(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-10-15
(54)【発明の名称】基板の選択的酸化
(51)【国際特許分類】
H01L 21/316 20060101AFI20251007BHJP
C23C 16/40 20060101ALI20251007BHJP
【FI】
H01L21/316 S
C23C16/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2025518038
(86)(22)【出願日】2023-09-26
(85)【翻訳文提出日】2025-05-02
(86)【国際出願番号】 US2023033738
(87)【国際公開番号】W WO2024072816
(87)【国際公開日】2024-04-04
(32)【優先日】2022-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ロー, ヘンゼル
(72)【発明者】
【氏名】オルセン, クリス
【テーマコード(参考)】
4K030
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA13
4K030AA17
4K030AA18
4K030BA29
4K030BA38
4K030BA42
4K030BA44
4K030CA04
4K030CA12
4K030FA01
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4K030JA01
4K030JA09
4K030JA10
4K030KA30
4K030LA15
5F058BA09
5F058BC02
5F058BD04
5F058BF63
5F058BG01
5F058BJ07
(57)【要約】
本明細書では、基板を選択的に酸化する方法が記載されている。当該方法は、基板のトレンチ又は孔の少なくとも1つの側壁に非共形層を形成することを含む。非共形層を形成した後、少なくとも1つのトレンチ又は少なくとも1つの孔が選択的に酸化されてもよく、非共形層及び非共形層によって覆われていない少なくとも1つの側壁の露出部分の酸化が生じて、酸化物層が形成される。酸化物層は、テーパ状になるように、少なくとも1つの側壁の上部よりも少なくとも1つの側壁の下部において厚さが増す。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成されたトレンチ又は孔の少なくとも1つの側壁に非共形層を形成することであって、前記非共形層が前記少なくとも1つの側壁の上部に形成され、前記トレンチ又は前記孔の深さが進むにつれて厚さが減少し、前記非共形層が窒素を含む、非共形層を形成することと、
前記非共形層を含む前記トレンチ又は前記孔の前記少なくとも1つの側壁を酸化させることであって、前記非共形層及び前記非共形層によって覆われていない前記少なくとも1つの側壁の露出部分の酸化が生じて、酸化物層が形成され、前記酸化物層が、前記少なくとも1つの側壁の前記上部より前記少なくとも1つの側壁の下部において厚さが増す、前記トレンチ又は前記孔の前記少なくとも1つの側壁を酸化させることと
を含む方法。
【請求項2】
前記酸化させることが、第1の選択性を有する初期酸化プロセス、及び第2の選択性を有する少なくとも1つの追加の酸化プロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酸化物層の目標のテーパを達成するために、前記初期酸化プロセスが実行され、前記酸化物層の目標の厚さを達成するために、前記少なくとも1つの追加の酸化プロセスが実行される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記初期酸化プロセスが、前記酸化物層の厚さの約5%~約50%を達成するように実行される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記非共形層を形成することが、化学気相堆積プロセス、熱プロセス、又はラジカルプラズマプロセスによって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
窒素を含む前記非共形層を形成することが、前記基板の窒化を行うことにより行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記窒化が、窒素(N
2)、アンモニア(NH
3)、水素(H
2)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、又はそれらの組み合わせを適用することによって達成される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記窒化が、約0.5T~約500Tの圧力で行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記窒化が、約250℃~約1250℃の温度で行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記酸化させることが、熱酸化を通して行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記酸化物層が二酸化ケイ素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記非共形層が、前記少なくとも1つの側壁の前記上部において約5Å~約50Åの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記非共形層が、前記少なくとも1つの側壁の前記下部に形成されず、その結果、前記少なくとも1つの側壁の前記下部が前記少なくとも1つの側壁の前記露出部分となる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記非共形層が、前記少なくとも1つの側壁の約25%を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記酸化させることが、過酸化物、蒸気(H
2O)、又はH
2:O
2を含む酸化剤を使用して行われ、H
2とO
2の比率は、5.5:1~約9:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記基板が、ケイ素又は窒化ケイ素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つのトレンチ又は少なくとも1つの孔が形成された基板であって、前記少なくとも1つのトレンチ又は前記少なくとも1つの孔が、上面、底面、及び少なくとも1つの側壁を有する、基板、及び
前記少なくとも1つのトレンチ又は前記少なくとも1つの孔の前記少なくとも1つの側壁上の酸化物層であって、前記酸化物層が、前記少なくとも1つの側壁の上部より前記少なくとも1つの側壁の下部において厚さが増す、酸化物層
を含む物品。
【請求項18】
前記少なくとも1つの側壁の前記下部の前記酸化物層が、約50Å~約100Åの厚さを有する、請求項17に記載の物品。
【請求項19】
前記少なくとも1つの側壁の前記上部の前記酸化物層が、約25Å~約50Åの厚さを有する、請求項17に記載の物品。
【請求項20】
少なくとも1つのトレンチ又は少なくとも1つの孔が形成された基板を受け取ることであって、前記少なくとも1つのトレンチ又は前記少なくとも1つの孔が、少なくとも1つの側壁を有し、前記トレンチ又は前記孔の前記少なくとも1つの側壁が、前記少なくとも1つの側壁の下部をコーティングすることなく、前記少なくとも1つの側壁の上部をコーティングする非共形層を含む、基板を受け取ることと、
前記基板を選択的に酸化させて、前記少なくとも1つの側壁に酸化物層を形成することであって、前記少なくとも1つのトレンチ又は前記少なくとも1つの孔を選択的に酸化させることが、前記非共形層が酸化剤と反応して、前記酸化物層を成長させながら、前記非共形層が前記少なくとも1つの側壁から同時に除去されることを含む、酸化物層を形成することと
を含み、前記酸化物層が成長する速度は、窒素を含む前記非共形層によって遅くなり、それにより、前記酸化物層が、前記少なくとも1つのトレンチ又は前記少なくとも1つの孔の前記少なくとも1つの側壁の前記上部よりも前記少なくとも1つの側壁の前記下部において厚さが増す、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、概して、基板を酸化するための方法に関し、酸化するための方法は、基板の異なる領域間の選択的酸化を可能にするために非共形層を使用する。
【背景技術】
