurethane)接着剤層、ポリアミド接着剤層、ポリエステル接着剤層、EVA(Ethylene Vinyl Acetate)接着剤層、アクリル接着剤層、シリコーン接着剤層またはポリオレフィン接着剤層である、請求項9に記載の光学デバイス。
【請求項12】
前記第1接着剤層と前記液晶セルの間の第1偏光子および前記第2接着剤層と前記液晶セルの間の第2偏光子をさらに含む、請求項9に記載の光学デバイス。
【請求項13】
前記第1偏光子の透過軸と前記第2偏光子の透過軸は互いに直交する、請求項12に記載の光学デバイス。
【請求項14】
前記第1偏光子と前記液晶セルの間の第3接着剤層および前記第2偏光子と前記液晶セルの間の第4接着剤層をさらに含む、請求項12に記載の光学デバイス。
【請求項15】
前記第3接着剤層および前記第4接着剤層はそれぞれ熱可塑性ポリウレタン(TPU;Thermoplastic Polyurethane)接着剤層、ポリアミド接着剤層、ポリエステル接着剤層、EVA(Ethylene Vinyl Acetate)接着剤層、アクリル接着剤層、シリコーン接着剤層またはポリオレフィン接着剤層である、請求項14に記載の光学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は光学デバイスに関する。
【0002】
本出願は2022年2月11日付韓国特許出願第10-2022-0018465号に基づいた優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0003】
フレキシブル基板を使う液晶フィルムセルの長期安定性、大面積拡張性のためには、上部基板と下部基板の間のセルギャップの維持と上部基板と下部基板間の接着力を付与することが重要である。
【0004】
非特許文献1(「Tight Bonding of Two Plastic Substrates for Flexible LCDs」 SID Symposium Digest、38、pp.653-656(2007))は、一方の基板にセルギャップ高さの柱または壁形態の有機膜パターンを形成し、接着剤を利用して反対側の基板に固定させる技術を開示している。しかし、このような技術は接着剤が柱面または壁面にのみ位置しなければならないが、柱面または壁面に接着剤をマイクロスタンピング(Micro Stamping)する技術は工程難易度が高く、接着剤の厚さおよび面積のコントロールが難しく、上下基板の合着時に接着剤が外にはみ出される可能性が高く、接着剤が配向膜または液晶内に汚染される恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液晶セルのセルギャップを維持し、上部基板と下部基板の付着力を確保するために、下部基板にスペーサーと配向膜を形成し、上部基板に液晶配向力と付着力を有する粘着剤層を形成した後に合着することを考慮することができる。しかし、前記液晶セルを高温および高圧で合着するオートクレーブ工程へ適用する時に、押され黒点が発現する問題がある。本出願の課題は液晶セルのセルギャップが適切に維持され、上部基板と下部基板の優秀な付着力を有し、高温および高圧のオートクレーブ工程後にも押され黒点が発現しない光学デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願は光学デバイスに関する。前記光学デバイスは液晶セルを含むことができる。
図1は、前記液晶セルの構造を例示的に示す。液晶セルは上部基板、下部基板および上部基板と下部基板の間に液晶化合物を含む液晶層を含むことができる。上部基板は第1基材層10aおよび第1粘着剤層10cを含むことができる。上部基板は第1基材層10aと粘着剤層10cの間に第1電極層10bをさらに含むことができる。下部基板は第2基材層20aおよびスペーサー20cを含むことができる。下部基板は第2基材層20aとスペーサー20cの間に第2電極層20bをさらに含むことができる。また、下部基板はスペーサー20c上に配向膜20dをさらに含むことができる。上部基板と下部基板の間の空間には液晶化合物が満たされた液晶層30が存在することができる。
【0007】
第1基材層および第2基材層としては例えば、ガラスフィルム、結晶性または非結晶性シリコーンフィルム、石英またはITO(Indium Tin Oxide)フィルムなどの無機系フィルムやポリマーフィルムなどを使うことができる。
【0008】
一つの例示で、第1基材層および第2基材層はそれぞれフレキシブル素子の具現の側面でポリマーフィルムであり得る。ポリマーフィルムとしては、TAC(triacetyl cellulose);ノルボルネン誘導体などのCOP(cyclo olefin copolymer);PMMA(poly(methyl methacrylate);PC(polycarbonate);PE(polyethylene);PP(polypropylene);PVA(polyvinyl alcohol);DAC(diacetyl cellulose);Pac(Polyacrylate);PES(poly ether sulfone);PEEK(polyetheretherketon);PPS(polyphenylsulfone)、PEI(polyetherimide);PEN(polyethylenemaphthatlate);PET(polyethyleneterephtalate);PI(polyimide);PSF(polysulfone);PAR(polyarylate)または非晶質フッ素樹脂などを使用できるが、これに制限されるものではない。第1基材層および第2基材層には必要に応じて金、銀、二酸化ケイ素または一酸化ケイ素などのケイ素化合物のコーティング層や、反射防止層などのコーティング層が存在してもよい。
【0009】
一つの例示で前記第1基材層および第2基材層としては、光学的非等方性のフィルムを適用してもよい。このような光学的非等方性を有するフィルムは、通常機械的物性も非等方性であり、このような非等方性を活用してより優秀な耐久性などを有する液晶セルまたは光学デバイスを提供することができる。
【0010】
一つの例示で、第1基材層および第2基材層はそれぞれ550nm波長に対する面内位相差値が4,000nm以上であるポリマーフィルムであり得る。前記面内位相差値は具体的には、5,000nm以上、6,000nm以上、7,000nm以上、8,000nm以上または9,000m以上であり得、50,000nm以下、40,000nm以下、30,000nm以下、20,000nm以下、18,000nm以下、16,000nm以下、15,000nm以下または12,000nm以下であり得る。これを通じて、レインボー現象などの光学欠陥がない液晶セルを提供するのに有利であり得る。
【0011】
本明細書で面内位相差は下記の数式Aによる物理量である。
[数式A]
Rin=d×(nx-ny)
数式AでRinは面内位相差であり、nxはフィルムの遅相軸方向屈折率であり、nyはフィルムの進相軸方向屈折率であり、dはフィルムの厚さである。nxおよびnyはそれぞれフィルムのx軸およびy軸の屈折率を意味する。前記x軸はフィルムの面内遅相軸と平行な方向を意味し、y軸はフィルムの面内進相軸と平行な方向を意味し、前記x軸とy軸は面内で互いに直交をなし得る。
【0012】
基材層として適用できる前記フィルムの具体的な種類は、前記言及した範囲の面内位相差を示す限り特に制限はない。例えば、延伸によって光学的異方性を付与した異方性高分子フィルムなどが適用され得る。高分子フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、ポリノルボルネンフィルムなどの環状オレフィンポリマー(COP:Cycloolefin polymer)フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリスルホン、ポリアクリレートフィルム、PVA(poly(vinyl alcohol))フィルムまたはTAC(Triacetyl cellulose)フィルムなどのセルロースエステル系ポリマーフィルム、ポリエステルフィルムまたはポリカーボネートフィルムや前記ポリマーを形成する単量体中で2種以上の単量体の共重合体フィルムなどが例示され得る。
【0013】
一つの例示で前記フィルムとしては、PET(poly(ethylene terephthalate))フィルムなどのようなポリエステルフィルムが適用され得る。前述した範囲の面内位相差を示すフィルムは業界で公知となっており、高分子フィルムの場合、前記のようなフィルムは光学的に大きな非等方性はもちろん製造過程での延伸などによって機械的物性も非対称性を示す。業界で公知のこのような位相差フィルムの代表的な例としては、延伸PET(poly(ethylene terephthalate))フィルムなどのような延伸ポリエステルフィルムである。
【0014】
前記非等方性フィルムが第1および第2基材層に同時に適用される場合、それら間の遅相軸が互いに平行または垂直であるように前記基板が配置され得る。
【0015】
一つの例示で前記フィルムとしてはPETフィルムのようなポリエステルフィルムを適用できるが、本出願で基板に適用可能なフィルムの種類はこれに制限されるものではない。
【0016】
一つの例示で、第1基材層および第2基材層は厚さがそれぞれ約10μm~約1,000μmであり得る。他の例として、前記基材層は厚さがそれぞれ20μm以上、40μm以上、60μm以上、80μm以上、100μm以上、120μm以上または140μm以上であり得、900μm以下、800μm以下、700μm以下、600μm以下、500μm以下または約400μm以下であり得る。第1基材層および第2基材層の厚さが前記範囲を満足する場合、液晶セルを外郭基板と合着して光学デバイスを製造する時、シワなどの外観不良を減少させるのに有利であり得る。
【0017】
粘着剤層は第1基材層の内側面に存在することができる。本明細書で、液晶セルに含まれる構成の「内側面」は液晶層に向かう面を意味し得る。前記のような粘着剤層を使うことによって、上部基板と下部基板の間に液晶組成物を担持するための合着過程中やその後の工程で液晶セルの離隔が発生しないように、上部基板と下部基板の間に付着力を付与することができる。また、粘着剤層はロールツーロール工程性および液晶組成物の流動を防止するのに有利であり得る。
【0018】
本明細書で粘着剤層は、例えば、粘着剤組成物の層であり得る。本明細書で用語「粘着剤組成物の層」は、粘着剤組成物をコーティングまたは硬化させて形成された層を意味し得る。用語「粘着剤組成物の硬化」とは、粘着剤組成物に含まれている成分の物理的または化学的作用あるいは反応を通じて粘着剤組成物内に架橋構造を具現することを意味し得る。硬化は、例えば、常温での維持、湿気の印加、熱の印加、活性エネルギー線の照射または前記のうち2種以上の工程を共に進行させて誘導でき、それぞれの場合に応じて硬化が誘導される類型の粘着剤組成物は、例えば、常温硬化型粘着剤組成物、湿気硬化型粘着剤組成物、熱硬化型粘着剤組成物、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物または混成硬化型粘着剤組成物と呼称され得る。
【0019】
粘着剤層は光学的に透明であり得る。前記粘着剤層は可視光領域、例えば、380nm~780nm波長に対する平均透過率が約80%以上、85%以上、90%以上または95%以上であり得る。
【0020】
粘着剤層は液晶配向性粘着剤層であり得る。粘着剤層は、例えば、垂直配向性粘着剤層であるかまたは水平配向性粘着剤層であり得る。本明細書で『垂直配向性粘着剤』は隣接する液晶化合物に対して垂直配向力を付与するとともに、上部基板と下部基板を接着させ得る付着力を有する粘着剤を意味し得る。本明細書で『水平配向性粘着剤』は隣接する液晶化合物に対して水平配向力を付与するとともに、上部基板と下部基板を接着させ得る付着力を有している粘着剤を意味し得る。垂直配向性粘着剤に対する隣接する液晶化合物のプレチルトの角が80度~90度、85度~90度または約87度~90度の範囲内であり得、水平配向性粘着剤に対する隣接する液晶化合物のプレチルトの角が0度~10度、0度~5度または0度~3度の範囲内であり得る。本出願の一実施例によると、粘着剤層は垂直配向性粘着剤層であり得る。
