(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-07-01
(54)【発明の名称】ラジカル測定用センサ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20250624BHJP
G01N 5/02 20060101ALI20250624BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
G01N5/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024566783
(86)(22)【出願日】2023-05-17
(85)【翻訳文提出日】2025-01-06
(86)【国際出願番号】 US2023022579
(87)【国際公開番号】W WO2023225114
(87)【国際公開日】2023-11-23
(32)【優先日】2022-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2023-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】モアレム, メヘラン
(72)【発明者】
【氏名】バルーチ, メヘディ
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA16
5F004BA03
5F004BB13
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB29
5F004BD04
5F004CA02
5F004CB03
5F004DA00
5F004DA01
5F004DA02
5F004DA04
5F004DA13
5F004DA16
5F004DA17
5F004DA18
5F004DA22
5F004DA23
5F004DA25
5F004DA26
(57)【要約】
センサ装置は、水晶振動子マイクロバランス(QCM)と、QCMの表面の少なくとも一部上のコーティングとを備え、コーティングはターゲットガスのラジカルと選択的に反応し、ターゲットガスの安定分子とは反応しない。QCMは、ターゲットガスのラジカルとコーティングとの反応に応答してQCMの共振周波数が変化するように構成され、QCMの共振周波数の変化は、コーティングと反応したターゲットガスのラジカルの量と相関する。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ装置であって、
水晶振動子マイクロバランス(QCM)と、
前記QCMの表面の少なくとも一部上のコーティングであって、ターゲットガスのラジカルと選択的に反応するが、前記ターゲットガスの安定分子とは反応しない、コーティングと
を備え、
前記QCMは、前記ターゲットガスのラジカルと前記コーティングとの反応に応答して前記QCMの共振周波数が変化するように構成され、前記QCMの共振周波数の変化は、前記コーティングと反応した前記ターゲットガスのラジカルの量と相関する、センサ装置。
【請求項2】
前記コーティングは、前記ターゲットガスのラジカルと反応してガス状の副生成物を形成し、前記コーティングの厚さを減少させる材料を含む、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記ターゲットガスは水素を含み、前記材料は炭素及び水素のポリマーを含む、請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記材料はポリメチルメタクリレート(PMMA)を含む、請求項3に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記ターゲットガスはフッ素を含み、前記材料は二酸化ケイ素(SiO
2)、タングステン、又はタングステンの酸化物を含む、請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記材料は酸化タングステン(III)(W
2O
3)を含む、請求項5に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記ターゲットガスは窒素を含み、前記材料はフッ化ポリマーを含む、請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記コーティングは、前記ターゲットガスのラジカルと反応して固体副生成物を形成し、前記コーティングの厚さを増加させる材料を含む、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項9】
前記コーティングは、前記ターゲットガスのラジカルを吸収して前記コーティングの質量を増加させる材料を含む、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項10】
センサ装置への第2のガスの適用に応答して、前記ターゲットガスのラジカルが前記材料から脱離する、請求項9に記載のセンサ装置。
【請求項11】
前記ターゲットガスは、複数のガスを含むガス流の構成成分であり、前記コーティングは、前記複数のガスのうち、前記ターゲットガスのラジカル以外のいかなるガスのラジカルとも反応しない、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項12】
前記コーティングは1から100ミクロンの厚さを有する、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項13】
