IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ラム リサーチ コーポレーションの特許一覧

特表2025-523815堆積アプリケーションのための高効率LED基板ヒータ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-07-25
(54)【発明の名称】堆積アプリケーションのための高効率LED基板ヒータ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20250717BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20250717BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/302 101B
H01L21/302 101G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2025501258
(86)(22)【出願日】2023-06-21
(85)【翻訳文提出日】2025-03-04
(86)【国際出願番号】 US2023025809
(87)【国際公開番号】W WO2024015196
(87)【国際公開日】2024-01-18
(31)【優先権主張番号】63/388,704
(32)【優先日】2022-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コンコラ・ポール
(72)【発明者】
【氏名】ケナネ・ボアズ
【テーマコード(参考)】
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
5F004AA01
5F004BA04
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB26
5F004CB12
5F045AA08
5F045AA15
5F045BB02
5F045DP03
5F045EF05
5F045EJ01
5F045EK11
5F045EK13
5F045EM05
5F045GB05
(57)【要約】
【解決手段】基板上に材料を堆積するように構成されている台座に配置されている光学アレイは、複数の光学素子と、窓と、ピンホールのアレイとを含む。光学素子は、プリント回路基板(PCB)上に配置されている。光学素子は、光を放射するように構成されている。窓は、PCB上に配置されている光学素子を覆う光透過材料から構成されている。ピンホールのアレイは、光学素子と窓との間に配設されている。ピンホールは、光学素子と垂直に整列し、光学素子によって放射された光を、窓を通して方向付けて、基板を加熱する。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に材料を堆積するように構成されている台座に配置されている光学アレイであって、
プリント回路基板(PCB)上に配置されている複数の光学素子であって、光を放射するように構成されている複数の光学素子と、
前記PCB上に配置されている前記光学素子を覆う光透過性材料から構成されている窓と、
前記光学素子と前記窓との間に配設されているピンホールのアレイとを備え、前記ピンホールは、前記基板を加熱するために、前記光学素子によって放射された前記光を、前記窓を通して方向付けるように、垂直方向に前記光学素子と整列されている、光学アレイ。
【請求項2】
請求項1に記載の光学アレイであって、さらに、
前記光学素子と前記ピンホールとの間に配設されているレンズを備え、前記レンズは前記光学素子および前記ピンホールと整列し、前記光学素子からの前記光を前記ピンホールに収束させる、光学アレイ。
【請求項3】
請求項1に記載の光学アレイであって、
前記光学素子は、前記光学素子からの前記光を前記ピンホールに収束させるためのレンズを備える、光学アレイ。
【請求項4】
請求項1に記載の光学アレイであって、
前記ピンホールのアレイは、金属または誘電体材料から構成されている、光学アレイ。
【請求項5】
請求項1に記載の光学アレイであって、
前記ピンホールのアレイは、モノリシックアセンブリにおいて前記窓と一体化されている、光学アレイ。
【請求項6】
請求項1に記載の光学アレイであって、
前記ピンホールのアレイは、前記窓に面する側において反射材料がコーティングされており、前記反射材料は前記ピンホールを覆っていない、光学アレイ。
【請求項7】
請求項1に記載の光学アレイであって、
前記ピンホールのアレイは、前記光学素子に面する側において反射防止材料がコーティングされている、光学アレイ。
【請求項8】
請求項1に記載の光学アレイであって、
前記窓は、
前記光学素子に面する側において、反射防止材料がコーティングされ、
前記基板に面する側において、前記光学素子によって放射された前記光の波長の反射を防止し、赤外波長を反射する材料がコーティングされている、光学アレイ。
【請求項9】
請求項1に記載の光学アレイであって、
前記窓は、前記光学素子に面する側において反射防止材料がコーティングされ、前記窓は、前記反射防止材料上にコーティングされた反射材料をさらに含み、前記反射材料は、金属膜と前記ピンホールとを含む、光学アレイ。
【請求項10】
請求項1に記載の光学アレイであって、
前記光学素子は、発光ダイオードを備える、光学アレイ。
【請求項11】
請求項1に記載の光学アレイであって、
前記光学素子は、530nmから1000nmの間の波長を有する光を放射するように構成されている発光ダイオードを備える、光学アレイ。
【請求項12】
請求項1に記載の光学アレイであって、
前記光学アレイは、円形であり、前記光学素子および前記ピンホールは、前記光学アレイの内径から外径まで同心円状に配置されている、光学アレイ。
【請求項13】
請求項1に記載の光学アレイであって、さらに、
前記光学素子と前記ピンホールとの間に配設されているレンズを備え、
前記光学アレイは、円形であり、
前記光学素子、前記ピンホール、および前記レンズは、前記光学アレイの内径から外径まで同心円状に配置され、
前記レンズは、前記光学素子および前記ピンホールと整列し、前記光学素子からの前記光を前記ピンホールに収束させる、光学アレイ。
【請求項14】
請求項1に記載の光学アレイであって、
前記ピンホールは、円筒形である、光学アレイ。
【請求項15】
請求項1に記載の光学アレイであって、
前記ピンホールは、前記光学素子に面する基部を有する円錐形である、光学アレイ。
【請求項16】
請求項1に記載の光学アレイであって、
前記PCBは、前記光学素子への電力供給を制御するように構成されている1つまたは複数のドライバ回路をさらに備える、光学アレイ。
【請求項17】
請求項1に記載の光学アレイであって、
前記PCBは、前記光学素子のうち選択された光学素子の動作を制御するように構成されている1つまたは複数のドライバ回路をさらに備える、光学アレイ。
【請求項18】
請求項1に記載の光学アレイであって、
前記PCBは、前記光学素子によって放射された前記光を制御するように構成されているドライバ回路をさらに備え、前記ドライバ回路は、前記光学素子と同じ側の前記PCB上、反対側の前記PCB上、または前記PCBの両側に配置されている、光学アレイ。
【請求項19】
請求項1に記載の光学アレイであって、さらに、
前記光学素子が前記PCB上に配置されている側とは反対側の前記PCBに取り付けられているヒートシンクを備える、光学アレイ。
【請求項20】
請求項1に記載の光学アレイであって、
前記窓は、前記PCBに封止装着されている、光学アレイ。
【請求項21】
システムであって、
請求項1に記載の前記光学アレイと、
前記台座と
を備え、
前記台座は、
ステム部分と、
前記ステム部分に固定されているベース部分と
を備え、
前記光学アレイは、前記台座の前記ベース部分に配設されている、システム。
【請求項22】
請求項21に記載のシステムであって、
前記ベース部分および前記光学アレイは、同一平面上にある、システム。
【請求項23】
請求項21に記載のシステムであって、
前記ベース部分および前記光学アレイは、円形であり、前記光学アレイの外径は、前記ベース部分の外径以下である、システム。
【請求項24】
請求項21に記載のシステムであって、
前記ベース部分および前記光学アレイは、円形であり、前記アレイの外径は、前記基板の外径以下である、システム。
【請求項25】
請求項21に記載のシステムであって、
前記ベース部分および前記光学アレイは、円形であり、前記アレイの外径は、前記基板の外径と少なくとも同じである、システム。
【請求項26】
請求項21に記載のシステムであって、
前記台座は、
前記ステム部分、前記ベース部分、および前記アレイの中心を通って配設されているシャフトと、
前記シャフトに結合され、前記基板を前記台座に対して相対的に移動させるように構成されているアクチュエータと
をさらに備える、システム。
【請求項27】
請求項21に記載のシステムであって、
前記台座は、
前記ステム部分、前記ベース部分、および前記アレイの中心を通って配設されているシャフトと、
前記シャフトに結合され、前記基板を前記ベース部分がある平面に対して垂直に移動させるように構成されているアクチュエータと
をさらに備える、システム。
【請求項28】
請求項21に記載のシステムであって、
前記台座は、
前記ステム部分、前記ベース部分、および前記アレイの中心を通って配設されているシャフトと、
前記シャフトに結合され、前記基板を前記ベース部分に対して相対的に回転させるように構成されているアクチュエータと