【0021】
本明細書でプレチルト角度は電圧が印加されていない状態で液晶化合物の方向子が液晶配向性粘着剤または配向膜と水平な面に対してなす角度を意味し得る。本明細書で液晶化合物の方向子は液晶層の光軸(Optical axis)または遅相軸(Slow axis)を意味し得る。または液晶化合物の方向子は液晶化合物が棒(rod)の形状である場合、長軸方向を意味し得、液晶化合物が円板(discotic)の形状である場合、円板平面の法線方向と平行な軸を意味し得る。
【0022】
粘着剤層が垂直配向性粘着剤層である場合、粘着剤層の表面エネルギーは16mN/m以下であり得る。前記表面エネルギーの下限は例えば5mN/m以上であり得る。粘着剤層が水平配向性粘着剤層である場合、粘着剤層の表面エネルギーは16mN/m超過であり得る。前記表面エネルギーの上限は例えば50mN/m以下であり得る。表面エネルギーは水滴型分析器(Drop Shape Analyzer、KRUSS社のDSA100製品)を使って測定することができる。具体的には、粘着剤の表面に表面張力(surface tension)が公知になっている脱イオン化水を落としてその接触角を求める過程を5回繰り返し、得られた5個の接触角数値の平均値を求め、同一に、表面張力が公知になっているジヨードメタン(diiodomethane)を落としてその接触角を求める過程を5回繰り返し、得られた5個の接触角数値の平均値を求める。その後、求められた脱イオン化水とジヨードメタンに対する接触角の平均値を利用してOwens-Wendt-Rabel-Kaelble方法によって溶媒の表面張力に関する数値(Strom値)を代入して表面エネルギーを求めることができる。サンプルの表面エネルギー(γsurface)は無極性分子間の分散力と極性分子間の相互作用力が考慮されて(γsurface=γdispersion+γpolar)計算され得るが、前記表面エネルギーγsurfacでpolar term(γpolar)の比率をその表面の極性度(polarity)と定義することができる。
【0023】
粘着剤層の厚さは例えば3μm~15μmの範囲内であり得る。粘着剤層の厚さが前記範囲内である場合、上部基板と下部基板の付着力を確保しながら液晶セルの製造に使われる時、粘着剤の押されや集まりなどの不良を最小化するのに有利であり得る。
【0024】
粘着剤層としては業界でいわゆるOCA(Optically Clear Adhesive)として公知になっている多様な類型の粘着剤を適切に使うことができる。前記粘着剤は付着対象が合着される前に硬化するという点で付着対象が合着された後に硬化するOCR(Optically Clear Resin)類型の接着剤と異なり得る。
【0025】
前記粘着剤層はシリコーン粘着剤を含むことができる。シリコーン粘着剤の場合、粘着剤組成物は粘着性樹脂として硬化型シリコーン(silicone)化合物を含むことができる。粘着性樹脂として硬化型シリコーン(silicone)化合物を含む粘着剤組成物をシリコーン(silicone)組成物と呼称し得る。シリコーン粘着剤は粘着性樹脂として硬化型シリコーン(silicone)化合物の硬化物を含むことができる。シリコーン粘着剤を使う場合、液晶との表面エネルギー差によって液晶に対する垂直配向力を示すのに適合であり得、液晶の汚染を防止する側面でも有利であり得る。硬化型シリコーン化合物の種類は特に制限されず、例えば加熱硬化型シリコーン化合物または紫外線硬化型シリコーン化合物を使うことができる。
【0026】
一つの例示で、硬化型シリコーン化合物は付加硬化型シリコーン化合物であり得る。
【0027】
具体的には、前記付加硬化型シリコーン化合物は(1)分子中に2個以上のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンおよび(2)分子中に2個以上のケイ素結合水素原子を含有するオルガノポリシロキサンなどが例示され得るがこれに制限されるものではない。
【0028】
前記のようなシリコーン化合物は、例えば、白金などの触媒の存在下で、付加反応によって硬化物を形成することができる。
【0029】
前記(1)オルガノポリシロキサンは、シリコーン硬化物を構成する主成分として、1分子のうち少なくとも2個のアルケニル基を含む。この時、アルケニル基の具体的な例には、ビニル基、アリル基、プテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基またはヘプテニル基などが含まれ、このうちビニル基が通常適用されるが、これに制限されるものではない。前記(1)オルガノポリシロキサンで、前述したアルケニル基の結合位置は特に限定されない。例えば、前記アルケニル基は分枝鎖の末端および/または分枝鎖の側鎖に結合されていてもよい。また、前記(1)オルガノポリシロキサンで、前述したアルケニルの他に含まれ得る置換基の種類としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基またはヘプチル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基またはナフチル基などのアリール基;ベンジル基またはフェネチル基などのアラルキル基クロロメチル基、3-クロロプロピル基または3,3,3-トリフルオロプロピル基などのハロゲン置換アルキル基などが挙げられ、このうちメチル基またはフェニル基が通常適用されるが、これに制限されるものではない。
【0030】
前記(1)オルガノポリシロキサンの分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状、分枝状、環状、網状または一部が分枝状をなす直鎖状などのように、いかなる形状でも有することができる。通常前記のような分子構造のうち特に直鎖状の分子構造を有するものが適用されるが、これに制限されるものではない。
【0031】
前記(1)オルガノポリシロキサンのより具体的な例としては、分枝鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン共重合体、分枝鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分枝鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体、分枝鎖両末端ジメチルビニルシロキサン基封鎖ジメチルポリシロキサン、分枝鎖両末端ジメチルビニルシロキサン基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分枝鎖両末端ジメチルビニルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン共重合体、分枝鎖両末端ジメチルビニルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体、R1
2SiO2/2で表示されるシロキサン単位とR1
2R2SiO1/2で表示されるシロキサン単位とSiO4/2で表示されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体、R1
2R2SiO1/2で表示されるシロキサン単位とSiO4/2で表示されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体、R1R2SiO2/2で表示されるシロキサン単位とR1SiO3/2で表示されるシロキサン単位またはR2SiO3/2で表示されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体および前記のうち2以上の混合物が挙げられるが、これに制限されるものではない。前記で、R1はアルケニル基以外の炭化水素基であって、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基またはヘプチル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基またはナフチル基などのアリール基;ベンジル基またはフェネチル基などのアラルキル基クロロメチル基、3-クロロプロピル基または3,3,3-トリフルオロプロピル基などのハロゲン置換アルキル基などであり得る。また、前記でR2はアルケニル基であって、具体的にはビニル基、アリル基、プテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基またはヘプテニル基などであり得る。
【0032】
前記付加硬化型シリコーン組成物で、(2)オルガノポリシロキサンは前記(1)オルガノポリシロキサンを架橋させる役割を遂行することができる。前記(2)オルガノポリシロキサンで、水素原子の結合位置は特に限定されず、例えば、分枝鎖の末端および/または側鎖に結合されていてもよい。また、前記(2)オルガノポリシロキサンで、前記ケイ素結合水素原子の他に含まれ得る置換基の種類は特に限定されず、例えば、(1)オルガノポリシロキサンで言及したような、アルキル基、アリール基、アラルキル基またはハロゲン置換アルキル基などが挙げられ、このうち通常メチル基またはフェニル基が適用されるが、これに制限されるものではない。
【0033】
前記(2)オルガノポリシロキサンの分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状、分枝状、環状、網状または一部が分枝状をなす直鎖状などのように、いかなる形状でも有することができる。前記のような分子構造のうち通常直鎖状の分子構造を有するものが適用されるが、これに制限されるものではない。
【0034】
前記(2)オルガノポリシロキサンのより具体的な例としては、分枝鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分枝鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェン共重合体、分枝鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体、分枝鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキサン基封鎖ジメチルポリシロキサン、分枝鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体、分枝鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキサン基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、R1
3SiO1/2で表示されるシロキサン単位とR1
2HSiO1/2で表示されるシロキサン単位とSiO4/2で表示されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体、R1
2HSiO1/2で表示されるシロキサン単位とSiO4/2で表示されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体、R1HSiO2/2で表示されるシロキサン単位とR1SiO3/2で表示されるシロキサン単位またはHSiO3/2で表示されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体および前記のうち2以上の混合物が挙げられるが、これに制限されるものではない。前記で、R1はアルケニル基以外の炭化水素基であって、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基またはヘプチル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基またはナフチル基などのアリール基;ベンジル基またはフェネチル基などのアラルキル基クロロメチル基、3-クロロプロピル基または3,3,3-トリフルオロプロピル基などのハロゲン置換アルキル基などであり得る。