【0002】
[0002]半導体産業では、デバイスは、数々の製造プロセスによって製造される。この製造プロセスでは、益々サイズが縮小する構造を生み出している。これらのデバイスのうちの幾つかは、高アスペクト比構造体を含むものがあり、デバイス内に複数の孔又はトレンチが含まれる。
【0003】
[0003]一部のデバイスを製造するために、酸化ステップが実行される。しかしながら、高アスペクト比の構造体を酸化させると、酸化物層が主に構造体の上部に形成され、構造体の奥であるほど、酸化物層の厚みが少なくなることが見出されている。このような現象が起きるのは、酸化剤が構造体に塗布されると、最初に酸化剤が高アスペクト比構造体の上部と相互作用し、酸化の原因となる化学的性質を激減させてしまうからであると考えられている。酸化剤が上部領域と相互作用するつれて、酸化剤が消費され、酸化物層が上部領域で形成され始める。この酸化物層により、酸化剤が高アスペクト比構造体の下部に届くことが阻止又は抑制される。したがって、これにより、高アスペクト比フィーチャの頂部又は上部は、アスペクト比フィーチャの底部又は下部よりも厚い酸化物層を有することになり、アスペクト比フィーチャの底部又は下部の酸化物層が薄くなるか又はなくなる場合もあり、非共形性の酸化物層が形成されてしまう。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本開示の幾つかの実施形態は、基板を酸化させる方法が提供される。当該方法は、基板上に形成されたトレンチの少なくとも1つの側壁に非共形層を形成することを含み得、非共形層は、少なくとも1つの側壁の上部に形成され、トレンチの深さが進むにつれて厚さが減少する。非共形層は、窒素又は炭素を含み得る。幾つかの実施形態では、当該方法は、非共形層を含む少なくとも1つのトレンチを選択的に酸化させることを含み得る。非共形層及び非共形層によって覆われていない少なくとも1つの側壁の露出部分の酸化が生じて、酸化物層が形成される。酸化物層は、少なくとも1つの側壁の上部よりも少なくとも1つの側壁の下部において厚さが増し得る。
【0005】
[0005]本開示の別の実施形態では、基板を含む物品が提供される。基板には、少なくとも1つのトレンチが形成され得る。少なくとも1つのトレンチは、上面、底面、及び少なくとも1つの側壁を有する。物品は、少なくとも1つのトレンチの少なくとも1つの側壁上の酸化物層をさらに含み得る。酸化物層は、少なくとも1つの側壁の上部より少なくとも1つの側壁の下部において厚さが増す。
【0006】
[0006]本開示の別の実施形態では、別の方法が提供される。他の方法は、少なくとも1つのトレンチが形成された基板を受け取ることを含む。少なくとも1つのトレンチは、少なくとも1つの側壁を有し、トレンチの少なくとも1つの側壁は、少なくとも1つの側壁の下部をコーティングすることなく、少なくとも1つの側壁の上部をコーティングする非共形層を含む。当該方法は、基板を選択的に酸化させて、少なくとも1つの側壁に酸化物層を形成することをさらに含み得、非共形層は、ガスに変換され、酸化物層が形成されるにつれて少なくとも1つの側壁から除去される。酸化物層は、少なくとも1つのトレンチの少なくとも1つの側壁の上部よりも少なくとも1つの側壁の下部において厚さが増し得る。
【0007】
[0007]本開示は、添付図面では限定ではなく例示として図示されており、図面において類似の参照符号は、同様の要素を示す。本開示における「ある(an)」又は「1つ(one)」の実施形態に対する様々な言及は、必ずしも同じ実施形態に対するものではなく、そのような言及は、少なくとも1つを意味することに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本開示の一実施形態に係る、基板を選択的に酸化するための方法を表すフロー図である。
【
図3A】本開示の一実施形態に係る、基板のトレンチを示す。
【
図3B】本開示の実施形態に係る、トレンチの側壁に非共形層を堆積した後の
図3Aのトレンチを示す。
【
図3C】本開示の実施形態に係る、酸化工程の完了前の
図3Bのトレンチを示す。
【
図3D】本開示の実施形態に係る、酸化工程の完了後の
図3Bのトレンチを示す。
【
図4】例示的な化学気相堆積(CVD)システムを示す。
【
図5】電子デバイス製造システムの概略上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0016]ナノファブリケーション及びマイクロファブリケーションプロセスを用いて製造された多くのデバイス(例えば、半導体デバイス)は、デバイスの製造中に酸化され、デバイスの構造上に酸化物層が形成される。酸化物層は、酸化物層が形成されるデバイスの性質、及び/又はその他の変数に応じて、複数の目的を果たし得る。デバイスの性能のバラツキを最小限にするため、及び/又は適切な歩留まりを可能にするために、酸化物層の厚さを制御することができる。本開示の実施形態の基板上に形成された酸化物層は、酸化物層が上部よりも下部の方が厚くなるようなテーパされた層である。
【0010】
[0017]本明細書で開示する実施形態は、基板を選択的に酸化するための方法を説明する。基板を選択的に酸化するための方法は、基板上に形成されたトレンチ又は他の高アスペクトフィーチャ(例えば、孔)の少なくとも1つの側壁に非共形層を形成することを含み得る。非共形層は、少なくとも1つの側壁の上部に形成され、トレンチ又は他の高アスペクト比フィーチャの深さが進むにつれて厚さが減少する。実施形態では、非共形層は、窒素又は炭素を含み得る。当該方法は、非共形層を含む少なくとも1つのトレンチ又は他の高アスペクト比フィーチャを酸化することをさらに含み得る。非共形層及び非共形層によって覆われていない少なくとも1つの側壁の露出部分の酸化が生じて、酸化物層が形成される。側壁上の非共形層の存在により、酸化物層は、少なくとも1つの側壁の上部よりも少なくとも1つの側壁の下部で厚さが増し得る。
【0011】
[0018]当該方法の幾つかの実施形態では、酸化は、第1の選択性を有する初期酸化プロセス、及び第2の選択性を有する少なくとも1つの追加の酸化プロセスを含み得る。幾つかの実施形態では、酸化物層の目標のテーパを達成するために、初期酸化プロセスが実行されてもよく、酸化物層の目標の厚さを達成するために、少なくとも1つの追加の酸化プロセスが実行されてもよい。幾つかの実施形態では、初期酸化プロセスは、酸化物層の厚さの約5%~約50%を達成するために実行されてもよく、少なくとも1つの追加の酸化プロセスは、残りの酸化物層を生成するために実行されてもよい。
【0012】
[0019]本明細書では、基板のトレンチの側壁に非共形層及び最終的には酸化物層を形成することに関連して実施形態が説明される。しかしながら、トレンチは、本明細書に記載された技法が適用され得る高アスペクト比(HAR)フィーチャの一例であることを理解されたい。さらに、トレンチに関連して本明細書で説明した技法は、任意の他の種類の高アスペクト比フィーチャに対しても同様に機能することを理解されたい。高アスペクト比フィーチャは、その長さ/深さと幅/直径の比が、長さ/深さと幅/直径の比の閾値よりも大きいフィーチャ(例えば、トレンチ、孔、チャネル)であり得る。長さ/深さと幅/直径の比の閾値は、例えば、5:1、10:1、20:1、50:1、100:1、200:1、300:1、又は他の閾値であり得る。さらに、実施形態は、高アスペクト比フィーチャではない基板上のフィーチャの選択的酸化にも当てはまることを理解されたい。
【0013】
[0020]幾つかの実施形態では、非共形層の形成は、化学気相堆積(CVD)プロセス、原子層堆積(ALD)プロセス、ラジカルプラズマプロセス(例えば、ラジカルプラズマ堆積又は成長プロセス)、又は熱プロセスによって達成される。化学気相堆積(CVD)プロセス又は原子層堆積(ALD)プロセスを使用する実施形態では、プロセスを調整して、基板の下部に比べて、基板の上部に多く堆積することができる。これは、CVD及び/又はALDプロセスの幾つかの実施形態では、アンモニアと、約250℃~約750℃の温度で実行され得る非共形堆積のための前駆体との組み合わせ又は連続的サイクルによって達成することができる。前駆体は、ジクロロシラン(DCS)、ヘキサクロロジシラン(HCDS)、又はそれらの組み合わせであってもよい。ラジカルプラズマプロセスを使用する実施形態では、遠隔プラズマプロセスは、窒素、アンモニア、水素、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、又はこれらの組み合わせを含むように使用されてもよい。熱プロセスを使用する実施形態では、アンモニアを使用してもよい。ラジカルプラズマプロセス又は熱プロセスのいずれでも、プロセスは、約5秒から約4時間にわたって、約250℃~約1250℃の温度で実行され得る。圧力は、基板の下部と比べて基板の上部で非共形層の堆積又は成長をより確実に行うように選択することができる。
