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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-21
(54)【発明の名称】全固体電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20250214BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20250214BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20250214BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20250214BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20250214BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/0562
H01M10/052
H01M4/13
H01M4/139
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547793
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-13
(86)【国際出願番号】 KR2022018049
(87)【国際公開番号】W WO2023153591
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】10-2022-0019186
(32)【優先日】2022-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ミン,ミョンキ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジン-ウ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヒテク
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ12
5H029AM12
5H029CJ04
5H029CJ24
5H029CJ25
5H029DJ07
5H029DJ12
5H029HJ03
5H029HJ12
5H050AA15
5H050BA17
5H050DA08
5H050GA04
5H050GA24
5H050GA25
5H050GA27
5H050HA03
5H050HA12
(57)【要約】
全固体電池(ALL SOLID BATTERY)に関し、一実施形態の全固体電池は、正極集電体に活物質を備える正極板、前記正極板の一側に配置される固体電解質層、および前記固体電解質層の一側に配置される負極板を含み、前記正極板は、前記活物質の活性化領域、および前記活性化領域の外郭エッジにレーザー処理された非活性化領域を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極集電体に活物質を備える正極板;
前記正極板の一側に配置される固体電解質層;および
前記固体電解質層の一側に配置される負極板を含み、
前記正極板は、
前記活物質の活性化領域、および
前記活性化領域の外郭エッジにレーザー処理された非活性化領域
を含む、全固体電池。
【請求項2】
前記正極板は、
活物質が連続コーティングされた正極集電体を活物質層と共にレーザーカッティングして形成される請求項1に記載の全固体電池。
【請求項3】
前記非活性化領域は、リチウムイオンの出入りを遮断する請求項1に記載の全固体電池。
【請求項4】
前記非活性化領域は、前記正極板において前記活物質結晶構造の変形によりリチウムイオンの出入りを遮断する請求項1に記載の全固体電池。
【請求項5】
前記非活性化領域は、前記固体電解質層において固体電解質の変成によりリチウムイオンの出入りを遮断する請求項1に記載の全固体電池。
【請求項6】
前記非活性化領域は、前記正極集電体が溶けて変形された前記活物質に含まれる請求項1に記載の全固体電池。
【請求項7】
前記正極板は、前記活物質がパターンコーティングされた正極集電体をレーザーで切断して形成される請求項1に記載の全固体電池。
【請求項8】
前記非活性化領域は、外郭エッジに凸状に盛り上がった部分に形成される請求項7に記載の全固体電池。
【請求項9】
前記非活性化領域は、0.1~1mm幅で形成される請求項1に記載の全固体電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全固体電池に関し、より詳細には、セルの安定した駆動のために内部短絡(short circuit)を防止する電極構造を有する全固体電池に関する。
【背景技術】
【0002】
