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  • 特表-高吸水性樹脂 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】高吸水性樹脂
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20250212BHJP
【FI】
C08J3/12 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546003
(86)(22)【出願日】2023-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-08-01
(86)【国際出願番号】 KR2023014986
(87)【国際公開番号】W WO2024072076
(87)【国際公開日】2024-04-04
(31)【優先権主張番号】10-2022-0123440
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0129631
(32)【優先日】2023-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】テ・ユン・キム
(72)【発明者】
【氏名】セ・ヨル・パク
【テーマコード(参考)】
4F070
【Fターム(参考)】
4F070AA29
4F070AB13
4F070DA42
4F070DA48
4F070DB06
4F070DC06
4F070DC07
(57)【要約】
本発明は、吸収速度に優れているだけでなく、おむつなど製品に適用時に再湿潤および漏出現象が少なく、吸収容量に優れた高吸水性樹脂に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理食塩水(0.9wt% NaCl水溶液)を持続的に供給される多孔性基材の表面に高吸水性樹脂を塗布し、前記高吸水性樹脂を塗布した時点から連続して前記高吸水性樹脂が多孔性基材の表面から吸収した生理食塩水の量および吸収速度を測定したとき、
吸収速度の最大値(Vmax)が0.4g/g・sec超過であり、
吸収速度の最大値を達成した時間(Tmax)が5秒超過ないし120秒未満であり、
5分間高吸水性樹脂に吸収された生理食塩水の量(C5min)が40g超過である、
高吸水性樹脂。
【請求項2】
吸収速度の最大値(Vmax)が0.45g/g・secないし1g/g・secである、
請求項1に記載の高吸水性樹脂。
【請求項3】
吸収速度の最大値を達成した時間(Tmax)が8秒ないし40秒である、
請求項1または請求項2に記載の高吸水性樹脂。
【請求項4】
5分間高吸水性樹脂に吸収された生理食塩水の量(C5min)が45gないし55gである、
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか一つに記載の高吸水性樹脂。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2022年9月28日付の韓国特許出願第10-2022-0123440号および2023年9月26日付の韓国特許出願第10-2023-0129631号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、高吸水性樹脂に関するものである。
【背景技術】
【0003】
高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer、SAP)とは自らの重量の5百ないし1千倍程度の水分を吸収可能な機能を有する合成高分子物質であって、開発企業ごとにSAM(Super Absorbency Material)、AGM(Absorbent Gel Material)等それぞれ異なる名前で命名している。前記のような高吸水性樹脂は、生理用品に実用化され始め、現在は、園芸用土壌保水剤、土木、建築用止水材、育苗用シート、食品流通分野における新鮮度保持剤および湿布用などの材料に広く用いられている。
【0004】
おむつなどの衛生用品に用いられる高吸水性樹脂は速い吸収速度が要求されるので、これを向上させるための研究開発が行われている。通常、高吸水性樹脂の吸収速度は、一定量の高吸水性樹脂を生理食塩水に入れ、撹拌して渦流(vortex)が無くなるまでの時間を測定するvortex測定方法を通じて評価される。しかし、高吸水性樹脂のvortex吸収速度に優れていても、吸収が局部的に行われるか拡散面積が狭い場合、おむつなどに用いられたときに使用者の重量による圧力が加えると吸収された一部の液体が再び染み出る再湿潤(rewet)現象が発生する可能性があり、反対に、高吸水性樹脂の拡散面積が過度に広い場合は液体が漏出(leakage)されるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、吸収速度に優れているだけでなく、おむつに用いられたときの再湿潤および漏出現象が少なく、吸収容量が向上した高吸水性樹脂を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一具現例によると、生理食塩水(0.9wt% NaCl水溶液)を持続的に供給される多孔性基材の表面に高吸水性樹脂を塗布し、前記高吸水性樹脂を塗布した時点から連続して前記高吸水性樹脂が多孔性基材の表面から吸収した生理食塩水の量および吸収速度を測定したとき、i)吸収速度の最大値(Vmax)が0.4g/g・sec超過であり、ii)吸収速度の最大値を達成した時間(Tmax)が5秒超過ないし120秒未満であり、iii)5分間高吸水性樹脂に吸収された生理食塩水の量(C5min)が40g超過である高吸水性樹脂が提供される。
【0007】
一具現例で、i)前記吸収速度の最大値(Vmax)は、0.45g/g・secないし1g/g・secであってもよい。
【0008】
一具現例で、ii)前記吸収速度の最大値を達成した時間(Tmax)は、8秒ないし40秒であってもよい。
【0009】
一具現例で、iii)前記5分間高吸水性樹脂に吸収された生理食塩水の量(C5min)は45gないし55gであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の高吸水性樹脂は、吸収速度に優れているだけでなく、吸収および拡散性能に優れて再湿潤および漏出現象が少なく、吸収容量も優れている。したがって、前記高吸水性樹脂は、高い吸収性能および使用感を要求する吸水性物品に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の高吸水性樹脂の物性を測定できる測定装置の一具現例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で使用される用語は、単に例示的な実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り複数の表現を含む。本明細書で、「含む」、「備える」または「有する」等の用語は、実施された特徴、ステップ、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはその以上の他の特徴やステップ、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
【0013】
本発明は、多様な変更を加えることができ、色々な形態を有することができるので、特定の実施例を例示し、下記で詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物または代替物を含むものと理解されなければならない。
【0014】
本明細書に使用される専門用語は、単に特定の具現例を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。そして、ここで使用される単数形態は、文面がこれと明確に反対の意味を示さない限り複数形態も含む。
【0015】
図面で、本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については、同一の参照符号を付する。
【0016】
高吸水性樹脂
本発明の一具現例によると、生理食塩水(0.9wt% NaCl水溶液)を持続的に供給される多孔性基材の表面に高吸水性樹脂を塗布し、前記高吸水性樹脂を塗布した時点から連続して前記高吸水性樹脂が多孔性基材の表面から吸収した生理食塩水の量および吸収速度を測定したとき、吸収速度の最大値(Vmax)が0.4g/g・sec超過であり、前記吸収速度の最大値を達成した時間(Tmax)が5秒超過ないし120秒未満であり、5分間高吸水性樹脂に吸収された生理食塩水の量(C5min)が40g超過である、高吸水性樹脂が提供される。
【0017】
前記のようにVmax、Tmax、およびC5min物性が同時に所定の範囲を満足する高吸水性樹脂は、高吸水性樹脂の吸収力、吸収速度、再湿潤および漏出防止特性にいずれも優れているので、おむつなどの衛生用品に用いられた時に優れた使用感を発揮することができる。
【0018】
前記Vmax、Tmax、およびC5minは、大気圧(760±50mmHg)および23℃ないし25℃の温度で測定された値であり、測定方法は、以下でより詳しく説明する。
【0019】
前記吸収速度の最大値(Vmax)は、高吸水性樹脂の漏出防止特性に関連する。具体的には、Vmaxが0.4g/g・sec超過のとき、高吸水性樹脂の漏出防止特性に優れているものと判断することができる。好ましくは、Vmaxは、0.45g/g・sec以上、0.5g/g・sec以上であることが好ましく、上限値は特に限定されないが、一例として、1g/g・sec以下であってもよい。
【0020】