前記コーティングを含む前記QCMの表面は、前記QCMの前面電極に対応する、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項14】
前記コーティングの上の荷電グリッド
を更に備え、前記荷電グリッドが前記ターゲットガスのイオンをはじくため、前記ターゲットガスの中性ラジカルのみが前記コーティングに到達する、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項15】
製造システムであって、
プラズマを生成するプラズマ源と、
1又は複数の送達ラインを介して前記プラズマ源に接続されたプロセスチャンバと、
前記プラズマ源、前記プロセスチャンバ、又は前記1又は複数の送達ラインのうちの少なくとも1つに接続されたセンサ装置であって、ターゲットガスのラジカルの量を測定するために、前記ターゲットガスのラジカルと選択的に反応し、前記ターゲットガスの安定分子とは反応しないコーティングを含む水晶振動子マイクロバランス(QCM)を含む、センサ装置と
を備える、製造システム。
【請求項16】
前記QCMは、前記ターゲットガスのラジカルと前記コーティングとの反応に応答して前記QCMの共振周波数が変化するように構成され、前記QCMの共振周波数の変化は、前記コーティングと反応した前記ターゲットガスのラジカルの量と相関する、請求項15に記載の製造システム。
【請求項17】
前記センサ装置及び前記プラズマ源に接続されたコントローラであって、前記センサ装置によって検出された前記ターゲットガスのラジカルの量に応答して、前記プラズマ源の1又は複数のパラメータを調整する、コントローラ
を更に備える、請求項15に記載の製造システム。
【請求項18】
前記コントローラは、前記ターゲットガスのラジカルの量がターゲット閾値未満であるとの決定に応答してプラズマ出力を増加させる、請求項17に記載の製造システム。
【請求項19】
方法であって、
1又は複数のガスを含むガス流を受け入れることであって、前記1又は複数のガスは、ターゲットガスの第1の複数の安定分子と、前記ターゲットガスの第2の複数のラジカルとを含む、1又は複数のガスを含むガス流を受け入れることと、
前記ターゲットガスの第2の複数のラジカルとは反応するが前記ターゲットガスの第1の複数の安定分子とは反応しない少なくとも1つの表面上のコーティングを含む水晶振動子マイクロバランス(QCM)を使用して、前記ターゲットガスの第1の複数の安定分子を測定せずに、前記ターゲットガスの第2の複数のラジカルを測定することと
を含む方法。
【請求項20】
前記1又は複数のガスは、遠隔プラズマ源によって出力されるプラズマを含み、
前記ターゲットガスの第2の複数のラジカルの測定に応答して、前記ターゲットガスのラジカルの濃度を調整するために、前記遠隔プラズマ源の1又は複数のパラメータを調整すること
を更に含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本明細書はガス測定に関し、特にガス流中のラジカル及び/又はイオンの測定に関する。
【背景技術】
【0002】
[002]半導体、光電池、ディスプレイ等を形成するプロセス等の多くのプロセスでは、層の堆積、層のエッチング、基板の洗浄等に1又は複数のガスが使用される。一部のプロセスでは、堆積、エッチング、洗浄等の最中にプラズマが形成され、使用される。従来は、質量流量コントローラ等の流量センサを使用して、流されるガスの量を検出していた。しかし、現在のセンサは、ガス中のラジカルの量だけ、あるいはガス中のイオンの量だけ等のガスの特定の亜種を測定することができない。
【0003】
[003]半導体処理では、ラジカル種がチャンバ内の様々な処理工程に使用されることが多い。例えば、原子フッ素等のラジカル種が、エッチング及びチャンバ洗浄プロセスで使用され得る。ラジカル種は、さまざまなプロセスによって形成することができる。ラジカル種を生成する1つのプロセスは、プラズマを使用することである。例えば、フッ素含有ガスをチャンバ内に流し、プラズマによって化合物をフッ素元素に分解する。ラジカル種は化学反応性が高い。
【0004】
[004]ラジカル種のプロセス制御は難しい。特に、処理チャンバ内のラジカル種濃度を効果的に測定することは、現在のところ不可能である。これは、ラジカル種の反応性が高いことが一因である。ラジカル種は、何らかの表面及び他の化合物にラジカル種が接触すればいつでも反応する。表面がラジカル種と反応しない場合でも、ラジカルが互いに再結合する場として機能し、ラジカル種が他の無用な化合物に変換される可能性がある。このように、既存の質量分光測定ツールでは、ラジカル種の濃度を測定することはできない。既存の半導体製造ツールでは、ラジカル種濃度を定量的に測定する能力がないと、閉ループ制御等の効果的なプロセス制御は不可能である。
【発明の概要】
【0005】
[005]以下は、本開示の幾つかの態様の基本的な理解を提供するための、本開示の簡略化された要約である。この要約は、本開示の広範な大要ではない。それは、本開示の基本的な又は重要な要素を特定することも、本開示の特定の実装態様のいかなる範囲も又は特許請求の範囲のいかなる範囲も描写することを意図していない。その唯一の目的は、後に提示されるより詳細な説明の前置きとして、本開示の幾つかの概念を簡略化した形で提示することである。
【0006】
[006]本開示の一態様では、センサ装置は、水晶振動子マイクロバランス(QCM)と、QCMの表面の少なくとも一部上のコーティングとを備え、コーティングはターゲットガスのラジカルと選択的に反応し、ターゲットガスの安定分子とは反応しない。QCMは、ターゲットガスのラジカルとコーティングとの反応に応答してQCMの共振周波数が変化するように構成され、QCMの共振周波数の変化は、コーティングと反応したターゲットガスのラジカルの量と相関する。
