(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
本発明が解決しようとする課題は、支持体からなる層と、導電性物質を含む導電層と、めっき層との各界面における密着性に優れた導電性パターン等の積層体を提供することである。本発明は、少なくとも、支持体層(I)と、導電層(II)と、めっき層(III)とを有する積層体であって、前記導電層(II)が酸化された表面を有し、かつ、前記めっき層(III)が、前記導電層(II)の酸化された表面に積層されたものであることを特徴とする積層体、導電性パターン及び電気回路に関するものである。
少なくとも、支持体層(I)と、導電層(II)と、めっき層(III)とを有する積層体であって、前記導電層(II)が酸化された表面を有し、かつ、前記めっき層(III)が、前記導電層(II)の酸化された表面に積層されたものであることを特徴とする積層体。
支持体層(I)と導電性物質を含有する層(II’)とがプライマー層(X)を介して積層した基体の前記層(II’)の表面に、コロナ放電処理を施すことによって、その表面が酸化された導電層(II)を形成し、次いで、前記導電層(II)の酸化された表面に電解めっき処理を施すことによって、前記導電層(II)の酸化された表面にめっき層(III)を積層することを特徴とする積層体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の積層体は、少なくとも、支持体層(I)と、導電層(II)と、めっき層(III)とを有する積層体であって、前記導電層(II)が酸化された表面を有し、かつ、前記めっき層(III)が、前記導電層(II)の酸化された表面に積層されたものであることを特徴とする積層体である。前記積層体は、例えば導電性パターン、電気回路等に好適に使用可能である。
【0014】
はじめに、本発明の積層体を構成する支持体層(I)について説明する。
本発明の積層体を構成する支持体層(I)は、積層体を支える支持体からなる層である。前記支持体層(I)としては、支持体に使用可能なものとして後述したものと同様のものを使用することができ、樹脂からなる層であることが好ましい。
【0015】
前記支持体層(I)は、1μm〜5,000μm程度の厚さであることが好ましく、1μm〜300μm程度の厚さであることがより好ましい。前記積層体として比較的柔軟なものが求められる場合には、1μm〜200μm程度の厚さのものを使用することが好ましい。前記支持体層(I)の厚さは、使用する支持体を選択することによって調整することができる。
【0016】
次に、本発明の積層体を構成する導電層(II)について説明する。
前記導電層(II)は、主として導電性物質によって構成される層である。
前記導電層(II)としては、例えば前記導電性物質として遷移金属またはその化合物を含有する層が挙げられ、なかでもイオン性の遷移金属を含有する層であることがが好ましく、銅、銀、金、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト等の遷移金属を含有する層であることがより好ましく、銅、銀、金等を含有する層であることが、電気抵抗が低く、腐食に強い導電性パターン等の積層体を形成するうえでさらに好ましい。
【0017】
前記導電層(II)を構成する導電性物質は、導電性インク、めっき核剤等の流動体に含まれるものであることが好ましい。また、前記導電層(II)は、前記のとおり主として前記導電性物質によって構成されるが、前記流動体中に含まれる溶媒及び添加剤等が、前記導電層(II)中に残存していてもよい。
【0018】
また、本発明の積層体は、単に前記支持体層(I)と導電層(II)とめっき層(III)とが積層されたものではなく、前記めっき層(III)と接する前記導電層(II)の表面の一部または全部が、酸化されていることを特徴とする。
【0019】
ここで、前記酸化は、前記導電層(II)に含まれる導電性物質が酸素と結合し酸化物を形成することを指すとともに、前記導電性物質の価数が増加する場合を含む。
【0020】
したがって、前記導電層(II)の酸化された表面としては、例えば、前記導電層(II)に含まれる導電性物質として銀を使用した場合であれば、酸化銀によって形成された表面や、前記銀が水酸基等と結合し、その価数が0から+1に増加した物質からなる表面が挙げられる。
【0021】
前記導電層(II)としては、前記めっき層(III)と接する表面が酸化されていればよく、前記めっき層(II)と接触しない部分は、酸化されていないことが好ましい。
【0022】
前記導電層(II)の酸化された表面は、その抵抗値が0.1Ω/□〜50Ω/□の範囲であることが好ましく、0.2Ω/□〜30Ω/□の範囲であることが、前記めっき層(III)との優れた密着性を付与するうえで好ましい。
【0023】
前記導電層(II)は、前記支持体層(I)の一部または全部の表面に直接、積層されていてもよいが、前記支持体層(I)の一部または全部の表面に、後述するプライマー層(X)を介して積層されていることが、より一層密着性に優れた積層体を得るうえで好ましい。
【0024】
また、前記導電層(II)は、前記支持体層(I)または前記プライマー層(X)の一部または全部に設けられてもよく、その片面または両面に設けられてもよい。例えば、前記積層体としては、前記支持体層(I)または前記プライマー層(X)の全面に前記導電層(II)を有するものであってもよく、また、支持体層(I)または前記プライマー層(X)の表面のうち、必要な部分にのみ、前記導電層(II)が設けられていてもよい。前記支持体層(I)または前記プライマー層(X)の表面のうち必要な部分にのみ設けられた導電層(II)としては、線状に画線することによって形成された線状の層が挙げられる。前記導電層(II)として線状の層を有する積層体は、導電性パターン、電気回路等を製造する際に好適である。
【0025】
前記線状の層の幅(線幅)は、概ね0.01μm〜200μm程度、好ましくは0.01μm〜150μm程度であることが、導電性パターンの高密度化等を図るうえで好ましい。
【0026】
本発明の積層体を構成する導電層(II)は、10nm〜10μmの範囲の厚さのものを使用することができる。前記導電層(II)と前記めっき層(III)の密着性は、前記導電層(II)の厚さが好ましくは10nm〜1μmの範囲である場合により一層向上し、より好ましくは10nm〜300nmである場合にさらに向上する。前記導電層(II)の厚さは、前記導電層(II)の形成に使用可能な、導電性物質を含有する流動体の塗布量等を制御することによって調整することができる。前記導電層(II)が細線状のものである場合、その厚さ(高さ)は10nm〜1μmの範囲であることが好ましい。
【0027】
本発明の積層体を構成するめっき層(III)は、例えば前記積層体を導電性パターン等に使用する場合に、長期間にわたり断線等を引き起こすことなく、良好な通電性を維持可能な信頼性の高い配線パターンを形成することを目的として設けられる層である。
【0028】
前記めっき層(III)は、例えば、銅、ニッケル、クロム、コバルト、スズ等の金属からなる層であることが好ましく、銅からなるめっき層であることがより好ましい。
【0029】
前記めっき層(III)は、1μm〜50μmの範囲の厚さのものを使用することができる。前記めっき層(III)の厚さは、前記めっき層(III)の形成する際のめっき処理工程における処理時間、電流密度、めっき用添加剤の使用量等を制御することによって調整することができる。
【0030】
また、本発明の積層体は、前記支持体層(I)と導電層(II)との密着性をより一層向上するとともに、前記導電層(II)として線状の層(配線パターン等)を設ける場合の細線化を図るうえで、前記支持体層(I)と前記導電層(II)との間にプライマー層(X)を有していることが好ましい。
【0031】
本発明のように、前記導電層(II)として酸化された表面を有するものを使用し、かかる表面にめっき層を積層する方法によれば、前記プライマー層(X)の劣化等を引き起こすことなく、支持体層(I)とプライマー層(X)と導電層(II)とめっき層(III)との密着性に優れた積層体を製造することができる。
【0032】