前記吸収速度の最大値を達成した時間(Tmax)は、高吸水性樹脂の拡散性能に関連して、具体的には、高吸水性樹脂の局部的な吸収能が高いほどTmaxは短く現れる。高吸水性樹脂の局部的な吸収能が過度に高いと、高吸水性樹脂内で液体が拡散する面積が狭くなるので、おむつに含まれたときに加圧によって高吸水性樹脂が保有した液体が再び外部に染み出る再湿潤(rewet)現象が発生する可能性がある。反対に、Tmaxが過度に長いと、漏出(leakage)が起きる可能性がある。これに対し、Tmaxは、5秒超過ないし120秒未満であることが拡散性能の面で好ましく、より好ましくは、6秒以上、または8秒以上、または10秒以上で、かつ60秒以下、または40秒以下、または20秒以下であってもよい。
【0021】
前記5分間高吸水性樹脂に吸収された生理食塩水の量(C5min)は、高吸水性樹脂の吸収容量に関連して、高吸水性樹脂の吸収容量が高いほどC5minが高く現れる。C5minが40g以下である場合、高吸水性樹脂の吸収容量が十分でないため、おむつなどの衛生用品に適用時に高吸水性樹脂の含有量を増やさなければならなく、薄形製品生産が不可能であるので、C5minは、40g超過であることが好ましく、42g以上、または45g以上であることがより好ましい。理論的に、C5minの上限は制限されないが、例えば、60g以下、または55g以下であってもよい。
【0022】
本発明の一具現例に係る高吸水性樹脂は、吸収速度の最大値(Vmax)が0.45g/g・secないし1g/g・secであり、吸収速度の最大値を達成した時間(Tmax)が8ないし40秒であり、5分間高吸水性樹脂に吸収された生理食塩水の量(C5min)が42gないし55gであってもよい。
【0023】
本発明の一具現例に係る高吸水性樹脂は、吸収速度の最大値(Vmax)が0.5g/g・secないし1g/g・secであり、吸収速度の最大値を達成した時間(Tmax)が10ないし20秒であり、5分間高吸水性樹脂に吸収された生理食塩水の量(C5min)が45gないし55gであってもよい。
【0024】
前記高吸水性樹脂のVmax、Tmax、およびC5minは、生理食塩水(0.9wt% NaCl水溶液)を持続的に供給される多孔性基材の表面から高吸水性樹脂が吸収した塩水の量を時間の経過によって測定することによって確認することができる。
【0025】
既存の高吸水性樹脂の物性測定は、高吸水性樹脂粒子の全体表面で液体の吸収が起こるようにして行われるので、おむつなど製品に含まれたとき、実際の高吸水性樹脂の吸収様相を予測するには限界があり、高吸水性樹脂の吸収面積や拡散性能などを確認しにくかった。これに対し、前記Vmax、Tmax、およびC5minは、高吸水性樹脂がおむつなどの吸水性物品に含まれたときと同様に、高吸水性樹脂の一表面で液体の吸収が起こる場合を想定して測定された値であるので、高吸水性樹脂が製品に適用されたときの諸物性をより信頼性のあるように把握することができる。
【0026】
前記多孔性基材は、生理食塩水を含めるように複数個の空隙を有する。前記Vmax、Tmax、およびC5minの測定時に、多孔性基材は、生理食塩水供給源から生理食塩水を持続的に供給され、表面の空隙が生理食塩水で飽和した状態を維持する。このような多孔性表面の上に高吸水性樹脂が塗布されると、高吸水性樹脂が空隙に満たされた生理食塩水を吸収し、これとともに前記空隙は再び生理食塩水供給源から供給された生理食塩水で満たされる。つまり、生理食塩水は、生理食塩水供給源から多孔性基材に、多孔性基材から高吸水性樹脂に連続的に移動し、このとき、高吸水性樹脂が吸収する生理食塩水の量を時間の経過によって連続的に測定することによって、前記Vmax、Tmax、およびC5minを測定することができる。
【0027】
前記多孔性基材は、一例として、ガラスフィルターであってもよく、具体的には、ASTM規格に従う空隙率(porosity)がextra coarseであるガラスフィルターであってもよい。
【0028】
前記Vmax、Tmax、およびC5minの測定は、一例として、図1に例示されたような高吸水性樹脂の物性測定装置100によって行われてもよい。前記高吸水性樹脂の物性測定装置100は、次の構成を含んでもよい。
【0029】
天秤13と、
前記天秤13上に位置する第1水槽10と、
前記天秤周辺に位置し、上部にガラスフィルター21が覆われている第2水槽20と、
前記第2水槽のガラスフィルター21上に位置し、前記ガラスフィルター21と接する下面にメッシュ(図示せず)が備えられ、上面が開いたシリンダー22と、
前記第1水槽10と前記第2水槽20とを連結し、第1水槽10から第2水槽20に液体を移送する連結管14。
【0030】
前記第1水槽10は、第2水槽20に生理食塩水12を供給するものであって、天秤13の上に位置する。前記天秤13は、連続的に第1水槽10の重量を測定および記録できるようにコンピュータPCに接続されてもよい。
【0031】
第1水槽10の大きさは、試料(高吸水性樹脂)の使用量によって採択することができる。例えば、高吸水性樹脂0.1gないし2.0gを試料として用いる場合、第1水槽10としては、内部体積が500cm以上、または1000cm以上で、かつ3000cm以下、または2000cm以下であることを用いてもよい。第1水槽10の形態と大きさは、特に制限されないが、高さが高い円筒形、または直方体形態であることが第2水槽20への生理食塩水12の供給をより円滑にすることができて好ましい。一例として、第1水槽10としては、内部直径と高さがそれぞれ8cm以上、または10cm以上で、かつ30cm以下、または20cm以下の範囲であるものを用いてもよいが、これに制限されるものではない。
【0032】
第1水槽10は、図1に示されているように、すべての面が閉じた構造であってもよい。このとき、第1水槽10の内部気圧が大気圧(760±50mmHg)に維持できるように、空気の通路であるパイプ11が第1水槽10の上面を貫通するように設けられてもよい。具体的には、パイプ11の上端は大気に露出し、パイプ11の下端は、生理食塩水12の水面下に浸るように設けてもよい。前述した大きさの第1水槽10の使用時に、パイプ11の内部直径は4ないし6mm、または3ないし10mm水準であってもよいが、これに制限されるものではない。また、パイプ11の長さは、水槽の深さなどにより適切に調節することができる。
【0033】
第1水槽10と第2水槽20とは、連結管14を通じて連結され、これにより第1水槽10に満たされた生理食塩水12は、第2水槽20に持続的に供給することができる。高吸水性樹脂の物性測定時に第2水槽20に安定的に生理食塩水が供給できるように、好ましくは、前記連結管14は、各水槽高さの半分以下の地点、または1/3以下の地点に位置することができる。
【0034】
前記連結管14の内部直径は、一例として、5mmないし20mm、または10ないし15mm範囲であってもよい。連結管の直径や長さは、第1水槽10および第2水槽20の位置や大きさにより適切に調節することができる。
【0035】
第2水槽20は、第1水槽10より内部体積が小さいものを用い、高吸水性樹脂の物性測定中に第1水槽からの生理食塩水の供給が足りなくないようにする。好ましくは、第2水槽20の内部体積は、第1水槽10の内部体積の30%以上、または50%以上で、かつ95%以下、または90%以下、または85%以下であるものを用いてもよい。
【0036】
第2水槽20の上面には、ガラスフィルター21が位置する。前記ガラスフィルターの上に、下面にメッシュ(図示せず)が備えられ、上面が開いたシリンダー22が載せられ、試料である高吸水性樹脂は、前記シリンダーのメッシュの上に塗布される。前記ガラスフィルター21は、第2水槽20から生理食塩水を供給され、試料である高吸水性樹脂23に伝達する役割を果たす。高吸水性樹脂がガラスフィルターの生理食塩水を吸収すると、その吸収量分が第1水槽から第2水槽に、再びガラスフィルターに移動し、多孔性のガラスフィルターは、常時満水位を維持する第2水槽から生理食塩水を供給され、飽和状態を維持する。
【0037】
前記ガラスフィルター21は、第2水槽20の上面一部または全部を構成することができる。ガラスフィルターの直径は、試料の量によって適切に選択することができ、一例として、高吸水性樹脂0.1gないし2.0gを試料として用いる場合、ガラスフィルター21の直径は、50mm以上、または70mm以上で、かつ200mm以下、または150mm以下、または130mm以下であることが好ましい。
【0038】
また、前記ガラスフィルター21の厚さは、3mm以上、または5mm以上で、かつ10mm以下、または9mm以下であることが好ましく、ASTM規格に従う空隙率(porosity)がextra coarseであることが、測定中に高吸水性樹脂に円滑に生理食塩水を供給することができて好ましい。
【0039】
前記シリンダー22は、高吸水性樹脂試料が塗布される部分であって、ガラスフィルターと接する下面にはメッシュが備えられ、上面は開いた構造を有する。高吸水性樹脂は、上面を通じてシリンダー内部、つまり、下面のメッシュの上に塗布される。
【0040】
前記メッシュは、生理食塩水を吸収するか生理食塩水の移動に影響を及ぼすことなく、高吸水性樹脂を支える支持体の役割だけを果たすことができるように、孔の大きさ(opening)が100μm以下、80μm以下、60μm以下、または40μm以下で、かつ25μm以上であるものを用いてもよい。前記メッシュの線径(thread diameter)、つまり、原糸の太さは、25μm以上、または28μm以上で、かつ80μm以下、または70μm以下、または50μm以下であってもよい。
【0041】
前記メッシュの素材としては、ナイロンまたはステンレスなどを用いてもよいが、これらに制限されるものではなく、耐塩水性を有し、高吸水性樹脂の物性測定に影響を及ぼさない多様な素材のメッシュを好適に用いることができる。
【0042】
前記シリンダーの内部直径は、ガラスフィルターの直径と大きい差がないことが、物性測定時に生理食塩水の蒸発などによる誤差を減らすことができて好ましい。例えば、シリンダーの直径とガラスフィルター直径の差は、30%以内、または25%以内であってもよい。または、シリンダーの直径は、ガラスフィルター直径と同一であってもよい。
【0043】
前記シリンダーの長さは制限されないが、高吸水性樹脂を均一に塗布できるように30mm以上、または40mm以上で、かつ80mm以下、または60mm以下、または50mm以下であることが好ましい。
【0044】
