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特表2025-506022ウエハエッジティルトおよびエッチング速度の均一性
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-05
(54)【発明の名称】ウエハエッジティルトおよびエッチング速度の均一性
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20250226BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547213
(86)(22)【出願日】2022-12-19
(85)【翻訳文提出日】2024-10-04
(86)【国際出願番号】 US2022053427
(87)【国際公開番号】W WO2023154114
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】63/308,383
(32)【優先日】2022-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マンキディ・プラティク
(72)【発明者】
【氏名】キム・ジャウォン
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA01
5F004BA04
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB29
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】
プラズマチャンバ内で使用するためのエッジリングは、第1の一対のエッジリングセグメントであって、第1の一対のエッジリングセグメントのそれぞれが第1の厚さを有する第1の一対のエッジリングセグメントと、第2の一対のエッジリングセグメントであって、第2の一対のエッジリングセグメントのそれぞれが第2の厚さを有する第2の一対のエッジリングセグメントとを含む。第1の一対のエッジリングセグメントの各々は、第2の一対のエッジリングセグメントの各々に隣接して配置され、第2の一対のエッジリングセグメントの各々は、第1の一対のエッジリングセグメントの各々に隣接して配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマチャンバ内でウエハを取り囲むエッジリングであって、
第1の一対のエッジリングセグメントであって、前記第1の一対のエッジリングセグメントのそれぞれが第1の厚さを有する、第1の一対のエッジリングセグメントと、
第2の一対のエッジリングセグメントであって、前記第2の一対のエッジリングセグメントのそれぞれが第2の厚さを有し、前記第1の一対のエッジリングセグメントが互いに対向して方向づけられ、前記第2の一対のエッジリングセグメントが互いに対向して方向づけられる、第2の一対のエッジリングセグメントと、
を備え、
前記第1の一対のエッジリングセグメントのそれぞれが、前記第2の一対のエッジリングセグメントのそれぞれに隣接して配置され、前記第2の一対のエッジリングセグメントのそれぞれが、前記第1の一対のエッジリングセグメントのそれぞれに隣接して配置される、エッジリング。
【請求項2】
請求項1に記載のエッジリングであって、
遷移領域が、前記第1の厚さと前記第2の厚さとの接合領域として画定される、エッジリング。
【請求項3】
請求項2に記載のエッジリングであって、
前記接合領域としての前記遷移領域は、第1の遷移点から第2の遷移点までの遷移長に亘り、前記第1の遷移点は前記第1の厚さにおいて画定され、前記第2の遷移点は前記第2の厚さにおいて画定される、エッジリング。
【請求項4】
請求項3に記載のエッジリングであって、
前記遷移長は、約1mmから約3mmに亘る、エッジリング。
【請求項5】
請求項3に記載のエッジリングであって、
前記遷移領域は、前記接合領域の前記第1の遷移点と前記第2の遷移点との間に約30°から約40°の間の傾斜部を含む、エッジリング。
【請求項6】
請求項1に記載のエッジリングであって、
前記第1の厚さは、前記第2の厚さよりも大きい、エッジリング。
【請求項7】
請求項1に記載のエッジリングであって、
前記第1の一対のエッジリングセグメントのそれぞれが、第1の大きさを有し、前記第2の一対のエッジリングセグメントのそれぞれが、第2の大きさを有し、前記第1の大きさは、前記第2の大きさよりも小さい、エッジリング。
【請求項8】
請求項1に記載のエッジリングであって、
前記第1の一対のリングセグメントは水平軸に沿って並び、前記第2の一対のリングセグメントは、垂直軸に沿って並び、
前記第1の一対のリングセグメントのそれぞれが、前記水平軸を中心として鋭角の範囲にある領域を覆うように配置される、
エッジリング。
【請求項9】
請求項1に記載のエッジリングであって、
前記第1の一対のリングセグメントは第1のゾーンおよび第3のゾーンを画定し、前記第2の一対のリングセグメントは第2のゾーンおよび第4のゾーンを画定する、エッジリング。
【請求項10】
請求項1に記載のエッジリングであって、
前記第1の厚さは約6.7mmから約7.7mmの間であるように定められ、前記第2の厚さは約6.3mmから約7.0mmの間であるように定められる、エッジリング。
