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再表2013-151129有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法
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  • 再表WO2013151129-有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法 図000016
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2013年10月10日
【発行日】2015年12月17日
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20151120BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20151120BHJP
【FI】
   H05B33/14 B
   H05B33/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
【出願番号】特願2014-509203(P2014-509203)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2013年4月4日
(31)【優先権主張番号】特願2012-87053(P2012-87053)
(32)【優先日】2012年4月6日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】美馬 祥司
(72)【発明者】
【氏名】小野 善伸
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107BB03
3K107CC08
3K107CC09
3K107CC45
3K107DD53
3K107DD60
3K107FF13
3K107GG06
(57)【要約】
素子の発光色を簡便かつ正確に設定することができ、白色領域における発光色の微調整が可能な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。一対の電極と、該電極間に設けられる発光層とを有し、CIE1931色度座標系で座標Ao(Xo,Yo)の発光色を呈する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記発光層が、CIE1931色度座標系で座標A1(x1,y1)の発光色を呈する白色発光材料A1と、CIE1931色度座標系で座標A1(x1,y1)とは異なる座標A2(x2,y2)の発光色を呈する白色発光材料A2とを同一の層中に含み、CIE1931色度座標系での座標A1(x1,y1)と座標A2(x2,y2)との距離LA1−A2がLA1−A2<0.13を満たす有機エレクトロルミネッセンス素子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極と、該電極間に設けられる発光層とを有し、CIE1931色度座標系で座標Ao(Xo,Yo)の発光色を呈する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記発光層が、
CIE1931色度座標系で座標A1(x1,y1)の発光色を呈する白色発光材料A1と、
CIE1931色度座標系で座標A1(x1,y1)とは異なる座標A2(x2,y2)の発光色を呈する白色発光材料A2と、
を同一の層中に含み、
CIE1931色度座標系での座標A1(x1,y1)と座標A2(x2,y2)との距離LA1−A2がLA1−A2<0.13を満たす有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項2】
前記発光層が、前記白色発光材料A1と前記白色発光材料A2に加えて、CIE1931色度座標系で座標A1(x1,y1)および座標A2(x2,y2)とは異なる座標A3(x3,y3)の発光色を呈する白色発光材料A3を、同一の層中に含み、
白色発光材料A1と白色発光材料A2との総和による発光色の色座標をAd(xd,yd)とするとき、CIE1931色度座標系での座標Ad(xd,yd)と座標A3(x3,y3)との距離LAd−A3がLAd−A3<0.13を満たす、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項3】
前記白色発光材料A1およびA2の少なくとも一つが白色発光高分子材料である、請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
前記白色発光材料A1およびA2の両方が白色発光高分子材料である、請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】
一対の電極と、該電極間に設けられる発光層とを有し、CIE1931色度座標系で座標Ao(Xo,Yo)の発光色を呈する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
CIE1931色度座標系で座標A1(x1,y1)の発光色を呈する白色発光材料A1と、
CIE1931色度座標系で座標A1(x1,y1)とは異なる座標A2(x2,y2)の発光色を呈する白色発光材料A2と、
溶媒とを含有する塗布液を塗布することにより、発光層を形成する工程を含み、
CIE1931色度座標系での座標A1(x1,y1)と座標A2(x2,y2)との距離LA1−A2がLA1−A2<0.13を満たす、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項6】
前記塗布液が、CIE1931色度座標系で座標A1(x1,y1)および座標A2(x2,y2)とは異なる座標A3(x3,y3)の発光色を呈する白色発光材料A3をさらに含有し、
前記白色発光材料A1と前記白色発光材料A2との総和による発光色の色座標をAd(xd,yd)とするとき、CIE1931色度座標系での座標Ad(xd,yd)と座標A3(x3,y3)との距離LAd−A3がLAd−A3<0.13を満たす、請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項7】
前記白色発光材料A1およびA2の少なくとも一つが白色発光高分子材料である、請求項5または6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項8】
前記白色発光材料A1およびA2の両方が白色発光高分子材料である、請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」ともいう。)は、発光材料等の機能材料として有機化合物を用いた発光素子である。有機EL素子においては、発光波長の異なる複数の発光材料を組み合わせて使用することにより様々な発光色を実現する試みがなされている。たとえば特許文献1には、発光波長の異なる複数の発光材料を同一の層に含有してなる発光層を備えた有機EL素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009−528400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有機EL素子の発光色は、発光材料中に含まれる発光部位が発する光の重ね合わせで決まる。様々な発光色(例えば、CIE色度座標系における単色スペクトル線から離れた白色領域や低彩度の混色領域の発光色)を簡便かつ正確に設定する観点からは、有機EL素子の発光色が各発光材料の発光色および混合比に基づいて線形変化することが好ましい。
例えばCIE色度座標系において座標(x1,y1)の発光色を呈する発光部位1を[c1]の濃度(発光材料単位重量当たりの発光部位の数密度)で含む発光材料1と、座標(x2,y2)の発光色を呈する発光部位2を[c2]の濃度で含む発光材料2とを、それぞれ重量w1およびw2にて組み合わせて使用する場合、有機EL素子の発光色の色座標(Xo,Yo)は以下の色度関係式により予測し得ることが好ましい。
【数1】
