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特表2025-534731光学装置のための全体的または局所的厚み変化
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-10-17
(54)【発明の名称】光学装置のための全体的または局所的厚み変化
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/18 20060101AFI20251009BHJP
   G02B 27/02 20060101ALN20251009BHJP
【FI】
G02B5/18
G02B27/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2025521389
(86)(22)【出願日】2023-10-18
(85)【翻訳文提出日】2025-06-05
(86)【国際出願番号】 US2023035423
(87)【国際公開番号】W WO2024086231
(87)【国際公開日】2024-04-25
(31)【優先権主張番号】63/380,003
(32)【優先日】2022-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ルオ, インドン
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ, チョンピン
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ダイファ
(72)【発明者】
【氏名】セル, デーヴィッド アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, チンイー
(72)【発明者】
【氏名】トン, シアオペイ
(72)【発明者】
【氏名】メッサー, ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】バルガヴァ, サマース
(72)【発明者】
【氏名】ハウラニ, ラミ
(72)【発明者】
【氏名】ゴデット, ルドヴィーク
【テーマコード(参考)】
2H199
2H249
【Fターム(参考)】
2H199CA50
2H199CA53
2H199CA67
2H249AA03
2H249AA07
2H249AA13
2H249AA45
2H249AA46
2H249AA60
2H249AA62
2H249AA64
2H249AA65
(57)【要約】
本開示の実施形態は、概して、導波管を形成するための方法に関する。方法は、導波管基板を測定することであって、導波管が基板厚さ分布を有する、導波管基板を測定することと、導波管の面上に屈折率整合層を堆積させることであって、屈折率整合層が、導波管基板上に配設された第1の面と第1の面の反対側にある第2の面とを有する、屈折率整合層を堆積させることとを含み得、屈折率整合層は導波管基板の一部分の上にのみ配設され、屈折率整合層の第2の面のデバイス傾斜が、導波管の第1の面の導波管傾斜と実質的に同じである。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波管であって、
導波管基板であって、前記導波管が基板厚さ分布を有する、導波管基板と、
前記導波管基板上に配設された第1の面と前記第1の面の反対側にある第2の面とを有する屈折率整合層と
を備え、
前記屈折率整合層が前記導波管基板の一部分の上に配設され、
前記屈折率整合層の第2の面のデバイス傾斜が、前記導波管の第1の面の導波管傾斜と実質的に同じである、導波管。
【請求項2】
前記導波管が、前記屈折率整合層中の格子構造を有する少なくとも1つの格子をさらに備える、請求項1に記載の導波管。
【請求項3】
前記導波管が、前記導波管基板の底面の上に配設された格子構造を有する少なくとも1つの格子をさらに備える、請求項1に記載の導波管。
【請求項4】
前記導波管が、前記屈折率整合層の上に配設された格子構造を有する少なくとも1つの格子をさらに備える、請求項1に記載の導波管。
【請求項5】
前記少なくとも1つの格子が瞳拡大格子である、請求項4に記載の導波管。
【請求項6】
前記屈折率整合層の屈折率が、前記導波管基板の屈折率の5%以内である、請求項1に記載の導波管。
【請求項7】
前記屈折率が、前記導波管基板の屈折率の約5パーセント以内である、請求項1に記載の導波管。
【請求項8】
前記導波管が、格子に実質的に隣接する前記導波管の前記第1の面上に配設された非アクティブエリアをさらに含む、請求項1に記載の導波管。
【請求項9】
導波管であって、
導波管基板であって、前記導波管が基板厚さ分布を有する、導波管基板と、
前記導波管基板上に配設された第1の面と前記第1の面の反対側にある第2の面とを有する屈折率整合層と
を備え、
前記屈折率整合層が前記導波管基板の一部分の上に配設され、