【0014】
[0021]幾つかの実施形態では、酸化は、熱酸化を通して実行され得る。熱酸化は当技術分野で知られている。熱酸化の間、酸素源が基板を含むチャンバ内に導入され、基板が昇温まで加熱され、酸化物の層が基板の表面に成長させられる。幾つかの実施形態では、熱酸化は酸化プラズマを用いて行うことができる。別の実施形態では、熱酸化は、酸化プラズマを用いずに行うことができる。
【0015】
[0022]方法の幾つかの実施形態では、少なくとも1つの側壁上に形成された酸化物層は、二酸化ケイ素であってもよい。例えば、側壁がケイ素又はポリシリコンから形成されている場合、酸化物は、ケイ素又はポリシリコンと反応して、二酸化ケイ素を形成し得る。
【0016】
[0023]本方法の特定の実施形態では、少なくとも1つのトレンチを選択的に酸化することは、非共形層を酸化剤と反応させて、非共形層上に酸化物層を成長させながら、非共形層を同時にガスに変換して少なくとも1つの側壁から除去し得ることを含み得る。代替的に又は追加的に、酸化剤は酸化物層と反応して、ガスを形成し、非共形層の一部を消散させ得る。
【0017】
[0024]当該方法の幾つかの実施形態では、非共形層は、約5Å~約50Å、約10Å~約45Å、約15Å~約40Å、約20Å~約35Å、若しくは約25Å~約30Åの厚さ、又はその範囲内の任意のサブ範囲を有してもよい。幾つかの実施形態では、非共形層は、約5Å、約10Å、約15Å、約20Å、約25Å、約30Å、約35Å、約40Å、約45Å、若しくは約50Åの厚さ、又はその範囲内の任意の値を有してもよい。
【0018】
[0025]当該方法の幾つかの実施形態では、非共形層は、少なくとも1つの側壁の下部に形成されず、その結果、少なくとも1つの側壁の下部が少なくとも1つの側壁の露出部分となる。実施形態では、非共形層は、トレンチの頂部又は入口で最も厚く、トレンチの深さが進むにつれて徐々に薄くなるテーパ状の層である。
【0019】
[0026]幾つかの実施形態では、非共形層は、少なくとも1つの側壁の約25%、少なくとも1つの側壁の約50%、少なくとも1つの側壁の約75%、又は少なくとも1つの側壁の約80%から形成される。
【0020】
[0027]当該方法の幾つかの実施形態では、選択的酸化は、過酸化物、蒸気(H2O)、又はH2:O2を含む酸化剤を使用して行うことができ、ここでH2とO2の比率は、5.5:1~約9:1である。当該方法の幾つかの実施形態では、基板は、ケイ素、ポリシリコン、及び/又は窒化ケイ素であってもよく、又はこれらを含んでもよい。
【0021】
[0028]本開示の別の実施形態では、物品が提供される。物品は、基板を含み得る。基板には、少なくとも1つのトレンチが形成され得、少なくとも1つのトレンチは、上面、底面、及び少なくとも1つの側壁を有する。物品は、少なくとも1つのトレンチの少なくとも1つの側壁上の酸化物層をさらに含み得る。酸化物層は、少なくとも1つの側壁の上部より少なくとも1つの側壁の下部において厚さが増す。物品の少なくとも1つのトレンチの側壁上の酸化物層は、本明細書に記載された方法に従って形成されたものであり得る。
【0022】
[0029]物品の特定の実施形態では、少なくとも1つの側壁の下部の酸化物層は、約50Å~約100Å、約55Å~約95Å、約60Å~約90Å、約65Å~約85Å、若しくは約70Å~約80Åの厚さ、又はその範囲内の任意の値若しくはサブ範囲を含んでもよい。酸化物層は、トレンチの底部又は底部近傍で厚く、トレンチの頂部又は頂部近傍で薄いテーパ状の酸化物層であり得る。物品の特定の実施形態では、少なくとも1つの側壁の上部の酸化物層は、約25Å~約50Åの厚さを有してもよく、又は約25Å、約30Å、約35Å、約40Å、約45Å、若しくは約50Åであってもよく、又は任意のサブ範囲若しくはその範囲内の値であってもよい。
【0023】
[0030]これまでは、ナノファブリケーション及びマイクロファブリケーションプロセスは、高アスペクト比フィーチャにテーパ状の層を形成することが可能ではなかった。高アスペクト比フィーチャの最も深い領域(例えば、フィーチャの最上部の領域から最も遠い部分)で層が最も厚かったのである。本明細書に記載された実施形態は、高アスペクト比フィーチャ上にテーパ状の酸化物層を形成することを可能にする。これは、特定のタイプのデバイス(例えば、半導体デバイスの特定のタイプ及び/又は構造)にとって有益である。
【0024】
[0031]さらに別の実施形態では、方法が提供される。当該方法は、少なくとも1つのトレンチが形成された基板を受け取ることを含み、少なくとも1つのトレンチは、少なくとも1つの側壁を有する。トレンチの少なくとも1つの側壁は、少なくとも1つの側壁の下部をコーティングすることなく、少なくとも1つの側壁の上部をコーティングする非共形層を含む。当該方法は、基板を選択的に酸化させて、少なくとも1つの側壁に酸化物層を形成することをさらに含み、非共形層は、ガスに変換され、酸化物層が形成されるにつれて少なくとも1つの側壁から除去される。酸化物層は、少なくとも1つのトレンチの少なくとも1つの側壁の上部よりも少なくとも1つの側壁の下部において厚さが増す。
【0025】
[0032]本明細書で使用される場合、「基板」という用語は、プロセスが作用する表面又は表面の一部を指す。基板の例としては、半導体ウエハ(任意選択的に、1つ又は複数のフィーチャや層などが形成されたもの)、ディスプレイ(任意選択的に、1つ又は複数のフィーチャや層などが形成されたもの)等が挙げられる。基板に対して言及がなされるとき、文脈上他のことが明示されない限り、基板の一部のみを指すことがあり得ることも、当業者は理解されたい。さらに、基板上への堆積に対して言及がなされるとき、それは、ベア基板と、1つ若しくは複数の膜又はフィーチャが堆積又は形成された基板との両方を意味し得る。
【0026】
[0033]本明細書で使用される基板は、製造プロセス中に膜処理が実行される基板上に形成される任意の基板又は材料表面のことも指す場合がある。例えば、処理が実行され得る基板表面には、用途に応じて、ケイ素、ポリシリコン、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、窒化ケイ素、ドープされたケイ素、シリコンゲルマニウム、並びに、金属、金属窒化物、金属合金、及びその他の導電性材料といった他の任意の材料が含まれる。基板は、半導体ウエハを含むが、これらに限定されない。
【0027】
[0034]基板は、基板表面を研磨、エッチング、還元、酸化、ヒドロキシル化(又は化学官能性を付与するためにターゲット化学部分(chemical moieties)を別様に発生させる若しくはグラフトする)、アニール、及び/又はベークする前処理プロセスに曝露されてもよい。基板自体の表面で直接膜処理することに加えて、本開示では、開示された膜処理工程のいずれもが、以下でより詳細に開示されるように、基板上に形成される下層に対して実行されてもよい。「基板表面」という用語は、文脈が示すように、かかる下層を含むことが意図される。ゆえに、例えば、膜/層又は部分的な膜/層が基板表面に堆積された場合、新たに堆積された膜/層の曝露面が基板表面となる。所与の基板表面が何を含むかは、どのような膜が堆積されるか、並びに使用される特定の化学的性質に左右されることになる。1つ又は複数の実施形態では、第1の基板表面は、金属、金属酸化物、H終端SixGe1-xから構成されてもよく、第2の基板表面は、Si含有誘電体から構成されてもよく、又はその逆も然りである。幾つかの実施形態では、基板表面は、特定の官能性(例えば、-OH、-NH等)を含んでいてもよい。
【0028】
[0035]これより図面を参照すると、
図1は、本明細書に記載された選択的酸化の方法を実行するために使用され得る基板処理システム100を示す。他の堆積チャンバも本開示の利点を得ることが可能であり、本明細書で開示するパラメータは、本明細書に記載のHAR構造を形成するために使用される特定の堆積チャンバに応じて変動し得る。例えば、他の堆積チャンバは、容積がより大きい又はより小さい場合があり、本開示のガス流量よりも大きい又は小さいガス流量を使用する。
【0029】