全固体電池は、正極板、固体電解質層、および負極板を含む。固体電解質層は、リチウムイオン(lithium ion)を伝導させる媒介である。リチウム析出型全固体電池の場合、正極板から移動したリチウムイオンが負極板から金属として析出されて蓄積され、負極板の活物質の有無にかかわらず、充電時にリチウム金属が負極板に析出される。
【0003】
析出型負極板を有する全固体電池は、ハウジングがなく、充電時に正極板から移動したリチウムイオンが負極板から析出され、放電時に負極板に蓄積したリチウムイオンが負極板から解離して正極板に再び移動する。
【0004】
充電時にリチウムが負極板に析出され、全固体電池の体積が膨張するため、全固体電池に圧力が印加されない自由状態ではリチウム析出が不均一になる。充電および放電が進行するにつれて、リチウムの析出不均一が増幅され、固体電解質層が部分的に割れ、これにより、内部短絡が発生する可能性がある。リチウム析出の不均一を解決するため、全固体電池の外部に圧力を印加することになる。
【0005】
一方、連続的に供給される極板を主に物理的な刃を使用して適正形状の単位極板にパンチングするため、正極板および負極板が形成される。パンチングで形成された正極板および負極板は、極板のエッジ(edge)のバリ(burr)により損傷する可能性がある。即ち、エッジから活物質が落ちてセルの短絡(short circuit)を発生させる可能性がある。
【0006】
また、正極板のエッジは、セル製作条件時、高い加圧によって非正常的に活性化され、セルの短絡を発生させやすい。正極板においてエッジは、他の部分に比べて電流密度が集中する。したがって、エッジで短絡の可能性がより高くなるため、圧力に弱い正極板のエッジを管理する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一実施形態は、正極板エッジの損傷による短絡を防止する全固体電池を提供することである。また一実施形態は、高い加圧条件で正極板のエッジの短絡を防止する全固体電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態による全固体電池は、正極集電体に活物質を備える正極板、前記正極板の一側に配置される固体電解質層、および前記固体電解質層の一側に配置される負極板を含み、前記正極板は、前記活物質の活性化領域、および前記活性化領域の外郭エッジにレーザー処理された非活性化領域を含む。
【0009】
前記正極板は、活物質が連続コーティングされた正極集電体を活物質層と共にレーザーカッティングして形成することができる。
【0010】
前記非活性化領域は、リチウムイオンの出入りを遮断することができる。
【0011】
前記非活性化領域は、前記正極板において前記活物質結晶構造の変形により、リチウムイオンの出入りを遮断することができる。
【0012】
前記非活性化領域は、前記固体電解質層において固体電解質の変性により、リチウムイオンの出入りを遮断することができる。
【0013】
前記非活性化領域、前記正極集電体が溶けて変形された前記活物質に含まれることができる。
【0014】
前記正極板は、前記活物質がパターンコーティングされた正極集電体をレーザーで切断して形成することができる。
【0015】
前記非活性化領域は、外郭エッジに凸状に盛り上がった部分に形成することができる。
前記非活性化領域は、0.1~1mm幅で形成することができる。
【発明の効果】
【0016】
一実施形態による全固体電池は、正極板をレーザーでカッティングし、正極板の外郭エッジから活物質をレーザー処理することにより、設定された範囲の非活性化領域を備えるので、正極板エッジの損傷による短絡および高い加圧条件による正極板エッジの短絡を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態による全固体電池の充電状態の断面図である。
図2図1に適用された正極板の平面図である。
図3図2のIII-III線に沿って切断して示した断面図である。
図4】比較例であり、物理的にカッティングした正極板の断面に対するエネルギー分散型分光分析器(EDS;energy dispersive X-ray spectroscopy)のイメージである。
図5】実施例であり、レーザーでカッティングした正極板の断面に対する走査電子顕微鏡(SEM、electron microscopy)のイメージである。
図6】実施例であり、レーザーでカッティングした正極板の断面に対するエネルギー分散型分光分析器(EDS;energy dispersive X-ray spectroscopy)のイメージである。
図7図6のレーザーでカッティングした正極板の断面の第1選択領域においてEDS分析した結果を示すグラフである。
図8図6のレーザーでカッティングした正極板の断面の第2選択領域においてEDS分析した結果を示すグラフである。
図9図6のレーザーでカッティングした正極板の断面の第3選択領域においてEDS分析した結果を示すグラフである。
