(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-06-19
(54)【発明の名称】RFおよびDCの周波数と位相とを固定しパルス化したエッジティルトの制御システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20250612BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/302 101C
H01L21/302 101B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024570918
(86)(22)【出願日】2023-05-25
(85)【翻訳文提出日】2025-01-30
(86)【国際出願番号】 US2023067460
(87)【国際公開番号】W WO2023240003
(87)【国際公開日】2023-12-14
(32)【優先日】2022-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャファリアン-テラニ・シード・ジャファー
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA01
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB23
5F004BD04
5F004BD06
5F004CA03
5F004CA06
5F004CA08
(57)【要約】
【解決手段】方法は、プラズマチャンバ内で行われる。方法は、静電チャック(ESC)に第1の電力信号を供給することを含む。方法は、エッジリングに第2の電力信号を供給することを含む。方法は、ESCとエッジリングとの間の接合部分において発生する電流信号の振幅を測定することを含む。方法は、電流信号の最小振幅を得るために、第1の電力信号および第2の電力信号の1つまたは複数のパラメータを調整することを含む。方法は、電流信号の位相と基準信号の位相との間の位相関係を決定して、接合部分においてイオンティルトの方向を決定することを含む。方法は、位相関係および電流信号の振幅に基づいて、第2の電力信号の少なくとも1つのパラメータを調整して、接合部分においてイオンティルトの所定の角度を得ることを含む。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
プラズマチャンバ内の静電チャック(ESC)に第1の電力信号を供給することと、
前記プラズマチャンバ内のエッジリングに第2の電力信号を供給することと、
前記ESCと前記エッジリングとの間の接合部分において発生する低周波電流信号の振幅を測定することと、
前記低周波電流信号の最小振幅を得るために、前記第1の電力信号および前記第2の電力信号の1つまたは複数のパラメータを調整することと、
前記低周波電流信号の位相と基準信号の位相との間の位相関係を決定して、前記ESCと前記エッジリングとの間の前記接合部分においてイオンティルトの方向を決定することと、
前記位相関係および前記低周波電流信号の前記振幅に基づいて、前記第2の電流信号の少なくとも1つのパラメータを調整して、前記ESCと前記エッジリングとの間の前記接合部分において前記イオンティルトの所定の角度を得ることと
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
第1の高周波RF発生器から第1のインピーダンス整合回路を介して第1のRF信号を供給することと、
低周波RF発生器から前記第1のインピーダンス整合回路を介して第2のRF信号を供給することと、
前記第1のインピーダンス整合回路において、前記第1のRF信号と前記第2のRF信号とを組み合わせて、前記第1の電力信号を生成することと
をさらに含み、
前記低周波電流信号は、RF電流信号である、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記低周波RF発生器から第2のインピーダンス整合回路に第3のRF信号を提供して、前記第2の電力信号を生成することをさらに含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記低周波RF発生器からの前記第2のRF信号および前記低周波RF発生器からの前記第3のRF信号の周波数を固定することをさらに含む、方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法であって、
前記低周波電流信号から、前記第1の高周波RF発生器によって供給された前記第1のRF信号の寄与をフィルタリングすることをさらに含む、方法。
【請求項6】
請求項2に記載の方法であって、
前記基準信号は、前記第1の電力信号の成分として前記低周波RF発生器からの前記第2のRF信号である、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記第2の電力信号の発射点、および電圧、および時間遅延の少なくとも1つを調整して、前記イオンティルトの前記所定の角度を得ることをさらに含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の電力信号および前記第2の電力信号を同期してパルス化することをさらに含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の電力信号および前記第2の電力信号は、
パルスRF信号、または
連続するRF信号、または
パルスDC信号を
含む、方法。
【請求項10】
方法を行うためのコンピュータプログラムを格納する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ可読媒体は、
プラズマチャンバ内の静電チャック(ESC)に第1の電力信号を供給するためのプログラム命令と、
前記プラズマチャンバ内のエッジリングに第2の電力信号を供給するためのプログラム命令と、
前記ESCと前記エッジリングとの間の接合部分において発生する低周波電流信号の振幅を測定するためのプログラム命令と、
前記低周波電流信号の最小振幅を得るために、前記第1の電力信号および前記第2の電力信号の1つまたは複数のパラメータを調整するためのプログラム命令と、
前記低周波電流信号の位相と基準信号の位相との間の位相関係を決定して、前記ESCと前記エッジリングとの間の前記接合部分においてイオンティルトの方向を決定するためのプログラム命令と、
前記位相関係および前記低周波電流信号の前記振幅に基づいて、前記第2の電力信号の少なくとも1つのパラメータを調整して、前記ESCと前記エッジリングとの間の前記接合部分において前記イオンティルトの所定の角度を得るためのプログラム命令と
を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項11】
請求項10に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体であって、
第1の高周波RF発生器から第1のインピーダンス整合回路を介して第1のRF信号を供給するためのプログラム命令と、
低周波RF発生器から前記第1のインピーダンス整合回路を介して第2のRF信号を供給するためのプログラム命令と、
前記第1のインピーダンス整合回路において、前記第1のRF信号と前記第2のRF信号とを組み合わせて、前記第1の電力信号を生成するためのプログラム命令と、
前記低周波RF発生器から第2のインピーダンス整合回路に第3のRF信号を供給して、前記第2の電力信号を生成するためのプログラム命令と
をさらに含み、
前記低周波電流信号は、RF電流信号である、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項12】
請求項11に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体であって、
前記低周波RF発生器からの前記第2のRF信号および前記低周波RF発生器からの前記第3のRF信号の周波数を固定するためのプログラム命令をさらに含む、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項13】
請求項11に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体であって、
前記低周波電流信号から、前記第1の高周波RF発生器によって供給された前記第1のRF信号の寄与をフィルタリングするためのプログラム命令をさらに含む、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項14】
請求項11に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体であって、