[0036]基板処理システム100は、熱処理チャンバ102、及び前駆体活性化装置180を備えており、前駆体活性化装置180は、熱処理チャンバ102に連結され、熱処理チャンバ102の処理領域113へプラズマのラジカルを遠隔供給するために使用される。前駆体活性化装置180は、例えば、ガスを著しくイオン化しないエネルギーをガスに加えることによって、プラズマではない活性化ガス混合物を供給するために使用することも可能である。熱処理チャンバ102は、1つ又は複数の側壁114(例えば、4つの側壁)及び基部115によって囲まれた処理領域113を有する。側壁114の上部は、(例えば、「O字状」リングを使用して)窓アセンブリ117に密封され得る。放射エネルギーアセンブリ118が、窓アセンブリ117の上方に配置され、当該窓アセンブリ117に連結されている。放射エネルギーアセンブリ118は複数のランプ119を有し、当該ランプ119はタングステンハロゲンランプであってよく、それぞれがレセプタクル121に取り付けられ、処理領域113内へと電磁放射を放出するよう配置されている。
図1の窓アセンブリ117は、複数の光パイプ141を有するが、窓アセンブリ117は、光パイプのない平らで中実の窓を有するだけでもよい。窓アセンブリ117は、外壁116(例えば、円筒状の外壁)を有し、この外壁116は、窓アセンブリ117を、当該窓アセンブリ117の周辺の周りで囲むリムを形成する。窓アセンブリ117は、複数の光パイプ141の第1の端部を覆う第1の窓120、及び第1の端部とは反対側にある、複数の光パイプ141の第2の端部を覆う第2の窓122さらに有する。第1の窓120及び第2の窓122は、窓アセンブリ117の外壁116まで延在し、当該外壁116に係合して、複数の光パイプ141を含む窓アセンブリ117の内部を囲んで密封する。このような場合に、光パイプが使用されたときには、外壁116を貫通する導管153を通して、複数の光パイプ141のうちの1つに真空を適用することによって、複数の光パイプ141の中に真空を作ることが可能であり、上記複数の光パイプ141のうちの1つは、残りのパイプに流体的に接続されている。
【0030】
[0037]基板101は、熱処理チャンバ102において、処理領域113内で支持リング162によって支持されている。支持リング162は、回転可能なシリンダ163上に取り付けられている。回転可能なシリンダ163を回転させることによって、支持リング162及び基板101が、処理の間回転させられる。熱処理チャンバ102の基部115は、処理中に基板101の裏面へとエネルギーを反射するための反射面111を有する。代替的に、別個の反射器(図示せず)が、熱処理チャンバ102の基部115と支持リング162との間に配置され得る。熱処理チャンバ102は、基板101の温度を検出するために、熱処理チャンバ102の基部115を貫通して配置された複数の温度プローブ171を含み得る。上述のように、別個の反射器が使用される場合、温度プローブ171が、基板101から来る電磁放射への光学的アクセスのための別個の反射器を貫通してさらに配置されている。
【0031】
[0038]回転可能なシリンダ163は、磁気ロータ164によって支持されており、この磁気ロータ164は、棚部165を有する円筒状部材であり、両方の部材が熱処理チャンバ102内に設置されたときには、回転可能なシリンダ163が棚部165に載置される。磁気ロータ164は、棚165の下方の磁石領域166内に複数の磁石を有する。磁気ロータ164は、基部115に沿った熱処理チャンバ102の外周領域に位置する環状ウェル160内に配置されている。カバー173が、基部115の外周部に載置され、環状ウェル160の上方を、回転可能なシリンダ163及び支持リング162に向かって延在しており、カバー173と、回転可能なシリンダ163及び/又は支持リング162と、の間には公差ギャップが残されている。カバー173は、概して、処理領域113内の処理条件への曝露から、磁気ロータ164を保護する。
【0032】
[0039]磁気ロータ164は、基部115の周囲に配置された磁気ステータ167からの磁気エネルギーによって回転させられる。磁気ステータ167は、複数の電磁石168を有し、この複数の電磁石168は、基板101の処理中に、回転パターンに従って給電され、磁気ロータ164を回転させるための磁気エネルギーを供給する回転磁界を形成する。磁気ステータ167は、支持体170によって線形アクチュエータ169に連結されている。線形アクチュエータ169は、この場合はネジ回しである線形アクチュエータ169を操作することによって、磁気ステータ167が熱処理チャンバ102の軸172に沿って移動し、これによって今度は、磁気ロータ164、回転可能シリンダ163、支持リング162、及び基板101が軸172に沿って移動する。
【0033】
[0040]処理ガスが、チャンバ入口175を通じて熱処理チャンバ102に供給され、チャンバ出口を通って排出される。チャンバ出口は、紙面の外側に向けられ、概して、チャンバ入口175及び支持リング162(
図1には図示せず)と同じ平面に沿って向けられている。基板は、
図1では後方に示される側壁114に形成されたアクセスポート174を通じて、熱処理チャンバ102を出入りする。基板搬送プロセスについては、本明細書では説明しない。
【0034】
[0041]前駆体活性化装置180は、イオン、ラジカル、及び電子のプラズマ183が形成され得る内部空間184を取り囲む本体182を有する。石英又はサファイアで作られたライナ185が、プラズマによる化学的攻撃から本体182を保護する。内部空間184には、好ましくは、荷電粒子(例えば、イオン)を誘引し得る任意の電位勾配が存在しない。ガス入口186が、本体182の第1の端部187にあり、本体182の第2の端部189に位置するガス出口188とは反対側に配置されている。前駆体活性化装置180が熱処理チャンバ102に連結されたときには、ガス出口188が、チャンバ入口175への送出線190を通じて、熱処理チャンバ102と流体連結し、これにより、内部空間184内で生成されたプラズマ183のラジカルが、熱処理チャンバ102の処理領域113に供給される。ガス出口188は、ガス入口186よりも大きな直径を有することが可能であり、励起されたラジカルが目標流量で効率良く放出されることが可能となり、ラジカルとライナ185との間の接触が最小限に抑えられる。目標とされる場合には、別個のオリフィスを、ガス出口188のライナ185内に挿入ことが可能であり、ガス出口188での内部空間184の内側寸法が縮小される。ガス出口188(又は使用される場合にはオリフィス)の直径は、処理領域113と前駆体活性化装置180との間の圧力差を提供するよう選択することが可能である。圧力差は、熱処理チャンバ102に流入するイオン、ラジカル、及び分子の組成が、熱処理チャンバ102内で実行されるプロセスに適したものとなるように選択され得る。
【0035】
[0042]プラズマ処理のためのガスを供給するために、第1のガス源192が、四方弁194の第1の入力と、第1のガス源192から放出されるガスの流量を制御するために使用される弁197と、を介して、ガス入口186に連結されている。四方弁194の第2の入力が、第2のガス源198に連結され得る。四方弁の第3の入力が、第3のガス源199に連結され得る。第1のガス源192、第2のガス源198、及び第3のガス源199のそれぞれは、窒素含有ガス、酸素含有ガス、シリコン含有ガス、水素含有ガス、又はアルゴン若しくはヘリウムといったプラズマ形成ガスのうちの1つ又は複数であってよく、又は、これらを含み得る。流量コントローラ196が四方弁194に接続されており、どのプロセスが実行されるかに応じて、四方弁194をその異なるポジションの間で切り替える。流量コントローラ196は、四方弁194の切り換えも制御する。
【0036】
[0043]前駆体活性化装置180は、エネルギー源(図示せず)に連結され得る。当該エネルギー源は、マイクロ波又はRF周波数を有するエネルギーといった励起エネルギーを前駆体活性化装置180に供給し、第1のガス源192からプラズマ183へと移動する処理ガスを活性化する。窒素含有ガス(例えば、N2)が使用される場合には、前駆体活性化装置180内でのプラズマ活性化によって、N*ラジカル、N+及びN2+といった正に帯電したイオン、並びに電子が内部空間184内で生成される。前駆体活性化装置180を熱処理チャンバ102の処理領域113から遠隔に配置することによって、イオンへの基板の曝露が最小に抑えられる。イオンは、半導体基板上の感度の高い構造に損傷を与える可能性がある一方、ラジカルは反応性であり、有益な化学反応を行うために使用することが可能である。前駆体活性化装置180といった活性化ガス源の使用によって、ラジカルへの基板101の曝露が促進され、イオンへの基板101の曝露が最小に抑えられる。
【0037】
