IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハーの特許一覧

特表2025-507281投影レンズ、投影露光装置および投影露光方法
<>
  • 特表-投影レンズ、投影露光装置および投影露光方法 図1
  • 特表-投影レンズ、投影露光装置および投影露光方法 図2
  • 特表-投影レンズ、投影露光装置および投影露光方法 図3
  • 特表-投影レンズ、投影露光装置および投影露光方法 図4
  • 特表-投影レンズ、投影露光装置および投影露光方法 図5
  • 特表-投影レンズ、投影露光装置および投影露光方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-18
(54)【発明の名称】投影レンズ、投影露光装置および投影露光方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/14 20060101AFI20250311BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20250311BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
G02B13/14
G02B13/18
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545876
(86)(22)【出願日】2023-01-23
(85)【翻訳文提出日】2024-07-31
(86)【国際出願番号】 EP2023051584
(87)【国際公開番号】W WO2023144100
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】102022201002.7
(32)【優先日】2022-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】エップレ アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
2H087
2H197
【Fターム(参考)】
2H087KA21
2H087LA01
2H087NA02
2H087NA04
2H087NA15
2H087PA15
2H087PA17
2H087PB20
2H087QA03
2H087QA06
2H087QA12
2H087QA17
2H087QA21
2H087QA25
2H087QA26
2H087QA32
2H087QA37
2H087QA41
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA43
2H087RA45
2H087UA03
2H197AA07
2H197BA04
2H197BA09
2H197BA11
2H197BA21
2H197CA05
2H197CC03
2H197CC16
2H197HA03
2H197HA10
(57)【要約】
280nmよりも長い紫外線領域における動作波長の電磁放射を用いて、投影レンズの対物面(OS)に配置されたパターンを投影レンズの像面(IS)に結像する(image)ための屈折投影レンズ(PO)が、光軸(AX)に沿って対物面(OS)と像面(IS)との間に配置され、対物面に配置されたパターンをレンズ素子を用いて像面に結像させる(image)ことができるように実施された複数のレンズ素子を含み、開口絞り(AS)を取り付けるのに適した絞り面(BE)が対物面と像面との間に位置付けられ、結像の主光線が絞り面において光軸(AX)と交わる。投影レンズは、少なくとも52mmの対物視野半径を有する広視野レンズとして設計され、絞り面(BE)に対して鏡面対称である1:1の結像スケールを有する構造を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
280nmよりも長い紫外線領域における動作波長の電磁放射を用いて屈折投影レンズ(PO)の対物面(OS)に配置されたパターンを前記投影レンズの像面(IS)に結像する(image)ための屈折投影レンズ(PO)であって、
光軸(AX)に沿って前記対物面(OS)と前記像面(IS)との間に配置され、前記対物面に配置されたパターン(PAT)を複数のレンズ素子を用いて前記像面に結像させる(image)ことができるように実施され、開口絞り(AS)を取り付けるのに適した絞り面(BE)が前記対物面と前記像面との間に位置付けられ、前記結像の主光線が前記絞り面の前記光軸(AX)と交わる、複数のレンズ素子を含み、
前記投影レンズが少なくとも52mmの対物視野半径(OBH)を有する広視野レンズとして設計され、前記絞り面(BE)に対して鏡面対称である1:1の結像スケールを有する構造を有することを特徴とする、屈折投影レンズ。
【請求項2】
前記対物視野半径OBHが少なくとも84mmであることを特徴とする、請求項1に記載の投影レンズ。
【請求項3】
対物側および像側開口数が0.3未満であり、前記開口数が好ましくは0.1~0.2の範囲であることを特徴とする、請求項1または2に記載の投影レンズ。
【請求項4】
前記投影レンズが対物視野半径OBHと、対物側開口数NAOと、少なくとも10mmの幾何学的エタンデュLLW=OBH・NAOとを有し、前記幾何学的エタンデュが15mm以上であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の投影レンズ。
【請求項5】
前記投影レンズが、前記対物面(OS)と前記像面(IS)との間で測定される設置長TTと、対物視野半径OBHと、対物側開口数NAOとを有することと、条件(OBH・NAO)/TT>0.01が適用されることとを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の投影レンズ。
【請求項6】
前記レンズ素子が、相対的により低いアッベ数を有する第1の材料からなる少なくとも1つのフリントレンズ素子と、前記第1の材料に対してより高いアッベ数を有する第2の材料からなる少なくとも1つのクラウンレンズ素子とを含み、好ましくは2つ以下のフリントレンズ素子が前記絞り面の各側に配置され、具体的には単一のフリントレンズ素子のみが前記絞り面(BE)の各側に配置されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の投影レンズ。
【請求項7】
前記単一のフリントレンズ素子(L6、L8)が負の屈折力を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の投影レンズ。
【請求項8】
負の屈折力を有する前記単一のフリントレンズ素子(L6、L8)が、前記絞り領域(BB)に、具体的には光線高さ比が|CRH/MRH|<0.5である領域に配置されていること、および/または、前記単一のフリントレンズ素子が両凹面レンズ素子であることを特徴とする、請求項7に記載の投影レンズ。
【請求項9】
前記投影レンズが、前記絞り面(BE)の各側に正の屈折力を有する少なくとも1つのフリントレンズ素子(L21、L1)を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の投影レンズ。
【請求項10】
正の屈折力を有する前記フリントレンズ素子(L21、L1)が、前記結像の光線高さ比が条件CRH/MRH>0.7を満たす領域の、視野面の光学的近傍に配置されていることを特徴とする、請求項6に記載の投影レンズ。
【請求項11】
少なくとも2つの正レンズ素子が前記絞り面(BE)のすぐ隣の、前記絞り面(BE)の各側に配置されていることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の投影レンズ。