前記第2の電力信号の発射点、および電圧、および時間遅延の少なくとも1つを調整して、前記イオンティルトの前記所定の角度を得るためのプログラム命令をさらに含む、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項15】
請求項11に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体であって、
前記方法において、前記第1の電力信号および前記第2の電力信号は、
パルスRF信号、または
連続するRF信号、または
パルスDC信号を
含む、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項16】
コンピュータシステムであって、
プロセッサと、
前記プロセッサに結合され、前記コンピュータシステムによって実行されると、前記コンピュータシステムに方法を実行させる、命令を自身の中に記憶しているメモリと
を含み、前記方法は、
プラズマチャンバ内の静電チャック(ESC)に第1の電力信号を供給することと、
前記プラズマチャンバ内のエッジリングに第2の電力信号を供給することと、
前記ESCと前記エッジリングとの間の接合部分において発生する低周波電流信号の振幅を測定することと、
前記低周波電流信号の最小振幅を得るために、前記第1の電力信号および前記第2の電力信号の1つまたは複数のパラメータを調整することと、
前記低周波電流信号の位相と基準信号の位相との間の位相関係を決定して、前記ESCと前記エッジリングとの間の前記接合部分においてイオンティルトの方向を決定することと、
前記位相関係および前記低周波電流信号の前記振幅に基づいて、前記第2の電力信号の少なくとも1つのパラメータを調整して、前記ESCと前記エッジリングとの間の前記接合部分において前記イオンティルトの所定の角度を得ることと
を含む、コンピュータシステム。
【請求項17】
請求項16に記載のコンピュータシステムであって、
前記方法は、
第1の高周波RF発生器から第1のインピーダンス整合回路を介して第1のRF信号を供給することと、
低周波RF発生器から前記第1のインピーダンス整合回路を介して第2のRF信号を供給することと、
前記第1のインピーダンス整合回路において、前記第1のRF信号と前記第2のRF信号とを組み合わせて、前記第1の電力信号を生成することと、
前記低周波RF発生器から第2のインピーダンス整合回路に第3のRF信号を供給して、前記第2の電力信号を生成することと
をさらに含み、
前記低周波電流信号は、RF電流信号である、コンピュータシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のコンピュータシステムであって、
前記方法は、
前記低周波電流信号から、前記第1の高周波RF発生器によって供給された前記第1のRF信号の寄与をフィルタリングすることをさらに含む、コンピュータシステム。
【請求項19】
請求項16に記載のコンピュータシステムであって、
前記方法は、
前記第2の電力信号の発射点、および電圧、および時間遅延の少なくとも1つを調整して、前記イオンティルトの前記所定の角度を得ることをさらに含む、コンピュータシステム。
【請求項20】
請求項16に記載のコンピュータシステムであって、
前記方法において、前記第1の電力信号および前記第2の電力信号は、
パルスRF信号、または
連続するRF信号、または
パルスDC信号を
含む、コンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体製造に関し、より具体的には、ウエハのエッジにおいて所望のイオンティルトを得るために、静電チャックとエッジリングとの間の接合部分においてRFおよびパルスDC電流を測定して、接合部分において電力および/または電圧を平衡させるシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマエッチングプロセスなどの多くの現代の半導体チップ製造プロセスは、プラズマ処理チャンバ内で行われる。プラズマ処理チャンバ内では、基板、例えば、ウエハが静電チャック(ESC)上に支持されている。プラズマエッチングプロセスでは、ウエハは、プラズマ処理容積内で生成されたプラズマに曝露される。プラズマは、各種ラジカル、電子、ならびに正イオンおよび負イオンを含有する。様々なラジカル、電子、正イオン、および負イオンの化学反応を用いて、ウエハのフィーチャ、表面、および材料をエッチングする。
【0003】
例えば、プロセスガスがプラズマ処理チャンバ内に供給されると、無線周波数(RF)信号が電力を供給し、プラズマ処理チャンバの電極の少なくとも一方に印加されて、電極間に電界を形成する。プロセスガスは、RF信号によってプラズマ化され、これにより、ウエハ上に配置された所定の層に対してプラズマエッチングが行われる。残念ながら、ウエハの処理中に、プラズマにより、ウエハの極縁に沿ってイオン角度拡散(例えば、イオンティルト角)が発生し、ウエハの極縁に沿ってフィーチャの不均一性が生じる場合がある。
【0004】
本開示の実施形態は、このような状況から生じるものである。
【発明の概要】
【0005】
本実施形態は、ウエハのエッジにおいて所望のイオンティルトを得るために、静電チャックとエッジリングとの間の接合部分においてRFおよびパルスDC電流を測定して、接合部分において電力および/または電圧を平衡させる方法および装置に関する。本開示のいくつかの発明の実施形態は、以下に記載する。
【0006】
本開示の実施形態は、プラズマチャンバ内のエッジ領域に関連する所定の因子を得る方法を提供する。方法は、プラズマチャンバ内の静電チャック(ESC)に第1の電力信号を供給することを含む。方法は、プラズマチャンバ内のエッジリングに第2の電力信号を供給することを含む。方法は、ESCとエッジリングとの間の接合部分において発生する低周波電流信号の振幅を測定することを含む。方法は、低周波電流信号の最小振幅を得るために、第1の電力信号および第2の電力信号の1つまたは複数のパラメータを調整することを含む。方法は、低周波電流信号の位相と基準信号の位相との間の位相関係を決定して、ESCとエッジリングとの間の接合部分においてイオンティルトの方向を決定することを含む。方法は、位相関係および低周波電流信号の振幅に基づいて、第2の電流信号の少なくとも1つのパラメータを調整して、ESCとエッジリングとの間の接合部分においてイオンティルトの所定の角度を得ることを含む。
【0007】
本開示の他の実施形態は、プラズマチャンバ内のエッジ領域に関連する所定の因子を得るための方法を行うコンピュータプログラムを格納する非一時的なコンピュータ可読媒体を提供する。コンピュータ可読媒体は、プラズマチャンバ内の静電チャック(ESC)に第1の電力信号を供給するためのプログラム命令を含む。コンピュータ可読媒体は、プラズマチャンバ内のエッジリングに第2の電力信号を供給するためのプログラム命令を含む。コンピュータ可読媒体は、ESCとエッジリングとの間の接合部分において発生する低周波電流信号の振幅を測定するためのプログラム命令を含む。コンピュータ可読媒体は、低周波電流信号の最小振幅を得るために、第1の電力信号および第2の電力信号の1つまたは複数のパラメータを調整するためのプログラム命令を含む。コンピュータ可読媒体は、低周波電流信号の位相と基準信号の位相との間の位相関係を決定して、ESCとエッジリングとの間の接合部分においてイオンティルトの方向を決定するためのプログラム命令を含む。コンピュータ可読媒体は、位相関係および低周波電流信号の振幅に基づいて、第2の電力信号の少なくとも1つのパラメータを調整して、ESCとエッジリングとの間の接合部分においてイオンティルトの所定の角度を得るためのプログラム命令を含む。
【0008】
本開示のさらに他の実施形態は、プロセッサと、プロセッサに結合されたメモリとを含むコンピュータシステムを提供する。メモリは、コンピュータシステムによって実行されると、コンピュータシステムにプラズマチャンバ内のエッジ領域に関連する所定の因子を得るための方法を実行させる、命令をその中に記憶している。方法は、プラズマチャンバ内の静電チャック(ESC)に第1の電力信号を供給することを含む。方法は、プラズマチャンバ内のエッジリングに第2の電力信号を供給することを含む。方法は、ESCとエッジリングとの間の接合部分において発生する低周波電流信号の振幅を測定することを含む。方法は、低周波電流信号の最小振幅を得るために、第1の電力信号および第2の電力信号の1つまたは複数のパラメータを調整することを含む。方法は、低周波電流信号の位相と基準信号の位相との間の位相関係を決定して、ESCとエッジリングとの間の接合部分においてイオンティルトの方向を決定することを含む。方法は、位相関係および低周波電流信号の振幅に基づいて、第2の電力信号の少なくとも1つのパラメータを調整して、ESCとエッジリングとの間の接合部分においてイオンティルトの所定の角度を得ることを含む。