前記装置を構成する第1水槽、第2水槽、パイプ、連結管、シリンダーなどの素材は特に制限されず、耐塩水性を有する素材であれば好適に用いることができる。また、前記のように前記装置の各部の規格を例示したが、これは例示であるだけで、それに制限されるものではなく、試料の使用量または測定目的などによって各部の規格を適切に調節することができる。
【0045】
前記装置を用いると、無加圧下での高吸水性樹脂の吸収速度、吸収能、および拡散性能を簡単かつ正確に測定することができる。
【0046】
前述した物性測定装置を用いた高吸水性樹脂の物性測定は、具体的には、次のようなステップによって行われてもよい。
【0047】
i)第2水槽からシリンダーを分離し、シリンダー内部に高吸水性樹脂を塗布する。
ii)別途に、第2水槽の内部全体が満たされるように、第1水槽に生理食塩水(0.9wt% NaCl水溶液)を満たして、第2水槽のガラスフィルターを生理食塩水で飽和させる。
iii)前記第2水槽のガラスフィルターが生理食塩水で飽和した時に第1水槽の初期重量を測定した後、前記シリンダーをガラスフィルター上に載せる。
iv)前記シリンダーをガラスフィルター上に載せた後から連続して第1水槽の重量を測定し、高吸水性樹脂に吸収された生理食塩水の量および吸収速度データを得る。
【0048】
前記i)ステップは、試料を準備するステップである。まず第2水槽からシリンダーを分離した後、シリンダー上面を通じて試料である高吸水性樹脂を投入し、下面のメッシュの上に高吸水性樹脂が載せられるようにする。このとき、高吸水性樹脂粒子が互いに重なると、正確なデータが得られないので、均一に分散できるようにする。
【0049】
試料である高吸水性樹脂の量は、一例として、0.1gないし2.0gであってもよく、または0.5gないし2.0g、または1.0gないし2.0gであってもよい。前記試料の粒径範囲は、150μmないし850μmである。
【0050】
ii)ステップは、測定装置を生理食塩水で飽和させるステップであって、第1水槽に生理食塩水を供給して第2水槽のガラスフィルターが飽和するようにする。ガラスフィルターが飽和すると、iii)第1水槽の初期重量を測定した後、前記高吸水性樹脂が塗布されたシリンダーを、下面(つまり、メッシュ面)がガラスフィルターに当接するようにガラスフィルター上に載せる。
【0051】
前記測定方法で、高吸水性樹脂は、シリンダーをガラスフィルター上に載せた瞬間から生理食塩水を吸収し始め、これにより減った生理食塩水の量ほど第1水槽から第2水槽に生理食塩水が供給され、第1水槽の重量が減ることになる。したがって、第1水槽の減った重量は、高吸水性樹脂が吸収した生理食塩水の量Cと見なすことができる。
【0052】
また、単位時間当り高吸水性樹脂が吸収した生理食塩水の量から、高吸水性樹脂の吸収速度Vを導出することができる。
【0053】
前記測定時に、各ステップで、装置外気の温度および生理食塩水の温度は、それぞれ23℃ないし25℃範囲内に維持する。装置外気の温度や生理食塩水の温度が前記範囲を超える場合、測定誤差が発生する可能性がある。
【0054】
また、測定時の外気および第1水槽の内部気圧は、大気圧(760±50mmHg)に維持するようにする。例えば、前述のように、第1水槽の上部に空気通路としてパイプを含むようにして内部気圧を大気圧に維持することができる。
【0055】
以上の条件下で、高吸水性樹脂が吸収した生理食塩水の量および吸収速度データを得た後、吸収速度の最大値(Vmax)、吸収速度の最大値を達成した時間(Tmax)、および5分間高吸水性樹脂に吸収された生理食塩水の量(C5min)を導出することができ、これに基づいて高吸水性樹脂の吸収力、吸収速度、再湿潤および漏出防止特性を正確に測定ないし予測することができる。
【0056】
高吸水性樹脂の製造方法
前記物性を満足する高吸水性樹脂は、一例として、
酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤、および重合開始剤を含む単量体組成物に対して重合を行い、前記水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤が架橋重合された重合体を形成するステップ(ステップ1)と、
前記重合体を粉砕するステップ(ステップ2)と、
前記粉砕された重合体を乾燥および粉砕して高吸水性樹脂粒子を製造するステップ(ステップ3)と、を含み、
前記ステップ2の粉砕前、またはステップ3の乾燥前に、下記の化学式1で表される化合物またはその塩を、水溶性エチレン系不飽和単量体に対して、50ppmないし7,000ppmで添加する製造方法によって製造されてもよい。
【0057】
【化1】
【0058】
前記の化学式1で、
、AおよびAは、それぞれ独立し、単結合、カルボニル、
【0059】
【化2】
【0060】
であり、但し、これらのうち一つ以上はカルボニルまたは
【0061】
【化3】
【0062】
であり、ここで、m1、m2およびm3は、それぞれ独立し、1ないし8の整数であり、
【0063】
【化4】
【0064】
は、それぞれ隣接した酸素原子と接続され、
【0065】
【化5】
【0066】
は隣接したR、RおよびRとそれぞれ連結され、
、RおよびRは、それぞれ独立し、水素、炭素数6ないし18の直鎖または分枝鎖のアルキルまたは炭素数6ないし18の直鎖または分枝鎖のアルケニルであり、
nは、1ないし9の整数である。
【0067】
前記の化学式1で表される化合物またはその塩は重合体に対して、界面活性剤として役割を果たすことができる。前記界面活性剤を重合体の粉砕または乾燥ステップ前に投入すると、含水率の高い重合体の表面に界面活性剤が多量に存在することになり、重合体の高い粘着性を低くして過度に凝集することを防止することができる。
【0068】
また、界面活性剤に含まれている疎水性官能基の部分が粉砕された高吸水性樹脂粒子の表面に疎水性を付与して粒子間摩擦力を緩和させ、高吸水性樹脂の見かけ密度を増加させながら、界面活性剤に含まれている親水性官能基の部分も高吸水性樹脂粒子に結合され、樹脂の表面張力が低下しないようにすることができる。
【0069】
また、前記界面活性剤の使用量を水溶性エチレン系不飽和単量体に対して、50ppmないし7,000ppmに調節することによって、製造される高吸水性樹脂が前述したi)ないしiii)の初期吸収速度および吸収能プロファイルを満足することができる。
【0070】
これにより、前述した製造方法によって製造された高吸水性樹脂は、界面活性剤を用いない樹脂に比べて、同等水準の表面張力を示しながらも見かけ密度値は高く、再湿潤現象なしに優れた吸収速度および吸収容量を発揮することができる。
【0071】
本発明の明細書に使用される用語「重合体」、または「高分子」は、水溶性エチレン系不飽和単量体が重合された状態であることを意味し、すべての水分含有量範囲または粒径範囲を包括することができる。
【0072】
また、用語「高吸水性樹脂」は、文脈によって架橋重合体、または前記架橋重合体が粉砕された高吸水性樹脂粒子からなる粉末(powder)形態のベース樹脂を意味するか、または前記架橋重合体や前記ベース樹脂に対して追加の工程、例えば、乾燥、粉砕、分級、表面架橋などを経て製品化に適した状態にしたことを全て包括するものと使用される。
【0073】
また、用語「微粉」は、高吸水性樹脂粒子のうち150μm未満の粒径を有する粒子を意味する。このような樹脂粒子の粒径は、ヨーロッパ不織布産業協会(European Disposables and Nonwovens Association、EDANA)規格EDANA WSP 220.3方法によって測定されてもよい。
【0074】
以下、一具現例の高吸水性樹脂の製造方法について、各ステップ別により具体的に説明する。
【0075】
単量体組成物の製造および重合ステップ
重合ステップは、酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤および重合開始剤を混合して単量体組成物を準備するステップおよび前記単量体組成物を重合して重合体を形成するステップからなってもよい。
【0076】
前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、高吸水性樹脂の製造に通常用いられる任意の単量体であってもよい。非制限的な例として、前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、下記の化学式2で表される化合物であってもよい。
【0077】
[化学式2]
R-COOM’
【0078】
前記の化学式2で、
Rは、不飽和結合を含む炭素数2ないし5のアルキル基であり、
M’は、水素原子、1価または2価金属、アンモニウム基または有機アミン塩である。
【0079】
好ましくは、前記単量体は、(メタ)アクリル酸、およびこれら酸の1価(アルカリ)金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩および有機アミン塩からなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0080】
このように水溶性エチレン系不飽和単量体として、(メタ)アクリル酸および/またはその塩を用いる場合、吸水性が向上した高吸水性樹脂を得ることができて有利である。この他にも、前記単量体としては、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2-アクリロイルエタンスルホン酸、2-メタアクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸または2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミド、N-置換(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(N,N)-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(N,N)-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが用いられてもよい。