【0035】
前記(2)オルガノポリシロキサンの含量は、適切な硬化がなされ得る程度に含まれるのであれば特に限定されない。例えば、前記(2)オルガノポリシロキサンは、前述した(1)オルガノポリシロキサンに含まれるアルケニル基一つに対して、ケイ素結合水素原子が0.5~10個となる量で含まれ得る。このような範囲で硬化を充分に進行させて、耐熱性を確保することができる。
【0036】
前記付加硬化型シリコーン組成物は、貯蔵安定性、取り扱い性および作業性向上の観点で必要な適切な添加剤を適正割合でさらに含んでもよい。
【0037】
他の例示で前記シリコーン組成物は縮合硬化型シリコーン組成物であって、例えば(a)アルコキシ基含有シロキサンポリマー;および(b)水酸基含有シロキサンポリマーを含むことができる。
【0038】
前記(a)シロキサンポリマーは、例えば、下記の化学式Iで表示される化合物であり得る。
[化学式I]
R1
aR2
bSiOc(OR3)d
化学式IでR1およびR2は、それぞれ独立的に、水素原子または置換または非置換された1価炭化水素基を示し、R3はアルキル基を示し、R1、R2およびR3がそれぞれ複数個存在する場合には互いに同一または異なり得、aおよびbはそれぞれ独立的に0以上、1未満の数を示し、a+bは0超過、2未満の数を示し、cは0超過、2未満の数を示し、dは0超過、4未満の数を示し、a+b+c×2+dは4である。
【0039】
化学式Iの定義で、1価炭化水素は、例えば、炭素数1~8のアルキル基、フェニル基、ベンジル基またはトリル基などであり得、このとき炭素数1~8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基またはオクチル基などであり得る。また、化学式1の定義で、1価炭化水素基は、例えば、ハロゲン、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、グリシジル基、グリシドキシ基またはウレイド基などの公知の置換基で置換されていてもよい。
【0040】
化学式Iの定義で、R3のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基などが挙げられる。アルキル基の中で、メチル基またはエチル基などが通常適用されるが、これに制限されるものではない。
【0041】
化学式Iのポリマーのうち分枝状または3次架橋されたシロキサンポリマーを使うことができる。また、この(a)シロキサンポリマーには、目的を損傷させない範囲内で、具体的には脱アルコール反応を阻害しない範囲内で水酸基が残存していてもよい。
【0042】
前記(a)シロキサンポリマーは、例えば、多官能のアルコキシシランまたは多官能クロロシランなどを加水分解および縮合させることによって製造することができる。この分野の平均的技術者は、目的とする(a)シロキサンポリマーにより適切な多官能アルコキシシランまたはクロロシランを容易に選択することができ、それを使った加水分解および縮合反応の条件も容易に制御することができる。一方、前記(a)シロキサンポリマーの製造時には、目的に応じて、適切な1官能のアルコキシシランを併用して使ってもよい。
【0043】
前記(a)シロキサンポリマーとしては、例えば、信越シリコーン社のX40-9220またはX40-9225、GE東レシリコーン社のXR31-B1410、XR31-B0270またはXR31-B2733などのような、市販されているオルガノシロキサンポリマーを使うことができる。
【0044】
前記縮合硬化型シリコーン組成物に含まれる、(b)水酸基含有シロキサンポリマーとしては、例えば、下記の化学式IIで示される化合物を使うことができる。
[化学式II]
【化1】
化学式IIで、R
4およびR
5はそれぞれ独立的に、水素原子または置換または非置換された1価の炭化水素基を示し、R
4およびR
5がそれぞれ複数存在する場合には、前記は互いに同一であるか異なり得、nは5~2,000の整数を表す。
【0045】
化学式IIの定義で、1価炭化水素基の具体的な種類としては、例えば、前記化学式Iの場合と同一の炭化水素基を挙げることができる。
【0046】
前記(b)シロキサンポリマーは、例えば、ジアルコキシシランおよび/またはジクロロシランなどを加水分解および縮合させることによって製造することができる。この分野の平均的技術者は、目的とする(b)シロキサンポリマーにより適切なジアルコキシシランまたはジクロロシランを容易に選択することができ、それを使った加水分解および縮合反応の条件も容易に制御することができる。前記のような(b)シロキサンポリマーとしては、例えば、GE東レシリコーン社のXC96-723、YF-3800、YF-3804などのような、市販されている2官能オルガノシロキサンポリマーを使うことができる。
【0047】
本出願によると、粘着剤層の110℃温度での貯蔵弾性率およびタンジェントデルタ値を制御することによって、高温および高圧のオートクレーブ後に押され黒点を防止することができる。本明細書で、タンジェントデルタ(tanδ値はG″/G'(G'は貯蔵弾性率であり、G″は損失弾性率である。)。貯蔵弾性率(G')は粘着剤の弾性を意味し、損失弾性率(G″)は粘着剤の粘性を意味し得る。貯蔵弾性率が高いほど粘着剤はハード(hard)で弾性が高いと言え、損失弾性率が高いほど粘着剤はソフト(soft)で粘性が高いと言える。粘着剤は弾性と粘性を同時に有するので損失弾性率と貯蔵弾性率の比率である損失係数tanδ値で表現され得、tanδ値が1より小さければ弾性特性が大きいと言え、1より大きければ粘性特性が大きいと言える。
【0048】
一つの例示で、粘着剤層の110℃の温度および1rad/secの周波数での貯蔵弾性率が18,000Pa以上であり得る。前記粘着剤層の110℃の温度および1rad/secの周波数での貯蔵弾性率は100,000Pa以下であり得る。前記粘着剤層の貯蔵弾性率は、具体的には、19,000Pa以上、19,500Pa以上、20,000Pa以上、20,500Pa以上、21,000Pa以上、21,500Pa以上、22,000Pa以上、22,500Pa以上、23,000Pa以上、23,500Pa以上、24,000Pa以上、24,500Pa以上、25,000Pa以上、30,000Pa以上、35,000Pa以上、40,000Pa以上、45,000Pa以上または50,000Pa以上であり得、90,000Pa以下、85,000Pa以下、80,000Pa以下、75,000Pa以下、70,000Pa以下、65,500Pa以下、60,000Pa以下、55,000Pa以下、50,000Pa以下、45,500Pa以下、40,000Pa以下、35,500Pa以下、30,000Pa以下25,000Pa以下、25,500Pa以下、24,000Pa以下、23,500Pa以下、23,000Pa以下、22,000Pa以下、21,000Pa以下または20,000Pa以下であり得る。粘着剤層の110℃の温度および1rad/secの周波数での貯蔵弾性率が前記範囲内である場合、高温および高圧のオートクレーブ後に押され黒点を防止することができる。
【0049】
一つの例示で、前記粘着剤層は25℃の温度および1rad/secの周波数での貯蔵弾性率が10,000Pa以上であり得る。前記粘着剤層の25℃の温度および1rad/secの周波数での貯蔵弾性率が1,100,000以下であり得る。前記粘着剤層の貯蔵弾性率は、具体的には、30,000Pa以上、35,000Pa以上、50,000Pa以上、100,000Pa以上、150,000Pa以上、200,000Pa以上、250,000Pa以上、300,000Pa以上、350,000Pa以上、400,000Pa以上、500,000Pa以上、600,000Pa以上、700,000Pa以上、800,000Pa以上、900,000Pa以上または1,000,000Pa以上であり得、900,000Pa以下、800,000Pa以下、700,000Pa以下、600,000Pa以下、500,000Pa以下、450,000Pa以下、400,000Pa以下、350,000Pa以下、300,000Pa以下、250,000Pa以下、200,000Pa以下、150,000Pa以下、100,000Pa以下または50,000Pa以下であり得る。粘着剤層の25℃の温度および1rad/secの周波数での貯蔵弾性率が前記範囲内である場合、上部基板と下部基板の付着力を確保しながら、液晶セルの製造時に粘着剤の押されや集まりなどの不良を最小化することによって、優秀な電気光学特性と外観均一性を確保するのに有利であり得る。
【0050】
一つの例示で粘着剤層の110℃の温度および1rad/secの周波数でのタンジェントデルタ値が0.32以下であり得る。粘着剤層の110℃の温度および1rad/secの周波数でのタンジェントデルタ値は0.1以上であり得る。前記粘着剤層のタンジェントデルタ値は具体的には、0.31以下、0.30以下、0.29以下、0.28以下、0.27以下、0.26以下、0.25以下、0.24以下、0.23以下または0.22以下であり得、0.12以上、0.14以上、0.16以上、0.18以上、0.20以上、0.22以上、0.24以上、0.26以上、0.28以上または0.30以上であり得る。粘着剤層の110℃の温度および1rad/secの周波数でのタンジェントデルタ値が前記範囲内である場合、高温および高圧のオートクレーブ後に押され黒点を防止することができる。
【0051】
一つの例示で、前記粘着剤層は25℃の温度における1rad/secの周波数でのタンジェントデルタ値が2.0以下であり得る。前記粘着剤層は25℃の温度における1rad/secの周波数でのタンジェントデルタ値は0.1以上であり得る。前記粘着剤層のタンジェントデルタ値は具体的には、0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.4以上、0.5以上、0.6以上、0.7以上、0.8以上、0.9以上、1.0以上、1.1以上、1.2以上、1.3以上、1.4以上または1.5以上であり得、2.0以下、1.9以下、1.8以下、1.7以下、1.6以下、1.5以下、1.4以下、1.3以下、1.2以下、1.1以下、1.0以下、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下または0.45以下であり得る。粘着剤層の25℃の温度および1rad/secの周波数におけるタンジェントデルタ値が前記範囲内である場合、上部基板と下部基板の付着力を確保しながら、液晶セルの製造時に粘着剤の押されや集まりなどの不良を最小化することによって、優秀な電気光学特性と外観均一性を確保するのに有利であり得る。
【0052】
粘着剤層の貯蔵弾性率およびタンジェントデルタ値を制御する方法は公知であり、本出願で貯蔵弾性率およびタンジェントデルタ値を制御する方法は特に制限されない。一つの例示で、粘着剤および/または粘着剤組成物の触媒や架橋剤を適切に調節し、粘着剤の硬化条件を適切に調節することによって粘着剤層の貯蔵弾性率およびタンジェントデルタ値を制御することができる。下記の内容は本出願の粘着剤を提供するための例示的な条件に過ぎず、本出願の範囲はこれに制限されるものではない。
【0053】
一つの例示で、粘着剤および/または粘着剤組成物は硬化のための触媒をさらに含むことができる。前記触媒としては、例えば白金系触媒を使うことができる。前記触媒の含量は目的とする粘着剤層の物性を考慮して調節され得る。前記触媒は粘着性樹脂100重量部に対して0.1重量部以上、0.5重量部以上または1重量部以上で含まれ得、1.5重量部以下、1.3重量部以下または1.1重量部以下で含まれ得る。
【0054】
本出願の実施例によると、触媒の含量以外の他の条件が同じである場合、触媒の含量が高いほど貯蔵弾性率が低くなり、タンジェントデルタ値も低くなる傾向がある。
【0055】
