特表-16152599IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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再表2016-152599積層体、仮接着用組成物および仮接着膜
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2016年9月29日
【発行日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】積層体、仮接着用組成物および仮接着膜
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/06 20060101AFI20171201BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20171201BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   B32B7/06
   B32B7/12
   C09J201/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】57
【出願番号】特願2017-508229(P2017-508229)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年3月14日
(31)【優先権主張番号】特願2015-60078(P2015-60078)
(32)【優先日】2015年3月23日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2016-38245(P2016-38245)
(32)【優先日】2016年2月29日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】加持 義貴
(72)【発明者】
【氏名】岩井 悠
(72)【発明者】
【氏名】沢野 充
(72)【発明者】
【氏名】小山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 敦
【テーマコード(参考)】
4F100
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AB11
4F100AB11A
4F100AB11C
4F100AH06B
4F100AT00A
4F100AT00C
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100EH46B
4F100EJ17B
4F100EJ20
4F100EJ42B
4F100EJ85
4F100GB41
4F100JA06B
4F100JK06B
4F100JK07B
4F100JL11B
4F100JL14B
4F100YY00B
4J040DB021
4J040DM011
4J040JB01
4J040LA01
4J040LA06
4J040LA11
4J040NA20
(57)【要約】
ウェハを薄型にしても、反りが発生しにくくすることが可能な、積層体、仮接着用組成物および仮接着膜の提供。
第1の基材と、仮接着膜と、第2の基材を、上記順に互いに隣接して有する積層体であって、仮接着膜は、25℃の時の、JIS K 7161:1994に準拠した、引張弾性率Eが25〜2000MPaであり、積層体の、25℃の温度で、第1の基材および第2の基材のいずれか一方を固定し、他方の基材の端部を、仮接着膜との界面から、50mm/分の速さで、他方の基材の基材面に対し垂直な方向に、他方の基材の端部を引き上げることによって、剥離可能で、かつ、引き上げる際にかかる力を、フォースゲージを用いて測定したときの力が0.33N/mm以下である、積層体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基材と、仮接着膜と、第2の基材を、前記順に互いに隣接して有する積層体であって、
前記仮接着膜は、25℃の時の、JIS K 7161:1994に準拠した、引張弾性率Eが25〜2000MPaであり、
25℃の温度で、前記積層体の、第1の基材および第2の基材のいずれか一方を固定し、他方の基材の端部を、仮接着膜との界面から、50mm/分の速さで、前記他方の基材の基材面に対し垂直な方向に引き上げることによって、剥離可能で、かつ、前記引き上げる際にかかる力を、フォースゲージを用いて測定したときの力が0.33N/mm以下である、積層体。
【請求項2】
仮接着膜の表面自由エネルギーが30mJ/m2以下である、請求項1に記載の積層体;但し、表面自由エネルギーとは、仮接着膜に対する水、エチレングリコールおよびジヨードメタンの接触角に基づき、拡張Fowkes式から得られる値をいう。
【請求項3】
仮接着膜の温度190℃の時のJIS K 7244−6:1999に準拠したせん断貯蔵弾性率G’が0.1〜1MPaである、請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
仮接着膜の温度25℃の時のJIS K 7244−4:1999に準拠した引張貯蔵弾性率E’が150〜900MPaである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項5】
仮接着膜の温度190℃の時のJIS K 7244−6:1999に準拠したせん断貯蔵弾性率G’と、仮接着膜の25℃の時のJIS K 7244−4:1999に準拠した引張貯蔵弾性率E’との比E’/G’が、E’/G’≦3500を満たす、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項6】
仮接着膜の、昇温速度5℃/分で250℃まで昇温し、JIS K 6862:1984に準拠した、溶融粘度が10,000Pa・s以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項7】
仮接着膜の温度200℃、荷重10kgにおけるJIS K 7210:1999に準拠した、メルトフローレートが20.0g/10分以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項8】
仮接着膜の温度60℃の時の塑性変形開始圧力P60が0.2MPa以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体;但し、塑性変形開始圧力はシリコンウェハ上に設けた厚さ40μmの仮接着膜を60℃に加熱しながら、5mm×10mmのシリコンからなるチップを仮接着膜の膜面に対し垂直な方向から5秒間押し付け、チップを除去した後、光学顕微鏡でチップが接触していた箇所を観察し、押し付けた箇所の膜厚が10μm以上低下していた時の圧力をいう。
【請求項9】
仮接着膜が、仮接着用組成物を第1の基材および第2の基材の一方の表面にスピンコート法によって形成してなるか、仮接着用組成物を第1の基材および第2の基材の一方の表面にブレードコート法によって形成してなるか、フィルム状の仮接着膜を第1の基材および第2の基材の一方の表面に熱および圧力をかけてラミネートすることで形成してなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項10】
前記第1の基材および第2の基材の一方がキャリア基材であり、他方がデバイスウェハである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項11】
仮接着膜の膜面の面積が、キャリア基材の基材面の面積よりも小さい、請求項10に記載の積層体。
【請求項12】
キャリア基材の基材面の直径をCμm、デバイスウェハの基材面の直径をDμm、仮接着膜の膜面の直径をTμmとしたとき、(C‐200)≧T≧Dを満たす、請求項10に記載の積層体。
【請求項13】
キャリア基材の基材面の直径をCμm、デバイスウェハの基材面の直径をDμm、仮接着膜のキャリア基材と接している側の膜面の直径をTCμm、仮接着膜のデバイスウェハと接している側の膜面の直径をTDμmとしたとき、(C‐200)≧TC>TD≧Dを満たす、請求項10に記載の積層体。
【請求項14】
第1の基材および第2の基材の一方がキャリア基材であり、他方が厚さ200μm以下のデバイスウェハである、請求項1〜13のいずれかに記載の積層体。
【請求項15】
前記仮接着膜は、前記仮接着膜の固形分に対し、シリコーン化合物を0.001〜1質量%の割合で含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項16】
第1の基材と、仮接着用組成物を製膜してなる仮接着膜と、第2の基材を、前記順に互いに隣接して有する積層体に用いる仮接着用組成物であって、前記積層体の、25℃の温度で、第1の基材および第2の基材のいずれか一方を固定し、他方の基材の端部を、仮接着膜との界面から、50mm/分の速さで、前記他方の基材の基材面に対し垂直な方向に引き上げることによって、剥離可能で、かつ、前記引き上げる際にかかる力を、フォースゲージを用いて測定したときの力が0.33N/mm以下である、仮接着用組成物。
【請求項17】
25℃の時の、JIS K 7161:1994に準拠した、引張弾性率Eが25〜2000MPaであり、
表面自由エネルギーが30mJ/m2以下であり、
温度190℃の時のJIS K 7244−6:1999に準拠し、せん断貯蔵弾性率G’が0.1〜1MPaであり、
温度25℃の時のJIS K 7244−4:1999に準拠した引張貯蔵弾性率E’が150〜900MPaであり、
温度190℃の時のJIS K 7244−6:1999に準拠し、せん断貯蔵弾性率G’と、25℃の時のJIS K 7244−4:1999に準拠した引張貯蔵弾性率E’との比E’/G’が、E’/G’≦3500を満たし、
昇温速度5℃/分で250℃まで昇温し、JIS K 6862:1984に準拠した、溶融粘度が10,000Pa・s以上であり、
温度200℃、荷重10kgにおけるJIS K 7210:1999に準拠した、メルトフローレートが20.0g/10分以下であり、
温度60℃の時の塑性変形開始圧力P60が0.2MPa以上である、仮接着膜;但し、表面自由エネルギーとは、仮接着膜に対する水、エチレングリコールおよびジヨードメタンの接触角に基づき、拡張Fowkes式から得られる値をいう;塑性変形開始圧力はシリコンウェハ上に設けた厚さ40μmの仮接着膜を60℃に加熱しながら、5mm×10mmのシリコンからなるチップを仮接着膜の膜面に対し垂直な方向から5秒間押し付け、チップを除去した後、光学顕微鏡でチップが接触していた箇所を観察し、押し付けた箇所の膜厚が10μm以上低下していた時の圧力をいう。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体、仮接着用組成物および仮接着膜に関する。特に、キャリア基材を用いたウェハデバイスの処理に用いる積層体、および上記積層体に用いる仮接着用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路(IC)や大規模集積回路(LSI)などの半導体デバイスの製造プロセスにおいては、デバイスウェハ上に多数のICチップが形成され、ダイシングにより個片化される。
電子機器の更なる小型化および高性能化のニーズに伴い、電子機器に搭載されるICチップについても更なる小型化および高集積化が求められているが、デバイスウェハの面方向における集積回路の高集積化は限界に近づいている。
【0003】
ICチップ内の集積回路から、ICチップの外部端子への電気的な接続方法としては、従来より、ワイヤーボンディング法が広く知られているが、ICチップの小型化を図るべく、近年、デバイスウェハに貫通孔を設け、外部端子としての金属プラグを貫通孔内を貫通するように集積回路に接続する方法(いわゆる、シリコン貫通電極(TSV)を形成する方法)が知られている。しかしながら、シリコン貫通電極を形成する方法のみでは、上記した近年のICチップに対する更なる高集積化のニーズに充分応えられるものではない。
【0004】
以上を鑑み、ICチップ内の集積回路を多層化することにより、デバイスウェハの単位面積当たりの集積度を向上させる技術が知られている。しかしながら、集積回路の多層化は、ICチップの厚みを増大させるため、ICチップを構成する部材の薄型化が必要である。このような部材の薄型化としては、例えば、デバイスウェハの薄型化が検討されており、ICチップの小型化につながるのみならず、シリコン貫通電極の製造におけるデバイスウェハの貫通孔製造工程を省力化できることから、有望視されている。また、パワーデバイスやイメージセンサーなどの半導体デバイスにおいても、上記集積度の向上やデバイス構造の自由度向上の観点から、薄型化が試みられている。
【0005】
デバイスウェハとしては、約700〜900μmの厚さを有するものが広く知られているが、近年、ICチップの小型化等を目的に、デバイスウェハの厚さを200μm以下となるまで薄くすることが試みられている。
しかしながら、厚さ200μm以下のデバイスウェハは非常に薄く、これを基材とする半導体デバイス製造用部材も非常に薄いため、このような部材に対して更なる処理を施したり、あるいは、このような部材を単に移動したりする場合等において、部材を安定的に、かつ、損傷を与えることなく支持することは困難である。
【0006】
上記のような問題を解決すべく、薄型化前のデバイスウェハとキャリア基材とを仮接着剤により一時的に固定(仮接着)し、デバイスウェハの裏面を研削して薄型化した後に、デバイスウェハからキャリア基材を剥離(脱離)させる技術が知られている。
具体的には、特許文献1には、支持体上に、シクロオレフィン系重合体と、ジアリールシリコーン構造、ジアルキルシリコーン構造、フッ素化アルキル構造、フッ素化アルケニル構造および炭素数8以上のアルキル構造から選ばれる少なくとも1種の構造、ならびにポリオキシアルキレン構造、リン酸基を有する構造およびスルホ基を有する構造から選ばれる少なくとも1種の構造を有する化合物とを含有する部材を少なくとも含む仮固定材を介して、基材を仮固定することにより、積層体を得る工程、基材を加工し、および/または積層体を移動する工程、ならびに基材面に対して略垂直方向に、基材または支持体に力を付加することで、基材を支持体から剥離する工程をこの順で有する、基材の処理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−241568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、特許文献1に記載の技術は、支持体(シリコンウェハ)が破損することなく、キャリア基材や仮接着剤から剥離できるようにしている。このような技術は、薄膜化されたウェハについても、割れにくいため扱いが容易になるというメリットがある。しかしながら、ウェハが薄型になれば、反りが発生しやすくなるという問題がある。
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、ウェハを薄型にしても、反りを発生しにくくすることが可能な、積層体、仮接着用組成物および仮接着膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる状況のもと、本発明者が鋭意検討を行った結果、下記手段<1>、好ましくは<2>〜<17>により、上記課題を解決しうることを見出した。
<1>第1の基材と、仮接着膜と、第2の基材を、順に互いに隣接して有する積層体であって、仮接着膜は、25℃の時の、JIS K 7161:1994に準拠した、引張弾性率Eが25〜2000MPaであり、25℃の温度で、積層体の、第1の基材および第2の基材のいずれか一方を固定し、他方の基材の端部を、仮接着膜との界面から、50mm/分の速さで、他方の基材の基材面に対し垂直な方向に、他方の基材の端部を引き上げることによって、剥離可能で、かつ、引き上げる際にかかる力を、フォースゲージを用いて測定したときの力が0.33N/mm以下である、積層体。
<2>仮接着膜の表面自由エネルギーが30mJ/m2以下である、<1>に記載の積層体;但し、表面自由エネルギーとは、仮接着膜に対する水、エチレングリコールおよびジヨードメタンの接触角に基づき、拡張Fowkes式から得られる値をいう。
<3>仮接着膜の温度190℃の時のJIS K 7244−6:1999に準拠したせん断貯蔵弾性率G’が0.1〜1MPaである、<1>または<2>に記載の積層体。
<4>仮接着膜の温度25℃の時のJIS K 7244−4:1999に準拠した引張貯蔵弾性率E’が150〜900MPaである、<1>〜<3>のいずれかに記載の積層体。
<5>仮接着膜の温度190℃の時のJIS K 7244−6:1999に準拠したせん断貯蔵弾性率G’と、仮接着膜の25℃の時のJIS K 7244−4:1999に準拠した引張貯蔵弾性率E’との比E’/G’が、E’/G’≦3500を満たす、<1>〜<4>のいずれかに記載の積層体。
<6>仮接着膜の、昇温速度5℃/分で250℃まで昇温し、JIS K 6862:1984に準拠した、溶融粘度が10,000Pa・s以上である、<1>〜<5>のいずれかに記載の積層体。
<7>仮接着膜の温度200℃、荷重10kgにおけるJIS K 7210:1999に準拠した、メルトフローレートが20.0g/10分以下である、<1>〜<6>のいずれかに記載の積層体。
<8>仮接着膜の温度60℃の時の塑性変形開始圧力P60が0.2MPa以上である、<1>〜<7>のいずれかに記載の積層体;但し、塑性変形開始圧力はシリコンウェハ上に設けた厚さ40μmの仮接着膜を60℃に加熱しながら、5mm×10mmのシリコンからなるチップを仮接着膜の膜面に対し垂直な方向から5秒間押し付け、チップを除去した後、光学顕微鏡でチップが接触していた箇所を観察し、押し付けた箇所の膜厚が10μm以上低下していた時の圧力をいう。
<9>仮接着膜が、仮接着用組成物を第1の基材および第2の基材の一方の表面にスピンコート法によって形成してなるか、仮接着用組成物を第1の基材および第2の基材の一方の表面にブレードコート法によって形成してなるか、フィルム状の仮接着膜を第1の基材および第2の基材の一方の表面に熱および圧力をかけてラミネートすることで形成してなる、<1>〜<8>のいずれかに記載の積層体。
<10>第1の基材および第2の基材の一方がキャリア基材であり、他方がデバイスウェハである、<1>〜<9>のいずれかに記載の積層体。
<11>仮接着膜の膜面の面積が、キャリア基材の基材面の面積よりも小さい、<10>に記載の積層体。
<12>キャリア基材の基材面の直径をCμm、デバイスウェハの基材面の直径をDμm、仮接着膜の膜面の直径をTμmとしたとき、(C‐200)≧T≧Dを満たす、<10>に記載の積層体。
<13>キャリア基材の基材面の直径をCμm、デバイスウェハの基材面の直径をDμm、仮接着膜のキャリア基材と接している側の膜面の直径をTCμm、仮接着膜のデバイスウェハと接している側の膜面の直径をTDμmとしたとき、(C‐200)≧TC>TD≧Dを満たす、<10>に記載の積層体。
<14>第1の基材および第2の基材の一方がキャリア基材であり、他方が厚さ200μm以下のデバイスウェハである、<1>〜<13>のいずれかに記載の積層体。
<15>上記仮接着膜は、上記仮接着膜の固形分に対し、シリコーン化合物を0.001〜1質量%の割合で含む、<1>〜<14>のいずれかに記載の積層体。
