(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-07-01
(54)【発明の名称】ドープ酸化ケイ素の低温エッチング
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20250624BHJP
H10B 43/27 20230101ALI20250624BHJP
H10B 41/27 20230101ALI20250624BHJP
H10D 30/68 20250101ALI20250624BHJP
H10D 30/69 20250101ALI20250624BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H10B43/27
H10B41/27
H10D30/68
H10D30/69
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024569468
(86)(22)【出願日】2023-05-23
(85)【翻訳文提出日】2025-01-10
(86)【国際出願番号】 US2023023270
(87)【国際公開番号】W WO2023235188
(87)【国際公開日】2023-12-07
(32)【優先日】2022-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャーチ・ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】サブラマニアム・ピラモド
(72)【発明者】
【氏名】イルマズ・メフメト・ファーティフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーグ・ジョゼフ・ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】チー・ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ホアン・ジョン
【テーマコード(参考)】
5F004
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F004AA16
5F004BA04
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB25
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5F004DA17
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5F004DA22
5F004DA23
5F004DA25
5F004DB03
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5F004EB01
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5F083ER22
5F083GA10
5F083PR03
5F101BD16
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH14
(57)【要約】
【解決手段】エッチング速度修正ドーパントがドープされた酸化ケイ素の層にフィーチャをエッチングすることに関する例が、開示される。一例は、メモリデバイス製作プロセスを実行する方法を提供する。方法は、処理ツールの処理チャンバに基板を載置し、基板は3Dメモリ構造用のモールドスタック内に交互層を備える第1の構造を備え、基板はまたエッチング速度修正ドーパントがドープされた酸化ケイ素層を備える第2の構造を備えることを備える。方法は、基板の第1の構造内のチャネルホールの少なくとも一部および基板の第2の構造内のホールの少なくとも一部をエッチングすることを含むエッチングサイクルを実行するように処理ツールを制御することをさらに備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリデバイス製作プロセスを実行する方法であって、
処理ツールの処理チャンバに基板を載置し、前記基板は3Dメモリ構造用のモールドスタック内に交互層を備える第1の構造を備え、前記基板はまた、エッチング速度修正ドーパントがドープされた酸化ケイ素層を備える第2の構造を備え、
前記基板の前記第1の構造内のチャネルホールの少なくとも一部および前記基板の前記第2の構造内のホールの少なくとも一部をエッチングすることを含むエッチングサイクルを実行するために前記処理ツールを制御すること
を備える、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記エッチングサイクル中に前記基板を0℃以下の温度に冷却するように前記処理ツールを制御することを備える、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記エッチングサイクルを実行するために前記処理ツールを制御することは、フッ素ベースのエッチャントを前記処理チャンバに導入するように前記処理ツールを制御することを備える、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記エッチング速度修正ドーパントは、2つ以上のエッチング速度修正ドーパントを含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記2つ以上のエッチング速度修正ドーパントは、窒素、炭素、ホウ素、ヒ素、またはリンの2つ以上を含む、方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法であって、
前記第2の構造は、5~10原子パーセントの範囲内の濃度の窒素を含む、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記第2の構造は、0.1~1原子パーセントの範囲内の濃度のリンを含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
ケイ素含有前駆体、酸素含有前駆体、およびエッチング速度修正ドーパント前駆体を反応させ、エッチング速度修正ドーパントがドープされた酸化ケイ素を形成することによって前記第2の構造を堆積することを備える、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記第2の構造を堆積することは、さらに、2つ以上のエッチング速度修正ドーパント前駆体、前記ケイ素含有前駆体、および前記酸素含有前駆体を反応させることを備える、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記2つ以上のエッチング速度修正ドーパント前駆体は、アンモニア、ジ(イソプロピルアミノ)シラン、またはビス(t-ブチルアミノ)シランを含む、方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、
前記2つ以上のエッチング速度修正ドーパント前駆体は、ホスフィンまたはアルキルホスフィンの1つまたは複数を含む、方法。
【請求項12】
基板をエッチングする方法であって、
処理ツールの処理チャンバに誘電体材料を含む基板を載置し、前記誘電体材料は、酸化ケイ素およびエッチング速度修正ドーパントを含み、
0℃以下の基板温度に前記基板を冷却するために前記処理ツールを制御し、
エッチャントを前記処理チャンバに導入するために前記処理ツールを制御し、
10:1以上のアスペクト比を含むフィーチャを前記誘電体材料にエッチングするための前記エッチャントを含むプラズマを形成するために前記処理ツールを制御すること
を備える、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
前記エッチング速度修正ドーパントは、窒素、炭素、ホウ素、ヒ素、またはリンの1つまたは複数を含む、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、
前記エッチング速度修正ドーパントは、さらに、第1のエッチング速度修正ドーパントであり、前記誘電体材料は、第2のエッチング速度修正ドーパントを含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記第1のエッチング速度修正ドーパントは、窒素を含み、前記第2のエッチング速度修正ドーパントは、リンを含む、方法。
【請求項16】
交互材料層を備える第1の基板構造を通って延びるチャネルホールと、
第1のエッチング速度修正ドーパントおよび第2のエッチング速度修正ドーパントがドープされた酸化ケイ素の層を備える第2の基板構造を通って延びるホールと
を備える、3Dメモリ構造。
【請求項17】
請求項16に記載の3Dメモリ構造であって、
前記第1のエッチング速度修正ドーパントは、窒素を含み、前記第2のエッチング速度修正ドーパントは、リンを含む、3Dメモリ構造。
【請求項18】
請求項17に記載の3Dメモリ構造であって、
前記酸化ケイ素の層は、5~10原子パーセントの範囲内の濃度の窒素、および0.1~1.0原子パーセントの範囲内の濃度のリンを含む、3Dメモリ構造。
【請求項19】
請求項16に記載の3Dメモリ構造であって、
前記交互材料層は、階段構造を備え、前記第1のエッチング速度修正ドーパントおよび前記第2のエッチング速度修正ドーパントがドープされた前記酸化ケイ素の層は、前記階段構造の少なくとも一部の上に配置される、3Dメモリ構造。
【請求項20】
請求項16に記載の3Dメモリ構造であって、
前記第2の基板構造を通って延びる前記ホールは、コンタクト材料で充填されたコンタクトホールを備える、3Dメモリ構造。
【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