前記プライマー層(X)は、前記支持体層(I)の表面の一部または全部に設けられてもよく、その片面または両面に設けられてもよい。例えば前記積層体としては、支持体層(I)の表面の全面にプライマー層(X)を有し、そのプライマー層(X)のうち必要な部分にのみ、前記導電層(II)を有するものを使用することもできる。また、支持体層(I)の表面のうち、前記導電層(II)が設けられる部分にのみ、前記プライマー層(X)が設けられた積層体も使用することができる。
【0033】
前記プライマー層(X)は、本発明の積層体の使用する用途等によって異なるが、前記支持体層(I)と前記導電層(II)の密着性をより一層向上するうえで概ね10nm〜300μmの厚さであることが好ましく、なかでも10nm〜500nmがより好ましい。
【0034】
次に、本発明の積層体の製造方法について説明する。
本発明の積層体は、例えば前記支持体層(I)を構成する支持体の表面の一部または全部に、導電性物質を含有する流動体を塗布し、焼成することによって、前記導電性物質を含有する層(II’)を形成する工程[1]、及び、前記前記導電性物質を含有する層(II’)の表面の一部または全部を酸化させ、次いで、その酸化された表面をめっき処理することによって、前記導電層(II)の酸化された表面に積層されためっき層(III)を形成する工程[2]を経ることによって製造することができる。
【0035】
はじめに、前記工程[1]について説明する。
前記工程[1]は、前記支持体の表面の一部または全部に、導電性物質を含有する流動体を塗布し、焼成することによって、前記導電性物質を含有する層(II’)を形成する工程である。前記流動体は、前記支持体の表面に直接、塗布してもよい。また、前記流動体は、前記支持体の表面に必要に応じて設けられた前記プライマー層(X)の表面の一部または全部に塗布してもよい。
【0036】
また、前記支持体層(I)の表面には、プライマー層(X)との密着性を向上させるべく、微細な凹凸の形成、その表面に付着した汚れの洗浄、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基等の官能基の導入のための表面処理等が施されていてもよい。具体的にはコロナ放電処理等のプラズマ放電処理、紫外線処理等の乾式処理、水、酸・アルカリ等の水溶液または有機溶剤等を用いる湿式処理等が施されていてもよい。
【0037】
前記支持体の表面(支持体層(I)の表面)に前記流動体を塗布する方法としては、例えばインクジェット印刷法、反転印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ダイコート法、スリットコート法、ロールコート法、ディップコート法等が挙げられる。
【0038】
なかでも、前記流動体を用いて、電子回路等の高密度化を実現する際に求められる0.01μm〜100μm程度の細線状の、前記導電性物質を含有する層(II’)を形成する場合には、インクジェット印刷法、反転印刷法によって前記流動体を塗布することが好ましい。
【0039】
前記インクジェット印刷法としては、一般にインクジェットプリンターといわれるものを使用することができる。具体的には、コニカミノルタEB100、XY100(コニカミノルタIJ株式会社製)、ダイマティックス・マテリアルプリンターDMP−3000、ダイマティックス・マテリアルプリンターDMP-2831(富士フィルム株式会社製)等が挙げられる。
【0040】
また、反転印刷法としては、凸版反転印刷法、凹版反転印刷法が知られており、例えば各種ブランケットの表面に前記流動体を塗布し、非画線部が突出した版と接触させ、前記非画線部に対応する流動体を前記版の表面に選択的に転写させることによって、前記ブランケット等の表面に前記パターンを形成し、次いで、前記パターンを、前記支持体層(I)の表面または前記プライマー層(X)の表面に転写させる方法が挙げられる。
【0041】
前記流動体を塗布した後に行う焼成工程は、前記流動体中に含まれる金属等の導電性物質間を密着し接合することで導電性を備えた層(II’)を形成することを目的として行う。前記焼成は、概ね80℃〜300℃の範囲で、2分〜200分程度行うことが好ましい。前記焼成は大気中で行っても良いが、前記金属等の導電性物質の全てが酸化することを防止するうえで、焼成工程の一部または全部を還元雰囲気下で行っても良い。
【0042】
また、前記焼成工程は、例えばオーブン、熱風式乾燥炉、赤外線乾燥炉、レーザー照射、マイクロウェーブ等を用いて行うことができる。
【0043】
また、前記工程[1]で使用する支持体としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等のアクリル樹脂;ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、セルロースナノファイバー、シリコン、セラミックス、ガラス、ガラス・エポキシ、ガラスポリイミド、紙フェノール等からなる支持体、それらからなる多孔質の支持体等を使用することができる。
【0044】
前記支持体としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維等の合成繊維;綿、麻等の天然繊維等からなる基材を使用することもできる。前記繊維には、予め加工が施されていてもよい。
【0045】
前記支持体としては、一般に、回路基板等の導電性パターンを形成する際の支持体として使用されることの多い、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ガラス、ガラスエポキシ樹脂、ガラスポリイミド樹脂、紙フェノール、セルロースナノファイバー、アルミナ基板、ムライト基板、ステアタイト基板、フォルステライト基板、ジルコニア基板等からなる支持体を使用することが好ましい。
【0046】
前記支持体としては、本発明の導電性パターン等の積層体が柔軟性の求められる用途等に使用される場合、比較的柔軟で折り曲げ等が可能な支持体を使用することが、導電性パターンに柔軟性を付与し、折り曲げ可能な最終製品を得るうえで好ましい。具体的には、一軸延伸等することによって形成されたフィルムまたはシート状の支持体を使用することが好ましい。
【0047】
前記フィルムまたはシート状の支持体としては、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等を使用することが好ましい。
【0048】
前記支持体としては、導電性パターン、それの使用される最終製品の軽量化及び薄型化を実現するうえで、1μm〜5,000μm程度の厚さのものを使用することが好ましく、1μm〜300μm程度の厚さであることがより好ましい。前記積層体として比較的柔軟なものが求められる場合には、1μm〜200μm程度の厚さのものを使用することが好ましい。
【0049】
また、前記工程[1]で使用する、前記導電性物質を含有する層(II’)の形成に使用可能な前記流動体としては、前記層(II’)を形成する導電性物質と、必要に応じて溶媒、添加剤を含有するものであって、一般に導電性インク、めっき核剤として知られるものを使用することができる。
【0050】
前記導電性物質としては、例えば遷移金属またはその化合物を使用することができる。なかでもイオン性の遷移金属を使用することが好ましく、銅、銀、金、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト等の遷移金属を使用することが好ましく、銅、銀、金等を使用することが、電気抵抗が低く、腐食に強い導電性パターンを形成できるためより好ましく、銀を使用することがさらに好ましい。
【0051】
また、前記流動体をめっき核剤に使用する場合、前記導電性物質として前記したような遷移金属からなる金属粒子、それが前記遷移金属の酸化物またはその有機物によって表面被覆されたものを1種類以上使用することができる。
【0052】
なお、前記遷移金属の酸化物は、通常、不活性(絶縁)な状態であるため、それを含有する流動体を、単に支持体の表面に塗布等しても、導電性を示さない場合が多い。そのため、前記酸化物を含有する流動体を前記支持体の表面に塗布等した場合には、その表面を、ジメチルアミノボラン等の還元剤を用いて処理することによって、遷移金属が露出し活性(導電性)を備えた導電層(II)を形成することが可能となる。
【0053】
