特表-13168291IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2013年11月14日
【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】熱伝導性シリコーングリース組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/08 20060101AFI20151201BHJP
   C10M 107/50 20060101ALI20151201BHJP
   C10M 141/06 20060101ALI20151201BHJP
   C08L 83/07 20060101ALI20151201BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20151201BHJP
   C08L 83/06 20060101ALI20151201BHJP
   C08K 5/3495 20060101ALI20151201BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20151201BHJP
   C10N 40/00 20060101ALN20151201BHJP
   C10N 50/10 20060101ALN20151201BHJP
【FI】
   C09K5/00 E
   C10M107/50
   C10M141/06
   C08L83/07
   C08L83/05
   C08L83/06
   C08K5/3495
   C10N30:00 Z
   C10N40:00 Z
   C10N50:10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
【出願番号】特願2014-514336(P2014-514336)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2012年5月11日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区大手町二丁目6番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100079304
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100114513
【弁理士】
【氏名又は名称】重松 沙織
(74)【代理人】
【識別番号】100120721
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 克成
(74)【代理人】
【識別番号】100124590
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100157831
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 克彦
(72)【発明者】
【氏名】辻 謙一
【住所又は居所】群馬県安中市松井田町人見1番地10 信越化学工業株式会社シリコーン電子材料技術研究所内
(72)【発明者】
【氏名】山田 邦弘
【住所又は居所】群馬県安中市松井田町人見1番地10 信越化学工業株式会社シリコーン電子材料技術研究所内
(72)【発明者】
【氏名】木崎 弘明
【住所又は居所】群馬県安中市松井田町人見1番地10 信越化学工業株式会社シリコーン電子材料技術研究所内
(72)【発明者】
【氏名】松本 展明
【住所又は居所】群馬県安中市松井田町人見1番地10 信越化学工業株式会社シリコーン電子材料技術研究所内
【テーマコード(参考)】
4H104
4J002
【Fターム(参考)】
4H104CJ08C
4H104CJ10A
4H104LA20
4H104PA50
4H104QA18
4J002CP032
4J002CP043
4J002CP053
4J002CP141
4J002DA096
4J002DA098
4J002DE107
4J002EC039
4J002EU189
4J002EX019
4J002EX039
4J002FD016
4J002FD017
4J002FD018
4J002FD206
4J002FD207
4J002FD208
4J002GQ00
4J002GQ05
(57)【要約】
本発明は、(A)1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する、25℃の動粘度が5,000〜100,000mm2/sのオルガノポリシロキサン、
(B)下記一般式(1)

(R1は炭素数1〜6のアルキル基であり、aは5〜100の整数である。)
で表される片末端3官能の加水分解性メチルポリシロキサン、
(C)10W/m・℃以上の熱伝導率を有する熱伝導性充填材、
(D)1分子中に2個以上5個以下のケイ素原子に直結した水素原子(Si-H基)を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(E)1分子中にトリアジン環及び少なくとも1つのアルケニル基を有する接着助剤、