<16>第1の基材と、仮接着用組成物を製膜してなる仮接着膜と、第2の基材を、上記順に互いに隣接して有する積層体に用いる仮接着用組成物であって、上記積層体の、25℃の温度で、第1の基材および第2の基材のいずれか一方を固定し、他方の基材の端部を、仮接着膜との界面から、50mm/分の速さで、上記他方の基材の基材面に対し垂直な方向に、上記他方の基材の端部を引き上げることによって、剥離可能で、かつ、上記引き上げる際にかかる力を、フォースゲージを用いて測定したときの力が0.33N/mm以下である、仮接着用組成物。
<17>25℃の時の、JIS K 7161:1994に準拠した、引張弾性率Eが25〜2000MPaであり、
表面自由エネルギーが30mJ/m2以下であり、
温度190℃の時のJIS K 7244−6:1999に準拠し、せん断貯蔵弾性率G’が0.1〜1MPaであり、
温度25℃の時のJIS K 7244−4:1999に準拠した引張貯蔵弾性率E’が150〜900MPaであり、
温度190℃の時のJIS K 7244−6:1999に準拠し、せん断貯蔵弾性率G’と、25℃の時のJIS K 7244−4:1999に準拠した引張貯蔵弾性率E’との比E’/G’が、E’/G’≦3500を満たし、
昇温速度5℃/分で250℃まで昇温し、JIS K 6862:1984に準拠した、溶融粘度が10,000Pa・s以上であり、
温度200℃、荷重10kgにおけるJIS K 7210:1999に準拠した、メルトフローレートが20.0g/10分以下であり、
温度60℃の時の塑性変形開始圧力P60が0.2MPa以上である、仮接着膜;但し、表面自由エネルギーとは、仮接着膜に対する水、エチレングリコールおよびジヨードメタンの接触角に基づき、拡張Fowkes式から得られる値をいう;塑性変形開始圧力はシリコンウェハ上に設けた厚さ40μmの仮接着膜を60℃に加熱しながら、5mm×10mmのシリコンからなるチップを仮接着膜の膜面に対し垂直な方向から5秒間押し付け、チップを除去した後、光学顕微鏡でチップが接触していた箇所を観察し、押し付けた箇所の膜厚が10μm以上低下していた時の圧力をいう。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、ウェハを薄型にしても、反りが発生しにくくすることが可能な、積層体、仮接着用組成物および仮接着膜を提供することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】半導体装置の製造方法を示す第一の実施形態の概略図である。
図2】半導体装置の製造方法を示す第二の実施形態の概略図である。
図3】従来の接着性キャリア基材とデバイスウェハとの仮接着状態の解除を説明する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書中における「活性光線」または「放射線」は、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を含むものを意味する。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も露光に含める。また、露光に用いられる光としては、一般的に、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線または放射線が挙げられる。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全組成から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルを表し、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」および「メタクリロイル」を表す。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン換算値として定義される。本明細書において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC−8220(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel Super AWM―H(東ソー(株)製、内径(ID)6.0mm×15.0cm)を、溶離液として10mmol/L リチウムブロミドNMP(N−メチルピロリドン)溶液を用いることによって求めることができる。
本明細書において、「親油基」とは、親水性基を含まない官能基を意味する。また、「親水性基」とは、水との間に親和性を示す官能基を意味する。
なお、以下に説明する実施の形態において、既に参照した図面において説明した部材等については、図中に同一符号あるいは相当符号を付すことにより説明を簡略化あるいは省略化する。
【0013】
本発明の積層体は、第1の基材と、仮接着膜と、第2の基材を、上記順に互いに隣接して有する積層体であって、仮接着膜は、25℃の時の、JIS(日本工業規格) K 7161:1994に準拠した、引張弾性率E(以下、単に「引張弾性率E」ということがある)が25〜2000MPaであり、積層体の、25℃の温度で、第1の基材および第2の基材のいずれか一方を固定し、他方の基材の端部を、仮接着膜との界面から、50mm/分の速さで、他方の基材の基材面に対し垂直な方向に引き上げることによって、剥離可能で、かつ、上記引き上げる際にかかる力を、フォースゲージを用いて測定したときの力が0.33N/mm以下であることを特徴とする。このような構成とすることにより、ウェハを薄型化しても反りを効果的に抑制できる。ここで、仮接着膜の温度25℃の時とは、25℃に保持した環境下に仮接着膜を3分間保持した状態を意味する。他の温度についても、同様に考える。
さらに、本発明では、仮接着膜の表面自由エネルギー、仮接着膜の温度190℃の時のせん断貯蔵弾性率G’、仮接着膜の温度25℃の時の引張貯蔵弾性率E’、貯蔵弾性率Gと貯蔵弾性率E’との比E’/G’、仮接着膜の溶融粘度、仮接着膜のメルトフローレート(MFR)、および仮接着膜の塑性変形開始圧力の少なくとも1つが所定の値を満たすことが好ましい。このような構成とすることにより、薄型化ウェハの反りを特に効果的に抑制できる。
また、本発明では、引張弾性率E、仮接着膜の表面自由エネルギー、温度190℃の時のせん断貯蔵弾性率G’、温度25℃の時の引張貯蔵弾性率E’、貯蔵弾性率Gと貯蔵弾性率E’との比E’/G’、溶融粘度、メルトフローレート(MFR)、および仮接着膜の塑性変形開始圧力が所定の値を満たす仮接着膜を開示する。
【0014】
本発明では、仮接着膜の引張弾性率Eが、25〜2000MPaである。ここで、仮接着膜の引張弾性率Eとは、後述する実施例で述べる方法に従った値をいう。また、実施例で用いる測定機器等が廃版等により、入手不可能な場合は、同等の性能を有する他の機器を用いて測定した値とする。以下の実施例の測定方法を参酌する場合について、同様に考える。
仮接着膜の引張弾性率Eの下限値は、28MPa以上が好ましく、30MPa以上とすることもでき、さらには40MPa以上とすることもできる。上限値については、1500MPa以下が好ましく、500MPa以下とすることもでき、さらには100MPa以下とすることもでき、特には70MPa以下とすることもできる。
【0015】
本発明では、仮接着膜の表面自由エネルギーが30mJ/m2以下であることが好ましい。このような範囲とすることにより、薄型化ウェハの反りを効果的に抑制できる。
ここで、仮接着膜の表面自由エネルギーとは、仮接着膜に対して水、エチレングリコールおよびジヨードメタンを、それぞれ、滴下したときの接触角を求め、拡張Fowkes式から連立一次方程式を立て、解を求めることで得た数値をいう。具体的には、後述する実施例に記載された方法に従う。
本発明における仮接着膜の表面自由エネルギーは、上限値が、29mJ/m2以下であることが好ましく、28mJ/m2以下であることがより好ましい。下限値については、特に定めるものでは無いが、23mJ/m2以上であることが好ましく、24mJ/m2以上であることがより好ましい。
【0016】
本発明では、仮接着膜の温度190℃の時のJIS K 7244−6:1999に準拠したせん断貯蔵弾性率G’(以下、単に、「せん断貯蔵弾性率G’」ということがある)が0.1〜1MPaであることが好ましい。このような範囲とすることにより、薄型化ウェハの反りをより効果的に抑制できる。ここで、仮接着膜のせん断貯蔵弾性率G’とは、後述する実施例で述べる方法に従った値をいう。
本発明におけるせん断貯蔵弾性率G’の下限値は、0.13MPa以上が好ましく、0.15MPa以上がより好ましく、さらには、0.24MPa以上とすることもできる。せん断貯蔵弾性率G’の上限値は、0.8MPa以下であることが好ましく、0.5MPa以下であることがより好ましく、0.45MPa以下とすることもでき、さらには0.4MPa以下とすることもできる。
【0017】
本発明では、仮接着膜の温度25℃の時のJIS K 7244−4:1999に準拠した引張貯蔵弾性率E’(以下、単に、「引張貯蔵弾性率E’」ということがある)が150〜900MPaであることが好ましい。このような範囲とすることにより、薄型化ウェハの反りをより効果的に抑制できる。ここで、仮接着膜の引張貯蔵弾性率E’とは、後述する実施例で述べる方法に従った値をいう。
本発明における引張貯蔵弾性率E’の下限値は、160MPa以上であることが好ましく、170MPa以上であることがより好ましく、さらには、200MPa以上とすることもでき、特には、250MPa以上、より特には300MPa以上とすることもできる。引張貯蔵弾性率E’の上限値は、600MPa以下であることが好ましく、さらには500MPa以下とすることもでき、特には480MPa以下とすることもできる。
【0018】
本発明では、せん断貯蔵弾性率G’と、引張貯蔵弾性率E’との比E’/G’が、E’/G’≦3500を満たすことが好ましい。このような範囲とすることにより、薄型化ウェハの反りをより効果的に抑制できる。
本発明におけるE’/G’の上限値は、3200以下であることが好ましく、2000以下とすることもでき、さらには1500以下とすることもできる。E’/G’の下限値は、例えば、200以上が好ましく、さらには、300以上がより好ましく、800以上とすることもでき、特には900以上とすることもできる。
【0019】
本発明における仮接着膜の、昇温速度5℃/分で250℃まで昇温したときの、JIS K 6862:1984に準拠した、溶融粘度(以下、単に、「溶融粘度」ということがある)は、10,000Pa・s以上であることが好ましい。このような範囲とすることにより、薄型化ウェハの反りをより効果的に抑制できる。ここで、仮接着膜の溶融粘度とは、後述する実施例で述べる方法に従った値をいう。
仮接着膜の溶融粘度の下限値は、10,500Pa・s以上が好ましく、12,000Pa・s以上とすることもできる。また、仮接着膜の溶融粘度の上限値は、70,000Pa・s以下が好ましく、60,000Pa・s以下とすることもでき、さらには、15,000Pa・s以下とすることもでき、特には14,000Pa・s以下とすることもできる。
【0020】
本発明における仮接着膜の温度200℃、荷重10kgにおけるJIS K 7210:1999に準拠した、メルトフローレート(以下、単に、「MFR」ということがある)が20g/10分以下であることが好ましい。このような範囲とすることにより、薄型化ウェハの反りをより効果的に抑制できる。ここで、仮接着膜のMFRとは、後述する実施例で述べる方法に従った値をいう。
仮接着膜のMFRの上限値は、17.0g/10分以下とすることが好ましく、15.0g/10分以下とすることがより好ましい。仮接着膜のMFRの下限値は、3.0g/10分以上が好ましく、7.0g/10分以上とすることもでき、さらには、10.0g/10分以上とすることもできる。
特に、仮接着膜によって担持したデバイスウェハに対し、200℃以上に加熱するプロセスを行う場合には、仮接着膜のMFRの上限値は、17.0g/10分以下とすることが好ましく、15.0g/10分以下とすることがより好ましい。また、上記場合には、仮接着膜のMFRの下限値は、0.001g/10分以上が好ましく、0.01g/10分以上とすることもでき、さらには、0.1g/10分以上とすることもできる。
【0021】
本発明における仮接着膜の温度60℃の時の塑性変形開始圧力P60(以下、単に、「塑性変形開始圧力」ということがある)が0.2MPa以上であることが好ましい。このような範囲とすることにより、薄型化ウェハの反りをより効果的に抑制できる。ここで、塑性変形開始圧力はシリコンウェハ上に設けた厚さ40μmの仮接着膜を60℃に加熱しながら、5mm×10mmのシリコンからなるチップを仮接着膜の膜面に対し垂直な方向から5秒間押し付け、チップを除去した後、光学顕微鏡でチップが接触していた箇所を観察し、押し付けた箇所の膜厚が10μm以上低下していた時の圧力をいう。より具体的には、後述する実施例で述べる方法に従った値をいう。
塑性変形開始圧力の下限値は、0.3MPa以上であることが好ましく、0.35MPa以上であることがより好ましい。塑性変形開始圧力の上限値は、60.0MPa以下であることが好ましく、10.0MPa以下とすることもでき、さらには1.0MPa以下とすることもでき、特には0.9MPa以下とすることもできる。
【0022】
次に、本発明の積層体の構成の詳細について説明する。
本発明の積層体は、上述のとおり、第1の基材と、仮接着膜と、第2の基材を、上記順に互いに隣接して有する。第1の基材と第2の基材の一方は、通常、キャリア基材(固定部材)として用いられるものであり、他方は薄型化されるデバイスウェハである。
キャリア基材としては、シリコンウェハ、SiCウェハ、GaNウェハ等の各種ウェハ、ガラス、有機基材等の各種材質の基板、および、基板上に有機膜や無機膜が形成されたものが例示される。キャリア基材の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、300μm〜100mmが好ましく、300μm〜10mmがより好ましい。
デバイスウェハとしては、公知のものを制限なく使用することができ、例えば、シリコン基板、化合物半導体基板などが挙げられる。化合物半導体基板の具体例としては、SiC基板、SiGe基板、ZnS基板、ZnSe基板、GaAs基板、InP基板、GaN基板などが挙げられる。
デバイスウェハの表面には、機械構造や回路が形成されていてもよい。機械構造や回路が形成されたデバイスウェハとしては、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、パワーデバイス、イメージセンサー、マイクロセンサー、発光ダイオード(LED)、光学デバイス、インターポーザー、埋め込み型デバイス、マイクロデバイスなどが挙げられる。
デバイスウェハは、金属バンプ等の構造を有していることが好ましい。本発明によれば、表面に構造を有しているデバイスウェハに対しても、安定して仮接着できるとともに、デバイスウェハに対する仮接着を容易に解除できる。構造の高さは、特に限定はないが、例えば、1〜150μmが好ましく、5〜100μmがより好ましい。
【0023】
本発明における、機械的または化学的な処理を施す前のデバイスウェハの膜厚は、500μm以上が好ましく、600μm以上がより好ましく、700μm以上が更に好ましい。上限は、例えば、2000μm以下が好ましく、1500μm以下がより好ましい。
機械的または化学的な処理を施して薄膜化した後のデバイスウェハの膜厚は、例えば、500μm未満が好ましく、400μm以下がより好ましく、300μm以下が更に好ましく、200μm以下が一層好ましく、50μm以下がより一層好ましい。下限は、例えば、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。
【0024】
本発明の積層体は、第1の基材と第2の基材と仮接着膜とを加熱圧着することにより製造できる。好ましくは、第1の基材および第2の基材の一方の表面に仮接着膜を形成し、この仮接着膜の一方の基材と反対側の表面に、第1の基材および第2の基材の他方を配置して加熱圧着する。また、第1の基材および第2の基材の間に、仮接着膜を配置し、加熱圧着して製造することもできる。加熱圧着条件は、例えば、温度100〜210℃、圧力0.01〜1MPa、時間1〜15分が好ましい。
【0025】
本発明における仮接着膜の材料は、上記各種物性を満たす限り特に定めるものでは無いが、仮接着膜は、バインダーの少なくとも1種を含むことが好ましい。上記各種物性を満たす仮接着膜を得る手段については適宜定めることができるが、例えば、特定の2種以上のバインダーの組み合わせることが例示される。また、特定の1種のバインダーと可塑剤等を配合することによっても、物性を調整することが可能である。
本発明における仮接着膜がバインダーを含む場合、バインダーは、仮接着膜の全固形分中に50.00〜99.99質量%の割合で含むことが好ましく、70.00〜99.99質量%がより好ましく、88.00〜99.99質量%が特に好ましい。
また、バインダーとしてエラストマーを用いる場合、エラストマーは、仮接着膜の全固形分中に50.00〜99.99質量%の割合で含むことが好ましく、70.00〜99.99質量%がより好ましく、88.00〜99.99質量%が特に好ましい。
バインダーの詳細については、後述する。
【0026】
本発明における仮接着膜は、フッ素系液体状化合物を含有することが好ましい。本発明における仮接着膜は、フッ素系液体状化合物の含有割合の下限が、仮接着膜の全固形分に対し、0.001質量%以上であることが好ましく、0.002質量%以上であることがより好ましく、0.01質量%以上であってもよく、さらには0.03質量%以上であってもよく、特には、0.04質量%以上であってもよく、より特には、0.05質量%以上であってもよい。上記フッ素系液体状化合物の含有量の上限は、仮接着膜の全固形分に対し、0.9質量%以下であることが好ましく、0.6質量%以下であることがより好ましく、0.4質量%以下であることがさらに好ましく、0.3質量%以下であることがより一層好ましく、0.2質量%以下であることがさらに一層好ましく、0.1質量%以下であることが特に一層好ましい。2種以上を併用する場合は、合計の含有量が上記範囲であることが好ましい。特に本発明では、上記フッ素系液体状化合物の含有量を0.001〜1質量%、さらには、0.001〜0.09質量%の範囲とすることにより、積層体としたときのウェハエッジの浮きが効果的に抑制される。フッ素系液体状化合物は偏在性に富む化合物であるため、上記のように配合量が少なくても離型性を十分に確保できる。
本発明における仮接着膜は、シリコーン化合物を含有することが好ましい。本発明における仮接着膜は、シリコーン化合物の含有割合の下限が、仮接着膜の全固形分に対し、0.001質量%以上であることが好ましく、0.002質量%以上であることがより好ましく、0.01質量%以上であってもよく、さらには0.03質量%以上であってもよく、特には、0.04質量%以上であってもよく、より特には、0.05質量%以上であってもよい。上記シリコーン化合物の含有量の上限は、仮接着膜の全固形分に対し、1質量%以下であることが好ましく、0.8質量%以下であることがより好ましく、0.6質量%以下であることがさらに好ましく、0.4質量%以下であることが一層好ましく、0.2質量%以下であることがより一層好ましく、0.1質量%以下であることがさらに一層好ましい。
特に本発明では、上記シリコーン化合物の含有量を0.001〜0.1質量%、さらには、0.001〜0.09質量%の範囲とすることにより、積層体としたときのウェハエッジの浮きが効果的に抑制される。シリコーン化合物は偏在性に富む化合物であるため、上記のように配合量が少なくても離型性を十分に確保できる。