前記屈折率整合層の第2の面のデバイス傾斜が、前記屈折率整合層にわたって前記基板厚さ分布を変動させるように構成された傾斜値を有する、導波管。
【請求項10】
前記導波管が、前記屈折率整合層中の格子構造を有する少なくとも1つの格子をさらに備える、請求項9に記載の導波管。
【請求項11】
前記導波管が、前記導波管基板の底面の上に配設された格子構造を有する少なくとも1つの格子をさらに備える、請求項9に記載の導波管。
【請求項12】
前記導波管が、前記屈折率整合層の上に配設された格子構造を有する少なくとも1つの格子をさらに備える、請求項9に記載の導波管。
【請求項13】
前記少なくとも1つの格子が瞳拡大格子である、請求項12に記載の導波管。
【請求項14】
前記屈折率整合層の屈折率が、前記導波管基板の前記屈折率の5%以内である、請求項9に記載の導波管。
【請求項15】
前記屈折率が、前記導波管基板の屈折率の約5パーセント以内である、請求項9に記載の導波管。
【請求項16】
前記導波管が、格子に実質的に隣接する前記導波管の第1の面上に配設された非アクティブエリアをさらに含む、請求項9に記載の導波管。
【請求項17】
導波管を形成するための方法であって、前記方法は、
導波管基板を測定することであって、前記導波管が基板厚さ分布を有する、導波管基板を測定することと、
前記導波管の面上に屈折率整合層を堆積させることであって、前記屈折率整合層が、前記導波管基板上に配設された第1の面と前記第1の面の反対側にある第2の面とを有する、屈折率整合層を堆積させることと
を含み、
前記屈折率整合層が前記導波管基板の一部分の上にのみ配設され、
前記屈折率整合層の第2の面のデバイス傾斜が、前記導波管の第1の面の導波管傾斜と実質的に同じである、方法。
【請求項18】
前記方法が、前記屈折率整合層中の格子構造を有する少なくとも1つの格子を形成することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記方法が、前記導波管基板の底面の上に配設された格子構造を有する少なくとも1つの格子を形成することをさらに含む、請求項17に記載の導波管。
【請求項20】
前記方法が、前記屈折率整合層の上に配設された格子構造を有する少なくとも1つの格子を形成することをさらに含む、請求項9に記載の導波管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に基板に関する。より詳細には、本明細書で説明される実施形態は、基板全体にわたって、1つまたは複数の接眼レンズエリアに厚さ分布を有する基板を形成することを提供する。
【背景技術】
【0002】
仮想現実は、概して、ユーザがその中で見掛けの物理的存在を有する、コンピュータ生成されたシミュレートされた環境であると考えられる。仮想現実体験が、3Dにおいて生成され、実際の環境を置き換える仮想現実環境を表示するための基板接眼レンズとしてニアアイディスプレイパネルを有する、グラスまたは他のウェアラブルディスプレイ装置など、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いて視聴され得る。
【0003】
しかしながら、拡張現実は、ユーザが、依然として、周囲環境を視聴するためにグラスまたは他のHMD装置の基板接眼レンズを通して見ることができ、また、表示のために生成され、その環境の一部として見える、仮想オブジェクトのイメージをも見ることができる、体験を可能にする。拡張現実は、オーディオおよびハプティック入力のほか、ユーザが体験する環境を強化または拡張する、仮想イメージ、グラフィック、およびビデオなど、任意のタイプの入力を含むことができる。新技術として、拡張現実に対する多くの課題および設計制約がある。
【0004】
したがって、当技術分野で必要とされるものは、基板全体にわたって、1つまたは複数の接眼レンズエリアに厚さ分布を有する基板を形成するための方法である。
【発明の概要】
【0005】
導波管が、本明細書で示され、説明される。本導波管は、導波管基板であって、導波管が基板厚さ分布を有する、導波管基板と、導波管基板上に配設された第1の面と第1の面の反対側にある第2の面とを有する屈折率整合層(index-matched layer)とを含み得、屈折率整合層は導波管基板の一部分の上に配設され、屈折率整合層の第2の面のデバイス傾斜が、導波管の第1の面の導波管傾斜と実質的に同じである。
【0006】
導波管が、本明細書で示され、説明される。本導波管は、導波管基板であって、導波管が基板厚さ分布を有する、導波管基板と、導波管基板上に配設された第1の面と第1の面の反対側にある第2の面とを有する屈折率整合層とを含み得、屈折率整合層は導波管基板の一部分の上に配設され、屈折率整合層の第2の面のデバイス傾斜が、屈折率整合層にわたって基板厚さ分布を変動させるように構成された傾斜値を有する。
【0007】