[0044]幾つかの実装形態では、第2の水素ガス源(図示せず)が、熱処理チャンバ102に流体連結される。第2の水素ガス源は、処理領域113に水素ガスを供給し、ここで、水素ガスは、前駆体活性化装置180から処理領域113へと供給される遠隔プラズマによって活性化され得る。高割合の水素ガスが目標とされる幾つかの実装形態では、水素ガスが、第3のガス源199及び第2の水素ガス源の両方を通じて処理領域113に供給され得る。
【0038】
[0045]
図2は、本開示の一実施形態に係る、基板を選択的に酸化する方法200を表すフロー図である。方法200では、ブロック205では、既にパターニングされた基板が受容される。基板は、少なくとも1つのトレンチ及び/又は他のフィーチャを有するようにパターニングされ得る。基板は、トレンチに関連して説明されるが、トレンチを高アスペクト比フィーチャであり得る他の種類のフィーチャと置き換えることができる。
【0039】
[0046]少なくとも1つのトレンチは、上面、少なくとも1つの側壁面、及び底面を有し得る。例えば、
図3Aに示すように、基板はトレンチを有し得る。
図3Aは、本開示の一実施形態に係る、基板303のトレンチ306を示す。
【0040】
[0047]
図3Aでは、基板303がトレンチ306を有するように示されている。基板303は、ケイ素又は窒化ケイ素を含み得る。トレンチ306は、少なくとも1つの側壁302を有する。トレンチは、基板(例えば、ケイ素ウエハ)にエッチングされている可能性があり、及び/又は基板の表面に形成された1つ又は複数の層にエッチング又はさもなければ形成されている可能性がある。実施形態では、トレンチの壁302は、トレンチの底部と同じ材料から形成される。他の実施形態では、トレンチの壁302は、(例えば、シリコンウエハ上に1つ又は複数の窒化ケイ素層が形成され、1つ又は複数の窒化ケイ素層がエッチングされてトレンチの底部においてシリコンウエハが露出した場合に)トレンチの底部とは異なる材料で形成される。幾つかの実施形態の少なくとも1つの側壁302は、側壁302に形成された層(図示せず)を有し得る。一実施形態では、層は、窒化ケイ素(SiN)を含み得る。他の実施形態では、層は、ケイ素、損傷した窒化ケイ素、酸化ケイ素、又は低κ材料であってもよい。本明細書で理解されるように、「低κ材料」という用語は、二酸化ケイ素に対して比誘電率(κ:カッパ)が低い材料のことを指す。本開示の方法200は、少なくとも1つのトレンチ306の選択的酸化のゆえに、少なくとも1つの側壁302の上部302aよりも少なくとも1つの側壁の下部302bに厚さが増す酸化物層の形成が可能になる。
【0041】
[0048]
図2に戻ると、パターニングされた基板を受容した後、ブロック210では、非共形層が基板上に形成されたトレンチ少なくとも1つの側壁に形成され得る。これは、
図3Bで確認することができる。
図3Bは、本開示の実施形態に係る、トレンチ306の側壁302に非共形層304を堆積した後の
図3Aのトレンチ306を示す。
【0042】
[0049]
図3Bでは、非共形層304は、少なくとも1つの側壁302の上部302aに形成される。幾つかの実施形態では、非共形層304は、「ポイズン層」又は「抑制(retard)層」としても知られることもある。このような非共形層304は、基板内のトレンチの酸化速度を制御するためのバリアとして機能する。
【0043】
[0050]非共形層304は、トレンチ306内への深さが増すにつれて厚さが減少するテーパ状の層である。非共形層は、少なくとも1つの側壁302の上部において約5Å~約50Åの厚さを有する。幾つかの実施形態では、非共形層304は、少なくとも1つの側壁302aの上部において、約5Å、約10Å、約15Å、約20Å、約25Å、約30Å、約35Å、約40Å、約45Å、又は約50Åの厚さを有する。
図3Bに示すように、非共形層304は、少なくとも1つの側壁302の下部302bに形成されないことがあり、その結果、少なくとも1つの側壁の下部302bが少なくとも1つの側壁302の露出部分となる。幾つかの実施形態では、非共形層304は、少なくとも1つの側壁302の約50%、少なくとも1つの側壁302の約55%、少なくとも1つの側壁302の約60%、少なくとも1つの側壁302の約65%、少なくとも1つの側壁302の約70%、少なくとも1つの側壁302の約75%、少なくとも1つの側壁302の約80%、少なくとも1つの側壁302の約85%、又は少なくとも1つの側壁302の約90%に形成される。
【0044】
[0051]幾つかの実施形態では、非共形層304は、窒素を含む層である。幾つかの実施形態では、非共形層304は、窒化ケイ素などの窒化物層である。幾つかの実施形態では、非共形層304は、炭素を含む。幾つかの実施形態では、非共形層304は、炭化ケイ素層などの炭化物層である。
【0045】
[0052]非共形層の形成は、化学気相堆積(CVD)プロセス又はラジカルプラズマプロセス(例えば、ラジカルプラズマ堆積又は成長プロセス)を通して達成され得る。ラジカルプラズマプロセスの間、ラジカルを含む遠隔プラズマが生成され得る。遠隔プラズマは、窒素プラズマ(例えば、窒素ラジカルを有する)、アンモニアプラズマ(例えば、アンモニアラジカルを有する)、又はそれらの組み合わせを含み得る。ラジカルプラズマプロセスは、比較的高圧レジーム(例えば、1Torr以上)で実行され、高圧レジームで励起状態を作り出す。例えば、窒素プラズマを使用した場合、N2*励起状態が生成され得る。別の実施例では、アンモニアプラズマが使用される場合、NH2又はNHラジカルフラグメントが生成される。圧力は、基板と反応を起こすのに十分に低く制御すべきである。例えば、ラジカルプラズマプロセスを基板の上部付近に集中させるラジカルの寿命を生み出すために、圧力を制御することができる。加えて、基板の目標領域(例えば、上部302a)に対する選択的反応を可能にするために、さらにプロセスの時間を短時間(例えば、約5秒から約4時間)に設定するべきである。幾つかの実施形態では、ラジカルプラズマプロセスを実行するための圧力は、約0.5Torr(T)~約5T、又は約0.5T、約1T、約2T、約3T、約4T、約5T、又はその範囲内の任意の値若しくはサブ範囲であってもよい。ラジカルプラズマプロセスを行う時間は、約5秒から約1時間であってもよい。非共形層304の形成のためにラジカルプラズマプロセスを実行することによって、ラジカルのエネルギーを制御することができ、それにより、ラジカルは、側壁302全体に沿って反応することはできないが、(例えば、側壁302の下部302bに到達することなく、又は側壁302の下部302bと反応することなく)基板の側壁302の上部302aと選択的に反応することができる。他の実施形態では、圧力が約0.5T~約500Tであり得ることを除いて、同様の条件で熱プロセスを実行することができる。
【0046】
[0053]幾つかの実施形態では、非共形層304は、CVD又はALDを介して形成される。CVDプロセスには様々な種類があり、コーティングする表面、コーティング材料、表面とコーティング材料との間の化学的相互作用、目標の厚さ、目標のコーティング特性など、幾つかの要因に基づいて特定のタイプを選択することができる。CVDプロセスの幾つかの例としては、大気圧CVD(APCVD)、低圧CVD(LPCVD)、プラズマCVD(PECVD)、気相エピタキシなどが挙げられる。これらのCVDプロセスのいずれも実施形態で使用することができる。様々なCVDプロセスについては、基板が1つ又は複数の揮発性前駆体に曝され、これらは物品表面で反応及び/又は分解して、目標のコーティングを生成する。副生成物が生成されることがあるが、副生成物は、CVDプロセスが行われる堆積チャンバから排出されることによって除去される。
【0047】
[0054]
図4は、実施形態に従って、物品をコーティングするために利用され得る例示的な化学気相堆積(CVD)システムを示す。
【0048】
[0055]システムは、化学気相前駆体供給システム405及びCVD反応器410を備える。蒸気前駆体供給システム405の役割は、固体、液体、又は気体の形態であり得る出発材料415から、蒸気前駆体420(例えば、非共形層304用の蒸気前駆体)を生成することである。次いで、蒸気はCVDリアクタ410に移送され、ホルダ435上に位置付けされ得る(例えば、
図3Aの基板300Aに相当し得る)基板430上に薄膜445として堆積される。
【0049】
[0056]CVDリアクタ410は、ヒータ440を用いて基板430を堆積温度まで加熱する。幾つかの実施形態では、ヒータは、CVDリアクタの壁(「ホットウォール型リアクタ」とも呼ばれる)を加熱してもよく、リアクタの壁は基板430に熱を伝達することができる。他の実施形態では、CVDリアクタの壁を低温に保ちながら、基板だけを加熱してもよい(「コールドウォール型リアクタ」とも呼ばれる)。CVDシステムの構成が限定的であると解釈されるべきではないことを理解すべきである。CVDシステムには様々な機器を利用でき、均一な厚さ、表面形態、構造、及び組成のコーティングが得られる最適な処理条件が得られるように機器が選択される。
