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特表2025-505123流体容器から流体を無菌移送するための装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-21
(54)【発明の名称】流体容器から流体を無菌移送するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/20 20060101AFI20250214BHJP
   F16L 37/28 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
A61J1/20 314Z
F16L37/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544454
(86)(22)【出願日】2023-01-23
(85)【翻訳文提出日】2024-08-30
(86)【国際出願番号】 US2023011363
(87)【国際公開番号】W WO2023146825
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】63/303,016
(32)【優先日】2022-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コシア, ニコラス
【テーマコード(参考)】
3J106
4C047
【Fターム(参考)】
3J106GA02
3J106GA04
4C047BB18
4C047BB23
4C047BB24
4C047CC04
4C047GG15
4C047HH01
4C047HH07
(57)【要約】
流体容器の開口部に接続可能なキャップと、キャップのハウジングの外側表面に接続可能な流体分注器とを含む、流体容器用の無菌閉鎖組立体。流体分注器は、本体と、本体内に設けられた流体ラインと、本体の周囲に設けられたシェルハウジングと、本体の第2の端部に接続可能なインサートと、を含む。本体は、第2の端部寄りのところに、流体ラインに接続されており、かつ、流体分注器がキャップに接続されると流体容器と流体連通するように構成されている、開口を含む。流体分注器は、流体容器に向かう下向きの力によって、インサートがキャビティの支持部に嵌合し、インサートが流体分注器の本体から接続解除されて流体容器を封止するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体容器用の無菌閉鎖組立体であって、
前記流体容器の開口部に接続可能なキャップであり、ハウジング、支持部を有する前記ハウジング内のキャビティ、およびシールの第1の組を備える、キャップと、
前記キャップの前記ハウジングの外側表面に接続可能な流体分注器であり、第1の端部および第2の端部を有する本体、前記本体内で前記第1の端部と前記第2の端部との間に設けられた流体ライン、前記本体の周囲に設けられたシェルハウジング、シールの第2の組、ならびに前記本体の前記第2の端部に接続可能なインサートを備える、流体分注器と、
を備え、
前記本体は、前記第2の端部寄りのところに、前記流体ラインに接続されており、かつ、前記流体分注器が前記キャップに接続されると前記流体容器と流体連通するように構成されている、開口を含み、
前記流体分注器は、前記流体容器に向かう下向きの力によって、前記インサートが前記キャビティの前記支持部に嵌合し、前記インサートが前記流体分注器の前記本体から接続解除されて前記流体容器を封止するように構成されている、無菌閉鎖組立体。
【請求項2】
前記流体容器は、ボトルである、請求項1に記載の無菌閉鎖組立体。
【請求項3】
前記シェルハウジングは、前記開口と流体連通している拡大部分を備え、前記流体分注器の前記流体ラインを通して流体が供給または除去されるとき、前記流体が、前記開口から前記拡大部分を通り前記インサートの周囲を経て前記流体容器内へと、または、前記流体容器から前記インサートの周囲を経て前記拡大部分を通りその後前記開口を通って流れるようになっている、請求項1に記載の無菌閉鎖組立体。
【請求項4】
前記インサートは、前記キャビティおよび前記支持部に圧入嵌合されることよって前記本体から接続解除される、ならびに/または、前記インサートが前記キャビティの前記支持部へと嵌合している間に前記流体分注器を回転させることよって接続される、請求項1に記載の無菌閉鎖組立体。
【請求項5】
前記シールの第1の組は、前記シェルハウジングの内側表面に接続可能な前記キャップの前記外側表面の周囲にある第1のシールと、前記キャビティの周囲にある第2のシールと、を備える、請求項4に記載の無菌閉鎖組立体。
【請求項6】
前記シールの第2の組は、前記開口の上方において前記本体上に設けられた第3のシールと、前記開口の下方に前記本体の長さ方向に沿って設けられた第4のシールと、を備え、前記開口が前記拡大部分の上方に位置するとき、前記第3のシールおよび前記第4のシールは前記シェルハウジングに係合する、請求項1に記載の無菌閉鎖組立体。
【請求項7】
前記シェルハウジングは、前記キャップの前記ハウジングの前記外側表面に設けられた第2の保持機構に係合するように構成されている、前記シェルハウジングの一端から延びている複数の第1の保持機構を備え、前記第1の保持機構と前記第2の保持機構は、相補的な形状を有する、請求項1に記載の無菌閉鎖組立体。
【請求項8】
前記シールの第1の組および前記シールの第2の組は、シリコーンおよびエチレンビニルアセテート(EVA)のうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の無菌閉鎖組立体。
【請求項9】
前記キャップまたは前記インサートの少なくとも一方は、フルオロポリマーを含む、請求項1に記載の無菌閉鎖組立体。
【請求項10】
前記キャップは、タンパーエビデントなコネクタを用いて前記流体容器に接続されている、請求項1に記載の無菌閉鎖組立体。
【請求項11】
前記流体分注器は、前記インサートに係合するための係合部片、または、前記流体分注器を回転させることによって前記キャビティの前記支持部から前記インサートを取り外せるように前記流体分注器が前記インサートに係合できるような係合部材を備える、請求項4に記載の無菌閉鎖組立体。
【請求項12】
前記シェルハウジングは、前記キャップの前記ハウジングの前記外側表面に設けられた対応する複数のスロットに係合するように構成されている、前記シェルハウジングの一端から延びている複数のアームを備え、前記複数のアームと前記複数のスロットは、これらを係合および係脱できるような相補的な形状を有する、請求項1に記載の無菌閉鎖組立体。
【請求項13】
流体分注器とキャップを係合および係脱するための手段を更に備える、請求項1に記載の無菌閉鎖組立体。
【請求項14】
流体容器用の無菌閉鎖組立体であって、
前記流体容器の開口部に接続可能なキャップであり、ハウジング、前記ハウジング内のキャビティ、前記キャビティに接続されているポート、およびシールの第1の組を備え、
前記ポートは、ポートシェルおよび前記ポートシェルの一端に接続されているインサートを備え、前記インサートは、前記流体容器と前記ポートとの間の流体連通チャネルを開閉するように構成されている、キャップと、
前記ポートシェルの外側表面に接続可能な流体分注器であり、前記流体分注器は、第1の端部および第2の端部を有する本体、前記本体内で前記第1の端部と前記第2の端部との間に設けられた流体ライン、前記本体の周囲に設けられたシェルハウジング、シールの第2の組、ならびに前記インサートと係合可能な係合部片を備え、
前記流体分注器の前記係合部片は、前記流体容器との前記流体連通チャネルが開くように前記流体ラインを前記インサートと一緒に前記流体容器に向けて下方へと導くことができるよう、回転係合によって前記ポートの前記インサートと係合可能である、流体分注器と、
を備える、流体容器用の無菌閉鎖組立体。
【請求項15】
前記キャップは、第2のキャビティと、前記第2のキャビティに接続されている第2のポートと、を備え、前記第2のポートは、第2のシェルと、前記第2のポートの一端を封止するように設けられた第2のインサートと、前記第2のインサートを閉位置に付勢する第1のばねと、を備える、請求項14に記載の流体容器用の無菌閉鎖組立体。
【請求項16】
第2のシェルハウジングを有する前記流体分注器の副本体と、前記第2のシェルハウジング内で前記副本体を付勢する第2のばねと、シールの第3の組と、を更に備え、前記第2のシェルハウジングは、前記第2のポートの外側表面に係合するように構成されており、前記第2のポートへの前記第2のシェルハウジングの接続によって、前記副本体が前記インサートを前記流体容器に向けて付勢して、前記副本体と前記流体容器との間に第2の流体連通チャネルが提供されるようになっている、請求項15に記載の流体容器用の無菌閉鎖組立体。
【請求項17】
前記第2のポートは、流体を前記流体容器の側部に導くように構成されている、前記第2のポートに接続されているパイプを更に備える、請求項16に記載の流体容器用の無菌閉鎖組立体。
【請求項18】
前記副本体は、ホースバーブ、オーバーモールドされた接続部、ねじ接続部、圧入嵌合接続部、スナップ嵌合接続部、またはそれらの組合せから成る群から選択されるチューブコネクタを含む、請求項17に記載の流体容器用の無菌閉鎖組立体。
【請求項19】
前記シェルハウジングは、前記流体容器への前記流体ラインの無菌挿入が可能になるように圧縮可能な蛇腹部を備える、請求項14に記載の流体容器用の無菌閉鎖組立体。
【請求項20】
流体容器内へとまたは流体容器から流体を無菌移送するための方法であって、
前記流体容器の開口部にキャップを接続するステップであり、前記キャップは、ハウジング、前記ハウジング内のキャビティ、前記キャビティに接続されているポート、およびシールの第1の組を備え、前記ポートは、ポートシェル、および前記ポートシェルの一端に接続されているインサートを備え、前記インサートは、前記流体容器と前記ポートとの間の流体連通チャネルを開閉するように構成されている、前記流体容器の開口部にキャップを接続するステップと、
流体分注器を前記ポートシェルの外側表面に対して無菌で接続および接続解除することによって、流体を前記流体容器内へと移送するステップであり、前記流体分注器は、第1の端部および第2の端部を有する本体、前記本体内で前記第1の端部と前記第2の端部との間に設けられた流体ライン、前記本体の周囲に設けられたシェルハウジング、シールの第2の組、ならびに前記インサートと係合可能な係合部片を備え、前記流体分注器の前記係合部片が回転係合によって前記ポートの前記インサートと係合されると、前記流体ラインを、前記流体容器との前記流体連通チャネルが開くように、前記インサートと一緒に前記流体容器に向けて下方へと導くことのできる、流体を前記流体容器内へと移送するステップと、
を含む、方法。
【請求項21】
前記流体容器内の前記移送された流体を約-85℃で凍結させるステップと、
前記流体の流動を可能にするために、前記移送された流体を約1℃~10℃の温度で解凍するステップと、
前記流体分注器を前記流体容器に対して無菌で接続および接続解除するステップと、
前記流体ラインが前記流体容器に無菌挿入されるように、前記流体分注器の前記シェルハウジング内で前記流体ラインを回転させ、流体分注器を圧縮するステップと、
前記流体ラインを通して前記流体容器から前記流体を除去するステップと、
を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
流体容器のキャップの外側表面に接続可能な流体分注器であって、
第1の端部および第2の端部を有する本体であり、前記第1の端部と前記第2の端部との間に設けられた流体ラインを含む、本体と、