上記色度関係式において、x1、y1および[c1]は発光材料1に固有の値であり、x2、y2および[c2]は発光材料2に固有の値である。よって、組み合わせて使用する発光材料の種類が決まれば、実質的に各発光材料の重量w1およびw2に基づく線形関数として有機EL素子の発光色を設定し得る。
【0005】
しかしながら発光材料1と発光材料2とが同一層中に含有される特許文献1記載の技術では、発光材料1の発光部位1で電子と正孔とが再結合して励起子が形成される際に、斯かる励起子から発光材料2の発光部位2へのエネルギー移動が起こり易い。斯かる発光部位間のエネルギー移動が生じると、発光部位1と発光部位2とが独立に作用することを前提とする上記色度関係式は成立しなくなる。その結果、計算により求めた発光色の予測値と実際の発光色との間にはズレが生じていた。斯かるズレは、目的とする発光色が白色である場合に特に顕著な問題となる。白色領域においては僅かな色味の違いもヒトの目によって明確に認識されるためである。
【0006】
本発明は、上記従来技術が有する課題に鑑みてなされたものであり、その課題は、各発光材料の発光色および混合比に基づいて簡便かつ正確に、白色領域における発光色の微調整が可能な有機EL素子およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、下記構成を採用した有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法を提供する。
【0008】
[1] 一対の電極と、該電極間に設けられる発光層とを有し、CIE1931色度座標系で座標Ao(Xo,Yo)の発光色を呈する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記発光層が、
CIE1931色度座標系で座標A1(x1,y1)の発光色を呈する白色発光材料A1と、
CIE1931色度座標系で座標A1(x1,y1)とは異なる座標A2(x2,y2)の発光色を呈する白色発光材料A2と、
を同一の層中に含み、
CIE1931色度座標系での座標A1(x1,y1)と座標A2(x2,y2)との距離LA1−A2がLA1−A2<0.13を満たす有機エレクトロルミネッセンス素子。
[2] 前記発光層が、前記白色発光材料A1と前記白色発光材料A2に加えて、CIE1931色度座標系で座標A1(x1,y1)および座標A2(x2,y2)とは異なる座標A3(x3,y3)の発光色を呈する白色発光材料A3を、同一の層中に含み、
白色発光材料A1と白色発光材料A2との総和による発光色の色座標をAd(xd,yd)とするとき、CIE1931色度座標系での座標Ad(xd,yd)と座標A3(x3,y3)との距離LAd−A3がLAd−A3<0.13を満たす、上記[1]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[3] 前記白色発光材料A1およびA2の少なくとも一つが白色発光高分子材料である、上記[1]または[2]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[4] 前記白色発光材料A1およびA2の両方が白色発光高分子材料である、上記[3]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[5] 一対の電極と、該電極間に設けられる発光層とを有し、CIE1931色度座標系で座標Ao(Xo,Yo)の発光色を呈する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
CIE1931色度座標系で座標A1(x1,y1)の発光色を呈する白色発光材料A1と、
CIE1931色度座標系で座標A1(x1,y1)とは異なる座標A2(x2,y2)の発光色を呈する白色発光材料A2と、
溶媒とを含有する塗布液を塗布することにより、発光層を形成する工程を含み、
CIE1931色度座標系での座標A1(x1,y1)と座標A2(x2,y2)との距離LA1−A2がLA1−A2<0.13を満たす、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
[6] 前記塗布液が、CIE1931色度座標系で座標A1(x1,y1)および座標A2(x2,y2)とは異なる座標A3(x3,y3)の発光色を呈する白色発光材料A3をさらに含有し、
前記白色発光材料A1と前記白色発光材料A2との総和による発光色の色座標をAd(xd,yd)とするとき、CIE1931色度座標系での座標Ad(xd,yd)と座標A3(x3,y3)との距離LAd−A3がLAd−A3<0.13を満たす、上記[5]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
[7] 前記白色発光材料A1およびA2の少なくとも一つが白色発光高分子材料である、上記[5]または[6]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
[8] 前記白色発光材料A1およびA2の両方が白色発光高分子材料である、上記[7]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、各発光材料の発光色および混合比に基づいて簡便かつ正確に、白色領域における発光色の微調整が可能な有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、CIE1931色度座標系を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明において発光色の色度を定義する際に用いる「CIE1931色度座標系」とは、色を数値で表す手段として、1931年に国際照明委員会(Commission Internationale de l'Eclairage、略称:CIE)により制定されたXYZ表色系である。
【0012】
CIE1931色度座標系は、図1に示すように、横軸方向をx、縦軸方向をyとする平面座標系である。CIE1931色度座標系において、単色は単色スペクトル線(波長範囲380nm〜770nm)の波長によって表示され、混色は単色スペクトル線に囲まれた領域において座標(x,y)により表示される。また、混色領域の中心部には、黒体(完全放射体)が発する光の色と、そのときの黒体の絶対温度(色温度;単位はK)との軌跡(黒体軌跡)が示されている。
【0013】
CIE1931色度座標系においては、一般に、波長770nmの単色スペクトル線近傍の混色領域は赤色(R)領域を表し、波長520nmの単色スペクトル線近傍の混色領域は緑色(G)領域を表し、波長380nmの単色スペクトル線近傍の混色領域は青色(B)領域を表し、色温度3000K以上11000K以下の黒体軌跡近傍の混色領域は白色(W)領域を表す。
なお、本発明において、発光色についていう「白色」とは、CIE1960UCS色度図(CIE1960Luv)の座標上において色温度3000K以上11000K以下の黒体軌跡からの偏差(Δuv)が0.03以下の領域にある色をいう。
【0014】
例えばCIE1931色度座標系において座標(x1,y1)の発光色を呈する発光部位1を[c1]の濃度(発光材料単位重量当たりの発光部位の数密度)で含む発光材料1と、座標(x2,y2)の発光色を呈する発光部位2を[c2]の濃度で含む発光材料2とを、それぞれ重量w1およびw2にて組み合わせて使用する場合、有機EL素子の発光色の色座標(Xo,Yo)は以下の色度関係式により予測し得る。
【0015】
【数2】
【0016】
ここで、
【数3】
は、
【数4】
であることから、上記の色度関係式は以下のように変形し得る。
【0017】
【数5】
【0018】
次いで、パラメータ部分である
【数6】
をmとして整理すると、色度関係式はさらに以下のように変形し得る。
【0019】
【数7】
【0020】
x1、y1および[c1]は発光材料1に固有の値であり、x2、y2および[c2]は発光材料2に固有の値であることから、上記の色度関係式は、実質的に各発光材料の重量w1およびw2に基づく線形関数として把握される。
【0021】
発光材料1と発光材料2とが同一層中に含有される場合、実際の有機EL素子の発光色は、発光材料1の発光部位1と発光材料2の発光部位2との間のエネルギー移動に起因して上記色度関係式からの予測値とズレを生じ易い。斯かるエネルギー移動の影響は、青色発光材料と赤色発光材料とを組み合わせて使用する場合に大きい傾向がある。特に、目的とする有機EL素子の発光色が白色である場合は、僅かな色ズレであっても知覚され易く、色ズレの問題は顕著となる。
