(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-21
(54)【発明の名称】裏側電力レールを形成するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20250214BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/31 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547844
(86)(22)【出願日】2023-02-13
(85)【翻訳文提出日】2024-10-11
(86)【国際出願番号】 US2023012883
(87)【国際公開番号】W WO2023154500
(87)【国際公開日】2023-08-17
(32)【優先日】2022-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】レン ヘ
(72)【発明者】
【氏名】ラズカニ ホウサム
(72)【発明者】
【氏名】ガイア ラマン
(72)【発明者】
【氏名】ナイク メユール
(72)【発明者】
【氏名】リウ クアン-ティン
【テーマコード(参考)】
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
5F004AA16
5F004CA06
5F004DA04
5F004DA22
5F004DA23
5F004DA25
5F004DA26
5F004DB01
5F004EA06
5F004EA07
5F004EA28
5F004EB02
5F004FA08
5F045AB02
5F045AB31
5F045AB32
5F045AB33
5F045AC13
5F045AE21
5F045AE23
5F045AF03
5F045DC68
(57)【要約】
トランジスタ裏側電力レールのための裏側コンタクトビアを形成するために選択的に除去され得る犠牲充填材料を形成する方法。いくつかの実施形態では、この方法は、酸化物層で共形に被覆された開口部をもつ基板にエッチングプロセスを実行することであり、エッチングプロセスが、基板のフィールドからおよび開口部の底部部分のみから酸化物層を除去するために、塩素ガスを使用する異方性ドライエッチングプロセスであり、エッチングプロセスが、開口部内に部分的酸化物スペーサを形成し、開口部の深さを増加させる、実行することと、約1Torr~約100Torrのチャンバ圧力で約60sccm~約90sccmの速度で塩化水素ガスを流すことによって開口部内に犠牲充填材料をエピタキシャル成長させることとを含むことができる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
犠牲充填材料を形成するための方法であって、
酸化物層で共形に被覆された開口部をもつ基板にエッチングプロセスを実行することであり、前記エッチングプロセスが、前記基板のフィールドからおよび前記開口部の底部部分のみから前記酸化物層を除去するために、塩素ガスを使用する異方性ドライエッチングプロセスであり、前記エッチングプロセスが、前記開口部内に部分的酸化物スペーサを形成し、前記開口部の深さを増加させる、実行することと、
約1Torr~約100Torrのチャンバ圧力で約60sccm~約90sccmの速度で塩化水素ガスを流すことによって前記開口部内に前記犠牲充填材料をエピタキシャル成長させることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記犠牲充填材料が、シリコン、シリコンゲルマニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、または酸化ハフニウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シリコンまたは前記シリコンゲルマニウムが、ホウ素、リン、炭素、酸素、またはアンチモンのドーパントを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記犠牲充填材料がSiGe
0.4である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
<110>結晶面シリコン材料に対する<100>結晶面シリコン材料の選択性を有する選択エピタキシャル成長プロセスを使用して、前記犠牲充填材料をエピタキシャル成長させること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
<100>結晶面シリコン材料:<110>結晶面シリコン材料の前記選択性が、約4:1以上である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