前記本体の周囲に設けられたシェルハウジングと、
を備え、
前記本体の前記第2の端部にある前記流体ラインは、前記本体を回転させることによって、前記キャップに設けられたインサートと接続可能となるように構成されており、前記シェルハウジングは、前記流体容器への前記流体ラインの無菌挿入が可能になるように圧縮可能な蛇腹部を備える、流体分注器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本開示は、参照により本明細書に組み込まれる、2022年1月25日を出願日とする米国仮出願第63/303,016号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、一般に、流体容器から流体を無菌移送するためのシステムに関する。より詳細には、本開示は、流体容器から流体を無菌移送するための、キャップおよび流体分注組立体を含む無菌閉鎖組立体、方法、ならびに構成要素に関する。
【背景技術】
【0003】
化学的および/または生物学的プロセスでは、プロセス材料を利用または生産する場合があるが、これらプロセス材料は、医薬流体または生物学的流体、酸、溶媒、塩基、フォトレジスト、ドーパント、無機溶液、有機溶液などを収容した貯蔵容器、例えば強固な接続システムを有するバイオプロセス用のバッグ、ボトルなどの中に貯蔵される。プロセス材料は、場合によっては、貯蔵容器内で凍結させるか、または他の様式で低温に保つ必要がある。このような流体を使用する場合、貯蔵容器は、貯蔵中、輸送中、および最終的には製造工程自体の間、化学物質を適切に収容する必要がある。しかしながら、現在のところ、強固な接続システムを有する貯蔵容器との間で流体の移送を行うための方法および流体移送組立体では、システムの無菌性を保証することができない。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、一般に、流体容器から流体を無菌移送するためのシステムに関する。より詳細には、本開示は、流体容器から流体を無菌移送するための、キャップおよび流体分注組立体を含む無菌閉鎖組立体、方法、ならびに構成要素に関する。
【0005】
一実施形態では、流体容器用の無菌閉鎖組立体が提供される。無菌閉鎖組立体は、流体容器の開口部に接続可能なキャップであって、ハウジング、支持部を有するハウジング内のキャビティ、およびシールの第1の組を有するキャップと、キャップのハウジングの外側表面に接続可能な流体分注器と、を含む。流体分注器は、第1の端部および第2の端部を有する本体と、本体内で第1の端部と第2の端部との間に設けられた流体ラインと、本体の周囲に設けられたシェルハウジングと、シールの第2の組と、本体の第2の端部に接続可能なインサートと、を含む。本体は、第2の端部寄りのところに、流体ラインに接続されており、かつ、流体分注器がキャップに接続されると流体容器と流体連通するように構成されている、開口を含む。更に、流体分注器は、流体容器に向かう下向きの力によって、インサートがキャビティの支持部に嵌合し、インサートが流体分注器の本体から接続解除されて流体容器を封止するように構成されている。
【0006】
本発明の別の実施形態では、流体容器の開口部に接続可能なキャップであって、ハウジングと、ハウジング内のキャビティと、キャビティに接続されているポートと、シールの第1の組と、を含む、キャップ、を含む、無菌閉鎖組立体が提供される。ポートは、ポートシェル、およびポートシェルの一端に接続されているインサートであって、流体容器とポートとの間の流体連通チャネルを開閉するように構成されている、インサート、ならびに、ポートシェルの外側表面に接続可能な流体分注器を含む。流体分注器は、第1の端部および第2の端部を有する本体と、本体内で第1の端部と第2の端部との間に設けられた流体ラインと、本体の周囲に設けられたシェルハウジングと、シールの第2の組と、インサートと係合可能な係合部片と、を含む。流体分注器の係合部片は、流体容器との流体連通チャネルが開くように流体ラインをインサートと一緒に流体容器に向けて下方へと導くことができるよう、回転係合によってポートのインサートと係合可能である。
【0007】
一実施形態では、流体容器内へとまたは流体容器から流体を無菌移送するための方法が提供される。方法は、流体容器の開口部にキャップを接続するステップであって、キャップはハウジングと、ハウジング内のキャビティと、キャビティに接続されているポートと、シールの第1の組と、を含む、流体容器の開口部にキャップを接続するステップ、を含む。ポートは、ポートシェルと、ポートシェルの一端に接続されているインサートと、を含み、インサートは、流体容器とポートとの間の流体連通チャネルを開閉するように構成されている。方法は、流体分注器をポートシェルの外側表面に対して無菌で接続および接続解除することによって、流体を流体容器内へと移送するステップを更に含む。流体分注器は、第1の端部および第2の端部を有する本体と、本体内で第1の端部と第2の端部との間に設けられた流体ラインと、本体の周囲に設けられたシェルハウジングと、シールの第2の組と、インサートと係合可能な係合部片と、を含む。流体分注器の係合部片が回転係合によってポートのインサートと係合されると、流体ラインを、流体容器との流体連通チャネルが開くように、インサートと一緒に流体容器に向けて下方へと導くことができる。
【0008】
更に別の実施形態では、流体容器のキャップの外側表面に接続可能な流体分注器が提供される。流体分注器は、第1の端部および第2の端部を有する本体であって、第1の端部と第2の端部との間に設けられた流体ラインを含む、本体と、本体の周囲に設けられたシェルハウジングと、を含む。本体の第2の端部にある流体ラインは、本体を回転させることによって、キャップに設けられたインサートと接続可能となるように構成されており、シェルハウジングは、流体容器への流体ラインの無菌挿入が可能になるように圧縮可能な蛇腹部を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る無菌閉鎖組立体の概略図である。
図2A図2A図2Bは、図1によるキャップおよび流体分注器の分解図および斜視図である。
図2B図2A図2Bは、図1によるキャップおよび流体分注器の分解図および斜視図である。
図3A図3A図3B図3Cは、一実施形態に係る、流体分注器とキャップの接続およびそれらの中への流体の移送を示す、図1の無菌閉鎖組立体の断面図である。
図3B図3A図3B図3Cは、一実施形態に係る、流体分注器とキャップの接続およびそれらの中への流体の移送を示す、図1の無菌閉鎖組立体の断面図である。
図3C図3A図3B図3Cは、一実施形態に係る、流体分注器とキャップの接続およびそれらの中への流体の移送を示す、図1の無菌閉鎖組立体の断面図である。
図3D図3D図3Eは、一実施形態に係る、流体分注器とキャップの接続解除を示す、図1の無菌閉鎖組立体の断面図である。
図3E図3D図3Eは、一実施形態に係る、流体分注器とキャップの接続解除を示す、図1の無菌閉鎖組立体の断面図である。
図4A図4A図4Bは、流体分注器とインサートの接続を示す、一実施形態に係る、無菌閉鎖組立体の断面図である。
図4B図4A図4Bは、流体分注器とインサートの接続を示す、一実施形態に係る、無菌閉鎖組立体の断面図である。
図5A図5A図5Bは、別の実施形態に係る無菌閉鎖組立体の斜視図および断面図である。
図5B図5A図5Bは、別の実施形態に係る無菌閉鎖組立体の斜視図および断面図である。
図6A図6A図6B図6Cは、一実施形態に係る、図5A図5Bの無菌閉鎖組立体のキャップの斜視図、分解図、および断面図である。
図6B図6A図6B図6Cは、一実施形態に係る、図5A図5Bの無菌閉鎖組立体のキャップの斜視図、分解図、および断面図である。
図6C図6A図6B図6Cは、一実施形態に係る、図5A図5Bの無菌閉鎖組立体のキャップの斜視図、分解図、および断面図である。
図7A図7A図7B図7Cは、別の実施形態に係る、図5A図5Bの無菌閉鎖組立体のキャップの斜視図、分解図、および断面図である。
図7B図7A図7B図7Cは、別の実施形態に係る、図5A図5Bの無菌閉鎖組立体のキャップの斜視図、分解図、および断面図である。
図7C図7A図7B図7Cは、別の実施形態に係る、図5A図5Bの無菌閉鎖組立体のキャップの斜視図、分解図、および断面図である。
図8A図8A図8Bは、一実施形態に係る、流体分注器とキャップの接続を示す、図5A図5Bの無菌閉鎖組立体の斜視図および断面図である。
図8B図8A図8Bは、一実施形態に係る、流体分注器とキャップの接続を示す、図5A図5Bの無菌閉鎖組立体の斜視図および断面図である。
図8C図8C図8Dは、一実施形態に係る、流体容器を伴った図5A図5Bの無菌閉鎖組立体の斜視図である。
図8D図8C図8Dは、一実施形態に係る、流体容器を伴った図5A図5Bの無菌閉鎖組立体の斜視図である。
図9A図9A図9Bは、一実施形態に係る、無菌閉鎖組立体の副本体および第2のポートの断面図である。
図9B図9A図9Bは、一実施形態に係る、無菌閉鎖組立体の副本体および第2のポートの断面図である。
図10A図10A図10Bは、別の実施形態に係る、無菌閉鎖組立体の副本体および第2のポートの断面図である。
図10B図10A図10Bは、別の実施形態に係る、無菌閉鎖組立体の副本体および第2のポートの断面図である。
図11A図11A図11Bは、図10A図10Bの実施形態に係る、無菌閉鎖組立体の副本体および第2のポートの斜視図である。
図11B図11A図11Bは、図10A図10Bの実施形態に係る、無菌閉鎖組立体の副本体および第2のポートの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
同様の数字は同様の特徴を表す。
【0011】
本開示は、一般に、流体容器から流体を無菌移送するための無菌閉鎖組立体に関する。より詳細には、本開示は、汚染を回避するべく貯蔵容器との結合ならびに貯蔵容器に対する流体の移送、例えば充填および除去を無菌で行うために使用される、キャップおよび流体分注組立体を含む、無菌閉鎖組立体に関する。本明細書で使用する無菌という用語は少なくとも、内部の内容物および/または構成要素の無菌性を維持する目的で、流体が外部環境からの汚染物質を実質的に含まないようにしておくために、流体分注組立体と流体容器との間に破壊されずに残る障壁または流体経路を形成することに関連している。化学的および/または生物学的プロセスに関連する流体については以下で検討するが、かかる検討は本発明の範囲を限定することは意図しておらず、本発明の実施形態として提供されることが諒解される。流体としてはせん断応力が加わると流動または変形する物質が挙げられるが、これに限定されない。流体としては例えば液体を挙げることができる。
【0012】