電子デバイス製作プロセスは、基板上に集積回路および/またはメモリ構造を形成するために、材料の堆積、パターニング、および除去といった多くのステップを伴い得る。様々な方法を使用して、材料の膜を基板上に堆積することができる。一例として、化学気相堆積(CVD)は、前駆体を反応させて基板上に膜を形成することを伴う。別の例として、ドライエッチングを使用して、フィーチャを基板上の1つまたは複数の材料層にエッチングすることができる。
【発明の概要】
【0002】
この発明の概要は、以下の発明を実行するための形態でさらに説明される概念の選択を簡略化した形式で紹介するために提供される。この発明の概要は、特許請求される主題の重要な特徴または本質的な特徴を識別することを意図したものではなく、また、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図したものではない。さらに、特許請求される主題は、本開示のいずれかの部分に記載されている欠点の一部またはすべてを解決する実施態様に限定されない。
【0003】
エッチング速度修正ドーパントがドープされた酸化ケイ素の層にフィーチャをエッチングすることに関する例が、開示される。一例は、メモリデバイス製作プロセスを実行する方法を提供し、方法は、処理ツールの処理チャンバに基板を載置することを含む。基板は、3Dメモリ構造用のモールドスタック内に交互層を備える第1の構造を備える。基板はまた、エッチング速度修正ドーパントがドープされた酸化ケイ素層を備える第2の構造を備える。方法は、基板の第1の構造内のチャネルホールの少なくとも一部および第2の構造内のホールの少なくとも一部をエッチングすることを含むエッチングサイクルを実行するために処理ツールを制御することをさらに含む。
【0004】
いくつかのそのような例では、方法は、さらに、エッチングサイクル中に基板を0℃以下に冷却するために処理ツールを制御することを含む。
【0005】
代替的または追加的に、いくつかのそのような例では、エッチングサイクルを実行するために処理ツールを制御することは、フッ素含有エッチャントを処理チャンバに導入するように処理ツールを制御することを含む。
【0006】
代替的または追加的に、いくつかのそのような例では、第2の基板構造内のホールは、コンタクトホールを備える。
【0007】
代替的または追加的に、いくつかのそのような例では、方法は、さらに、ケイ素含有前駆体、酸素含有前駆体、およびエッチング速度修正ドーパント前駆体を反応させ、エッチング速度修正ドーパントがドープされた酸化ケイ素を形成することによって第2の構造を堆積することを含む。
【0008】
代替的または追加的に、いくつかのそのような例では、エッチング速度修正ドーパントは、窒素、炭素、ホウ素、ヒ素、またはリンの1つまたは複数を含む。
【0009】
代替的または追加的に、いくつかのそのような例では、第2の構造は、2つ以上のエッチング速度修正ドーパントを含む。
【0010】
代替的または追加的に、いくつかのそのような例では、2つ以上のエッチング速度修正ドーパントは、窒素を含む第1のエッチング速度修正ドーパントを含む。
【0011】
代替的または追加的に、いくつかのそのような例では、第2の構造は、5~10原子パーセントの範囲内の濃度の窒素を含む。
【0012】
代替的または追加的に、いくつかのそのような例では、エッチング速度修正ドーパント前駆体は、アンモニア、ジ(イソプロピルアミノ)シラン、またはビス(t-ブチルアミノ)シランの1つまたは複数を含む。
【0013】
代替的または追加的に、いくつかのそのような例では、エッチング速度修正ドーパントは、第2のエッチング速度修正ドーパントを含み、第2のエッチング速度修正ドーパントは、リンを含む。
【0014】
代替的または追加的に、いくつかのそのような例では、酸化ケイ素層は、0.1~1原子パーセントの範囲内の濃度のリンを含む。
【0015】
代替的または追加的に、いくつかのそのような例では、エッチング速度修正ドーパント前駆体は、第2のエッチング速度修正ドーパント前駆体をさらに含み、第2のエッチング速度修正ドーパント前駆体は、ホスフィンまたはアルキルホスフィンの1つまたは複数を含む。
【0016】
別の例は、基板をエッチングする方法を提供する。方法は、処理ツールの処理チャンバに誘電体材料を含む基板を載置し、誘電体材料は、酸化ケイ素およびエッチング速度修正ドーパントを含むことを含む。方法は、基板を0℃以下の基板温度に冷却するために処理ツールを制御することをさらに含む。方法は、エッチャントを処理チャンバに導入するために処理ツールを制御することをさらに含む。方法は、10:1以上のアスペクト比を含むフィーチャを誘電体材料にエッチングするためのエッチャントを含むプラズマを形成するために処理ツールを制御することをさらに含む。
【0017】
いくつかのそのような例では、エッチング速度修正ドーパントは、窒素、炭素、ホウ素、ヒ素、またはリンの1つまたは複数を含む。
【0018】
代替的または追加的に、いくつかのそのような例では、エッチング速度修正ドーパントは、第1のエッチング速度修正ドーパントであり、誘電体材料は、第2のエッチング速度修正ドーパントをさらに含み、第1のエッチング速度修正ドーパントは、窒素を含み、第2のエッチング速度修正ドーパントは、リンを含む。
【0019】
別の例は、3Dメモリ構造を提供する。3Dメモリ構造は、交互材料層を備える第1の基板構造を通って延びるチャネルホールを備える。3Dメモリ構造は、第1のエッチング速度修正ドーパントおよび第2のエッチング速度修正ドーパントがドープされた酸化ケイ素の層を備える第2の基板構造を通って延びるホールをさらに備える。
【0020】
いくつかのそのような例では、第1のエッチング速度修正ドーパントは、窒素を含み、第2のエッチング速度修正ドーパントは、リンを含む。
【0021】
いくつかのそのような例では、酸化ケイ素の層は、追加的または代替的に、5~10原子パーセントの範囲内の濃度の窒素を含む。
【0022】
いくつかのそのような例では、二酸化ケイ素の層は、追加的または代替的に、0.1~1.0原子パーセントの範囲内の濃度のリンを含む。
【0023】
いくつかのそのような例では、交互材料層は、追加的または代替的に、階段構造を備え、第1のエッチング速度修正ドーパントおよび第2のエッチング速度修正ドーパントがドープされた酸化ケイ素の層は、階段構造の少なくとも一部の上に配置される。
【0024】
いくつかのそのような例では、第2の基板構造を通って延びるホールは、追加的または代替的に、コンタクト材料で充填されたコンタクトホールを備える。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、酸化ケイ素および窒化ケイ素についての温度の関数としての例示的なエッチング速度を示すグラフを示す図である。
【0026】
【
図2】
図2は、ドープ酸化ケイ素膜を堆積するために使用することができる例示的な堆積ツールを概略的に示す図である。
【0027】
【
図3】
図3は、例示的な低温エッチングツールを概略的に示す図である。
【0028】
【
図4】
図4は、エッチング速度修正ドーパントがドープされた酸化ケイ素の低温エッチングを実行するための例示的な方法のフロー図である。
【0029】
【
図5A】
図5Aは、ハードマスク層を通して酸化ケイ素層にエッチングされた例示的な高アスペクト比のフィーチャと、ハードマスク層を通してドープ酸化ケイ素のギャップフィル層にエッチングされた例示的な高アスペクト比のフィーチャを比較した図である。
【
図5B】
図5Bは、ハードマスク層を通して酸化ケイ素層にエッチングされた例示的な高アスペクト比のフィーチャと、ハードマスク層を通してドープ酸化ケイ素のギャップフィル層にエッチングされた例示的な高アスペクト比のフィーチャを比較した図である。
【0030】
【
図6】
図6は、チャネルホールおよびギャップフィル材料内のホールを同時にエッチングすることを含む、メモリデバイス製作プロセスを実行するための例示的な方法のフロー図である。
【0031】
【
図7】
図7は、階段構造上への酸化ケイ素およびエッチング速度修正ドーパントを含む誘電体層の堆積を概略的に示す図である。
【0032】
【
図8】
図8は、チャネルホールおよびコンタクトホールを備える例示的な3Dメモリ構造を概略的に示す図である。
【0033】
【
図9】
図9は、2つのエッチング速度修正ドーパントがドープされた酸化ケイ素の低温エッチングを実行するための例示的な方法を図示するフロー図である。
【0034】
【
図10】
図10は、メモリデバイス製作プロセスを実行するための別の例示的な方法のフロー図である。
【0035】
【
図11】
図11は、例示的なコンピューティングシステムのブロック図を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
「アスペクト比」という用語は、一般に、ホールなどの基板フィーチャの深さとフィーチャの平均幅との間の比を表す。
【0037】
「チャネルホール」という用語は、一般に、3Dメモリ構造においてメモリセルを画定するチャネルを形成するために交互材料層のスタックにエッチングされたホールを表す。
【0038】
「コンタクトホール」という用語は、一般に、コンタクトを形成するために導電性材料で充填することができる誘電体材料構造内のホールを表す。
【0039】
「エッチング」という用語およびその変形は、一般に、材料が基板から選択的に除去されるプロセスを表す。気相エッチャントを使用するエッチングは、「ドライエッチング」と呼ばれる。液相のエッチャントを利用するエッチングは、「ウェットエッチング」と呼ばれる。反応性イオンエッチング(RIE)は、化学反応性イオンを含むプラズマを使用して材料をエッチングするドライエッチングプロセスである。一部のエッチングプロセスでは、基板表面の一部の領域がエッチングされないように保護するためにマスクが使用される。