をさらに備える、システム。
【請求項29】
請求項21に記載のシステムであって、
前記台座は、
前記ステム部分、前記ベース部分、および前記アレイの中心を通って配設されているシャフトであって、ガスを受け入れる導管と、前記アレイに近接する前記シャフトの第1の端部付近で前記導管と流体連通している複数の穴とを備えるシャフトと、
前記シャフトの第2の端部に結合され、前記基板を前記ベース部分がある平面に対して垂直に移動させるように構成されているアクチュエータと
をさらに備え、
前記シャフトが前記アレイの上方に上昇すると、前記複数の穴は、前記ガスを前記窓の上方へ半径方向に供給する、システム。
【請求項30】
請求項21に記載のシステムであって、
前記ピンホールのアレイは、接地電位に接続されている、システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2022年7月13日に出願された、米国仮特許出願第63/388,704号の利益を主張する。上記出願の開示の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、半導体処理システムに関し、より具体的には、堆積アプリケーションのための高効率LED基板ヒータに関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書で提供される背景技術の説明は、本開示の内容を概ね提示することを目的とする。この背景技術のセクションに記載される範囲内における、現時点で名前を挙げられている発明者らによる研究、ならびに出願時に先行技術として別途見なされ得ない説明の態様は、明示または暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【0004】
基板処理システムは、一般的に、半導体ウエハなどの基板の堆積、エッチング、およびその他の処理を実施する複数の処理チャンバ(プロセスモジュールとも呼ばれる)を備える。基板上に実施可能なプロセスの例としては、化学気相堆積(CVD)、プラズマ励起CVD(PECVD)、化学励起プラズマ気相堆積(CEPVD)、原子層堆積(ALD)、エピタキシャル堆積、準大気圧CVD、プラズマ励起ALD(PEALD)、および基板を高温に保つ必要がある多数の他の堆積プロセスが挙げられる。基板上に実施可能なプロセスのさらなる例としては、エッチング(例えば、化学エッチング、プラズマエッチング、反応性イオンエッチング等)および洗浄プロセスが挙げられる。
【0005】
処理中、基板は、基板処理システムの処理チャンバ内で、基板支持体または台座などのサセプタ、あるいはチャック(ESC)等に配置されている。いくつかのプロセスでは、堆積中、1つまたは複数の前駆体を含むガス混合物を処理チャンバ内に導入し、プラズマを打ち、化学反応を活性化させる場合がある。他のプロセスでは、エッチング中、エッチングガスを含むガス混合物を処理チャンバ内に導入し、プラズマを打ち、化学反応を活性化させる場合がある。コンピュータ制御ロボットを使用して、基板を処理する順序で、基板をある処理チャンバから別の処理チャンバへと搬送する。
【発明の概要】
【0006】
基板上に材料を堆積するように構成されている台座に配置されている光学アレイは、複数の光学素子と、窓と、ピンホールのアレイとを備える。光学素子は、プリント回路基板(PCB)上に配置されている。光学素子は、光を放射するように構成されている。窓は、PCB上に配置されている光学素子を覆う光透過性材料から構成されている。ピンホールのアレイは、光学素子と窓との間に配設されている。ピンホールは、光学素子と垂直に整列し、光学素子によって放射された光を、窓を通して方向付けて、基板を加熱する。
【0007】
さらなる特徴では、光学アレイは、光学素子とピンホールとの間に配設されているレンズをさらに備える。レンズは、光学素子およびピンホールと整列し、光学素子からの光をピンホールに収束させる。
【0008】
さらなる特徴では、光学素子は、光学素子からの光をピンホールに収束させるレンズを備える。
【0009】
さらなる特徴では、ピンホールのアレイは、金属または誘電体材料から構成されている。
【0010】
さらなる特徴では、ピンホールのアレイは、モノリシックアセンブリにおいて窓と一体化される。
【0011】
さらなる特徴では、ピンホールのアレイは、窓に面する側に反射材料をコーティングされる。反射材料は、ピンホールを覆っていない。
【0012】
さらなる特徴では、ピンホールのアレイは、光学素子に面する側に反射防止材料をコーティングされる。
【0013】
さらなる特徴では、窓は、光学素子に面する側に反射防止材料をコーティングされ、基板に面する側に光学素子によって放射された光の波長に対して反射防止し、赤外波長に対して反射する材料をコーティングされる。
【0014】
さらなる特徴では、窓は、光学素子に面する側に反射防止材料をコーティングされる。窓は、反射防止材料上にコーティングされた反射材料をさらに含む。反射材料は、金属膜とピンホールとを含む。
【0015】
さらなる特徴では、光学素子は、発光ダイオードを備える。
【0016】
さらなる特徴では、光学素子は、530nmから1000nmの間の波長を有する光を放射するように構成されている発光ダイオードを備える。
【0017】
さらなる特徴では、光学アレイは、円形である。光学素子およびピンホールは、光学アレイの内径から外径まで同心円状に配置されている。
【0018】
さらなる特徴では、光学アレイは、光学素子とピンホールとの間に配設されているレンズをさらに備える。光学アレイは、円形である。光学素子、ピンホール、およびレンズは、光学アレイの内径から外径まで同心円状に配置されている。レンズは、光学素子およびピンホールと整列し、光学素子からの光をピンホールに収束させる。
【0019】
さらなる特徴では、ピンホールは、円筒形である。
【0020】
さらなる特徴では、ピンホールは、光学素子に面する基部を有する円錐形である。
【0021】
さらなる特徴では、PCBは、光学素子への電力供給を制御するように構成されている1つまたは複数のドライバ回路をさらに備える。
【0022】
さらなる特徴では、PCBは、光学素子のうち選択された光学素子の動作を制御するように構成されている1つまたは複数のドライバ回路をさらに備える。
【0023】
さらなる特徴では、PCBは、光学素子によって放射された光を制御するように構成されているドライバ回路をさらに備える。ドライバ回路は、光学素子と同じ側のPCB上、反対側のPCB上、またはPCBの両側に配置されている。
【0024】
さらなる特徴では、光学アレイは、光学素子がPCB上に配置されている側とは反対側のPCBに取り付けられたヒートシンクをさらに備える。
【0025】
さらなる特徴では、窓は、PCBに封止装着されている。
【0026】
さらなる特徴では、システムは、光学アレイと台座とを備える。台座は、ステム部分と、ステム部分に固定されているベース部分とを備える。光学アレイは、台座のベース部分に配設されている。
【0027】
さらなる特徴では、ベース部分および光学アレイは、同一平面上にある。
【0028】
さらなる特徴では、ベース部分および光学アレイは、円形である。光学アレイの外径は、ベース部分の外径以下である。
【0029】
さらなる特徴では、ベース部分および光学アレイは、円形である。アレイの外径は、基板の外径以下である。
【0030】
さらなる特徴では、ベース部分および光学アレイは、円形である。アレイの外径は、基板の外径と少なくとも同じである。
【0031】
さらなる特徴では、台座は、シャフトとアクチュエータとをさらに備える。シャフトは、ステム部分、ベース部分、およびアレイの中心を通って配設されている。アクチュエータは、シャフトに結合され、基板を台座に対して相対的に移動させるように構成されている。
【0032】
さらなる特徴では、台座は、シャフトとアクチュエータとをさらに備える。シャフトは、ステム部分、ベース部分、およびアレイの中心を通って配設されている。アクチュエータは、シャフトに結合され、基板をベース部分がある平面に対して垂直に移動させるように構成されている。
【0033】
さらなる特徴では、台座は、シャフトとアクチュエータとをさらに備える。シャフトは、ステム部分、ベース部分、およびアレイの中心を通って配設されている。アクチュエータは、シャフトに結合され、基板をベース部分に対して相対的に回転させるように構成されている。
【0034】
さらなる特徴では、台座は、シャフトとアクチュエータとをさらに備える。シャフトは、ステム部分、ベース部分、およびアレイの中心を通って配設されている。シャフトは、ガスを受け入れる導管と、アレイに近接するシャフトの第1の端部付近で導管と流体連通している複数の穴とを備える。アクチュエータは、シャフトの第2の端部に結合され、基板をベース部分がある平面に対して垂直に移動させるように構成されている。シャフトがアレイの上方に上昇すると、複数の穴が、ガスを窓の上方へ半径方向に供給する。
【0035】
さらなる特徴では、ピンホールのアレイは、接地電位に接続されている。
【0036】
本開示のさらなる適用領域は、詳細な説明、特許請求の範囲、および図面から明らかになるであろう。詳細な説明および特定の例は、例示のみを目的とし、開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本開示は、詳細な説明および添付の図面からより十分に理解されるであろう。
【0038】
図1A図1Aは、本開示により基板を加熱するために、図1Bに示すシステム内で台座に使用される光学アレイの例を示す。