【0081】
前記酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどのアルカリ物質で部分的に中和した状態で重合に用いることができる。具体的には、単量体組成物を準備するステップで、前記アルカリ物質を中和剤として添加し、水溶性エチレン系不飽和単量体の酸性基のうちの少なくとも一部が中和するようにした後、重合を開始することができる。
【0082】
仮に、単量体を中和して用いる場合、単量体の中和度は、40ないし95モル%、または40ないし80モル%、または45ないし75モル%であってもよい。前記中和度の範囲は、最終物性によって調節することができる。前記単量体の中和度が過度に高いと、中和した単量体が析出して重合が円滑に行われにくい可能性があり、反対に中和度が過度に低いと、高分子の吸収力が大きく低下するだけでなく、取り扱いにくい弾性ゴムのような性質を示す可能性がある。
【0083】
または、前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、酸性基が中和していない状態で重合に用いることができる。
【0084】
酸性基が中和していない状態の水溶性エチレン系不飽和単量体(例、アクリル酸)は、常温で液体状態であり、溶媒(水)と混和性(miscibility)が高いため、単量体組成物で混合溶液の状態で存在する。しかし、酸性基が中和した水溶性エチレン系不飽和単量体は、常温で固体状態であり、溶媒(水)の温度によって異なる溶解度を有し、低温であるほど溶解度が低くなる。
【0085】
このように酸性基が中和していない状態の水溶性エチレン系不飽和単量体は、酸性基が中和した単量体より溶媒(水)に対する溶解度または混和度が高いため、低い温度でも析出せず、したがって、低温で長時間重合するために有利である。これにより、前記酸性基が中和していない状態の水溶性エチレン系不飽和単量体を用いて長時間重合を行い、より高分子量を有して分子量分布が均一な重合体を安定的に形成することができる。
【0086】
また、酸性基が中和していない水溶性エチレン系不飽和単量体を用いる場合より長い鎖の重合体形成が可能で、重合や架橋化が不完全で架橋化されていない状態で存在する水可溶成分の含有量が減る効果を達成することができる。
【0087】
このように単量体の酸性基が中和していない状態で重合をまず行う場合、重合ステップ以降に重合体に中和剤を添加し、少なくとも一部の酸性基を中和させるステップを行うことができる。
【0088】
このとき、中和剤としては、前述した水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどのアルカリ物質が用いられてもよい。
【0089】
また、前記重合体に含まれた酸性基のうち前記中和剤によって中和した程度を称する中和度は、50ないし90モル%、または60ないし85モル%、または65ないし85モル%、または65ないし75モル%であってもよい。前記中和度の範囲は、最終物性によって異なり得るが、中和度が過度に高いと、高吸水性樹脂の吸収能が減少する可能性があり、粒子表面のカルボキシル基の濃度が過度に低く、後続の工程での表面架橋がまともに行われにくく、加圧下の吸収特性または通液性が減少する可能性がある。反対に中和度が過度に低いと、高分子の吸収力が大きく低下するだけでなく、取り扱いにくい弾性ゴムのような性質を示す可能性がある。
【0090】
一方、前記単量体組成物のうち前記水溶性エチレン系不飽和単量体の濃度は、重合時間および反応条件などを考慮して適切に調節されてもよく、中和の有無にかかわらず、約20ないし約60重量%、または約20ないし約40重量%であってもよい。
【0091】
本明細書で用いる用語「内部架橋剤」は、後述する高吸水性樹脂粒子の表面を架橋させるための表面架橋剤と区別するために用いる用語であって、前述した水溶性エチレン系不飽和単量体の不飽和結合の間に架橋結合を導入し、架橋構造を含む重合体を形成する役割を果たす。
【0092】
前記ステップでの架橋は表面または内部の区別なしに行われるが、後述する高吸水性樹脂粒子の表面架橋工程が行われる場合、最終製造された高吸水性樹脂粒子の表面は、表面架橋剤によって新しく架橋された構造を含むことができ、高吸水性樹脂粒子の内部は、前記内部架橋剤によって架橋された構造がそのまま維持することができる。
【0093】
本発明の一具現例によると、前記内部架橋剤として、多官能アクリレート系化合物、多官能アリル系化合物、または多官能ビニル系化合物のうちのいずれか一つ以上を含んでもよい。
【0094】
多官能アクリレート系化合物の非制限的な例として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチルロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチルロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、およびグリセリントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これを単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。
【0095】
多官能アリル系化合物の非制限的な例として、エチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジアリルエーテル、テトラエチレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、トリプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、ブタンジオールジアリルエーテル、ブチレングリコールジアリルエーテル、ヘキサンジオールジアリルエーテル、ペンタエリトリトールジアリルエーテル、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、ペンタエリトリトールテトラアリルエーテル、ジペンタエリトリトールジアリルエーテル、ジペンタエリトリトールトリアリルエーテル、ジペンタエリトリトールテトラアリルエーテル、ジペンタエリトリトールペンタアリルエーテル、トリメチルロールプロパンジアリルエーテル、トリメチルロールプロパントリアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、およびグリセリントリアリルエーテルなどが挙げられ、単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。
【0096】
多官能ビニル系化合物の非制限的な例として、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリトリトールジビニルエーテル、ペンタエリトリトールトリビニルエーテル、ペンタエリトリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリトリトールジビニルエーテル、ジペンタエリトリトールトリビニルエーテル、ジペンタエリトリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリトリトールペンタビニルエーテル、トリメチルロールプロパンジビニルエーテル、トリメチルロールプロパントリビニルエーテル、グリセリンジビニルエーテル、およびグリセリントリビニルエーテルなどが挙げられ、これを単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。好ましくは、ペンタエリトリトールトリアリルエーテルを用いてもよい。
【0097】
前述した多官能アリル系化合物、または多官能ビニル系化合物は、分子内に含まれる2以上の不飽和基が水溶性エチレン系不飽和単量体の不飽和結合、あるいは他の内部架橋剤の不飽和結合とそれぞれ結合し、重合過程で架橋構造を形成することができ、分子内にエステル結合(-(C=O)O-)を含むアクリレート系化合物とは異なり、前述した重合反応以降の中和過程でも架橋結合をより安定的に維持することができる。
【0098】
これにより、製造される高吸水性樹脂のゲル強度が高くなって、重合以降吐出過程で工程安定性を高くすることができ、水可溶分の量を最少化することができる。
【0099】
このような内部架橋剤の存在下での前記水溶性エチレン系不飽和単量体の架橋重合は、重合開始剤、必要に応じて、増粘剤(thickener)、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤などの存在下で行われてもよい。
【0100】
前記単量体組成物で、このような内部架橋剤は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して、0.01ないし5重量部で用いられてもよい。例えば、前記内部架橋剤は、水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して、0.01重量部以上、または0.05重量部以上、または0.1重量部以上で、5重量部以下、または3重量部以下、または2重量部以下、または1重量部以下、または0.7重量部以下で用いられてもよい。上部内部架橋剤の含有量が過度に低い場合、架橋が十分起きないため、適正水準以上の強度の具現が難しい可能性があり、前記内部架橋剤の含有量が過度に高い場合、内部架橋密度が高くなって所望の保水能の具現が難しいことがある。
【0101】
このような内部架橋剤を用いて形成された重合体は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体が重合されて形成された主鎖が前記内部架橋剤によって架橋される形態の3次元網状構造を有する。このように、重合体が3次元網状構造を有する場合、内部架橋剤によって追加架橋されない2次元線状構造を場合に比べて、高吸水性樹脂の諸物性である保水能および加圧吸収能を顕著に向上させることができる。
【0102】
本発明の一具現例によると、前記単量体組成物に対して重合を行い、重合体を形成するステップは、バッチ式反応器(batch type reactor)で行われてもよい。