【請求項11】
ウエハを処理するためのプラズマチャンバであって、
前記プラズマチャンバ内にプロセスガスを供給するための頂部に画定された上部電極と、
底部に画定され、前記上部電極に対向して方向づけられた台座であって、ウエハ受け領域が上部に画定された台座と、
前記ウエハ受け領域に隣接し、前記ウエハ受け領域を取り囲むエッジリングと、
を備え、
前記エッジリングは、
第1の一対のエッジリングセグメントであって、前記第1の一対のエッジリングセグメントのそれぞれが第1の厚さを有する、第1の一対のエッジリングセグメントと、
第2の一対のエッジリングセグメントであって、前記第2の一対のエッジリングセグメントのそれぞれが第2の厚さを有し、前記第1の一対のエッジリングセグメントが互いに対向して方向づけられ、前記第2の一対のエッジリングセグメントが互いに対向して方向づけられる、第2の一対のエッジリングセグメントと、
を含み、
前記第1の一対のエッジリングセグメントのそれぞれが、前記第2の一対のエッジリングセグメントのそれぞれに隣接して配置され、前記第2の一対のエッジリングセグメントのそれぞれが、前記第1の一対のエッジリングセグメントのそれぞれに隣接して配置された、
プラズマチャンバ。
【請求項12】
請求項11に記載のプラズマチャンバであって、
前記エッジリングは、前記第1の一対のエッジリングセグメントおよび前記第2の一対のエッジリングセグメントが所定の向きになるように、前記プラズマチャンバ内で位置決めされる、プラズマチャンバ。
【請求項13】
請求項11に記載のプラズマチャンバであって、
前記第1の厚さは、前記第2の厚さよりも大きく、
前記第1の一対のエッジリングセグメントの各々が第1の大きさによって画定され、前記第2の一対のエッジリングセグメントの各々が第2の大きさによって画定される、プラズマチャンバ。
【請求項14】
請求項13に記載のプラズマチャンバであって、
前記第1の大きさは、前記第2の大きさよりも小さい、プラズマチャンバ。
【請求項15】
請求項13に記載のプラズマチャンバであって、
前記第1の大きさは、前記第2の大きさに等しい、プラズマチャンバ。
【請求項16】
プラズマチャンバ内でウエハを取り囲むためのエッジリングであって、
第1の厚さを有する第1のゾーンと、
第2の厚さを有する第2のゾーンと、
前記第1のゾーンに対向して画定され、前記第1の厚さを有する第3のゾーンと、
前記第2のゾーンに対向して画定され、前記第2の厚さを有する第4のゾーンであって、前記第2のゾーンおよび前記第4のゾーンの各々は、前記第1のゾーンおよび前記第3のゾーンに隣接し、前記第1のゾーンと前記第3のゾーンとの間に画定される、第4のゾーンと、
前記第1のゾーン、前記第2のゾーン、前記第3のゾーン、および前記第4のゾーンのそれぞれのうちの連続する一対の間に画定される遷移領域と、
を含む、エッジリング。
【請求項17】
請求項16に記載のエッジリングであって、
前記第1の厚さは、前記第2の厚さよりも大きい、エッジリング。
【請求項18】
請求項16に記載のエッジリングであって、
前記第1のゾーンおよび前記第3のゾーンは水平軸に沿って並び、前記第2のゾーンおよび前記第4のゾーンは垂直軸に沿って並ぶ、エッジリング。
【請求項19】
請求項16に記載のエッジリングであって、
前記遷移領域は、前記第1の厚さにおいて画定された第1の遷移点から前記第2の厚さにおいて画定された第2の遷移点のまでの長さに亘る、エッジリング。
【請求項20】
請求項16に記載のエッジリングであって、
前記第1のゾーンおよび前記第3のゾーンの各々が第1の大きさを有し、前記第2のゾーンおよび前記第4のゾーンが第2の大きさを有し、前記第1の大きさは、前記第2の大きさよりも小さい、エッジリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体プロセスチャンバ内で均一なエッチング速度を提供するために使用される構成要素に関し、より詳細には、均一なエッチング速度の提供をウエハ表面全体に亘って実現するよう形状を修正したエッジリングに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハは、電子デバイスを生成するために様々な製造プロセスに曝される。電子デバイスを生成するために使用されるプロセスには、特に、堆積プロセス、エッチングプロセス、パターニングプロセスが含まれる。エッチングプロセスは、プラズマチャンバ内で実施される。プラズマは、プラズマチャンバに対して遠隔的に生成されるにせよ、プラズマチャンパ内で生成されるにせよ、プラズマのイオンは、パターン画定するフィーチャをエッチングするために、ウエハの全表面に向けられる。1つまたは複数のパターンが、電子デバイスを画定する。製造コストが高いため、設計者は、ウエハ上にパターニングされた電子デバイスの密度を高めることによって、ウエハの利用効率、つまり歩留まりを最大化するよう試みる。電子デバイスの密度を高め、歩留まりを向上させる1つの方法は、ウエハ上に高アスペクト比フィーチャを画定することである。ウエハの歩留まりを向上させるもう1つの方法は、高アスペクト比フィーチャをエッチングすることによってウエハの表面を最大限に使用することである。
【0003】