導波管を形成するための方法が、本明細書で示され、説明される。本方法は、導波管基板を測定することであって、導波管が基板厚さ分布を有する、導波管基板を測定することと、導波管の面上に屈折率整合層を堆積させることであって、屈折率整合層が、導波管基板上に配設された第1の面と第1の面の反対側にある第2の面とを有する、屈折率整合層を堆積させることとを含み得、屈折率整合層は導波管基板の一部分の上にのみ配設され、屈折率整合層の第2の面のデバイス傾斜が、導波管の第1の面の導波管傾斜と実質的に同じである。
【0008】
本開示の上記の具陳された特徴が詳細に理解され得るように、上記で手短に要約された、本開示のより詳細な説明は、添付の図面にその一部が示されている実施形態を参照することによってなされ得る。しかしながら、添付の図面は、例示的な実施形態を示すにすぎず、したがって、その範囲の限定と見なされるべきでなく、他の等しく有効な実施形態を認め得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A-1B】実施形態による、基板の概略平面図である。
図2A】基板厚さ分布を有する基板の概略断面図である。
図2B】基板厚さ分布を有する基板の概略断面図である。
図2C】基板厚さ分布を有する基板の概略断面図である。
図3A】基板厚さ分布を有する基板の概略断面図である。
図3B】基板厚さ分布を有する基板の概略断面図である。
図3C】基板厚さ分布を有する基板の概略断面図である。
図4】導波管を形成するための方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするために、可能な場合、図に共通である同一の要素を指定するために同一の参照番号が使用されている。一実施形態の要素および特徴が、さらなる具陳なしに他の実施形態に有益に組み込まれ得ることが企図される。
【0011】
本明細書で説明される実施形態は、基板全体にわたって、1つまたは複数の接眼レンズエリアに厚さ分布を有する基板を形成するための方法に関する。添付の付録を参照されたい。
【0012】
図1Aは、本明細書で説明される実施形態による、基板100の概略平面図である。基板100は複数の導波管101を含む。導波管101は、導波管101が形成されることになる、基板100の上のエリアである。いくつかの場合には、導波管101は基板接眼レンズであり得る。導波管エリア101のうちの9つのみが図1Aに示されているが、基板100は、その上に形成されることになる導波管101の数において限定されない。図1Bは、基板100の斜視正面図である。本明細書で説明される基板100は例示的な基板であり、本開示の態様を達成するために、他の基板が、ともに使用されるかまたは修正され得ることを理解されたい。
【0013】
基板100は、導波管101の面103上に配設された複数の基板構造102を含む。基板構造102は、サブミクロン寸法、たとえば、ナノサイズの寸法を有する、ナノ構造であり得る。基板構造102の領域が、第1の格子104a、第2の格子104b、および第3の格子104cなど、1つまたは複数の屈折率整合層106を有する1つまたは複数の格子104に対応する。本明細書で説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、一実施形態では、基板100は、少なくとも、屈折率整合層106Aを含む入力結合格子に対応する第1の格子104aと、屈折率整合層106Bを含む出力結合格子に対応する第3の格子104cとを含む。本明細書で説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、一実施形態では、基板100は、屈折率整合層106Bを含む中間格子に対応する第2の格子104bをも含む。基板構造102は、角度付きまたはバイナリ(binary)であり得る。基板構造102は、限定はしないが、円形、三角形、楕円形、正多角形、不規則な多角形、および/または不規則な形状の断面を含む、他の形状を有し得る。
【0014】
動作中、入力結合格子は、マイクロディスプレイから、ある強度を有する光の入射ビーム(仮想イメージ)を受け取る。入射ビームは、仮想イメージを中間格子(利用される場合)または出力結合格子に向けるために、基板構造102によって、入射ビームの強度のすべてを有するT1ビームに分割される。本明細書で説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、一実施形態では、T1ビームは、T1ビームが中間格子の基板構造102と接触するまで、基板100を通して内部全反射(TIR)を受ける。中間格子の基板構造102は、T1ビーム回折してT-1ビームにし、T-1ビームは、出力結合格子の基板構造102まで、基板100を通してTIRを受ける。出力結合格子の基板構造102は、T-1ビームをユーザの眼に出力結合して(outcouple)、ユーザの視点から、マイクロディスプレイから作り出された仮想イメージの視野を調節し、さらに、ユーザが仮想イメージを見ることができる視野角を増加させる。本明細書で説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、別の実施形態では、T1ビームは、T1ビームが出力結合格子の基板構造102と接触し、マイクロディスプレイから作り出された仮想イメージの視野を調節するように出力結合されるまで、基板100を通して内部全反射(TIR)を受ける。