【請求項12】
前記絞り面(BE)の各側の前記レンズ素子のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの回転対称非球面レンズ素子面を有する非球面であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の投影レンズ。
【請求項13】
前記非球面のうちの少なくとも1つが二重非球面として構成され、入射面と出射面とが回転対称非球面レンズ面として設計され、好ましくは前記対物面(OS)に最も近い前記レンズ素子と前記像面(IS)に最も近い前記レンズ素子とが二重非球面であることを特徴とする、請求項12に記載の投影レンズ。
【請求項14】
前記投影レンズが、水銀ランプ(LS)のi線のUV放射用および/または5nm以下の帯域幅を有するUV放射用に設計されていることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の投影レンズ。
【請求項15】
投影レンズ(PO)の対物面(OS)の領域に配置されたパターンの少なくとも1つの像を使用して前記投影レンズ(PO)の像面(IS)の領域に配置された放射線感受性基板を露光するための投影露光装置(WST)であって、
280nmよりも長い紫外線領域の動作波長で電磁放射を放出する光源(LS)と、
前記光源の光を受光するためと、前記パターンに向けられる照明放射を形成するための照明系(ILL)と、
前記パターンの構造を感光性基板(W)上に結像する(image)ための投影レンズ(PO)とを含み、前記投影レンズ(PO)が請求項1~14のいずれか1項により実施される、投影露光装置。
【請求項16】
前記投影露光装置(WST)が、ステップアンドリピートプロセス用のウエハステッパとして設計されていることを特徴とする、請求項15に記載の投影露光装置。
【請求項17】
前記光源が水銀ランプ(LS)のi線の電磁放射を放出する水銀ランプ(LS)であること、および/または、前記放射が5nm以下の帯域幅を有することを特徴とする、請求項15または16に記載の投影露光装置。
【請求項18】
マスクのパターンの少なくとも1つの像を使用して放射線感受性基板を露光する投影露光方法であって、
パターンが投影レンズの対物面の領域に配置されるように投影露光装置の照明系と投影レンズとの間に前記パターンを設けるステップと、
前記基板の放射線感受性面が前記対物面と光学的に共役な前記投影レンズの像面の領域に配置されるように前記基板を保持するステップと、
前記照明系によって280nmよりも長い紫外線領域の動作波長で供給される照明放射で前記マスクの照明領域を照明するステップと、
前記投影レンズを用いて前記照明領域に位置する前記パターンの一部を前記基板上の像視野上に投影するステップであって、前記像視野における像生成に寄与する投影放射のすべての光線が投影ビーム路を形成する、投影するステップとを含み、請求項1~14のいずれか1項に記載の投影レンズが使用される、投影露光方法。
【請求項19】
前記基板がスキャンなしにステップアンドリピートプロセスにおいて露光されること、および/または、水銀ランプのi線の照明放射および/または5nm未満の帯域幅を有する照明放射が使用されることを特徴とする、請求項15に記載の投影露光方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、参照により本出願に組み込まれる、2022年1月31日に出願された独国特許出願第102022201002.7号に基づく。
【0002】
本発明は、投影レンズの対物面に配置されたパターンを、280nmよりも長い紫外線領域における動作波長の電磁放射を用いて投影レンズの像面に結像する(image)ための屈折投影レンズ、投影レンズを備えた投影露光装置、および投影レンズを用いて行うことができる投影露光方法に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロリソグラフィ投影露光法が、現在、半導体コンポーネントおよびその他の微細構造コンポーネント、たとえばフォトリソグラフィ用マスクの製造のために主に使用されている。この場合、結像される(image)構造体のパターン、たとえば半導体コンポーネントの層の配線パターンを担持または形成するマスク(レチクル)またはその他のパターン生成デバイスが使用される。パターンは、投影露光装置における照明系と投影レンズとの間の投影レンズの対物面の領域に位置付けられ、照明系によって供給される照明放射によって照明される。パターンによって変更された放射は、投影放射として投影レンズを通って進み、前記投影レンズが、露光される基板上にパターンを結像する(image)。基板の表面は投影レンズの像面に配置され、像面は対物面と光学的に共役である。基板は、放射線感受性層(レジスト、フォトレジスト)で全体的に被覆される。
【0004】
典型的には、半導体コンポーネント製造に要求されるものはクリティカル構造体と非クリティカル構造体の露光で異なる。現在、クリティカル構造体、すなわち微細構造体は、主として、深紫外線領域(DUV)、具体的には約193nmの動作波長で機能する屈折または反射屈折液浸系を使用して製造される。現在では、最も微細な構造体はEUV系を使用して露光される。これらは、約5nm~20nmの間、たとえば約13.4mmの極紫外線領域(EUV)の動作波長で機能する反射コンポーネントのみを使用して構築される投影露光装置である。
【0005】
非クリティカル構造体、すなわち、より粗い構造体は、より単純な、したがってより費用効果の高い系を使用して露光することができる。
【0006】
150nmを大幅に上回る寸法の典型的な構造寸法を有する中間クリティカル層または非クリティカル層を製造するために、従来、280nmを上回る動作波長用に構築される投影露光装置を使用して作業が行われる。この波長域では、通常、光軸を中心とした回転対称に起因して製造が容易に制御可能な屈折光学(屈折)投影レンズが使用される。
【0007】
これらの用途には、365.5nm±2nmの動作波長用の投影露光装置(いわゆるi線系)が特によく使用される。これらは、水銀ランプのi線を使用し、その固有全帯域幅がフィルタを用いて、または任意の他の方式で、より狭い使用帯域幅Δλ、たとえば約4nmまたは5nmに制限される。投影時、広帯域投影光を用いても求められる分解能での低収差結像を確実にするために、投影レンズが色収差の比較的強い補正を必然的にもたらすように、比較的広い波長域の紫外線光が使用される。
【0008】
従来、投影レンズを、3本の水銀線すべてについてきわめて広帯域な方式で補正されるように設計することも提案されている(たとえば国際出願第2007/1331161号)。すべてのHg線が使用される場合、より多くの光が利用可能であり、その結果、従来のi線系と比較して露光時間を短縮することができ、したがってスループット(単位時間当たりに露光されるコンポーネント数)を向上させることができる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、280nmよりも長い動作波長のUV放射で機能し、高いスループット率を可能とする投影レンズ、投影露光装置および投影露光方法を提供することである。
【0010】
この課題を解決するために、本発明は、請求項1の特徴を有する屈折投影レンズを提供する。また、請求項15の特徴を有する投影露光装置および請求項18の特徴を有する投影露光方法が提供される。有利な開発は、従属請求項に明記されている。すべての請求項の表現が参照により本明細書の内容に組み込まれる。
【0011】