ウエハの表面上、特にウエハのエッジ部に高アスペクト比フィーチャをエッチングするには、イオンフラックスとイオンティルトとを最適化する必要がある。ウエハ表面上にエッチングされたパターンは、非対称である。イオンフラックスとイオンティルトとを最適化し、ウエハエッジ部におけるエッジ部シースの制御を改善できるように、エッジリングをウエハに隣接して設け、ウエハを取り囲む。実施された様々な実験では、ウエハエッジ部におけるエッチング速度の性能は、ウエハの半径に対するフィーチャの向き(すなわち、フィーチャがウエハの半径に垂直または平行であるか)に応じて変化することが分かった。現在利用可能なエッジリングは、軸対称であり、所与の軸に沿って対称な形状をしている。
【発明の概要】
【0004】
本開示の様々な実施態様は、ウエハの表面全体に亘るエッチング速度を平常値に近付けるために使用される装置およびシステムを含む。エッチングプロセス中、プラズマは、プロセスガスを使用してプラズマチャンバ内で生成される。生成されたプラズマは、プラズマチャンバ内に受け取られたウエハの全表面に向けられ、フィーチャを画定する。フィーチャは、電子デバイスを画定するために使用されるパターンの一部である。ウエハ上にパターニングされたフィーチャは、非対称であり、スリット、ビア、またはトレンチを含み得る。
【0005】
エッジリングは、プラズマチャンバ内でウエハを受け取るために使用されるウエハ受け領域に隣接して設けられ、ウエハ受け領域を取り囲む。エッジリングを設け、ウエハのエッジ部からエッジリングの外縁までプロセス領域を拡張することによって、ウエハエッジ部におけるイオンフラックスおよびイオンティルトを改善する。上述したように、従来のエッジリングは、軸対称である。すなわち、エッジリングの形状(例えば、高さ、角度)は、所与の軸に沿って均一である。ウエハエッジ部におけるエッチング速度はウエハ半径に対するウエハ上に画定されたフィーチャの向きに応じて変化することが、実施された様々な実験から観察された。例えば、ウエハ上に画定されたフィーチャがウエハの半径方向に平行である領域内では、ウエハエッジ部におけるエッチング速度が速くなることが観察されている。ウエハ上のフィーチャがウエハの半径方向に垂直である領域内では、ウエハエッジ部におけるエッチング速度がより遅くなる(こちらが平常値)ことがさらに観察されている。このエッチング速度のばらつきは、ウエハエッジ部におけるプラズマシースの形状に起因し得る。
【0006】
このようなエッチング速度のばらつきに対処し、ウエハエッジ部におけるプラズマシースプロファイルをより良好に制御するために、プラズマチャンバ内で使用されるエッジリングは、多様な形状を備えるように設計される。具体的には、エッジリングはセグメントに分割され、エッジリングの異なるセグメントが異なる高さまで延びるように画定される。その結果、エッジリングの形状は、ウエハパターンの非対称性を補償するような非対称性を有する。異なるゾーンの高さは、新しい形状を有するエッジリングがウエハの対応する領域内でのより速いエッチング速度を確実に「補償」し、ウエハの表面上のエッチング速度が均一になるように最適化される。
【0007】
一実施態様では、プラズマチャンバ内でウエハを取り囲むためのエッジリングが開示される。エッジリングは、第1の一対のエッジリングセグメントを含み、第1の一対の各エッジリングセグメントは、第1の厚さを有する。また、エッジリングは、第2の一対のエッジリングセグメントを含み、第2の一対の各エッジリングセグメントは、第2の厚さを有する。第1の一対のエッジリングセグメントは互いに向き合っており、第2の一対のエッジリングセグメントは互いに向き合っている。第1の一対のエッジリングセグメントのそれぞれが、第2の一対のエッジリングセグメントに隣接して配置される。第2の一対のエッジリングセグメントのそれぞれが、第1の一対のエッジリングセグメントに隣接して配置される。
【0008】
別の実施態様では、プラズマチャンバ内でウエハを取り囲むためのエッジリングが開示される。エッジリングは、第1のゾーン、第2のゾーン、第3のゾーン、および第4のゾーンを含む。第1のゾーンは、第1の厚さを有するように画定される。第2のゾーンは、第2の厚さを有するように画定される。第3のゾーンは、第1のゾーンに対向して画定され、第1の厚さを有する。第4のゾーンは、第2のゾーンに対向して画定され、第2の厚さを有する。第2および第4のゾーンの各々は、第1および第3のゾーンに隣接し、第1のゾーンと第3のゾーンとの間に画定される。遷移領域は、第1、第2、第3、および第4のゾーンのうち、それぞれ隣り合った一対のゾーン間に画定される。
【0009】
他の態様および利点は、添付の例示的な図面と併せて説明される、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A図1Aは、一実施形態において、エッジリングがウエハに隣接して配置されていない場合に、処理のためにウエハのエッジ部において受け取られたプラズマシースプロファイルを示す。
【0011】
図1B図1Bは、一実施態様において、ウエハの全周にわたって第1の高さのエッジリングが隣接して配置されている場合に、処理のためにウエハのエッジ部において受け取られたプラズマシースプロファイルを示す。
【0012】
図1C図1Cは、一実施態様において、ウエハの全周にわたって第2の高さのエッジリングが隣接して配置されている場合に、処理のためにウエハのエッジ部において受け取られたプラズマシースプロファイルを示す。
【0013】