また、前記有機物によって表面被覆された金属としては、乳化重合法等によって形成した樹脂粒子(有機物)中に金属を内在させたものが挙げられる。これらは、前記遷移金属の酸化物と同様に、通常、不活性(絶縁)な状態であるため、それを含有する流動体を、単に支持体の表面に塗布等しても、導電性を示さない場合が多い。そのため、前記有機物によって表面被覆された金属を含有する流動体を前記支持体の表面に塗布等した場合には、その表面にレーザー等を照射し、前記有機物を除去することによって、遷移金属が露出し活性(導電性)を備えた導電層(II)を形成することが可能となる。
【0054】
前記導電性物質としては、概ね1nm〜100nm程度の平均粒子径を有する粒子状のものを使用することが好ましく、1nm〜50nmの平均粒子径を有するものを使用することが、マイクロメータオーダーの平均粒子径を有する導電性物質を用いる場合と比較して、微細な導電性パターンを形成でき、焼成後の抵抗値をより低減できるため、より好ましい。なお、前記「平均粒子径」は、前記導電性物質を分散良溶媒にて希釈し、動的光散乱法により測定した体積平均値である。この測定にはマイクロトラック社製ナノトラックUPA−150を用いることができる。
【0055】
前記導電性物質は、本発明で使用する流動体の全量に対して、5質量%〜90質量%の範囲で含まれる流動体を使用することが好ましく、10質量%〜60質量%の範囲で含まれる流動体を使用することがより好ましい。
【0056】
また、前記流動体は、塗布のしやすさ等を向上する観点から溶媒を含有するものが好ましい。前記溶媒としては、有機溶剤や水性媒体を使用することができる。
【0057】
前記溶媒としては、例えば蒸留水、イオン交換水、純水、超純水等の水性媒体をはじめ、アルコール、エーテル、エステル及びケトン等の有機溶剤を使用することができる。
【0058】
前記アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ヘプタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ステアリルアルコール、アリルアルコール、シクロヘキサノール、テルピネオール、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等を使用することができる。
【0059】
また、前記流動体としては、前記導電性物質、溶媒の他に、必要に応じてエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、イソプレングリコール等を含有するものを使用してもよい。
【0060】
前記流動体としては、25℃におけるB型粘度計で測定した粘度が0.1mPa・s〜500,000mPa・s、好ましくは0.5mPa・s〜10,000mPa・sである液状または粘稠液状のものを使用することが好ましい。前記流動体を、前記インクジェット印刷法、凸版反転印刷等の方法によって塗布(印刷)する場合には、その粘度が概ね5mPa・s〜20mPa・sの範囲のものを使用することが好ましい。
【0061】
また、本発明の積層体を構成する前記支持体層(I)と前記導電層(II)との密着性をより一層向上することを目的として、前記支持体層(I)と導電層(II)との間に、プライマー層(X)を設けることができる。
【0062】
前記プライマー層(X)は、前記支持体の表面の一部または全部にプライマーを塗布し、前記プライマー中に含まれる水性媒体、有機溶剤等の溶媒を除去することによって形成することができる。
【0063】
前記プライマーを前記支持体の表面に塗布する方法としては、例えばグラビア方式、コーティング方式、スクリーン方式、ローラー方式、ロータリー方式、スプレー方式等の方法が挙げられる。
【0064】
前記プライマー層(X)の表面は、前記支持体層(II)との密着性をより一層向上することを目的として、例えばコロナ放電処理法等のプラズマ放電処理法、紫外線処理法等の乾式処理法、水、酸性またはアルカリ性薬液、有機溶剤等を用いた湿式処理法によって、表面処理されていてもよい。
【0065】
前記プライマーを支持体の表面に塗布した後、その塗布層に含まれる溶媒を除去する方法としては、例えば乾燥機を用いて乾燥させ、前記溶媒を揮発させる方法が一般的である。乾燥温度としては、前記溶媒を揮発させることが可能で、かつ支持体に悪影響を与えない範囲の温度に設定すればよい。
【0066】
支持体の表面への前記プライマーの塗布量は、優れた密着性と導電性を付与する観点から、支持体の面積に対して0.01g/m
2〜60g/m
2の範囲であることが好ましく、前記流動体中に含まれる溶媒の吸収性と製造コストを勘案すると0.1g/m
2〜10g/m
2の範囲であることがより好ましい。
【0067】
前記プライマー層(X)の製造に使用可能なプライマーとしては、各種樹脂と溶媒とを含有するものを使用することができる。
【0068】
前記樹脂としては、例えばウレタン樹脂、ビニル樹脂、ウレタン−ビニル複合樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、アミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等を使用することができる。
【0069】
前記樹脂としては、なかでもウレタン樹脂、ビニル樹脂、ウレタン−ビニル複合樹脂を使用することが好ましく、ポリエーテル構造を有するウレタン樹脂、ポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂、ポリエステル構造を有するウレタン樹脂、アクリル樹脂、及び、ウレタン−アクリル複合樹脂からなる群より選ばれる1種以上の樹脂を使用することがより好ましく、ウレタン−アクリル複合樹脂を使用することが、密着性、導電性、細線性に優れた導電性パターン等の積層体を得るうえでさらに好ましい。
【0070】
前記プライマーに使用する樹脂としては、各種支持体への密着性をより一層向上する観点から、親水性基を有する樹脂を使用することが好ましい。前記親水性基としては、例えば一部または全部が塩基性化合物によって中和され形成したカルボキシレート基、スルホネート基等のアニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基が挙げられ、アニオン性基であることが好ましい。
【0071】
また、前記樹脂は、必要に応じてアルコキシシリル基、シラノール基、水酸基、アミノ基等の架橋性官能基を有していてもよい。したがって、前記プライマー層(X)は、前記流動体が塗布される前に、すでに架橋構造を形成していてもよく、また、前記流動体が塗布された後、例えば焼成工程等を経ることによって架橋構造を形成してもよい。
【0072】
前記プライマーに使用可能なウレタン−アクリル複合樹脂としては、ウレタン樹脂とアクリル重合体とが複合樹脂粒子を形成し水性媒体中に分散等できるものを使用することが好ましい。
【0073】
前記複合樹脂粒子は、具体的には、前記ウレタン樹脂が形成する樹脂粒子内に前記(メタ)アクリル重合体の一部または全部が内在したものが挙げられる。その際、前記(メタ)アクリル重合体は、コア層としての前記アクリル樹脂と、シェル層としての前記親水性基を有するウレタン樹脂とから構成されるコア・シェル型の複合樹脂粒子を形成することが好ましい。特に導電性パターンを形成する際においては、電気特性を低下させうる界面活性剤等を使用する必要がない前記コア・シェル型の複合樹脂粒子を使用することが好ましい。なお、前記複合樹脂粒子としては、前記アクリル樹脂が前記ウレタン樹脂によってほぼ完全に覆われていることが好ましいが、必須ではなく、本発明の効果を損なわない範囲で、前記アクリル樹脂の一部が前記複合樹脂粒子の最外部に存在してもよい。前記ウレタン樹脂と前記アクリル樹脂とは、共有結合を形成していてもよいが、結合を形成していないことが好ましい。
【0074】
また、前記複合樹脂粒子は、良好な水分散安定性を維持する観点から、5nm〜100nmの範囲の平均粒子径であることが好ましい。ここで言う平均粒子径とは、後述する実施例でも述べるが、動的光散乱法により測定した体積基準での平均粒子径を指す。
【0075】
前記ウレタン−アクリル複合樹脂としては、前記ウレタン樹脂と前記アクリル樹脂とを、[ウレタン樹脂/アクリル樹脂]=90/10〜10/90の範囲で含有するものを使用することが好ましく、70/30〜10/90の範囲で含有するものを使用することがより好ましい。