【0050】
[0057]様々なCVDプロセスは、次のプロセスステップで構成されている。(1)出発物質から(「前駆体」としても知られる)活性ガス反応種を生成するステップ、(2)前駆体を反応チャンバ(「リアクタ」とも呼ばれる)に移送するステップ、(3)加熱された基板(すなわち、基板300Aの上部302a)に前駆体を吸収するステップ、(4)気体-固体界面での前駆体と基板との間の化学反応に関与して、堆積物及びガス状副生成物を形成するステップ、及び(5)ガス状の副生成物と未反応のガス状の前駆体を反応チャンバから除去するステップ。
【0051】
[0058]適切なCVD前駆体は、室温で安定している可能性があり、蒸発温度が低い可能性があり、低温で安定した蒸気を発生させることができ、適切な堆積速度(薄膜コーティングの場合は堆積速度が低く、厚膜コーティングの場合は堆積速度が高い)、及び比較的低い毒性を有し、費用対効果が高く、比較的純粋である可能性がある。熱分解反応(「熱分解」としても知られる)又は不均化反応などの一部のCVD反応では、堆積を完了するのには、化学前駆体だけで十分な場合がある。その他のCVD反応については、化学前駆体に加えて、他の試薬又は反応物質(例えば、酸素含有又はフッ素含有反応物質)を利用して、堆積を完了し、金属フッ化物保護コーティング(例えば、本明細書に記載のコーティング)を形成することができる。
【0052】
[0059]CVDには、高密度で純度の高いコーティングを、適度に高い堆積速度で、良好な再現性及び接着性で堆積する能力を含む、多くの利点がある。実施形態においてCVDを用いて堆積された層は、1%未満の多孔性、及び0.1%未満(例えば、約0%)の多孔性を有してもよい。したがって、CVDは、堆積層を形成する対象ではない領域に前駆体が到達しない(又は到達する前駆体の量が少ない)ように、十分に少量の前駆体を使用する場合に、複雑な形状の構成要素のコーティングや、非共形膜を堆積するために使用され得る。
【0053】
[0060]
図3Bを再び参照すると、幾つかの実施形態では、非共形層304は窒素を含み得る。幾つかの実施形態では、非共形層304はケイ素をさらに含み得る。例えば、非共形層304は窒化ケイ素を含み得る。幾つかの実施形態では、基板303の窒化を実行することにより、窒素を含む非共形層304が形成される。窒化は、窒素(N
2)、アンモニア(NH
3)、水素(H
2)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、又はそれらの組み合わせを適用することにより達成され得る。幾つかの実施形態では、窒化は、プラズマを用いて達成され得る。プラズマは、窒素(N
2)、アンモニア(NH
3)、水素(H
2)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、又はそれらの組み合わせを含み得る。幾つかの実施形態では、窒化は、プラズマの有無にかかわらず、基板にアンモニアを塗布することで達成され得る。窒化は、約0.5T~約5T、約0.5T、約1T、約2T、約3T、約4T、若しくは約5T、又はその範囲内の任意の値若しくはサブ範囲の圧力で行うことができる。窒化は、約250℃~約1250°C、約350℃~約1150°C、約450℃~約1050°C、約550℃~約950°C、約650℃~約850°C、若しくは約250°C、約350°C、約450°C、約550°C、約650°C、約750°C、約950°C、約1050°C、約1150°C、若しくは約1250°C、又はその範囲内の任意の値若しくはサブ範囲の温度で実行することができる。
【0054】
[0061]特定の実施形態では、非共形層304の形成に先立って、自然酸化物が基板303の表面(例えば、基板303の側壁302)に形成され得る。例えば、基板303が酸素及び/又は水分に曝されると、自然酸化物が形成され得る。実施形態では、自然酸化物は、非共形層304の形成を阻害し得る。したがって、実施形態では、非共形層304の形成に先立って、洗浄又はエッチングプロセスを行って、自然酸化物を除去する。
【0055】
[0062]
図2に戻ると、トレンチの少なくとも1つの側壁の一部に非共形層が形成された後、ブロック215では、酸化剤が非共形層を有する少なくとも1つの側壁に適用される。酸化剤は、過酸化物、蒸気(H
2O)、又はH
2:O
2を含み、ここでH
2とO
2は、5.5:1~約9:1の比率である。実施形態では、基板が加熱されている間、酸化剤が適用される。
【0056】
[0063]酸化剤は、基板の酸化に対する選択性に基づいて選択される。幾つかの実施形態では、基板内の材料(すなわち、ケイ素)と素早く反応する一方で、非共形層(すなわち、窒素又は炭素含有層)とはより緩慢に反応する選択性の高い酸化剤を有することが好ましい。例えば、水素(H)リッチ酸化剤は、このステップの間、より選択性を有し得る。他の例では、(H2O)及び/又は水素過酸化物(H2O2)が、選択的酸化剤であり得る。対照的に、酸素ラジカル(O*)及び/又は水酸化物(OH)は選択性がより低い場合がある。
【0057】
[0064]ブロック220では、酸化剤が非共形層及び基板と反応して、その上に酸化物層を一定時間にわたって成長させる。
図3Cに見られるように、酸化物層305がトレンチ306の少なくとも1つの側壁302に沿って成長する一方で、非共形304層が少なくとも1つの側壁306で縮小する。
図3Cは、本開示の一実施形態に係る、酸化プロセス開始後で、酸化プロセス完了前の
図3Bのトレンチを示す。
【0058】
[0065]酸化剤を反応させる時間は、酸化剤の選択性に依存し得る。幾つかの実施形態では、当該時間は、約30秒、約45秒、約1秒、約5秒、約10秒、約15秒、約20秒、約30秒、約45秒、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、又は約6時間、又はその範囲内の任意の値であってもよい。
【0059】
[0066]幾つかの実施形態では、複数の異なる酸化剤となる化学物質を使用してもよい。例えば、第1の酸化ステップは、第1の選択性(例えば、側壁302のベア部分と非共形層で覆われた側壁の部分との間の選択性がより低い)第1の酸化剤を用いて実行されてもよく、第2の酸化ステップは、第2の選択性(例えば、側壁302のベア部分と非共形層で覆われた側壁の部分との間の選択性がより高い)第2の酸化剤を用いて実行されてもよい。第1の酸化ステップのための第1の時間及び第2の酸化ステップのための第2の時間は、全体的な酸化プロセスの選択性を、第1の酸化ステップの第1の選択性と第2の酸化ステップの第2の選択性との間であり得る目標の選択性に調整するため選択され得る。追加の酸化ステップが、酸化の選択性を制御するために実行され得る。
【0060】
[0067]
図2に戻ると、ブロック225では、酸化物層を成長させながら、非共形層がトレンチから同時に除去される。幾つかの実施形態では、酸化剤が非共形層と反応するにつれて、非共形層の一部が気相に変換させられることがある。次いで、(例えば、反応副生成物をポンプで送り出すことによって)非共形層の反応部分の気相が、酸化が行われるプロセスチャンバから除去され得る。例えば、非共形層が窒素を含む場合、酸化剤が基板と窒素の両方と反応し、それにより、基板のトレンチの少なくとも1つの側壁の露出部分に酸化物層が成長し始める一方で、窒素がガスに変換させられ、最終的に酸化物層がそれに置き換わる。このように、選択的酸化プロセスの間に非共形層が除去されるので、酸化物層は基板のみにおいて成長し得る。
【0061】
[0068]ブロック230では、少なくとも1つの側壁の上部よりも少なくとも1つの側壁の下部において厚さが増す酸化物層が形成される。これは
図3Dにも示されている。
図3Dは、本開示の実施形態に係る、酸化工程の完了後の
図3Bのトレンチを示す。
図3Dに見られるように、酸化物層205は、トレンチの下部302bで厚さが増し、トレンチ306の側壁302の上部302a付近で徐々に薄くなる。幾つかの実施形態では、酸化物層は、基板のトレンチの少なくとも1つの側壁の下側の露出部分により厚い層を形成するように成長する。これは、非共形層(例えば、窒化物)が側壁の露出部分よりも(例えば、ケイ素よりも)緩慢に酸化するからである。したがって、酸化速度及びテーパの度合いは、目標の厚さ及び目標のテーパ量(例えば、実施形態では、トレンチ側壁の表面全体にわたって目標の厚さプロファイル)に達するように制御される。