【0039】
図1B図1Bは、本開示により基板を処理するためのシステムの例を示す。
【0040】
図2図2は、本開示により基板を加熱するために、図1Bのシステム内で台座に使用される光学アレイの平面図を示す。
【0041】
図3図3は、図2の光学アレイの断面図を示す。
【0042】
図4A図4Aは、図2の光学アレイの例を詳細に示す。
図4B図4Bは、図2の光学アレイの例を詳細に示す。
図4C図4Cは、図2の光学アレイの例を詳細に示す。
図4D図4Dは、図2の光学アレイの例を詳細に示す。
【0043】
図5A図5Aは、図2の光学アレイの別の例を示す。
図5B図5Bは、図2の光学アレイの別の例を示す。
図5C図5Cは、図2の光学アレイの別の例を示す。
図5D図5Dは、図2の光学アレイの別の例を示す。
【0044】
図6図6は、図2の光学アレイに使用されるピンホールのアレイの平面図を示す。
【0045】
図7図7は、図2の光学アレイに使用されるレンズの平面図を示す。
【0046】
図8図8は、本開示により基板を加熱するために、図1Bのシステム内で台座に使用される図2の光学アレイを制御するシステムのブロック図を示す。
【0047】
図9図9は、本開示により基板を加熱するために、図1Bのシステム内で使用可能な真空クランプを使用し、図2の光学アレイを備える台座の例を示す。
図10図10は、本開示により基板を加熱するために、図1Bのシステム内で使用可能な真空クランプを使用し、図2の光学アレイを備える台座の例を示す。
【0048】
図面において、類似および/または同一の要素を特定するために、符号が再利用される場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0049】
一般に、堆積アプリケーションでは、基板を加熱するために、抵抗加熱式台座またはサセプタが使用される。台座は、熱伝導体を備え、熱伝導体は、通常アルミニウムなどの金属から製作され、熱伝導体を加熱するヒータ素子を一体的に収容する。熱伝導体は、処理中に台座上に配置されている基板を加熱するために熱流束を拡散させる。基板と加熱された台座との間の放射と組み合わせられたガス伝導により、基板が台座に熱結合する。
【0050】
局所加熱用の発熱体を台座のモノリシック本体に実装することが困難であるため、抵抗加熱式台座は、レシピ制御可能な方法で基板の局所加熱を調整または調節する能力が制限されている。熱伝導体が局所的に熱を拡散させて、台座全体にわたって温度均一性を高めるため、基板の局所加熱を調整または調節する能力は、さらに制限される。これに対し、セラミックなどの熱伝導性の低い材料は、局所加熱を可能にするために熱抵抗を十分に低く抑えること、および不慮の破損を防ぐために十分に高い破壊靭性と耐熱衝撃性とを有することのバランスを取ることが課題である。基板全体にわたる熱均一性に関する別の制限は、チャンバ壁に近接すること、ならびに放射熱損失および熱伝導熱損失であり、これらは基板の各部分で異なるため、加熱体による異なる加熱電力の形態で補償する必要がある。
【0051】
代わりに、台座内、または台座上に配設されているLEDアレイなどの光学アレイを使用して、基板を加熱できる。他の発熱体とは異なり、光学アレイは、光学的に基板を加熱するために光を放射できるLEDsなどの光学素子を備える。光学アレイは、レシピ制御可能な方法で基板の局所加熱を調整または調節できる。基板はより短い波長の光によって加熱可能であるが、530nm未満の波長では光誘起腐食が発生する可能性がある。したがって、基板の光加熱用の波長は、530nmから1000nmの間で選択されることが好ましい。光学アレイに基づく加熱により、レシピ制御され、高度な調整が可能な基板加熱がもたらされることにより、熱均一性が調整され、ユニットプロセスが改善され、上流または下流のプロセスの問題が補償される。
【0052】
真空堆積アプリケーションでは、光学アレイは、密閉ハウジング内に封入される。光学アレイからの光は、一般的に石英またはサファイア製の光透過性窓を通って、基板を照射する。いくつかの例では、基板および光学アレイは、互いに対して静止していてもよい。あるいは、基板および光学アレイは、互いに対して相対的に回転してもよい。
【0053】
窓は、窓の表面への寄生堆積による窓の光伝送効率の変動を防ぐために、清浄に維持される必要がある。基板が窓に直接置かれるアプリケーションでは、環状または環状に配置されているガスパージ開口部を通してエッジ部をパージするなどのパージスキームを使用して、窓を清浄に維持できる。あるいは、基板が窓から分離され、プロセス圧力が閾値(例えば、少なくとも40Torr等)を超える場合、コアンダ効果を利用した交差したフローガスパージ構成を使用できる。あるいは、窓に定期的なドライケミカル洗浄を行ってもよい。これらの特徴は、水性(湿式)堆積アプリケーションにも利用可能である。
【0054】
環境、社会、およびガバナンス(ESG)の観点から、LEDsは、他の発熱体よりも性能が優れている。LED加熱は、電力から熱パワーへの変換の観点では効率が低い場合がある。しかしながら、LEDsの温度が低いため、LED加熱は、処理チャンバの残存部分への放射損失を防止できる。具体的には、LEDsによってもたらされる指向性加熱により、光学アレイは、基板のみを加熱し、処理チャンバを加熱しない。さらに、LED加熱は、熱のみの、プラズマを使用しないアプリケーションに対して、ゾーン加熱制御も提供できる。したがって、LED加熱は、他の加熱形態よりも効率的なウエハ加熱システムを提供する。
【0055】
一般に、光学アレイベースのヒータは、LEDsに供給される電力の約3分の1~約2分の1を光パワーに変換する。光パワーのうち、約60%が基板を加熱し、40%が基板から反射して戻る。反射したパワーは、LED PCBに電力を供給する金属コアPCB、および金属コアPCBの下方に配設されているヒートシンクを加熱する。LED PCBは、一般的に、熱吸収を低減するために白色塗料をコーティングされる。しかしながら、LEDsおよびそれらに関連する電気接触パッドが占める表面積は、LED PCBの総表面積と比較するとかなり大きい。さらに、廃熱の一部は、LED PCBに電力を供給する金属コアPCBの電子機器を加熱し、処理中の利用可能な動作基板温度の上限を設定する。この制限を解消するためには、光学アレイベースのヒータの光加熱効率を高める必要がある。本開示は、LED PCBに吸収される光パワーを最小限に抑え、基板を加熱するために利用可能な光パワーを最大限にするシステムを提供する。
【0056】
具体的には、小さな開口部を備えるピンホールのアレイ(ピンホールアレイ)をLEDアレイの上方に配設する。ピンホールアレイは、金属または誘電体材料(例えば、誘電体材料をコーティングされたガラス)から構成され得る。集光層をLEDアレイとピンホールアレイとの間に配設して、ピンホールアレイ内の小さな開口部を通してLEDsからの光を集光させる。例えば、集光層は、印刷または他の製造方法を用いて単一のアセンブリとして製造された集束レンズのアレイから構成されてもよい。あるいは、LEDアレイは、各LEDが内蔵レンズを備えるように製造されてもよい。
【0057】
ピンホールアレイは、LEDsとは反対側(すなわち、基板に面する側)に超反射コーティング(例えば、硫酸バリウム、誘電体薄膜、または金属および誘電体薄膜)をコーティングされる。超反射コーティングは、ピンホール自体を覆わず、ピンホールアレイの残存する表面領域を覆う。任意選択で、反射防止コーティングをLEDsに面する側のピンホールアレイに塗布してもよい。これらのコーティングにより、ピンホールアレイは、LEDsから最大限の光パワーを、窓を通して伝達し、基板を加熱する。
【0058】
さらに、LEDアレイの上方に配設されている窓は、窓を通って反射して戻る光の量を低減し、基板からLEDアレイへの赤外線熱伝達を低減する適切なコーティングによってコーティングされてもよい。具体的には、窓の基板対向側(すなわち、ウエハ対向側)に塗布された第1のコーティングにより、基板の底面から反射した二次光が反射して、基板の底面に戻る。したがって、第1のコーティングにより、LEDアレイの光加熱効率が改善される。第1のコーティングは、LEDsによって放射された光の波長において反射防止性を有し、ピンホールアレイから基板(すなわち、ウエハ)に光を透過できる。さらに、第1のコーティングは、赤外波長において反射性を有し、基板からLEDアレイへの赤外熱伝達を低減できる。また、第2の反射防止コーティングを窓のLED対向側に塗布することが好ましく、ピンホールアレイから最大限の光が窓を透過し、基板(すなわち、ウエハ)を加熱する。第2のコーティングも、赤外波長において反射性を有し、基板からLEDアレイへの赤外熱伝達を低減できる。
【0059】
あるいは、ピンホールアレイは、別個の素子である必要はない。むしろ、反射コーティングの層を窓のLED対向側の反射防止コーティング上に塗布して、反射コーティング自体の層にピンホールを設けることが可能である。すなわち、ピンホールは、反射コーティング自体の層に設けることができる。したがって、反射防止コーティングが上面および下面に塗布され、ピンホールを設ける反射コーティングの層を有する窓は、窓およびピンホールアレイが2つの別々の構成要素である代わりに、モノリシックアセンブリとして製造可能である。
【0060】