【0009】
これらおよびその他の利点は、本明細書および特許請求の範囲の全体を熟読すれば、当業者によって理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本実施形態は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することにより、最もよく理解され得る。
【0011】
【
図1A】
図1Aは、本開示の実施態様に従って、無線周波数(RF)電源を含むエッチング動作に利用される容量結合プラズマ(CCP)処理システムの実施形態を示す。
【0012】
【
図1B-1】
図1B-1は、本開示の一実施形態に従って、直流(DC)パルス電源を含むエッチング動作に利用される容量結合プラズマ(CCP)処理システムの実施形態を示す。
【
図1B-2】
図1B-2は、本開示の一実施形態に従って、直流(DC)パルス電源を含むエッチング動作に利用される容量結合プラズマ(CCP)処理システムの実施形態を示す。
【
図1B-3】
図1B-3は、本開示の一実施形態に従って、直流(DC)パルス電源を含むエッチング動作に利用される容量結合プラズマ(CCP)処理システムの実施形態を示す。
【
図1B-4】
図1B-4は、本開示の一実施形態に従って、直流(DC)パルス電源を含むエッチング動作に利用される容量結合プラズマ(CCP)処理システムの実施形態を示す。
【
図1B-5】
図1B-5は、本開示の一実施形態に従って、直流(DC)パルス電源を含むエッチング動作に利用される容量結合プラズマ(CCP)処理システムの実施形態を示す。
【0013】
【
図2A】
図2Aは、本開示の一実施形態に従って、ESCとエッジリングとの間の接合部分において電流(例えば、無線周波数および/または直流)を測定することにより、ウエハのエッジにおいて所望のイオンティルトを得るために利用される制御システムを示す。
【0014】
【
図2B】
図2Bは、本開示の一実施形態に従って、ESCとエッジリングとの間の接合部分において電流(例えば、RF電流および/またはパルスDC電流)を測定するように構成されたセンサを示す。
【0015】
【
図3】
図3は、本開示の一実施形態に従って、ESCとエッジリングとの間の接合部分においてRF電流を測定することにより、ウエハのエッジにおいて所望のイオンティルトを得る方法を示すフロー図である。
【0016】
【
図4】
図4は、接合部分を横断する有効局所電界が、ウエハプラズマシースの電界およびエッジリングプラズマシースの電界の影響を受けることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の詳細な説明には、例示を目的として多くの具体的な詳細が含まれているが、当業者であれば、以下の詳細に対する多くの変形および変更が本開示の範囲内であることを理解するであろう。したがって、以下に記載の本開示の態様は、本説明に続く特許請求の範囲に対して、一般性を損なうことなく、かつ限定を課すことなく記載される。
【0018】
概して、本開示の様々な実施形態は、ウエハのエッジにおいて所望のイオンティルトを得る方法および装置を説明する。特に、ESCとエッジリングとの接合部分を通過するRF電流の量がイオンティルト角と相関関係にあることが有利に認識されている。すなわち、ESCおよびエッジリングに供給するRF発生器に関連する電圧センサ間の位相が、所与のエッジリング電圧設定値に対して公称値である場合、ESCとエッジリングとの接合部分におけるパルスDCまたはRF電流は、最小値となる。そのため、接合部分から離れた整合ネットワークにおいてRF電力信号の電圧を測定するよりも、むしろ、ESCとエッジリングとの接合部分を横断するRF電流の測定に重点を置くことにより、発電機の電力および/または電圧が平衡するときをより正確に判断でき、接合部分において発生するほぼ垂直のイオンティルトが得られる。さらに、RF発電機の電圧信号間の電力または位相関係を調整することにより、システムは、接合部分において、エッジリングに向かって、ESC内の電極からより多くの電力を引き出したり、ESCに向かって、接合部分においてより多くの電力を押し出したりする。この電力または位相関係の調整により、接合部分において局所的な電界のベクトル方向を制御する手段が提供され、ひいては、接合部分においてエッチング陽イオンのイオンティルトを制御する手段が提供される。
【0019】
様々な実施形態の利点として、本開示の方法および装置により、ESCとエッジリングとの接合部分を通過するRF電流の測定によって、ウエハのエッジにおいて所望のイオンティルトが得られ、RF発生器の電力または位相関係を調整することによって、接合部分から離れた場所(例えば、発電機に隣接する整合ネットワーク)に位置するセンサ測定に依存するのではなく、接合部分における測定値と実際のイオンティルトとのより優れた相関関係がもたらされる。このようにして、ウエハのエッジにおいて所望のイオンティルトを得るためのより優れた、より正確な制御メカニズムが実現される。その他の利点としては、ESCおよびエッジリングに電力を供給する電源の駆動インピーダンスに依存しない、接合部分において発生する電流のより直接的な測定を提供することが挙げられる。さらにその他の利点としては、より直接的な方法を用いて、特定のエッチング速度に必要な総電力がより少ない状態で、所望の結果(例えば、イオンティルト)を得る、より低コストのエッジ制御RF送出システムが挙げられる。
【0020】
上記様々な実施形態の一般的な理解を踏まえて、様々な図面を参照しながら、以下に本実施形態の例示的な詳細を説明する。1つまたは複数の図における同様に符号付けされた要素および/または構成要素は、概ね同じ構成および/または機能性を有することを意図している。さらに、図は縮尺通りに描かれていない場合があるが、新規な概念を説明し、強調することを意図している。本実施形態は、これらの特定の詳細の一部またはすべてがなくても実施可能であることが明らかであろう。他の例では、本実施形態を不必要に不明瞭にしないために、周知のプロセス動作は、詳細に説明されていない。
【0021】
図1Aおよび
図1B-1から
図1B-5は、本開示の実施形態に従って、エッチングおよび/または膜の堆積を含む動作に利用されるプラズマ処理システムの例示的な実施形態を示す。プラズマ処理システムは、例えばウエハ120のプラズマ処理を行うことによって、ウエハ120を処理するために使用される。特に、
図1Aは、無線周波数(RF)電源を含むプラズマ処理システムを示す。
図1B-1から
図1B-5のプラズマ処理システムは、RF電源と組み合わせても組み合わせなくてもよい少なくとも1つのパルス直流(DC)電源を含むプラズマ処理システムを示す。実施形態では、プラズマ処理システムは、容量結合プラズマ(CCP)処理システムである。
図1Aおよび
図1B-1から
図1B-5のプラズマ処理システムでは、同様の構成要素は、同様の符号で表されている。プラズマ処理システムは、誘導結合プラズマ(ICPs)等、様々な方法によってプラズマを生成するように設計に応じて変更されてもよい。プラズマ処理システムの様々な構成を用いて、一部RF電流の測定に基づいて、ウエハのエッジにおいて所望のイオンティルトを得るように実施される本開示の実施形態は、様々なプラズマ処理システム(例えば、CCPs、ICPs等)およびそれらの構成の各変形例において実施され得る。
【0022】
一般に、
図1Aおよび
図1B-1から
図1B-5のRF電源は、パルス化または非パルス化され得る、正弦波または交流(AC)信号を介して(すなわち、正弦波形の電圧信号を変化させて)電力を供給する。さらに、
図1B-1から
図1B-5のDC電源は一般に、パルスDC信号を介して電力を供給する。簡潔性および明確性の目的で、
図1Aおよび
図1B-1から
図1B-5のプラズマ処理システムは、RFパルス発生器およびDCパルス発生器と共に説明される。
【0023】
特に、
図1Aは、CCP処理システムとして構成され、CCPプラズマ処理チャンバ102を含むエッチング動作に利用されるプラズマ処理システム100Aの例示的な実施形態を示す。電源の構成を除いて、
図1Aのプラズマ処理システムの説明は、
図1B-1から
図1B-5のプラズマ処理システムに概ね適用可能であり、同様の構成要素は、同様の符号で表されている。プラズマ処理チャンバ102は、静電チャック(ESC)118、または磁気チャックなど、基板支持体または台座を含む。実施形態では、ESCは、ESCと給電されたエッジリングとの間に特定の容量結合を得るために、異なる種類の材料を有する複数の円形リングを有してもよい。下部電極122は、静電チャック118内に埋め込まれてもよい。基板120は、処理のために台座上に載置されてもよく、基板120は、1つまたは複数の半導体チップを作るために処理される。上部電極124が、台座に対向している。図示のように、上部電極は、接地に結合されてもよい。他の実施形態では、上部電極124は、