図2図2は、一実施態様に従って、ウエハの半径方向に展開するフィーチャがウエハ上に画定されたウエハを取り囲むエッジリングの俯瞰図である。
【0014】
図3A図3Aは、いくつかの実施態様に従って、プラズマチャンバ内に画定されたウエハ受け領域を取り囲むために使用される多様な形状を備えたエッジリングを直線状に引き延ばした側面透視図である。
【0015】
図3B図3Bは、いくつかの実施態様に従い、異なる複数のフィーチャを備えたエッジリングを直線状に引き延ばした状態で、エッジリングの異なる複数のゾーンを示す。
【0016】
図3C図3Cは、代替実施態様に従い、異なる複数のフィーチャを備えたエッジリングを直線状に引き延ばした状態で、エッジリングの異なる複数のゾーンを示す。
【0017】
図4A図4Aは、いくつかの実施態様に従って、異なる複数のゾーンを備える図3Aに示したエッジリングの俯瞰図である。
【0018】
図4B図4Bは、いくつかの実施態様に従って、異なる複数のゾーンの間に画定された遷移領域を備える図4Aに示したエッジリングの俯瞰図である。
【0019】
図4C図4Cは、図4Aに示したエッジリングの俯瞰図であり、いくつかの実施態様に従って、異なるゾーンの間の遷移領域と共に遷移角度を示す。
【0020】
図5図5は、いくつかの実施態様において、エッジリングの高さの異なる特定のゾーンの高さに対応してウエハエッジ部におけるエッチング速度をプロットしたエッチング速度グラフを表形式で示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の説明では、様々な実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、当業者には、記載された技術がこれらの具体的な詳細の一部または全部がなくても実施され得ることが明らかであろう。他の例では、本記載の実施形態を不必要に不明瞭にしないために、周知のプロセス動作は、詳細には記載されていない。
【0022】
本開示の実施態様は、エッジリングの様々な詳細、およびエッジリングを使用する半導体基板(すなわち、ウエハ)を処理するために使用されるシステムを提供する。本実施形態はプロセス、装置、システム、デバイス、または方法など、多数の方法で実施できることを理解されたい。いくつかの例示的な実施態様を以下に記載する。
【0023】
エッジリングは、処理のためにプラズマチャンバ内に受け取られたウエハに隣接するようプラズマチャンバ内に配置され、そのウエハを取り囲む。プラズマチャンバ(図示せず)は、頂部と底部とを含む。頂部は、上部電極を含み得る。上部電極は、一例では、シャワーヘッドであり得る。上部電極は、プラズマチャンバ内に画定されたプロセス領域に1つまたは複数のプロセスガスを供給する、1つまたは複数のガス源に結合される。いくつかの実施態様では、上部電極は、整合ネットワークを介して無線周波数(RF)電源に結合され、1つまたは複数のプロセスガスを用いてプロセス領域内にプラズマを生成するためのRF電力を受け取る。プラズマチャンバの底部には、上部電極に対向して方向づけられ、その間にプロセス領域を画定する台座など、ウエハ受け部品が含まれる。台座は、静電チャック(ESC)とすることができ、その上に画定されたウエハ受け領域を含む。ウエハは、処理のために、定められた向きでウエハ受け領域上に受け取られる。
【0024】
エッジリングは、複数のリングセグメントを含むように定められる。エッジリングは、ウエハのエッジ部からエッジリングの外縁までプロセス領域を拡張するために使用される。エッジリングは、ウエハがプラズマチャンバ内に受け取られるとき、エッジリングの上面がウエハの上面と同一平面上になるように配置される。ウエハが定められた向きでプラズマチャンバ内に受け取られるのと同様に、エッジリングも、定められた向きでプラズマチャンバ内に位置決めされる。定められた向きにより、エッジリングの各リングセグメントがウエハの対応する領域に隣接し、ウエハの対応する領域に合致し得る。例えば、第1のリングセグメントがウエハの対応する第1の領域に隣接して配置され、ウエハの対応する第1の領域に合致し、第2のリングセグメントは、第2の領域に隣接して配置され、第2の領域に合致する。本明細書に記載の様々な実施態様では、エッジリングは、異なるリングセグメントに対して異なる厚さを有するように設計される。エッジリングの各リングセグメントの厚さは、ウエハの対応する領域上に画定されたフィーチャの向きに対応するように定められる。例えば、フィーチャがウエハ半径に平行または実質的に平行であるウエハの領域に隣接するリングセグメントは、第1の厚さを有するように定められる。同様に、フィーチャがウエハ半径に垂直または実質的に垂直であるウエハの領域に隣接するリングセグメントは、第2の厚さを有するように定められる。エッジリングの異なるリングセグメントにおける厚さの相違は、ウエハエッジ部のそれぞれの領域内でのイオンフラックスおよびイオンティルトに影響を及ぼす。イオンフラックスおよびイオンティルトを制御することにより、ウエハエッジ部におけるプラズマシースプロファイルが制御される。この結果、ウエハエッジ部を含むウエハ表面の長さに沿った所定の範囲でのエッチング速度が実質的に均一になる。
【0025】
次に、エッジリングの様々な特徴を、図面を参照して説明する。
【0026】