例えば、バイオプロセス市場では、顧客は、ボトル、バッグ、ペール缶、ドラム缶などの様々な流体貯蔵容器の中で、自身の薬物製品の凍結、運送、および解凍を行う。顧客は様々な無菌コネクタを使用してバッグ組立体に流体を無菌移送することができるが、ボトル、ペール缶、ドラム缶、またはより大型のバッグ組立体の使用は、それほど広くは利用されていない。その理由は、それらボトル、ペール缶、ドラム缶、またはより大型のバッグ組立体との間の流体の移送を単純な無菌接続組立体を使用して行うことができないためであり、例えば、流体移送組立体がボトル、ペール缶、ドラム缶、またはより大型のバッグ組立体の頂部に接続されるため、流体の移送は閉じたシステム内では行われず、流体の無菌性を維持するための追加の機器または機構が必要となる。例えば、顧客はボトルを、その頂部開口部に、管材接続ポートを有するかまたはボトルの頂部開口部を覆うポリマー製ストッパを有するキャップを装着して、使用する場合がある。キャップはボトルを無菌充填するために使用することができ、ポリマー製ストッパはボトルを閉じるために使用することができるが、いずれの場合も、顧客は、凍結、運送、および解凍の工程ステップのためにキャップを取り外してこれを丈夫なキャップに交換するか、または、ポリマー製ストッパを取り外して流体、例えば薬物製品を充填および/もしくは除去する必要がある。しかしながら、ボトルキャップおよび/またはポリマー製ストッパを交換するとシステムが開放され、ボトル内の流体が外部環境に曝露され、このことが起こり得る流体の汚染につながる可能性がある。ボトルキャップおよび/またはポリマー製ストッパの交換中にボトル内に入る可能性のある汚染物質の量を制限および/または減少させるために、フードを使用してシステムの無菌性の維持を試みることができる。ボトルに対する流体の充填および除去を、例えばシステムの無菌性を維持するためのフードまたは追加の機器の使用を必要とすることなく、簡略化するために、ならびに、ボトル内の流体を汚染する可能性を低減するために、ボトル、ペール缶、ドラム缶などの流体貯蔵容器から流体を無菌移送するためのシステムが必要とされている。
【0013】
本開示の実施形態は、キャップと、流体容器、例えば、剛性開口部を有するボトルまたは他の流体容器、例えば、キャップと嵌合可能な剛性開口部を有するペール缶、バケツ、またはより大型のバッグ組立体からの、流体の無菌移送を可能にする流体分注器と、を含む、無菌閉鎖組立体に向けられている。本明細書で使用される剛性開口部は少なくとも、流体容器に形成されている、比較的剛性の高い材料で、例えば1種または複数種のポリマーから製作された開口部に向けられていることが諒解される。例えば、流体容器は、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタル酸(PCTA)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートグリコール(PCTG)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポルタミド(poltamide)(PA)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、環状オレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマー、フルオロポリマーなど、およびこれらの材料を含むコポリマーから製作され得る。
【0014】
無菌キャップおよび流体分注器は、凍結/解凍の工程ステップの前後で、剛性開口部を有する体貯蔵容器、例えばボトル、または、バッグ組立体の剛性開口部に対して、使用者が無菌で接続および接続解除することを可能にする、多目的の無菌キャップを含み得る。無菌閉鎖組立体によって、使用者が、充填および排出の工程中にキャップおよび/またはポリマー製ストッパを交換する必要なく、凍結前にボトルを充填し解凍後にボトルから排出を行うことが可能にすることができ、流体分注器と流体貯蔵容器との間の無菌障壁および/または流体経路の破壊が回避される。無菌キャップおよび流体分注器によって、閉じたシステムとしてボトルを使用することが可能になり、例えば、外部環境に開かれることによる流体の汚染が防止され、流体処理システム、特にバイオプロセス流体処理用のものにおいて、流体の無菌性が維持される。無菌閉鎖組立体のこの設計および構造に少なくとも起因して、流体貯蔵容器および無菌閉鎖組立体は、最低-85℃の用途の凍結/解凍工程ステップで使用できることが諒解され、この用途では現在のところ、そのような条件下での使用に、および特にそのような頂部で供給および除去を行うデバイスへの使用に適していると評価される、既存の無菌キャップ設計は存在しない。流体貯蔵容器および無菌閉鎖組立体の説明は-85℃という低さの温度に関して検討されているが、流体貯蔵容器および無菌閉鎖組立体は、例えば-190℃よりも低い、より一層好ましくは-196℃よりも低い、極低温でも使用できることが諒解される。
【0015】
図1は、一実施形態に係る、流体容器1用の無菌閉鎖組立体10の概略図である。無菌閉鎖組立体10は、流体容器1の頂部開口部に接続可能なキャップ12と、流体分注器14と、を含むことができ、キャップ12および流体分注器14は、1つに結合されて封止された流体接続部を形成するように構成されている。流体分注器14は、開口部から流体分注器14を通って延びる流体通路を含む。キャップ12は、以下で更に検討するように、流体分注器14がキャップ12に接続されると、流体分注器14の流体通路を流体容器1に無菌接続して、無菌流体連通を実現するように構成されている。
【0016】
このように、無菌閉鎖組立体10は、-85℃という低さの温度で使用可能な流体容器との間の流体の無菌移送のための流体容器に対して、無菌で接続および接続解除するように構成される。無菌閉鎖組立体10は、本開示の利点を維持しながら、0℃、室温などの他の温度でも使用できることが諒解される。したがって、上で検討したような無菌閉鎖組立体10を有する流体容器1は、凍結温度(例えば、0℃未満の温度)で保管されるように構成されている。一実施形態では、無菌閉鎖組立体10を有する流体容器1はまた、実質的な変形を何ら伴わずに、加熱して周囲温度に戻すこともできる。実質的な変形には例えば、材料の目に見えるひび割れ、周囲温度でのその元の形状に対する収縮または膨張が含まれ、これらは接続部と緩衝する、または上記接続部の封止に悪影響を与える可能性がある。ASTM D1329、ISO 2921、または使用され得る温度での材料の適切な収縮特性を決定するための任意の他の適切な試験方法に従って、低温弾性回復試験を実施することができる。ASTM D2137、ISO 28702、または使用され得る温度での材料の耐割れ性を決定するための任意の他の適切な試験方法に従って、脆性試験を実施することができる。
【0017】
流体容器1は、一般に流体を、例えば、限定するものではないが半導体製造、医薬品製造、または生物学的処理などといった製造工程および/または生物学的工程での使用に適した液体を収容するために、使用され得る。その場合、流体容器1は、限定するものではないが、フォトレジスト、酸、溶媒、塩基、ドーパント、無機溶液、有機溶液、医薬品、生物学的流体などの液体化学物質を含む、液状化学物質を貯蔵できることが諒解される。
【0018】
一実施形態では、流体容器1はプラスチック製ボトルであり、かつ/または、バッグ-イン-ボトルを含むもしくはバッグ-イン-缶様式の容器であり得る。他の実施形態では、流体容器1は、例えば、ボート継手(boat fitment)、継手、プラスチック製ポート、および類似のもの、または上記の組合せといった剛性接続構造を有する、バッグ組立体とすることができる。容器は以下で検討するように、無菌閉鎖組立体10を取り付けるための剛性開口部2を有する、任意のタイプの容器であり得ることが諒解される。このような流体容器1(または剛性接続構造)は比較的剛性の高い材料で、例えば、1種または複数種のポリマーから、製作することができる。例えば、流体容器1は、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタル酸(PCTA)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートグリコール(PCTG)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポルタミド(poltamide)(PA)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、環状オレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマーなど、およびこれらの材料を含むコポリマーから製作され得る。
【0019】
キャップ12は、キャップ12を流体容器1に固定するために、流体容器1の剛性開口部2に接続可能である。キャップ12は、キャップ12を剛性開口部に圧入嵌合することによって流体容器1に接続することができる、または、キャップ12および剛性開口部2は、相互に係合するねじ切り部を含み得る。キャップ12を流体容器1に他の様式で、例えば、機械的締結具、例えばクランプ、対応する係合機構などを、または、溶接もしくは接合技術、例えば熱接合、インパルス溶接、レーザ溶接、超音波溶接、もしくは類似の融着/溶融溶接技術などを使用して、接続することもできることが諒解される。一実施形態では、キャップ12を、タンパーエビデントな接続システムを用いて流体容器に接続することができる。例えば、タンパーエビデントな接続システムを有するキャップ12は、内向きに付勢する保持アームを含むことができ、この保持アームは、剛性開口部2上の予め定められた位置まで一旦押されると、流体容器1の剛性開口部2の周囲にある対応する突出部に係合し、この結果、目に見えるキャップ12および/または流体容器1の損傷の表れを残さずにキャップ12を流体容器1から容易に取り外すことは不可能になる。別の実施形態では、タンパーエビデントな接続システムを有するキャップ12は、ねじ込み部の下部に突出部を含むことができ、キャップ12が予め定められた位置まで一旦ねじ込まれると、例えば剛性開口部2上のキャップ12の回転を逆転させることでは、キャップ12を流体容器12から取り外すことができないようになっている。更に別の実施形態では、タンパーエビデントな接続システムはキャップ512上に、キャップ512が流体容器から取り外された場合にキャップ512から分離するリングを含み得る。この場合、タンパーエビデントな接続システムは、流体容器1が開封されたまたは開封を試みられた、ならびに場合によっては汚染および/または棄損された場合に、キャップ12を有する流体容器1の顧客または使用者に警告することができる。
【0020】
図2A図2Bは、上記したような無菌閉鎖組立体10の実施形態を示す。図2Aに見られるように、無菌閉鎖組立体10はキャップ12と流体分注器14とを含む。流体分注器14は、第1の端部および第2の端部を有する本体205と、本体内で第1の端部と第2の端部との間に設けられた流体ライン210と、本体205の周囲に設けられたシェルハウジング215と、シールの組220と、本体205の第2の端部から接続可能かつ/または同端部から解放可能なインサート225と、を含む。インサート225は、本体の第2の端部、例えば本体205の第2の端部の周囲に設けられたシール220に圧入嵌合されることによって、本体205の第2の端部に接続可能かつ/またはそこから解放可能である。インサート225は、インサート225の接続および解放を可能にする様々な構造を用いて本体205に接続することもできることが諒解される。例えば、一実施形態では、本体205の第2の端部は、インサート225に設けられた対応する凹部に係合する、本体205の第2の端部から延びる係合部または突出部を含み得る。この場合、本体205の第2の端部の係合部または突出部は、本体205からのインサート225の接続および解放のために、インサート225の凹部内に挿入および回転させることができる。
【0021】
流体ライン210は、本体205の第1の端部寄りのところに、流体容器1に対する流体の移送、例えば充填または除去のために流体移送システムに接続するための、チューブコネクタを含み得る。チューブコネクタは、ホースバーブ、オーバーモールドされた接続部、ねじ接続部、圧入嵌合接続部、スナップ嵌合接続部、またはそれらの組合せから成る群から選択することができる。チューブコネクタはまた、例えば、流体分注器14を流体移送システムと一緒に成形またはオーバーモールドすることによって、流体移送システムと連続的に形成され得ることも諒解される。
【0022】