【0022】
本発明は、斯かる色ズレを減じ、白色領域における発光色の微調整を実現したものである。
以下、本発明に係る有機EL素子およびその製造方法をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0023】
[有機EL素子]
<2色混合系>
一実施形態において、本発明の有機EL素子は、一対の電極と、該電極間に設けられる発光層とを有し、CIE1931色度座標系で座標Ao(Xo,Yo)の発光色を呈する有機EL素子であって、前記発光層が、CIE1931色度座標系で座標A1(x1,y1)の発光色を呈する白色発光材料A1と、CIE1931色度座標系で座標A1(x1,y1)とは異なる座標A2(x2,y2)の発光色を呈する白色発光材料A2とを同一の層中に含み、CIE1931色度座標系での座標A1(x1,y1)と座標A2(x2,y2)との距離LA1−A2がLA1−A2<0.13を満たすことを特徴とする。
【0024】
CIE1931色度座標系での座標A1(x1,y1)と座標A2(x2,y2)との距離LA1−A2がLA1−A2<0.13を満たすように、白色発光材料A1およびA2を選択することによって、実際の素子の発光色と上記色度関係式から求めた発光色の予測値との色ズレを減じることができる。
【0025】
なお、有機EL素子の発光色の色度座標は、膜厚の違いにより、同一の材料を用いても変化する場合がある。よって、上記の白色発光材料A1およびA2の選択にあたっては、白色発光材料A1を使用した素子、白色発光材料A2を使用した素子、および白色発光材料A1と白色発光材料A2を組み合わせて使用した素子の全てを同一の膜厚で作製し、各素子の発光色を測定して求められた座標Ao、座標A1および座標A2を基準とする必要がある。
色度座標の測定は、後述する実施例に記載の方法に従って実施することができる。
【0026】
色ズレを減じ、白色領域における発光色の微調整を容易とする観点から、座標A1(x1,y1)と座標A2(x2,y2)との距離LA1−A2は、LA1−A2≦0.1を満たすことが好ましい。距離LA1−A2がLA1−A2≦0.1を満たす場合、この距離が大きい材料を混合する場合に比べると、白色領域において有機EL素子の発光色を容易に微調整することができる。
【0027】
白色発光材料A1およびA2としては、上記の距離LA1−A2の条件を満たす限り、任意の白色発光材料を使用してよく、燐光性発光材料および蛍光性発光材料の何れを使用してもよく、低分子系発光材料および高分子系発光材料の何れを使用してもよい。なお、白色発光材料A1は、CIE1931色度座標系で座標A1(x1,y1)の発光色を呈する限り、一種の白色発光材料を単独で使用してもよく、発光色の異なる二種以上の発光材料の混合物(以下、「混合白色発光材料」ともいう。)を使用してもよい。
同様に、白色発光材料A2は、CIE1931色度座標系で座標A2(x2,y2)の発光色を呈する限り、一種の白色発光材料を単独で使用してもよく、混合白色発光材料を使用してもよい。白色発光材料A1として混合白色発光材料を使用する場合、白色発光材料A1中の発光部位の濃度は、混合物に含まれる各発光材料中の発光部位の濃度を加重平均して求めればよい。白色発光材料A2として混合白色発光材料を使用する場合の発光材料A2中の発光部位の濃度も同様にして求めればよい。
【0028】
以下に、混合白色発光材料に使用できる各色の発光材料の例を示す。同一の骨格構造を有する発光材料であっても、付随する側鎖基により発光色は変化し得るため、以下の例示は大まかな目安である。
【0029】
赤色(R)発光材料としては、燐光性の赤色発光材料および蛍光性の赤色発光材料の何れを使用してもよい。
燐光性の赤色発光材料としては、例えば、金属原子に3つの二座配位子が配位してなる金属錯体が挙げられる。このような金属錯体としては、例えば、トリス(フェニルイソキノリン)イリジウム(III)が挙げられる。金属錯体は、アルキル基およびアルコキシ基等の置換基を有していてもよい。また燐光性の赤色発光材料は、1つ以上のデンドロンで囲まれたデンドリマーのコア部を形成していてもよい。デンドロンは共役しているのが好ましく、デンドリマーを可溶化するための表面基を有することが好ましい。
蛍光性の赤色発光材料としては、例えば、クマリン誘導体、チオフェン環化合物、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、並びにそれらのオリゴマーおよび重合体;ポリパラフェニレンビニレン誘導体;ポリチオフェン誘導体;ポリフルオレン誘導体等が挙げられる。
赤色発光材料として赤色発光高分子材料を用いる場合、該赤色発光高分子材料は、発光部位を含む構造単位(発光性構造単位)の他に、電荷輸送性を示す構造単位等の非発光性構造単位を含んでいてもよい。非発光性構造単位としては、例えば、フルオレン誘導体由来の電荷輸送性を示す構造単位が挙げられる。
【0030】
緑色(G)発光材料としては、例えば、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、およびそれらの重合体;ポリパラフェニレンビニレン誘導体;ポリフルオレン誘導体等が挙げられる。
緑色発光材料として緑色発光高分子材料を用いる場合、該緑色発光高分子材料は、発光部位を含む構造単位(発光性構造単位)の他に、電荷輸送性を示す構造単位等の非発光性構造単位を含んでいてもよい。非発光性構造単位としては、例えば、フルオレン誘導体由来の電荷輸送性を示す構造単位が挙げられる。
【0031】
青色(B)発光材料としては、例えば、芳香族炭素環が2個以上縮合した構造を有する化合物および複素環構造を有する化合物が挙げられる。
芳香族炭素環が2個以上縮合した構造としては、例えば、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、フェナンスレン骨格、トリフェニレン骨格、クリセン骨格、フルオランテン骨格、ベンゾフルオランテン骨格、ピレン骨格およびペリレン骨格等が挙げられる。
その他の青色発光材料としては、例えば、ジスチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、およびそれらの重合体;ポリビニルカルバゾール誘導体;ポリパラフェニレン誘導体;ポリフルオレン誘導体等が挙げられる。
青色発光材料として青色発光高分子材料を用いる場合、該青色発光高分子材料は、発光部位を含む構造単位(発光性構造単位)の他に、電荷輸送性を示す構造単位等の非発光性構造単位を含んでいてもよい。非発光性構造単位としては、例えば、フルオレン誘導体由来の電荷輸送性を示す構造単位が挙げられる。
【0032】
混合白色発光材料は、青紫色、青色、青緑色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、赤色の各色に発光する材料を2種以上混合して形成してよい。
【0033】
混合白色発光材料に使用できる発光材料としては、低分子系発光材料および高分子系発光材料の何れも使用できる。高分子系発光材料と低分子系発光材料を混合して混合白色発光材料を形成してもよい。
【0034】
発光材料を2種混合して混合白色発光材料を形成する場合、補色の関係となる発光色を呈する2種の発光材料を混合することが好ましい。補色の関係となる発光色を呈する2種の発光材料の組み合わせとしては、例えば、青色発光材料と黄色または橙色発光材料の組み合わせ、青緑色発光材料と赤色発光材料の組み合わせが挙げられる。
【0035】
混合白色発光材料を形成するにあたっては、白色以外の発光色を呈する高分子系発光材料と該高分子系発光材料とは別の発光色を呈する低分子系発光材料を混合することが好ましい。また発光材料を3種以上混合して混合白色発光材料を形成してもよい。
【0036】
白色発光材料A1およびA2としては、青紫から赤までの各色に発光する発光部位を分子中に複数含む白色発光高分子材料を用いてもよい。白色発光高分子材料は、少なくとも2種の発光部位を分子中に含む。発光部位は、燐光性発光部位であっても蛍光性発光部位であってもよい。また発光部位は、高分子主鎖の一部であってもよく、側鎖基の一部であってもよい。
【0037】