特許請求される本発明の表現によると、投影レンズの対物面に配置されたパターンを、280nmよりも長い紫外線領域の動作波長の電磁放射を用いて投影レンズの像面に結像する(image)ように実施された屈折投影レンズが提供される。屈折力を備えるすべての光学素子が、レンズ素子、すなわち屈折光学素子である。レンズは、光軸に沿って対物面と像面との間に配置され、全体がこの結像をもたらすように実施される。開口絞りを取り付けるのに適した絞り面が、対物面と像面との間に位置付けられ、結像の主光線が前記絞り面において光軸と交わる。
【0012】
特許請求される本発明によると、投影レンズは、少なくとも52mmの対物視野高さを有する広視野レンズとして設計され、絞り面に対して鏡面対称な構造と1:1の結像スケールを有する。これは、|β|=1の結像スケールに相当する。
【0013】
本出願において、「広視野レンズ」という語句は、使用可能な対物視野のサイズに起因して、少なくとも完全な6インチのレチクル(現在の標準サイズ)の全幅が単一の露光ステップで露光可能なように設計された投影レンズを指す。対物視野の使用可能サイズは、この場合、対物視野高さOBHによって定量化される。これは、対物視野の半径、すなわち光学補正が仕様を満たす、すなわち十分に良好である対物視野点を囲む最小の円の半径に対応する。この円は、結像に実際に使用される有効対物視野が囲まれるのに十分に大きい必要がある。
【0014】
投影レンズはステッパーレンズとして使用することができることが好ましい。この場合、ステッパーレンズとは、スキャンなしの単一の露光で104×132mm2の対物視野(84mmの半対角線に対応する)を有する6インチのレチクルを全部、ウエハ上に結像する(image)ことができる光学結像系を意味するものと理解される。このために、投影レンズは、光学収差が84mmの対物視野半径を有する対物視野内で補正されるように補正される必要がある。
【0015】
一開発によると、投影レンズは、84mm以上の対物視野半径を有する。1:1結像スケールであるため、ステップアンドリピートプロセスにおいて同時に16個の「ダイ」を露光することができる。これは、プロセスの高スループットをもたらす。しかし、収差の補正は対物視野半径の拡大の結果としてより困難になる。
【0016】
スキャナ系が、ステッパの代替をなす。この場合、投影レンズによって1回に対物視野の一部のみが結像される(image)。したがって、単一の露光ステップを行うためにレチクルの隣接区分が連続して基板に転写されるスキャン動作が必要である。スキャンを使用した単一の露光ステップにおいて6インチのレチクルの全パターンを転写するためには、有効対物視野は104mmの幅を有する必要がある。これは、少なくとも52mmの対物視野半径によって実現可能であり、収差の補正を大幅に簡素化する。55mmの対物視野半径は、(スキャン方向に測定された)約35mm以下のスリット高さにつながることになる。しかし、スリット高さは好ましくは56mmである必要があり、このためには59mmの対物視野半径が必要である。このようなスリット寸法を使用して特にウエハにおける十分な光度が得られる。
【0017】
まず、「ステッパ系」という語句は、結像される(image)対物視野のサイズを規定するに過ぎない。また、その場合、系の結像スケールβが露光像視野のサイズを決定する。この場合、典型的な寸法は、26×33mm2の単一の「ダイ」の寸法によって与えられる。(縮小)結像スケールが4:1である場合、6インチのレチクルを使用するステッパは、1回の露光で正確に1個の単一の「ダイ」を完全に露光することができる。1:1結像スケールのため、結果として16個の「ダイ」を単一の露光ステップで同時に露光することができる。
【0018】
その結果、従来の系と比較してスループットを向上させることができる。
【0019】
設計上の問題における重要な課題は、主として3つの寸法、具体的には、(i)視野サイズ、すなわち、その範囲内で収差が補正されるべき視野半径、(ii)1:1系の場合は対物側と像側で同一である、対応する開口数、および(iii)得られる収差のレベルによって特徴づけられる。
【0020】
最初の2点は、しばしば幾何学的エタンデュLLWと呼ばれるものとして組み合わされる。幾何学的エタンデュLLWは、(無次元)対物側開口数NAOと、対物視野高さOBH(単位ミリメートル)によってパラメータ化された対物視野サイズとの積、すなわち、
LLW=|OBH*NAO|
と定義することができる。
【0021】
補正される視野サイズが変更される場合、たとえばスキャナ視野からステッパフィールドに増大される場合、同じ数の補正手段で成果を挙げるために開口数をそれに応じて調整する(すなわち減少させる)必要がある。
【0022】
投影レンズは、(対物側および像側)開口数NAが0.3未満、具体的にはNA=0.25以下になるように設計されることが好ましい。たとえば、開口数は、0.1~0.2の間、具体的には0.18とすることができる。このきわめて小さいNAに起因して、視野の深度の尺度を規定するレイリー単位RU=λ/NA2がきわめて大きく、したがって残存二次スペクトルが概ね無視可能な程度になる。したがって、これによって収差の補正が簡素化される。
【0023】
本発明の範囲内で軸方向にきわめてコンパクトな投影レンズが実現可能である。一開発によると、投影レンズは、対物面と像面との間で測定される設置長TT(「総トラック長」)と、対物視野半径OBHと、対物側開口数NAOとを有し、(OBH*NAO)/TT>0.01という条件が適用される。
【0024】
設置長は、好ましくは1メートルのオーダー、たとえば800mm~1200mmの間の範囲、具体的には1000mmである。
【0025】
従来技術と比較すると、本明細書で示すタイプの投影レンズは、きわめて高い幾何学的エタンデュ値を得ることができる。一開発によると、投影レンズは少なくとも10mmの幾何学的エタンデュLLW=OBH*NAOを有し、幾何学的エタンデュは好ましくは15mm以上である。エタンデュは、結像系の性能の尺度とみなすことができる。エタンデュが大きいほど、系は「より多く」、たとえばより広い視野(OBHが大きくなる場合)またはより微細な構造体(より大きいNAが使用される場合)を結像する(image)ことができる。
【0026】
すべての例示の実施形態に共通するのは、純粋に屈折設計であることである。したがって、レンズ素子のみを必要とする。これは、特に製造を単純化する。たとえば、これは収差、たとえば視野湾曲または縦色収差の補正を簡素化することになるが、反射屈折オフナー系で知られるようなミラーの使用(たとえば米国特許第3,748、015号、米国特許第4,293,188号または米国特許出願公開第2004/0001191号を参照)が意図的に省かれる。
【0027】
特許請求される本発明による投影レンズは、結果として生じる、絞り面に対する鏡面対称を有する。絞り面は、対物視野(レチクル)と像視野(ウエハ)との間の中間に配置される。これは、絞りの上流の第1のレンズ部(対物面と絞り面の間)にあるすべてのレンズ素子が、絞りの下流の第2のレンズ部において鏡面対称に配置された同一設計の対応部分を有することを意味する。
【0028】
この対称構造は、特に収差を補正するときに利点がある。構造の対称性によって、横色収差が、ゆがみ収差およびコマ収差とそれらの色度変化と同様に、本質的に補正される。したがって、このための別個の補正手段が不要である。
【0029】
好ましくは、Hg i線のUV放射のみが使用される。これは、3つの水銀線すべてについてきわめて広帯域に補正される従来の系に対する実質的な相違である。すべてのHg線が使用される場合、結像のためにより多くの光を利用することができるが、比較的大きな対物視野半径にわたる収差の補正は難しいと思われる。
【0030】