図1A図1Cは、異なる形状のエッジリングに対して得られた様々なプラズマシースプロファイルを示す。エッジリングの最適な形状を決定するためには、異なるシナリオでウエハエッジ部に形成された異なるプラズマシースプロファイルを理解し、ウエハエッジ部において最適なプラズマシースプロファイルを提供するシナリオを特定することが有用である。図1A図1Cは、いくつかの実施態様において、様々な厚さのエッジリングを用いて実施された様々な実験から得られたウエハエッジ部におけるプラズマシースプロファイル(すなわち、イオンフロープロファイル)を示す。図1Aは、エッジリングがウエハWに隣接していない場合のウエハWのエッジ部におけるプラズマシースプロファイル(すなわち、イオンフロー-プラズマシースプロファイルA)を示す。この図では、プラズマシースプロファイルAは下に曲がっており、イオンフラックスがウエハエッジ部に沿って集中していることを示していることに留意されたい。さらなる実験が実施され、ウエハエッジ部におけるイオンフラックスの増加は、ウエハの半径方向に対してウエハ表面上にパターニングされたフィーチャの向きと相関していることが判明した。例えば、エッチング速度は、フィーチャがウエハの半径方向に平行である所定の領域ではより速く、フィーチャがウエハの半径方向に垂直である他の領域では定格値であることが分かった。エッチング速度の増加は、ウエハエッジ部に沿ったそれらの領域内でのイオンフラックスの増加によって生じ得る。
【0027】
図1Bは、一実施態様において、平坦なリングプロファイルを有する従来のエッジリング(すなわち、円周の全体に沿って均一な、定格の厚さを有するエッジリング)がウエハWに隣接して使用される場合のウエハWのエッジ部におけるプラズマシースプロファイル(プラズマシースプロファイルB)を示す。プラズマシースプロファイルBは、直線で示され、ウエハエッジ部の異なる領域におけるイオンフラックスがウエハ中心部におけるイオンフラックスと同様であることを示す。
【0028】
図1Cは、一実施態様において、定格より増加された厚さ(例えば、定格厚さの2倍の厚さ)のエッジリングを使用した場合のウエハWのエッジ部に沿ったプラズマシースプロファイル(プラズマシースプロファイルC)を示す。プラズマシースプロファイルCは、ウエハエッジ部において上向きに反ったように示され、イオンフラックスがウエハエッジ部から上に向けられ、ウエハエッジ部から離れて、エッジリング表面に向かっていることを示す。
【0029】
様々な実験から、プラズマシースプロファイルは、エッジリングの存在とエッジリングの厚さとに大きく影響を受けることが分かった。したがって、ウエハエッジ部の異なる領域内での様々なエッチング速度に対処するために、従来のエッジリングは、ウエハエッジ部の異なる部分におけるエッチング速度に影響を与えるために、異なるセクション毎に様々な厚さを有するように再設計される。したがって、いくつかの実施態様に従って、エッジリングの形状は、複数のゾーンを含むように設計され、各ゾーンは、リングセグメントを表す。エッジリングのリングセグメント(すなわち、ゾーン)の各々は、ウエハの異なる領域に対応する。リングセグメントは、様々な厚さを有するように定められる。例えば、エッジリングの厚さは、フィーチャがウエハの半径方向に平行であるウエハの領域に対応するリングセグメントにおいて増加される。これらのリングセグメントの厚さが増加することにより、イオンフラックスが対応する領域内のウエハエッジ部から遠ざかることになる。この再設計された形状は、図2図5を参照して述べるように、ウエハ全体にわたってエッチング速度を平準化ことを示す。
【0030】
図2は、いくつかの実施態様において、プラズマチャンバ内に受け取られ、処理のために受け取られたウエハWに隣接して配置され、そのウエハWを取り囲むエッジリング100の俯瞰図を示す。ウエハWを取り囲むエッジリングは、4つのゾーン(ゾーン1-4、本明細書では「リングセグメント」とも呼ばれる)に分割されて示されている。各ゾーンは、隣接するウエハW上の特定の領域に合致するように画定される。ウエハWは、その上に画定された複数のフィーチャを含み、1つまたは複数のフィーチャは、電子デバイスを画定する。図2は、サンプル番号F1からF5で示された、ウエハW上に画定されたフィーチャF1-F5の向きを示す。図2に示した複数のフィーチャは、幾つかのフィーチャのウエハの半径方向に対する向きを図によって示すことを目的として、提供されている。ウエハWは、5個以上のフィーチャを含み得る。いくつかの実施態様では、ウエハWは、その上に画定された500個ものフィーチャまたは同様のフィーチャを有し得ることに留意されたい。各フィーチャは、x軸およびy軸に対して方向づけられる。例えば、図2に示すように、フィーチャF1およびF3は、x軸に沿って配置され、x軸に沿って画定されたウエハの半径方向に平行であるように示される。フィーチャF2およびF4は、y軸に沿って配置され、ウエハの半径方向に垂直であるように示され、フィーチャF0は、x-y軸の交点であるウエハの中心部に配置される(すなわち、y軸に対して垂直であり、x軸に平行である)。ウエハ上にパターニングされたフィーチャは、非対称であり、例えば、ワードラインカットの間にビア、トレンチ、スリット等を含んでもよい。図2に示すエッジリング上のゾーン(ゾーン1~4)は、すべて等しい大きさで示されているが、必ずしも同一であるとは限らない。
【0031】