モノリシックアセンブリでは、反射コーティングと窓との間の反射防止コーティングは、ブランケットコーティングプロセス(例えば、膜のブランケット堆積)によって形成される。しかしながら、反射防止コーティングは、反射防止コーティングの下にある反射コーティングの存在下では、反射コーティングとして機能する。反射防止層は、反射防止層がピンホールにおいて、反射することなく、すべての光を名目上透過させるように設計される。金属層を含む反射コーティングは、例えば、金属の厚さと比較して、金属の表皮深さが小さいため、金属層の下のコーティングからの影響はほとんど受けない。
【0061】
誘電体膜を使用して、反射層を形成する場合、反射防止層は、反射層と相互作用する可能性があり、反射防止および反射のすべての誘電体層を考慮する必要があるため、膜設計が複雑化し得る。その代わりに、金属膜を反射層に使用すると、光の電磁界が金属膜を透過できず、光が反射防止層と相互作用できないため、金属膜の設計が単純化される。反射層(およびピンホール)を形成するために金属膜の下方に使用される任意の材料は、反射層内の金属膜が十分に厚い(すなわち、金属の表皮深さよりもはるかに厚い)ため、反射層および反射防止層の機能に影響を与えない。金属膜が表皮深さよりもはるかに厚い場合、金属膜により、反射防止コーティングは光が不可視となる。このような機能性は、反射層が誘電体膜から構成されている場合には達成できない。
【0062】
本システムの正味の効果は、基板を加熱するために、基板によって反射した二次光を再利用し、基板からLEDアレイへの熱伝達を低減することにより、基板にLEDアレイによって供給される光パワーを大幅に増大させることである。反射性を有するピンホールアレイにより、ピンホールアレイの反射面の表面積が90%よりもはるかに大きく大幅に増大し、LEDsに動力を与える電子機器の加熱に流れる光パワーが低減する。したがって、本システムにより、基板を処理するために使用される広範囲のプロセスにわたって、光学アレイベースのヒータの使用可能な動作温度が増大し、ヒートシンクへの損失が低減される。
【0063】
図1Aは、本開示による光学アレイ10の例を示す。光学アレイ10は、LEDアレイ12と、レンズアレイ14と、ピンホールアレイ16とを備える。LEDアレイ12は、複数のLEDs22を備える。レンズアレイ14は、複数のレンズ24を備える。ピンホールアレイ16は、複数のピンホール26を備える。LEDs22、レンズ24、およびピンホール26は、互いに垂直に整列している。図2図7を参照して以下に詳細に説明するように、LEDs22は金属コアPCB上に配置され、透過窓がピンホールアレイ16の上方に配置されている。基板30は、光学アレイ10の上方(すなわち、窓の上方)に載置される。
【0064】
矢印で示すように、各LED22からの光は、対応するピンホール26を通り、対応するレンズ24によって基板30上に集光される。基板30上に入射した光の一部は、基板30に吸収され、基板30を加熱するために使用される。基板30上に入射した光の大部分は、一般的に、基板30の底部から反射して戻る。しかしながら、基板30から反射して戻った光は、ピンホールアレイ16の表面を透過できず、代わりに反射して基板30の底部に戻り、そこで再びこの光の別の部分が基板30に吸収される、というように続く。この効果を高めるために、基板30に面するピンホールアレイ16の表面には、表面に最もよく吸収される波長用の反射コーティングがコーティングされる。したがって、光学アレイ10の加熱効率が改善される。本開示のこれらの特徴およびその他の特徴を以下で詳細に説明する。光学アレイ10は、図1B図10を参照して、光学アレイ150としてさらに詳細に示し、説明する。
【0065】
本開示の残りの部分は、以下のように構成されている。セクション1では、本開示による基板を処理するシステムの一例を、図1Bを参照して示し、説明する。本システムは、図2図10を参照して示し、説明した光学アレイおよび台座を実装可能な環境の例を提供する。セクション2では、図1Bのシステム内で基板を加熱するために台座に使用される光学アレイの例を、図2図8を参照して示し、説明する。セクション3では、真空クランプを使用し、図1Bのシステム内で基板を加熱するために使用される光学アレイを備える台座の例を、図9および図10を参照して示し、説明する。
セクション1:基板処理システムの例
【0066】
図1Bは、基板処理システム(以下、システム100)の例を示す。システム100は、化学気相堆積(CVD)、プラズマ励起CVD(PECVD)、化学励起プラズマ気相堆積(CEPVD)、原子層堆積(ALD)、またはプラズマ励起ALD(PEALD)プロセスを使用して、基板を処理するために使用可能である。
【0067】
システム100は、処理チャンバ101とガス分配システム102とを備える。ガス分配システム102は、複数のガス源104と、ガス源104に接続された複数のバルブ106と、バルブ106に接続された複数のマスフローコントローラ(MFCs)108とを備える。ガス源104は、プロセスガス、前駆体、パージガス、不活性ガス、洗浄ガス等を含む様々なガスを供給する。MFCs108は、ガスの質量流量を制御する。
【0068】
いくつかのアプリケーションでは、ガス分配システム102は、1つまたは複数のバルブ112を通して1つまたは複数の気化前駆体を供給するための蒸気供給システム110をさらに備える。MFCs108からの1つまたは複数のガス、および使用される場合、1つまたは複数の気化前駆体は、混合マニホールド114に供給される。混合マニホールド114からのガスまたはガス混合物は、バルブアセンブリ(例えば、パルスバルブマニホールドまたはPVMアセンブリ)116を通って処理チャンバ101に供給される。
【0069】
処理チャンバ101は、シャワーヘッド120と台座130とを備える。シャワーヘッド120は、処理チャンバ101の上部プレートに取り付けられる。シャワーヘッド120は、混合マニホールド114からバルブアセンブリ116を通じてガスまたはガス混合物を受け入れる。シャワーヘッド120は、ベース部分122およびステム部分124から構成されている。ステム部分124は、ベース部分122の中心から延び、処理チャンバ101の上部プレートに取り付けられる。ベース部分122は、円筒形であり、処理チャンバ101内にガスまたはガス混合物が供給される複数の貫通穴(図示せず)を備える。
【0070】
台座130は、ベース部分132およびステム部分134から構成されている。ステム部分134は、概ね円筒形であるか、またはY字形であり得、テーパ状(すなわち、Y字の頂部)の部分がベース部分132の底部に取り付けられる。ステム部分134は、ベース部分132から延び、処理チャンバ101の底部に取付けられる。ベース部分132も円筒形である。基板140は、処理中に台座130のベース部分132の上面に配置されている。
【0071】
図示していないが、台座130のベース部分132は、基板140を台座130のベース部分132に対して保持、下降、および上昇させるリフトピンを備えてもよい。任意選択で、台座130のステム部分132およびベース部分132を通って延びるシャフト(以下に示し、説明する)を使用して、基板140を台座130のベース部分132に対して保持、下降、および上昇させてもよい。リフトピンおよびシャフトを組み合わせて使用し、基板140を台座130のベース部分132に対して保持、下降、および上昇可能である。
【0072】
基板140は、多くのクランプ方式の1つを使用してベース部分132にクランプされてもよい。クランプ方式の例としては、真空クランプ、静電クランプ、および機械的クランプが挙げられる。処理チャンバ101内で使用可能な、真空クランプを備える台座130の例は、図9および図10を参照して以下に示し、説明する。
【0073】
ベース部分132は、以下に詳細に示し、説明するように、基板140を加熱するために、光学アレイ(例えば、LEDアレイ)150を備える。光学アレイ150は、光学素子(例えば、LEDs)と、レンズと、ピンホールアレイと、透過窓(すべて、図2図8を参照して以下に示し、説明する)とを備える。LEDsは、基板140の光加熱のために、好ましくは530nmから1000nmの間で選択された波長を有する光を放射する。透過窓を通して、光学アレイ150内のLEDs、レンズ、およびピンホールアレイからの光が基板140の底面に入射し、基板140を加熱する。
【0074】
基板140は、光学アレイ150の上方に保持された状態で加熱されてもよい(例えば、光学アレイ150を通過するリフトピンまたはシャフトによって)。基板140は、クランプされずに光学アレイ150上に置かれたときに加熱されてもよい。基板140は、上述のクランプ方法のいずれかを用いて台座130にクランプされた状態で光学アレイ150上に置かれたときに加熱されてもよい。
【0075】
ガス源104の1つからのパージガス(例えば、不活性ガス)が、バルブ152を通ってステム部分134に供給される。パージガスは、以下で詳細に説明するように、窓を洗浄し、窓の透過性を維持するために、光学アレイ150の窓の上方へ半径方向に、窓を横断して流れる。処理チャンバ101内で使用可能な、光学アレイ150およびパージ機構を備える台座130の例は、図9および図10を参照して以下に詳細に示し、説明する。
【0076】
いくつかのアプリケーション(例えば、PECVDおよびPEALDプロセスにおいて)では、プラズマを使用して、基板140を処理してもよい。システム100は、処理チャンバ101内でプラズマを生成するために使用される無線周波数(RF)システム142を備える。RFシステム142は、RF発生器144と整合回路146とを備える。RFシステム142は、台座130が接地されている間に、RF電力をシャワーヘッド120に供給する。あるいは、図示していないが、シャワーヘッド120が接地されている間に、RF電力を台座130に供給可能である。RF電力は、シャワーヘッド120を通して供給されたガスまたはガス混合物を活性化し、シャワーヘッド120と台座130上に配置されている基板140との間にプラズマを生成する。
