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再表2013-157286超電導成膜用基材及び超電導線並びに超電導線の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2013年10月24日
【発行日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】超電導成膜用基材及び超電導線並びに超電導線の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 12/06 20060101AFI20151124BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20151124BHJP
【FI】
   H01B12/06ZAA
   H01B13/00 565D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】30
【出願番号】特願2013-527815(P2013-527815)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2013年2月6日
(11)【特許番号】特許第5367927号(P5367927)
(45)【特許公報発行日】2013年12月11日
(31)【優先権主張番号】特願2012-92803(P2012-92803)
(32)【優先日】2012年4月16日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】長洲 義則
(72)【発明者】
【氏名】樋口 優
(72)【発明者】
【氏名】坂本 久樹
【テーマコード(参考)】
5G321
【Fターム(参考)】
5G321AA02
5G321AA04
5G321CA04
5G321CA18
5G321CA21
5G321CA24
5G321CA27
5G321CA41
5G321CA46
5G321DA99
5G321DB22
5G321DB37
5G321DB39
5G321DB40
5G321DB41
5G321DB46
5G321DB47
(57)【要約】
テープ状の超電導成膜用基材であって、超電導層を含む積層体を成膜するための成膜面と、前記成膜面の反対側の面である裏面と、前記成膜面と前記裏面に連なる一対の端面と、前記成膜面、前記裏面及び前記一対の端面に連なる一対の側面と、を有し、前記一対の側面が、前記成膜面の縁部から前記裏面側に向かって前記成膜面の面内方向において外側に広がる広がり面をそれぞれ含む、超電導成膜用基材が開示される。また、超電導線、及び超電導線の製造方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ状の超電導成膜用基材であって、
超電導層を含む積層体を成膜するための成膜面と、
前記成膜面の反対側の面である裏面と、
前記成膜面と前記裏面に連なる一対の端面と、
前記成膜面、前記裏面及び前記一対の端面に連なる一対の側面と、
を有し、
前記一対の側面が、前記成膜面の縁部から前記裏面側に向かって前記成膜面の面内方向において外側に広がる広がり面をそれぞれ含む、
超電導成膜用基材。
【請求項2】
前記広がり面の表面粗さは、前記成膜面の表面粗さよりも粗い、
請求項1に記載の超電導成膜用基材。
【請求項3】
前記広がり面の表面粗さは、15nm以上である、
請求項2に記載の超電導成膜用基材。
【請求項4】
前記一対の側面間の最大距離に対して、前記一対の広がり面における前記成膜面の面内方向の広がり距離の比率は、それぞれ0.005%以上7.59%以下である、
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の超電導成膜用基材。
【請求項5】
テープ状の基材本体と、
前記基材本体の少なくとも両側面を覆い、前記基材本体よりも展性が高い金属層と、
を有し、
前記一対の側面は、前記金属層に成形されている、
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の超電導成膜用基材。
【請求項6】
前記一対の側面は、超電導成膜用基材の長手方向に亘って窪んだアンカー部を含む、
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の超電導成膜用基材。
【請求項7】
前記成膜面の縁部から広がる広がり面を第1広がり面とし、
前記一対の側面は、さらに、前記裏面の縁部から前記第1広がり面に向って前記成膜面の面内方向において前記裏面の外側に広がる第2広がり面を含む、
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の超電導成膜用基材。
【請求項8】
前記一対の側面は、さらに、前記広がり面から連なり、前記裏面と垂直な垂直面を含む、
請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の超電導成膜用基材。
【請求項9】
請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の超電導成膜用基材と、
前記超電導成膜用基材の成膜面、及び前記一対の側面のうち少なくとも前記広がり面に積層した中間層と、
前記中間層の表面に積層した超電導層と、
を有する超電導線。
【請求項10】
前記超電導層は、前記成膜面に位置し超電導相となる酸化物超電導体を主体とする超電導部と、前記広がり面側に位置し常電導相となる酸化物超電導体を含む常電導部とを有する、
請求項9に記載の超電導線。
【請求項11】
前記超電導層は、前記中間層よりも前記広がり面の面内方向において外側に向かって延在し、前記中間層の端面を覆っている、
請求項9又は請求項10に記載の超電導線。
【請求項12】
超電導層を含む積層体を成膜するための成膜面と、前記成膜面と反対側の面である裏面と、前記成膜面と前記裏面に連なる一対の端面と、前記成膜面と前記裏面に連なる一対の側面とを有するテープ状の超電導成膜用基材を加工して、前記一対の側面に、前記成膜面の縁部から前記裏面側に向かって前記成膜面の面内方向において外側に広がる広がり面をそれぞれ成形する加工工程と、
前記加工工程後に、前記超電導成膜用基材の成膜面、及び前記一対の側面のうち少なくとも前記広がり面に中間層を成膜する中間層成膜工程と、
前記中間層の表面に超電導層を成膜する超電導層成膜工程と、
を有する超電導線の製造方法。
【請求項13】
前記加工工程では、テープ状の基材本体の一対の側面を、前記基材本体よりも展性が高い金属層で被覆して前記超電導成膜用基材を得る被覆工程を有し、得られた超電導成膜用基材の金属層を加工して、前記一対の側面に広がり面をそれぞれ成形する、
請求項12に記載の超電導線の製造方法。