【0007】
[007]本開示の一態様では、製造システムは、プラズマを生成するプラズマ源と、1又は複数の送達ラインを介してプラズマ源に接続されたプロセスチャンバと、プラズマ源、プロセスチャンバ、又は1又は複数の送達ラインのうちの少なくとも1つに接続されたセンサ装置とを備える。センサ装置は、ターゲットガスのラジカルの量を測定するために、ターゲットガスのラジカルと選択的に反応し、ターゲットガスの安定分子とは反応しないコーティングを含む水晶振動子マイクロバランス(QCM)を含む。
【0008】
[008]本開示の一態様では、方法は、1又は複数のガスを含むガス流を受け入れることを含み、1又は複数のガスは、ターゲットガスの第1の複数の安定分子と、ターゲットガスの第2の複数のラジカルとを含む。本方法は更に、ターゲットガスの第2の複数のラジカルとは反応するがターゲットガスの第1の複数の安定分子とは反応しない少なくとも1つの表面上のコーティングを含む水晶振動子マイクロバランス(QCM)を使用して、ターゲットガスの第1の複数の安定分子を測定せずに、ターゲットガスの第2の複数のラジカルを測定することを含む。
【0009】
[009]本開示は、添付図面の図に例示として示すものであり、限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】幾つかの実施形態に係る、ラジカルセンサを含む基板処理システムの断面側面図である。
【
図2A】幾つかの実施形態に係る、ラジカルセンサの断面側面図である。
【
図2B】幾つかの実施形態に係る、
図2Aのラジカルセンサの背面図である。
【
図2C】幾つかの実施形態に係る、
図2Aのラジカルセンサの正面図である。
【
図2D】幾つかの実施形態に係る、荷電格子又はグリッドを追加した
図2Aのラジカルセンサの断面側面図である。
【
図2E】幾つかの実施形態に係る、圧電共振器の等価回路を示す図である。
【
図2F】幾つかの実施形態に係る、センサホルダ内に含まれるラジカルセンサの一例の分解図である。
【
図2G】幾つかの実施形態に係る、ラジカルセンサ用のセンサホルダの例を示す図である。
【
図2H】幾つかの実施形態に係る、ラジカルセンサ用のセンサホルダの例を示す図である。
【
図3】ラジカルセンサの製造方法の一実施形態を示すフロー図である。
【
図4】ラジカルセンサを用いたプラズマ源の制御方法の一実施形態のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0021]本開示の実施形態は、特定のガスのラジカル及び/又はイオン等の分子及び/又は原子の特定の種を検出することができる新しいタイプのセンサに関する。従来のガスセンサ(例えば、質量流量コントローラのもの等)は、ガスの総量を測定し、ガスの分子及び/又は原子の特定の種を区別することができない。例えば、質量流量コントローラは、ガスの総流量を測定することができるが、任意の特定の種類のガスの量又は特定の種類のガスの特定の分子種の量を測定することができない。本明細書に記載の実施形態では、特定のガスの特定の分子種の量及び/又は濃度を検出することができるセンサ装置が提供される。例えば、本明細書の実施形態で説明するセンサ装置は、センサ装置がこれまで分光測定機器等の高価な光学機器を使用しなければ検出することができなかった、フッ素ラジカルの量、又は水素ラジカルの量、又は窒素ラジカルの量を測定するように設計することができる。
【0012】
[0022]実施形態には、測定可能な共振周波数で振動する圧電材料の表面上に特殊なコーティングを採用したセンサ装置が含まれる。このコーティングは、ターゲットガス種のラジカル以外のすべての分子を排除するフィルタとして機能する。このように使用可能な圧電材料の例は、石英である。例えば、実施形態には、QCMの一方の表面にこのような特殊なコーティングを施した水晶振動子マイクロバランス(QCM)が含まれる。特殊なコーティングは、特定の用途向けに設計されており、それらの特定の用途で使用される選択された分子ガス種のみと反応する。センサ装置が設計され得る用途の例としては、エッチング工程、プラズマ堆積プロセス(例えば、プラズマ原子層堆積)等が挙げられる。圧電材料上のコーティングは、選択された分子ガス種に対する(例えば、特定の分子のラジカルに対する)コーティングの反応に基づいて質量が変化する。コーティングの質量変化によって、圧電材料が振動する共振周波数が変化する。この共振周波数の変化は測定可能であり、コーティングと反応した分子種の量を決定するために使用することができる。従って、センサ装置は、特定のガスの特定の分子種(例えば、フッ素ラジカル、水素ラジカル等)を直接測定することができる。このようなラジカルの直接測定により、プラズマ源の閉ループ制御が可能になる。
【0013】
[0023]一例として、フッ素系エッチングプロセスでは、エッチング速度はフッ素ラジカルの濃度と強い相関があり得る。しかし、これまでフッ素ラジカルの濃度は直接検出不能であったため、技術者は、既知のプラズマ出力、既知のガス流量等の他の既知の値に基づいてフッ素ラジカルの濃度を推測していた。本明細書に記載のセンサ装置を使用することにより、流されているフッ素ラジカルの量を直接測定することができ、この測定値を使用して、遠隔プラズマ源(RPS)等のプラズマ源から出力されるラジカルの量を細かく制御することができる。
【0014】
