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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2016年9月22日
【発行日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】自動車内装材用積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/30 20060101AFI20171201BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20171201BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20171201BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   B32B27/30 101
   B32B27/12
   B32B17/10
   B32B27/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
【出願番号】特願2017-506084(P2017-506084)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年3月11日
(31)【優先権主張番号】特願2015-55508(P2015-55508)
(32)【優先日】2015年3月19日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(72)【発明者】
【氏名】藤原 崇倫
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AG00B
4F100AK15A
4F100AK52C
4F100AR00C
4F100BA03
4F100BA07
4F100DG11B
4F100DG12
4F100GB33
4F100JL13C
(57)【要約】
本発明は、塩化ビニル樹脂層とテープとを有する積層体であって、発泡ポリウレタン層が裏打ちされて加熱されても、テープが積層されている部分に跡が現れない自動車内装材用積層体を提供する。本発明の自動車内装材用積層体は、塩化ビニル樹脂層と、塩化ビニル樹脂層の厚さ方向一方側に配置されたテープとを有し、テープは、繊維編み込み構造を有する基材と、粘着層とを備え、粘着層は、基材よりも塩化ビニル樹脂層側に位置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化ビニル樹脂層と、前記塩化ビニル樹脂層の厚さ方向一方側に配置されたテープとを有し、
前記テープは、繊維編み込み構造を有する基材と、粘着層とを備え、
前記粘着層は、前記基材よりも前記塩化ビニル樹脂層側に位置する、自動車内装材用積層体。
【請求項2】
前記塩化ビニル樹脂層が縫製加工された塩化ビニル樹脂層である、請求項1に記載の自動車内装材用積層体。
【請求項3】
前記基材がガラス繊維からなる繊維編み込み構造を有する、請求項1又は2に記載の自動車内装材用積層体。
【請求項4】
前記粘着層がシリコーンポリマーを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車内装材用積層体。
【請求項5】
自動車インスツルメントパネル用である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動車内装材用積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩化ビニル樹脂層とテープとが積層された自動車内装材用積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車インスツルメントパネルは、発泡ポリウレタン層が、塩化ビニル樹脂からなる表皮と基材との間に設けられた構造を有している。塩化ビニル樹脂からなる表皮は経時的に変色し、また、その耐熱老化性は低下する。そこで、耐熱老化性が良好な自動車インスツルメントパネル用積層体として、塩化ビニル樹脂層(a)と、ポリエステル層、金属層、紙層、ポリエチレン層及びポリプロピレン層からなる群から選ばれる少なくとも1層(b)とが積層されている自動車インスツルメントパネル用積層体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2011/086813号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、自動車インスツルメントパネルなどの自動車内装材においては、図1に示すように、糸2が、塩化ビニル樹脂からなる表皮1に縫い付けられ、当該表皮1が縫製加工により修飾されることがある。しかし、表皮1を縫製加工した場合、発泡ポリウレタン層を表皮1に裏打ちする際に、縫製部分の穴から発泡ポリウレタン層の原料等が侵入してしまう虞がある。このような原料等の侵入の問題に対し、例えば図2に示すように、テープ3を表皮1の縫製部分に積層することにより、縫製部分の穴からの発泡ポリウレタン層の原料等の侵入防止を図ることが考えられる。ここで、例えば図3に示すような、テープ3が積層され、発泡ポリウレタン層4が裏打ちされた表皮1が加熱されると、表皮1と発泡ポリウレタン層4との間で、表皮1および発泡ポリウレタン層4のそれぞれに含まれている各種成分が移動し、表皮1が変色していく。ところが、当該各種成分はテープ3が積層されている部分を通過しにくいため、発泡ポリウレタン層4が裏打ちされている側とは反対側(図3の矢印側)から表皮1を見ると、テープ3が積層されている部分の跡が現れてきて、表皮1の外観が悪くなる。
【0005】
そこで、近年、縫製加工が塩化ビニル樹脂層に施され、発泡ポリウレタン層が裏打ちされていても、縫製部分に積層されているテープの跡が現れない自動車内装材用積層体が求められていた。しかし、そのような自動車内装材用積層体は実現されていなかった。