【請求項14】
前記超電導層成膜工程の後、前記広がり面側に位置する超電導層部分を熱処理して前記広がり面側に位置する超電導層部分を非超電導化する工程を有する、
請求項12又は請求項13に記載の超電導線の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導成膜用基材及び超電導線並びに超電導線の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、テープ状で且つテープ断面が矩形状の超電導成膜用基材の成膜面上に、超電導層を成膜することにより超電導線を得る超電導線の製造方法が知られている。
【0003】
このような製造方法では、超電導層等の成膜層が、成膜面と側面との間の角部の位置を起点として、剥離する問題があった。
【0004】
そこで、特開2011−165568号公報には、超電導成膜用基材の成膜面上に第1中間層と第2中間層を順に積層した超電導線であって、第1中間層や第2中間層の剥離を抑制するため、第2中間層が第1中間層の側面及びテープ状金属基板の側面にまで延びた超電導線が開示されている。
【0005】
また、特開2004−31128号公報には、中間層や超電導層の剥離対策ではないが、成膜面の反対側の裏面の縁部から成膜面の縁部側に向かって成膜面の面内方向において外側にR形状(round shape)に広がるR面が成形されている超電導成膜用基材が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開2011−165568号公報では、超電導成膜用基材の側面が成膜面と直交するため、側面への成膜は困難であり、成膜した後の側面の堆積状態も成膜面上に比べて長手方向に亘って不均一となり易い。また、成膜面と側面の間の角部との密着が他の場所に比べて弱くなり易い。この結果、第1中間層や第2中間層を含む中間層又は超電導層が剥離する虞がある。
【0007】
また、特開2004−31128号公報のように、裏面にR面が成形されていても、成膜面にはR面が成形されていない。すなわち、成膜面と側面の間には角部があり、この角部の位置を基点として中間層又は超電導層が剥離する虞がある。
【0008】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、側面にも超電導層を確実に成膜でき、成膜された層の剥離を抑制することができる超電導成膜用基材及び超電導線並びに超電導線の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
<1> テープ状の超電導成膜用基材であって、超電導層を含む積層体を成膜するための成膜面と、前記成膜面の反対側の面である裏面と、前記成膜面と前記裏面に連なる一対の端面と、前記成膜面、前記裏面及び前記一対の端面に連なる一対の側面と、を有し、前記一対の側面が、前記成膜面の縁部から前記裏面側に向かって前記成膜面の面内方向において外側に広がる広がり面をそれぞれ含む、超電導成膜用基材。
<2> 前記広がり面の表面粗さは、前記成膜面の表面粗さよりも粗い、<1>に記載の超電導成膜用基材。
<3> 前記広がり面の表面粗さは、15nm以上である、<2>に記載の超電導成膜用基材。
<4> 前記一対の側面間の最大距離に対して、前記一対の広がり面における前記成膜面の面内方向の広がり距離の比率は、それぞれ0.005%以上7.59%以下である、<1>〜<3>の何れか1項に記載の超電導成膜用基材。
<5> テープ状の基材本体と、前記基材本体の少なくとも両側面を覆い、前記基材本体よりも展性が高い金属層と、を有し、前記一対の側面は、前記金属層に成形されている、<1>〜<4>の何れか1項に記載の超電導成膜用基材。
<6> 前記一対の側面は、超電導成膜用基材の長手方向に亘って窪んだアンカー部を含む、<1>〜<5>の何れか1項に記載の超電導成膜用基材。
<7> 前記成膜面の縁部から広がる広がり面を第1広がり面とし、前記一対の側面は、さらに、前記裏面の縁部から前記第1広がり面に向って前記成膜面の面内方向において前記裏面の外側に広がる第2広がり面を含む、<1>〜<6>の何れか1項に記載の超電導成膜用基材。
<8> 前記一対の側面は、さらに、前記広がり面から連なり、前記裏面と垂直な垂直面を含む、<1>〜<7>の何れか1項に記載の超電導成膜用基材。
【0010】
<9> <1>〜<8>の何れか1項に記載の超電導成膜用基材と、前記超電導成膜用基材の成膜面、及び前記一対の側面のうち少なくとも前記広がり面に積層した中間層と、前記中間層の表面に積層した超電導層と、を有する超電導線。
<10> 前記超電導層は、前記成膜面に位置し超電導相となる酸化物超電導体を主体とする超電導部と、前記広がり面側に位置し常電導相となる酸化物超電導体を含む常電導部とを有する、<9>に記載の超電導線。
<11> 前記超電導層は、前記中間層よりも前記広がり面の面内方向において外側に向かって延在し、前記中間層の端面を覆っている、<9>又は<10>に記載の超電導線。
<12> 超電導層を含む積層体を成膜するための成膜面と、前記成膜面と反対側の面である裏面と、前記成膜面と前記裏面に連なる一対の端面と、前記成膜面と前記裏面に連なる一対の側面とを有するテープ状の超電導成膜用基材を加工して、前記一対の側面に、前記成膜面の縁部から前記裏面側に向かって前記成膜面の面内方向において外側に広がる広がり面をそれぞれ成形する加工工程と、前記加工工程後に、前記超電導成膜用基材の成膜面、及び前記一対の側面のうち少なくとも前記広がり面に中間層を成膜する中間層成膜工程と、前記中間層の表面に超電導層を成膜する超電導層成膜工程と、を有する超電導線の製造方法。
<13> 前記加工工程では、テープ状の基材本体の一対の側面を、前記基材本体よりも展性が高い金属層で被覆して前記超電導成膜用基材を得る被覆工程を有し、得られた超電導成膜用基材の金属層を加工して、前記一対の側面に広がり面をそれぞれ成形する、<12>に記載の超電導線の製造方法。
<14> 前記超電導層成膜工程の後、前記広がり面側に位置する超電導層部分を熱処理して前記広がり面側に位置する超電導層部分を非超電導化する工程を有する、<12>又は<13>に記載の超電導線の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、側面にも超電導層を確実に成膜でき、成膜された層の剥離を抑制することができる超電導成膜用基材及び超電導線並びに超電導線の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る超電導成膜用基材を含む超電導線の斜視図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係る超電導線の製造方法の工程図である。
図3図3は、本発明の第2実施形態に係る超電導線を端面方向から見た図である。