空気破壊または中間湿式前洗浄プロセスなしに統合クラスタツールで実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記塩化水素ガスの速度が約70sccmである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
トランジスタ構造のための裏側電力ビアを形成するプロセスで実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記犠牲充填材料上にトランジスタの自己整合エピタキシャルソース/ドレイン構造を形成すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
トランジスタのソース/ドレインエピタキシャル(Epi)構造のための裏側電力レールコンタクトを形成する方法であって、
基板に開口部を形成することと、
前記基板上および前記開口部内に酸化物の共形層を堆積させることと、
前記基板および前記開口部にエッチングプロセスを実行することであり、前記エッチングプロセスが、前記基板のフィールドからおよび前記開口部の底部部分のみから前記酸化物の共形層を除去するために、塩素ガスを使用する異方性ドライエッチングプロセスであり、前記エッチングプロセスが、前記開口部内に部分的酸化物スペーサを形成し、前記開口部の深さを増加させる、実行することと、
約1Torr~約100Torrのチャンバ圧力で約60sccm~約90sccmの速度で塩化水素ガスを流すことによって前記開口部内に犠牲充填材料をエピタキシャル成長させることと、
前記犠牲充填材料上にソース/ドレインEpi構造を形成することと、
前記ソース/ドレインEpi構造上にゲート材料を形成することと、
前記ゲート材料の上に少なくとも1つの相互接続信号ラインを形成することと、
前記基板の裏側を見せるように前記基板を裏返すことと、
前記基板の材料を除去して前記犠牲充填材料を露出させることと、
前記犠牲充填材料を選択的にエッチングして前記犠牲充填材料を除去することと、
前記ソース/ドレインEpi構造に自己整合された前記裏側電力レールコンタクトを形成することと
を含む、方法。
【請求項12】
前記犠牲充填材料がシリコンゲルマニウム(SiGe)である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
<110>結晶面シリコン材料に対する<100>結晶面シリコン材料の選択性を有する選択エピタキシャル成長プロセスを使用して、前記犠牲充填材料をエピタキシャル成長させること
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
<100>結晶面シリコン材料:<110>結晶面シリコン材料の前記選択性が、約4:1以上である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記酸化物の共形層が酸化アルミニウム材料である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記塩化水素ガスの速度が約70sccmである、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
命令が格納された非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令が、実行されると、犠牲充填材料を形成するための方法を実行させ、前記方法が、
酸化物層で共形に被覆された開口部をもつ基板にエッチングプロセスを実行することであり、前記エッチングプロセスが、前記基板のフィールドからおよび前記開口部の底部部分のみから前記酸化物層を除去する塩素ガスを使用する異方性ドライエッチングプロセスであり、前記エッチングプロセスが、前記開口部内に部分的酸化物スペーサを形成し、前記開口部の深さを増加させる、実行することと、
約1Torr~約100Torrのチャンバ圧力で約60sccm~約90sccmの速度で塩化水素ガスを流すことによって前記開口部内に前記犠牲充填材料をエピタキシャル成長させることと
を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記方法が、
<110>結晶面シリコン材料に対する<100>結晶面シリコン材料の選択性を有する選択エピタキシャル成長プロセスを使用して、前記犠牲充填材料をエピタキシャル成長させることであり、<100>結晶面シリコン材料:<110>結晶面シリコン材料の前記選択性が、約4:1以上である、エピタキシャル成長させること