【0103】
通常の高吸水性樹脂の製造方法で、重合方法は、重合エネルギー源によって大きく熱重合および光重合に分かれ、通常熱重合を行う場合、ニーダー(kneader)などの撹拌軸を有する反応器で行われてもよく、光重合を行う場合、移動可能なコンベヤーベルトを備えた反応器で行われるか、底が平たい容器で行われてもよい。
【0104】
一方、前記のような重合方法は、概して短い重合反応時間(例えば、1時間以下)によって重合体の分子量が大きくなく、広い分子量分布を有する重合体が形成される。
【0105】
一方、移動可能なコンベヤーベルトを備えた反応器または底が平たい容器で光重合を行う場合、通常得られる含水ゲル重合体の形態は、ベルトの幅を有するシート上の含水ゲル状の重合体が得られ、重合体シートの厚さは注入される単量体組成物の濃度および注入速度または注入量によって異なるが、通常約0.5ないし約5cmの厚さで得られる。
【0106】
しかし、シート上の重合体の厚さが過度に薄いほど単量体組成物を供給する場合、生産効率が低いため好ましくなく、生産性のためにシート上の重合体の厚さを厚くする場合には、重合反応が全厚さにかけて均一に起きないため、高品質の重合体形成が難しくなる。
【0107】
また、前記コンベヤーベルトを備えた反応器撹拌軸を有する反応器での重合は、重合結果物が移動しながら新たな単量体組成物が反応器に供給され、連続式で重合が行われるので重合率が互いに異なる重合体が混ざることになり、これにより単量体組成物全体で均一な重合が行われにくいため、全体的な物性の低下が起きる可能性がある。
【0108】
しかし、本発明の一具現例によると、バッチ式反応器で固定床式で重合を行うことによって、重合率が異なる重合体が混ざる恐れが少なく、これにより均一な品質を有する重合体が得られる。
【0109】
また、前記重合ステップは、所定の体積を有するバッチ式反応器で行われ、コンベヤーベルトを備えた反応器で連続式で重合を行う場合より長時間、例えば、3時間以上重合反応を行う。前記のような長時間の重合反応時間にもかかわらず、未中和状態の水溶性エチレン系不飽和単量体に対して重合を行うので、長時間重合を行っても単量体がよく析出せず、したがって、長時間重合するために有利である。
【0110】
一方、本発明のバッチ式反応器での重合は、熱重合方法を用いることによって前記重合開始剤は熱重合開始剤を用いる。
【0111】
前記熱重合開始剤としては、過硫酸塩系開始剤、アゾ系開始剤、過酸化水素およびアスコルビン酸からなる開始剤群より選択される一つ以上を用いてもよい。具体的には、過硫酸塩系開始剤の例としては、過硫酸ナトリウム(Sodium persulfate;Na)、過硫酸カリウム(Potassium persulfate;K)、過硫酸アンモニウム(Ammonium persulfate;(NH)等があり、アゾ(Azo)系開始剤の例としては、2,2-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(2,2-azobis(2-amidinopropane)dihydrochloride)、2,2-アゾビス-(N,N-ジメチレン)イソブチラミジンジヒドロクロリド(2,2-azobis-(N,N-dimethylene)isobutyramidine dihydrochloride)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル(2-(carbamoylazo)isobutylonitrile)、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド(2,2-azobis[2-(2-imidazolin-2-yl)propane]dihydrochloride)、4,4-アゾビス-(4-シアノ吉草酸)(4,4-azobis-(4-cyanovaleric acid))等がある。より多様な熱重合開始剤については、Odian著書である「Principle of Polymerization(Wiley、1981)」、p203に詳しく明示されており、前述した例に限定されない。
【0112】
このような重合開始剤は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して、2重量部以下で用いられてもよい。つまり、前記重合開始剤の濃度が過度に低い場合、重合速度が遅くなることがあり、最終製品に残存モノマーが多量で抽出されることがあって好ましくない。反対に、前記重合開始剤の濃度が前記範囲より高い場合、ネットワークをなす高分子鎖が短くなって水可溶成分の含有量が高くなり、加圧吸収能が低くなるなど樹脂の物性が低下することがあって好ましくない。
【0113】
一方、本発明の一具現例では、前記開始剤とレドックス(Redox)カップルをなす還元剤とともに投入して重合を開始することができる。
【0114】
具体的には、前記開始剤と還元剤とは、重合体溶液に投入された時に互いに反応してラジカルを形成する。
【0115】
形成されたラジカルは、単量体と反応することになり、前記開始剤と還元剤間の酸化-還元反応は反応性が非常に高いので、微量の開始剤および還元剤だけが投入されても重合が開始されて工程温度を高める必要がなく、低温重合が可能であり、重合体溶液の物性変化を最小化することができる。
【0116】
前記酸化-還元反応を用いた重合反応は、常温(25℃)付近またはその以下の温度でも円滑に起きることができる。一例として、前記重合反応は、5℃以上25℃以下、または5℃以上20℃以下の温度で行われてもよい。
【0117】
本発明の一具現例で、前記開始剤として過硫酸塩系開始剤を用いる場合、還元剤は、メタ重亜硫酸ナトリウム(Na);テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA);硫酸鉄(II)とEDTAの混合物(FeSO/EDTA);ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(Sodium formaldehyde sulfoxylate);およびジナトリウム2-ヒドロキシ-2-スルフィノアセテート(Disodium 2-hydroxy-2-sulfinoacteate)からなる群より選択された1種以上が用いられてもよい。
【0118】
一例として、開始剤として過硫酸カリウムを用い、還元剤としてジナトリウム2-ヒドロキシ-2-スルフィノアセテートを用いるか、開始剤として過硫酸アンモニウムを用い、還元剤としてテトラメチルエチレンジアミンを用いるか、開始剤として過硫酸ナトリウムを用い、還元剤としてナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートを用いてもよい。
【0119】
本発明の他の一具現例で、前記開始剤として過酸化水素系開始剤を用いる場合、還元剤は、アスコルビン酸(Ascorbic acid);スクロース(Sucrose);亜硫酸ナトリウム(NaSO)メタ重亜硫酸ナトリウム(Na);テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA);硫酸鉄(II)とEDTAの混合物(FeSO/EDTA);ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(Sodium formaldehyde sulfoxylate);ジナトリウム2-ヒドロキシ-2-スルフィノアセテート(Disodium 2-hydroxy-2-sulfinoacteate);およびジナトリウム2-ヒドロキシ-2-スルホアセテート(Disodium 2-hydroxy-2-sulfoacteate)からなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0120】
前記単量体組成物は、必要に応じて、増粘剤(thickener)、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤などの添加剤をさらに含んでもよい。
【0121】
そして、前記単量体を含む単量体組成物は、例えば、水などの溶媒に溶解した溶液状態であってもよく、このような溶液状態の単量体組成物のうちの固形分含有量、つまり、単量体、内部架橋剤および重合開始剤の濃度は、重合時間および反応条件などを考慮して適切に調節することができる。例えば、前記単量体組成物内の固形分含有量は、10ないし80重量%、または15ないし60重量%、または30ないし50重量%であってもよい。
【0122】
このとき、用いられる溶媒は、前述した成分を溶解することができればその構成が限定されることなく用いることができ、例えば、水、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トルエン、キシレン、ブチロラクトン、カルビトール、メチルセロソルブアセテートおよびN,N-ジメチルアセトアミドなどで選択された1種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0123】
このような方法で得られた重合体は、未中和状態のエチレン系不飽和単量体を用いて重合することによって、前述したように、高分子量を有して分子量分布が均一な重合体を形成することができ、水可溶成分の含有量を減らすことができる。
【0124】
このような方法で得られた重合体は、含水ゲル重合体状態で、含水率が30ないし80重量%であってもよい。例えば、前記重合体の含水率は、30重量%以上、または45重量%以上、または50重量%以上で、かつ80重量%以下、または70重量%以下、または60重量%以下であってもよい。
【0125】
前記重合体の含水率が過度に低い場合、以降の粉砕ステップで適切な表面積を確保することが難しいため、効果的に粉砕されない可能性があり、前記重合体の含水率が過度に高い場合、以降の粉砕ステップで加えられる圧力が増加して所望の粒度まで粉砕させにくい可能性がある。
【0126】