【0077】
シャワーヘッド120および台座130は、シャワーヘッド120および台座130の温度を感知するために温度センサ126、136を備える。シャワーヘッド120および台座130は、冷却チャネル(図示)を備える。冷却剤が冷却チャネルを循環して、シャワーヘッド120および台座130の温度を制御する。冷却剤供給装置160は、バルブ162、164を介して、シャワーヘッド120および台座130内の冷却チャネルに冷却剤を供給可能である。
【0078】
一般に、170において示す1つまたは複数のアクチュエータを使用して、台座130をシャワーヘッド120に対して相対的に移動させてもよい。また、アクチュエータ170の1つを使用して、台座130のステム部分134を通過するシャフト(図9および図10に示す)を移動および回転させて、基板140を持ち上げ、回転させてもよい。光学アレイ150の窓を洗浄するために使用されるパージガスは、図9および図10を参照して以下に示し、説明するように、シャフト内の導管を介してバルブ152を通して供給される。
【0079】
真空ポンプ180が、バルブ182を通って処理チャンバ101の底部に接続されている。真空ポンプ180は、処理チャンバ101内の真空を維持し、処理チャンバ101から反応物およびプロセス副生成物を排出するために使用される。さらに、真空クランプを使用する場合、真空ポンプ180は、バルブ184を通って台座130のステム部分134に接続されている。真空ポンプ180は、台座130のステム部分134においてシャフトの周囲の環状容積(以下に示し、説明する)によって真空を維持し、基板140を台座130にクランプする。
【0080】
さらに、ステム部分134は、台座130のベース部分132に配設されている様々な電気要素に電気接続が提供される導管(図9および図10に示す)を構える。例えば、電気要素は、光学アレイ150と、温度センサ126、136と、台座130のベース部分132に配設されている他の電気要素(例えば、台座130が静電チャックを備える場合のクランプ電極)とを備える。
【0081】
コントローラ190は、システム100の様々な要素(例えば、ガス分配システム102、バルブ、RFシステム142、光学アレイ150、冷却剤供給装置160、アクチュエータ170、真空ポンプ180等)を制御する。コントローラ190は、温度センサ126、136からデータを受信し、光学アレイ150および冷却剤供給装置160を制御することにより、シャワーヘッド120および台座130の温度を制御する。システム100のこれらの特徴およびその他の特徴については、以下でさらに詳細に説明する。
セクション2:光学アレイ
【0082】
図2図8は、光学アレイ150の様々な例を示す。図2は、光学アレイ150の上面図を示す。図3は、図2に示すA-A線に沿って取られた光学アレイ150の断面図を示す。図4A図4Dは、ピンホールアレイが別個の素子として実装される光学アレイ150の第1の例(実施態様)を示す。図5A図5Dは、ピンホールアレイが窓と一体化された(すなわち、窓およびピンホールアレイがモノリシックアセンブリである)光学アレイ150の第2の例(実施態様)を示す。図6は、ピンホールアレイの上面図を示し、ピンホールがLEDsと一致していることを示す。図7は、レンズアレイの上面図を示し、レンズがLEDsと一致していることを示す。図8は、光学アレイ150を制御する回路のブロック図を示す。次に、図2図8について、以下に詳細に説明する。
【0083】
図2では、光学アレイ150は、概ね円形であり、半径が台座130のベース部分132の外径(OD)よりも小さい。光学アレイ150の半径は、基板140の半径とほぼ等しいか、または少なくとも等しい。例えば、光学アレイ150は、プリント回路基板(PCB)201上に配置されている複数のLEDs200を備える。PCB201は、金属コアPCBであってもよい。例えば、LEDs200は、PCB201上に同心円202状に配置されている。説明の目的で、少数の同心円202のみが示されているが、同心円202の数は、変化してもよい。例えば、同心円202は、図示の同心円よりも密集していてもよい。さらに、各同心円202のLEDs200の数は、図示の数よりも多くてもよい。したがって、同心円202およびLEDs200は、光学アレイ150において、図示よりも高密度に配置されている。同心円202およびLEDs200は、光学アレイ150の内側環状領域204から光学アレイ150のODまで延びている。LEDs200は、基板140の光加熱用に、好ましくは530nmから1000nmの間で選択された波長を有する光を放射する。LEDs200によって放射された光は、基板140を光加熱する。
【0084】
LEDs200は、異なるパターンで同心円202状に配置されてもよい。例えば、同心円202の一部では、LEDs200は、他の同心円202よりも高密度に配置されてもよい。例えば、光学アレイ150の一部(例えば、ゾーンまたは四分円)内のLEDs200は、光学アレイ150の他の部分よりも高密度に配置されてもよい。さらに、LEDs200のサイズ、光度、および/または波長(複数可)は、同心円202または部分ごとに異なる場合がある。LEDs200のこれらの特徴およびさらなる特徴の任意の組み合わせを光学アレイ150に使用してもよい。
【0085】
光学アレイ150は、PCB201上に配置されている1つまたは複数のドライバ回路(以下、ドライバ)206を備える。複数のドライバ206が示されているが、単一のドライバ206を使用してもよい。以下のドライバ206の説明は、単一のドライバを使用した場合に適用される。以下で詳細に説明するように、ドライバ206は、LEDs200を制御する。例えば、ドライバ206は、LEDs200と同じ側のPCB201上、反対側のPCB201上、またはPCB201の両側に配置されてもよい。例えば、ドライバ206の1つまたは複数は、PCB201上の異なる半径に沿って配置されてもよい。例えば、ドライバ206は、PCB201上に規則的なパターンまたは不規則なパターン(例えば、ランダムに)で配置されてもよい。ドライバ206に関しては、図8を参照して以下でさらに詳細に説明する。
【0086】
図3では、光学アレイ150は、窓210と、レンズ(例えば、凸レンズ)220と、ピンホールアレイ222とをさらに備える。レンズ220は、LEDs200の上方に配置されている。例えば、レンズ220は、LEDs200の上部に配設可能なレンズアレイ(図7に示す)の形態であってもよい。図7に示すように、レンズアレイ内のレンズ220も、レンズ220がLEDs200と整列するか、または一致するように、同心円202状に配置されている。あるいは、レンズ220は、LEDs200内に統合されてもよい。すなわち、各LEDは、レンズを構えてもよい。いずれの実施態様においても、レンズ220は、LEDsによって放射された光をピンホールアレイ222内のピンホールに収束させる(すなわち、集光させる)。
【0087】
ピンホールアレイ222は、図4A図4Dを参照して以下に示し、説明するように、別個の素子として実装され得る。代替の設計では、ピンホールアレイ222は、図5A図5Dを参照して以下に示し、説明するように、モノリシックアセンブリとして窓210に統合され得る。別個の素子として使用する場合、ピンホールアレイ222は、金属または誘電体材料(例えば、誘電体材料をコーティングしたガラス)から構成されている。図6に示すように、複数の穴が、ピンホールアレイ222に穿設される。レンズ220と同様に、穴は、穴がLEDs200と整列するか、または一致するように、同心円202状にピンホールアレイ222に穿設される。したがって、LEDs200、レンズ220、およびピンホールアレイ222内の穴(すなわち、図4A図5Bに示すピンホール223)は、互いに垂直に整列する。レンズ220およびピンホールアレイ222内の穴は、LEDs200からの光が光学アレイ150の上方の窓まで、さらに窓を通って基板140(図1図9、および図10に示す)までの直線経路を提供する。代替の設計は、図5A図5Dを参照して説明する。
【0088】
いずれの実施態様においても、窓210は、石英またはサファイアなどの光透過性、化学耐性、および電気絶縁性を有する材料から構成されている。窓210は、光学アレイ150の内側環状領域204と一致する中央領域内において開口部を備える。開口部は、光学アレイ150の内側環状領域204の直径と整合する直径を有する。窓210の内周縁および外周縁は、それぞれ、光学アレイ150の内周縁および外周縁に封止装着されている。したがって、光学アレイ150および窓210は、LEDs200、PCB201、レンズ220、およびピンホールアレイ222が収容される密閉エンクロージャを形成する。ヒートシンク205が、PCB201の底面に取付けられる。ヒートシンク205は、PCB201から熱を除去する。
【0089】