をさらに含む、請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記塩化水素ガスの速度が約70sccmであり、前記方法が、空気破壊または中間湿式前洗浄プロセスなしに統合クラスタツールで実行されるか、または前記方法が、トランジスタ構造のための裏側電力ビアを形成するプロセスで実行される、請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記方法が、
前記犠牲充填材料上にトランジスタの自己整合エピタキシャルソース/ドレイン構造を形成すること
をさらに含む、請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本原理の実施形態は、一般に、半導体基板の半導体処理に関する。
【背景技術】
【0002】
論理およびメモリに使用されるトランジスタは、動作するには電源を必要とする。電力は、一般に、各トランジスタを電源に接続する電力レールによって供給される。表側電力グリッドを含む構成は、トランジスタによって使用される信号ラインと混ぜ合わされた電力レールを有し、複雑なネットワークを作り出し、交互配置された電力レールと信号ラインとの間の精巧なバランスを作り出す。従来の裏側電源は、トランジスタ内に延びるビアを利用することがあり、それは、トランジスタ面積をより大きくする。同様に、トランジスタに接続する埋め込み電力レールもトランジスタによって使用される面積を増加させる。
【0003】
したがって、本発明者らは、トランジスタ面積の増大を必要とすることなく、電力をトランジスタに供給する電力分配レールを形成し、トランジスタ密度を増加させながらトランジスタ構成および形成プロセスを簡単にするための改善された方法および装置を提供した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
裏側電力供給構造を形成するための方法および装置が本明細書において提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施形態では、犠牲充填材料を形成するための方法は、酸化物層で共形に被覆された開口部をもつ基板にエッチングプロセスを実行することであり、エッチングプロセスが、基板のフィールドからおよび開口部の底部部分のみから酸化物層を除去する塩素ガスを使用する異方性ドライエッチングプロセスであり、エッチングプロセスが、開口部内に部分的酸化物スペーサを形成し、開口部の深さを増加させる、実行することと、約1Torr~約100Torrのチャンバ圧力で約60sccm~約90sccmの速度で塩化水素ガスを流すことによって開口部内に犠牲充填材料をエピタキシャル成長させることとを含むことができる。
【0006】
いくつかの実施形態では、この方法は、犠牲充填材料が、シリコン、シリコンゲルマニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、または酸化ハフニウムであり、シリコンまたはシリコンゲルマニウムが、ホウ素、リン、炭素、酸素、またはアンチモンのドーパントを含み、犠牲充填材料がSiGe0.4であって、<110>結晶面シリコン材料に対する<100>結晶面シリコン材料の選択性を有する選択エピタキシャル成長プロセスを使用して、犠牲充填材料をエピタキシャル成長させることであり、<100>結晶面シリコン材料:<110>結晶面シリコン材料の選択性が、約4:1以上である、エピタキシャル成長させること、この方法を、空気破壊(air break)または中間湿式前洗浄プロセスなしに統合クラスタツールで実行することであり、塩化水素ガスの速度が約70sccmである、実行すること、この方法を、トランジスタ構造のための裏側電力ビアを形成するプロセスで実行すること、および/または犠牲充填材料上にトランジスタの自己整合エピタキシャルソース/ドレイン構造を形成することをさらに含むことができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、トランジスタのソース/ドレインエピタキシャル(Epi)構造のための裏側電力レールコンタクトを形成する方法は、基板に開口部を形成することと、基板上および開口部内に酸化物の共形層を堆積させることと、基板および開口部にエッチングプロセスを実行することであり、エッチングプロセスが、基板のフィールドからおよび開口部の底部部分のみから酸化物の共形層を除去する塩素ガスを使用する異方性ドライエッチングプロセスであり、エッチングプロセスが、開口部内に部分的酸化物スペーサを形成し、開口部の深さを増加させる、実行することと、約1Torr~約100Torrのチャンバ圧力で約60sccm~約90sccmの速度で塩化水素ガスを流すことによって開口部内に犠牲充填材料をエピタキシャル成長させることと、犠牲充填材料上にソース/ドレインEpi構造を形成することと、ソース/ドレインEpi構造上にゲート材料を形成することと、ゲート材料の上に少なくとも1つの相互接続信号ラインを形成することと、基板の裏側を見せるように基板を裏返すことと、基板の材料を除去して犠牲充填材料を露出させることと、犠牲充填材料を選択的にエッチングして犠牲充填材料を除去することと、ソース/ドレインEpi構造に自己整合された裏側電力レールコンタクトを形成することとを含むことができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、この方法は、犠牲充填材料がシリコンゲルマニウム(SiGe)であって、<110>結晶面シリコン材料に対する<100>結晶面シリコン材料の選択性を有する選択エピタキシャル成長プロセスを使用して、犠牲充填材料をエピタキシャル成長させることであり、<100>結晶面シリコン材料:<110>結晶面シリコン材料の選択性が、約4:1以上であり、酸化物の共形層が酸化アルミニウム材料であり、および/または塩化水素ガスの速度が約70sccmである、エピタキシャル成長させることをさらに含むことができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、命令が格納された非一時的コンピュータ可読媒体があり、この命令は、実行されると、犠牲充填材料を形成するための方法を実行させ、この方法は、酸化物層で共形に被覆された開口部をもつ基板にエッチングプロセスを実行することであり、エッチングプロセスが、基板のフィールドからおよび開口部の底部部分のみから酸化物層を除去する塩素ガスを使用する異方性ドライエッチングプロセスであり、エッチングプロセスが、開口部内に部分的酸化物スペーサを形成し、開口部の深さを増加させる、実行することと、約1Torr~約100Torrのチャンバ圧力で約60sccm~約90sccmの速度で塩化水素ガスを流すことによって開口部内に犠牲充填材料をエピタキシャル成長させることとを含むことができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体に基づく方法は、<110>結晶面シリコン材料に対する<100>結晶面シリコン材料の選択性を有する選択エピタキシャル成長プロセスを使用して、犠牲充填材料をエピタキシャル成長させることであり、<100>結晶面シリコン材料:<110>結晶面シリコン材料の選択性が、約4:1以上であり、塩化水素ガスの速度が約70sccmであり、この方法が、空気破壊または中間湿式前洗浄プロセスなしに統合クラスタツールで実行されるか、またはこの方法が、トランジスタ構造のための裏側電力ビアを形成するプロセスで実行される、エピタキシャル成長させること、および/または犠牲充填材料上にトランジスタの自己整合エピタキシャルソース/ドレイン構造を形成することをさらに含むことができる。
【0011】
他のおよびさらなる実施形態を以下に開示する。
【0012】
上述で簡潔に要約し、以下でより詳細に論じる本原理の実施形態は、添付の図面に示される本原理の例示的な実施形態を参照することによって理解することができる。しかしながら、添付の図面は、原理の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、この原理が他の等しく効果的な実施形態を受け入れることができるため、範囲の限定と考えられるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本原理のいくつかの実施形態による、基板に犠牲充填材料を形成する方法の図である。
【
図2】本原理のいくつかの実施形態による、裏側電力レールコンタクトを形成する方法の図である。
【
図3】本原理のいくつかの実施形態による、エッチングおよび充填プロセスを受ける基板の開口部の断面図である。
【
図4】本原理のいくつかの実施形態による、トランジスタ構造を形成するための準備中の基板の等角図である。
【
図5】本原理のいくつかの実施形態による、流量対成長速度のグラフを示す図である。
【
図6】本原理のいくつかの実施形態による、トランジスタ構造の開口部に形成された犠牲材料充填材の断面図である。
【
図7】本原理のいくつかの実施形態による、犠牲材料充填材を用いたトランジスタ構造の断面図である。
【
図8】本原理のいくつかの実施形態による、裏返された基板の断面図である。
【
図9】本原理のいくつかの実施形態による、トランジスタ構造の断面図である。
【
図10】本原理のいくつかの実施形態による、統合ツールのトップダウン図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
理解を容易にするために、可能な場合、同一の参照番号が、図に共通する同一の要素を指定するために使用されている。図は、縮尺通りに描かれておらず、明確にするために簡単化されている場合がある。ある実施形態の要素および特徴は、さらなる詳述なしに、他の実施形態に有益に組み込むことができる。
【0015】
