特表-13154196IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2013-154196樹脂の使用、樹脂組成物、非水電解液二次電池用セパレーター及びその製造方法、並びに、非水電解液二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2013年10月17日
【発行日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】樹脂の使用、樹脂組成物、非水電解液二次電池用セパレーター及びその製造方法、並びに、非水電解液二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/16 20060101AFI20151124BHJP
【FI】
   H01M2/16 P
   H01M2/16 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
【出願番号】特願2014-510219(P2014-510219)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2013年4月8日
(11)【特許番号】特許第5664822号(P5664822)
(45)【特許公報発行日】2015年2月4日
(31)【優先権主張番号】特願2012-89044(P2012-89044)
(32)【優先日】2012年4月10日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
【住所又は居所】東京都中央区新川二丁目27番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 純次
【住所又は居所】愛媛県新居浜市大江町1番1号 住友化学株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】村上 力
【住所又は居所】大阪府大阪市此花区春日出中三丁目1番98号 住友化学株式会社内
【テーマコード(参考)】
5H021
【Fターム(参考)】
5H021CC04
5H021EE04
5H021EE32
5H021HH01
(57)【要約】
本発明は、非水電解液二次電池用セパレーター基材表面にフィラー粒子を結着させるためのバインダーとして下記樹脂(a)を提供する。かかる樹脂(a)を使用すれば、耐熱性に優れたセパレーターが得られる。
樹脂(a):ビニルアルコールに由来する構造単位(1)とアクリル酸金属塩に由来する構造単位(2)とを含む共重合体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水電解液二次電池用セパレーター基材表面にフィラー粒子を結着させるためのバインダーとしての下記樹脂(a)の使用。
樹脂(a):ビニルアルコールに由来する構造単位(1)とアクリル酸金属塩に由来する構造単位(2)とを含む共重合体
【請求項2】
前記樹脂(a)における前記構造単位(1)と前記構造単位(2)との合計含有量が、前記共重合体を構成する全構造単位の合計含有量に対して40mol%以上である請求項1記載の樹脂(a)の使用。
【請求項3】
前記樹脂(a)における前記構造単位(1)の含有量が、前記構造単位(1)と前記構造単位(2)との合計含有量に対して1〜90mol%である請求項1又は2に記載の樹脂(a)の使用。
【請求項4】
下記樹脂(a)とフィラー粒子とを含有する非水電解液二次電池用セパレーター基材の表面処理用樹脂組成物。
樹脂(a):ビニルアルコールに由来する構造単位(1)とアクリル酸金属塩に由来する構造単位(2)とを含む共重合体
【請求項5】
前記樹脂(a)における前記構造単位(1)と前記構造単位(2)との合計含有量が、前記共重合体を構成する全構造単位の合計含有量に対して40mol%以上である請求項4に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記樹脂(a)における前記構造単位(1)の含有量が、前記構造単位(1)と前記構造単位(2)との合計含有量に対して1〜90mol%である請求項4又は5に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
さらに、溶剤を含む請求項4〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項8】
下記樹脂(a)およびフィラー粒子を含むフィラー層と、非水電解液二次電池用セパレーター基材とを含む非水電解液二次電池用セパレーター。
樹脂(a):ビニルアルコールに由来する構造単位(1)とアクリル酸金属塩に由来する構造単位(2)とを含む共重合体
【請求項9】
前記樹脂(a)における前記構造単位(1)と前記構造単位(2)との合計含有量が、前記共重合体を構成する全構造単位の合計含有量に対して40mol%以上である請求項8に記載のセパレーター。
【請求項10】
前記樹脂(a)における前記構造単位(1)の含有量が、前記構造単位(1)と前記構造単位(2)との合計含有量に対して1〜90mol%である請求項8又は9に記載のセパレーター。
【請求項11】
前記非水電解液二次電池用セパレーター基材が、ポリオレフィンの多孔膜である請求項8〜10のいずれかに記載のセパレーター。
【請求項12】
請求項4〜7のいずれかに記載の樹脂組成物をセパレーター基材の表面に塗布する工程を含む非水電解液二次電池用セパレーターの製造方法。
【請求項13】
さらに、得られた塗布物を乾燥させる工程を含む請求項12記載の製造方法。
【請求項14】
非水電解液二次電池用セパレーター基材が、ポリオレフィン多孔膜である請求項12又は13に記載の製造方法。
【請求項15】