本体205は、第2の端部寄りのところに、流体ライン210と流体接続されておりかつ流体分注器14がキャップ12に接続されると流体容器1と流体連通するように構成されている、開口206も含み得る。流体分注器14はまた、本体205を通して設けられた開口206と流体連通し得る拡大部分230も含むことができ、流体分注器14の流体ライン210を通して流体が供給または除去されるとき、流体が、開口206から拡大部分230を通りインサート225の周囲を経て流体容器1内へと、または、流体容器1からインサート225の周囲を経て拡大部分230を通りその後開口206を通って流れるようになっている。一実施形態では、流体分注器14は、以下で検討するように、キャップ12のハウジング240の外側表面に係合するための、第1の保持機構235を含む。
【0023】
図2Bに見られるように、キャップ12は、ハウジング240と、ハウジング240内のキャビティ245と、キャビティ245に設けられた支持部250と、シールの組255と、を含む。キャップ12のハウジング240は、流体分注器14がキャップ12に確実に取り付けられるように第1の保持機構235を第2の保持機構260と係合させること、および、キャップ12から流体分注器14が解放されるように第2の保持機構260を係脱することが可能になるような、第1の保持機構235と相補的な形状を有する第2の保持機構260を含む。第1の保持機構235は、対応する第2の保持機構260と接続する、例えば、第2の保持機構260の内部にまたは外面上にスナップ、スライド、または嵌合されるフックを有する、複数のアームを含み得ることが諒解される。また、第1の保持機構235および第2の保持機構260は、流体分注器の係合および係脱のための他の構造を含むことができ、例えば、第2の保持機構260は、キャップ12への流体分注器14の取り付けを確実にするための、第1の保持機構235の係合および回転を可能にする、複数のスロットもしくはねじ山を含み得る、または、第1の保持機構235を保持するための、スロット、タブ、フランジ、戻り止め、フック、もしくは任意の他の適切な構造を含み得ることも、諒解される。シールの組255は、シェルハウジング215の内側表面と封止を行うように構成されている、キャップ12のハウジング240の外側表面の周囲にある第1のシール255と、インサート255がキャビティ245および支持部250に挿入されたときにインサート255を封止するための、キャビティ245の周囲に設けられた第2のシール255と、を含み得る。
【0024】
キャビティ245および支持部250は、流体容器1との間で流体を無菌移送するための、インサート225を受けるように設けられている。例えば、一実施形態では、流体分注器14は、キャップ12が流体容器1に接続され流体が流体容器1内に移送された後で、少なくとも流体容器1に向かう下向きの力によって、インサート225をキャビティ245の支持部250に挿入し、流体分注器14の本体205からインサート225を接続解除して流体容器を封止することが可能になるように構成され、例えば、インサート225は、追加の機器またはキャップ12の交換を必要とすることなく、キャップ12内に圧入嵌合される。インサート225は、インサート225に係合/係脱するための他の構造を使用して、例えば、ねじ接続システム、係合部および凹部、隆起部または突出部などを使用して、キャップ12を封止することもできることが諒解される。
【0025】
流体分注器14とキャップ12とを含む無菌閉鎖組立体10は、流体容器1および/もしくは互いの材料と同じ材料もしくは類似の材料で、またはそれらの組合せで、製作され得る。一実施形態では、本体205とシェルハウジング215とインサート225とを含む流体分注器14、ならびにキャップ12は、例えば、限定するものではないがポリプロピレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどの、ポリオレフィンで製作され得る。キャップ12と流体分注器14とを含む無菌閉鎖組立体10の様々な実施形態を製作するのに適したポリマーの他の非限定的な例としては、フルオロポリマー、ポリエステル、ポリカーボネート、およびポリアミドが挙げられる。これらの材料は例であること、ならびに、キャップ12および流体分注器14の実際の材料は、記載したリストに留まらず本開示の原則の範囲内で様々であり得るか、または上記のうちのいずれかの混合物であり得ることが諒解されよう。一実施形態では、キャップ12の材料は流体分注器14の材料と同じである。別の実施形態では、キャップ12の材料は、流体分注器14の材料とは異なり得る。別の実施形態では、流体分注器14の様々な構成要素、例えば、本体205、シェルハウジング215、およびインサート225の材料は、同じ材料で、もしくは異なる材料で、またはそれらの組合せで製作することができる。
【0026】
シール220、255は、限定するものではないが、シリコーン、フルオロポリマー、エチレンビニルアセテート(EVA)、熱可塑性材料、または、比較的不活性であり、例えば医薬流体、化学的流体、もしくは生物学的流体を濾すもしくは顕著に吸収することがなく、かつ、非反応性である、他の封止用の可撓性のおよび/もしくは圧縮可能な生体適合性材料のうちの、少なくとも1つ、あるいはそれらの組合せから形成される、Oリングまたはガスケットとすることができる。シールとしてはまた、クワッドリング、あるいは、対応する部材の溝を熱可塑性もしくは可撓性材料で埋めるように溶融加工、例えばオーバーモールドもしくはインサート成形される、ならびに/または、上記の材料のうちの任意のものから形成される、封止用の熱可塑性材料または他の可撓性および/または圧縮可能材料も挙げることができる。
【0027】
流体分注器14を有する無菌閉鎖組立体10の動作、およびキャップ12に対する接続/接続解除について、以下で図3A図3Eを参照しながら検討する。無菌閉鎖組立体10は、流体の充填または除去のいずれかであり得る、流体容器との間の流体の移送に使用できることが理解される。例えば、無菌閉鎖組立体10が流体容器を充填するために使用される場合、流体ラインの一方は流体容器内の何らかの気体を排気するために使用され、気体は流体が流体容器を充填するにつれて置換される。あるいは、流体容器から流体を除去するために無菌閉鎖組立体10が使用される場合、流体ラインの一方を使用して不活性ガス、例えば窒素または空気を供給して、他方の流体ライン210を通る流体の流れを誘起するか、または、真空などの負圧系を使用して、流体容器から流体を除去することができる。非限定的な例として、流体容器を充填するための流体の移送を以下で検討する。
【0028】
図3A図3Cは、流体容器1内に流体、例えば充填物を移送するためにキャップ12に接続された流体分注器14を示しており、ここではキャップ12は、流体容器1の剛性開口部2に接続および固定されている。流体分注器14は、流体分注器14およびキャップ12の保持機構(図示せず)を介してキャップ12に固定される。上で検討したように、最初は、本体205の開口部206は、流体分注器14から流体を分注できないように、シール220同士の、例えば第1のシールと第2のシールとの間で、シェルハウジング215に対して封止されている。流体分注器14がキャップ12に接続され流体を移送できる状態になると、本体205は、本体205の開口206がシェルハウジング215の拡大部分230と流体連通するように、流体容器1に向けて下向きの方向に押しやられる。このようにすると、図3Bおよび図3Cに見られるように、第2のシール220が拡大部分内に置かれ、その結果矢印Fに示すように、流体が、流体分注器14の流体ライン210を通り、開口206を通り、拡大部分230を通り、本体205の第2の端部およびインサート225の周囲を経て、キャビティ245および支持部250に入り、流体容器1内へと移送されることが可能になる。流体分注器14は第2の流体ライン210を含むことができ、この第2の流体ライン210は、流体の移送に使用できる、かつ/または、流体が流体容器1内の気体を置換するときに流体容器1を排気することを可能にするための、流体の充填とは反対の経路をとる排気口として使用できることが諒解される。
【0029】
図3D図3Eに見られるように、流体容器1内への流体の移送の完了後、流体分注器14を、インサート225がキャビティ245の支持部250に嵌合するように、流体容器1に向けて更に下方へと導くことができる。インサート225をキャビティ245に挿入すると、キャビティ245の開口部においてインサート225に係合するシール255によって封止されることによって、流体容器1が封止される。図3Eに示すように、キャビティ245内へのインサート225の係合力は、例えばシールの圧縮性および/または弾性係数によって、本体205の第2の端部へのインサート225の係合力よりも大きく、そのため、流体分注器14がキャップ12から係脱されるとインサート225は本体205の第2の端部から接続解除され、キャビティ245内に挿入されたまま残り、流体分注器14がキャップ12から接続解除されると、流体容器1を封止する。流体分注器14は、シール220が下向きの方向に押されたときに、本体の第2の端部をシェルハウジング215で封止することによって開口206を封止できるように、または、本体205の上向きの方向への移動が可能になり、その結果開口206が拡大部分230から外れ、第1および第2のシール220とシェルハウジング215との間で封止されるように、構成され得ることが諒解される。また、インサート225をキャビティ245および/または支持部250と係合させて、他の取り外し可能または取り外し不可能な構造を用いて流体容器1を封止することができることも諒解される。例えば、一実施形態では、インサート225は、キャビティ245および/または支持部250の相補的な保持機構に係合してインサート225に係合し、インサート225を本体205から離脱させる、フックまたは突出部またはねじ接続部などの保持機構を含み得る。別の実施形態では、インサート225は永続的な保持機構を、例えば、キャビティに挿入されるとキャビティ240および/または支持部250の相補的な構造に係合するように外向きに付勢される、フック構造を含み得る。このような場合、インサートがキャップ12に永続的に固定されているので、無菌閉鎖組立体を多目的の用途に使用することはできない。
【0030】
別の実施形態では、図4Aおよび図4Bに見られるように、無菌閉鎖組立体10は、キャップ12のキャビティ240および/または支持部250から取り外し可能な、インサート425を含む。図4Aおよび図4Bの無菌閉鎖組立体10は、図2Aおよび図2Bに関して上で検討した無菌閉鎖組立体10と同じまたは類似の特徴を有しており、同じまたは類似の特徴を有する構成要素は、以下では詳細には検討しない。例えば、図4Aに見られるように、本体205の第2の端部は、インサート425の相補的な係合部片または係合部材426と係合するための係合部片407、例えばフック部片を含む。一実施形態では、インサート425の相補的な係合部片または部材426は、流体分注器14の本体205の回転によって本体205の係合部片407がインサート425の相補的な係合部片または部材426と係合するように、本体205の係合部片407を係合部片または部材426の下方に挿入することを可能にする、開口部を含み得る。この場合、図4Bに示すように、インサート425が流体容器1のキャップ12に挿入されこれを封止しているとき、流体分注器14の本体205に上向きの力が加えられると、本体205の係合部片407がインサート425の相補的な係合部片または部材426と係合し、その結果、インサート425がキャビティ245および/または支持部250から取り外し可能になり、その結果、流体容器1に対して流体を移送、例えば充填または除去できるようになる。流体容器1による流体の移送の完了後、インサート425を取り外すことができる、または、図4Aに示すように、流体分注器14の本体205を(図2A図2Bに関して上で検討したように)流体容器1に向けて下方へと導き、本体205の係合部片407をインサート425の開口部を通して取り外すことでインサート425が本体205から係脱されるように本体205を回転させることによって、インサート425をキャビティ245の支持部250に嵌合させることができる。インサート425をキャビティ245に挿入すると、インサート425およびシール255がキャビティ245の開口部を封止することによって、流体容器1が封止される。一実施形態では、本体205の第2の端部上のシール220は、流体移送中に本体205をインサート425に対して封止することによって、インサート425の頂部表面上にある何らかの収容物の汚染を防止することが諒解される。また一実施形態では、密閉シールを維持するフィルム、キャップ、弁、または類似の封止デバイスを、流体容器の無菌の接続/接続解除のために、流体容器のキャップ12および/または流体分注器14に取り付けおよび/または結合可能であることも諒解される。フィルム、キャップ、弁、または類似の封止デバイスをその後、流体容器が流体分注器14に結合されたときに、無菌流体の移送が可能になるように、穿刺する、取り外す、および/または回転させることができる。