本発明が解決しようとする課題は、塩化ビニル樹脂層とテープとを有する積層体であって、発泡ポリウレタン層が裏打ちされて加熱されても、当該テープが積層されている部分に跡が現れない自動車内装材用積層体の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の基材と粘着層からなるテープが塩化ビニル樹脂層に積層されていると、発泡ポリウレタン層が裏打ちされて加熱されても、当該テープが積層されている部分に跡が現れないことを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
本発明は、塩化ビニル樹脂層と、前記塩化ビニル樹脂層の厚さ方向一方側に配置されたテープとを有し、前記テープは、繊維編み込み構造を有する基材と、粘着層とを備え、前記粘着層は、前記基材よりも前記塩化ビニル樹脂層側に位置する、自動車内装材用積層体である。
好ましい上記塩化ビニル樹脂層は、縫製加工された塩化ビニル樹脂層である。
また、上記基材は、好ましくはガラス繊維からなる繊維編み込み構造を有する。
そして、上記粘着層は、好ましくはシリコーンポリマーを含む。
また、上記自動車内装材用積層体は、好ましくは自動車インスツルメントパネル用積層体である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の自動車内装材用積層体は、発泡ポリウレタン層が裏打ちされて加熱されても、テープが積層されている部分に跡が現れない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、塩化ビニル樹脂からなる表皮に縫製加工が施された自動車インスツルメントパネルを示す図である。
図2図2は、テープが縫製部分に積層された表皮を示す図である。
図3図3は、表皮とテープが積層された自動車インスツルメントパネル用積層体に発泡ポリウレタン層を裏打ちした状態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(自動車内装材用積層体)
本発明の自動車内装材用積層体は、塩化ビニル樹脂層と、塩化ビニル樹脂層の厚さ方向一方側に配置されたテープとを備える。そして、本発明の自動車内装材用積層体は、積層体のテープが位置する側(塩化ビニル樹脂層の厚さ方向一方側)に発泡ポリウレタン層などの発泡体層を配設(裏打ち)して、自動車インスツルメントパネルやドアトリム等の自動車内装材の製造などに用いられる。即ち、本発明の自動車内装材用積層体を用いて形成した自動車内装材では、通常、自動車内装材用積層体の塩化ビニル樹脂層が表皮を構成し、塩化ビニル樹脂層からなる表皮の裏側(塩化ビニル樹脂層の厚さ方向一方側)にテープおよび発泡体層が位置する。
なお、本発明の自動車内装材用積層体は、通常は塩化ビニル樹脂層の一方の表面上にテープを積層してなる構造を有するが、所期の効果を著しく損なわない限り、塩化ビニル樹脂層およびテープ以外の層を更に備えていてもよい。具体的には、特に限定されることなく、本発明の自動車内装材用積層体は、例えば、国際公開第2011/086813号に記載されているような耐熱老化性を向上させるための層を塩化ビニル樹脂層とテープとの間に有していてもよい。また、本発明の自動車内装材用積層体は、例えば、自動車内装材に意匠性を付与するための装飾層を塩化ビニル樹脂層の厚さ方向他方側(テープ側とは反対側)に有していてもよい。
【0011】
<塩化ビニル樹脂層>
塩化ビニル樹脂層は、好ましくは粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物の粉体成形により形成される。そして、当該粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、(a)塩化ビニル樹脂を含有し、任意に、可塑剤などの添加剤を更に含有する。
【0012】
[塩化ビニル樹脂]
ここで、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物の(a)塩化ビニル樹脂としては、(a1)塩化ビニル樹脂粒子を含有することができ、任意に、(a2)塩化ビニル樹脂微粒子を更に含有することができる。そして、(a1)塩化ビニル樹脂粒子および(a2)塩化ビニル樹脂微粒子を構成し得る塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニルの単独重合体の他、塩化ビニル単位を好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上含有する共重合体が挙げられる。塩化ビニル共重合体の共単量体の具体例は、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類;塩化アリル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、三フッ化塩化エチレンなどのハロゲン化オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;イソブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アリル−3−クロロ−2−オキシプロピルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどのアリルエーテル類;アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、そのエステルまたはその酸無水物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアクリルアミド類;アリルアミン安息香酸塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどのアリルアミンおよびその誘導体類;などである。以上に例示される単量体は、塩化ビニルと共重合可能な単量体(共単量体)の一部に過ぎず、共単量体としては、近畿化学協会ビニル部会編「ポリ塩化ビニル」日刊工業新聞社(1988年)第75〜104頁に例示されている各種単量体が使用され得る。これらの単量体の1種又は2種以上が使用され得る。上記(a1)塩化ビニル樹脂粒子および(a2)塩化ビニル樹脂微粒子を構成し得る塩化ビニル樹脂には、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、塩素化ポリエチレンなどの樹脂に、(1)塩化ビニルまたは(2)塩化ビニルと前記共単量体とがグラフト重合された樹脂も含まれる。