請求項8〜11のいずれかに記載のセパレーターを含む非水電解液二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解液二次電池用セパレーター基材表面にフィラー粒子を結着させるためのバインダーとしての樹脂の使用、当該樹脂とフィラー粒子とを含有する樹脂組成物、当該樹脂組成物を含む非水電解液二次電池用セパレーター及びその製造方法、並びに、当該セパレーターを含む非水電解液二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
非水電解液二次電池用セパレーター基材表面にフィラー粒子を結着させるためのバインダーとして、特許文献1にはポリビニルアルコールを使用することが記載されている。
しかしながら、上記のバインダーとしてポリビニルアルコールを使用して得られるセパレーターは、耐熱性が必ずしも十分に満足できるものではなかった。本発明は、耐熱性に優れたセパレーターを得ることを目的とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2008/093575号
【発明の開示】
【0004】
本発明は、以下の[1]〜[15]記載の発明を含む。
[1]非水電解液二次電池用セパレーター基材表面にフィラー粒子を結着させるためのバインダーとしての下記樹脂(a)の使用。
樹脂(a):ビニルアルコールに由来する構造単位(1)とアクリル酸金属塩に由来する構造単位(2)とを含む共重合体
[2]前記樹脂(a)における前記構造単位(1)と前記構造単位(2)との合計含有量が、前記共重合体を構成する全構造単位の合計含有量に対して40mol%以上である前記樹脂(a)の使用。
[3]前記樹脂(a)における前記構造単位(1)の含有量が、前記構造単位(1)と前記構造単位(2)との合計含有量に対して1〜90mol%である前記樹脂(a)の使用。
[4]下記樹脂(a)とフィラー粒子とを含有する非水電解液二次電池用セパレーター基材の表面処理用樹脂組成物。
樹脂(a):ビニルアルコールに由来する構造単位(1)とアクリル酸金属塩に由来する構造単位(2)とを含む共重合体
[5]前記樹脂(a)における前記構造単位(1)と前記構造単位(2)との合計含有量が、前記共重合体を構成する全構造単位の合計含有量に対して40mol%以上である前記樹脂組成物。
[6]前記樹脂(a)における前記構造単位(1)の含有量が、前記構造単位(1)と前記構造単位(2)との合計含有量に対して1〜90mol%である前記樹脂組成物。
[7]さらに、溶剤を含む前記樹脂組成物。
[8]下記樹脂(a)およびフィラー粒子を含むフィラー層と、非水電解液二次電池用セパレーター基材とを含む非水電解液二次電池用セパレーター。
樹脂(a):ビニルアルコールに由来する構造単位(1)とアクリル酸金属塩に由来する構造単位(2)とを含む共重合体
[9]前記樹脂(a)における前記構造単位(1)と前記構造単位(2)との合計含有量が、前記共重合体を構成する全構造単位の合計含有量に対して40mol%以上である前記セパレーター。
[10]前記樹脂(a)における前記構造単位(1)の含有量が、前記構造単位(1)と前記構造単位(2)との合計含有量に対して1〜90mol%である前記セパレーター。
[11]前記非水電解液二次電池用セパレーター基材が、ポリオレフィンの多孔膜である前記セパレーター。
[12]前記樹脂組成物をセパレーター基材の表面に塗布する工程を含む非水電解液二次電池用セパレーターの製造方法。
[13]さらに、得られた塗布物を乾燥させる工程を含む前記製造方法。
[14]非水電解液二次電池用セパレーター基材が、ポリオレフィン多孔膜である前記製造方法。
[15]前記セパレーターを含む非水電解液二次電池。
非水電解液二次電池用セパレーター基材表面にフィラー粒子を結着させるためのバインダーとして上記樹脂(a)を使用すれば、耐熱性に優れたセパレーターが得られる。かかるセパレーターを含む非水電解液二次電池は、安全性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下、本発明について詳細に説明する。
まずは、上記樹脂(a)について説明する。
樹脂(a)は、ビニルアルコールに由来する構造単位(1)(以下「構造単位(1)」と記載することがある)と、アクリル酸金属塩に由来する構造単位(2)(以下「構造単位(2)」と記載することがある)とを含む共重合体である。樹脂(a)は、構造単位(1)及び構造単位(2)以外の構造単位(以下「構造単位(3)」と記載することがある)を有していてもよく、構造単位(1)と構造単位(2)との合計含有量は、当該共重合体を構成する全構造単位の合計含有量に対して、好ましくは40mol%以上、より好ましくは50mol%以上、さらに好ましくは60mol%以上である。
構造単位(1)は、下式(1)で表される。
構造単位(2)は、好ましくはアクリル酸のアルカリ金属塩に由来する構造単位又はアクリル酸のアルカリ土類金属塩に由来する構造単位であり、より好ましくはアクリル酸のアルカリ金属塩に由来する構造単位であり、さらに好ましくはアクリル酸のリチウム塩に由来する構造単位又はアクリル酸のナトリウム塩に由来する構造単位である。例えば、アクリル酸のアルカリ金属塩に由来する構造単位は、下式(2)で表される。
(式中、Mはアルカリ金属原子を表す。)
樹脂(a)における構造単位(1)の含有量は、構造単位(1)と構造単位(2)との合計含有量に対して1〜90mol%であることが好ましく、5〜80mol%であることがより好ましく、10〜70mol%であることがさらに好ましい。
