IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インテグリス・インコーポレーテッドの特許一覧

特表2025-505426微量金属を除去するための膜及び方法
<>
  • 特表-微量金属を除去するための膜及び方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-26
(54)【発明の名称】微量金属を除去するための膜及び方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 61/14 20060101AFI20250218BHJP
   B01D 71/36 20060101ALI20250218BHJP
【FI】
B01D61/14 500
B01D71/36
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544949
(86)(22)【出願日】2023-01-30
(85)【翻訳文提出日】2024-09-04
(86)【国際出願番号】 US2023011895
(87)【国際公開番号】W WO2023150086
(87)【国際公開日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】63/305,512
(32)【優先日】2022-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハムズィク, ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】チー, イン
(72)【発明者】
【氏名】ブリュースター, ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】マハラジャン, クスム
(72)【発明者】
【氏名】スナイダー, ルーカス ベンジャミン
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA06
4D006GA07
4D006HA21
4D006JA04Z
4D006JA08Z
4D006JA27Z
4D006MA02
4D006MA10
4D006MA13
4D006MA14
4D006MB07
4D006MC30X
4D006MC38X
4D006MC74X
4D006MC78X
4D006NA44
4D006NA46
4D006PB08
4D006PB13
4D006PB27
4D006PC01
(57)【要約】
本開示は、有機液体に浸漬されると電荷を有するモノマーを含む、架橋重合モノマーでコーティングされた特定の多孔質ポリマー膜を提供する。本開示の膜は、微量の金属不純物を除去し、それにより超高純度の有機液体を提供するのに有用である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.ポリ(テトラフルオロエチレン)を含む多孔質膜であって、膜はその上にコーティングを有し、該コーティングは少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つの架橋剤の重合から調製され、該モノマーは有機液体中で正電荷を有する、多孔質膜と、
b.ポリ(テトラフルオロエチレン)を含む多孔質膜であって、膜はその上にコーティングを有し、該コーティングは少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つの架橋剤の重合から調製され、該モノマーは有機液体中で負電荷を有する、多孔質膜と
を含み、
リチウム、ホウ素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、銀、スズ、バリウム、及び鉛のイオンから選択される金属イオンを1ppb含む供給ストリームからの、リチウム、ホウ素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、銀、スズ、バリウム、及び鉛のイオンから選択される1又は複数の金属イオンの90%を超える全除去効率を示す膜アセンブリ。
【請求項2】
リチウム、ホウ素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、銀、スズ、バリウム、及び鉛のイオンから選択されるすべての金属イオンに対して90%を超える全除去効率を示す、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
金属イオンが、鉄イオン、ニッケルイオン、クロムイオン、銅イオン、及びアルミニウムAlイオンから選択される、請求項1又は2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
金属イオンが、マンガンイオン、マグネシウムイオン、及び亜鉛イオンから選択される、請求項1又は2に記載のアセンブリ。
【請求項5】
金属イオンが、鉄イオン、ニッケルイオン、及びクロムイオンから選択される、請求項1又は2に記載のアセンブリ。
【請求項6】
有機液体中で正電荷を有するモノマーが、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する第四級アンモニウム化合物である、請求項1から5のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
第四級アンモニウム化合物が、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムブロミド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、及びビニルベンジルトリメチルアンモニウムブロミドから選択される、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
架橋剤が、メチレンビス(アクリルアミド)、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアメタクリレート、ジビニルスルホン、ジビニルベンゼン、1,3,5-トリアリル-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン98%、エチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルポリエチレングリコール、及びトリアリルアミンから選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
供給ストリームが、PGME/PGMEA溶液(体積で、70:30)、PGMEA、n-ブチルアセテート、又はシクロヘキサノンを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のアセンブリを含むフィルタ装置。
【請求項11】
複数の膜を含むフィルタ装置であって、
a.ポリ(テトラフルオロエチレン)を含む多孔質膜であって、膜はその上にコーティングを有し、該コーティングは少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つの架橋剤の重合から調製され、該モノマーは有機液体中で正電荷を有する、多孔質膜と、
b.ポリ(テトラフルオロエチレン)を含む多孔質膜であって、膜はその上にコーティングを有し、該コーティングは少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つの架橋剤の重合から調製され、該モノマーは有機液体中で負電荷を有する、多孔質膜と
を含み、
PGME/PGMEA溶液(体積で、70:30)に8時間浸漬された時に、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、鉄、及び亜鉛のイオンから選択される少なくとも1つの金属イオンを0.080ppb未満生成するフィルタ装置。
【請求項12】
正電荷を有するモノマーが、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する第4級アンモニウム化合物である、請求項11に記載のフィルタ装置。
【請求項13】
第四級アンモニウム化合物が、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムブロミド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、及びビニルベンジルトリメチルアンモニウムブロミドから選択される、請求項12に記載のフィルタ装置。
【請求項14】
架橋剤が、メチレンビス(アクリルアミド)、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアメタクリレート、ジビニルスルホン、ジビニルベンゼン、1,3,5-トリアリル-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン98%、エチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルポリエチレングリコール、及びトリアリルアミンから選択される、請求項11から13のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項15】
ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、鉄、及び亜鉛の各イオンから、0.080ppb未満の金属イオンを生成する、請求項11から14のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項16】
ポリ(テトラフルオロエチレン)を含む多孔質膜であって、
膜はコーティングを有し、
コーティングは、少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つの架橋剤の重合から調製され、
該モノマーは有機液体中で正電荷を有し、
該モノマーは少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する第4級アンモニウム化合物である
多孔質膜。
【請求項17】
第四級アンモニウム化合物が、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムブロミド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、及びビニルベンジルトリメチルアンモニウムブロミドから選択される、請求項16に記載の膜。