好ましい例示の実施形態は、約365.5nmの光波長で、および/または数nm(5nm以下)の帯域幅での使用のために提供または設計される。したがって、一次スペクトル(縦色収差)の補正が十分である。
【0031】
広帯域機能の屈折投影レンズの場合、色補正のために(すなわち色収差の補正のために)十分に異なる分散特性を有する異なるレンズ素子材料が使用され、前記レンズ素子材料は投影レンズ内で異なる光線高さ比の領域に分散される。典型的なi線投影レンズにおいて使用される透明材料には、具体的には、合成溶融石英(SiO2)および独国マインツのショット社によってFK5、LF5およびLLF1の名称で市販されている特殊ガラスがある。これらの光学ガラスにおいて、合成溶融石英およびFK5ガラスは、相対的に低分散なガラス(クラウンガラス)の典型であり、一方、LF5およびLLF1ガラスは相対的に高分散なガラス(フリントガラス)の典型である。他の製造業者がそれぞれの種類のガラスに異なる名称を使用している。
【0032】
したがって、本出願内ではクラウンガラス製のレンズ素子を「クラウンレンズ素子」と呼び、フリントガラス製のレンズ素子を「フリントレンズ素子」と呼ぶ。
【0033】
縦色収差は、たとえば、正の屈折力を有する少なくとも1つのクラウンレンズ素子と、負の屈折力を有する少なくとも1つのフリントレンズ素子とを組み合わせて使用して補正することができる。このレンズ素子対は、結像の周辺光線が可能な限り大きい光線高さ(周辺光線高さ)を有する光学結像系の領域に配置される必要がある。通例、これは系絞りの近傍の絞り領域にあたる。
【0034】
構造の対称性の結果として、例示の実施形態は、絞り面の両側のレンズ素子が、相対的に低いアッベ数を有する第1の材料からなる少なくとも1つのフリントレンズ素子と、第1の材料に対してより高いアッベ数を有する第2の材料からなる複数のクラウンレンズ素子とを含むことを特徴とする。少なくとも1つのフリントレンズ素子は、色収差を補正するために必要であり、この設計において使用される必要がある。フリント材料として異常部分分散を有する材料が使用されない場合、自動的に縦方向に二次スペクトルが設定される。例として、これはLF5もしくはLLF1または同等のガラスなどの入手可能材料の場合である。
【0035】
本発明人は、フリント材料がいくつかの不利な特性を有することを認めた。例として、フリントガラスは、典型的には、吸収の増大に等しい、使用光の透過率低下を示す。これは、レンズ加熱および/または材料の圧縮などの望ましくない副次的作用を生じさせる可能性がある。また、280mを上回る波長域(たとえば約365nm)において透明な現在のフリント材料はすべてかなりの割合の鉛およびさらなる重金属を有し、したがってこれらのガラスの使用は特別な認可によってのみ許される。同等の無鉛代替ガラスは、現時点では現実的に入手可能ではない。したがって、従来技術と比較してフリントレンズ素子の使用を減らした投影レンズの開発は有利であると考えられる。
【0036】
フリントレンズ素子の使用は、一部の例示の実施形態において、好ましくは絞り面の各側に2つ以下のフリントレンズ素子が配置されるように照準を定めて低減される。一部の実施形態において、フリントレンズ素子の使用は、レンズ部の各々において単一のフリントレンズ素子のみ、具体的には負の屈折力を有するフリントレンズ素子が使用される程度までに低減することができる。
【0037】
一部の例示の実施形態は、正の屈折力を有する少なくとも1つのクラウンレンズ素子と、負の屈折力を有する少なくとも1つのフリントレンズと、負の屈折力を有する2つ以下のフリントレンズとが、絞り面を囲む絞り領域内の絞り面の各側に配置され、結像の主光線高さCRHと周辺光線高さMRHとの光線高さ比CRH/MRHに|CRH/MRH|<1という条件が適用されることを特徴とする。好ましくは、負の屈折力を有する単一のフリントレンズ素子のみが、絞り面の各側の絞り領域に設けられる。
【0038】
収差、具体的には縦色収差(CHL)を補正するための選択肢に関するさらなる詳細について、例示の実施形態に関連して説明する。
【0039】
本発明のさらなる利点および態様は、特許請求の範囲および以下で図面を参照しながら説明する本発明の例示の実施形態の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】例示の一実施形態による投影露光装置の概略図を示す図である。
図2】第1の例示の実施形態による投影レンズの概略メリジオナルレンズ素子断面図を示す図である。
図3】第2の例示の実施形態による投影レンズの概略メリジオナルレンズ素子断面図を示す図である。
図4】第3の例示の実施形態による投影レンズの概略メリジオナルレンズ素子断面図を示す図である。
図5】第4の例示の実施形態による投影レンズの概略メリジオナルレンズ素子断面図を示す図である。
図6】第5の例示の実施形態による投影レンズの概略メリジオナルレンズ素子断面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1に、半導体コンポーネントおよびその他の微細構造コンポーネントの製造において使用可能であり、数マイクロメートル分の1までの分解能を得るために紫外線(UV)領域の光または電磁放射で機能する、マイクロリソグラフィ投影露光装置WSTの一例を示す。水銀ランプが主放射源または光源LSとして機能する。前記ランプは、約436nm(可視光、青、g線)、約405nm(可視光、紫、h線)および約365.5nm(近紫外、UV-A、i線)の中心波長を有する波長域の、比較的高い強度Iの輝線を有する広域スペクトルを放出する。スペクトルのこの部分は、I(λ)略図に示されている。
【0042】
投影露光装置は、i線からの光、すなわち約365.5nmの中心動作波長を中心としたUV光のみを使用するi線系である。i線の固有全帯域幅は、フィルタまたは任意のその他の方法を用いてより狭い使用帯域幅Δλ、たとえば約5nmに制限される。
【0043】
出射面ESにおいて、光源LSの下流に配置された照明系ILLが、広い、境界の明瞭な実質的に一様に照明される照明視野を生じさせ、この照明視野は光路においてその下流に配置された投影レンズPOのテレセントリック性の要件に合わせて適応化される。照明系ILLは、異なる照明モード(照明設定)を設定するためのデバイスを有し、たとえば、異なるコヒーレンス度σを有する従来の軸上照明と、軸外照明との間で切り換え可能である。
【0044】
その光源LSから光を受光し、その光から、レチクルMに向けられる照明放射を形成するそれらの光学コンポーネントは、投影露光装置の照明系ILLの一部である。
【0045】
照明系の下流に、照明系の出射面ESと一致し、本明細書でレチクル面OSとも呼ぶ、投影レンズPOの対物面OSに、レチクルに配置されたパターンが位置するように、マスクM(レチクル)を保持し、操作するためのデバイスRSが配置される。
【0046】
レチクル面OSの下流に続いて投影レンズ、すなわちマスクMに配置されたパターンの像を定義された結像スケールβで、感光基板面SSが投影レンズPOの像面ISの領域に位置するフォトレジスト層で被覆された基板W上に結像する(image)結像系がある。
【0047】
この例示の事例では半導体ウエハWである露光される基板は、「ウエハステージ」とも呼ばれるデバイスWSによって保持される。
【0048】
照明系ILLによって生じる照明視野は、投影露光時に使用される有効対物視野OFを画定する。この例示の事例では有効対物視野は矩形であり、y方向に平行に測定される高さA*を有し、それに対して垂直(x方向)に測定される幅B*<A*を有する。アスペクト比AR=B*/A*は、約104/132である。有効対物視野は光軸の中心に位置する(軸上視野)。この視野サイズを有する系では、典型的な6インチレチクルを単一の露光ステップで結像させる(image)ことができる。