【0040】
「エッチング速度修正ドーパント」という用語は、一般に、アンドープ膜と比較して異なる速度で膜をエッチングすることを可能にする酸化ケイ素膜中のドーパントを表す。酸化ケイ素膜についてのエッチング速度修正ドーパントの例には、窒素、リン、炭素、ホウ素、ヒ素、およびそれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0041】
「エッチング速度修正ドーパント前駆体」という用語は、一般に、ケイ素含有前駆体および酸素含有ガスと反応してドープ酸化ケイ素層を堆積することができるエッチング速度修正ドーパントを含む材料を表す。エッチング速度修正ドーパント前駆体の例には、窒素含有前駆体、リン含有前駆体、炭素含有前駆体、ホウ素含有前駆体、およびヒ素含有前駆体が挙げられる。
【0042】
窒素含有前駆体の例には、アンモニア(NH3)およびアミノシランが挙げられる。アミノシランの例には、ビス(ジエチルアミノ)シラン、ジ(イソプロピルアミノ)シラン(DIPAS)、ビス(t-ブチルアミノ)シラン(BTBAS)、(ジ-sec-ブチルアミノ)シラン、およびトリス(ジメチルアミノ)シラン(3DMAS)が挙げられる。
【0043】
リン含有前駆体の例には、ホスフィン(PH3)、ならびにトリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、およびトリブチルホスフィンなどのアルキルホスフィンが挙げられる。
【0044】
適切なホウ素含有前駆体の一例は、ジボラン(B2H6)である。
【0045】
炭素含有前駆体の例には、一酸化炭素(CO)、アルカン、アルケン、アルキン、環状炭化水素、芳香族化合物、アルコール、ジオール、アルデヒド、エステル、エーテル、ケトン、アルキルアミン、アルキルジアミン、および有機ケイ素化合物が挙げられる。適切なアルカン(CnH2n+2、n=1~10)の例には、メタン、エタン、プロパン、およびブタンが挙げられ得る。適切なアルケン(CnH2n、n=2~10、単一の炭素-炭素二重結合を有するアルケンの場合)の例には、エテン、プロペン、およびブテンが挙げられ得る。適切なアルキン(CnH2n-2、n=2~10、単一の炭素-炭素三重結合を有するアルキンの場合)の例には、アセチレン、プロピン、およびブチンが挙げられ得る。適切な環状炭化水素の例には、シクロブタン、シクロペンタン、およびシクロヘキサンが挙げられ得る。適切な芳香族化合物の例には、ベンゼン、トルエン、ピリジン、およびピリミジンが挙げられ得る。適切なアルコールの例には、メタノール、エタノール、およびプロパノールが挙げられ得る。適切なジオールの例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、およびヒドロキノンが挙げられ得る。適切なアルデヒドの例には、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドが挙げられ得る。適切なエステルの例には、ギ酸エチル、酢酸メチル、および酢酸エチルが挙げられ得る。適切なエーテルの例には、ジエチルエーテル、メチルフェニルエーテル、およびフランなどの芳香族エーテルが挙げられ得る。適切なケトンの例には、アセトンおよびメチルエチルケトンが挙げられ得る。適切なハロゲン化アルキルの例には、フッ化エチル、臭化イソプロピル、および塩化t-ブチルが挙げられ得る。適切なアルキルアミンの例には、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、およびピペリジンが挙げられ得る。適切なアルキルジアミンの例には、エチレンジアミンおよび1,3-ジアミノプロパンが挙げられ得る。適切な有機ケイ素化合物の例には、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、およびジメチルジエトキシシランなどのシロキサンが挙げられる。
【0046】
ヒ素含有前駆体の一例は、アルシン(AsH3)である。
【0047】
「エッチャント」という用語は、一般に、基板から材料を化学的に除去する、および/または基板からの材料の化学的除去を促進するためにエッチングプロセスで使用される化学物質を表す。酸化ケイ素のプラズマエッチング用の例示的なエッチャントには、HF、NF3、CF4、およびC2F6などのフッ素含有エッチャントが挙げられる。
【0048】
「フィーチャ」という用語は、一般に、基板表面に凹部を形成するために材料が(例えば、エッチングによって)除去された基板の領域を表す。エッチングによって形成することができる例示的なフィーチャには、ホールおよびギャップが挙げられる。
【0049】
「膜」という用語は、一般に、基板上に堆積された材料の層を表す。
【0050】
「酸素含有ガス」という用語は、一般に、酸化膜前駆体と反応して酸化膜を形成するのに利用可能な酸素を含むガス種を表す。酸素含有ガスの例には、分子状酸素(O2)、オゾン(O3)、亜酸化窒素(N2O)、過酸化水素(H2O2)、および水蒸気(H2O)が挙げられる。
【0051】
「処理チャンバ」という用語は、一般に、化学的および/または物理的プロセスが基板上で実行されるエンクロージャを表す。処理チャンバ内の圧力、温度、および雰囲気組成は、化学的および/または物理的プロセスを実行するために制御可能であり得る。
【0052】
「処理ツール」という用語は、一般に、処理チャンバと、処理が処理チャンバ内で実行されることを可能にするように構成された他のハードウェアとを含む機械を表す。
【0053】
「高周波(RF)電源」という用語は、一般に、電力を処理チャンバ内の一対の電極に印加して電極間にプラズマを形成するように構成された処理ツールの構成要素を表す。
【0054】
「ケイ素含有前駆体」という用語は、一般に、基板上に酸化ケイ素膜を形成するために気相で処理チャンバに導入され得る任意の材料を表す。酸化ケイ素膜を形成するための例示的なケイ素含有前駆体には、以下の一般構造を有する材料が挙げられ得る。
【化1】
R
1、R
2、およびR
3は、同じまたは異なる置換基とすることができ、シラン、シロキシ基、アミン、ハロゲン化物、水素、または有機基、例えばアルキルアミン、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、および芳香族基を含むことができる。
【0055】
例示的なケイ素含有前駆体には、シラン、ジシラン、トリシラン、テトラシラン、およびトリシリルアミンなどのポリシラン(H3Si-(SiH2)n-SiH3)(n≧1)が挙げられる。
【0056】
いくつかの例では、ケイ素含有前駆体は、アルコキシシランである。使用され得るアルコキシシランには、以下が挙げられる:
Hx-Si-(OR)y、x=1~3、x+y=4であり、各Rは、置換または非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、または芳香族基であり、
Hx(RO)y、-Si-Si-(OR)yHxは、置換または非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、または芳香族基である。
【0057】
ケイ素含有前駆体の例には、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、メチルシラン、トリメチルシラン(3MS)、エチルシラン、ブタシラン、ペンタシラン、オクタシラン、ヘプタシラン、ヘキサシラン、シクロブタシラン、シクロヘプタシラン、シクロヘキサシラン、シクロオクタシラン、シクロペンタシラン、1,4-ジオキサ-2,3,5,6-テトラシラシクロヘキサン、ジエトキシメチルシラン(DEMS)、ジエトキシシラン(DES)、ジメトキシメチルシラン、ジメトキシシラン(DMOS)、メチルジエトキシシラン(MDES)、メチルジメトキシシラン(MDMS)、t-ブトキシジシラン、トリエトキシシラン(TES)、およびトリメトキシシラン(TMSまたはTriMOS)が挙げられる。
【0058】
いくつかの例では、ケイ素含有前駆体は、シロキサンとすることができる。例示的なシロキサンには、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、オクタメトキシドデカシロキサン(OMODDS)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、トリエトキシシロキサン(TRIES)、およびテトラオキシメチルシクロテトラシロキサン(TOMCTS)が挙げられる。
【0059】
上記のように、いくつかの例では、ケイ素含有前駆体は、アミノシラン、例えばビス(ジエチルアミノ)シラン、ジ(イソプロピルアミノ)シラン(DIPAS)、ビス(t-ブチルアミノ)シラン(BTBAS)、(ジ-sec-ブチルアミノ)シラン、およびトリス(ジメチルアミノ)シラン(3DMAS)とすることができる。アミノシラン前駆体には、以下が挙げられる:Hx-Si-(NR)y、x=1~3、x+y=4であり、Rは、置換または非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、または芳香族基もしくは水素化物基である。
【0060】
いくつかの例では、ハロゲン含有シランは、シランが少なくとも1つの水素原子を含むように使用され得る。そのようなシランは、SiXaHy(y≧1)の化学式を有し得る。例えば、ジクロロシラン(H2SiCl2)がいくつかの例では使用され得る。
【0061】
「シャワーヘッド」という用語は、一般に、領域全体に分散された複数のホールを備える処理化学物質出口を表す。
【0062】
「階段構造」という用語は、一般に、各連続層が前の層と比較してさらに長い距離まで横方向に延びる2つ以上の積層層を備える基板構造を表す。
【0063】