構造単位(3)としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、バーサチツク酸ビニル等の炭素数2〜16の脂肪酸のビニルエステルに由来する構造単位;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル等の炭素数1〜16のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位;メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル等の炭素数1〜16のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸ジラウリル等の炭素数1〜16のアルキル基を有するマレイン酸ジアルキルエステルに由来する構造単位;フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル、フマル酸ジラウリル等の炭素数1〜16のアルキル基を有するフマル酸ジアルキルエステルに由来する構造単位;イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル、イタコン酸ジヘキシル、イタコン酸ジオクチル、イタコン酸ジラウリル等の炭素数1〜16のアルキル基を有するイタコン酸ジアルキルエステルに由来する構造単位;等が挙げられる。構造単位(3)としては、炭素数2〜16の脂肪酸のビニルエステルに由来する構造単位又は炭素数1〜16のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位が好ましく、炭素数2〜4の脂肪酸のビニルエステルに由来する構造単位又は炭素数1〜4のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位に由来する構造単位がより好ましく、酢酸ビニルに由来する構造単位又はアクリル酸メチルに由来する構造単位がさらに好ましい。
樹脂(a)は、例えば、特開昭52−107096号公報や特開昭52−27455号公報に記載されている方法に準じて製造できる。即ち、脂肪酸のビニルエステルとアクリル酸アルキルエステルと、必要に応じて含まれる構造単位(3)の由来となる化合物(脂肪酸のビニルエステル及びアクリル酸アルキルエステルを除く)とを重合させる工程(以下「重合工程」と記載することがある)、及び、得られた重合体を鹸化する工程(以下「鹸化工程」と記載することがある)を含む製造方法により製造できる。
上記の鹸化工程で、脂肪酸のビニルエステルに由来する構造単位が鹸化されて構造単位(1)となり、アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位が鹸化されて構造単位(2)となる。したがって、鹸化度を調整したり、鹸化後に中和したりすることにより、脂肪酸のビニルエステルに由来する構造単位やアクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位やアクリル酸に由来する構造単位を、構造単位(3)として樹脂(a)に含有させることができる。
もちろん、重合工程における構造単位(3)の由来となる化合物(脂肪酸のビニルエステル及びアクリル酸アルキルエステルを除く)の使用量や重合度等によっても、構造単位(3)を樹脂(a)に含有させることができる。
以上のように、重合工程や鹸化工程の条件を適宜選択することにより、構造単位(1)及び構造単位(2)の含有量を、上記の範囲に調整することができる。
次に、非水電解液二次電池用セパレーター基材表面にフィラー粒子を結着させるためのバインダーとしての樹脂(a)の使用について説明する。
かかる使用は、例えば、樹脂(a)とフィラー粒子とを含有する樹脂組成物を、非水電解液二次電池用セパレーター基材の表面に塗布する工程を含む該基材の表面処理方法を実施することにより行われる。当該表面処理方法は、さらに、得られた塗布物を乾燥する工程を含むことが好ましい。かかる表面処理方法の各工程は、後述するセパレーターの製造方法の各工程と同じである。
<非水電解液二次電池用セパレーター基材の表面処理用樹脂組成物(本明細書において「樹脂組成物」と記載することがある)>
上述のとおり、本発明の樹脂組成物は樹脂(a)とフィラー粒子とを含有する。さらに、溶剤を含むことが好ましい。
フィラー粒子としては、無機物の微粒子又は有機物の微粒子が用いられる。無機物の微粒子としては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、シリカ、ハイドロタルサイト、珪藻土、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、マイカ、ゼオライト、ガラス等が挙げられる。有機物の微粒子としてはスチレン、ビニルケトン、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸メチル等の単独あるいは2種類以上の共重合体;ポリテトラフルオロエチレン、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、4フッ化エチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド等のフッ素系樹脂;メラミン樹脂;尿素樹脂;ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリメタクリレート等が挙げられる。2種類以上の微粒子や異なる粒度分布を持つ同種の微粒子を混合して、フィラー粒子として用いてもよい。フィラー粒子としては、これらの中でもアルミナが好ましい。フィラー粒子の平均粒径は3μm以下が好ましく、1μm以下がさらに好ましい。ここでいう平均粒径は、SEM(走査電子顕微鏡)観察より求めた一次粒径の平均である。
フィラー粒子の使用量は、樹脂(a)1重量部に対して、好ましくは1〜1000重量部、より好ましくは10〜100重量部である。フィラー粒子の使用量が少なすぎると、得られるセパレーターの透気度が低下し、イオンの透過が低下して電池の負荷特性が低下するおそれがある。フィラー粒子の使用量が多すぎると、得られるセパレーターの寸法安定性が低下するおそれがある。