【0049】
像区画IS内の、有効対物視野と光学的に共役な有効像視野は、有効対物視野と同じ形状および高さBと幅Aの同じアスペクト比とを有する。図の1:1(結像スケール|β|=1)の事例では、像視野は有効対物視野のサイズを有する。
【0050】
視野サイズについて簡単に説明する。像視野の視野サイズが26×33mmである場合、完全な「ダイ」をスキャンなしで単一の露光ステップで露光することができる。「ダイ」という用語は、半導体およびマイクロシステム技術における半導体ウエハの単一のパッケージ化されてない一片を指す。したがって、投影露光装置は、ステップアンドリピートプロセス用のウエハステッパとして設計可能である。ダイの露光のためのスキャン動作を行うためのデバイスを省くことができる。投影露光装置は、ステップアンドスキャンプロセス用のウエハスキャナとして設計することもできる。その場合、ダイの露光用のスキャン動作を行うためのデバイスを設ける必要がある。
【0051】
この回転対称系において、有効対物視野OFを囲み、有効対物視野の角と接する、光軸OAを中心とする円が、その中ですべての視野点における光学補正が仕様を満たす必要がある対物視野のサイズを規定する。これは、有効対物視野内のすべての視野点にも適用される。収差の補正が複雑になるほど、この対物視野はより大きい必要がある。この場合、円のサイズは、対物視野半径(または対物視野直径の半分)OBHによってパラメータ化され、OBHは同時に対物視野点の最大視野高さに対応する。
【0052】
例示の実施形態は、1:1結像を使用するステッパシステムであり、その結果、同時に16個のダイを露光することができる。
【0053】
以下で説明する例示の実施形態の重要な態様をよりよく理解することができるように、まず、本出願で使用される用語とその意味を明確にするために、光屈折(屈折)光学系における色収差とその補正について簡単に説明する。
【0054】
色収差は、透明光学材料の屈折率nが波長λの関数として変化することに起因して生じる光学系の結像収差である。この依存関係dn/dλを、光学材料の分散と呼ぶ。一般に、光学材料の屈折率は、より長い波長よりもより短い波長の場合により大きい。
【0055】
色収差は、様々なカテゴリに細分することができる。色収差の第1のカテゴリは、(光軸上の)近軸領域内の各波長について専用の像が生成されることと、これらの像が光軸に沿ったそれぞれの位置、それぞれの形態および/または大きさの点で変化し得ることとを考慮する。第1のカテゴリの色収差には、縦色収差CHL(軸方向色収差、軸方向色、AX)と倍率色収差または倍率色差CHV(横色LAT)が含まれる。
【0056】
縦色収差は、波長の関数としての近軸焦点位置の縦収差である。より短い波長の屈折率がより長い波長よりも大きい場合、たとえば単純な正レンズ素子の場合に相対的により短い波長の光線が相対的により長い波長の焦点よりもレンズ素子により近くに位置する焦点位置において集束されるように、より短い波長は各光学面においてより強く屈折する。この2つの焦点間のレンズ素子の光軸に沿った近軸距離が、縦色収差である。より短い波長の光線がより長い波長の光線よりも結像系により近くで合焦される場合、縦色収差は通常「過小補正」または「負」と呼ばれる。
【0057】
結像系が、異なる波長について異なるサイズの像を形成する場合、または軸外点の像が色フリンジを形成する場合、倍率色収差または倍率色差(CHV)が存在する。倍率色差は、異なる波長の近軸像高さ間の横方向距離によって定量化することができる。
【0058】
使用光学材料の分散、すなわち屈折率の色度変化は、単色収差の変動も生じさせる可能性があり、これが色収差の第2のカテゴリに組み込まれ得る。例として、これらには球面収差の色度変化、像面湾曲の色度変化などが含まれる。
【0059】
あり得る収差のさらなる特性化については、広帯域放射源からの光による結像が考えられ、広帯域放射源は中心波長λを中心とする異なる波長の光を放出し、放射分布はスペクトル帯域幅Δλ(半値全幅)によって特徴づけられる。典型的には、色収差の程度は、スペクトル帯域幅Δλの増大とともに増大する。色収差は、スペクトル帯域幅内の3つの波長の光軸に沿った異なる波長の焦点位置を用いて特徴づけることができる。この3つの波長成分は、波長λ1、λ2およびλ3を有し、λ1<λ2<λ3である。
【0060】
この場合、縦色収差CHLの大きさは、異なる波長が合焦される光軸に沿った集束範囲の最大長に対応する。典型的には、波長のうちの1つが他の波長よりも結像系により近くで合焦される。最も近い波長の焦点位置と最も遠い波長の焦点位置との間の距離は、広帯域光源の結像系の縦色収差の大きさに対応する。光軸に沿った中心波長λの焦点位置は、集束範囲内の像面とみなすことができる。
【0061】
波長に伴う近軸焦点位置の変化は、通常、冪級数で展開される。この場合、線形部を「一次スペクトル」と呼び、二次部を「二次スペクトル」と呼び、さらに三次部として「三次スペクトル」を規定することもできる。
【0062】
一次スペクトルは、異なる分散を有する異なる光学材料からなる収束レンズ素子と発散レンズ素子とを組み合わせることによって補正することができる。具体的には、2つの異なる波長、たとえばスペクトル領域の最小λ1波長と最大λ3波長の近軸焦点面が光軸上で一致するように縦色収差を補正することができる。このような光学結像系を、本出願では「アクロマート化」または「アクロマート」とも呼ぶ。
【0063】
通例、補正によって捕捉されない他の波長の縦色収差残存が残る。この縦色収差残存が通常、「二次スペクトル」である。
【0064】
場合によっては、光学材料、レンズ素子寸法、距離および屈折力などの適切な選定によって二次スペクトルを補正することも可能である。二次スペクトルは、場合によっては、考慮波長域の3つの波長λ1、λ2およびλ3すべての焦点位置が同じ軸方向位置に位置する程度まで補正することができ、結果として「三次スペクトル」のみが残る。本出願では、二次スペクトルも補正される光学系を「アポクロマート補正」または「アポクロマート」とも呼ぶ。
【0065】
言い換えると、アクロマート結像系の場合、2つの離隔した波長の縦色収差がきわめて小さく(場合によっては値ゼロに)なる。アポクロマート光学結像系の場合、3つのスペクトル的に離隔した波長の縦色収差がきわめて小さく(場合によっては値ゼロに)なる。
【0066】
スペクトル的に広帯域の光源を使用して機能することが意図された屈折投影レンズにおいて、可能な限り大きい差があるアッベ数を有する異なるレンズ素子材料が、色収差の補正のために使用される。アッベ数vは、関心波長域における材料の分散特性の特性化を容易にする。例として、材料のアッベ数は、以下の式を使用して計算することができる。
v=(n2-1)/(n1-n3
ここで、n1、n2およびn3は、λ1、λ2およびλ3の波長における材料の屈折率であり、λ1<λ2<λ3が適用される。一般に、低アッベ数は相対的に強い分散を有する材料を表し、高アッベ数は相対的に弱い分散を有する材料を表す。したがって、アッベ数を「逆相対分散」とも呼ぶ場合がある。
【0067】
この場合、アッベ数vHgは、紫外線スペクトル領域の範囲に関係づけられる必要がある。このために、365.0(n1のi線)、404.7(n2のh線)および435.8nm(n3のg線)における水銀スペクトル線の屈折率n1、n2およびn3が使用される。使用されるガラスのアッベ数を表10に一覧で示す。
【0068】
