(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-05
(54)【発明の名称】有機金属前駆体、及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
C07F 11/00 20060101AFI20250226BHJP
【FI】
C07F11/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547465
(86)(22)【出願日】2023-02-09
(85)【翻訳文提出日】2024-10-08
(86)【国際出願番号】 US2023012714
(87)【国際公開番号】W WO2023154404
(87)【国際公開日】2023-08-17
(32)【優先日】2022-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キャメロン, トーマス エム.
(72)【発明者】
【氏名】カイパー, デーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】コイン, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】エルメルト, デビット エム.
【テーマコード(参考)】
4H050
【Fターム(参考)】
4H050AA02
4H050AB84
4H050BD10
4H050BD70
4H050WB11
4H050WB21
(57)【要約】
いくつかの実施態様は、前駆体(中間前駆体を含む)、及び関連する方法に関する。中間前駆体を製造するために、ビス(アレーン)金属錯体の混合物が、第1のアレーンと合わせられる。ビス(アレーン)金属錯体の混合物第1のアレーンが加熱され、続いて冷却される。冷却すると、ビス(第1のアレーン)金属錯体が溶液から析出して、高純度の中間前駆体が得られる。前駆体を製造するために、ビス(第1のアレーン)金属錯体を第2のアレーンと接触させて、高純度の前駆体が得られる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前駆体を製造する方法であって、
ビス(アレーン)金属錯体の混合物と、第1のアレーンとを合わせること、
ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンを加熱すること、並びに
ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンを冷却して、ビス(第1のアレーン)金属錯体を析出させること、
を含む、方法。
【請求項2】
ビス(アレーン)金属錯体のアレーンの沸点が、第1のアレーンの沸点よりも高い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ビス(アレーン)金属錯体の混合物中に存在するビス(アレーン)金属錯体のそれぞれが独立して、下記式のビス(アレーン)金属錯体である、請求項1に記載の方法:
[式中、
Mは、Cr、Mo、W、Fe、又はVであり、
Ar
1は、下記式のアレーン:
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである)
であり、
Ar
2は、下記式のアレーン:
(式中、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、及びR
12はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである)
である]。
【請求項4】
第1のアレーンが、下記式のアレーン:
[式中、R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、及びR
fはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである]
である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
加熱することが、100℃~200℃の温度に加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
加熱することが、大気圧~100barの範囲の圧力で加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
冷却することが、周囲条件にさらすことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ビス(第1のアレーン)金属錯体が、下記式の錯体である、請求項1に記載の方法:
[式中、
Mは、Cr、Mo、W、Fe、又はVであり、
Ar
3は、下記式のアレーン:
(式中、R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、及びR
fはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである)
である]。
【請求項9】
ビス(アレーン)金属錯体の混合物が、ベンゼンエチルベンゼンモリブデン、ベンゼンジエチルベンゼンモリブデン、エチルベンゼンジエチルベンゼンモリブデン(EBDEBMo)、ビス(エチルベンゼン)モリブデン(BEBMo)、ビス(ジエチルベンゼン)モリブデン(BDEBMo)、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
第1のアレーンが、ベンゼン、トルエン、キシレン、ビベンジル、ジフェニルメタン、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ビス(第1のアレーン)金属錯体が、50%以上の収率で得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ビス(第1のアレーン)金属錯体をろ過により分離して、90%以上の純度を有する精製されたビス(第1のアレーン)金属錯体を得ることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前駆体を製造する方法であって、
第1のアレーンと、ビス(アレーン)金属錯体の混合物とを合わせること、
第1のアレーン、及びビス(アレーン)金属錯体の混合物を加熱すること、
第1のアレーン、及びビス(アレーン)金属錯体の混合物を冷却して、ビス(第1のアレーン)金属錯体を得ること、
ビス(第1のアレーン)金属錯体と、第2のアレーンとを合わせること、並びに
ビス(第1のアレーン)金属錯体、及び第2のアレーンを加熱して、ビス(第2のアレーン)金属錯体を得ること
を含む、方法。
【請求項14】
ビス(アレーン)金属錯体のアレーンの沸点が、第1のアレーンの沸点よりも高く、
ビス(第1のアレーン)金属錯体の第1のアレーンの沸点が、第2のアレーンの沸点未満である、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
第2のアレーンが、下記式:
[式中、R
g、R
h、R
i、R
j、R
k、及びR
mはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである]、
又は
[式中、
Zは、結合、アルキル、ヘテロ原子、又はヘテロアルキルであり、かつ
R
n、R
o、R
p、R
q、R
r、R
s、R
t、R
u、R
v、及びR
wはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである]
のうち少なくとも1つを有するアレーンである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
第2のアレーンが、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、o-t-ブチルトルエン、m-t-ブチルトルエン、p-t-ブチルトルエン、1-エチル-4-メチルベンゼン、1-エチル-3-メチルベンゼン、1-イソプロピル-4-メチルベンゼン、1-t-ブチル-4-メチルベンゼン、メシチレン、プソイドクメン、デュレン、メチルベンゼン、ジメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、1,4-ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、t-ブチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、スチレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、テルフェニル、メチルナフタレン、ビフェニレン、ジメチルナフタレン、メチルアントラセン、4,4’-ジメチルビフェニル、ビベンジル、ジフェニルメタン、これらの任意の異性体、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
ビス(第2のアレーン)金属錯体が、下記式:
又は
[式中、
Mは、Cr、Mo、W、Fe、又はVであり、
Zは、結合、アルキル、ヘテロ原子、又はヘテロアルキルであり、
Ar
4は、下記式のアレーン:
(式中、R
g、R
h、R
i、R
j、R
k、及びR
mはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである)
であり、
Ar
5は、下記式のアレーン:
(式中、R
n、R
o、R
p、R
q、及びR
rはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである)
であり、
Ar
6は、下記式のアレーン:
(式中、R
s、R
t、R
u、R
v、及びR
wはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである)
である]
のうち少なくとも1つの錯体である、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
ビス(第2のアレーン)金属錯体が、少なくとも90%の純度を有する液体である、請求項13に記載のビス(第2のアレーン)金属錯体を含む前駆体。
【請求項19】
組成物であって、
下記式:
又は
[式中、
Mは、Cr、Mo、W、Fe、又はVであり、
Zは、結合、アルキル、ヘテロ原子、又はヘテロアルキルであり、
Ar
4は、下記式のアレーン:
(式中、R
g、R
h、R
i、R
j、R
k、及びR
mはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである)
であり、
Ar
5は、下記式のアレーン:
(式中、R
n、R
o、R
p、R
q、及びR
rはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである)
であり、
Ar
6は、下記式のアレーン:
(式中、R
s、R
t、R
u、R
v、及びR
wはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである)
である]
のうち少なくとも1つのビス(アレーン)金属錯体を含む前駆体を含み、当該前駆体が90%以上の純度を有する、組成物。
【請求項20】
前駆体が、99%以上の純度を有する液体である、請求項19に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、堆積プロセスのための有機金属前駆体、有機金属前駆体の製造方法などに関する。
【0002】
優先権
本開示は、2022年2月11日に提出された米国仮出願番号63/309,181の優先権を主張し、その内容は、ここで参照により援用される。
【背景技術】
【0003】
金属アレーン錯体は、様々な用途にとって有用な有機金属化合物のクラスである。金属アレーン錯体が有用ないくつかの用途では、金属アレーン錯体の高純度形態が必要となる。しかしながら、従来の精製は困難であり、高価であり、時間もかかり、非効率的である。
【0004】
発明の概要
いくつかの実施態様は、中間前駆体を製造するための方法に関する。いくつかの実施態様において、中間前駆体を製造するための本方法は、下記工程のうち1つ又は複数を含むか、下記工程のうち1つ又は複数からなるか、又は下記工程のうち1つ又は複数から実質的になる:ビス(アレーン)金属錯体の混合物と、第1のアレーンとを合わせること;ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンを加熱すること;並びにビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンを冷却して、ビス(第1のアレーン)金属錯体を析出させること。
【0005】
いくつかの実施態様では、ビス(アレーン)金属錯体のアレーンの沸点が、第1のアレーンの沸点よりも高い。
【0006】
いくつかの実施態様では、ビス(アレーン)金属錯体の混合物中に存在するビス(アレーン)金属錯体のそれぞれが独立して、下記式のビス(アレーン)金属錯体である:
[式中、