溶剤としては、例えば水や、常圧での沸点が50〜350℃の含酸素有機化合物が挙げられる。含酸素有機化合物の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、s−ブチルアルコール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、メチルイソブチルカルビノール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン等のアルコール性水酸基を有する化合物;プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、イソブチルエーテル、n−アミルエーテル、イソアミルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソブチルエーテル、メチルn−アミルエーテル、メチルイソアミルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、エチルイソブチルエーテル、エチルn−アミルエーテル、エチルイソアミルエーテル等の飽和脂肪族エーテル化合物;アリルエーテル、エチルアリルエーテル等の不飽和脂肪族エーテル化合物;アニソール、フェネトール、フェニルエーテル、ベンジルエーテル等の芳香族エーテル化合物;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等の環状エーテル化合物;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールエーテル化合物;ギ酸、酢酸、無水酢酸、アクリル酸、クエン酸、プロピオン酸、酪酸等のモノカルボン酸化合物;ギ酸ブチル、ギ酸アミル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸第二ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ブチルシクロヘキシル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸アミル、酪酸ブチル、炭酸ジエチル、シュウ酸ジエチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、リン酸トリエチル等の有機酸エステル化合物;アセトン、エチルケトン、プロピルケトン、ブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン等のケトン化合物;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ウンデカン二酸、ピルビン酸、シトラコン酸等のジカルボン酸化合物;1,4−ジオキサン、フルフラール、N−メチルピロリドン等のその他の含酸素有機化合物;が挙げられる。
水と含酸素有機化合物とを混合した溶剤を使用してもよい。水と含酸素有機化合物との好ましい混合比は、水100重量部に対して含酸素有機化合物が0.1〜100重量部であり、より好ましくは0.5〜50重量部であり、更に好ましくは1〜20重量部である。
溶剤の使用量は、特に制限されず、後述するポリオレフィン基材への塗布を行いやすい性状が得られる様な量とすればよい。樹脂(a)1重量部に対して、好ましくは1〜1000重量部、より好ましくは2〜500重量部、更に好ましくは3〜300重量部、更により好ましくは5〜200重量部になるように溶剤を配合する。
本発明の樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、分散剤、可塑剤、界面活性剤、pH調整剤、無機塩等を含んでもよい。
これらのうち界面活性剤としては、ポリオレフィン基材への濡れ性を改善しうるものが好ましく、例えば、ノプコウェット(登録商標)50、SNウェット366(いずれもサンノプコ社製)等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、いかなる方法によって製造されてもよい。例えば、フィラー粒子と樹脂(a)とを混合した後に溶剤を加える方法;フィラー粒子と溶剤とを混合した後に樹脂(a)を加える方法;フィラー粒子、樹脂(a)及び溶剤を同時に加えて混合する方法;樹脂(a)と溶剤とを混合した後にフィラー粒子を加える方法;等が挙げられる。
<非水電解液二次電池用セパレーター(本明細書において「セパレーター」と記載することがある)>
本発明のセパレーターは、上記樹脂(a)およびフィラー粒子を含むフィラー層と、非水電解液二次電池用セパレーター基材(本明細書において「基材」と記載することがある)とを含む。具体的には、樹脂(a)及びフィラー粒子を含む層(本明細書において「フィラー層」と記載することがある)と基材層とを含む積層体であり、好ましくは基材層及びフィラー層のみからなる積層体である。
基材としては、例えば、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂、ビスコースレーヨンや天然セルロース等の抄紙、セルロースやポリエステル等の繊維を抄紙して得られる混抄紙、電解紙、クラフト紙、マニラ紙、マニラ麻シート、ガラス繊維、多孔質ポリエステル、アラミド繊維、ポリブチレンテレフタレート不織布、パラ系全芳香族ポリアミド、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデンと6フッ化プロピレンとの共重合体、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂等の不織布または多孔膜が挙げられる。
