(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】リソグラフィ装置コントローラシステム
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20250212BHJP
G05B 11/32 20060101ALI20250212BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G05B11/32 F
H01L21/68 F
H01L21/68 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542258
(86)(22)【出願日】2023-02-03
(85)【翻訳文提出日】2024-09-12
(86)【国際出願番号】 EP2023052670
(87)【国際公開番号】W WO2023148326
(87)【国際公開日】2023-08-10
(32)【優先日】2022-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ロゼット,バス,ヨハネス,ペトルス
【テーマコード(参考)】
2H197
5F131
5H004
【Fターム(参考)】
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5H004KB32
(57)【要約】
コントローラシステムは、プラントを制御するように構成されており、基準状態信号に基づいて、フィードフォワード信号をプラントに提供するためのフィードフォワードコントローラと、基準状態信号とプラントの実際の状態を表すプラント状態信号との間の差に基づいて、フィードバック信号をプラントに提供するためのフィードバックコントローラシステムとを備えている。フィードバックコントローラシステムは、積分器と、軌道生成器と、セレクタとを備える。フィードバックコントローラシステムは、基準状態の関数として、第1の制御モード又は第2の制御モードで動作するように構成されており、フィードバックコントローラシステムは、第1の制御モードでは、軌道生成器によって生成される軌道生成器出力信号を選択するようにセレクタを動作させ、フィードバックコントローラシステムは、第2の制御モードでは、積分器によって生成される積分器出力信号を選択するようにセレクタを動作させる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントを制御するように構成されたコントローラシステムであって、
・基準状態信号に基づいて、フィードフォワード信号を前記プラントに提供するように構成されたフィードフォワードコントローラと、
・前記基準状態信号と前記プラントの実際の状態を表すプラント状態信号との間の差に基づいて、フィードバック信号を前記プラントに提供するように構成されたフィードバックコントローラシステムと、
を備えており、
・フィードバックコントローラシステムは、積分器と、軌道生成器と、軌道生成器によって生成される軌道生成器出力信号と積分器によって生成される積分器出力信号とのうちの1つをプラントへのフィードバック信号に選択的に出力するように構成されたセレクタとを備えており、
・前記フィードバックコントローラシステムは、前記基準状態信号の関数として、第1の制御モード又は第2の制御モードで動作するように構成されており、
前記フィードバックコントローラシステムは、前記第1の制御モードでは、前記軌道生成器によって生成される前記軌道生成器出力信号を選択するように前記セレクタを動作させるように構成されており、
前記フィードバックコントローラシステムは、前記第2の制御モードでは、前記積分器によって生成される前記積分器出力信号を選択するように前記セレクタを動作させるように構成されている、コントローラシステム。
【請求項2】
前記プラントは可動物体であり、前記基準状態信号は前記可動物体の位置セットポイントである、請求項1に記載のコントローラシステム。
【請求項3】
前記軌道生成器は、前記第1の制御モードでは、前記基準状態信号の2階時間微分を表す軌道を生成するように構成されている、請求項1又は2に記載のコントローラシステム。
【請求項4】
前記軌道生成器は、前記基準状態信号のスケーリングされた2階時間微分を表す軌道を生成するように構成されている、請求項3に記載のコントローラシステム。
【請求項5】
前記軌道生成器は、前記第1の制御モードでは第1の値から第2の値までの軌道を生成するように構成されており、前記軌道生成器は、前記第2の制御モードから前記第1の制御モードに移行すると、前記第1の値を前記積分器の前記積分器出力に等しく設定するように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のコントローラシステム。
【請求項6】
前記フィードバックコントローラシステムは、前記第1の制御モードから前記第2の制御モードに移行すると、前記積分器出力信号を前記第2の値に設定するように構成されている、請求項5に記載のコントローラシステム。
【請求項7】
前記第2の値は、前記基準状態信号の2階時間微分がゼロであるときの前記コントローラシステムの状態に一致する前記積分器出力信号の値に設定される、請求項5又は6に記載のコントローラシステム。
【請求項8】
前記第2の値はゼロに設定される、請求項5又は6に記載のコントローラシステム。
【請求項9】
前記フィードバックコントローラシステムは、前記基準状態信号の3階時間微分の絶対値が所定の閾値を超えるとき、前記第1の制御モードで動作するように構成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のコントローラシステム。
【請求項10】
前記フィードバックコントローラシステムは、前記基準状態信号の前記3階時間微分の前記絶対値が前記所定の閾値よりも下に移行するとき、前記第1の制御モードから前記第2の制御モードに移行するように構成されている、請求項9に記載のコントローラシステム。
【請求項11】
前記フィードバックコントローラシステムは更に、比例微分制御を備えており、前記比例微分制御によって生成される比例微分信号が前記フィードバック信号に出力される、請求項1から10のいずれか一項に記載のコントローラシステム。
【請求項12】
前記フィードバックコントローラシステムは、前記基準状態信号の関数として、第3の制御モードで動作するように構成されており、前記フィードバックコントローラシステムは、前記第3の制御モードでは、前記積分器によって生成される前記積分器出力信号を当初はゼロに設定し、前記軌道生成器によって生成される前記軌道生成器出力信号を選択し、前記積分器によって生成される前記積分器出力信号を加算するように構成されている、請求項1から11のいずれかに記載のコントローラシステム。
【請求項13】
ステージであって、前記ステージの位置を制御するように構成された、請求項1から12のいずれか一項に記載のコントローラシステムを備えており、前記基準状態信号は前記ステージの位置セットポイントである、ステージ。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載のコントローラシステムを備えるリソグラフィ装置。
【請求項15】
前記コントローラシステムは、前記リソグラフィ装置のステージの位置を制御するように構成されており、前記基準状態信号は前記ステージの位置セットポイントである、請求項14に記載のリソグラフィ装置。
【請求項16】