【0076】
前記ウレタン−アクリル複合樹脂の製造に使用可能なウレタン樹脂としては、各種ポリオールとポリイソシアネートと、必要に応じて鎖伸長剤等とを反応することによって得られるものを使用することができる。
【0077】
前記ポリオールとしては、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等を使用することができる。
【0078】
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られる脂肪族ポリエステルポリオール、芳香族ポリエステルポリオール、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステル、これらの共重合ポリエステル等を使用することができる。
【0079】
前記低分子量のポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコ−ル、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等を使用することができる。
【0080】
また、前記ポリカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等の芳香族ポリカルボン酸、及びこれらの無水物またはエステル化物等を使用することができる。
【0081】
また、前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば活性水素原子を2個以上有する化合物の1種または2種以上を開始剤として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものを使用することができる。
【0082】
前記開始剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールAD等を使用することができる。
【0083】
また、前記アルキレンオキサイドとしては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン等を使用することができる。
【0084】
また、前記ポリエステルエーテルポリオールとしては、例えば前記開始剤に前記アルキレンオキサイドが付加したポリエーテルポリオールと、ポリカルボン酸とが反応したものを使用することができる。前記開始剤、前記アルキレンオキサイドとしては、前記ポリエーテルポリオールを製造する際に使用可能なものとして例示したものと同様のものを使用することができる。また、前記ポリカルボン酸としては、前記ポリエステルポリオールを製造する際に使用可能なものとして例示したものと同様のものを使用することができる。
【0085】
また、前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば炭酸エステルとポリオールとを反応させて得られるもの、ホスゲンとビスフェノールA等とを反応させて得られるものを使用することができる。
【0086】
前記炭酸エステルとしては、メチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネ−ト等を使用することできる。
【0087】
前記炭酸エステルと反応しうるポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F、4,4’−ビフェノール等の比較的低分子量のジヒドロキシ化合物;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール;ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオール等を使用することができる。
【0088】
また、前記ポリオールとしては、ウレタン樹脂に親水性基を導入する観点から、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、5[4−スルホフェノキシ]イソフタル酸等を使用することができる。
【0089】
前記ポリイソシアネートとしては、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族構造を有するポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族環式構造を有するポリイソシアネートを使用することができる。なかでも、脂肪族環式構造を有するポリイソシアネートを使用することが好ましい。
【0090】
また、前記鎖伸長剤としては、例えばエチレンジアミン、ピペラジン、イソホロンジアミン等の従来知られるものを使用することができる。
【0091】
また、前記ウレタン−アクリル複合樹脂の製造に使用可能なアクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸メチルをはじめとする各種(メタ)アクリル単量体を重合して得られるものを使用することができる。
【0092】
前記(メタ)アクリル単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを使用することができる。
【0093】
前記したなかでも、メタクリル酸メチルは、電子回路等の導電性パターンを形成する際に求められる、概ね0.01μm〜200μm程度、好ましくは0.01μm〜150μm程度の幅からなる細線を、にじみを引き起こすことなく印刷すること(細線性の向上)を可能にするうえで、使用することが好ましい。
【0094】
また、前記メタクリル酸メチルとともに、炭素原子数2個〜12個のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを使用することが好ましく、炭素原子数3個〜8個のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルを使用することがより好ましく、アクリル酸n−ブチルを使用することが、印刷性に優れた印刷物を得るうえで好ましい。また、導電性インクを用いた場合であっても、にじみ等がなく細線性に優れた導電性パターンを形成するうえで、特に好ましい。
【0095】
また、前記(メタ)アクリル単量体としては、前記アクリル樹脂にメチロールアミド基及びアルコキシメチルアミド基からなる群より選ばれる1種以上のアミド基等の前記架橋性官能基を導入し、より一層の密着性等の向上を図るうえで、架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体を使用することができる。
【0096】
架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体としては、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミドを使用することが、細線性、密着性に優れた導電性パターン等の積層体を得るうえで好ましい。
【0097】
前記ウレタン−アクリル複合樹脂は、例えば、前記したポリオールとポリイソシアネートと必要に応じて鎖伸長剤とを反応させ、水分散化することによってウレタン樹脂の水分散体を製造する工程、及び、前記水分散体中で前記(メタ)アクリル単量体を重合しアクリル樹脂を製造する工程により製造することができる。
【0098】
具体的には、無溶剤下または有機溶剤下または(メタ)アクリル単量体等の反応性希釈剤の存在下で、前記ポリイソシアネートとポリオールとを反応させることによってウレタン樹脂を得、次いで、前記ウレタン樹脂の有する親水性基の一部または全部を、必要に応じて塩基性化合物等を用いて中和し、必要に応じて、更に鎖伸長剤と反応させ、それを水性媒体中に分散させることによって、ウレタン樹脂の水分散体を製造する。
【0099】
次いで、前記で得たウレタン樹脂の水分散体中に、前記(メタ)アクリル単量体を供給し、前記ウレタン樹脂粒子内で前記(メタ)アクリル単量体をラジカル重合させアクリル樹脂を製造する。また、前記ウレタン樹脂の製造を(メタ)アクリル単量体の存在下で行った場合には、前記ウレタン樹脂の製造後、重合開始剤等を供給することによって、前記(メタ)アクリル単量体をラジカル重合させアクリル樹脂を製造する。