仮接着膜中における、フッ素系液体状化合物およびシリコーン化合物の含有量は、フッ素系液体状化合物は含まれるフッ素原子の量をイオンクロマトグラフ法で、シリコーン化合物に含まれるシリコン原子の量をICP−AES法で定量することで測定できる。
本発明における仮接着膜は、酸化防止剤などのその他添加剤をさらに含むことができる。これらの詳細については、後述する。
本発明では、仮接着膜は1層であっても、2層以上であってもよいが、1層が好ましい。
【0027】
本発明における仮接着膜は、平均膜厚が0.1〜500μmであることが好ましい。下限は、1μm以上が好ましい。上限は、200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。仮接着膜を2層以上有する場合は、合計厚みが上記範囲であることが好ましい。
【0028】
次に、仮接着膜の製造方法について説明する。
仮接着膜は、第1の基材および第2の基材の一方の表面に形成してもよいし、第1の基材および第2の基材とは別の支持体の表面に形成してもよい。以下、別の支持体の表面に形成する場合を例にとって仮接着膜の製造方法について説明するが、第1の基材および第2の基材の一方の表面に形成する場合も、同様に行うことができる。
【0029】
仮接着膜の製造方法は、支持体の表面に、仮接着用組成物を層状に形成し、溶剤を乾燥して、仮接着膜を製造する工程を有することが好ましい。
仮接着用組成物の適用方法として、スピンコート法、ブレードコート法、スプレー法、ローラーコート法、フローコート法、ドクターコート法、スクリーン印刷法、ディップコート法などが挙げられ、スピンコート法およびブレードコート法が好ましい。また、スリット状の開口から仮接着用組成物を圧力で押し出して、支持体上に仮接着用組成物を塗布する方法であってもよい。
仮接着用組成物の塗布量は、用途により異なるが、たとえば、乾燥後の仮接着膜の平均膜厚が0.1〜500μmとなる塗布量が好ましい。下限は、1μm以上が好ましい。上限は、200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。
なお、本発明において、仮接着膜の平均膜厚は、仮接着膜の一方向に沿った断面において、一方の端面から他方の端面に向かって、等間隔で5か所の場所における膜厚を、マイクロメータにより測定した値の平均値と定義する。また、本発明において、「仮接着膜の一方向に沿った断面」とは、仮接着膜が多角形状である場合は、長辺方向に直交する断面とする。また、仮接着膜が正方形状である場合は、いずれか一方の辺に直交する断面とする。また、仮接着膜が円形または楕円形である場合は、重心を通過する断面とする。
乾燥条件は、仮接着用組成物の種類や、仮接着膜の膜厚により異なる。乾燥条件は、例えば、60〜220℃で、10〜600秒が好ましい。乾燥温度は、80〜200℃がより好ましい。乾燥時間は、30〜500秒がより好ましく、40〜400秒が更に好ましい。
乾燥は、二段階に分けて段階的に温度を上げて実施してもよい。例えば、90〜130℃で、30秒〜250秒加熱した後、170〜220℃で、30秒〜250秒加熱することが挙げられる。
【0030】
仮接着膜を形成する支持体の種類は特に定めるものではないが、第1の基材および第2の基材の一方に転写することを考慮すると、離型性のある支持体が好ましい。
支持体上に仮接着膜(フィルム)を形成した場合、フィルム状の仮接着膜は、支持体から剥がした仮接着膜のみからなる膜であってもよいし、一方の表面に剥離シートを有する仮接着膜であってもよいし、両面に剥離シートを有する仮接着膜であってもよい。
これらの処理を連続的に行うことで、ロール状の長尺フィルムを得ることができる。長尺フィルムの長さは、特に限定はないが、下限は、例えば5000mm以上が好ましく、1000mm以上がより好ましい。上限は、例えば500000mm以下が好ましく、200000mm以下がより好ましい。剥離シートは、使用する際に剥離除去する。
支持体上に仮接着膜を形成した場合、第1の基材および第2の基材の一方の表面に、フィルム状の仮接着膜を適用し、熱および圧力をかけてラミネートすることで形成することが好ましい。
【0031】
一方、支持体に代えて、第1の基材または第2の基材を用いた場合、仮接着膜をこれらの基材から引き剥がさずにそのまま残しておき、デバイスウェハの加工を行うことができる。デバイスウェハの加工は後述する。また、基材の表面に仮接着膜を直接に設けた場合は、基材の裏面や基材の外周部などに付着している余分な仮接着膜を洗浄する工程を含んでいることが好ましい。この際の洗浄は、溶剤による洗浄が好ましく、このような溶剤としては、仮接着用組成物の組成との関係で適宜定められ、一例として、メシチレンが挙げられる。
【0032】
次に、本発明の仮接着用組成物について説明する。本発明の仮接着用組成物は、第1の基材と、仮接着用組成物を製膜してなる仮接着膜と、第2の基材を、上記順に互いに隣接して有する積層体に用いる仮接着用組成物であって、上記積層体の、25℃の温度で、第1の基材および第2の基材のいずれか一方を固定し、他方の基材の端部を、仮接着膜との界面から、50mm/分の速さで、上記他方の基材の基材面に対し垂直な方向に引き上げることによって、剥離可能で、かつ、上記引き上げる際にかかる力を、フォースゲージを用いて測定したときの力が0.33N/mm以下である。
【0033】
<バインダー>
本発明の仮接着用組成物は、バインダーを少なくとも1種含むことが好ましい。本発明において、バインダーは、上記仮接着膜の各種特性を達成できる限り、その種類等は特に定めるものでは無い。
バインダーは、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体が挙げられ、ブロック共重合体が好ましい。ブロック共重合体であれば、加熱プロセス時の仮接着用組成物の流動を抑えることができるため、加熱プロセス時においても接着を維持でき、また加熱プロセス後でも剥離性が変化しないという効果が期待できる。
バインダーの種類としては、特に限定はなく、ポリスチレン系共重合体、ポリエステル系共重合体、ポリオレフィン系共重合体、ポリウレタン系共重合体、ポリアミド系共重合体、ポリアクリル系共重合体、シリコーン系共重合体、ポリイミド系共重合体などが使用できる。特に、ポリスチレン系共重合体、ポリエステル系共重合体、ポリアミド系共重合体が好ましく、耐熱性と剥離性の観点からポリスチレン系共重合体がより好ましい。なかでも、バインダーは、スチレンと他のモノマーとのブロック共重合体であることが好ましく、片末端または両末端がスチレンブロックのスチレンブロック共重合体が特に好ましい。
また、バインダーは、ブロック共重合体の水添物が好ましい。バインダーが水添物であると、熱安定性や保存安定性が向上する。さらには、剥離性および剥離後の仮接着膜の洗浄除去性が向上する。なお、水添物とは、ブロック共重合体が水添された構造の重合体を意味する。
【0034】
本発明において、バインダーはエラストマーが好ましい。バインダーとしてエラストマーを使用することで、キャリア基材やデバイスウェハ(第1の基材や第2の基材)の微細な凹凸にも追従し、適度なアンカー効果により、接着性に優れた仮接着膜を形成できる。エラストマーは、1種または2種以上を併用することができる。
なお、本明細書において、エラストマーとは、弾性変形を示す高分子化合物を表す。すなわち外力を加えたときに、その外力に応じて瞬時に変形し、かつ外力を除いたときには、短時間に元の形状を回復する性質を有する高分子化合物と定義する。
【0035】
<<エラストマー>>
本発明において、エラストマーの重量平均分子量は、2,000〜200,000が好ましく、10,000〜200,000がより好ましく、50,000〜100,000がさらに好ましい。重量平均分子量がこの範囲にあるエラストマーは、溶剤への溶解性が優れるため、キャリア基材をデバイスウェハから剥離した後、溶剤を用いて、デバイスウェハやキャリア基材に残存するエラストマー由来の残渣を除去する際、残渣が容易に溶剤に溶解して除去される。このため、デバイスウェハやキャリア基材などに残渣が残らないなどの利点がある。
【0036】
本発明において、エラストマーとしては、特に限定なく、スチレン由来の繰り返し単位を含むエラストマー(ポリスチレン系エラストマー)、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリアクリル系エラストマー、シリコーン系エラストマー、ポリイミド系エラストマーなどが使用できる。特に、ポリスチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーが好ましく、耐熱性と剥離性の観点からポリスチレン系エラストマーが最も好ましい。
【0037】
本発明において、エラストマーは、水添物であることが好ましい。特に、ポリスチレン系エラストマーの水添物が好ましい。エラストマーが水添物であると、熱安定性や保存安定性が向上する。さらには、剥離性および剥離後の仮接着膜の洗浄除去性が向上する。ポリスチレン系エラストマーの水添物を使用した場合上記効果が顕著である。なお、水添物とは、エラストマーが水添された構造の重合体を意味する。
【0038】
本発明において、エラストマーは、25℃から、20℃/分の昇温速度で昇温した際の5%熱質量減少温度が、250℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましく、350℃以上であることがさらに好ましく、400℃以上であることが一層好ましい。また、上限値は特に限定はないが、例えば1000℃以下が好ましく、800℃以下がより好ましい。この態様によれば、耐熱性に優れた仮接着膜を形成しやすい。
本発明で用いるエラストマーは、元の大きさを100%としたときに、室温(20℃)において小さな外力で200%まで変形させることができ、かつ外力を除いたときに、短時間で130%以下に戻る性質を有することが好ましい。
【0039】
<<<ポリスチレン系エラストマー>>>
ポリスチレン系エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(SBBS)およびこれらの水添物、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)等が挙げられる。
【0040】
ポリスチレン系エラストマーにおける、スチレン由来の繰り返し単位の含有量は10〜90質量%が好ましい。剥離性の観点から、下限値は、25質量%以上が好ましく、51質量%以上がより好ましい。
【0041】
本発明において、ポリスチレン系エラストマーは、スチレン由来の繰り返し単位を全繰り返し単位中に10質量%以上50質量%以下の割合で含有するエラストマーAと、スチレン由来の繰り返し単位を全繰り返し単位中に50質量%を超えて95質量%以下の割合で含有するエラストマーBとを組み合わせて用いることも好ましい。エラストマーAとエラストマーBとを併用することで、反りの発生を効果的に抑制できる。このような効果が得られるメカニズムは、以下によるものと推測できる。
すなわち、エラストマーAは、比較的柔らかい材料であるため、弾性を有する仮接着膜を形成しやすい。このため、本発明の仮接着用組成物を用いて基材と支持体との積層体を製造し、基材を研磨して薄膜化する際に、研磨時の圧力が局所的に加わっても、仮接着膜が弾性変形して元の形状に戻り易くできる。その結果、優れた平坦研磨性が得られる。また、研磨後の積層体を、加熱処理し、その後冷却しても、仮接着膜によって、冷却時に発生する内部応力を緩和でき、反りの発生を効果的に抑制できる。
また、上記エラストマーBは、比較的硬い材料であるため、エラストマーBを含むことで、剥離性に優れた仮接着膜を製造できる。
【0042】
上記エラストマーAは、スチレン由来の繰り返し単位を全繰り返し単位中に13〜45質量%含有することが好ましく、15〜40質量%含有することがより好ましい。この態様であれば、より優れた平坦研磨性が得られる。更には、研磨後の基材の反りの発生を効果的に抑制できる。
エラストマーAの硬度は、20〜82が好ましく、60〜79がより好ましい。なお、硬度は、JIS K6253の方法に従い、タイプAデュロメーターで測定した値である。
【0043】
上記エラストマーBは、スチレン由来の繰り返し単位を全繰り返し単位中に55〜90質量%含有することが好ましく、60〜80質量%含有することがより好ましい。この態様によれば、剥離性をより効果的に向上できる。
エラストマーBの硬度は、83〜100が好ましく、90〜99がより好ましい。
【0044】
上記エラストマーAと上記エラストマーBとの質量比は、エラストマーA:エラストマーB=5:95〜95:5が好ましく、10:90〜80:20がより好ましく、15:85〜60:40が更に好ましく、25:75〜60:40が最も好ましい。上記範囲であれば、上述した効果がより効果的に得られる。
上記エラストマーAと上記エラストマーBとの質量比は、仮接着膜によって担持したデバイスウェハに対し、200℃以上に加熱するプロセスを行う場合には、エラストマーA:エラストマーB=1:99〜99:1が好ましく、3:97〜97:3がより好ましく、5:95〜95:5が更に好ましく、10:90〜90:10が最も好ましい。上記範囲であれば、上述した効果がより効果的に得られる。
【0045】
ポリスチレン系エラストマーは、スチレンと他のモノマーとのブロック共重合体であることが好ましく、片末端または両末端がスチレンブロックであるブロック共重合体であることがより好ましく、両末端がスチレンブロックであることが特に好ましい。ポリスチレン系エラストマーの両端を、スチレンブロック(スチレン由来の繰り返し単位)とすると、耐熱性がより向上する傾向にある。これは、耐熱性の高いスチレン由来の繰り返し単位が末端に存在することとなるためである。特に、スチレン由来の繰り返し単位のブロック部位が反応性のポリスチレン系ハードブロックであることにより、耐熱性、耐薬品性により優れる傾向にあり好ましい。また、これらをブロック共重合体とすると、200℃以上においてハードブロックとソフトブロックでの相分離を行うと考えられる。その相分離の形状はデバイスウェハの表面の凹凸の発生の抑制に寄与すると考えられる。加えて、このようなエラストマーは、溶剤への溶解性およびレジスト溶剤への耐性の観点からもより好ましい。
また、ポリスチレン系エラストマーは水添物であると、熱に対する安定性が向上し、分解や重合等の変質が起こりにくい。さらに、溶剤への溶解性およびレジスト溶剤への耐性の観点からもより好ましい。
ポリスチレン系エラストマーの不飽和二重結合量としては、剥離性の観点から、ポリスチレン系エラストマー1gあたり、15mmol未満であることが好ましく5mmol未満であることがより好ましく、0.5mmol未満であることが最も好ましい。なお、ここでいう不飽和二重結合量は、スチレン由来のベンゼン環内の不飽和二重結合を含まない。不飽和二重結合量は、NMR(核磁気共鳴)測定により算出することができる。
【0046】
なお、本明細書において「スチレン由来の繰り返し単位」とは、スチレンまたはスチレン誘導体を重合した際に重合体に含まれるスチレン由来の構造単位であり、置換基を有していてもよい。スチレン誘導体としては、例えば、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン等が挙げられる。置換基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルコキシアルキル基、アセトキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。
【0047】
ポリスチレン系エラストマーの市販品としては、例えば、タフプレンA、タフプレン125、タフプレン126S、ソルプレンT、アサプレンT−411、アサプレンT−432、アサプレンT−437、アサプレンT−438、アサプレンT−439、タフテックH1272、タフテックP1500、タフテックH1052、タフテックH1062、タフテックM1943、タフテックM1911、タフテックH1041、タフテックMP10、タフテックM1913、タフテックH1051、タフテックH1053、タフテックP2000、タフテックH1043(以上、旭化成(株)製)、エラストマーAR−850C、エラストマーAR815C、エラストマーAR−840C、エラストマーAR−830C、エラストマーAR860C、エラストマーAR−875C、エラストマーAR−885C、エラストマーAR−SC−15、エラストマーAR−SC−0、エラストマーAR−SC−5、エラストマーAR−710、エラストマーAR−SC−65、エラストマーAR−SC−30、エラストマーAR−SC−75、エラストマーAR−SC−45、エラストマーAR−720、エラストマーAR−741、エラストマーAR−731、エラストマーAR−750、エラストマーAR−760、エラストマーAR−770、エラストマーAR−781、エラストマーAR−791、エラストマーAR−FL−75N、エラストマーAR−FL−85N、エラストマーAR−FL−60N、エラストマーAR−1050、エラストマーAR−1060、エラストマーAR−1040(アロン化成(株)製)、クレイトンD1111、クレイトンD1113、クレイトンD1114、クレイトンD1117、クレイトンD1119、クレイトンD1124、クレイトンD1126、クレイトンD1161、クレイトンD1162、クレイトンD1163、クレイトンD1164、クレイトンD1165、クレイトンD1183、クレイトンD1193、クレイトンDX406、クレイトンD4141、クレイトンD4150、クレイトンD4153、クレイトンD4158、クレイトンD4270、クレイトンD 4271、クレイトンD 4433、クレイトンD 1170、クレイトンD 1171、クレイトンD 1173、カリフレックスIR0307、カリフレックスIR 0310、カリフレックスIR 0401、クレイトンD0242、クレイトンD1101、クレイトンD1102、クレイトンD1116、クレイトンD1118、クレイトンD1133、クレイトンD1152、クレイトンD1153、クレイトンD1155、クレイトンD1184、クレイトンD1186、クレイトンD1189、クレイトンD1191、クレイトンD1192、クレイトンDX405、クレイトンDX408、クレイトンDX410、クレイトンDX414、クレイトンDX415、クレイトンA1535、クレイトンA1536、クレイトンFG1901、クレイトンFG1924、クレイトンG1640、クレイトンG1641、クレイトンG1642、クレイトンG1643、クレイトンG1645、クレイトンG1633、クレイトンG1650、クレイトンG1651、クレイトンG1652(G1652MU−1000)、クレイトンG1654、クレイトンG1657、クレイトンG1660、クレイトンG1726、クレイトンG1701、クレイトンG1702、クレイトンG1730、クレイトンG1750、クレイトンG1765、クレイトンG4609、クレイトンG4610(以上、クレイトン製)、TR2000、TR2001、TR2003、TR2250、TR2500、TR2601、TR2630、TR2787、TR2827、TR1086、TR1600、SIS5002、SIS5200、SIS5250、SIS5405、SIS5505、ダイナロン6100P、ダイナロン4600P、ダイナロン6200P、ダイナロン4630P、ダイナロン8601P、ダイナロン8630P、ダイナロン8600P、ダイナロン8903P、ダイナロン6201B、ダイナロン1321P、ダイナロン1320P、ダイナロン2324P、ダイナロン9901P(以上、JSR(株)製)、デンカSTRシリーズ(電気化学工業(株)製)、クインタック3520、クインタック3433N、クインタック3421、クインタック3620、クインタック3450、クインタック3460(以上、日本ゼオン製)、TPE−SBシリーズ(住友化学(株)製)、ラバロンシリーズ(三菱化学(株)製)、セプトン1001、セプトン、8004、セプトン4033、セプトン2104、セプトン8007、セプトン2007、セプトン2004、セプトン2063、セプトンHG252、セプトン8076、セプトン2002、セプトン1020、セプトン8104、セプトン2005、セプトン2006、セプトン4055、セプトン4044、セプトン4077、セプトン4099、セプトン8006、セプトンV9461、セプトンV9475、セプトンV9827、ハイブラー7311、ハイブラー7125、ハイブラー5127、ハイブラー5125(以上、クラレ製)、スミフレックス(住友ベークライト(株)製)、レオストマー、アクティマー(以上、理研ビニル工業製)などが挙げられる。