前記基準状態信号を生成するように構成された基準状態信号生成器を備えており、前記基準状態信号生成器は、前記基準状態信号を生成して、前記ステージに、一定のステージ速度でのスキャン移動と、前記ステージが速度を変化させる減速/加速とを交互に繰り返させるように構成されており、前記フィードバックコントローラシステムは、前記ステージの前記スキャン移動への移行よりも前に前記ステージの前記加速度の時間微分の絶対値が所定の閾値を超えるときには前記第1の制御モードで動作するように、及び前記ステージの前記スキャン移動中には前記第2の制御モードで動作するように構成されている、請求項15に記載のリソグラフィ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、コントローラシステム、そのようなコントローラシステムを備えるステージ、及びそのようなコントローラシステムを備えるリソグラフィ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、基板に所望のパターンを適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造において使用されることができる。リソグラフィ装置は、例えばパターニングデバイス(例えばマスク)のパターン(「設計レイアウト」又は「設計」と称されることも多い)を、基板(例えばウェーハ)上に提供された放射感応性材料(レジスト)層に投影し得る。
【0003】
[0003] 半導体製造プロセスが進歩し続けるにつれ、回路素子の寸法は継続的に縮小されてきたが、その一方で、デバイス毎のトランジスタなどの機能素子の量は、「ムーアの法則」と通称される傾向に従って、数十年にわたり着実に増加している。ムーアの法則に対応するために、半導体産業はますます小さなフィーチャを作り出すことを可能にする技術を追求している。基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用し得る。この放射の波長が、基板上にパターン形成されるフィーチャの最小サイズを決定する。現在使用されている典型的な波長は、365nm(i線)、248nm、193nm及び13.5nmである。例えば193nmの波長を有する放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さなフィーチャを基板上に形成するためには、4nm~20nmの範囲内、例えば6.7nm又は13.5nmの波長を有する極端紫外線(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置が使用され得る。
【0004】
[0004] リソグラフィ装置は、パターンを基板上に投影するとき、例えば、基板の一部をスキャンするためにスキャン移動を行うときに、反復移動を実施し得る。スキャン移動の合間には、移動の速度又は移動の方向を変化させるために、加速及び減速が実施され得る。リソグラフィ装置のステージの移動など、移動は、コントローラによって制御され得る。コントローラは、例えば、比例制御、積分器制御、及び微分器制御を実装し得る。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 上記を考慮して、本発明の目的は、高いスループットを有するリソグラフィ装置を提供することである。
【0006】
[0006] 本発明の一実施形態によれば、
・基準状態信号に基づいて、フィードフォワード信号をプラントに提供するように構成されたフィードフォワードコントローラと、
・基準状態信号とプラントの実際の状態を表すプラント状態信号との間の差に基づいて、フィードバック信号をプラントに提供するように構成されたフィードバックコントローラシステムと、
を備える、プラントを制御するように構成されたコントローラシステムが提供され、
・フィードバックコントローラシステムは、積分器と、軌道生成器と、軌道生成器によって生成される軌道生成器出力信号と積分器によって生成される積分器出力信号とのうちの1つをプラントへのフィードバック信号に選択的に出力するように構成されたセレクタとを備えており、
・フィードバックコントローラシステムは、基準状態信号の関数として、第1の制御モード又は第2の制御モードで動作するように構成されており、
フィードバックコントローラシステムは、第1の制御モードでは、軌道生成器によって生成される軌道生成器出力信号を選択するようにセレクタを動作させるように構成されており、
フィードバックコントローラシステムは、第2の制御モードでは、積分器によって生成される積分器出力信号を選択するようにセレクタを動作させるように構成されている。
【0007】
[0007] 本発明の更なる一実施形態によれば、ステージの位置を制御するように構成された、本発明によるコントローラシステムを備えるステージが提供され、基準状態信号はステージの位置セットポイントである。
【0008】
[0008] 本発明の更に別の一実施形態によれば、本発明によるコントローラシステムを備えるリソグラフィ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
[0009] 本発明の実施形態を、単なる例として、添付の概略図を参照して以下に説明する。
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置の図式的概観を図示する。
【
図2】
図1のリソグラフィ装置の一部の詳細図を図示する。
【
図3】本発明の一実施形態において用いられ得る位置決めシステムの一部として位置制御システムを概略的に図示する。
【
図5】
図4に記載のコントローラシステムから得られる時間応答を示すタイミング図を図示する。
【
図6】一実施形態によるコントローラシステムを図示する。
【
図7】
図6に記載のコントローラシステムから得られる時間応答を示すタイミング図を図示する。
【
図8】ブロック線図を図示し、それに基づいて
図6に記載のコントローラシステムのスイッチング安定性が説明される。
【
図9】ブロック線図を図示し、それに基づいて
図6に記載のコントローラシステムのスイッチング安定性が説明される。
【
図10】Lur’eシステム表現を図示し、それに基づいて
図6に記載のコントローラシステムのスイッチング安定性が説明される。
【
図11】複素平面を図示し、それに基づいて
図6に記載のコントローラシステムのスイッチング安定性が説明される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[00010] 本文献では、「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm又は126nmの波長を有する)及びEUV(極端紫外線、例えば、約5~100nmの範囲の波長を有する)を含む、すべてのタイプの電磁放射を包含するために使用される。
【0012】
[00011] 「レチクル」、「マスク」、又は「パターニングデバイス」という用語は、本文で用いられるとき、基板のターゲット部分に生成されるパターンに対応するパターン付き断面を入来する放射ビームに与えるために使用されることができる汎用パターニングデバイスを指すものとして、広義に解釈され得る。「ライトバルブ」という用語もまた、この文脈において使用されることができる。古典的なマスク(透過型又は反射型マスク、バイナリマスク、位相シフトマスク、ハイブリッドマスク等)以外に、他のそのようなパターニングデバイスの例は、プログラマブルミラーアレイ及びプログラマブルLCDアレイを含む。
【0013】
[00012]
図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示す。リソグラフィ装置LAは、放射ビームB(例えばUV放射、DUV放射、又はEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータとも呼ばれる)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに連結されたマスクサポート(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板サポートを正確に位置決めするように構築された第2のポジショナPWに連結された基板サポート(例えばウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSと、を含む。