水銀ランプの輝線における動作波長のためのレンズ素子材料は、屈折率とそのアッベ数に応じて3つの異なるグループに分けることができる。第1のグループには、アッベ数が40~70の範囲にある材料が含まれる。ここで、アッベ数は、水銀ランプのi、hおよびg輝線の波長に対応するλ1=365.01nm、λ2=404.65nmおよびλ3=435.84nmの波長について計算される。第1のグループの材料は、水銀i線において1.46~1.56の範囲の典型的な屈折率を有する。第1のグループの材料には、特に、合成溶融石英(SiO2)および、BK7ガラスまたはK5、K7もしくはFK5ガラスなどの様々なホウケイ酸ガラスが含まれる。
【0069】
第2のグループには、70よりも大きいアッベ数を有する材料が含まれる。第2のグループの一部の材料、たとえば結晶フッ化カルシウム(ホタル石またはCaF2)は、1.46未満の屈折率を有する。
【0070】
第3のグループには、40未満のアッベ数を有する材料が含まれる。これらの材料は、約1.56を超える屈折率を有する。第3のグループの材料には、特に、LLF-6ガラス、LLF-1ガラスまたはLF-5ガラスなどの典型的なフリントガラスが含まれる。
【0071】
屈折手段によって色収差を低減するために、光学系は異なる分散または異なるアッベ数を有する少なくとも2つの材料からなるレンズ素子を有する必要がある。したがって、相対的に低いアッベ数を有する第1の材料からなる第1の光学素子と、第1の材料に対してより高いアッベ数を有する第2の材料からなる第2の光学素子が組み合わされる必要がある。
【0072】
通例、第2のグループの材料は、相対的クラウン材料として使用される。通例、第3のグループの材料は相対的フリント材料として使用される。第1のグループの材料は、第3のグループの材料と組み合わさって相対的クラウン材料として、および第2のグループの材料と組み合わさって相対的フリント材料として機能することができる。例として、第3のグループの材料(たとえばLF5、LLF1、LLF6)と組み合わさって、合成溶融石英(SiO2)は相対的クラウン材料として機能する。それに対して、合成溶融石英が第2のグループBの材料、たとえばCaF2と組み合わされる場合、合成溶融石英は相対的フリント材料として機能する。
【0073】
本出願の範囲内で、相対的に低いアッベ数を有する第1の材料を、「相対的フリント材料」とも呼び、相対的により高いアッベ数を有する第2の材料を「相対的クラウン材料」とも呼ぶ。説明を簡単にするために、本出願のより具体的な例示の実施形態では、相対的クラウン材料からなるレンズ素子を略して「クラウンレンズ素子」とも呼び、相対的フリント材料からなるレンズを略して「フリントレンズ素子」とも呼ぶ。通例、第1および第3の材料グループの材料が使用される。
【0074】
投影レンズの好ましい実施形態の以下の説明では、「光軸」という用語は、曲面レンズ素子表面の曲率中心を通る直線を指す。実施例において、物体は集積回路のパターンを有するマスク(レチクル)であり、たとえば格子の異なるパターンに関連してもよい。実施例において、像は、フォトレジスト層を備えるウエハ上に投影され、前記ウエハは基板として機能する。他の基板、たとえば液晶ディスプレイ用の素子または光回折格子用基板も可能である。
【0075】
結像の主光線と周辺光線のプロファイルおよび関係に基づいていくつかの特異性を明らかにすることができる。この場合、主光線CRは、対物視野の端点を始点として瞳面の領域、すなわち、開口絞りASを取り付けるのに適した絞り面BEの領域において光軸と交わる。本出願の意味の範囲内で周辺光MRは、対物視野の中心から開口絞りの縁に至る。光軸からのこれらの光線の垂直距離は、対応する光線高さをもたらす。本出願が「周辺光線高さ」(MRH)または「主光線高さ」(CRH)と言う限りにおいて、これはそれぞれ近軸周辺光線高さおよび近軸主光線高さを指す。
【0076】
「絞り領域」BBという用語は、絞り面BEを囲む領域(すなわち絞り面の上流と下流)を指し、この領域では結像の主光線高さCRHと周辺光線高さMRHとの光線高さ比|CRH/MRH|が1未満である。したがって、絞り領域において相対的に大きい周辺光線高さが生じる。
【0077】
図面中の図において、クラウンレンズ素子、具体的には溶融石英レンズ素子またはFK5からなるレンズ素子は、白抜きのレンズ素子によって表され、フリントレンズ素子、具体的にはLF5またはLLF1からなるレンズ素子は、陰影付きレンズ素子によって表されている。非球面は短い非球面ダッシュによってマークされている。
【0078】
図面の図に示されている投影レンズの仕様が、本明細書の終わりにまとめられた表に示されており、表の番号付けはそれぞれ図面中の対応する図の番号付けに対応する。
【0079】
表2~6は、それぞれの設計の仕様を表形式でまとめている。この場合、列「面」は、屈折面または他の何らかの方式で区別される面の番号を示し、列「半径」は、面の半径r(単位mm)を示し、列「厚さ」は、その面と後続の面との間の距離d、すなわち厚さとして表された距離(単位mm)を示し、列「材料」は、光学コンポーネントの材料を示す。列「屈折率1」、「屈折率2」および「屈折率3」は、波長365.5nm(屈折率1)、364.5nm(屈折率2)および366.5nm(屈折率3)における材料の屈折率を示す。列「半径」は、レンズ素子の、または光学素子の使用可能な自由半径または自由光学半径(単位mm)を示す。(列「半径」)の半径r=0は平面に対応する。一部の光学面は非球面である。「A」が付された表は対応する非球面データを示し、非球面は以下の規定によって計算される。
【0080】
【数1】
【0081】
この場合、半径の逆数
【数2】
は、表面曲率を示し、hは表面点と光軸との間の距離(すなわち光線高さ)を示す。したがって、p(h)は、サジタル高さ、すなわちz方向(光軸の方向)における表面点と表面頂点との間の距離を示す。係数K、C1、C2、...は、「A」が付された表に示されている。
【0082】
表7は、例示の実施形態の重要な設計パラメータ、たとえば開口数NA、対物視野半径OBHおよび結像スケールのわかりやすい概要を示す。
【0083】
以下の例示の実施形態の説明では、すべての図において同一のまたは対応する特徴に同じ参照符号が使用されている。レンズ素子は、対物面から像面への順序で番号付けされており、したがって、たとえばレンズ素子L1は対物面の直後に続く最初のレンズ素子である。わかりやすくするために参照符号はすべてのレンズには付けられていない。
【0084】
図2に、動作時に投影レンズを通過する投影放射の結像ビーム路または投影ビーム路を明らかにするために、選択されたビームを有する屈折投影レンズ200の第1の例示の実施形態の概略メリジオナルレンズ素子断面図を示す。
【0085】
投影レンズは、その対物面OSに配置されたマスクのパターンを、対物面に平行に位置合わせされたその像面IS上に直接、すなわち中間像を生成せずに、サイズ、具体的には-1:1のスケール(結像スケールが-1)の変更なしに結像する(image)、1:1結像系として設けられている。
【0086】
対物面と像面との間には、光学結像の主光線CRが光軸OAと交わる結像系の瞳面PUPのみが位置する。系の開口絞りASが瞳面の領域に取り付けられる。したがって、開口絞りを取り付けるのに適した位置または面を本明細書では絞り面BEとも呼ぶ。
【0087】
絞り面を囲んで絞り領域BBが延び、前記絞り領域BBにおける結像の主光線高さCRHと周辺光線高さMRHとの光線高さ比に|CRH/MRH|<1という条件が適用される。したがって、周辺光線高さは主光線高さよりも高い。この光学構造は以下のように特徴づけられ得る。
【0088】
対物側の第1のレンズ部OP1において、対物面OSの直後に、対物側メニスカス凹レンズ素子L1によってもたらされる負の屈折力を有する前部レンズ素子グループNV(「負グループ」)が続く。
【0089】