一つの例示で、前記粘着剤および/または粘着剤組成物は架橋剤をさらに含むことができる。前記架橋剤としては例えばシラン化合物を使うことができる。前記シラン化合物は例えば化学式1または化学式2で表示される化合物であり得る。前記架橋剤は粘着性樹脂100重量部に対して1重量部以上、2重量部以上、3重量部以上、4重量部以上、5重量部以上、7重量部以上、10重量部以上、12重量部以上または15重量部以上で含まれ得、20重量部以下、19重量部以下、18重量部以下、17重量部以下、16重量部以下、15重量部以下、13重量部以下、11重量部以下、9重量部以下、7重量部以下、5重量部以下または3重量部以下で含まれ得る。
[化学式1]
【化2】
化学式1でR
1~R
8はそれぞれ独立的に炭素数1~4のアルキル基であり得る。具体的には、化学式1でR
1~R
8はそれぞれ独立的に炭素数1~3のアルキル基または炭素数1~2のアルキル基であり得る。本出願の一実施例によると、前記R
1~R
8はそれぞれメチル基であり得る。
[化学式2]
【化3】
化学式2で、R
1は炭素数10~30のアルキル基で、R
2~R
4はそれぞれ独立的に炭素数1~4のアルキル基である。化学式2でR
1は具体的には炭素数10以上、12以上、14以上、16以上または18以上のアルキル基であり得る。化学式2でR
1は具体的には炭素数30以下、28以下、26以下、24以下、22以下、20以下または18以下のアルキル基であり得る。前記アルキル基は直鎖状アルキル基であり得る。化学式2でR
2~R
4はそれぞれ独立的に炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~3のアルキル基または炭素数1~2のアルキル基であり得る。本出願の一実施例によると、前記R
2~R
4はそれぞれメチル基であり得る。
【0056】
一つの例示で、粘着剤層を提供するための硬化温度は例えば約140℃~180℃の範囲内であり得る。粘着剤を提供するための硬化時間は例えば3分~15分であり得る。具体的には、離型フィルム上に粘着剤組成物をコーティングした後、前記条件で硬化することにより粘着剤層を提供することができる。本出願の実施例によると、硬化時間以外の他の条件が同じである場合、硬化時間が長いほど貯蔵弾性率は高くなり、タンジェントデルタ値は減少する傾向がある。本出願の実施例によると、硬化温度以外の他の条件が同じである場合、硬化温度が高いほど貯蔵弾性率が高くなりタンジェントデルタ値は低くなる傾向がある。
【0057】
液晶セルの上部基板と下部基板は粘着剤層によって付着されていてもよい。具体的には、上部基板の粘着剤層と下部基板のスペーサーが付着されていてもよい。下部基板のスペーサー上に配向膜が形成されている場合、配向膜のスペーサーに対応する領域が上部基板の粘着剤層と付着されていてもよい。
【0058】
液晶化合物は電圧の印加によって配向状態をスイッチングすることができる。液晶化合物としては、外部作用の印加によってその配向方向が変更され得る液晶化合物を使うことができる。本明細書で用語『外部作用』とは、液晶層内に含まれる物質の挙動に影響を与え得る外部のすべての要因、例えば外部電圧などを意味し得る。したがって、外部作用がない状態とは、外部電圧などの印加がない状態を意味し得る。
【0059】
液晶化合物の種類および物性は本出願の目的を考慮して適切に選択され得る。一つの例示で、液晶化合物はネマティック(nematic)液晶またはスメクチック(smectic)液晶であり得る。ネマティック液晶は棒状の液晶分子が位置に対する規則性はないが液晶分子の長軸方向に平行に配列されている液晶を意味し得、スメクチック液晶は棒状の液晶分子が規則的に並べて層をなした構造を形成し、長軸方に規則性を有して平行に配列されている液晶を意味し得る。本出願の一実施例によると、前記液晶化合物はネマティック液晶化合物であり得る。
【0060】
ネマティック液晶化合物は例えば、約40℃以上、50℃以上、60℃以上、70℃以上、80℃以上、90℃以上、100℃以上または約110℃以上の透明点(clearing point)を有するか、前記範囲の相転移点、すなわち、ネマティック相から等方相への相転移点を有するものが選択され得る。一例示で前記透明点または相転移点は約160℃以下、150℃以下または約140℃以下であり得る。
【0061】
液晶化合物は非反応性液晶化合物であり得る。非反応性液晶化合物は、重合性基を有さない液晶化合物を意味し得る。重合性基としてはアクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、ビニル基またはエポキシ基などが例示され得るがこれに制限されず、重合性基として知られている公知の官能基が含まれ得る。
【0062】
液晶化合物は誘電率異方性が正数または負数であり得る。液晶化合物の誘電率異方性の絶対値は本出願の目的を考慮して適切に選択され得る。用語「誘電率異方性(△ε)」は液晶の水平誘電率(ε//)と垂直誘電率(ε⊥)の差(ε//-ε⊥)を意味し得る。本明細書で用語水平誘電率(ε//)は液晶化合物の方向子と印加電圧による電場の方向が実質的に水平であるように電圧を印加した状態で前記電場の方向に沿って測定した誘電率値を意味し、垂直誘電率(ε⊥)は液晶化合物の方向子と印加電圧による電場の方向が実質的に垂直であるように電圧を印加した状態で前記電場の方向に沿って測定した誘電率値を意味する。液晶分子の誘電率異方性は5~25の範囲内であり得る。
【0063】
液晶化合物の屈折率異方性(△n)は本出願の目的を考慮して適切に選択され得る。本明細書で用語「屈折率異方性」は液晶化合物の異常屈折率(extraordinary refractive index、ne)と正常屈折率(ordinary refractive index、no)の差(ne-no)を意味し得る。液晶化合物の屈折率異方性は例えば0.01~0.3であり得る。前記屈折率異方性は0.01以上、0.05以上または0.07以上であり得、0.3以下、0.2以下、0.15以下または0.13以下であり得る。
【0064】
液晶層は二色性染料をさらに含むことができる。二色性染料は液晶層の光透過度可変特性を制御することができる。本明細書で『染料』は、可視光領域、例えば、400nm~700nmの波長の範囲内で少なくとも一部または全体の範囲内の光を集中的に吸収および/または変形させ得る物質を意味し得、用語『二色性染料』は可視光領域の少なくとも一部または全体範囲で光の異方性吸収が可能な物質を意味し得る。
【0065】
液晶化合物および二色性染料を含む液晶層はGHLC層(Guest host liquid crystal layer)であり得る。本明細書で『GHLC層(Guest host liquid crystal layer)』は、液晶化合物の配列により二色性染料が共に配列されて、二色性染料の整列方向と前記整列方向の垂直な方向に対してそれぞれ非等方性光吸収特性を示す機能性層を意味し得る。例えば、二色性染料は光の吸収率が偏光方向によって変わる物質であって、長軸方向に偏光された光の吸収率が大きければp型染料と呼称し、短軸方向に偏光された光の吸収率が大きければn型染料と呼称し得る。一つの例示で、p型染料が使われる場合、染料の長軸方向に振動する偏光は吸収され、染料の短軸方向に振動する偏光は吸収が少ないため透過させることができる。以下、特に言及しない限り二色性染料はp型染料であると仮定する。
【0066】
二色性染料としては例えば、いわゆるゲストホスト効果によって液晶化合物の整列状態にしたがって整列され得る特性を有すると知られている公知の染料を選択して使うことができる。このような二色性染料の例としては、アゾ染料、アントラキノン染料、メチン染料、アゾメチン染料、メロシアニン染料、ナフトキノン染料、テトラジン染料、フェニレン染料、クアテリレン染料、ベンゾチアジアゾール染料、ジケトピロロピロール染料、スクアライン染料またはピロメテン染料などがあるが、本出願で適用可能な染料は前記に制限されるものではない。
【0067】
二色性染料は二色比(dichroic ratio)、すなわち二色性染料の長軸方向に平行な偏光の吸収を前記長軸方向に垂直な方向に平行な偏光の吸収で分けた値が5以上、6以上または7以上である染料を使うことができる。前記染料は可視光領域の波長の範囲内例えば約380nm~700nmまたは約400nm~700nmの波長の範囲内で少なくとも一部の波長またはいずれか一つの波長で前記二色比を満足することができる。前記二色比の上限は例えば20以下、18以下、16以下または14以下程度であり得る。
【0068】
液晶層の二色性染料の含量は本出願の目的を考慮して適切に選択され得る。例えば、液晶層の二色性染料の含量は0.2重量%以上であり得る。前記二色性染料の含量は具体的には、0.5重量%以上、1重量%以上、2重量%以上または3重量以上であり得る。前記二色性染料の含量の上限は例えば10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、6重量%以下または5重量%以下であり得る。液晶層の二色性染料の含量が過度に少ない場合、目的とする透過度可変特性の発現が困難であり得、液晶層の二色性染料の含量が過度に多い場合、析出の恐れがある。したがって、二色性染料の含量は前記範囲内であることが有利であり得る。
【0069】
液晶層の厚さは特に制限されず、例えば液晶層の厚さは、約0.01μm以上、0.05μm以上、0.1μm以上、0.5μm以上、1μm以上、1.5μm以上、2μm以上、2.5μm以上、3μm以上、3.5μm以上、4μm以上、4.5μm以上、5μm以上、5.5μm以上、6μm以上、6.5μm以上、7μm以上、7.5μm以上、8μm以上、8.5μm以上、9μm以上または9.5μm以上であり得る。前記液晶層の厚さの上限は特に制限されるものではなく、一般的に約30μm以下、25μm以下、20μm以下または15μm以下であり得る。
【0070】
液晶セルは印加される電圧により液晶層の配向状態をスイッチングすることができる。一つの例示で、液晶セルに電圧が印加されていない状態で液晶層は第1配向状態を有することができ、液晶セルに電圧が印加された状態で液晶層は第1配向状態と異なる第2配向状態を有することができる。前記第1配向状態および/または第2配向状態としては水平配向状態、垂直配向状態、ツイスト配向状態、傾斜配向状態、ハイブリッド配向状態などを例示することができる。
【0071】
本明細書で『水平配向状態』は液晶層内の液晶化合物の方向子が前記液晶層の平面に対して略平行に配列された状態であり、例えば、前記液晶層の平面に対して前記方向子がなす角度は、例えば、約-10度~10度または-5度~5度の範囲内であるか、略0度をなすことができる。
【0072】
本明細書で『垂直配向状態』は液晶層内の液晶化合物の方向子が液晶層の平面に対して略垂直に配列された状態であり、例えば、液晶層の平面に対して前記方向子がなす角度は、例えば、約80度~100度または85度~95度の範囲内であるか、略90度をなすことができる。
【0073】
本明細書で『ツイスト配向状態』は液晶層内で液晶化合物の方向子が仮想の螺旋軸に沿って縒れながら層をなして配向した螺旋形の構造を意味し得る。前記ツイスト配向状態は、垂直、水平または傾斜配向状態で具現され得るが、すなわち、垂直ツイスト配向モードは個々の液晶化合物が垂直配向された状態で螺旋軸に沿って縒れながら層をなす状態であり、水平ツイスト配向モードは個々の液晶化合物が水平配向された状態で螺旋軸に沿って縒れながら層をなす状態であり、傾斜ツイスト配向モードは個々の液晶化合物が傾斜配向された状態で螺旋軸に沿って縒れながら層をなす状態である。
【0074】
本明細書で『ハイブリッド配向状態』は液晶層内の液晶化合物の方向子が液晶層平面に対してなす角度であるチルト角が液晶層の厚さ方向に沿って次第に増加したりまたは減少する配向状態を意味し得る。
【0075】
一つの例示で、第1配向状態はツイスト配向状態であり得る。すなわち、液晶層は外部エネルギーの印加を通じてツイスト配向および前記ツイスト配向と他の配向状態の間をスイッチングすることができる。
【0076】
一つの例示で、液晶層はツイスト配向および垂直配向状態の間をスイッチングすることができる。一つの例示で、液晶層は電圧が印加されていない状態で垂直配向状態であり得、電圧が印加された状態でツイスト配向状態であり得る。前記ツイスト配向は水平ツイスト配向であり得る。
【0077】