この方法および装置は、簡略化された形成プロセスにより高密度トランジスタ構造を提供する。裏側電力レール構成統合および単位プロセスは、選択的ボトムアップ犠牲充填を活用して高密度トランジスタ構造を形成する。この技法は、エピタキシャル成長プロセスとともに新しく始まるエッチングおよび洗浄プロセスシーケンスを共最適化する。いくつかの実施形態では、犠牲充填材料は、限定はしないが、ホウ素、リン、炭素、酸素、アンチモン、などのようなドーパントの有無にかかわらず、シリコンまたはシリコンゲルマニウムとすることができる。いくつかの実施形態では、犠牲充填材料は、限定はしないが、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、または酸化ハフニウムなどのような誘電体とすることができる。本原理は、ボトムアップ充填プロセスを使用することによって、構造の側壁からの望ましくない成長に起因するピンチオフボイドを防止するという利点と、さらに、選択的充填プロセスを使用することによって構造の表面および側壁に小結節欠陥を誘発する選択性喪失を防止するという利点とを有する。
【0016】
裏側電力レール(BPR)ベース構成は、近い将来およびその先の先進ノードのために検討されている新しいプロセスである。本原理は、ウエハ表側で犠牲充填を使用することによって表裏タイプ接続を可能にするために利用することができる。次いで、犠牲充填材は、ウエハ裏側において自己整合電力ビア形成プロセスで置き換えられ得る。本原理は、さらに、これらのプロセスを、犠牲充填のために選択的ボトムアップ充填プロセスを行うことによって可能にする。この技法のさらなる利点は、エッチング後の湿式洗浄プロセスの必要性を除いたエッチングプロセスを含む。エッチングプロセスは、酸化物(例えば、AlOx)内側スペーサを保存し、後でエピタキシャル(Epi)成長プロセス中に望ましくないピンチオフ成長をもたらすことがある側壁キンクを避ける。別の利点は、周囲誘電体(例えば、SiN、SiO2、Al2O3、など)の選択性を喪失することなく、構造を充填する新しいEpi成長プロセスである。
【0017】
図1は、
図3および
図4に示されるようないくつかの実施形態による基板302に犠牲充填材料を形成する方法100である。基板302は、例えば、限定はしないが、シリコンなどの材料から形成することができる。例では、基板302はトランジスタを形成するために準備されているが、本原理の技法はまた、他の用途のために犠牲材料を形成するためにも使用することができる。そのため、その例は、犠牲充填材料の形成および関連するプロセスの文脈に関して限定することを意味しない。
図3の
図300Aにおいて、基板302は、第1の誘電体層304および第2の誘電体層306とともに形成されている。第1の誘電体層304は、例えば、限定はしないが、酸化ケイ素などから形成することができる。第2の誘電体層306は、例えば、限定はしないが、窒化ケイ素などから形成することができる。酸化物層312Aが、基板302のフィールド320上に、および第1の深さ316をもつ開口部308内に共形に形成されている。酸化物層312Aは、例えば、限定はしないが、酸化アルミニウムなどから形成することができる。方法100のブロック102において、エッチングプロセスが、基板302に実行される。エッチングプロセスは、異方性である塩素ガスを使用するドライエッチングプロセスであり、
図3の
図300Bに示されているように、基板302のフィールド320から酸化物層の部分を除去し、開口部308内の酸化物層の底部部分のみを除去する。エッチングプロセスは、開口部308の深さを、第1の深さ316より大きい第2の深さ314までさらに増加させる。
【0018】
エッチングプロセスが基板302のフィールド320および開口部308の底部から酸化物層312Aを除去した後、スペーサ312が開口部308の一部に残る。従来の手法では、開口部308の側壁324上の酸化物層の部分は、開口部308の内側からエッチング除去され、それにより、レッジ322が残り、レッジ322は、ピンチオフ点を作り出し、開口部308を充填しようとするときに開口部308内にボイドをもたらす。本原理の方法は、開口部308の側壁324上にスペーサ312を有利に保持する異方性エッチングを使用し、それにより、ピンチオフ点の形成を防止し、開口部308の充填中のボイド形成を防止する。方法100のドライエッチングプロセスは、塩素ガスエッチングプロセスを使用し、有益には、フッ素ベース異方性エッチングプロセスを使用する従来のプロセスで必要とされる統合フローにおける湿式前洗浄プロセスの必要性を取り除く。いくつかの実施形態では、ドライエッチングプロセスは、約100ワット~約3000ワットのプラズマソース電力およびゼロ~約500ワットのバイアスソース電力で実行される。いくつかの実施形態では、塩素ガスは、約10sccm~約500sccmの速度で流すことができる。いくつかの実施形態では、塩素ガスは、酸素、アルゴン、ヘリウム、または窒素ガス、などとともに流すことができる。いくつかの実施形態では、ドライエッチングプロセスのチャンバ圧力は、約1mTorr~約100mTorrとすることができる。