図4A図4Dは、光学アレイ150の第1の例をさらに詳細に示す。図4Aでは、ピンホールアレイ222は、別個の素子として実装される。ピンホールアレイ222は、上述したように、ピンホールアレイ222に穿設されたピンホール223を備える。ピンホールアレイ222の基板が薄い場合、ピンホール223は、図4Aおよび図4Bに示すように、まっすぐ貫通していてもよい。あるいは、基板の厚さが相当に厚い場合、あるいは十分な厚さである場合、ピンホール223は、集光された光の集束角を実質的に考慮した皿穴形状を有してもよい。皿穴形状を有するピンホール223の非限定的な2つの例を図4Cおよび図4Dに示す。ピンホール223が概ね円形、円筒形、および円錐形として示されているが、ピンホール223は、他の形状を有し得る。
【0090】
ピンホールアレイ222は、LEDs200とは反対側の第1の側(すなわち、基板140に面する側)に塗布される第1のコーティング224をさらに備える。例えば、第1のコーティング224は、光学的に超反射性材料(例えば、硫酸バリウム、誘電体薄膜、または金属および誘電体薄膜)から構成されている。第1のコーティング224は、ピンホールアレイ222内のピンホール223を覆わず、図4Bに示すように、ピンホールアレイ222の残りの表面領域を覆う。任意選択で、反射防止材料から構成されている第2のコーティング226も、LEDs200に面する第2の側のピンホールアレイ222に塗布されてもよい。これらのコーティング224、226により、ピンホールアレイ222は、LEDs200から最大限の光パワーを、窓210を通して伝達し、基板140を加熱する。
【0091】
さらに、窓210は、窓を通って反射して戻る光の量を低減し、基板からLEDアレイへの赤外線熱伝達を低減する適切なコーティングによってコーティングされてもよい。具体的には、第1のコーティング228が、基板140に面する側に塗布される。第1のコーティング228は、点線矢印で示すように、基板140の底面から反射した二次光を反射させて基板140の底面に戻す。したがって、第1のコーティング228は、LEDアレイの光加熱効率を向上させる。
【0092】
第1のコーティング228は、LEDs200によって放射された光の波長において反射防止性を有し、ピンホールアレイ222からの光を基板140に透過できる。さらに、第1のコーティング228は、赤外波長において反射性を有し、基板140から光学アレイ150への赤外熱伝達を低減する。反射防止材料から構成されている第2のコーティング230も、好ましくはLEDs200に面する側に塗布される。第2のコーティング230は、ピンホールアレイ222から最大限の光を窓210に透過させ、基板140を加熱する。第2のコーティング230も、赤外線波長において反射性を有し、基板140から光学アレイ150への赤外線熱伝達を低減できる。
【0093】
図5A~5Dは、ピンホールアレイ222の代替設計を備える光学アレイ150の第2の例を示す。代替設計では、ピンホールアレイ222は、別個の素子ではない。むしろ、反射コーティング232の層が、窓210のLED対向側の第2コーティング230上に塗布され、反射コーティング232の層自体にピンホール223を設ける。すなわち、図5Bに示すように、ピンホール223を反射コーティング232の層自体に設けて、ピンホールアレイ222を形成する。図4Aおよび図4Bを参照して示し、上述したピンホールアレイ222内のピンホール223と同様に、反射コーティング232の層におけるピンホール223も、同心円202状に配置されている。したがって、上面および下面に反射防止コーティング(すなわち、第1および第2のコーティング228、230)を有し、ピンホール223を備える反射コーティング232の層を有する窓210は、モノリシックアセンブリとして製造される。さらに、図5Cおよび図5Dに示すように、図5Aおよび5Bに示すピンホール223も、図4Cおよび図4Dを参照して示し、上述したピンホールアレイ222内のピンホール223と同様に成形できる。
【0094】
モノリシックアセンブリでは、反射コーティング232と窓210との間の反射防止コーティング(すなわち、第2のコーティング230)は、ブランケットコーティングプロセス(例えば、膜のブランケット堆積)によって形成される。しかしながら、反射防止コーティング(すなわち、第2のコーティング230)は、反射防止コーティングの下にある反射コーティング232の存在下では反射コーティングとして機能する。反射防止コーティング(すなわち、第2のコーティング230)は、反射防止コーティング(すなわち、第2のコーティング230)が名目上ピンホール223において反射せずにすべての光を透過できるように設計される。金属膜234から構成されている、反射コーティング232は、金属膜234中の金属の表皮深さが金属234の厚さよりも小さいので、金属膜234の下に存在し得る他のコーティングからの影響をほとんど受けない。
【0095】
金属膜234が反射コーティング232に使用されるため、光の電磁界は金属膜234を通過できず、光は反射防止層(すなわち、第2のコーティング230)と相互作用できない。反射コーティング232内の金属膜234が十分に厚い(すなわち、金属膜234中の金属の表皮深さよりもはるかに厚い)ため、反射コーティング232(およびピンホール223)を形成するために金属膜234の下に使用される任意の材料は、反射コーティング232の機能および反射防止層(すなわち、第2のコーティング230)の機能には影響しない。金属膜234が金属膜234中の金属の表皮深さよりもはるかに厚い場合、金属膜234により、反射防止コーティング(すなわち、第2のコーティング230)は光が不可視となる。
【0096】
上述のコーティング材料は、低屈折率の材料と高屈折率の材料とを交互に積層された誘電体膜から構成されている。上述のコーティングに使用されるコーティング材料の例としては、MgF2、TiO2、Ta2O5、Al2O3、ZrO2、SiO2が挙げられる。コーティングの厚さは、反射防止性能または反射性能を最大化するように選択される。例えば、単層膜のコーティングの場合、反射防止(相殺的干渉)にはλ/4の厚さを使用し、反射(建設的干渉)にはλ/2の厚さを使用でき、ここでλは、LEDs200によって放射された光の波長である。その他の設計上の考慮事項には、光の波長範囲および入射角が含まれる。
【0097】
図6は、ピンホールアレイ222の上面図を示す。図示の図は、ピンホールアレイ222が、図4Aおよび4Bに示すように別個の素子として実装されるか、または図5Aおよび5Bに示すようにモノリシック(すなわち、単一のアセンブリとして窓210と一体化された)として実装されるかに関わらず同じである。上述の通り、ピンホール223は、LEDs200と同様に、同心円202状に配置されている。したがって、ピンホールアレイ222の実装に関わらず、ピンホール223、レンズ220、およびLEDs200は、上述の通り、互いに垂直に整列する。
【0098】
図7は、レンズ220の上面図を示す。図示の図は、レンズ220がレンズアレイの形態(すなわち、別個の素子として)で実装されるか、または上述のようにLEDs200内に統合されるかに関わらず、同じである。さらに、上述の通り、レンズ220は、LEDs200と同様に、同心円202状に配置されている。したがって、レンズ220の実装に関わらず、ピンホール223、レンズ220、およびLEDs200は、上述の通り、互いに垂直に整列する。具体的には、各レンズ220は対応するLED200と垂直に整列し、各ピンホール223は対応するレンズ220および対応するLED200と垂直に整列する。したがって、ピンホール223、レンズ220、およびLEDsは、同一線上にあり、LEDs200からの光がレンズ220、ピンホール223、および窓210を通って、基板140までの直線経路を提供する。
【0099】
図8は、LEDs200を制御する回路を示す。各ドライバ206は、LEDs200のセット(群)を制御してもよい。コントローラ190は、ドライバ206を制御することによってLEDs200を制御してもよい。例えば、基板140が処理チャンバ101内に置かれた後、基板140が基板140上に膜を堆積させるために台座130上に下降する前に、基板140が台座130の上方に保持されている間、ドライバ206は、基板140を予熱するために、第1の電力レベルでLEDs200に電力を供給してもよい。その後、基板140が予熱される所定の時間経過後、基板140が台座130上に下降する前後に、ドライバ206は、基板140を加熱するために、第2の電力レベルでLEDs200に低減された量の電力を供給してもよい。その後、基板140上に膜が堆積された後、基板140が台座130から持ち上げられ、処理チャンバ101から取り出される前に、ドライバ206は、第3の電力レベルでLEDs200に低減された量の電力を供給してもよい。
【0100】
さらに、上述のステップのいずれかにおいて、ドライバ206は、LEDs200に供給された電力をさらに制御してもよい。例えば、各ドライバ206は、それぞれのLEDs200のデューティサイクル(オン時間/オフ時間)を制御してもよい。例えば、各ドライバ206は、それぞれのLEDs200の強度(光度)を制御してもよい。例えば、コントローラ190は、選択された同心円202状のLEDsのみまたはその一部のLEDsのみが異なる時間にオンまたはオフになるように、ドライバ206を制御してもよい。例えば、コントローラ190は、セット(例えば、光学アレイ150のゾーンまたは部分)内の1つまたは複数のLEDs200のみが異なる時間にオンまたはオフになるように、ドライバ206を制御してもよい。例えば、コントローラ190は、LEDs200またはLEDs200の異なる部分が異なる時間に様々な量の光(すなわち、光加熱パワー)を出力できるように、ドライバ206を制御してもよい。ドライバ206は、LEDs200に供給された電力を徐々にまたは段階的に制御してもよい。これらの制御およびさらなる制御の任意の組み合わせを使用して、LEDs200を制御してもよい。