液晶層はキラルドーパントをさらに含むことができる。液晶層がキラル剤を含む場合、ツイスト配向状態を具現することができる。液晶層に含まれ得るキラル剤(chiral agentあるいはchiral dopant)としては、液晶性、例えば、ネマティック規則性を損傷させず、目的とする回転(twisting)を誘導できるものであれば、特に制限なく使われ得る。液晶化合物に回転を誘導するためのキラル剤は分子構造中にキラリティー(chirality)を少なくとも含む必要がある。キラル剤としては、例えば、1個または2個以上の不斉炭素(asymmetric carbon)を有する化合物、キラルアミンまたはキラルスルホキシドなどのヘテロ原子上に非対称点(asymmetric point)がある化合物またはクムレン(cumulene)またはビナフトール(binaphthol)等の軸不斉を有する光学活性である部位(axially asymmetric、optically active site)を有する化合物が例示され得る。キラル剤は例えば分子量が1,500以下である低分子化合物であり得る。キラル剤としては、市販されるキラルネマティック液晶、例えば、Merck社で市販されるキラルドーパント液晶S-811またはBASF社のLC756等を使ってもよい。
【0078】
キラルドーパントの適用比率は、目的とするピッチ(P)を達成できるように選択され得る。一般的にキラルドーパントの含量(重量%)は100/(HTPХの数式で計算され得る。前記HTPはキラルドーパントの縒れ強度(Helixcal Twisting power)を示し、単位はμm-1であり得る。前記Pはツイスト配向状態の液晶のピッチ(Pitch)であって、単位はμmであり得る。液晶層のピッチpはWedge cellを利用した計測方法で測定でき、具体的にはD.PodolskyyなどのSimple method for accurate measurements of the cholesteric pitch using a 「stripe-wedge Grandjean-Cano cell(Liquid Crystals、Vol.35、No.7、July 2008、789-791)に記載された方式で測定することができる。HTP値は前述したWedge cellを利用した計測方法で測定することができる。またはHTP値は通常的に液晶とキラルドーパントの供給業者から提供され得る。前記方式を参照して目的とするピッチを考慮してキラルドーパントの含量が決定され得る。
【0079】
一つの例示で、ツイスト配向状態の液晶のピッチ(単位:μm)は15μm~50μmの範囲内であり得る。前記ピッチは具体的には16μm以上、17μm以上、18μm以上、19μm以上または20μm以上であり得、50μm以下、45μm以下、40μm以下、35μm以下または30μm以下であり得る。
【0080】
液晶セルの上部基板は第1基材層10aと粘着剤層10cの間に第1電極層10bをさらに含むことができる。第1電極層10bは第1基材層10aの内側面に接し得る。粘着剤層10cは第1電極層10bの内側面に接し得る。液晶セルの下部基板は第2基材層20aとスペーサー20cの間に第2電極層20bをさらに含むことができる。第2電極層20bは第2基材層20aの内側面に接し得る。スペーサー20cは第2電極層20bの内側面に接し得る。
【0081】
第1電極層と第2電極層は液晶層内に含まれている物質が入射する光を透過または遮断させるように、外部作用、例えば、電界の印加を付与する役割を遂行することができる。一つの例示で、前記第1電極層および/または第2電極層は伝導性高分子、伝導性金属、伝導性ナノワイヤまたはITO(Indium Tin Oxide)等の金属酸化物などを含むことができるがこれに制限されるものではない。上部第1電極層および/または第2電極層は、例えば前記伝導性高分子、伝導性金属、伝導性ナノワイヤまたはITO(Indium Tin Oxide)等の金属酸化物を蒸着して形成したものであり得る。
【0082】
液晶セルの下部基板は配向膜20dをさらに含むことができる。前記配向膜20dはスペーサー20cの上に存在することができる。すなわち、スペーサー20cの上面部および/または側面部は配向膜と接し得る。スペーサー20cの下面部は第2電極層20bに接し得る。上部基板に含まれる粘着剤層は液晶配向性を有し得るため、上部基板は配向膜を含まなくてもよい。すなわち、第1電極層10bおよび/または粘着剤層10cの内側面には配向膜を含まなくてもよい。
【0083】
本明細書で、第1基材層、第1電極層および粘着剤層の組み合わせを上部基板と呼称し得、第2基材層、第2電極層、スペーサーおよび配向膜の組み合わせを下部基板と呼称し得る。液晶セルで上部基板は粘着剤層以外の別途の配向膜は含まず、下部基板は配向膜を含むことができる。
【0084】
配向膜と液晶層は接していてもよい。配向膜は垂直配向膜または水平配向膜であり得る。本明細書で『水平配向膜』は隣接する液晶層内に存在する液晶化合物に対する水平配向力を付与する配向性物質を含む層を意味し得る。本明細書で『垂直配向膜』は隣接する液晶層内に存在する液晶化合物に対する垂直配向力を付与する配向性物質を含む層を意味し得る。垂直配向膜に対する隣接する液晶化合物のプレチルトの角が80度~90度、85度~90度または約87度~90度の範囲内であり得、水平配向膜に対する隣接する液晶化合物のプレチルトの角が0度~10度、0度~5度または0度~3度の範囲内であり得る。配向膜は粘着剤層とは異なり、上部基板と下部基板を接着させる接着力を有さなくてもよい。一つの例示で、配向膜は
図1の液晶セルの状態で上部基板に対する剥離力が0に近くてもよい。
【0085】
配向膜はラビング配向膜または光配向膜であり得る。配向膜の配向方向はラビング配向膜の場合はラビング方向、光配向膜である場合は照射される偏光の方向であり得るが、このような配向方向は、吸収型線形偏光子を使った検出方式で確認することができる。具体的には、液晶層に含まれる液晶化合物を水平配向させた状態で前記液晶層の一面に吸収型線形偏光子を配置し、前記偏光子を360度回転させて透過率を測定することによって配向方向を確認することができる。前記状態で液晶層または吸収型線形偏光子側に光を照射しながら他側で輝度(透過率)を測定する場合、前記吸収軸または透過軸と液晶配向膜の配向方向が一致する場合、透過率が低くなる傾向を見せるが、適用された液晶化合物の屈折率異方性などを反映した模写(simulation)を通じて配向方向を確認することができる。液晶層のモードによって配向方向を確認する方式は公知であり、本出願ではこのような公知の方式で配向膜の配向方向を確認することができる。
【0086】
配向膜としては、ポリイミド(polyimide)化合物、ポリビニルアルコール(poly(vinyl alcohol))化合物、ポリアミック酸(poly(amic acid))化合物、ポリスチレン(polystylene)化合物、ポリアミド(polyamide)化合物およびポリオキシエチレン(polyoxyethylene)化合物などのようにラビング配向によって配向能を示すものと公知になっている物質や、ポリイミド(polyimide)化合物、ポリアミック酸(polyamic acid)化合物、ポリノルボルネン(polynorbornene)化合物、フェニルマレイミド共重合体(phenylmaleimide copolymer)化合物、ポリビニルシンナメート(polyvinylcinamate)化合物、ポリアゾベンゼン(polyazobenzene)化合物、ポリエチレンイミン(polyethyleneimide)化合物、ポリビニルアルコール(polyvinylalcohol)化合物、ポリアミド(polyimide)化合物、ポリエチレン(polyethylene)化合物、ポリスチレン(polystylene)化合物、ポリフェニレンフタルアミド(polyphenylenephthalamide)化合物、ポリエステル(polyester)化合物、CMPI(chloromethylated polyimide)化合物、PVCI(polyvinylcinnamate)化合物およびポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate)化合物などのように光照射によって配向能を示すことができるものと公知になっている物質からなる群から選択された一つ以上を含むことができるが、これに制限されはしない。
【0087】
スペーサー20cは上部基板と下部基板の間の間隔を維持することができる。上部基板と下部基板の間にスペーサーが存在しない領域に液晶層が存在することができる。
【0088】
スペーサーはパターン化されたスペーサーであり得る。スペーサーは柱(column)状または隔壁(partition wall)状を有することができる。一つの例示で、スペーサーは隔壁状を有することができる。スペーサーが隔壁状を有する場合、液晶セルの高さ維持と液晶セルの物理的な剛性向上の側面で有利であり得る。隔壁は下部基板と上部基板の間の空間を2個以上の空間に区画することができる。スペーサーが存在しない領域には下部に存在する他のフィルムや他の層が露出されていてもよい。例えば、スペーサーが存在しない領域には第2電極層が露出されていてもよい。配向膜はスペーサーおよびスペーサーが存在しない領域に露出された第2電極層を覆っていてもよい。上部基板と下部基板が合着された液晶セルにおいて、下部基板のスペーサー上部に存在する配向膜と上部基板の粘着剤層が互いに接していてもよい。
【0089】
上部基板と下部基板の間のスペーサーが存在しない領域には液晶化合物および前述した添加剤、例えば二色性染料、キラル剤などが存在し得る。スペーサーの形状は特に制限されず、例えば、円、楕円その他の多角形形状の多面を有するように制限なく適用され得る。
【0090】
スペーサーは硬化性樹脂を含むことができる。硬化性樹脂の種類は特に制限されず、例えば熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂、例えば紫外線硬化性樹脂を使うことができる。熱硬化性樹脂としては、例えばシリコーン樹脂、ケイ素樹脂、フラン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、フェノール樹脂、ウレア樹脂、ポリエステル樹脂またはメラミン樹脂などを使用できるがこれに制限されるものではない。紫外線硬化性樹脂としては、代表的にアクリル重合体、例えば、ポリエステルアクリレート重合体、ポリスチレンアクリレート重合体、エポキシアクリレート重合体、ポリウレタンアクリレート重合体またはポリブタジエンアクリレート重合体、シリコーンアクリレート重合体またはアルキルアクリレート重合体などを使用できるがこれに制限されるものではない。
【0091】
スペーサーはパターニング工程によって形成され得る。例えば、スペーサーはフォトリソグラフィ工程によって形成され得る。フォトリソグラフィ工程は硬化性樹脂組成物を基材層または電極層上に塗布した後、パターンマスクを媒介に紫外線を照射する工程を含むことができる。パターンマスクは紫外線透過領域と紫外線遮断領域でパターニングされていてもよい。フォトリソグラフィ工程は紫外線が照射された硬化性樹脂組成物をウォッシング(washing)する工程をさらに含むことができる。紫外線が照射された領域は硬化し、紫外線が照射されていない領域は液状で残っているので、ウォッシング工程を通じて除去することによって、隔壁状にパターニングすることができる。フォトリソグラフィ工程において、紫外線照射後、樹脂組成物とパターンマスクを容易に分離するために、パターンマスクに離型処理を遂行したりまたは離型紙を樹脂組成物の層とパターンマスクの間に位置させてもよい。
【0092】
スペーサーの幅(線幅)、間隔(ピッチ)、厚さ、面積は本出願の目的を損傷させない範囲内で適切に選択され得る。例えば、スペーサーの幅(線幅)は10μm~500μmの範囲または10μm~50μmの範囲内であり得る。スペーサーの間隔(ピッチ)は10μm~1000μmの範囲または100μm~1000μmの範囲内であり得る。スペーサーの面積は第2基材層の全体面積100%に対して、約5%以上であり得、50%以下であり得る。スペーサーの面積が前記範囲内である場合、上部基板と下部基板の付着力を適切に確保しつつ、優秀な電気光学特性を確保するのに有利であり得る。スペーサーの厚さは例えば、1μm~30μmまたは3μm~20μmの範囲であり得る。
