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特表2025-523344温度推定に基づく高周波システム保護
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-07-23
(54)【発明の名称】温度推定に基づく高周波システム保護
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20250715BHJP
   G01K 7/00 20060101ALI20250715BHJP
   H03H 7/40 20060101ALI20250715BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20250715BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H05H1/46 L
H05H1/46 M
G01K7/00 381Z
H03H7/40
H02J50/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024566203
(86)(22)【出願日】2023-04-29
(85)【翻訳文提出日】2024-12-24
(86)【国際出願番号】 US2023020505
(87)【国際公開番号】W WO2023239494
(87)【国際公開日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】63/365,992
(32)【優先日】2022-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フレンチ・デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ランジネニ・ヤスワンス
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA03
2G084AA05
2G084BB02
2G084BB33
2G084CC03
2G084CC05
2G084CC06
2G084CC07
2G084CC12
2G084CC13
2G084CC33
2G084DD02
2G084DD03
2G084DD13
2G084DD15
2G084DD23
2G084DD24
2G084DD38
2G084DD55
2G084EE24
2G084EE25
2G084HH05
2G084HH08
2G084HH19
2G084HH20
2G084HH21
2G084HH22
2G084HH23
2G084HH24
2G084HH28
2G084HH29
2G084HH35
2G084HH36
2G084HH43
2G084HH45
(57)【要約】
【解決手段】電子回路を熱的に保護するための方法が開示されている。少なくとも1つの実施例において、電子回路は、第1構成要素および第2構成要素を少なくとも備える。少なくとも1つの実施例において、方法は、第1構成要素の第1入力電圧および第1入力電流を測定することを備える。少なくとも1つの実施例において、方法は、さらに、第2構成要素の第2入力電圧および第2入力電流を計算することを備える。少なくとも1つの実施例において、方法は、さらに、第1構成要素の第1温度および第2構成要素の第2温度を計算することを備え、第1温度は、第1入力電流の関数であり、第2温度は、第2入力電流の関数である
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度を測定するための方法であって、
高周波(RF)電流をRF電力供給網に印加することを備え、
前記RF電力供給網は、第2構成要素に結合されている第1構成要素を少なくとも備え、
前記第1構成要素は、第1ノードを備え、
前記第2構成要素は、第2ノードを備え、
前記第2ノードは、前記第1構成要素および前記第2構成要素を相互接続しており、
前記方法は、さらに、
前記第1ノードにおける第1電圧および第1電流を測定し、
前記第1電圧の測定および前記第1電流の測定に基づいて、前記第2ノードにおける第2電圧および第2電流を計算し、
前記第1構成要素の第1温度および前記第2構成要素の第2温度を計算することを備え、前記第1温度は、前記第1電流の関数であり、前記第2温度は、前記第2電流の関数である、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記第2電圧および前記第2電流を計算することは、第1伝達行列に基づいて、前記第1電圧を前記第2電圧に変換し、前記第1電流を前記第2電流に変換することを備える、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、さらに、第3電圧および第3電流を決定することを備え、第2伝達行列に基づいて、前記第2電圧は前記第3電圧に変換され、前記第2電流は前記第3電流に変換される、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、さらに、
前記第1電流を前記第1構成要素の第1散逸電力に変換し、前記第2電流を前記第2構成要素の第2散逸電力に変換すること、を備える、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記第1構成要素の前記第1温度を計算することは、或る時間間隔における前記第1散逸電力の第1積分を計算することを備える、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、前記第2構成要素の前記第2温度を計算することは、
前記時間間隔における前記第2散逸電力の第2積分を計算し、
前記第2積分に前記第2構成要素の第2熱定数を乗じることを備える、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、さらに、前記第1温度を前記第1構成要素の第1温度限界と比較し、前記第2温度を前記第2構成要素の第2温度限界と比較することを備える、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、さらに、少なくとも前記第1温度が前記第1温度限界を超え、または、少なくとも前記第2温度が前記第2温度限界を超えた時に、前記RF電力供給網に結合されている前記RF電流のデューティサイクルを調整することを備える、方法。
【請求項9】
請求項2に記載の方法であって、前記第1電圧および前記第1電流を測定することは、前記第1電流と前記第1電圧との間の位相角を測定することを備える、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記第1構成要素の第1出力インピーダンスは、前記第1電圧、前記第1電流、および、前記第1電流と前記第1電圧との間の前記位相角から決定される、方法。
【請求項11】
マシン読み取り可能な記憶媒体であって、
電子回路を熱的に保護するためのコンピュータプログラムを備え、前記電子回路は、第1構成要素および第2構成要素を少なくとも備え、前記コンピュータプログラムは、1または複数のマシンによって実行された時に、前記1または複数のマシンに方法を実行させるマシン実行可能な命令を含み、
前記方法は、
前記第1構成要素の第1入力電圧および第1入力電流を測定し、
前記第2構成要素の第2入力電圧および第2入力電流を計算し、
前記第1構成要素の第1温度および前記第2構成要素の第2温度を計算することを備え、前記第1温度は、前記第1入力電流の関数であり、前記第2温度は、前記第2入力電流の関数である、記憶媒体。
【請求項12】
請求項11に記載のマシン読み取り可能な記憶媒体であって、前記方法は、さらに、前記第1温度を第1温度限界と比較し、前記第2温度を第2温度限界と比較することを備える、記憶媒体。
【請求項13】
請求項12に記載のマシン読み取り可能な記憶媒体であって、前記方法は、さらに、少なくとも前記第1温度が前記第1温度限界を超え、または、少なくとも前記第2温度が前記第2温度限界を超えた時に、RF電流のデューティサイクルを調整することを備える、記憶媒体。
【請求項14】
システムであって、
プラズマ結合インターフェースを備えているプラズマチャンバと、
RF電力供給網を通して前記プラズマ結合インターフェースに結合されている高周波(RF)信号源と、前記RF電力供給網は、複数の構成要素を備え、
前記複数の構成要素の内の第1構成要素に結合されているセンサであって、前記第1構成要素の両端の第1電圧および前記第1構成要素を流れる第1電流を測定する、センサと、
前記センサに結合されているプロセッサであって、前記複数の構成要素の内の第2構成要素の両端の第2電圧および前記第2構成要素を通る第2電流を決定し、前記第1構成要素における第1温度および前記第2構成要素における第2温度を決定する、プロセッサと、
を備える、システム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムであって、前記プロセッサは、前記第1電圧および前記第1電流に基づいて、前記第2電圧および前記第2電流を決定する、システム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、前記プロセッサは、伝達行列に基づいて、前記第2電圧および前記第2電流を決定する、システム。
【請求項17】
請求項14に記載のシステムであって、前記プラズマ結合インターフェースは、誘導結合プラズマ(ICP)アンテナを備え、前記ICPアンテナは、前記プラズマチャンバ内のプラズマに誘導結合する、システム。
【請求項18】
請求項14に記載のシステムであって、前記プラズマ結合インターフェースは、容量結合プラズマ(CCP)電極であり、前記CCP電極は、前記プラズマチャンバ内のプラズマに容量結合する、システム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムであって、前記CCP電極は、ガス分配マニホルドであり、前記ガス分配マニホルドは、前記プラズマチャンバ内の前記プラズマに容量結合する、システム。
【発明の詳細な説明】
【優先権主張】
【0001】
本願は、「RADIO FREQUENCY SYSTEM PROTECTION BASED ON TEMPERATURE INFERENCE」と題する2022年6月7日出願の米国仮特許出願第63/365,992号に基づく優先権の利益を主張し、その仮特許出願は、すべての目的のためにその全体が参照によって組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
処理ツールは、半導体ウエハ基板に対して膜の蒸着およびエッチングなどの処理を実行するために利用される。これらの処理ツールは、エッチング、基板洗浄、および、蒸着のためにプラズマを利用しうる。プラズマは、チャンバの外部の電力供給網によって生成、制御、および、分配される場への容量結合または誘導結合によって生成および維持されうる。電力供給網は、高周波電力発生器から結合インターフェースへ電力を供給しうる。結合インターフェースは、インダクタンスコイル、アンテナ、または、容量電極であってよく、磁場または電場に蓄積されたRFエネルギをプラズマへ結合する。結合プラズマ内の電子密度および電流の変動により、電力供給網のインピーダンス負荷が変動しうる。プラズマと電力供給網(インピーダンス整合回路を含む)との間のインピーダンス不整合が、処理ドリフトに起因してランダムにまたは規則的に発生し、結合インターフェースにおける電力反射に起因して結合損失を引き起こしうる。損失の結果として、電力効率の低下および処理性能の変化が起こりうる。電力供給網は、直列および並列の組み合わせの複数の構成要素を備えうる。電力供給網の構成要素は、パッシブLCフィルタ、伝送ラインなどを含みうる。インターフェースにおける大きいインピーダンス不整合に起因して反射された電力は、電力供給網内の1または複数の構成要素を通る過電流を引き起こして、構成要素の過熱を引き起こしうる、一部の構成要素は、過熱によって損傷を受けうる。敏感な電力供給構成要素の保護のための現在のソリューションは、個々のまたはグループごとの熱に敏感な構成要素の温度を監視するために、電力供給網構成要素チェーンに沿って複数の温度センサを導入することを含む。過電流引き込みに対する解決策は、その状況のフラグを立て、プラズマへの電力を自動または手動で制限することでありうる。他の解決策は、プラズマツールに利用可能な最大電力に上限を設けることを含みうる。複数の温度センサを伴うこれらのソリューションは、実施に費用が掛かると共に困難でありうる。さらに、プラズマ電力の削減が、プラズマへ供給可能なピーク電力を不必要に制限しうる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本明細書に記載されている材料は、添付の図面において、例として示され、限定として示されていない。図を簡単かつ明確にするために、図面に示されている要素は、必ずしも縮尺通りに正確な位置に描かれているわけではない。例えば、いくつかの要素の寸法が、他の要素に対して簡単のために誇張されている場合がある。また、様々な物理的特徴が、議論を簡単にするために簡略化された「理想的な」形態および形状で表されている場合があるが、それでも、実際の実装は、説明されている理想に近いだけでありうることが理解される。例えば、滑らかな表面および直角の交わりが、ナノ加工技術によって形成された構造に特徴的な有限の粗さ、角の丸み、不完全な角度の交わりを無視して描かれうる。さらに、適切であると考えられる場合、符号は、対応する要素または類似の要素を示すために図中で繰り返し用いられている。