【0015】
図2A図2B、および図2Cは、第1の基板厚さ分布202と第2の基板厚さ分布204とを有する基板200の概略断面図である。基板200は、基板200にわたって配設された図1の導波管101を含む。非アクティブエリア214が屈折率整合層106間に配設される。非アクティブエリア214は、屈折率整合層106のうちの1つがその上に形成されないことになる基板200のエリアである。基板200は、上面212と底面213とを有するベース基板206を含む。
【0016】
ベース基板206は、基板200が、所望の波長または波長範囲において光を適切に透過することができ、屈折率整合層106のための十分な支持体として働くことができるという条件で、任意の好適な材料から形成され得る。ベース基板は、限定はしないが、アモルファス誘電体、非アモルファス誘電体、結晶誘電体、酸化ケイ素、ポリマー、およびそれらの組合せを含む材料であり得る。本明細書で説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態では、ベース基板206は透明な材料を含む。一例では、ベース基板206および/または屈折率整合層208は、シリコン(Si)、二酸化ケイ素(SiO)、溶融シリカ、石英、炭化ケイ素(SiC)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、リン化インジウム(InP)、ガリウムヒ素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、サファイア、またはそれらの組合せを含む。
【0017】
少なくとも、基板200の屈折率整合層106は、第1のターゲット厚さ分布202または第2のターゲット厚さ分布204のうちの1つを含む。第1のターゲット厚さ分布202および第2のターゲット厚さ分布204は、導波管101の各々において複製されるように決定された局所厚さ分布である。第1のターゲット厚さ分布202および第2のターゲット厚さ分布204は、導波管101にわたる基板200の上面212と底面213との間の距離によって画定される。図2Aでは、第1のターゲット厚さ分布202および第2のターゲット厚さ分布204は、底面213の導波管傾斜と実質的に同じである、基板の上面212のデバイス傾斜によって決定される。デバイス傾斜は、底面213の少なくとも一部分上に屈折率整合層106を堆積させることによって達成され得る。図2Bおよび図2Cでは、第1のターゲット厚さ分布202および第2のターゲット厚さ分布204は、上面212の導波管傾斜と実質的に同じである、基板の底面213のデバイス傾斜によって決定される。デバイス傾斜は、上面212の少なくとも一部分上に屈折率整合層106を堆積させることによって達成され得る。
【0018】
図2Aでは、デバイス傾斜は、第1のターゲット厚さ分布202または第2のターゲット厚さ分布204のうちの少なくとも1つを達成するために堆積された屈折率整合層106の底面216の傾斜である。導波管傾斜は、ベース基板206の上面212の傾斜である。第1のターゲット厚さ分布202または第2のターゲット厚さ分布204を達成するために、デバイス傾斜は、ベース基板206の上面212の導波管傾斜に整合される。詳細には、底面216上の任意の所与のポイントにおけるデバイス傾斜は、上面216上の所与のポイントの直下にある上面212上のポイントにおける導波管傾斜に整合される。図2Bおよび図2Cでは、デバイス傾斜は、第1のターゲット厚さ分布202または第2のターゲット厚さ分布204のうちの少なくとも1つを達成するために堆積された屈折率整合層106の上面217の傾斜である。導波管傾斜は、ベース基板206の底面213の傾斜である。第1のターゲット厚さ分布202または第2のターゲット厚さ分布204を達成するために、デバイス傾斜は、ベース基板206の底面213の導波管傾斜に整合される。詳細には、上面217上の任意の所与のポイントにおけるデバイス傾斜は、上面217上の所与のポイントの直下にある底面213上のポイントにおける導波管傾斜に整合される。屈折率整合層106のデバイス傾斜を屈折率整合層106の直上または直下に配設されたベース基板面の導波管傾斜に整合させることによって、第1のターゲット厚さ分布202または第2のターゲット厚さ分布204は、均一に達成され得る。
【0019】