ここで、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。また、「樹脂粒子」とは、粒子径が30μm以上の粒子を指し、「樹脂微粒子」とは、粒子径が30μm未満の粒子を指す。
【0013】
上記塩化ビニル樹脂は、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法など、従来から知られているいずれの製造法によっても製造され得る。
【0014】
なお、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物において、(a1)塩化ビニル樹脂粒子は、マトリックス樹脂として機能する。また、(a2)塩化ビニル樹脂微粒子は、後述するダスティング剤(粉体流動性改良剤)として機能する。そして、(a1)塩化ビニル樹脂粒子は、懸濁重合法により製造することが好ましい。また、(a2)塩化ビニル樹脂微粒子は、乳化重合法により製造することが好ましい。
【0015】
[[(a1)塩化ビニル樹脂粒子]]
ここで、上記(a1)塩化ビニル樹脂粒子の平均粒子径は、好ましくは50μm以上であり、より好ましくは100μm以上であり、好ましくは500μm以下であり、より好ましくは250μm以下であり、更に好ましくは200μm以下である。上記(a1)塩化ビニル樹脂粒子の平均粒子径が上記範囲であると、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性が向上し、かつ、上記粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形してなる塩化ビニル樹脂成形体(塩化ビニル樹脂層)の平滑性が向上する。ここで、本明細書において、「平均粒子径」とは、JIS Z8825に準拠し、レーザー回折法によって測定される体積平均粒子径を指す。
【0016】
また、上記(a1)塩化ビニル樹脂粒子を構成する塩化ビニル樹脂の平均重合度は、好ましくは800以上5000以下であり、より好ましくは800以上3000以下であり、更に好ましくは1600以上2800以下である。なお、本明細書において、「平均重合度」は、JIS K6720−2に準拠して測定される。
【0017】
[[(a2)塩化ビニル樹脂微粒子]]
任意に含有し得る上記(a2)塩化ビニル樹脂微粒子の好ましい平均粒子径は、0.1μm以上10μm以下である。上記(a2)塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径が上記範囲であると、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性が向上するからである。
【0018】
また、上記(a2)塩化ビニル樹脂微粒子を構成する塩化ビニル樹脂の平均重合度は、好ましくは500以上であり、より好ましくは600以上であり、更に好ましくは700以上であり、好ましくは5000以下であり、より好ましくは3000以下であり、更に好ましくは2500以下である。
【0019】
なお、上記(a)塩化ビニル樹脂100質量%中の(a2)塩化ビニル樹脂微粒子の割合は、好ましくは0質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上30質量%以下であり、更に好ましくは5質量%以上25質量%以下であり、特に好ましくは8質量%以上20質量%以下である。上記(a2)塩化ビニル樹脂微粒子の割合が上記範囲であると、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性が良好である。
【0020】
[添加剤]
上記粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、上記(a)塩化ビニル樹脂以外に、各種添加剤を含有してもよい。添加剤としては、特に限定されることなく、可塑剤、過塩素酸処理ハイドロタルサイト、ゼオライト、脂肪酸金属塩、上記(a2)塩化ビニル樹脂微粒子以外のダスティング剤(粉体流動性改良剤。以下、「その他のダスティング剤」ということがある。)、及びその他の添加剤が挙げられる。
【0021】
[[可塑剤]]
上記粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、好ましくは可塑剤を含有する。可塑剤の具体例としては、以下の一次可塑剤及び二次可塑剤などが挙げられる。
いわゆる一次可塑剤としては、トリメリット酸トリ−n−ヘキシル、トリメリット酸トリ−n−ヘプチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、トリメリット酸トリ−(2−エチルヘキシル)、トリメリット酸トリ−n−ノニル、トリメリット酸トリ−n−デシル、トリメリット酸トリイソデシル、トリメリット酸トリ−n−ウンデシル、トリメリット酸トリ−n−ドデシル、トリメリット酸トリ−n−アルキルエステル(炭素数が異なるアルキル基〔但し、炭素数は6〜12である。〕を分子内に2種以上有するエステル)、トリメリット酸トリアルキルエステル(炭素数が異なるアルキル基〔但し、炭素数は8〜10である。〕を分子内に2種以上有するエステル)、トリメリット酸トリ−n−アルキルエステル(炭素数が異なるアルキル基〔但し、炭素数は8〜10である。〕を分子内に2種以上有するエステル)等のトリメリット酸エステル;ピロメリット酸テトラ−n−ヘキシル、ピロメリット酸テトラ−n−ヘプチル、ピロメリット酸テトラ−n−オクチル、ピロメリット酸テトラ−(2−エチルヘキシル)、ピロメリット酸テトラ−n−ノニル、ピロメリット酸テトラ−n−デシル、ピロメリット酸テトライソデシル、ピロメリット酸テトラ−n−ウンデシル、ピロメリット酸テトラ−n−ドデシル、ピロメリット酸テトラ−n−アルキルエステル(炭素数が異なるアルキル基〔但し、炭素数は6〜12である。