Mは、Cr、Mo、W、Fe、又はVであり、
Ar
1は、下記式のアレーン:
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである)
であり、
Ar
2は、下記式のアレーン:
(式中、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、及びR
12はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである)
である]。
【0007】
いくつかの実施態様では、第1のアレーンが、下記式のアレーンである:
[式中、R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、及びR
fはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである]。
【0008】
いくつかの実施態様では、加熱することが、100℃~200℃の温度に加熱することを含む。
【0009】
いくつかの実施態様では、加熱することが、大気圧~100barの範囲の圧力で加熱することを含む。
【0010】
いくつかの実施態様では、冷却することが、周囲条件にさらすことを含む。
【0011】
いくつかの実施態様では、ビス(第1のアレーン)金属錯体が、下記式の錯体である:
[式中、
Mは、Cr、Mo、W、Fe、又はVであり、
Ar
3は、下記式のアレーン:
(式中、R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、及びR
fはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである)
である]。
【0012】
いくつかの実施態様では、ビス(アレーン)金属錯体の混合物が、ベンゼンエチルベンゼンモリブデン、ベンゼンジエチルベンゼンモリブデン、エチルベンゼンジエチルベンゼンモリブデン(EBDEBMo)、ビス(エチルベンゼン)モリブデン(BEBMo)、ビス(ジエチルベンゼン)モリブデン(BDEBMo)、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含む。
【0013】
いくつかの実施態様では、第1のアレーンが、ベンゼン、トルエン、キシレン、ビベンジル、ジフェニルメタン、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含む。
【0014】
いくつかの実施態様では、ビス(第1のアレーン)金属錯体が、50%以上の収率で得られる。
【0015】
いくつかの実施態様では、本方法がさらに、ビス(第1のアレーン)金属錯体をろ過により分離して、90%以上の純度を有する精製されたビス(第1のアレーン)金属錯体を得ることを含む。
【0016】
いくつかの実施態様は、前駆体を製造する方法に関する。いくつかの実施態様において、前駆体を製造するための本方法は、以下の工程のうち1つ又は複数を含むか、以下の工程のうち1つ又は複数からなるか、又は以下の工程のうち1つ又は複数から実質的になる:第1のアレーンと、ビス(アレーン)金属錯体の混合物とを合わせること;第1のアレーン、及びビス(アレーン)金属錯体の混合物を加熱すること;第1のアレーン、及びビス(アレーン)金属錯体の混合物を冷却して、ビス(第1のアレーン)金属錯体を得ること;ビス(第1のアレーン)金属錯体と、第2のアレーンとを合わせること;並びにビス(第1のアレーン)金属錯体及び第2のアレーンを加熱して、ビス(第2のアレーン)金属錯体を得ること。
【0017】
いくつかの実施態様では、ビス(アレーン)金属錯体のアレーンの沸点が、第1のアレーンの沸点よりも高い。
【0018】
いくつかの実施態様では、ビス(第1のアレーン)金属錯体の第1のアレーンの沸点が、第2のアレーンの沸点未満である。
【0019】
いくつかの実施態様では、第2のアレーンが、下記式:
[式中、R
g、R
h、R
i、R
j、R
k、及びR
mはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである]、
又は
[式中、
Zは、結合、アルキル、ヘテロ原子、又はヘテロアルキルであり、かつ
R
n、R
o、R
p、R
q、R
r、R
s、R
t、R
u、R
v、及びR
wはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである]
のうち少なくとも1つを有するアレーンである。
【0020】
いくつかの実施態様では、第2のアレーンが、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、o-t-ブチルトルエン、m-t-ブチルトルエン、p-t-ブチルトルエン、1-エチル-4-メチルベンゼン、1-エチル-3-メチルベンゼン、1-イソプロピル-4-メチルベンゼン、1-t-ブチル-4-メチルベンゼン、メシチレン、プソイドクメン、デュレン、メチルベンゼン、ジメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、1,4-ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、t-ブチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、スチレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、テルフェニル、メチルナフタレン、ビフェニレン、ジメチルナフタレン、メチルアントラセン、4,4’-ジメチルビフェニル、ビベンジル、ジフェニルメタン、これらの任意の異性体、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含む。
【0021】
いくつかの実施態様では、ビス(第2のアレーン)金属錯体が、下記式:
又は
[式中、
Mは、Cr、Mo、W、Fe、又はVであり、
Zは、結合、アルキル、ヘテロ原子、又はヘテロアルキルであり、
Ar
4は、下記式のアレーン:
(式中、R
g、R
h、R
i、R
j、R
k、及びR
mはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである)
であり、
Ar
5は、下記式のアレーン:
(式中、R
n、R
o、R
p、R
q、及びR
rはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである)
であり、
Ar
6は、下記式のアレーン:
(式中、R
s、R
t、R
u、R
v、及びR
wはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである)
である]
のうち少なくとも1つの錯体である。
【0022】
いくつかの実施態様は、ビス(第2のアレーン)金属錯体を含む前駆体であって、ビス(第2のアレーン)金属錯体が、少なくとも90%の純度を有する液体である前駆体に関する。
【0023】
いくつかの実施態様は、前駆体を含む組成物に関する。いくつかの実施態様において、当該前駆体は、下記式:
又は
[式中、
Mは、Cr、Mo、W、Fe、又はVであり、
Zは、結合、アルキル、ヘテロ原子、又はヘテロアルキルであり、
Ar
4は、下記式のアレーン:
(式中、R
g、R
h、R
i、R
j、R
k、及びR
mはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである)
であり、
Ar
5は、下記式のアレーン:
(式中、R
n、R
o、R
p、R
q、及びR
rはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである)
であり、
Ar
6は、下記式のアレーン:
(式中、R
s、R
t、R
u、R
v、及びR
wはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである)
である]
のうち少なくとも1つのビス(アレーン)金属錯体を含み、ここで当該前駆体は、90%以上の純度を有する。
【0024】
いくつかの実施態様では、前駆体が、99%以上の純度を有する液体である。
【0025】
ここで本開示のいくつかの実施態様を単に例示的に、添付図面を参照しながら記載する。以下、図面について詳細に、具体的に言及するが、実施態様は例示的なものに過ぎず、本開示の実施態様を説明するためのものであることを強調しておく。これに関して、本明細書は図面とともに、本開示の実施態様がどのように実施可能であるかを、当業者に対して明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】いくつかの実施態様による前駆体(中間前駆体を含む)を製造するための方法についての、非限定的な実施態様である。
【
図2】いくつかの実施態様による前駆体を製造するための反応スキームの非限定的な実施態様を示す。
【
図3】いくつかの実施態様による、単離されたビス(ベンゼン)モリブデンの
1H NMRスペクトルである。
【0027】
詳細な説明
開示されたこれらの利点及び改善のなかでも、この開示について他の対象及び利点は、添付図面との関連で、以下の説明から明らかになる。本開示の詳細な実施態様が、ここに開示されるが、開示された実施形態は、本開示を単に説明するものに過ぎず、様々な形態があり得ると理解されるべきである。さらに、本開示の様々な実施態様に関する所定の実施例はそれぞれ、説明のためのものであることが意図されており、本発明を限定するものではない。
【0028】
ここで言及されるすべての従来の特許及び文献は、参照によりその全体が援用される。
【0029】
本明細書及び特許請求の範囲を通じて、以下の用語は、文脈から明示的にそうでない旨が明示されていない限り、ここで明示的に関連付けられた意味を有する。ここで使用する「1つの実施態様では」、「ある実施態様では」、及び「いくつかの実施態様では」という表現は、1つ又は複数の同じ実施態様について言及している必要はないが、同じ実施態様であり得る。さらに、ここで使用する「別の実施態様では」及び「いくつかの実施態様では」という表現は、異なる実施態様について言及している必要はないが、異なる実施態様であり得る。本開示の全ての実施態様は、本開示の範囲又は思想から離れない限りにおいて、組み合わせ可能であることが意図されている。
【0030】
ここで使用するように、「アルキル」という用語は、1~30個の炭素原子を有する炭化水素化合物をいう。n個の炭素原子を有するアルキルは、「Cnアルキル」と表されることがある。例えば、「C3アルキル」には、n-プロピル及びイソプロピルが含まれ得る。ある範囲の炭素原子(例えば1~30個の炭素原子)を有するアルキルは、C1~C30アルキルと表されることがある。いくつかの実施態様では、アルキルが直鎖状である。いくつかの実施態様では、アルキルが分枝鎖状である。いくつかの実施態様では、アルキルが置換されている。いくつかの実施態様では、アルキルが非置換である。いくつかの実施態様では、アルキルが、C1~C10アルキル、C1-C9アルキル、C1-C8アルキル、C1-C7アルキル、C1-C6アルキル、C1-C5アルキル、C1-C4アルキル、C1-C3アルキル、C2-C10アルキル、C3-C10アルキル、C4-C10アルキル、C5-C10アルキル、C6-C10アルキル、C7-C10アルキル、C8-C10アルキル、C2-C9アルキル、C2-C8アルキル、C2-C7アルキル、C2-C6アルキル、C2-C5アルキル、C3-C5アルキル、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらのうち少なくとも1つからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、アルキルが、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソプロピル)、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、n-ペンチル、イソ-ペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、オクタデシル、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらのうち少なくとも1つからなる群から選択される。
【0031】
ここで使用するように、「アレーン」という用語は、単環式又は多環式の芳香族炭化水素化合物をいう。アレーンの炭素原子の数は、炭素原子5個~炭素原子100個の範囲であり得る。いくつかの実施態様では、アレーンが、5~20個の炭素原子を有する。例えば、いくつかの実施態様では、アレーンが、6~8個の炭素原子、6~10個の炭素原子、6~12個の炭素原子、6~15個の炭素原子、又は6~20個の炭素原子を有する。修飾語として用いられる場合、「単環式」という用語は、1つの芳香族環構造を有するアレーンをいう。修飾語として用いられる場合、「多環式」という用語は、1つより多い芳香族環構造を有するアレーンをいい、当該アレーンは、融合構造、橋かけ構造、スピロ構造、又はその他の結合した環構造であり得る。「アルキル置換されたアレーン」という用語は、1つ又は複数のアルキル置換基を有するアレーンをいう。いくつかの実施態様では、アルキル置換されたアレーンが、モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、トリアルキルベンゼン、テトラアルキルベンゼン、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含み得る。ここではアレーンを、Arと呼ぶこともある。