図1B-2から
図1B-5に関連して以下でさらに説明するように、RF電源(例えば、高周波電力等の供給)に結合されてもよい。上部電極124は、リング状に形成され得る延長部123を備えて構成されてもよい。上部電極124と下部電極122との間には、内部にプラズマ130を形成し得る処理容積を形成するギャップがある。
【0024】
また、プラズマプロセスチャンバ102は、ESC118を取り囲む、調節可能なエッジシース(TES)リングなど、エッジリング126を含む。一例として、エッジリング126は、シリコン、ホウ素ドープ単結晶シリコン、シリコンカーバイド、シリコンの合金、またはこれらの組み合わせなど、導電性材料から製造される。エッジリング126は、円環体、リング状体、または皿状体など、環状体を有することに留意されたい。例示として、エッジリング126は、内半径および外半径を有し、内半径はESC118の半径よりも大きい。エッジリング126は、基板120をESC118上に位置決めすること、プラズマを基板120の上方の領域に閉じ込めること、ESC118をプラズマのイオンによる浸食から保護すること、およびプラズマチャンバ102の基礎となる構成要素をプラズマのイオンによる損傷から遮蔽することなど、多くの機能を果たす。さらに、エッジリングは、ウエハのエッジにおける性能を向上するように構成される。例えば、エッジリングに結合される電力量を変化させることにより、エッジ領域におけるプラズマのプラズマ密度、エッジ領域におけるプラズマのシースの均一性、エッジ領域におけるプラズマのエッチング速度の均一性、およびウエハがエッジ領域においてエッチングされるイオンティルトを制御してもよい。
【0025】
図示のように、
図1Aのプラズマ処理チャンバ102は、さらなるプラズマ閉じ込めを提供するために、上部電極124から下部電極を含むESC118まで延びるC-シュラウド150を含んでもよい。C-シュラウドは、ガスおよび副生成物がC-シュラウドから流出できるように複数の開口部を有してもよい。C-シュラウドは、接地されてもよい。他の実施形態では、プラズマ処理チャンバは、エッチング動作中に、プラズマ130を閉じ込めるための閉じ込めリング(図示せず)を含むように別様に構成されてもよい。
【0026】
別の実施形態では、ガス発生源(複数可)114は、プラズマプロセスチャンバ102に接続され、所望のプロセスガス(複数可)をプラズマプロセスチャンバ102内に注入するように構成される。プラズマ形成の例として、ESC118に1つまたは複数のRF信号を供給し、プラズマプロセスチャンバ102内にプロセスガス(複数可)を注入した後、プラズマ130が、上部電極124とESC118との間に形成される。プラズマ130は、ウエハ120の表面をエッチングするために使用され得る。
【0027】
プラズマ処理システム100Aは、主発生器110、主発生器112、およびTES発生器113を含む複数の電源を含む。例えば、主発生器110および/または主発生器112は、主インピーダンス整合ネットワーク106を介して、変更された信号(供給電力)をESC118の下部電極122に供給する。整合ネットワークにより、負荷(例えば、プラズマチャンバおよび任意の接続ケーブル)と発生源(例えば、主HFRF発生器110および主発生器112および任意の接続ケーブル)との間のインピーダンスを整合させることによって、下部電極122に供給される電力を動的に調整できるようになる。例えば、主発生器110は、高周波(HF)RF発生器(HFRF)(以下、主HFRF発生器110と称する)であってもよく、13メガヘルツ(MHz)から120MHzまでの範囲の周波数を含む高周波を生成するように構成されてもよい。例えば、高周波は、13.56MHz、または27MHz、または40MHz、または60MHz、または100MHzのベースライン周波数である。さらに、主発生器112は、低周波(LF)RF発生器(LFRF)(以下、主LFRF発生器112と称する)であってもよく、10キロヘルツ(kHz)から800kHzまでの範囲の周波数を含む周波数を生成するように構成されてもよい。例えば、主LFRF発生器112の動作周波数は、400kHzである。さらに、主HFRF発生器110および/または主LFRF発生器112は、パルス信号または非パルス信号を供給してもよい。一実施形態では、電力信号は、パルスシステムにおいて同期されるため、1つのパルス内で、3つの電力信号(例えば、主HFRF発生器110、主LFRF発生器112、およびTES発生器113からの)すべてが異なるレベルおよび状態でオンになる。
【0028】
さらに、TES発生器113は、TESインピーダンス整合ネットワーク107を介して、エッジリング126に電力信号を供給する。TES電力信号は、TESインピーダンス整合ネットワーク107に結合される電力ピン230を介して、エッジリング126内に埋め込まれた電極231に送出されてもよい。TES整合ネットワークにより、負荷(例えば、プラズマチャンバ102および任意の接続ケーブル)と発生源(例えば、TES発生器113および任意の接続ケーブル)との間のインピーダンスを整合させることによって、エッジリング126に供給される電力を動的に調整できるようになる。例えば、TES発生器113は、低周波RF発生器(以下、TESLFRF発生器113と称する)であってもよく、例えば動作周波数が10kHzから800kHz等であってもよい。例えば、TESLFRF発生器113の動作周波数は、400kHzである。他の実施形態では、TESLFRF発生器113は、対応する整合ネットワークを介して低周波信号を供給する。さらに、TESLFRF発生器113は、パルス信号または非パルス信号を供給してもよい。エッジリングに送出される電力の制御により、ウエハのエッジにおいてイオンティルト(例えば、ウエハに対して実質的に普通角、ウエハに対して垂直角、またはウエハに対して他の角度)の制御がもたらされ、それに応じてウエハのエッジにおいてプラズマシースの制御がもたらされる。
【0029】
いくつかの実施形態では、システムは、プラズマ処理システム100Aの様々な構成要素を制御するために使用されるコントローラ116を含んでもよい。一例では、コントローラ116は、プラズマ発生器(例えば、主HFRF発生器110、主LFRF発生器112、およびTESLFRF発生器113)、プラズマプロセスチャンバ102に結合されるガス発生源(複数可)114、および他の構成要素に接続可能である。コントローラ116は、プロセッサ、メモリ、ソフトウェアロジック、ハードウェアロジック、ならびにプラズマ処理システム100Aと通信し、プラズマ処理システム100Aを監視および制御を行う入力および出力サブシステムを含む。いくつかの実施形態では、コントローラ116は、プラズマ処理システム100Aを動作させるための複数の設定点および様々な動作パラメータ(例えば、電圧、電流、周波数、圧力、流量、電力レベル、温度、タイミングパラメータ、プロセスガス、基板120の機械的移動等)を含む1つまたは複数のレシピを含む。例えば、行われている処理に応じて、コントローラ116は、ガス発生源(複数可)114から送出されるプロセスガスの送出を制御して、基板120の上方のフィーチャのエッチングおよび/あるいは膜の堆積または形成など、設計された処理条件を達成する。次に、選択したガスを、上部電極124とESC118の上方にある基板120との間に画定された空間容積に分配する。
【0030】
図1B-1から
図1B-5は、本開示の実施形態に従って、以下でさらに説明するように、パルスDC信号を供給する少なくとも1つのDC電源を含むプラズマ処理システムを示す。一般的に、一定電圧のDC信号をパルス化して、パルスDC信号を供給してもよい。パルスDC電力は、より少ない電力を使用し、インピーダンス整合ネットワーク(すなわち、高電圧ケーブルおよび/またはスナバ回路等を通して実施されるような)を必要としないなど、RF電力よりも特定の利点を提供し得る。さらに、
図1B-1および
図1B-2のプラズマ処理システムは、ESCの下部電極122に結合される主HFRF発生器110によってプラズマを生成する。上部電極124は、接地に結合される。一方、
図1B-3から
図1B-5のプラズマ処理システムは、上部電極124に結合される対応するHFRF整合ネットワーク165を介して、HFRF発生器160によってプラズマを生成する。
【0031】
例えば、