〕を分子内に2種以上有するエステル)等のピロメリット酸エステル;エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等のエポキシ化植物油;ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジフェニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジノニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等のフタル酸誘導体;ジメチルイソフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)イソフタレート、ジイソオクチルイソフタレート等のイソフタル酸誘導体;ジ−(2−エチルヘキシル)テトラヒドロフタレート、ジ−n−オクチルテトラヒドロフタレート、ジイソデシルテトラヒドロフタレート等のテトラヒドロフタル酸誘導体;ジ−n−ブチルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジイソノニルアジペート等のアジピン酸誘導体;ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジ−n−ヘキシルアゼレート等のアゼライン酸誘導体;ジ−n−ブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート、ジイソデシルセバケート、ジ−(2−ブチルオクチル)セバケート等のセバシン酸誘導体;ジ−n−ブチルマレエート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジ−(2−エチルヘキシル)マレエート等のマレイン酸誘導体;ジ−n−ブチルフマレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フマレート等のフマル酸誘導体;トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−(2−エチルヘキシル)シトレート等のクエン酸誘導体;モノメチルイタコネート、モノブチルイタコネート、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジ−(2−エチルヘキシル)イタコネート等のイタコン酸誘導体;ブチルオレエート、グリセリルモノオレエート、ジエチレングリコールモノオレエート等のオレイン酸誘導体;メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、グリセリルモノリシノレート、ジエチレングリコールモノリシノレート等のリシノール酸誘導体;n−ブチルステアレート、ジエチレングリコールジステアレート等のステアリン酸誘導体;ジエチレングリコールモノラウレート、ジエチレングリコールジペラルゴネート、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル等のその他の脂肪酸誘導体;トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート等のリン酸誘導体;ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ−(2−エチルヘキソエート)、ジブチルメチレンビスチオグリコレート等のグリコール誘導体;グリセロールモノアセテート、グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレート等のグリセリン誘導体;エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソデシル、エポキシトリグリセライド、エポキシ化オレイン酸オクチル、エポキシ化オレイン酸デシル等のエポキシ誘導体;アジピン酸系ポリエステル、セバシン酸系ポリエステル、フタル酸系ポリエステル等のポリエステル系可塑剤などが挙げられる。
いわゆる二次可塑剤としては、塩素化パラフィン、トリエチレングリコールジカプリレート等のグリコールの脂肪酸エステル、ブチルエポキシステアレート、フェニルオレエート、ジヒドロアビエチン酸メチルなどが挙げられる。
なお、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物では、1種又は2種以上の可塑剤を使用してもよい。また、二次可塑剤を用いる場合、それと等質量以上の一次可塑剤を併用することが好ましい。
【0022】
上記可塑剤の、(a)塩化ビニル樹脂100質量部に対する含有量は、好ましくは30質量部以上、より好ましくは60質量部以上、更に好ましくは90質量部以上であり、好ましくは200質量部以下、より好ましくは170質量部以下、更に好ましくは160質量部以下である。上記可塑剤の含有量が上記範囲であると、上記可塑剤が(a)塩化ビニル樹脂に良く吸収され、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物の粉体成形性が良好となる。
【0023】
[[過塩素酸処理ハイドロタルサイト]]
上記粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、過塩素酸処理ハイドロタルサイトを含有していてもよい。過塩素酸処理ハイドロタルサイトは、例えば、ハイドロタルサイトを過塩素酸の希薄水溶液中に加えて撹拌し、その後必要に応じて、ろ過、脱水または乾燥することによって、ハイドロタルサイト中の炭酸アニオン(CO2−)の少なくとも一部を過塩素酸アニオン(ClO)で置換して(炭酸アニオン1モルにつき過塩素酸アニオン2モルが置換する)、容易に製造することができる。上記ハイドロタルサイトと上記過塩素酸とのモル比は任意に設定できるが、一般には、ハイドロタルサイト1モルに対し、過塩素酸0.1〜2モルとする。
【0024】
未処理(未置換)のハイドロタルサイト中の炭酸アニオンの過塩素酸アニオンへの置換率は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは85モル%以上である。また、未処理(未置換)のハイドロタルサイト中の炭酸アニオンの過塩素酸アニオンへの置換率は、好ましくは95モル%以下である。
【0025】