【0031】
図5Aおよび図5Bは、別の実施形態に係る、流体容器(例えば、上で検討したような流体容器1)用の、無菌閉鎖組立体502の概略図および断面図である。無菌閉鎖組立体502は、流体容器に接続可能なキャップ512と、流体分注器514と、を含み、キャップ512および流体分注器514は、1つに結合されて封止された無菌流体接続部を形成するように構成されている。流体分注器514は、開口部から延びる、本体505を通る流体通路と、副本体508を通る流体通路と、を含む。キャップ512は、以下で更に検討するように、流体分注器514がキャップ512に接続されると、流体分注器514の流体通路を流体容器に無菌接続して、流体連通を実現するように構成されている。
【0032】
このように、無菌閉鎖組立体502は、-85℃という低さの温度で使用可能な流体容器内での流体の無菌移送のための流体容器に対して、接続および接続解除するように構成される。無菌閉鎖組立体502は、本開示の利点を維持しながら、0℃、室温などの他の温度でも使用できることが諒解される。したがって、上で検討したような無菌閉鎖組立体502を有する流体容器は、凍結温度(例えば、0℃未満の温度)で保管されるように構成されている。一実施形態では、無菌閉鎖組立体502を有する流体容器はまた、実質的な変形を何ら伴わずに、加熱して周囲温度に戻すこともできる。実質的な変形には例えば、材料の目に見える割れ、周囲温度でのその元の形状に対する収縮または膨張が含まれ、これらは接続部と緩衝する、または上記接続部の封止に悪影響を与える可能性がある。ASTM D1329、ISO 2921、または使用され得る温度での材料の適切な収縮特性を特定するための任意の他の適切な試験方法に従って、低温弾性回復試験を実施することができる。ASTM D2137、ISO 28702、または使用され得る温度での材料の耐割れ性を決定するための任意の他の適切な試験方法に従って、脆性試験を実施することができる。
【0033】
キャップ512は、キャップ512を流体容器に固定するために、流体容器の剛性開口部に接続可能である。キャップ512は、キャップ512を剛性開口部に圧入嵌合することによって流体容器に接続することができる、または、キャップ512および剛性開口部は、相互に係合するねじ切り部を含み得る。キャップ512を流体容器1に他の様式で、例えば、機械的締結具、例えばクランプ、対応する係合機構などを、または、溶接もしくは接合技術、例えば熱接合、インパルス溶接、レーザ溶接、超音波溶接、もしくは類似の融着/溶融溶接技術などを使用して、接続することもできることが諒解される。一実施形態では、キャップ512を、タンパーエビデントな接続システムを用いて流体容器に接続することができる。例えば、タンパーエビデントな接続システムを有するキャップ512は、内向きに付勢する保持アームを含むことができ、この保持アームは、流体容器の剛性開口部の周囲にある対応する突出部に係合し、この保持アームが剛性開口部上の予め定められた位置まで一旦押されると、目に見えるキャップ512および/または流体容器の損傷の表れを残さずにキャップ512を流体容器から容易に取り外すことは不可能になる。別の実施形態では、タンパーエビデントな接続システムを有するキャップ512は、ねじ込み部の下部に突出部を含むことができ、キャップ512が予め定められた位置まで一旦ねじ込まれると、例えば剛性開口部上のキャップ512の回転を逆転させることでは、キャップ512を流体容器512から取り外すことができないようになっている。更に別の実施形態では、タンパーエビデントな接続システムはキャップ512上に、キャップ512が流体容器から取り外された場合にキャップ512から分離するリングを含み得る。この場合、タンパーエビデントな接続システムは、流体容器が開封されたまたは開封を試みられた、ならびに場合によっては汚染および/または棄損された場合に、キャップ512を有する流体容器の顧客または使用者に警告することができる。
【0034】
キャップ512は、ハウジング540と、ハウジング540内のキャビティ545と、ポート570と、シールの組255と、を含む。キャップ512のハウジング540は、キャップ512のハウジング540の外側表面に係合するための、流体分注器514の本体505および副本体508上の第1の保持機構535と相補的な形状を有する、第2の保持機構560を含む。第1の保持機構535は、液体分注器514をキャップ512に確実に取り付けるために第2の保持機構560と係合すること、および、キャップ512から液体分注器514を取り外すために係脱することができる。例えば、一実施形態では、第2の保持機構560は、流体分注器514の本体505および副本体508上の第1の保持機構535によって形成された対応するスロットに係合する、ピンまたは突出部を含み得る。インサート525は、以下で更に検討するように、流体容器とポート570との間で流体連通チャネルを開閉できるように、ポート570と係合可能および係脱可能となるように構成されている。例えば、一実施形態では、流体分注器514は、キャップ512が流体容器に接続された後でインサート525に係合し、その結果、流体容器に向かう下向きの力およびその回転によって、インサート525を流体分注器514上に接続し、流体容器へと/から流体を無菌移送するために、流体分注器514の本体505(および/または副本体508)を流体容器に挿入できるようにするべくポート570からインサート525を接続解除することが可能になるように、構成される。流体が流体容器に対して移送された後で、インサート525およびシール555がポート570を流体容器と流体連通しないように封止するよう、インサート525をポート570と再び係合させることができることが諒解される。
【0035】
例えば、一実施形態では、図6A図6B図6Cに見られるように、キャップ512は、ハウジング540と、ハウジング540内のキャビティ545と、キャビティに接続されているポート570と、およびシールの組555と、を含む。ポート570は各々が、ポートシェル571と、ポートシェル571の一端に接続されているインサート525と、を含む。インサート525は、以下で更に検討するように、流体容器とポート570との間で流体連通チャネルを開閉できるように、ポートシェル571と係合可能および係脱可能となるように構成されている。例えば、一実施形態では、インサート525は、ポートシェル571の外側表面上に設けられた相補的な外側係合部片または部材572と係合可能な、インサート525の周囲または外周に沿って間隔を置いて配置された、外側係合部片または部材527を含む。一実施形態では、外側係合部片または部材527と相補的な係合部片または部材572との間に空間が設けられており、インサート525を対応する空間内に配置されるように回転させることによって、インサート525をポートシェル571と係合および係脱させることができるようになっている。インサート525がポートシェル571と係合されると、外側係合部片または部材527の内周に沿って設けられているシール555が、ポート570を、流体容器と流体連通しないように封止することが諒解される。ポート570は、以下で検討するように、同じもしくは類似の構造のものであり得る、または、異なる構造を有し得ることが諒解される。
【0036】
キャップ512の別の実施形態では、図7A図7B図7Cに見られるように、キャップ512は、ハウジング740と、ハウジング740内のキャビティ745と、キャビティに接続されているポート770と、およびシールの組720と、を含む。ポート770は各々が、ポートシェル771と、ポートシェル771の一端に接続されているインサート725と、を含む。インサート725は、以下で更に検討するように、流体容器とポート770との間で流体連通チャネルを開閉できるように、ポートシェル771と係合可能および係脱可能となるように構成されている。例えば、一実施形態では、インサート725は、ポートシェル771の内周に沿って設けられている相補的な外側係合部片または部材772と係合可能な、インサート725の周囲または外周に沿って間隔を置いて配置された、外側係合部片または部材727を含む。一実施形態では、外側係合部片または部材727と相補的な係合部片または部材772との間に空間が設けられており、インサート725を対応する空間内に配置されるように回転させることによって、インサート725をポートシェル771と係合および係脱させることができるようになっている。インサート725がポートシェル771と係合されると、インサート725の外周に沿って設けられているシール720が、ポート770を、流体容器と流体連通しないように封止することが諒解される。インサート525、725、およびポートシェル571、771は、上では外側係合部片および相補的な係合部片または部材を有するものとして検討してきたが、このような開示は本明細書では、インサートがポートと係合可能および係脱可能となることを可能にする他の機械的構造が含まれている、非限定的な開示となるよう意図されていることが諒解される。例えば、ポートに対してインサートを係合および係脱するために、ねじ接続またはスナップ嵌合を使用することもできる。
【0037】
キャップ512は別個の部品であるものとして図示され示されているが、このような開示は限定を意図するものではないことが諒解される。例えば、キャップ512をハウジングに接続されているポートから構築することができ、またはキャップ512を、単一の成形された部品もしくは構成要素として構築することもできる。その場合、流体分注器の係合部片を補完するために、様々なインサートを使用することができる。ポート570はキャップ512に設けられた単一のポートであり得るが、この場合ポート570は、これに接続されている流体分注器の2つの別個の流体ラインへの接続を可能にするように構成されることが諒解される。
【0038】