【0093】
前記光学デバイスは前記液晶セルの両面に合着された外郭基板をさらに含むことができる。前記液晶セルと外郭基板の合着は接着剤層を媒介として遂行され得る。一つの例示で、
図2に示した通り、光学デバイスは第1外郭基板101、第1接着剤層301、前記液晶セル200および第2接着剤層302および第2外郭基板102を順に含むことができる。
【0094】
液晶セルに外郭基板を合着することは高温および高圧のオートクレーブ工程によって遂行され得る。このようなオートクレーブ工程時に接着剤層のメルティング(melting)不均一、異物、基材層と後述する偏光子の収縮と膨張などによって局部的に前記粘着剤層を含む液晶セルに圧力が印加され得るが、このような液晶セルの圧力がオートクレーブ後に押され黒点を発現させる可能性がある。本出願によると、液晶セルに含まれる粘着剤層の110℃での貯蔵弾性率およびタンジェントデルタ値を制御することによって、局部的な圧力が印加されても粘着剤層の変形が少なく、スペーサーが粘着剤層内部に浸透し難いため押され黒点を防止することができる。
【0095】
第1外郭基板および第2外郭基板はそれぞれ独立的に無機基板またはプラスチック基板であり得る。無機基板としては特に制限されず、公知の無機基板を利用することができる。一例として、無機基板としては光透過性が優秀なガラス基板を利用することができる。前記ガラス基板としては例えば、ソーダライムガラス基板、一般強化ガラス基板、硼珪酸ガラス基板または無アルカリガラス基板などが使われ得るが、これに制限されるものではない。前記ポリマー基板としてはTAC(triacetyl cellulose)またはDAC(diacetyl cellulose)などのようなセルロースフィルム;ノルボルネン誘導体などのCOP(cyclo olefin copolymer)フィルム;PAR(Polyacrylate)またはPMMA(poly(methyl methacrylate)等のアクリルフィルム;PC(polycarbonate)フィルム;PE(polyethylene)またはPP(polypropylene)等のポリオレフィンフィルム;PVA(polyvinyl alcohol)フィルム;PI(polyimide)フィルム;PSF(polysulfone)フィルム、PPS(polyphenylsulfone)フィルムまたはPES(polyethersulfone)フィルムなどのスルホン系フィルム;PEEK(polyetheretherketon)フィルム;PEI(polyetherimide)フィルム;PEN(polyethylenenaphthatlate)フィルムまたはPET(polyethyleneterephtalate)フィルムなどのポリエステル系フィルム;またはフッ素樹脂フィルムなどが使われ得るが、これに制限されるものではない。第1外郭基板および第2外郭基板にはそれぞれ必要に応じて金;銀;または二酸化ケイ素または一酸化ケイ素などのケイ素化合物のコーティング層や、反射防止層などの機能層が存在してもよい。
【0096】
一つの例示で、前記第1外郭基板および/または第2外郭基板はガラス基板であり得る。
【0097】
第1外角基板および第2外郭基板の厚さはそれぞれ約0.3mm以上であり得る。他の例示で前記厚さは約0.5mm以上、1mm以上、1.5mm以上または約2mm以上であり得、約10mm以下、9mm以下、8mm以下、7mm以下、6mm以下、5mm以下、4mm以下または約3mm以下であってもよい。
【0098】
第1外郭基板および第2外郭基板は平坦(flat)な基板であるかあるいは曲面状を有する基板であり得る。例えば、前記第1外郭基板および第2外郭基板は同時に平坦な基板であるか、同時に曲面状を有するか、あるいはいずれか一つは平坦な基板であり、他の一つは曲面状の基板であり得る。また、前記で同時に曲面状を有する場合にはそれぞれの曲率または曲率半径は同一であるか異なり得る。本明細書で曲率または曲率半径は業界で公知の方式で測定することができ、例えば、2D Profile Laser Sensor(レーザーセンサ)、Chromatic confocal line sensor(共焦点センサ)または3D Measuring Confocal Microscopyなどの非接触式装備を利用して測定することができる。このような装備を使って曲率または曲率半径を測定する方式は公知である。
【0099】
第1外郭基板および第2外郭基板は両者の曲率が同一符号であり得る。換言すると、前記第1および第2外郭基板はすべて同じ方向に屈曲されていてもよい。すなわち、前記の場合は第1外郭基板の曲率中心と第2外郭基板の曲率中心がすべて第1および第2外郭基板の上部および下部の中で同じ部分に存在する場合である。第1外郭基板および第2外郭基板が同じ方向に屈曲されている場合、第1および第2外郭基板を接着剤層でより効率的に接着させることができ、接着後第1および第2外郭基板と液晶セルおよび/または偏光子の合着力の低下をより効率的に防止することができる。
【0100】
第1接着剤層の一面は第1外郭基板と接し得る。第1外郭基板と液晶セルの間に他の構成(例えば、後述する第1偏光子)がさらに含まれない場合、第1接着剤層の他の一面は液晶セルと接し得、他の構成がさらに含まれる場合、第1接着剤層の他の一面は他の構成と接し得る。第2接着剤層の一面は第2外郭基板と接し得る。第2外郭基板と液晶セルの間に他の構成(例えば、後述する第2偏光子)がさらに含まれない場合、第2接着剤層の他の一面は液晶セルと接し得、他の構成がさらに含まれる場合、第2接着剤層の他の一面は他の構成と接し得る。
【0101】
前記光学デバイスは第1外郭基板と液晶セルの間に位置する第1偏光子および第2外郭基板と液晶セルの間に位置する第2偏光子をさらに含むことができる。
図2は、第1偏光子401および第2偏光子402を含む光学デバイスを例示的に示す。具体的には、第1偏光子は第1接着剤層と液晶セルの間に位置することができ、第2偏光子は第2接着剤層と液晶セルの間に位置することができる。
【0102】
光学デバイスが第1偏光子と第2偏光子をさらに含む場合、光学デバイスは第1偏光子と液晶セルの間の第3接着剤層と、第2偏光子と液晶セルの間の第4接着剤層をさらに含むことができる。
図2は第3接着剤層303および第4接着剤層304を含む光学デバイスを例示的に示す。第3接着剤層の一面は第1偏光子に接し、他の一面は液晶セルに接し得る。第4接着剤層の一面は第2偏光子に接し、他の一面は液晶セルに接し得る。一つの例示で、第1偏光子の第3接着剤層に向かう一面に偏光子の保護フィルムが形成されている場合、第3接着剤層の一面は前記保護フィルムに接し得る。一つの例示で、第2偏光子の第4接着剤層に向かう一面に偏光子の保護フィルムが形成されている場合、第4接着剤層の一面は前記保護フィルムに接し得る。
【0103】
本明細書で用語偏光子は偏光機能を有するフィルム、シートまたは素子を意味する。偏光子は多様な方向に振動する入射光から一方向に振動する光を抽出できる機能性素子である。
【0104】
第1偏光子および第2偏光子はそれぞれ吸収型偏光子または反射型偏光子であり得る。本明細書で吸収型偏光子は入射光に対して選択的透過および吸収特性を示す素子を意味する。偏光子は例えば、多様な方向に振動する入射光からいずれか一方向に振動する光は透過し、残りの方向に振動する光は吸収することができる。本明細書で反射型偏光子は入射光に対して選択的透過および反射特性を示す素子を意味する。偏光子は例えば、多様な方向に振動する入射光からいずれか一方向に振動する光は透過し、残りの方向に振動する光は反射することができる。
【0105】
前記吸収型偏光子としては、例えば、PVA(poly(vinyl alcohol))延伸フィルムなどのような高分子延伸フィルムにヨードを染着した偏光層または配向された状態で重合された液晶をホストとし、前記液晶の配向により配列された二色性染料をゲストとするゲスト-ホスト型偏光層を使用できるがこれに制限されるものではない。
【0106】
前記反射型偏光子としては、例えば、いわゆるDBEF(Dual Brightness Enhancement Film)として公知になっている反射型偏光層やLLC(Lyotropic liquid crystal)のような液晶化合物をコーティングして形成される反射型偏光層を使用できるが、これに制限されるものではない。
【0107】
前記偏光子は線偏光子であり得る。本明細書で線偏光子は選択的に透過する光がいずれか一つの方向に振動する線偏光であり、選択的に吸収または反射する光が前記線偏光の振動方向と垂直な方向に振動する線偏光である場合を意味する。吸収型線偏光子である場合、光透過軸と光吸収軸は互いに垂直であり得る。反射型線偏光子である場合、光透過軸と光反射軸は互いに垂直であり得る。
【0108】
第1偏光子および第2偏光子の一面または両面にはそれぞれ保護フィルム、反射防止フィルム、位相差フィルム、表面処理層などが追加で形成されていてもよい。前記位相差フィルムは例えば1/4波長板または1/2波長板であり得る。1/4波長板は550nm波長の光に対する面内位相差値が約100nm~180nm、100nmまたは150nmの範囲内であり得る。1/2波長板は550nm波長の光に対する面内位相差値が約200nm~300nmまたは250nm~300nmの範囲内であり得る。位相差フィルムは例えば高分子延伸フィルムまたは液晶重合フィルムであり得る。偏光板の保護フィルムとしては公知の材料のフィルムが使われ得る。このような材料としては、例えば透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性または等方性などが優秀な熱可塑性樹脂が使われ得る。このような樹脂の例としては、TAC(triacetyl cellulose)等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メト)アクリル系樹脂、ノルボルネン樹脂などの環状ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂または前記の混合物などが例示され得る。第1保護フィルムおよび第2保護フィルムは同一の材料のフィルムであるかまたは異なる材料のフィルムであり得る。偏光子と位相差フィルム、保護フィルムなどの付着のために使われる接着剤としては、アクリル系接着剤、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系または水系ポリエステルなどが例示されるが、これに制限されるものではない。
【0109】
第1偏光子および第2偏光子の550nm波長の光に対する透過率はそれぞれ40%~50%の範囲内であり得る。透過率は550nm波長の光に対する偏光子の単体(Single)透過率を意味し得る。前記偏光子の単体透過率は、例えば、スペクトロメーター(V7100、Jasco社製)を使って測定することができる。例えば、偏光子試料(上部および下部保護フィルム含まず)を機器に据え置いた状態でairをbase lineに設定し、偏光子試料の軸を基準偏光子の軸と垂直および水平に整列した状態でそれぞれの透過率を測定した後に単体透過率を計算することができる。
【0110】
第1偏光子の光透過軸と第2偏光子の光透過軸は互いに垂直であり得る。具体的には、第1偏光子の光透過軸と第2偏光子の光透過軸がなす角度は80度~100度または85度~95度の範囲内であり得る。第1偏光子の光透過軸と第2偏光子の光透過軸が垂直な場合、第1偏光子と第2偏光子の離隔距離により光漏洩などが発生する可能性がある。
【0111】
前記第1~第4接着剤層の厚さはそれぞれ10μm以上であり得る。前記第1~第4接着剤層の厚さはそれぞれ50μm以上、100μm以上、150μm以上、200μm以上、250μm以上、300μm以上、350μm以上または380μm以上であり得、2,000μm以下、1,800μm以下、1,600μm以下、1、400μm以下、1、200μm以下、1,000μm以下または800μm以下であり得る。接着剤層の各厚さが前記範囲内である場合、外郭基板の合着過程での不良を最小化することによって、光学デバイスの構造的安定性および均一な外観特性を確保するのに有利であり得る。