(F)白金及び白金化合物からなる群より選択される触媒
を含有してなり、高温加熱時の硬度上昇が少なく、伸びの減少が抑制された熱伝導性シリコーングリース組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する、25℃の動粘度が5,000〜100,000mm2/sのオルガノポリシロキサン:
100質量部、
(B)下記一般式(2)
【化1】

(R2は炭素数1〜6のアルキル基であり、bは5〜100の整数である。)
で表される片末端3官能の加水分解性メチルポリシロキサン:
10〜90質量部、
(C)10W/m・℃以上の熱伝導率を有する熱伝導性充填材:
500〜1,500質量部、
(D)1分子中に2個以上5個以下のケイ素原子に直結した水素原子(Si−H基)を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:
{Si−H基の個数}/{(A)成分のアルケニル基の個数}が
1.7〜2.8になる配合量、
(E)1分子中にトリアジン環及び少なくとも1つのアルケニル基を有する接着助剤:
0.05〜0.5質量部、
(F)白金及び白金化合物からなる群より選択される触媒:
白金原子として(A)成分の
0.1〜500ppmとなる配合量
を含有してなることを特徴とする熱伝導性シリコーングリース組成物。
【請求項2】
(G)アセチレン化合物、窒素化合物、有機りん化合物、オキシム化合物及び有機クロロ化合物より選択される制御剤を(A)成分100質量部に対し0.05〜0.5質量部含有する請求項1記載の熱伝導性シリコーングリース組成物。
【請求項3】
熱硬化性シリコーングリース組成物を150℃で90分間硬化して得られたシートについてJIS K6251に記載の方法に従って測定した際の切断時伸びが100%以上であり、2mm厚みのシートに成形し150℃において1,000時間エージングを行った後の切断時伸びが80%以上であることを特徴とする熱伝導性シリコーングリース組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化後に高温での加熱エージングを行った際の硬度上昇が少なく、伸びの低下が少ない熱伝導性シリコーングリース組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIやICチップ等の電子部品は、使用中の発熱及びそれによる性能の低下が広く知られており、これを解決するための手段として様々な放熱技術が用いられている。一般的な方法としては、発熱部の付近に冷却部材を配置し、両者を密接させたうえで冷却部材から効率的に除熱することにより放熱を行っている。その際、発熱部材と冷却部材との間に隙間があると、熱伝導性の悪い空気が介在することにより、熱伝導が効率的でなくなるために発熱部材の温度が十分に下がらなくなってしまう。このような現象を防止するために、空気の介在を防ぐ目的として、熱伝導率がよく、部材の表面に追随性のある放熱材料、放熱シートや放熱グリースが用いられている(特許第2938428号公報、特許第2938429号公報、特許第3952184号公報:特許文献1〜3)。
【0003】
放熱グリースの中には、半導体チップとヒートスプレッダーを強固に接着させるために接着性能を付与したようなものがある。半導体チップとヒートスプレッダーの間にグリースが介在しないようになってしまうと、放熱性能が十分でなくなり、著しい性能の低下を及ぼすため、半導体チップとヒートスプレッダーを強固に接着させることは重要である。しかし、これらの材料は接着力が強い反面、使用中の高温でのエージングによって材料の硬度が上昇してしまうことが多々見受けられる。硬度上昇に伴い、材料の伸びは低くなってしまうため、発熱⇔冷却の熱履歴によるチップの歪みに追従できなくなって剥離してしまったり、最悪の場合チップの破損につながる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2938428号公報
【特許文献2】特許第2938429号公報
【特許文献3】特許第3952184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、従来技術と比較して、硬化後に高温での加熱エージングを行った際の硬度上昇が少なく、伸びの低下が少ない熱伝導性シリコーングリース組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、下記(A)〜(F)成分を含有する熱伝導性シリコーングリース組成物が、高温での加熱エージングを行った際の硬度上昇が少なく、伸びの低下が少ない硬化物を与えることを見出し、本発明をなすに至った。
【0007】
従って、本発明は、
(A)1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する、25℃の動粘度が5,000〜100,000mm2/sのオルガノポリシロキサン:
100質量部、
(B)下記一般式(2)
【化1】

(R2は炭素数1〜6のアルキル基であり、bは5〜100の整数である。)
で表される片末端3官能の加水分解性メチルポリシロキサン:
10〜90質量部、