【0048】
<<<ポリエステル系エラストマー>>>
ポリエステル系エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ジカルボン酸又はその誘導体と、ジオール化合物又はその誘導体とを重縮合して得られるものが挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの芳香の水素原子がメチル基、エチル基、フェニル基等で置換された芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸、及びシクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
ジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂肪族ジオール、脂環式ジオール、下記構造式で表される2価のフェノールなどが挙げられる。
【0049】
【化1】
【0050】
上記式中、YDOは、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数4〜8のシクロアルキレン基、−O−、−S−、及び−SO2−のいずれかを表すか、ベンゼン環同士の直接結合(単結合)を表す。RDO1及びRDO2は各々独立に、ハロゲン原子又は炭素数1〜12のアルキル基を表す。pdo1及びpdo2は各々独立に、0〜4の整数を表し、ndo1は、0又は1を表す。
【0051】
2価のフェノールの具体例としては、ビスフェノールA、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、レゾルシンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上併用して用いてもよい。
また、ポリエステル系エラストマーとして、芳香族ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート)部分をハードセグメント成分に、脂肪族ポリエステル(例えば、ポリテトラメチレングリコール)部分をソフトセグメント成分にしたマルチブロック共重合体を用いることもできる。マルチブロック共重合体としては、ハードセグメントとソフトセグメントとの種類、比率、及び分子量の違いによりさまざまなグレードのものが挙げられる。具体例としては、ハイトレル(デュポン−東レ(株)製)、ペルプレン(東洋紡(株)製)、プリマロイ(三菱化学製)、ヌーベラン(帝人化成製)、エスペル1612、1620(以上、日立化成工業(株)製)などが挙げられる。
【0052】
<<<ポリオレフィン系エラストマー>>>
ポリオレフィン系エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン等の炭素数2〜20のα−オレフィンの共重合体などが挙げられる。例えば、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)等が挙げられる。また、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ブタジエン、イソプレンなどの炭素数2〜20の非共役ジエンとα−オレフィンの共重合体などが挙げられる。また、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体にメタクリル酸を共重合したカルボキシ変性ニトリルゴムが挙げられる。具体的には、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム、プロピレン・α−オレフィン共重合体ゴム、ブテン・α−オレフィン共重合体ゴムなどが挙げられる。
市販品として、ミラストマー(三井化学(株)製)、サーモラン(三菱化学製)EXACT(エクソン化学製)、ENGAGE(ダウケミカル製)、エスポレックス(住友化学製)、Sarlink(東洋紡製)、ニューコン(日本ポリプロ製)、EXCELINK(JSR製)などが挙げられる。
【0053】
<<<ポリウレタン系エラストマー>>>
ポリウレタン系エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、低分子のグリコールおよびジイソシアネートからなるハードセグメントと、高分子(長鎖)ジオールおよびジイソシアネートからなるソフトセグメントとの構造単位を含むエラストマーなどが挙げられる。
高分子(長鎖)ジオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(エチレン・1,4−ブチレンアジペート)、ポリカプロラクトン、ポリ(1,6−ヘキシレンカーボネート)、ポリ(1,6−ヘキシレン・ネオペンチレンアジペート)などが挙げられる。高分子(長鎖)ジオールの数平均分子量は、500〜10,000が好ましい。
低分子のグリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールA等の短鎖ジオールを用いることができる。短鎖ジオールの数平均分子量は、48〜500が好ましい。
ポリウレタン系エラストマーの市販品としては、PANDEX T−2185、T−2983N(以上、DIC(株)製)、ミラクトラン(日本ミラクトラン(株)製)、エラストラン(BASFジャパン(株)製)、レゼミン(大日精化工業(株)製)、ペレセン(ダウ・ケミカル日本(株)製)、アイアンラバー(NOK(株)製)、モビロン(日清紡ケミカル(株)製)などが挙げられる。
【0054】
<<<ポリアミド系エラストマー>>>
ポリアミド系エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリアミド−6、11、12などのポリアミドをハードセグメントに用い、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルおよびポリエステルのうちの少なくとも一方をソフトセグメントに用いたエラストマーなどが挙げられる。このエラストマーは、ポリエーテルブロックアミド型、ポリエーテルエステルブロックアミド型の2種類に大別される。
市販品として、UBEポリアミドエラストマー、UBESTA XPA(宇部興産(株)製)、ダイアミド(ダイセルエボニック(株)製)、PEBAX(ARKEMA社製)、グリロンELX(エムスケミージャパン(株)製)、ノパミッド(三菱化学(株)製)、グリラックス(東洋紡製)、ポリエーテルエステルアミドPA−200、PA−201、TPAE−12、TPAE−32、ポリエステルアミドTPAE−617、TPAE−617C(以上、(株)T&K TOKA製)などが挙げられる。
【0055】
<<<ポリアクリル系エラストマー>>>
ポリアクリル系エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステルをモノマー材料の主成分としたものや、アクリル酸エステルと、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルなどを共重合した共重合体が挙げられる。さらに、アクリル酸エステルと、アクリロニトリルやエチレンなどの架橋点モノマーとを共重合してなるものなどが挙げられる。具体的には、アクリロニトリル−ブチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体などが挙げられる。
【0056】
<<<シリコーン系エラストマー>>>
シリコーン系エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、オルガノポリシロキサンを主成分としたもので、ポリジメチルシロキサン系、ポリメチルフェニルシロキサン系、ポリジフェニルシロキサン系などが挙げられる。市販品の具体例としては、KEシリーズ(信越化学工業(株)製)、SEシリーズ、CYシリーズ、SHシリーズ(以上、東レダウコーニングシリコーン(株)製)などが挙げられる。
【0057】
<<<その他エラストマー>>>
本発明では、エラストマーとして、ゴム変性したエポキシ樹脂(エポキシ系エラストマー)を用いることができる。エポキシ系エラストマーは、例えば、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂あるいはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の一部又は全部のエポキシ基を、両末端カルボン酸変性型ブタジエン−アクリロニトリルゴム、末端アミノ変性シリコーンゴム等で変性することによって得られる。
【0058】
<<他の高分子化合物>>
本発明では、バインダーとして、上述したエラストマー以外の高分子化合物(他の高分子化合物ともいう)を用いることができる。他の高分子化合物は、1種または2種以上を併用することができる。
他の高分子化合物の具体例としては、例えば、炭化水素樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などが挙げられる。なかでも、炭化水素樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂が好ましく、炭化水素樹脂がより好ましい。
また、本発明では、バインダーとして後述するフッ素原子を含むものを用いることができるが、フッ素原子を含むバインダー(以下、フッ素系バインダーともいう)は、実質的に含まないことが好ましい。フッ素系バインダーを実質的に含まないとは、フッ素系バインダーの含有量が、バインダーの全質量に対し、例えば、0.1質量%以下が好ましく、0.05質量%以下がより好ましく、含有しないことが一層好ましい。
【0059】
<<<炭化水素樹脂>>>
本発明において、炭化水素樹脂として任意のものを使用できる。
炭化水素樹脂は、基本的には炭素原子と水素原子のみからなる樹脂を意味するが、基本となる骨格が炭化水素樹脂であれば、側鎖としてその他の原子を含んでいても良い。すなわち、炭素原子と水素原子のみからなる炭化水素樹脂に、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂のように、主鎖に炭化水素基以外の官能基が直接結合する場合も本発明における炭化水素樹脂に包含されるものであり、この場合、主鎖に炭化水素基が直接結合されてなる繰り返し単位の含有量が、樹脂の全繰り返し単位に対して30モル%以上であることが好ましい。
上記条件に合致する炭化水素樹脂としては例えば、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、水添テルペンフェノール樹脂、ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、水添ロジンエステル、重合ロジン、重合ロジンエステル、変性ロジン、ロジン変性フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂、水添石油樹脂、変性石油樹脂、脂環族石油樹脂、クマロン石油樹脂、インデン石油樹脂、ポリスチレン−ポリオレフィン共重合体、オレフィンポリマー(例えば、メチルペンテン共重合体)、および、シクロオレフィンポリマー(例えば、ノルボルネン共重合体、ジシクロペンタジエン共重合体、テトラシクロドデセン共重合体)などが挙げられる。
炭化水素樹脂は、中でも、テルペン樹脂、ロジン、石油樹脂、水素化ロジン、重合ロジン、オレフィンポリマー、または、シクロオレフィンポリマーであることが好ましく、テルペン樹脂、ロジン、オレフィンポリマー、または、シクロオレフィンポリマーであることがより好ましく、シクロオレフィンポリマーであることがさらに好ましい。
【0060】
シクロオレフィンポリマーとしては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィンの重合体、環状共役ジエンの重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、およびこれら重合体の水素化物などが挙げられる。シクロオレフィンポリマーの好ましい例としては、下記式(II)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む付加(共)重合体、および、式(I)で表される繰り返し単位の少なくとも1種以上をさらに含んでなる付加(共)重合体が挙げられる。また、シクロオレフィンポリマーの他の好ましい例としては、式(III)で表される環状繰り返し単位を少なくとも1種含む開環(共)重合体が挙げられる。
【0061】
【化2】
【0062】
式中、mは0〜4の整数を表す。R1〜R6は、それぞれ、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、X1〜X3、および、Y1〜Y3は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、−(CH2)nCOOR11、−(CH2)nOCOR12、−(CH2)nNCO、−(CH2)nNO2、−(CH2)nCN、−(CH2)nCONR1314、−(CH2)nNR1516、−(CH2)nOZ、−(CH2)nW、または、X1とY1、X2とY2、若しくはX3とY3から構成された(−CO)2O、(−CO)2NR17を表す。R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17は、それぞれ、水素原子、または、炭化水素基(好ましくは炭素数1〜20の炭化水素基)、Zは、炭化水素基、または、ハロゲンで置換された炭化水素基を表し、Wは、SiR18p3-p(R18は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Dはハロゲン原子を表し、−OCOR18または−OR18を表し、pは0〜3の整数を示す)を表す。nは0〜10の整数を表す。
【0063】
ノルボルネン系重合体は、特開平10−7732号公報、特表2002−504184号公報、US2004/229157A1号公報あるいはWO2004/070463A1号公報等に開示されている。ノルボルネン系重合体は、ノルボルネン系多環状不飽和化合物同士を付加重合することによって得ることができる。また、必要に応じ、ノルボルネン系多環状不飽和化合物と、エチレン、プロピレン、ブテン;ブタジエン、イソプレンのような共役ジエン;エチリデンノルボルネンのような非共役ジエンとを付加重合することもできる。このノルボルネン系重合体は、三井化学(株)よりアペルの商品名で発売されており、ガラス転移温度(Tg)の異なる例えばAPL8008T(Tg70℃)、APL6013T(Tg125℃)あるいはAPL6015T(Tg145℃)などのグレードがある。ポリプラスチック(株)よりTOPAS8007、同5013、同6013、同6015などのペレットが発売されている。さらに、Ferrania社よりAppear3000が発売されている。
【0064】
ノルボルネン系重合体の水素化物は、特開平1−240517号公報、特開平7−196736号公報、特開昭60−26024号公報、特開昭62−19801号公報、特開2003−1159767号公報あるいは特開2004−309979号公報等に開示されているように、多環状不飽和化合物を付加重合あるいはメタセシス開環重合した後、水素添加することにより製造できる。
式(III)中、R5およびR6は、水素原子またはメチル基であることが好ましく、X3およびY3は水素原子であることが好ましく、その他の基は適宜選択される。このノルボルネン系重合体は、JSR(株)からアートン(Arton)GあるいはアートンFという商品名で発売されており、また日本ゼオン(株)からゼオノア(Zeonor)ZF14、ZF16、ゼオネックス(Zeonex)250、同280、同480Rという商品名で市販されており、これらを使用することができる。
【0065】
<<<熱可塑性ポリイミド樹脂>>>
熱可塑性ポリイミド樹脂は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを公知の方法で縮合反応させて得られるものを用いることができる。
公知の方法としては、例えば、有機溶剤中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを略等モル混合し、反応温度80℃以下で反応させて得られたポリアミック酸を脱水閉環させる方法などが挙げられる。ここで、略等モルとは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンのモル量比が1:1近傍であることを言う。なお、必要に応じて、テトラカルボン酸二無水物とジアミンの組成比が、テトラカルボン酸二無水物の合計1.0モルに対して、ジアミンの合計が0.5〜2.0モルとなるように調整してもよい。テトラカルボン酸二無水物とジアミンの組成比を上記の範囲内で調整することによって、熱可塑性ポリイミド樹脂の重量平均分子量を調整することができる。
【0066】
テトラカルボン酸二無水物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2',3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2',3'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリテート無水物)、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビス(エキソ−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタン−2,3−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ−〔2,2,2〕−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2、−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェニル)フェニル〕プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2、−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェニル)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、4,4',−オキシジフタル酸二無水物、1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,3−(トリメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,4−(テトラメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,5−(ペンタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,6−(ヘキサメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,7−(ヘプタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,8−(オクタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,9−(ノナメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,12−(ドデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,16−(ヘキサデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,18−(オクタデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)等を挙げることができ、これらを1種単独で又は2種以上を組合せ用いることができる。これらの中でも、3,4,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2',3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物が好ましく、3,4,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物がより好ましい。