白色発光高分子材料が2種の発光部位を含む場合、補色の関係となる発光色を呈する2種の発光部位を含むことが好ましい。補色の関係となる発光色を呈する2種の発光部位の組み合わせとしては、例えば、青色の発光部位と黄色または橙色の発光部位の組み合わせ、青緑色の発光部位と赤色の発光部位の組み合わせが挙げられる。
白色発光高分子材料が3種の発光部位を含む場合、青色の発光部位、緑色の発光部位および赤色の発光部位を含むことが好ましい。
白色発光高分子材料はまた4種以上の発光部位を含んでもよい。
【0038】
白色発光高分子材料の発光部位として利用可能な発光部位を以下に例示する。以下の例示は化合物の名称で行うが、白色発光高分子材料の主鎖中にある場合は、その化合物から導かれる2価の基として、側鎖や主鎖末端にある場合は1価の基として存在する。
【0039】
白色発光高分子材料に含まれる発光部位としては、例えば、色素系発光部位、金属錯体系発光部位、および共役高分子系発光部位が挙げられる。
色素系発光部位としては、例えば、シクロペンタミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体等が挙げられる。
金属錯体系発光部位としては、例えば、希土類金属(Ir、Pt、Tb、EuおよびDy等)、Al、ZnおよびBe等の中心金属を有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾールおよびキノリン構造等の配位子を有する金属錯体が挙げられる。好ましくは、イリジウム錯体および白金錯体等の三重項励起状態からの発光を有する金属錯体;アルミキノリノール錯体;ベンゾキノリノールベリリウム錯体;ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体;ベンゾチアゾール亜鉛錯体;アゾメチル亜鉛錯体;ポルフィリン亜鉛錯体;又はフェナントロリンユーロピウム錯体等である。
共役高分子系発光部位としては、例えば、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、およびポリビニルカルバゾール誘導体等が挙げられる。
【0040】
白色発光高分子材料は、発光部位を含む構造単位(発光性構造単位)の他に、電荷輸送性を示す構造単位等の非発光性構造単位を含んでいてもよい。非発光性構造単位としては、例えば、フルオレン誘導体由来の電荷輸送性を示す構造単位が挙げられる。
【0041】
本発明において、白色発光材料A1およびA2の少なくとも一つは白色発光高分子材料であることが好ましい。白色発光材料A1およびA2の少なくとも一つとして白色発光高分子材料を用いることにより、白色領域における色座標Ao(Xo,Yo)の微調整を容易に精度よく行うことができる。
【0042】
本発明において、白色発光材料A1およびA2の両方が白色発光高分子材料であることがより好ましい。白色高分子発光材料は、高分子鎖(1分子)中に、発光波長の異なる複数の発光部位をそれぞれ特定割合で含む。そのため、複数の発光材料の混合比を厳密に調整することが必要とされる混合白色発光材料を用いる場合に比して、色座標A1(x1,y1)の発光色を呈する白色発光材料A1および色座標A2(x2,y2)の発光色を呈する白色発光材料A2を精度よく実現し得る。混合白色発光材料を使用する場合、色座標A1(x1,y1)の発光色を呈する白色発光材料A1を得るにあたり、色ズレの問題を伴う。
【0043】
<3色混合系>
本発明の有機EL素子は、白色発光材料A1と白色発光材料A2に加えて、CIE1931色度座標系で座標A1(x1,y1)および座標A2(x2,y2)とは異なる座標A3(x3,y3)の発光色を呈する白色発光材料A3を、同一の層中に含んでもよい。
本実施形態では、白色発光材料A1と白色発光材料A2との総和による発光色の色座標をAd(xd,yd)とするとき、CIE1931色度座標系での座標Ad(xd,yd)と座標A3(x3,y3)との距離LAd−A3がLAd−A3<0.13を満たす。
なお、座標A1と座標A2との距離LA1−A2の条件は、上記の<2色混合系>に記載のとおりである。
【0044】
白色発光材料A1と白色発光材料A2との総和による発光色の色座標をAd(xd,yd)とするとき、CIE1931色度座標系での座標Ad(xd,yd)と座標A3(x3,y3)との距離LAd−A3がLAd−A3<0.13を満たすように、白色発光材料A1、A2およびA3を選択することによって、実際の素子の発光色と上記色度関係式から求めた発光色の予測値との色ズレを減じることができる。
なお、白色発光材料A1およびA2に加えて、白色発光材料A3を使用する本実施形態においては、上記色度関係式における重量w1は白色発光材料A1とA2の総重量とし、濃度[c1]は白色発光材料A1中の発光部位の濃度と白色発光材料A2中の発光部位の濃度とを加重平均して求めればよい。
【0045】
色ズレを減じる観点から、座標Ad(xd,yd)と座標A3(x3,y3)との距離LAd−A3は、LAd−A3≦0.1を満たすことが好ましい。距離LAd−A3がLAd−A3≦0.1を満たす場合、白色領域において有機EL素子の発光色を容易に微調整することができる。
【0046】
白色発光材料A1、A2およびA3としては、上記の距離LA1−A2および距離LAd−A3の条件を満たす限り、任意の白色発光材料を使用してよい。白色発光材料としては、上記<2色混合系>において説明したものと同じものを用いてよい。なお、白色発光材料A3は、CIE1931色度座標系で座標A3(x3,y3)の発光色を呈する限り、一種の白色発光材料を単独で使用してもよく、混合白色発光材料を使用してもよい。白色発光材料A3として混合白色発光材料を使用する場合、白色発光材料A3中の発光部位の濃度は、混合物に含まれる各発光材料中の発光部位の濃度を加重平均して求めればよい。
【0047】
3色混合系においても、白色発光材料A1およびA2の少なくとも一つは白色発光高分子材料であることが好ましい。白色発光材料A1およびA2の少なくとも一つとして白色発光高分子材料を用いることにより、白色領域における色座標Ao(Xo,Yo)の微調整を容易に精度よく行うことができる。
白色発光材料A3は、上記の距離LAd−A3の条件を満たす限り、任意の白色発光材料を使用してよく、目的とする素子の色座標Ao(Xo,Yo)に応じて選択すればよい。
【0048】
3色混合系においても、白色発光材料A1およびA2の両方が白色発光高分子材料であることがより好ましい。理由は上記<2色混合系>において説明したとおりである。
【0049】
本発明の有機EL素子において、発光層は、本発明の効果を阻害しない範囲において、白色発光材料以外の成分(以下、「他の成分」という。)を含んでいてもよい。他の成分は1種であっても複数種であってもよい。
【0050】
発光層が含み得る他の成分としては、有機EL素子の駆動電圧を低減する観点から、電荷輸送性材料が好ましい。
【0051】
電荷輸送性材料としては、電荷輸送性を示す公知の低分子化合物および高分子化合物を使用してよい。中でも、電荷輸送性材料としては、電荷輸送性を示す高分子化合物が好ましい。電荷輸送性を示す高分子化合物としては、例えば、アリーレン基、2価の芳香族複素環基、および、2価の芳香族アミン残基からなる群から選ばれる1種以上の基を構造単位として有する高分子化合物が挙げられる。
【0052】
本発明の有機EL素子において、発光層中の白色発光材料の合計含有量は、通常0.01〜100重量%であり、好ましくは0.1〜100重量%であり、より好ましくは0.3〜100重量%である。発光材料が高分子発光材料である場合には、通常は80〜100重量%であり、好ましくは90〜100重量%であり、より好ましくは95〜100%重量である。
【0053】
電荷輸送性材料を用いる場合、発光層中の電荷輸送性材料の含有量は、白色発光材料の合計重量を100重量部としたとき、100000〜0重量部が好ましく、10000〜0重量部が好ましい。発光材料が高分子発光材料である場合は、20〜0重量部が好ましく、10〜0重量部がより好ましい。
【0054】
本発明の有機EL素子において、発光層の厚さは、好ましくは1nm〜1μmであり、より好ましくは5nm〜500nmであり、更に好ましくは10nm〜200nmである。
【0055】
[有機EL素子の製造方法]
<2色混合系>