好ましくは、ポリオレフィンの多孔膜であり、重量平均分子量が5×10〜15×10の高分子量成分が含まれていることがより好ましい。ポリオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン等の単独重合体又は共重合体が挙げられる。これらのうちエチレンを主体とする共重合体又はエチレンの単独重合体が好ましく、エチレンの単独重合体、即ちポリエチレンがより好ましい。
基材の空隙率は、30〜80体積%が好ましく、さらに好ましくは40〜70体積%である。該空隙率が30体積%未満では電解液の保持量が少なくなる場合があり、80体積%を超えるとシャットダウンが生じる高温における無孔化が不十分となる場合がある。孔径は3μm以下が好ましく、1μm以下がさらに好ましい。
基材の厚みは、5〜50μmが好ましく、さらに好ましくは5〜30μmである。厚みが5μm未満であると、シャットダウンが生じる高温における無孔化が不十分となる場合があり、50μmを超えると、本発明のセパレーター全体の厚みが厚くなるため電池の電気容量が小さくなる場合がある。
かかる基材は、上記の特性を有する市販品を用いることができる。また、基材の製法は、特に限定されるものではなく、任意の公知の方法を用いることができる。例えば特開平7−29563号公報に記載されたように、熱可塑性樹脂に可塑剤を加えてフィルム成形した後、該可塑剤を適当な溶媒で除去する方法や、特開平7−304110号公報に記載されたように、熱可塑性樹脂からなるフィルムの構造的に弱い非晶部分を選択的に延伸して微細孔を形成する方法等が挙げられる。
フィラー層の厚みは0.1〜10μm以下が好ましい。厚みが5μm未満であると、シャットダウンが生じる高温における無孔化が不十分となる場合があり、10μmを超えると、得られる非水電解液二次電池の負荷特性が低下する場合がある。
本発明のセパレーターは、得られる非水電解液二次電池の性能を損なわない範囲で、基材層及びフィラー層以外に、例えば、接着層、保護層等の多孔膜層を含んでもよい。
本発明のセパレーターの透気度の値は、好ましくは50〜2000秒/100cc、より好ましくは50〜1000秒/100ccである。透気度の値が小さいほど、得られる非水電解液二次電池の負荷特性が向上する点で好ましいが、50秒/100cc未満ではシャットダウンが生じる高温における無孔化が不十分となる場合がある。透気度の値が2000秒/100ccより大きいと、得られる非水電解液二次電池の負荷特性が低下する場合がある。
<セパレーターの製造方法>
本発明のセパレーターの製造方法は、例えば、本発明の樹脂組成物を基材以外の支持体に塗布して該支持体とフィラー層とからなる積層体を得る工程、得られた積層体を乾燥させる工程、乾燥された積層体からフィラー層と支持体とを分離する工程、及び、得られたフィラー層と基材とを圧着させる工程を含む方法により実施してもよいが、本発明の樹脂組成物を基材の表面に塗布して該基材とフィラー層とからなる積層体を得る工程を含む方法により実施することが好ましい。さらに、得られた積層体を乾燥させる工程を含むことがより好ましい。本発明の樹脂組成物を基材の表面に塗布する前に、予め基材にコロナ処理を施してもよい。
本発明の樹脂組成物を、基材の表面又は基材以外の支持体に塗布する方法は、コーター(ドクターブレードともいう)による塗布、刷け塗りによる塗布等の工業的に通常行われる方法により行うことができる。フィラー層の厚さは塗布膜の厚み、樹脂組成物中の樹脂(a)の濃度、フィラー粒子と樹脂(a)との量比等を調節することによって制御することができる。基材以外の支持体としては、樹脂製のフィルム、金属製のベルト、ドラム等を用いることができる。
本発明において「積層体を乾燥させる」とは、積層体のフィラー層に主に含まれる溶剤(以下「溶剤(b)と記載することがある」を除去することを表す。かかる乾燥は、例えば、ホットプレート等の加熱装置を用いた加熱手段又は減圧装置を用いた減圧手段により、或いはこれらの手段を組み合わせて、該フィラー層から溶剤(b)を蒸発させることにより行われる。加熱手段や減圧手段の条件は、溶剤(b)の種類等に応じて、基材層の透気度を低下させない範囲で適宜選択でき、例えばホットプレートの場合、該ホットプレートの表面温度を基材層の融点以下の範囲にすることが好ましい。また、減圧手段としては、適当な減圧機の中に、積層体を封入した後、該減圧機の内部圧力を1〜1.0×10Pa程度にすればよい。また、溶剤(b)に溶解し、且つ、用いた樹脂(a)を溶解しない溶剤(以下「溶剤(c)」と記載することがある)を用いる方法も挙げられる。積層体のフィラー層を溶剤(c)中に浸漬させる。溶剤(b)が溶剤(c)に置換されるので、溶剤(b)に溶解していた樹脂(a)が析出する。次いで溶剤(c)を乾燥により除去する。
<非水電解液二次電池(以下「電池」と記載することがある)>
本発明の電池は、本発明のセパレーターを含む。以下に、本発明の電池がリチウムイオン二次電池である場合を例として、本発明のセパレーター以外の構成要素について説明するが、これらに限定されるものではない。
リチウムイオン二次電池は、例えば、電極(正極及び負極)、電解液並びにセパレーター等を含み、正極及び負極の両極においてリチウムの酸化・還元が行われ、電気エネルギーを貯蔵、放出する電池である。
(電極)
電極としては、二次電池用の正極と負極が挙げられる。電極は、通常、電極活物質及び必要に応じて導電材が、集電体の少なくとも一方の面(好ましくは両面)に、結着剤を介して塗布された状態を有する。
電極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる活物質が好ましく用いられる。電極活物質には正極活物質と負極活物質とがある。