[0024]ラジカル種の濃度の定量測定能力がなければ、処理環境の閉ループ制御は不可能である。閉ループ制御とは、進行中のプロセスにおける処理条件を変更するために、コントローラへのフィードバック信号として定量的な測定値を使用することを指す。例えば、ラジカル種の測定の場合、ラジカル種の濃度を測定することができ、測定値を設定値と比較することができる。測定値が設定値より低い場合は、ラジカル種の生成速度及び出力濃度を上げるように処理パラメータを変更することができる、あるいは測定値が設定値より高い場合は、ラジカル種の濃度を下げるように処理パラメータを変更することができる。このように、実施形態では、より安定で再現性のあるプロセスを実行することができる。従って、本明細書に開示される実施形態は、ターゲットガス又は分子のターゲットラジカル種と反応するが、ガス又は分子の安定分子、又はターゲットガス又は分子とともに流される他のガス又は分子のラジカル種又は安定種とは反応しない膜でコーティングされた表面を有する圧電発振器(例えば、QCM)を含むラジカルセンサを含む。ラジカルセンサを使用して、プラズマ源の閉ループ制御が可能になる。
【0015】
[0025]
図1は、実施形態におけるプラズマベースのプロセスを実行する製造システム100の断面図である。製造システムは、1又は複数のガス送達ライン133を介してプラズマ源158に結合された処理チャンバ101を含み得る。処理チャンバ101は、例えば、プラズマエッチングリアクタ、堆積チャンバ等であってよい。処理チャンバは、エッチング工程、堆積工程、チャンバ洗浄工程、プラズマ処理工程、又は半導体製造設備に典型的なあらゆる他の種類の工程に好適であり得る。実施形態では、1又は複数の基板(例えば、ウエハ)144を、処理チャンバ101内に配置することができる。実施形態では、処理チャンバ101は、ターゲット工程に適した圧力に維持され得る。特定の実施形態では、圧力は、約1Torr未満から約200Torrであってよい。
【0016】
[0026]処理チャンバ101及び/又はプラズマ源158は、プラズマ源158及び/又は処理チャンバ101の処理を(例えば、設定点、ローディング方策等を制御することによって)制御することができるコントローラ188に接続されていてよい。ラジカルセンサ135を、ガス送達ライン(複数可)133に接続して、プラズマ源158によって送達されるガス又はプラズマ中のラジカルの濃度を検出することができる。
【0017】
[0027]実施形態では、製造システム100は、処理チャンバ101及び/又はガス送達ライン(複数可)133に流体的に結合されたラジカルセンサ135を含み得る。例えば、バルブが、処理チャンバ101とラジカルセンサ135との間の管に沿って設けられていてよい。実施形態では、バルブは、処理チャンバ101とラジカルセンサ135との間の視線を妨げないようにするタイプのバルブである。例えば、バルブは、隔離ゲートバルブであってよい。隔離ゲートバルブは、二元的な動作状態を可能にすることができる。すなわち、バルブは、開き(すなわち、1)又は閉じる(すなわち、0)ことができる。バルブが開いているとき、視線は遮られない。あるいは、ニードルバルブ等の別のタイプのバルブを使用することができる。
【0018】
[0028]実施形態では、ラジカルセンサ135は、ホルダ内に圧電基板を含む。圧電基板に交流電流を流すことにより、圧電基板を共振周波数で振動させる。圧電基板の1又は複数の表面は、狭い範囲の分子種と反応する膜でコーティングされている。特に、膜は、プロセスで使用されるガスの中から特定のターゲットガスのターゲット分子種と反応する材料で構成される。一実施形態では、ラジカルセンサは、特定のガスのラジカルと選択的に反応する膜でコーティングされた少なくとも1つのコーティング表面を有するQCMを含む。一連の図を参照しながら、ラジカルセンサ135について以下に更に詳細に説明する。
【0019】
[0029]実施形態では、プラズマ源158は、遠隔場所でプラズマを生成し、外部で生成されたプラズマを処理チャンバ101に送達する遠隔プラズマ源(RPS)である。あるいは、処理チャンバ101は、処理チャンバ内でプラズマを生成することができる一体化されたプラズマ源(図示せず)を含み得る。いずれの例においても、ラジカルセンサ135は、実施形態におけるガス送達ライン133内に配置される又はガス送達ライン133に接続されるのではなく、処理チャンバ101内に配置され得る、又は処理チャンバ101に接続され得る。
【0020】
[0030]処理チャンバ101は、幾つかの実施形態に係る基板支持アセンブリ150を含む。基板支持アセンブリ150は(例えば、静電チャック(ESC)を含み得る)パック166を含む。パック166は、例えば、真空チャック、静電チャック等のチャック動作を実行し得る。基板支持アセンブリ150は更に、ベースプレート、冷却プレート及び/又は絶縁体プレート(図示せず)を含み得る。
【0021】
[0031]処理チャンバ100は、内部領域106を囲むチャンバ本体102とリッド104とを含む。チャンバ本体102は、アルミニウム、ステンレス鋼、又は他の適切な材料から製造されていてよい。チャンバ本体102は通常、側壁108と底部110とを含む。例えばチャンバ本体102を保護するために、外側ライナ116が側壁108に隣接して配置されていてよい。外側ライナ116は、プラズマ又はハロゲン含有ガス耐性材料で製造及び/又はコーティングされていてよい。外側ライナ116は、酸化アルミニウムから製造され得る、又は酸化アルミニウムでコーティングされていてよい。外側ライナ116は、イットリア、イットリウム合金、それらの酸化物等から製造され得る、又はそれらでコーティングされていてよい。
【0022】