【0112】
一つの例示で、第1接着剤層および第2接着剤層の厚さはそれぞれ400μm以上、500μm以上、600μm以上または700μm以上であり得る。これを通じて、外郭基板の合着過程での不良を最小化することによって、光学デバイスの構造的安定性および均一な外観特性を確保するのに有利であり得る。
【0113】
一つの例示で、第3接着剤層および第4接着剤層の厚さはそれぞれ380μm以下であり得る。これを通じて、第1偏光子と第2偏光子の離隔距離を最小化して光漏洩を減少させるとともに、光学デバイスの構造的安全性を確保することができる。
【0114】
前記第1~第4接着剤層はそれぞれ接着剤層1枚の単層構造を有するかまたは2枚以上のサブ接着剤層の積層体であり得る。サブ接着剤層の厚さおよび個数は目的とする接着剤層の厚さを考慮して制御され得る。一つの例示で、1枚の単層構造の接着剤層またはサブ接着剤層の厚さは100μm~500μmの範囲または300μm~400μmの範囲内であり得る。
【0115】
一つの例として、第1~第4接着剤層の貯蔵弾性率(storage modulus)はそれぞれ1MPa~100MPaの範囲内であり得る。他の例として、第1~第4接着剤層の貯蔵弾性率はそれぞれ2MPa以上または4MPa以上であり得、100MPa以下、80MPa以下、60MPa以下、40MPa以下または20MPa以下であり得る。前記貯蔵弾性率は25℃の温度および1Hzの周波数で測定された値であり得る。
【0116】
一つの例として、第1~第4接着剤層はそれぞれヤング率(Young's modulus、E)が0.1MPa~100MPaの範囲内であり得る。他の例で第1~第4接着剤層のヤング率(E)は0.2MPa以上、0.4MPa以上、0.6MPa以上、0.8MPa以上、1MPa以上、5MPa以上または約10MPa以上であり得、約95MPa以下、80MPa以下、75MPa以下、70MPa以下、65MPa以下、60MPa以下、55MPa以下または約50MPa以下であり得る。前記ヤング率(E)は、例えば、ASTM D882に規定された方式で測定でき、該当規格で提供する形態にフィルムを裁断し、Stress-Strain curveを測定できる装備(力と長さを同時に測定できる)、一例としてUTM(Universal testing machine)を利用して測定することができる。光学デバイスに含まれる接着剤層のヤング率が前記範囲内である場合、光学デバイスの優秀な耐久性を確保するのにさらに有利であり得る。接着剤層が少なくとも2枚以上のサブ接着剤層の積層体である場合、サブ接着剤層それぞれが前記ヤング率の範囲を満足することができる。
【0117】
一つの例として、第1~第4接着剤層はそれぞれ熱膨張係数が2,000ppm/K以下であり得る。前記熱膨張係数は、他の例示で約1,900ppm/K以下、1,700ppm/K以下、1,600ppm/K以下または約1,500ppm/K以下であるか、約10ppm/K以上、20ppm/K以上、30ppm/K以上、40ppm/K以上、50ppm/K以上、60ppm/K以上、70ppm/K以上、80ppm/K以上、90ppm/K以上、100ppm/K以上、200ppm/K以上、300ppm/K以上、400ppm/K以上、500ppm/K以上、600ppm/K以上、700ppm/K以上または約800ppm/K以上であり得る。接着剤層の熱膨張係数は、例えば、ASTM D696の規定により測定でき、該当規格で提供する形態に裁断し、単位温度当たりの長さの変化を測定して熱膨張係数を計算でき、TMA(ThermoMechanic Analysis)等の公知の方式で測定することができる。光学デバイスに含まれる接着剤層の熱膨張係数が前記範囲内である場合、光学デバイスの優秀な耐久性を確保するのにさらに有利であり得る。接着剤層が少なくとも2枚以上のサブ接着剤層の積層体である場合、サブ接着剤層それぞれが前記熱膨張係数の範囲を満足することができる。
【0118】
前記第1~第4接着剤層はそれぞれ熱可塑性ポリウレタン(TPU;Thermoplastic Polyurethane)接着剤層、ポリアミド接着剤層、ポリエステル接着剤層、EVA(Ethylene Vinyl Acetate)接着剤層、アクリル接着剤層、シリコーン接着剤層またはポリオレフィン接着剤層であり得る。本出願の一実施例によると、第1~第4接着剤層はそれぞれ熱可塑性ポリウレタン接着剤層であり得る。
【0119】
光学デバイスは液晶セルの側面を囲む外郭層をさらに含むことができる。
図2は前記外郭層501、502を含む光学デバイスを例示的に示す。光学デバイスで、液晶セルの上部面積は第1外郭基板または第2外郭基板の上部面積より小さくてもよい。また、液晶セルの上部面積は光学デバイスに含まれる第1~第4接着剤層の上部面積より小さくてもよい。
【0120】
一つの例示で、液晶セルは接着剤層および外郭層によってカプセル化されていてもよい。本出願で用語カプセル化(encapsulation)は、接着剤層と外郭層で液晶セルの全面を被覆することを意味し得る。一つの例示で、光学デバイスが第1接着剤層および第2接着剤層を含む場合、液晶セルは第1接着剤層、第2接着剤層および外郭層によってカプセル化されていてもよい。一つの例示で、光学デバイスが第1接着剤層、第2接着剤層、第3接着剤層および第4接着剤層を含む場合、液晶セルは第3接着剤層、第4接着剤層および外郭層によってカプセル化されていてもよい。このようなカプセル化構造によって光学デバイスの耐久性や耐候性が大きく向上し、その結果サンルーフなど野外で使われる用途にも安定的に適用され得る。
【0121】
外郭層は例えば熱可塑性ポリウレタン(TPU;Thermoplastic Polyurethane)接着剤、ポリアミド接着剤、ポリエステル接着剤、EVA(Ethylene Vinyl Acetate)接着剤、アクリル接着剤、シリコーン接着剤またはポリオレフィン接着剤を含むことができる。一つの例示で、外郭層は接着剤層と同一の材料で形成され得る。
【0122】
本出願はまた、光学デバイスの製造方法に関する。前記光学デバイスの製造方法は第1外郭基板、第1接着剤層、液晶セル、第2接着剤層、および第2外郭基板を順に含む積層体にオートクレーブ処理する段階を含むことができる。前記オートクレーブ処理を通じて液晶セルをカプセル化することができる。光学デバイスの製造方法で特に言及しない限り前記光学デバイスで説明した内容が同一に適用され得る。
【0123】
前記積層体は液晶セルの側面を囲む外郭層をさらに含むことができる。
【0124】
第1偏光子および第2偏光子をさらに含む光学デバイスを製造しようとする場合、第1外郭基板、第1接着剤層、第1偏光子、第3接着剤層、液晶セル、第2偏光子、第4接着剤層、第2接着剤層、および第2外郭基板を順に含む積層体に前記オートクレーブ処理を遂行できる。
【0125】
光学デバイスが前記液晶セルおよび偏光子以外の他の素子をさらに含む場合、前記積層体は前記液晶セルおよび偏光子以外の他の素子を目的とする位置にさらに含むことができる。
【0126】
前記オートクレーブ工程は前記積層体に加熱および/または加圧によって遂行され得る。
【0127】
前記オートクレーブ工程の条件は特に制限がなく、例えば、適用された接着剤層の種類によって適切な温度および圧力下で遂行できる。通常のオートクレーブ工程の温度は約80℃以上、90℃以上または100℃以上であり、圧力は2気圧以上であるが、これに制限されるものではない。前記工程温度の上限は約200℃以下、190℃以下、180℃以下または170℃以下程度であり得、工程圧力の上限は約10気圧以下、9気圧以下、8気圧以下、7気圧以下または6気圧以下程度であり得る。
【0128】
前記光学デバイスは透過度可変デバイスであり得る。透過度可変デバイスは透過度が異なる少なくとも2状態の間をスイッチングすることができる。一つの例示で、透過度可変デバイスは透過および遮断モード状態の間をスイッチングできるデバイスであり得る。
【0129】
前記透過モード状態での透過度可変デバイスは透過率が少なくとも10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上または80%以上程度であり得る。前記透過モードでの透過率は他の例示で100%以下、95%以下、90%以下または85%以下程度であってもよい。しかし、透過モードでの透過率は高いほど有利であるので、その上限が特に制限されるものではない。
【0130】
前記遮断モード状態で透過度可変デバイスの透過率は60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下または5%以下であり得る。前記遮断モードでの透過率は他の例示で0%以上、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上または25%以上程度であってもよい。しかし、遮断モードでは透過率が低いほど有利であるので、前記遮断モード状態の透過率の下限は特に制限されない。
【0131】
前記透過率は、例えば、直進光透過率であり得る。直進光透過率は、前記デバイスに入射した光に対する前記入射方向と同一方向に透過した光の比率の百分率である。例えば、前記デバイスがフィルムまたはシート形態であれば、前記フィルムまたはシート表面の法線方向と並んでいる方向に入射した光の中で同様に前記法線方向と並んでいる方向に前記デバイスを透過した光の百分率を前記透過率と定義することができる。
【0132】
前記透過率は、それぞれ可視光領域、例えば、約400~700nmまたは約380~780nmの範囲内のいずれか一つの波長に対する透過率であるか、前記可視光領域全体に対する透過率であるか、前記可視光領域全体に対する透過率の中で最大または最小透過率であるか、前記可視光領域内の透過率の平均値であり得る。
【0133】
前記光学デバイスは多様な用途で使われ得、例えば、サングラスやAR(Augmented Reality)またはVR(Virtual Reality)用アイウェア(eyewear)等のアイウェア類、建物の外壁や車両用サンルーフなどに使われ得る。一つの例示で前記光学デバイスは、それ自体として車両用サンルーフであり得る。例えば、少なくとも一つ以上の開口部が形成されている車体を含む自動車において前記開口部に装着された前記光学デバイスまたは車両用サンルーフを装着して使われ得る。
【発明の効果】
【0134】
本出願は光学デバイスに関する。本出願の光学デバイスは液晶セルのセルギャップが適切に維持され、上部基板と下部基板の優秀な付着力を有し、高温および高圧のオートクレーブ工程後に押され黒点を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【
図3】実施例1のオートクレーブ後のイメージを示す。
【
図4】実施例2のオートクレーブ後のイメージを示す。
【
図5】実施例3のオートクレーブ後のイメージを示す。
【
図6】実施例4のオートクレーブ後のイメージを示す。
【
図7】実施例5のオートクレーブ後のイメージを示す。
【
図8】実施例6のオートクレーブ後のイメージを示す。
【
図9】比較例1のオートクレーブ後のイメージを示す。
【
図10】比較例2のオートクレーブ後のイメージを示す。
【
図11】比較例3のオートクレーブ後のイメージを示す。
【
図12】比較例1の黒点を拡大したイメージと黒点が発生する原理を例示的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0136】
以下、実施例を通じて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲は下記の実施例によって制限されるものではない。
【0137】
実施例1
上部基板の製作