【請求項18】
少なくとも1つのモノマーが、有機液体中で負電荷を有するモノマーをさらに含む、請求項17に記載の膜。
【請求項19】
有機液体中で負電荷を有するモノマーが、2-エチルアクリル酸、アクリル酸、2-カルボキシエチルアクリレート、3-スルホプロピルアクリレートカリウム塩、2-プロピルアクリル酸、2-(トリフルオロメチル)アクリル酸、メタクリル酸、2-メチル-2-プロペン-1-スルホン酸ナトリウム塩、モノ-2-(メタクリロイルオキシ)エチルマレエート、3-スルホプロピルメタクリレートカリウム塩、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、3-メタクリルアミドフェニルボロン酸、ビニルスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、及びビニルホスホン酸から選択される、請求項16から18のいずれか一項に記載の膜。
【請求項20】
有機液体中で負電荷を有するモノマーがアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸である、請求項19に記載の膜。
【請求項21】
請求項16から20のいずれか一項に記載の膜を含むフィルタ装置。
【請求項22】
有機液体から金属汚染物質を除去する方法であって、液体を(i)請求項1から9のいずれか一項に記載の膜アセンブリ、(ii)請求項10から15及び21のいずれか一項に記載のフィルタ装置、又は(iii)請求項16から20のいずれか一項に記載の膜に通過させることを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、溶媒、特にフォトレジスト化学物質などの液体から微量金属を除去するのに有用な膜に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]フィルタ製品は、有用な流体の流れから不要な物質を除去するために使用される、現代産業に欠かせないツールである。フィルタを使用して処理される有用な流体には、水、液体工業用溶剤及び処理流体、製造又は処理(半導体製造など)に使用される工業用ガス、医療又は製薬用途の液体などがある。液体から除去される不要な物質には、粒子、微生物、溶解した化学種などの不純物や汚染物質が含まれる。フィルタ用途の具体例には、半導体及びマイクロエレクトロニクスデバイス製造用の液体材料での使用が含まれる。
【0003】
[0003]ろ過機能を実行するために、フィルタは、フィルタ膜を通過する流体から不要な物質を除去する役割を果たすフィルタ膜を含む。フィルタ膜は、必要に応じて、平らなシートの形態であり得、これは、(例えば、らせん状に)巻かれた、平坦な、プリーツを設けられた、又はディスク形状であり得る。あるいはまた、フィルタ膜は、中空繊維の形態であり得る。フィルタ膜は、ハウジング内に収容されるか、又は他の方法で支持されて、ろ過される流体がフィルタ入口を通って入り、フィルタ出口を通過する前にフィルタ膜を通過する必要があるようにすることができる。
【0004】
[0004]フィルタ膜は、フィルタの用途、すなわちフィルタによって実行されるろ過の種類に基づいて選択できる平均孔径を有する多孔質構造で構築することができる。典型的な孔径は、ミクロン又はサブミクロンの範囲、例えば、約0.001ミクロン~約10ミクロンである。平均孔径が約0.001~約0.05ミクロンの膜は、時に、限外ろ過膜として分類される。孔径が約0.05~10ミクロンの膜は、時に、ミクロポーラス膜と呼ばれる。
【0005】
[0005]ミクロン又はサブミクロン範囲の孔径を有するフィルタ膜は、ふるい分け機構又は非ふるい分け機構、あるいはその両方によって流体の流れから不要な物質を除去するのに効果的である。ふるい分け機構は、フィルタ膜の表面で粒子を機械的に保持することによって液体の流れから粒子を除去するろ過モードであり、これは、粒子の動きを機械的に妨害し、粒子をフィルタ内に保持して、フィルタを通過する粒子の流れを機械的に防止するよう作用する。通常、粒子はフィルタの細孔よりも大きい可能性がある。「非ふるい分け」ろ過機構とは、ろ過膜が、流体の流れに含まれる懸濁粒子又は溶解物質を、機械的なものだけではない方法でろ過するろ過モードであり、例えば、粒子状又は溶解した不純物が静電気によってフィルタ表面に引き寄せられて保持され、流体の流れから除去される静電機構が含まれる。粒子は溶解している場合もあれば、フィルタ媒体の細孔よりも小さい粒子サイズの固体である場合もある。
【0006】
[0006]溶解したアニオン又はカチオンなどのイオン性物質を溶液から除去することは、マイクロエレクトロニクス産業など、非常に低濃度のイオン性汚染物質や粒子がマイクロプロセッサやメモリデバイスの品質と性能に悪影響を与える可能性がある多くの産業で重要である。
【0007】
[0007]有機溶媒から金属汚染物質を除去するための改良された方法論が依然として必要とされている。特に、例えばフォトレジスト用途などの半導体処理産業で使用される金属汚染物質の除去を可能にする材料が依然として必要とされており、フォトレジスト用途では、イオン性金属汚染物質の含有量が極めて少ない、すなわち、一兆分の一レベル(PPT)の溶媒が必要とされる。
【発明の概要】
【0008】
[0008]要約すると、本開示は、有機液体から微量の金属イオンを除去できる様々な多孔質膜、膜アセンブリ、及びフィルタ装置を提供する。いくつかの実施形態では、有機液体は、半導体及びマイクロエレクトロニクスデバイスの製造に使用される溶媒であり得、これには、フォトリソグラフィ用途に使用される溶媒が含まれるが、これに限定されない。特定の実施形態では、本開示の膜はポリ(テトラフルオロエチレン)から構成され、膜は少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つの架橋剤の重合から調製されたポリマーで少なくとも部分的にコーティングされ、少なくとも1つのモノマーは様々な荷電モノマーから選択される。本開示の膜アセンブリは、金属イオン除去効率が向上しており、本開示のデバイスは、アイドルモードで溶媒に配置されたときに、その中に含まれる多孔質ポリマー膜から浸出する各種金属イオンがわずかしかなく、驚くべきことに0.080ppb以下であることが判明したため、優れた性能を発揮する。この結果は、以下の実施例で示されるように、UPEポリマー骨格を有する同様の膜からの金属イオンの浸出を示すデータと比較することができる。本明細書に記載のコーティングは、本明細書に記載のモノマー及び架橋剤を含む、それらからなる、又はそれらから本質的になる1つ又は複数の架橋剤及び1つ又は複数のモノマーから調製される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】[0009]例示的なフィルタ装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0010]本明細書及び添付の特許請求の範囲の記述で使用される場合、単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」、及び「その(the)」には、内容が明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象が含まれる。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される「又は」という用語は、内容が明確に別のことを指示しない限り、一般に「及び/又は」を含む意味で使用される。
【0011】
[0011]「約」という用語は通常、記載された値と等価であると見なされる数値の範囲を指す(例えば、同じ機能又は結果を有する)。多くの場合、「約」という用語には、最も近い有効数字に丸められた数値を含み得る。
【0012】
[0012]エンドポイントを使用して表現される数値範囲には、その範囲に含まれるすべての数値を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5を含む)。
【0013】
[0013]第1の態様において、本開示は、膜アセンブリであって、
a.ポリ(テトラフルオロエチレン)を含み、膜上にコーティングを有し、該コーティングは少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つの架橋剤の重合から調製され、該モノマーは有機液体中で正電荷を有する、多孔質膜と、
b.ポリ(テトラフルオロエチレン)を含み、該膜はその上にコーティングを有し、該コーティングは少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つの架橋剤の重合から調製され、該モノマーは有機液体中で負電荷を有する、多孔質膜と
を含み、
アセンブリは、リチウム、ホウ素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、銀、スズ、バリウム、及び鉛のイオンから選択される金属イオンを1ppb含む供給ストリームからの、リチウム、ホウ素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、銀、スズ、バリウム、及び鉛のイオンから選択される1又は複数の金属イオンの90%を超える全除去効率を示す、膜アセンブリを提供する。
【0014】
[0014]ここで言及される膜アセンブリは、一般に、動作中に有機液体が通過する、互いに積み重ねられた2つ以上の膜のプリーツパックである。必要に応じて、膜の間にポリマースクリーンなどの支持材料を配置することもできる。
【0015】
[0015]上述のように、本明細書で改変された多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜は、精製された溶媒を提供することがわかった。基礎となるPTFE膜は市販されており、広く市場から入手可能である。本明細書に記載のPTFE膜は、平らなシート、波形シート、プリーツシート、中空糸など、様々な幾何学的構成を有することができる。多孔質膜は、等方性又は異方性、スキン付き又はスキンなし、対称又は非対称、これらの任意の組み合わせの孔構造を有することができ、又は1つ又は複数の保持層と1つ又は複数の支持層を含む複合膜であることができる。さらに、コーティングされた多孔質膜は、ウェブ、ネット、ケージなどによって支持されるか、又は支持されない可能性がある。
【0016】