【0014】
[00013] 動作中、照明システムILは、例えばビームデリバリシステムBDを介して放射源SOから放射ビームを受ける。照明システムILは、放射を誘導し、整形し、及び/又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、及び/又はその他のタイプの光学コンポーネント、又はそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含み得る。イルミネータILは、放射ビームBを、その断面がパターニングデバイスMAの平面において所望の空間及び角度強度分布を有するように調節するために使用されてもよい。
【0015】
[00014] 本明細書で用いられる「投影システム」PSという用語は、使用される露光放射、及び/又は液浸液の使用や真空の使用のような他のファクタに合わせて適宜、屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、アナモルフィック光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム、及び/又は静電気光学システム、又はそれらの任意の組み合わせを含む様々なタイプの投影システムを包含するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書で「投影レンズ」という用語が使用される場合、より一般的な「投影システム」PSという用語と同義と見なされてもよい。
【0016】
[00015] リソグラフィ装置LAは、投影システムPSと基板Wとの間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部が例えば水のような比較的高い屈折率を有する液体で覆われ得るタイプであってもよい。これは液浸リソグラフィとも呼ばれる。液浸技法に関する更なる情報は、参照により本願に組み込まれる米国特許第6952253号に与えられている。
【0017】
[00016] リソグラフィ装置LAは、2つ以上の基板サポートWTを有するタイプであってもよい(「デュアルステージ」とも呼ばれる)。そのような「マルチステージ」機械においては、基板サポートWTが並行して使用されてもよく、及び/又は、一方の基板サポートWT上の基板Wにパターンを露光するためにこの基板を使用している間に、他方の基板サポートWT上に位置する基板Wに対して基板Wの後続の露光の準備ステップが実行されてもよい。
【0018】
[00017] 基板サポートWTに加えて、リソグラフィ装置LAは、測定ステージを含み得る。測定ステージは、センサ及び/又はクリーニングデバイスを保持するように配置されている。センサは、投影システムPSの特性又は放射ビームBの特性を測定するように配置され得る。測定ステージは、複数のセンサを保持し得る。クリーニングデバイスは、例えば投影システムPSの一部又は液浸液を提供するシステムの一部など、リソグラフィ装置の一部をクリーニングするように配置され得る。基板サポートWTが投影システムPSから離れている場合、測定ステージは投影システムPSの下方で移動し得る。
【0019】
[00018] 動作中、放射ビームBは、マスクサポートMT上に保持されている、例えばマスクのようなパターニングデバイスMAに入射し、パターニングデバイスMA上に存在するパターン(設計レイアウト)によってパターンが付与される。マスクMAを横断した放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分Cに集束させる。第2のポジショナPW及び位置測定システムIFを用いて、基板サポートWTは、例えば、放射ビームBの経路内の集束され位置合わされた位置に様々なターゲット部分Cを位置決めするように、正確に移動されることができる。同様に、第1のポジショナPM、及び場合によっては別の位置センサ(
図1には明示的に図示されていない)は、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めするために使用され得る。パターニングデバイスMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせされ得る。図示されている基板アライメントマークP1、P2は専用のターゲット部分を占有しているが、基板アライメントマークはターゲット部分間の空間に位置していてもよい。基板アライメントマークP1、P2は、ターゲット部分C間に位置しているときには、スクライブラインアライメントマークとして知られている。
【0020】
[00019] 本発明を明確にするために、デカルト座標系が使用される。デカルト座標系は、3つの軸、すなわちx軸、y軸、及びz軸を有する。3つの軸のそれぞれは、他の2つの軸と直交する。x軸を中心とする回転は、Rx回転と呼ばれる。y軸を中心とする回転は、Ry回転と呼ばれる。z軸を中心とする回転は、Rz回転と呼ばれる。x軸及びy軸は水平面を定義するのに対して、z軸は垂直方向にある。デカルト座標系は本発明を限定しているのではなく、明確化のためにのみ使用される。代わりに、円筒座標系などの別の座標系を用いて本発明を明確にすることもある。デカルト座標系の向きは、例えばz軸が水平面に沿った成分を有するように異なることがある。
【0021】
[00020]
図2は、
図1のリソグラフィ装置LAの一部のより詳細な図を示す。リソグラフィ装置LAは、基礎フレームBFと、バランスマスBMと、メトロロジフレームMFと、振動絶縁システムISとを備え得る。メトロロジフレームMFは投影システムPSを支持する。また、メトロロジフレームMFは位置測定システムPMSの一部を支持し得る。メトロロジフレームMFは、振動絶縁システムISを介して基礎フレームBFによって支持されている。振動絶縁システムISは、振動が基礎フレームBFからメトロロジフレームMFへと伝搬するのを防止又は低減するために配置される。
【0022】
[00021] 第2のポジショナPWは、基板サポートWTとバランスマスBMとの間に駆動力を提供することによって基板サポートWTを加速するために配置される。駆動力は基板サポートWTを所望の方向に加速させる。運動量の保存により、駆動力はバランスマスBMにも同じ規模で、しかし所望の方向とは反対の方向で、印加される。典型的には、バランスマスBMの質量は、第2のポジショナPW及び基板サポートWTの移動部の質量よりも有意に大きい。
【0023】
[00022] 一実施形態においては、第2のポジショナPWはバランスマスBMによって支持される。例えば、その場合第2のポジショナPWは、基板サポートWTをバランスマスBMの上方に浮揚させるための平面モータを備える。別の一実施形態においては、第2のポジショナPWは基礎フレームBFによって支持される。例えば、その場合第2のポジショナPWはリニアモータを備え、その場合第2のポジショナPWは基板サポートWTを基礎フレームBFの上方に浮揚させるためのガスベアリングのようなベアリングを備える。
【0024】
[00023] 位置測定システムPMSは、基板サポートWTの位置を判定するのに適した任意のタイプのセンサを備えていてもよい。位置測定システムPMSは、マスクサポートMTの位置を判定するのに適した任意のタイプのセンサを備えていてもよい。センサは、干渉計又はエンコーダなどの光学センサであってもよい。位置測定システムPMSは、干渉計とエンコーダとの複合システムを備えていてもよい。センサは、磁気センサ、静電容量センサ、又は誘導センサなど、別のタイプのセンサであってもよい。位置測定システムPMSは、基準、例えばメトロロジフレームMF又は投影システムPSに対する位置を判定してもよい。位置測定システムPMSは、位置を測定することによって又は速度もしくは加速度など位置の時間微分を測定することによって、基板テーブルWT及び/又はマスクサポートMTの位置を判定してもよい。