図4図4は、本発明の第3実施形態に係る超電導線を端面方向から見た図である。
図5A図5Aは、超電導成膜用基材の一対の側面の形状の変形例を示す図である。
図5B図5Bは、超電導成膜用基材の一対の側面の形状の変形例を示す図である。
図5C図5Cは、超電導成膜用基材の一対の側面の形状の変形例を示す図である。
図5D図5Dは、超電導成膜用基材の一対の側面の形状の変形例を示す図である。
図6A図6Aは超電導層を含む積層体の積層構造の変形例を示す図である。
図6B図6Bは超電導層を含む積層体の積層構造の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る超電導成膜用基材及び超電導線並びに超電導線の製造方法を具体的に説明する。なお、各図面を通して、同一又は対応する機能を有する部材(構成要素)には同じ符号を付して適宜説明を省略する。
【0014】
<<第1実施形態>>
−超電導成膜用基材及び超電導線の概略構成−
図1は、本発明の第1実施形態に係る超電導成膜用基材を含む超電導線の斜視図である。
図1に示すように、超電導線20は、超電導成膜用基材10の厚み方向Tの一方の主面(以下、成膜面10Aという)に、中間層30、超電導層40及び安定化層50がこの順に積層した積層構造を有している。
【0015】
超電導成膜用基材10は、図中矢印L方向(以下、長手方向Lとする)に伸びるテープ状とされている。この超電導成膜用基材10は、低磁性の金属基板やセラミックス基板が用いられる。金属基板の材料としては、例えば、強度及び耐熱性に優れた、Co、Cu、Cr、Ni、Ti、Mo、Nb、Ta、W、Mn、Fe、Ag等の金属又はこれらの合金が用いられる。特に、耐食性及び耐熱性が優れているという観点からハステロイ(登録商標)、インコネル(登録商標)等のNi基合金、またはステンレス鋼等のFe基合金を用いることが好ましい。また、これら各種金属材料上に各種セラミックスを配してもよい。また、セラミックス基板の材料としては、例えば、MgO、SrTiO、又はイットリウム安定化ジルコニア等が用いられる。
【0016】
超電導成膜用基材10は、超電導層40を含む積層体を成膜するための成膜面10Aの他、成膜面10Aの反対側の面である裏面10Bと、成膜面10Aと裏面10Bに連なる一対の端面10C及び10Dとを有している。
【0017】
成膜面10Aは、略平滑な面とされており、例えば成膜面10Aの表面粗さが10nm以下とされていることが好ましい。成膜面10Aに位置する(堆積する)超電導層部分40Aの高配向度化が可能となり、もって超電導線20の超電導特性を高めることができるからである。また、成膜面10Aの表面粗さは、より超電導層40の高配向度化を図り且つ後述する広がり面12との差異を明確にするため、1nm以下0.01nm以上とされていることがより好ましい。
なお、表面粗さとは、JISB−0601−2001において規定する表面粗さパラメータの「高さ方向の振幅平均パラメータ」における算術平均粗さRaである。
【0018】
また、超電導成膜用基材10は、これら成膜面10A、裏面10B及び一対の端面10C及び10Dに連なる一対の側面10E及び10Fを有している。
【0019】
一対の側面10E及び10Fはそれぞれ、成膜面10Aの縁部から裏面10B側に向かって成膜面10Aの面内方向P(または基材の幅方向)の外側(以下、面内方向P外側と称し、基材の幅方向外側と一致する)に広がる広がり面12を含んでいる。
具体的に、本第1実施形態に係る超電導成膜用基材10では、図1に示すように、広がり面12は、一対の側面10E及び10Fの両方を指しており、成膜面10Aに対する内角が90度より大きく180度より小さい傾斜面となっている。これにより、一対の端面10C及び10Dの形状はそれぞれ、成膜面10Aが上底で裏面10Bが下底の台形状となっている。
【0020】
成膜面10Aと広がり面12とのなす内角は、広がり面12に中間層30等を成膜し易いという観点から95度以上が好ましい。また、上記内角は、一対の側面10E,10Fの成形がし易いという観点から、110度以上145度以下であることが好ましい。
【0021】
また、広がり面12の表面粗さは、広がり面12に位置する(に堆積する)超電導層部分40Bの結晶の配向度を成膜面10Aに位置するものよりも低くする又は超電導層部分40Bの結晶を無配向化するという観点やアンカー効果を発生させるという観点から、成膜面10Aの表面粗さよりも粗いことが好ましい。具体的に、広がり面12の表面粗さは、15nm以上であることが好ましく、上述したように成膜面10Aの表面粗さは10nm以下であることが好ましい。広がり面12の表面粗さが15nm未満であると、広がり面12に位置する超電導層部分40Bの結晶が配向して超電導層部分40Bが超電導化し、電流パスの起点や熱的不安定要因となる。そのため、広がり面12の表面粗さを15nm以上とすることで、広がり面12に位置する超電導層部分40Bの結晶成長を不規則にし、超電導層部分40Bを常電導化することができる。言い換えれば、広がり面12の表面粗さが15nm以上であると、広がり面12に位置する超電導層部分40Bが常電導化して臨界電流値Icの向上を図ることができるからである。
なお、「常電導化」は、「常伝導化」とも記載され、超電導体を極低温に冷やしても超電導現象を起こさないようにすることである。
【0022】
さらに、広がり面12の表面粗さは、成膜面10Aの表面粗さとの差異を明確にし、常電導化された超電導層部分40Bと超電導状態を維持した成膜面10Aに位置する超電導層部分40Aの連続性を区切るという観点から20nm以上であることがより好ましい。
さらにまた、広がり面12の表面粗さは、製造時の研磨砥粒の残りや、広がり面12と製造時に用いるサセプタやガイドロール、ガイドプーリーとの接触による微粒の飛散を介して、成膜面10Aが汚染される(間接的な表面傷を受ける)ことを抑制するという観点から、500nm以下であることが好ましい。
なお、以上説明した表面粗さは、広がり面12だけでなく、広がり面12を含む一対の側面10E,10Fにも適用することが好ましい。
【0023】
また、一対の側面10E及び10F間の最大距離D1(成膜面10Aの幅D3の長さを含む)に対して、一対の広がり面12における、成膜面10Aの面内方向Pの広がり距離D2(すなわち、広がり面の、成膜面側末端と裏面側末端との間の、成膜面の面内方向Pにおける距離であって、肩距離ともいう)の比率{(D2/D1)×100}は、それぞれ0.005%以上7.59%以下であることが好ましい。成膜面10Aの幅D3を確保しつつ、広がり距離D2を調整することで、剥離特性(具体的に広がり面12に成膜した後剥離し難いという特性)が良好となり、超電導特性(具体的に臨界電流特性)も良好になるからである。剥離特性に関しては、具体的に、上記比率が上記数値範囲内であると、評価サンプル長さ1m内で、複数箇所の剥離部分が見られるものの、剥離部分の合計の長さをより効果的に抑制することができる。