正極活物質としては、金属複合酸化物、特にリチウム及び鉄、コバルト、ニッケル、マンガンの少なくとも1種類以上の金属を含有する金属複合酸化物等が挙げられ、好ましくは、LiMO(但し、Mは1種以上の遷移金属、好ましくはCo、MnまたはNiの少なくとも一種を表し、1.10>x>0.05である)、または、Li(式中、Mは1種以上の遷移金属、好ましくはMnを表し、1.10>x>0.05である。)を含んだ活物質が挙げられ、例えばLiCoO、LiNiO、LiNiCo(1−y)(式中、1.10>x>0.05、1>y>0である。)、LiMnで表される複合酸化物等が挙げられる。
負極活物質としては、各種の珪素酸化物(SiO等)、炭素質物質、金属複合酸化物等が挙げられ、好ましくは、アモルファスカーボン、グラファイト、天然黒鉛、MCMB、ピッチ系炭素繊維、ポリアセンなどの炭素質材料;A(式中、AはLi、MはCo、Ni、Al、Sn及びMnから選択された少なくとも一種、Oは酸素原子を表し、x、y、zはそれぞれ1.10≧x≧0.05、4.00≧y≧0.85、5.00≧z≧1.5の範囲の数である。)で表される複合金属酸化物やその他の金属酸化物などが挙げられる。
導電材としては、例えば、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、活性炭等の導電性カーボン;天然黒鉛、熱膨張黒鉛、鱗状黒鉛、膨張黒鉛等の黒鉛系導電材;気相成長炭素繊維等の炭素繊維;アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金等の金属微粒子あるいは金属繊維;酸化ルテニウムあるいは酸化チタン等の導電性金属酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子が挙げられる。
少量で効果的に導電性が向上する点で、カーボンブラック、アセチレンブラック及びケッチェンブラックが好ましい。
導電材の含有量は、電極活物質100重量部に対し、例えば、0〜50重量部であることが好ましく、0〜30重量部であることがより好ましい。
集電体の材料としては、例えば、ニッケル、アルミニウム、チタン、銅、金、銀、白金、アルミニウム合金又はステンレス等の金属、例えば、炭素素材又は活性炭繊維に、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、銅、スズ、鉛又はこれらの合金をプラズマ溶射又はアーク溶射することによって形成されたもの、例えば、ゴム又はスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)など樹脂に導電材を分散させた導電性フィルムなどが挙げられる。
集電体の形状としては、例えば、箔、平板状、メッシュ状、ネット状、ラス状、パンチング状若しくはエンボス状であるもの又はこれらを組み合わせたもの(例えば、メッシュ状平板など)等が挙げられる。
集電体表面にエッチング処理により凹凸を形成させてもよい。
結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系ポリマー;ポリブタジエン、ポリイソプレン、イソプレン−イソブチレン共重合体、天然ゴム、スチレン−1,3−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、1,3−ブタジエン−イソプレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−1,3−ブタジエン−イソプレン共重合体、1,3−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−1,3−ブタジエン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−1,3−ブタジエン−イタコン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル−1,3−ブタジエン−メタクリル酸メチル−フマル酸共重合体、スチレン−1,3−ブタジエン−イタコン酸−メタクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−1,3−ブタジエン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−1,3−ブタジエン−イタコン酸−メタクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−1,3−ブタジエン−メタクリル酸メチル−フマル酸共重合体等のジエン系ポリマー;エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテート共重合体、エチレン系アイオノマー、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、クロロスルホン化ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー;スチレン−エチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−プロピレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリル酸n−ブチル−イタコン酸−メタクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリル酸n−ブチル−イタコン酸−メタクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体等のスチレン系ポリマー;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、アクリレート−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル−アクリル酸メチル−アクリル酸−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート等のアクリレート系ポリマー;