【0032】
アレーンの非限定な例には、ベンゼン、トルエン、キシレン(例えば、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン)、t-ブチルトルエン(例えば、o-t-ブチルトルエン、m-t-ブチルトルエン、p-t-ブチルトルエン)、エチルメチルベンゼン(例えば、1-エチル-4-メチルベンゼン、1-エチル-3-メチルベンゼン)、1-イソプロピル-4-メチルベンゼン、1-t-ブチル-4-メチルベンゼン、メシチレン、プソイドクメン、デュレン、メチルベンゼン、ジメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン(例えば、1,4-ジエチルベンゼン)、トリエチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、イソ-ブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、t-ブチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、スチレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、テルフェニル、メチルナフタレン、ビフェニレン、ジメチルナフタレン、メチルアントラセン、4,4′-ジメチルビフェニル、ビベンジル、ジフェニルメタン、これらの任意の異性体、又はこれらの任意の組み合わせなど、のうち少なくとも1つが含まれるが、アレーンはこれらに限られない。
【0033】
ここで使用するように、「金属」という用語は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ポスト遷移金属(post-transition metal)、ランタノイド、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つをいう。いくつかの実施態様では例えば、金属が、遷移金属を含むか、又は遷移金属からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、金属が、VIB族の金属を含むか、又はVIB族の金属からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、金属が、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、金属が、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉄(Fe)、バナジウム(V)、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、金属がイオン形態、単体、又はこれらの任意の組み合わせである。
【0034】
ここで使用するように、「ビス(アレーン)金属錯体」は、金属に対して少なくとも2つのアレーン結合(例えば配位結合)を有する任意の有機金属化合物をいう。アレーンはそれぞれ独立して、置換されているか、又は非置換であり得る。いくつかの実施態様では、ビス(アレーン)金属錯体が、金属に対して配位結合した、置換されたアレーンを1つだけ有する。例えば、いくつかの実施態様では、ビス(アレーン)金属錯体が、ベンゼンエチルベンゼンモリブデンを含み、ここでエチルベンゼンが、置換されたアレーンである。いくつかの実施態様では、ビス(アレーン)金属錯体が、金属に対して配位結合した、置換されたアレーンを2つ含む。例えば、いくつかの実施態様では、ビス(アレーン)金属錯体が、ビス(ジエチルベンゼン)モリブデンを含み、ここでジエチルベンゼンが、置換されたアレーンである。いくつかの実施態様では、ビス(アレーン)金属錯体が、金属に対して配位結合した2つのアレーンを含み、ここで2つのアレーンが同じであり、当該2つのアレーンが、置換されているか、又は非置換である。
【0035】
ビス(アレーン)金属錯体の非限定的な例には、ビス(ベンゼン)モリブデン、ビス(ベンゼン)タングステン、ビス(トルエン)モリブデン、ビス(トルエン)タングステン、ビス(キシレン)モリブデン、ビス(キシレン)タングステン、ビス(エチルベンゼン)モリブデン、ビス(エチルベンゼン)タングステン、ビス(ベンゼン)クロム、ビス(エチルベンゼン)クロム、ビス(トルエン)クロム、ビス(メシチレン)クロム、ビス(メシチレン)モリブデン、ビス(テトラリン)クロム、ビス(ジフェニル)クロム、ビス(ジフェニル)モリブデン、ビス(メシチレン)モリブデン、ビス(メシチレン)タングステン、ビス(ベンゼン)鉄、ビス(トルエン)鉄、ビス(キシレン)クロム、ビス(キシレン)鉄、ビス(メシチレン)鉄、ビス(デュレン)鉄、ビス(ヘキサメチルベンゼン)鉄、ビス(ヘキサメチルベンゼン)クロム、ビス(ベンゼン)バナジウム、ビス(トルエン)バナジウム、これらの任意のビス(アレーン異性体)金属錯体、又はこれらの任意の組み合わせ、のうち少なくとも1つが含まれるが、ビス(アレーン)金属錯体はこれらに限られない。
【0036】
ここで使用するように、「に基づく(based on)」という用語は、排他的なものではなく、文脈が明示的にそうではない旨を示さない限り、ここに記載されていないさらなる要素に基づくことが許容される。さらに、明細書全体を通じて、「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」の意味には、複数形への言及が含まれる。「中に(in)」の意味には、「中に(in)」及び「上に(on)」の意味が含まれる。
【0037】
半導体作製プロセスに有用な有機金属前駆体のなかには、高純度が必要とされるものがある。しかしながら、有機金属化合物を、必要とされる高い純度で得ることは、困難なことがある。ビス(アレーン)金属錯体の合成方法には、とりわけ反応生成物及び各反応生成物の量という観点の双方で、バッチごとに著しいばらつきがあるからである。加えて、アルキル及びジアルキルの再構成に起因して、ビス(エチルベンゼン)モリブデンのフィッシャー・ハフナー合成(Fischer-Hafner synthesis)により、ビス(エチルベンゼン)モリブデンの異性体と、ビス(ジエチルベンゼン)モリブデンの異性体との混合物が生じる。特定のビス(アレーン)金属錯体を、ビス(アレーン)金属錯体の混合物から単離するためのアプローチは、利用できないか、又は困難であり、高価であり、時間がかかり、また非効率的である。
【0038】
いくつかの実施形態は、上記問題点のうち少なくとも一部を克服する、中間前駆体及び前駆体の製造方法に関する。ここに記載するように、ビス(アレーン)金属錯体の混合物を、電子供与性が少ない、かつ/又はビス(アレーン)金属錯体のアレーンよりも沸点が低い、第1のアレーンと接触させると、高純度の中間前駆体としてのビス(第1のアレーン)金属錯体を得ることが可能であると判明した。ビス(第1のアレーン)金属錯体の可溶性が限られていることにより、予想外にも、ビス(第1のアレーン)金属錯体の単離が、沸点が比較的高く、電子供与性が比較的高いビス(アレーン)金属錯体のアレーンの存在下で、可能になる。続いて、ビス(第1のアレーン)金属錯体を第2のアレーンと接触させて、ビス(第2のアレーン)金属錯体を、高純度の前駆体として得ることができる。
【0039】
図1は、いくつかの実施態様により、前駆体(中間前駆体を含む)を製造するための方法100の非限定的な実施態様を示す。
【0040】
図1に示したとおり、いくつかの実施態様では、方法100が、以下の工程のうち1つ又は複数を含むか、又は以下の工程のうち1つ又は複数からなるか、又は以下の工程のうち1つ又は複数から実質的になる:ビス(アレーン)金属錯体の混合物と、第1のアレーンとを合わせる工程102;ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンを加熱する工程104;ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンを冷却して、ビス(第1のアレーン)金属錯体を析出させる工程106;ビス(第1のアレーン)金属錯体と、第2のアレーンとを合わせる工程108;並びにビス(第1のアレーン)金属錯体、及び第2のアレーンを加熱して、ビス(第2のアレーン)金属錯体を得る工程110。
【0041】
いくつかの実施態様では、方法100が、中間前駆体を製造するための方法である。いくつかの実施態様では、中間前駆体を製造するための方法100が、工程102、工程104、及び工程106のうち1つ又は複数を含むか、又は工程102、工程104、及び工程106のうち1つ又は複数からなるか、又は工程102、工程104、及び工程106のうち1つ又は複数から実質的になる。いくつかの実施態様では、方法100が、前駆体を製造するための方法である。いくつかの実施態様では、前駆体を製造するための方法が、工程108及び工程110のうち1つ又は複数を含むか、又は工程108及び工程110のうち1つ又は複数からなるか、又は工程108及び工程110のうち1つ又は複数から実質的になる。いくつかの実施態様では、いくつかの実施態様では、前駆体を製造するための方法が、工程102、工程104、工程106、工程108、及び工程110のうち1つ又は複数を含むか、又は工程102、工程104、工程106、工程108、及び工程110のうち1つ又は複数からなるか、又は工程102、工程104、工程106、工程108、及び工程110のうち1つ又は複数から実質的になる。
【0042】
工程102において、いくつかの実施態様では、ビス(アレーン)金属錯体の混合物を、第1のアレーンと合わせる。
【0043】
ビス(アレーン)金属錯体の混合物を、第1のアレーンと合わせるやり方は、特に制限されない。いくつかの実施態様では、合わせることが、ビス(アレーン)金属錯体の混合物を、第1のアレーンと接触させることを含む。いくつかの実施態様では、合わせることが、ビス(アレーン)金属錯体の混合物を、第1のアレーンと混合することを含む。いくつかの実施態様では、合わせることが、ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンを、別個に又は一緒に、反応容器に供給することを含む。いくつかの実施態様では、合わせることが、ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンを、別個に又は一緒に、反応容器に流すこと又は給送することを含む。いくつかの実施態様では、合わせることが、ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンを、別個に又は一緒に、反応容器に導入することを含む。別の実施態様では、接触させることが、ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンを、反応容器に注ぐこと、配置すること、添加すること、又はこれらの任意の組み合わせを含む。
【0044】
ビス(アレーン)金属錯体の混合物は、1つ又は複数の金属錯体を含み得る。いくつかの実施態様では、ビス(アレーン)金属錯体の混合物が、反応生成物の混合物である。例えば、いくつかの実施態様では、ビス(アレーン)金属錯体の混合物が、フィッシャー・ハフナー合成(FHS)、フリーデル・クラフツ反応、アレーンメタセシスのうち少なくとも1つ、又はこれらの任意の組み合わせにより製造されたビス(アレーン)金属錯体の混合物を含む、初期混合物である。ここでは、本開示の範囲を離れることなく、他の合成経路及び反応を使用して、ビス(アレーン)金属錯体の混合物を得ることが可能なことが評価されるであろう。
【0045】
いくつかの実施態様では、ビス(アレーン)金属錯体の混合物が、複数の異なるビス(アレーン)金属錯体を含む。混合物中に存在する、異なるビス(アレーン)金属錯体の混合物の数は、特に限定されず、例えば最大100種の異なるビス(アレーン)金属錯体が含まれ得るが、これに限られない。いくつかの実施態様では、ビス(アレーン)金属錯体同士の差異が、ビス(アレーン)金属錯体のアレーンに結合した、1つ若しくは複数の置換基(又は、1つ若しくは複数の置換基の数)である。いくつかの実施態様では、ビス(アレーン)金属錯体同士の差異が、ビス(アレーン)金属錯体のアレーンに結合した、1つ若しくは複数の置換基の立体化学(又は空間的な配置構成)である。例えば、いくつかの実施態様では、ビス(アレーン)金属錯体の混合物が、ビス(アレーン)金属錯体の異性体を、少なくとも1つ、複数含む。いくつかの実施態様では、ビス(アレーン)金属錯体同士の差異が、ビス(アレーン)金属錯体の金属である。いくつかの実施態様では、ビス(アレーン)金属錯体同士の差異が、1つ又は複数の前述の差異の任意の組み合わせである。