また、最大距離D1に対して広がり距離D2の比率は、0.018%以上5.00%以下であることが好ましい。上記比率が上記数値範囲内であると、評価サンプル長さ1m内で、剥離を効果的に抑制することができるからである。
さらに、より効果的に剥離を抑制するという観点から、最大距離D1に対して広がり距離D2の比率は、0.15%以上1.00%以下であることが好ましい。
【0024】
以上の超電導成膜用基材10は、単一の構成成分及び/または部材からなるものであってもよく、複数の構成成分及び/または部材からなってもよい。
例えば、図1に示すように、超電導成膜用基材10の中央部に、テープ状でその厚み方向に切ったときの断面視が矩形状とされ、超電導成膜用基材10に用いる材料として上述した材料で構成される基材本体14と、当該基材本体14の少なくとも両側面を覆い、基材本体14よりも展性が高い金属層16と、を有するようにしてもよい。
これにより、上記一対の側面10F及び10Eは、金属層16に成形することになるが、金属層16が基材本体14よりも展性が高いため、成形が容易となる。また、超電導成膜用基材10全体の展性を高くする場合に比べて、展性の低い基材本体14がある分だけ、超電導成膜用基材10の機械的強度が低下することを抑制できる。
【0025】
この金属層16の材料は、例えばAg、Cu、Ni、Cr、Mo、W、V、Au、Sn、Al及びPのうち少なくとも1種以上を含む金属が挙げられる。また、金属層16は、成形がし易いという観点から、伸び2%以上の展性を有することが好ましい。
【0026】
図1において、超電導成膜用基材10の成膜面10Aと広がり面12には、中間層30が積層している。中間層30は、超電導層40において例えば高い2軸配向性を実現するための層である。このような中間層30は、例えば、熱膨張率や格子定数等の物理的な特性値が超電導成膜用基材10と超電導層40を構成する超電導体との中間的な値を示す。また、中間層30は、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。多層構造の場合、その層数や種類は限定されないが、非晶質のGdZr7−δ(δは酸素不定比量)等を含むベッド層と、結晶質のMgO等を含みIBAD(Ion Beam Assisted Deposition)法により成形された強制配向層と、LaMnO3+δ(δは酸素不定比量)を含むLMO層と、CeO等を含むキャップ層と、を順に積層した構成となっていてもよい。
【0027】
この中間層30の表面には、超電導層40が積層している。超電導層40は、酸化物超電導体、特に銅酸化物超電導体を含んでいることが好ましい。銅酸化物超電導体としては、高温超電導体としてのREBaCu7−δ(以下、RE系超電導体と称す)が好ましい。なお、RE系超電導体中のREは、Y,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Tm,YbやLuなどの単一の希土類元素又は複数の希土類元素であり、これらの中でもBaサイトと置換が起き難い等の理由でYであることが好ましい。また、δは、酸素不定比量であって、例えば0以上1以下であり、超電導転移温度が高いという観点から0に近いほど好ましい。なお、酸素不定比量は、オートクレーブ等の装置を用いて高圧酸素アニール等を行えば、δは0未満、すなわち、負の値をとることもある。
【0028】
超電導層40は、成膜面10A上の超電導層部分40Aが、超電導相となる上記酸化物超電導体を主体とする超電導部となり、広がり面12上の超電導層部分40Bが、常電導相となる酸化物超電導体を含む常電導部となることが好ましい。超電導層部分40Bを常電導部とすることで、当該超電導層部分40Bが不要な電流パスの起点や熱的不安定要因の起点となることを抑制することができるからである。
このとき、超電導層部分40Bは予め表面粗さが15nm以上500nm以下に成形されているため、中間層30を構成する各層の結晶配向が不均一になるので、中間層30の配向性が変動する。また、中間層30がIBAD法により成形された強制配向層を有する場合、IBAD法の照射方向は、超電導成膜用基材10の成膜面10Aに対して適正な照射がなされるようにある任意の角度で調整されているため、一対の側面10E及び10Fに対する照射角度が、成膜のための適正な角度から逸脱する状態となり、中間層30の成膜状態は不均一なものとなる。以上のメカニズムにより、成膜面10Aに位置する超電導層部分40Aと広がり面12に位置する超電導層部分40Bは、異なる性質(超電導部と常電導部)に制御されることになる。
ここで、上記及び以降から説明する「主体」とは、ある層又はある部分を構成する構成成分のうち、最も多く中に含有されている成分を表す。例えば、ある層またはある部分が主体となる成分のみからなっていてもよい。
【0029】
常電導相となる酸化物超電導体は、超電導相となる酸化物超電導体よりも結晶の配向度は必然的に低くなる。
また、常電導部は、超電導成膜用基材10の組成物及び中間層30の組成物のうち少なくとも何れか一方の一部を含むことが好ましい。酸化物超電導体に上記組成物が混じることで、酸化物超電導体が確実に常電導相となり、また超電導層40と中間層30との密着性が高まるからである。
【0030】
また、超電導層40は、図1に示すように、中間層30よりも広がり面10E及び10Fの面内方向において外側に向かって延在し、中間層30の端面(図1では先端)を覆っていることが好ましい。これにより中間層30の剥離をより抑制することができる。なお、中間層30が多層構造の場合、超電導層40と同様に、超電導層40側の中間層が、超電導成膜用基材10側の中間層の端面を覆っていることが好ましい。
【0031】
安定化層50は、超電導層40の表面を覆っている。なお、安定化層50は、超電導層40と同様に、超電導層40の端面(図1では先端)を覆っていることが好ましく、超電導成膜用基材10と中間層30と超電導層40の周囲全体を覆っていることがより好ましい。
この安定化層50は、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。多層構造の場合、その層数や種類は限定されないが、銀からなる銀安定化層と、銅からなる銅安定化層を順に積層した構成となっていてもよい。
【0032】
なお、以上説明した実施形態における広がり面12に積層される積層体(中間層30、超電導層40及び安定化層50)は、広がり面12の傾斜に沿って積層されており、広がり面12と積層体との間には隙間がない。
【0033】
−超電導線の製造方法−
次に、本発明の第1実施形態に係る超電導線20の製造方法について説明する。図2は、本発明の第1実施形態に係る超電導線20の製造方法の工程図である。なお、以下の括弧内は図中のステップ識別符号である。