図3A図3Cは、いくつかの実施態様において、エッジリングを直線状に展開して表すように簡略化された側断面図を示す。直線乗の図にしたのは、エッジリングの異なる部分の高さのばらつきを示すためである。エッジリングは、従来のエッジリングとは異なる形状を有するように定められる。具体的には、図3A図3Cに表されたエッジリングは、エッジリングの厚さを変化させ、円周に沿って非均一であるという点で、非対称である。エッジリングの非対称性は、ウエハW上にパターニングされたフィーチャの非対称性を補償するように定められる。対照的に、従来のエッジリングは、エッジリングの厚さが円周に沿って均一であるという点で、軸対称になるように画定される。
【0032】
エッジリング100の非対称の設計は、エッジリング100を複数のリングセグメントに分割することによって達成される。各リングセグメントは、フィーチャが形成されるウエハのある一定の領域に合致するように画定される。複数のリングセグメントの各々は、特定の厚さを有するように定められ、任意の2つの連続するリングセグメントの厚さは異なる。図3Aは、いくつかの実施態様に従って、4つのリングセグメント(ゾーン1-4として表す)に分割されたエッジリング100を示す。図3Aに表された角度は、図2にて特定したエッジリングの角度に対応する。リングセグメントの数および大きさは、エッジリングに隣接して受け取られたウエハのエッジ部に沿った異なる領域内で観察されたエッチング速度のばらつきに基づいて定められる。したがって、図3Aに示すリングセグメントの数(すなわち、4つのリングセグメントまたはゾーン)は、例として提供されたものに過ぎず、必要であれば、リングセグメントを追加してよい。上述したように、ウエハエッジ部の異なる部分のエッチング速度は、ウエハ上に形成されたフィーチャのウエハの半径方向に対する向きに基づいて変化することが観察される。例えば、エッチング速度は、フィーチャがウエハ半径に実質的に平行であるウエハエッジ部の部分において速くなっていることが観察される。同様に、フィーチャがウエハ半径に実質的に垂直であるウエハエッジ部の部分におけるエッチング速度は、定格値(すなわち、標準値または公称値)であることが観察される。
【0033】
その結果、様々なリングセグメントは、異なるエッチング速度がウエハエッジ部に沿って観察されるウエハの対応する領域と合致するようにエッジリング100上に画定される。第1の一対のリングセグメント(ゾーン1および3として表す)は、パターニングされたフィーチャがウエハの半径に実質的に平行であるウエハエッジ部の対応する第1のセットの領域と合致するようにエッジリング100上に画定される。ウエハエッジ部における第1のセットの領域は、より速いエッチング速度が観察される場所である。第2の一対のリングセグメント(ゾーン2および4として表す)は、パターニングされたフィーチャがウエハの半径に実質的に垂直であるウエハエッジ部の対応する第2のセットの領域と合致するようにエッジリング上に画定される。ウエハエッジ部における第2のセットの領域は、定格エッチング速度(すなわち、公称値または標準値であり、より速くない)が観察される場所である。第1のセットのリングセグメントを表すゾーン1および3は水平軸に沿って並び、第2のセットのリングセグメントを表すゾーン2および4は垂直軸に並ぶ。
【0034】
円形のエッジリングの角度に対して画定されたゾーン1-4を有するエッジリングを図3Aに示す。本願では、ゾーンおよびリングセグメントは、エッジリングのあるセクションまたは部分を指すために互換的に使用されることに留意されたい。図3Aに示す実施態様では、ゾーン1-4は、等しい大きさで示されている。イオンフラックスの影響がウエハ領域のごく一部に影響し、残りの大部分は定格エッチング速度を有するため、各ゾーンは常に等しい大きさであるとは限らない。したがって、図3Cを参照して説明するように、ゾーン1~4の大きさは、変化し得る。
【0035】
前述のように、ウエハの異なる領域内でのエッジ部エッチング速度のばらつきは、ガス流の方向、イオンの方向、ウエハ上にパターニングされたフィーチャによって画定されたデバイスの向きなど、いくつかの要因に起因し得る。エッジリング100の形状は、エッジ部エッチング速度がより速いウエハの領域と合致するある一定のリングセグメントにおいて意図的に変更され、より速いエッチング速度を「補償」し、それらの領域内でのエッチング速度をウエハの他の領域と同様にする。エッジリングの形状は、ゾーン1および3(すなわち、第1のセットのリングセグメント)ではエッジリングの厚さを増加させ、ゾーン2および4(すなわち、第2のセットのリングセグメント)では定格厚さを維持することによって変更される。遷移領域が、増加した厚さと公称厚さとの間の界面において画定される。したがって、ゾーンのそれぞれ連続する一対の界面には、遷移領域が画定される。遷移領域は、遷移長(図示せず)として、第1の遷移点(TPa)から第2の遷移点(TPb)までに亘っている。第1の遷移点TPaでは厚みが増加されており、第2の遷移点TPbでの厚さは定格値である。さらに、第1の遷移点TPaから第2の遷移点TPbの間の遷移は、滑らかで緩やかであり、直線的ではなく急変するようなものではない。すなわち、遷移点TPa、TPbは、直線的なエッジ部とはなっておらず、滑らかに湾曲している。
【0036】