(C)10W/m・℃以上の熱伝導率を有する熱伝導性充填材:
500〜1,500質量部、
(D)1分子中に2個以上5個以下のケイ素原子に直結した水素原子(Si−H基)を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:
{Si−H基の個数}/{(A)成分のアルケニル基の個数}が
1.7〜2.8になる配合量、
(E)1分子中にトリアジン環及び少なくとも1つのアルケニル基を有する接着助剤:
0.05〜0.5質量部、
(F)白金及び白金化合物からなる群より選択される触媒:
白金原子として(A)成分の
0.1〜500ppmとなる配合量
を含有してなる熱伝導性シリコーングリース組成物を提供する。
この場合、(G)アセチレン化合物、窒素化合物、有機りん化合物、オキシム化合物及び有機クロロ化合物より選択される制御剤を(A)成分100質量部に対し0.05〜0.5質量部含有させることができる。
また、熱伝導性シリコーングリース組成物として、150℃で90分間硬化後のシートについてJIS K6251に記載の方法に従って測定した際の切断時伸びが100%以上であり、2mm厚みのシートに成形し150℃において1,000時間エージングを行った後の切断時伸びが80%以上である熱伝導性シリコーングリース組成物が好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の熱伝導性シリコーングリース組成物は、高温加熱時の硬度上昇が少なく、伸びの減少が抑制されるものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の熱伝導性シリコーングリース組成物は、
(A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、
(B)加水分解性メチルポリシロキサン、
(C)熱伝導性充填材、
(D)オルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(E)トリアジン環及びアルケニル基含有接着助剤、
(F)白金系触媒
を必須成分として含有し、更に必要により、
(G)付加反応制御剤
を含有する。
【0010】
(A)成分
本発明を構成する(A)成分のオルガノポリシロキサンは、ケイ素原子に直結したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有するもので、下記式(1)
1aSiO(4-a)/2 (1)
(式中、R1は互いに同一又は異種の炭素数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、aは1.5〜2.8、好ましくは1.8〜2.5、より好ましくは1.95〜2.05の正数である。)
で示されるものを用いることができる。
【0011】
ここで、上記R1で示されるケイ素原子に結合した非置換又は置換の1価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プルピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられるが、全R1の90モル%以上がメチル基であることが好ましい。
【0012】
また、全R1のうち少なくとも2個はアルケニル基(炭素数2〜8のものが好ましく、更に好ましくは2〜6であり、特に好ましくはビニル基である。)であることが必要である。なお、アルケニル基の含有量は、オルガノポリシロキサン中2.0×10-5〜1.0×10-4mol/g、特に2.0×10-5〜6.0×10-5mol/gとすることが好ましい。アルケニル基の量が2.0×10-5mol/gより少ないと組成物の進展性が悪くなる場合があり、また1.0×10-4mol/gより多いと組成物の硬化後の加工エージング中の硬度上昇が大きくなって伸びが減少してしまう場合がある。このアルケニル基は、分子鎖末端のケイ素原子に結合していても、分子鎖途中のケイ素原子に結合していても、両者に結合していてもよい。
このオルガノポリシロキサンの構造は、通常、主鎖が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状構造を有するが、部分的には分岐状の構造、環状構造などであってもよい。
【0013】
(A)成分の25℃における動粘度は5,000mm2/sより低いと組成物の硬化後の加熱エージング中の硬度上昇が大きくなって伸びが減少してしまうし、100,000mm2/sより大きくなると得られる組成物の進展性が悪くなるため、5,000〜100,000mm2/sの範囲であり、好ましくは10,000〜100,000mm2/sである。なお、この動粘度は、ウベローデ型オストワルド粘度計による測定値である。
【0014】
(A)成分の例としては、両末端ジメチルビニルシリル基封鎖ジメチルポリシロキサン等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
(B)成分
本発明で用いられる(B)成分は、下記一般式(2)
【化2】
(R2は炭素数1〜6のアルキル基であり、bは5〜100の整数である。)
で表される片末端3官能の加水分解性メチルポリシロキサンである。