「基板」という用語は、一般に、膜を堆積させることができる任意の物体を表す。
【0064】
「基板支持体」という用語は、一般に、処理チャンバで基板を支持するための任意の構造を表す。例には、裏面堆積プロセスに使用されるチャック、台座、およびシャワーヘッド台座が挙げられる。
【0065】
「3Dメモリ構造」という用語は、一般に、メモリセルが垂直に層状にされる積層アーキテクチャを備えるメモリデバイスを形成するための製作プロセスにおける任意の時点で形成された構造を表す。3Dメモリ構造の例には、3D NANDメモリおよび3D NORメモリ製作プロセスで形成された構造が挙げられる。
【0066】
「3D NAND」という用語は、三次元NOT ANDメモリの頭字語であり、NOT AND論理ゲートに基づくメモリアーキテクチャを表す。
【0067】
「3D NOR」という用語は、三次元NOT ORメモリの頭字語であり、NOT OR論理ゲートに基づくメモリアーキテクチャを表す。
【0068】
上述のように、メモリ構造の製作は、材料の堆積、パターニング、および除去といった多くのステップを伴い得る。例えば、3D NANDおよび3D NOR半導体デバイスなどの3Dメモリデバイスは、「アクティブ」デバイス層がペアのうちの一方であり、他方が電気的絶縁のための誘電体である、積層された材料のペア上に構築される。これらの層のペアを積層することによって、製造業者はより多くのアクティブ層を作成することができ、最終的には「モールドスタック」と呼ばれるものを構築することができる。モールドスタックのパターニング、エッチング、およびメタライゼーションが実行され、3D NANDメモリチップが作成される。3D NANDデバイスの統合フロー中、事実上空の空間(別名ギャップ)である大きな領域がデバイス内に作成される。これらのギャップは、さらなるパターニングステップのための材料を提供するために誘電体材料で充填されることが多い。ギャップを充填する材料は、本明細書ではギャップフィル材料と呼ばれる。
【0069】
パターニングおよびデバイスの統合は、多くの場合、ギャップフィル材料を通してホール(例えば、円筒形のホール)をエッチングすることを伴う。エッチングの深さは、モールドスタックの全体の高さに依存する。3Dメモリ技術におけるフィーチャの高さが増加していることを考慮すると、エッチングプロセスで除去する必要がある材料の量は増加し続けている。材料の除去に使用される時間の量もまた、エッチング深さが増加するにつれて増加する。これにより製造ラインの速度が低下し、統合フローがさらに複雑になる可能性がある。
【0070】
ギャップフィル材料へのフィーチャのエッチングは、ドライエッチングを使用して実行することができる。ドライエッチング環境において考慮すべき変数には、ガス混合物、処理チャンバ圧力、およびプロセス温度が挙げられる。
【0071】
一部のドライエッチングプロセスでは、ドライエッチング環境に曝露されている材料が積極的に冷却される。そのようなエッチングプロセスは、極低温エッチングと呼ばれる。堆積された材料とエッチャントとの間で化学的および物理的反応が起こるため、曝露された材料を冷却すると基板から熱が除去される。エッチング中にフィーチャ側壁を低温に保つことにより、エッチングプロセス中のイオンがギャップの奥深くに移動することが可能になり得る。より多くの反応剤がギャップの底部にあるほど、エッチング速度を高めることができる。これは、エッチングが進行しても周囲の材料を無傷に保つために、比較的長くて深いエッチングに有益な影響を与えることができる。したがって、極低温エッチングツールは、3Dメモリデバイス技術におけるフィーチャをエッチングするために使用することができる。3D NAND製作に関連して以下に説明するが、開示された例は、3D NORメモリデバイスなどの他のタイプの3Dデバイスの製作にも使用することが可能である。
【0072】
既存の3D NANDギャップフィル材料は、ケイ素、酸素、炭素、および水素を含むことができ、ケイ素および酸素が大部分の元素である。
図1を参照すると、102で示されるように、基板温度が低下するにつれて酸化ケイ素ドライエッチングプロセスのエッチング速度が増加することが分かる。したがって、極低温エッチングを使用して、より速い酸化ケイ素のエッチング速度を達成することが可能になり得る。さらに、104で示されるように、窒化ケイ素は、広い温度範囲にわたって酸化ケイ素よりも高いエッチング速度を有することが分かる。したがって、酸化ケイ素膜に窒素をドープし、所与の温度でのエッチング速度を増加させることができる。他のエッチング速度修正ドーパントを使用して、酸化ケイ素のエッチング速度を修正することも可能である。他のエッチング速度修正ドーパントの例には、炭素、ホウ素、ヒ素、またはリンの1つまたは複数が挙げられ得る。
【0073】
極低温エッチングおよびドープ酸化ケイ素膜を使用することによって酸化ケイ素膜のエッチング速度を増加させることにより、3D NANDまたは3D NOR製作プロセスなどのギャップフィル材料におけるフィーチャのエッチングを促進することができる。例えば、以下でより詳細に説明するように、ドライエッチングを使用して比較的深くて狭いフィーチャをギャップフィル材料にエッチングする場合、エッチング速度はフィーチャの様々な寸法に影響を及ぼす可能性がある。より具体的な例として、ドライエッチング速度が遅いと、反り(フィーチャ深さの関数としてのフィーチャ直径の不均一性)が生じ、また、垂直方向の成長(深さ)の関数としての横方向の成長(例えば、フィーチャ直径の成長)の速度が速くなる可能性がある。さらに、ドライエッチング速度が遅いと、プロセス時間が長くなり、出費が増大する可能性もある。ドープ酸化ケイ素ギャップフィル材料の極低温エッチングは、アンドープ酸化ケイ素膜の極低温エッチングと比較して、そのような問題を軽減するのに役立つことができる。例示的なエッチングプロセスについて、以下でさらに詳細に説明する。
【0074】
図2は、エッチング速度修正ドーパントがドープされた酸化ケイ素ギャップフィル材料を堆積するために使用することができる例示的な処理ツール200の概略図を概略的に示す。処理ツール200は、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)ツールとして構成される。他の例では、任意の他の適切な堆積ツールを使用して、エッチング速度修正ドーパントがドープされた酸化ケイ素ギャップフィル材料を堆積することができる。例には、原子層堆積(ALD)ツールが挙げられ得る。
【0075】
処理ツール200は、処理チャンバ202と、処理チャンバ内の基板支持体204とを備える。基板支持体204は、処理チャンバ202内に配置された基板206を支持するように構成される。いくつかの例では、処理ツール200は、基板206に隣接して配置された基板ヒータ208を備える。他の例では、ヒータは省略することもできるし、処理チャンバ202内の別の場所に位置することもできる。基板支持体204は、台座、チャック、および/または任意の他の適切な構造を備えることができる。
【0076】
処理ツール200は、シャワーヘッド210と、シャワーヘッド210に接続されたガス入口212と、流量制御ハードウェア214とをさらに備える。他の例では、処理ツールは、シャワーヘッドとは対照的に、またはシャワーヘッドに加えて、ガスを処理チャンバ202に導入するためのノズルまたは他の装置を備えることができる。流量制御ハードウェア214は、ケイ素前駆体ガス源216、第1のエッチング速度修正ドーパントガス源217、任意選択の第2のエッチング速度修正ドーパントガス源218、酸素含有ガス源219、および不活性ガス源220に接続される。ケイ素前駆体ガス源216は、酸素含有ガスと反応すると酸化ケイ素膜を形成する任意の適切なケイ素含有前駆体を含むことができる。1つの例示的なケイ素含有前駆体は、シランである。いくつかの例では、1つまたは複数のアミノシランを使用することができる。適切なアミノシランには、ジ(イソプロピルアミノ)シラン(DIPAS)およびビス(t-ブチルアミノ)シラン(BTBAS)が挙げられる。他の例示的なケイ素含有前駆体には、上述したものが挙げられる。
【0077】
酸素含有ガス源219は、例えば、O2、O3、N2O、H2O2、水蒸気、またはそれらの2つ以上の混合物を含むことができる。
【0078】
第1のエッチング速度修正ドーパントガス源217は、第1のエッチング速度修正ドーパントを酸化ケイ素膜に導入するための任意の適切なガスを含むことができる。任意選択の第2のエッチング速度修正ドーパントガス源218は、第1のエッチング速度修正ドーパント前駆体とは異なる第2のエッチング速度修正ドーパント前駆体を含むことができる。いくつかの例では、処理ツールは、追加のエッチング速度修正ドーパントガス源を含むことが可能である。
【0079】
適切なエッチング速度修正ドーパント前駆体の例には、窒素含有前駆体、リン含有前駆体、炭素含有前駆体、ホウ素含有前駆体、およびヒ素含有前駆体が挙げられる。さらなるエッチング速度修正ドーパントの2つを使用する膜の場合、エッチング速度修正ドーパントの任意の適切な組み合わせを使用することができる。いくつかの例では、第1のエッチング速度修正ドーパントガス源217は、窒素含有前駆体を含む。いくつかのそのような例では、第2のエッチング速度修正ドーパントガス源218は、リン含有前駆体を含む。窒素含有前駆体の例には、アンモニア(NH3)およびアミノシランが挙げられる。例えば、アミノシランを使用してケイ素と窒素の両方を提供し、窒素ドープ酸化ケイ素膜を成長させることが可能である。適切なアミノシランには、DIPASおよびBTBASが挙げられる。リン含有前駆体の例には、ホスフィン(PH3)、ならびにトリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、およびトリブチルホスフィンなどのアルキルホスフィンが挙げられる。ホウ素含有前駆体の一例は、ジボラン(B2H6)である。炭素含有前駆体の例には、一酸化炭素(CO)、アルカン、アルケン、アルキン、環状炭化水素、芳香族化合物、アルコール、アルデヒド、エステル、エーテル、ケトン、アルキルアミン、アルキルジアミン、および有機ケイ素前駆体(例えば、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、およびシロキサン)が挙げられる。ヒ素含有前駆体の一例は、アルシン(AsH3)である。