[0016]本開示の膜を調製するために、本明細書にその全体が参照により組み込まれている米国特許公開第2020/0206691号の方法論を利用することができる。
【0017】
[0017]つまり、所望のペンダント官能基を有するコーティングで膜をコーティングすることにより、正電荷又は負電荷を有する特定の官能基をポリマー膜の表面に導入することができる。
【0018】
[0018]一般に、コーティングは特定の重合モノマーから形成された有機骨格で構成される。したがって、コーティングは、モノマー及び架橋剤を含む、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する様々なモノマーから調製することができ、フリーラジカル重合反応を開始することによって調製され、その後、PTFE膜の表面にコーティングが提供される。架橋剤は一般に二官能性モノマーである。重合性モノマーの多孔膜基材上への重合及び架橋は、多孔膜の内部細孔表面を含む多孔膜の少なくとも一部から表面全体が架橋ポリマーコーティングで改質されるように行われる。したがって、本開示は、多孔質膜の表面の所望の部分(0%超~100%)を架橋ポリマー組成物でコーティングすることを包含することを理解されたい。
【0019】
[0019]本開示の実施形態におけるコーティングに使用できる有機液体中の正電荷を有する例示的なモノマーとしては、これらに限定されないが、アクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル塩酸塩、[2-(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、2-アミノエチルメタクリレート塩酸塩、N-(3-アミノプロピル)メタクリレート塩酸塩、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート塩酸塩、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド溶液、[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、2-アミノエチルメタクリルアミド塩酸塩、N-(2-アミノエチル)メタクリルアミド塩酸塩、N-(3-アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、アリルアミン塩酸塩、ビニルイミダゾリウム塩酸塩、ビニルピリジニウム塩酸塩、及びビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、それらの単独で、又は2つ以上の組み合わせを含むことができる。上に挙げた正電荷を有するモノマーの中には、第四級アンモニウム基を含み、有機溶媒中で自然に帯電するものもあるが、第1級、第2級、第3級アミンを含むような正電荷を有する他のモノマーは、酸で処理することによって電荷を生じるように調整されることを理解されたい。有機溶媒中で自然に又は処理によって正に帯電することができるモノマーは、架橋剤によって重合及び架橋され、有機溶媒と接触したときにも正に帯電する多孔質膜上にコーティングを形成することができる。特定の実施形態では、有機液体中で正電荷を有するモノマーは、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムブロミド、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(CAS番号7398-69-8)、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムブロミド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド(CAS番号26616-35-3)、及びビニルベンジルトリメチルアンモニウムブロミドから選択される。特定の実施形態では、コーティングは、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドと少なくとも1つの架橋剤の重合から調製される。これらのモノマーの一部は第四級アンモニウム基を含み、極性溶媒中で自然に帯電するが、第1級、第2級、第3級アミンを含むなど正電荷を有する他のモノマーは、酸で処理することによって電荷を生成するように調整できることが理解されるべきである。また、このフリーラジカル重合コーティングは、上記のモノマーの塩化物又は塩酸塩形態を使用して調製することも、異なるハロゲン化物又はハロゲン化水素形態に変換することも、重合前に水酸化物形態に変換することもできることも理解されるべきである。したがって、このモノマーのリストには、関連するアニオンのバリエーション、つまり異なるハロゲン化物又は異なるハロゲン化物が含まれることが意図されている。特定の実施形態では、コーティングは、本明細書に記載された正に帯電したモノマーを含む、それらからなる、又はそれらから本質的になるモノマーから調製される(そして、1つ又は複数の架橋剤と組み合わせて使用される)。
【0020】
[0020]特定の実施形態では、多孔質PTFE膜上のコーティングは、正電荷を有する重合モノマーから調製される。本開示の実施形態は、互いに異なる(共重合体)か、又は同じ(ホモポリマー)正電荷を有する複数の重合モノマーを含み得ることを理解されたい。一実施形態では、正電荷を有する複数の重合モノマーのうちのいくつかは同一である。別の特定の実施形態では、正電荷を有する複数の重合モノマーのうちのいくつかは互いに異なる。正電荷を有する複数の重合モノマーは、互いに異なる、又は類似する1つ又は複数の特性を有し得る。このようなコーティングの特定の実施形態では、重合モノマーの1つ又は複数が互いに異なり、架橋剤によって他の重合モノマーに架橋された正電荷を有する共重合体を形成する。
【0021】
[0021]コーティングに使用できる有機液体中の負電荷を有するモノマーの例としては、これらに限定されないが、2-エチルアクリル酸、アクリル酸、2-カルボキシエチルアクリレート、3-スルホプロピルアクリレートカリウム塩、2-プロピルアクリル酸、2-(トリフルオロメチル)アクリル酸、メタクリル酸、2-メチル-2-プロペン-1-スルホン酸ナトリウム塩、モノ-2-(メタクリロイルオキシ)エチルマレエート、3-スルホプロピルメタクリレートカリウム塩、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、3-メタクリルアミドフェニルボロン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸のいずれか単独で、又はそれらの2つ以上の組み合わせを含むことができる。特定の実施形態では、負電荷を有するモノマーはスルホン酸を含む。上で挙げた負電荷を有するモノマーの中には、強酸基を含み有機溶媒中で自然に帯電するものもあるが、弱酸を含む負電荷を有する他のモノマーは、塩基処理によって電荷を生じるように調整されることを理解されたい。有機溶媒中で自然に又は処理によって負に帯電するモノマーは、少なくとも1つの架橋剤で重合及び架橋して、有機溶媒中で負に帯電する多孔質膜上にコーティングを形成することができる。特定の実施形態では、コーティングは、2-メチル-2-プロペン-1-スルホン酸塩(ナトリウム塩など)、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、及びビニルホスホン酸から選択されるモノマー、又はそれらの塩、及び少なくとも1つの架橋剤から調製される。
【0022】
[0022]一実施形態では、コーティングは、負電荷を有する複数の重合モノマーから調製される。一実施形態では、コーティングは、負電荷を有する複数の重合モノマーから調製される。一実施形態では、負電荷を有する複数のモノマーは同一である。別の特定の実施形態では、負電荷を有する複数のモノマーは互いに異なる。負電荷を有する複数のモノマーは、互いに異なる、又は類似する1つ又は複数の特性を有し得る。コーティングの実施形態では、負電荷を有する1つ又は複数の重合モノマーが、負電荷を有する他の1つ又は複数の重合モノマーと架橋される。別の実施形態では、コーティングは、同じ膜上又はそれぞれ別の膜上で架橋された、正に帯電した重合モノマーと負に帯電した重合モノマーの組み合わせから調製することができる。別の実施形態では、多孔膜は、架橋された正電荷を有する重合モノマーでコーティングされ、他の別個の多孔膜は、架橋された負電荷を有する重合モノマーを含む。別の実施形態では、正電荷及び負電荷を有する重合モノマーによるコーティングが架橋され、同じ多孔質ポリマー膜上に形成される。さらに他の実施形態では、架橋された重合モノマーを含むコーティングには、両性イオン性であり、有機液体中の同じモノマー上に正電荷と負電荷の両方を有するモノマーが含まれる。
【0023】
[0023]両性イオンモノマーは、同じモノマー骨格内に正電荷と負電荷の両方を有する。膜の表面で重合及び架橋できる両性イオンモノマーの非限定的な例は、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]ジメチル(3-スルホプロピル)アンモニウム水酸化物、[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチル-(3-スルホプロピル)アンモニウム水酸化物、2-(メタクリロイルオキシ)エチル2-(トリメチルアンモニオ)エチルリン酸、1-(3-スルホプロピル)-2-ビニルピリジニウム水酸化物、及びこれらの組み合わせを含む。
【0024】
[0024]さらなる実施形態では、約0~約10重量パーセントの非荷電モノマーの一部を重合反応に利用することができる(反応溶液の全重量に基づく)。このようなモノマーは、一般に、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、並びにビニル化合物から選択されるエチレン性不飽和モノマーである。
【0025】
[0025]上記の架橋剤は、任意にアミド官能基を有する、非荷電二官能性(すなわち、2つの炭素-炭素二重結合を有する)ビニルモノマー種、アクリルモノマー種又はメタクリルモノマー種である。このような架橋剤の非限定的な例は、メチレンビス(アクリルアミド)、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアメタクリレート、ジビニルスルホン、ジビニルベンゼン、1,3,5-トリアリル-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン98%、エチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルポリエチレングリコール、及びトリアリルアミンを含む。