図5Aおよび図5Bを再び参照すると、流体分注器514は、第1の端部および第2の端部を有する本体505と、第1の端部および第2の端部を有する副本体508と、本体505および副本体508に接続されている流体ライン510と、本体505の周囲に設けられたシェルハウジング515と、副本体508の周囲に設けられた副ハウジング509と、シールの組520と、を含む。本体505および副本体508は、各々が、第2の端部寄りのところに、流体ライン510と流体接続されておりかつ流体分注器514がキャップ512に接続されると流体容器と流体連通するように構成されている、開口506を含む。一実施形態では、流体分注器514のシェルハウジング515および副ハウジング509は、上で検討したように、キャップ512のハウジング540の外側表面に係合するための第1の保持機構535を各々含む。シェルハウジング515は、流体ライン510の無菌性を維持しながら流体ライン510を流体容器に挿入できるように、折り畳み可能な構造を含む。例例えば、一実施形態では、シェルハウジング515は、流体ライン510が流体容器に挿入される浸漬管として使用される場合など、流体ライン510がシェルハウジング515に出入りするときに、シェルハウジング515の圧縮および拡張が可能になるように折り畳まれるおよび拡張する蛇腹部を有する、アコーディオン状の構造を含む。他の折り畳み可能な構造、例えば、シェルハウジング内のシール付きスライドシェル、または、流体容器との無菌流体連通を可能にする類似の構造を使用できることが諒解される。副本体508は本体505と同じまたは類似の構造を有することができ、一実施形態では、副本体508は、副本体508の周囲に、副本体508の回転による流体容器内への流体ライン510の移動を部分的にしか許容しない、例えば、浸漬管としての構造を有さず流体容器内への部分的な挿入しか許容しない、副シェルハウジング509を含む。
【0039】
流体ライン510は、本体505および副本体508の第1の端部寄りのところに、流体容器に対する流体の移送、例えば充填または除去のために流体移送システムに接続するための、チューブコネクタを含み得る。チューブコネクタは、ホースバーブ、オーバーモールドされた接続部、ねじ接続部、圧入嵌合接続部、スナップ嵌合接続部、またはそれらの組合せから成る群から選択することができる。チューブコネクタはまた、例えば、流体分注器を流体移送システムと一緒に成形またはオーバーモールドすることによって、流体移送システムと連続的に形成され得ることも諒解される。
【0040】
一実施形態では、本体505と副本体508とを含む流体分注器514は、係合部片507を、例えば、本体505および副本体508の第2の端部上にあるインサート525、725の(図6B図7Bに図示するような)相補的な係合部材526、726と整合する形状を有する、突出部を含む。例えば、係合部材526、726は、流体分注器514の本体505および/または副本体508の回転によって、本体505および/または副本体508の係合部片507が、インサート525、725の相補的な係合部片または部材526、726と係合するように、本体505および/または副本体508の係合部片507を受けることのできる、開口部を含む。これを受けて、流体分注器514の本体505および/または副本体508に下向きの回転力が加えられると、本体505および/または副本体508の係合部片507がインサート525、725の相補的な係合部材526、726に係合し、その結果、本体505および/または副本体508の更なる回転によってインサート525、725が回転して、インサート525、725をポート570から係脱する。インサート525、725はその後流体容器に挿入され、その結果、流体容器から流体を移送、例えば充填または除去できるようになる。流体容器による流体の移送の完了後、インサート525、725を回転させてポート570に係合させこれを封止することができるように、インサート525、725をポート570に向けて上方へと導くことができる。インサート525、725をキャビティ545およびポート570に挿入すると、インサート525、725およびシール555がポート570を封止することによって、流体容器が封止される。一実施形態では、密閉シールを維持するフィルム、キャップ、弁、または類似の封止デバイスを、流体容器の無菌の接続/接続解除のために、流体容器のキャップ512および/もしくはポート570ならびに/または流体分注器514に取り付けおよび/または結合可能であることも諒解される。フィルム、キャップ、弁、または類似の封止デバイスをその後、流体分注器514が流体容器に結合されたときに、無菌流体の移送が更に可能になるように、穿刺する、取り外す、および/または回転させることができる。
【0041】
流体分注器514とキャップ512とを含む無菌閉鎖組立体502は、容器および/もしくは互いの材料と同じ材料もしくは類似の材料で、またはそれらの組合せで、製作され得る。一実施形態では、本体505と、副本体508と、シェルハウジング515と、副シェルハウジング509と、インサート525と、を含む流体分注器514、ならびにキャップ512は、例えば、限定するものではないがポリプロピレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどの、ポリオレフィンで製作され得る。キャップ512と流体分注器514とを含む無菌閉鎖組立体502の様々な実施形態を製作するのに適したポリマーの他の非限定的な例としては、フルオロポリマー、ポリエステル、ポリカーボネート、およびポリアミドが挙げられる。これらの材料は例であること、ならびに、キャップ512および流体分注器514の実際の材料は、記載したリストに留まらず本開示の原則の範囲内で様々であり得るか、または上記のうちのいずれかの混合物であり得ることが諒解されよう。一実施形態では、キャップ512の材料は流体分注器514の材料と同じである。別の実施形態では、キャップ512の材料は、流体分注器514の材料とは異なり得る。別の実施形態では、流体分注器514の様々な構成要素、例えば、本体505、副本体508、シェルハウジング515、副シェルハウジング509、およびインサート525の材料は、同じ材料で、もしくは異なる材料で、またはそれらの組合せで製作することができる。一実施形態では、シェルハウジング515は、シェルハウジングの圧縮および拡張が可能になるように、シリコンまたは可撓性ポリマーから製作され得る。
【0042】
シール520、555は、限定するものではないが、シリコーン、フルオロポリマー、エチレンビニルアセテート(EVA)、熱可塑性材料、または、比較的不活性であり、例えば医薬流体もしくは生物学的流体を濾すもしくは顕著に吸収することがなく、かつ、非反応性である、他の封止用の可撓性のおよび/もしくは圧縮可能な生体適合性材料のうちの、少なくとも1つ、あるいはそれらの組合せから形成される、Oリングまたはガスケットとすることができる。シールとしてはまた、クワッドリング、あるいは、対応する部材の溝を熱可塑性もしくは可撓性材料で埋めるように溶融加工、例えばオーバーモールドもしくはインサート成形される、ならびに/または、上記の材料のうちの任意のものから形成される、封止用の熱可塑性材料または他の可撓性および/または圧縮可能材料も挙げることができる。
【0043】
流体分注器514の動作およびキャップ512に対する接続/接続解除について、以下で図8A図9Cを参照しながら検討する。上で検討したインサートまたはポートおよび関連構造のうちの任意のものを使用できるが、以下では非限定的な例としてインサート525に関して検討することが諒解される。
【0044】
図8Aおよび図8Bは、流体容器内に流体、例えば充填物を移送するためにキャップ512に接続している流体分注器514の本体505を示しており、ここではキャップ512は、流体容器の剛性開口部に接続および固定されている。流体分注器514の本体505は、流体分注器514の第1の保持機構535をキャップ512のポート570上の第2の保持機構560上へと回転させることで、キャップ512に固定される。最初は、本体505の開口部506は、流体分注器514の本体505から流体を分注できないように、シール520同士の、例えば第1のシールと第2のシールとの間で、シェルハウジング515に対して封止されている。流体分注器514の本体505がキャップ512に接続され流体を移送できる状態になると、本体505は流体容器に向けて下向きの方向に押しやられ、本体505上の係合部片507がインサート525の相補的な係合部材526に係合するように回転される。本体505とインサート525が係合した後で、本体505は、外側係合部片527がポート570の相補的な係合部片または部材572から係脱され、その結果、流体分注器514と流体容器との間に無菌流体連通チャネルが形成されるように流体ライン510およびインサート525が流体容器に挿入可能となるよう、更に回転される。
【0045】
例えば、図8Cおよび図8Dに見られるように、流体ライン510およびインサート525を、開口506がシール520とシェルハウジング(図示せず)との間に位置しなくなるように、流体容器501に向けて下方へと導くことができる。次いで開口506およびインサート525を、流体容器501への/からの流体の移送のために、例えば、泡立ちを防止するまたは流体の排出を可能にするために流体レベルの近くで下降(または上昇)させることのできる浸漬管として、流体容器501内で異なる高さに変位させることができる。一実施形態では、開口506およびインサート525を流体容器501内へと変位させるとき、シェルハウジング(例えば、蛇腹部を有するアコーディオン状の構造を有するシェルハウジング515)を、シェルハウジングの圧縮および拡張ならびに流体容器への流体ライン510の挿入が可能になるように、折り畳むことおよび拡張することができる。このようにすると、流体ライン510の外側表面はシェルハウジングの内側表面および流体容器501内の流体にしか接触しないので、流体ライン510の外側表面を無菌状態に維持することができる。また、流体ライン510を異なる高さで下降(または上昇)させることができるため、このような構造によって、流体容器501からの流体の自動的な充填または除去が可能になることも諒解される。例えば、シェルハウジングおよび/または流体ライン(シェルハウジングが透明である場合)は、流体容器501に入った流体ラインの深さを示すための、指標マークまたは測定値を含み得る。この場合、流体容器501に対する流体の充填および/または除去のために、流体ライン510の挿入深さを制御することができる。
【0046】
流体移送工程の完了後、開口506およびインサート525を、開口506がシール520とシェルハウジング515との間に位置し、インサート525を回転させることによってインサート525がポート570と係合するように、上向きの方向に上昇させることができる。インサート525がポートシェル570と係合されると、外側係合部片または部材527の内周に沿って設けられているシール555が、ポート570を、流体容器501と流体連通しないように封止することが諒解される。本体505を更に回転させると、本体505上にある係合部片507は、インサート525の相補的な係合部材526と係脱する。したがって、流体分注器の本体505の第1の保持機構535がキャップ512のポート570上の第2の保持機構560と係脱するように流体分注器514を回転させると、流体分注器514をキャップ512および流体容器501から取り外すことができる。インサート525は流体容器501との流体の移送のためには流体分注器514としか接触していないため、流体容器501を封止するための二次的ステップ、例えば、流体処理システムが汚染を受け易くなる無菌閉鎖組立体とストッパなどとの交換の必要がないので、流体処理システムが閉じたままとなることが諒解される。
【0047】