【0025】
[00024] 位置測定システムPMSはエンコーダシステムを備えていてもよい。エンコーダシステムは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、2006年9月7日に提出された米国特許出願第2007/0058173A1号から既知である。エンコーダシステムは、エンコーダヘッドと、格子と、センサとを備える。エンコーダシステムは一次放射ビーム及び二次放射ビームを受光し得る。一次放射ビーム並びに二次放射ビームはいずれも、同じ放射ビーム、すなわち原放射ビームに由来し得る。一次放射ビームと二次放射ビームとのうち少なくとも一方は、原放射ビームを格子で回折することによって生み出される。一次放射ビームと二次放射ビームとの両方が原放射ビームを格子で回折することによって生み出される場合には、一次放射ビームは二次放射ビームとは異なる回折次数を有する必要がある。異なる回折次数とは、例えば、+1次、-1次、+2次、及び-2次である。エンコーダシステムは一次放射ビームと二次放射ビームとを光学的に合成して合成放射ビームにする。エンコーダヘッド内のセンサが、合成放射ビームの位相又は位相差を判定する。センサは、その位相又は位相差に基づいて信号を生成する。信号は、格子に対するエンコーダヘッドの位置を表す。エンコーダヘッドと格子とのうち一方は、基板構造WT上に配置されてもよい。エンコーダヘッドと格子とのうち他方は、メトロロジフレームMF又は基礎フレームBF上に配置されてもよい。例えば、複数のエンコーダヘッドがメトロロジフレームMF上に配置され、その一方で1つの格子が基板サポートWTの上面に配置される。別の一例においては、1つの格子が基板サポートWTの底面に配置され、1つのエンコーダヘッドが基板サポートWTの下方に配置される。
【0026】
[00025] 位置測定システムPMSは干渉計システムを備えていてもよい。干渉計システムは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、1998年7月13日に提出された米国特許第6,020,964号から既知である。干渉計システムは、ビームスプリッタと、ミラーと、基準ミラーと、センサとを備え得る。放射ビームは、ビームスプリッタによって、基準ビームと測定ビームとに分割される。測定ビームはミラーへ伝搬し、ミラーによって反射されてビームスプリッタに戻る。基準ビームは基準ミラーへ伝搬し、基準ミラーによって反射されてビームスプリッタに戻る。ビームスプリッタでは、測定ビームと基準ビームとが合成されて合成放射ビームになる。合成放射ビームはセンサに入射する。センサは合成放射ビームの位相又は周波数を判定する。センサは、その位相又は周波数に基づいて信号を生成する。信号はミラーの変位を表す。一実施形態においては、ミラーは基板サポートWTに連結される。基準ミラーはメトロロジフレームMFに連結されてもよい。一実施形態においては、測定ビームと基準ビームとは、ビームスプリッタではなく追加的な光学コンポーネントによって合成されて合成放射ビームになる。
【0027】
[00026] 第1のポジショナPMはロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを備え得る。ショートストロークモジュールは、ロングストロークモジュールに対して高い精度で小さな移動範囲にわたってマスクサポートMTを移動させるように配置される。ロングストロークモジュールは、投影システムPSに対して相対的に低い精度で大きな移動範囲にわたってショートストロークモジュールを移動させるように配置される。ロングストロークモジュールとショートストロークモジュールとの組み合わせによって、第1のポジショナPMは、投影システムPSに対して高い精度で大きな移動範囲にわたってマスクサポートMTを移動させることができる。同様に、第2のポジショナPWはロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを備え得る。ショートストロークモジュールは、ロングストロークモジュールに対して高い精度で小さな移動範囲にわたって基板サポートWTを移動させるように配置される。ロングストロークモジュールは、投影システムPSに対して相対的に低い精度で大きな移動範囲にわたってショートストロークモジュールを移動させるように配置される。ロングストロークモジュールとショートストロークモジュールとの組み合わせによって、第2のポジショナPWは、投影システムPSに対して高い精度で大きな移動範囲にわたって基板サポートWTを移動させることができる。
【0028】
[00027] 第1のポジショナPM及び第2のポジショナPWは、各々が、マスクサポートMT及び基板サポートWTをそれぞれ移動させるためのアクチュエータを備えている。アクチュエータは、単軸、例えばy軸に沿って駆動力を提供するためのリニアアクチュエータであってもよい。複数の軸に沿って駆動力を提供するために、複数のリニアアクチュエータが適用されてもよい。アクチュエータは、複数の軸に沿って駆動力を提供するための平面アクチュエータであってもよい。例えば、平面アクチュエータは、基板サポートWTを6自由度で移動させるように配置されてもよい。アクチュエータは、少なくとも1つのコイルと少なくとも1つの磁石とを備える電磁アクチュエータであってもよい。アクチュエータは、少なくとも1つのコイルに電流を印加することによって、少なくとも1つのコイルを少なくとも1つの磁石に対して移動させるように配置される。アクチュエータは可動磁石式アクチュエータであってもよく、これは基板サポートWTに又はマスクサポートMTに結合された少なくとも1つの磁石を有する。アクチュエータは可動コイル式アクチュエータであってもよく、これは基板サポートWTに又はマスクサポートMTに結合された少なくとも1つのコイルを有する。アクチュエータは、ボイスコイルアクチュエータ、リラクタンスアクチュエータ、ローレンツアクチュエータ、もしくはピエゾアクチュエータ、又は任意の他の適当なアクチュエータであってもよい。
【0029】
[00028] リソグラフィ装置LAは、
図3に概略的に図示される位置制御システムPCSを備えている。位置制御システムPCSは、セットポイントジェネレータSPと、フィードフォワードコントローラFFと、フィードバックコントローラFBとを備えている。位置制御システムPCSは、駆動信号をアクチュエータACTに提供する。アクチュエータACTは、第1のポジショナPMのアクチュエータであってもよく、又は第2のポジショナPWのアクチュエータであってもよい。アクチュエータACTは、基板サポートWT又はマスクサポートMTを備え得るプラントPを駆動する。プラントPの出力は、位置又は速度又は加速度などの位置量である。位置量は位置測定システムPMSによって測定される。位置測定システムPMSは信号を生成し、この信号はプラントPの位置量を表す位置信号である。セットポイントジェネレータSPは信号を生成し、この信号はプラントPの所望の位置量を表す基準信号である。例えば、基準信号は基板サポートWTの所望の軌道を表す。基準信号と位置信号との差は、フィードバックコントローラFBの入力を形成する。その入力に基づいて、フィードバックコントローラFBは、アクチュエータACTのための駆動信号の少なくとも一部を提供する。基準信号はフィードフォワードコントローラFFの入力を形成し得る。その入力に基づいて、フィードフォワードコントローラFFは、アクチュエータACTのための駆動信号の少なくとも一部を提供する。フィードフォワードFFは、質量、剛性、共振モード、及び固有振動数など、プラントPの力学的特性についての情報を利用してもよい。
【0030】
[00029]