【0026】
[0026]例として、重合性モノマーの多孔膜基材上への重合及び架橋は、多孔膜の選択された部分又は多孔膜の内面を含む表面全体が架橋ポリマーで改質されるように行うことができる。
【0027】
[0027]コーティングを形成するフリーラジカル重合反応に関しては、試薬浴は次から構成される。(1)エチレン性不飽和であり、少なくとも1つの荷電部分を有する少なくとも1つの重合性モノマー、(2)必要に応じて重合開始剤、及び(3)これら3つの成分に対する水溶性溶媒などの極性溶媒中の架橋剤を、モノマーの重合及び架橋、並びに得られた架橋ポリマーの多孔質ポリマー膜基板上への堆積をもたらす条件下で多孔質ポリマー膜基板と接触させる。溶媒が極性溶媒であっても、必要な程度の膜表面改質が得られる可能性がある。モノマーが二官能性であるか、又はより高い官能性を有する場合、追加の架橋剤は必要ないが、使用され得る。代表的な適切な極性溶媒は、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオン、グリセリン、又は2,2’-チオジエタノールなどのポリオール、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド、メタノールなどのアルコール、及びニトロベンゼン、2-フルアルデヒド、アセトニトリル、1-メチルピロリドンなどのニトロ置換芳香族化合物など、室温で25℃を超える誘電率を有する溶媒を含む。特定の溶媒は、架橋剤、モノマー、及び開始剤(存在する場合)を溶解するように選択される。
【0028】
[0028]上述のモノマー及び架橋剤に適した開始剤を使用することができる。例えば、適切な光開始剤は、ベンゾフェノン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、アゾイソプロパン、又は2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンなどを含む。適切な熱開始剤は、ジベンゾイルペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、クミルペルオキシド、t-ブチルペルベンゾエートなどの有機過酸化物、及びアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)又は4,4,’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)などのアゾ化合物を含む。
【0029】
[0029]特定の実施形態では、重合性モノマーは、反応溶液中に、全溶液の重量に基づいて約2%~約20%、又は約5%~約10%の濃度で存在する。架橋剤は、重合性モノマーの重量に基づいて、約2%と約10%の間の量で存在する。より多くの量の架橋剤を使用することができる。重合開始剤は、重合性モノマーの重量に基づいて、約1%と約10%の間の重量で存在する。上述のように、架橋剤はモノマーなしでも利用することができ、それによって重合性モノマーとして機能する。
【0030】
[0030]特定の実施形態では、イオン化可能な基の滴定により測定される、本開示の負に帯電した膜のHイオン交換容量は、約1~約100、約1~約40、又は約1~約10meq H/m膜である。(meq=ミリ当量)。同様に、イオン化可能な基の滴定により測定される、正負に帯電した膜のOHイオン交換容量は、約1~約100、約1~約40、又は約1~約10meq H/m膜である。
【0031】
[0031]重合と架橋は、モノマー反応システムを紫外線(UV)、熱源、又は電離放射線にさらすことによって実現することができる。重合及び架橋は、酸素が重合又は架橋を阻害しない環境で行われる。このプロセスは、モノマー、架橋剤、及び開始剤を含む溶液に膜基板を浸し、膜をポリエチレンなどの紫外線透過性シート2つの間に挟むか、窒素などの不活性ガスのブランケットに挟んで紫外線にさらすことによって簡単に実行することができる。このプロセスは連続的に実行することができ、UV照射が開始されると、目的の架橋コーティングが形成される。上述のように、反応物質の濃度と紫外線照射を制御することによって、コーティングされた膜が生成される。
【0032】
[0032]したがって、さらなる態様において、本開示は、ポリ(テトラフルオロエチレン)を含む多孔質膜を提供し、ここで、膜はコーティングを有し、該コーティングは少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つの架橋剤の重合から調製され、該モノマーは有機液体中で正電荷を有する。一実施形態では、モノマーは少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する第四級アンモニウム化合物である。別の実施形態では、第四級アンモニウム化合物は、ジアリルジメチルアンモニウムハロゲン化物、例えばジアリルジメチルアンモニウムクロリド又はジアリルジメチルアンモニウム臭化物、又はビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド又はビニルベンジルトリメチルアンモニウムブロミドから選択される。さらなる実施形態では、少なくとも1つのモノマーは、有機液体中で負電荷を有するモノマーをさらに含む。
【0033】
[0033]本開示の膜は、所望される場合、個別に、又は2つ以上の膜の組み合わせ又はアセンブリとして使用され得る。以下の実施例に示すように、正電荷を有する膜と負電荷を有する別の膜を膜アセンブリとして一緒に使用すると、様々な有機液体中の様々な金属イオン汚染物質の除去効率において優れた性能が示された。したがって、さらなる態様において、本開示は、以下を含む膜アセンブリを提供する:
a.ポリ(テトラフルオロエチレン)を含み、膜上にコーティングを有し、該コーティングは少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つの架橋剤の重合から調製され、該モノマーは有機液体中で正電荷を有する、多孔質膜と、
b.ポリ(テトラフルオロエチレン)を含み、膜上にコーティングを有し、該コーティングは少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つの架橋剤の重合から調製され、該モノマーは有機液体中で負電荷を有する、多孔質膜と
を含み、
膜アセンブリは、リチウム、ホウ素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、銀、スズ、バリウム、及び鉛のイオンから選択される金属イオンを1ppb含む供給ストリームからの、リチウム、ホウ素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、銀、スズ、バリウム、及び鉛のイオンから選択される1又は複数の金属イオンの90%を超える全除去効率を示す。
【0034】
[0034]また、以下の実施例に示すように、正極膜と負極膜とを含むフィルタ装置では、膜のポリマー骨格からのものと考えられる特定の金属イオンの浸出が大幅に減少したことも示された。したがって、さらなる態様において、本開示は、
a.ポリ(テトラフルオロエチレン)を含み、膜は、その上にコーティングを有し、該コーティングは少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つの架橋剤の重合から調製され、該モノマーは有機液体中で正電荷を有する多孔質膜と
b.ポリ(テトラフルオロエチレン)を含み、膜上にコーティングを有し、該コーティングは少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つの架橋剤の重合から調製され、該モノマーは有機液体中で負電荷を有する多孔質膜と
を含む複数の膜を含み、
PGME/PGMEA溶液(体積で、70:30)に8時間浸漬された時に、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、鉄、亜鉛のイオンから選択される金属イオンを0.080ppb未満生成する
フィルタ装置を提供する。
【0035】
[0035]また、本開示の方法には、液体であってもよい一連の有機液体から、単独又は2つ以上の組み合わせで金属汚染物質を除去することが含まれることも理解されるべきである。有機液体の非限定的な例は、シクロヘキサノン、イソペンチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、メチルイソブチルカルビノール、N-ブチルアセテート、メチル-2-ヒドロキシイソブチレート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)とPGMEAの混合溶液(混合比7:3、表面張力27.7mN/m)を含み、これらの単独又は2種以上の組み合わせでもよい。特定の実施形態は、シクロヘキサノン及びPGMEAなど、水と混和しない有機液体を含むが、これらに限定されない。一実施形態では、水と混和しないということは、水100ml当たり19.8gまで水に溶解することを意味する。
【0036】
[0036]それ故、本発明の膜、膜アセンブリ、及びフィルタ装置は、有機液体から金属イオン汚染物質を除去するのに有用である。本開示の実施形態は、互いに異なる複数の有機液体の組み合わせから金属汚染物質を除去することを含む。特定の実施形態は、フォトレジストに使用される溶剤を含む。フォトレジストに使用される溶剤の例は、メチルアミルケトン、エチル-3-エトキシプロピオネート、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、メタノール、エチルアセテート、エチルラクテートなどの液体を含むが、これらに限定されるものではなく、単独又は2種以上の組み合わせで使用できる。
【0037】
[0037]本開示の方法は、指定がない限り、様々な行為又は工程の順序、頻度、又は順番によって制限されず、必要に応じて繰り返すことができる。
【0038】