ハイドロタルサイトは、一般式:[Mg1−xAl(OH)]x+[(CO)x/2・mHO]x−で表される不定比化合物で、プラスに荷電した基本層[Mg1−xAl(OH)]x+と、マイナスに荷電した中間層[(CO)x/2・mHO]x−とからなる層状の結晶構造を有する無機物質である。ここで、上記一般式中、xは0より大きく0.33以下の範囲の数である。天然のハイドロタルサイトは、MgAl(OH)16CO・4HOである。合成されたハイドロタルサイトとしては、Mg4.5Al(OH)13CO・3.5HOが市販されている。合成ハイドロタルサイトの合成方法は、例えば特公昭61−174270号公報に記載されている。
【0026】
上記過塩素酸処理ハイドロタルサイトの、(a)塩化ビニル樹脂100質量部に対する好ましい含有量は0.5質量部以上7質量部以下であり、より好ましい含有量は1質量部以上6質量部以下であり、更に好ましい含有量は1.5質量部以上5.5質量部以下である。
【0027】
[[ゼオライト]]
上記粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、ゼオライトを安定剤として含有し得る。ゼオライトは、一般式:Mx/n・[(AlO・(SiO]・zHO(一般式中、Mは原子価nの金属イオン、x+yは単位格子当たりの四面体数、zは水のモル数である)で表される化合物である。当該一般式中のMの種類としては、Na、Li、Ca、Mg、Znなどの一価又は二価の金属及びこれらの混合型が挙げられる。
【0028】
上記ゼオライトの含有量は特定の範囲に限定されない。好ましい含有量は、(a)塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下である。
【0029】
[[脂肪酸金属塩]]
上記粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、脂肪酸金属塩を含有していてもよい。好ましい脂肪酸金属塩は、一価脂肪酸金属塩であり、より好ましい脂肪酸金属塩は、炭素数12以上24以下の一価脂肪酸金属塩であり、更に好ましい脂肪酸金属塩は、炭素数15以上21以下の一価脂肪酸金属塩である。脂肪酸金属塩の具体例は、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸バリウム、2−エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール酸バリウム、リシノール酸亜鉛等である。脂肪酸金属塩を構成する金属としては、多価陽イオンを生成しうる金属が好ましく、2価陽イオンを生成しうる金属がより好ましく、周期表第3周期〜第6周期の、2価陽イオンを生成しうる金属が更に好ましく、周期表第4周期の、2価陽イオンを生成しうる金属が特に好ましい。最も好ましい脂肪酸金属塩はステアリン酸亜鉛である。
【0030】
上記脂肪酸金属塩の(a)塩化ビニル樹脂100質量部に対する好ましい含有量は0.05質量部以上5質量部以下であり、より好ましい含有量は0.1質量部以上1質量部以下であり、更に好ましい含有量は0.1質量部以上0.5質量部以下である。脂肪酸金属塩の含有量が上記範囲であると、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形してなる塩化ビニル樹脂層の色差の値を小さくできる。
【0031】
[[その他のダスティング剤]]
上記粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、(a2)塩化ビニル樹脂微粒子以外のダスティング剤を含有し得る。その他のダスティング剤の具体例は、炭酸カルシウム、タルク、酸化アルミニウムなどの無機微粒子;ポリアクリロニトリル樹脂微粒子、ポリ(メタ)アクリレート樹脂微粒子、ポリスチレン樹脂微粒子、ポリエチレン樹脂微粒子、ポリプロピレン樹脂微粒子、ポリエステル樹脂微粒子、ポリアミド樹脂微粒子などの有機微粒子;である。中でも、平均粒子径が10nm以上100nm以下の無機微粒子が好ましい。
【0032】
その他のダスティング剤の含有量は、特定の範囲に限定されない。当該含有量は、(a)塩化ビニル樹脂100質量部に対して、好ましくは20質量部以下であり、更に好ましくは10質量部以下である。
【0033】
[[その他の添加剤]]
上記粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、着色剤、耐衝撃性改良剤、過塩素酸処理ハイドロタルサイト以外の過塩素酸化合物(過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等)、酸化防止剤、防黴剤、難燃剤、帯電防止剤、充填剤、光安定剤、発泡剤、β−ジケトン等の、その他の添加剤を含有し得る。
【0034】
着色剤の具体例は、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ポリアゾ縮合顔料、イソインドリノン系顔料、銅フタロシアニン系顔料、チタンホワイト、カーボンブラックである。1種又は2種以上の顔料が使用される。
キナクリドン系顔料は、p−フェニレンジアントラニル酸類が濃硫酸で処理されて得られ、黄みの赤から赤みの紫の色相を示す。キナクリドン系顔料の具体例は、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンバイオレットである。
ペリレン系顔料は、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸無水物と芳香族第一級アミンとの縮合反応により得られ、赤から赤紫、茶色の色相を示す。ペリレン系顔料の具体例は、ペリレンレッド、ペリレンオレンジ、ペリレンマルーン、ペリレンバーミリオン、ペリレンボルドーである。
ポリアゾ縮合顔料は、アゾ色素が溶剤中で縮合されて高分子量化されて得られ、黄、赤系顔料の色相を示す。ポリアゾ縮合顔料の具体例は、ポリアゾレッド、ポリアゾイエロー、クロモフタルオレンジ、クロモフタルレッド、クロモフタルスカーレットである。
イソインドリノン系顔料は、4,5,6,7−テトラクロロイソインドリノンと芳香族第一級ジアミンとの縮合反応により得られ、緑みの黄色から、赤、褐色の色相を示す。イソインドリノン系顔料の具体例は、イソインドリノンイエローである。