【0046】
いくつかの実施態様では、ビス(アレーン)金属錯体の混合物中に存在するビス(アレーン)金属錯体がそれぞれ独立して、下記式のビス(アレーン)金属錯体である:
[式中、
Mは金属であり、
Ar
1はアレーンであり、
Ar
2はアレーンであり、当該アレーンは、Ar
1と同じであってもよく、又はAr
1と異なっていてもよい]。
【0047】
いくつかの実施態様では、Ar
1が、下記式のアレーンである:
[式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである]。
【0048】
いくつかの実施態様では、Ar1が、置換されたアレーン、非置換のアレーン、又はこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施態様では、例えば、Ar1が、モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、トリアルキルベンゼン、テトラアルキルベンゼン、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含む。いくつかの実施態様では、アルキルが、C1~C10アルキル、C1-C9アルキル、C1-C8アルキル、C1-C7アルキル、C1-C6アルキル、C1-C5アルキル、C1-C4アルキル、C1-C3アルキル、C2-C10アルキル、C3-C10アルキル、C4-C10アルキル、C5-C10アルキル、C6-C10アルキル、C7-C10アルキル、C8-C10アルキル、C2-C9アルキル、C2-C8アルキル、C2-C7アルキル、C2-C6アルキル、C2-C5アルキル、C3-C5アルキル、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらのうち少なくとも1つからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、アルキルが、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソプロピル)、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、n-ペンチル、イソ-ペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、オクタデシル、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらのうち少なくとも1つからなる群から選択される。
【0049】
いくつかの実施態様では、例えば、Ar1が、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、o-t-ブチルトルエン、m-t-ブチルトルエン、p-t-ブチルトルエン、1-エチル-4-メチルベンゼン、1-エチル-3-メチルベンゼン、1-イソプロピル-4-メチルベンゼン、1-t-ブチル-4-メチルベンゼン、メシチレン、プソイドクメン、デュレン、メチルベンゼン、ジメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、1,4-ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、t-ブチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、スチレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、テルフェニル、メチルナフタレン、ビフェニレン、ジメチルナフタレン、メチルアントラセン、4,4’-ジメチルビフェニル、ビベンジル、ジフェニルメタン、これらの任意の異性体、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらのうち少なくとも1つからなる群から選択される。
【0050】
いくつかの実施態様では、Ar
2が、下記式のアレーンである:
[式中、
R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、及びR
12はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである]。
【0051】
いくつかの実施態様では、Ar2が、置換されたアレーン、非置換のアレーン、又はこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施態様では、例えば、Ar2が、モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、トリアルキルベンゼン、テトラアルキルベンゼン、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含む。いくつかの実施態様では、アルキルが、C1~C10アルキル、C1-C9アルキル、C1-C8アルキル、C1-C7アルキル、C1-C6アルキル、C1-C5アルキル、C1-C4アルキル、C1-C3アルキル、C2-C10アルキル、C3-C10アルキル、C4-C10アルキル、C5-C10アルキル、C6-C10アルキル、C7-C10アルキル、C8-C10アルキル、C2-C9アルキル、C2-C8アルキル、C2-C7アルキル、C2-C6アルキル、C2-C5アルキル、C3-C5アルキル、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらのうち少なくとも1つからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、アルキルが、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソプロピル)、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、n-ペンチル、イソ-ペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、オクタデシル、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらのうち少なくとも1つからなる群から選択される。
【0052】
いくつかの実施態様では、例えば、Ar2が、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、o-t-ブチルトルエン、m-t-ブチルトルエン、p-t-ブチルトルエン、1-エチル-4-メチルベンゼン、1-エチル-3-メチルベンゼン、1-イソプロピル-4-メチルベンゼン、1-t-ブチル-4-メチルベンゼン、メシチレン、プソイドクメン、デュレン、メチルベンゼン、ジメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、1,4-ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、t-ブチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、スチレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、テルフェニル、メチルナフタレン、ビフェニレン、ジメチルナフタレン、メチルアントラセン、4,4’-ジメチルビフェニル、ビベンジル、ジフェニルメタン、これらの任意の異性体、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらのうち少なくとも1つからなる群から選択される。
【0053】
いくつかの実施態様において、ビス(アレーン)金属錯体の混合物は、Ar1とAr2が同じである少なくとも1つのビス(アレーン)金属錯体を含む。いくつかの実施態様において、ビス(アレーン)金属錯体の混合物は、Ar1とAr2が異なる少なくとも1つのビス(アレーン)金属錯体を含む。
【0054】
いくつかの実施態様では、ビス(アレーン)金属錯体の金属が、遷移金属を含むか、又は遷移金属からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、金属が、VIB族の金属を含むか、VIB族の金属からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、金属が、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、金属が、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉄(Fe)、バナジウム(V)、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらからなる群から選択される。
【0055】
第1のアレーン(置換されていても、又は非置換であってもよい)は、混合物中に含まれるビス(アレーン)金属錯体の1つ又は複数のアレーンとは異なるアレーンを含み得る。例えば、第1のアレーンは、1つ又は複数の異なる置換基、1つ又は複数の異なる空間的な配置構成、1つ又は複数の異なる置換基の数、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを有し得る。
【0056】
第1のアレーンは、混合物中に含まれるビス(アレーン)金属錯体の1つ又は複数のアレーンに基づき、選択され得る。つまり、第1のアレーンは、ビス(アレーン)金属錯体のアレーンの少なくとも1つ(又は全て)未満の沸点を有するように選択され得る。例えば、いくつかの実施態様では、ビス(アレーン)金属錯体のアレーンの沸点が、第1のアレーンの沸点よりも高い。第1のアレーンは、ビス(アレーン)金属錯体のアレーンの少なくとも1つ(又は全て)よりも低い電子供与性特性を有するように選択され得る。例えば、いくつかの実施態様において、ビス(アレーン)金属錯体のアレーンは、第1のアレーンよりも置換基の数が多い(このため、より電子供与性が高くなり得る)。したがって、いくつかの実施態様では、第1のアレーンが、ビス(アレーン)金属錯体のアレーンに比して、より低い沸点、より少ない置換基の数(さもなくば、より低い電子供与性)、又はこれらの任意の組み合わせを有するように選択される。
【0057】
いくつかの実施態様では、第1のアレーンが、下記式のアレーンである:
[式中、
R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、及びR
fはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである]
【0058】
いくつかの実施態様では、第1のアレーンが、置換されたアレーン、非置換のアレーン、又はこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施態様では、第1のアレーンが、少なくとも1つのアルキル置換されたアレーンであるか、又は少なくとも1つのアルキル置換されたアレーンを含む。いくつかの実施態様では、例えば、第1のアレーンが、モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、トリアルキルベンゼン、テトラアルキルベンゼン、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含む。いくつかの実施態様では、アルキルが、C1~C10アルキル、C1-C9アルキル、C1-C8アルキル、C1-C7アルキル、C1-C6アルキル、C1-C5アルキル、C1-C4アルキル、C1-C3アルキル、C2-C10アルキル、C3-C10アルキル、C4-C10アルキル、C5-C10アルキル、C6-C10アルキル、C7-C10アルキル、C8-C10アルキル、C2-C9アルキル、C2-C8アルキル、C2-C7アルキル、C2-C6アルキル、C2-C5アルキル、C3-C5アルキル、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらのうち少なくとも1つからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、アルキルが、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソプロピル)、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、n-ペンチル、イソ-ペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、オクタデシル、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらのうち少なくとも1つからなる群から選択される。
【0059】