基板200の非アクティブエリア214は、非アクティブ厚さ分布220を有し、すなわち、非アクティブ厚さ分布220は、第1のターゲット厚さ分布202または第2のターゲット厚さ分布204に実質的に整合しない。非アクティブ厚さ分布220は、非アクティブエリア214における非アクティブエリア214にわたる上面212と底面213との間の距離によって画定される。第1のターゲット厚さ分布202および第2のターゲット厚さ分布204は、各屈折率整合層106において基板200のベース基板206から形成される。図2Aでは、第1のターゲット厚さ分布202および第2のターゲット厚さ分布204は、上面212から屈折率整合層106の底面216まで形成される。図2Bおよび図2Cでは、第1のターゲット厚さ分布202および第2のターゲット厚さ分布204は、底面213から屈折率整合層106の上面217まで形成される。
【0020】
第1のターゲット厚さ分布202および第2のターゲット厚さ分布204は、その上に形成されることになる基板屈折率整合層106の性能を改善するように設計される。第1のターゲット厚さ分布202と第2のターゲット厚さ分布204とは、少なくとも基板200の各導波管101中で同じである。本明細書で説明される方法および装置は、少なくとも各導波管101中で達成されることになる第1のターゲット厚さ分布202および第2のターゲット厚さ分布204を提供することになる。一例では、所与の屈折率整合層106を堆積させるためにデバイス傾斜を対応する波傾斜に整合させることは、実質的に均一なターゲット厚さ分布を可能にし得る。第1のターゲット厚さ分布202および第2のターゲット厚さ分布204は、図2A図2Cに示されている第1のターゲット厚さ分布202および第2のターゲット厚さ分布204に限定されず、好適であり、基板屈折率整合層106の性能を改善するように決定された、任意の厚さ分布であり得る。
【0021】
少なくとも、基板200の屈折率整合層106は、格子構造218を含み得る。図2Aでは、格子構造218が屈折率整合層106中にある、少なくとも1つの格子が形成され得る。図2Bでは、格子構造218がベース基板206の底面213の上にある、少なくとも1つの格子が形成され得る。図2Cでは、格子構造218が屈折率整合層106の上面217の上に配設される、少なくとも1つの格子が形成され得る。格子構造218は、垂直方向にまたは対角線方向に配設され得る。格子構造218は、瞳拡大格子(pupil expansion grating)、入力カプラ格子、出力カプラ格子などであり得る、少なくとも1つの格子を形成し得る。
【0022】
図2A図2Cは、ベース基板206の底面213と上側面212との間の距離がベース基板206にわたって変化するベース基板206を示すが、本明細書で説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、他の実施形態では、ベース基板206は、ベース基板206の底面213と上側面212との間の距離がベース基板206にわたって一定であるように、平面である。
【0023】
図3A図3B、および図3Cは、基板厚さ分布302を有する基板300の概略断面図である。基板300は、基板300にわたって配設された図1の導波管101を含む。非アクティブエリア314が屈折率整合層106間に配設される。非アクティブエリア314は、屈折率整合層106のうちの1つがその上に形成されないことになる基板300のエリアである。基板300は、上面312と底面313とを有するベース基板を含む。
【0024】
ベース基板306は、基板300が、所望の波長または波長範囲において光を適切に透過することができ、屈折率整合層106のための十分な支持体として働くことができるという条件で、任意の好適な材料から形成され得る。ベース基板306は、限定はしないが、アモルファス誘電体、非アモルファス誘電体、結晶誘電体、酸化ケイ素、ポリマー、およびそれらの組合せを含む材料であり得る。本明細書で説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態では、ベース基板306は透明な材料を含む。一例では、ベース基板306および/または屈折率整合層308は、シリコン(Si)、二酸化ケイ素(SiO)、溶融シリカ、石英、炭化ケイ素(SiC)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、リン化インジウム(InP)、ガリウムヒ素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、サファイア、またはそれらの組合せを含む。
【0025】
少なくとも、基板300の屈折率整合層106は、ターゲット厚さ分布302を含む。ターゲット厚さ分布302は、導波管101の各々において複製されるように決定された局所厚さ分布である。ターゲット厚さ分布302は、導波管101にわたる基板300の上面312と底面313との間の距離によって画定される。図3Aでは、ターゲット厚さ分布302は、屈折率整合層106の底面316のデバイス傾斜によって決定される。傾斜は、事前構成された値、またはターゲット厚さ分布302に基づいて決定された値であり得る。デバイス傾斜は、ベース基板306の底面313の少なくとも一部分上に屈折率整合層106を堆積させることによって達成され得る。図3Bおよび図3Cでは、ターゲット厚さ分布302は、屈折率整合層106の上面317のデバイス傾斜によって決定される。傾斜は、事前構成された値、またはターゲット厚さ分布302に基づいて決定された値であり得る。デバイス傾斜は、ベース基板306の上面312の少なくとも一部分上に屈折率整合層106を堆積させることによって達成され得る。