【0004】
図1】少なくとも1つの実施例に従って、プラズマ処理ツールを示す断面図。
【0005】
図2】少なくとも1つの実施例に従って、各ノードにおける測定および算出電圧および電流の変換シーケンスを含め、カスケード接続された構成要素と、構成要素の間のノードにおける状態とを示す電力供給網の一部の図。
【0006】
図3】少なくとも1つの実施例に従って、電力供給網内の電気構成要素の熱定数を取得するための方法を示す図。
【0007】
図4】少なくとも1つの実施例に従って、電力供給網内の複数のカスケード接続された構成要素の温度を決定するための方法を示す図。
【0008】
図5】少なくとも1つの実施例に従って、電力供給網内の構成要素例について、時間に対する温度の算出値および測定値のプロットを示す図。
【0009】
図6】少なくとも1つの実施例に従って、マシン読み取り可能な記憶媒体を備えているプロセッサシステムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書では、少なくとも1つの実施例に従って、プラズマ電力供給網の構成要素を、過熱および潜在的な故障から保護するための装置および方法が開示されている。かかる構成要素の過熱は、瞬間的なプラズマインピーダンスと、プラズマ電力供給網の構成要素の間の同調インピーダンス整合との間で不整合が生じた時に起こりうる。大きいインピーダンス不整合は、大量の電力が、プラズマ結合インターフェース(コイルなど)から反射して、インピーダンス整合回路網を通って、電力供給網を通して戻る原因となりうる。反射した電力は、構成要素間のインピーダンス不整合につながりうるものであり、1または複数の構成要素を通して過剰な電流を流れさせうる。いくつかの構成要素は、単一または複数の温度に敏感な回路素子を備えうるが、それらは、過剰な電流により過熱しうる。到達温度は、製造業者によって与えられた回路素子の温度限界を超えうる。したがって、回路素子は、大きい熱入力によって損傷または破壊される場合があり、潜在的に電力供給網の故障を引き起こす。
【0011】
開示されている方法は、少なくとも1つの実施例に従って、利点の中でも特に、プラズマ処理システムにおける既存の電力供給構成要素保護方法への改善を提供する。開示されている方法は、少なくとも1つの実施例に従って、電力供給網に沿ったRF電圧および電流の単一の測定点を利用する。提供される利点は、少なくとも1つ実施例に従って、特に、プラズマ回路構成要素の温度を従来的に監視するために用いられる温度センサを削減または排除することを含む。かかる温度センサは、しばしば、設置が困難であり、利用される場合、プラズマ処理ツールの動作上の複雑さを増す。さらに、温度センサを組み込むことで、プラズマ処理ツールの購入およびメンテナンスのコストを増大させうる。
【0012】
少なくとも1つの実施例において、電圧および電流が、電力供給網のカスケード接続された構成要素に沿って任意の2つの構成要素の間の単一の都合のよいノードで物理的に測定されてよい。少なくとも1つの実施例において、測定されるRF電圧および電流は、ノードの下流側の第1構成要素の入力ポートの両端のRF電圧、および、第1構成要素の入力ポートに流れ込むRF電流を含んでよい。少なくとも1つの実施例において、測定されるRF電圧および電流は、第2すなわち上流構成要素の出力ポートの両端の電圧、および、上流構成要素の出力ポートから流れ出る電流と等しくてよい。
【0013】
少なくとも1つの実施例において、RF電流および電圧は、測定されると、伝達関数および/または伝達行列の適用によって電力供給網構成要素チェーンに沿った他のノードにおける電力および電圧に変換されてよい。少なくとも1つの実施例において、電力供給網内の単一のノードにおける電圧および電流を監視することにより、電力供給網内の複数ノードにおける電流および電圧が、同時に計算されてよい。少なくとも1つの実施例において、各構成要素に流れ込む電流、および/または、個々の構成要素の入力端子の両端のノード電圧が、許容可能な誤差許容範囲内で知られうる。少なくとも1つの実施例において、決定されると、計算された電流および/または電圧は、個々の構成要素への入力電力へ変換されてよい。少なくとも1つの実施例において、入力電力の一部は、回路素子抵抗および誘電損失によって熱として散逸されうる。
【0014】
少なくとも1つの実施例において、個々の構成要素内の回路素子は、所定の熱定数を有してよい。少なくとも1つの実施例において、電力供給網内の複数のノードにおける電流および電圧の決定後、計算された入力電力が、構成要素内の各回路素子に対して調整された熱量計算に適用されてよい。各回路素子の瞬間的な推定温度が決定されうる。少なくとも1つの実施例において、単一の電圧/電力センサが、測定対象ノードの状態を更新するために、マイクロプロセッサによって定期的に読み取られてよい。少なくとも1つの実施例において、一連の上記計算を繰り返すことで、定期的に構成要素の内の1または複数の温度状態を更新してよい。
【0015】
したがって、著しいインピーダンス不整合状態が発生した時、開示されている方法は、少なくとも1つの実施例に従って、温度センサを用いることなしに、電力供給網内の各構成要素内の各回路素子について計算された温度を提供しうる。少なくとも1つの実施例において、構成要素または構成要素内の個々の回路素子の任意の著しい温度上昇が検出されうる。少なくとも1つの実施例において、過剰な温度を緩和するために、プラズマチャンバツールのユーザへのアラームが設定される。少なくとも1つの実施例において、補正ルーチンが、過剰な温度を低下させるためにトリガされる。少なくとも1つの実施例において、RFエネルギが、プラズマへバースト供給されてよい。かかるバーストは、デューティサイクルを有してよく、ここで、オン時間およびオフ時間が、デューティサイクル周期内で調整されてよい。少なくとも1つの実施例において、デューティサイクルのオン時間を減らすことにより、プラズマに供給される平均電力が、電力波形の電圧または電流の振幅を減少させることなしに減らされうる。
【0016】
少なくとも1つの実施例において、計算された温度は、特定の回路素子の温度超過(すなわち、過熱)状態を示しうる。過熱状態を是正するために、少なくとも1つの実施例において、RF源からのピークRF電力およびRMS(二乗平均平方根)電力が、プラズマに供給される平均電力が低減される間、一定のままにされてよい。少なくとも1つの実施例において、電力供給網に沿った個々のノードにおける電圧および電流は、RF電流のデューティサイクル調整に従う。少なくとも1つの実施例において、デューティサイクルの電流時間位相の全体的な削減は、すべての回路素子の温度の低下を可能にしうる一方で、電流および電圧のピークレベルを実質的に一定にしておくことで、ほとんどの熱に脆弱な構成要素を保護する。少なくとも1つの実施例において、デューティサイクルは、インピーダンス不整合状態が補正または軽減された後に再調整されてよい。
【0017】
いくつかの例において、周知の方法および装置は、本開示を曖昧にすることを避けるために、詳細に示さず、ブロック図の形態で示されている。本明細書における「実施例」または「一実施例」または「いくつかの実施例」への言及は、実施例に関連して記載されている特定の特徴、構造、機能、または、特性が、本開示の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。したがって、本明細書の様々な箇所における「実施例において」または「一実施例において」または「いくつかの実施例において」という表現の出現は、必ずしも本開示の同じ実施例に言及するものではない。さらに、特定の特徴、構造、機能、または、特性は、1または複数の実施例において、任意の適切な方法で組み合わせられてもよい。例えば、2つの実施例に関連する特定の特徴、構造、機能、または、特性が互いに排他的でないどの場合にも、第1実施例が第2実施例と組み合わせられてよい。
【0018】
本明細書において、「結合(coupled)」および「接続(connected)」は、その派生語と共に、構成要素の間の機能的または構造的な関係を記述するために用いられうる。これらの用語は、互いに同義語であるとは意図されていない。むしろ、特定の実施例において、「接続」は、2以上の要素が直接的に、物理的、光学的、または、電気的に互いに接触していることを示すために用いられうる。本明細書において、「結合」は、2以上の要素が直接的または間接的(要素の間に他の介在要素を伴う)のいずれかで、物理的、電気的、または、磁気的に互いに接触すること、ならびに/もしくは、2以上の要素が互いに協働し、または、(例えば、因果関係などで)相互作用すること、を示すために用いられうる。本明細書において、「結合」は、一般に、或る電子構成要素と別の電子構成要素との直接的な取り付けも意味しうる。電場または磁場が、或る構成要素を別の構成要素に結合してもよく、ここで、場は、何らかの方法で他方に影響を与えるように、一方の構成要素によって制御される。
【0019】
本明細書において、「を覆って(over)」、「の下に(under)」、「の間に(between)」、および、「の上に(on)」は、かかる物理的関係性が注目すべきものである場合に、他の構成要素または材料に対する或る構成要素または材料の相対位置に言及しうる。これらの用語が「直接的(direct)」または「直接的に(directly)」で修飾されていない限りは、1または複数の介在する構成要素または材料が存在しうる。同様の区別が、構成要素の組み立ての文脈でなされる。本記載を通して、および、特許請求の範囲において用いられているように、「の内の少なくとも一つ(at least one of)」もしくは「の内の1または複数(one or more of)」によって結び付けられた項目のリストは、列挙された用語の任意の組み合わせを意味しうる。
【0020】
本明細書において、「隣接する(adjacent)」は、一般に、或るものが、別のものの隣にある(例えば、それらの間の1または複数のものとすぐ隣にありまたは近くにある)もしくは接している(例えば、当接している)配置を指しうる。
【0021】
利用の明確な文脈において別段の定めのない限り、「実質的に等しい(substantially equal)」、「ほぼ等しい(about equal)」、および、「おおよそ等しい(approximately equal)」は、そのように記述された2つのものの間には偶発的な差異しかないことを意味しうる。少なくとも1つの実施例において、かかる差異は、典型的には、基準値の+/-10%以下である。
【0022】
本明細書において、「処理ツール」は、一般に、半導体処理ツール(プラズマ処理ツールなど)を意味しうるものであり、かかるツールは、高周波(RF)信号源に結合されているアンテナコイルを備えているチャンバを備えうる。少なくとも1つの実施例において、アンテナコイルは、電磁場を生成するために用いられ、電磁場は、プラズマを維持する誘導電場を変圧器作用によって生成する。
【0023】
本明細書において、「上流」および「下流」は、主に電流に関して、電力フローの卓越方向を一般に指しうる。少なくとも1つの実施形態において、上流の構成要素は、ノードのソース側または発生器側にあり、下流の構成要素は、ノードの負荷側にあり、ここで、電力フローは、ソースから負荷へ流れる。
【0024】
本明細書において、「ノード」は、一般に、上流構成要素の出力ポートと、隣接する下流構成要素の入力ポートとの間のポイントを指しうる。少なくとも1つの実施例において、電力供給網の構成要素自体が、入力ポートおよび出力ポートを備えている2ポート網として扱われる。少なくとも1つの実施例において、各ポートは、2つの端子を有する。少なくとも1つの実施例において、2ポート網は、パッシブLCフィルタまたは個々のインダクタと、抵抗器と、キャパシタであってもよいし、それらを含んでもよい。パッシブLCデバイスに加えて、少なくとも1つの実施例において、2ポート網は、伝送ライン、スイッチ、RFチョーク、などを備えてよい。
【0025】
本明細書において、「端子」は、一般に、導体または電気構成要素(ワイヤなど)の端部を指しうるものであり、その他の導体または電気構成要素に対する接続点でありうる。コイルの文脈で、少なくとも1つの実施例において、端子は、巻線の端部である。コイルセグメントを参照すると、少なくとも1つの実施例において、コイルセグメントは、コイルセグメント導体の始めおよび終わりに端子を備えうる。
【0026】
本明細書において、「インダクタ」は、一般に、それを通して流れる電流から磁気エネルギを蓄えるパッシブ電気デバイスを指しうる。少なくとも1つの実施例において、インダクタは、近くにある別の導体へ電気的に生成された磁場を結合して、第2導多に電圧および電流を誘導しうる導体(例えば、金属ワイヤ)を備えてよい。少なくとも1つの実施例において、磁場は、ファラデーの電磁誘導の法則に従って、第1導体内に流れる電流によって生成されうる。導体は、インダクタンスの特性を有し、これは、導体内に流れる電流の大きさと、導体の形状または幾何形状との関数である。任意の導体がインダクタでありうるが、一部の形状は、他の形状よりも強力なインダクタンスを生み出す。直線ワイヤは、その直径および長さに依存する小さいインダクタンスを有しうる。直線ワイヤをコイルに巻くことで、例えば、各巻き間の磁場の相互の追加的な結合に起因して、単位長さ当たりの巻回数倍だけインダクタンスを増大させ、磁場全体を強化することができる。各巻線対からの磁場は、アンペアの法則に従って、直線ワイヤによって生成される磁場を増大させる。少なくとも1つの実施例において、コイルは、平面コイル、もしくは、ヘリカルコイル(ソレノイドまたはテーパ状のらせん、など)であってよい。