一方、本明細書全体で、「含水率」は、全体重合体重量に対して占める水分の含有量であって、重合体の重量から乾燥状態の重合体の重量を引いた値を意味する。具体的には、赤外線加熱を通じてクラム状態の重合体の温度を上げて乾燥する過程で、重合体中の水分蒸発による重量減少分を測定して計算された値として定義する。このとき、乾燥条件は、常温で約180℃まで温度を上昇させた後、180℃に維持する方式であって、総乾燥時間は温度上昇ステップ5分を含んで40分と設定して、含水率を測定する。
【0127】
重合体の粉砕ステップ
次に、前記含水率が30ないし80重量%である含水ゲル重合体を粉砕するステップを行う。このような過程で重合体の細切りと凝集が同時に行われることがあり、細切りした重合体が凝集された2次凝集粒子は、表面積が大きく増加して吸収速度を顕著に改善することができる。
【0128】
前記重合体の粉砕ステップは、前記の化学式1で表される化合物またはその塩を重合体に添加した後に行われてもよい。
【0129】
前記の化学式1で表される化合物またはその塩は、高吸水性樹脂粒子の凝集を抑制する界面活性剤として用いられる。
【0130】
前記の化学式1で表される界面活性剤は、非イオン性の界面活性剤であって未中和された重合体とも水素結合力による表面吸着性能に優れ、これにより目的とする凝集制御効果を具現するために適合する。これに対し、非イオン性界面活性剤でない陰イオン性界面活性剤の場合、NaOH、NaSO等の中和剤で中和した重合体と混合される場合、重合体のカルボキシル基置換基にイオン化されているNaイオンを媒介として吸着し、未中和重合体に混合される場合、重合体のカルボキシル基置換基の陰イオンとの競争により重合体に対する吸着効率が相対的に低下するという問題がある。
【0131】
具体的には、前記の化学式1で表される界面活性剤で、疎水性官能基は、末端官能基であるR、R、R部分(水素ではない場合)であり、親水性官能基は、鎖内のグリセロールに由来の部分と、末端の水酸基(Aが単結合であり、同時にRが水素の場合、n=1~3)をさらに含むが、前記グリセロールに由来の部分と、末端の水酸基は、親水性官能基であって重合体表面に対する吸着性能を向上させる役割を果たす。これにより、高吸水性樹脂粒子の凝集を効果的に抑制することができる。
【0132】
前記の化学式1で、疎水性官能基であるR、R、R部分(水素ではない場合)は、それぞれ独立し、炭素数6ないし18の直鎖または分枝鎖のアルキルまたは炭素数6ないし18の直鎖または分枝鎖のアルケニルである。このとき、R、R、R部分(水素ではない場合)が炭素数6未満のアルキルまたはアルケニルの場合、鎖長さが短いため粉砕された粒子の凝集制御が効果的に行われないという問題があり、R、R、R部分(水素ではない場合)が炭素数18超過のアルキルまたはアルケニルの場合、前記界面活性剤の移動性(mobility)が減少して、重合体と効果的に混合されないことがあり、界面活性剤の費用上昇によって組成物単価が高くなるという問題があり得る。
【0133】
好ましくは、R、R、Rは水素であるか、または炭素数6ないし18の直鎖または分枝鎖のアルキルの場合、2-メチルヘキシル、n-ヘプチル、2-メチルヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デカニル、n-ウンデカニル、n-ドデカニル、n-トリデカニル、n-テトラデカニル、n-ペンタデカニル、n-ヘキサデカニル、n-ヘプタデカニル、またはn-オクタデカニルであってもよく、または炭素数6ないし18の直鎖または分枝鎖のアルケニルの場合、2-ヘキセニル、2-ヘプテニル、2-オクテニル、2-ノネニル、n-デケニル、2-ウンデケニル、2-ドデケニル、2-トリデケニル、2-テトラデケニル、2-ペンタデケニル、2-ヘキサデケニル、2-ヘプタデケニル、または2-オクタデケニルであってもよい。
【0134】
前記界面活性剤は、下記の化学式1-1ないし化学式1-14で表される化合物より選択されてもよい。
【0135】
【化6】
【化7】
【化8】
【0136】
一方、前記界面活性剤は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体に対して、50ppmないし7,000ppmで用いられてもよい。前記界面活性剤が過度に少なく用いられる場合、前記重合体表面に均一に吸着しないため、粉砕または乾燥後に粒子の再凝集現象が発生する可能性があり、前記界面活性剤が過度に多く用いられる場合、最終製造された高吸水性樹脂の諸物性が低下する可能性がある。例えば、前記界面活性剤は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体に対して、50ppm以上、100ppm以上、150ppm以上、または1,000ppm以上で、かつ7,000ppm以下、6,000ppm以下、5,000ppm以下、4,000ppm以下、または3,000ppm以下の量で用いられてもよい。
【0137】
このような界面活性剤を重合体に混合する方法は、前記重合体にこれらを均一に混合できる方法であれば特に限定されず、適切に採択して用いることができる。具体的には、前記界面活性剤を乾式で混合するか、溶媒に溶解した後に溶液状態で混合するか、または前記界面活性剤を溶融させた後に混合することができる。
【0138】
このうち、例えば、前記界面活性剤は、溶媒に溶解した溶液状態で混合することができる。このとき、溶媒としては、無機溶媒または有機溶媒に制限されることなくあらゆる種類を用いることができるが、乾燥過程の容易性と溶媒回収システムの費用を考慮すると、水が最も適切である。また、前記溶液は、前記界面活性剤と重合体とを反応槽に入れて混合するか、ミキサーに重合体を入れて溶液を噴射する方法、連続的に運転されるミキサーに重合体と溶液とを連続的に供給して混合する方法などを用いてもよい。
【0139】
前記ステップ1で、酸性基の一部が中和した単量体を用いた場合、ステップ2は、ステップ1に引き続き行われる。
【0140】
一方、ステップ1で中和していない単量体を用いた場合は、前述のように重合体に含まれた酸性基の少なくとも一部を中和させるステップを行ってもよく、前記中和ステップと重合体の粉砕ステップとは同時あるいは順次に行われてもよい。
【0141】
具体的には、重合体に中和剤を投入して酸性基をまず中和させた後、中和した重合体に界面活性剤を投入して界面活性剤が混合された重合体を粉砕するか、重合体に中和剤と界面活性剤を同時に投入して重合体に対して中和および粉砕を行うこともできる。または、界面活性剤をまず投入して中和剤を以降に投入することもできる。または、中和剤と界面活性剤を交差して交互に投入することもできる。または、界面活性剤をまず投入して粉砕した後、中和剤を投入して中和し、中和した含水ゲル重合体に追加的に界面活性剤をさらに投入して粉砕工程を追加で行うこともできる。一方、重合体全体に対する均一な中和のために中和剤の投入と粉砕工程の間には、一定の時間差を設けることが好ましい。
【0142】
前記界面活性剤のうちの少なくとも一部または相当量は、前記含水ゲル重合体粒子の表面に存在する可能性がある。
【0143】
ここで、前記界面活性剤が含水ゲル重合体粒子の表面に存在するという意味は、前記界面活性剤のうちの少なくとも一部または相当量が前記含水高吸水性樹脂粒子の表面に吸着または結合されていることを意味する。具体的には、前記界面活性剤は、前記高吸水性樹脂の表面に物理的にまたは化学的に吸着していてもよい。より具体的には、前記界面活性剤の親水性官能基は、前記高吸水性樹脂表面の親水性の部分に双極子-双極子引力(Dipole-dipole interaction)などの分子間の力によって物理的に吸着していてもよい。このように、前記界面活性剤の親水性の部分は、前記高吸水性樹脂粒子の表面に物理的に吸着して表面を囲み、界面活性剤の疎水性の部分は、樹脂粒子の表面に吸着しないため、樹脂粒子は一種のミセル(micelle)構造の形態として界面活性剤がコーティングされていてもよい。これは、前記界面活性剤が前記水溶性エチレン系不飽和単量体の重合工程中に投入されるものではなく、重合体形成以降の粉砕ステップで投入されるので、前記界面活性剤が重合工程中に投入されて重合体内部に前記界面活性剤が存在する場合に比べて、界面活性剤としての役割を忠実に行うことができ、粉砕と凝集が同時に起きて微細粒子が凝集された形態で表面積が大きい粒子が得られる。
【0144】
前記粉砕ステップは、2回以上行われてもよい。
【0145】
前記粉砕に用いられる粉砕機の種類は特に制限されず、具体的には、垂直型切断機(Vertical pulverizer)、ターボカッター(Turbo cutter)、ターボグラインダー(Turbo grinder)、回転切断式粉砕機(Rotary cutter mill)、切断式粉砕機(Cutter mill)、円板粉砕機(Disc mill)、シュレッドクラッシャー(Shred crusher)、破砕機(Crusher)、チョッパー(chopper)および円板式切断機(Disc cutter)からなる粉砕機器群より選択されるいずれか一つを含んでもよい。
【0146】
または、本発明の一具現例によると、前記粉砕は、内部に重合体が移送される移送空間を含むボディー部と、前記移送空間の内部に回転可能なように設けられ、重合体を移動させるスクリュー部材と、前記スクリュー部材に回転駆動力を提供する駆動モーターと、前記ボディー部に設けられ、前記重合体を粉砕するカッター部材と、前記カッター部材によって粉砕された前記重合体を前記ボディー部の外部に排出し、複数のホール(hole)が形成された多孔板を含む粉砕装置によって行われてもよい。このとき、前記粉砕装置の多孔板に備えられたホール大きさは、1mmないし20mm、または5mmないし15mm、または5mmないし12mmであってもよい。
【0147】
このような粉砕装置を用いて前記重合体の凝集を制御して粉砕を行う場合、より小さい粒度分布(数十ないし数百マイクロメーター粒径)が具現され、以降の乾燥および粉砕工程をよりマイルドな条件で行うことができ、これにより微粉発生を防止しながら高吸水性樹脂の物性を向上させることができる。
【0148】
重合体の乾燥および粉砕ステップ
次に、前記粉砕された重合体を乾燥および粉砕して高吸水性樹脂粒子を製造する。