【0100】
これにより、前記ウレタン樹脂粒子中に前記アクリル樹脂の一部または全部が内在した複合樹脂粒子が、水性媒体に分散したプライマーを製造することができる。
【0101】
また、前記プライマーに使用可能なポリエーテル構造を有するウレタン樹脂、ポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂、ポリエステル構造を有するウレタン樹脂等のウレタン樹脂は、前記ウレタン−アクリル複合樹脂の説明で記載したものと同様のポリオール、従来知られるポリカーボネートポリオール等のポリオールと、前記と同様のポリイソシアネート、鎖伸長剤等とを用い反応させることによって得られるウレタン樹脂を使用することができる。その際、前記ポリオールとして前記ポリエーテルポリオール、従来知られるポリカーボネートポリオール、脂肪族ポリエステルポリオール等を適宜選択することによって、前記所望の構造を備えたウレタン樹脂を製造することができる。
【0102】
また、前記プライマーに使用可能なアクリル樹脂としては、前記ウレタン−アクリル複合樹脂の説明で記載した(メタ)アクリル単量体と同様のものを重合して得られるアクリル樹脂を使用することができる。
【0103】
前記プライマーとしては、前記プライマー全体に対して前記樹脂を10質量%〜70質量%含有するものを使用することが、塗布のしやすさ等を維持するうえで好ましく、10質量%〜50質量%含有するものを使用することがより好ましい。
【0104】
また、前記プライマーに使用可能な溶媒としては、各種有機溶剤、水性媒体を使用することができる。
【0105】
前記有機溶剤としては、例えばトルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等を使用することができる。また、前記水性媒体としては、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。
【0106】
水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル;N−メチル-2-ピロリドン等のラクタム等が挙げられる。
【0107】
前記プライマーとしては、前記プライマー全体に対して前記溶媒を25質量%〜85質量含有するものを使用することが、塗布のしやすさ等を維持するうえで好ましく、45質量%〜85質量%含有するものを使用することがより好ましい。
【0108】
前記プライマーは、必要に応じて、架橋剤をはじめ、pH調整剤、皮膜形成助剤、レベリング剤、増粘剤、撥水剤、消泡剤等公知のものを適宜添加して使用してもよい。
【0109】
前記架橋剤は、前記流動体が塗布される前に、すでに架橋構造を形成していたプライマー層(X)、前記流動体が塗布された後、例えば焼成工程等における加熱によって架橋構造を形成しうるプライマー層(X)を形成することができる。
【0110】
前記架橋剤としては、例えば金属キレート化合物、ポリアミン化合物、アジリジン化合物、金属塩基化合物、イソシアネート化合物等の、概ね25℃〜100℃未満の比較的低温で反応し架橋構造を形成しうる熱架橋剤、メラミン系化合物、エポキシ系化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、及び、ブロックイソシアネート化合物からなる群より選ばれる1種以上等の概ね100℃以上の比較的高温で反応し架橋構造を形成しうる熱架橋剤、各種光架橋剤を使用することができる。
【0111】
前記架橋剤は、種類等によって異なるものの、通常、前記プライマーに含まれる樹脂の合計質量100質量部に対して0.01質量%〜60質量%の範囲で使用することが好ましく、0.1質量%〜10質量%の範囲で使用することがより好ましく、0.1質量%〜5質量%の範囲で使用することが、密着性、導電性に優れ、かつ、前記耐久性に優れた導電性パターンを形成できるため好ましい。
【0112】
以上のような支持体、導電性物質を含有する流動体、及び、プライマー等を用い工程[1]を経ることによって、前記支持体層(I)と、前記導電性物質を含有する層(II’)と、必要に応じてそれら層の間にプライマー層(X)を備えた基体を得ることができる。
【0113】
次に、前記工程[2]について説明する。
前記工程[2]は、前記導電性物質を含有する層(II’)のうち、前記めっき層(III)と接触する表面を酸化処理することによって、酸化された表面を備えた導電層(II)を形成し、その表面をめっき処理することによって、前記導電層(II)の酸化された表面にめっき層(III)を積層する工程である。
【0114】
具体的には、工程[2]は、前記工程[1]で得た前記基体を構成する層(II’)の表面をコロナ処理等のプラズマ放電処理する工程、及び、そのプラズマ放電処理された表面をめっき処理する工程とによって構成される。
【0115】
前記プラズマ放電処理法は、特に限定されるものではなく、例えばコロナ放電処理法等の常圧プラズマ放電処理法、真空または減圧下で行うグロー放電処理法及びアーク放電処理法等の真空プラズマ放電処理法によってなされる処理法が挙げられる。
【0116】
前記常圧プラズマ放電処理法としては、酸素濃度が概ね0.1質量%〜25質量%程度の雰囲気下でプラズマ放電処理する方法である。本発明では、とりわけ前記プラズマ放電処理を好ましくは10質量%〜22質量%の範囲、より好ましくは空気中(酸素濃度が約21質量%)で行うコロナ放電処理法を採用することが、優れた密着性を付与するうえで好ましい。
【0117】
また、前記常圧プラズマ放電処理法は、前記酸素とともに不活性ガスを含む環境下で行うことが、前記導電層(II)の表面に過剰な凹凸を付与することなく、より一層優れた密着性を付与できるため好ましい。前記不活性ガスとしては、アルゴン、窒素等を使用することができる。
【0118】
前記常圧プラズマ放電処理法によって処理する際には、例えば、積水化学工業株式会社製の常圧プラズマ処理装置(AP−T01)等を使用することができる。
【0119】
前記常圧プラズマ放電処理法によって処理する際には、空気等のガスの流量として、概ね5リットル/分〜50リットル/分の範囲で行うことが好ましい。また、出力としては、概ね50W〜500Wの範囲であることが好ましい。また、プラズマによって処理する時間は、概ね1秒〜500秒の範囲であることが好ましい。
【0120】
前記常圧プラズマ放電処理法としては、具体的には、前記コロナ放電処理法を採用することが好ましい。前記コロナ放電処理法を採用する場合には、例えば、春日電機株式会社製のコロナ表面改質評価装置(TEC−4AX)等を使用することができる。
【0121】
前記コロナ放電処理法によって処理する際には、出力として、概ね5W〜300Wの範囲で行うことが好ましい。また、コロナ放電処理する時間は、概ね0.5秒〜600秒の範囲であることが好ましい。
【0122】
前記前記コロナ放電処理等のプラズマ放電処理は、かかる処理によって前記導電層(II)の表面に凹凸が形成されない程度の条件で行うことが好ましい。
【0123】
前記プラズマ放電処理は、支持体層(I)の表面に形成された前記層(II’)の表面に行うことができるが、なかでも、前記支持体層(I)の表面に前記プライマー層(X)を有し、その表面に形成された前記層(II’)の表面に行うことが、各層の密着性をより一層向上するうえで好ましい。
【0124】
前記方法によって形成された導電層(II)の酸化された表面にめっき処理する方法としては、例えば、無電解めっき法または電解めっき法等の湿式めっき法、スパッタリング法または真空蒸着法等の乾式めっき法、または、これらめっき法を2つ以上組み合わせる方法が挙げられる。
【0125】
前記導電層(II)の酸化された表面に対し、めっき処理法で形成されためっき層(III)は、優れた密着性を有する。なかでも、無電解めっき法または電解めっき法等の湿式めっき法を採用することが、より一層優れた密着性と導電性とを備えた積層体を得るうえで好ましく、電解めっき法を採用することがより好ましい。
【0126】
また、前記めっき処理法として使用可能な無電解めっき処理法は、例えば前記導電層(II)を構成するパラジウム、銀等の導電性物質に、無電解めっき液を接触させることで、前記無電解めっき液中に含まれる銅等の金属を析出させ金属皮膜からなる無電解めっき層(被膜)を形成する方法である。
【0127】