図4は、コントローラシステムCSのブロック概略図を図示している。制御システムは、プラントPLを制御するように構成されている。プラントPLは、任意のアクチュエータ、システム、サブシステム、プロセスなど、制御されるべき任意のプラントによって形成され得る。例えば、プラントは、例えば基板ステージもしくはレチクルステージのようなステージ、又は任意の他の位置決めデバイスなど、可動物体によって形成され得る。これに対応して、基準状態信号は、可動物体の所望の位置を表す位置信号によって形成され得る。
【0031】
[00030] コントローラシステムCSは、フィードバック信号FBSを生成するフィードバックコントローラシステムFBと、フィードフォワード信号FFSを生成するフィードフォワードコントローラFFとを備えている。フィードフォワード信号とフィードバック信号とは、加算され、入力としてプラントPLに提供される。例えば、ステージの場合、フィードフォワード信号及びフィードバック信号は、ステージの位置決めアクチュエータを駆動するアクチュエータ駆動信号であり得る。よって、
図4に関連する「プラント」という一般的な用語は、
図3に関連して参照されるアクチュエータACTを備えるものとして理解され得る。フィードバックコントローラシステムFBはフィードバックループ構成で動作し、フィードバック信号は、プラントの出力、すなわちプラント状態信号PSSから導出される。プラント状態信号は、セットポイント信号、すなわちプラントの所望の状態を表す基準状態信号RSSから差し引かれる。基準状態信号とプラント状態信号との間の差、すなわち誤差信号eは、入力としてフィードバックコントローラシステムに提供される。フィードフォワードコントローラは、基準状態信号を入力として使用して、フィードフォワード信号FFSをプラントに提供する。フィードフォワードとフィードバックとの組み合わせは、動的挙動及び精度に対処することを可能にする。
【0032】
[00031] 図示される制御システムは、更に、第2のフィードフォワード信号FFS2をプラントの出力に提供し得ることに留意されたい。それによって、プラントの出力は、例えば、フィードフォワード信号に応じた非理想的な挙動について補正され得る。例えば、プラントがステージによって形成される場合には、ステージの有限剛性が、フィードフォワード信号に応じて変形をもたらし、第2のフィードフォワード信号FFS2によって少なくとも部分的に補正され得る。
【0033】
[00032] フィードバックコントローラシステムは、比例利得(P)、積分器(I)、及び微分器(D)を備えるPIDコントローラを備え得る。
【0034】
[00033] リソグラフィ装置は、パターンを基板上に投影するとき、例えば基板の一部をスキャンするためにスキャン移動を行うときに、反復移動を実施し得る。スキャン移動は、一定のステージ速度で実施され得る。スキャン移動の合間には、例えば移動の方向を変更するために、加速及び減速が実施され得る。
【0035】
[00034]
図5は、加速度の変化に応じた積分器の出力信号対時間Tのグラフィカル表示を図示している。
図5に示されるように、加速度が変化すると、積分器は反対方向にオーバーシュートを与える傾向がある。
【0036】
[00035]
図6は、一実施形態によるコントローラシステムCSのブロック概略図を図示している。
【0037】
[00036]
図4を参照して説明されたコントローラシステムと同様に、
図6に図示されるコントローラシステムCSは、フィードバック信号FBSを生成するフィードバックコントローラシステムFBと、フィードフォワード信号FFSを生成するフィードフォワードコントローラFFとを備える。フィードバックコントローラシステムFBSは、フィードバックコントローラFBを備えている。フィードフォワード信号とフィードバック信号とは、加算され、入力としてプラントPLに提供される。例えば、ステージの場合、フィードフォワード信号及びフィードバック信号は、ステージの位置決めアクチュエータを駆動するアクチュエータ駆動信号であり得る。フィードバックコントローラシステムFBSはフィードバックループ構成で動作し、フィードバック信号は、プラントの出力、すなわちプラント状態信号PSSから導出される。プラント状態信号は、セットポイント信号、すなわちプラントの所望の状態を表す基準状態信号RSSから差し引かれる。基準状態信号とプラント状態信号との間の差、すなわち誤差信号eは、入力としてフィードバックコントローラシステムに提供される。フィードフォワードコントローラは、基準状態信号を入力として使用して、フィードフォワード信号FFSをプラントに提供する。フィードフォワードとフィードバックとの組み合わせは、動的挙動及び精度に対処することを可能にする。
【0038】
[00037]
図4を参照して説明されたコントローラシステムと同様に、図示されるコントローラシステムは、更に、第2のフィードフォワード信号FFS2をプラントの出力に提供する。それによって、プラントの出力は、例えば、フィードフォワード信号に応じた非理想的な挙動について補正され得る。例えば、プラントがステージによって形成される場合には、ステージの有限剛性が、フィードフォワード信号に応じて変形をもたらし、第2のフィードフォワード信号FFS2によって少なくとも部分的に補正され得る。
【0039】
[00038]
図6に図示されるフィードバックコントローラシステムFBSは、フィードバックコントローラFBと積分器INTとを備えている。フィードバックコントローラシステムは、軌道を生成するための軌道生成器TGを更に備え、軌道は、軌道生成器出力値の時系列によって形成され得る。さらに、フィードバックコントローラシステムは、セレクタを備えている。セレクタはデュアルセレクタ入力を備えており、セレクタ入力のうち一方は軌道生成器の出力に連結されているのに対し、セレクタ入力のうち他方はフィードバックコントローラシステムの積分器INTの出力に連結されている。軌道生成器は、任意の適当な軌道生成器出力信号、例えば積分器から望まれるような所望の応答を生成し得、その例が以下でより詳細に説明される。したがって、セレクタは、これらの入力のうちの1つを、セレクタのセレクタ出力において出力されるように選択する。セレクタ出力は、それに応じて、積分器の出力又は軌道生成器の出力を出力する。フィードバックコントローラは、基準状態信号の関数としてセレクタを動作させるモードコントローラMCを更に備え、基準状態信号はモードコントローラに入力される。基準状態信号の関数として、フィードバックコントローラシステムは、第1の制御モードで又は第2の制御モードで動作する。第1の制御モードでは、フィードバックコントローラシステムは、軌道生成器によって生成される軌道生成器出力信号を選択するようにセレクタを動作させ、その一方で積分器出力信号を省略(廃棄)する。よって、第1の制御モードでは、フィードバックコントローラシステムは、軌道生成器出力信号をフィードバックコントローラ出力信号に加算する。第2の制御モードでは、フィードバックコントローラシステムは、積分器によって生成される積分器出力信号を選択するようにセレクタを動作させる。よって、第2の制御モードでは、フィードバックコントローラシステムは、積分器出力信号をフィードバックコントローラ出力信号に加算し、その一方で軌道生成器出力信号を省略(廃棄)する。セレクタは、基準状態信号の関数として、第1又は第2の制御モードで動作するようにモードコントローラによって制御される。
【0040】
[00039] フィードバックコントローラシステムは、セレクタによって、積分器出力信号を軌道生成器出力信号によって置換するように構成されている。フィードバックコントローラシステムは、その選択を、基準状態信号の関数として実施する。その関数は任意の適当な関数であり得る。例えば、関数は、基準状態信号の時間微分、2階時間微分、又は3階時間微分を導出するための閾値、一重、二重、又は三重時間微分器(a single, double or triple time differentiator)を備え得る。プラントに作用する擾乱のタイプの物理的知識を示す任意の他の適当な関数が用いられてもよい。