【0080】
不活性ガス源220は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、または窒素の1つまたは複数などの任意の適切な不活性ガスを含むことができる。
【0081】
流量制御ハードウェア214は、ガス入口212を介してガスを様々なガス源から処理チャンバ202内に流すように制御され得る。流量制御ハードウェア214は、選択されたガス源をガス入口212と流体接続するように制御可能な1つまたは複数の弁を備えることができる。
【0082】
処理ツール200は、排気システム224をさらに備える。排気システム224は、処理チャンバ202から流出するガスを受け取るように構成される。いくつかの例では、排気システム224は、処理チャンバ202からガスを能動的に除去し、かつ/または部分真空を適用するように構成される。排気システム224は、1つまたはポンプを含む任意の適切なハードウェアを備えることができる。
【0083】
処理ツール200は、基板支持体204に電気的に接続された高周波電源228をさらに備える。高周波電源228は、酸素含有ガスを含むプラズマを形成するように構成される。処理ツール200はまた、高周波電源228のインピーダンス整合のための整合ネットワーク229を備える。プラズマはまた、不活性ガス源220からの不活性希釈ガスを含むことができる。高周波電源228は、任意の適切な周波数(例えば、例として400kHzまたは13.56MHz)および電力(例えば、0~6500ワット)用に構成され得る。いくつかの例では、高周波電源228は、複数の異なる周波数および/または電力で動作するように構成される。
【0084】
コントローラ230は、基板ヒータ208、流量制御ハードウェア214、排気システム224、および高周波電源228に動作可能に結合される。コントローラ230は、基板ヒータ208を動作させて所望の温度に加熱するなど、処理ツール200の様々な機能を制御するように構成される。コントローラ230は、流量制御ハードウェア214を動作させ、選択されたガスを処理チャンバ202内に流すようにさらに構成される。コントローラ230は、排気システム224を動作させるようにさらに構成される。コントローラ230は、高周波電源228を動作させてプラズマを形成するようにさらに構成される。コントローラ230は、任意の適切なコンピューティングシステムを備えることができ、その例については
図11を参照して以下で説明する。
【0085】
図3は、本明細書では低温エッチングプロセスとも呼ばれる極低温ドライエッチングプロセスを実行するように構成された例示的なエッチングツール300を概略的に示す。エッチングツール300は、処理チャンバ302と、処理チャンバ内の基板支持体304とを備える。基板支持体304は、処理チャンバ302内に配置された基板306を支持するように構成される。基板支持体304は、台座、チャック、および/または任意の他の適切な構造を備えることができる。
【0086】
エッチングツール300は、ガス入口312と、流量制御ハードウェア314とをさらに備える。流量制御ハードウェア314は、エッチャントガス源316および不活性ガス源320に接続される。エッチャントガス源316は、任意の適切なエッチャント化学物質を含むことができる。例には、フッ素含有エッチャントが挙げられる。適切なフッ素含有エッチャントには、HF、NF3、CF4、およびC2F6が挙げられる。不活性ガス源320は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、または窒素の1つまたは複数などの任意の適切な不活性ガスを含むことができる。
【0087】
流量制御ハードウェア314は、ガス入口312を介してガスをエッチャントガス源316および不活性ガス源320から処理チャンバ302内に流すように制御可能である。流量制御ハードウェア314は、選択されたガス源をガス入口312と流体接続するように制御可能な1つまたは複数の弁を備える。
【0088】
エッチングツール300は、排気システム324をさらに備える。排気システム324は、処理チャンバ302から流出するガスを受け取るように構成される。いくつかの例では、排気システム324は、処理チャンバ302からガスを能動的に除去し、かつ/または部分真空を適用するように構成される。排気システム324は、1つまたはポンプを含む任意の適切なハードウェアを備えることができる。
【0089】
エッチングツール300は、基板支持体304に電気的に接続された高周波電源328をさらに備える。したがって、基板支持体304は、第1の電極を形成する。エッチングツール300は、第2の電極350をさらに備える。高周波電源328は、エッチャントガスを含むプラズマを形成するように構成される。エッチングツール300は、高周波電源328のインピーダンス整合のための整合ネットワーク329を含むことができる。プラズマはまた、不活性ガス源320からの不活性希釈ガスを含むことができる。高周波電源328は、任意の適切な周波数および電力用に構成され得る。いくつかの例では、高周波電源328は、複数の異なる周波数および/または電力で動作するように構成される。
【0090】
エッチングツール300は、低温エッチングプロセスのために基板支持体304を通して冷却剤を循環させ、基板を冷却するように構成されたチラー352をさらに備える。
【0091】
コントローラ330は、流量制御ハードウェア314、排気システム324、高周波電源328、およびチラー352に動作可能に結合される。コントローラ330は、基板チラー352を動作させて基板を所望の温度に冷却するなど、エッチングツール300の様々な機能を制御するように構成される。コントローラ330は、流量制御ハードウェア314を動作させ、選択されたガスを処理チャンバ302内に流すようにさらに構成される。コントローラ330は、排気システム324を動作させるようにさらに構成される。コントローラ330は、高周波電源328を動作させてプラズマを形成するようにさらに構成される。コントローラ330は、任意の適切なコンピューティングシステムを備えることができ、その例については
図11を参照して以下で説明する。
【0092】
図4は、低温エッチングプロセスを実行する方法400を図示するフロー図を示す。エッチングツール300は、方法400を実行するための例示的な処理ツールである。方法400は、402において、処理ツールの処理チャンバに基板を載置することであって、基板は、酸化ケイ素およびエッチング速度修正ドーパントを含む誘電体材料を含むことを含む。いくつかの例では、404において、エッチング速度修正ドーパントは、窒素、炭素、ホウ素、ヒ素、またはリンの1つまたは複数を含む。
【0093】
方法400は、406において、基板を0℃以下の基板温度に冷却するように処理ツールを制御することをさらに含む。いくつかの例では、処理ツールは、基板を-60℃~-10℃の範囲内の基板温度に冷却することができる。他の例では、この範囲外の基板温度を使用することができる。
【0094】
続いて、410において、方法400は、エッチャントを処理チャンバに導入するように処理ツールを制御することをさらに含む。いくつかの例では、412において、エッチャントは、フッ素含有エッチャントを含む。適切なフッ素含有エッチャントには、HF、NF3、CF4、およびC2F6が挙げられる。
【0095】
方法400は、416において、10:1~100:1の範囲内のアスペクト比を含むフィーチャを誘電体材料にエッチングするためのエッチャントを含むプラズマを形成するように処理ツールを制御することをさらに含む。いくつかの例では、418において、フィーチャは、30:1~70:1の範囲内のアスペクト比を含む。本明細書に記載されるすべての範囲は、終点を含む。いくつかの例では、フィーチャは、100:1を超えるアスペクト比を含むことができる。いくつかの例では、フィーチャは、メモリデバイス構造内のホールを備える。いくつかの例では、420において、フィーチャは、3D NANDメモリ構造内のコンタクトホールを備える。他の例では、フィーチャは、3D NORメモリ構造内のコンタクトホールを備える。さらに、いくつかの例では、基板は、3D NAND構造用のモールドスタック内に交互層を備える第1の基板構造と、誘電体材料を含む第2の基板構造とを備える。そのような例では、方法は、422で示されるように、第2の基板構造内のホールおよび第1の基板構造内のチャネルホールの少なくとも一部を同時にエッチングするように処理ツールを制御することをさらに含む。
【0096】
図5Aおよび
図5Bは、ハードマスク層を通して酸化ケイ素層にエッチングされた例示的な高アスペクト比のフィーチャと、ハードマスク層を通して窒素ドープ酸化ケイ素層にエッチングされた例示的な高アスペクト比のフィーチャを比較した図を示す。
【0097】
より詳細には、
図5Aは、低温エッチングプロセスを使用して、アンドープ酸化ケイ素を含むギャップフィル材料502にエッチングされたフィーチャ500を概略的に示す。フィーチャは、ハードマスク504によって画定される。示すように、いくつかの例では、アンドープ酸化ケイ素のドライエッチング速度が比較的遅いため、反りが生じる可能性がある。これは、ギャップフィル材料502とハードマーク504の界面におけるフィーチャ500の幅の増加とその後の減少によって示される。その結果、この界面におけるフィーチャ500の幅(例えば、直径)寸法は、ハードマスク504における対応する開口部の幅(例えば、直径)よりも大きい。さらに、反りおよびより広い寸法は、フィーチャ500をその深さいっぱいまでエッチングする前に明らかであり得る。