図3Bは、エッジリング100に画定されたリングセグメントの追加の詳細を提供する。上述したように、いくつかの実施態様では、遷移領域は、エッジリング100に画定されたそれぞれ一対の連続するリングセグメント(ゾーンとして表されている)の間に画定される。遷移領域TR1はゾーン1とゾーン2との間の第1の界面に画定され、遷移領域TR2はゾーン2とゾーン3との間の第2の界面に画定される。各遷移領域は、厚さが増加したリングセグメントと定格厚さのリングセグメントとの間で遷移する。いくつかの実施態様では、ゾーン1および3によって表された第1の一対のリングセグメントの増加した厚さは高さ「h1」となるように定められ、ゾーン2および4によって表された第2の一対のリングセグメントの定格厚さは高さ「h2」となるように定められ、高さh1は、厚さh2よりも大きい。前述のように、エッジリングのある一定の部分(すなわち、ゾーン1および3)における厚さを増加させるのは、ウエハエッジ部のそれらの領域内でのエッジ部エッチング速度を遅くするためである。エッジ部エッチング速度はイオンフローの方向に影響されるため、ゾーン1および3におけるエッジリング100の厚さの増加により、イオンフローがウエハエッジ部から遠ざかり、エッジリングに向かう方向から上方に向くようになる。その結果、エッジリングの形状は、前述のように、ウエハ上にパターニングされたフィーチャの非対称性に対して補償的な非対称性を有する。
【0037】
図3Aおよび図3Bに表された実施態様では、ゾーン1-4の各々は、エッジリングの等しい部分を覆う。したがって、各ゾーンは、エッジリング100の円周の約90°を覆うように画定される。したがって、互いに対向して配置されたエッジリング100のゾーン1および3は、エッジリング100の円周の4分の1を覆う。同様に、互いに対向して配置されたエッジリングのゾーン2および4はそれぞれ、エッジリング100の円周の4分の1を覆う。
【0038】
図3Cは、ゾーン1および3によって表された第1の一対のエッジリングセグメントが、ゾーン2および4によって表された第2の一対のエッジリングセグメントとは異なる大きさを有する代替実施態様を示す。第1の一対の各ゾーン(すなわち、ゾーン1および3)は第1の大きさによって画定され、第2の一対の各ゾーン(すなわち、ゾーン2および4)は第2の大きさによって画定され、第1の大きさは、第2の大きさよりも小さい。いくつかの実施態様では、ゾーン1および3は、ゾーン2および4によって覆われる大きさの2分の1を覆うように画定される。例えば、ゾーン2および4の各々がエッジリング100の円周の約120°を覆う場合、ゾーン1および3の各々は、エッジリング100の円周の約60°を覆う。代替実施態様では、ゾーン1および3は、ゾーン2および4によって覆われる大きさの5分の1を覆うように画定される。もちろん、第1および第2の対の各ゾーンの大きさは、同様のエッチング速度特性(すなわち、定格エッチング速度に対してより速いエッチング速度)を有するウエハの領域によって決定される。
【0039】
図4Aは、いくつかの実施態様において、プラズマチャンバ内で使用される様々な形状を有するエッジリング100の上面図である。エッジリングは、図3Cに示したものと同様に異なるゾーンに分割され、各ゾーンは、エッジリングセグメントを表す。ゾーン分割線は、線C-CおよびD-Dによって表される。図3Cを参照して述べたように、ゾーン1および3は、第1の一対のリングセグメントの一部であり、互いに対向して方向づけられ、水平軸に沿って並んでいる。ゾーン2および4は、第2の一対のリングセグメントの一部であり、互いに対向して方向づけられ、垂直軸に沿って並んでいる。エッジリングは、定められた向きでプラズマチャンバ内に受け取られる。いくつかの実施態様では、定められた向きは、ウエハがプラズマチャンバ内に受け取られるとき、ウエハを方向づけるために使用されるウエハノッチに関連して決定される。図4Aにて述べたように、ゾーン1および3は等しい大きさであり、ゾーン2および4は等しい大きさである。しかしながら、ゾーン1は、ゾーン2よりも小さい。図4Aには示していないが、ゾーン1および3のエッジリングの厚さは、ゾーン2および4のエッジリングの厚さよりも大きい。
【0040】
図4Bは、いくつかの実施態様において、それぞれ一対の連続するゾーンの間に画定された遷移領域を示す。遷移領域は、線C1-C1、C2-C2、D1-D1、およびD2-D2の間に表される。例えば、遷移領域1(TR1)はゾーン1および2の界面に、TR2はゾーン2および3の界面に、TR3はゾーン3および4の界面に、TR4はゾーン4および1の界面に画定される。さらに、ゾーンの向きは、エッジリング100のラジアンに関連して示される。ゾーン1は0°を中心として対照的に方向づけられ、ゾーン2は90°を中心として対照的に方向づけられ、ゾーン3は180°を中心として対照的に方向づけられ、ゾーン4は270°を中心として対照的に方向づけられて示される。
【0041】