[0038]上述のように、この方法は、指定がない限り、順序や順番に制限されず、必要に応じて繰り返すことができる。別の実施形態では、負電荷を有する架橋モノマーを有する膜が第1の膜であり、正電荷を有する架橋モノマーを有する膜が第2の膜である。さらに、正電荷と負電荷を有する重合モノマーの組み合わせを多孔質高分子膜上にコーティングすることもできる。別の実施形態では、正電荷及び負電荷を有する重合モノマーによるコーティングが同じ膜上にある。一実施形態では、2層膜スタックの第1の膜は、同じ膜上に正電荷及び負電荷を有する重合モノマーによるコーティングを含むことができる。別の実施形態では、2層膜スタックの第2の膜は、同じ膜上に正電荷及び負電荷を有する重合モノマーによるコーティングを含むことができる。指定がない限り、シーケンス、頻度、又は順序は変更してもよい。第1膜と第2膜は、互いに異なる、又は異なる効率で金属汚染物質を効果的に除去できることが理解されるべきである。
【0039】
[0039]別の実施形態は、複数の層を有する多孔質ポリマー膜アセンブリに有機液体を通過させることによって、有機液体から金属汚染物質を除去する方法を含む。多孔質ポリマー膜アセンブリは、第1層(又は膜)と第2層(又は膜)を含む。第1層には、正電荷を有する1つ又は複数の架橋重合モノマーを含むコーティングを含む。第2層には、負電荷を有する1つ又は複数の架橋重合モノマーを含むコーティングを含む。有機液体は、多孔質ポリマー膜を通過した後、金属汚染物質の低い濃度を有する。特定の実施形態では、有機液体はフォトレジストに使用される液体を含む。正電荷と負電荷を有する重合モノマーの組み合わせをポリマー膜の層にコーティングすることができる。膜の異なる層及び膜を収容する装置では、互いに異なる、又は異なる効率で金属汚染物質を効果的に除去できることが理解されるべきである。
【0040】
[0040]特定の実施形態では、除去される金属汚染物質は、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sr、Mo、Ag、Cd、Sn、Ba、及びPbイオンを、単独又は2つ以上の組み合わせで含む。別の実施形態では、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、Pb、Mg、Mn、Ni、K、Na、Sn、Ti、Znなどの金属汚染物質は、単独で、又は2つ以上の組み合わせで除去される。特定の実施形態では、Fe、Ni、Cr、Cu、Alなどの金属汚染物質は、個別に、又は2つ以上の組み合わせで除去される。一実施形態では、Fe、Ni、Crなどの金属汚染物質は、個別に、又は2つ以上の組み合わせで除去される。一実施形態では、水と混和しない有機液体を多孔質膜又は多孔質膜アセンブリに通した後、水と混和しない有機液体から金属汚染物質を除去する場合、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、Pb、Mg、Mn、Ni、K、Na、Sn、Ti、Znなどの金属汚染物質の除去効率は、水と混和しない有機液体から金属汚染物質を除去する場合、約90%、約92%、約95%、又は約97%である。以下に示す例では、膜面積が1000cmの装置に、それぞれの液体の溶液1200mlを注入した。特定の実施形態では、金属汚染物質の除去効率は、以下の表2に詳述されているように、90%、92%、95%、97%を超え、100%に近づいている。言い換えれば、上記に挙げた金属種の1つ又は複数についての有機液体供給ストリーム中の金属汚染物質濃度は、コーティングされた多孔質PTFE膜の1つ又は複数を通過した後に、初期供給濃度の約99%、98%、97%、96、95%、94%、93%、92%、91%、90%、又は85%減少する。いくつかの実施形態では、有機液体供給ストリーム中の金属汚染物質濃度は150ppbv/v以下であり、金属汚染物質の除去は、本明細書に記載の1000cmのコーティングされた多孔質膜を含む装置に有機液体供給ストリームを毎分60ミリリットル(ml/分)の流量で通過させ、処理された排出有機液体を測定することによって測定される。いずれの場合も、ここでの金属汚染物質への言及には、金属(すなわち、ゼロ価)及びイオン性金属汚染物質の両方が含まれる。
【0041】
[0041]いくつかの実施形態では、以下の実施例6に示すように、1つ又は複数のコーティングされた多孔質PTFE膜を含むフィルタ装置は、PGME/PGMEA溶液(体積で、70:30)に8時間浸漬された時に、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、鉄、及び亜鉛のイオンから選択される少なくとも1つの金属イオンを0.080ppb未満生成する。いくつかの実施形態では、上記のように8時間浸漬されたフィルタ装置は、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、鉄、及び亜鉛のイオンから選択される各金属イオンを0.080ppb未満生成する。
【0042】
[0042]別の態様では、本発明は、本発明の膜の1つ又は複数を含むろ過装置を提供する。プリーツ円筒形のフィルタ膜を含むフィルタ構造の一例は、以下の構成部品を含むように調製することができ、これらの部品はいずれもフィルタ構造に含めることができるが、必要ではない場合がある。プリーツ円筒形コーティングフィルタ膜の内部開口部でプリーツ円筒形コーティングフィルタ膜を支持する剛性又は半剛性のコア;プリーツ円筒形コーティングフィルタ膜の外部でプリーツ円筒形コーティングフィルタ膜の外部を支持するか取り囲む剛性又は半剛性のケージ;プリーツ円筒形コーティングフィルタ膜の2つの対向する端部のそれぞれに配置されるオプションのエンドピース又は「パック」;及び入口と出口を含むフィルタハウジング。フィルタハウジングは、任意の有用かつ所望のサイズ、形状、及び材料にすることができ、好ましくは適切なポリマー材料で作ることができる。
【0043】
[0043]一例として、図1は、プリーツ円筒状構成部材10と端部ピース22とその他の任意選択的構成部材から構成されるフィルタ構成部材30を示している。円筒状構成部材10は、本明細書で説明するように、フィルタ膜12を含み、プリーツ状である。いくつかの実施形態では、フィルタ膜12は複数の膜の膜アセンブリであり、個々の膜の間には任意のセパレータ材料が配置される。エンドピース22は、円筒状フィルタ構成部材10の一端に取り付けられる(例えば、「ポッティング」される)。端部ピース22は、好ましくは、溶融加工可能なポリマー材料から作製することができる。プリーツ円筒状構成部材10の内部開口部24にコア(図示せず)を配置することができ、プリーツ円筒状構成部材10の外側にケージ(図示せず)を配置することができる。 第2の端部ピース(図示せず)は、プリーツ円筒状構成部材30の第2の端部に取り付け(「ポッティング」)ることができる。得られたプリーツ円筒状構成部材30は、2つの対向するポッティング端と、及び任意選択のコア及びケージとを含み、入口と出口を含むフィルタハウジングに配置される。なぜなら、入口から流入する流体の全量は、出口からフィルタを出る前に必ずろ過膜12を通過しなければならないからである。
【0044】
[0044]実施例
[0045]実施例1
[0046]この例では、多孔質ポリエチレン(UPE)膜の表面を、負電荷を有する重合モノマーを含むコーティングで改質する方法(負のUPE膜)を示す。
【0045】
[0047]以下の成分を含む表面改質モノマー溶液を作製した。0.3% Irgacure 2959、6%メタノール、5.6%アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(AMPS)、2.5%メチレンビスアクリルアミド(MBAm)架橋剤、及び85.6%水(これらの例のパーセンテージは、重合溶液混合物の全重量に基づく重量パーセントである)。
【0046】
[0048]負電荷を有する重合モノマーを有するコーティングで表面改質された多孔質UPE膜は、以下の方法によって製造される。最初に、47mmのUPE多孔質膜(厚さ84μm、イソプロパノール(IPA)中の平均バブルポイント27psi、Entegris, Inc.)のディスクをIPA溶液で25秒間湿らせた。(バブルポイント試験法では、多孔質ポリマーフィルタ膜の試料を表面張力がわかっている液体に浸して湿らせ、サンプルの片側にガス圧を加える。)ガス圧は徐々に上昇させる。ガスが試料を流れる最小圧力は、バブルポイントと呼ばれる。多孔質材料のバブルポイントを決定するには、多孔質材料の試料を20~25℃(例えば、22℃)の温度でイソプロパノールに浸して湿らせる。圧縮空気を用いて試料の片側にガス圧を加え、徐々にガス圧を高めていく。次に、10%ヘキシレングリコールと90%水を含む交換溶液を使用して膜を洗浄し、IPAを除去した。次に、多孔質膜ディスクを表面改質モノマー溶液に導入し、2分間沈めたままにした。多孔質膜ディスクを表面改質モノマー溶液から取り出し、透明なポリエチレンシート間に置いた。余分な溶液は、ポリエチレン/膜ディスク/ポリエチレンのサンドイッチをテーブルの上に平らに置き、その上にゴムローラを転がして除去した。次に、ポリエチレンサンドイッチを輸送ユニットにテープで固定し、200~600nmの波長を放射するFusion SystemsのブロードバンドUV露光実験ユニットを介してアセンブリを搬送した。露光時間は、アセンブリがUVユニットを通過する速度によって制御した。この例では、アセンブリを、UVチャンバ内を毎分10フィートの速度で移動させた。UVユニットから出た後、膜はサンドイッチから取り出され、すぐにDI水に置かれ、5分間浸漬させた。次に、処理した膜試料をメタノールに移し、5分間浸漬させた。この浸漬手順の後、膜を、50℃で10分間稼働するオーブン内のホルダー上で乾燥させた。上記のように変更された膜の水流時間は400秒/500mLでしあった。Hイオン交換容量はイオン化可能な基の滴定により測定され、膜1m当たり4.2meq Hと判定された。(meq=ミリ当量)。得られた膜は親水性であり、脱イオン水に沈められると自然に濡れる。
【0047】
[0049]実施例2
[0050]この例では、多孔質ポリエチレン(UPE)膜の表面を、正電荷を有する重合モノマーを含むコーティングで改質する方法を示す(正UPE膜)。以下の成分を含む表面改質モノマー溶液が作られた。0.3%Irgacure 2959、10%メタノール、5.5%(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、2.0%N,N-ジメチルアクリルアミド(DMAM)、1.5%メチレンビスアクリルアミド(MBAm)架橋剤、及び80.7%水。
【0048】