正の屈折力と合計3つのレンズ素子L2~L4とを有する第1のレンズ素子グループLG1がこの直後に続く。第1のレンズ素子グループは、前部負グループから入射する光線を収集し、その結果として投影ビーム路において膨らみを形成する。
【0090】
第1のレンズ素子グループLG1の直後に、負の屈折力を有する第2のレンズ素子グループLG2が続く。この第2のレンズ素子グループは、5つのレンズ素子L5~L9を含み、投影ビーム路における対物面OSと絞り面BEとの間の周辺光線高さの極小部を囲むくびれを生じさせる。
【0091】
第2のレンズ素子グループLG2の直後に、正の屈折力と合計3つのレンズ素子L10~L12とを有する第3のレンズ素子グループLG3が続く。第3のレンズ素子グループのレンズ素子は、第2のレンズ素子グループLG2と開口絞りASを取り付けるのに適した絞り面との間に配置されている。
【0092】
絞り面に対する鏡面対称によって、像側の第2のレンズ部OP2における絞り面BEの他方の側に鏡映屈折力シーケンスが生じる。対物面OSと絞り面Bとの間の第1のレンズ部OP1の各レンズ素子Lxは、絞り面と像面ISとの間の第2のレンズ部OP2において鏡映の同一の対応する部分Lx’を有する。
【0093】
例として、3つの正レンズ素子が、両側の絞り面のすぐ隣に配置される。従来の教示によると、絞り面の隣において周辺光線高さがより大きく、その結果、フリントレンズ素子が縦色収差に関してより良好な作用を有することになるため、フリント負レンズ素子を絞り面の隣に取り付ければより有利になる。しかし、現在、広い対物視野における良好な補正状態を得るためには、少なくとも2つ、任意で3つの正レンズ素子が絞り面のすぐ隣に配置されればより有利であると想定される。
【0094】
投影レンズは、屈折力シーケンスN-P-N-P-P-N-P-Nによって特徴づけられ、ここで「P」は正の屈折力を有するレンズ素子グループを表し、「N」は負の屈折力を有するレンズ素子グループを表す。負の第3のレンズ素子グループLG3の領域において絞り面の各側には単一の明白なくびれしかない。
【0095】
第1の例示の実施形態は、像側開口数がNA=0.18の場合に、OBH=84mmを有するステッパフィールドを含み、結像スケールは-1である。エタンデュはLLW=15.12である。
【0096】
この例示の実施形態は、比較的屈折力の小さい複数(2×12)のレンズ素子を有する。複数のレンズ素子(L1、L2、L5~L8、L10~L12)が溶融石英で製造される。縦色収差は、発散フリントレンズ素子(LF5材料製のL9)によって補正される。
【0097】
前部における2つのフリントレンズ素子L2およびL3は、正の屈折力を有し、縦色収差の補正にとっては逆効果を有するが、これはL9に相対するレンズ素子の有意により小さい周辺光線高さのために無視可能である。すなわち、縦色収差の補正に対するレンズ素子の寄与は、周辺光線高さの2乗に比例する。この点においてフリント材料を使用する理由は、より正確には以下の2つの特性においてわかる。(i)フリントレンズ素子はより高い屈折率を有する。これは、球面収差および非点収差などの単色収差の補正に役立つ。(ii)フリントレンズ素子は、系の全体的フリント屈折力に寄与し、その結果としてペッツバール和の色度変化を補正する。
【0098】
ペッツバール和の色度変化は、様々な材料にわたる個別の屈折力の和がゼロになると常にゼロになることを証明することが可能である。したがって、ペッツバール和の色度変化を補正するには、縦色収差を補正するために必要なフリント材料からなる少なくとも1つの負のレンズ素子に加えて、正の屈折力を有する少なくとも1つのフリントレンズ素子も必要である。
【0099】
この設計は明白なくびれ構造を有する。したがって、L1の負の屈折力は、正レンズ素子L2、L3、L4の有意な膨らみの形成を可能にする。この後に、顕著な負の屈折力(L5、L7、L9)と個別の弱い正レンズ素子(L6、L8)を有する長いくびれが続く。ビームは次に、レンズ素子L10、L11、L12によって穏やかにコリメートされ、中央開口絞りを通って誘導される。ビームのコリメーションは、構造の対称性に続く像面の合焦のために必要な条件である。
【0100】
収差の補正は、2×4枚の非球面の使用によってさらに追加的に支援される。非球面は石英レンズ素子上のみにある。
【0101】
設計全体は1000mmの設置長TT(対物面と像面との間の軸方向距離)を有し、したがって条件(OBH・NAO)/TT>0.01が守られる。対物側と像側の両方においてテレセントリック性からの逸脱がわずかにあるのみである。
【0102】
以下の例示の実施形態では、対応する特徴または類似の特徴に同じ参照符号が使用されるが、わかりやすくするためにこれらについては再度別途には言及しない。第2~第4の例示の実施形態はそれぞれ、像側開口数NA=0.18の場合にOBH=84mmを有するステッパフィールドを含み、各事例において結像スケールは-1であり、設置長は1000mmである。
【0103】
第2の例示の実施形態(図3の投影レンズ300)は、絞り領域BBにおいて第1の例示の実施形態ときわめて類似した構造を有する。1つの相違は、視野に最も近い、凹側が最も近い視野面に向いているそれぞれ負のメニスカスレンズ素子として設計された、具体的にはそれぞれレンズ素子L1およびL1’として各レンズ部に配置された二重非球面にある。これによって、1つのレンズ部につきレンズ素子の数を1レンズ素子減らすことができ、11個のフリントレンズ素子にすることができる。同様に、フリントレンズ素子の数が1つのレンズ部につき2つのフリントレンズ素子に減らした。第1の例示の実施形態と同様に、各レンズ部は、絞り領域BB内の両凹面レンズ素子として設計された単一のフリントレンズ素子L8またはL8’のみを含む。さらに、第1の例示の実施形態と同様に、視野により近い領域に追加の正のフリントレンズ素子L3またはL3’が配置されている。
【0104】
第2の例示の実施形態と比較して、第3の例示の実施形態(図4の投影レンズ400)は、第2の例示の実施形態のフリント材料からなる正レンズ素子(L3)が溶融石英からなるレンズ素子に置き換えられたことで区別される。したがって、この例示の実施形態は、1レンズ部につき単一のフリントレンズ素子、具体的にはL8またはL8’のみを有する。その結果、ペッツバール和の色度変化が原則として完全には補正することができなくなる。しかし、これは比較的小さい開口数(NA=0.18)と、これに付随する視野の比較的大きい深度とに起因して、結像性能に関しては比較的重要ではないと思われる。
【0105】
図5の投影レンズ500(第4の例示の実施形態)は、1レンズ部につき1つのみのフリントレンズ素子が設けられていることによるフリントレンズ素子の最小限の使用のさらなる一実施例である。また、前の例示の実施形態から進んで、使用レンズ素子の数をさらに減らすことができた。このための本質的な寄与は、追加の非球面の使用によって達成された。この場合、フリントガラスからなっていないすべてのレンズ素子が、単一の非球面レンズ素子面を有する非球面レンズ素子として設計されている。したがって、非球面の数が(第3の例示の実施形態における)2×4から2×6に増加しており、その結果として、レンズ素子の数を2×8に減らすことができた。
【0106】
第5の例示の実施形態(図6の投影レンズ600)は、1レンズ部につき近視野二重非球面の使用(レンズ素子L1またはL1’)によってレンズ素子の数をさらに減らすことが可能であり、これで各々の場合において数が1レンズ部につき7つのレンズ素子に減らされることを示している。
【0107】
ステッパとしての使用が意図された水銀i線(365.5nm)用の対称1:1リソグラフィ系が例として提示されており、すなわち、スキャンなしの単一の露光を使用して完全な6インチのレチクルを結像させる(image)ことができる。しかし、104×132mm2よりも小さい、たとえばわずか104×28mm2の対物視野を有するスキャン系も使用可能である。