一実施形態において、本発明の有機EL素子の製造方法は、一対の電極と、該電極間に設けられる発光層とを有し、CIE1931色度座標系で座標Ao(Xo,Yo)の発光色を呈する有機EL素子の製造方法であって、CIE1931色度座標系で座標A1(x1,y1)の発光色を呈する白色発光材料A1と、CIE1931色度座標系で座標A1(x1,y1)とは異なる座標A2(x2,y2)の発光色を呈する白色発光材料A2と、溶媒とを含有する塗布液を塗布することにより、発光層を形成する工程を含み、
CIE1931色度座標系での座標A1(x1,y1)と座標A2(x2,y2)との距離LA1−A2がLA1−A2<0.13を満たすことを特徴とする。
【0056】
距離LA1−A2の好ましい範囲並びに白色発光材料A1およびA2の好適な例は、先に述べたとおりである。
【0057】
塗布液に使用される溶媒としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼンおよびo−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、アニソール、テトラヒドロフランおよびジオキサン等のエーテル系溶媒、ベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナンおよびn−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルおよびエチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリンおよび1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノールおよびシクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドンおよびN,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が挙げられる。
【0058】
塗布液を塗布する方法としては、特に限定はされないが、例えば、キャスティング法、スピンコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビア印刷、スクリーン印刷およびインクジェット法等が挙げられる。
【0059】
塗布液を塗布した後、乾燥させ溶媒を留去させることにより、発光層を形成することができる。
【0060】
<3色混合系>
本発明の有機EL素子の製造方法において、白色発光材料A1と白色発光材料A2に加えて、CIE1931色度座標系で座標A1(x1,y1)および座標A2(x2,y2)とは異なる座標A3(x3,y3)の発光色を呈する白色発光材料A3をさらに含有する塗布液を塗布することにより、発光層を形成してもよい。本実施形態では、白色発光材料A1と白色発光材料A2との総和による発光色の色座標をAd(xd,yd)とするとき、CIE1931色度座標系での座標Ad(xd,yd)と座標A3(x3,y3)との距離LAd−A3がLAd−A3<0.13を満たす。
なお、座標A1と座標A2との距離LA1−A2の条件は、上記の<2色混合系>に記載のとおりである。
【0061】
距離LA1−A2および距離LAd−A3の好ましい範囲並びに白色発光材料A1、A2およびA3の好適な例は、先に述べたとおりである。
【0062】
本発明の有機EL素子の製造方法において、塗布液は、本発明の効果を阻害しない範囲において、白色発光材料以外の成分(「他の成分」)を含んでいてもよい。他の成分は1種であっても複数種であってもよい。
【0063】
塗布液が含み得る他の成分としては、上述の電荷輸送性材料が好ましい。
【0064】
本発明の有機EL素子の製造方法において、塗布液中の白色発光材料の合計含有量は、塗布液仕込み時の全固形分量を基準として、通常0.01〜100重量%であり、好ましくは0.1〜100重量%であり、より好ましくは0.3〜100重量%である。発光材料が高分子発光材料である場合には、通常は80〜100重量%であり、好ましくは90〜100重量%であり、より好ましくは95〜100%重量である。
本明細書において、塗布液中の白色発光材料の含有量についていう「塗布液仕込み時の全固形分量を基準として」は、塗布液中の白色発光材料の含有量を算出するにあたり、塗布液仕込み時に用いた溶媒(これらは発光層形成工程において実質的に留去される)の重量を除外して、塗布液仕込み時に用いた全固形分の重量を基準とすることを意味する。
【0065】
電荷輸送性材料を用いる場合、塗布液中の電荷輸送性材料の含有量は、白色発光材料の合計重量を100重量部としたとき、100000〜0重量部が好ましく、10000〜0重量部が好ましい。発光材料が高分子発光材料である場合は、20〜0重量部が好ましく、10〜0重量部がより好ましい。
【0066】
本発明の有機EL素子の製造方法において、形成される発光層の厚さは、好ましくは1nm〜1μmであり、より好ましくは5nm〜500nmであり、更に好ましくは10nm〜200nmである。
【0067】
以下、本発明の有機EL素子の取り得る構成例、並びに各層の構成およびその形成方法について説明する。
【0068】
本発明の有機EL素子は、一対の電極と、該電極間に設けられる発光層とを必須の構成要素として有し、陽極と発光層との間、及び/又は発光層と陰極との間に、発光層とは異なる他の層を有していてもよい。
【0069】
陰極と発光層との間に設けられる層としては、例えば、電子注入層、電子輸送層および正孔ブロック層等を挙げることができる。陰極と発光層との間に電子注入層と電子輸送層の両方が設けられる場合、陰極に接する層を電子注入層といい、この電子注入層を除く層を電子輸送層という。
【0070】
電子注入層は、陰極からの電子注入効率を改善する機能を有する。電子輸送層は、陰極、電子注入層または陰極により近い電子輸送層からの電子注入を改善する機能を有する。
正孔ブロック層は、正孔の輸送を堰き止める機能を有する。なお電子注入層、及び/又は電子輸送層が正孔の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が正孔ブロック層を兼ねることがある。
【0071】
正孔ブロック層が正孔の輸送を堰き止める機能を有することは、例えばホール電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することができる。
【0072】
陽極と発光層との間に設けられる層としては、例えば、正孔注入層、正孔輸送層および電子ブロック層等を挙げることができる。陽極と発光層との間に、正孔注入層と正孔輸送層の両方が設けられる場合、陽極に接する層を正孔注入層といい、この正孔注入層を除く層を正孔輸送層という。
【0073】
正孔注入層は、陽極からの正孔注入効率を改善する機能を有する。正孔輸送層は、陽極、正孔注入層または陽極により近い正孔輸送層からの正孔注入を改善する機能を有する。
電子ブロック層は、電子の輸送を堰き止める機能を有する。なお正孔注入層、及び/又は正孔輸送層が電子の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が電子ブロック層を兼ねることがある。
【0074】
電子ブロック層が電子の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば電子電流のみを流す素子を作製し、測定された電流値の減少で電子の輸送を堰き止める効果を確認することができる。
【0075】
有機EL素子のとり得る層構成の例を以下に示す。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
c)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
d)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
e)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
f)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
g)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
h)陽極/発光層/電子注入層/陰極