【0027】
本明細書において、「キャパシタ」は、一般に、電荷および電気エネルギを電場の形態で蓄積するパッシブ電気デバイスを指しうる。少なくとも1つの実施例において、キャパシタは、一般に、誘電材料によって隔てられた互いに近接する少なくとも2つの導電プレートを有する。少なくとも1つの実施例において、誘電材料は、空気(または、その他のガス)もしくは真空であってよい。少なくとも1つの実施例において、誘電体は、一般に、ポリマ、セラミック、または、半液体電解質など、固体または液体の材料であってよい。少なくとも1つの実施例において、逆電荷が、隣接するプレートに集積して、プレートからプレートへ誘電体を通して伸びる電場を形成しうる。少なくとも1つの実施例において、電場は、電気エネルギを蓄積しうる。
【0028】
本明細書において、「高周波」(略して、RF)は、一般に、10キロヘルツ(kHz)から数百ギガヘルツ(GHz)の範囲の周波数を有する電磁スペクトルの一部を指しうる。
【0029】
本明細書において、「プラズマ」は、一般に、正電荷または負電荷の原子イオンまたは分子イオンならびに電子など、荷電粒子を含むガス組成物を指しうる。プラズマは、物質の第4の状態と考えられる。
【0030】
本明細書において、「誘導結合プラズマ」(略して、ICP)は、一般に、RF電流を伝導する一次インダクタまたはプラズマアンテナ(一般に、コイルの形態)から発生する時間変動磁場によって生成されるプラズマを指しうる。少なくとも1つの実施例において、ガス中の低濃度のイオン化原子または分子ならびに自由電子は、放電で生成されうる。少なくとも1つの実施例において、わずかにイオン化したガスは、プラズマアンテナへ結合されている二次インダクタと見なされてよく、プラズマアンテナは、トランスの一次インダクタと見なされてよく、ここで、プラズマは、一次インダクタが結合されているトランスの二次インダクタと見なされうる。少なくとも1つの実施例において、ガスが、隣接するICPアンテナによって生成された電磁場を通過してよく、ここで、電荷が、(ファラデーの電磁誘導の法則およびファラデー-マクスウェルの式に従って)時間的変動磁場に関連する時間変動電場によって加速される。少なくとも1つの実施例において、加速された電子は、中性原子または分子と衝突して、より多くのイオンおよび二次電子を生成し、荷電粒子のプラズマ密度を高めうる。少なくとも1つの実施例において、粒子加速度ひいては衝突速度の大きさは、電場の強度に比例し、電場の強度は、磁場強度に比例する。少なくとも1つの実施例において、最終的に、磁場強度は、ICPアンテナ内に流れる電流の大きさに比例する。
【0031】
本明細書において、「ICPアンテナ」は、一般に、RF電流が通過し、RF電力を近接静電磁場および伝搬電磁界として限られた程度で放射しうるインダクタを指しうる。少なくとも1つの実施例において、RF電流が、ICPアンテナを通して流れ、部分的にイオン化されたガスと、完全に発達したプラズマとへ結合する電磁場を生成する。少なくとも1つの実施例において、前者は、電磁場の作用によってプラズマにされうる。
【0032】
本明細書において、「容量結合プラズマ」(CCP)は、一般に、プラズマチャンバ内の2以上の電極の間の電場へ容量結合されているプラズマを指しうる。
【0033】
本明細書において、「伝送ライン」は、一般に、並列および間隔の近い少なくとも2つの導体を備えているケーブルを指しうる。少なくとも1つの実施例において、伝送ラインは、一般に、各導体について等しく逆向きの電流および電圧を運ぶ。逆向きの電流の磁場は、打ち消し合って、導体からの電磁放射を低減または排除する。少なくとも1つの実施例において、伝送ラインは、RFエネルギを放射することなしにソースから負荷(アンテナなど)へRF電流および電圧を運びうる。伝送ラインは、特性インピーダンスを有する。
【0034】
本明細書において、「誘電材料」は、一般に、ポリマ、セラミック、ガラス、木材など、非導電性材料を指しうる。
【0035】
ここで、「高周波」(RF)は、一般に、10キロヘルツ(kHz)から1テラヘルツ(THz、すなわち、1015Hz)の間の周波数を実質的に含むスペクトル内の周波数で振動する電磁放射を指しうる。少なくとも1つの実施例において、高周波スペクトルの上限は、数百ギガヘルツ(GHz)まで及ぶのみであってもよい。用語としての高周波は、一般的に、「RF」と略される。
【0036】
本明細書において、「RF信号源」は、一般に、高周波数の電気信号を生成できる電子デバイスを指しうる。少なくとも1つの実施例において、RF信号源は、大きい電圧で大きいRF電流(例えば、1アンペアrms以上)を出力できる。少なくとも1つの実施例において、ICPアンテナのためのRF信号源は、一般に、最大数百ボルトで最大数百アンペアを出力して、大きい電力を生成できる。
【0037】
本明細書において、「回路素子」は、一般に、電子回路の一部でありうるアクティブまたはパッシブの電子デバイスを指しうる。
【0038】
本明細書において、「パッシブ素子」は、一般に、電子信号によって制御可能ではない出力応答を有する電子素子を指しうるものであり、出力応答は、入力信号(電圧および/または電流など)と関連する。少なくとも1つの実施例において、パッシブ素子は、抵抗器であり、ここで、抵抗を通した電圧降下は、別個の電子信号によって制御可能ではなく、単に、それを通して流れる電流の関数である。パッシブ素子のその他の例は、キャパシタおよびインダクタである。少なくとも1つの実施例において、パッシブ素子は、2ポート構成要素としてモデル化されてよい。少なくとも1つの実施例において、アクティブ素子は、デバイスの出力を制御するために制御信号が印加される第3ポートを少なくとも備えている電子デバイス(トランジスタなど)である。
【0039】
ここで、「構成要素」とは、一般に、回路網の一部である回路素子または回路素子の組み合わせ(パッシブおよび/またはアクティブ)を指しうる。
【0040】
ここで、「回路網」は、一般に、電子回路を形成するように共に接続された複数の回路素子を指しうる。少なくとも1つの実施例において、回路網は、一般に、2以上のポートを有する。
【0041】
本明細書において、「ポート」は、一般に、信号が回路網に出入りしうる回路網端子を指しうる。少なくとも1つの実施例において、回路網は、一般に、少なくとも2つのポートを有し、少なくとも1つのポートは入力ポートであり、少なくとも第2ポートは出力ポートである。
【0042】
本明細書において、「入力」は、一般に、信号がネットワークに入る回路網ポートを指しうる。入力信号は、入力電圧および入力電流でありうる。
【0043】
本明細書において、「出力」は、一般に、信号がネットワークを出る回路網ポートを指しうる。少なくとも1つの実施例において、出力信号は、出力電圧および出力電流でありうる。
【0044】
ここで、「インピーダンス」は、一般に、一般に可聴周波数およびRF周波数の交流電流に対する回路素子の抵抗を指しうる。少なくとも1つの実施例において、インピーダンスは、電気抵抗に対する一般用語でありうる。少なくとも1つの実施例において、リアクタンスは、キャパシタまたはインダクタのインピーダンスである。少なくとも1つの実施例において、リアクタンスは、散逸的ではない(熱としての電力損失がない)点で、抵抗とは異なる。インピーダンスは、電流に対する電圧の比として定義される。複素インピーダンスは、抵抗およびリアクタンスの組み合わせであり、ここで、リアクタンスは、虚数値であり、抵抗は、実数値である。複素インピーダンスは、極座標において大きさおよび位相角として表現されうるものであり、ここで、位相角は、電圧と電流との間の位相である。
【0045】
本明細書において、「入力インピーダンス」および「出力インピーダンス」は、一般に、それぞれ、入力ポートおよび出力ポートのインピーダンスを指しうる。それらは、それぞれ、入力電流に対する入力電圧の比、および、出力電流に対する出力電圧の比である。
【0046】
本明細書において、「インピーダンス整合回路網」は、一般に、出力インピーダンスを入力インピーダンスに整合させる電子回路網を指しうる。
【0047】
本明細書において、「LCフィルタ」は、一般に、フィルタ回路へ入力された特定の周波数を通過させるためにパッシブインダクタ(L)およびキャパシタ(C)の組み合わせを備えている電子回路網を指しうる。少なくとも1つの実施例において、LCフィルタは、ハイパスフィルタ、ローパスフィルタ、バンドパスフィルタ、および、ノッチフィルタである。少なくとも1つの実施例において、LCフィルタは、インピーダンス整合回路網でもありうる。
【0048】
本明細書において、「電力供給網」は、一般に、互いに結合されうる複数の電気構成要素を備えている電子回路を指しうる。少なくとも1つの実施例において、構成要素は、直列に(カスケードで)結合される。少なくとも1つの実施例において、電力供給網は、ソースから負荷へRF電力を搬送するよう設計されうる。
【0049】
本明細書において、「カスケード」は、一般に、第1回路網の出力が、第1回路網に結合される第2回路網の入力になるように、回路網を直列に組み合わせることを指しうる。
【0050】
本明細書において、「処理ツール」は、一般に、半導体製造に用いられる装置の一部を指しうるものであり、また、半導体処理のための「半導体処理ツール」とも呼ばれる。少なくとも1つの実施例において、処理ツールは、一般に、基板プラズマエチングまたはプラズマ強化蒸着などの処理が実行される真空チャンバを備えうる。少なくとも1つの実施例において、他の非プラズマ関連処理も、処理ツールで実行されうる。
【0051】
本明細書において、「チャック」は、一般に、基板(例えば、ウエハ)が取り付けられうるステージまたはプラットフォームを指しうる。
【0052】
本明細書において、「基板」は、一般に、半導体(例えば、シリコン)または絶縁体(例えば、窒化アルミニウム、炭化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、フロートガラス、ホウケイ酸ガラス、など)を含むウエハを指しうる。少なくとも1つの実施例において、ウエハは、単結晶の半導体または絶縁体の薄片でありうる。少なくとも1つの実施例において、ウエハは、多結晶または非晶質(ガラス質)の材料も含みうる。少なくとも1つの実施例において、ウエハは、一般に100mmから500mmの範囲の直径と、一般に100ミクロンから1mmの範囲の厚さと、を有しうる。
【0053】
本明細書において、「処理チャンバ」は、一般に、処理に向けて基板が中に導入されうる処理ツールの真空チャンバを指しうる。少なくとも1つの実施例において、処理チャンバは、基板を保持するためのチャックを備えうる。少なくとも1つの実施例において、処理チャンバは、プラズマエッチングチャンバである。
【0054】
本明細書において、「磁場」は、一般に、磁化材料または通電材料から生じる磁束の方向および強度の線を指しうる。
【0055】
本明細書において、「プラズマ強化処理」は、一般に、例えば、何らかの方法で処理を支援するためにプラズマが用いられる半導体処理を指しうる。少なくとも1つの実施例において、プラズマ強化処理は、プラズマを利用しない同様または同じ処理よりも強化される。例は、反応性イオンエッチングおよびプラズマ強化化学蒸着またはプラズマ強化原子層蒸着である。
【0056】
本明細書において、「反応種」は、一般に、プラズマ内に形成される電子、イオン、または、中性ラジカルを指しうる。
【0057】
本明細書において、「イオン」は、一般に、荷電原子または荷電分子を指しうる。少なくとも1つの実施例において、イオンは、プラズマ内で電子を失いまたは獲得する気体の原子または分子でありうる。
【0058】
本明細書において、「マシン読み取り可能記憶媒体」は、一般に、プロセッサによって読み取り可能なバイナリコードまたはデータを格納するメモリを指しうる。少なくとも1つの実施例において、マシン読み取り可能記憶媒体は、不揮発性ソリッドステート記憶媒体、揮発性メモリ、磁気ハードドライブ、光学ディスク、などでありうる。
【0059】
本明細書において、「マシン読み取り可能命令」は、一般に、マシン読み取り可能記憶媒体に格納されたバイナリコードを指しうる。実行されると、バイナリ命令が、プロセッサに特定の機能を実行させうる。
【0060】
本明細書において、「伝達行列」は、一般に、第1ノードにおける第1電圧および第1電流を、第2ノードにおける第2電圧および第2電流から計算するための行列の形態の相互依存的な線形方程式のセットを指しうる。少なくとも1つの実施例において、第2電圧および第2電流は、測定または計算されうる。少なくとも1つの実施例において、行列は、一般に、2×2行列でありうるが、より大きい行列(3×3行列など)が適用されてもよい。少なくとも1つの実施例において、伝達行列は、電子回路内の第1ノードにおける第1電圧および第1電流を、第2ノードにおける第2電圧および第2電流へ変換するために適用されうる。少なくとも1つの実施例において、インピーダンスが、同様に変換されてもよい。
【0061】
本明細書において、「伝達関数」は、一般に、回路または回路構成要素の入力電圧または電流を、回路または回路構成要素の出力電圧または電流に計算する方程式を指しうる。方程式の項は、回路構成要素の値の組み合わせを含みうる。伝達関数は、入力電圧および/または電流から出力電圧および/または電流を計算するために等しく適用されうる。