【0016】
2は炭素数1〜6のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。また、(B)成分の上記一般式(2)で表される片末端3官能の加水分解性メチルポリシロキサンのbは、5より小さくなるとシリコーングリース組成物よりのオイルブリードがひどくなり、接着性能を発揮できなくなるし、100より大きくなると充填材との濡れ性が十分でなくなるため、bは5〜100の整数であり、好ましくは10〜60の整数である。
【0017】
この片末端3官能の加水分解性メチルポリシロキサンの配合量は、(A)成分100質量部に対し、10質量部より少ないと十分な濡れ性を発揮できないし、90質量部より多くなると組成物からのブリードが激しくなるため、10〜90質量部の範囲がよく、好ましくは10〜80質量部、より好ましくは50質量部超え80質量部以下、更に好ましくは51〜80質量部の範囲がよい。
【0018】
(C)成分
(C)成分の熱伝導率を有する熱伝導性充填材としては、その充填材のもつ熱伝導率が10W/m・℃より小さいと、シリコーングリース組成物の熱伝導率そのものが小さくなるため、充填材の熱伝導率は10W/m・℃以上であり、10〜5,000W/m・℃であることが好ましい。このような熱伝導性充填材としては、無機化合物粉末を用いることができる。(C)成分で使用する無機化合物粉末は、例えばアルミニウム粉末、酸化亜鉛粉末、酸化チタン粉末、酸化マグネシウム粉末、アルミナ粉末、水酸化アルミニウム粉末、窒化ホウ素粉末、窒化アルミニウム粉末、ダイヤモンド粉末、金粉末、銀粉末、銅粉末、カーボン粉末、ニッケル粉末、インジウム粉末、ガリウム粉末、金属ケイ素粉末、二酸化ケイ素粉末等の中から選択される1種又は2種以上を使用することができる。なお、本発明において熱伝導率は、京都電子工業(株)製QTM−500により測定した値である。
【0019】
(C)成分で用いられる無機化合物粉末の平均粒径は、0.5μmより小さくても、100μmより大きくても、得られるシリコーングリース組成物への充填率が上げられなくなるため、0.5〜100μm、好ましくは1〜50μmの範囲である。なお、本発明において、平均粒径は、日機装(株)製マイクロトラックMT330OEXにより測定できる体積基準の体積平均径[MV]である。また、本発明に用いられる無機化合物粉末は、必要ならばオルガノシラン、オルガノシラザン、オルガノポリシロキサン、有機フッ素化合物等で疎水化処理を施してもよく、疎水化処理法としては、一般公知の方法でよく、例えば無機化合物粉末とオルガノシランあるいはその部分加水分解物をトリミックス、ツウィンミックス、プラネタリミキサー(いずれも井上製作所(株)製混合機の登録商標)、ウルトラミキサー(みずほ工業(株)製混合機の登録商標)、ハイビスディスパーミックス(特殊機化工業(株)製混合機の登録商標)等の混合機にて混合する方法が挙げられる。必要ならば50〜100℃に加熱してもよい。なお、混合にはトルエン、キシレン、石油エーテル、ミネラルスピリット、イソパラフィン、イソプロピルアルコール、エタノール等の溶剤を用いてもよく、その場合は、混合後溶剤を真空装置等を用いて除去することが好ましい。また、希釈溶剤として、本発明の液体成分である(A)成分のオルガノポリシロキサンを使用することも可能である。この方法で製造された組成物もまた本発明の範囲内である。
【0020】
この熱伝導性充填材(無機化合物粉末)の配合量は、(A)成分100質量部に対し、500質量部より少ないと組成物の熱伝導率が低くなるし、1,500質量部より多いと組成物の粘度上昇により作業性が悪化してしまうため、500〜1,500質量部であり、より好ましくは600〜1,300質量部の範囲である。
【0021】
(D)成分
この(D)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、例えば、下記平均組成式(3)
3cdSiO(4-c-d)/2 (3)
(式中、R3は炭素数1〜12、好ましくは1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基である。また、cは0.7〜2.1、好ましくは0.8〜2.05、dは0.001〜1.0、好ましくは0.005〜1.0であり、かつc+dは0.8〜3.0、好ましくは1.0〜2.5を満足する正数である。)
で示されるものを用いることができる。
【0022】
(D)成分のケイ素原子に直結した水素原子(Si−H基)を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、架橋により組成物を網状化するためにSi−H基を少なくとも1分子中に2個以上有することが必要である。また、Si−H基を5個を超えて有すると、加熱エージング中の硬度上昇が大きくなってしまい、伸びが減少するので、Si−H基は2個以上5個以下の範囲である。
【0023】