[0032]内部領域106をポンプシステム128と結合させることができる排気口126がチャンバ本体102に画定されていてよい。ポンプシステム128は、内部領域106の排気及び圧力調整に用いられる1又は複数のポンプ、バルブ、ライン、マニホールド、タンク等を含み得る。
【0023】
[0033]リッド104は、チャンバ本体102の側壁108に支持されていてよい。リッド104は開くことができるものであってよく、内部領域106へのアクセスを可能にする。リッド104は閉じた時に、処理チャンバ100の密封部を提供することができる。プラズマ源158は、処理チャンバ100に結合され、ガス分配アセンブリ130を通して内部領域106にプロセス、洗浄、バッキング、フラッシング等のガス及び/又はプラズマを供給することができる。ガス分配アセンブリ130は、リッド104と一体化されていてよい。
【0024】
[0034]処理チャンバ100で使用され得る処理ガスの例には、F2、C2F6、SF6、SiCl4、HBr、NF3、CF4、CHF3、CH2F3、Cl2及びSiF4等のハロゲン含有ガスが含まれる。その他の反応性ガスとしては、O2又はN2Oが挙げられる。N2、He、Ar等の非反応性ガスは、フラッシング用又はキャリアガスとして使用することができる。ガス分配アセンブリ130(例えば、シャワーヘッド)は、ガス分配アセンブリ130の下流表面上に複数の開孔132を含み得る。開孔132は、ガスの流れを基板144の表面に方向づけすることができる。幾つかの実施形態では、ガス分配アセンブリは、リッド104の保持部を通って延在するノズル(図示せず)を含み得る。ノズルとリッド104との間に密封部が生じ得る。ガス分配アセンブリ130は、処理チャンバ100の処理条件に対する耐性を提供するために、炭化ケイ素、酸化イットリウム等のセラミック材料によって製造され得る及び/又はコーティングされていてよい。
【0025】
[0035]基板支持アセンブリ150は、ガス分配アセンブリ130の下方の処理チャンバ100の内部領域106に配置される。基板支持アセンブリ150は、処理中に基板144を保持する。内側ライナ(図示せず)が基板支持アセンブリ148の周辺部にコーティングされていてよい。内側ライナ118は、外側ライナ116と特徴(例えば、製造材料、機能等)を共有し得る。
【0026】
[0036]基板支持アセンブリ150は、支持ペデスタル152、絶縁体プレート、ベースプレート、冷却プレート、及びパック166を含み得る。パック166は、1又は複数の機能を提供するための電極136を含み得る。電極136は、(例えば、基板144をパック166の上面に固定するための)チャッキング電極、加熱電極、プラズマ制御用のRF電極等を含み得る。
【0027】
[0037]保護リング146が、パック166の外周でパック166の一部の上に配置されていてよい。パック166は保護層(図示せず)でコーティングされていてよい。保護層136は、Y2O3(イットリア又は酸化イットリウム)、Y4Al2O9(YAM)、Al2O3(アルミナ)、Y3Al5O12(YAG)、YAlO3(YAP)、石英、SiC(炭化ケイ素)、Si3N4(窒化ケイ素)、サイアロン、AlN(窒化アルミニウム)、AlON(酸窒化アルミニウム)、TiO2(チタニア)、ZrO2(ジルコニア)、TiC(炭化チタン)、ZrC(炭化ジルコニウム)、TiN(窒化チタン)、TiCN(炭窒化チタン)、Y2O3安定化ZrO2(YSZ)等のセラミックであってよい。保護層は、アルミナマトリックス中に分散されたYAG、イットリア-ジルコニア固溶体、炭化ケイ素-窒化ケイ素固溶体等のセラミック複合材であってよい。保護層は、サファイア又はMgAlONであってよい。
【0028】
[0038]パック166は更に、パック166の上面に形成され得る溝、メサ、及び他の特徴等の複数のガス通路を含み得る。ガス通路は、ガス源105に流体的に結合されていてよい。ガス源105からのガスは、熱伝達ガス又は裏側ガスとして用いることができ、パック166の1又は複数のリフトピンの制御等に用いることができる。複数のガス源を用いることができる(図示せず)。ガス通路は、パック166に穿孔された穴を介して、He等の裏側ガスのためのガス流路を提供し得る。裏側ガスは、パック166と基板144との間の熱伝達を促進するために、制御された圧力でガス通路内に供給され得る。
【0029】
[0039]パック166は、1又は複数のクランプ電極を含み得る。クランプ電極は、チャッキング電源182によって制御され得る。クランプ電極は更に、処理チャンバ100内のプロセスガス及び/又は他のガスから形成されたプラズマを維持するための整合回路を通して、1又は複数のRF電源に結合されていてよい。RF電源は、約50キロヘルツ(kHz)から約3ギガヘルツ(GHz)の周波数及び最大約10000ワットの電力を有するRF信号を生成可能であってよい。パック166の加熱電極は、ヒータ電源178に結合されていてよい。
【0030】