【0026】
図3Aでは、デバイス傾斜は、ターゲット厚さ分布302のうちの少なくとも1つを達成するために堆積された屈折率整合層106の底面216の傾斜である。ターゲット厚さ分布302を達成するために、デバイス傾斜は、その屈折率整合層302についての所望の傾斜値に整合される。屈折率整合層の第2の面のデバイス傾斜が、屈折率整合層にわたって基板厚さ分布を変動させるように構成された傾斜値を有する。いくつかの実施形態では、底面316上の任意の所与のポイントにおけるデバイス傾斜は、ターゲット厚さ分布が横方向に増加または減少し得るような、ターゲット厚さ分布302を達成することが可能な線形傾斜値であり得る。他の実施形態では、底面316上の任意の所与のポイントにおけるデバイス傾斜は、ターゲット厚さ分布が横方向に増加または減少し得るような、ターゲット厚さ分布302を達成することが可能な非線形傾斜値であり得る。図3Bおよび図3Cでは、デバイス傾斜は、ターゲット厚さ分布302のうちの少なくとも1つを達成するために堆積された屈折率整合層106の上面317の傾斜である。ターゲット厚さ分布302を達成するために、デバイス傾斜は、その屈折率整合層302についての所望の傾斜値に整合される。詳細には、上面317上の任意の所与のポイントにおけるデバイス傾斜は、ターゲット厚さ分布が横方向に増加または減少し得るような、ターゲット厚さ分布302を達成することが可能な線形傾斜値または非線形傾斜値であり得る。デバイス傾斜をターゲット傾斜値として画定することによって、ターゲット厚さ分布302は均一に達成され得る。
【0027】
基板300の非アクティブエリア314は、非アクティブ厚さ分布320を有し、すなわち、非アクティブ厚さ分布320は、ターゲット厚さ分布302に実質的に整合しない。非アクティブ厚さ分布320は、非アクティブエリア314における非アクティブエリア314にわたる上面312と底面313との間の距離によって画定される。ターゲット厚さ分布302は、各屈折率整合層106において基板300のベース基板306から形成される。図3Aでは、ターゲット厚さ分布302は、上面312から屈折率整合層106の底面316まで形成される。図3Bおよび図3Cでは、ターゲット厚さ分布302は、底面313から屈折率整合層106の上面317まで形成される。
【0028】
ターゲット厚さ分布302は、その上に形成されることになる基板屈折率整合層106の性能を改善するように設計される。ターゲット厚さ分布302は、少なくとも基板300の各導波管101中で同じである。本明細書で説明される方法は、少なくとも各導波管101中で達成されることになる第1のターゲット厚さ分布302および第2のターゲット厚さ分布304を提供することになる。第1のターゲット厚さ分布302および第2のターゲット厚さ分布304は、図3Aおよび図3Bに示されている第1のターゲット厚さ分布302および第2のターゲット厚さ分布304に限定されず、好適であり、基板屈折率整合層106の性能を改善するように決定された、任意の厚さ分布であり得る。
【0029】
少なくとも、基板300の屈折率整合層106は、屈折率整合層内に配設された格子構造318を含む。格子構造318は、屈折率整合層106内に、垂直方向にまたは対角線方向に配設され得る。図3Aでは、格子構造318は、屈折率整合層106の底面316からベース基板306の底面313の上方まで延び得る。コーティング層308が、格子構造318の面316の上に配設され得る。図3Bでは、格子構造318は、コーティング層308の上面310から、屈折率整合層106を通って、ベース基板306の上面312の下方まで延び得る。いくつかの場合には、コーティング層308は、随意に、格子構造318の面317の上に配設され得る。格子構造318は、瞳拡大格子、入力カプラ格子、出力カプラ格子などを含む、2次元格子であり得る。
【0030】
図3Aおよび図3Bは、ベース基板306の底面313と上側面312との間の距離がベース基板306にわたって変化するベース基板306を示すが、本明細書で説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、他の実施形態では、ベース基板306は、ベース基板306の底面313と上側面312との間の距離がベース基板306にわたって一定であるように、平面である。
【0031】
図4は、図2A図3Cに示されているターゲット厚さ分布202、203、または302をもつ、基板100、200、および/または300を形成するための方法400の流れ図である。方法400は、導波管101におけるターゲット厚さ分布202、203、および302、ならびに/または基板100、200、および300の(図2A図3Bに示されている)非アクティブエリア203、304を形成するために利用され得る。