同様に、図8Dに見られるように、流体分注器514の副本体508を、第1の保持機構535をキャップ512のポート570上の第2の保持機構560上へと回転させることで、キャップ512に接続することができる。例えば、図9A図9Bに見られるように、最初は、副本体508の開口506は、副シェルハウジング509に対して、シール520同士の、例えば第1のシールと第2のシールとの間で封止されており、このため、流体分注器514の副本体508を介して流体を移送することはできない。流体分注器514がキャップ512に接続され流体を移送できる状態になると、副本体508を流体容器501に向けて下向きの方向に押しやり、副本体508上の係合部片507がインサート525の相補的な係合部材526に係合するように回転させることができる。副本体508とインサート525が係合した後で、副本体508は、外側係合部片527がポート570の相補的な係合部片または部材572から係脱され、その結果、流体分注器514の副本体508と流体容器との間に流体連通チャネルが形成されるように流体ライン510およびインサート525が流体容器に挿入可能となるよう、更に回転される。
【0048】
例えば、図9Bに見られるように、流体ライン510およびインサート525を、開口506がシール520と副ハウジング509との間に位置しなくなるように、流体容器501に向けて下方へと導くことができる。その後、開口506およびインサート525を、流体容器501への/からの流体の移送のために、キャップ512の下方の流体容器501内で変位させることができる。一実施形態では、開口506およびインサート525を流体容器501内へと変位させるとき、副シェルハウジング509は、流体ライン510の外側表面の一部が環境に曝露されることなく流体の無菌性が維持されるように、流体ライン510を流体容器510内へと、少なくとも部分的に移動させることを可能にする。
【0049】
流体移送工程の完了後、開口506およびインサート525を、開口506がシール520と副シェルハウジング509との間に位置し、インサート525を回転させることによってインサート525がポート570と係合するように、上向きの方向に上昇させることができる。インサート525がポートシェル570と係合されると、外側係合部片または部材527の内周に沿って設けられているシール555が、ポート570を、流体容器501と流体連通しないように封止することが諒解される。副本体508を更に回転させると、副本体508上の係合部片507は、インサート525の相補的な係合部材526と係脱する。したがって、流体分注器514の副本体508を回転させると、副ハウジングシェル509の第1の保持機構535は、キャップ512上の第2の保持機構560と係脱し、流体分注器514をキャップ512および流体容器501から取り外すことができる。インサート525は流体容器501との流体の移送のためには流体分注器514としか接触していないため、流体容器501を閉じるための二次的ステップ、例えば、流体処理システムが汚染を受け易くなる無菌閉鎖組立体とストッパなどとの交換の必要がないので、流体処理システムが閉じたままとなることが諒解される。
【0050】
副本体および第2のポートの別の実施形態が図10A図10Bに示されている。この実施形態では、第2のポート1070は第1のポート(例えば、上で検討したようなポート570)とは異なる構造を有し、副本体1008は副本体508とは異なる構造を有する。例えば、一実施形態では、キャップ1012は、第1のキャビティおよび第1のポート(例えば、図5A図9Bに示すようなキャビティ545およびポート570)と、第2のキャビティ1045および第2のキャビティ1045に接続されている第2のポート1070と、を含む。第2のポート1070は、第2のシェル1071と、第2のポート1070の一端を封止するように設けられた第2のインサート1025と、第2のインサート1025を閉位置、例えば流体容器から離れた上方位置に付勢する第1のばね1080と、を含む。流体分注器は、第2のシェルハウジング1009を有する副本体1008と、第2のシェルハウジング1009内に設けられた封止端部1013と、第2のシェルハウジング1009内で封止端部1013を副本体1008の開口1006に向けて付勢する第2のばね1011と、シールの第3の組1020と、を含む。第2のシェルハウジング1009は第2のポート1070の外側表面に係合するように構成されており、第2のポート1070への第2のシェルハウジング1009の接続によって、副本体1008がインサート1025を流体容器に向けて付勢して、副本体1008と流体容器との間に第2の流体連通チャネルが提供されるようになっている。
【0051】
図10Aに見られるように、最初は、副本体1008の開口1006は、副シェルハウジング1009に対して、シール1020、例えば第1のシールと封止端部1013との間で封止されており、このため、流体分注器の副本体1008を介して流体を移送することはできない。流体分注器の副本体1008がキャップ1012に接続され流体を移送できる状態になると、封止端部1013が副本体1008の第2の端部から離れるように付勢されて、開口1006の流体連通チャネルが開かれる。また副本体1008を、流体容器に向かって下向きの方向に押しやり、流体分注器の副本体1008の開口1006と流体容器との間に流体連通チャネルが形成されるようにインサート1025を流体容器に向けて付勢できるよう、回転させることもできる。例えば、一実施形態では、流体容器に向かう下向きの力は、開口1006がポート1070と流体連通することができるように、第2のシェルハウジング1009に対して封止端部1013を付勢する。副本体1008の第2の端部はインサート1025と係合し、このことにより、その後下向きの力によって、流体がインサート1025の周囲を経て流体容器内へと流れることができるように、インサート1025がポート1070に対して変位するようになる。
【0052】
流体移送工程の完了後、開口1006およびインサート1025を、ばね1080がインサート1025を閉位置へと付勢するように回転させることができる。インサート1025は、流体容器と流体連通しないようにシール1055およびインサート1025がポート1070を封止するように、第2のポート1070と係合される。副本体1008を更に回転させると、第2のシェルハウジング1009は第2のポート1070から係脱され、ばね1011は、開口1006が副本体1008のシール1020と封止端部1013との間に位置するように、封止端部1013を副本体1008の第2の端部に向けて付勢する。インサート1025は流体容器との流体の移送のためには流体分注器の副本体1008としか接触していないため、流体容器を閉じるための二次的ステップ、例えば、流体処理システムが汚染を受け易くなる無菌閉鎖組立体とストッパなどとの交換の必要がないので、流体処理システムが閉じたままとなることが諒解される。
【0053】
一実施形態では、第2のポート1070は、インサートが下向きの方向に押しやられると、流体容器との流体連通チャネルが直接形成されるように、流体容器との流体接続部を形成することが諒解される。別の実施形態では、図11A図11Bに見られるように、第2のポート1070は、流体が流体容器の側部に向けられるように、角度付けした設計、例えばJ管設計を有するパイプを含む。J管をポートに圧入嵌合させること、または、例えばねじ、ボルトなどで機械的に取り付けることができる。角度付けしたパイプ設計により、流体が流体容器の側面を流れ落ちるように流体を流体容器の側部に導くことによって、充填時の流体の泡立ちが回避される。図11A図11Bは、ポート570、1070が、流体分注器514の本体505が第1のポート570に接続するバッフル設計を含むことができ、流体分注器514の副本体1008が流体容器501内への流体の移送のために第2のポート1070に接続するような、異なる設計を有し得ることを更に示す。キャップのポートは、用途に応じて設計が同じであっても異なっていてもよく、上で検討した設計に限定されないことが諒解される。
【0054】
別の実施形態では、凍結/解凍用途で、流体容器内へとまたは流体容器から流体を無菌移送するための方法が提供される。図5Aおよび図5Bを参照すると、方法は、キャップ512を流体容器の開口部に接続するステップを含む。キャップ512は、ハウジング540と、ハウジング540内のキャビティ545と、キャビティ545に接続されているポート570と、シールの組555と、を含む。ポート570は、ポートシェル571と、ポートシェル571の一端に接続されているインサート525と、を各々含み、インサート525は、流体容器とポート570との間の流体連通チャネルを開閉するように構成されている。方法は、流体分注器514をポートシェル571の外側表面に対して無菌で接続および接続解除することによって、流体を流体容器内へと移送することを更に含む。流体分注器514は、第1の端部および第2の端部を有する本体505と、第1の端部および第2の端部を有する副本体508と、本体505に接続されている流体ライン510と、本体505の周囲に設けられたシェルハウジング515と、シールの第2の組と、副本体508の周囲に設けられた副シェルハウジング509と、インサート525と係合可能な、本体505および副本体508上にある係合部片507と、を含むことができ、流体分注器の係合部片507が回転係合によってポート570のインサート525と係合されると、流体ライン510をインサート525と一緒に流体容器に向けて下方へと導いて、流体容器に対して流体を移送、例えば充填または除去できるように、流体容器との流体連通チャネルを開くことができる。流体容器による流体の移送の完了後、インサート525を回転させてポート570に係合させこれを封止できるように、インサート525をポート570に向けて上方へと導く。インサート525をキャビティ545およびポート570に挿入すると、インサート525およびシール555がポート570を封止することによって、流体容器が封止される。
【0055】
その後流体容器を保管、輸送、および製造工程中に使用することができる。例えば、一実施形態では、流体容器を、流体容器内の移送された流体が約-85℃で凍結されるように凍結させることができる。その後流体容器を輸送し、移送された流体を約1℃~10℃の温度で解凍して、流体の流動を可能にすることができる。流体分注器514はその場合、流体容器への無菌の接続および接続解除に使用することができる。例えば、一実施形態では、流体分注器14の本体505をシェルハウジング内で回転させることができ、流体ライン510が流体容器に無菌挿入されるように、シェルハウジング515を圧縮することができる。副本体508がキャップ512に取り付けられると、真空系(または正圧)を使用して、本体508の流体ラインを通して流体容器から流体を除去することができる。
【0056】
態様
態様1~11のいずれかを、態様12~17および/または18~19および/または20のいずれかと組み合わせることができ、またその逆も可能である。
【0057】
態様1 流体容器用の無菌閉鎖組立体であって、流体容器の開口部に接続可能なキャップであり、ハウジング、支持部を有するハウジング内のキャビティ、およびシールの第1の組を備える、キャップと、キャップのハウジングの外側表面に接続可能な流体分注器であり、第1の端部および第2の端部を有する本体、本体内で第1の端部と第2の端部との間に設けられた流体ライン、本体の周囲に設けられたシェルハウジング、シールの第2の組、ならびに本体の第2の端部に接続可能なインサートを備える、流体分注器と、を備え、本体は、第2の端部寄りのところに、流体ラインに接続されており、かつ、流体分注器がキャップに接続されると流体容器と流体連通するように構成されている、開口を含み、流体分注器は、流体容器に向かう下向きの力によって、インサートがキャビティの支持部に嵌合し、インサートが流体分注器の本体から接続解除されて流体容器を封止するように構成されている、無菌閉鎖組立体。
【0058】
態様2 流体容器は、ボトルである、態様1に記載の無菌閉鎖組立体。
【0059】