【0034】
(S10)まず、超電導層40を含む積層体を成膜するための成膜面10Aと、当該成膜面10Aの反対側の面である裏面10Bと、成膜面10Aと裏面10Bに連なる一対の端面10C及び10Dと、成膜面10Aと裏面10Bに連なる一対の側面10F及び10Eを有するテープ状で且つテープ断面が矩形状の超電導成膜用基材を加工する加工工程を行う。
この加工工程は、ステップS11からステップS18までの工程があるが、少なくともステップS16の側面成形工程を行えば、他の工程は省略することができる。
【0035】
以下、加工工程の各詳細工程を列挙する。
【0036】
(S11)超電導成膜用基材の成膜面10Aと裏面10Bを、機械研磨で表面粗さを改質する。
【0037】
(S12)次に、圧延機で超電導成膜用基材を圧延する。
【0038】
(S13)次に、超電導成膜用基材の平坦性をより改善するため、テンションアニーリング処理(TA処理)を行う。
【0039】
(S14)次に、超電導成膜用基材にロール圧延を施し、さらに仕上りサイズでスリット加工することで、所定の厚さ及び幅の超電導成膜用基材を得る。
【0040】
(S15)次に、超電導成膜用基材の一対の側面及び成膜面側角部を研磨する。これにより、超電導成膜用基材の一対の側面に点在し得る切断痕、せん断痕、溶断痕を削除することができる。研磨方法としては、機械研磨、電解研磨、化学研磨、それらの組合せた研磨方法を用いることができる。
【0041】
機械研磨では、研磨粒はダイヤモンド粒や酸化物粒、特に酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄などが望ましい。また、研磨液は水や界面活性剤や、油類、有機溶剤やそれらの混合物、或いは、水に蟻酸や酢酸、硝酸などの酸、或いは水に水酸化ナトリウムなどのアルカリを混合した溶液であれば良いが、特に石鹸水が望ましい。また、砥石研磨も用いることが出来る。この場合、側面の形状を最終形状に概略近似した研磨成形も可能である。
化学研磨では、研磨液は超電導成膜用基材表面と化学反応する化学溶剤であって、例えば、硝酸、硫酸、蟻酸、酢酸、塩素、フッ素、クロム過酸化水素、シュウ酸、テトラリン酸、氷酢酸などの液体、或いはその混合液で、更にその混合液に飽和アルコールやスルホン酸類などの促進剤を混合した溶液が望ましい。
化学機械研磨では、研磨粒は上記機械研磨粒でも良く、そこに化学研磨の溶液を含む研磨溶剤(スラリー)を用いる。
電解研磨では、超電導成膜用基材を電解液に浸して、超電導成膜用基材を陽極として通電して、電解反応で超電導成膜用基材表面を研磨する。この電解液は酸やアルカリで良く、特に、硝酸、リン酸、クロム酸、過酸化水素、水酸化カリウム、シアン化カリウムなどが望ましい。
【0042】
(S16)次に、超電導成膜用基材の一対の側面10F及び10Eに、成膜面10Aの縁部から裏面10B側に向かって成膜面10Aの面内方向Pにおいて外側に広がる広がり面12をそれぞれ成形する。この成形では、成形ロールと平ロール構成の組み合わせロールを用いることで側面及び成膜面側角部を所定形状にすることができる。成形ロールは、側面と成膜面側角部の成形用に用い、平ロールは成形ロールで形状が変化した幅広面(成膜面)の角部近傍の凸凹形状の成形用に用いる。
また、成形ロールは溝型であり、一体化、分割化の構造でもよい。また、成形ロールと平ロールの組み合わせを1対として、複数の対ロールをタンデムに組み合わせて広がり面12を所定の形状に成形することも可能である。
【0043】
或いは、成形前に、予め超電導成膜用基材(ここでは、基材本体14とする)の一対の側面を、基材本体よりも展性が高い金属層16で被覆して超電導成膜用基材を得る被覆工程を有し、得られた超電導成膜用基材の金属層16を加工して、その一対の側面に広がり面12をそれぞれ成形するようにしてもよい。
なお、当該被覆工程では、乾式メッキや湿式メッキ法を用いることができる。
また、超電導成膜用基材の側面及び成膜面側角部を最終形状に近似した形状に研磨により成形し、その後、側面及び角部に金属層16を被覆し、最終形状に成形する組み合わせも可能である。
また、上記ステップS15とS16は連続的なラインで、同時に行うことも可能であり、コスト低減に有効である。
【0044】
(S17)成形ロールと平ロールで側面形状を成形された基板は、直線性が変化する場合がある。この時、基板の平坦性を回復するため、再度TA処理を行う。なお、このTA条件は超電導成膜用基材の要求される平坦性で決定される条件である。
【0045】
(S18)次に、成膜面側の表面を精密研磨で研磨する。この精密研磨は電解研磨、機械研磨、化学研磨のいずれの方法でもよい。
なお、精密研磨前の側面と角部には突起物がなく、滑らかな傾斜のため、研磨ライン、研磨布の破損や、電界集中が軽減され、研磨の一様性が向上し、精密研磨コストの低減効果がある。
以上のS11〜S18の加工工程を経ることにより、本第1実施形態に係る超電導成膜用基材10が得られる。なお、以上のS11〜S18のうち、S16以外の工程は省略することもできる。
【0046】
(S20)次に、超電導成膜用基材10の成膜面10A側に中間層30を成膜する中間層成膜工程を行う。
この中間層成膜工程では、中間層30を、精密研磨により形成された高い平坦性を有する超電導成膜用基材10の成膜面10A上だけでなく、一対の側面10E及び10F上にも成膜する。このとき、一対の側面10E 及び10Fには、成膜面10Aの縁部から裏面10B側に向かって成膜面10Aの面内方向Pにおいて外側に広がる広がり面12が成形されているので、一対の側面10E及び10F上にも中間層30を確実に成膜することができる。
中間層30の成膜方法としては、例えばスパッタリング法やIBAD法等が挙げられる。
【0047】
(S30)次に、中間層30の表面に超電導層40を成膜する超電導層成膜工程を行う。このとき、一対の側面10E及び10Fには、成膜面10Aの縁部から裏面10B側に向かって成膜面10Aの面内方向Pにおいて外側に広がる広がり面12が成形されているので、一対の側面10E及び10Fにも超電導層40を確実に成膜することができる。
超電導層40の形成(成膜)方法としては、例えばTFA−MOD法、PLD法、CVD法、MOCVD法、またはスパッタリング法などが挙げられる。例えば、スパッタリング法では、中間層30表面の法線方向から、ターゲット粒子を中間層30の幅より広い範囲で照射・堆積することで、中間層30の角部(端部)を覆うように超電導層40を成膜することができる。なお、中間層30表面に対する照射角度を法線方向に対して、幅方向に角度を増減する位置に調整することで、中間層30の端面等に超電導層40をより確実に成膜することもできる。
【0048】