前記無電解めっき液としては、例えば、銅、ニッケル、クロム、コバルト、スズ等の金属からなる導電性物質と、還元剤と、水性媒体、有機溶剤等の溶媒とを含有するものを使用することができる。
【0128】
前記還元剤としては、例えば、ジメチルアミノボラン、次亜燐酸、次亜燐酸ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、フェノール等を使用することができる。
【0129】
また、前記無電解めっき液としては、必要に応じて、酢酸、蟻酸等のモノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマール酸等のジカルボン酸;リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、グルコン酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸;グリシン、アラニン、イミノジ酢酸、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸;イミノジ酢酸、ニトリロトリ酢酸、エチレンジアミンジ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸等のアミノポリカルボン酸等の有機酸、これらの有機酸の可溶性塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のアミン等の錯化剤を含有するものを使用することができる。
【0130】
前記無電解めっき液は、概ね20℃〜98℃の範囲で使用することが好ましい。
【0131】
また、前記めっき処理法として使用可能な電解めっき処理法は、例えば前記導電層(II)を構成する導電性物質、または、前記無電解処理によって形成された無電解めっき層(被膜)の表面に、電解めっき液を接触した状態で通電することにより、前記電解めっき液中に含まれる銅等の金属を、負極に設置した前記導電層(II)を構成する導電性物質または前記無電解処理によって形成された無電解めっき層(被膜)の表面に析出させ、電解めっき層(金属被膜)を形成する方法である。
【0132】
前記電解めっき液としては、銅、ニッケル、クロム、コバルト、スズ等の金属、それらの硫化物等と、硫酸等と、水性媒体とを含有するものを使用することができる。具体的には、硫酸銅と硫酸と水性媒体とを含有するもの等を使用することができる。
【0133】
前記電解めっき液は、概ね20℃〜98℃の範囲で使用することが好ましい。
【0134】
電解めっき処理法では、毒性の高い物質を用いることなく、作業性がよいため、電解めっき法によって銅からなる層を形成することが好ましい。
【0135】
また、前記乾式めっき処理工程としては、スパッタリング法、真空蒸着法等を使用することができる。前記スパッタリング法は、真空中で不活性ガス(主にアルゴン)を導入し、めっき層(III)形成材料に対してマイナスイオンを印加してグロー放電を発生させ、次いで、前記不活性ガス原子をイオン化し、高速で前記めっき層(III)形成材料の表面にガスイオンを激しく叩きつけ、めっき層(III)形成材料を構成する原子及び分子を弾き出し勢いよく前記導電層(II)の表面に付着させることによりめっき層(III)を形成する方法である。
【0136】
前記めっき層(III)形成材料としては、クロム(Cr)、銅(Cu)、チタン(Ti)、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au),ニッケル−クロム(Ni−Cr)、SUS、銅−亜鉛(Cu−Zn)、ITO、SiO
2、TiO
2、Nb
2O
5、ZnO等を使用することができる。
【0137】
前記スパッタリング法によりめっき処理する際には、例えばマグネトロンスパッタ装置等を使用することができる。
【0138】
以上のような工程[2]を経ることによって、めっき層(III)を備えた積層体を得ることができる。
【0139】
前記方法で得られた積層体は、導電性パターンとして使用することが可能である。具体的には、銀インク等を用いた電子回路の形成、有機太陽電池、電子書籍端末、有機EL、有機トランジスタ、フレキシブルプリント基板、RFID等を構成する周辺配線の形成、プラズマディスプレイの電磁波シールドの配線等を製造する際の導電性パターン、より具体的には回路基板の形成に好適に使用することが可能である。
【0140】
前記積層体を導電性パターンに使用する場合、形成しようとする所望のパターン形状に対応した位置に、前記導電層(II)を形成しうる流動体を塗布し焼成等することによって、所望のパターンを備えた導電性パターンを製造することができる。
【0141】
また、前記導電性パターンは、例えばサブトラクティブ法、セミアディティブ法、フルアディティブ法等のフォトリソ−エッチング法によって製造することができる。
【0142】
前記サブトラクティブ法は、予め製造した本発明の積層体を構成するめっき層(III)上に、所望のパターン形状に対応した形状のエッチングレジスト層を形成し、その後の現像処理によって前記レジストの除去された部分のめっき層(III)及び導電層(II)を薬液で溶解し除去することによって、所望のパターンを形成する方法である。前記薬液としては、塩化銅、塩化鉄等を含有する薬液を使用することができる。
【0143】
前記セミアディティブ法は、前記支持体層(I)と前記層(II’)とを備えた基体の、前記層(II’)表面をプラズマ放電処理することで層(II)を形成した後、前記導電層(II)の酸化された表面に、所望のパターンに対応した形状のめっきレジスト層を形成し、次いで、電解めっき法、無電解めっき法によってめっき層(III)を形成した後、前記めっきレジスト層とそれに接触した前記導電層(II)とを薬液等に溶解し除去することによって、所望のパターンを形成する方法である。
【0144】
また、前記フルアディティブ法は、前記支持体層(I)に、プライマー層(X)を設け、インクジェット法、反転印刷法で前記層(II’)のパターンを印刷した後、前記層(II’)をプラズマ放電処理することで層(II)のパターンを形成し、次いで、前記導電層(II)の酸化された表面に電解めっき法、無電解めっき法によってめっき層(III)を形成することによって、所望のパターンを形成する方法である。
【0145】
前記方法で得られた導電性パターンは、各層間の剥離等を引き起こすことなく、良好な通電性を維持可能なレベルの、格段に優れた耐久性を付与できることから、銀インク等を用いた電子回路、集積回路等に使用される回路形成用基板の形成、有機太陽電池、電子書籍端末、有機EL、有機トランジスタ、フレキシブルプリント基板、RFID等を構成する周辺配線の形成、プラズマディスプレイの電磁波シールドの配線等のうち、特に耐久性の求められる用途に好適に使用することができる。特に、前記めっき処理の施された導電性パターンは、長期間にわたり断線等を引き起こすことなく、良好な通電性を維持可能な信頼性の高い配線パターンを形成できることから、例えば、一般に銅張積層板(CCL:Copper Clad Laminate)といわれ、フレキシブルプリント基板(FPC)、テープ自動ボンディング(TAB)、チップオンフィルム(COF)、及びプリント配線板(PWB)等の用途に使用することが可能である。
【実施例】
【0146】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
【0147】
[プライマー(X−1)の調製]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリエステルポリオール(1,4−シクロヘキサンジメタノールとネオペンチルグリコールとアジピン酸とを反応させて得られたポリエステルポリオール)を100質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸17.6質量部、1,4−シクロヘキサンジメタノール21.7質量部、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート106.2質量部を、メチルエチルケトン178質量部の中で反応させることによって、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液を得た。