【0067】
ジアミンとしては特に制限はなく、例えば、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタン、3,3'−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,4'−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、4,4'−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルケトン、3,4'−ジアミノジフェニルケトン、4,4'−ジアミノジフェニルケトン、3−(4−アミノフェニル)−1,1,3−トリメチル−5−アミノインダン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2'−(3,4'−ジアミノジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−(3,4'−ジアミノジフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3'−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、3,4'−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、4,4'−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、3,3'−ジヒドロキシ−4,4'−ジアミノビフェニル、3,5−ジアミノ安息香酸等の芳香族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレンジアミン、4,9−ジオキサドデカン−1,12−ジアミン、4,9,14−トリオキサへプタデカン−1,17−ジアミン、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン等を挙げることができる。
これらのジアミンの中でも、3−(4−アミノフェニル)−1,1,3−トリメチル−5−アミノインダン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ポリオキシプロピレンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、4,9−ジオキサドデカン−1,12−ジアミン、1,6−ジアミノヘキサン、及び、4,9,14−トリオキサへプタデカン−1,17−ジアミンからなる群から選択される1種以上が好ましく、3−(4−アミノフェニル)−1,1,3−トリメチル−5−アミノインダンがより好ましい。
【0068】
上記テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応に用いられる溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。原材料等の溶解性を調整するために、非極性溶剤(例えば、トルエンや、キシレン)を併用してもよい。
上記テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応温度は、好ましくは100℃未満、さらに好ましくは90℃未満である。また、ポリアミック酸のイミド化は、代表的には不活性雰囲気(代表的には、真空または窒素雰囲気)下で加熱処理することにより行われる。加熱処理温度は、好ましくは150℃以上、さらに好ましくは180〜450℃である。
【0069】
熱可塑性ポリイミド樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10,000〜1000,000が好ましく、20,000〜100,000がより好ましい。
【0070】
本発明において、熱可塑性ポリイミド樹脂は、γ−ブチロラクトン、シクロペンタノン、N−メチルピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、シクロヘキサノン、グリコールエーテル、ジメチルスルホキシドおよびテトラメチルウレアから選ばれる少なくとも1種の溶剤に対する25℃での溶解度が10g/100gSolvent以上のポリイミド樹脂が好ましい。
このような溶解度を有する熱可塑性ポリイミド樹脂は、例えば、3,4,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物と、3−(4−アミノフェニル)−1,1,3−トリメチル−5−アミノインダンとを反応させて得られる熱可塑性ポリイミド樹脂などが挙げられる。この熱可塑性ポリイミド樹脂は、耐熱性が特に優れる。
【0071】
熱可塑性ポリイミド樹脂は、市販品を用いてもよい。例えば、Durimide(登録商標) 200、208A、284(以上、富士フイルム(株)製)、GPT−LT(群栄化学工業(株)製)、SOXR−S、SOXR−M、SOXR−U、SOXR−C(以上、ニッポン高度紙工業(株)製)、VH1003F、VH1003M、XH1015(以上、SABICジャパン合同会社製)などが挙げられる。
【0072】
<<<ポリカーボネート樹脂>>>
本発明において、ポリカーボネート樹脂は、下記式(1)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
【0073】
【化3】
式(1)中、Ar1およびAr2は、それぞれ独立に芳香族基を表し、Lは、単結合または2価の連結基を表す。
【0074】
式(1)におけるAr1およびAr2は、それぞれ独立に芳香族基を表す。芳香族基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、インデセン環、ペリレン環、ペンタセン環、アセナフテン環、フェナントレン環、アントラセン環、ナフタセン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオレン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、および、フェナジン環が挙げられる。なかでも、ベンゼン環が好ましい。
これらの芳香族基は、置換基を有していてもよいが、有していない方が好ましい。
芳香族基が有していてもよい置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が挙げられる。アルキル基の炭素数は、1〜20がより好ましく、1〜10がさらに好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐のいずれであってもよい。また、アルキル基の水素原子の一部または全部は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
アルコキシ基としては、炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基の炭素数は、1〜20がより好ましく、1〜10がさらに好ましい。アルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。
アリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、炭素数6〜20のアリール基がより好ましい。
【0075】
ポリカーボネート樹脂の、重量平均分子量(Mw)は、1,000〜1,000,000であることが好ましく、10,000〜80,000であることがより好ましい。上記範囲であれば、溶剤への溶解性、耐熱性が良好である。
【0076】
ポリカーボネート樹脂の市販品としては、例えば、PCZ−200、PCZ−300、PCZ−500、PCZ−800(以上、三菱ガス化学(株)製)、APEC9379(バイエル製)、パンライトL−1225LM(帝人(株)製)などが挙げられる。
【0077】
本発明の仮接着用組成物は、バインダーを、仮接着用組成物の全固形分中に50.00〜99.99質量%の割合で含むことが好ましく、70.00〜99.99質量%がより好ましく、88.00〜99.99質量%が特に好ましい。バインダーの含有量が上記範囲であれば、接着性および剥離性に優れる。
バインダーとしてエラストマーを用いる場合、エラストマーは、仮接着用組成物の全固形分中に50.00〜99.99質量%の割合で含むことが好ましく、70.00〜99.99質量%がより好ましく、88.00〜99.99質量%が特に好ましい。エラストマーの含有量が上記範囲であれば、接着性および剥離性に優れる。エラストマーを2種以上使用した場合は、合計が上記範囲であることが好ましい。
また、バインダーとしてエラストマーを用いる場合、バインダー全質量におけるエラストマーの含有量は、50〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましく、80〜100質量%がさらに好ましく、90〜100質量%が一層好ましい。また、バインダーは、実質的にエラストマーのみであってもよい。なお、バインダーが、実質的にエラストマーのみであるとは、バインダー全質量におけるエラストマーの含有量が、99質量%以上が好ましく、99.9質量%以上がより好ましく、エラストマーのみからなることが一層好ましい。
【0078】
<<フッ素系液体状化合物>>
本発明における仮接着用組成物は、フッ素系液体状化合物を含有することが好ましい。
本発明において、液体状とは、25℃で流動性を有する化合物であって、例えば、25℃での粘度が、1〜100,000Pa・sである化合物を意味する。ここで、粘度は、B型粘度計を用いて測定することができ、粘度の測定方法としては、B型粘度計(ビスコリードアドバンス、ファンギラボ社製)を用いて粘度測定した値を用いている。
フッ素系液体状化合物の25℃での粘度は、例えば、10〜20,000Pa・sがより好ましく、100〜15,000Pa・sが一層好ましい。フッ素系液体状化合物の粘度が上記範囲であれば、仮接着膜の表層にフッ素系液体状化合物が偏在しやすい。
【0079】
本発明において、フッ素系液体状化合物は、オリゴマー、ポリマーのいずれの形態の化合物であっても好ましく用いることができる。また、オリゴマーとポリマーとの混合物であってもよい。かかる混合物には、モノマーを更に含んでいてもよい。また、フッ素系液体状化合物は、モノマーであってもよい。
フッ素系液体状化合物は、耐熱性等の観点から、オリゴマー、ポリマーおよびこれらの混合物が好ましい。
オリゴマー、ポリマーとしては、例えば、ラジカル重合体、カチオン重合体、アニオン重合体などが挙げられ、何れも好ましく用いることができる。ビニル系重合体が特に好ましい。
フッ素系液体状化合物の重量平均分子量は、500〜100000が好ましく、1000〜50000がより好ましく、2000〜20000が更に好ましい。
【0080】
本発明において、フッ素系液体状化合物は、仮接着に供する基材の処理時に変性しない化合物が好ましい。例えば、250℃以上での加熱や、種々の薬液で基材を処理した後でも液体状として存在しえる化合物が好ましい。具体的な一例としては、25℃の状態から10℃/分の昇温条件で250℃まで加熱した後、25℃に冷却した後の25℃での粘度が1〜100,000Pa・sであることが好ましく、10〜20,000Pa・sがより好ましく、100〜15,000Pa・sが一層好ましい。
このような特性を有するフッ素系液体状化合物としては、反応性基を有さない、非熱硬化性化合物であることが好ましい。ここでいう反応性基とは、250℃の加熱で反応する基全般を指し、重合性基、加水分解性基などが挙げられる。具体的には、例えば、メタ(アクリル)基、エポキシ基、イソシアナト基などが挙げられる。
また、フッ素系液体状化合物は、25℃から、20℃/分で昇温した10%熱質量減少温度が、250℃以上であることが好ましく、280℃以上がより好ましい。また、上限値は、特に限定はないが、例えば、1000℃以下が好ましく、800℃以下がより好ましい。この態様によれば、耐熱性に優れた仮接着膜を形成しやすい。なお、質量減少温度とは、熱重量測定装置(TGA)により、窒素気流下において、上記昇温条件で測定した値である。
【0081】
本発明で用いるフッ素系液体状化合物は、親油基を含有する。親油基としては、直鎖または分岐のアルキル基、シクロアルキル基、芳香族基などが挙げられる。
【0082】
アルキル基の炭素数は、2〜30が好ましく、4〜30がより好ましく、6〜30がさらに好ましく、12〜20が特に好ましい。アルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1−エチルペンチル基、2−エチルヘキシル基が挙げられる。
アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、芳香族基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、フッ素原子が好ましい。
アルコキシ基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜10がさらに好ましい。アルコキシ基は、直鎖または分岐が好ましい。
芳香族基は、単環であってもよく、多環であってもよい。芳香族基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10が最も好ましい。
【0083】
シクロアルキル基は、単環であってもよく、多環であってもよい。シクロアルキル基の炭素数は、3〜30が好ましく、4〜30がより好ましく、6〜30がさらに好ましく、12〜20が最も好ましい。単環のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基が挙げられる。多環のシクロアルキル基としては、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボルニル基、カンフェニル基、デカヒドロナフチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、カンホロイル基、ジシクロヘキシル基及びピネニル基が挙げられる。
シクロアルキル基は、上述した置換基を有していてもよい。
【0084】
芳香族基は、単環であってもよく、多環であってもよい。芳香族基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10が最も好ましい。芳香族基は、環を構成する元素に、ヘテロ原子(例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子など)を含まないことが好ましい。芳香族基の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、インデセン環、ペリレン環、ペンタセン環、アセナフテン環、フェナントレン環、アントラセン環、ナフタセン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオレン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、および、フェナジン環が挙げられる。
芳香族基は、上述した置換基を有していてもよい。
【0085】
フッ素系液体状化合物は、親油基を1種のみ含む化合物であってもよく、2種以上を含んでいてもよい。また、親油基は、フッ素原子を含んでいてもよい。すなわち、本発明におけるフッ素系液体状化合物は、親油基のみがフッ素原子を含む化合物であってもよい。また、親油基の他に、フッ素元素を含む基(フッ素基ともいう)を更に有する化合物であってもよい。好ましくは、親油基とフッ素基とを含む化合物である。フッ素系液体状化合物が親油基とフッ素基を有する化合物である場合、親油基はフッ素原子を含んでいてもよく、含んでいなくてもよいが、親油基がフッ素原子を含んでいないことが好ましい。
フッ素系液体状化合物は、一分子中に親油基を1個以上有し、2〜100個有することが好ましく、6〜80個有することが特に好ましい。
【0086】
フッ素基としては、既知のフッ素基を使用することができる。例えば、含フッ素アルキル基、含フッ素アルキレン基等が挙げられる。なお、フッ素基のうち、親油基として機能するものは、親油基に含まれることとする。
含フッ素アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜15がさらに好ましい。含フッ素アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。また、エーテル結合を有していてもよい。また、含フッ素アルキル基は、水素原子の全てがフッ素原子に置換されたペルフルオロアルキル基であってもよい。
含フッ素アルキレン基の炭素数は、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましく、2〜15がさらに好ましい。含フッ素アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。また、エーテル結合を有していてもよい。また、含フッ素アルキレン基は、水素原子の全てがフッ素原子に置換されたペルフルオロアルキレン基であってもよい。
【0087】
フッ素系液体状化合物は、フッ素原子の含有率が1〜90質量%であることが好ましく、2〜80質量%がより好ましく、5〜70質量%が更に好ましい。フッ素含有率が上記範囲であれば、剥離性に優れる。
フッ素原子の含有率は、「{(1分子中のフッ素原子数×フッ素原子の質量)/1分子中の全原子の質量}×100」で定義される。
【0088】
フッ素系液体状化合物は、市販品を用いることもできる。例えば、DIC社製メガファックシリーズのF−251、F−281、F−477、F−553、F−554、F−555、F−556、F−557、F−558、F−559、F−560、F−561、F−563、F−565、F−567、F−568、F−571、R−40、R−41、R−43、R−94や、ネオス社製フタージェントシリーズの710F、710FM、710FS、730FL、730LMが挙げられる。