いくつかの実施態様では、例えば、第1のアレーンが、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、o-t-ブチルトルエン、m-t-ブチルトルエン、p-t-ブチルトルエン、1-エチル-4-メチルベンゼン、1-エチル-3-メチルベンゼン、1-イソプロピル-4-メチルベンゼン、1-t-ブチル-4-メチルベンゼン、メシチレン、プソイドクメン、デュレン、メチルベンゼン、ジメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、1,4-ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、t-ブチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、スチレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、テルフェニル、メチルナフタレン、ビフェニレン、ジメチルナフタレン、メチルアントラセン、4,4’-ジメチルビフェニル、ビベンジル、ジフェニルメタン、これらの任意の異性体、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらのうち少なくとも1つからなる群から選択される。
【0060】
工程104において、いくつかの実施態様では、ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンが、加熱される。
【0061】
ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンを加熱するやり方は、特に制限されない。いくつかの実施態様では、加熱することが、ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンを第1の温度に加熱することを含む。いくつかの実施態様では、加熱することが、ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンを第1の温度で加熱することを含む。いくつかの実施態様では、加熱することが、ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンを、オーブン内で、炉内で、ホットプレート上で、又はその他の加熱デバイス及び/又は装置で加熱することを含む。いくつかの実施態様では、加熱することが、ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンを、温かい流動浴(例えば温水浴)で加熱することを含む。いくつかの実施態様では、加熱することが、ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンを、第1の温度を有する流体(例えば、気体又は蒸気、液体など)と接触させることを含む。いくつかの実施態様では、加熱することが、ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンを、第1の温度を有する流体(例えば、気体又は蒸気、液体など)にさらすことを含む。
【0062】
第1の温度は、ビス(アレーン)金属錯体、第1のアレーン、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つの分解温度(例えば、熱分解温度)を下回る温度であり得る。第1の温度は、閾値温度(例えば、最低反応温度)以上の温度であり得る。いくつかの実施態様では、第1の温度が、100℃~200℃の範囲の温度である。例えば、いくつかの実施態様では、第1の温度が、110℃~200℃、115℃~200℃、120℃~200℃、125℃~200℃、130℃~200℃、135℃~200℃、140℃~200℃、145℃~200℃、150℃~200℃、155℃~200℃、160℃~200℃、165℃~200℃、170℃~200℃、175℃~200℃、180℃~200℃、185℃~200℃、190℃~200℃、195℃~200℃の範囲の温度、又はこれらの任意の組み合わせの温度である。いくつかの実施態様では、第1の温度が、100℃~195℃、100℃~190℃、100℃~185℃、100℃~180℃、100℃~175℃、100℃~170℃、100℃~165℃、100℃~160℃、100℃~155℃、100℃~150℃、100℃~145℃、100℃~140℃、100℃~135℃、100℃~130℃、100℃~125℃、100℃~120℃、100℃~115℃、100℃~110℃、100℃~105℃の範囲の温度、又はこれらの任意の組み合わせの温度である。
【0063】
いくつかの実施態様では、加熱することが、真空下で行われる。いくつかの実施態様では、加熱することが、圧力下で行われる。例えば、加熱することは、大気圧~100barの範囲の圧力で行われ得る。いくつかの実施態様では、圧力が、1bar~100bar、10bar~100bar、20bar~100bar、30bar~100bar、40bar~100bar、50bar~100bar、60bar~100bar、70bar~100bar、80bar~100bar、90bar~100bar、1bar~90bar、1bar~80bar、1bar~70bar、1bar~60bar、1bar~50bar、1bar~40bar、1bar~30bar、1bar~20bar、1bar~10bar、1bar~5barのうち少なくとも1つの範囲にあるか、又はこれらの任意の組み合わせである。
【0064】
工程106において、いくつかの実施態様では、ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンを冷却して、ビス(第1のアレーン)金属錯体が得られる。
【0065】
ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンを冷却するやり方は、特に制限されない。いくつかの実施態様では、冷却することが、ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンを、第1の温度を下回る第2の温度に冷却することを含む。いくつかの実施態様では、冷却することが、ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンを、周囲条件(例えば、温度、圧力など)にさらすことを含む。いくつかの実施態様では、冷却することが、ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンを、冷たい流動浴(例えば、冷水浴)に浸すことを含む。いくつかの実施態様では、冷却することが、ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンを、第2の温度を有する流体(例えば、気体又は蒸気、流体など)と接触させることを含む。いくつかの実施態様では、冷却することが、ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンを、第2の温度を有する流体(例えば、気体又は蒸気、流体など)にさらすことを含む。
【0066】
上述のように、ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンが冷却され、ビス(第1のアレーン)金属錯体が得られる。これはつまり、冷却すると、ビス(第1のアレーン)金属錯体を形成することができ、ここでは、ビス(アレーン)金属錯体の1つ又は複数のアレーンが、第1のアレーンで置き換わっているということである。ビス(アレーン)金属錯体は、冷却によって再結晶若しくは析出(例えば溶液から)させることができ、又はこれらの任意の組み合わせを行うことができる。いくつかの実施態様では、ビス(第1のアレーン)金属錯体が、固体として得られる。いくつかの実施態様では、ビス(第1のアレーン)金属錯体が、液体として得られる。いくつかの実施態様では、ろ過により、ビス(第1のアレーン)金属錯体が得られる(例えば単離される、回収されるなど)。いくつかの実施態様では、昇華、蒸留、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つにより、ビス(第1のアレーン)金属錯体が得られる。
【0067】
いくつかの実施態様では、ビス(第1のアレーン)金属錯体が下記式の錯体を含む:
[式中、
Mは金属であり、
Ar
3は、第1のアレーンである。]
【0068】
いくつかの実施態様では、例えば、Ar
3が下記式のアレーンである:
[式中、
R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、及びR
fはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである]。
【0069】
いくつかの実施態様では、第1のアレーンが、置換されたアレーン、非置換のアレーン、又はこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施態様では、第1のアレーンが、少なくとも1つのアルキル置換されたアレーンであるか、又は少なくとも1つのアルキル置換されたアレーンを含む。いくつかの実施態様では、例えば、第1のアレーンが、モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、トリアルキルベンゼン、テトラアルキルベンゼン、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含む。いくつかの実施態様では、アルキルが、C1~C10アルキル、C1-C9アルキル、C1-C8アルキル、C1-C7アルキル、C1-C6アルキル、C1-C5アルキル、C1-C4アルキル、C1-C3アルキル、C2-C10アルキル、C3-C10アルキル、C4-C10アルキル、C5-C10アルキル、C6-C10アルキル、C7-C10アルキル、C8-C10アルキル、C2-C9アルキル、C2-C8アルキル、C2-C7アルキル、C2-C6アルキル、C2-C5アルキル、C3-C5アルキル、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらのうち少なくとも1つからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、アルキルが、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソプロピル)、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、n-ペンチル、イソ-ペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、オクタデシル、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらのうち少なくとも1つからなる群から選択される。
【0070】
いくつかの実施態様では、例えば、第1のアレーンが、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、o-t-ブチルトルエン、m-t-ブチルトルエン、p-t-ブチルトルエン、1-エチル-4-メチルベンゼン、1-エチル-3-メチルベンゼン、1-イソプロピル-4-メチルベンゼン、1-t-ブチル-4-メチルベンゼン、メシチレン、プソイドクメン、デュレン、メチルベンゼン、ジメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、1,4-ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、t-ブチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、スチレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、テルフェニル、メチルナフタレン、ビフェニレン、ジメチルナフタレン、メチルアントラセン、4,4’-ジメチルビフェニル、ビベンジル、ジフェニルメタン、これらの任意の異性体、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらのうち少なくとも1つからなる群から選択される。
【0071】
いくつかの実施態様では、ビス(第1のアレーン)金属錯体の金属が、遷移金属を含むか、又は遷移金属からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、金属が、VIB族の金属を含むか、又はVIB族の金属からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、金属が、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、金属が、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉄(Fe)、バナジウム(V)、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらからなる群から選択される。