このとき、広がり面12上に形成された超電導層部分40Bを、レーザー照射や部分アニール等で局所的に熱処理し、各層間及び超電導成膜用基材の拡散を強制的に行うことが好ましい。これにより、超電導層部分40Bを非超電導化する、つまり超電導層部分40Bを常電導化することができ、また超電導層部分40Bと中間層30の密着度が増し、剥離を更に抑制することができるからである。
【0049】
(S40)次に、少なくとも超電導層40の表面に安定化層50を成膜する安定化層成膜工程を行う。安定化層50の形成(成膜)方法としては、例えばスパッタリング法を用いることができる。
このスパッタリング法では、超電導層40の成膜と同様に、超電導層40表面の法線方向から、ターゲット粒子を超電導層40の幅より広い範囲で照射・堆積したり、幅方向に角度を増減する位置に調整したりすることができる。
【0050】
以上により、本発明の第1実施形態に係る超電導線20を得ることができる。
この超電導線20は、成膜面10Aだけでなく広がり面12にも中間層30や超電導層40(積層体)があるため、成膜面10Aにのみ積層体がある場合に比べて、積層体の剥離を抑制することができる。
【0051】
<<第2実施形態>>
次に、本発明の第2実施形態に係る超電導線について説明する。図3は、本発明の第2実施形態に係る超電導線120を端面方向から見た図である。
【0052】
超電導線120は、超電導成膜用基材110の成膜面110Aに、中間層30、超電導層40及び安定化層50がこの順に積層した積層構造を有している。
この超電導成膜用基材110は、超電導層40を含む積層体を成膜するための成膜面110Aの他、成膜面110Aの反対側の面である裏面110Bと、成膜面110Aと裏面110Bに連なる一対の端面(図中では一方の端面110Cのみ記載)と、これら成膜面110A、裏面110B及び一対の端面(図中では一方の端面110Cのみ記載)に連なる一対の側面110E及び110Fを有している。
【0053】
一対の側面110E及び110Fはそれぞれ、成膜面110Aの縁部から裏面110B側に向かって成膜面110Aの面内方向P(または基材の幅方向)において外側に広がる広がり面112と、当該広がり面112から連なり、裏面110Bと直交する直交面114とを含んでいる。
本第2実施形態では、広がり面112は、一対の側面110E及び110Fの成膜面側縁部がR形状となっている部分を指す。
この広がり面112は、広がり面12と同様に構成することができる。
例えば一対の側面110E及び110F間の最大距離D1(成膜面110Aの幅D3の長さを含む)に対して、一対の広がり面112の、成膜面Aの面内方向Pにおける広がり距離D2(すなわち、広がり面の、成膜面側末端と裏面側末端との間の、成膜面の面内方向Pにおける距離)の比率{(D2/D1)×100}は、それぞれ0.005%以上7.59%以下であることが好ましい。また、最大距離D1に対して広がり距離D2の比率は、0.018%以上5.00%以下であることが好ましい。さらに、最大距離D1に対して広がり距離D2の比率は、0.15%以上1.00%以下であることが好ましい。
【0054】
なお、その他各構成の詳細は、第1実施形態と同様なので説明を省略する。
【0055】
以上、本第2実施形態に係る超電導成膜用基材110によれば、R形状の広がり面112があることで、一対の側面110E及び110Fにも中間層30や超電導層40を確実に成膜でき、これらの剥離を抑制することができる。
また、超電導成膜用基材110は直交面114を含んでいるので、第1実施形態に比べて、成膜面110Aを確保しつつ、超電導成膜用基材110の全体幅を小さくすることができる。
なお、第2実施形態では、中間層3等の積層体は広がり面112だけでなく、直交面114にも積層していてもよい。
【0056】
<<第3実施形態>>
次に、本発明の第3実施形態に係る超電導線について説明する。図4は、本発明の第3実施形態に係る超電導線220を端面方向から見た図である。
【0057】
超電導線220は、超電導成膜用基材210の成膜面210Aに、中間層30、超電導層40及び二層の安定化層50(一層目を第1安定化層52とし、二層目を第2安定化層54とする)が順に積層した積層構造を有している。なお、第3実施形態では、第1安定化層52は超電導成膜用基材210の周囲一部を覆っているのに対し、第2安定化層54は超電導成膜用基材210の周囲全体を覆っているが、共に超電導成膜用基材210の周囲全体を覆ってもよい。
この超電導成膜用基材210は、超電導層40を含む積層体を成膜するための成膜面210Aの他、成膜面210Aの反対側の面である裏面210Bと、成膜面210Aと裏面210Bに連なる一対の端面(図中では一方の端面210Cのみ記載)と、これら成膜面210A、裏面210B及び一対の端面210Cに連なる一対の側面210E及び210Fを有している。
【0058】
一対の側面210E及び210Fはそれぞれ、成膜面210Aの縁部から裏面210B側に向かって成膜面210Aの面内方向P(または基材の幅方向)において外側に広がる第1広がり面212と、裏面210Bの縁部から第1広がり面212側に向って成膜面210Aの面内方向Pにおいて裏面210Bの外側に広がる第2広がり面214とを含んでいる。
第3実施形態では、これら第1広がり面212と第2広がり面214は共にR形状となって連なっている。すなわち、一対の側面210E及び210Fの形状が円弧状となっている。
また、これら第1広がり面212と第2広がり面214は、広がり面12と同様に構成することができる。
例えば一対の側面210E及び210F間の最大距離D1に対して、一対の第1広がり面212の、成膜面の面内方向Pにおける広がり距離D2(すなわち、第1広がり面の、成膜面側末端と裏面側末端との間の、成膜面の面内方向Pにおける距離)の比率{(D2/D1)×100}は、それぞれ0.005%以上7.59%以下であることが好ましい。また、最大距離D1に対して広がり距離D2の比率は、0.018%以上5.00%以下であることが好ましい。さらに、最大距離D1に対して広がり距離D2の比率は、0.15%以上1.00%以下であることが好ましい。
【0059】
なお、その他各構成の詳細は、第1実施形態と同様なので説明を省略する。
【0060】
以上、本第3実施形態に係る超電導成膜用基材210によれば、R形状の第1広がり面212があることで、一対の側面210E,210Fにも中間層30や超電導層40を確実に成膜でき、これらの剥離を抑制することができる。
また、R形状の第2広がり面214があることで、超電導成膜用基材210の周囲全体を覆う第2安定化層54を、裏面210B縁部付近に対してより確実に成膜できる。
【0061】
<<変形例>>
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであり、例えば上述の複数の実施形態は、適宜、組み合わされて実施可能である。また、以下の変形例を、適宜、組み合わせてもよい。