ケイ素原子に結合する残余の有機基R3としては、メチル基、エチル基、プルピル基、ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基等のアラルキル基、クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換などの置換炭化水素基、また2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、4−グリシドキシブチル基等のエポキシ環含有有機基(グリシジル基又はグリシジルオキシ基置換アルキル基)も例として挙げられる。かかるSi−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよく、またこれらの混合物であってもよい。
【0024】
(D)成分の配合量は、(A)成分中のアルケニル基の数に対し、(D)成分中のSi−H基の数、即ち{Si−H基の個数}/{(A)成分のアルケニル基の個数}が、1.7より小さいと十分な接着性能を発揮できず、基材との密着性が悪くなるし、2.8より大きいと加熱エージング中の硬度上昇が大きくなってしまい、伸びが低下してしまうので、1.7〜2.8の範囲であり、好ましくは2.0〜2.5である。
【0025】
(E)成分
(E)成分の接着助剤は、1分子中にトリアジン環を有すると共に、少なくとも1個のアルケニル基を有するもので、組成物に接着性能を付与する。(E)成分に含まれるアルケニル基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−メチルプロペニル基、(メタ)アクリル基等が例示され、コストの観点からアリル基が好ましい。(E)成分の具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、トリメタクリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートの1〜2個のアリル基に1〜2個のトリメトキシシリル基等のアルコキシシリル基が付加したアルコキシシリル置換・トリアリルイソシアヌレート及びその加水分解縮合物であるシロキサン変性物(誘導体)等が挙げられる。
【0026】
(E)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対し、0.05質量部より少ないと組成物が十分な接着性能を示さなくなるし、0.5質量部よりも多いとヒドロシリル化反応が十分に進行せず、接着性能を発現することができないため、0.05〜0.5質量部の範囲であり、好ましくは0.05〜0.3質量部の範囲である。
【0027】
(F)成分
(F)成分の白金及び白金化合物から選択される触媒は、(A)成分のアルケニル基と(D)成分のSi−H基との間の付加反応の促進成分である。この(F)成分は、例えば白金の単体、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール錯体、白金配位化合物等が挙げられる。(F)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対し、白金原子として0.1ppmより小さいと触媒としての効果がなく、500ppmを超えても効果が増大することがなく、不経済であるので0.1〜500ppmの範囲である。
【0028】
(G)成分
(G)成分の制御剤は、室温でのヒドロシリル化反応の進行を抑え、シェルフライフ、ポットライフを延長させるものである。反応制御剤としては公知のものを使用することができ、アセチレン化合物、各種窒素化合物、有機りん化合物、オキシム化合物、有機クロロ化合物等が利用できる。(G)成分の配合量は、0.05質量部より小さいと十分なシェルフライフ、ポットライフが得られず、0.5質量部より大きいと硬化性が低下するため0.05〜0.5質量部の範囲が好ましい。これらはシリコーングリース組成物への分散性を良くするためにトルエン等で希釈して使用してもよい。
【0029】
その他の成分
また、本発明には上記した(A)〜(G)成分以外に、必要に応じて、劣化を防ぐために酸化防止剤等を入れてもよい。
【0030】
製造方法
本発明の熱伝導性シリコーングリース組成物を製造するには、(A)〜(F)成分、及び必要に応じてその他の成分をトリミックス、ツウィンミックス、プラネタリミキサー(いずれも井上製作所(株)製混合機の登録商標)、ウルトラミキサー(みずほ工業(株)製混合機の登録商標)、ハイビスディスパーミックス(特殊機化工業(株)製混合機の登録商標)等の混合機にて混合する方法を採用することができる。
【0031】
本発明の熱伝導性シリコーングリース組成物は、粘度が高いと作業性が悪くなるため、その粘度は10〜1,000Pa・sが好ましく、より好ましくは50〜1,000Pa・sである。なお、このような粘度はシリコーングリース組成物の成分を上記のようにコントロールすることにより達成することができる。また、本発明において、粘度はマルコム粘度計により測定した25℃の値である(ロータAで10rpm、ズリ速度6[1/s])。
【0032】
本発明の熱伝導性シリコーングリース組成物は、LSI等の電子部品その他の発熱部材と冷却部材との間に介在させて発熱部材からの熱を冷却部材に伝熱して放熱するために好適に用いることができ、従来の熱伝導性シリコーングリース組成物と同様の方法で使用することができる。
【0033】