【0062】
図1は、少なくとも1つの実施例に従って、プラズマ処理ツール100を示す断面図である。少なくとも1つの実施例において、プラズマ処理ツール100は、ウエハ104のプラズマ強化処理のためのプラズマチャンバ102と、チャック106と、プラズマ108と、アンテナ110と、壁112と、電力供給網114と、を備える。
【0063】
少なくとも1つの実施例において、チャック106は、ウエハ104を支持し、プラズマ108の存在下でウエハ104を電気的に安定化させうる。少なくとも1つの実施例において、チャック106は、接地またはバイアスされていてよい。少なくとも1つの実施例において、バイアスは、チャック106に印加されるDC電圧または周期的な電圧波形であってよい。少なくとも1つの実施例において、プラズマ108は、誘導結合プラズマ(ICP)であり、ICPアンテナ110によって放射された高周波(RF)電磁場によってプラズマチャンバ102内で生成および維持されてよい。少なくとも1つの実施例において、放射された電磁場は、RF磁場を表す下向きの矢印(符号H)と、RF電場を表す水平の矢印(符号「E」)とによって示されている。少なくとも1つの実施例において、RF E場は、プラズマチャンバ102に誘導入された気体の原子および分子をイオン化して、気体イオンおよび自由電子を生成しうる。少なくとも1つの実施例において、自由電子は、図に示すように、RF H場と垂直な軌道を辿るプラズマ電流を形成しうる。少なくとも1つの実施例において、プラズマ電流は、次に、ICPアンテナ110に戻るように結合する誘起磁場Bを生成しうる。少なくとも1つの実施例において、プラズマ108は、ICPアンテナ110へ電磁的に結合されている。少なくとも1つの実施例において、プラズマ108は、容量結合プラズマ(CCP)であってよく、ここで、プラズマチャンバ102内の電極(図示せず)が、例えば、電極とチャック106との間に伸びているRF電場によってプラズマ108に結合されている。
【0064】
少なくとも1つの実施例において、ICPアンテナ110は、ICPアンテナ110および任意の関連電子機器をプラズマ108から保護するために、壁112によってプラズマチャンバ102から隔離されうる。ICPアンテナ110は、RF電力分配網114によって給電されてよい。少なくとも1つの実施例において、電力供給網114は、構成要素116、118、120、および、122によって代表される複数のN個の構成要素を備えてよく、ここで、N≧1である。少なくとも1つの実施例において、構成要素116~122は、RF電力供給網114の一部であってよい。少なくとも1つの実施例において、Nは、4以上であってよい。構成要素116は、構成要素1とラベル付けされており、RF電力供給網114の構成要素チェーンにおける第1構成要素として見なされうる。少なくとも1つの実施例において、RF電力供給網114の一部が、ソースエンドとして見なされうる。少なくとも1つの実施例において、構成要素チェーンにおける次の構成要素(構成要素118)は、構成要素N-2とラベル付けされている。N>4である場合、N-2>2であり、1または複数の構成要素が、構成要素116と構成要素118との間に含まれうる。少なくとも1つの実施例において、残りの構成要素120および122は、それぞれ、構成要素N-1および構成要素Nとラベル付けされており、ここで、構成要素Nは、構成要素チェーンにおける最後の構成要素である。少なくとも1つの実施例において、構成要素116~122(および、図示されていないさらなる構成要素)は、直列に結合されていることが図示されているが、いくつかの構成要素が、並列に結合されてもよい。
【0065】
少なくとも1つの実施例において、構成要素116、118、120、および、122は、カスケード接続された2ポート網として表され、各構成要素は、入力ポートおよび出力ポートを有する。少なくとも1つの実施例において、RF電力供給網114の配列において、構成要素116は、RF電力供給網114内の電力フローの観点から、構成要素118~122の上流にある。上記の定義を繰り返すと、本明細書での「上流」は、「ソースに向かうこと」を意味し、「下流」は、「負荷に向かうこと」を意味する。少なくとも1つの実施例において、電力が、ソースから負荷へ流れる。ここで、少なくとも1つの実施例に従って、ソースは、RF源126および/またはRF源128であってよく、負荷は、ICPアンテナ110であってよい。
【0066】
少なくとも1つの実施例において、上流構成要素の出力ポートが、隣接する下流構成要素の入力ポートへ結合されていてよい。少なくとも1つの実施例に従って、構成要素118の出力ポート130は、構成要素120の入力ポート132へ結合されていてよく、ここで、構成要素120は、構成要素118の下流にある。出力ポートと入力ポートとの間の結合は、ノードと呼ばれうる。少なくとも1つの実施例において、ノードは、上流構成要素の入力ポートおよび隣接する下流構成要素の出力ポートによって境界されうる。ノードは、ノード電圧およびノード電流によって特徴付けられうる。少なくとも1つの実施例において、ノード電圧は、2つの端末にわたって測定された上流構成要素の出力電圧Voutでありうる。少なくとも1つの実施例において、ノード電流は、下流構成要素の入力ポートへIinとして流れ込む上流構成要素の出力電流Ioutでありうる。
【0067】
少なくとも1つの実施例において、Vin/Iinの比として定義される各入力ポートの入力インピーダンスZinが、各出力ポートのVout/Ioutとして定義される出力インピーダンスZoutと整合された場合、Vout=Vin、かつ、Iout=Iinである。少なくとも1つの実施例において、インピーダンス不整合状態では、ノードをまたぐVoutおよびVinが異なりうる一方で、IoutおよびIinも異なりうる。少なくとも1つの実施例において、不整合ノードにおける電圧および電流の連続性の欠如は、インピーダンス不整合に起因して反射された電圧波および電流波の結果でありうる。
【0068】
少なくとも1つの実施例において、個々の構成要素116~122は、インダクタ(L)、キャパシタ(C)、抵抗器(R)、および、スイッチなどの回路素子を備えているパッシブ回路を備えてよい。少なくとも1つの実施例において、構成要素116~122の少なくとも一部は、フィルタ回路内に組み合わせられうるLCR(インダクタ、キャパシタ、および、抵抗器)回路素子を備えてよく、ここで、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、バンドパスフィルタ、または、ノッチフィルタが構築されてよい。少なくとも1つの実施例において、1または複数の構成要素116~122は、「L字型」回路網トポロジ、「T字型」回路網トポロジ、「π字型」回路網トポロジ、または、それらの組み合わせとして配列されたLC回路を含むインピーダンス整合回路網を備えてよい。
【0069】
少なくとも1つの実施例において、構成要素116~122は、スイッチ、伝送ライン、トランス、方向性カプラ、電力スプリッタ、電力コンバイナ、個々のインダクタ(例えば、RFチョーク)、および、キャパシタなどのパッシブ回路素子(これらに限定されない)を備えてもよい。少なくとも1つの実施例において、これらの構成要素は、例えば、LF(低周波数)およびHF(高周波数)電流の切り離しおよび遮断のために用いられてよい。伝送ライン(例えば、伝送ライン124)は、同軸伝送ラインまたは2導体裸線であってよい。少なくとも1つの実施例において、伝送ラインが、RF電力供給網114の負荷端部にある構成要素122をICPアンテナ110へ結合してよい。少なくとも1つの実施例において、構成要素122自体が、伝送ラインであってもよく、伝送ライン124は、ICPアンテナ110に結合する構成要素122の延長部である。
【0070】
少なくとも1つの実施例において、ICPアンテナ110は、構成要素チェーンの上流端すなわち発生器側にある構成要素116の入力ポート134においてRF信号源126および128へ結合されていてよい。少なくとも1つの実施例において、RF信号源126は、低周波数(LF)RF信号源すなわち発生器であり、RF信号源128は、高周波数(HF)信号発生器である。少なくとも1つの実施例において、RF信号源126は、1MHzより低い周波数を生成してよく、一方、RF信号源128は、1MHzより高い周波数を生成してよい。RF信号源126および128は、純正弦波電圧またはその他の電圧波形(方形波、鋸歯状波、三角波、および、その他の適切な波形など)を出力してよい。少なくとも1つの実施例において、RF信号源126および128は、例えば、最大10キロワットの電力(数百ボルトおよび数十アンペア)を出力する大電力発生が可能であってよい。
【0071】
少なくとも1つの実施例において、RF信号源126は、電力供給網114へ差動結合されている様子が示されているが、任意選択的にシングルエンド接続によって結合されてもよく、その時、一端は接地される。少なくとも1つの実施例において、この構成は、接地シンボルをRF源126の下側に接続する破線によって示されている。少なくとも1つの実施例において、RF信号源128も、RF電力供給網114へ差動結合されている様子が示されているが、RF電力供給網114へシングルエンド結合で結合されてもよい。少なくとも1つの実施例において、2つのRF信号源は、RF電力供給網114へ結合されている様子が示されている。いくつかの実施例において、単一のRF信号源が用いられてもよい。少なくとも1つの実施例において、複数のRF(例えば、3以上の)信号源が用いられてもよい。
【0072】
少なくとも1つの実施例において、ICPアンテナ110は、コイルの形態である。上述したように、ICPアンテナ110は、壁112によってプラズマチャンバ102から隔離されていてよい。少なくとも1つの実施例において、壁112は、ICPアンテナ110からの電場および磁場がプラズマチャンバ102内のプラズマ108と結合することを許容する誘電材料を含む。少なくとも1つの実施例において、ICPアンテナ110は、平坦なコイルすなわち「パンケーキ」コイルとして図示されているが、IPCアンテナ110は、その他の適切な形状(蛇行コイルまたはヘリカルソレノイドコイルなど)を有してもよい。アンテナコイルの個々の巻きが、断面図で示されている。ICPアンテナ110は、図の実施例における平坦ならせん状コイル(例えば、「パンケーキコイル」)として図示されており、断面図に示すように、複数の巻回を含む。少なくとも1つの実施例において、管状のチャンバ形状に対して、ICPアンテナ110は、ヘリカル(例えば、ソレノイド)形状を有してもよい。少なくとも1つの実施例において、ソレノイドは、一般に、円筒形のフォームファクタを有してよく、ここで、導体は、ヘリカルコイルの形態であってよい。
【0073】
少なくとも1つの実施例において、すでに述べたように、プラズマ108は、ICPアンテナ110から発生するRF電磁場を通して、ICPアンテナ110へ結合される。少なくとも1つの実施例において、電磁場は、プラズマ108を維持する。少なくとも1つの実施例において、電場Eは、プラズマチャンバ102に導入される低圧のガスをイオン化するのに十分な大きさでありえ、プラズマチャンバ102は、一般に、ポンプで高真空にされている。少なくとも1つの実施例において、電場によって形成された自由電子は、ICPアンテナ110から広がる磁場Hの影響下で、円形のプラズマ電流を形成しうる。少なくとも1つの実施例において、プラズマ108内の自由電子の密度nは、少なくとも部分的には、供給RF電力の関数であり、供給RF電力は、電場強度Eおよび磁場強度Hとして現れうる。少なくとも1つの実施例において、RF周波数も、自由電子密度nに影響しうる。少なくとも1つの実施例において、より高い周波数は、イオンと気体の原子または分子との間、および、電子と気体の原子との間の衝突回数を増すことによって、自由電子の形成率を増大させうる。
【0074】
少なくとも1つの実施例において、プラズマ108内の自由電子密度nは、プラズマインピーダンスを決定するパラメータでありうる。少なくとも1つの実施例において、プラズマインピーダンスは、抵抗およびインダクタンスの直列の組み合わせを含む電気インピーダンスZとして表されうる。少なくとも1つの実施例において、プラズマインピーダンスZは、自由電子密度に比例しうる。少なくとも1つの実施例において、プラズマのインダクタンスは、ICPアンテナ110に戻るように結合される円形のプラズマ電流i(これも、nに比例する)によって生成される誘起磁場Bに関連しうる。少なくとも1つの実施例において、ICPアンテナ110とプラズマ108との間の相互作用は、トランスの一次巻線および二次巻線の間の相互作用と同様でありうる。
【0075】
少なくとも1つの実施例において、プラズマ108とICPアンテナ110との間の結合が、ICPアンテナ110の入力インピーダンスZantに影響しうる。少なくとも1つの実施例において、RF信号源126および128に向かってICPアンテナ110の上流にあるRF電力供給網114内の構成要素にZantを整合させるために、インピーダンス整合ネットワークが必要でありうる。少なくとも1つの実施例において、RF信号源126および128は両方とも、例えば、50Ωの出力インピーダンスZgenを有しうる。少なくとも1つの実施例において、RF電力供給網のシステムインピーダンスは、50Ωに設計されてよく、各構成要素のZinおよびZoutも整合状態で実質的に50Ωであることを意味する。ICPアンテナ110のZantは、50Ωとは大幅に異なりうる。