【0101】
いくつかの例では、コントローラ190によって提供される制御の一部または全部が、1つまたは複数のドライバ206内にオフロード(ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせの形態で)されてもよい。いくつかの例では、1つまたは複数のドライバ206が、残りのドライバ206を制御してもよい。さらに、基板140は、後述するように、光学アレイ150に対して相対的に回転可能である。コントローラ190および/またはドライバ206は、基板140が回転する前後で、LEDs200を別々に制御できる。したがって、1つまたは複数のLEDs200を制御することによって、基板140の様々な部分の光加熱を制御できる。
【0102】
光学アレイ150および窓210は、図1Bに示す台座130に使用される場合、図2図7を参照して上述したレンズ220およびピンホール223の任意の実施態様を含み得る。例えば、光学アレイ150は、レンズアレイの形態のレンズ220、またはLEDs200と一体化されたレンズ220を備え得る。例えば、光学アレイ150は、別個の素子として、またはモノリシックアセンブリ(すなわち、窓210と一体化された)として実装されたピンホールアレイ222を構え得る。さらに、レンズ220およびピンホール223のこれらの実施態様の任意の組み合わせを使用してもよい。
【0103】
ピンホールアレイ222は、金属材料から構成され、別個の素子として実装される場合、または金属膜234を含む反射コーティング232から構成されている場合、ファラデーシールドとしても機能できる。具体的には、ピンホールアレイ222は、処理チャンバ101内でプラズマを生成するためにRFシステム142が使用されている際に、LEDs200によって放射された光による電磁妨害を防止できる。妨害を防止するために、図9および図10に示すように、ピンホールアレイ222は、台座130に実装される場合、接地(すなわち、接地電位に接続)され得る。
セクション3:真空クランプ
【0104】
図9および図10は、真空クランプを使用して、基板140を台座130にクランプする場合に、台座130に実装される光学アレイ150の例を示す。さらに、これらの図は、真空クランプと共に、窓210を清浄に維持するために使用されるパージ機構、および基板140を光学アレイ150に対して相対的に回転させるために使用される回転機構を示す。図9は、真空クランプの例を示す。図10は、基板140が台座130から持ち上げられ、回転する際の窓210のパージを示す。あるいは、図示していないが、光学アレイ150を備える台座130に基板140をクランプするために、任意の他のクランプ方式(例えば、静電クランプおよび機械的クランプ)を使用してもよい。
【0105】
図9では、窓210を備えた光学アレイ150は、台座130のベース部分132に形成された環状キャビティ138内に配設されている。環状キャビティ138は、台座130のベース部分132の上面の中央領域を除く、台座130のベース部分132の上面から材料を除去することによって形成される。環状キャビティ138の深さは、光学アレイ150および窓210の高さに等しい。光学アレイ150および台座130のベース部分132は、同一平面上にある。したがって、窓210の上面は、台座130のベース部分132の上端139と同じ高さである。基板140は、処理中に窓210の上面に配置されている。後述する真空クランプを使用して、基板140を台座130にクランプする。
【0106】
台座130のステム部分134は、シャフト250を備える。シャフト250は、台座130のステム部分134およびベース部分132の中心を通って延びている。シャフト250は、T字形端部(すなわち、T字形の上部を形成する水平部分)および遠位端(すなわち、T字形の下部を形成する垂直部分)から構成されている。シャフト250のT字形端部は、光学アレイ150の内側環状領域204、窓210の開口部、および台座130のベース部分132の上面の中央領域を通って延びている。シャフト250のT字形端部の上面は、窓210の上面と同じ高さである。シャフト250のT字形端部の底面は、台座130のベース部分132の上面の中央領域と同じ高さであり、その上に置かれる。シャフト250のT字形端部の直径は、光学アレイ150の内側環状領域204および窓210の開口部の直径よりもわずかに小さい。
【0107】
シャフト250の遠位端は、台座130のステム部分134の下端を通って延びている。シャフト250の遠位端は、台座130のステム部分134の下端に取り付けられた真空ポンプ180を通って延びている。アクチュエータ170の1つは、シャフト250の遠位端に取り付けられる。アクチュエータ170は、基板140を上昇および下降させるために、シャフト250を、真空ポンプ180を通り、台座130のステム部分134およびベース部分132を通って移動させ得る。図10では、基板140が持ち上げられると、基板140は、シャフト250のT字形端部によって保持される。また、基板140が持ち上げられると、アクチュエータ170は、基板140を光学アレイ150に対して相対的に回転させるために、シャフト250を回転できる。
【0108】
導管252が、シャフト250を貫通している。導管252およびシャフト250は、同軸上にある。導管252は、シャフト250を通ってシャフト250のT字形端部まで延びている。シャフト250は、シャフト250のT字形端部を放射状に貫通した複数の穴254を備える。シャフト250のT字形端部付近において、導管252の一端は、複数の穴254に接続する。導管252の遠位端は、シャフト250の遠位端から延びている。導管252の遠位端は、バルブ152(図1Bに示す)を通ってガス源104の1つに接続されている。図3Bでは、シャフト250が基板140を持ち上げると、パージガスが、導管252を通じて供給される。パージガスは、導管252を流通し、穴254を通って流出し、窓210を洗浄するように示す矢印の方向において、窓210を横断し、窓の上方へ半径方向に流れる。
【0109】
台座130のステム部分134は、台座130のベース部分132内の電気要素への電気接続(例えば、絶縁ワイヤまたは導体)を経由して通る導管256をさらに備える。電気接続の遠位端は、コントローラ190(図1Bに示す)に接続されている。導管256は、台座130のステム部分134を貫通し、台座130のステム部分134を通って延びている。導管256は、光学アレイ150の内側環状領域204まで台座130のベース部分132内に延びている。導管252、256、およびシャフト250は、同軸上にある。導管256の直径は、シャフト250の直径よりも大きい。
【0110】
台座130のステム部分134は、導管258をさらに備える。導管258の直径は、導管256の直径よりも大きく、台座130のステム部分134の直径よりも小さい。導管258、252、256、およびシャフト250は、同軸上にある。導管258の第1の端部は、真空ポンプ180と流体連通している。導管258の第2の端部は、台座130のステム部分134を通り、台座130のベース部分132内に延びている。導管258の第2の端部は、光学アレイ150の下方の地点まで、台座130のベース部分132内に延びている。第2の端部において、導管258は、光学アレイ150の下方の台座130のベース部分132を半径方向に貫通する第1のセットの導管(または通路)260に接続する。導管260は、台座130のベース部分132のODまで延びている。導管260は、導管258と流体連通している。
【0111】
第2のセットの導管262が、台座130のベース部分132を通って、第1のセットの導管260に垂直に貫通している。導管262は、導管260から光学アレイ150および窓210を通って延びている。導管262は、導管260、258と流体連通している。したがって、基板140を台座130にクランプするとき、コントローラ190は、真空ポンプ180を作動させ、バルブ184(図1Bに示す)を開けて、導管258、260、262内に真空を作る。導管258、260、262内の真空により、基板140が台座130にクランプされる。基板が台座130にクランプされた後、コントローラ190は、基板140上で実施されるプロセスに応じて、上述したように光学アレイ150を制御して、基板140を加熱する。
【0112】
図10では、基板140を光学アレイ150に対して相対的に回転させる必要がある場合、コントローラ190は、導管258、260、262内の真空を低下させるように、真空ポンプ180およびバルブ184を制御する。導管258、260、262内の真空は、シャフト250が基板140を持ち上げられるように十分に減少する。コントローラ190は、シャフト250が基板140を持ち上げ、回転させるために、アクチュエータ170を作動させる。いくつかのアプリケーションでは、基板140を持ち上げて静止させ、台座130を回転させることにより、光学アレイ150を基板140に対して相対的に回転可能である。
【0113】
基板140が持ち上げられると、コントローラ190は、バルブ152(図1Bに示す)を開けて、パージガスが導管252を通り、穴254を流通できるようにする。パージガスは、図10の矢印で示すように、導管252および穴254を通って、窓210の上方へ半径方向に、窓210を横断して流れる。窓210の上方および窓210を横断するパージガスの流れにより、窓210上に堆積され得るいかなる材料も除去される。コントローラ190は、真空ポンプ180が導管258、260、262を通り、処理チャンバ101(図1Bに示す)を通って吸引を継続するように、バルブ152および184(図1Bに示す)を制御する。したがって、窓210から除去された材料は、処理チャンバ101から排気される。