図1B-1のプラズマ処理システム100B-1は、本開示の一実施形態に従って、主インピーダンス整合ネットワーク106を介してパルスRF信号を供給し、下部電極122に電力を供給する主HFRF発生器110を含む。さらに、DCパルス発生源150Aは、すべてパルス化によって生じるあらゆる高周波高調波(例えば、減衰によって)を低減および/または除去し、信号のあらゆる発振を制御するように構成された、フィルタおよびスナバ回路160Aを介して、下部電極122にパルスDC信号を供給する。一実施形態では、フィルタおよびスナバ回路160Aは主インピーダンス整合ネットワーク106内に位置し、別の実施形態では、フィルタおよびスナバ回路160Aは主インピーダンス整合ネットワーク106を迂回する。いずれの場合も、プラズマを生成するために、主HFRF信号をDCパルス信号と組み合わせて、下部電極122を駆動させ、上部電極124は、接地に結合される。さらに、TESLFRF発生器113は、TESインピーダンス整合ネットワーク107を介して、エッジリング126にパルスRF信号を供給する。
【0032】
また、
図1B-2のプラズマ処理システム100B-2は、本開示の一実施形態に従って、主インピーダンス整合ネットワーク106を介してパルスRF信号を供給し、下部電極122に電力を供給する主HFRF発生器110を含む。さらに、DCパルス発生源150Aは、すべてパルス化によって生じるあらゆる高周波高調波(例えば、減衰によって)を低減および/または除去し、信号のあらゆる発振を制御するように構成された、フィルタおよびスナバ回路160Aを介して、下部電極122にパルスDC信号を供給する。一実施形態では、フィルタおよびスナバ回路160Aは主インピーダンス整合ネットワーク106内に位置し、別の実施形態では、フィルタおよびスナバ回路160Aは主インピーダンス整合ネットワーク106を迂回する。いずれの場合も、プラズマを生成するために、主HFRF信号をDCパルス信号と組み合わせて、下部電極122を駆動させ、上部電極124は、接地に結合される。さらに、DCパルス発生源150Bは、フィルタおよびスナバ回路160Bを介して、TESエッジリング126にパルスDC信号を供給する。フィルタおよびスナバ回路160Bは、フィルタおよびスナバ回路160Aと同様に構成され、あらゆる高周波高調波を低減および/または除去し、パルスDC信号の振動を制御する。
【0033】
さらに、
図1B-3のプラズマ処理システム100B-3は、プラズマを生成するために、HFRFインピーダンス整合ネットワーク165を介してパルスRF信号を供給し、上部電極124に電力を供給するHFRF発生器160を含む。例えば、HFRF発生器160は、13メガヘルツ(MHz)から120MHzまでの範囲の周波数を含む高周波を生成するように構成されてもよく、13.56MHz、または27MHz、または40MHz、または60MHz、または100MHzのベースライン周波数で動作することを含む。整合ネットワーク165により、負荷(例えば、プラズマチャンバおよび任意の接続ケーブル)と発生源(例えば、HFRF発生器160および任意の接続ケーブル)との間のインピーダンスを整合させることにより、上部電極124に供給される電力を動的に調整できるようになる。また、DCパルス発生源150Aは、フィルタおよびスナバ回路160Aを介して、下部電極122にパルスDC信号を供給する。さらに、DCパルス発生源150Bは、フィルタおよびスナバ回路160Bを介して、TESエッジリング126にパルスDC信号を供給する。
【0034】
図1B-4のプラズマ処理システム100B-4は、プラズマを生成するために、HFRFインピーダンス整合ネットワーク165を介してパルスRF信号を供給し、上部電極124に電力を供給するHFRF発生器160を含む。また、DCパルス発生源150Aは、フィルタおよびスナバ回路160Aを介して、下部電極122にパルスDC信号を供給する。さらに、TESLFRF発生器113は、TESインピーダンス整合ネットワーク107を介して、エッジリング126にパルスRF信号を供給する。
【0035】
他の実施形態では、ESCおよびTESエッジリングを駆動させるパルスDC信号を有するプラズマ処理システムでは、パルスDC信号は、単一のDCパルス発生源から生成され得る。その方法では、ESCおよびTESエッジリングを駆動させるパルスDC信号間に時間遅延はない。例えば、
図1B-2および
図1B-3のプラズマ処理システムは、共有のDCパルス発生源を含むように構成されてもよい。例示のみを目的として、
図1B-3のプラズマ処理システムに変更を加えた
図1B-5が示されている。特に、プラズマ処理システム100B-5は、プラズマを生成するために、HFRFインピーダンス整合ネットワーク165を介してパルスRF信号を供給し、上部電極124に電力を供給するHFRF発生器160を含む。また、共有のDCパルス発生源150Cは、複数のパルスDC信号を供給する。例えば、共有のDCパルス発生源150Cは、フィルタおよびスナバ回路160Aを介してパルスDC信号を供給し、ESC118内の下部電極122を駆動させる。また、共有のDCパルス発生源150Cは、フィルタおよびスナバ回路160Bを介して、TESエッジリング126に別のパルスDC信号を供給する。すなわち、共有のDCパルス発生源150Cは、別個のフィルタおよびスナバ回路を通して、別個のパルスDC信号を供給し、エッジリング126およびESC118を駆動させる。別の実施態様では、共有のDCパルス発生源は、
図1B-2のプラズマ処理システム内で実装可能なため、
図1B-2のプラズマ処理システムへの変更には、別個のパルスDC信号を供給し、エッジリングおよびESCを駆動させるための共有のDCパルス発生源が含まれる。その場合、ESCは、対応する主インピーダンス整合ネットワークを介した高周波パルスRF信号、およびESC内の下部電極に電力を供給するためのパルスDC信号の両方によって駆動する。
【0036】
他の実施形態では、対応するプラズマ処理システムに電力を供給するために、各電源がパルス化または非パルス化され得る、HFRF電力、LFRF電力、およびDC電力の他の構成を利用してもよい。例えば、いくつかの実施態様では、対応するLFRFインピーダンス整合ネットワークを介して結合されたLFRF発生器を含み、パルスDC信号を供給する代わりに、パルスLFRF信号を下部電極に供給してもよい。
【0037】
図2Aは、本開示の一実施形態に従って、ESCとエッジリングとの間の接合部分においてRF電流を測定することにより、ウエハのエッジにおいて所望のイオンティルトを得るために利用される制御システム200Aを示す。例示を目的として、制御システム200は、
図1Aおよび
図1B-1から
図1B-5の例示的なプラズマ処理システム内での実施に適応していてもよい。例えば、簡潔性および明確性の目的で、制御システム200Aは、
図1Aに記載されるプラズマ処理システム(すなわち、TESエッジリングおよびESCに結合されたRF電源を含むCCPプラズマ処理システム100A)を含む。しかしながら、
図2Aに示す制御システムは、
図1Aおよび
図1B-1から
図1B-5によって、一部記載のプラズマ処理システムの任意の電力構成で実施可能である(すなわち、パルス化または非パルス化可能なRF電力源およびDC電力源の様々な構成の実装)。
【0038】
基板がエッチングされるプロファイル角度またはイオンティルトとエッチング速度との間のトレードオフにより、基板120のエッジにおいてプロセス仕様を満たすことが困難である。イオンティルトおよび/またはエッチング速度は、ウエハプラズマシース(すなわち、ESC118および基板120の上方のプラズマ)とエッジリングプラズマシース(基板120のエッジを超える、エッジリング126の上方のプラズマ)との相互作用の影響を受ける場合がある。例えば、ウエハプラズマシースとエッジリングプラズマシースとの間の厚さの制御、または特にESC118とエッジリング126との間の接合部分におけるプラズマ密度の制御が有益である場合がある。本開示の実施形態では、制御は、接合部分におけるウエハプラズマシースおよびエッジリングプラズマシースの寄与から所望のイオンティルトを生成することによって、一部達成されてもよく、所望のイオンティルトは、接合部分におけるRF電流および/またはパルスDC電流の測定によって一部達成される。
【0039】
制御システム200Aは、調節可能なエッジリングプラズマシースまたはTESプラズマシースを制御するための制御方式を実施する。図示のように、RF電力は、複数の発生器によって、基板120(例えば、ESC118を介して)および容量結合エッジリング126に独立して印加される。特に、ウエハおよび基板のエッジの上方のプラズマシースは、別個のRF発生器によって駆動されるが、任意の種類の電力(例えば、RF、DC、AC、パルス化、非パルス化等)を供給するように構成され得る。例えば、主HFRF発生器110および主LFRF発生器112はマスターRF発生器として構成され、TES発生器113はスレーブRF発生器として構成されてもよい。前述の通り、他の構成では、発生器は、パルスDC信号を供給するDCパルス発生器として構成されてもよい。一般的に、プラズマシース電圧の大きさおよびウエハプラズマシースとエッジリングプラズマシースとの間の位相角は、電圧ピックアップ(例えば、電圧センサ等)によって監視可能である。各プラズマシースの大きさは、以下に説明するように、ウエハエッジにおいてプロセス結果(例えば、1つまたは複数の要因等)を達成するように調整可能である。