[0040]コントローラ188は、プラズマ源158及び/又は処理チャンバ101の1又は複数のパラメータ及び/又は設定点を制御することができる。システムコントローラ188は、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、マイクロコントローラ等のコンピューティング装置であり得る、及び/又はそれらを含み得る。システムコントローラ188は、マイクロプロセッサ、中央処理装置等の汎用処理装置であり得る、1又は複数の処理装置を含み得る。より詳細には、処理装置は、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、又は他の命令セットを実装するプロセッサ、又は命令セットの組み合わせを実装するプロセッサであり得る。処理装置はまた、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ等の1又は複数の特殊目的の処理装置であり得る。システムコントローラ188は、データ記憶装置(例えば、1又は複数のディスクドライブ及び/又はソリッドステートドライブ)、メインメモリ、スタティックメモリ、ネットワークインターフェース、及び/又は他のコンポーネントを含み得る。システムコントローラ188は、本明細書に記載の方法論及び/又は実施形態のいずれか1又は複数を実行する命令を実行することができる。命令は、メインメモリ、スタティックメモリ、二次ストレージ、及び/又は(命令を実行中の)処理装置を含み得る、コンピュータ可読記憶媒体に記憶され得る。実施形態では、システムコントローラ188による命令の実行は、システムコントローラに
図4の方法を実行させる。例えば、システムコントローラ188は、受信又は生成されたプラズマ中の特定の種のラジカルの濃度を示すラジカルセンサ135からの測定値を受信することができ、測定されたラジカル濃度に応答して、プラズマ源158の1又は複数の特性又は設定(例えば、プラズマ出力等)を調整することができる。システムコントローラ188はまた、人間の操作員によるデータ、操作コマンド等の入力及び表示を可能にするように構成され得る。
【0031】
[0041]
図2A~
図2Dは、本開示の実施形態に係る、ターゲットガス種のラジカルを検出するためのセンサの実施形態を示す図である。
図2Aは、幾つかの実施形態に係る、ラジカルセンサの断面側面図である。
図2Bは、幾つかの実施形態に係る、
図2Aのラジカルセンサの背面図である。
図2Cは、幾つかの実施形態に係る、
図2Aのラジカルセンサの正面図である。
【0032】
[0042]実施形態では、ラジカルセンサはQCMセンサベースを含む。いかなる形状の一片の固体材料でも、通常は特定の共振周波数で振動し得る。振動ユニットの質量を増加させることによる典型的な結果は、その固体材料の共振周波数の減少である。これがQCMの基本原理である。
【0033】
[0043]QCMセンサベースは、結晶上の質量変化に対する感度が高いため、厚み-せん断モードで振動する薄いプレートの水晶振動子を含み得る。水晶振動子の圧電特性により、水晶振動子を振動させて、その共振周波数を簡単な電気的手段で測定することが可能である。実施形態では、水晶振動子はその結晶軸に対してある角度に正確に切断されている。実施形態では、水晶振動子はATカット水晶振動子である。
【0034】
[0044]
図2A~
図2Cに示すように、ラジカルセンサ200は、平坦面と凸面とを有し得る水晶振動子ベース215を含む。平坦面は前面であってよく、凸面は背面であってよい。平坦面は、前面電極230によって覆われていてよい。凸面は、1又は複数の電極ブリッジ227を介して背面電極中心220に接続された背面電極エッジ225を含む背面電極によって覆われていてよい。この構成により、水晶体215が自由に振動する能力を損なうことなく、電極に交流電流を印加及び/又は電極から読み出すことが可能となる。QCMの感知面は、前面の中心領域(例えば、前面電極230の中心領域)であってよい。実施形態では、QCMの感知面は、ターゲットガス種の特定の分子種との反応に対して感応性のある膜235でコーティングされる。膜235の組成は、ラジカルセンサ200が使用される用途に依存し得る。
【0035】
[0045]幾つかの実施形態では、膜235は、ターゲットガスのラジカル分子種と反応するが、ターゲットガスの安定分子種とは反応しない材料で構成される。例えば、材料は、フッ素ラジカルと反応し得るが、フッ素含有安定分子(例えば、F2、C2F6、SF6、NF3、CF4、CHF3、CH2F3等)とは反応し得ない。また、この材料は、ガス流に含まれる可能性のある他の分子にも(これらの他の分子がラジカルであろうと安定分子種であろうと)反応しない場合がある。例えば、この材料は、フッ素ラジカルには反応し得るが、炭素ラジカル、窒素ラジカル、水素ラジカル等には反応しない場合がある。あるいは、この材料は、水素ラジカルのみに反応し得る、又は炭素ラジカルのみに反応し得る、又は他の何らかのラジカルのみに反応し得る。
【0036】
[0046]ラジカルセンサがフッ素ラジカルを検出するように調整されている一実施形態では、膜又はコーティング235は、二酸化ケイ素(SiO2)、タングステン、又は酸化タングステン(例えば、酸化タングステン(III)又はW2O3)及び/又は有機材料(フォトレジスト等)を含む。ラジカルセンサがフッ素ラジカルを検出するように調整されている一実施形態では、膜又はコーティング235は、フッ素ラジカルと選択的に反応する遷移金属を含む。ラジカルセンサが水素ラジカルを検出するように調整されている一実施形態では、膜又はコーティング235は、炭素と水素のポリマーを含む。使用され得るポリマーの一例は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)である。ラジカルセンサが窒素ラジカルを検出するように調整されている一実施形態では、膜又はコーティング235は、フッ化ポリマーを含む。実施形態では、ターゲットラジカルは、膜235と反応して、膜235の一部を消費するガスを形成する。膜235の一部が消費されることにより、膜235の分子の数が減少し、従って、膜の全体的な質量が減少する。この質量の減少は、膜235が形成されたQCMセンサによって検出することができる。
【0037】
[0047]幾つかの実施形態では、ターゲットラジカル種と膜235との反応により、固体副生成物が生成される。固体副生成物は膜235に付着し、従って膜235の質量を増加させる。この質量の増加は、膜235が形成されたQCMセンサによって検出され得る。