【0019】
充填の前に塩素ガスのみをベースとするエッチングプロセスを使用すると、開口部308の底部にボトムアップEpi核形成のための清浄で適切な表面が用意される。ブロック104において、塩化水素ガスを流すことに基づく選択的プロセスを使用して、犠牲充填材料が開口部308内にエピタキシャル成長される。本発明者らは、塩化水素ガスを特定の速度で流すことによって、速い成長速度を維持しながら、エピタキシャル成長の選択性を維持することができることを発見した。開口部308の底部は基板302の<100>結晶面を露出し、一方、側壁は<110>結晶面を露出する。塩化水素ガス速度は、<100>結晶面(開口部の底部)でのEpi成長を選択的に行い、一方、<110>結晶面(側壁)のEpi成長を抑制するように調節することができる。本発明者らは、
図5のグラフ500に示されるように、約60sccm以上の塩化水素ガス速度512では、<100>結晶面のEpi成長が十分に選択的に行われ、一方、90sccm以下の塩化水素ガス速度514では、Epi成長が十分な堆積速度で行われることを見いだした。
【0020】
Epi成長速度(オングストローム/分)がY軸504に示され、塩化水素ガス流量(sccm)がX軸502に示される。方策ライン506は、特定の堆積方策プロファイルに対する流量対成長速度を示す。第1の点508では、選択性は、Epi成長が基板のフィールドまたは上面で生じないようにするのに十分であった(開口部の底部のみで成長)。第2の点510では、堆積速度は、特定の構造形成プロセスにおいて所望の収率に十分であると見なされた。本発明者らは、Epi成長中の圧力を従来の圧力から約5Torrの圧力まで低下させることによって、選択比を向上させることができることも発見した。いくつかの実施形態では、塩化水素ガス流量は、約70sccmであり、圧力は、約5Torrであり、<100>結晶面Epi成長:<110>結晶面Epi成長の選択比は約4:1以上である。実施形態によっては、Epi成長中のチャンバ圧力は、約1Torr~約100Torrとすることができる。実施形態によっては、Epi成長中のチャンバ圧力は、約1Torr~約40Torrとすることができる。実施形態によっては、Epi成長中のチャンバ圧力は、約3Torr~約20Torrとすることができる。本発明者らは、例えばシランなどのガスが選択性を低下させ、高い圧力が、望ましくなく、<110>結晶面上のEpi成長速度を増加させ、さらに選択性を低下させることも見いだした。いくつかの実施形態では、方法100のブロック102のエッチングプロセスおよびブロック104の犠牲充填プロセスは、例えば、プロセスの間の空気破壊への基板302の露出を除去することによって湿式が含まれない統合プロセスを可能にする
図10の統合ツール1000で実行することができる。エッチングおよび充填プロセスのために基板302を真空中に維持することによって、除去される必要性がある空気曝露による酸化物が、Epiボトムアップ充填の前に表面に形成されない。
【0021】
図3において、Epi成長によって供給される犠牲充填材料310は、ボトムアップ充填として示されている。充填の量は、方法100が実行される状況に基づいて調節することができる。いくつかの実施形態では、酸化物層312Aおよびスペーサ312は、ブロック102のエッチングプロセスおよびブロック104の犠牲材料充填の前に形成されない場合がある。
図4は、トランジスタのバンクを形成するための準備の等角
図400である。基板302には、開口部が、第2の誘電体層306、第1の誘電体層304を通して基板302に入り込んで形成されている。方法100のブロック102のエッチングプロセスは、開口部308内にスペーサ312を生成しており、方法100のブロック104の犠牲充填プロセスは、開口部308の底部に犠牲充填材料310を生成している。犠牲充填材料310上のソース/ドレインEpi構造の形成は、ゲート材料および相互接続ラインとともに、トランジスタ固有の構造について以下で論じられる。方法100の犠牲充填材料のエッチングおよび形成は、構造のさらなる裏側処理のための犠牲充填材料から利益を得る他の構造に使用することができる。
【0022】
図2において、トランジスタ構造のための裏側電力レールコンタクトを形成する方法200が示される。ブロック202において、開口部がエッチングされ、犠牲充填材料が基板の開口部にエピタキシャル成長される。開口部のエッチングは、方法100のブロック102で上述したように実行され、犠牲充填材料は、方法100のブロック104で上述したように堆積される。