【0098】
図5Bは、フィーチャ500と同様のエッチング条件下で、低温エッチングプロセスを使用して、エッチング速度修正ドーパントがドープされた酸化ケイ素を含むギャップフィル材料552にエッチングされたフィーチャ550を概略的に示す。上述したように、エッチング速度修正ドーパントの使用により、アンドープ酸化ケイ素をエッチングする場合と比較して、より速いエッチング速度を提供することができる。任意の適切なドーパント濃度を使用することが可能である。いくつかの例では、16~20原子パーセントの窒素濃度を含むNドープ酸化ケイ素膜は、約180nm/分のエッチング速度を有することができる。アンドープ酸化膜は、同様のエッチング条件下で約100nm/分のエッチング速度を有することができる。
【0099】
フィーチャ500とは対照的に、フィーチャ550は、フィーチャ500およびハードマスク504と比較して、反りが少なく、幅がハードマスク554における対応する開口部の幅により厳密に一致している。フィーチャ550は、任意の適切なアスペクト比を有することができる。いくつかの例では、フィーチャ550は、10:1以上のアスペクト比を有することが可能である。例えば、フィーチャ550は、10:1~100:1のアスペクト比を有することができる。いくつかの例では、フィーチャ550は、50:1~100:1のアスペクト比を有することができる。
【0100】
フィーチャ550は、集積回路内の任意の適切な構造であり得る。いくつかの例では、フィーチャ550は、3D NAND製作プロセスまたは3D NOR製作プロセスにおけるコンタクトホールを備えることが可能である。さらに、上述したように、エッチング速度修正ドーパントは、任意の適切な材料を含むことができる。例には、窒素、炭素、ホウ素、ヒ素、またはリンの1つまたは複数が挙げられる。
【0101】
エッチング速度修正ドーパントの使用は、
図5Aおよび
図5Bに示すもの以外の利点を提供することができる。例えば、3D NANDデバイスは、モールドスタック(例えば、チャネルホール)の交互層を通して、また酸化ケイ素ギャップフィル材料を通して形成された高アスペクト比のフィーチャを備えることができる。より具体的な例として、NANDデバイスにコンタクトを製作するために、酸化ケイ素ギャップフィル材料を通して高アスペクト比のフィーチャを形成することができる。そのような高アスペクト比のフィーチャは、本明細書ではコンタクトホールと呼ばれることもある。典型的なNAND製作プロセスでは、チャネルホールおよびコンタクトホールは、異なるプロセスでエッチングされる。これは、同じエッチング化学物質およびエッチング条件を使用して、酸化ケイ素ギャップフィルとは異なる速度でエッチングされるモールドスタックの交互層の少なくとも一部である。
【0102】
酸化ケイ素ギャップフィル材料における1つまたは複数のエッチング速度修正ドーパントの使用により、ギャップフィル材料のエッチング速度を修正し、モールドスタックの交互層のエッチング速度に適切に近づけることが可能になり得る。1つの例示的な例として、モールドスタックが交互の酸化ケイ素層と窒化ケイ素層を備える場合、エッチング速度修正ドーパントは、窒素、および/または1つ以上の他の適切な材料を含むことができる。2つ以上の共ドーパントを利用する例について、以下でさらに詳細に説明する。酸化ケイ素ギャップフィル材料中の窒素および/または他のドーパントの濃度は、モールドスタックの交互層における材料の平均エッチング速度に一致させるためにエッチング速度を修正するように選択される。これにより、チャネルホールエッチングおよびギャップフィルエッチングを同様の速度で進行させることが可能になり得る。同様に、エッチング修正ドーパントの濃度もまた、エッチング速度における差の制御を達成するように選択することができ、それによって異なる深さのフィーチャを同じステップでエッチングすることが可能になる。堆積中にギャップフィル材料に組み込まれるドーパントの量は、ケイ素含有前駆体ガスと比較して使用されるドーパント前駆体ガスの濃度を制御することによって制御することができる。
【0103】
図6は、チャネルホールの少なくとも一部およびギャップフィル材料内のホールを同時にエッチングすることを含む、メモリデバイス製作プロセスを実行するための例示的な方法のフロー図を示す。602において、方法600は、処理ツールの処理チャンバに基板を載置することであって、基板は、3Dメモリ構造用のモールドスタックに交互層を備える第1の基板構造を備え、基板はまた、1つまたは複数のエッチング速度修正ドーパントがドープされた酸化ケイ素層を備える第2の基板構造を備えることを含む。いくつかの例では、604において、方法600は、ケイ素含有前駆体、酸素含有ガス、およびエッチング速度修正ドーパント前駆体を反応させ、エッチング速度修正ドーパントがドープされた酸化ケイ素層を形成することによって第2の基板構造を堆積することをさらに含む。いくつかの例では、606において、エッチング速度修正ドーパント前駆体は、窒素含有前駆体、リン含有前駆体、炭素含有前駆体、ホウ素含有前駆体、またはヒ素含有前駆体の1つまたは複数を含む。続いて、610において、方法600は、第1の基板構造内のチャネルホールの少なくとも一部および第2の基板構造内のホールの少なくとも一部を同時にエッチングすることを含むエッチングサイクルを実行するように処理ツールを制御することをさらに含む。いくつかの例では、第2の基板構造内のホールは、3Dメモリ構造内のコンタクトホールを備える。
【0104】
いくつかの例では、612において、方法は、エッチングサイクル中に基板を0℃以下の基板温度に冷却するように処理ツールを制御することを含む。いくつかの例では、614において、方法は、フッ素含有エッチャントを処理チャンバに導入することを含む。適切なフッ素含有エッチャントには、HF、NF3、CF4、およびC2F6が挙げられる。いくつかの例では、616において、方法600は、処理チャンバにプラズマを形成することを含む。例えば、方法は、フッ素含有エッチャントを含むプラズマを形成するように処理ツールを制御することを含むことができる。いくつかの例では、618において、第2の基板構造内のホールは、コンタクトホールを備える。いくつかの例では、620において、エッチングサイクルを実行するように処理ツールを制御することは、チャネルホールを50:1~100:1の範囲内のアスペクト比にエッチングするように処理ツールを制御することを含む。いくつかの例では、622において、エッチングサイクルを実行するように処理ツールを制御することは、第2の基板構造内のホールを10:1~100:1の範囲内のアスペクト比にエッチングするように処理ツールを制御することを含む。いくつかの例では、処理ツールは、第2の基板構造内のホールを100:1を超えるアスペクト比にエッチングするように制御され得る。
【0105】
図7は、3D NAND製作プロセスにおける例示的なギャップフィルプロセスを実行する前後の開始構造および終了構造を概略的に示す。まず、「階段」構造が702示される。階段構造702は、交互層704、706を備えるモールドスタックからエッチングされる。いくつかの例では、交互層704、706は、酸化ケイ素層および窒化ケイ素層を備えることができる。他の例では、交互層704、706は、交互の酸化ケイ素層とポリシリコン層を備えることができる。他の例では、交互層704、706は、任意の他の適切な材料を含むことができる。
【0106】
次に、ギャップフィル材料710の層が堆積される。ギャップフィル材料710の層は、
図7には示されていない一連のステップで堆積することができる。そのようなプロセスは、いくつかの例ではパターニング、堆積、およびエッチングのステップを含むことができる。
【0107】
ギャップフィル材料710は、酸化ケイ素およびエッチング速度修正ドーパントを含む。例示的なドーパントには、窒素、炭素、ホウ素、ヒ素、またはリンの1つまたは複数が挙げられる。ドーパントは、エッチング速度を修正するために任意の適切な濃度を有することができる。
【0108】
ギャップフィル材料710は、任意の適切な方式で堆積され得る。例えば、ケイ素含有前駆体(例えば、シランなど)、酸素前駆体(例えば、O2、O3、H2O、N2Oなどの1つまたは複数)、およびエッチング速度修正ドーパント前駆体(例えば、アンモニア、アミノシランなど)を適切な条件下でPECVDチャンバに導入し、基板上にギャップフィル材料の膜を形成することが可能である。他の例では、ギャップフィル材料710は、ALDプロセスを介して堆積され得る。
【0109】
図8は、チャネルホール、およびギャップフィル材料710を通してエッチングされた複数のホールを備える例示的な3Dメモリ構造800を概略的に示す。3Dメモリ構造800は、第1の基板構造802と、第2の基板構造804とを備える。第1の基板構造802は、交互層704、706を備える。第1の基板構造802は、交互層704、706を通って延びるチャネルホール808をさらに備える。任意の適切な数の交互層を使用することが可能である。さらに、チャネルホール808は、第1の基板構造802内の任意の適切な数の層を通って延びることができる。チャネルホール808を1つまたは複数の材料で充填し、3D NANDメモリセル構造または3D NORメモリセル構造を形成することができる。
【0110】