態様3 シェルハウジングは、開口と流体連通している拡大部分を備え、流体分注器の流体ラインを通して流体が供給または除去されるとき、流体が、開口から拡大部分を通りインサートの周囲を経て流体容器内へと、または、流体容器からインサートの周囲を経て拡大部分を通りその後開口を通って流れるようになっている、態様1~2のいずれか1つに記載の無菌閉鎖組立体。
【0060】
態様4 インサートは、キャビティおよび支持部に圧入嵌合されることよって本体から接続解除される、ならびに/または、インサートがキャビティの支持部へと嵌合している間に流体分注器を回転させることよって接続される、態様1~3のいずれか1つに記載の無菌閉鎖組立体。
【0061】
態様5 シールの第1の組は、シェルハウジングの内側表面に接続可能なキャップの外側表面の周囲にある第1のシールと、キャビティの周囲にある第2のシールと、を備える、態様4に記載の無菌閉鎖組立体。
【0062】
態様6 シールの第2の組は、開口の上方において本体上に設けられた第3のシールと、開口の下方に本体の長さ方向に沿って設けられた第4のシールと、を備え、開口が拡大部分の上方に位置するとき、第3のシールおよび第4のシールはシェルハウジングに係合する、態様1~5のいずれか1つに記載の無菌閉鎖組立体。
【0063】
態様7 シェルハウジングは、キャップのハウジングの外側表面に設けられた第2の保持機構に係合するように構成されている、シェルハウジングの一端から延びている複数の第1の保持機構を備え、第1の保持機構と第2の保持機構は、相補的な形状を有する、態様1~6のいずれか1つに記載の無菌閉鎖組立体。
【0064】
態様8 シールの第1の組およびシールの第2の組は、シリコーンおよびエチレンビニルアセテート(EVA)のうちの1つまたは複数を含む、態様1~7のいずれか1つに記載の無菌閉鎖組立体。
【0065】
態様9 キャップまたはインサートの少なくとも一方は、フルオロポリマーを含む、態様1~8のいずれか1つに記載の無菌閉鎖組立体。
【0066】
態様10 キャップは、タンパーエビデントなコネクタを用いて流体容器に接続されている、態様1~8のいずれか1つに記載の無菌閉鎖組立体。
【0067】
態様11 流体分注器は、インサートに係合するための係合部片、または、流体分注器を回転させることによってキャビティの支持部からインサートを取り外せるように流体分注器がインサートに係合できるような係合部材を備える、態様4に記載の無菌閉鎖組立体。
【0068】
態様12 シェルハウジングは、キャップのハウジングの外側表面に設けられた対応する複数のスロットに係合するように構成されている、シェルハウジングの一端から延びている複数のアームを備え、複数のアームと複数のスロットは、これらを係合および係脱できるような相補的な形状を有する、態様1から11のいずれか1つに記載の無菌閉鎖組立体。
【0069】
態様13 流体分注器とキャップを係合および係脱するための手段を更に備える、態様1~11のいずれか1つに記載の無菌閉鎖組立体。
【0070】
態様14 流体容器用の無菌閉鎖組立体であって、流体容器の開口部に接続可能なキャップであり、ハウジング、ハウジング内のキャビティ、キャビティに接続されているポート、およびシールの第1の組を備え、ポートは、ポートシェルおよびポートシェルの一端に接続されているインサートを備え、インサートは、流体容器とポートとの間の流体連通チャネルを開閉するように構成されている、キャップと、ポートシェルの外側表面に接続可能な流体分注器であり、流体分注器は、第1の端部および第2の端部を有する本体、本体内で第1の端部と第2の端部との間に設けられた流体ライン、本体の周囲に設けられたシェルハウジング、シールの第2の組、ならびにインサートと係合可能な係合部片を備え、流体分注器の係合部片は、流体容器との流体連通チャネルが開くように流体ラインをインサートと一緒に流体容器に向けて下方へと導くことができるよう、回転係合によってポートのインサートと係合可能である、流体分注器と、を備える、流体容器用の無菌閉鎖組立体。
【0071】
態様15 キャップは、第2のキャビティと、第2のキャビティに接続されている第2のポートと、を備え、第2のポートは、第2のシェルと、第2のポートの一端を封止するように設けられた第2のインサートと、第2のインサートを閉位置に付勢する第1のばねと、を備える、態様14に記載の流体容器用の無菌閉鎖組立体。
【0072】
態様16 第2のシェルハウジングを有する流体分注器の副本体と、第2のシェルハウジング内で副本体を付勢する第2のばねと、シールの第3の組と、を更に備え、第2のシェルハウジングは、第2のポートの外側表面に係合するように構成されており、第2のポートへの第2のシェルハウジングの接続によって、副本体がインサートを流体容器に向けて付勢して、副本体と流体容器との間に第2の流体連通チャネルが提供されるようになっている、態様15に記載の流体容器用の無菌閉鎖組立体。
【0073】
態様17 第2のポートは、流体を流体容器の側部に導くように構成されている、第2のポートに接続されているパイプを更に備える、態様16に記載の流体容器用の無菌閉鎖組立体。
【0074】
態様18 副本体は、ホースバーブ、オーバーモールドされた接続部、ねじ接続部、圧入嵌合接続部、スナップ嵌合接続部、またはそれらの組合せから成る群から選択されるチューブコネクタを含む、態様17に記載の流体容器用の無菌閉鎖組立体。
【0075】
態様19 シェルハウジングは、流体容器への流体ラインの無菌挿入が可能になるように圧縮可能な蛇腹部を備える、態様14~18のいずれか1つに記載の流体容器用の無菌閉鎖組立体。
【0076】
態様20 流体容器内へとまたは流体容器から流体を無菌移送するための方法であって、流体容器の開口部にキャップを接続するステップであり、キャップは、ハウジング、ハウジング内のキャビティ、キャビティに接続されているポート、およびシールの第1の組を備え、ポートは、ポートシェル、およびポートシェルの一端に接続されているインサートを備え、インサートは、流体容器とポートとの間の流体連通チャネルを開閉するように構成されている、流体容器の開口部にキャップを接続するステップと、流体分注器をポートシェルの外側表面に対して無菌で接続および接続解除することによって、流体を流体容器内へと移送するステップであり、流体分注器は、第1の端部および第2の端部を有する本体、本体内で第1の端部と第2の端部との間に設けられた流体ライン、本体の周囲に設けられたシェルハウジング、シールの第2の組、ならびにインサートと係合可能な係合部片を備え、流体分注器の係合部片が回転係合によってポートのインサートと係合されると、流体ラインを、流体容器との流体連通チャネルが開くように、インサートと一緒に流体容器に向けて下方へと導くことのできる、流体を流体容器内へと移送するステップと、を含む、方法。
【0077】
態様21 流体容器内の移送された流体を約-85℃で凍結させるステップと、流体の流動を可能にするために、移送された流体を約1℃~10℃の温度で解凍するステップと、流体分注器を流体容器に対して無菌で接続および接続解除するステップと、流体ラインが流体容器に無菌挿入されるように、流体分注器のシェルハウジング内で流体ラインを回転させ、流体分注器を圧縮するステップと、流体ラインを通して流体容器から流体を除去するステップと、を更に含む、態様20に記載の方法。
【0078】
態様22 流体容器のキャップの外側表面に接続可能な流体分注器であって、第1の端部および第2の端部を有する本体であり、第1の端部と第2の端部との間に設けられた流体ラインを含む、本体と、本体の周囲に設けられたシェルハウジングと、を備え、本体の第2の端部にある流体ラインは、本体を回転させることによって、キャップに設けられたインサートと接続可能となるように構成されており、シェルハウジングは、流体容器への流体ラインの無菌挿入が可能になるように圧縮可能な蛇腹部を備える、流体分注器。
【0079】
本願において開示される例は、あらゆる点において例示的であり限定的ではないものと見なされるべきである。本発明の範囲は、前述の説明によってではなくむしろ添付の特許請求の範囲によって示され、そこには特許請求の範囲の均等性の意味および範囲に含まれる全ての変更が包含されることが意図されている。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
【手続補正書】
【提出日】2024-09-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体容器用の無菌閉鎖組立体であって、
前記流体容器の開口部に接続可能なキャップであり、ハウジング、支持部を有する前記ハウジング内のキャビティ、およびシールの第1の組を備える、キャップと、
前記キャップの前記ハウジングの外側表面に接続可能な流体分注器であり、第1の端部および第2の端部を有する本体、前記本体内で前記第1の端部と前記第2の端部との間に設けられた流体ライン、前記本体の周囲に設けられたシェルハウジング、シールの第2の組、ならびに前記本体の前記第2の端部に接続可能なインサートを備える、流体分注器と、
を備え、
前記本体は、前記第2の端部寄りのところに、前記流体ラインに接続されており、かつ、前記流体分注器が前記キャップに接続されると前記流体容器と流体連通するように構成されている、開口を含み、
前記流体分注器は、前記流体容器に向かう下向きの力によって、前記インサートが前記キャビティの前記支持部に嵌合し、前記インサートが前記流体分注器の前記本体から接続解除されて前記流体容器を封止するように構成されている、無菌閉鎖組立体。
【請求項2】
前記シェルハウジングは、前記キャップの前記ハウジングの前記外側表面に設けられた第2の保持機構に係合するように構成されている、前記シェルハウジングの一端から延びている複数の第1の保持機構を備え、前記第1の保持機構と前記第2の保持機構は、相補的な形状を有する、請求項1に記載の無菌閉鎖組立体。
【請求項3】
前記流体分注器は、前記インサートに係合するための係合部片、または、前記流体分注器を回転させることによって前記キャビティの前記支持部から前記インサートを取り外せるように前記流体分注器が前記インサートに係合できるような係合部材を備える、請求項に記載の無菌閉鎖組立体。
【請求項4】
流体容器用の無菌閉鎖組立体であって、
前記流体容器の開口部に接続可能なキャップであり、ハウジング、前記ハウジング内のキャビティ、前記キャビティに接続されているポート、およびシールの第1の組を備え、
前記ポートは、ポートシェルおよび前記ポートシェルの一端に接続されているインサートを備え、前記インサートは、前記流体容器と前記ポートとの間の流体連通チャネルを開閉するように構成されている、キャップと、
前記ポートシェルの外側表面に接続可能な流体分注器であり、前記流体分注器は、第1の端部および第2の端部を有する本体、前記本体内で前記第1の端部と前記第2の端部との間に設けられた流体ライン、前記本体の周囲に設けられたシェルハウジング、シールの第2の組、ならびに前記インサートと係合可能な係合部片を備え、
前記流体分注器の前記係合部片は、前記流体容器との前記流体連通チャネルが開くように前記流体ラインを前記インサートと一緒に前記流体容器に向けて下方へと導くことができるよう、回転係合によって前記ポートの前記インサートと係合可能である、流体分注器と、
を備える、流体容器用の無菌閉鎖組立体。
【請求項5】
第2のシェルハウジングを有する前記流体分注器の副本体と、前記第2のシェルハウジング内で前記副本体を付勢する第2のばねと、シールの第3の組と、を更に備え、前記第2のシェルハウジングは、前記第2のポートの外側表面に係合するように構成されており、前記第2のポートへの前記第2のシェルハウジングの接続によって、前記副本体が前記インサートを前記流体容器に向けて付勢して、前記副本体と前記流体容器との間に第2の流体連通チャネルが提供されるようになっている、請求項に記載の流体容器用の無菌閉鎖組立体。
【国際調査報告】