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、芳香族ポリアミド、ポリイミド等のポリアミド系又はポリイミド系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のエステル系ポリマー;カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロース等のセルロース系ポリマー(これらのアンモニウム塩やアルカリ金属塩等の塩類を含む);スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン・ブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン・ブロック共重合体、スチレン−イソプレン・ブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン・ブロック共重合体等のブロック共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体;その他メチルメタクリレート重合体等が挙げられる。
(電解液)
リチウムイオン二次電池に用いられる電解液としては、例えばリチウム塩を有機溶媒に溶解させた非水電解液などが挙げられる。リチウム塩としては、LiClO、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiBF、LiCFSO、LiN(SOCF、LiC(SOCF、Li10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩、LiAlClなどのうち1種または2種以上の混合物が挙げられる。
リチウム塩として、これらの中でもフッ素を含むLiPF、LiAsF、LiSbF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、およびLiC(CFSOからなる群から選ばれた少なくとも1種を含むものを用いることが好ましい。
上記電解液で用いる有機溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,2−ジ(メトキシカルボニルオキシ)エタンなどのカーボネート類;1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類;アセトニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;3−メチル−2−オキサゾリドンなどのカーバメート類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−プロパンサルトンなどの含硫黄化合物、または上記の有機溶媒にフッ素置換基を導入したものを用いることができるが、通常はこれらのうちの2種以上を混合して用いる。
本発明の電池の形状は、特に限定されるものではなく、ラミネート型、コイン型、円筒型、角形等が挙げられる。
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限るものではない。
以下の各実施例、比較例及び参考例において、セパレーターの各物性は、以下の方法で測定した。
(1)寸法保持率:セパレーターを5cm×5cm角の正方形に切り出し、中央に4cm角で正方形の罫書き線を描き、紙2枚の間に挟み、150℃のオーブンで1時間保持した後、取り出して正方形の寸法を測定し、寸法保持率を計算した。寸法保持率の計算方法は次の通りである。
流れ方向(MD)の加熱前の罫書き線の長さ:L1
垂直方向(TD)の加熱前の罫書き線の長さ:W1
流れ方向(MD)の加熱後の罫書き線の長さ:L2
垂直方向(TD)の加熱後の罫書き線の長さ:W2
流れ方向(MD)の寸法保持率(%)=L2/L1×100
垂直方向(TD)の寸法保持率(%)=W2/W1×100
(2)透過気度:JIS P8117に準拠
(参考例1、ポリエチレン製多孔膜)
超高分子量ポリエチレン粉末(340M、三井化学株式会社製)を70重量%、重量平均分子量1000のポリエチレンワックス(FNP−0115、日本精鑞株式会社製)30重量%、この超高分子量ポリエチレンとポリエチレンワックスの合計100重量部に対して、酸化防止剤(Irg1010、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)0.4重量部、(P168、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)0.1重量部、ステアリン酸ナトリウム1.3重量部を加え、さらに全体積に対して38体積%となるように平均粒径0.1μmの炭酸カルシウム(丸尾カルシウム株式会社製)を加え、これらを粉末のままヘンシェルミキサーで混合した後、二軸混練機で溶融混練してポリオレフィン樹脂組成物とした。該ポリオレフィン樹脂組成物を、表面温度が150℃の一対のロールにて圧延しシートを作製した。このシートを塩酸水溶液(塩酸4mol/L、非イオン系界面活性剤0.5重量%)に浸漬させることで炭酸カルシウムを除去し、続いて105℃で6倍に延伸し、コロナ処理50W/(m/分)を施してポリエチレン製多孔質膜からなる基材多孔質フィルム(厚さ16.6μm)を得た。
【実施例1】
【0006】
アルミナ微粒子(住友化学社製;商品名「AKP3000」)100重量部、ビニルアルコール−アクリル酸ナトリム共重合体(共重合比率:ビニルアルコール/アクリル酸ナトリウム=60/40)3重量部及びイソプロピルアルコール34重量部の混合物に、固形分が23重量%となるように水を添加し、得られた混合物を自転・公転ミキサーで攪拌・混合した。得られた混合物を薄膜旋回型高速ミクサー(フィルミクス(登録商標)、プライミクス(株)製)で攪拌・混合して均一なスラリーとして本発明の組成物を得た。該組成物を、参考例1で得た基材多孔質フィルムの一方の面にマルチラボコーターによって均一に塗布し、得られた塗布物を60℃の乾燥機で5分間乾燥させて、非水電解液二次電池用セパレーターを得た。