第2の基板構造804は、ギャップフィル材料710を含む。ギャップフィル材料710は、エッチング速度修正ドーパントがドープされた酸化ケイ素の層を備える。上述のように、適切なエッチング速度修正ドーパントは、窒素、炭素、ホウ素、ヒ素、またはリンの1つまたは複数を含み得る。3Dメモリ構造800は、ギャップフィル材料710を通って延びるホール814、815、816、817をさらに備える。ホール814、815、816、817の各々は、階段構造内の異なる層へと延びる。ホール814、815、816、817は各々、コンタクトホールを備えることができ、電気コンタクトを形成するために1つまたは複数の材料で充填することができる。3Dメモリ構造800は、例えば、チャネルホール808の少なくとも一部、およびホール814、815、816、または817の1つまたは複数の少なくとも一部を同時にエッチングするために方法600を使用して形成され得る。
【0111】
上述のように、窒素濃度が比較的高いドープ酸化ケイ素膜は、窒素濃度が比較的低い膜と比較して、エッチング速度が相対的に大きくなり得る。しかし、比較的高い濃度のドーパントが、膜の誘電性質に影響を与える可能性がある。例えば、窒素の濃度が比較的高い酸化ケイ素膜は、窒素の濃度が比較的低い膜と比較して、より低い降伏電圧および/またはより高い漏れ電流を有する場合がある。
【0112】
したがって、2つ以上のエッチング速度修正ドーパントを酸化ケイ素膜にドープするための例も開示される。共ドープ酸化ケイ素膜は、単一のドーパントを用いた例と比較して比較的低いドーパント濃度を使用しながら、上述のエッチング速度の利点を達成するのに役立つことができる。したがって、共ドープ酸化ケイ素膜は、単一のドーパントを有する酸化ケイ素膜よりも膜の誘電性質に与える影響が小さくなり得る。例えば、窒素およびリンがドープされた酸化ケイ素膜は、窒素のみがドープされた酸化ケイ素膜と比較して、ドーパント濃度を50%低減して同様のまたはより速いエッチング速度を達成するのに役立つことができる。いくつかの例では、5~10原子パーセントの窒素濃度および0.1~1.0原子パーセントのリン濃度を含む共ドープ酸化ケイ素膜は、約190nm/分のエッチング速度を有することができる。上述したように、16~20原子パーセントの窒素濃度を含むNドープ酸化ケイ素膜は、同様のエッチング条件下で約180nm/分のエッチング速度を有することができる。さらに、共ドープ酸化ケイ素膜は、窒素のみがドープされた酸化ケイ素膜と比較して、相対的に低い水素濃度を有することが可能である。様々な例において、ドープ酸化ケイ素膜は、1つ、2つ、またはそれ以上のエッチング速度修正ドーパントを含むことができる。
【0113】
図9は、2つのエッチング速度修正ドーパントがドープされた酸化ケイ素の低温エッチングを実行するための例示的な方法900を図示するフロー図を示す。他の例では、3つ以上のエッチング速度修正ドーパントを使用して低温エッチングを実行することができる。
【0114】
方法900は、例えば、エッチングツール300で実行することができる。方法900は、902において、処理ツールの処理チャンバ内で基板を0℃以下の基板温度に冷却するように処理ツールを制御することを含む。基板は、酸化ケイ素、第1のエッチング速度修正ドーパント、および第2のエッチング速度修正ドーパントを含む誘電体材料を含む。エッチング速度修正ドーパントの任意の適切な組み合わせを使用することが可能である。いくつかの例では、904において、第1のエッチング速度修正ドーパントは、窒素を含む。いくつかのそのような例では、906において、誘電体材料は、5~10原子パーセントの範囲内の濃度の窒素を含む酸化ケイ素を含む。さらに、いくつかの例では、908において、第2のエッチング速度修正ドーパントは、リンを含む。いくつかのそのような例では、910において、誘電体材料は、0.1~1.0原子パーセントの範囲内の濃度のリンを含む酸化ケイ素を含む。
【0115】
続いて、方法900は、912において、エッチャントを処理チャンバに導入するように処理ツールを制御することをさらに含む。任意の適切なエッチャントを使用することが可能である。いくつかの例では、914において、エッチャントは、フッ素含有エッチャントを含む。適切なフッ素含有エッチャントには、HF、NF3、CF4、およびC2F6が挙げられる。
【0116】
方法900は、10:1以上の範囲内のアスペクト比を含むフィーチャを誘電体材料にエッチングするためのエッチャントを含むプラズマを形成するように処理ツールを制御することをさらに含む。いくつかの例では、916において、フィーチャは、10:1~100:1のアスペクト比を含む。いくつかの例では、918において、フィーチャは、30:1~70:1の範囲内のアスペクト比を含む。いくつかの例では、フィーチャは、メモリデバイス構造内のホール(例えば、3Dメモリ構造800のホール814、815、816、817)を備える。いくつかの例では、920において、フィーチャは、3Dメモリ構造(例えば、3D NANDまたは3D NOR)内のコンタクトホールを備える。いくつかの例では、基板は、3Dメモリ構造用のモールドスタック内に交互層を備える第1の基板構造と、誘電体材料を含む第2の基板構造とを備える。そのような例では、方法900は、922で示されるように、第2の基板構造内のホールおよび第1の基板構造内のチャネルホールの少なくとも一部を同時にエッチングするように処理ツールを制御することをさらに含むことができる。
【0117】
図10は、処理ツールを使用してメモリデバイス製作プロセスを実行するための別の例示的な方法1000のフロー図を示す。1002において、方法1000は、3Dメモリ構造のモールドスタックの交互層を備える第1の基板構造を備える基板を得ることを含む。基板は、2つ以上のエッチング速度修正ドーパントがドープされた酸化ケイ素層を備える第2の基板構造をさらに備える。いくつかの例では、1004において、2つ以上のエッチング速度修正ドーパントは、窒素を含む第1のエッチング速度修正ドーパントを含む。いくつかの例では、1006において、酸化ケイ素層は、5~10原子パーセントの範囲内の濃度の窒素を含む。いくつかのそのような例では、1008において、2つ以上のエッチング速度修正ドーパントは、リンを含む第2のエッチング速度修正ドーパントをさらに含む。いくつかの例では、1010において、酸化ケイ素層は、0.1~1原子パーセントの範囲内の濃度のリンを含む。
【0118】
いくつかの例では、1012において、第2の基板構造を備える基板を得ることは、CVDツール内でケイ素含有前駆体、酸素含有ガス、窒素含有前駆体、およびリン含有前駆体を反応させることによって第2の基板構造を堆積することを含む。任意の適切な前駆体を使用することが可能である。いくつかの例では、1014において、リン含有前駆体は、ホスフィンまたはアルキルホスフィンの1つまたは複数を含む。さらに、いくつかの例では、1016において、窒素含有前駆体は、アンモニア、ジ(イソプロピルアミノ)シラン、またはビス(t-ブチルアミノ)シランの1つまたは複数を含む。いくつかの例では、酸素含有ガスは、O2、O3、亜酸化窒素(N2O)、または水蒸気の1つまたは複数を含む。処理ツール200は、1012で第2の基板構造を堆積するための例示的なツールである。ギャップフィル材料710は、1012で堆積させることができる第2の基板構造の一例である。他の例では、事前に堆積された第2の基板構造を備える基板を得ることができる。
【0119】
いくつかの例では、ホールについての所望のエッチング速度を達成するようにドーパント濃度を選択することができる。これにより、第1の基板構造内のチャネルホール(例えば、第1の基板構造802のチャネルホール808)および第2の基板構造内のホール(例えば、第2の基板構造804のホール814、815、816、817)の同時エッチングが容易になり得る。
【0120】
方法1000は、1020において、エッチングツールに基板を載置することと、エッチングサイクルを実行するようにエッチングツールを制御することとをさらに含む。エッチングサイクルは、第1の基板構造内のチャネルホールの少なくとも一部をエッチングすることと、第2の基板構造内のホールの少なくとも一部をエッチングすることとを含む。チャネルホール808は、1020でエッチングすることができる第1の基板構造内のチャネルホールの一例である。ホール814、815、816、817は、1020でエッチングすることができる第2の基板構造内のホールの例である。いくつかの例では、1022において、第2の基板構造内のホールは、コンタクトホールを備える。いくつかの例では、1024において、処理ツールは、処理チャンバを備え、エッチングサイクルを実行するように処理ツールを制御することは、フッ素含有エッチャントを処理チャンバに導入するように処理ツールを制御することを含む。適切なフッ素含有エッチャントには、HF、NF3、CF4、およびC2F6が挙げられ得る。第1の基板構造にチャネルホールを形成し、かつ第2の基板構造にホールを形成する際、本明細書で詳細に説明されていない様々なパターニングステップを使用することが可能である。いくつかの例では、1026において、方法1000は、エッチングサイクル中に基板を0℃以下に冷却するように処理ツールを制御することをさらに含む。
【0121】
図11は、例示的なコンピューティングシステムのブロック図を概略的に示す。コンピューティングシステム1100は、簡略化された形式で示されている。コンピューティングシステム1100は、1つまたは複数のパーソナルコンピュータ、ワークステーション、基板処理ツールと統合されたコンピュータ、および/またはネットワークアクセス可能なサーバコンピュータの形式をとることができる。
【0122】
コンピューティングシステム1100は、論理マシン1102と、記憶マシン1104とを含む。コンピューティングシステム1100は、任意選択で、ディスプレイサブシステム1106、入力サブシステム1108、通信サブシステム1110、および/または
図11に示されていない他の構成要素を含むことができる。コントローラ230およびコントローラ330は、コンピューティングシステム1100の例である。