【0076】
少なくとも1つの実施例において、整合回路網が、Zantを50Ωに変換しうる。少なくとも1つの実施例において、RF電力供給網114の負荷端にある構成要素122(構成要素N)は、例えば、LCインピーダンス整合L字型またはπ字型回路網を備えて、適切な整合を提供してよい。少なくとも1つの実施例において、構成要素122は、Zantをシステムインピーダンスに変換するよう設計された伝送ラインであってよい。少なくとも1つの実施例において、伝送ラインは、Zantから50Ωの間の特性インピーダンスZを有してよい。少なくとも1つの実施例において、伝送ラインの長さ(伝送ライン124など)が、Zantをシステムインピーダンス(例えば、50Ω)に整合させるように調整されてよい。少なくとも1つの実施例において、伝送ラインの長さは、Z0が、Zantおよびシステムインピーダンスの幾何平均とほぼ等しい場合、HF周波数(例えば、Qセクション)の波長の4分の1に切断されてよい。
【0077】
少なくとも1つの実施例において、Zantの変動は、部分的には、例えば、プラズマチャンバ102内のガスの流量または圧力の瞬間的な変化による、処理中のプラズマインピーダンスZの変動に起因しうる。少なくとも1つの実施例において、Zの変動は、構成要素122の整合回路網の離調を引き起こすことで、構成要素122の入力インピーダンス(例えば、ZNin)の変化を引き起こしうる。少なくとも1つの実施例において、構成要素122の離調によるZNinの変化は、構成要素120(構成要素N-1)の出力インピーダンスZN-1outへの不整合を引き起こしうる。少なくとも1つの実施例において、出力インピーダンスへの不整合は、RF信号源126および128に至るまでRF電力供給網114の構成要素チェーン内の各ノードでインピーダンス不整合の伝播を引き起こしうる。
【0078】
少なくとも1つの実施例において、整合回路網(例えば、構成要素122)は、Zpの変動に起因するZantの変動に従って整合回路網を調整できるように、可変キャパシタおよび/またはインダクタを回路素子として備えてよい。少なくとも1つの実施例において、整合回路網(例えば、構成要素122)は、小範囲のプラズマインピーダンスに合わせて調整されてよい。少なくとも1つの実施例において、調整は、部分的には、隣接する構成要素の間で出力および入力インピーダンスZinおよびZoutを整合させるために、上流構成要素に可変キャパシタまたはインダクタを備えることによって実行されてよい。少なくとも1つの実施例において、或る構成要素内のLCフィルタ回路素子の値が、隣接する上流および下流の構成要素のインピーダンスを整合させるために所望の整合インピーダンスを生み出すように調整されてよい。このアプローチは、可変キャパシタまたはインダクタを駆動するための各構成要素の制御が必要になるため、煩雑になりうる。
【0079】
構成要素122出力インピーダンスが、特定のZantに対して調整されえたと仮定すると、構成要素120の出力インピーダンスZN-1outによって見られる構成要素122の入力インピーダンスZNinは、構成要素120がより大きい電流を引き込みうるように変化しうる。さらに、プラズマ108への電力が、構成要素122の出力ポート136で起きる電流および電圧の反射によって低減されうる。構成要素122の入力ポート138へ反射される電力の量は、構成要素122と伝送ライン124との間のノード142から反射される電流および電圧についての反射係数ρによって表されうる。反射されたRF電流波および電圧波は、伝送ライン124に沿って、および、部分的に構成要素122内で、定常波を引き起こしうる。大きい定常波比(SWR)では、電流の定常波は、構成要素122内の回路素子の定格よりもはるかに大きい電流ピークを含みうる。一部の回路素子は、かかる高電流を安全に流しえない。回路素子が、回路素子の製造業者の定格を超える電流にさらされた場合、過熱が起こりうる。個々の回路素子の過熱が、構成要素全体の故障につながりうる。いくつかの例において、ICPアンテナ110への電源(例えば、RF信号源126および/または128)の結合が、時間と共に徐々に離調されうる。徐々にこの徐々の離調は、RF信号源とプラズマ108との間に、より大きい徐々のインピーダンス不整合を引き起こしうる。インピーダンス不整合は、時間と共に徐々に増大しうる。
【0080】
上の記載では、誘導結合プラズマシステムに注目して説明したが、少なくとも1つの実施例において、容量結合プラズマ(CCP)システムが、プラズマ処理ツール100に利用されてもよい。少なくとも1つの実施例において、CCPシステムで、プラズマチャンバ102は、或る距離だけ隔てられた一対の電極を備える。少なくとも1つの実施例において、一対の電極の一方は、CCP電極であってよい。少なくとも1つの実施例において、CCP電極は、プラズマチャンバ102内の金属体であってよく、ここで、CCP電極は、プラズマ(例えば、プラズマ108)と直接接触する。少なくとも1つの実施例において、一対の電極の内の第2電極は、例えば、チャック106であってよい。少なくとも1つの実施例において、プラズマが、CCP電極とチャック106との間で生成されてよい。少なくとも1つの実施例において、ウエハ104が、図に示すように、チャック106上に載置される。少なくとも1つの実施例において、チャック106は、接地されていてもよいし、CCPシステム内でバイアスされていてもよい。少なくとも1つの実施例において、バイアスは、DCまたはRFであってよい。少なくとも1つの実施例において、RF源126は、ローパスフィルタに結合されている場合、低周波数RFバイアスをチャック106へ供給しうる。RF信号源128は、プラズマ108へ結合する一次高周波数RFを供給しうる。少なくとも1つの実施例において、電極は、チャック106上に支持されたウエハ104の上方に配置されたガス分配マニホルド(例えば、加熱シャワーヘッド)である。少なくとも1つの実施例において、RF信号源126および128の間の周波数の差は、実質的であってよく、例えば、10:1以上の隔たりを有する。
【0081】
少なくとも1つの実施例において、動作中、プラズマ108は、ウエハ104およびチャック106の上方で形成される。プラズマチャンバ102プラズマチャンバ102を貫通するRF磁場が、電力供給網114内を流れるRF電流と同じ周波数で振動するプラズマ電流を生成しうる。少なくとも1つの実施例において、RF電流は、数十から数百アンペアのピーク値を有しうる。少なくとも1つの実施例において、センサ140が、電圧および電流を測定するために、RF電力供給網114内の任意の適切なノードへ結合されていてよい。少なくとも1つの実施例において、センサ140は、RF電流および/または電圧測定センサ(例えば、V,Iセンサ)、ベクトルネットワークセンサ、インピーダンスセンサ、などであってよい。少なくとも1つの実施例において、センサ140は、図に示すように、RF電圧および電流の両方を測定するために、構成要素120および122の間のノード142でRF電力供給網114へ結合されているV,Iセンサであってよい。少なくとも1つの実施例において、センサ140は、プロセッサ144への結合を可能にする回路にインターフェースされていてよい。少なくとも1つの実施例において、センサ140は、デジタル化された出力ストリームをプロセッサ144へ供給してよく、その出力ストリームは、プロセッサ144に結合されているメモリ146に格納されたソフトウェアコードによって読み込まれて解析されてよい。少なくとも1つの実施例において、メモリ146は、不揮発性ソリッドステートメモリ、ハードディスク磁気ドライブ、光学ドライブ、および、その他の適切なストレージフォーマットなど、マシン読み取り可能な記憶媒体であってよい。少なくとも1つの実施例において、メモリ146は、マシン実行可能な命令を含むコンピュータプログラムを格納しうる。少なくとも1つの実施例において、プロセッサ144は、ネットワークを通してローカルまたはリモートに結合されているプラズマ処理ツール100のための制御回路の一部であってよい。
【0082】
少なくとも1つの実施例において、プロセッサ144は、単一のノード142で読み取られた電圧および/または電流だけに基づいて、RF電力供給網114内の各ノードにおける電圧および電流を計算するための命令を含むルーチンを備えているソフトウェアコードを実行してよい。少なくとも1つの実施例において、メモリ146に格納されたソフトウェアルーチンは、本開示に記載されている方法実施例に従った命令を備えてよい。少なくとも1つの実施例において、計算された電流および/または電圧は、熱として個々の構成要素(例えば、構成要素116~122)内で散逸される電力に変換されてよい。少なくとも1つの実施例において、導出された電力量が、メモリ146に格納されたソフトウェアコード内に含まれる熱方程式に挿入されてよく、それにより、構成要素または個々の構成要素内の個々の回路素子の算出温度が決定される。少なくとも1つの実施例において、選択された構成要素またはそれらの回路素子について、例えば、それらが、温度に敏感であると特定されている場合に、一連の計算がなされてよい。少なくとも1つの実施例において、プロセッサ144は、図に示すように、RF信号源126および128にも結合されている。少なくとも1つの実施例において、プロセッサ144は、例えば、検出された過熱状態に応じて、出力電力および/またはデューティサイクルを制御するために、RF信号源126および128と通信してよい。制御命令については、より詳細に後述する。
【0083】
図2は、少なくとも1つの実施例に従って、カスケード接続された構成要素を備えているRF電力供給網200内の構成要素温度を取得するための方法を示す図である。各ノードにおける電圧および電流の条件が示されている。図2では、少なくとも1つの実施例に従って、構成要素202、204、および、206を備えているRF電力供給網200の一部が示されている。構成要素202、204、および、206は、それぞれ、構成要素N-1、構成要素N、および、構成要素N+1とラベル付けされている。少なくとも1つの実施例において、構成要素202~206は、先行部分および後続部分を含むより大きいRF電力供給網200の一部である。少なくとも1つの実施例において、先行部分は、複数の上流構成要素(例えば、1,2・・・N-2とラベル付けされた構成要素)を含んでよい。少なくとも1つの実施例において、後続部分は、複数の下流構成要素(例えば、N+2、N+3などとラベル付けされた構成要素)を含んでよい。
【0084】
少なくとも1つの実施例において、隣接する上流および下流の構成要素が、ノードによって結合されている。少なくとも1つの実施例において、ノード210が、構成要素202を構成要素204に結合し、ノード212が、構成要素204を構成要素206に結合している。少なくとも1つの実施例において、ノード208および214は、終端ノードである。少なくとも1つの実施例において、終端ノード208および214は、図面においてオープンエンドであるように見えるが、ノード208は、隣接する上流構成要素N-2(図示せず)にも結合され、ノード214は、隣接する下流構成要素N+2(これも、図示せず)に結合されていることが理解される。
【0085】
少なくとも1つの実施例において、RF電力供給網200内の個々の構成要素は、入力ポートおよび出力ポートを備えている2ポート網として表されてよい。少なくとも1つの実施例において、構成要素202は、入力ポート216および出力ポート218を備える。個々のノード208~214は各々、上流構成要素の出力ポートおよび隣接する下流構成要素の入力ポートによって境界されている。少なくとも1つの実施例において、ノード210は、構成要素202の出力ポート218および構成要素204の入力ポート220によって境界され、ノード212は、構成要素204の出力ポート222および構成要素206の入力ポート224によって境界されている。少なくとも1つの実施例において、ポートは、2つの端子を備える。少なくとも1つの実施例において、入力ポート216、220、224は、入力電圧Vinおよび入力電流Iinによって特徴付けられうる。少なくとも1つの実施例において、個々のポート216、220、および、224について、入力電圧は、それぞれ、VN-1in、VNin、および、VN+1inによって示されている。少なくとも1つの実施例において、番号は、構成要素チェーン内の構成要素の位置に従っており。例えば、VN-1inは、構成要素N-1に対応する、などである。少なくとも1つの実施例において、出力ポート218、222、および、226は、出力電圧および出力電流の指示によって同様に特徴付けられうる。少なくとも1つの実施例において、ノード208、210、212、および、214も、ノード電圧およびノード電流によって特徴付けられうる。少なくとも1つの実施例において、ノード210は、ノード電圧Vおよびノード電流iによって特徴付けられてよく、ここで、添字Nは、下流構成要素(例えば、構成要素204)を指している。
【0086】