【0038】
[0048]幾つかの実施形態では、ターゲットラジカル種と膜235との反応は、膜235がターゲットラジカル種を吸収する吸収プロセスである。ラジカル種の吸収により、膜235の質量が増加する。膜235がターゲットラジカル種で飽和状態になったら、及び/又はプロセス実行の間に、ラジカル種を膜235から脱離させるために、パージ又は洗浄プロセスを実行することができる。一例として、フッ素ラジカルを検出するために、PMMAをコーティングしたQCMを使用することができる。PMMAはフッ素ラジカルを吸収することができ、フッ素ラジカルの吸収によって生じた膜の質量変化を、QCMの共振周波数の変化によって検出することができる。その後、ラジカルセンサ200全体にアルゴン等の別のガスを流すことで、フッ素ラジカルを脱離させることができる。
【0039】
[0049]一実施形態では、膜235は約1から100ミクロンの厚さを有する。一実施形態では、膜235は約30から40ミクロンの厚さを有する。他の厚さ、例えば10、20、30、40、50、60、70、80又は90ミクロンも膜235に使用可能である。
【0040】
[0050]水晶振動子215と電極220、225、230とを含むQCMセンサベースは、感知水晶振動子上の感応領域を均一に覆う材料の面質量密度(単位面積あたりの質量)を測定する。水晶振動子215への負荷が大きい場合、その精度は堆積した材料のせん断モード音響インピーダンス値の知識に依存する。結晶が大きくても高い感応性を有するわけではない。QCMは重力を必要としないため、計量装置ではない。QCMは無重力の宇宙空間でも使用可能である。実施形態では、厚さ測定値tfは、膜の密度ρfを使用することにより、tfρfと等しい面質量密度値から導出することができる。誤った密度値を入力すると、誤った厚さ測定値となる。実施形態では、面質量密度測定は絶対値である。実施形態では、適切に設計されたQCMであれば校正は不要である。温度変化、応力、ガスの吸収及び脱離、表面反応等はすべて、誤った信号を出す可能性がある。
【0041】
[0051]QCMは、式
に従ってQCMの感知面上の質量を測定することができ、上記式において、m/Aは単位面積当たりの質量、ρはQCMの感知面上の材料の密度、tは厚さ、nは定数(≧0)であり、線形依存性の場合、nは1に等しい。実施形態では、QCMの感応性は、1×10
-9g/cm
2より良好な値まで下げることができる。密度ρ=2.7g/cm
3の材料、例えばAlの厚さでは、このQCMの感応性はAlの0.1Åに相当する。単位面積当たりの質量、又は面質量密度で表される厚さの変化は、素粒子サイズではより適切である。
【0042】
[0052]圧電共振器は、
図2Eに示すように、電気解析用の単純な等価回路で表すことができる。水晶振動子共振器(例えばQCM)の機械的挙動は、図示した電気的等価モデルで表すことができる。これは、いわゆる水晶振動子共振器のバターワース・ヴァン・ダイク(BVD)電気モデルである。BVDモデルのモーショナルアーム(上部ブランチ)では、水晶振動プレートの直列共振周波数を決定する3つの成分から構成されている。R
aは、水晶振動子とそのホルダとの間の機械的結合によるエネルギー散逸に対応する。QCM用途の場合、水晶振動子表面に質量負荷が加わると、R
aも増加する。L
aは、振動中に変位する質量に対応する。QCM用途の場合、全質量には水晶振動子、電極、堆積した薄膜材料の質量が含まれる。C
aは、水晶、電極、堆積した材料の弾性特性に関連する発振器の蓄積エネルギーに対応する。寄生容量C
0は、水晶振動子電極、ホルダ、及び接続ケーブルの静電容量の合計を表す。
【0043】
[0053]
図2Dは、幾つかの実施形態に係る、荷電格子又はグリッドを追加した
図2Aのラジカルセンサの断面側面図である。実施形態における
図2A~
図2Cに示すラジカルセンサ200は、電荷に関係なく全てのラジカルを測定する。幾つかの実施形態では、中性ラジカルのみを測定すること、又は特定の電荷を有するラジカルのみを測定することが有利であり得る。特定の分子種の中性ラジカルのみを測定するために、荷電格子又はグリッド252をラジカルセンサ200の前面の前に配置することができる。荷電格子又はグリッド252は、特定の電荷を有するメッシュ(例えば、ワイヤメッシュ)のスタックを含み得る。一実施形態では、図示したように、第1の格子又はメッシュは正に帯電し、第2の格子又はメッシュは接地されていてよく、第3の格子又はメッシュは負に帯電していてよい。正に帯電したメッシュ又は格子は、正に帯電した分子又はイオンをはじくことができ、負に帯電したメッシュ又は格子は、負に帯電した分子又はイオンをはじくことができる。その結果、膜235に到達する分子は中性分子のみとなり得る。膜235に到達する中性分子のうち、特定のガス種のラジカルのみが膜235と実際に反応し得る。
【0044】
[0054]一実施形態では、正及び/又は負に帯電したラジカルの量を測定するために、一対のラジカルセンサを使用することができる。第1のラジカルセンサは荷電格子又はグリッドを含んでいてよく、第2のラジカルセンサは荷電格子又はグリッドを含んでいなくてよい。ターゲットガス種の全てのラジカルを第2のラジカルセンサによって検出することができ、ターゲットガス種の中性ラジカルのみを第1のラジカルセンサによって検出することができる。その後、2つのラジカルセンサの測定値の差を計算し、第2のラジカルセンサによって検出されたラジカルのうち、荷電ラジカルに起因するラジカルの量を決定することができる。格子は、正に帯電した分子/イオンのみをフィルタリングするように変更することができる、又は負に帯電した分子のみをフィルタリングするように変更することができる。従って、2つ以上のラジカルセンサを組み合わせることにより、各々が異なる格子構成(例えば、いかなる格子も含まないもの)を有し、正に帯電したラジカルの量を検出することができ、負に帯電したラジカルの量を検出することができる、及び/又は中性ラジカルの量を検出することができる。