【0040】
一実施形態では、マスターおよびスレーブ発生器は、同じRF周波数で動作している。例えば、RF電圧およびRF電力信号の位相は、測定センサおよび/または回路210および215によって、主インピーダンス整合ネットワーク106およびTESインピーダンス整合ネットワーク107の出力において測定される。いくつかの実施形態では、測定センサおよび/または回路は、整合ネットワーク内に組み込まれるため、測定センサおよび/または回路210はインピーダンス整合ネットワーク106内に含まれ、測定センサおよび/または回路215はインピーダンス整合ネットワーク107内に含まれる。プラズマ処理システムが、電力をTES126および/またはESC118に送出するDCパルス信号を含む構成では、対応する測定センサおよび/または回路は、例えば、同じ電源を制御するための電源(例えば、DCパルス発生源内に位置する電圧センサ)内に含まれてもよい。測定値は、コントローラ116、またはコントローラとして構成された発電機(例えば、スレーブTES発生器113)に送出されてもよい。測定後、LFRF発生器の周波数は、同じ値で動作するように調整され、固定されてもよい。例えば、TESLFRF発電機および/または主LFRF発電機(例えば、RF電力をESCに供給する)が固定されてもよく、LFRFTES発電機および主DCパルス発生源(例えば、DC電力をESCに供給する)が固定されてもよい。特に、測定センサ210は、主インピーダンス整合ネットワーク106に結合され、主LFRF発生器112によって供給される変更されたRF信号を測定するように構成される。例えば、測定センサ210は、主インピーダンス整合ネットワーク106の出力において、ESC118に供給された、変更されたRF信号(主LFRF発生器112および主HFRF発生器110から複合された電力)から、主LFRF発生器112の寄与の電圧および/または位相を測定するように構成されてもよい。対応するプラズマ処理システムの他の電力構成では、測定センサは、DCパルス電源の電圧および/または位相を測定するように構成される。さらに、測定センサ215は、TESインピーダンス整合ネットワーク107に結合され、TES発生器113によって供給されたTES信号を測定するように構成される。例えば、測定センサ215は、TESインピーダンス整合ネットワーク107の出力において、エッジリング126に供給された、TES信号の電圧および/または位相を測定するように構成されてもよく、TES信号は、RF信号(パルスまたは非パルス正弦波信号)またはパルスDC信号であってもよい。
【0041】
特に、制御システム200Aの制御方式は、ESCとエッジリングとの接合部分を横断、経由、かつ/あるいは通過するRF電流および/またはパルスDC電流220の測定を通じて、ウエハのエッジにおいて所望のイオンティルトを制御および/または得ることによって、かつRF発生器(例えば、主HFRF発生器110、主LFRF発生器112、TESLFRF発生器113、およびDCパルス発生器の様々な構成)間の電力または位相関係を調整することによって、エッジリングプラズマシースのパラメータを制御する。図示のように、センサ240は、エッジリング126内にあり、電力ピン230に隣接するか、または電力ピン230を囲むような、ESC118とエッジリング126との間の接合部分を横断する電流220(例えば、RF電流および/またはパルスDC電流)を測定するのに適した場所に載置される。センサ240からの測定値は、測定回路250へ送出され、測定回路250は、電流信号220の大きさおよび/または位相など、RF電流および/またはパルスDC電流220の1つまたは複数の測定値を出力する。電流信号220の1つまたは複数の測定値は、コントローラ116に送出される。
【0042】
一実施形態では、電流信号220の1つまたは複数の測定値は、フィルタ260によってフィルタリングされる。例えば、フィルタ260は、主HFRF発生器110によって寄与された電流信号および/または測定値の成分を除去するように構成されてもよく、これにより、電流信号220の測定値は、主LFRF発生器112、TESLFRF発生器113、および/または任意のDCパルス発生源によって寄与された電流信号および/または測定値の低周波成分のみを含むことになる。例示を目的として、フィルタ260は、高周波電源からの寄与を除去するバンドパスフィルタとして構成されてもよい。
【0043】
電流信号220の測定値(例えば、RF電流および/またはパルスDC電流の位相および/または振幅)に基づいて、スレーブ出力値は、ウエハエッジにおける所望のプロセス結果に対応する特定の値に設定される。すなわち、TESLFRF発生器113(または対応するDCパルス発生源)からのTES信号の電圧および/または位相(例えば、位相の発射点)を調整して、所望の結果を得る。このように、TES信号を意図的に調整および/または制御することにより、ウエハエッジにおいてエッジプラズマシースが調整され、ウエハエッジにおける所定の性能、例えば、ウエハエッジにおける正常な(すなわち、ウエハに対して垂直な0度の傾斜)エッジまたはイオンティルト、ウエハエッジにおける所定のエッジまたはイオンティルト等が得られる。
【0044】
図2Bは、本開示の一実施形態に従って、ESCとエッジリングとの間の接合部分において電流(例えば、RF電流および/またはパルスDC電流)を測定するように構成された例示的なセンサ240Aを示す。特に、センサ240Aは、プラズマ処理システムのESC118とエッジリング126との間の接合部分を横断する電流を測定するように構成される
図2Aのセンサ240の実施形態の1つであり、例示のみを目的として示されている。すなわち、他のセンサも、接合部分を横断する電流を測定するのによく適している(すなわち、ロゴスキーコイル、ホール効果センサ等)。
【0045】
図示の通り、例示のみを目的として、センサ240Aは、変圧器として構成される。センサ240Aは、ESC118とエッジリング126との間の接合部分を横断する電流220を反映する電流信号を生成するように設計される。特に、接合部分を横断する生成された電流220は、電力ピン230内にも流れる。変圧器として構成されたセンサ240Aは、電力ピン230内を流れる電流を測定するように構成される。例えば、変圧器は、電力ピン230内を流れる電流を反映し、それに応じて電流220を反映する電流を生成する。例示のみを目的として、変圧器によって生成された電流は、電力ピン内を流れる電流に比例し、これは接合部分を横断して流れる電流220に対応する。変圧器によって生成された電流の割合は、設計によって選択可能である(例えば、割合は、変圧器のコイルの数に基づいて一部決定される)。このようにして、接合部分を横断して流れる電流220は、変圧器によって生成された電流に基づいて決定され得る。
【0046】
図3は、本開示の一実施形態に従って、ESCとエッジリングとの間の接合部分において低周波電流(例えば、RF電流および/またはパルスDC電流)を測定することにより、ウエハのエッジにおいて所望のイオンティルトを得る方法を示すフロー
図300である。フロー
図300の方法は、
図1Aおよび
図1B-1から
図1B-5のプラズマ処理システム、ならびに他のプラズマ処理システム内でプロセスを制御するために実施されてもよい。例えば、フロー
図300の方法は、フロー
図300の動作を行うために、
図1Aおよび
図1B-1から
図1B-5の制御モジュール116によってアクセス可能なメモリにコンピュータ読み取り可能な形態で記憶されてもよい。フロー図はプラズマ処理システムの様々な構成に一般的に適用され得るが、例示を目的として、
図1Aに示すプラズマ処理システムなど、パルスRF発生器を含むプラズマ処理システムを参照して特定の動作を説明してもよい。
【0047】
310において、方法は、プラズマチャンバ内のESCに第1の電力信号を供給することを含む。一般的に、第1の電力信号は、少なくとも低周波電力信号をESCに供給する。対応するプラズマ処理システムの構成に応じて、第1の電力信号は、パルス化または非パルス化されるRF信号、あるいはパルスDC信号であってもよい。第1の電力信号がプラズマを生成している場合、第1の電力信号には、高周波および低周波成分を有してもよい。例えば、パルスRF電力発生器を含むプラズマ処理システムでは、第1の電力信号は、第1のインピーダンス整合回路を介して静電チャック(ESC)に供給される。特に、第1の電力信号は、第1のRF信号および第2のRF信号から生成されたRF信号である。第1のRF信号は、第1の高周波RF発生器から供給され、インピーダンス整合回路に供給される。第2のRF信号は、低周波RF発生器から供給され、インピーダンス整合回路に供給される。第1のRF信号および第2のRF信号は、第1のインピーダンス整合回路が第1の電力信号を出力し、第1の電力信号がESCに送出されるように組み合わされる。