【0089】
本発明における仮接着用組成物における、フッ素系液体状化合物の含有量は、溶剤を除いた仮接着用組成物の質量に対し、0.001質量%以上であることが好ましく、0.002質量%以上であることがより好ましく、0.01質量%以上であってもよく、さらには0.03質量%以上であってもよく、特には、0.04質量%以上であってもよく、より特には、0.05質量%以上であってもよい。上記フッ素系液体状化合物の含有量の上限は、溶剤を除いた仮接着用組成物の質量に対し、1質量%以下であることが好ましく、0.8質量%以下であることがより好ましく、0.6質量%以下であることがさらに好ましく、0.4質量%以下であることが一層好ましく、0.2質量%以下であることがより一層好ましく、0.1質量%以下であることがさらに一層好ましい。
特に本発明では、上記フッ素系液体状化合物の含有量を0.001〜0.1質量%、さらには、0.001〜0.09質量%の範囲とすることにより、積層体としたときのウェハエッジの浮きが効果的に抑制される。フッ素系液体状化合物は偏在性に富む化合物であるため、上記のように配合量が少なくても離型性を十分に確保できる。2種以上を併用する場合は、合計の含有量が上記範囲であることが好ましい。
また、本発明の仮接着用組成物は、フッ素系液体状化合物とバインダーとの質量比が、フッ素系液体状化合物:バインダー=0.001:99.999〜10:90.00が好ましく、0.001:99.999〜5:95.00がより好ましく、0.010:99.99〜5:95.00がさらに好ましい。フッ素系液体状化合物とバインダーとの質量比が上記範囲とすることで、仮接着膜の空気界面側にフッ素系液体状化合物をより多く偏在させ易い。
【0090】
<<シリコーン化合物>>
本発明における仮接着用組成物は、シリコーン化合物を含有することが好ましい。
本発明において、シリコーン化合物は、オリゴマーおよびポリマーのいずれの形態の化合物であっても好ましく用いることができる。また、オリゴマーとポリマーとの混合物であってもよい。
シリコーン化合物の重量平均分子量は、500〜100000が好ましく、1000〜50000がより好ましく、2000〜40000が更に好ましい。
【0091】
本発明において、シリコーン化合物は、25℃から、20℃/分の昇温速度で昇温した際の10%熱質量減少温度が、250℃以上であることが好ましく、280℃以上がより好ましい。また、上限値は、特に限定はないが、例えば、1000℃以下が好ましく、800℃以下がより好ましい。この態様によれば、耐熱性に優れた仮接着膜を形成しやすい。なお、質量減少温度とは、熱重量測定装置(TGA)により、窒素気流下において、上記昇温条件で測定した値である。
【0092】
本発明で用いるシリコーン化合物は、変性シリコーン化合物であることが好ましい。変性の種類としては、モノアミン変性、ジアミン変性、アミノ変性、エポキシ変性、脂環式エポキシ変性、カルビノール変性、メルカプト変性、カルボキシル変性、水素変性、アミノ・ポリエーテル変性、エポキシ・ポリエーテル変性、エポキシ・アラルキル変性などの反応性官能変性、ポリエーテル変性、アラルキル変性、フロロアルキル変性、長鎖アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、高級脂肪酸アミド変性、ポリエーテル・長鎖アルキル・アラルキル変性などの非反応性官能基変性が挙げられる。
【0093】
本発明で用いるポリエーテル変性シリコーンは、分子量が500以上であることが好ましい。また、ポリエーテル変性シリコーンは、親水性基として、エチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)から選択される少なくとも一方を含むポリエーテル変性シリコーンが好ましく用いられ、エチレンオキシドを含むことがより好ましい。
特に、本発明では、下記式(101)〜式(104)のいずれかで表されるポリエーテル変性シリコーンが好ましい。
式(101)
【化4】
上記式(101)中、R11およびR16は、それぞれ独立に、置換基であり、R12およびR14は、それぞれ独立に、2価の連結基であり、R13およびR15は、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、m11、m12、n1およびp1は、それぞれ独立に0〜20の数であり、x1およびy1は、それぞれ独立に2〜100の数である。
式(102)
【化5】
上記式(102)中、R21、R25およびR26は、それぞれ独立に、置換基であり、R22は、2価の連結基であり、R23は、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、m2およびn2は、それぞれ独立に0〜20の数であり、x2は、2〜100の数である。
式(103)
【化6】
上記式(103)中、R31およびR36は、それぞれ独立に、置換基であり、R32およびR34は、それぞれ独立に、2価の連結基であり、R33およびR35は、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、m31、m32、n3およびp3は、それぞれ独立に0〜20の数であり、x3は、2〜100の数である。
式(104)
【化7】
上記式(104)中、R41、R42、R43、R44、R45およびR46は、それぞれ独立に、置換基であり、R47は、2価の連結基であり、R48は、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、m4およびn4は、それぞれ独立に0〜20の数であり、x4およびy4は、それぞれ独立に2〜100の数である。
【0094】
本発明で用いるポリエーテル変性シリコーンの、ポリオキシアルキレン基の分子中での含有量は特に限定されないが、ポリオキシアルキレン基の含有量が全分子量中20質量%を超えるものが望ましい。
ポリオキシアルキレン基の含有率は、「{(1分子中のポリオキシアルキレン基の式量)/1分子の分子量}×100」で定義される。
【0095】
本発明で用いるポリエーテル変性シリコーンは、市販品を用いることもできる。例えば、ADVALON FA33、FLUID L03、FLUID L033、FLUID L051、FLUID L053、FLUID L060、FLUID L066、IM22、WACKER−Belsil DMC 6038(以上、旭化成ワッカーシリコーン(株)製)、KF−352A、KF−353、KF−615A、KP−112、KP−341、X−22−4515、KF−354L、KF−355A、KF−6004、KF−6011、KF−6011P、KF−6012、KF−6013、KF−6015、KF−6016、KF−6017、KF−6017P、KF−6020、KF−6028、KF−6028P、KF−6038、KF−6043、KF−6048、KF−6123、KF−6204、KF−640、KF−642、KF−643、KF−644、KF−945、KP−110、KP−355、KP−369、KS−604、Polon SR−Conc、X−22−4272、X−22−4952(以上、信越化学工業(株)製)、8526 ADDITIVE、FZ−2203、FZ−5609、L−7001、SF 8410、2501 COSMETIC WAX、5200 FORMULATION AID、57 ADDITIVE、8019 ADDITIVE、8029 ADDITIVE、8054 ADDITIVE、BY16−036、BY16−201、ES−5612 FORMULATION AID、FZ−2104、FZ−2108、FZ−2110、FZ−2123、FZ−2162、FZ−2164、FZ−2191、FZ−2207、FZ−2208、FZ−2222、FZ−7001、FZ−77、L−7002、L−7604、SF8427、SF8428、SH 28 PAINR ADDITIVE、SH3749、SH3773M、SH8400、SH8700(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)、BYK−333、BYK−378、BYK−302、BYK−307、BYK−331、BYK−345、BYK−3455、BYK−347、BYK−348、BYK−349、BYK−377(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、Silwet L−7001、Silwet L−7002、Silwet L−720、Silwet L−7200、Silwet L−7210、Silwet L−7220、Silwet L−7230、Silwet L−7605、TSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4446、TSF4450、TSF4452、TSF4460、Silwet Hydrostable 68、Silwet L−722、Silwet L−7280、Silwet L−7500、Silwet L−7550、Silwet L−7600、Silwet L−7602、Silwet L−7604、Silwet L−7607、Silwet L−7608、Silwet L−7622、Silwet L−7650、Silwet L−7657、Silwet L−77、Silwet L−8500、Silwet L−8610、(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)が挙げられる。
【0096】
本発明における仮接着用組成物における、シリコーン化合物の含有量は、溶剤を除いた仮接着用組成物の質量に対し、0.001質量%以上であることが好ましく、0.002質量%以上であることがより好ましく、0.01質量%以上であってもよく、さらには0.03質量%以上であってもよく、特には、0.04質量%以上であってもよく、より特には、0.05質量%以上であってもよい。上記シリコーン化合物の含有量の上限は、溶剤を除いた仮接着用組成物の質量に対し、0.9質量%以下であることが好ましく、0.6質量%以下であることがより好ましく、0.4質量%以下であることがさらに好ましく、0.3質量%以下であることが一層好ましく、0.2質量%以下であることがより一層好ましく、0.1質量%以下であることがさらに一層好ましい。
特に本発明では、上記シリコーン化合物の含有量を0.001〜1質量%、さらには、0.001〜0.09質量%の範囲とすることにより、積層体としたときのウェハエッジの浮きが効果的に抑制される。シリコーン化合物は偏在性に富む化合物であるため、上記のように配合量が少なくても離型性を十分に確保できる。2種以上を併用する場合は、合計の含有量が上記範囲であることが好ましい。
【0097】
<<可塑剤>>
本発明で用いる仮接着用組成物は、必要に応じて可塑剤を含んでいてもよい。可塑剤を配合することにより、上記諸性能を満たす仮接着膜とすることができる。
可塑剤としては、フタル酸エステル、脂肪酸エステル、芳香族多価カルボン酸エステル、ポリエステルなどが使用できる。
【0098】
フタル酸エステルとしては例えば、DMP、DEP、DBP、#10、BBP、DOP、DINP、DIDP(以下、大八化学工業(株)製)、PL−200、DOIP(以上、シージーエスター(株)製)、サンソサイザーDUP(新日本理化(株)製)などが挙げられる。
脂肪酸エステルとしては例えば、ブチルステアレート、ユニスターM−9676、ユニスターM−2222SL、ユニスターH−476、ユニスターH−476D、パナセート800B、パナセート875、パナセート810(以上、日油(株)製)、DBA、DIBA、DBS、DOA、DINA、DIDA、DOS、BXA、DOZ、DESU(以上、大八化学製)などが挙げられる。
芳香族多価カルボン酸エステルとしては、TOTM(大八化学製)、モノサイザーW−705(大八化学工業(株)製)、UL−80、UL−100((株)ADEKA製)などが挙げられる。
ポリエステルとしては、ポリサイザーTD−1720、ポリサイザーS−2002、ポリサイザーS−2010(以上、DIC(株)製)、BAA−15(大八化学工業(株)製)などが挙げられる。
上記可塑剤の中では、DIDP、DIDA、TOTM、ユニスターM−2222SL、ポリサイザーTD−1720が好ましく、DIDA、TOTMがより好ましく、TOTMが特に好ましい。
可塑剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
【0099】
可塑剤は、加熱中の昇華防止の観点から、窒素気流下、20℃/分の一定速度の昇温条件のもとで重量変化を測定したとき、その重量が1質量%減少する温度が、250℃以上が好ましく、270℃以上がより好ましく、300℃以上が特に好ましい。上限は特に定めるものではないが、例えば、500℃以下とすることができる。
【0100】
可塑剤の添加量は、仮接着用組成物の全固形分に対して、0.01質量%〜5.0質量%が好ましく、より好ましくは0.1質量%〜2.0質量%である。
【0101】
<<酸化防止剤>>
本発明の仮接着用組成物は、酸化防止剤を含有してもよい。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、キノン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤などが使用できる。
フェノール系酸化防止剤としては例えば、p−メトキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、Irganox1010、Irganox1330、Irganox3114、Irganox1035(以上、BASFジャパン(株)製)、Sumilizer MDP−S、Sumilizer GA−80(以上、住友化学(株)製)などが挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては例えば、3,3’−チオジプロピオネートジステアリル、Sumilizer TPM、Sumilizer TPS、Sumilizer TP−D(以上、住友化学(株)製)などが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては例えば、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフィト、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスフィト、ジフェニルイソデシルホスフィト、2−エチルヘキシルジフェニルホスフィト、トリフェニルホスフィト、Irgafos168、Irgafos38(以上、BASFジャパン(株)製)などが挙げられる。
キノン系酸化防止剤としては例えば、p−ベンゾキノン、2−tert−ブチル−1,4−ベンゾキノンなどが挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては例えば、ジメチルアニリンやフェノチアジンなどが挙げられる。
酸化防止剤は、Irganox1010、Irganox1330、3,3’−チオジプロピオネートジステアリル、Sumilizer TP−Dが好ましく、Irganox1010、Irganox1330がより好ましく、Irganox1010が特に好ましい。
また、上記酸化防止剤のうち、フェノール系酸化防止剤と、硫黄系酸化防止剤またはリン系酸化防止剤とを併用することが好ましく、フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤とを併用することが最も好ましい。特に、エラストマーとして、ポリスチレン系エラストマーを使用した場合において、フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤とを併用することが好ましい。このような組み合わせにすることにより、酸化反応によるバインダーの劣化を、効率よく抑制できる効果が期待できる。フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤とを併用する場合、フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤との質量比は、フェノール系酸化防止剤:硫黄系酸化防止剤=95:5〜5:95が好ましく、25:75〜75:25がより好ましい。
酸化防止剤の組み合わせとしては、Irganox1010とSumilizer TP−D、Irganox1330とSumilizer TP−D、および、Sumilizer GA−80とSumilizer TP−Dが好ましく、Irganox1010とSumilizer TP−D、Irganox1330とSumilizer TP−Dがより好ましく、Irganox1010とSumilizer TP−Dが特に好ましい。
【0102】
酸化防止剤の分子量は加熱中の昇華防止の観点から、400以上が好ましく、600以上がさらに好ましく、750以上が特に好ましい。
【0103】
仮接着用組成物が酸化防止剤を有する場合、酸化防止剤の含有量は、仮接着用組成物の全固形分に対して、0.001〜20.0質量%が好ましく、0.005〜10.0質量%がより好ましい。
酸化防止剤は1種類のみでもよいし、2種以上であってもよい。酸化防止剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
【0104】
<<溶剤>>
本発明の仮接着用組成物は、溶剤を含有することが好ましい。溶剤は、公知のものを制限なく使用でき、有機溶剤が好ましい。
有機溶剤としては、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキル(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等))、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル))、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチルおよび2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(例えば、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、1−メトキシ−2−プロピルアセテート等のエステル類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、N−メチル−2−ピロリドン、γブチロラクトン等のケトン類;
N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン等のピロリドン類;