[0051]負電荷を有する重合モノマーを有するコーティングで表面改質された多孔質PTFE膜は、以下の方法によって製造される。最初に、47mmのPTFE多孔質膜(厚さ84um、IPAでの平均泡立ち点27psi)のディスクをIPA溶液で25秒間湿らせる。次に、10%のヘキシレングリコールと90%の水を含む交換溶液を使用して膜を洗浄し、IPAを除去する。次に、多孔質膜ディスクを表面改質モノマー溶液に導入し、2分間沈めたままにした。多孔質膜ディスクを表面改質モノマー溶液から取り出し、透明なポリエチレンシート間に置いた。余分な溶液は、ポリエチレン/膜ディスク/ポリエチレンのサンドイッチをテーブルの上に平らに置き、その上にゴムローラを転がして除去した。次に、ポリエチレンサンドイッチを輸送ユニットにテープで固定し、200~600nmの波長を放射するFusion SystemsのブロードバンドUV露光実験ユニットを介してアセンブリを搬送した。露光時間は、アセンブリがUVユニットを通過する速度によって制御した。この例では、アセンブリを、UVチャンバ内を毎分10フィートの速度で移動させた。UVユニットから出た後、膜はサンドイッチから取り出され、すぐにDI水に置かれ、5分間浸漬させた。次に、処理した膜試料をメタノールに移し、5分間浸漬させた。この浸漬手順の後、膜を、50℃で10分間稼働するオーブン内のホルダー上で乾燥させた。上記のように改質された膜の水流時間は780秒/500mLであった。OHイオン交換容量はイオン化基の滴定により測定され、2.5meq OH/m膜と判定された。得られた膜は親水性であり、脱イオン水に沈められると自然に濡れる。
【0049】
[0052]実施例3
[0053]この実施例では、多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜の表面を、負電荷を有する重合モノマーを有するコーティング(負電荷PTFE膜)で改質する方法を示す。
【0050】
[0054]以下の成分を含む表面改質モノマー溶液を作製した。0.3%Irgacure 2959、10%メタノール、5.6%アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(AMPS)、2.5%メチレンビスアクリルアミド(MBAm)架橋剤、及び81.6%水(重量比)。
【0051】
[0055]負電荷を有する重合モノマーを有するコーティングで表面改質された多孔質PTFE膜は、以下の方法によって製造される。最初に、47mmのPTFE多孔質膜(厚さ60um、IPAでの平均泡立ち点25psi)のディスクをIPA溶液で25秒間湿らせる。次に、10%のヘキシレングリコールと90%の水を含む交換溶液を使用して膜を洗浄し、IPAを除去する。次に、多孔質膜ディスクを表面改質モノマー溶液に導入し、2分間沈めたままにした。多孔質膜ディスクを表面改質モノマー溶液から取り出し、透明なポリエチレンシート間に置いた。余分な溶液は、ポリエチレン/膜ディスク/ポリエチレンのサンドイッチをテーブルの上に平らに置き、その上にゴムローラを転がして除去した。次に、ポリエチレンサンドイッチを輸送ユニットにテープで固定し、200~600nmの波長を放射するFusion SystemsのブロードバンドUV露光実験ユニットを介してアセンブリを搬送した。露光時間は、アセンブリがUVユニットを通過する速度によって制御した。この例では、アセンブリを、UVチャンバ内を毎分10フィートの速度で移動させた。UVユニットから出た後、膜はサンドイッチから取り出され、すぐにDI水に置かれ、5分間浸漬させた。次に、処理した膜試料をメタノールに移し、5分間浸漬させた。この浸漬手順の後、膜を、50℃で10分間稼働するオーブン内のホルダー上で乾燥させた。上記のように変更された膜の水流時間は250秒/500mLであった。Hイオン交換容量はイオン化基の滴定により測定され、3.2meq H+/m膜と判定された。得られた膜は親水性であり、脱イオン水に沈められると自然に濡れる。
【0052】
[0056]実施例4
[0057]この実施例では、多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜の表面を、正電荷を有する重合モノマーを有するコーティングで改質する方法(正PTFE膜)を示す。
【0053】
[0058]以下の成分を含む表面改質モノマー溶液を作製した。0.3%Irgacure 2959、10%メタノール、4%(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、4%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、2.5%メチレンビスアクリルアミド(MBAm)架橋剤、及び79.2%水。
【0054】
[0059]負電荷を有する重合モノマーを有するコーティングで表面改質された多孔質PTFE膜は、以下の方法によって製造される。最初に、47mmのPTFE多孔質膜(厚さ60um、IPAでの平均泡立ち点24psi)のディスクをIPA溶液で25秒間湿らせる。次に、10%のヘキシレングリコールと90%の水を含む交換溶液を使用して膜を洗浄し、IPAを除去する。次に、多孔質膜ディスクを表面改質モノマー溶液に導入し、2分間沈めたままにした。多孔質膜ディスクを表面改質モノマー溶液から取り出し、透明なポリエチレンシート間に置いた。余分な溶液は、ポリエチレン/膜ディスク/ポリエチレンのサンドイッチをテーブルの上に平らに置き、その上にゴムローラを転がして除去した。次に、ポリエチレンサンドイッチを輸送ユニットにテープで固定し、200~600nmの波長を放射するFusion SystemsのブロードバンドUV露光実験ユニットを介してアセンブリを搬送した。露光時間は、アセンブリがUVユニットを通過する速度によって制御した。この例では、アセンブリを、UVチャンバ内を毎分10フィートの速度で移動させた。UVユニットから出た後、膜はサンドイッチから取り出され、すぐにDI水に置かれ、5分間浸漬させた。次に、処理した膜試料をメタノールに移し、5分間浸漬させた。この浸漬手順の後、膜は50℃で10分間稼働するオーブン内のホルダー上で乾燥させた。上記のように変更された膜の水の流量は370秒/500mLであった。OHイオン交換容量はイオン化基の滴定により測定され、3.2meq OH/m膜と判定された。得られた膜は親水性であり、脱イオン水に沈められると自然に濡れる。
【0055】
[0060]実施例5:様々なフォトリソグラフィ溶剤における金属除去効率
[0061]この実施例は、負電荷を有する重合モノマーを有するコーティングで表面改質された多孔質ポリエチレン(UPE)膜、正電荷を有する重合モノマーを有するコーティングで表面改質された多孔質UPE膜、及び負電荷を有する重合モノマーを有するコーティングで表面改質された多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜と正電荷を有する重合モノマーを有するコーティングで表面改質された多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜の膜アセンブリが、フォトリソグラフィで一般的に使用される溶媒中の金属を低減する能力を実証する。
【0056】
[0062]異なる精製器の47mmクーポン、負のUPE膜(実施例1に従って作製)、正のUPE膜(実施例2に従って作製)、及び正のPTFE膜(実施例4に従って作製)/負のPTFE膜(実施例3に従って作製)のアセンブリを使用して、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)/プロピレングリコールメチルエチルアセテート(PGMEA)(70/30)、プロピレングリコールメチルエチルアセテート(PGMEA)、シクロヘキサノン(CHN)、及びn-ブチルアセテート(n-BA)などの異なる極性及び非極性溶媒での金属除去性能を評価した。精製膜アセンブリは、まず事前に洗浄され、その後、清潔なPFA(パーフルオロアルコキシ)クーポンホルダーに取り付けられた。各試験溶媒には、SCP Science社のConostan(登録商標) OilStandard S-21を使用して、既知の濃度(21種類の金属を含む1ppb)が添加された。試料は、精製膜アセンブリの下流から50mL、100mL、150mLの容量間隔で収集された。供給試料とろ液試料は、Agilent ICPMS 8900を使用して分析され、3つの精製装置間の金属除去性能が評価された。結果は、個々の金属については表1a~表1dに除去率(%)で示され、全金属については表2に示す。以下に示すデータから、正のPTFE膜/負のPTFE膜は、試験されたすべての溶媒のすべての金属に対して、負及び正のUPE膜と同等かそれ以上の性能を示す。表2は、フォトリソグラフィで一般的に使用される様々な溶剤における平均総金属除去効率をまとめたものである。正のUPE膜は、様々な溶媒から金属のサブセットを除去でき、負のUPE膜も様々な溶媒から金属のサブセットを除去できるが、正のPTFEm膜/負のPTFE膜金属精製膜アセンブリは、幅広い溶媒極性にわたって90%を超える除去効率を達成することができる。
【0057】
[0063]ろ液150ml中の全金属濃度(1ppbの各金属のスパイク)
[0064]表1a PGME/PGMEA(70/30;体積:体積)
【0058】
[0065]表1b PGMEA
【0059】
[0066]表1c n-ブチルアセテート
【0060】
[0067]表1dシクロヘキサノン
【0061】
[0068]表2:負のUPE膜、正のUPE膜、正のPTFE膜の金属除去効率の比較/負のPTFE膜
【0062】
[0069]上記表に示すように、正のPTFE膜と負のPTFE膜の組み合わせは、UPE膜よりも予想外に優れた金属除去効率及び総金属除去効率を示した。
【0063】
[0070]実施例6:アイドル浸漬調査
[0071]負のUPE膜(実施例1に従って作製)及び正のPTFE膜(実施例4に従って作製)/負のPTFE膜(実施例3に従って作製)の新しいアセンブリをOptimizer(登録商標)Dカプセル(Entegris, Inc.)フォーマットに配置し、PGME/PGMEA(70/30)に浸漬させ、一定期間(1時間、8時間、及び24時間)アイドル状態のままにして、アイドル状態の精製器からの金属の浸出を調査した。両方の精製器に溶剤を充填し、最初の1時間浸漬させたままにした。1時間後、ICPMS分析のために試料を採取した。次に、両方のラインとオプティマイザーDを空にして、PGME/PGMEA(70/30)の新しいブレンドで満たし、8時間、最後に24時間浸漬させたままにした。試料はAgilent ICPMS 8900を使用して試験された。以下の表3は、PGME/PGMEA(70/30)のアイドル浸漬条件下でNa、Mg、Al、K、Ca、Fe、Znの金属イオンを除去する際の、負のUPE膜と正のPTFE膜/負のPTFE膜間の金属浸出挙動を経時的に示している。負のUPE膜は、Fe、Zn、Caなどの一般的な金属について、正のPTFE膜/負のPTFE膜と比較して、1時間で顕著な金属レベルを示します。負のUPE膜の場合、24時間浸漬させた後でも金属が浸出しているように見えるが、正のPTFE膜/負のPTFE膜の場合、時間の経過とともに金属浸出の挙動は見られず、1時間~8時間、そして24時間まで同じレベルの金属が見られる。