【0048】
320において、方法は、プラズマチャンバ内のエッジリングに第2の電力信号を供給することを含む。一般的に、第2の電力信号は、エッジリングに低周波電力信号を供給する。対応するプラズマ処理システムの構成に応じて、第2の電力信号は、パルス化または非パルス化されるRF信号、あるいはパルスDC信号であってもよい。例えば、パルスRF電力発生器を含むプラズマ処理システムでは、第2の電力信号は、第2のインピーダンス整合回路を介してプラズマチャンバ内のエッジリングに供給される。一実施形態では、第2の電力信号は、第1の低周波RF発生器から生成される第3のRF信号であり、第3のRF信号はエッジリングに送出される第2の電力信号を出力する第2のインピーダンス整合回路に供給される。一実施形態では、第1の電力信号および第2の電力信号は、周波数が固定される。例えば、パルスRF電力発生器を含むプラズマ処理システムにおいて、様々なRF電力発生器からのすべての電力信号は、周波数が固定される。ある特定の実施形態では、パルスRF電力発生器を含むプラズマ処理システムにおいて、少なくとも低周波電力発生器は、周波数が固定される。すなわち、第2のRF信号(例えば、ESCへの低周波RF)および第3のRF信号(エッジリングへの低周波RF)の周波数が固定されるように、第1の電力信号および第2の電力信号の少なくとも低周波成分は、周波数が固定される。
【0049】
他の実施形態では、パルスDC信号が、前述のように、ESCおよびエッジリングの少なくとも一方に送出される。例えば、プラズマ処理システムの一構成では、ESC内の電極への電力送出は任意選択で高周波RF信号と組み合わされた高電圧でのパルスDC信号であり、エッジリングへの電力信号は低周波パルスRF信号である。別の構成では、ESC内の電極への電力送出は任意選択で高周波パルスRF信号と組み合わされた高電圧でのパルスDC信号であり、エッジリングへの電力信号はパルスDC信号である。別の構成では、ESC内の電極への電力送出は高電圧でのパルスDCであり、エッジリングへの電力信号もパルスDC信号であり、両方が同じ周波数でパルス化される。さらに別の構成では、ESC内の電極への電力送出は高電圧でのパルスDC信号であり、エッジリングへの電力信号はパルスRF信号である。パルス高電圧DC発生源(例えば、主電力の成分)は、基板の負の自己バイアス作用により、基板に正イオンを駆動させるのに十分な電圧をESCにおいて生成する。さらに他の実施形態では、主電力送出およびエッジリングへの電力信号は、パルス化または非パルス化され得る、RF電力信号である。さらに他の実施形態では、主電力送出およびエッジリングへの電力信号は、パルス化および非パルス化された、RF電力信号とDC電力信号との組み合わせである。
【0050】
330において、方法は、ESCとエッジリングとの間の接合部分において発生する低周波電流信号の振幅を測定することを含む。一実施形態では、電流信号は、ESCの主電極とエッジリング内の電極への電力送出システムが同じ周波数で動作するRF信号である場合など、接合部分を横断するRF電流信号である。他の実施形態では、電流信号は、接合部分を横断するRF電流信号および/またはパルスDC電流信号である。本実施形態における低周波電流の測定により、接合部分において発生する電流がより直接的に測定され、ESCおよびエッジリングに電力を供給する電源の駆動インピーダンスに依存しない。これは、同じ周波数で動作する別個の発生器によって送出される電力信号間の所定の位相関係であって、所望の結果(例えば、所望のイオンティルト)を与える所定の位相関係を設定するために、ESCとエッジリングとの間の接合部分から離れた(すなわち、下流の)電圧センサに依存していた従来のシステムよりも有用である。従来のシステムでは、電圧測定は、整合ネットワークの発生源インピーダンス、エッジリングに給電するRFケーブルの長さ、RFケーブルの終端のフィルタに基づいて異なる位相情報を与えるという不正確さがあった。
【0051】
一実施形態では、測定される低周波電流信号は、RF電流信号から、第1のRF信号(例えば、HFRF発生器によって生成された)によって生成された高周波成分の寄与を除去するためにフィルタリングされる。これは、第2の低周波RF信号(例えば、低周波RF発生器からの低周波RF信号)の寄与に焦点を当てるためである。例えば、第2のRF信号が400kHzである場合、測定される電流信号は、接合部分において400kHzの電流量を得るようにフィルタリングされる。
【0052】
340において、方法は、測定される低周波電流信号の最小振幅を得るために、第1の電力信号および第2のRF信号の1つまたは複数のパラメータを調整することを含む。特に、理論または作用のメカニズムに縛られることを望むものではないが、接合部分を通過する電流信号の量は、イオンティルト制御と相関関係を有すると考えられる。そのため、接合部分における電力および/または電圧を平衡させる目的で、ESCとエッジリングとの間の接合部分において電流(例えば、RF電流および/またはパルスDC電流)が測定される。より具体的には、ESCに送出された第1の電力信号または主電力信号、およびエッジリングに送出された第2の電力信号によって提供される電圧信号間の位相が、所与のエッジリングの電圧設定値に対して公称値(例えば、同じ位相において)である場合、ESCとエッジリングとの間のRF電流は最小値となり、その結果、電源によって供給された電力および/または電圧は接合部分において平衡する。例示を目的として、電力および/または電圧が接合部分において平衡している場合、所与のパルス中に、エッジリング126に沿ったプラズマシースがウエハシースに沿ったプラズマシースと同一平面になり、その結果、イオン入射が基板に対して実質的に垂直(すなわち、基板に対して0度または垂直)になる。その結果、基板の極端におけるイオン角度の広がり(例えば、イオンティルト角)が、低減または排除される。
【0053】
350において、方法は、低周波電流信号の位相と基準信号の位相との間の位相関係を決定して、ESCとエッジリングとの間の接合部分においてイオンティルトの方向を決定することを含む。例えば、接合部分において、低周波電流信号の振幅および位相を測定する。さらに、基準信号の位相を測定する場合もある。一実施形態では、基準信号は、主低周波RF電力信号である。特に、低周波電流信号の位相が基準信号の位相よりも遅れている場合、これは、ESCとエッジリングとの接合部分におけるイオンティルトの方向が基板の中心に向いているか、または基板の中心から離れることを示してもよい。逆に、低周波電流信号の位相が基準信号の位相よりも進んでいる場合、これは、逆の効果を示してもよく、低周波電流信号の位相が基準信号の位相よりも遅れている場合に、イオンティルトの方向が基板の中心に向いているとき、低周波電流信号の位相が基準信号の位相よりも進んでいる場合は、イオンティルトの方向は逆、すなわちイオンティルトの方向が基板の中心から離れている。
【0054】
360において、方法は、低周波電流信号の位相関係および振幅に基づいて、第2の電力信号(例えば、TES信号)の少なくとも1つのパラメータを調整して、ESCとエッジリングとの間の接合部分においてイオンティルトの所定の角度を得ることを含む。特に、前述のように、位相関係は、計測法に基づいて(すなわち、基板の中心に向いているか、または基板の中心から離れているか)イオンティルトの方向を与えてもよく、低周波電流信号の大きさは、方向の大きさまたは垂直(すなわち、0度)からの角度を与えてもよい。例えば、適切な場所にて電圧信号を測定して、ESCおよび所望の結果(例えば、所望のイオンティルト角等)を生み出すESCと給電されたエッジリングとの間の接合部分を横断する到達信号の振幅、位相関係、および/または時間遅延を決定する計測法を確立してもよい。一般的に、相対的な電力または電圧、位相関係、および/またはESCとエッジリングとに供給される電力信号間の時間遅延を調整することにより、ESCとエッジリングとの間の接合部分を横断する電界のベクトル方向を制御できることが理解される。計測法は、接合部分において測定されたTES信号と低周波電流信号との間の相対的な電力または電圧、位相関係、および/または時間遅延を調整して、接合部分を横断する電界のベクトル方向を同じく制御できることを含むことの理解をさらに広げる。例えば、電力または電圧、位相関係、ならびに/あるいは電力および/または電流信号の時間遅延は、エッジリングに供給されるTES信号の1つまたは複数のパラメータを変更することによって調整され得る。この電力または電圧、位相、ならびに/あるいは電力および/または低周波電流信号の時間遅延を調整することにより、基板のエッジに向かうESC内の電極からより多くの電力が引き出されるか、または接合部分においてより多くの電力がESCに向かって押し出される。
【0055】