OCAタイプの粘着性樹脂(KR3700、ShinEtsu社)を固形分の濃度が25wt%となるようにトルエン溶媒に混合し、前記粘着性樹脂100重量部対比架橋剤A(Tetrakis(Dimethylsiloxy)Silane、Gelest社)15重量部および白金触媒(CAT-PL-56、ShinEtsu社)1重量部を添加して粘着剤組成物を製造した。フッ素離型フィルム(FSC6、Nippa社)上に前記粘着剤組成物をバーコーティングでコーティングした後、140℃の温度で6分の間加熱することによって最終厚さ約10μmの粘着剤層Aを形成した。前記粘着剤層をPET-ITOフィルムのITO層上に合紙して上部基板を製造した。前記PET-ITOフィルムは高延伸PET(polyethyleneterephtalate)フィルム(OCF、SKC社)上にITO(Indium Tin Oxide)層が約30nm厚さで蒸着されたフィルムであって、総厚さは約145μmである。前記製造された上部基板は高延伸PETフィルム/ITO層/粘着剤層/離型フィルムの順で積層された構造を有する。
【0138】
下部基板の製作
上部基板で使ったものと同一のPET-ITOフィルムのITO層上にアクリル系樹脂組成物(商品名:KAD-03、メーカー:ミニュタテク)をコーティングした後、フォトリソグラフィ方式で四角形状にパターニングすることによって隔壁状のスペーサーを形成した。隔壁状の高さは6μmで、ピッチ(四角形の対向する2面の間隔)は350μmであり、線幅は15μmである。引き続き、スペーサー上に垂直配向膜(5661LB3、Nissan社)を約300nmでコーティングした後、ラビング布でラビング処理して下部基板を製造した。
【0139】
液晶セルの合着
上部基板からフッ素離型フィルムを剥離した。下部基板の配向膜上に液晶組成物をコーティングした後、上部基板でラミネーションして液晶セルを合着した。前記液晶組成物は屈折率異方性(△が0.094であり、負の誘電率異方性を有する液晶化合物(SHN-7002XX T12、JNC社)とキラル添加剤(S811、Merck)の混合物である。製造された液晶セルはセルギャップが6μmであるReverse TNモード液晶セルであり、キラルピッチは20μmである。
【0140】
実施例2
実施例1の粘着剤層Aの代わりに、下記のように粘着剤層Bを形成したことを除いては実施例1と同じ方法で液晶セルを製造した。OCAタイプの粘着性樹脂(KR3700、ShinEtsu社)を固形分の濃度が25wt%となるようにトルエン溶媒に混合し、前記粘着性樹脂100重量部対比架橋剤B(n-Octadecyltrimethoxysilane、Gelest社)10重量部および白金触媒(CAT-PL-56、ShinEtsu社)1重量部を添加して粘着剤組成物を製造した。フッ素離型フィルム(FSC6、Nippa社)上に前記粘着剤組成物をバーコーティングでコーティングした後、140℃の温度で3分の間加熱することによって最終厚さ約10μmの粘着剤層Bを形成した。
【0141】
実施例3
実施例1の粘着剤層Aの代わりに、下記のように粘着剤層Cを形成したことを除いては実施例1と同じ方法で液晶セルを製造した。OCAタイプの粘着性樹脂(KR3700、ShinEtsu社)を固形分の濃度が25wt%となるようにトルエン溶媒に混合し、前記粘着性樹脂100重量部対比架橋剤C(Dodecyltrimethoxysilane、Gelest社)3重量部および白金触媒(CAT-PL-56、ShinEtsu社)1重量部を添加して粘着剤組成物を製造した。フッ素離型フィルム(FSC6、Nippa社)上に前記粘着剤組成物をバーコーティングでコーティングした後、140℃の温度で3分の間加熱することによって最終厚さ約10μmの粘着剤層Cを形成した。
【0142】
実施例4
実施例1の粘着剤層Aの代わりに、下記のように粘着剤層Dを形成したことを除いては実施例1と同じ方法で液晶セルを製造した。OCAタイプの粘着性樹脂(KR3700、ShinEtsu社)を固形分の濃度が25wt%となるようにトルエン溶媒に混合し、前記粘着性樹脂100重量部対比架橋剤A(Tetrakis(Dimethylsiloxy)Silane、Gelest社)15重量部および白金触媒(CAT-PL-56、ShinEtsu社)1重量部を添加して粘着剤組成物を製造した。フッ素離型フィルム(FSC6、Nippa社)上に前記粘着剤組成物をバーコーティングでコーティングした後、140℃の温度で3分の間加熱することによって最終厚さ約10μmの粘着剤層Dを形成した。
【0143】
実施例5
実施例1の粘着剤層Aの代わりに、下記のように粘着剤層Eを形成したことを除いては実施例1と同じ方法で液晶セルを製造した。OCAタイプの粘着性樹脂(SS9242、KCC社)を固形分の濃度が25wt%となるようにトルエン溶媒に混合し、前記粘着性樹脂100重量部対比架橋剤D(S0016B、KCC社)1重量部、架橋剤E(SC0025B、KCC社)3重量部、および白金触媒(SK0010C、KCC社)1重量部を添加して粘着剤組成物を製造した。フッ素離型フィルム(FSC6、Nippa社)上に前記粘着剤組成物をバーコーティングでコーティングした後、140℃の温度で6分の間加熱することによって最終厚さ約10μmの粘着剤層Eを形成した。
【0144】
実施例6
実施例1の粘着剤層Aの代わりに、下記のように粘着剤層Fを形成したことを除いては実施例1と同じ方法で液晶セルを製造した。OCAタイプの粘着性樹脂(SS9242、KCC社)を固形分の濃度が25wt%となるようにトルエン溶媒に混合し、前記粘着性樹脂100重量部対比架橋剤D(S0016B、KCC社)0.5重量部、架橋剤E(SC0025B、KCC社)3.5重量部、および白金触媒(SK0010C、KCC社)1重量部を添加して粘着剤組成物を製造した。フッ素離型フィルム(FSC6、Nippa社)上に前記粘着剤組成物をバーコーティングでコーティングした後、140℃の温度で6分の間加熱することによって最終厚さ約10μmの粘着剤層Fを形成した。
【0145】
比較例1
実施例1の粘着剤層Aの代わりに、下記のように粘着剤層Gを形成したことを除いては実施例1と同じ方法で液晶セルを製造した。OCAタイプの粘着性樹脂(KR3700、ShinEtsu社)を固形分の濃度が25wt%となるようにトルエン溶媒に混合し、前記粘着性樹脂100重量部対比架橋剤A(Tetrakis(Dimethylsiloxy)Silane、Gelest社)15重量部および白金触媒(CAT-PL-56、ShinEtsu社)1重量部を添加して粘着剤組成物を製造した。フッ素離型フィルム(FSC6、Nippa社)上に前記粘着剤組成物をバーコーティングでコーティングした後、140℃の温度で1分の間加熱することによって最終厚さ約10μmの粘着剤層Gを形成した。
【0146】
比較例2
実施例1の粘着剤層Aの代わりに、下記のように粘着剤層Hを形成したことを除いては実施例1と同じ方法で液晶セルを製造した。OCAタイプの粘着性樹脂(KR3700、ShinEtsu社)を固形分の濃度が25wt%となるようにトルエン溶媒に混合し、前記粘着性樹脂100重量部対比架橋剤A(Tetrakis(Dimethylsiloxy)Silane、Gelest社)15重量部および白金触媒(CAT-PL-56、ShinEtsu社)1重量部を添加して粘着剤組成物を製造した。フッ素離型フィルム(FSC6、Nippa社)上に前記粘着剤組成物をバーコーティングでコーティングした後、130℃の温度で3分の間加熱することによって最終厚さ約10μmの粘着剤層Hを形成した。
【0147】
比較例3
実施例1の粘着剤層Aの代わりに、下記のように粘着剤層Iを形成したことを除いては実施例1と同じ方法で液晶セルを製造した。OCAタイプの粘着性樹脂(KR3700、ShinEtsu社)を固形分の濃度が25wt%となるようにトルエン溶媒に混合し、前記粘着性樹脂100重量部対比架橋剤A(Tetrakis(Dimethylsiloxy)Silane、Gelest社)15重量部および白金触媒(CAT-PL-56、ShinEtsu社)2重量部を添加して粘着剤組成物を製造した。フッ素離型フィルム(FSC6、Nippa社)上に前記粘着剤組成物をバーコーティングでコーティングした後、140℃の温度で3分の間加熱することによって最終厚さ約10μmの粘着剤層Iを形成した。
【0148】
測定例1.粘着剤層の貯蔵弾性率およびタンジェントデルタ値測定
粘着剤層の貯蔵弾性率およびタンジェントデルタ値をTA社のARES G2、Rheometerを使って測定した。実施例および比較例に記載された通り、フッ素離型フィルム上に粘着剤層を形成した後、フッ素離型フィルムを剥離して粘着剤層を取った。直径が約8mmで厚さが約1000μmである円盤形態の粘着剤層サンプルを、直径が約8mmであるAl plate上に載せておいて測定を進めた。前記測定時に貯蔵弾性率(G')と損失弾性率(G″)が測定され、タンジェントデルタ値はG″/G'で計算された値を得ることができる。周波数1rad/secおよび温度110℃の条件と周波数1rad/secおよび温度25℃の条件で得られた貯蔵弾性率およびタンジェントデルタ値を下記の表1に記載した。
【0149】
評価例1.オートクレーブ後黒点発生の有無評価
第1外郭基板101、第1接着剤層301、第1偏光子401、第3接着剤層303、液晶セル200、第4接着剤層304、第2偏光子402、第2接着剤層302および第2外郭基板102を順に含み、液晶セル200の側面を囲む外郭層501、502を含む積層体を準備した。
【0150】
前記液晶セルとしては実施例1~6および比較例1~3の液晶セルをそれぞれ使った。第1外郭基板としては厚さが約3mmで、面積が横×縦=1100mm×800mmであり、曲率半径が約2,470Rであるガラス基板を使った。第2外郭基板としては厚さが約3mmで、面積が横×縦=1100mm×800mmであり、曲率半径が約2,400Rであるガラス基板を使った。第1偏光子および第2偏光子はそれぞれPVA系偏光子であり、第1偏光子の光透過軸と第2偏光子の光透過軸は約90度をなすように配置した。第1接着剤層および第2接着剤層としては、それぞれ厚さが760μmであるTPU層(Argotec社)を使用し、第3接着剤層および第4接着剤層としては、それぞれ厚さが380μmであるTPU層(Argotec社)を使った。前記TPU層(Argotec社)の熱膨張係数は307ppm/Kで、貯蔵弾性率は3,357,730Paであり、損失弾性率は1,485,510Paであった。
【0151】
前記積層体に約110℃の温度および約3気圧の圧力で3時間の間オートクレーブ工程を遂行して
図2の構造の光学デバイスを製作した。前記オートクレーブ工程後の光学デバイスに対して黒点発生の有無を評価し、下記の表1に記載した。
図3~8はそれぞれ実施例1~6のオートクレーブ後のイメージを示す。
図9~11はそれぞれ比較例1~3のオートクレーブ後のイメージを示す。実施例1~6はオートクレーブ後に押され黒点が観察されていないが、比較例1~3はオートクレーブ後に押され黒点が観察された。
図12は比較例1の黒点を拡大したイメージと黒点が発生する原理を例示的に示す(
図12の(A):オートクレーブ工程前、
図12の(B):オートクレーブ工程後、
図12の(C):黒点部分を拡大、
図12の(D):黒点の発生原理)。
図12の(D)には第1基材層10a、粘着剤層10c、第2基材層20aおよびスペーサー20cのみ図示した。
図12の(B)および(C)で黒点がない部分は液晶セルに圧力が印加されていない部分であり、黒点がある部分は液晶セルに局部的に圧力が印加された部分である。液晶セルに局部的な圧力が加えられる場合、圧力によって液晶が移動して(
図12の(D)で矢印方向に移動)抜け出た部分は黒点として発現し、移動した液晶が集まると液晶の集まり(黒点周辺の明るい部分)が発生する。
【0152】
【符号の説明】
【0153】
10a:第1基材層
10b:第1電極層
10c:粘着剤層
20a:第2基材層
20b:第2電極層
20c:スペーサー
20d:配向膜
30:液晶層
101:第1外郭基板
102:第2外郭基板
200:液晶セル
301:第1接着剤層
302:第2接着剤層
303:第3接着剤層
304:第4接着剤層
401:第1偏光子
402:第2偏光子
501、502:外郭層
【国際調査報告】