【0149】
このとき、乾燥ステップを行う前に、界面活性剤として、前記の化学式1で表される化合物またはその塩を重合体に添加することができる。
【0150】
前記界面活性剤に関する説明は、前述した通りである。
【0151】
前記乾燥ステップは、高吸水性樹脂の含水率が20重量%以下、または15重量%以下であり、かつ1重量%以上、または3重量%以上になるように行われてもよい。
【0152】
このために前記乾燥ステップで用いられる乾燥機内の温度は、約150℃以下、例えば、約80℃ないし約150℃であり、比較的に低温で行われてもよい。乾燥機内の温度が過度に低い場合、乾燥時間が過度に長くなることがあり、前記乾燥温度が過度に高い場合、前記所望の含水率より低い含水率を有する高吸水性樹脂が得られる。
【0153】
このとき、乾燥は、乾燥される間の物質が流動する流動式(moving type)、または物質が流動しない固定床式(fixed-bed type)で行われてもよい。
【0154】
前記流動式乾燥は、乾燥体を機械的に撹拌しながら乾燥させる方式を称する。このとき、熱風が物質を通過する方向は、物質の循環方向と同一であってもよく、異なっていてもよい。または、物質は乾燥機内部で循環し、乾燥機外部の別途のパイプ管に熱媒介流体(熱媒油)を通過させ、物質を乾燥させることもできる。
【0155】
前記固定床式乾燥は、空気が通れる多孔鉄板のような底に乾燥させようとする物質を停止した状態で、下から上に熱風が物質を通過して乾燥させる方式を称する。
【0156】
次に、前記乾燥高吸水性樹脂粒子を粉砕して高吸水性樹脂粒子を製造するステップを行う。
【0157】
具体的には、前記粉砕ステップは、乾燥高吸水性樹脂粒子を粉砕して正常粒子水準の粒度、つまり、150μmないし850μmの粒径を有するように行われてもよい。
【0158】
これのために用いられる粉砕機は、具体的には、垂直型切断機(Vertical pulverizer)、ターボカッター(Turbo cutter)、ターボグラインダー(Turbo grinder)、回転切断式粉砕機(Rotary cutter mill)、切断式粉砕機(Cutter mill)、円板粉砕機(Disc mill)、シュレッドクラッシャー(Shred crusher)、破砕機(Crusher)、チョッパー(chopper)または円板式切断機(Disc cutter)等であってもよく、前述した例には限定されない。
【0159】
または、粉砕機として、ピンミル(pin mill)、ハンマーミル(hammer mill)、スクリューミル(screw mill)、ロールミル(roll mill)、ディスクミル(disc mill)またはジョッグミル(jog mill)等を用いることもできるが、前述した例に限定されるものではない。
【0160】
追加のステップ
前記高吸水性樹脂粒子を乾燥および粉砕するステップ以降に、前記粉砕された高吸水性樹脂粒子を粒径によって分級するステップをさらに含んでもよい。
【0161】
また、前記高吸水性樹脂粒子を粉砕および/または分級した以降に表面架橋剤の存在下で、前記高吸水性樹脂粒子の表面のうちの少なくとも一部に表面架橋層を形成するステップをさらに含んでもよい。前記ステップによって、前記高吸水性樹脂粒子に含まれている架橋重合体が表面架橋剤を媒介として追加架橋され、前記高吸水性樹脂粒子の表面のうちの少なくとも一部に表面架橋層を形成することができる。
【0162】
前記表面架橋剤としては、既存の高吸水性樹脂の製造に用いられていた表面架橋剤を特に制限されることなくいずれも用いてもよい。例えば、前記表面架橋剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、トリプロピレングリコールおよびグリセロールからなる群より選択された1種以上のポリオール;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートおよびグリセロールカーボネートからなる群より選択された1種以上のカーボネート系化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物;オキサゾリジノンなどのオキサゾリン化合物;ポリアミン化合物;モノ-、ジ-またはポリオキサゾリジノン化合物;または環状ウレア化合物;などを含んでもよい。
【0163】
具体的には、前記表面架橋剤として、前述した表面架橋剤のうち1種以上、または2種以上、または3種以上が用いられてもよいが、例えば、エチレンカーボネート-プロピレンカーボネート(ECPC)、プロピレングリコールおよび/またはグリセロールカーボネートが用いられてもよい。
【0164】
このような表面架橋剤は、前記高吸水性樹脂粒子100重量部に対して、約0.001ないし約5重量部で用いられてもよい。例えば、前記表面架橋剤は、高吸水性樹脂粒子100重量部に対して、0.005重量部以上、または0.01重量部以上、または0.05重量部以上であり、または5重量部以下、または4重量部以下、または3重量部以下の含有量で用いられてもよい。表面架橋剤の含有量範囲を前述した範囲で調節して優れた吸収諸物性を示す高吸水性樹脂を製造することができる。
【0165】
また、前記表面架橋層を形成するステップは、前記表面架橋剤に無機物質を追加して行われてもよい。つまり、前記表面架橋剤および無機物質の存在下で、前記高吸水性樹脂粒子の表面を追加架橋して表面架橋層を形成するステップを行うことができる。
【0166】
このような無機物質として、シリカ(silica)、クレー(clay)、アルミナ、シリカ-アルミナ複合材、チタニア、亜鉛酸化物およびアルミニウムスルフェートからなる群より選択された1種以上の無機物質を用いてもよい。前記無機物質は、粉末形態または液状形態に用いることができ、特にアルミナ粉末、シリカ-アルミナ粉末、チタニア粉末、またはナノシリカ溶液を用いることができる。また、前記無機物質は、高吸水性樹脂粒子100重量部に対して、約0.001ないし約1重量部の含有量で用いられてもよい。
【0167】
また、前記表面架橋剤を高吸水性樹脂組成物に混合する方法については、その構成の限定はない。例えば、表面架橋剤と高吸水性樹脂組成物とを反応槽に入れて混合するか、高吸水性樹脂組成物に表面架橋剤を噴射する方法、連続的に運転されるミキサーに高吸水性樹脂組成物と表面架橋剤とを連続的に供給して混合する方法などを用いてもよい。
【0168】
前記表面架橋剤と高吸水性樹脂組成物とを混合するとき、追加で水およびメタノールをともに混合して添加することができる。水およびメタノールを添加する場合、表面架橋剤が高吸水性樹脂組成物に均一に分散できるという利点がある。このとき、追加される水およびメタノールの含有量は、表面架橋剤の均一な分散を誘導し、高吸水性樹脂組成物の凝集現象を防止するとともに、架橋剤の表面浸透深さを最適化するために適切に調節させることができる。
【0169】
前記表面架橋工程は、約80℃ないし約250℃の温度で行われてもよい。より具体的には、前記表面架橋工程は、約100℃ないし約220℃、または約120℃ないし約200℃の温度で、約20分ないし約2時間、または約40分ないし約80分間行われてもよい。前述した表面架橋工程条件を満たすとき、高吸水性樹脂粒子の表面が十分架橋され、加圧吸収能が増加することができる。
【0170】
前記表面架橋反応のための昇温手段は特に限定されない。熱媒体を供給するか、熱源を直接供給して加熱することができる。このとき、使用可能な熱媒体の種類としては、スチーム、熱風、熱い油などの昇温した流体などを用いてもよいが、これらに限定されるものではなく、また供給される熱媒体の温度は、熱媒体の手段、昇温速度および昇温目標温度を考慮して適切に選択することができる。一方、直接供給される熱源としては、電気を通じた加熱、ガスを通じた加熱方法があるが、前述した例に限定されるものではない。
【0171】
本発明の一具現例によると、前記高吸水性樹脂粒子の表面のうちの少なくとも一部に表面架橋層を形成するステップ以降に、前記表面架橋層が形成された高吸水性樹脂粒子を冷却する冷却ステップ、前記表面架橋層が形成された高吸水性樹脂粒子に水を投入する加水ステップ、および前記表面架橋層が形成された高吸水性樹脂粒子に添加剤を投入する後処理ステップのうちいずれか一つのステップ以上をさらに含んで行われてもよい。このとき、前記冷却ステップ、加水ステップ、および後処理ステップは順次に行われるか、または同時に行われてもよい。
【0172】
前記後処理ステップで投入する添加剤は、通液性向上剤、アンチ-ケーキング(anti-caking)剤、流動性向上剤、および酸化防止剤などからなってもよいが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0173】
前記冷却ステップ、加水ステップ、および後処理ステップを選択的に行うことによって最終高吸水性樹脂の含水率を向上させ、より高品質の高吸水性樹脂製品を製造することができる。
【実施例
【0174】
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示するが、下記の実施例は、本発明を例示するものであるだけで、本発明の範疇および技術思想範囲内で多様な変更および修正が可能することは当業者にとって明白なことであり、このような変更および修正が添付された特許請求の範囲に属するのも当然なことである。
【0175】
[実施例]
比較例1
(重合体製造ステップ)
ガラス反応器にアクリル酸488.5g、31.5重量%NaOH水溶液663.5g、水375gを混合して中和液を製造した。前記中和液に、アクリル酸の総重量に対して、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)2000ppm、開始剤としてビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(Irgacure(登録商標) 819)80ppmおよび過硫酸ナトリウム(SPS)2000ppmを混合して単量体組成物を製造した。
【0176】
前記単量体組成物を横30cm、縦30cm大きさの四角反応容器に入れ、10mW/cmの強さを有する紫外線を照射して60秒間重合反応を行って、含水ゲル重合体を得た。