図6の断面
図600において、基板602の開口部612は、犠牲充填材料610で部分的に充填されている。開口部612は、第1の誘電体層604および第2の誘電体層606を貫通する。Epi構造の交互層608が、犠牲充填材料610の上に形成されている。ブロック204において、トランジスタのソース/ドレインが、犠牲充填材料610上に形成される。
図7の断面
図700において、Epiソース/ドレイン構造706が、犠牲充填材料610上に形成される。ブロック206において、ゲート708が、Epiソース/ドレイン構造706上に形成され、相互接続信号ライン702が、トランジスタの上に形成されて、
図7の断面
図700に示されるようにトランジスタ704の表側構造が完成する。ブロック208において、基板602を裏返して、
図8の
図800に示されるように基板602の裏側を露出させる。ブロック210において、基板材料を除去して犠牲充填材料を露出させる。基板材料は、化学機械研磨(CMP)などで除去することができる。ブロック212において、犠牲充填材料を選択的にエッチングして、犠牲充填材料を除去する。ブロック214において、Epiソース/ドレイン構造706のための自己整合裏側電力レールビアまたはコンタクト802が、除去された犠牲充填材料の代わりに導電性材料を堆積させることによって形成される。トランジスタ構造704は、他の電力ビアおよび裏側電力レールならびにそれらへの接続部と一緒に、裏側上の絶縁材料の追加の層などのさらなる処理を受けることができる。
【0023】
図9は、裏側電力レール904および裏側絶縁層910とともに示されたトランジスタ構造704の断面
図900である。裏側電力レール904は、いくつかの再分配層(RDL)906およびビア908を通してトランジスタ構造704のEpiソース/ドレイン構造706の裏側電力レールまたはコンタクト802に電気的に接続される。裏側電力レールまたはコンタクト802は、Epiソース/ドレイン構造706に自己整合され、Epiソース/ドレイン構造706の直下に位置づけられ、それにより、基板上のトランジスタ面積の大幅な低減が可能になる。トランジスタ構造704に必要とされる面積の低減により、実質的により高いトランジスタ密度を達成することができる。加えて、トランジスタ構造704の上の電力レールを除去することにより、妨げるもののない相互接続信号ライン902が可能になり、電力ラインからのあり得るクロストークおよびノイズが除去される。トランジスタ構造704の上方から電力レールを除去することにより、さらに、有利には、相互接続信号ライン密度を増加させることができる。
【0024】
本明細書に記載の方法は、個々のプロセスチャンバで実行することができ、このプロセスチャンバは、スタンドアロン構成で用意されてもよく、またはクラスタツール、例えば
図10に関して以下で説明する統合ツール1000(すなわち、クラスタツール)の一部として用意されてもよい。統合ツール1000を使用する利点は、真空破壊がなく、それゆえに、エッチングプロセスの後のエピタキシャル成長チャンバ内での処置の前に基板をガス抜きおよび前洗浄する必要がないことである。統合ツール1000は、真空気密処理プラットフォーム1001、ファクトリインターフェース1004、およびシステムコントローラ1002を含む。処理プラットフォーム1001は、真空基板移送チャンバ(移送チャンバ1003A、1003B)に動作可能に結合された1014A、1014B、1014C、1014D、1014E、および1014Fなどの多数の処理チャンバを含む。ファクトリインターフェース1004は、1つまたは複数のロードロックチャンバ(
図10に示される1006Aおよび1006Bなどの2つのロードロックチャンバ)によって移送チャンバ1003Aに動作可能に結合される。
【0025】
いくつかの実施形態では、ファクトリインターフェース1004は、半導体基板の移送を容易にするために、少なくとも1つのドッキングステーション1007および少なくとも1つのファクトリインターフェースロボット1038を含む。ドッキングステーション1007は、1つまたは複数の前方開口型統一ポッド(FOUP)を受け入れるように構成される。