【0032】
工程402において、基板100、200、または300が測定される。いくつかの実施形態では、ベース基板206、306のベース基板厚さ分布が測定される。ベース基板厚さ分布は、導波管101にわたるベース基板206、306の底面213、313と上側面212、312との間の距離によって画定される。ベース基板厚さ分布は、ターゲット厚さ分布202、203、または302を形成するより前の、ベース基板206、306の測定された厚さ分布である。
【0033】
工程404において、屈折率整合層106のための材料がベース基板206、306上に配設される。いくつかの実施形態では、ターゲット厚さ分布202、203、または302は、図2A図3Cによる、画定された傾斜に従って配設される。ターゲット厚さ分布202、203、または302は、ターゲット厚さ分布202、203、または302を形成した後の、ベース基板206、306+屈折率整合層106の測定された厚さ分布である。装置層106は、1つまたは複数のPVD、CVD、PECVD、FCVD、ALD、スピンオンコーティングプロセス、またはインクジェット印刷プロセスによって、ベース基板206、306の上側面212、312および/またはベース基板206、306の底面213、313の上に配設され得る。
【0034】
屈折率整合層が形成され得る材料は、約100μm以下など、約150mm以下約50mm以上から、約2mm以上までの厚さをもつ任意の透明な基板を含み得る。屈折率整合層が形成され得る材料は、その屈折率が約1.9である任意の基板を含み得る。または、約1.8など、それ以下~約1.3以上。または、約1.6など、それ以下~約1.8以上。屈折率整合層の屈折率は、基板の屈折率の5%以内であり得る。基板上に堆積されることになる材料は、インクジェット材料を含み得る。たとえば、屈折率整合層の一部として、基板上に堆積されることになる材料は、約1.6など、約4.0以下から約0.2以上までの屈折率を有し得る。基板上に堆積されることになる材料は、高屈折率ナノ粒子と、金属酸化物(たとえば、SiO、TiO、ZrO、Nb、HfO、V、Ta、ZnO)、金属硫化物、セレン化物、テルル化物、窒化物、リン化物など、有機リガンドと、異なる組成物をもつ任意のコアシェル構造と、アクリレートベースモノマー、オリゴマー、エポキシベースモノマー、オリゴマー、ポリマーまたはオリゴマーであって、シリコーン、ノボラック、PS、PMMA、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテルなどの、ポリマーまたはオリゴマー、本明細書に記載される構成要素の派生物、本明細書に記載される構成要素のコポリマーなど、紫外線(UV)または熱硬化性樹脂/バインダと、エーテル、エステル、カーボネート類、シラン、および、その気圧が、約300Cなど、約250C以上~約350C以下である、任意の溶剤など、溶剤とのうちのいずれか1つを、単独でまたは組み合わせて含み得る。
【0035】
ターゲット厚さ変更は、ターゲット厚さ分布202、203、または302が形成することを可能にするベース基板厚さ分布の変更を決定するために利用される。ターゲット厚さ変更を決定することは、必要に応じてターゲット厚さ分布202、203、または302を形成するように相応に調節されることになる工程404のプロセスを提供する。図2A図3Cは、基板200、300のベース基板206、306中に形成されたターゲット厚さ分布202、203および302を示す。図2A図3Cの基板200、300は、図1Bに示されている導波管101に対応する。図2A図3Cの200、300は、図2A図3Cに示されている導波管101および非アクティブエリア214、314にも対応する。
【0036】
図2A図3Cに示されているターゲット厚さ分布202、203、および302は、方法400のターゲット厚さ変更を利用することの結果である。ターゲット厚さ分布202、203、または302は、各導波管101において形成され得る。したがって、各導波管101における基板100にわたるターゲット厚さ分布202、203、または302は、導波管101に関連する構成可能なベースの1つまたは複数の使用である。ターゲット厚さ分布202、203、または302を有する各導波管101は、その上に形成されることになる装置における低減された変動性を可能にすることになる。
【0037】
随意の工程406において、格子が基板100、200、300上に形成され得る。いくつかの実施形態では、格子は、図1の格子構造102と、図2A図3Cについての格子構造218、318とを含み得る。格子構造102、218、316は、基板100、200、300内にまたは基板100、200、300の上に、垂直方向にまたは対角線方向に形成され得る。格子構造102、218、318は、ベース基板206、306の上側面212、312の上に、屈折率整合層の上面217、317の上に、屈折率整合層106の底面216、317の上に、および/またはベース基板206の底面213、313の上に配設され得る。格子構造102、218、316は、瞳拡大格子、入力カプラ格子、出力カプラ格子などを含む、少なくとも1つの格子の一部であり得る。