少なくとも1つの実施例において、同様に、構成要素NおよびN+1(それぞれ、204および206)の間のノード212は、VN+1およびiN+1によって特徴付けられうる、などである。少なくとも1つの実施例において、個々のノード内で、上流構成要素の出力インピーダンスZoutが下流構成要素の入力インピーダンスZinに整合されている場合(例えば、Zout=V/i=Zn)、上流の出力電圧および出力電流は、下流の入力電圧および入力電流と実質的に等しくなりうる。少なくとも1つの実施例において、RF電力供給網200の構成要素チェーン内の下流でインピーダンス不整合が生じた場合、下流構成要素のZinは、上流構成要素のZoutに対して大幅に変化しうる。少なくとも1つの実施例において、プラズマインピーダンスZが振動し、整合回路網によってもはや整合されていない場合、RF電力供給網200の負荷端でインピーダンス不整合状態が生じる。少なくとも1つの実施例において、インピーダンス不整合は、構成要素チェーンを伝播して、構成要素チェーン内の各ノードでインピーダンス不整合を引き起こしうる。少なくとも1つの実施例において、構成要素202の出力ポート218におけるVN-1outおよびiN-1outは、ZN=1out=ZNinの時、構成要素204の入力ポート220におけるVNinおよびINinと実質的に等しい。少なくとも1つの実施例において、ZN=1out≠ZNinの時、出力および入力電圧および電流の間の同値は、もはや成り立ちえない。少なくとも1つの実施例において、電圧波および電流波の反射が、ノード境界で起こりうる。
【0087】
少なくとも1つの実施例において、インピーダンス不整合状態のために、出力ポート218および222は、隣接する入力ポート220および224に向かって不整合のZinを経験しうる。少なくとも1つの実施例において、この状態は、構成要素チェーンを伝播し(ここで、各構成要素のZinも、その上流の隣接する構成要素に照らして変化するように見える)、任意のRF信号源(例えば、図1に示したRF信号源126および/またはRF信号源128)に終わる。少なくとも1つの実施例において、電力も、各不整合ノードによって反射され、RF電力供給網200内の一部または全部の構成要素における電流引き込みの増大を引き起こしうる。少なくとも1つの実施例において、一部の構成要素による電流引き込みは、定格限界を超えて増大し、潜在的に、個々の構成要素内の個々の回路素子の過熱を引き起こしうる。少なくとも1つの実施例において、構成要素204は、キャパシタおよびインダクタを含むLCフィルタ回路を備えてよい。少なくとも1つの実施例において、正常な電流レベルでは、一方または両方の回路素子が熱を放散しうるが、過度な電流では、一方または両方の回路素子の過熱が起こりうる。少なくとも1つの実施例において、回路素子は、最大温度定格を有しうる。最大温度定格を超えると、回路素子は、損傷または破壊されうる。
【0088】
少なくとも1つの実施例において、温度に敏感な構成要素もしくは一部または全部の構成要素内の回路素子の保護のために構成要素202、204、および、206の温度を取得するための方法が、図2によって示されている。少なくとも1つの実施例において、RF電流および電圧を測定するためのセンサ228(例えば、図1のセンサ140など)が、RF電力供給網200内の任意のノードへ結合されてよい。少なくとも1つの実施例において、センサ228は、構成要素204および206(例えば、構成要素NおよびN+1)の間のノード212へ結合されている。少なくとも1つの実施例において、センサ228は、ノード電圧およびノード電流VN+1およびiN+1を連続的に測定してよい。少なくとも1つの実施例において、測定されると、VN+1およびiN+1の値は、プロセッサ230によって連続的に読み取られてよい。少なくとも1つの実施例において、プロセッサ230は、伝達関数および/または伝達行列を利用した数学的変換を用いて、他のノードにおけるVおよびiの値(例えば、それぞれノード208、210、214におけるVN-1、iN-1、V、i、VN+2、iN+2)を計算してよい。少なくとも1つの実施例において、伝達行列は、例えば、第1ノードにおける第1電圧および第1電流を、第2ノードにおける第2電圧および第2電流から計算するための行列の形態の相互依存的な線形方程式のセットを含む。少なくとも1つの実施例において、第2電圧および第2電流は、測定または計算されうる。
【0089】
少なくとも1つの実施例において、第2電圧および第2電流は、行列係数によって線形結合されてよい。少なくとも1つの実施例において、行列係数は、第2電圧および第2電流を第1電圧および第2電流に変換する。少なくとも1つの実施例において、行列係数は、第2電圧および第2電流を第1電圧に変換し、第2電圧および第2電流を第1電流に変換するための伝達関数であってよい。少なくとも1つの実施例において、伝達行列は、プロセッサ230へ結合されているメモリ232に格納されうるマシン読み取り可能な命令へエンコードされてよい。少なくとも1つの実施例において、伝達行列は、ノード212で測定された電圧および電流をノード210における電圧および電流の値に変換するために用いられてよい。少なくとも1つの実施例において、2ポート電気回路網に対する伝達行列の一例は、式[1]で与えられる形態を有してよい。
【数1】
ここで、Vは、第1(例えば、入力)ポートの両端の電圧であってよく、Iは、第1ポートに流れ込む電流であってよい。Vは、第2(例えば、出力)ポートの両端の電圧であってよく、Iは、第2ポートから流れ出る電流であってよい。少なくとも1つの実施例において、係数A、B、C、および、Dは、個々の構成要素について経験的に決定されてよい。少なくとも1つの実施例において、A=[V/VI2=0、B=[-V/IV2=0、C=[I/VV1=0、D=[V/VI1=0である。少なくとも1つの実施例において、抵抗素子および/またはリアクタンス素子を含む回路において、係数A、B、C、および、Dの値は、構成要素202、204、および、206内の特定の回路トポロジにおいて組み合わせられた個々の回路素子に関連するリアクタンスおよびサセプタンスの値に基づいていてよい。
【0090】
少なくとも1つの実施例において、伝達行列は、RF電力供給網200の構成要素チェーンに沿ってノード212の上流および下流のノードにおける電圧および電流を計算するためにカスケード化されてよい。
【0091】
少なくとも1つの実施例において、カスケード化された伝達行列に基づいたノードの計算は、式[2]で与えられる形態を有してよい。
【数2】
【0092】
少なくとも1つの実施例において、式[2]は、メモリ232に格納されたソフトウェア内にエンコードされ、数値的に解かれてよい。少なくとも1つの実施例において、係数A、B、C、および、Dは、一部または全部の構成要素に対して、もしくは、選択された温度に敏感な回路素子に対して、予め決定されてよい。少なくとも1つの実施例において、プロセッサ230は、所定の時間間隔でセンサ228を読み取ってよい。少なくとも1つの実施例において、センサ228は、ノード212へ結合され、VN+1およびiN+1の値を測定する。少なくとも1つの実施例において、プロセッサ230は、ノード208で測定されたVN+1およびIN+1の変換によって、ノード210の電圧および電流VおよびIの値を計算してよい。少なくとも1つの実施例において、他のノード208、210、および、214における入力電圧および電流の値が決定されてよい。
【0093】
少なくとも1つの実施例において、iin N+1が測定され、iinNおよびiinN+1が、iin N+1に基づいて計算されると、個々構成要素202、204、および、206内の電力散逸が、例えば、iinN-1およびiinNの計算された値から決定される。少なくとも1つの実施例において、個々の回路素子(キャパシタおよびインダクタ)の回路トポロジならびに誘電損失および直列抵抗値の損失の知識が呼び出されてよい。少なくとも1つの実施例において、計算されたノード電流に基づいて、例えば、各構成要素についてジュール加熱(IR)損失によって生成された熱が計算されてよい。ここで、例えば、インダクタおよびキャパシタの直列抵抗および誘電損失のパラメータの知識が用いられてよい。
【0094】
少なくとも1つの実施例において、IR損失(ここで、Iは、構成要素への過剰な入力電流を含みうる)による過剰なジュール加熱のために、各構成要素内で温度変化が生じうる。Rは、直列抵抗または誘電損失を表しうる。少なくとも1つの実施例において、個々の構成要素内での温度上昇が、プロセッサ230によって実行される数値計算によって決定されてよい。少なくとも1つの実施例において、プロセッサ230は、疑似瞬間温度を計算して、例えば、数値熱伝導微分方程式に入れるために、メモリ232に格納されたソフトウェア命令を実行してよい。少なくとも1つの実施例において、かかる数値熱伝導微分方程式は、式[3]の形態を有してよい。
【数3】
ここで、T(t)、T、kおよびk、Δtは、それぞれ、時間tにおける構成要素の温度、tはn番目の時間増分、Tは基準温度、kおよびkはシステムのエネルギ利得および損失に関する定数、である。Δtは、時間増分である。少なくとも1つの実施例において、熱定数kおよびkは、個々の構成要素(例えば、構成要素202、204、および、206)について経験的に決定されてよい。熱定数kおよびkを決定するための手順の例については後述する。少なくとも1つの実施例において、T(t)のプロファイルが、RF電力供給網200内の一部または全部の構成要素について、式3の繰り返し数値解によってリアルタイムに決定されてよい。少なくとも1つの実施例において、ソフトウェアは、処理の任意の時点に構成要素または構成要素内の回路素子の定格温度を超えたか否かをさらに判定するための命令を備えてよい。少なくとも1つの実施例において、式[3]の最後の項は、ジュール加熱の項であり、すなわち、IRまたはV/Rの観点でジュールを計算するための電力の数値積分である。
【0095】
図3は、少なくとも1つの実施例に従って、電力供給網(例えば、電力供給網114または200)内の電気構成要素の熱定数を取得するための方法300を示す。少なくとも1つの実施例において、様々なブロックまたは動作が、ハードウェア、ソフトウェア、または、両方の組み合わせによって実行されてよい。方法300は、少なくとも1つの実施例に従って、電力供給網内の温度に敏感な構成要素の熱保護を提供する。少なくとも1つの実施例において、方法300は、いくつかの実施例に従って、デジタルプロセッサが、プロセッサに結合されているメモリ内に格納されたコンピュータプログラム内のマシン実行可能な命令を実行することによって実行されてよい。少なくとも1つの実施例において、RF電力供給網(図1に示したRF電力供給網114または図2に示したRF電力供給網200など)で用いられる試験対象の構成要素の熱特性が、経験的に決定されてよい。少なくとも1つの実施例において、試験対象の構成要素は、電力供給網の実際の利用時に想定されうる実際的な電力供給条件にさらされる。少なくとも1つの実施例において、方法は、熱特性(試験対象の構成要素の熱定数kおよびkなど)を取得するために利用されうる動作を示している。少なくとも1つの実施例において、試験対象の構成要素は、RF電力供給網で用いられる実際の構成要素であってよい。
【0096】
少なくとも1つの実施例において、動作301で、RF電流が、RF信号源(RF信号源126または128など)によって生成されてよく、RF信号源は、試験対象の構成要素に結合されている。少なくとも1つの実施例において、RF電流は、試験対象の構成要素を通して流れてよい。少なくとも1つの実施例において、試験対象の構成要素は、パッシブ回路素子の組み合わせを備えてもよいし、単一の回路素子を備えてもよい。少なくとも1つの実施例において、回路素子は、キャパシタ、インダクタ、トランス、抵抗器、方向性カプラ、電力スプリッタおよびコンバイナ、スイッチ、ならびに、伝送ラインなどを含むがそれらに限定されないパッシブ素子を含んでよい。少なくとも1つの実施例において、RF電流は、IR加熱として定量化されるジュール加熱によって構成要素を加熱するRMS値を有するように選択されてよい。少なくとも1つの実施例において、量Rは、構成要素と同等の直列抵抗であってよく、構成要素における散逸損失に関与しうる。少なくとも1つの実施例において、電流Iは、RMS RF電流値であってよく、その電流値は、構成要素において同じ量のIR加熱を引き起こす同じ構成要素を通るDC電流と実質的に数値が同等である。少なくとも1つの実施例において、1アンペアのピーク振幅の正弦波RF電流が、約I=0.7アンペアのRMS値を有し、これは、IR加熱の観点でI=0.7アンペアDCと同等である。少なくとも1つの実施例において、RF電流は、或るデューティサイクルによって制御されるバーストで供給されてよく、ここで、RF電流は、ピーク振幅を調整することによって制御されうるRF電流の連続的な供給とは対照的に、周期的にオンおよびオフを切り替えられる。少なくとも1つの実施例において、デューティサイクルによって制御されるRF電流について、関連パラメータは、デューティサイクル周期の長さ、ならびに、デューティサイクル周期内のオン時間およびオフ時間の割合であってよい。
【0097】
少なくとも1つの実施例において、デューティサイクル周期は、デューティサイクルのオン時間位相およびオフ時間位相の合計であってよい。少なくとも1つの実施例において、制御されたバーストまたはパルスとしてRF電流を管理することにより、試験対象の構成要素に供給される平均RF電流は、デューティサイクルのオン時間およびオフ時間の持続期間を調整することによって調整されてよい。少なくとも1つの実施例において、試験対象の構成要素内の温度上昇は、ピークRF電流ではなく、パルス化された時の平均RF電流に比例しうる。少なくとも1つの実施例において、ピークRF電流は、一定のままであってよく、これは、プラズマに供給されるピーク電力が、所望のプラズマ特性(電子密度nなど)を維持するのに必要とされる程度に高くなることを可能にする。少なくとも1つの実施例において、デューティサイクルのオン時間位相およびオフ時間位相は、秒の時間スケールで測定されてよい。両方のパラメータが最適化されてよい。