図4Cは、いくつかの実施態様において、円形のエッジリングのラジアンに関連したゾーンの向きを示す。前述のように、ゾーンは、2つの連続するゾーンの間の界面に画定された遷移領域によって分離される。したがって、4つのゾーンが上部に画定されたエッジリングには、TR1~TR4の4つの遷移領域がある。各遷移領域は、増加した厚さにある第1の遷移点(TPa)から定格厚さにある第2の遷移点(TPb)までの遷移長に亘っている。いくつかの実施態様では、遷移長は、約1mmから約3mmの間であるように定められる。いくつかの実施態様では、遷移領域内のTPaとTPbとの間の傾斜部の角度は、約30°から約40°の間であるように画定される。他の実施態様では、TPaとTPbとの間の傾斜部の角度は、増加した厚さh1、公称厚さh2、および遷移領域の長さに依存する。いくつかの実施態様では、第1の一対のリングセグメントのゾーン1および3は、水平軸(すなわち、x軸)から約α°の角度で画定される。第2の一対のリングセグメントのゾーン2および4は、約(180°-α°)となるように画定される。いくつかの実施態様では、α°は、鋭角であると定められる。いくつかの実施態様では、α°は、約15°であると定められる。代替実施態様では、α°は、約30°であると定められる。さらに他の実施態様では、α°は、約15°から約30°の間であると定められる。いくつかの実施態様では、ゾーン1および3にて定められた増加した厚さh1は、約6.7mmから約7.7mmの間であると定められる。いくつかの実施態様では、ゾーン2および4にて定められた公称厚さh2は、約6.3mmから約7.0mmの間であると定められる。もちろん、本明細書に含まれる様々な寸法は、例として提供され、制限的または限定的と見なされるべきではない。さらに、様々な寸法を定めるための「約」という用語の使用は、定められた範囲の±15%の変動を含み得る。いくつかの実施態様では、エッジリングは、シリコン製である。他の実施態様では、エッジリングは、シリコンおよび他のポリシリコン材料を含んでもよい。
【0042】
図5は、いくつかの実施態様において、エッジリングおよびエッジリングの厚さがエッチング速度に及ぼす影響を簡単にまとめて表形式で示す。前述のように、1行目は、平坦なエッジリング(すなわち、軸対称エッジリング)がプラズマチャンバ内でウエハに隣接し、ウエハを取り囲むように使用される場合のウエハエッジ部上のエッチング速度を示す。エッチング速度は、ウエハの異なる領域に沿って変化し、ゾーン1および3はより速いエッチング速度を示し、ゾーン2および4は定格エッチング速度を示す。2行目は、ウエハエッジ部で観察される様々なエッチング速度に対処するために使用されるマルチレベルエッジリングの形状を示す。この場合、エッチング速度は、ウエハ全体にわたって均一となり得る。上述したように、エッジリングは、複数のゾーンに画定され、各ゾーンは、ウエハのある一定の領域と合致する。エッジリングの厚さは、ゾーン1および3では高さh1に増加し、ゾーン2および4では高さh2に維持される。エッジリングはプラズマチャンバ内に定められた向きで設置されるため、様々なゾーンは、ウエハの対応する領域に合致し、ウエハエッジ部の対応する領域におけるエッチング速度に影響を与える。例えば、ゾーン1および3は、より速いエッチング速度を有するウエハの領域に隣接して配置され、そのウエハの領域に合致し、一方で、ゾーン2および4は、公称エッチング速度を有するウエハエッジ部の領域に隣接して配置され、そのウエハエッジ部の領域に合致する。
【0043】
3行目は、いくつかの実施態様において、マルチレベルエッジリングをプラズマチャンバ内で使用した場合に、ウエハエッジ部の異なる領域で得られたエッチング速度を示す。マルチレベルエッジリングでは、マルチレベルエッジリングの対応するゾーンに対応するウエハエッジ部のすべての領域が公称エッチング速度を示すことが観察される。例えば、ゾーン1および3に合致するウエハエッジ部上の領域は、1行目に示したより速いエッチング速度から3行目に示した定格エッチング速度まで、エッチング速度が低下していることを示す。
【0044】
前述のように、新しく設計された形状は、エッジリングを非対称にし、ウエハ上にパターニングされたフィーチャの非対称性を補償するものであり、従来のエッジリングの軸対称構成とは異なる。エッジリングのある部分が高くなる高さは、エッチング速度がより速いと示されたウエハの領域内でのエッチング速度を低減するために最適化される。エッジリングの新しい設計により、イオンティルトを低減し、ウエハエッジ部におけるイオンフラックスを最適化することによって、ウエハエッジ部の様々な部分を含むウエハの表面全体にわたって実質的に均一なエッチング速度を達成することになる。
【0045】
前述の様々な実施態様の説明は、例示および説明の目的で提供されている。これは、網羅的であること、または記載された技術を限定する意図はない。特定の実施態様の個々の要素または特徴は、一般に、その特定の実施態様に限定されないが、適用可能な場合は、特に図示または説明されていなくても、交換可能であり、選択された実施態様に使用できる。また、同じものを様々に変形させてもよい。そのような変形は、本記載の実施形態からの逸脱と見なされるものではなく、全てのそのような修正は、本記載の実施形態の範囲内に含まれることが意図される。
【0046】
前述の実施形態は、理解を明確にする目的である程度詳細に説明されているが、添付の特許請求の範囲内において一定の変更および修正を実施できることは明らかであろう。したがって、本実施形態は、例示的であって制限的ではないと考えられ、本実施形態は、本明細書にて与えられた詳細に限定されるものではなく、特許請求の範囲内および等価物の範囲内で修正されてもよい。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
【国際調査報告】