【0062】
例えば、超電導成膜用基材の一対の側面の形状は広がり面があれば特に限定されず、図5A図5Dに示すような形状であってもよい。
【0063】
図5Aに示す超電導成膜用基材310は、成膜面310Aと裏面310Bと一対の側面310E及び310Fを有している。一対の側面310E及び310Fはそれぞれ、成膜面310A縁部から裏面310B側に向かって成膜面の面内方向(または基材の幅方向)おいて外側に傾斜した広がり面312と、広がり面312と裏面310Bに連なり、当該裏面310Bと直交する直交面314を有している。
【0064】
図5Bに示す超電導成膜用基材410は、成膜面410Aと裏面410Bと一対の側面410E及び410Fを有している。一対の側面410E及び410Fはそれぞれ、成膜面410Aから裏面410B側に向かって成膜面410Aの面内方向(または基材の幅方向)において外側に傾斜した第1広がり面412と、当該第1広がり面412に連なり、当該裏面410Bと垂直な垂直面414と、当該垂直面414と裏面410Bに連なり、裏面410Bから成膜面410A側に向かって成膜面410Aの面内方向において外側に傾斜した第2広がり面416を有している。
【0065】
図5Cに示す超電導成膜用基材510は、成膜面510Aと裏面510Bと一対の側面510E及び510Fを有している。一対の側面510E及び510Fはそれぞれ、成膜面510A縁部から裏面510B側に向かって成膜面510Aの面内方向(または基材の幅方向)において外側に傾斜した第1広がり面512と、当該第1広がり面512と裏面510Bに連なり、裏面510B縁部から成膜面510A側に向かって成膜面510Aの面内方向において外側に傾斜した第2広がり面514を有している。
【0066】
図5Dに示す超電導成膜用基材610は、成膜面610Aと裏面610Bと一対の側面610E及び610Fを有している。一対の側面610E及び610Fはそれぞれ、成膜面610AからR形状に広がった第1広がり面612と、当該第1広がり面612に連なり成膜面610Aの面内方向(または基材の幅方向)において内側に傾斜した傾斜面614と、当該傾斜面614に連なり成膜面610Aの面内方向(または基材の幅方向)において外側に傾斜した傾斜面616と、当該傾斜面616と裏面610Bに連なり、当該裏面610BからR形状に広がった第2広がり面618を有している。
この一対の側面610E及び610Fには、傾斜面614と傾斜面616とで、側面中央部が長手方向L(図1参照)に亘って窪んだアンカー部620が形成される。このアンカー部620に、超電導層40を含む積層体を積層させることにより、積層体の剥離がより一層抑制できるようになる。
【0067】
また、超電導層40を含む積層体は、それぞれ下層の端面まで覆う構成としたが、図6Aに示すように、下層の端面まで覆わない構成であってもよい。また、図6Bに示すように、安定化層50のみが超電導層40や中間層30の端面まで覆うようにしてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、超電導線20、120または220が中間層30や安定化層50を有する場合を説明したが、中間層30や安定化層50は省略してもよい。
【実施例】
【0069】
以下に、本発明に係る超電導成膜用基材及び超電導線並びに超電導線の製造方法について、実施例により説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0070】
<<実施例1>>
実施例1に係る超電導成膜用基材及び超電導線を以下のように作製した。
まず、ハステロイ素材0.3mmt×75mm幅×350m(BA(bright annealing)材:表面粗さ約Ra50nm)の両面を機械研磨で表面粗さRaを30nm程度に改質した。
次に、このテープ基材を用いて、ロール径Φ20mmの12段圧延機で0.1mmt×75mm幅×1050mのテープ基材を製造した。
このときの圧延の最終仕上がりテープ基材表裏面の表面粗さをRaで約9nmの鏡面仕上げとした。
【0071】
次いで、テープ基材の平坦性を改善するため、790℃で20秒の保持条件で、6kgf/mmの張力を印加し、アルゴンガスと水素の混合気体の雰囲気で熱処理した(TA(tension annealing)処理)。
このようにしてテープ基材にロール圧延を施し、更に、仕上りサイズでスリット加工することで、厚さ100μm幅10mm×1050m×6条のテープに仕上げた。圧延工程の加工率は60%以上を確保した。
このときのスリットは、圧延時の表面を、スリット後の10mm幅6条すべての表面になるようにスリット面を統一した方向で行った。この場合、スリットにより発生したカエリの出側方向を10mm幅の裏面方向に統一できるので、側面の形状制御性が高く、有意である。カエリが交互方向に出るスリット工法でも側面成形は可能であるが、表裏を反転させるなど作業が煩雑になる場合がある。
【0072】
次いで、スリットして得られた超電導層成膜基材の側面と角部を機械研磨で研磨し、側面と角部に点在している、切断痕、せん断痕等を研磨で除去し、側面部のRaを約50nm程度に仕上げた。研磨は(600番)の砥石研磨で行った。
【0073】
次いで、超電導層成膜基材の一対の側面が、成膜面(表面)の縁部から裏面側に向かって成膜面の面内方向において外側に広がる広がり面をそれぞれ含むように、1組の成形ロールと1組の上下平ロールの組み合わせロールで一対の側面の成形を行った。本実施例では、広がり面がR形状となり、側面全体が図4に示すようなU字形状となるように成形した。
【0074】
次いで、成形ロールと平ロールで側面形状が成形された超電導層成膜基材は、直線性が変化していた。したがって、超電導層成膜基材の平坦性を回復するため、再度TA処理を施した。このTA処理では具体的に、1回目の温度よりやや低めの650℃で30秒保持する条件及び4kgf/mmの張力印加条件で、アルゴンガスと水素の混合気体の雰囲気で熱処理した。
【0075】
次いで、成膜面側の表面を精密研磨(機械研磨工程)で研磨した。
【0076】
以上により、本実施例1に係る超電導成膜用基材を得た。
【0077】
なお、本実施例1に係る超電導成膜用基材の表面、裏面、及び一対の側面の粗さRaを、原子間力顕微鏡(AFM)で求めたところ、それぞれ8.9nm、9.4nm、及び38.7nmであった。また、超電導成膜用基材について引っ張り試験を室温で行ったところ、0.2%耐力は1.6GPaであった。したがって、高強度、低磁性、高性能な超電導成膜用基材を製作することができた。
また、一対の側面間の最大距離D1に対して、1つの広がり面の、成膜面の面内方向P(または基材の幅方向)の広がり距離D2(すなわち、広がり面の、成膜面側末端と裏面側末端との間の、成膜面の面内方向Pにおける距離であって、肩距離ともいう)の比率{(D2/D1)×100}は、0.005%であった。