図10の実施形態には、1005A、1005B、1005C、および1005Dなどの4つのFOUPが示される。ファクトリインターフェースロボット1038は、ファクトリインターフェース1004から1006Aおよび1006Bなどのロードロックチャンバを通して処理プラットフォーム1001に基板を移送するように構成される。ロードロックチャンバ1006Aおよび1006Bの各々は、ファクトリインターフェース1004に結合された第1のポートと、移送チャンバ1003Aに結合された第2のポートとを有する。ロードロックチャンバ1006Aおよび1006Bは、圧力制御システム(図示せず)に結合され、圧力制御システムは、移送チャンバ1003Aの真空環境とファクトリインターフェース1004の実質的に周囲(例えば、大気)環境との間で基板を通過させやすくするために、ロードロックチャンバ1006Aおよび1006Bをポンプダウンし排気する。移送チャンバ1003A、1003Bは、それぞれの移送チャンバ1003A、1003Bに配置された真空ロボット1042A、1042Bを有する。真空ロボット1042Aは、ロードロックチャンバ1006A、1006Bと、処理チャンバ1014Aおよび1014Fと、冷却ステーション1040または前洗浄ステーション1042との間で基板1021を移送することができる。真空ロボット1042Bは、冷却ステーション1040または前洗浄ステーション1042と、処理チャンバ1014B、1014C、1014D、および1014Eとの間で基板1021を移送することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、処理チャンバ1014A、1014B、1014C、1014D、1014E、および1014Fは、移送チャンバ1003A、1003Bに結合される。処理チャンバ1014A、1014B、1014C、1014D、1014E、および1014Fは、少なくともエピタキシャル成長堆積チャンバおよびエッチングチャンバを含む。いくつかの実施形態では、統合ツール1000は、原子層堆積(ALD)プロセスチャンバおよび物理的気相堆積(PVD)プロセスチャンバをさらに含むことができる。CVDチャンバ、アニーリングチャンバなどのような追加のチャンバをさらに設けることができる。エピタキシャル成長堆積チャンバおよびエッチングチャンバは、上述で論じたような本明細書に記載の方法のすべてまたは一部を実行するのに適する任意のチャンバを含むことができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のオプションのサービスチャンバ(1016Aおよび1016Bとして示される)が、移送チャンバ1003Aに結合されてもよい。サービスチャンバ1016Aおよび1016Bは、ガス抜き、配向、基板計測、冷却などのような他の基板プロセスを実行するように構成されてもよい。
【0027】
システムコントローラ1002は、プロセスチャンバ1014A、1014B、1014C、1014D、1014E、および1014Fの直接制御を使用して、または、代替として、プロセスチャンバ1014A、1014B、1014C、1014D、1014E、および1014F、ならびにツール1000に関連するコンピュータ(またはコントローラ)を制御することによってツール1000の動作を制御する。動作中、システムコントローラ1002は、それぞれのチャンバおよびシステムからのデータ収集およびフィードバックを可能にして、ツール1000の性能を最適化する。システムコントローラ1002は、一般に、中央処理装置(CPU)1030、メモリ1034、およびサポート回路1032を含む。CPU1030は、工業環境で使用することができる任意の形態の汎用コンピュータプロセッサとすることができる。サポート回路1032は、従来、CPU1030に結合され、キャッシュ、クロック回路、入力/出力サブシステム、電源、などを含むことができる。上述のような方法などのソフトウェアルーチンは、メモリ1034に格納され、CPU1030によって実行されると、CPU1030を特定用途コンピュータ(システムコントローラ)1002に変換して、上述の方法を実行することができる。ソフトウェアルーチンはまた、ツール1000から遠隔に配置された第2のコントローラ(図示せず)によって格納および/または実行されてもよい。
【0028】
本原理による実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組合せで実施され得る。実施形態は、さらに、1つまたは複数のプロセッサによって読み取られ実行され得る、1つまたは複数のコンピュータ可読媒体を使用して格納された命令として実施され得る。コンピュータ可読媒体は、マシン(例えば、コンピューティングプラットフォーム、または1つまたは複数のコンピューティングプラットフォーム上で動作する「仮想マシン」)によって読み取り可能な形態で情報を格納または送信するための任意の機構を含むことができる。例えば、コンピュータ可読媒体は、任意の適切な形態の揮発性または不揮発性メモリを含むことができる。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読媒体は、非一時的コンピュータ可読媒体を含むことができる。
【0029】
前述は本原理の実施形態を対象としているが、本原理の他のおよびさらなる実施形態が、本原理の基本範囲から逸脱することなく考案され得る。
【国際調査報告】