【0038】
上記は本開示の実施形態を対象とするが、本開示の他のおよびさらなる実施形態がその基本的範囲から逸脱することなく考案され得、その範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1A-1B】
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
【手続補正書】
【提出日】2025-08-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波管であって、
導波管基板であって、前記導波管が基板厚さ分布を有する、導波管基板と、
前記導波管基板上に配設された第1の面と前記第1の面の反対側にある第2の面とを有する屈折率整合層と
を備え、
前記屈折率整合層が前記導波管基板の一部分の上に配設され、
前記屈折率整合層の第2の面のデバイス傾斜が、前記導波管の第1の面の導波管傾斜と実質的に同じである、導波管。
【請求項2】
前記導波管が、前記屈折率整合層中の格子構造を有する少なくとも1つの格子をさらに備える、請求項1に記載の導波管。
【請求項3】
前記導波管が、前記導波管基板の底面の上に配設された格子構造を有する少なくとも1つの格子をさらに備える、請求項1に記載の導波管。
【請求項4】
前記導波管が、前記屈折率整合層の上に配設された格子構造を有する少なくとも1つの格子をさらに備える、請求項1に記載の導波管。
【請求項5】
前記少なくとも1つの格子が瞳拡大格子である、請求項4に記載の導波管。
【請求項6】
前記屈折率整合層の屈折率が、前記導波管基板の屈折率の5%以内である、請求項1に記載の導波管。
【請求項7】
前記屈折率が、前記導波管基板の屈折率の約5パーセント以内である、請求項1に記載の導波管。
【請求項8】
前記導波管が、格子に実質的に隣接する前記導波管の前記第1の面上に配設された非アクティブエリアをさらに含む、請求項1に記載の導波管。
【請求項9】
導波管であって、
波管基板と、
屈折率整合層であって、
前記導波管基板の第1の面上に配設された第1の面と、
前記屈折率整合層の前記第1の面の反対側にある第2の面と
を有する屈折率整合層と
を備え、
前記屈折率整合層が前記導波管基板の一部分の上に配設され、
前記導波管基板の前記第1の面の傾斜が、前記一部分にわたって連続的に変動させられ、
前記屈折率整合層の厚さが、前記一部分にわたる前記屈折率整合層と前記導波管基板とのターゲット厚さを達成するために変動させられる、導波管。
【請求項10】
前記導波管が、前記屈折率整合層中の格子構造を有する少なくとも1つの格子をさらに備える、請求項9に記載の導波管。
【請求項11】
前記導波管が、前記導波管基板の第2の面の上に配設された格子構造を有する少なくとも1つの格子をさらに備え、前記導波管基板の前記第2の面が前記導波管基板の前記第1の面の反対側にある、請求項9に記載の導波管。
【請求項12】
前記導波管が、前記屈折率整合層の上に配設された格子構造を有する少なくとも1つの格子をさらに備える、請求項9に記載の導波管。
【請求項13】
前記少なくとも1つの格子が瞳拡大格子である、請求項11に記載の導波管。
【請求項14】
前記屈折率整合層の屈折率が、前記導波管基板の折率の5%以内である、請求項13に記載の導波管。
【請求項15】
前記屈折率整合層の屈折率が、前記導波管基板の屈折率の約5以内である、請求項9に記載の導波管。
【請求項16】
前記導波管が、前記少なくとも1つの格子に実質的に隣接する前記導波管の第1の面上に配設された非アクティブエリアをさらに含む、請求項11に記載の導波管。
【請求項17】
導波管を形成するための方法であって、前記方法は、
導波管基板を測定することであって、前記導波管が基板厚さ分布を有する、導波管基板を測定することと、
前記導波管の面上に屈折率整合層を堆積させることであって、前記屈折率整合層が、前記導波管基板上に配設された第1の面と前記第1の面の反対側にある第2の面とを有する、屈折率整合層を堆積させることと
を含み、
前記屈折率整合層が前記導波管基板の一部分の上にのみ配設され、
前記屈折率整合層の第2の面のデバイス傾斜が、前記導波管の第1の面の導波管傾斜と実質的に同じである、方法。
【請求項18】
前記方法が、前記屈折率整合層中の格子構造を有する少なくとも1つの格子を形成することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記方法が、前記導波管基板の底面の上に配設された格子構造を有する少なくとも1つの格子を形成することをさらに含む、請求項17に記載の方法
【請求項20】
前記方法が、前記屈折率整合層の上に配設された格子構造を有する少なくとも1つの格子を形成することをさらに含む、請求項17に記載の方法
【国際調査報告】