【0177】
(粉砕ステップ)
前記ステップ1で製造した含水ゲル重合体を横5cm、縦5cm大きさに切り出し、スクリュー型切断機であるミートチョッパー(meat chopper)を用いて、含水ゲル粉砕した。このとき、スクリュー型切断機には、ホール大きさが16mmである複数の細孔を備えた多孔板を用いた。
【0178】
(乾燥ステップ)
その後、前記高吸水性樹脂含水ゲル粉砕物を1,000gを多孔板が含まれた通気型乾燥機に投入した。前記乾燥機内部温度は180℃に維持しながら、40分間乾燥を行って樹脂粉末を得た。得られた粉末を2段ロールミル(roll mill)に通過してベース樹脂(BR)粉末を得た。
【0179】
(粉砕および分級ステップ)
前記ベース樹脂を2段ロールミル(GRAN-U-LIZERTM、MPE)を用いて、150μmないし850μmの粒径を有する粒子になるように粉砕した。
【0180】
前記粉砕物を分級体を用いて150μmないし850μmの粒径を有するベース樹脂粒子だけ選択的に回収した。
【0181】
(表面架橋ステップ)
前記で得られたベース樹脂粒子100gに対し、水5g、プロピレングリコール5.3g、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.1gおよび23重量%の硫酸アルミニウム水溶液0.87gを混合して製造した表面架橋液を投入して2分間混合し、これを130℃で50分間表面架橋反応を行って、最終高吸水性樹脂を製造した。
【0182】
実施例1
(重合体製造ステップ)
撹拌機、温度計を取り付けた10Lガラス容器にアクリル酸1500g、内部架橋剤としてペンタエリトリトールトリアリルエーテル6.3g、水3387gを撹拌・混合し、5℃に維持しながら撹拌した。前記混合物が含まれたガラス容器に窒素1000cc/minを1時間流入して窒素条件で置き換えた。次に、重合開始剤として、0.3%過酸化水素水溶液20.1g、1%アスコルビン酸水溶液22.5g、2%の2,2’-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸水溶液45.0gを投入し、同時に還元剤として0.01%の硫酸鉄水溶液22.3gを添加して重合を開始した。前記混合物の温度が85℃に到達した後、90±2℃で約3時間重合することによって重合体を得た。
【0183】
(中和および粉砕ステップ)
ホールサイズ(hole size)が10mmである複数のホールを含む多孔板が備えられたマイクロナイザー(Micronizer)(F200、Karl Schnell)を1500rpmで回転させながら得た重合体5000gを投入して粉砕した。このとき、グリセロールモノラウレート(Glycerol Monolaurate、GML)1.5重量%水溶液をアクリル酸に対してGMLが1,000ppmになるように投入した。
【0184】
その後、ホールサイズ(hole size)が6mmである複数のホールを含む多孔板が備えられたスクリュー型切断機であるミートチョッパー(meat chopper)を500rpmで回転させながら粉砕された重合体を投入して2次凝集粒子に製造する過程を3回繰り返した。このとき、1回目では、重合体1000g当たり50重量%NaOH水溶液を220g投入した。2回目では、1回目後の重合体1000g当たり10重量%のNaSO水溶液を39.3g投入した。3回目では、添加剤を投入せずに通過させて含水高吸水性樹脂粒子を製造した。
【0185】
(乾燥ステップ)
前記含水高吸水性樹脂粒子1,000gを、120度ベルト乾燥機で40分間乾燥を行って樹脂粉末を得た。得られた粉末を2段ロールミル(roll mill)に通過させてベース樹脂(BR)粉末を得た。
【0186】
(表面架橋ステップ)
次に、得られたベース樹脂粉末100gに対し、水4g、メタノール6g、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EJ-1030S)0.30g、プロピレングリコール0.1gおよびアルミニウムスルフェート0.2gを投入して製造した表面架橋液を1分間混合し、これを140℃で50分間表面架橋反応を行って、表面架橋された高吸水性樹脂を得た。
【0187】
実施例2
中和および粉砕ステップで、GML1.5重量%水溶液をアクリル酸に対してGMLが5,000ppmになるように投入したことを除いて、実施例1と同様の方法で高吸水性樹脂を製造した。
【0188】
比較例2
中和および粉砕ステップで、GML1.5重量%水溶液をアクリル酸に対してGMLが20,000ppmになるように投入したことを除いて、実施例1と同様の方法で高吸水性樹脂を製造した。
【0189】
実験例1:高吸水性樹脂の物性測定
図1のような高吸水性樹脂の物性測定装置100を用いて、次の方法で実施例および比較例の各高吸水性樹脂の物性を測定した。測定温度は24℃を維持した。
【0190】
データ収集用コンピュータに接続された天秤(13、A&D電子天秤GF-3000)の上に第1水槽10を載せ、第1水槽の上部蓋を貫通するようにパイプ11を設け、第1水槽内部圧力が大気圧と同一に維持されるようにした。第1水槽としては、内部直径が10cm、内部高さが30cm、内部体積が2355cmである円筒形アクリル水槽を用いており、パイプとしては、直径1cm、高さ30cmのガラスパイプを用いた。
【0191】
別途に、第2水槽20として、底面の内部の横および縦の長さがそれぞれ20cm、内部高さが5cm、内部体積が2000cmであり、上部蓋の中央にガラスフィルター21、Chemglass CG-201-52、直径80mm、厚さ6.35mm、extra coarse)が取り付けられたアクリル水槽を準備した。
【0192】
前記第2水槽を天秤の横に置き、第1水槽の下段部(水槽高さの約1/5地点)と第2水槽の下段部(水槽高さの約1/5地点)に連結管14を設けた。連結管としては、シリコン素材の、直径10mm、長さ50cmの管を用いた。
【0193】
その後、前記第1水槽に生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム水溶液)を満たし、連結管を通じて第2水槽全体が生理食塩水で満たされるようにした。そして、第2水槽のガラスフィルターが生理食塩水で飽和したとき、第1水槽の初期重量を測定した。
【0194】
別途に、下面に400meshのステンレスメッシュ(Material No.1.4401/AISI316mesh400、孔大きさ36μm、線径28μm)が取り付けられ、上面は開いた形態の内部直径60mm高さ50mmのポリメチルメタクリレート素材シリンダー22を準備した。前記シリンダーの上面を通じて1gの高吸水性樹脂(23、粒径150ないし850μm)を入れ、高吸水性樹脂粒子が互いに重ならないようにメッシュの上に均一に塗布させた後、前記第2水槽のガラスフィルターが生理食塩水で飽和した直後、ガラスフィルター上にメッシュが当接するようにシリンダーを載せた。
【0195】
ガラスフィルター上にシリンダーを載せた直後からコンピュータを用いて連続して第1水槽の重量を収集した。つまり、第1水槽の減った重量から高吸水性樹脂が吸収した水の量Cを測定し、時間(秒)当たり高吸水性樹脂が吸収した水の量から高吸水性樹脂の吸収速度Vを導出した。高吸水性樹脂が飽和し、それ以上第1水槽の重量を減らなくなるまでデータを収集し、吸収速度の最大値(Vmax)、吸収速度の最大値を達成した時間(Tmax)、および5分間高吸水性樹脂に吸収された生理食塩水の量を導出した。
【0196】
測定結果を下記の表1に記載した。比較例2の場合、5分間吸収速度が0.1g/g・secを超えずに、上昇、下降を繰り返して明確なピークが観察されなかったため、VmaxおよびTmaxの導出が不可能であった。
【0197】
【表1】
【0198】
実験例2:吸収コアの製造および評価
前記の実施例1および比較例1で製造した高吸水性樹脂を用いて、次の方法で吸収コアを製造し、吸収速度および再湿潤物性を測定した。
【0199】
(1)吸収コアの製造
2枚のエアレイド紙(HungChin、37gsm)および1枚のTABCW不織布(Jinrou、38gsm)をそれぞれ横380mm×縦110mm大きさに切断した。エアレイド不織布の上に高吸水性樹脂粉末(粒径150ないし850μm)5.8gを塗布した後、その上にTABCW不織布を積層し、再び高吸水性樹脂粉末5.8gを塗布した後、エアレイド不織布を積層した。各階をホットメルト接着剤(合計8gsm使用)に接着させて吸収コアを製造した。
【0200】
(2)吸収速度の測定
前記吸収コアに生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム水溶液)80mlを5分間隔で2回注入し、それぞれの注入時に、コア表面で生理食塩水が全て吸収されて無くなるまでの時間(吸収速度、秒)を測定した。
【0201】
(3)再湿潤(rewet)の測定
20枚のフィルター紙(whatman社、no.4、20~25μm、直径110mm)を準備し、重量を測定した。
【0202】
前記(2)の生理食塩水吸収速度の測定が完了した1時間後に、20枚のフィルター紙を吸収コアに載せ、0.7psiの圧力を1分間加えた。その後、前記フィルター紙の重量を測定し、前記初期重量との差を計算してフィルター紙に染み出た生理食塩水の量(g)を測定した。
【0203】
【表2】
【0204】
前記の結果から、吸収速度の最大値(Vmax)が0.4g/g・sec超過、吸収速度の最大値を達成した時間(Tmax)が5秒超過ないし120秒未満、および5分間高吸水性樹脂に吸収された生理食塩水の量(C5min)が40g超過を達成した実施例1の高吸水性樹脂が、前記の条件を満たさない比較例1の高吸水性樹脂と比較して、優れた吸収速度を示すだけでなく、顕著に向上した再湿潤防止特性を有することが確認できる。
【符号の説明】
【0205】
10:第1水槽
11:パイプ
12:生理食塩水
13:天秤
14:連結管
20:第2水槽
21:ガラスフィルター
22:シリンダー
23:高吸水性樹脂
100:高吸水性樹脂の物性測定装置
図1
【国際調査報告】