【0098】
少なくとも1つの実施例において、バーストでRF電流を流すことは、プラズマへの最大ピーク電力供給を提供しつつ、構成要素がジュール加熱にさらされる時間を制限しうる。少なくとも1つの実施例において、ピーク電力は、例えば、プラズマ内の所望の電子密度を生み出すように維持されてよい。少なくとも1つの実施例において、構成要素は、短期間、製造業者の定格を大幅に超える電流のピーク値をサポートしうる。少なくとも1つの実施例において、デューティサイクルのオン時間を調整することは、電流バースト中に生じる温度過渡が緩むことを可能にし、試験対象の構成要素が電流バーストの合間に冷却することを可能にしうる。少なくとも1つの実施例において、動作301中に、構成要素は、設定された期間中に電流を流すことによって、高温に加熱することを許容される。
【0099】
少なくとも1つの実施例において、動作302および303で、電流は停止され、試験対象の構成要素は冷却することを許容される。少なくとも1つの実施例において、冷却段階中に、試験対象の構成要素の低下する温度が温度センサによって記録されてよい。少なくとも1つの実施例において、熱電対、赤外線カメラ、抵抗温度検出器(RTD)、ペルチェ素子などが、構成要素の正確な温度測定値を取得するための温度プローブとして用いられてよい。少なくとも1つの実施例において、試験対象の構成要素の低下温度-時間プロファイルは、試験対象の構成要素の特定の幾何形状、試験対象の構成要素の周りのエンクロージャおよび任意の絶縁体を含む近くの物体に関する局所的環境、ならびに、自然対流および強制対流への暴露に固有でありうる。少なくとも1つの実施例において、温度は、間隔を置いて温度プローブまたはプローブのセットを読み取ることによって測定されてよい。例えば、マイクロプロセッサが、適切な時間間隔で温度プローブを読み取って、読み取り値をメモリバッファに格納してよい。
【0100】
少なくとも1つの実施例において、動作304で、1セットの記録された温度データが、熱定数kおよびkを決定するために、フィッティングルーチンを受けてよい。少なくとも1つの実施例において、二次元および三次元解析のための有限要素、一次元および二次元解析における時間増分など、適切な方法が用いられてよい。少なくとも1つの実施例において、1セットの記録された温度が、式[3]と同様の熱伝達方程式へ数値的にフィッティングされてよい。
【0101】
少なくとも1つの実施例において、熱伝達方程式を数値的に解くことにより、熱定数kおよびkが、試験対象の構成要素に対して計算されてよい。少なくとも1つの実施例において、方法300は、図1のRF電力供給網114と同様のRF電力供給網内の一部または全部の構成要素に対して繰り返されてよい。少なくとも1つの実施例において、特定のRF電力供給網内のすべての構成要素が、方法300によって評価されてもよいし、温度敏感性を示す選択された構成要素が、そのように評価されてもよい。少なくとも1つの実施例において、対象の構成要素について、kおよびkの値が決定されると、図2および以下の図4について説明するように、式[3]に基づいた温度計算に適用されてよい。
【0102】
図4は、少なくとも1つの実施例に従って、電力供給網(図1に示した電力供給網114など)内の複数の構成要素の温度を決定するための方法400を示す。少なくとも1つの実施例において、方法400の動作が、ソフトウェア、ハードウェア、または、それらの組み合わせによって実行されてよい。少なくとも1つの実施例において、方法400は、温度に敏感な回路素子および構成要素を過熱kら保護する。少なくとも1つの実施例において、電力供給網で用いられる構成要素の熱特性が、図3に示して上述したように経験的に決定されてよい。少なくとも1つの実施例において、方法400は、図2に関する記載と同様でありうる。少なくとも1つの実施例において、方法400は、電力供給網内の単一のノードで測定された電流および電圧を電力供給網内の一部または全部における電圧および電流に変換し、構成要素の温度を計算するために用いられうる動作401~404を示している。少なくとも1つの実施例において、温度の計算は、上述の方法300によって取得された個々の構成要素の熱定数kおよびkに基づいてよい。
【0103】
少なくとも1つの実施例において、動作401で、RF電圧および電流が、RF電圧および電流を測定するためのセンサ(図1に示したセンサ140など)によって電力供給網内の単一のノードで測定される。少なくとも1つの実施例において、センサは、RF電流-電圧プローブ(図2に示したセンサ228など)、ベクトルネットワークアナライザ、インピーダンスアナライザなどであってよい。少なくとも1つの実施例において、関連データは、瞬間的なRF電圧、RF電流、および、任意選択的にRF電圧とRF電流との間の位相角を含んでよい。少なくとも1つの実施例において、ベクトルネットワークアナライザまたはインピーダンスアナライザが、すべての3つのパラメータを自動的に測定してよい。少なくとも1つの実施例において、位相角は、構成要素の入力ポートおよび出力ポートの複素インピーダンスを計算するために必要でありうる。少なくとも1つの実施例において、最終的に、測定ノードにおける電流および/または電圧は、電力供給網内の一部または全部のノードにおける電圧、電流、および、任意選択的に複素インピーダンスに変換される。
【0104】
少なくとも1つの実施例において、測定は、プログラムされた時間間隔でマイクロプロセッサ(図1に示したプロセッサ144など)によってセンサを読み取ることによって逐次実行されてよい。少なくとも1つの実施例において、マイクロプロセッサは、マイクロプロセッサに結合されているメモリ(図1に示したメモリ146など)に格納されたソフトウェア命令を実行してよい。少なくとも1つの実施例において、命令は、測定が一貫した時間間隔で実行されうるように、ソフトウェアループ内に含まれてよい。少なくとも1つの実施例において、読み取ったデータは、バッファ内に格納されてよい。
【0105】
少なくとも1つの実施例において、動作402で、RF電力網内の単一のノードに結合されているセンサが、同じノードに結合されている下流構成要素の入力電圧および電流を測定してよい。少なくとも1つの実施例において、測定された電圧、電流、および、任意選択的に位相角は、測定ノードの上流および下流のノードにおける電圧および電流へプロセッサによって数値変換されてよい。少なくとも1つの実施例において、数値変換は、式[2]のデジタル操作によって個々のノード(例えば、図2に示したノード208、210、214)の[V,I]ベクトルを計算するためのマシン読み取り可能な命令を含むソフトウェア内に含まれるサブルーチンによって実行されてよい。少なくとも1つの実施例において、式[2]は、上に示したものと同様の2ポート網のための伝達行列を組み込んでいる。少なくとも1つの実施例において、行列係数(上述したA、B、C、および、D係数など)が、RF電力伝達網の個々の構成要素について、経験的に決定され、または、既知であってもよい少なくとも1つの実施例において、上流および下流のノードにおける電圧および電流が、計算済みの[V,I]ベクトルにパッケージングされ、関連する個々の構成要素への入力電圧および電流と同等と見なされうる。
【0106】
少なくとも1つの実施例において、動作403で、動作402において実行された測定データの変換から計算された第1構成要素(例えば、構成要素N)の入力電流および/または電圧が、ジュール加熱による電力散逸に変換されてよい。少なくとも1つの実施例において、構成要素Nへの入力電流iNinが、ジュール加熱による電力損失を取得するために、i NinRを含む計算に挿入されてよい。少なくとも1つの実施例において、入力電圧VNinが、V Nin/Rを計算することによって同様に用いられてもよい。少なくとも1つの実施例において、パラメータRは、構成要素内の回路素子に関連する総直列抵抗であってよい。
【0107】
少なくとも1つの実施例において、第1構成要素の温度は、IRデータまたは単に第1構成要素への入力電流を式[3]に挿入することによって決定されてよい。少なくとも1つの実施例において、熱定数kおよびkは、方法300の事前の実行によって先験的に決定されていてよい。再び図4を参照すると、式[3]を数値的に解くことにより、少なくとも1つの実施例において、計算された時間依存温度T(t)が、限界を超えたか否かを判定するために、最大温度限界と比較されてよい。少なくとも1つの実施例において、最大温度限界は、構成要素内の1または複数の温度に敏感な回路素子の製造者から取得されてよい。少なくとも1つの実施例において、超えている場合に、ソフトウェアは、ユーザが過熱状態に気づいて構成要素の温度を下げる回避行動を取るようにアラームを設定することによって、過熱状態を是視するための命令を含んでよい。
【0108】
少なくとも1つの実施例において、回避行動は、デューティサイクル周期全体の削減および/またはデューティサイクルのオン時間位相の削減であってよい。かかる行動は、構成要素が或る程度まで冷えることを可能にしうるものであり、ここで、過渡温度が、限界より低い温度まで緩和しうる。少なくとも1つの実施例において、デューティサイクルの操作は、プラズマ内の所望/目標の電子密度(少なくとも1010/cmのnなど)を維持することが必要でありうる時に、ピーク電力が高いままであることを可能にしうる。
【0109】
少なくとも1つの実施例において、動作404で、動作403について説明した処理が、電力供給網内の第2構成要素(例えば、構成要素N-1)に対して繰り返されてよい。少なくとも1つの実施例において、第2構成要素の計算された時間依存温度は、第2構成要素の1または複数の温度に敏感な回路素子の最大温度限界と比較されてよい。少なくとも1つの実施例において、第1構成要素と同様の過熱状態のための改善措置が、動作403について説明したように、第2構成要素に対して取られてよい。
【0110】
方法400は、電力供給網内の2つの構成要素について、測定、変換、ならびに、温度計算および過熱状態改善の処理を記載しうるが、この処理は、少なくとも1つの実施例に従って、同じ電力供給網内の残りの構成要素の一部または全部の温度を計算するために繰り返されてもよい。結果として、電力供給網内の任意の1つの構成要素で起こりうる過熱状態が、回避または迅速に改善されうる。
【0111】
図5は、少なくとも1つの実施例に従って、電力分配網(電力供給網114など)で用いられる構成要素例の時間に対する測定温度および算出温度のプロット500を示す。少なくとも1つの実施例において、構成要素例は、キャパシタ、インダクタ、抵抗器、スイッチ、伝送ラインなど、個々のパッシブ回路素子であってよい。少なくとも1つの実施例において、構成要素は、LCフィルタまたはインピーダンス整合回路網など、個々のパッシブ素子の組み合わせであってもよい。プロット500は、少なくとも1つの実施例に従って、或る時間間隔にわたって表示されている、計算された温度-時間プロファイル(曲線502)と、測定された温度-時間プロファイル(曲線504)との比較を示している。曲線502は、実線で表されている曲線504から識別しやすいように破線で表されている。少なくとも1つの実施例において、計算された温度-時間プロファイルは、図2図3、および、図4について説明した方法に基づいていてよい。
【0112】
再び図5を参照すると、プロット例500は、少なくとも1つの実施例に従って、上述の方法を適用することにより、計算された温度-時間プロファイルが、測定された温度-時間プロファイルを実質的にたどることを示している。少なくとも1つの実施例において、RF電流レベルも、パルス列506として示されている電流バーストまたはパルスの列としてプロット500に示されている。少なくとも1つの実施例において、電流パルス持続時間は、一定のデューティサイクル周期によって間隔を空けられたオン時間位相に基づきうる。少なくとも1つの実施例において、パルス持続時間は、実質的に一定のデューティサイクルによって支配されうる。プロット例500において、電流パルスは、少なくとも1つの実施例に従って、大きい電流パルス508の後に小さい電流パルス510を含む。プロット500は、領域512内に最初の急激な温度上昇を示しており、ここで、RF電流は連続的である。領域514が、領域512の後に続いている。領域514において、電流パルス列506のオン期間およびオフ期間は、領域512と同じままである。少なくとも1つの実施例において、電流ピークは、より低い大きさを有し、測定および計算された温度-時間プロファイルの両方で安定期が生じることを可能にする。少なくとも1つの実施例において、バーストの持続時間(例えば、電流パルス508および510の幅)は、デューティサイクルのオン時間位相に対応して、例えば、10~20秒であってよい。少なくとも1つの実施例において、領域516で、電流パルス508および510の大きさは、領域512におけるレベルまで実質的に増大する。少なくとも1つの実施例において、測定および計算された温度-時間プロファイルの両方が、上昇によって反応している。少なくとも1つの実施例において、領域518で、電流パルス列は停止され、温度は単調減少する。計算された曲線504は、測定された曲線502を正確にたどっている。
【0113】