【0064】
[0072]表3:
【0065】
[0073]表3に示すように、正のPTFE膜と負のPTFE膜との組み合わせは、UPE膜よりも予想外に全体的な浸出挙動が良好であった。
【0066】
[0074]態様
[0075]第一の態様において、本開示は、
a.ポリ(テトラフルオロエチレン)を含み、膜はその上にコーティングを有し、該コーティングは少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つの架橋剤の重合から調製され、該モノマーは有機液体中で正電荷を有する、多孔質膜と、
b.ポリ(テトラフルオロエチレン)を含み、膜はその上にコーティングを有し、該コーティングは少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つの架橋剤の重合から調製され、該モノマーは有機液体中で負電荷を有する多孔質膜と
を含む複数の膜を含み、
リチウム、ホウ素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、銀、スズ、バリウム、及び鉛のイオンから選択される金属イオンを1ppb含む供給ストリームからの、リチウム、ホウ素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、銀、スズ、バリウム、及び鉛のイオンから選択される1又は複数の金属イオンの90%を超える全除去効率を示す膜アセンブリを提供する。
【0067】
[0076]第2の態様において、本開示は、第1の態様のアセンブリを提供し、アセンブリは、リチウム、ホウ素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、銀、スズ、バリウム、及び鉛のイオンから選択されるすべての金属イオンに対して90%を超える全除去効率を示す。
【0068】
[0077]第3の態様では、本開示は、第1又は第2の態様のアセンブリを提供し、金属イオンは、鉄、ニッケル、クロム、銅、及びアルミニウムのAlイオンから選択される。
【0069】
[0078]第4の態様において、本開示は、第1又は第2の態様のアセンブリを提供し、金属イオンは、マンガンイオン、マグネシウムイオン、及び亜鉛イオンから選択される。
【0070】
[0079]第5の態様において、本開示は、第1、第2、又は第3の態様のアセンブリを提供し、金属イオンは、鉄イオン、ニッケルイオン、及びクロムイオンから選択される。
【0071】
[0080]第6の態様において、本開示は、第1、第2、又は第4の態様のアセンブリを提供し、金属イオンはマンガンイオンである。
【0072】
[0081]第7の態様において、本開示は、第1、第2、又は第4の態様のアセンブリを提供し、金属イオンはマグネシウムイオンである。
【0073】
[0082]第8の態様において、本開示は、金属イオンが亜鉛イオンである、第1、第2、又は第3の態様のアセンブリを提供する。
【0074】
[0083]第9の態様において、本開示は、有機液体中で正電荷を有するモノマーが少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する第4級アンモニウム化合物である、前述のいずれかの態様のアセンブリを提供する。
【0075】
[0084]第10の態様において、本開示は、第9の態様のアセンブリを提供し、第4級アンモニウム化合物は、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムブロミド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、及びビニルベンジルトリメチルアンモニウムブロミドから選択される。
【0076】
[0085]第11の態様において、本開示は、前述のいずれかの態様のアセンブリを提供し、ここで、架橋剤は、メチレンビス(アクリルアミド)、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアメタクリレート、ジビニルスルホン、ジビニルベンゼン、1,3,5-トリアリル-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン98%、エチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルポリエチレングリコール、及びトリアリルアミンから選択される。
【0077】
[0086]第12の態様において、本開示は、前述のいずれかの態様のアセンブリを提供し、ここで、供給ストリームは、PGME/PGMEA溶液(体積で、70:30)、PGMEA、n-ブチルアセテート、又はシクロヘキサノンを含む。
【0078】
[0087]第13の態様において、本開示は、前述のいずれかの態様のアセンブリを含むフィルタ装置を提供する。
【0079】
[0088]第14の態様において、本開示は、
a.ポリ(テトラフルオロエチレン)を含み、膜は、その上にコーティングを有し、該コーティングは少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つの架橋剤の重合から調製され、該モノマーは有機液体中で正電荷を有する多孔質膜と
b.ポリ(テトラフルオロエチレン)を含み、膜上にコーティングを有し、該コーティングは少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つの架橋剤の重合から調製され、該モノマーは有機液体中で負電荷を有する多孔質膜と
を含む複数の膜を含み、
PGME/PGMEA溶液(体積で、70:30)に8時間浸漬させた時に、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、鉄、亜鉛のイオンのうち少なくとも1つの金属イオンを0.080ppb未満生成するフィルタ装置を提供する。
【0080】
[0089]第15の態様において、本開示は、第14の態様のフィルタ装置を提供し、正電荷を有するモノマーは、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する第4級アンモニウム化合物である。
【0081】
[0090]第16の態様において、本開示は、第15の態様のフィルタ装置を提供し、ここで、第4級アンモニウム化合物は、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムブロミド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、及びビニルベンジルトリメチルアンモニウムブロミドから選択される。
【0082】
[0091]第17の態様において、本開示は、第14から第16の態様のいずれかのフィルタ装置を提供し、架橋剤は、メチレンビス(アクリルアミド)、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアメタクリレート、ジビニルスルホン、ジビニルベンゼン、1,3,5-トリアリル-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン98%、エチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルポリエチレングリコール、及びトリアリルアミンから選択される。
【0083】
[0092]第18の態様において、本開示は、第14から第17の態様のいずれかのフィルタ装置を提供し、装置は、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、鉄、及び亜鉛の各イオンの金属イオンを0.080ppb未満生成する。
【0084】
[0093]第19の態様において、本開示は、ポリ(テトラフルオロエチレン)を含む多孔質膜を提供し、膜はコーティングを有し、該コーティングは少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つの架橋剤の重合から調製され、該モノマーは有機液体中で正電荷を有し、モノマーは少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する第4級アンモニウム化合物である。
【0085】
[0094]第20の態様において、本開示は、第19の態様の膜を提供し、第4級アンモニウム化合物は、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムブロマイド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、及びビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、及びビニルベンジルトリメチルアンモニウムブロマイドから選択される。
【0086】
[0095]第21の態様において、本開示は、第19又は第20の態様の膜を提供し、少なくとも1つのモノマーは、有機液体中で負電荷を有するモノマーをさらに含む。
【0087】
[0096]第22の態様において、本開示は、第19~第21の態様のいずれかの膜を提供し、有機液体中で負電荷を有するモノマーは、2-エチルアクリル酸、アクリル酸、2-カルボキシエチルアクリレート、3-スルホプロピルアクリレートカリウム塩、2-プロピルアクリル酸、2-(トリフルオロメチル)アクリル酸、メタクリル酸、2-メチル-2-プロペン-1-スルホン酸ナトリウム塩、モノ-2-(メタクリロイルオキシ)エチルマレエート、3-スルホプロピルメタクリレートカリウム塩、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、3-メタクリルアミドフェニルボロン酸、ビニルスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、及びビニルホスホン酸から選択される。
【0088】