図10図6のレーザーでカッティングした正極板の断面の第4選択領域においてEDS分析した結果を示すグラフである。
図11図6のレーザーでカッティングした正極板の断面の第5選択領域においてEDS分析した結果を示すグラフである。
図12】レーザーでカッティングした正極板の断面に対するイメージである。
図13図12のレーザーでカッティングした正極板の断面に対するラマン(Raman)マッピングイメージ(mapping image)である。
図14】比較例であり、物理的にカッティングした正極板の断面でラマンスペクトル分析結果を示すグラフである。
図15】実施例であり、レーザーでカッティングした正極板の断面でラマンスペクトル(Raman spectrum)分析結果を示すグラフである。
図16】本発明の一実施形態による全固体電池に適用される正極板の他の実施例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施例について、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で実施することができ、ここで説明する実施例に限定されない。図面で本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分は省略し、明細書全体を通じて同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態による全固体電池の充電状態の断面図である。図1を参照すると、一実施形態の全固体電池は、正極板11、正極板11の一側に配置される固体電解質層12、固体電解質層12の一側に配置される負極板13および負極板13の一側に配置される緩衝フィルム20を含む。
【0020】
正極板11と固体電解質層12および負極板13の積層構造は、単位セル(unit cell)を形成する。単位セルは、正極板11の一側で充電および放電作用するモノセル(mono-cell)に形成することができる(図示せず)。
【0021】
図1に示すように、単位セルは、正極板11の両側で充電および放電作用するバイセル(bi-cell)に形成することもできる。正極板11は、正極活物質が連続コーティングされた正極集電体111を正極活物質層112、114と共にレーザーカッティングして形成することができる。
【0022】
図2は、図1に適用された正極板の平面図であり、図3は、図2のIII-III線に沿って切断して示した断面図である。一方、図1図3を参照すると、正極板11は、アルミニウムからなる正極集電体111の両面に正極活物質を塗布して形成される活物質層112、114を含む。
【0023】
正極活物質層112、114は、正極活物質の活性化領域112と正極活物質の非活性化領域114を含む。非活性化領域114は、活性化領域112の外郭エッジにレーザー処理された部分であり、正極活物質に活物質層を形成した後、活性化領域112外郭の正極活物質をレーザーを照射することによって形成される。
【0024】
即ち、充電および放電時、活性化領域112がリチウムイオンの出入りを可能にするのとは異なり、非活性化領域114は、リチウムイオンの出入りを遮断するように設定された範囲に形成される。
【0025】
非活性化領域114は、正極板11から活物質層にレーザーを照射するので、活物質結晶構造の変形によってリチウムイオンの出入りを遮断することができる。また、非活性化領域114は、レーザーの焦点を正極集電体111に近接させる場合、正極集電体111が溶けて変形し、正極集電体111の成分が正極活物質に含まれてリチウムイオンの出入りを制御することもできる。
【0026】
一例として、非活性化領域114は、0.1~1mm幅で形成することができる。0.1mm未満は、非活性化領域114の過小面積のため、非活性化領域として役割を担当するには不十分であり、1mm超過は、非活性化領域114の過大面積のため、電池の容量を低下させる可能性がある。
【0027】
また、非活性化領域は、固体電解質層において固体電解質の変性によりリチウムイオンの出入りを遮断することもできる。この場合、固体電解質層の外郭にレーザーを照射することにより固体電解質を変成させることができ、固体電解質膜を負極板の活物質層にレネーション接合した状態で、固体電解質層の外郭にレーザーを照射することにより、固体電解質を変成させることができる。
【0028】
このような非活性化領域114は、全固体電池の高い加圧条件でも、正極板11のエッジによる短絡を防止することができる。また、正極板11エッジの損傷による短絡を防止できるように、正極板11をレーザーカッティングで製作するが、レーザーカッティングについて物理的カッティングと比較して以下で説明する。
【0029】
レーザーカッティングで正極板11を製作する場合、正極板11エッジ(edge)のバリ(burr)発生を最少化し、正極板11エッジの損傷による短絡を最少化することができる。
【0030】