【0041】
[00040] よって、基準状態信号に応じて、例えばその経時的な変化に応じて、セレクタは、積分器出力信号fI,FBを軌道生成器出力信号fI,FFによって置換するように動作され得る。その結果、積分器が、例えば、遅れ得る、遅延し得る、又はその他の高速で正確な応答に悪影響を及ぼし得る状況においては、積分器出力信号は軌道出力信号によって置換され得る。
【0042】
[00041] 一実施形態においては、軌道は、基準状態信号の2階時間微分を表す。例えば、基準状態信号が位置である場合、基準状態信号の2階時間微分は加速度である。したがって、加速度が(それ自体として)相対的に速い変化を示すにつれ、例えばステージの加速から一定速度の移動に移行するとききに、基準状態信号生成器によって生成される基準状態信号から、軌道が導出され得る。軌道の開始値が第1のモードに移行する瞬間の積分器出力の実際の値に一致し、その一方で、軌道の終了値が一定速度に達しているときの積分器出力の期待値に一致することを規定するように、スケーリングが実行されてもよい。基準状態信号の2階時間微分は、(相対的に遅い)積分器がコントローラシステムの性能に悪影響を及ぼす可能性がある動的状況を表し得るので、この状況ではコントローラシステム出力は軌道生成器出力によって置換されてもよく、それによって、有利な軌道が基準状態信号の2階時間微分から導出され得る。
【0043】
[00042] 軌道の一例が
図7に図示されている。
図7は、加速度信号対時間を図示しており、すなわち、ステージ位置の2階時間微分対時間を図示している。当初、ステージの加速度はゼロであり、よって、ステージは、例えば一定速度で移動している。次に、時刻t1において、y方向のステージの加速度、ACC-yが0から一定レベルに向かって上昇し、ステージの速度を変化させる。例えば、ステージの速度はVからゼロに向かって変化し、その後-Vに向かって変化、すなわち反対方向に移動する。時刻tsの時点で、加速度はゼロに向かって減少する。ゼロに到達すると、ステージは一定の速度-Vで、すなわち反対のY方向に移動する。一定のスキャン速度での次のスキャン移動が開始し得る。
図7は、同様に、x方向のステージの加速度ACC-xを図示している。
図7は更に、露光スキャンフェーズの前の加速フェーズ中の閉ループ積分器システム応答信号を図示している。応答f
1,FBは、従来技術による積分器システムの応答を表す。時刻t1の時点では、積分器は、
図7の「アンダーシュート」によって表されるように、当初は反対方向の積分器信号で、加速度の変化に応答する。そのような減衰リンギング現象が弱まった後は、加速度の一定の変化に従って、一定の積分器出力信号が提供される。その後、時刻tsにおいて、加速度がゼロに向かって減少するにつれ、それに対応して加速度の変化は積分器出力信号の変化をもたらし、同様に減衰リンギングを示し、当初は反対方向に向かう傾向がある応答をもたらす。安定化時間の後、積分器出力信号はゼロに向かって戻り、一定速度でのスキャン移動が開始し得る。応答f
1,FFは、第1及び第2の制御モードを備えた、提案される積分器システムを表す。
【0044】
[00043] 一実施形態においては、スイッチング時刻t
sの前には、コントローラシステムは第2の制御モードにあり、それによってセレクタは積分器出力信号f
I,FBを出力する。
図7に図示されるように、時刻t
1の時点で、積分器出力信号は、反対方向に向かう傾向、すなわち、ある程度の減衰リンギングを提供する傾向があり、例えば、「アンダーシュート」によって識別され得るような、逆方向の「オーバーシュート」をもたらす。時刻t
sにおいて、コントローラシステムは、第2の制御モードから第1の制御モードに切り替わる、すなわち、積分器出力信号を出力するセレクタから軌道生成器出力信号を出力するセレクタに移行する。セレクタが第1の制御モードに切り替わらなかった場合には、積分器出力信号が選択され、その場合、t1における挙動と同様に、そして
図5に図示される挙動と同様に、「アンダーシュート」の挙動が同じように観察されたであろう。しかしながら、tsにおいて、セレクタは、積分器出力信号を選択する代わりに、軌道生成器出力信号を選択する。軌道生成器は、スケーリングされた加速度軌道、すなわち位置セットポイント信号のスケーリングされた2階時間微分、すなわち基準状態信号の2階時間微分を出力する。その結果、遅延、オーバーシュート/アンダーシュート、又は減衰リンギングが回避され得、その代わりに、より望ましい軌道が軌道生成器によって提供され得る。その結果、時刻t
sからカウントされる整定時間が短縮され得、リソグラフィ装置をより迅速に準備ができた状態にして次のスキャン移動に進ませることができる。したがって、リソグラフィ装置のスループットが改善され得る。一般に、他のどの用途でも、より速い整定時間が達成され得る。
【0045】
[00044] 第1の制御モードから第2の制御モードへの変更及びその逆の変更の際の滑らかな移行は、以下のように達成され得る。軌道生成器は、第1の制御モードにおいて、第1の値から第2の値までの軌道を生成するように構成される。第2の制御モードから第1の制御モードに移行すると、軌道生成器は、第1の値を、積分器の積分器出力に等しく設定するように構成される。
【0046】
[00045] 第1の制御モードから第2の制御モードに移行すると、一実施形態においては、積分器出力信号は、第2の値に設定される。よって、積分器は、第1のモードから第2のモードへの移行時に選択されると、軌道の第2の値と同じ値で始まって、第1の制御モードから第2の制御モードへの滑らかな移行を提供する。一実施形態においては、第2の値は、基準状態信号の2階時間微分がゼロであるときのコントローラシステムの状態に一致する積分器出力信号の値に設定される。よって、積分器がtsの後にいったん安定すると、軌道の第2の値は、積分器がtsの後に到達したであろう値に設定される。したがって、第2の制御モードに移行するとき、積分器は、到達したであろう定常状態値で再開し、よって、第1の制御モードから第2の制御モードへの移行後に安定した挙動を提供する。
【0047】
[00046] 代替的には、第2の値はゼロに設定されてもよい。
【0048】
[00047] 基準状態信号の2階時間微分が変化する、例えば基準状態信号が位置であるときに加速度が変化する場合に、第1の制御モードを起動するために、フィードバックコントローラシステムは、基準状態信号の3階時間微分の絶対値が所定の閾値を超えるとき、第1の制御モードで動作するように構成される。これに対応して、フィードバックコントローラシステムは、基準状態信号の3階時間微分の絶対値が所定の閾値よりも下に移行するとき、第1の制御モードから第2の制御モードに移行するように構成される。基準状態信号は、フィードバックコントローラが第1及び第2の制御モードのうちのどちらを選択するかを決定するように、フィードバックコントローラに提供され得る。
【0049】
[00048] フィードバックコントローラシステムは、PD制御、すなわち比例微分制御を備えていてもよく、比例微分制御によって生成される比例微分信号がフィードバック信号に出力される。第2の制御モードでは、積分器が選択されて積分器出力信号が加算され、よってPID(比例積分微分)フィードバックコントローラシステムを形成する一方で、第1の制御モードでは、軌道生成器によって生成される軌道信号によって補完されてPDフィードバックコントローラシステムが形成され、上述のような動的状況におけるより速い応答を促進する。
【0050】