【0148】
次いで、前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液にトリエチルアミンを13.3質量部加えることで、前記ウレタン樹脂が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水380質量部を加え十分に攪拌することにより、ウレタン樹脂の水性分散液を得た。
【0149】
次いで、前記水性分散液に、25質量%のエチレンジアミン水溶液を8.8質量部加え、攪拌することによって、粒子状のポリウレタン樹脂を鎖伸長させ、次いでエージング・脱溶剤することによって、固形分濃度30質量%のウレタン樹脂(x−1)の水性分散液を得た。前記ウレタン樹脂(x−1)の重量平均分子量は53,000であった。
【0150】
次に、攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、単量体混合物滴下用滴下漏斗、重合触媒滴下用滴下漏斗を備えた反応容器に脱イオン水140質量部、前記で得たウレタン樹脂(x−1)の水分散体100質量部を入れ、窒素を吹き込みながら80℃まで昇温した。
【0151】
80℃まで昇温した反応容器内に、攪拌下、メタクリル酸メチル60質量部、アクリル酸n−ブチル30質量部及びN−n−ブトキシメチルアクリルアミド10質量部からなる単量体混合物と、過硫酸アンモニウム水溶液(濃度:0.5質量%)20質量部とを別々の滴下漏斗から、反応容器内温度を80±2℃に保ちながら120分間かけて滴下し重合した。
【0152】
滴下終了後、同温度にて60分間攪拌することによって、前記ウレタン樹脂(x−1)のシェル層と、ビニル重合体のコア層とによって構成されるウレタン−アクリル複合樹脂の水分散体を得た。
【0153】
前記反応容器内の温度を40℃に冷却し、ついで、不揮発分が20.0質量%になるように脱イオン水を使用した後、200メッシュ濾布で濾過することによって、プライマー(X−1)を得た。
【0154】
[プライマー(X−2)の調製]
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メタクリル酸メチル45質量部、アクリル酸n−ブチル45質量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル5質量部及びメタクリル酸5質量部を含有するビニル単量体混合物と、酢酸エチルとを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら50℃まで昇温し、その後、2、2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を2.0質量部仕込み、24時間反応させることによって、重量平均分子量40万のビニル重合体と酢酸エチルとを含有する混合物500質量部(不揮発分20質量%)を得た。
【0155】
次いで、前記混合物500質量部と、ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体からなる架橋剤1及び酢酸エチルを含有する架橋剤組成物1(不揮発分20質量%)22.5質量部とを混合することによって、不揮発分20質量%のプライマー(X−2)を得た。
【0156】
[導電性インクの調製]
エチレングリコール45質量部と、イオン交換水55質量部との混合溶媒に、平均粒径30nmの銀粒子を分散させることによって導電性インク1を調製した。
【0157】
また、前記導電性インク1をベースに、イオン交換水及び界面活性剤を用いてその粘度を10mPa・sに調整することによって、インクジェット印刷用の導電性インク2を調製した。
【0158】
[実施例1]
ポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製Kapton200H、厚さ50μm)からなる支持体の表面に、前記プライマー(X−1)を、スピンコーターを用いて、その乾燥後の厚さが0.1μmとなるように塗布し、次いで、熱風乾燥機を用いて80℃の条件で5分間乾燥することによって、前記支持体の表面にプライマー層を形成した。
【0159】
次に、前記プライマー層の表面に、前記導電性インク1をスピンコート法によって塗布し、次いで、250℃で3分間焼成することによって、前記層(II’)に相当する銀を含有する層(厚さ0.1μm)を備えた基体を作製した。前記層(II’)に相当する層の表面抵抗を、後述する方法によって測定したところ2Ω/□であった。
【0160】
次に、前記層(II’)に相当する層の表面を、AP−T01(積水化学工業株式会社製、常圧プラズマ処理装置、ガス:空気(酸素濃度約21質量%)、流量;20リットル/分、出力;150W、処理時間5秒)を用いてコロナ放電処理することによって、前記銀を含有する層の表面が酸化された導電層を形成した。前記導電層の表面抵抗を測定したところ、4Ω/□となり、コロナ放電処理前の層の表面抵抗と比較して増加したことから、その表面が酸化されていると判断した。また、X線光電子分析装置(株式会社島津製作所製 ESCA3400)を用いてその表面を確認したところ、銀が酸化されていることを示すピークを確認することができた。また、前記酸化に伴って、その表面抵抗値が増加したことを確認した。
【0161】
次に、前記導電層の酸化された表面を陰極に設定し、含リン銅を陽極に設定し、硫酸銅を含有する電解めっき液を用いて電流密度2A/dm
2で15分間電解めっきを行うことによって、前記導電層の酸化された表面に、厚さ8μmの銅めっき層を積層した。前記電解めっき液としては、硫酸銅70g/リットル、硫酸200g/リットル、塩素イオン50mg/リットル、トップルチナSF(奥野製薬工業株式会社製の光沢剤)5g/リットルを使用した。
【0162】
以上の方法によって、前記支持体層(I)とプライマー層(X)と前記導電層(II)と前記めっき層(III)に相当する層が積層された積層体(L−1)を得た。
【0163】
[実施例2]
前記AP−T01(積水化学工業株式会社製、常圧プラズマ処理装置)によるコロナ放電処理の代わりに、TEC−4AX(春日電機株式会社製のコロナ表面改質評価装置、ガス;空気(酸素濃度約21質量%)、ギャップ;1.5mm、出力;100W、処理時間;2秒)を用いてコロナ放電処理を施すこと以外は、実施例1と同様の方法によって、前記支持体層(I)とプライマー層(X)と前記導電層(II)と前記めっき層(III)に相当する層が積層された積層体(L−2)を得た。なお、前記コロナ放電処理前の前記層(II’)に相当する層の表面抵抗は3Ω/□であったが、コロナ放電処理した導電層の表面抵抗は5Ω/□となり増加した。また、前記同様のX線光電子分析装置を用いてその表面を分析したところ、銀が酸化されていることを示すピークを確認することができた。また、前記酸化に伴って、その表面抵抗値が増加したことを確認した。
【0164】
[実施例3]
ポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製Kapton200H)からなる支持体の表面に、前記プライマー(X−1)を、スピンコーターを用いて、その乾燥膜厚が0.1μmとなるように塗布し、次いで、熱風乾燥機を用いて80℃の条件で5分間乾燥することによって、前記支持体の表面にプライマー層を形成した。
【0165】
次いで、前記プライマー層の表面に、前記導電性インク2をインクジェットプリンター(コニカミノルタIJ(株)製インクジェット試験機EB100、評価用プリンタヘッドKM512L、吐出量42pl)を用い、厚さ0.5μm、線幅100μm、及び長さ3cmの直線状に印刷し、次いで150℃の条件下で1時間乾燥させ層(II’)に相当する銀を含有する層(乾燥後の厚さ0.1μm、線幅1mm、長さ1cm)を備えた基体を作製した。前記層(II’)に相当する層の表面抵抗は2Ω/□であった。
【0166】
次に、前記層(II’)に相当する層の表面を、TEC−4AX(春日電機株式会社製のコロナ表面改質評価装置、ガス;空気(酸素濃度約21質量%)、ギャップ;1.5mm、出力;100W、処理時間;2秒)を用いてコロナ放電処理することによって、前記層(II’)に相当する層の表面が酸化された導電層を形成した。前記コロナ放電処理前の前記層(II’)に相当する層の表面抵抗は2Ω/□であったが、コロナ放電処理した導電層の表面抵抗は3Ω/□となり増加した。また、前記同様のX線光電子分析装置を用いてその表面を分析したところ、銀が酸化されていることを示すピークを確認することができた。また、前記酸化に伴って、その表面抵抗値が増加したことを確認した。