【0062】
[0069]物品の特定の実施形態では、少なくとも1つの側壁の下部の酸化物層は、約50Å~約100Å、約55Å~約95Å、約60Å~約90Å、約65Å~約85Å、若しくは約70Å~約80Åの厚さ、又はその範囲内の任意の値若しくはサブ範囲を含んでもよい。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの側壁の下部の酸化物層は、約50Å、約55Å、約60Å、約65Å、約70Å、約75Å、約80Å、約85Å、約90Å、約95Å、又は約100Åの厚さを有し得る。
【0063】
[0070]幾つかの実施形態では、少なくとも1つの側壁の上部の酸化物層は、約25Å~約50Åの厚さを有してもよく、又は約25Å、約30Å、約35Å、約40Å、約45Å、若しくは約50Åであってもよく、又は任意のサブ範囲若しくはその範囲内の値であってもよい。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの側壁の上部の酸化物層は、約25Å、約30Å、約35Å、約40Å、約45Å、又は約50Åの厚さを有し得る。
【0064】
[0071]幾つかの実施形態では、少なくとも1つの側壁上の酸化物層は、少なくとも1つの側壁の上部から下部に向かって徐々に厚さが増すことがある(例えば、テーパ状になることがある)。下部及び上部の厚さ、並びにテーパの量は、方法の以前のステップで形成された非共形層、酸化プロセスの選択性、並びに酸化の時間及び/又は温度に基づいて制御され得る。
【0065】
[0072]幾つかの実施形態では、選択的酸化の方法は、基板のトレンチの少なくとも1つの側壁上に目標プロファイルを成長させる第1の酸化ステップ、次いで、基板のトレンチの酸化を完了させる第2の酸化ステップ(例えば、ラジカル酸化ステップ)によって実行することができる。第2の酸化ステップは、実施形態において基板をより速い速度で酸化することを可能とする。実施形態では、第1の酸化ステップは、より高い選択性を有するが、酸化物の成長速度がより低く、第2の酸化ステップは、低い選択性を有するが、成長速度がより高い。幾つかの実施形態では、基板のトレンチの完全な酸化(選択的酸化、次いでラジカル酸化)は、約1時間未満で行うことができる。
【0066】
[0073]幾つかの実施形態で上述したように、トレンチの側壁に非共形層が形成される前に、自然酸化物が基板のトレンチの側壁に形成され得る。幾つかの実施形態では、クラスターツールを含む電子デバイス製造システムが基板を処理するために使用される。基板内にトレンチを形成した後、そしてトレンチの側壁に非共形層を形成する前に、基板を真空内に維持してもよい。真空を破壊することなくチャンバ間で基板を移動させることで、自然酸化物の形成を防ぐことができる。
【0067】
[0074]
図5は、本開示の実施形態に係る電子デバイス製造システム500の概略上面図を示す。電子デバイス製造システム500は、基板を処理するように構成され、4つの面501A~Dを有するメインフレーム(移送チャンバとも呼ばれる)504を含み得る。4つの面501A~Dが矩形構成で示されているが、メインフレーム504は、代替的に、他の数の面(例えば、5つの面、6つの面、7つの面、8つの面等)及び/又は他の形状を有してもよい。実施形態では、面は、同じサイズ(例えば、同じ幅)又は異なるサイズを有し得る。一実施形態では、メインフレーム504は、長方形の形状を有し、面501A及び501Cは、互いにほぼ平行であり、面501B及び501Dは、互いにほぼ平行であり、面501A及び501Cは、面501B及び501Dに対してほぼ垂直である。一実施形態では、メインフレーム504は、五角形の形状を有する。一実施形態では、メインフレームは、第1の長さを有する第1の面、並びに第1の面の両側に第2の面及び第3の面を含み、それぞれは、第1の長さよりも大きい第2の長さを有し、第4の面及び第5の面が、それぞれ第2の面及び第3の面に接続され、それぞれは、第1の長さ以上かつ第2の長さ未満の第3の長さを有する。
【0068】
[0075]メインフレーム504は、内部空間534を含んでもよく、面501A~Dは、内部空間534の側壁を画定してもよい。メインフレーム504は、ベース(図示せず)及びリッド(図示せず)をさらに含み得る。面501A~D、ベース、及びリッドはm共に、内部空間534を画定し得る。ロボットアーム(ロボットアセンブリとも呼ばれる)536は、メインフレーム504の内部空間534内に配置されてもよい。内部空間534は、典型的には、メインフレーム504の動作中、真空下にあり得る。
【0069】
[0076]各面501A~Dは、1つ又は複数の基板アクセスポート532を含み得る。各基板アクセスポート532は、水平に配向された基板540がそこを通過することを可能にするように構成されてもよい。基板540は、ウエハ(例えば、半導体ウエハ又は非半導体デバイス基板)、ガラスプレート若しくはパネル、及び/又は電子デバイス若しくは回路構成要素を制作するために使用される他のワークピースであってもよい。各基板アクセスポート532は、例えば、メインフレーム504の側壁に形成された細長いスロット又はスリットであってもよい。各基板アクセスポート532は、例えば、基板アクセスポート532を開閉するためのスリットバルブ又は他の適切な装置、及び/又は基板アクセスポート532を介して搬送される基板540の位置を決定するのに適切なローカルセンタファインダ(LCF)を含み得る。スリットバルブは、例えば、Lモーションスリットバルブなどの任意の適切な従来構造であってもよい。基板アクセスポート532を開閉するために、他の適切なデバイスを使用することもできる。基板アクセスポート532は、実施形態において、シングルゲート又はデュアルゲート(例えば、基板アクセスポートにおける交換可能なインターフェースプレートの内部に第1のゲートと、基板アクセスポートにおける交換可能なインターフェースプレートの外部に第2のゲートとを有する)を含んでもよい。
【0070】
[0077]処理チャンバ506、508、510、512、514、516は、メインフレーム504の様々な面501A~Dに取り付けられている。各処理チャンバ506~116は、基板アクセスポート532と並ぶチャンバポートを有する。
【0071】
[0078]ロードロックチャンバ126は各々、バッチタイプ又は単一基板タイプのロードロックチャンバであり得る。幾つかの実施形態では、ロードロックチャンバ526は、積層ロードロックチャンバであってもよい。例えば、ロードロックチャンバ126は、二重積層ロードロックチャンバ、三重積層ロードロックチャンバ、四重以上の積層ロードロックを備えたロードロックチャンバ(例えば、クワッドロードロックチャンバ)などであってもよい。代替的に、ロードロックチャンバ126は、単一空間のロードロックチャンバであってもよい。各ロードロックチャンバ126は、それぞれの基板アクセスポート532に対応する1つ又は複数のチャンバポートを有し得る。例えば、2つの分離された基板空間を有し得る、積層ロードロックチャンバ126は、垂直に整列された基板アクセスポート532にそれぞれ対応する2つの垂直整列チャンバポートを有し得る。3つの分離した基板空間を有し得る、三重積層ロードロックチャンバは、垂直に整列された基板アクセスポートに対応する3つの垂直整列チャンバポートを有し得る。単一空間ロードロックチャンバは、単一基板アクセスポート532に対応する単一のチャンバポートを有し得る。任意の1つ又は複数のロードロックチャンバ126は、積層ロードロックチャンバ、三重積層ロードロックチャンバ、及び/又は単一空間ロードロックチャンバであってもよい。さらに、幾つかの実施形態では、任意の1つ又は複数のロードロックチャンバ126は、処理能力を有するチャンバであり得る。すなわち、任意の1つ若しくは複数のロードロックチャンバ126、又はその中に位置する空間のうちの任意の1つは、基板の予熱処理、軽減処理、冷却処理、及び/又は別の処理工程を実行することが可能であり得る。
【0072】
[0079]メインフレーム504、処理チャンバ506~516、及び/又はロードロックチャンバ526は、それぞれ真空圧で作動し得る、処理チャンバ506~516は、基板540上の同一の処理又は異なる処理(例えば、堆積、酸化、窒化、エッチング、研磨、洗浄、リソグラフィ、検査等を含む)を実行することができる。他の処理がその中で実行されてもよい。
【0073】