銅フタロシアニン系顔料は、フタロシアニン類に銅を配位した顔料で、黄みの緑から鮮やかな青の色相を示す。銅フタロシアニン系顔料の具体例は、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルーである。
チタンホワイトは、二酸化チタンからなる白色顔料で、隠蔽力が大きく、アナタース型とルチル型がある。
カーボンブラックは、炭素を主成分とし、酸素、水素、窒素を含む黒色顔料である。カーボンブラックの具体例は、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、ボーンブラックである。
【0035】
耐衝撃性改良剤の具体例は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン等である。上記粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物では、1種又は2種以上の耐衝撃性改良剤を使用できる。なお、耐衝撃性改良剤は、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物中で微細な弾性粒子の不均一相となって分散する。上記粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物が(a1)塩化ビニル樹脂粒子を含有する場合、当該弾性粒子にグラフト重合した鎖及び極性基が(a1)塩化ビニル樹脂粒子と相溶し、塩化ビニル樹脂層の耐衝撃性が向上する。
【0036】
酸化防止剤の具体例は、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等である。
【0037】
防黴剤の具体例は、脂肪族エステル系防黴剤、炭化水素系防黴剤、有機窒素系防黴剤、有機窒素硫黄系防黴剤等である。
【0038】
難燃剤の具体例は、塩素化パラフィン等のハロゲン系難燃剤;リン酸エステル等のリン系難燃剤;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機水酸化物;等である。
【0039】
帯電防止剤の具体例は、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル類、スルホン酸塩類等のアニオン系帯電防止剤;脂肪族アミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン系帯電防止剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル類等のノニオン系帯電防止剤;などである。
【0040】
充填剤の具体例は、シリカ、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、クレー等である。
【0041】
光安定剤の具体例は、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ニッケルキレート系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等である。
【0042】
発泡剤の具体例は、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等のスルホニルヒドラジド化合物等の有機発泡剤;フロンガス、炭酸ガス、水、ペンタン等の揮発性炭化水素化合物;これらを内包したマイクロカプセルなどのガス系の発泡剤等である。
【0043】
β−ジケトンは、上記粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形して得られる塩化ビニル樹脂層の初期色調の変動をより効果的に抑えるために用いられ得る。β−ジケトンの具体例は、ジベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン等である。これらのβ−ジケトンは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、β−ジケトンの含有量は特定の範囲に限定されない。β−ジケトンの好ましい含有量は、(a)塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下である。
【0044】
(a)塩化ビニル樹脂及び必要に応じて添加される添加剤の混合方法は限定されない。好ましい混合方法は、ダスティング剤(上記(a2)塩化ビニル樹脂微粒子を含む)を除く成分をドライブレンドにより混合し、その後、ダスティング剤を混合する方法である。ドライブレンドには、ヘンシェルミキサーの使用が好ましい。また、ドライブレンド時の温度は、好ましくは50℃以上200℃以下、より好ましくは70℃以上200℃以下である。
【0045】
本発明の自動車内装材用積層体が備える塩化ビニル樹脂層は、上記粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形、好ましくはパウダースラッシュ成形して得られる。パウダースラッシュ成形時の金型温度は、好ましくは200℃以上300℃以下、より好ましくは220℃以上280℃以下である。上記塩化ビニル樹脂層を製造する際には、例えば、上記温度範囲の金型に上記粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を振りかけて5秒以上30秒以下の間放置した後、余剰の塩化ビニル樹脂組成物を振り落とし、さらに30秒以上3分以下の間放置する。その後、金型を10℃以上60℃以下に冷却し、得られた塩化ビニル樹脂層を金型から脱型する。
なお、本発明の自動車内装材用積層体を縫製により修飾された自動車内装材の製造に用いる場合、得られた塩化ビニル樹脂層には、針を用いた糸の縫い付け等の既知の縫製方法を用いて縫製加工を施してもよい。因みに、本発明の自動車内装材用積層体が塩化ビニル樹脂層とテープとの間に追加の層を有する場合には、特に限定されることなく、縫製加工は、塩化ビニル樹脂層と追加の層とを積層した後に行うことができる。そして、上記塩化ビニル樹脂層は、インスツルメントパネル、ドアトリム等の自動車内装材の表皮として好適に用いられうる。