【0114】
その後、アクチュエータ170は、シャフト250を下降させて、基板140を再び台座130上に載置する。次に、基板140は、上述のように真空クランプされる。光学アレイ150は、上述のように基板140を再び加熱する。基板140の処理が完了するまで、必要に応じて手順が繰り返される。
【0115】
上述の記載は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その用途、または使用を限定する意図はない。本開示の広範な教示は、様々な形態で実施可能である。したがって、本開示には特定の例が含まれるが、図面、明細書、および以下の特許請求の範囲を検討すれば他の修正が明らかになるため、本開示の真の範囲は、そのように限定されるべきではない。
【0116】
方法内の1つまたは複数のステップが本開示の原理を変更することなく、異なる順序で(または同時に)実行されてもよいことを理解されたい。さらに、各実施形態は特定の特徴を有するものとして上述されているが、本開示の任意の実施形態に関して記載されたそれらの特徴のいずれか1つまたは複数は、その組み合わせが明記されていない場合であっても、任意の他の実施形態の特徴において実施でき、かつ/または任意の他の実施形態の特徴と組み合わせ可能である。言い換えれば、本記載の実施形態は、互いに排他的ではなく、1つまたは複数の実施形態を互いに置換することは、依然として本開示の範囲内にある。
【0117】
要素間(例えば、モジュール間、回路素子間、半導体層間等)の空間的および機能的関係は、「接続されている」、「係合される」、「結合される」、「隣接する」、「~の隣に」、「~の上部に」、「上方に」、「下方に」、および「配設されている」など、様々な用語を使用して記載される。上記の開示において第1の要素と第2の要素との間の関係が記載されるとき、「直接」であると明記されていない限り、その関係は、第1の要素と第2の要素との間に他の介在する要素が存在しない直接的な関係である可能性があるが、第1の要素と第2の要素との間に1つまたは複数の介在する要素が(空間的にまたは機能的に)存在する間接的な関係もあり得る。本明細書で使用される場合、A、B、およびCの少なくとも1つという表現は、非排他的な論理ORを使用して、論理(A OR B OR C)を意味するものと解釈されるべきであり、「Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、およびCの少なくとも1つ」を意味するものと解釈されるべきではない。
【0118】
いくつかの実施態様では、コントローラは、システムの一部であり、そのシステムは上述した例の一部であってもよい。このようなシステムは、1つまたは複数の処理ツール、1つまたは複数のチャンバ、1つまたは複数の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理構成要素(ウエハ台座、ガスフローシステム等)など、半導体処理機器を備え得る。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後のシステムの動作を制御するための電子機器と一体化されてもよい。電子機器は、「コントローラ」と呼ばれる場合があり、1つまたは複数のシステムの様々な構成要素またはサブパーツを制御してもよい。
【0119】
コントローラは、処理要件および/またはシステムの種類に応じて、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、無線周波数(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置および動作設定、ツール内外へのウエハの搬送、ならびに特定のシステムに接続またはインターフェースにより結合される他の搬送ツールおよび/またはロードロック内外へのウエハ搬送など、本明細書に開示のいずれかのプロセスを制御するようにプログラムされてもよい。
【0120】
広義には、コントローラは、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にする等の様々な集積回路、論理、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義されてもよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSPs)、特定用途向け集積回路(ASICs)として定義されたチップ、および/あるいは1つまたは複数のマイクロプロセッサ、またはプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含んでもよい。
【0121】
プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形式でコントローラに通信される命令であって、特定のプロセスを半導体ウエハ上で、または半導体ウエハ用に、またはシステムに対して実行するための動作パラメータを定義してもよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態では、プロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であって、1つまたは複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/またはウエハのダイの製造中に1つまたは複数の処理ステップを達成してもよい。
【0122】
コントローラは、いくつかの実施態様では、システムと一体化されるか、システムに結合されるか、その他の方法でシステムにネットワーク接続されているか、もしくはそれらの組み合わせである、コンピュータの一部であってもよいし、そのようなコンピュータに結合されてもよい。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあってもよく、ファブホストコンピュータシステムの全体または一部であってもよく、これにより、ウエハ処理のリモートアクセスが可能となる。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製作動作の現在の進捗状況を監視し、過去の製作動作の履歴を検査し、複数の製作動作から傾向もしくは性能指標を検査し、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理ステップを設定し、または新しいプロセスを開始してもよい。
【0123】
いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ローカルネットワークまたはインターネットを含み得る、ネットワークを介してシステムにプロセスレシピを提供できる。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力もしくはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含み得る。これらのパラメータおよび/または設定はその後、リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、コントローラは、データの形式で命令を受け取り、データは1つまたは複数の動作中に行われる各処理ステップのパラメータを指定する。パラメータは、行われるプロセスの種類と、コントローラが結合または制御するように構成されているツールの種類とに特有のものであり得ることを理解されたい。
【0124】
したがって、上述したように、コントローラは、互いにネットワーク接続され、本明細書に記載のプロセスおよび制御など、共通の目的に向けて動作する1つまたは複数の別個のコントローラを備えることなどによって、分散され得る。このような目的のための分散型コントローラの例は、遠隔に(プラットフォームレベルで、またはリモートコンピュータの一部としてなど)位置する1つまたは複数の集積回路と通信するチャンバ上の1つまたは複数の集積回路であり、これらを組み合わせて、チャンバ上でプロセスを制御することになる。
【0125】
例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理気相堆積(PVD)チャンバまたはモジュール、化学気相堆積(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、追跡チャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウエハの製作および/または製造に関連するか、または使用可能な任意の他の半導体処理システムを含み得るが、これらに限定されない。
【0126】
上述したように、ツールによって行われる1つまたは複数のプロセスステップに応じて、コントローラは、他のツール回路またはモジュールの1つまたは複数、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体製造工場内のツール場所および/もしくはロードポートへウエハの容器を搬出入する材料移送に使用されるツールと通信してもよい。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】