図4は比較例であり、物理的にカッティングした正極板の断面に対するエネルギー分散型分光分析器(EDS;energy dispersive X-ray spectroscopy)のイメージである。表1は、刃を使用して物理的にカッティングした図4の正極板の断面においてEDS分析結果を示す。単位は、原子(atomic)%である。
【0031】
Kは、元素のK edgeを示す。K edgeは、原子のK殻の電子転移によるものである。Kは、分光学的に元素にエネルギーを加えた時に活性化(activation)されて放出するエネルギーのバンド(band)であり、この特定シグナルを使用して元素の種類を判断することになる。したがって、Kは、エネルギー分散型分光分析器(EDS)の元素の定量的な値を見つけるための特定の位置値を示す。
【0032】
【表1】
【0033】
図5は実施例であり、レーザーでカッティングした正極板の断面に対する走査電子顕微鏡(SEM、electron microscopy)のイメージであり、図6は、実施例であり、レーザーでカッティングした正極板の断面に対するエネルギー分散型分光分析器(EDS;energy dispersive X-ray spectroscopy)のイメージである。表2は、レーザーカッティングした図5および図6の正極板11の断面においてEDS分析結果を示す。単位は、原子(atomic)%である。
【0034】
【表2】
【0035】
図7図11は、レーザーでカッティングした正極板の断面の第1選択領域~第5選択領域でEDS分析した結果を示すグラフである。EDS分析した結果は、エネルギー(eV)に対する強度の相対値(a.u)で示す。
【0036】
図5図11を参照すると、レーザーでカッティングした正極板11の断面に形成される正極活物質がレーザー照射で変化することを示す。即ち、レーザーカッティング断面は、正極集電体111が溶けて変形された正極活物質に含まれることもできる。即ち、コッティン断面の正極活物質は、正極集電体111のアルミニウム合成物(Al composite)を含んで形成されることもある。
【0037】
表1および図4に対して、表2および図5を比較すると、物理的カッティング断面にはないのに比べて、レーザーコッティン断面には、正極活物質が熱により溶けて押し付けられた形状(MPS;melted and pressed shape)が観察される。
【0038】
押し付けられた形状(MPS)は、正極板11のレーザーカッティング断面でエッジの損傷、即ち、正極活物質が脱落することを防止し、脱落した正極活物質による内部短絡を防止することができるようにする。
【0039】
図6を参照すると、正極板11のレーザーカッティング断面のうち第4選択領域(Selected Area 4)と第5選択領域(Selected Area 5)では、熱により正極集電体111のアルミニウム合成物(Al composite)が高く現れる。
【0040】
即ち、正極板11において、正極集電体111から遠くに位置する第1~第3選択領域(Selected Area 1~Selected Area 3)でアルミニウム合成物が10%以下であるのに比べ、正極集電体111に隣接する第4選択領域(Selected Area 4)および第5選択領域(Selected Area 5)でアルミニウム合成物が20%以上発見された。即ち、アルミニウム合成物が正極板11のレーザーカッティング断面のうち第4選択領域(Selected Area 4)で40.4%、第5選択領域(Selected Area 5)で42.7%発見された。
【0041】
図12は、レーザーでカッティングした正極板の断面に対するイメージであり、図13は、図12のレーザーでカッティングした正極板のカッティング断面に対するラマン(Raman)マッピングイメージ(mappingimage)である。図12および図13を見ると、正極板11のレーザーコッティン断面で正極活物質が熱により溶けて押し付けられた形状(MPS;melted and pressed shape)が同じように観察された。
【0042】
押し付けられた形状(MPS)は、正極板11のレーザーカッティング断面からエッジの損傷、即ち、正極活物質が脱落することを防止し、脱落した正極活物質による内部短絡を防止することができるようにする。
【0043】
図14は、比較例であり、物理的にカッティングした正極板の断面においてラマンスペクトル分析結果を示すグラフであり、図15は実施例であり、レーザーでカッティングした正極板の断面においてラマンスペクトル(Raman spectrum)分析結果を示すグラフである。ラマンスペクトル(Raman spectrum)分析結果は、ラマンシフトに対する強度の相対値(a.u)で示す。
【0044】
図12図15を参照すると、図14は比較例であり、物理的にカッティングした正極板の断面においてラマンスペクトル分析結果を示すグラフであり、図15は、実施例であり、レーザーでカッティングした正極板11の断面においてラマンスペクトル(Raman spectrum)分析結果を示すグラフである。