特に、一実施形態では、位相関係は、ESCに供給された低周波RF信号と低周波RF電流信号との間で決定される。この位相関係は、TES信号の1つまたは複数のパラメータを調整することによって制御されてもよい。このようにして、信号が確実に同じ振幅で接合部分に到達するようにし、接合部分において位相差がないか、またはある程度の位相差を有するようにして、接合部分において互いに打ち消し合い、最小の低周波電流(例えば、RF電流)を生成するように位相関係を調整してもよい。例えば、接合部分においてほぼネットゼロ(0)の電流を生成するために、場合によっては、接合部分における位相差の程度がほぼゼロ(0)度(信号が接合部分において同じ振幅で到達し、接合部分を通してゼロ(0)のネットワーク電流を生成する)であってもよく、他の場合では、位相差の程度がほぼ+/-180度であってもよく、他の場合では、位相差の程度が0から+/-180度の間の値であってもよい。別の実施形態では、パルスDC信号のESCへの時間遅延および/またはパルスDC信号のTESエッジリングへの時間遅延が考慮される。すなわち、対応するパルスDC発生器とESCまたはTESエッジリングとの間のケーブルの長さが、対応するパルスDC信号の時間遅延を発生させる。TESエッジリングへのパルスDC信号の時間遅延とESCへのパルスDC信号の時間遅延との間の関係を決定し、信号が確実に接合部分に同じ振幅で到達するが、位相がほぼ+/-180度ずれているように調整して、接合部分において互いに打ち消し合い、最小の低周波電流(例えば、約400KHz)を生成するように調整してもよい。
【0056】
例えば、
図4は、本開示の一実施形態に従って、接合部分450を横断する有効局所電界が、ウエハプラズマシースの電界430およびエッジリングプラズマシースの電界435の影響を受けることを示す。電源によってESCおよび/または基板の組み合わせ410に供給される電力がエッジリング126に対するTES電源と平衡している場合、電界は、打ち消され(すなわち、有効電界はゼロ(0)となり)、その結果、イオンティルト420は、0度となる。イオンティルトは、エッジリングに電力を供給するTES信号の1つまたは複数のパラメータを変更することなど、電力または電圧、位相関係、ならびに/あるいは電力および/または電流信号の時間遅延を調整することによって、調整できる。一実施形態では、計測法によって確立された、所望の結果(例えば、所望のイオンティルト)を得るために、TES信号の発射点が調整される。別の実施形態では、計測法によって確立された、0度から離れた角度である(例えば、点線460上の様々な角度によって示す)所望のイオンティルトなど、所望の結果を得るために、TES信号の電圧が調整される。例えば、単に例示として、TES信号の電圧を増大させて、エッジリングからESC(例えば、エッジリングプラズマシースの電界)に多くの電力を押し出し、それによって基板の中心に向けられたイオンティルト(例えば、ティルト423)を達成してもよい。それに応じて、TES信号の電圧は、エッジリングに向かって電力を引き込むように減少させ、それによって基板の中心から離れる方向に向けられたイオンティルト(例えば、ティルト425)を達成してもよい。
【0057】
一実施形態では、ESCに電力を供給するパルス高電圧DC発生源を適用する場合、いくつかの注意が必要となる場合がある。例えば、DCパルスは、プロセスチャンバのハードウェアが電源に提示する総容量を駆動させる高い突入電流を供給する。場合によっては、DCパルスは、特定の特性インピーダンスを有する伝送線のように作用するチャンバハードウェアおよび下部電極供給システムの自然共振によって決定される電源の出力において、リンギングを発生させる。適切なスナバ回路を使用することにより、リンギング効果を低減し、より滑らかであるが高速な立ち上がり時間および立ち下がり時間を提供できる。例えば、スナバネットワークは、電圧過渡現象(例えば、電圧スパイクなど)を制限してもよい。スナバ回路および/またはパルスシェーピングネットワークは、抵抗器、インダクタ、キャパシタ、クランピングダイオードまたはクローバーダイオード、および他の回路素子の1つまたは複数から構成されてもよい。
【0058】
実施形態において、基板位置決めプログラムは、基板を台座またはチャック上に載せ、基板とガス入口および/またはターゲットなどのチャンバの他の部品との間の間隔を制御するために使用されるチャンバ構成要素を制御するプログラムコードを含んでもよい。基板位置決めプログラムは、
図1Aおよび
図1B-1から
図1B-5の制御システム116またはコントローラによって実施されてもよい。いくつかの実施態様では、コントローラは、システムの一部であり、上述の例の一部であってもよい。このようなシステムは、1つまたは複数の処理ツール、1つまたは複数のチャンバ、1つまたは複数の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理構成要素(基板の台座、ガス流システム等)を含む、半導体処理装置を備え得る。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後にそれらの動作を制御するための電子機器と統合されてもよい。コントローラは、処理要件および/またはシステムの種類に応じて、本明細書に開示のいずれかのプロセスおよびプラズマチャンバを動作させるために実装されたプロセスを制御するようにプログラムされてもよい。プログラム命令は、半導体基板上または半導体基板用、あるいはシステムに特定のプロセスを実行するための動作パラメータを定義する、様々な個別の設定(またはプログラムファイル)の形態でコントローラに伝達される命令であってもよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/またはウエハのダイの製作中に1つまたは複数の処理ステップを達成するためにプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってもよい。
【0059】
コントローラは、いくつかの実施態様では、システムに統合されているか、システムに結合されているか、そうでなければシステムにネットワーク接続されているか、またはそれらの組み合わせであるコンピュータの一部であるか、あるいはコンピュータに結合されていてもよい。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあるか、またはファブホストコンピュータシステムの全体もしくは一部であってもよく、それによって基板処理のための遠隔アクセスが可能になる。コンピュータは、システムへの遠隔アクセスを可能にすることによって、製作動作の現在の進行を監視し、過去の製作動作の履歴を検証し、複数の製作動作からトレンドまたはパフォーマンスメトリクスを検証して、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理ステップを設定し、あるいは新しいプロセスを開始してもよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)が、ローカルネットワークまたはインターネットを含み得る、ネットワークを通じてシステムにプロセスレシピを提供し得る。
【0060】
例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理気相堆積(PVD)チャンバまたはモジュール、化学気相堆積(CVD)チャンバまたはモジュール、プラズマ励起化学気相堆積(PECVD)チャンバまたはモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、追跡チャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウエハの製作および/または製造に関連するか、または使用可能な任意の他の半導体処理システムを含み得るが、これらに限定されない。
【0061】
上述の実施形態の記載は、例示および説明を目的として提供されている。排他的であったり、本開示を限定したりする意図はない。特定の実施形態の個々の要素または特徴は一般に、その特定の実施形態に限定されるものではなく、適用可能な場合には、特に図示または記載されていなくても、選択された実施形態において交換可能であり、使用可能である。同様に、多くの方法で変更してもよい。このような変形例は、本開示からの逸脱とは見なされず、このようなすべての変更は、本開示の範囲内に含まれることを意図している。
【0062】
前述の実施形態は、理解を明確にするためにいくらか詳細に説明されているが、添付の特許請求の範囲の範囲内で特定の変更および修正を実施できることは明らかであろう。したがって、本実施形態は、限定的なものではなく、例示と見なされるべきであり、本実施形態は、本明細書に与えられた詳細に限定されるべきではなく、特許請求の範囲の範囲内および等価物内で変更されてもよい。
【国際調査報告】