i)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(ここで、記号「/」は、記号「/」を挟む各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
【0076】
上記構成を備える有機EL素子は通常、基板上に設けられる。形成される層の順序、層の数、および各層の厚さについては、発光効率や寿命を勘案して適宜設定することができる。有機EL素子は通常、陽極を基板側に配置して基板上に設けられるが、陰極を基板側に配置して基板上に設けてもよい。例えばa)〜i)の各有機EL素子を基板上に作製する場合、陽極を基板側に配置する形態では陽極側(各構成a〜iの左側)から順に各層を基板上に積層し、陰極を基板側に配置する形態では陰極(各構成a〜iの右側)から順に各層を基板上に積層する。有機EL素子は、基板側から光を出射するボトムエミッション型であっても、基板とは反対側から光を出射するトップエミッション型であってもよい。
【0077】
次に有機EL素子を構成する各層の材料および形成方法について、より具体的に説明する。
【0078】
<基板>
基板は、有機EL素子を製造する工程において化学的に変化しないものが好適に用いられ、例えばガラス、プラスチック、高分子フィルム、およびシリコン板、並びにこれらを積層した基板などが用いられる。なお基板には有機EL素子を駆動する駆動回路があらかじめ形成されていてもよい。
【0079】
<陽極>
発光層から放射される光が陽極を通して出射する構成の有機EL素子の場合、陽極には光透過性を示す電極が用いられる。光透過性を示す電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物および金属などの薄膜を用いることができる。中でも、光透過率の高い薄膜が好適に用いられる。例えば酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、および銅などからなる薄膜が用いられ、これらの中でもITO、IZO、または酸化スズからなる薄膜が好適に用いられる。陽極の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などを挙げることができる。また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機物の透明導電膜を用いてもよい。
【0080】
陽極には、光を反射する材料を用いてもよく、その材料としては、仕事関数3.0eV以上の金属、金属酸化物、金属硫化物が好ましい。
【0081】
陽極の厚さは、光の透過性、電気伝導度などを考慮して適宜決定することができる。陽極の厚さは、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0082】
<正孔注入層>
正孔注入層を構成する正孔注入材料としては、例えば、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、および酸化アルミニウムなどの酸化物や、フェニルアミン系化合物、スターバースト型アミン系化合物、フタロシアニン系化合物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、およびポリチオフェン誘導体などを挙げることができる。
【0083】
正孔注入層の形成方法としては、例えば正孔注入材料を含む塗布液からの成膜を挙げることができる。なお正孔注入層は、既に説明した塗布法など、またはこの方法とは異なる所定の公知の方法によって形成することができる。
【0084】
正孔注入層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、求められる特性および成膜の簡易さなどを勘案して適宜決定される。正孔注入層の厚さは、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0085】
<正孔輸送層>
本発明の有機発光素子が有する正孔輸送層は正孔輸送材料を含む。正孔輸送材料は正孔輸送機能を奏する有機化合物であれば特に限定されない。正孔輸送材料の具体例としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、ポリフルオレン誘導体、芳香族アミン残基を有する高分子化合物、及びポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体が挙げられる。
【0086】
正孔輸送材料は高分子化合物、例えば重合体であることが好ましい。正孔輸送材料が高分子化合物であると成膜性が向上し、有機発光素子の発光性が均一化するからである。例えば、正孔輸送材料は、ポリスチレン換算の数平均分子量が10000以上、好ましくは3.0×10〜5.0×10、より好ましくは6.0×10〜1.2×10の重合体である。また、正孔輸送材料は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1.0×10以上、好ましくは5.0×10〜1.0×10、より好ましくは1.0×10〜6.0×10の重合体である。
【0087】
具体的には、該正孔輸送材料として、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されている材料等が例示される。
【0088】
これらの中で、正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリフルオレン誘導体、芳香族アミン残基を有する高分子化合物、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、及びポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体等の高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリフルオレン誘導体、芳香族アミン残基を有する高分子化合物である。正孔輸送材料が低分子化合物である場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
【0089】
ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体は、例えばビニルモノマーからカチオン重合又はラジカル重合によって得られる。
【0090】
ポリシラン若しくはその誘導体としては、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)第89巻、1359頁(1989年)、英国特許GB2300196号公開明細書に記載の化合物等が例示される。合成方法もこれらに記載の方法を用いることができるが、特にキッピング法が好適に用いられる。
【0091】
ポリシロキサン若しくはその誘導体は、シロキサン骨格構造には正孔輸送性がほとんどないので、側鎖又は主鎖に低分子正孔輸送材料の構造を有するものが好適に用いられる。特に正孔輸送性の芳香族アミンを側鎖又は主鎖に有するものが好適である。
【0092】
正孔輸送材料は、式(1)で表されるフルオレンジイル基を有する重合体であることが好ましい。縮合環又は複数の芳香環を有する有機化合物と接触させて有機発光素子の正孔輸送層とした場合に、正孔注入効率が向上し、駆動時の電流密度が高くなるからである。
【化1】
【0093】
式(1)中、RおよびRは同一でも相異なっていてもよく、独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表す。
アルキル基としては、例えば、炭素原子数1〜10のアルキル基が挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、炭素原子数1〜10のアルコキシ基が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。1価の複素環基としては、例えば、ピリジル基等が挙げられる。
アリール基および1価の複素環基は置換基を有していてもよい。置換基としては、正孔輸送材料の溶解性向上の観点から、例えば、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基等が挙げられる。