【0046】
上記塩化ビニル樹脂層の厚みは、特定の範囲に限定されない。当該厚みは、好ましくは100μm以上、更に好ましくは500μm以上、特に好ましくは800μm以上であり、好ましくは3mm以下、更に好ましくは2mm以下、特に好ましくは1.5mm以下である。
【0047】
<テープ>
上記塩化ビニル樹脂層の厚さ方向一方側に配置されたテープは、繊維編み込み構造を有する基材と、基材よりも塩化ビニル樹脂層側に位置する粘着層とを備える。なお、本発明の自動車内装材用積層体のテープは、所期の効果を著しく損なわない限り、上記基材および上記粘着層以外の層を備えていてもよい。具体的には、特に限定されることなく、本発明の自動車内装材用積層体のテープは、例えば、上記粘着層とは反対側に追加の粘着層を有していてもよい。但し、自動車内装材用積層体を加熱した際にテープが積層されている部分に跡が現れるのを確実に防止する観点からは、テープは基材と粘着層のみからなることが好ましい。
【0048】
そして、本発明の自動車内装材用積層体では、テープは、上記塩化ビニル樹脂層の厚さ方向一方側の任意の位置に設けることができる。具体的には、特に限定されることなく、テープは、上記塩化ビニル樹脂層の厚さ方向一方側の一部に設けることができる。具体的には、例えば、塩化ビニル樹脂層に縫製加工が施されている場合には、テープは縫製部分を覆う位置に設けることができる。
【0049】
[基材]
ここで、上記繊維編み込み構造を有する基材を構成する繊維の具体例は、ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維、ポリエステル繊維、セルロース、綿、麻、羊毛、絹等の有機繊維;ガラス繊維、カーボン繊維、アルミナ繊維、タングステン繊維、モリブデン繊維、チタン繊維、スチール繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイド繊維、シリカ繊維等の無機繊維等である。繊維編み込み構造を形成する繊維には、1種又は2種以上の繊維が使用されうる。上記の中でも、繊維編み込み構造を形成する繊維としては、無機繊維が好ましく、ガラス繊維がより好ましい。すなわち本発明の自動車内装材用積層体のテープを構成する基材は、無機繊維からなる繊維編みこみ構造を有することが好ましく、ガラス繊維からなる繊維編みこみ構造を有することが更に好ましく、ガラス繊維のみからなる繊維編みこみ構造のみを有することがより好ましい。
上述した繊維が、平織り、綾織り等の織物に編み込まれ、繊維編み込み構造が形成される。上記繊維の直径は、好ましくは1μm以上、更に好ましくは2μm以上であり、好ましくは10μm以下、更に好ましくは7μm以下である。
【0050】
上記基材の厚みは、好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上であり、好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下である。
【0051】
[粘着層]
上記粘着層を形成する粘着剤を構成するポリマーの具体例は、ポリブタジエン、合成ポリイソプレン、天然ゴム等の共役ジエン重合体;スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等の芳香族ビニル−共役ジエン共重合体;スチレン−ブタジエン共重合体水素添加物、スチレン−イソプレン共重合体水素添加物等の芳香族ビニル−共役ジエン共重合体水素添加物;アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等のシアノ基含有ビニル−共役ジエン共重合体;アクリロニトリル−ブタジエン共重合体水素添加物等のシアノ基含有ビニル−共役ジエン共重合体水素添加物;シリコーンゴム、シリコーン樹脂等のシリコーンポリマー;アクリルゴム、アクリル樹脂等のアクリルポリマー;ウレタンポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエステル;ポリアミド;エポキシポリマー;ビニルアルキルエーテルポリマー;フッ素ゴム、フッ素樹脂等のフッ素ポリマー;等である。粘着層の形成には、1種又は2種以上の粘着剤を構成するポリマーが使用される。上記の中でも、シリコーンポリマーが好ましい。すなわち本発明の自動車内装材用積層体を構成するテープを構成する粘着層は、シリコーンポリマーを含むことが好ましく、シリコーンポリマーを主成分として含む(本発明では50質量%以上含有することを「主成分として含む」という。)ことがより好ましく、シリコーンポリマーのみを含むことが更に好ましい。
【0052】
上記粘着層の厚みは、好ましくは1μm以上、更に好ましくは3μm以上であり、好ましくは10μm以下、更に好ましくは8μm以下である。
【0053】
そして、テープは、粘着層を用いて上記塩化ビニル樹脂層の厚さ方向一方側に貼り付けられる。具体的には、例えば、本発明の自動車内装材用積層体が塩化ビニル樹脂層およびテープのみからなる場合には、上記粘着層が上記塩化ビニル樹脂層に貼り付けられ、上記塩化ビニル樹脂層と上記テープとが積層される。
【0054】
本発明の自動車内装材用積層体は、発泡ポリウレタン成形体などの発泡体と積層される。積層方法は、本発明の自動車内装材用積層体と、発泡ポリウレタン成形体などの発泡体とを別途作製した後に、熱融着、熱接着又は公知の接着剤などを用いることにより貼り合わせる方法;本発明の自動車内装材用積層体上で発泡ポリウレタン成形体の原料となるイソシアネート類およびポリオール類などの発泡体原料を反応させて重合を行うと共に、公知の方法により発泡を行うことにより積層する方法;などが挙げられる。後者の方が、工程が簡素であり、かつ、種々の形状の積層体を得る場合においても、本発明の自動車内装材用積層体と発泡ポリウレタン成形体などの発泡体との接着を確実に行うことができるのでより好適である。
【実施例】
【0055】
以下、実施例により本発明が詳細に説明されるが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0056】