[00049] 上述のようなコントローラシステムは、ステージに備えられ得る。コントローラシステムは、ステージの位置を制御するように構成され得る。基準状態信号は、ステージの位置セットポイント信号であってもよい。したがって、ステージの位置は制御され得、それによって、コントローラシステムは、ステージの位置セットポイント信号に応じて、第2の制御モードと第1の制御モードとの間で及びその逆に移行し得る。
【0051】
[00050] コントローラシステムは、
図1を参照して説明されたリソグラフィ装置のようなリソグラフィ装置内に備えられ得る。リソグラフィ装置内に備えられるコントローラシステムは、リソグラフィ装置のステージの位置を制御するように構成されてもよく、基準状態信号はステージの位置セットポイントである。
【0052】
[00051]
図7を参照して上記で説明されたように、ステージは、(例えば、スキャンを目的とする)一定速度での移動と、減速及び加速部分を備える移動とを交互に繰り返してもよく、それによって、ステージの速度は、例えば逆速度でスキャンを再開するために、例えば逆転される。他の移動も同様に可能である。リソグラフィ装置は、基準状態信号を生成するための基準状態信号生成器を備え得る。基準状態信号は、ステージに、一定のステージ速度でのスキャン移動と、ステージが速度を変化させる減速/加速とを交互に繰り返させ得る。基準状態信号は、フィードバックコントローラシステムが基準状態信号に応じて第1の制御モードで動作するのかそれとも第2の制御モードで動作するのかを決定するために、フィードバックコントローラシステムに入力され得る。例えば、フィードバックコントローラシステムは、第1の制御モードと第2の制御モードとを交互に繰り返し得る。例えば、フィードバックコントローラシステムは、ステージの加速度の時間微分の絶対値が所定の閾値を超えるときには第1の制御モードで動作してもよく、ステージのスキャン移動中には第2の制御モードで動作してもよい。ステージのスキャン移動中、ステージの速度は、例えば、一定又はゼロであり、よって、ステージの加速度はゼロである。ゼロ加速度では、フィードバックコントローラシステム内に積分器を含むことは高い精度を促進し得、ひいてはステージの位置決めの高精度が促進され得る。ステージの加速度が経時的にある割合で変化する、すなわち、位置セットポイントの3階微分、すなわち基準状態信号の3階微分の絶対値があるレベルを超える期間中、積分器の幾分遅い応答は、コントローラシステムの応答時間に悪影響を及ぼし得る。例えば、これは、基準状態信号の3階時間微分、すなわち位置セットポイント信号の3階時間微分が、絶対的な意味でゼロを超える場合であり得る。よって、基準状態信号の3階時間微分、すなわち位置セットポイント信号の3階時間微分は、ゼロよりも小さいか又は大きい。第1の制御モードで達成され得るような速い整定は、スキャン移動、すなわち、それによって基板(の一部)の照射が行われる移動であって基板の位置決めの高い精度が望まれる移動へと移行するときに、有利であり得る。したがって、フィードバックコントローラシステムは、ステージのスキャン移動への移行よりも前にステージの加速度の時間微分の絶対値が所定の閾値を超えるとき、第1の制御モードで動作し得る。
【0053】
[00052] 上述の制御システムの閉ループ安定性の説明が、
図8から
図11を参照して以下に要約される。
【0054】
[00053] 提案される制御ストラテジでは、フィードバックコントローラシステムの2つのタイプ、すなわちPID及びPD閉ループシナリオを有する閉ループ内にあるプラント間でスイッチングが実施される。2つの閉ループシナリオは、現在の線形時不変(LTI)周波数ドメイン設計アプローチによって安定にされることができるが、2つのシナリオ間のスイッチングは、理論的には不安定であろう。この設計において安定したスイッチング挙動を保証するために、以下の安定性解析アプローチが採用される。
図6の制御スキームにおけるフィードバック関連項目は、以下のブロックスキームに抽象化され得ることに留意されたい。
【0055】
[00054]
図8は、時間的に任意のスイッチングシーケンスを仮定するフィードバック制御スキームの抽象化を示す。
【0056】
[00055]
図6のスイッチは、
図8では関数σ(μ)によって表されており、ここで、μ(t)は、値0又は1をとる時間的な外因性信号である。μ(t)=1であれば、積分器CI(s)はループ内にある。よって、プラントP(s)は、PIDコントローラを有する閉ループ内にある。μ(t)=0であれば、積分器CI(s)はループ外にあり、よって、プラントはPDコントローラを有する閉ループ内にある。
【0057】
[00056]
図8のブロックスキームは、
図9及び10に示されるLur’eシステムによって表されてもよい。
【0058】
[00057] PSPD(s)=-P(s)/(P(s)CPD(s)+1)がプロセスであれば、感度伝達はPD制御シナリオに対応する。
【0059】
[00058]
図10:
図6のスキームのLur’eシステム表現。左:(σ(μ)e,e)プレーンであって、ドメインはPID及びPDシナリオを示し、セクタはそれらの間でのスイッチングに対応する。
【0060】
[00059] すると以下の定理が公式化され得る。
[00060] 定理1:
図9及び10のLur’eシステムは、以下の場合には、任意のスイッチングシーケンスμ(t)について大域的に漸近的に安定である。
[00061] 1.PSPD(s)が、複素プレーンの左半分側に極を有する。
[00062] 2.
【0061】
【0062】
[00063] 3.
【0063】
【0064】
[00064] この証明は、[参考文献3]において定理1の証明に適用された推論の線にある。
【0065】
[00065]
図6のスキームが積分状態再初期化の下でも安定であることを証明するために、定理1の安定性の結果を
図9に示されるLur’eシステムで使用する。つまり、定理1に基づくと、
1)CI(s)が初期条件fI,FF(ts+δt)を有する状態でのPDからPIDへの移行、
2)及びPIDからPDへの移行
という軌道区分の安定性を結論付けることができる。当然、上記のシーケンス1及び2に続く次の軌道区分にも、同じ特性が当てはまる。それは、別の任意の外部提供された初期条件値fI,FF(ts+δt)(及び、前の時間区分の終了状態値を初期状態条件として有するPSPD)にも当てはまる。すると、
図6に示されるような閉ループシステムの軌道応答を形成する連結された軌道区分の全体が、大域的に漸近的な安定性の特性を示すと結論付けることができる。
【0066】
[00066] 検討される適用について定理1の条件が満足されることは、検証できる。つまり、定理1の項目1及び2は、標準的なLTIベースのPDコントローラ設計を使用することによって満たされる。定理の項目3は、単純なグラフィカル周波数ドメインチェックである。
図11では、検討される適用(例はz軸に対応する)についてチェックが実施されている。定理1の項目3が有意なマージンで満たされることに留意されたい。
【0067】
[00067] [参考文献1]Bode’s sensitivity integral - Wikipedia
[00068] [参考文献2]On the Theory of Stability of Control Systems. Prikladnaya Matematika / Mekhanika(ロシア語)Lur’e, A.I, Postnikov, V.N.
[00069] [参考文献3]Synthesis of Variable Gain Integral Controllers for Linear Motion Systems. IEEE Transaction on Control systems technology vol. 23 No 1, January 2015, Bram Hunnekens, Nathan van de Wouw, Marcel Heertjes, Henk Nijmeijer.