本発明の熱伝導性シリコーングリース組成物は、150℃で90分間硬化後のシートについてJIS K6251に記載の方法に従って測定した際の切断時伸びが100%以上であり、120%以上であることがチップの歪みへの追従性の点から好ましい。上限は特に制限されないが、通常400%以下、特に300%以下である。なお、このような切断時伸びは、分子量の大きな成分((A)成分)を組成物の作製に用いることにより達成することができる。
【0034】
また、本発明の熱伝導性シリコーングリース組成物は、パッケージにおける信頼性試験後のチップの歪みへの追従性の点から、2mm厚みのシートに成形し、150℃において1,000時間エージングを行った後のJIS K6251に記載の方法による切断時伸びが80%以上である。上限は特に制限されないが、通常300%以下、特に200%以下である。なお、このようなエージング後の切断時伸びは、2個以上5個以下の架橋点をもつ(D)成分を組成物の作製に用いることで達成することができる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、本発明に係わる効果に関する試験は次のように行った。
【0036】
〔粘度〕
グリース組成物の絶対粘度は、マルコム粘度計(タイプPC−1T)を用いて25℃で測定した。
【0037】
〔熱伝導率〕
各組成物を3cm厚の型に流し込み、キッチン用ラップをかぶせて京都電子工業(株)製のModel QTM−500で測定した。
【0038】
〔切断時伸び〕
各組成物を150℃にて90分間加熱加硫して2mm厚シートを作製したのち、JIS K6251に記載の2号ダンベルの形状を作製して測定を行った。また、2mm厚みのシート状に硬化させた試料について150℃・1,000時間エージングを行い、エージング後の伸びを同様の方法にて測定した。
【0039】
〔接着強度〕
各組成物を1mm×1mmのシリコンウェハと2.5mm×2.5mmのシリコンウェハに挟み込み1.8kgfのクリップによって加圧しながら150℃にて90分間加熱したのち、Dage Deutchland GmbH製Dage series−4000PXYを用いて接着強度を測定した。
【0040】
本発明組成物を形成する以下の各成分を用意した。
(A)成分
A−1:両末端がジメチルビニルシリル基で封鎖され、25℃における動粘度が30,000mm2/sのジメチルポリシロキサン
A−2:両末端がジメチルビニルシリル基で封鎖され、25℃における動粘度が100,000mm2/sのジメチルポリシロキサン
A−3:両末端がジメチルビニルシリル基で封鎖され、25℃における動粘度が10,000mm2/sのジメチルポリシロキサン
A−4(比較例):両末端がジメチルビニルシリル基で封鎖され、25℃における動粘度が500,000mm2/sのジメチルポリシロキサン
A−5(比較例):両末端がジメチルビニルシリル基で封鎖され、25℃における動粘度が3,000mm2/sのジメチルポリシロキサン
【0041】
(B)成分
B−1:
【化3】
B−2:
【化4】
【0042】
(C)成分
下記のアルミニウム粉末と酸化亜鉛粉末を、5リットルプラネタリーミキサー(井上製作所(株)製)を用いて下記表1の混合比で室温にて15分間混合し、C−1を得た。
●平均粒径2.0μmのアルミニウム粉末(熱伝導率:237W/m・℃)
●平均粒径10.0μmのアルミニウム粉末(熱伝導率:237W/m・℃)
●平均粒径1.0μmの酸化亜鉛粉末(熱伝導率:25W/m・℃)
【0043】
【表1】
【0044】
(D)成分
下記式で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
D−1:
【化5】
D−2:
【化6】
D−3:
【化7】
D−4(比較例):
【化8】
D−5(比較例):
【化9】
【0045】
(E)成分
E−1:
【化10】
【0046】
(F)成分
F−1:白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のA−1溶液、白金原子として1質量%含有
【0047】
(G)成分
G−1:1−エチニル−1−シクロヘキサノールの50質量%トルエン溶液
【0048】
[実施例1〜11,比較例1〜7]
(A)〜(G)成分を以下のように混合して実施例1〜11及び比較例1〜7の組成物を得た。
即ち、5リットルプラネタリーミキサー(井上製作所(株)製)に(A)成分を取り、表2,3に示す配合量で(B),(C)成分を加え、150℃で1時間混合した。常温になるまで冷却し、次に(D),(E),(F),(G)成分を表2,3に示す配合量で加えて均一になるように混合した。
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
本発明は、接着性能と高温エージング後の材料の柔軟性という性質を両立した放熱用の熱伝導性シリコーングリース組成物である。本発明以外の従来技術を用いた際には、接着性能を付与すると高温エージング時の信頼性に問題が生じ、信頼性を保持した場合には接着性能が付与できなくなるといった問題点があった。即ち、接着性能と高温エージング時の信頼性を両立することが困難であった。
【国際調査報告】