【0045】
[0055]
図2Fは、センサホルダ内に含まれるラジカルセンサの一例を示す拡大図である。図示したように、カバーは、水晶振動子(例えば、
図2A~
図2Dに示す形態を有し、感知面上の特定のラジカル種のみと反応するコーティングを有する)をバネコンタクトに当接させて圧縮する。開孔は、コーティングを含む感知面を露出させる。
図2G及び
図2Hに示すような他の多くの異なる構成のセンサホルダも使用することができる。
【0046】
[0056]
図3は、ラジカルセンサを製造するための方法300の一実施形態のフロー図である。方法300のブロック305において、QCM又は他の圧電基板の感知面上にコーティングを形成する。コーティングは、ターゲットガス種のラジカルと選択的に反応するが、特定のガス種の安定分子とは反応せず、ターゲットガス種とともに使用される他のガス種の安定分子又はラジカルとは反応しない材料で構成され得る。感知面は、まずQCM又は他の圧電基板の面の上にハードマスク又はソフトマスクを配置することによってコーティングすることができる。その後、QCM又は他の圧電基板の面の露出領域をコーティングし、マスクを除去することができる。あるいは、表面の全体にコーティングを形成し、その後コーティングの一部を(例えば、除去しないコーティングの部分の上にハードマスク又はソフトマスクを形成し、その後コーティングの露出部分をエッチングし、最後にマスクを除去することによって)選択的に除去することもできる。ブロック310において、次にラジカルセンサを、上述した任意のセンサホルダ等のセンサホルダ内に配置する。
【0047】
[0057]
図4は、ラジカルセンサを用いてプラズマ源を制御する方法400の一実施形態のフロー図である。方法400のブロック405において、製造システムは、第1のプラズマ源設定を用いてプラズマを流す。プラズマは、遠隔プラズマ源(例えば、プロセスチャンバの外部のプラズマ源)又はローカルプラズマ源(例えば、プロセスチャンバの内部のプラズマ源)によって生成され得る。ブロック410において、ラジカルセンサ(例えば、本明細書において上述されるような)を使用して、プラズマ中のラジカルの濃度/量を検出する。ターゲットガス種のラジカルは、ラジカルセンサ上のコーティングと反応し、ラジカルセンサの感知面上の質量を変化させ得る。コーティングの密度及び/又は質量は既知のものであってよく、コーティングの質量の変化は、ラジカルセンサの振動している圧電材料(例えばQCM)の共振周波数の変化に基づいて検出され得る。この質量の変化を、コーティングを構成する材料の質量に関する知識とともに使用して、コーティングと反応したラジカルの数、ひいてはガス流中のラジカルの濃度及び/又は量を決定することができる。
【0048】
[0058]ブロック415において、処理ロジックは、検出されたターゲットガス種のラジカルの濃度/量を、プラズマのラジカルのターゲット濃度/量と比較する。ブロック420において、処理ロジックは、検出されたターゲットガス種のラジカルの濃度/量が、ターゲット濃度/量から閾値量以上に異なるか否か(例えば、ターゲット濃度と検出された濃度との差が差閾値以上である場合)を決定する。差が差閾値を超えた場合、本方法はブロック425に進み、プラズマ源の1又は複数の設定を調整する。例えば、プラズマ中に含まれるラジカルの量を増加させるためにプラズマ出力を増加させることができる、又はプラズマ中に含まれるラジカルの量を減少させるためにプラズマ電力を減少させることができる。差が差閾値より小さい場合、本方法は終了することができる。
【0049】
[0059]特に断りのない限り、本明細書で使用する「第1」、「第2」、「第3」、「第4」等の用語は、異なる要素を区別するためのラベルとしての意味であり、その数値指定による序列的な意味を持たない場合がある。
【0050】
[0060]本明細書に記載の実施例はまた、本明細書に記載の方法を実行するための装置に関する。この装置は、本明細書に記載の方法を実行するために特別に構築され得る、又は本明細書に記載の方法を実行するように選択的に構成された汎用システムを含み得る。
【0051】
[0061]本明細書で使用する用語「上方」、「下方」、「間」、「上に配置」、「支持」及び「上」は、1つの材料層又は構成要素の、他の層又は構成要素に対する相対位置を指している。例えば、他の層上、上方、又は下方に配置された1つの層は、他の層と直接接触していてよい、又は1又は複数の介在層を有していてよい。更に、2つの層の間に配置された1つの層は、2つの層と直接接触していてよい、又は1又は複数の介在層を有していてよい。同様に、特に断りのない限り、2つの特徴の間に配置された1つの特徴は、隣接する特徴と直接接触していてよい、又は1又は複数の介在層を有していてよい。
【0052】
[0062]上記の説明は、例示的なものであり、限定するものではない。本開示を特定の例示的な実施例及び実装態様を参照しながら説明してきたが、本開示が、記載の実施例及び実装態様に限定されないことが認識されるであろう。本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲を参照し、特許請求の範囲が権利を有する完全な均等物の範囲と共に決定されるべきである。
【国際調査報告】