【0068】
[00070] したがって、PDコントローラ及びプラントと相互連結されたFFモードを有するIアクションは、セットポイントベースでトリガされるスイッチングについて大域的に安定している。
【0069】
[00071] 別の一実施形態において、例えばステージの加速及び/又は減速フェーズ中にスキャン方向依存性の擾乱力が存在する状況では、フィードバックコントローラシステムが、基準状態信号の関数として第3の制御モードで動作するように構成されることが有益であり得、フィードバックコントローラシステムは、第3の制御モードでは、積分器によって生成される積分器出力信号を当初はゼロに設定し、軌道生成器によって生成される軌道生成器出力信号を選択し、積分器によって生成される積分器出力信号を加算するように構成される。この制御モードでは、軌道生成器は、上記で説明されたようにスケーリングされた加速度軌道を出力し、その一方で、積分器出力は、スキャン方向依存性の擾乱力を更に補償する。
【0070】
[00072] 本文ではIcの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明されるリソグラフィ装置は他の用途も有しうることを理解されたい。考えられる他の用途は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造を含む。
【0071】
[00073] 本文ではリソグラフィ装置に関連して本発明の実施形態に特に言及しているが、本発明の実施形態は他の装置でも使用され得る。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、又は、ウェーハ(あるいは他の基板)もしくはマスク(あるいは他のパターニングデバイス)などの物体を測定又は処理する任意の装置の一部を形成し得る。これらの装置は一般にリソグラフィツールと呼ばれることがある。そのようなリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用し得る。
【0072】
[00074] 上記では光リソグラフィに関連して本発明の実施形態の使用に特に言及しているかもしれないが、本発明は、文脈が許す場合には、光リソグラフィに限定されず、例えばインプリントリソグラフィなど、他の用途において使用され得ることが理解されよう。
【0073】
[00075] 文脈が許す場合、本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせにおいて実装され得る。本発明の実施形態はまた、1つ以上のプロセッサにより読み取られて実行され得る、機械可読媒体に記憶された命令として実装されてもよい。機械可読媒体は、機械(例えば演算デバイス)により読み取り可能な形態で情報を記憶又は伝送するための任意の機構を含み得る。例えば機械可読媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音響又は他の形態の伝搬信号(例えば搬送波、赤外信号、デジタル信号など)、及び他のものを含み得る。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令は、本明細書においては特定のアクションを実施するものとして説明され得る。しかしながら、そのような説明は単に便宜上のものであること、及びそのようなアクションは実際には、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行する演算デバイス、プロセッサ、コントローラ、又は他のデバイスから生じ、実行する際、アクチュエータ又は他のデバイスを物質世界と相互作用させ得ることが理解されるべきである。
【0074】
[00076] 上記では本発明の特定の実施形態が説明されているが、本発明は説明とは異なる方法でも実践され得ることは理解されよう。上記の説明は、限定的ではなく、例示的であることを意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントを制御するように構成されたコントローラシステムであって、
・基準状態信号に基づいて、フィードフォワード信号を前記プラントに提供するように構成されたフィードフォワードコントローラと、
・前記基準状態信号と前記プラントの実際の状態を表すプラント状態信号との間の差に基づいて、フィードバック信号を前記プラントに提供するように構成されたフィードバックコントローラシステムと、
を備えており、
・フィードバックコントローラシステムは、積分器と、軌道生成器と、軌道生成器によって生成される軌道生成器出力信号と積分器によって生成される積分器出力信号とのうちの1つをプラントへのフィードバック信号に選択的に出力するように構成されたセレクタとを備えており、
・前記フィードバックコントローラシステムは、前記基準状態信号の関数として、第1の制御モード又は第2の制御モードで動作するように構成されており、
前記フィードバックコントローラシステムは、前記第1の制御モードでは、前記軌道生成器によって生成される前記軌道生成器出力信号を選択するように前記セレクタを動作させるように構成されており、
前記フィードバックコントローラシステムは、前記第2の制御モードでは、前記積分器によって生成される前記積分器出力信号を選択するように前記セレクタを動作させるように構成されている、コントローラシステム。
【請求項2】
前記プラントは可動物体であり、前記基準状態信号は前記可動物体の位置セットポイントである、請求項1に記載のコントローラシステム。
【請求項3】
前記軌道生成器は、前記第1の制御モードでは、前記基準状態信号の2階時間微分を表す軌道を生成するように構成されている、請求項1又は2に記載のコントローラシステム。
【請求項4】
前記軌道生成器は、前記基準状態信号のスケーリングされた2階時間微分を表す軌道を生成するように構成されている、請求項3に記載のコントローラシステム。
【請求項5】
前記軌道生成器は、前記第1の制御モードでは第1の値から第2の値までの軌道を生成するように構成されており、前記軌道生成器は、前記第2の制御モードから前記第1の制御モードに移行すると、前記第1の値を前記積分器の前記積分器出力に等しく設定するように構成されている、請求項1
又は2に記載のコントローラシステム。
【請求項6】
前記フィードバックコントローラシステムは、前記第1の制御モードから前記第2の制御モードに移行すると、前記積分器出力信号を前記第2の値に設定するように構成されている、請求項5に記載のコントローラシステム。
【請求項7】
前記第2の値は、前記基準状態信号の2階時間微分がゼロであるときの前記コントローラシステムの状態に一致する前記積分器出力信号の値に設定される、請求項
5に記載のコントローラシステム。
【請求項8】
前記第2の値はゼロに設定される、請求項
5に記載のコントローラシステム。
【請求項9】
前記フィードバックコントローラシステムは、前記基準状態信号の3階時間微分の絶対値が所定の閾値を超えるとき、前記第1の制御モードで動作するように構成されている、請求項1
又は2に記載のコントローラシステム。
【請求項10】
前記フィードバックコントローラシステムは更に、比例微分制御を備えており、前記比例微分制御によって生成される比例微分信号が前記フィードバック信号に出力される、請求項1
又は2に記載のコントローラシステム。
【請求項11】
前記フィードバックコントローラシステムは、前記基準状態信号の関数として、第3の制御モードで動作するように構成されており、前記フィードバックコントローラシステムは、前記第3の制御モードでは、前記積分器によって生成される前記積分器出力信号を当初はゼロに設定し、前記軌道生成器によって生成される前記軌道生成器出力信号を選択し、前記積分器によって生成される前記積分器出力信号を加算するように構成されている、請求項1
又は2のいずれかに記載のコントローラシステム。
【請求項12】
ステージであって、前記ステージの位置を制御するように構成された、請求項1
又は2に記載のコントローラシステムを備えており、前記基準状態信号は前記ステージの位置セットポイントである、ステージ。
【請求項13】
請求項1
又は2に記載のコントローラシステムを備えるリソグラフィ装置。
【請求項14】
前記コントローラシステムは、前記リソグラフィ装置のステージの位置を制御するように構成されており、前記基準状態信号は前記ステージの位置セットポイントである、請求項
13に記載のリソグラフィ装置。
【請求項15】
前記基準状態信号を生成するように構成された基準状態信号生成器を備えており、前記基準状態信号生成器は、前記基準状態信号を生成して、前記ステージに、一定のステージ速度でのスキャン移動と、前記ステージが速度を変化させる減速/加速とを交互に繰り返させるように構成されており、前記フィードバックコントローラシステムは、前記ステージの前記スキャン移動への移行よりも前に前記ステージの前記加速度の時間微分の絶対値が所定の閾値を超えるときには前記第1の制御モードで動作するように、及び前記ステージの前記スキャン移動中には前記第2の制御モードで動作するように構成されている、請求項
14に記載のリソグラフィ装置。
【国際調査報告】