【0123】
論理マシン1102は、命令を実行するように構成された1つまたは複数の物理デバイスを含む。例えば、論理マシンは、1つまたは複数のアプリケーション、サービス、プログラム、ルーチン、ライブラリ、オブジェクト、構成要素、データ構造、または他の論理構造の一部である命令を実行するように構成され得る。そのような命令は、タスクを実施する、データ型を実装する、1つまたは複数の構成要素の状態を変換する、技術的効果を達成する、または他の方法で所望の結果に到達するために実装され得る。
【0124】
論理マシンは、ソフトウェア命令を実行するように構成された1つまたは複数のプロセッサを含み得る。追加的または代替的に、論理マシンは、ハードウェアまたはファームウェア命令を実行するように構成された1つまたは複数のハードウェアまたはファームウェア論理マシンを含むことができる。論理マシンのプロセッサは、シングルコアまたはマルチコアであってもよく、そこで実行される命令は、逐次、並列、および/または分散処理用に構成されてもよい。論理マシンの個々の構成要素は、任意選択で、2つ以上の別々のデバイス間で分散され得、これらのデバイスは、遠隔に配置され得、かつ/または調整された処理のために構成され得る。論理マシンの態様は、クラウドコンピューティング構成で構成されたリモートアクセス可能なネットワークコンピューティングデバイスによって仮想化され、かつ実行され得る。
【0125】
記憶マシン1104は、本明細書に記載の方法およびプロセスを実装するために論理マシンによって実行可能な命令1112を保持するように構成された1つまたは複数の物理デバイスを含む。そのような方法およびプロセスが実装されると、記憶マシン1104の状態は、例えば、異なるデータを保持するために変換され得る。
【0126】
記憶マシン1104は、取り外し可能なデバイスおよび/または内蔵デバイスを含み得る。記憶マシン1104は、とりわけ、光メモリ(例えば、CD、DVD、HD-DVD、ブルーレイディスクなど)、半導体メモリ(例えば、RAM、EPROM、EEPROMなど)、および/または磁気メモリ(例えば、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、テープドライブ、MRAMなど)を含むことができる。記憶マシン1104は、揮発性、不揮発性、動的、静的、読み取り/書き込み、読み取り専用、ランダムアクセス、シーケンシャルアクセス、位置アドレス指定可能、ファイルアドレス指定可能、および/またはコンテンツアドレス指定可能なデバイスを含み得る。
【0127】
記憶マシン1104は、1つまたは複数の物理デバイスを含むことが理解されよう。しかし、本明細書に記載の命令の態様は、代わりに、物理デバイスによって有限の期間保持されない通信媒体(例えば、電磁信号、光信号など)によって伝播されてもよい。
【0128】
論理マシン1102および記憶マシン1104の態様は、1つまたは複数のハードウェア論理構成要素に統合されてもよい。そのようなハードウェア論理構成要素には、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラムおよび特定用途向け集積回路(PASIC/ASIC)、プログラムおよび特定用途向け標準製品(PSSP/ASSP)、システムオンチップ(SOC)、ならびに複合プログラマブル論理デバイス(CPLD)が挙げられ得る。
【0129】
含まれる場合、ディスプレイサブシステム1106は、記憶マシン1104によって保持されるデータの視覚的表現を提示するために使用され得る。この視覚的表現は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)の形式をとることができる。本明細書に記載の方法およびプロセスが記憶マシンによって保持されるデータを変更し、それにより記憶マシンの状態を変換するとき、ディスプレイサブシステム1106の状態も同様に変換され、基礎となるデータの変化を視覚的に表すことが可能である。ディスプレイサブシステム1106は、事実上あらゆるタイプの技術を利用する1つまたは複数のディスプレイデバイスを含み得る。そのようなディスプレイデバイスは、共有エンクロージャ内の論理マシン1102および/もしくは記憶マシン1104と組み合わせることができ、またはそのようなディスプレイデバイスは、周辺ディスプレイデバイスとすることができる。
【0130】
含まれる場合、入力サブシステム1108は、キーボード、マウス、またはタッチスクリーンなどの1つまたは複数のユーザ入力デバイスを備えるか、またはそれらとインターフェースすることができる。いくつかの例では、入力サブシステムは、選択されたナチュラルユーザ入力(NUI)コンポーネント要素を備えるか、または選択されたNUIコンポーネント要素とインターフェースすることができる。そのようなコンポーネント要素は、統合または周辺化することができ、入力アクションの変換および/または処理は、オンボードまたはオフボードで対応することができる。例示的なNUIコンポーネント要素は、発話および/または音声認識用のマイクロフォン、ならびにマシンビジョンおよび/またはジェスチャ認識用の赤外線、カラー、立体、および/または深度カメラを含み得る。
【0131】
含まれる場合、通信サブシステム1110は、コンピューティングシステム1100を1つまたは複数の他のコンピューティングデバイスと通信可能に結合するように構成され得る。通信サブシステム1110は、1つまたは複数の異なる通信プロトコルと互換性のある有線および/または無線通信デバイスを含むことができる。非限定的な例として、通信サブシステムは、無線電話ネットワーク、または有線もしくは無線のローカルエリアネットワークもしくはワイドエリアネットワークを介して通信するように構成され得る。いくつかの例では、通信サブシステムは、コンピューティングシステム1100がインターネットなどのネットワークを介して他のデバイスとの間でメッセージを送信および/または受信することを可能にすることができる。
【0132】
本明細書に記載の構成および/または手法は本質的に例示的なものであり、多数の変形が可能であるため、これらの特定の例は限定的な意味で考慮されるべきではないことが理解されるであろう。本明細書に記載の特定のルーチンまたは方法は、任意の数の処理戦略の1つまたは複数を表すことができる。したがって、図示および/または説明される様々な動作は、図示および/または説明される順序で、他の順序で、並行して、または省略されて実施されてもよい。同様に、上述のプロセスの順番は変更されてもよい。
【0133】
本開示の主題は、本明細書に開示される様々なプロセス、システムおよび構成、ならびに他の特徴、機能、動作、および/または性質のすべての新規かつ非自明の組み合わせおよび部分組み合わせ、ならびにそれらのあらゆる等価物を含む。
【手続補正書】
【提出日】2025-01-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
いくつかの例では、ケイ素含有前駆体は、アルコキシシランである。使用され得るアルコキシシランには、以下が挙げられる:
Hx-Si-(OR)y、x=1~3、x+y=4であり、各Rは、置換または非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、または芳香族基であり、
Hx(RO)y、-Si-Si-(OR)yHx
、Rは、置換または非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、または芳香族基である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0082
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0082】
処理ツール200は、排気システム224をさらに備える。排気システム224は、処理チャンバ202から流出するガスを受け取るように構成される。いくつかの例では、排気システム224は、処理チャンバ202からガスを能動的に除去し、かつ/または部分真空を適用するように構成される。排気システム224は、1つまたは複数のポンプを含む任意の適切なハードウェアを備えることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0088】
エッチングツール300は、排気システム324をさらに備える。排気システム324は、処理チャンバ302から流出するガスを受け取るように構成される。いくつかの例では、排気システム324は、処理チャンバ302からガスを能動的に除去し、かつ/または部分真空を適用するように構成される。排気システム324は、1つまたは複数のポンプを含む任意の適切なハードウェアを備えることができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0097
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0097】
より詳細には、
図5Aは、低温エッチングプロセスを使用して、アンドープ酸化ケイ素を含むギャップフィル材料502にエッチングされたフィーチャ500を概略的に示す。フィーチャは、ハードマスク504によって画定される。示すように、いくつかの例では、アンドープ酸化ケイ素のドライエッチング速度が比較的遅いため、反りが生じる可能性がある。これは、ギャップフィル材料502とハード
マスク504の界面におけるフィーチャ500の幅の増加とその後の減少によって示される。その結果、この界面におけるフィーチャ500の幅(例えば、直径)寸法は、ハードマスク504における対応する開口部の幅(例えば、直径)よりも大きい。さらに、反りおよびより広い寸法は、フィーチャ500をその深さいっぱいまでエッチングする前に明らかであり得る。
【国際調査報告】