[0097]第23の態様において、本開示は、有機液体中で負電荷を有するモノマーがアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸である、第22の態様の膜を提供する。
【0089】
[0098]第24の態様において、本開示は、第19の態様~第23の態様のいずれかの膜を含むフィルタ装置を提供する。
【0090】
[0099]第25の態様において、本開示は、有機液体から金属汚染物質を除去する方法を提供し、本方法は、(i)第1~第12の態様のいずれか1つの膜アセンブリ、(ii)第13~第18の態様のいずれか1つのフィルタ装置、又は(iii)第19~第23の態様のいずれか1つの膜に液体を通過させることを含む。
【0091】
[00100]以上、本開示のいくつかの例示的な実施形態について説明したが、当業者であれば、本明細書に添付された特許請求の範囲内でさらに他の実施形態が作成及び使用され得ることは容易に理解されるであろう。この文書で取り上げられている開示の数多くの利点は、前述の説明で述べられている。しかしながら、この開示は、多くの点で、単なる例示に過ぎないことが理解されるであろう。当然ながら、開示の範囲は、添付の請求項が表現されている言語で定義される。
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-09-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.ポリ(テトラフルオロエチレン)を含む多孔質膜であって、膜はその上にコーティングを有し、該コーティングは少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つの架橋剤の重合から調製され、該モノマーは有機液体中で正電荷を有する、多孔質膜と、
b.ポリ(テトラフルオロエチレン)を含む多孔質膜であって、膜はその上にコーティングを有し、該コーティングは少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つの架橋剤の重合から調製され、該モノマーは有機液体中で負電荷を有する、多孔質膜と
を含み、
リチウム、ホウ素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、銀、スズ、バリウム、及び鉛のイオンから選択される金属イオンを1ppb含む供給ストリームからの、リチウム、ホウ素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、銀、スズ、バリウム、及び鉛のイオンから選択される1又は複数の金属イオンの90%を超える全除去効率を示す膜アセンブリ。
【請求項2】
リチウム、ホウ素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、銀、スズ、バリウム、及び鉛のイオンから選択されるすべての金属イオンに対して90%を超える全除去効率を示す、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
金属イオンが、鉄イオン、ニッケルイオン、クロムイオン、銅イオン、及びアルミニウムAlイオンから選択される、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
金属イオンが、マンガンイオン、マグネシウムイオン、及び亜鉛イオンから選択される、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項5】
金属イオンが、鉄イオン、ニッケルイオン、及びクロムイオンから選択される、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
有機液体中で正電荷を有するモノマーが、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する第四級アンモニウム化合物である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
第四級アンモニウム化合物が、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムブロミド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、及びビニルベンジルトリメチルアンモニウムブロミドから選択される、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
架橋剤が、メチレンビス(アクリルアミド)、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアメタクリレート、ジビニルスルホン、ジビニルベンゼン、1,3,5-トリアリル-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン98%、エチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルポリエチレングリコール、及びトリアリルアミンから選択される、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項9】
供給ストリームが、PGME/PGMEA溶液(体積で、70:30)、PGMEA、n-ブチルアセテート、又はシクロヘキサノンを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載のアセンブリを含むフィルタ装置。
【請求項11】
複数の膜を含むフィルタ装置であって、
a.ポリ(テトラフルオロエチレン)を含む多孔質膜であって、膜はその上にコーティングを有し、該コーティングは少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つの架橋剤の重合から調製され、該モノマーは有機液体中で正電荷を有する、多孔質膜と、
b.ポリ(テトラフルオロエチレン)を含む多孔質膜であって、膜はその上にコーティングを有し、該コーティングは少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つの架橋剤の重合から調製され、該モノマーは有機液体中で負電荷を有する、多孔質膜と
を含み、
PGME/PGMEA溶液(体積で、70:30)に8時間浸漬された時に、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、鉄、及び亜鉛のイオンから選択される少なくとも1つの金属イオンを0.080ppb未満生成するフィルタ装置。
【請求項12】
正電荷を有するモノマーが、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する第級アンモニウム化合物である、請求項11に記載のフィルタ装置。
【請求項13】
第四級アンモニウム化合物が、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムブロミド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、及びビニルベンジルトリメチルアンモニウムブロミドから選択される、請求項12に記載のフィルタ装置。
【請求項14】
架橋剤が、メチレンビス(アクリルアミド)、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアメタクリレート、ジビニルスルホン、ジビニルベンゼン、1,3,5-トリアリル-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン98%、エチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルポリエチレングリコール、及びトリアリルアミンから選択される、請求項11に記載のフィルタ装置。
【請求項15】
ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、鉄、及び亜鉛の各イオンから、0.080ppb未満の金属イオンを生成する、請求項11に記載のフィルタ装置。
【請求項16】
ポリ(テトラフルオロエチレン)を含む多孔質膜であって、
膜はコーティングを有し、
コーティングは、少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つの架橋剤の重合から調製され、
該モノマーは有機液体中で正電荷を有し、
該モノマーは少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する第級アンモニウム化合物である
多孔質膜。
【請求項17】
第四級アンモニウム化合物が、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムブロミド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド及びビニルベンジルトリメチルアンモニウムブロミドから選択される、請求項16に記載の多孔質膜。
【請求項18】
少なくとも1つのモノマーが、有機液体中で負電荷を有するモノマーをさらに含む、請求項17に記載の多孔質膜。
【請求項19】
有機液体中で負電荷を有するモノマーが、2-エチルアクリル酸、アクリル酸、2-カルボキシエチルアクリレート、3-スルホプロピルアクリレートカリウム塩、2-プロピルアクリル酸、2-(トリフルオロメチル)アクリル酸、メタクリル酸、2-メチル-2-プロペン-1-スルホン酸ナトリウム塩、モノ-2-(メタクリロイルオキシ)エチルマレエート、3-スルホプロピルメタクリレートカリウム塩、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、3-メタクリルアミドフェニルボロン酸、ビニルスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、及びビニルホスホン酸から選択される、請求項16に記載の多孔質膜。
【請求項20】
有機液体中で負電荷を有するモノマーがアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸である、請求項19に記載の多孔質膜。
【請求項21】
請求項16に記載の多孔質膜を含むフィルタ装置。
【請求項22】
有機液体から金属汚染物質を除去する方法であって、液体を(i)請求項1に記載の膜アセンブリ、(ii)請求項10又は11又は21に記載のフィルタ装置、あるいは(iii)請求項16に記載の多孔質膜に通過させることを含む方法。
【国際調査報告】