またアリール基および1価の複素環基は置換基は架橋基を有していてもよい。架橋基としては、例えば、ビニル基、エチニル基、ブテニル基、アクリル構造を有する基、アクリレート構造を有する基、アクリルアミド構造を有する基、メタクリル構造を有する基、メタクリレート構造を有する基、メタクリルアミド構造を有する基、ビニルエーテル構造を有する基、ビニルアミノ基、シラノール構造を有する基、小員環(例えばシクロプロパン、シクロブタン、エポキシ、オキセタン、ジケテン、エピスルフィド等)を有する基等が挙げられる。
【0094】
好ましいフルオレンジイル基の具体例を次に示す。
【0095】
【化2】
【0096】
特に好ましい正孔輸送材料は、繰り返し単位として上記フルオレンジイル基と芳香族3級アミン化合物の構造とを含む重合体、例えばポリアリールアミン系重合体である。
【0097】
芳香族3級アミン化合物の構造を含む繰り返し単位としては、例えば、下記式(2)で表される繰り返し単位が挙げられる。
【化3】
【0098】
式(2)中、Ar、Ar、Ar及びArは、独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表す。Ar、Ar及びArは、独立に、アリール基又は1価の複素環基を表す。あるいは、ArとArは、上記の基を表す代わりに、一緒になって、ArとArが結合する窒素原子とともに環を形成していてもよい。m及びnは、独立に、0又は1を表す。
【0099】
アリーレン基としては、例えば、フェニレン基等が挙げられ、2価の複素環基としては、例えば、ピリジンジイル基等が挙げられる。これらの基は置換基を有していてもよい。
【0100】
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、1価の複素環基としては、例えば、チエニル基、フリル基、ピリジル基等が挙げられる。これらの基は置換基を有していてもよい。
【0101】
アリーレン基、アリール基、2価の複素環基および1価の複素環基が有していてもよい置換基としては、正孔輸送材料の溶解性の観点からは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基が好ましく、アルキル基がより好ましい。アルキル基としては、例えば、炭素原子数1〜10のアルキル基が挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、炭素原子数1〜10のアルコキシ基が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0102】
また置換基は、架橋基を有していてもよい。架橋基としては、例えば、ビニル基、エチニル基、ブテニル基、アクリル構造を有する基、アクリレート構造を有する基、アクリルアミド構造を有する基、メタクリル構造を有する基、メタクリレート構造を有する基、メタクリルアミド構造を有する基、ビニルエーテル構造を有する基、ビニルアミノ基、シラノール構造を有する基、小員環(例えばシクロプロパン、シクロブタン、エポキシ、オキセタン、ジケテン、エピスルフィド等)を有する基等が挙げられる。
【0103】
Ar、Ar、ArおよびArは、アリーレン基であることが好ましく、フェニレン基であることがより好ましい。Ar、ArおよびArは、アリール基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。
【0104】
さらにAr中の炭素原子とAr中の炭素原子とは、直接結合していてもよく、又は−O−、−S−等の2価の基を介して結合していてもよい。
【0105】
モノマーの合成容易性の観点からは、m及びnが0であることが好ましい。
【0106】
式(2)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記繰り返し単位等が挙げられる。
【0107】
【化4】
【0108】
正孔輸送層を形成する方法に制限はないが、正孔輸送材料が低分子化合物である場合は、該低分子化合物と高分子バインダーとの混合溶液からの成膜方法が挙げられる。また、正孔輸送材料が高分子化合物である場合は、溶液からの成膜方法が挙げられる。
【0109】
溶液からの成膜方法に用いる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が挙げられる。
【0110】
溶液からの成膜方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法等の塗布法が挙げられる。
【0111】
高分子バインダーとしては、電荷の輸送を極度に阻害しないものが好ましい。また可視光に対する吸収が強くない高分子バインダーが好適に用いられる。該高分子バインダーとしては、例えば、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が挙げられる。
【0112】
正孔輸送層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。該正孔輸送層の厚さは、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0113】
<電子輸送層>
電子輸送層を構成する電子輸送材料としては、公知の材料を使用できる。電子輸送層を構成する電子輸送材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体などを挙げることができる。
【0114】
これらのうち、電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
【0115】
電子輸送層の形成方法には特に制限はない。低分子の電子輸送材料を用いる場合には、電子輸送層の形成方法の例としては、粉末からの真空蒸着法、溶液若しくは溶融状態からの成膜を挙げることができ、高分子の電子輸送材料を用いる場合には、溶液または溶融状態からの成膜を挙げることができる。なお溶液または溶融状態からの成膜を実施する場合には、高分子バインダーを併用してもよい。電子輸送層は、所定の公知の方法によって形成することができる。
【0116】
電子輸送層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、求められる特性および成膜の簡易さなどを勘案して適宜決定される。電子輸送層の厚さは、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0117】
<電子注入層>
電子注入層を構成する材料は、発光層の種類に応じて最適な材料が適宜選択される。電子注入層を構成する材料としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のうちの1種以上を含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、またはこれらの物質の混合物などを挙げることができる。アルカリ金属、アルカリ金属の酸化物、ハロゲン化物、および炭酸塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウムなどを挙げることができる。また、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩の例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。電子注入層は、2層以上を積層した積層体で構成されてもよく、例えばLiF/Caなどを挙げることができる。電子注入層は、蒸着法、スパッタリング法、印刷法などの所定の公知の方法によって形成することができる。電子注入層の厚さは、1nm〜1μm程度が好ましい。
【0118】
<陰極>