【0072】
工程108において、いくつかの実施態様では、ビス(第1のアレーン)金属錯体が、第2のアレーンと合わせられる。
【0073】
ビス(第1のアレーン)金属錯体を、第2のアレーンと合わせるやり方は、特に制限されない。いくつかの実施態様では、合わせることが、ビス(第1のアレーン)金属錯体を、第2のアレーンと接触させることを含む。いくつかの実施態様では、合わせることが、ビス(第1のアレーン)金属錯体を、第2のアレーンと混合することを含む。いくつかの実施態様では、合わせることが、ビス(第1のアレーン)金属錯体及び第2のアレーンを、別個に又は一緒に、反応容器に供給することを含む。いくつかの実施態様では、合わせることが、ビス(第1のアレーン)金属錯体及び第2のアレーンを、別個に又は一緒に、反応容器に流すこと又は給送することを含む。いくつかの実施態様では、合わせることが、ビス(第1のアレーン)金属錯体及び第2のアレーンを、別個に又は一緒に、反応容器に導入することを含む。いくつかの実施態様では、接触させることが、ビス(第1のアレーン)金属錯体の混合物及び第2のアレーンを、反応容器に注ぐこと、配置すること、添加すること、又はこれらの任意の組み合わせを含む。
【0074】
第2のアレーン(置換されていても、又は非置換でもよい)は、ビス(第1のアレーン)金属錯体の第1のアレーンとは異なるアレーンを含み得る。いくつかの実施態様では、第2のアレーンが、ビス(第1のアレーン)金属錯体の第1のアレーンに基づき選択される。つまり、第2のアレーンは、ビス(第1のアレーン)金属錯体の第1のアレーンよりも高い沸点を有するように選択され得る。例えば、いくつかの実施態様では、ビス(第1のアレーン)の沸点が、第2のアレーンの沸点未満である。第2のアレーンは、ビス(第1のアレーン)金属錯体の第1アレーンよりも高い電子供与性特性を有するように選択され得る。例えば、いくつかの実施態様において、ビス(第1のアレーン)金属錯体の第1のアレーンは、第2のアレーンよりも置換基の数が少ない(このため、より電子供与性が低くなり得る)。したがって、いくつかの実施態様では、第2のアレーンが、ビス(第1のアレーン)金属錯体のアレーンに比して、より高い沸点、より多い置換基の数(さもなくば、より高い電子供与性)、又はこれらの任意の組み合わせを有するように選択される。
【0075】
いくつかの実施態様では、第2のアレーンが、下記式のアレーンである:
[式中、
R
g、R
h、R
i、R
j、R
k、及びR
mはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである]。
【0076】
いくつかの実施態様では、第2のアレーンが、下記式のアレーンである:
[式中、
Zは、結合、アルキル、ヘテロ原子、又はヘテロアルキルであり、
R
n、R
o、R
p、R
q、R
r、R
s、R
t、R
u、R
v、及びR
wはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである]。
【0077】
いくつかの実施態様では、第2のアレーンが、置換されたアレーン、非置換のアレーン、又はこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施態様では、第2のアレーンが、少なくとも1つの置換されたアレーンであるか、又は少なくとも1つの置換されたアレーンを含む。いくつかの実施態様では、例えば、第2のアレーンが、モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、トリアルキルベンゼン、テトラアルキルベンゼン、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含む。いくつかの実施態様では、アルキルが、C1~C10アルキル、C1-C9アルキル、C1-C8アルキル、C1-C7アルキル、C1-C6アルキル、C1-C5アルキル、C1-C4アルキル、C1-C3アルキル、C2-C10アルキル、C3-C10アルキル、C4-C10アルキル、C5-C10アルキル、C6-C10アルキル、C7-C10アルキル、C8-C10アルキル、C2-C9アルキル、C2-C8アルキル、C2-C7アルキル、C2-C6アルキル、C2-C5アルキル、C3-C5アルキル、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらのうち少なくとも1つからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、アルキルが、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソプロピル)、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、n-ペンチル、イソ-ペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、オクタデシル、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらのうち少なくとも1つからなる群から選択される。
【0078】
いくつかの実施態様では、例えば、第2のアレーンが、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、o-t-ブチルトルエン、m-t-ブチルトルエン、p-t-ブチルトルエン、1-エチル-4-メチルベンゼン、1-エチル-3-メチルベンゼン、1-イソプロピル-4-メチルベンゼン、1-t-ブチル-4-メチルベンゼン、メシチレン、プソイドクメン、デュレン、メチルベンゼン、ジメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、1,4-ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、t-ブチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、スチレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、テルフェニル、メチルナフタレン、ビフェニレン、ジメチルナフタレン、メチルアントラセン、4,4’-ジメチルビフェニル、ビベンジル、ジフェニルメタン、これらの任意の異性体、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらのうち少なくとも1つからなる群から選択される。
【0079】
工程110において、いくつかの実施態様では、ビス(第1のアレーン)金属錯体及び第2のアレーンが加熱されて、ビス(第2のアレーン)金属錯体が得られる。
【0080】
ビス(第1のアレーン)金属錯体及び第2のアレーンを加熱するやり方は、特に制限されない。いくつかの実施態様では、加熱することが、ビス(第1のアレーン)金属錯体及び第2のアレーンを、第2の温度に加熱することを含む。いくつかの実施態様では、加熱することが、ビス(第1のアレーン)金属錯体及び第2のアレーンを、第2の温度で加熱することを含む。いくつかの実施態様では、加熱することが、ビス(第1のアレーン)金属錯体及び第2のアレーンを、オーブン内、炉内、又はホットプレート上で、又はその他の加熱デバイス及び/又は装置で加熱することを含む。いくつかの実施態様では、加熱することが、ビス(第1のアレーン)金属錯体及び第2のアレーンを、温かい流動浴(例えば温水浴)に浸すことを含む。いくつかの実施態様では、加熱することが、ビス(第1のアレーン)金属錯体及び第2のアレーンを、第2の温度を有する流体(例えば、気体又は蒸気、液体など)と接触させることを含む。いくつかの実施態様では、加熱することが、ビス(第1のアレーン)金属錯体及び第2のアレーンを、第2の温度を有する流体(例えば、気体又は蒸気、液体など)にさらすことを含む。
【0081】
いくつかの実施態様では、第2の温度が、ビス(第1のアレーン)金属錯体、第2のアレーン、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つの分解温度(例えば、熱分解温度)を下回る温度である。いくつかの実施態様では、第2の温度が、(例えばリガンド交換のための)最低反応温度以上の温度である。いくつかの実施態様では、第2の温度が、100℃~200℃の範囲の温度である。例えば、いくつかの実施態様では、第2の温度が、110℃~200℃、115℃~200℃、120℃~200℃、125℃~200℃、130℃~200℃、135℃~200℃、140℃~200℃、145℃~200℃、150℃~200℃、155℃~200℃、160℃~200℃、165℃~200℃、170℃~200℃、175℃~200℃、180℃~200℃、185℃~200℃、190℃~200℃、195℃~200℃の範囲にあるか、又はこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施態様では、第2の温度が、100℃~195℃、100℃~190℃、100℃~185℃、100℃~180℃、100℃~175℃、100℃~170℃、100℃~165℃、100℃~160℃、100℃~155℃、100℃~150℃、100℃~145℃、100℃~140℃、100℃~135℃、100℃~130℃、100℃~125℃、100℃~120℃、100℃~115℃、100℃~110℃、100℃~105℃の範囲にあるか、又はこれらの任意の組み合わせである。
【0082】
いくつかの実施態様では、加熱することが、真空下で行われる。いくつかの実施態様では、加熱することが、圧力下で行われる。例えば、加熱することは、大気圧~100barの範囲の圧力で行われる。いくつかの実施態様では、圧力が、1bar~100bar、10bar~100bar、20bar~100bar、30bar~100bar、40bar~100bar、50bar~100bar、60bar~100bar、70bar~100bar、80bar~100bar、90bar~100bar、1bar~90bar、1bar~80bar、1bar~70bar、1bar~60bar、1bar~50bar、1bar~40bar、1bar~30bar、1bar~20bar、1bar~10bar、1bar~5barのうち少なくとも1つの範囲にあるか、又はこれらの任意の組み合わせである。
【0083】
いくつかの実施態様では、ビス(第2のアレーン)金属錯体が、下記式の化合物である:
[式中、
Mは金属であり、
Ar
4は、第2のアレーンである]
【0084】
いくつかの実施態様では、Ar
4が、下記式のアレーンである:
[式中、
R
g、R
h、R
i、R
j、R
k、及びR
mはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、ヒドロキシ、カルボニル、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである]。
【0085】
いくつかの実施態様では、ビス(第2のアレーン)金属錯体が、下記式の化合物である:
[式中、
Mは金属であり、
Ar
5は、アレーンであり、
Ar
6は、アレーンであり、かつ
Zは、結合、アルキル、ヘテロ原子、又はヘテロアルキルである]。
【0086】
いくつかの実施態様では、Ar
5が、下記式のアレーンである:
[式中、
R
n、R
o、R
p、R
q、R
r、R
s、R
t、R
u、R
v、及びR
wはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである]。
【0087】
いくつかの実施態様では、Ar
6が、下記式のアレーンである:
[式中、
R
s、R
t、R
u、R
v、及びR
wはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである]。
【0088】
いくつかの実施態様では、第2のアレーンが、置換されたアレーン、非置換のアレーン、又はこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施態様では、第2のアレーンが、少なくとも1つの置換されたアルキルであるか、又は少なくとも1つの置換されたアルキルを含む。いくつかの実施態様では、例えば、第2のアレーンが、モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、トリアルキルベンゼン、テトラアルキルベンゼン、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含む。いくつかの実施態様では、アルキルが、C1~C10アルキル、C1-C9アルキル、C1-C8アルキル、C1-C7アルキル、C1-C6アルキル、C1-C5アルキル、C1-C4アルキル、C1-C3アルキル、C2-C10アルキル、C3-C10アルキル、C4-C10アルキル、C5-C10アルキル、C6-C10アルキル、C7-C10アルキル、C8-C10アルキル、C2-C9アルキル、C2-C8アルキル、C2-C7アルキル、C2-C6アルキル、C2-C5アルキル、C3-C5アルキル、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらのうち少なくとも1つからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、アルキルが、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソプロピル)、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、n-ペンチル、イソ-ペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、オクタデシル、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらのうち少なくとも1つからなる群から選択される。