[0080]メインフレーム504は、内部空間534内にロボットアセンブリ536をさらに含み得る。ロボットアセンブリ536は、各処理チャンバ506~516とロードロックチャンバ526との間で1つ又は複数の基板540を移送して出入れするように構成され得る。ロボットアセンブリ536は、基板540を任意の1つのチャンバから直接的にメインフレーム504に取り付けられた任意の他のチャンバへ移送するように構成され得る。幾つかの実施形態では、基板540は、任意の順序又は方向で、ロボットアセンブリ536によって移送されてもよい。幾つかの実施形態では、ロボットアセンブリ536は、メインフレーム504に取り付けられた任意のチャンバから、それぞれ独立に突出可能で、かつ任意のチャンバに格納可能なデュアル搬送ブレード(又はエンドエフェクタとも呼ばれるより多くの搬送ブレード)を有してもよく、同時並行基板移送が可能になることによって、システムのスループットが増大する。幾つかの実施形態では、ロボットアセンブリ536は、単一の搬送ブレードを有してもよく、及び/又はSCARA(選択的適合性多関節ロボットアーム)ロボットであってもよい。代替的に、ロボットアセンブリ536は、メインフレーム504に取り付けられたチャンバ間で基板を移送するための任意の適切な機構(例えば、リニアロボット又はノンリニアロボット)であってもよい。
【0074】
[0081]ロードロックチャンバ126は、1つ又は複数のFOUP(前方開口型統一ポッド)518に連結され得るファクトリインターフェース502に連結され得る。1つ又は複数のロードロックチャンバ126は、ファクトリインターフェース502と移送チャンバ126との間に第1の真空インターフェースを設け得る。幾つかの実施形態では、ロードロックチャンバ526の各々は、メインフレーム(移送チャンバ)504とファクトリインターフェース502と交互に連通することによって、基板スループットを増大させ得る。すなわち、1つのロードロックチャンバ526、又は積層ロードロックチャンバ若しくは三重積層ロードロックチャンバのうちの任意の1つの空間が移送チャンバ504と連通する一方で、他のロードロックチャンバ126、又は積層ロードロックチャンバ若しくは三重積層ロードロックチャンバのうちの他の空間は、ファクトリインターフェース502と連通し得る。ファクトリインターフェース502、ロードロックチャンバ126、及び移送チャンバ504の間の基板移送は、任意の他の適切な態様で行われてもよい。
【0075】
[0082]FOUP518は、それぞれ、複数の基板を保持するための定置型カセットを内部に有する容器であってもよい。FOUP518は、各々、ファクトリインターフェース502と共に使用されるよう構成された前方開口型インターフェースを有し得る。ファクトリインターフェース502は、FOUP518とロードロックチャンバ126との間の線形運動、回転運動、及び/又は垂直運動を介して、基板540を移送するように構成されたバッファチャンバ(図示せず)及び1つ又は複数のロボットアセンブリ538を有し得る。基板は、任意の順序又は方向で、FOUP518とロードロックチャンバ126との間で移送され得る。ロードロックチャンバ126は、バッチ式又は単一基板式のロードロックチャンバであってもよい。
【0076】
[0083]コントローラ571は、ロボットアセンブリ538、ロボットアセンブリ536、及び/又は電子デバイス製造システムの動作を制御し得る。コントローラ571は、電子デバイス製造システムの中で、及び電子デバイス製造システムを通じて、基板540の処理及び移送を制御し得る。コントローラ571は、例えば、汎用コンピュータであってもよく、及び/又は、マイクロプロセッサ又は他の適切なCPU(中央処理装置)、電子デバイス製造システムを制御するソフトウェアルーチンを記憶するメモリ、入力/出力用周辺機器、及びサポート回路(例えば、電源、クロック回路、ロボットアセンブリ538、536を駆動する回路、キャッシュ、及び/又は同等物)を含んでもよい。コントローラ571は、例えば、メインフレーム504に取り付けられた処理チャンバの各々を通って、1つ又は複数の基板を順次処理するようにプログラミングされてもよい。他の実施形態では、コントローラ571は、処理チャンバを通る任意の順序で基板を処理するようにプログラムされてもよい。さらに他の実施形態では、コントローラ571は、1つ又は複数の処理チャンバにおいて1つ又は複数の基板の処理を省略及び/又は反復するようにプログラミングされてもよい。コントローラ571は、代替的に、任意の適切な態様で電子デバイス製造システム内の1つ又は複数の基板を処理するようにプログラミングされてもよい。
【0077】
[0084]電子デバイス製造システムは、図示されたものとは異なる他の適切な数のFOUP518及び/又はロードロックチャンバ526を有してもよい。幾つかの実施形態では、面501Aに連結されるロードロックチャンバの数は、面501B~Dのうちの任意の1つに連結される処理チャンバの数とは無関係であってもよい。例えば、ロードロックチャンバの数は、面に連結された処理チャンバの最高数とは異なってもよい。さらに、幾つかの実施形態では、4つの処理チャンバのサイズに対するメインフレーム504のサイズに応じて、4つまでの処理チャンバが単一の面に連結されてよく、又は、4つを超える処理チャンバが単一の面に連結されてもよい。
【0078】
[0085]実施形態では、基板をメインフレーム504に移動させてもよく、真空を破壊することなく様々な処理チャンバ506~516によって複数の処理を実行してもよい。例えば、処理チャンバ506が基板内にトレンチを形成してもよく、処理チャンバ508がトレンチの側壁に非共形層を形成してもよく、処理チャンバ510が酸化を行ってトレンチの側壁に酸化物層を形成し、非共形層を除去してもよい。基板540は、真空下で、ロボット532によって処理チャンバ506~516の間を通過することができる。したがって、幾つかの実施形態では、トレンチの形成、トレンチ上の非共形層の形成、及びトレンチ上の酸化物層の形成の間、基板上に自然酸化物が成長しない可能性がある。
【0079】
[0086]本開示の方法は、高アスペクト比を有するフィーチャ内又はフィーチャ上にテーパ状の酸化物層を形成するために使用することができる。例えば、高アスペクト比のプロセスは、トレンチの下部において厚さを増した酸化物層から恩恵を受けることができる。したがって、これは上述のような方法を用いて達成することができる。
【0080】
[0087]前述の説明は、本発明の幾つかの実施形態の良好な理解を提供するために、具体的なシステム、構成要素、方法等の例などの多数の具体的詳細を示している。しかしながら、本発明の少なくとも幾つかの実施形態は、これらの具体的な詳細なくても実施可能であることは、当業者に明らかであろう。他の例では、本発明を不必要に曖昧にすることを回避するために、周知の構成要素又は方法は、詳細に説明されないか、又は単純なブロック図形式で提示される。したがって、示されている具体的詳細は、単に例示的なものである。特定の実装態様は、これらの例示的な詳細とは異なる場合があり、なおも本発明の範囲内にあると考えられる。
【0081】
[0088]本明細書全体を通して「1つの実施形態」又は「一実施形態」について言及されている場合、当該実施形態との関連で説明されている特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な場所での「ある実施形態において」又は「一実施形態において」という語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を参照しているとは限らない。さらに、「又は(or)」という用語は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を意味することを意図している。本明細書で「約(about)」又は「ほぼ(approximately)」という用語が使用される場合、これは、提示される公称値が±10%以内で正確であることを意味することが意図される。
【0082】
[0089]本明細書の方法の操作は特定の順序で示され、説明されているが、各方法の操作の順序を変更して、特定の操作を逆の順序で実行したり、特定の操作を少なくとも部分的に他の操作と同時に実行したりできる。別の実施形態では、別個の操作の指示又はサブ操作は、断続的及び/又は交互に行うことができる。
【0083】
[0090]以上の説明は、例示を意図したものであり、限定を意図したものではないことを理解されたい。上記の説明を読んで理解すれば、多くの他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。それゆえ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲とともに、当該特許請求が権利付与される均等物の全範囲を参照して定められるものとする。
【国際調査報告】