【0167】
次に、前記導電層の酸化された表面を陰極に設定し、含リン銅を陽極に設定し、硫酸銅を含有する電解めっき液を用いて電流密度2A/dm
2で15分間電解めっきを行うことによって、前記プラズマ放電処理された層の表面に、厚さ8μmの銅めっき層を積層した。前記電解めっき液としては、硫酸銅70g/リットル、硫酸200g/リットル、塩素イオン50mg/リットル、トップルチナSF(奥野製薬工業株式会社製の光沢剤)5g/リットルを使用した。
【0168】
以上の方法によって、前記支持体層(I)とプライマー層(X)と前記導電層(II)と前記めっき層(III)に相当する層が積層された積層体(L−3)を得た。
【0169】
[実施例4]
前記電解めっき処理の代わりに、下記に示す無電解めっき処理を施すこと以外は、実施例2と同様の方法によって、前記支持体層(I)とプライマー層(X)と前記導電層(II)と前記めっき層(III)に相当する層が積層された積層体(L−4)を得た。コロナ放電処理前の前記層(II’)に相当する層の表面抵抗は2Ω/□であったが、コロナ放電処理した導電層の表面抵抗は3Ω/□となり増加した。また、前記同様のX線光電子分析装置を用いてその表面を分析したところ、銀が酸化されていることを示すピークを確認することができた。また、前記酸化に伴って、その表面抵抗値が増加したことを確認した。
【0170】
前記無電解めっき処理法は、はじめにキャタリスト浴(奥野製薬工業株式会社製OPC−SALM/OPC−80)に、前記コロナ放電処理された層を5分間浸漬し、次いで、水洗する。次いで、25℃に調整したアクセラレーター浴(奥野製薬工業株式会社製OPC−555)に5分間浸漬、水洗した後、30℃に調整した無電解銅めっき浴(奥野製薬工業株式会社製 ATSアドカッパー)に、めっき層の厚さが8μmになるように浸漬し、水洗することによって行った。
【0171】
[実施例5]
ポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製Kapton200H)からなる支持体を40℃の1mol/Lの水酸化カリウム水溶液に15分浸漬後、イオン交換水で十分洗浄し、常温で乾燥した。
【0172】
次いで、前記乾燥後のポリイミドフィルムの表面に、前記導電性インク1をスピンコート法によって塗布し、次いで、250℃で3分間焼成することによって、前記層(II’)に相当する銀を含有する層(厚さ0.1μm)を備えた基体を作製した。
【0173】
次いで、前記銀を含有する層の表面を、TEC−4AX(春日電機株式会社製のコロナ表面改質評価装置、ガス;空気(酸素濃度約21質量%)、ギャップ;1.5mm、出力;100W、処理時間;2秒)を用いてコロナ放電処理した。コロナ放電処理前の前記層(II’)に相当する層の表面抵抗は2Ω/□であったが、コロナ放電処理した導電層の表面抵抗は3Ω/□となり増加した。また、前記同様のX線光電子分析装置を用いてその表面を分析したところ、銀が酸化されていることを示すピークを確認することができた。
【0174】
次に、前記導電層の酸化された表面を陰極に設定し、含リン銅を陽極に設定し、硫酸銅を含有する電解めっき液を用いて電流密度2A/dm
2で15分間電解めっきを行うことによって、前記導電層の酸化された表面に、厚さ8μmの銅めっき層を積層した。前記電解めっき液としては、硫酸銅70g/リットル、硫酸200g/リットル、塩素イオン50mg/リットル、トップルチナSF(奥野製薬工業株式会社製の光沢剤)5g/リットルを使用した。
【0175】
以上の方法によって、前記支持体層(I)と前記導電層(II)と前記めっき層(III)とに相当する層が積層された積層体(L−5)を得た。
【0176】
[実施例6]
プライマー(X−1)の代わりに、プライマー(X−2)を使用すること以外は、実施例2と同様の方法で、前記支持体層(I)と前記導電層(II)と前記めっき層(III)に相当する層が積層された積層体(L−6)を得た。コロナ放電処理前の前記層(II’)に相当する層の表面抵抗は2Ω/□であったが、コロナ放電処理した導電層の表面抵抗は3Ω/□となり増加した。また、前記同様のX線光電子分析装置を用いてその表面を分析したところ、銀が酸化されていることを示すピークを確認することができた。また、前記酸化に伴って、その表面抵抗値が増加したことを確認した。
【0177】
[比較例1]
プラズマ放電処理及びコロナ放電処理を施さないこと以外は、実施例3と同様の方法で、前記支持体層(I)とプライマー層(X)と前記層(II’)と前記めっき層(III)とに相当する層が積層した積層体(L’−1)を得た。前記層(II’)に相当する層の表面抵抗は2Ω/□であったのに対し、前記めっきを施す前の前記層(II’)に相当する層の表面抵抗も2Ω/□であり変化がなかった。また、前記同様のX線光電子分析装置を用いてその表面を分析したが、銀が酸化されていることを示すピークを確認することはできなかった。また、その表面抵抗値は、増加していなかった。
【0178】
[比較例2]
プラズマ放電処理及びコロナ放電処理の代わりに、紫外線表面改質装置(センエンジニアリング(株)製、「低圧水銀ランプEUV200WS」、照度20mW/cm2、出力200W、照射時間60秒)を用い、前記層(II’)に相当する層の表面を紫外線照射したこと以外は、実施例1と同様の方法で、前記支持体層(I)とプライマー層(X)と、紫外線処理された層と、前記めっき層(III)とに相当する層が積層した積層体(L’−2)を得た。紫外線照射前の前記層(II’)に相当する層の表面抵抗は2Ω/□であったのに対し、紫外線照射された層の表面抵抗も2Ω/□であり変化がなかった。また、前記同様のX線光電子分析装置を用いてその表面を分析したが、銀が酸化されていることを示すピークを確認することはできなかった。また、その表面抵抗値は、増加していなかった。
【0179】
[表面抵抗値の測定方法]
表面抵抗の測定は、ダイアインスツルメンツ社製のロレスターGP(型番MCP−T610)直列4探針プローブ(ASP)を用い、前記表面の任意の10カ所を測定し、その平均値を算出し行った。
【0180】
[密着性の評価方法]
<目視による評価>
前記で得た積層体の各めっき層の表面に、セロハン粘着テープ(ニチバン(株)製,CT405AP−24,24mm)を指で圧着し貼付した後、前記セロハン粘着テープを、前記積層体を構成するめっき層の表面に対して90度方向に剥離した。剥離したセロハン粘着テープの粘着面を目視で観察し、剥離の有無、及び、剥離した界面の位置を確認した。
【0181】
<ピール試験による評価>
ピール強度測定は、IPC−TM−650、NUMBER2.4.9に準拠した方法により行った。測定に用いるリード幅は1mm、そのピールの角度は90°とした。なお、ピール強度は、前記めっき層の厚さが厚くなるほど高い値を示す傾向にあるが、本発明でのピール強度の測定は、現在汎用されているめっき層8μmにおける測定値を基準として実施した。
【0182】
【表1】
【0183】
【表2】
【0184】
表1及び2中の「AP−T01」は、積水化学工業株式会社製の常圧プラズマ処理装置)を表す。また、「TEC−4AX」は春日電機株式会社製のコロナ表面改質評価装置を表す。
【0185】
導電性インクを用いて形成された導電層の表面が酸化され、その表面にめっき層が積層された実施例1〜4の積層体はいずれも、優れた密着力を備えたものであった。一方、プライマー層を使用せずに得た実施例5の積層体は、導電層とめっき層との密着性に優れたものであったが、ポリイミドフィルムと導電層との界面での剥離が見られた。また、プライマーとしてプライマー(X−2)を用いて得られた実施例6の積層体は、プライマー層と導電性との界面の一部で、わずかに剥離が見られた。
一方、導電層の表面を酸化させることなく、その表面にめっき層を設けた比較例1記載の積層体は、前記導電層とめっき層との界面で剥離を生じる場合があった。また、導電層の表面を紫外線照射し、その表面にめっき層を設けた比較例2記載の積層体は、導電層とめっき層との界面で剥離が確認された。