【0108】
【表1-1】
【表1-2】
【0109】
【表2】
【0110】
【表3-1】
【表3-2】
【0111】
【表4】
【0112】
【表5-1】
【表5-2】
【0113】
【表6】
【0114】
【表7】
【0115】
【表8】
【0116】
【表9】
【0117】
【表10】
【0118】
【表11】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-07-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
280nmよりも長い紫外線領域における動作波長の電磁放射を用いて屈折投影レンズ(PO)の対物面(OS)に配置されたパターンを前記投影レンズの像面(IS)に結像する(image)ための屈折投影レンズ(PO)であって、
光軸(AX)に沿って前記対物面(OS)と前記像面(IS)との間に配置され、前記対物面に配置されたパターン(PAT)を複数のレンズ素子を用いて前記像面に結像させる(image)ことができるように実施され、開口絞り(AS)を取り付けるのに適した絞り面(BE)が前記対物面と前記像面との間に位置付けられ、前記結像の主光線が前記絞り面の前記光軸(AX)と交わる、複数のレンズ素子を含み、
前記投影レンズが少なくとも52mmの対物視野半径(OBH)を有する広視野レンズとして設計され、前記絞り面(BE)に対して鏡面対称である1:1の結像スケールを有する構造を有することを特徴とする、屈折投影レンズ。
【請求項2】
前記対物視野半径OBHが少なくとも84mmであることを特徴とする、請求項1に記載の投影レンズ。
【請求項3】
対物側および像側開口数が0.3未満であり、前記開口数が好ましくは0.1~0.2の範囲であることを特徴とする、請求項1または2に記載の投影レンズ。
【請求項4】
前記投影レンズが対物視野半径OBHと、対物側開口数NAOと、少なくとも10mmの幾何学的エタンデュLLW=OBH・NAOとを有し、前記幾何学的エタンデュが15mm以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の投影レンズ。
【請求項5】
前記投影レンズが、前記対物面(OS)と前記像面(IS)との間で測定される設置長TTと、対物視野半径OBHと、対物側開口数NAOとを有することと、条件(OBH・NAO)/TT>0.01が適用されることとを特徴とする、請求項1または2に記載の投影レンズ。
【請求項6】
前記レンズ素子が、相対的により低いアッベ数を有する第1の材料からなる少なくとも1つのフリントレンズ素子と、前記第1の材料に対してより高いアッベ数を有する第2の材料からなる少なくとも1つのクラウンレンズ素子とを含み、好ましくは2つ以下のフリントレンズ素子が前記絞り面の各側に配置され、具体的には単一のフリントレンズ素子のみが前記絞り面(BE)の各側に配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の投影レンズ。
【請求項7】
前記単一のフリントレンズ素子(L6、L8)が負の屈折力を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の投影レンズ。
【請求項8】
負の屈折力を有する前記単一のフリントレンズ素子(L6、L8)が、前記絞り領域(BB)に、具体的には光線高さ比が|CRH/MRH|<0.5である領域に配置されていること、および/または、前記単一のフリントレンズ素子が両凹面レンズ素子であることを特徴とする、請求項7に記載の投影レンズ。
【請求項9】
前記投影レンズが、前記絞り面(BE)の各側に正の屈折力を有する少なくとも1つのフリントレンズ素子(L21、L1)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の投影レンズ。
【請求項10】
正の屈折力を有する前記フリントレンズ素子(L21、L1)が、前記結像の光線高さ比が条件CRH/MRH>0.7を満たす領域の、視野面の光学的近傍に配置されていることを特徴とする、請求項6に記載の投影レンズ。
【請求項11】
少なくとも2つの正レンズ素子が前記絞り面(BE)のすぐ隣の、前記絞り面(BE)の各側に配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の投影レンズ。
【請求項12】
前記絞り面(BE)の各側の前記レンズ素子のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの回転対称非球面レンズ素子面を有する非球面であることを特徴とする、請求項1または2に記載の投影レンズ。
【請求項13】
前記非球面のうちの少なくとも1つが二重非球面として構成され、入射面と出射面とが回転対称非球面レンズ面として設計され、好ましくは前記対物面(OS)に最も近い前記レンズ素子と前記像面(IS)に最も近い前記レンズ素子とが二重非球面であることを特徴とする、請求項12に記載の投影レンズ。
【請求項14】
前記投影レンズが、水銀ランプ(LS)のi線のUV放射用および/または5nm以下の帯域幅を有するUV放射用に設計されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の投影レンズ。
【請求項15】
投影レンズ(PO)の対物面(OS)の領域に配置されたパターンの少なくとも1つの像を使用して前記投影レンズ(PO)の像面(IS)の領域に配置された放射線感受性基板を露光するための投影露光装置(WST)であって、
280nmよりも長い紫外線領域の動作波長で電磁放射を放出する光源(LS)と、
前記光源の光を受光するためと、前記パターンに向けられる照明放射を形成するための照明系(ILL)と、
前記パターンの構造を感光性基板(W)上に結像する(image)ための投影レンズ(PO)とを含み、前記投影レンズ(PO)が請求項1または2により実施される、投影露光装置。
【請求項16】
前記投影露光装置(WST)が、ステップアンドリピートプロセス用のウエハステッパとして設計されていることを特徴とする、請求項15に記載の投影露光装置。
【請求項17】
前記光源が水銀ランプ(LS)のi線の電磁放射を放出する水銀ランプ(LS)であること、および/または、前記放射が5nm以下の帯域幅を有することを特徴とする、請求項15に記載の投影露光装置。
【請求項18】
マスクのパターンの少なくとも1つの像を使用して放射線感受性基板を露光する投影露光方法であって、
パターンが投影レンズの対物面の領域に配置されるように投影露光装置の照明系と投影レンズとの間に前記パターンを設けるステップと、
前記基板の放射線感受性面が前記対物面と光学的に共役な前記投影レンズの像面の領域に配置されるように前記基板を保持するステップと、
前記照明系によって280nmよりも長い紫外線領域の動作波長で供給される照明放射で前記マスクの照明領域を照明するステップと、
前記投影レンズを用いて前記照明領域に位置する前記パターンの一部を前記基板上の像視野上に投影するステップであって、前記像視野における像生成に寄与する投影放射のすべての光線が投影ビーム路を形成する、投影するステップとを含み、請求項1または2に記載の投影レンズが使用される、投影露光方法。
【請求項19】
前記基板がスキャンなしにステップアンドリピートプロセスにおいて露光されること、および/または、水銀ランプのi線の照明放射および/または5nm未満の帯域幅を有する照明放射が使用されることを特徴とする、請求項15に記載の投影露光方法。
【国際調査報告】