図6は、例えば、実行された時に、プラズマ処理ツール100のための制御ユニットの回路基板内のマイクロコントローラ(例えば、図1のプロセッサ144または図2のプロセッサ230)に、方法400に従ったマシン読み取り可能な命令を実行させるマシン読み取り可能な命令を有するマシン読み取り可能な記憶媒体を備えているプロセッサシステム600を示す。少なくとも1つの実施例において、マイクロコントローラは、RF信号源126および128をプラズマチャンバ102と結合するRF電力供給網114内のノードにおける電圧および/または電流を測定して報告しうる。少なくとも1つの実施例において、処理は、コンピュータ実行可能な命令としてマシン読み取り可能な媒体(例えば、603)に格納されていてよい。少なくとも1つの実施例において、マシン読み取り可能な媒体は、例えば、図1のメモリ146または図2のメモリ232であってよい。少なくとも1つの実施例において、プロセッサシステム600は、図に示すように結合されているメモリ601と、プロセッサ602と、マシン読み取り可能な記憶媒体603(有形のマシン読み取り可能な媒体とも呼ばれる)と、通信インターフェース604(例えば、無線または有線インターフェース)と、ネットワークバス605と、を備える。少なくとも1つの実施例において、プロセッサ602は、図1のプロセッサ144であってよい。
【0114】
少なくとも1つの実施例において、プロセッサ602は、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、汎用中央処理装置(CPU)、または、本明細書に記載の様々な処理を実行するための単純な有限状態機械を実装する低電力ロジックである。
【0115】
少なくとも1つの実施例において、プロセッサシステム600の様々なロジックブロックが、ネットワークバス605を介して互いに結合されている。任意の適切なプロトコルが、ネットワークバス605を実装するために用いられてよい。少なくとも1つの実施例において、マシン読み取り可能な記憶媒体603は、様々な実施例を参照して上述したように、電圧および電流を測定し、測定した電圧および電流を変換し、温度を計算するための命令(プログラムソフトウェアコード/命令とも呼ばれる)を含む。
【0116】
少なくとも1つの実施例において、マシン読み取り可能な記憶媒体603は、RF電力供給網(例えば、図1のRF電力供給網114)内の構成要素の間のノードにおける電流および電圧を測定するための命令を備えているマシン読み取り可能な記憶媒体である。少なくとも1つの実施例において、マシン読み取り可能な記憶媒体603(例えば、図1のメモリ146)は、実行された時に、プロセッサ602に、様々な実施例を参照する方法を実行させるマシン読み取り可能な命令を有する。
【0117】
少なくとも1つの実施例において、様々な実施例に関連するプログラムソフトウェアコード/命令は、「プログラムソフトウェアコード/命令」、「オペレーティングシステムプログラムソフトウェアコード/命令」、「アプリケーションプログラムソフトウェアコード/命令」、もしくは、単に[ソフトウェア」またはプロセッサに埋め込まれたファームウェアと呼ばれる、オペレーティングシステムまたは特定のアプリケーションの一部、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュール、ルーチン、もしくは、その他の命令シーケンスまたは組織化された命令シーケンスとして実装されてよい。少なくとも1つの実施例において、プログラムソフトウェアコード/命令は、プロセッサシステム600によって実行されてよい。
【0118】
少なくとも1つの実施例において、マシン読み取り可能な記憶媒体603は、コンピュータ実行可能な記憶媒体である。少なくとも1つの実施例において、様々な実施例に関連するプログラムソフトウェアコード/命令は、コンピュータ実行可能な記憶媒体603に格納され、プロセッサ602によって実行される。ここで、コンピュータ実行可能な記憶媒体603は、コンピュータデバイスによって実行された時に、1または複数のプロセッサ(例えば、プロセッサ602)に処理を実行させるプログラムソフトウェアコード/命令およびデータを格納するために利用できる有形のマシン読み取り可能な媒体603である。
【0119】
少なくとも1つの実施例において、有形のマシン読み取り可能な媒体603は、例えば、ROM、揮発性のRAM、不揮発性メモリ、および/または、キャッシュ、ならびに/もしくは、本願で参照したその他の有形のメモリなど、様々な有形の位置に、実行可能なソフトウェアプログラムコード/命令およびデータのストレージを備えてよい。少なくとも1つの実施例において、このプログラムソフトウェアコード/命令および/またはデータの部分が、これらのストレージおよびメモリデバイスの内の任意の1つに格納されてよい。少なくとも1つの実施例において、プログラムソフトウェアコード/命令は、例えば、インターネットを含め、中央サーバまたはピアツーピアネットワークなどを通して、他のストレージから取得されてもよい。少なくとも1つの実施例において、ソフトウェアプログラムコード/命令およびデータの異なる部分が、異なる時に異なる通信セッションで、または、同じ通信セッションで、取得されてよい。
【0120】
少なくとも1つの実施例において、様々な実施例に関連するソフトウェアプログラムコード/命令は、それぞれのソフトウェアプログラムまたはアプリケーションの実行前に、全体が取得されてよい。少なくとも1つの実施例において、代替的に、ソフトウェアプログラムコード/命令およびデータの一部が、実行に必要な時に、動的に(例えば、ジャストインタイムで)取得されてもよい。少なくとも1つの実施例において、代替的に、ソフトウェアプログラムコード/命令およびデータを取得するこれらの方法の何らかの組み合わせが、例えば、異なるアプリケーション、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュール、ルーチン、もしくは、その他の命令シーケンスまたは組織化された命令シーケンスに対して実施されてもよい。少なくとも1つの実施例において、データおよび命令が特定の時間に全体として有形のマシン読み取り可能媒体603上にある必要がない場合もある。
【0121】
少なくとも1つの実施例において、有形のマシン読み取り可能な媒体603は、特に、揮発性および不揮発性のメモリデバイス、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリデバイス、フロッピーおよびその他のリムーバブルディスク、磁気記憶媒体、光学記憶媒体(コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)など)など、記録可能および非記録可能なタイプの媒体を含むが、これらに限定されない。少なくとも1つの実施例において、ソフトウェアプログラムコード/命令は、有形の通信リンクを通して信号(搬送波、赤外線信号、デジタル信号、など)を電気的、光学的、音響的、または、その他の形態で伝搬する間に、デジタルの有形通信リンクに一時的に格納されてよい。
【0122】
様々な実施例を説明する例を以下に提供する。これらの例は、他の例と組み合わせることができる。したがって、本発明の範囲を変更することなしに、様々な実施例を他の実施例と組み合わせることができる。
【0123】
例1は、温度を測定するための方法であって、高周波(RF)電流をRF電力供給網に供給し、RF電力供給網は、第2構成要素に結合されている第1構成要素を少なくとも備え、第1構成要素は、第1ノードを備え、第2構成要素は、第2ノードを備え、第2ノードは、第1構成要素および第2構成要素を相互接続し、第1ノードにおける第1電圧および第1電流を測定し、第1電圧の測定および第1電流の測定に基づいて、第2ノードにおける第2電圧および第2電流を計算し、第1構成要素の第1温度および第2構成要素の第2温度を計算することを備え、第1温度は、第1電流の関数であり、第2温度は、第2電流の関数である。
【0124】
例2は、本明細書の任意の例(特に、例1)の方法であって、第2電圧および第2電流を計算することは、第1伝達行列に基づいて、第1電圧を第2電圧に変換し、第1電流を第2電流に変換することを含む、方法である。
【0125】
例3は、本明細書の任意の例(特に、例2)の方法であって、さらに、第3電圧および第3電流を決定することを備え、第2伝達行列に基づいて、第2電圧が第3電圧に変換され、第2電流が前記第3電流に変換される、方法である。
【0126】
例4は、本明細書の任意の例(特に、例2)の方法であって、さらに、第1電流を第1構成要素の第1散逸電力に変換し、第2電流を第2構成要素の第2散逸電力に変換すること、を備える、方法である。
【0127】
例5は、本明細書の任意の例(特に、例4)の方法であって、第1構成要素の第1温度を計算することは、或る時間間隔における第1散逸電力の第1積分を計算することを含む、方法である。
【0128】
例6は、本明細書の任意の例(特に、例5)の方法であって、第2構成要素の第2温度を計算することは、時間間隔における第2散逸電力の第2積分を計算し、第2積分に第2構成要素の第2熱定数を乗じること、を含む、方法である。
【0129】
例7は、本明細書の任意の例(特に、例6)の方法であって、さらに、第1温度を第1構成要素の第1温度限界と比較し、第2温度を第2構成要素の第2温度限界と比較することを備える、方法である。
【0130】
例8は、本明細書の任意の例(特に、例7)の方法であって、さらに、少なくとも第1温度が第1温度限界を超え、または、少なくとも第2温度が第2温度限界を超えた時に、RF電力供給網に結合されているRF電流のデューティサイクルを調整することを備える、方法である。
【0131】
例9は、本明細書の任意の例(特に、例2)の方法であって、第1電圧および第1電流を測定することは、第1電流と第1電圧との間の位相角を測定することを含む、方法である。
【0132】
例10は、本明細書の任意の例(特に、例9)の方法であって、第1構成要素の第1出力インピーダンスは、第1電圧、第1電流、および、第1電流と第1電圧との間の位相角から決定される、方法である。
【0133】
例11は、マシン読み取り可能な記憶媒体であって、電子回路を熱的に保護するためのコンピュータプログラムを備え、電子回路は、第1構成要素および第2構成要素を少なくとも備え、コンピュータプログラムは、1または複数のマシンによって実行された時に、1または複数のマシンに方法を実行させるマシン実行可能な命令を含み、方法は、第1構成要素の第1入力電圧および第1入力電流を測定し、第2構成要素の第2入力電圧および第2入力電流を計算し、第1構成要素の第1温度および第2構成要素の第2温度を計算することを備え、第1温度は、第1入力電流の関数であり、第2温度は、第2入力電流の関数である、記憶媒体である。
【0134】
例12は、本明細書の任意の例(特に、例11)のマシン読み取り可能な記憶媒体であって、方法は、さらに、第1温度を第1温度限界と比較し、第2温度を第2温度限界と比較することを備える、記憶媒体である。
【0135】
例13は、本明細書の任意の例(特に、例12)のマシン読み取り可能な記憶媒体であって、方法は、さらに、少なくとも第1温度が第1温度限界を超え、または、少なくとも第2温度が第2温度限界を超えた時に、RF電流のデューティサイクルを調整することを備える、記憶媒体である。
【0136】
例14は、システムであって、プラズマ結合インターフェースを備えているプラズマチャンバと、RF電力供給網を通してプラズマ結合インターフェースに結合されている高周波(RF)信号源と、RF電力供給網は、複数の構成要素を備え、複数の構成要素の内の第1構成要素に結合されているセンサであって、第1構成要素の両端の第1電圧および第1構成要素を通る第1電流を測定する、センサと、センサに結合されているプロセッサであって、複数の構成要素の内の第2構成要素の両端の第2電圧および第2構成要素を通る第2電流を決定し、第1構成要素における第1温度および第2構成要素における第2温度を決定する、プロセッサと、を備える、システムである。
【0137】
例15は、本明細書の任意の例(特に、例14)のシステムであって、プロセッサは、第1電圧および第1電流に基づいて、第2電圧および第2電流を決定する、システムである。
【0138】
例16は、本明細書の任意の例(特に、例15)のシステムであって、プロセッサは、伝達行列に基づいて、第2電圧および第2電流を決定する、システムである。
【0139】
例17は、本明細書の任意の例(特に、例14)のシステムであって、プラズマ結合インターフェースは、誘導結合プラズマ(ICP)アンテナを備え、ICPアンテナは、プラズマチャンバ内のプラズマに誘導結合する、システムである。
【0140】
例18は、本明細書の任意の例(特に、例14)のシステムであって、プラズマ結合インターフェースは、容量結合プラズマ(CCP)電極であり、CCP電極は、プラズマチャンバ内のプラズマに容量結合する、システムである。
【0141】
例19は、本明細書の任意の例(特に、例18)のシステムであって、CCP電極は、ガス分配マニホルドであり、ガス分配マニホルドは、プラズマチャンバ内のプラズマに容量結合する、システムである。
【0142】
本明細書に記載されているものに加えて、開示されている実装例に対して、それらの範囲から逸脱することなく、様々な変形がなされてよい。したがって、本明細書の実施例の説明は、単に例示として解釈され、本開示の範囲を限定するものではない。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲を参照することによってのみ評価されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】