陰極の材料としては、仕事関数が小さく、発光層への電子注入が容易で、電気伝導度の高い材料が好ましい。また陽極側から光を取出す有機EL素子では、発光層から放射される光を陰極で陽極側に反射することが発光効率を向上するためには好ましく、そのため、陰極の材料としては可視光反射率の高い材料が好ましい。陰極の材料としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属および周期表第13族金属などを用いることができる。陰極の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウムおよびイッテルビウム等の金属;前記金属のうちの2種以上の合金;前記金属のうちの1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1種以上との合金;またはグラファイト若しくはグラファイト層間化合物などが用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などを挙げることができる。また陰極としては導電性金属酸化物および導電性有機物などからなる透明導電性電極を用いることができる。具体的には、導電性金属酸化物として酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、およびIZOを挙げることができ、導電性有機物としてポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などを挙げることができる。なお、陰極は、2層以上を積層した積層体で構成されていてもよい。なお、電子注入層が陰極として用いられる場合もある。
【0119】
陰極の厚さは、電気伝導度や耐久性を考慮して適宜設定される。陰極の厚さは、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。陰極の形成方法としては、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法などを挙げることができる。
【0120】
以上説明した有機EL素子は、曲面状や平面状の照明装置、例えばスキャナの光源として用いられる面状光源、および表示装置に好適に用いることができる。
【0121】
有機EL素子を備える表示装置としては、例えばセグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置などを挙げることができる。ドットマトリックス表示装置には、アクティブマトリックス表示装置およびパッシブマトリックス表示装置などがある。有機EL素子は、アクティブマトリックス表示装置、パッシブマトリックス表示装置において、各画素を構成する発光素子として用いられる。また有機EL素子は、セグメント表示装置において、各セグメントを構成する発光素子またはバックライトとして用いられ、液晶表示装置において、バックライトとして用いられる。
【実施例】
【0122】
以下に実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0123】
本実施例中に記載される化学構造式のアルキル基は通常直鎖アルキル基である。
【0124】
数平均分子量及び重量平均分子量は、サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)により、ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量として求めた。SECのうち移動相が有機溶媒である場合をゲル浸透クロマトグラフィー(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、GPC)と言う。なお、該GPCの分析条件は、下記のとおりであった。
【0125】
測定試料を、約0.05重量%の濃度でテトラヒドロフランに溶解させ、GPC(島津製作所製、商品名:LC−10Avp)に10μl注入した。GPCの移動相は、テトラヒドロフラン(流速2.0ml/分)を用いた。カラムは、PLgel MIXED−B(ポリマーラボラトリーズ製)を用いた。検出器は、UV−VIS検出器(島津製作所製、商品名:SPD−10Avp)を用いた。
【0126】
実施例で使用した高分子材料の発光スペクトルの測定は、下記のとおり実施した。測定試料である高分子材料をキシレンに溶解させた溶液を、石英基板上にスピンコート法を用いて塗布した。塗布は、およそ60nmの厚さの高分子材料膜が得られるように溶液濃度及びスピンコートの条件を調整して実施した。発光スペクトルの測定装置は、蛍光分光光度計(日本分光株式会社製、MODEL:FP−6500)を用いた。
【0127】
−CIE1931色度座標の測定方法−
実施例で作製した有機EL素子の発光色のCIE1931色度座標は、高感度分光検出器 MCPD−9800(大塚電子(株)製)を用いて測定した。
なお、実施例で作製した有機EL素子の発光層は同一の膜厚(65nm)とした。
【0128】
実施例で用いた2種の白色発光高分子材料について、発光材料中の発光部位の濃度はほぼ同じであった。
【0129】
調製例1(塗布液1の調製)
白色発光高分子材料1は鈴木重合法を用いて重合した。得られた白色発光高分子材料1の構成単位および各構成単位のモル比を表1に示す。モル比は仕込み比に基づき算出した。ここで、Ir錯体構造を有する構成単位は高分子の末端となる構成単位である。得られた白色発光高分子材料1は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が2.14×10であった。また、得られた白色発光高分子材料1の発光スペクトルを測定したところ、発光ピーク波長は466nm、515nm、617nmであった。
【0130】
【表1】
【0131】
白色発光高分子材料1(色温度7180K、黒体軌跡からの偏差[Δuv]0.003)をアニソールとシクロヘキシルベンゼン(重量比1:1)の混合溶媒に溶解させて、塗布液1(白色発光高分子材料1の濃度1.2重量%)を調製した。
【0132】
調製例2(塗布液2の調製)
白色発光高分子材料2は鈴木重合法を用いて重合した。得られた白色発光高分子材料2の構成単位および各構成単位のモル比を表2に示す。モル比は仕込み比に基づき算出した。ここで、Ir錯体構造を有する構成単位は高分子の末端となる構成単位である。得られた白色発光高分子材料2は、ポリスチレン換算のMwが2.34×10であった。また、得られた白色発光高分子材料2の発光スペクトルを測定したところ、発光ピーク波長は466nm、515nm、617nmであった。
【0133】
【表2】
【0134】
白色発光高分子材料2(色温度4950K、黒体軌跡からの偏差[Δuv]−0.018)をアニソールとシクロヘキシルベンゼン(重量比1:1)の混合溶媒に溶解させて、塗布液2(白色発光高分子材料2の濃度1.2重量%)を調製した。
【0135】
<実施例1>
ITO透明陽極が設けられたガラス基板上に、PEDOT:PSS塗布液(Heraeus社製AI4081)をスリットコート法により塗布し、200℃で真空乾燥し、厚さ60nmの正孔注入層を形成した。
次に、正孔輸送性高分子化合物Aを、アニソールとシクロヘキシルベンゼン(重量比1:1)の混合溶媒に溶解させて調製した0.5重量%の正孔輸送層用塗布液を、正孔注入層の上にスピンコート法により塗布し、窒素雰囲気下180℃で60分間乾燥し、厚さ20nmの正孔輸送層を形成した。
上記のようにして作製された、正孔輸送層が形成された基板を複数用意した。各基板上に、塗布液1、塗布液2、塗布液1と塗布液2の混合液をそれぞれスピンコート法により塗布し、窒素雰囲気下130℃で20分間乾燥し、厚さ65nmの発光層を形成した。
その後、発光層が形成された基板のそれぞれを真空蒸着装置に入れ、NaFを蒸着し、厚さ4nmの電子注入層を形成した。さらに、Alを真空蒸着し、厚さ100nmの陰極を形成した。
最後に、陰極が形成された基板を、N雰囲気下、UV硬化性樹脂を用いてガラス封止基板と貼り合せて封止し、有機EL素子を作製した。
【0136】
実施例1では、白色発光高分子材料1が「発光材料A1」に、白色発光高分子材料2が「発光材料A2」に相当する。
【0137】
得られた有機EL素子の各々を直流電源を用いて駆動し、1000cd/mで発光させた場合のCIE1931色度座標を測定したところ、塗布液1を使用して作製した有機EL素子の発光色のCIE1931色度座標A1は(0.303,0.319)であり、塗布液2を使用して作製した有機EL素子の発光色のCIE1931色度座標A2は(0.343,0.316)であった。なお、CIE1931色度座標系での座標A1と座標A2との距離LA1−A2は0.040であった。
【0138】
白色発光高分子材料1と白色発光高分子材料2の混合比に対する、有機EL素子の発光色のCIE1931色度座標xおよびyの変化は線形性が良好であり、色度関係式に基づく予測値とのズレは小さかった。
図1
【国際調査報告】