【0089】
いくつかの実施態様では、例えば、第2のアレーンが、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、o-t-ブチルトルエン、m-t-ブチルトルエン、p-t-ブチルトルエン、1-エチル-4-メチルベンゼン、1-エチル-3-メチルベンゼン、1-イソプロピル-4-メチルベンゼン、1-t-ブチル-4-メチルベンゼン、メシチレン、プソイドクメン、デュレン、メチルベンゼン、ジメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、1,4-ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、t-ブチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、スチレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、テルフェニル、メチルナフタレン、ビフェニレン、ジメチルナフタレン、メチルアントラセン、4,4’-ジメチルビフェニル、ビベンジル、ジフェニルメタン、これらの任意の異性体、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらのうち少なくとも1つからなる群から選択される。
【0090】
いくつかの実施態様では、ビス(第2のアレーン)金属錯体の金属が、遷移金属を含むか、又は遷移金属からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、金属が、VIB族の金属を含むか、又はVIB族の金属からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、金属が、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、金属が、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉄(Fe)、バナジウム(V)、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらからなる群から選択される。
【0091】
いくつかの実施態様では、ビス(第2のアレーン)金属錯体が、ろ過、昇華、蒸留、又はこれらの任意の組み合わせによって得られる。
【0092】
いくつかの実施態様は、中間前駆体に関する。いくつかの実施態様では、中間前駆体が、半導体作製プロセス、マイクロエレクトロニクス作製プロセスなどにおける堆積プロセスにとって有用な前駆体を製造するために、有用である。中間前駆体は、ここに開示した方法に従って製造され得る。いくつかの実施態様では、中間前駆体が、ここに開示したビス(第1のアレーン)金属錯体である。
【0093】
いくつかの実施態様では、中間前駆体が、下記式の化合物である:
[式中、
Mは、金属であり、
Ar
3は、第1のアレーンである]。
【0094】
いくつかの実施態様では、例えば、Ar
3が、下記式のアレーンである:
[式中、
R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、及びR
fはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、ヒドロキシ、カルボニル、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである]。
【0095】
いくつかの実施態様では、第1のアレーンが、置換されたアレーン、非置換のアレーン、又はこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施態様では、第1のアレーンが、少なくとも1つの置換されたアルキルであるか、又は少なくとも1つの置換されたアルキルを含む。いくつかの実施態様では、例えば、第1のアレーンが、モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、トリアルキルベンゼン、テトラアルキルベンゼン、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含む。いくつかの実施態様では、アルキルが、C1~C10アルキル、C1-C9アルキル、C1-C8アルキル、C1-C7アルキル、C1-C6アルキル、C1-C5アルキル、C1-C4アルキル、C1-C3アルキル、C2-C10アルキル、C3-C10アルキル、C4-C10アルキル、C5-C10アルキル、C6-C10アルキル、C7-C10アルキル、C8-C10アルキル、C2-C9アルキル、C2-C8アルキル、C2-C7アルキル、C2-C6アルキル、C2-C5アルキル、C3-C5アルキル、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらのうち少なくとも1つからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、アルキルが、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソプロピル)、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、n-ペンチル、イソ-ペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、オクタデシル、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらのうち少なくとも1つからなる群から選択される。
【0096】
いくつかの実施態様では、例えば、第1のアレーンが、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、o-t-ブチルトルエン、m-t-ブチルトルエン、p-t-ブチルトルエン、1-エチル-4-メチルベンゼン、1-エチル-3-メチルベンゼン、1-イソプロピル-4-メチルベンゼン、1-t-ブチル-4-メチルベンゼン、メシチレン、プソイドクメン、デュレン、メチルベンゼン、ジメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、1,4-ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、t-ブチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、スチレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、テルフェニル、メチルナフタレン、ビフェニレン、ジメチルナフタレン、メチルアントラセン、4,4’-ジメチルビフェニル、ビベンジル、ジフェニルメタン、これらの任意の異性体、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらのうち少なくとも1つからなる群から選択される。
【0097】
いくつかの実施態様では、ビス(第1のアレーン)金属錯体の金属が、遷移金属を含むか、又は遷移金属からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、金属が、VIB族の金属を含むか、VIB族の金属からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、金属が、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、金属が、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉄(Fe)、バナジウム(V)、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらからなる群から選択される。
【0098】
いくつかの実施態様では、中間前駆体が、固体である。いくつかの実施態様では、中間前駆体が、液体である。
【0099】
いくつかの実施態様では、中間前駆体が、90%~100%(すなわち純粋)の純度を有する。例えば、いくつかの実施態様では、前駆体の純度が、91%~100%、92%~100%、93%~100%、94%~100%、95%~100%、96%~100%、97%~100%、98%~100%、99%~100%、99.9%~100%、99.99%~100%、99.999%~100%、99.9999%~100%、又は99.99999%~100%である。
【0100】
いくつかの実施態様は、前駆体に関する。いくつかの実施態様では、前駆体が、半導体作製プロセス、マイクロエレクトロニクス作製プロセスなどにおける堆積プロセスにとって有用である。前駆体は、ここに開示した方法に従って製造され得る。いくつかの実施態様では、前駆体が、ここに開示されたビス(第2のアレーン)金属錯体である。
【0101】
いくつかの実施態様では、前駆体が下記式の化合物である:
[式中、
Mは、金属であり、
Ar
4は、第2のアレーンである]。
【0102】
いくつかの実施態様では、Ar
4が、下記式のアレーンである:
[式中、
R
g、R
h、R
i、R
j、R
k、及びR
mはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである]。
【0103】
いくつかの実施態様では、前駆体が、下記式の化合物である:
[式中、
Mは、金属であり、
Ar
5は、アレーンであり、
Ar
6は、アレーンであり、かつ
Zは、結合、アルキル、ヘテロ原子、又はヘテロアルキルである]。
【0104】
いくつかの実施態様では、Ar
5が、下記式のアレーンである:
[式中、
R
n、R
o、R
p、R
q、R
r、R
s、R
t、R
u、R
v、及びR
wはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである]。
【0105】
いくつかの実施態様では、Ar
6が、下記式のアレーンである:
[式中、
R
s、R
t、R
u、R
v、及びR
wはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである]。
【0106】
いくつかの実施態様では、第2のアレーンが、置換されたアレーン、非置換のアレーン、又はこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施態様では、第2のアレーンが、少なくとも1つの置換されたアルキルであるか、又は少なくとも1つの置換されたアルキルを含む。いくつかの実施態様では、例えば、第2のアレーンが、モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、トリアルキルベンゼン、テトラアルキルベンゼン、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含む。いくつかの実施態様では、アルキルが、C1~C10アルキル、C1-C9アルキル、C1-C8アルキル、C1-C7アルキル、C1-C6アルキル、C1-C5アルキル、C1-C4アルキル、C1-C3アルキル、C2-C10アルキル、C3-C10アルキル、C4-C10アルキル、C5-C10アルキル、C6-C10アルキル、C7-C10アルキル、C8-C10アルキル、C2-C9アルキル、C2-C8アルキル、C2-C7アルキル、C2-C6アルキル、C2-C5アルキル、C3-C5アルキル、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらのうち少なくとも1つからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、アルキルが、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソプロピル)、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、n-ペンチル、イソ-ペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、オクタデシル、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらのうち少なくとも1つからなる群から選択される。