得られたセパレーターは、厚みが25.4μm、目付け7.44g/m(多孔性ポリエチレンフィルム6.72g/m、ビニルアルコール−アクリル酸ナトリム共重合体0.22g/m、アルミナ7.22g/m)であった。各物性は以下のとおり。
(1)寸法保持率:MD方向98%、TD方向98%
(2)透過気度:84秒/100cc
【実施例2】
【0007】
ビニルアルコール−アクリル酸ナトリム共重合体(共重合比率:ビニルアルコール/アクリル酸ナトリウム=70/30)2重量部を使用する以外は、実施例1と同等の方法で非水電解液二次電池用セパレーターを得た。各物性を表1に示す。
【実施例3】
【0008】
ビニルアルコール−アクリル酸ナトリム共重合体(共重合比率:ビニルアルコール/アクリル酸ナトリウム=70/30)3重量部を使用する以外は、実施例2と同様の方法で非水電解液二次電池用セパレーターを得た。各物性を表1に示す。
【実施例4】
【0009】
ビニルアルコール−アクリル酸ナトリム共重合体(共重合比率:ビニルアルコール/アクリル酸ナトリウム=50/50)2重量部を使用する以外は、実施例1と同等の方法で非水電解液二次電池用セパレーターを得た。各物性を表1に示す。
【実施例5】
【0010】
ビニルアルコール−アクリル酸ナトリム共重合体(共重合比率:ビニルアルコール/アクリル酸ナトリウム=50/50)3重量部を使用する以外は、実施例4と同様の方法で非水電解液二次電池用セパレーターを得た。各物性を表1に示す。
【実施例6】
【0011】
ビニルアルコール−アクリル酸ナトリム共重合体(共重合比率:ビニルアルコール/アクリル酸ナトリウム=20/80)3重量部を使用する以外は、実施例1と同等の方法で非水電解液二次電池用セパレーターを得た。各物性を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、ビニルアルコール−アクリル酸ナトリウム共重合体の代わりに、ポリビニルアルコール(和光純薬工業製、和光一級、平均重合度3100〜3900、鹸化度86−90mol%)を3部添加する以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池用セパレーターを得た。得られたセパレーターの物性を表1に示す。
【表1】
寸法保持率が高いほど、耐熱性に優れたセパレーターであるといえる。
【産業上の利用可能性】
【0012】
非水電解液二次電池用セパレーター基材表面にフィラー粒子を結着させるためのバインダーとして上記樹脂(a)を使用すれば、耐熱性に優れたセパレーターが得られる。かかるセパレーターを含む非水電解液二次電池は、安全性に優れる。

【手続補正書】
【提出日】2014年10月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水電解液二次電池用セパレーター基材表面にフィラー粒子を結着させるためのバインダーとしての下記樹脂(a)の使用。
樹脂(a):ビニルアルコールに由来する構造単位(1)とアクリル酸金属塩に由来する構造単位(2)とを含む共重合体であり、
前記構造単位(1)と前記構造単位(2)との合計含有量が、前記共重合体を構成する全構造単位の合計含有量に対して40mol%以上である共重合体
【請求項2】
前記樹脂(a)における前記構造単位(1)の含有量が、前記構造単位(1)と前記構造単位(2)との合計含有量に対して1〜90mol%である請求項に記載の樹脂(a)の使用。
【請求項3】
下記樹脂(a)とフィラー粒子とを含有する非水電解液二次電池用セパレーター基材の表面処理用樹脂組成物。
樹脂(a):ビニルアルコールに由来する構造単位(1)とアクリル酸金属塩に由来する構造単位(2)とを含む共重合体であり、
前記構造単位(1)と前記構造単位(2)との合計含有量が、前記共重合体を構成する全構造単位の合計含有量に対して40mol%以上である共重合体
【請求項4】
前記樹脂(a)における前記構造単位(1)の含有量が、前記構造単位(1)と前記構造単位(2)との合計含有量に対して1〜90mol%である請求項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
さらに、溶剤を含む請求項3又は4に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
下記樹脂(a)およびフィラー粒子を含むフィラー層と、非水電解液二次電池用セパレーター基材とを含む非水電解液二次電池用セパレーター。
樹脂(a):ビニルアルコールに由来する構造単位(1)とアクリル酸金属塩に由来する構造単位(2)とを含む共重合体であり、
前記構造単位(1)と前記構造単位(2)との合計含有量が、前記共重合体を構成する全構造単位の合計含有量に対して40mol%以上である共重合体
【請求項7】
前記樹脂(a)における前記構造単位(1)の含有量が、前記構造単位(1)と前記構造単位(2)との合計含有量に対して1〜90mol%である請求項に記載のセパレーター。
【請求項8】
前記非水電解液二次電池用セパレーター基材が、ポリオレフィンの多孔膜である請求項6又は7に記載のセパレーター。
【請求項9】
請求項3〜5のいずれかに記載の樹脂組成物をセパレーター基材の表面に塗布する工程を含む非水電解液二次電池用セパレーターの製造方法。
【請求項10】
さらに、得られた塗布物を乾燥させる工程を含む請求項記載の製造方法。
【請求項11】
非水電解液二次電池用セパレーター基材が、ポリオレフィン多孔膜である請求項9又は10に記載の製造方法。
【請求項12】
請求項6〜8のいずれかに記載のセパレーターを含む非水電解液二次電池。
【国際調査報告】