トルエン、キシレン、アニソール、メシチレン、プソイドクメン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、アミルベンゼン、イソアミルベンゼン、(2,2−ジメチルプロピル)ベンゼン、1−フェニルへキサン、1−フェニルヘプタン、1−フェニルオクタン、1−フェニルノナン、1−フェニルデカン、シクロプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、2−エチルトルエン、1,2−ジエチルベンゼン、o−シメン、インダン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、3−エチルトルエン、m−シメン、1,3−ジイソプロピルベンゼン、4−エチルトルエン、1,4−ジエチルベンゼン、p−シメン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、4−tert−ブチルトルエン、1,4−ジ−tert−ブチルベンゼン、1,3−ジエチルベンゼン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、4−tert−ブチル−o−キシレン、1,2,4−トリエチルベンゼン、1,3,5−トリエチルベンゼン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、5−tert−ブチル−m−キシレン、3,5−ジ−tert−ブチルトルエン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、デカヒドロナフタレン、等の芳香族炭化水素類;
エチルシクロヘキサン、リモネン、p−メンタン、ノナン、デカン、ドデカン、デカリン等の脂肪族炭化水素類などが好適に挙げられる。
【0105】
これらの溶剤は、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合する形態も好ましい。この場合、特に好ましくは、メシチレン、tert−ブチルベンゼン、プソイドクメン、p−メンタン、γブチロラクトン、N−エチル−2−ピロリドン、アニソール、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、およびプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
【0106】
仮接着用組成物が溶剤を有する場合、仮接着用組成物の溶剤の含有量は、塗布性の観点から、仮接着用組成物の全固形分濃度が5〜80質量%になる量が好ましく、5〜70質量%になる量がさらに好ましく、10〜60質量%になる量が特に好ましい。
溶剤は1種類のみでもよいし、2種以上であってもよい。溶剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
【0107】
<界面活性剤>
本発明の仮接着用組成物は、界面活性剤を含有することが好ましい。
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、または、両性のいずれでも使用することができるが、好ましい界面活性剤はノニオン系界面活性剤である。
ノニオン系界面活性剤の好ましい例としては、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類を挙げることができる。
【0108】
仮接着用組成物が界面活性剤を有する場合、仮接着用組成物の界面活性剤の含有量は、塗布性の観点から、仮接着用組成物の全固形分に対して0.001〜5質量%が好ましく、0.005〜1質量%がさらに好ましく、0.01〜0.5質量%が特に好ましい。界面活性剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。界面活性剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
【0109】
<<その他の添加剤>>
本発明の仮接着用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、各種添加物、例えば、硬化剤、硬化触媒、シランカップリング剤、充填剤、密着促進剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。これらの添加剤を配合する場合、その合計配合量は仮接着用組成物の全固形分の3質量%以下が好ましい。
【0110】
本発明の仮接着用組成物は、金属等の不純物を含まないことが好ましい。これら材料に含まれる不純物の含有量としては、1質量ppm(parts per million)以下が好ましく、100質量ppt(parts per trillion)以下がより好ましく、10質量ppt以下が更に好ましく、実質的に含まないこと(測定装置の検出限界以下であること)が特に好ましい。
仮接着用組成物から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、フィルタを用いた濾過を挙げることができる。フィルタ孔径としては、ポアサイズ10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましく、3nm以下が更に好ましい。フィルタの材質としては、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のフィルタが好ましい。フィルタは、有機溶剤であらかじめ洗浄したものを用いてもよい。フィルタ濾過工程では、複数種類のフィルタを直列又は並列に接続して用いてもよい。複数種類のフィルタを使用する場合は、孔径及び/又は材質が異なるフィルタを組み合わせて使用しても良い。また、各種材料を複数回濾過してもよく、複数回濾過する工程が循環濾過工程であっても良い。
また、仮接着用組成物に含まれる金属等の不純物を低減する方法としては、仮接着用組成物を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、仮接着用組成物を構成する原料に対してフィルタ濾過を行う、装置内をテフロン(登録商標)でライニングする等してコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う等の方法を挙げることができる。仮接着用組成物を構成する原料に対して行うフィルタ濾過における好ましい条件は、上記した条件と同様である。
フィルタ濾過の他、吸着材による不純物の除去を行っても良く、フィルタ濾過と吸着材を組み合わせて使用しても良い。吸着材としては、公知の吸着材を用いることができ、例えば、シリカゲル、ゼオライトなどの無機系吸着材、活性炭などの有機系吸着材を使用することができる。
【0111】
<仮接着用組成物の調製>
本発明の仮接着用組成物は、上述の各成分を混合して調製することができる。各成分の混合は、通常、0℃〜100℃の範囲で行われる。また、各成分を混合した後、例えば、フィルタでろ過することが好ましい。ろ過は、多段階で行ってもよいし、多数回繰り返してもよい。また、ろ過した液を再ろ過することもできる。
フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む)等によるフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)およびナイロンが好ましい。
フィルタの孔径は、例えば、0.003〜5.0μm程度が適している。この範囲とすることにより、ろ過詰まりを抑えつつ、組成物に含まれる不純物や凝集物など、微細な異物を確実に除去することが可能となる。
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせても良い。その際、第1のフィルタでのフィルタリングは、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。異なるフィルタを組み合わせて2回以上フィルタリングを行う場合は1回目のフィルタリングの孔径より2回目以降の孔径が同じ、もしくは小さい方が好ましい。また、上述した範囲内で異なる孔径の第1のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール(株)、アドバンテック東洋(株)、日本インテグリス(株)又は(株)キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
【0112】
<半導体装置の製造方法>
<<第一の実施形態>>
以下、積層体を製造する工程を経た半導体装置の製造方法の一実施形態について、図1を合わせて参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1(A)〜(E)は、それぞれ、キャリア基材とデバイスウェハとの仮接着を説明する概略断面図(図1(A)、(B))、キャリア基材に仮接着されたデバイスウェハが薄型化された状態(図1(C))、キャリア基材とデバイスウェハを剥離した状態(図1(D))、デバイスウェハから仮接着膜を除去後の状態(図1(E))を示す概略断面図である。
【0113】
この実施形態では、図1(A)に示すように、先ず、キャリア基材12に仮接着膜11が設けられてなる接着性キャリア基材100が準備される。
仮接着膜11は、実質的に溶剤を含まない態様であることが好ましい。
デバイスウェハ60は、シリコン基板61の表面61aに複数のデバイスチップ62が設けられてなる。
シリコン基板61の厚さは、例えば、200〜1200μmが好ましい。デバイスチップ62は例えば金属構造体であることが好ましく、高さは10〜100μmが好ましい。
仮接着膜を形成させる過程で、キャリア基材およびデバイスウェハの裏面を溶剤で洗浄する工程を設けてもよい。具体的には、基材やウェハの端面または裏面に付着した仮接着膜の残渣を、仮接着膜が溶解する溶剤を用いて除去することで、装置の汚染を防ぐことができ、薄型化デバイスウェハのTTV(Total Thickness Variation)を低下させることができる。
キャリア基材およびデバイスウェハの裏面を溶剤で洗浄する工程に用いる溶剤としては、前述の仮接着用組成物に含まれる溶剤を使用することができる。
【0114】
次いで、図1(B)に示す通り、接着性キャリア基材100とデバイスウェハ60とを圧着させ、キャリア基材12とデバイスウェハ60とを仮接着させる。
仮接着膜11は、デバイスチップ62を完全に覆っていることが好ましく、デバイスチップの高さがXμm、仮接着膜の厚みをYμmの場合、「X+100≧Y>X」の関係を満たすことが好ましい。
仮接着膜11がデバイスチップ62を完全に被覆していることは、薄型化デバイスウェハのTTVをより低下したい場合(すなわち、薄型化デバイスウェハの平坦性をより向上させたい場合)に有効である。
すなわち、デバイスウェハを薄型化する際において、複数のデバイスチップ62を仮接着膜11によって保護することにより、キャリア基材12との接触面において、凹凸形状をほとんど無くすことが可能である。よって、このように支持した状態で薄型化しても、複数のデバイスチップ62に由来する形状が、薄型化デバイスウェハの裏面61b1に転写されるおそれは低減され、その結果、最終的に得られる薄型化デバイスウェハのTTVをより低下することができる。
【0115】
次いで、図1(C)に示すように、シリコン基板61の裏面61bに対して、機械的または化学的な処理(特に限定されないが、例えば、グライディングや化学機械研磨(CMP)等の薄膜化処理、化学気相成長(CVD)や物理気相成長(PVD)などの高温および真空下での処理、有機溶剤、酸性処理液や塩基性処理液などの薬品を用いた処理、めっき処理、活性光線の照射、加熱処理ならびに冷却処理など)を施して、図1(C)に示すように、シリコン基板61の厚さを薄くし(例えば、上述の厚さとなるように薄型化し)、薄型化デバイスウェハ60aを得る。
【0116】
デバイスウェハを薄型化した後、高温および真空下での処理を行う前の段階で、デバイスウェハの基材面の面積よりも外側にはみ出した仮接着膜を溶剤で洗浄する工程を設けてもよい。具体的には、デバイスウェハを薄型化した後、はみ出した仮接着膜を、仮接着膜が溶解する溶剤を用いて除去することで、高温および真空下での処理が仮接着膜に直接施されることによる仮接着膜の変形、変質を防ぐことができる。キャリア基材の基材面の面積またはデバイスウェハの基材面の面積よりも外側にはみ出した仮接着膜を溶剤で洗浄する工程に用いる溶剤としては、上記仮接着用組成物に含まれる溶剤を使用することができる。
すなわち、本発明では、仮接着膜の膜面の面積は、キャリア基材の基材面の面積よりも小さいことが好ましい。また、本発明では、キャリア基材の基材面の直径をCμm、デバイスウェハの基材面の直径をDμm、仮接着膜の膜面の直径をTμmとしたとき、(C‐200)≧T≧Dを満たすことがより好ましい。さらに、キャリア基材の基材面の直径をCμm、デバイスウェハの基材面の直径をDμm、仮接着膜のキャリア基材と接している側の膜面の直径をTCμm、仮接着膜のデバイスウェハと接している側の膜面の直径をTDμmとしたとき、(C‐200)≧TC>TD≧Dを満たすことが好ましい。このような構成とすることにより、高温および真空下での処理が仮接着膜に直接施されることによる仮接着膜の変形、変質をより抑制することができる。
尚、仮接着膜の膜面の面積とは、キャリア基材に対し垂直な方向から見たときの面積をいい、膜面の凹凸は考えないものとする。デバイスウェハの基材面についても同様である。すなわち、ここでいう、デバイスウェハの基材面とは、例えば、図1の61a面に対応する面であり、デバイスチップが設けられている側の面であるであろう。仮接着膜の膜面等の直径についても、同様に考える。
また、仮接着膜の膜面の直径Tとは、仮接着膜のキャリア基材と接している側の膜面の直径をTCμm、仮接着膜のデバイスウェハと接している側の膜面の直径をTDμmとしたとき、T=(TC+TD)/2とする。キャリア基材の基材面の直径およびデバイスウェハの基材面の直径は、仮接着膜と接している側の表面の直径をいう。
尚、キャリア基材等について、「直径」と規定しているが、キャリア基材等が、数学的な意味で円形(正円)であることを必須とするものではなく、概ね円形であればよい。正円でない場合、同じ面積の正円に換算した時の直径をもって、上記直径とする。
また、機械的または化学的な処理として、薄膜化処理の後に、薄型化デバイスウェハ60aの裏面61b1からシリコン基板を貫通する貫通孔(図示せず)を形成し、この貫通孔内にシリコン貫通電極(図示せず)を形成する処理を行ってもよい。
また、キャリア基材12とデバイスウェハ60とを仮接着した後、剥離するまでの間に加熱処理を行っても良い。加熱処理の一例として、機械的または化学的な処理を行う際に、加熱を行うことが挙げられる。
加熱処理における最高到達温度は80〜400℃が好ましく、130℃〜400℃がより好ましく、180℃〜350℃がさらに好ましい。加熱処理における最高到達温度は仮接着膜の分解温度よりも低い温度とすることが好ましい。加熱処理は、最高到達温度での30秒〜30分の加熱であることが好ましく、最高到達温度での1分〜10分の加熱であることがより好ましい。
【0117】
次いで、図1(D)に示すように、キャリア基材12を、薄型化デバイスウェハ60aから剥離させる。剥離の際の温度は、40℃以下であることが好ましく、30℃以下とすることもできる。剥離の際の温度の下限値としては、例えば、0℃以上であり、好ましくは、10℃以上である。本発明の剥離は、15〜35℃程度の常温で行える点で価値が高い。
剥離の方法は特に限定されるものではないが、薄型化デバイスウェハ60aを固定し、キャリア基材積層体の端部から薄型化デバイスウェハ60aに対して垂直方向に引き上げて剥離することが好ましい。このとき、剥離界面は、キャリア基材12と仮接着膜11の界面で剥離されることが好ましい。剥離の際の引き上げ速度は、30〜100mm/分の速さであることが好ましく、40〜80mm/分の速さであることがより好ましい。この場合、キャリア基材12と仮接着膜11の界面の密着強度A、デバイスウェハ表面61aと仮接着膜11の密着強度Bは、以下の式を満たすことが好ましい。
A<B 式(A)
また、剥離の際の端部を引き上げる際の力は、0.33N/mm以下であることが好ましく、0.2N/mm以下とすることもできる。下限値としては、好ましくは0.07N/mm以上である。この際の力は、フォースゲージを用いて測定することができる。
【0118】
そして、図1(E)に示すように、薄型化デバイスウェハ60aから仮接着膜11を除去することにより、薄型化デバイスウェハを得ることができる。
仮接着膜11の除去方法は、例えば、仮接着膜をそのままの状態で剥離除去する方法、仮接着膜を、剥離液を用いて除去する方法(仮接着膜を剥離液で膨潤させた後に剥離除去する方法、仮接着膜に剥離液を噴射して破壊除去する方法、仮接着膜を剥離液に溶解させて溶解除去する方法等)、仮接着膜を活性光線、放射線または熱の照射により分解、気化して除去する方法などが挙げられる。溶剤の使用量削減の観点からは、フィルム状のまま除去することが好ましい。また、デバイスウェハ表面のダメージ低減の観点からは、溶解除去が好ましい。仮接着膜をそのままの状態で剥離除去する方法とは、剥離液を用いる等の化学的処理を行うことなく、仮接着剤そのままの状態で剥離することをいい、仮接着膜をフィルム状のまま剥離除去する方法がより好ましい。仮接着膜をそのままの状態で剥離する場合、機械剥離が好ましい。仮接着膜をフィルム状のまま除去するためには、デバイスウェハ表面61aと仮接着膜11の密着強度Bが以下の式(B)を満たすことが好ましい。
B≦4N/cm ・・・・式(B)
仮保護膜を、剥離液を用いて除去する場合、以下の剥離液を好ましく用いることができる。
【0119】
<剥離液>
剥離液としては、水および、溶剤(有機溶剤)を使用することができる。
また、剥離液としては、仮接着膜11を溶解する有機溶剤が好ましい。有機溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、アイソパーE、H、G(エッソ化学(株)製)、リモネン、p−メンタン、ノナン、デカン、ドデカン、デカリン、等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン、アニソール、メシチレン、プソイドクメン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、アミルベンゼン、イソアミルベンゼン、(2,2−ジメチルプロピル)ベンゼン、1−フェニルへキサン、1−フェニルヘプタン、1−フェニルオクタン、1−フェニルノナン、1−フェニルデカン、シクロプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、2−エチルトルエン、1,2−ジエチルベンゼン、o−シメン、インダン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、3−エチルトルエン、m−シメン、1,3−ジイソプロピルベンゼン、4−エチルトルエン、1,4−ジエチルベンゼン、p−シメン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、4−tert−ブチルトルエン、1,4−ジ−tert−ブチルベンゼン、1,3−ジエチルベンゼン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、4−tert−ブチル−o−キシレン、1,2,4−トリエチルベンゼン、1,3,5−トリエチルベンゼン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、5−tert−ブチル−m−キシレン、3,5−ジ−tert−ブチルトルエン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、等)、ハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、トリクレン、モノクロルベンゼン等)、極性溶剤が挙げられる。極性溶剤としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、1−デカノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、メチルフェニルカルビノール、n−アミルアルコール、メチルアミルアルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、エチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、乳酸メチル、乳酸ブチル、エチレングリコールモノブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアセテート、ジエチルフタレート、レブリン酸ブチル等)、その他(トリエチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン等)等が挙げられる。