【0107】
いくつかの実施態様では、例えば、第2のアレーンが、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、o-t-ブチルトルエン、m-t-ブチルトルエン、p-t-ブチルトルエン、1-エチル-4-メチルベンゼン、1-エチル-3-メチルベンゼン、1-イソプロピル-4-メチルベンゼン、1-t-ブチル-4-メチルベンゼン、メシチレン、プソイドクメン、デュレン、メチルベンゼン、ジメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、1,4-ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、t-ブチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、スチレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、テルフェニル、メチルナフタレン、ビフェニレン、ジメチルナフタレン、メチルアントラセン、4,4’-ジメチルビフェニル、ビベンジル、ジフェニルメタン、これらの任意の異性体、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらのうち少なくとも1つからなる群から選択される。
【0108】
いくつかの実施態様では、ビス(第2のアレーン)金属錯体の金属が、遷移金属を含むか、又は遷移金属からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、金属が、VIB族の金属を含むか、又はVIB族の金属からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、金属が、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、金属が、いくつかの実施態様では、金属が、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉄(Fe)、バナジウム(V)、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含むか、又はこれらからなる群から選択される。
【0109】
いくつかの実施態様では、前駆体が固体である。いくつかの実施態様では、前駆体が液体である。
【0110】
いくつかの実施態様では、前駆体の純度が、90%~100%(すなわち純粋)である。例えば、いくつかの実施態様では、前駆体の純度が、91%~100%、92%~100%、93%~100%、94%~100%、95%~100%、96%~100%、97%~100%、98%~100%、99%~100%、99.9%~100%、99.99%~100%、99.999%~100%、99.9999%~100%、又は99.99999%~100%である。
【0111】
本開示の範囲から離れない限り、細部について、特に用いられる構成材料、並びに部材の形状及び配置構成について変更が行われ得ると、理解されるべきである。記載された本明細書及び実施態様は例示であり、本開示についての真の範囲及び思想は、以下の特許請求の範囲により示される。
【0112】
実施例1
中間前駆体:ビス(ベンゼン)モリブデン
ベンゼンエチルベンゼンモリブデン、ベンゼンジエチルベンゼンモリブデン、エチルベンゼンジエチルベンゼンモリブデン(EBDEBMo)、ビス(エチルベンゼン)モリブデン(BEBMo)、及びビス(ジエチルベンゼン)モリブデン(BDEBMo)を含有する混合物を得た。この混合物を過剰なベンゼン(42mL)と、封止された350mL管(テフロンのスクリューキャップ付)の中で合わせた。この管を脱気し、160℃に48時間、加熱した。冷却すると、ビス(ベンゼン)モリブデンが再結晶し、溶液から析出する(収率約60%)。暗い緑色の結晶を、グローブボックス内でろ過により単離し、ヘキサンで洗浄した。続いて、減圧下で結晶を乾燥させた。
【0113】
図2は、いくつかの実施態様による、前駆体を製造するための反応スキームについて、非限定的な実施態様を示す。
図2に示した反応スキームは、中間前駆体及び及び前駆体の形成に関する。
1H NMRスペクトルを、C
6D
6における結晶について収集した。
図3は、いくつかの実施態様による、単離されたビス(ベンゼン)モリブデンについての
1H NMRスペクトルである。
図3ではピーク302が、Mo(C
6H
6)
2について4.56ppmで観察され、ピーク304が、残りの反応種(例えばC
6D
6、C
6H
6など)について7.16で観察される。
1H NMRスペクトルにより、結晶が純粋であること、また当該結晶がビス(ベンゼン)モリブデン錯体のみからなることが確認された。アルキル置換基(例えば、エチルベンゼン異性体)が、モリブデンに配位結合したベンゼン上に存在しないことは、
1H NMRスペクトルによって確認された。
【0114】
実施例2
前駆体:ビス(エチルベンゼン)モリブデン
実施例1から得られたビス(ベンゼン)モリブデン中間前駆体を、エチルベンゼンと合わせ、160℃の温度に加熱して、ビス(エチルベンゼン)モリブデンを得た。ビス(エチルベンゼン)モリブデンは、液状で溶液として得られる。溶液中に存在する過剰なベンゼンを溶液から留去すると、ビス(エチルベンゼン)モリブデンが、99%以上の純度で得られる。
【0115】
実施例3
中間前駆体:ビス(トルエン)モリブデン
ベンゼンエチルベンゼンモリブデン、ベンゼンジエチルベンゼンモリブデン、エチルベンゼンジエチルベンゼンモリブデン(EBDEBMo)、ビス(エチルベンゼン)モリブデン(BEBMo)、及びビス(ジエチルベンゼン)モリブデン(BDEBMo)の混合物を得る。この混合物を、過剰なトルエンと、封止された350mL管(テフロンのスクリューキャップ付)の中で合わせる。この管を脱気し、160℃に48時間、加熱する。冷却すると、ビス(トルエン)モリブデンが再結晶し、溶液から析出する(収率約60%)。この結晶を、グローブボックス内でろ過により単離し、ヘキサンで洗浄する。続いて、減圧下で結晶を乾燥させる。1H NMRスペクトルを収集すると、結晶が純粋なビス(トルエン)モリブデンであること、及びトルエン以外のアレーンが存在しないことが確認される。
【0116】
実施例4
前駆体:ビス(エチルベンゼン)モリブデン
実施例3から得られたビス(トルエン)モリブデン中間前駆体を、エチルベンゼンと合わせ、160℃の温度に加熱して、ビス(エチルベンゼン)モリブデンを得る。ビス(エチルベンゼン)モリブデンが、液状で溶液として得られる。溶液中に存在する過剰なトルエンを溶液から留去すると、ビス(エチルベンゼン)モリブデンが、99%以上の純度で得られる。
【0117】
実施例5
中間前駆体:ビス(キシレン)モリブデン
ベンゼンエチルベンゼンモリブデン、ベンゼンジエチルベンゼンモリブデン、エチルベンゼンジエチルベンゼンモリブデン(EBDEBMo)、ビス(エチルベンゼン)モリブデン(BEBMo)、及びビス(ジエチルベンゼン)モリブデン(BDEBMo)の混合物を得る。この混合物を、過剰なキシレンと、封止された350mL管(テフロンのスクリューキャップ付)の中で合わせる。この管を脱気し、160℃に48時間、加熱する。冷却すると、ビス(キシレン)モリブデンが再結晶し、溶液から析出する(収率約60%)。この結晶を、グローブボックス内でろ過により単離し、ヘキサンで洗浄する。続いて、減圧下で結晶を乾燥させる。1H NMRスペクトルを収集すると、結晶が純粋なビス(キシレン)モリブデンであること、及びキシレン以外のアレーンが存在しないことが確認される。
【0118】
実施例6
前駆体:ビス(キシレン)モリブデン
実施例5から得られたビス(キシレン)モリブデン中間前駆体を、エチルベンゼンと合わせ、160℃の温度に加熱して、ビス(エチルベンゼン)モリブデンを得る。ビス(エチルベンゼン)モリブデンは、液状で溶液として得られる。溶液中に存在する過剰なキシレンを溶液から留去すると、ビス(エチルベンゼン)モリブデンが、99%以上の純度で得られる。
【0119】
実施例7
前駆体:ビス(ビベンジル)モリブデン
実施例1から得られたビス(ベンゼン)モリブデン中間前駆体を、ビベンジルと合わせ、160℃の温度に加熱して、ビス(ビベンジル)モリブデンを得る。ビス(ビベンジル)モリブデンは、液状で溶液として得られる。溶液中に存在する過剰なベンゼンを溶液から留去すると、ビス(ビベンジル)モリブデンが99%以上の純度で得られる。ビス(ビベンジル)モリブデンの化学構造は、以下に示すとおりである:
【0120】
実施例8
前駆体:ビス(ジフェニルメタン)モリブデン
実施例1から得られたビス(ベンゼン)モリブデン中間前駆体を、ジフェニルメタンと合わせ、160℃の温度に加熱して、ビス(ジフェニルメタン)モリブデンを得る。ビス(ジフェニルメタン)モリブデンは、液状で溶液として得られる。溶液中に存在する過剰なベンゼンを溶液から留去すると、ビス(ジフェニルメタン)モリブデンが、99%以上の純度で得られる。ビス(ジフェニルメタン)モリブデンの化学構造は、以下に示すとおりである:
【手続補正書】
【提出日】2024-10-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前駆体を製造する方法であって、
該方法は、
ビス(アレーン)金属錯体の混合物と、第1のアレーンとを合わせること、
ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンを加熱すること、並びに
ビス(アレーン)金属錯体の混合物及び第1のアレーンを冷却して、ビス(第1のアレーン)金属錯体を析出させること、
を含
み、
ビス(アレーン)金属錯体の金属がモリブデンであり、
ビス(アレーン)金属錯体の混合物が、ベンゼンエチルベンゼンモリブデン、ベンゼンジエチルベンゼンモリブデン、エチルベンゼンジエチルベンゼンモリブデン(EBDEBMo)、ビス(エチルベンゼン)モリブデン(BEBMo)、ビス(ジエチルベンゼン)モリブデン(BDEBMo)、又はこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを含む、
方法。
【請求項2】
ビス(アレーン)金属錯体のアレーンの沸点が、第1のアレーンの沸点よりも高い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ビス(アレーン)金属錯体の混合物中に存在するビス(アレーン)金属錯体のそれぞれが独立して、下記式のビス(アレーン)金属錯体である、請求項1に記載の方法:
[式中、
Mは、Moであり、
Ar
1は、下記式のアレーン:
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである)
であり、
Ar
2は、下記式のアレーン:
(式中、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、及びR
12はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである)
である]。
【請求項4】
第1のアレーンが、下記式のアレーン:
[式中、R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、及びR
fはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである]
である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前駆体を製造する方法であって、
該方法は、
第1のアレーンと、ビス(アレーン)金属錯体の混合物とを合わせること、
第1のアレーン、及びビス(アレーン)金属錯体の混合物を加熱すること、
第1のアレーン、及びビス(アレーン)金属錯体の混合物を冷却して、ビス(第1のアレーン)金属錯体を得ること、
ビス(第1のアレーン)金属錯体と、第2のアレーンとを合わせること、並びに
ビス(第1のアレーン)金属錯体及び第2のアレーンを加熱して、ビス(第2のアレーン)金属錯体を得ること
を含
み、
ビス(アレーン)金属錯体の金属がモリブデンである、
方法。
【請求項6】
第2のアレーンが、下記式:
[式中、R
g、R
h、R
i、R
j、R
k、及びR
mはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである]、
又は
[式中、
Zは、結合、アルキル、ヘテロ原子、又はヘテロアルキルであり、かつ
R
n、R
o、R
p、R
q、R
r、R
s、R
t、R
u、R
v、及びR
wはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、又はシクロアルキルである]
のうち少なくとも1つを有するアレーンである、請求項5に記載の方法。
【国際調査報告】