【0045】
ラマンスペクトル分析を見ると、物理的カッティング断面(図14参照)とは異なり、レーザーカッティング断面(図15参照)は、ラマンシフト1100cm-1で新たなピークが発生した。このピークは、アルミニウム合成物(Al composite)に関連するピークであることが分かる。
【0046】
また、レーザーカッティング後、アルミニウム合成物(Al composite)が正極活物質の厚さ方向(図12で上下方向)の中間部分に多く生成されていることを観察できる。正極活物質に含まれて観察されるアルミニウム合成物は、正極板11の断面からエッジの損傷、即ち、正極活物質が脱落することを防止し、脱落した正極活物質による短絡を防止することができる。
【0047】
一方、正極板11のエッジに備えられる非活性化領域114は、エッジにレーザーを照射することにより、レーザーカッティング時にカッティング断面に形成される構造と同様に正極活物質層に形成することができる。この非活性化領域114は、全固体電池の充電および放電作用時リチウムイオンの移動に対して非活性化の役割を果たす。
【0048】
再び図1を参照すると、リチウム析出層135は、放電状態では形成されないが、充電状態では正極板11の活性化領域112でリチウムイオンが固体電解質12を通過して負極集電体131の一面から析出することで形成される。放電時、リチウム析出層135のリチウムイオンは解離して、固体電解質層12を通過して正極板11の活性化領域112に移動し、リチウム析出層135がなくなる。
【0049】
充電時にも、非活性化領域114ではリチウムイオンが負極板13に移動せず、放電時にリチウム析出層135から解離したリチウムイオンが正極板11の非活性化領域114に移動しない。即ち、非活性化領域114は、充電および放電に影響を与えない。したがって、非活性化領域114は、全固体電池の内部短絡に関与しないようになる。
【0050】
図16は、本発明の一実施形態による全固体電池に適用される正極板の他の実施形態を示した断面図である。図16を参照すると、正極板21は、正極活物質がパターンコーティングされた正極集電体211をレーザーで切断して形成することもできる。
【0051】
この場合、正極活物質層は、パターンで形成される活性化領域212とその外郭、即ち、パターンのエッジが凸状に盛り上がった部分を有することになる。この時、非活性化領域214は、外郭エッジに凸状に盛り上がった部分にレーザーを照射することによって形成され、充電および放電時にリチウムイオンの移動を遮断することができる。
【0052】
再び図1を参照すると、負極板13は、ステレンス鋼(Stainless steel、SUS)またはニッケルコーティング銅(Ni-coated Cu)からなる負極集電体131の断面に負極活物質を塗布して形成される負極活物質層132を含む。
【0053】
便宜上、ここでは負極活物質層132を示しているが、負極活物質層132がない場合もある。この場合、析出するリチウム析出層135が負極活物質層として作用する。また、負極集電体131の断面にポリフッ化ビニリデン層のような高分子層のみを形成することもできる。
【0054】
負極活物質層132に固体電解質層(SE、Solid electrolyte)12が積層されている。この積層方法は、固体電解質スラリー(Slurry)の直接コーティング(Directcoating)、固体電解質膜の転写、または自立状態の固体電解質膜と負極活物質層とのラミネーション接合で可能である。
【0055】
緩衝フィルム20は、単位セルで負極板13の負極集電体131の裏面に配置され、充電および放電時に負極活物質層132および負極集電体131にリチウムの析出と解離によるリチウム析出層135に対応して弾性力を提供するように構成される。
【0056】
また、正極板11は、一側の外郭に突出する無地部113を備え、負極板13は、他側の外郭に突出する無地部133を備える。単位セルを積層して全固体電池のモジュールを形成する時、正極板11の無地部113は、互いに積層されて電気的に接続され、負極板13の無地部113は、互いに積層されて電気的に接続される。
【0057】
以上、本発明の望ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、請求範囲と発明の説明および添付した図面の範囲内で様々に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0058】
11、21 正極板
12 固体電解質層
13 負極板
20 緩衝フィルム
111、211 正極集電体
112、212 活性化領域
114、214 非活性化領域
131 負極集電体
132 負極活物質層
135 リチウム析出層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】