【0078】
次に、本実施例1に係る超電導成膜用基材の表面(成膜面)及び広がり面に、中間層を成膜した。本実施例1では、中間層として、スパッタリング法により非晶質のGdZr7−δ(δは酸素不定比量)層(ベッド層)と、IBAD法により結晶質のMgO層(強制配向層)と、スパッタリング法によりLaMnO3+δ層(LMO層)と、スパッタリング法によりCeO層(キャップ層)と、を順に成膜した。このとき、中間層は広がり面のR形状に沿って積層していった。中間層の全体の厚みは0.6μmtだった。なお、成膜条件の詳細は省略する。
【0079】
次に、中間層を覆うように、超電導層として、PLD法を用いて、厚さ約1μmtのYBaCu7−δ層を形成した。
【0080】
次に、超電導層を覆うように、高周波スパッタ装置を用いて厚さ約10μmtの銀を蒸着して銀安定化層を形成した。その後、酸素雰囲気下550℃で酸素アニールを行った。
【0081】
そして、銀安定化層を有した超電導成膜用基材の周囲全体に、厚さ約40μmtの銅安定化層をメッキ法で形成した。
【0082】
以上により、本実施例1に係る超電導線を得た(図4参照)。
【0083】
<<実施例2〜19>>
実施例2〜19に係る超電導成膜用基材及び超電導線は、実施例1と同一の方法で作製した。ただし、一対の側面間の最大距離D1に対して、1つの広がり面の成膜面の面内方向P(または基材の幅方向)における広がり距離D2(すなわち、広がり面の、成膜面側末端と裏面側末端との間の、成膜面の面内方向Pにおける距離であって、肩距離ともいう)の比率{(D2/D1)×100}がそれぞれ以下の値となるように、広がり面を成形した。
実施例2:0.010%、実施例3:0.018%、実施例4:0.044%、実施例5:0.10%、実施例6:0.150%、実施例7:0.176%、実施例8:0.466%、実施例9:0.50%、実施例10:1.00%、実施例11:1.43%、実施例12:2.14%、実施例13:5.00%、実施例14:5.61%、実施例15:7.59%、実施例16:11.43%、実施例17:28.64%、実施例18:47.74%、実施例19:49.95%。
【0084】
<<比較例1>>
次に、比較例1に係る超電導成膜用基材及び超電導線を、実施例1と同様の方法で作製した。ただし、図2に示すS16の側面成形は行わなかった。したがって、肩距離の比率は0%である。
【0085】
<<超電導特性の評価方法>>
次に、得られた各実施例及び比較例の超電導線について、超電導特性の評価を行った。
超電導特性の評価では、各超電導線を200m分それぞれ液体窒素に浸漬した状態で、四端子法を用いて臨界電流Icを測定した。測定は1mピッチとし、電圧端子は1.2mとした。
【0086】
<<剥離特性の評価方法>>
次に、得られた各実施例及び比較例の超電導線について、剥離特性の評価を行った。
この剥離特性では、超電導線の中間層、超電導層及び安定化層の密着状態を曲げ試験法にて確認した。
具体的に、曲げ試験では、安定化層まで形成された超電導線(厚みt=0.2mm)に対し、円柱状物(直径φ=10mm)を用いて、超電導線の長手方向を円柱状物の外周面の湾曲に沿うように、超電導線の表裏の両方向に対して1回ずつ曲げひずみε=2%(ε=t/φ)を与えて、超電導線の側面および、表層における剥離状態を評価した。この時の曲げ試験は、超電導線に対して張力を印加しない無張力条件下で行った。
【0087】
<<評価結果>>
以下の表1及び表2に、肩距離の比率を変化させたときの超電導特性と剥離特性の評価結果を示す。
なお、表中には肩距離の比率と合わせて、肩距離の絶対値も記載している。
また、表1及び表2において、超電導特性のAは、すべての測定点の範囲で臨界電流値が300Aを超え、その最大値と最小値の差が10A以内のバラツキ範囲内である超電導特性が確認されたものを指す。超電導特性のBはすべての測定点の範囲で臨界電流値が250Aを超え、その最大値と最小値の差が30A以内のバラツキ範囲内である超電導特性が確認されたものを指す。超電導特性のCはすべての測定点の範囲で臨界電流値が150Aを超え、その最大値と最小値の差が50A以内のバラツキ範囲内である超電導特性が確認されたものを指す。
また、表1及び表2において、剥離特性のAは評価サンプル長さ1mの範囲で、剥離箇所が確認されないものを指す。剥離特性のBは評価サンプル長さ1mの範囲で、一箇所以内の僅かな剥離が確認されたものを指す。剥離特性のCは評価サンプル長さ1mの範囲で、複数個所の剥離状態が確認されるものの、剥離部分の合計の長さが0.5m未満、すなわち評価サンプル長さの半分未満となるものを指す。剥離特性のDは評価サンプル長さ1m内で、複数個所の剥離状態が確認され、剥離部分の合計の長さが0.5m以上、すなわち評価サンプル長さの半分以上確認されたものを指す。
【0088】
【表1】

【0089】
【表2】

【0090】
剥離特性に関しては、具体的に、肩距離の比率が0.005%以上のとき、評価サンプル長さ1m内で、複数箇所の剥離部分が見られるものの、剥離部分の合計の長さを0.5m未満、すなわち評価サンプル長さの半分未満に抑制することができた。また、肩距離の比率が、0.018%以上5.00%以下の範囲内であると、評価サンプル長さ1m内で、剥離の個数を1箇所以内に抑制することができた。さらに、肩距離の比率が0.15%以上1.00%以下の範囲内であると、評価サンプル長さ1m内で、剥離がなかった。
表1及び表2に示す結果から、まず、肩距離のある実施例1〜19の方が、肩距離のない比較例1に比べて、剥離特性が向上していることが分かった。ただし、超電導特性までも考慮すると、0.005%以上7.59%以下であることが好ましいことが分かった。
なお、肩距離の比率が7.59%超で超電導特性が悪化したのは、肩距離の幅方向の占める割合が大きくなり、超電導特性の有効幅が減少したからだと考えられる。また、肩距離の比率が0.005%未満で剥離特性が悪化したのは、スリット上がりの矩形状基材の成膜後の形態に近似するので、側面からの層剥離の事象が起きやすくなったからだと考えられる。
【0091】
また、表1及び表2に示す結果から、肩距離の比率は、0.018%以上5.00%以下であることが好ましく、0.15%以上1.00%以下であることがより好ましいことが分かった。なお、本実施例は図4の形状に基づき評価を行ったが、この形状に限定されることなく、他の実施形態においても肩距離の比率により剥離特性が向上することを確認した。
【0092】
日本出願第2012−092803の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
図4
図1
図2
図3
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
【国際調査報告】