なお、以下の実施例及び比較例において、塩化ビニル樹脂粒子及び塩化ビニル樹脂微粒子の平均重合度は、JIS K6720−2に準拠し、塩化ビニル樹脂粒子及び塩化ビニル樹脂微粒子のそれぞれを、シクロヘキサノンに溶解させて粘度を測定することにより、算出した。
また、塩化ビニル樹脂粒子及び塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径(体積平均粒子径)は、塩化ビニル樹脂粒子及び塩化ビニル樹脂微粒子を、それぞれ水槽内に分散させ、以下に示す装置を用いて、光の回折・散乱強度分布を測定・解析し、粒子径及び体積基準の粒子径分布を測定することにより、算出した。
・装置:レーザー回折式粒度分布測定機(島津製作所製、SALD−2300)
・測定方式:レーザー回折及び散乱
・測定範囲:0.017μm〜2500μm
・光源:半導体レーザー(波長680nm、出力3mW)
【0057】
(実施例1、比較例1及び2)
表1に示す配合成分のうち可塑剤(トリメリット酸エステル及びエポキシ化大豆油)とダスティング剤である塩化ビニル樹脂微粒子とを除く成分をヘンシェルミキサーに入れて混合した。そして、混合物の温度が80℃に上昇した時点で可塑剤を添加し、さらに昇温することによりドライアップ(可塑剤が塩化ビニル樹脂粒子に吸収されて、上記混合物がさらさらになった状態をいう。)させた。その後、ドライアップさせた混合物が100℃以下に冷却された時点でダスティング剤である塩化ビニル樹脂微粒子を添加し、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を調製した。
そして、得られた粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を250℃に加熱したシボ付き金型に振りかけ、塩化ビニル樹脂成形シートの厚みが1mmになるよう調整した時間(具体的には8〜20秒間)放置して溶融させた後、余剰の塩化ビニル樹脂組成物を振り落とした。その後、200℃に設定したオーブンに静置し、60秒経過した時点で金型を冷却水により冷却し、金型温度が40℃まで冷却された時点で150mm×200mm×1mmの塩化ビニル樹脂成形シート(塩化ビニル樹脂層)を金型から脱型した。その後、得られた塩化ビニル樹脂成形シートの表面(シボ付き面とは反対側の面)の一部に表2に示す構造のテープを積層して自動車インスツルメントパネル用積層体を得た。
次に、200mm×300mm×10mmの金型の下に250mm×340mm×2mmのアルミ板を置き、テープを積層した塩化ビニル樹脂成形シート(自動車インスツルメントパネル用積層体)2枚を、348mm×255mm×10mmの金型の蓋に、シボ付き面が蓋側になるように、それぞれ接着させた。また、プロピレングリコールのPO(プロピレンオキサイド)・EO(エチレンオキサイド)ブロック付加物(水酸基価28、末端EO単位の含有量=10%、内部EO単位の含有量4%)50質量部、グリセリンのPO・EOブロック付加物(水酸基価21、末端EO単位の含有量=14%)50質量部、水2.5質量部、トリエチレンジアミンのエチレングリコール溶液(東ソー(株)製、商品名:「TEDA−L33」)0.2質量部、トリエタノールアミン1.2質量部、トリエチルアミン0.5質量部及び整泡剤(信越化学工業(株)製、商品名:「F−122」)0.5質量部からなるポリオール混合物と、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)とを、インデックスが98になる比率で混合して混合液を作製した。次に、得られた混合液を金型に注ぎ、前記塩化ビニル樹脂成形シートを接着させた蓋で、金型を密閉した。5分後、1mm厚の塩化ビニル樹脂成形シートからなる表皮に9mm厚、密度0.18g/cmの発泡ポリウレタン成形体が裏打ちされた試料(テープが積層された塩化ビニル樹脂成形シート/発泡ポリウレタン成形体/アルミ板積層体)を金型から取り出し、下記の耐熱試験を実施した。結果を表2に示す。
【0058】
<耐熱試験>
上記試料を130℃に設定されたオーブンに入れた。そして、100時間毎に試料を取り出し、室温まで冷却した後、試験者5名が外観を目視で確認し、次の3段階で評価した。
優:試験者5名のうち5名がテープの跡が現れていないと判断した。
良:試験者5名のうち3名以上4名以下がテープの跡が現れていないと判断した。
不良:試験者5名のうち2名以下がテープの跡が現れていないと判断した。
【0059】
【表1】
【0060】
1)新第一塩ビ(株)製、ZEST 2500Z(塩化ビニル系樹脂粒子((a1)塩化ビニル樹脂粒子)、平均重合度2500、平均粒子径130μm)
2)花王(株)製、トリメックスN−08
3)(株)ADEKA製、アデカサイザーO−130S
4)協和化学工業(株)製、アルカマイザー5
5)水澤化学工業(株)製、MIZUKALIZER DS
6)昭和電工(株)製、カレンズDK−1
7)堺化学工業(株)製、SAKAI SZ2000
8)新第一塩ビ(株)製、ZEST PQLTX(乳化重合で得られた塩化ビニル系樹脂微粒子((a2)塩化ビニル樹脂微粒子)、平均重合度800、平均粒子径2μm)
9)大日精化工業(株)製、DA PX−1720 ブラック(A)
【0061】
【表2】
【0062】
10)スリーエムジャパン(株)製、ガラスクロステープ361(基材:ガラスクロス、粘着層:シリコーンポリマー)
11)日東電工(株)製、ポリイミド粘着テープNO.360UL
12)スリーエムジャパン(株)製、スコッチ メンディングテープ
【0063】
実施例1のテープが積層された塩化ビニル樹脂成形シート/発泡ポリウレタン成形体/アルミ板積層体は、加熱されても、テープが積層されている部分に跡が現れなかった。比較例1及び2の、基材が繊維編み込み構造を有していないテープが積層されている塩化ビニル樹脂成形シート/発泡ポリウレタン成形体/アルミ板積層体は、加熱されると、テープが積層されている部分に跡が現れた。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の自動車内装材用積層体は、長時間高温状態に曝されても良好な外観を保てる。
【符号の説明】
【0065】
1 表皮
2 糸
3 テープ
4 発泡ポリウレタン層
図1
図2
図3
【国際調査報告】