【0120】
さらに、剥離性の観点から、剥離液は、アルカリ、酸、および界面活性剤を含んでいても良い。これらの成分を配合する場合、配合量は、それぞれ、剥離液の0.1〜5.0質量%であることが好ましい。
さらに剥離性の観点から、2種以上の有機溶剤および水、2種以上のアルカリ、酸および界面活性剤を混合する形態も好ましい。
【0121】
アルカリとしては、例えば、第三リン酸ナトリウム、第三リン酸カリウム、第三リン酸アンモニウム、第二リン酸ナトリウム、第二リン酸カリウム、第二リン酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムなどの無機アルカリ剤や、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アルカリ剤を使用することができる。これらのアルカリ剤は、単独若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0122】
酸としては、ハロゲン化水素、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸などの無機酸や、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酢酸、クエン酸、ギ酸、グルコン酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸などの有機酸を使用することができる。
【0123】
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、両性イオン系の界面活性剤を使用することができる。この場合、界面活性剤の含有量は、アルカリ水溶液の全量に対して1〜20質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
界面活性剤の含有量を上記した範囲内とすることにより、仮接着膜11と薄型化デバイスウェハ60aとの剥離性をより向上できる傾向となる。
【0124】
アニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルジフェニルエーテル(ジ)スルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンアルキルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−アルキル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。この中で、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルジフェニルエーテル(ジ)スルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
【0125】
カチオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、アルキルイミダゾリニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
【0126】
ノニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリエチレングリコール型の高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、アルキルナフトールエチレンオキサイド付加物、フェノールエチレンオキサイド付加物、ナフトールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー、多価アルコール型のグリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げられる。この中で、芳香環とエチレンオキサイド鎖を有するものが好ましく、アルキル置換または無置換のフェノールエチレンオキサイド付加物またはアルキル置換または無置換のナフトールエチレンオキサイド付加物がより好ましい。
【0127】
両性イオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、アルキルジメチルアミンオキシドなどのアミンオキシド系、アルキルベタインなどのベタイン系、アルキルアミノ脂肪酸ナトリウムなどのアミノ酸系が挙げられる。特に、置換基を有してもよいアルキルジメチルアミンオキシド、置換基を有してもよいアルキルカルボキシベタイン、置換基を有してもよいアルキルスルホベタインが好ましく用いられる。具体的には、特開2008−203359号公報の段落番号〔0256〕の式(2)で示される化合物、特開2008−276166号公報の段落番号〔0028〕の式(I)、式(II)、式(VI)で示される化合物、特開2009−47927号公報の段落番号〔0022〕〜〔0029〕で示される化合物を用いることができる。
【0128】
さらに必要に応じ、消泡剤および硬水軟化剤のような添加剤を含有することもできる。
【0129】
キャリア基材12を薄型化デバイスウェハ60aから剥離する際に、何ら処理することなく薄型化デバイスウェハ60aの端部からデバイスウェハに対して垂直方向に引き上げて剥離することが好ましい。また、デバイスウェハ表面61a上の仮接着膜11を除去する方法としては、フィルム状のまま除去することが好ましい。
キャリア基材12と仮接着膜11の界面の密着強度をA、デバイスウェハ表面61aと仮接着膜11の密着強度Bとすると、上述した式(A)および(B)をともに満たすことにより、キャリア基材12、仮接着膜11を、上述した態様で、デバイスウェハから除去することができる。
キャリア基材12を薄型化デバイスウェハ60aから剥離した後、必要に応じて、薄型化デバイスウェハ60aに対して、種々の公知の処理を施し、薄型化デバイスウェハ60aを有する半導体装置を製造する。
【0130】
また、キャリア基材に仮接着膜が付着している場合は、仮接着膜を除去することにより、キャリア基材を再生することができる。仮接着膜を除去する方法としては、フィルム状のままと、ブラシ、超音波、氷粒子、エアロゾルの吹付けにより物理的に除去する方法、水溶液または有機溶剤に溶解させて溶解除去する方法、活性光線、放射線、熱の照射により分解、気化させる方法などの化学的に除去する方法が挙げられるが、キャリア基材に応じて、従来既知の洗浄方法を利用することができる。
例えば、キャリア基材としてシリコン基板を使用した場合、従来既知のシリコンウェハの洗浄方法を使用することができ、例えば化学的に除去する場合に使用できる水溶液または有機溶剤としては、強酸、強塩基、強酸化剤、またはそれらの混合物が上げられ、具体的には、硫酸、塩酸、フッ酸、硝酸、有機酸などの酸類、テトラメチルアンモニウム、アンモニア、有機塩基などの塩基類、過酸化水素などの酸化剤、またはアンモニアと過酸化水素の混合物、塩酸と過酸化水素水の混合物、硫酸と過酸化水素水の混合物、フッ酸と過酸化水素水の混合物、フッ酸とフッ化アンモニウムとの混合物などが挙げられる。
【0131】
再生したキャリア基材を使った場合の接着性の観点から、キャリア基材洗浄液を用いることが好ましい。キャリア基材洗浄液は、pKaが0未満の酸(強酸)と過酸化水素を含んでいることが好ましい。pKaが0未満の酸としては、ヨウ化水素、過塩素酸、臭化水素、塩化水素、硝酸、硫酸などの無機酸、又はアルキルスルホン酸、アリールスルホン酸などの有機酸から選択される。キャリア基材上の仮接着膜の洗浄性の観点から無機酸であることが好ましく、硫酸が最も好ましい。
【0132】
過酸化水素としては、30質量%過酸化水素水が好ましく使用でき、上記強酸と30質量%過酸化水素水との混合比は、質量比で0.1:1〜100:1が好ましく、1:1〜10:1がより好ましく、3:1〜5:1が最も好ましい。
【0133】
<<第二の実施形態>>
積層体を製造する工程を経た半導体の製造方法の第二の実施形態について、図2を合わせて参照しながら説明する。上述した第一の実施形態と同一箇所は、同一符号を付してその説明を省略する。
図2(A)〜(E)は、それぞれ、キャリア基材とデバイスウェハとの仮接着を説明する概略断面図(図2(A)、(B))、キャリア基材に仮接着されたデバイスウェハが薄型化された状態(図2(C))、キャリア基材とデバイスウェハを剥離した状態(図2(D))、デバイスウェハから仮接着膜を除去後の状態(図2(E))を示す概略断面図である。
この実施形態では、図2(A)に示すように、デバイスウェハの表面61a上に仮接着膜を形成する点が上記第一の実施形態と相違する。
デバイスウェハ60の表面61a上に、仮接着膜11aを設ける場合は、デバイスウェハ60の表面61aの表面に仮接着剤を適用(好ましくは塗布)し、次いで、乾燥(ベーク)することにより形成することができる。乾燥は、例えば、60〜150℃で、10秒〜2分行うことができる。
次いで、図2(B)に示す通り、キャリア基材12とデバイスウェハ60とを圧着させ、キャリア基材12とデバイスウェハ60とを仮接着させる。次いで、図2(C)に示すように、シリコン基板61の裏面61bに対して、機械的または化学的な処理を施して、図2(C)に示すように、シリコン基板61の厚さを薄くし、薄型化デバイスウェハ60aを得る。次いで、図2(D)に示すように、キャリア基材12を、薄型化デバイスウェハ60aから剥離させる。そして、図2(E)に示すように、薄型化デバイスウェハ60aから仮接着膜11を除去する。
【0134】
<<従来の実施形態>>
次いで、従来の実施形態について説明する。
図3は、従来の接着性キャリア基材とデバイスウェハとの仮接着状態の解除を説明する概略断面図である。
従来の実施形態においては、図3に示すように、接着性キャリア基材100aとして、キャリア基材12の上に、従来の仮接着剤により形成された仮接着膜11bが設けられてなる接着性キャリア基材100aを使用し、それ以外は、図1を参照して説明した手順と同様に、接着性キャリア基材100aとデバイスウェハとを仮接着し、デバイスウェハにおけるシリコン基板の薄膜化処理を行い、次いで、上記した手順と同様に、接着性キャリア基材100aから薄型化デバイスウェハ60aを剥離する。
【0135】
しかしながら、従来の仮接着剤によれば、高い接着力によりデバイスウェハを仮支持し、デバイスウェハに損傷を与えることなく、デバイスウェハに対する仮支持を容易に解除することが困難である。例えば、デバイスウェハとキャリア基材との仮接着を充分にしようとするべく、従来の仮接着剤の内、接着性の高いものを採用すると、デバイスウェハとキャリア基材との仮接着が強すぎる傾向となる。よって、この強すぎる仮接着を解除するべく、例えば、図3に示すように、薄型化デバイスウェハ60aの裏面にテープ(例えば、ダイシングテープ)70を貼り付け、接着性キャリア基材100aから薄型化デバイスウェハ60aを剥離する場合においては、構造体が設けられたデバイスチップ62から、構造体が剥離するなどして、デバイスチップ62を破損する不具合が生じやすい。
一方、従来の仮接着剤の内、接着性が低いものを採用すると、デバイスウェハに対する仮支持を容易に解除することはできるが、そもそもデバイスウェハとキャリア基材との仮接着が弱すぎ、デバイスウェハをキャリア基材で確実に支持できないという不具合が生じやすい。
【0136】
これに対し、本発明の積層体は、充分な接着性を発現するとともに、デバイスウェハ60とキャリア基材12との仮接着を容易に解除できる。すなわち、本発明の積層体によれば、高い接着力によりデバイスウェハ60を仮接着できるとともに、薄型化デバイスウェハ60aに損傷を与えることなく、薄型化デバイスウェハ60aに対する仮接着を容易に解除できる。
【0137】
本発明の半導体装置の製造方法は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、適宜な変形、改良等が可能である。
また、上述した実施形態においては、デバイスウェハとして、シリコン基板を挙げたが、これに限定されるものではなく、半導体装置の製造方法において、機械的または化学的な処理に供され得るいずれの被処理部材であっても良い。
また、上述した実施形態においては、デバイスウェハ(シリコン基板)に対する機械的または化学的な処理として、デバイスウェハの薄膜化処理、および、シリコン貫通電極の形成処理を挙げたが、これらに限定されるものではなく、半導体装置の製造方法において必要ないずれの処理も挙げられる。
その他、上述した実施形態において例示した、デバイスウェハにおけるデバイスチップの形状、寸法、数、配置箇所等は任意であり、限定されない。
【実施例】
【0138】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
【0139】
<仮接着用組成物の調製>
以下の仮接着用組成物の各成分を混合して均一な溶液とした後、5μmの孔径を有するポリテトラフルオロエチレン製フィルタを用いてろ過して、仮接着用組成物を調製した。
【0140】
<<仮接着用組成物の組成(実施例1〜14、17〜18、比較例6〜9)>>
・下記表1に記載のバインダー:表1に記載の質量部
・Irganox 1010(BASFジャパン(株)製):5質量部
・Sumilizer TP−D(住友化学(株)製):5質量部
・メガファックF−553(DIC(株)製):0.1質量部
・メシチレン(東洋合成工業(株)製):190質量部
【0141】
<<仮接着用組成物の組成(実施例15)>>
・樹脂P−6:表1に記載の質量部
・Irganox 1010(BASFジャパン(株)製):10質量部
・Sumilizer TP−D(住友化学(株)製):10質量部
・アニソール(東洋合成工業(株)製):400質量部
・TOTM(大八化学工業(株)製):3質量部
・メガファックF−553(DIC(株)製):0.1質量部
【0142】
<<仮接着用組成物の組成(実施例16)>>
・樹脂P−7:表1に記載の質量部
・Irganox 1010(BASFジャパン(株)製):10質量部
・Sumilizer TP−D(住友化学(株)製):10質量部
・N−エチル−2−ピロリドン(丸善油化商事(株)製):400質量部
・TOTM(大八化学工業(株)製):3質量部
・メガファックF−553(DIC(株)製):0.1質量部
【0143】
<<仮接着用組成物の組成(実施例19)>>
・下記表1に記載のバインダー:表1に記載の質量部
・Irganox 1010(BASFジャパン(株)製):1質量部
・Sumilizer TP−D(住友化学(株)製):1質量部
・KP−341(信越化学工業(株)製):0.05質量部
・メシチレン(東洋合成工業(株)製):300質量部
【0144】
<<仮接着用組成物の組成(実施例20)>>
KP−341の添加量を0.002質量部としたこと以外は、実施例19と同様に仮接着用組成物を調製した。
【0145】
<<仮接着用組成物の組成(実施例21)>>
KP−341の添加量を0.9質量部としたこと以外は、実施例19と同様に仮接着用組成物を調製した。
【0146】
<<仮接着用組成物の組成(実施例15)>>
・樹脂P−6:表1に記載の質量部
・Irganox 1010(BASFジャパン(株)製):10質量部
・Sumilizer TP−D(住友化学(株)製):10質量部
・アニソール(東洋合成工業(株)製):400質量部
・TOTM(大八化学工業(株)製):3質量部
・メガファックF−553(DIC(株)製):0.1質量部
【0147】
<<仮接着用組成物の組成(実施例16)>>
・樹脂P−7:表1に記載の質量部
・Irganox 1010(BASFジャパン(株)製):10質量部
・Sumilizer TP−D(住友化学(株)製):10質量部
・N−エチル−2−ピロリドン(丸善油化商事(株)製):400質量部
・TOTM(大八化学工業(株)製):3質量部
・メガファックF−553(DIC(株)製):0.1質量部
【0148】
<<仮接着用組成物の組成(比較例1)>>
・樹脂P−6:表1に記載の質量部
・Irganox 1010(BASFジャパン(株)製):10質量部
・Sumilizer TP−D(住友化学(株)製):10質量部
・アニソール(東洋合成工業(株)製):400質量部
・TOTM(大八化学工業製):0.8質量部
・メガファックF−553(DIC(株)製):0.1質量部
【0149】
<<仮接着用組成物の組成(比較例2)>>
・樹脂P−6:表1に記載の質量部
・Irganox 1010(BASFジャパン(株)製):10質量部
・Sumilizer TP−D(住友化学(株)製):10質量部
・アニソール(東洋合成工業(株)製):400質量部
・TOTM(大八化学工業(株)製):0.5質量部
・メガファックF−553(DIC(株)製):0.1質量部
【0150】
<<仮接着用組成物の組成(比較例3)>>
・樹脂P−7:表1に記載の質量部
・Irganox 1010(BASFジャパン(株)製):10質量部
・Sumilizer TP−D(住友化学(株)製):10質量部
・N−エチル−2−ピロリドン(丸善油化商事(株)製):400質量部
・TOTM(大八化学工業(株)製):0.8質量部
・メガファックF−553(DIC(株)製):0.1質量部
【0151】
<<仮接着用組成物の組成(比較例4)>>
・樹脂P−7:表1に記載の質量部
・Irganox 1010(BASFジャパン(株)製):10質量部
・Sumilizer TP−D(住友化学(株)製):10質量部
・N−エチル−2−ピロリドン(丸善油化商事(株)製):400質量部
・TOTM(大八化学工業(株)製):0.5質量部
・メガファックF−553(DIC(株)製):0.1質量部
【0152】
<<仮接着用組成物の組成(比較例5)>>
・樹脂P−8:表1に記載の質量部
・Irganox 1010(BASFジャパン(株)製):5質量部
・Sumilizer TP−D(住友化学(株)製):5質量部
・2−ヘプタノン(KHネオケム(株)製):200質量部
・メガファックF−553(DIC(株)製):0.1質量部
【0153】
【表1】
【0154】
表1中に記載の化合物の商品名およびメーカー名は以下の通りである。
<バインダー>
【表2】
【0155】
<積層体の形成(実施例1〜16、18〜21、比較例1〜11)>
複数のバンプが設けられ、幅500μm、深さ100μmのエッジトリミング処理を施した直径12インチシリコンウェハ(1インチは、2.54cmである)の表面に、表1に記載の仮接着用組成物をウェハボンディング装置(東京エレクトロン(株)製、Synapse V)により50rpmで回転させながら、30秒間の間に15mL滴下した。回転数を600rpmまで上げて30秒間保持し、その後、シリコンウェハを回転させながらシリコンウェハ外周部およびシリコンウェハ裏面にメシチレンを40秒供給し、シリコンウェハ外周部およびシリコンウェハ裏面に付着した仮接着用組成物を洗浄した。ホットプレートを用いて、110℃で3分加熱し、さらに、190℃で3分加熱することで、シリコンウェハの表面に仮接着膜を形成した。
ついで、仮接着膜が形成された側の面に対し、もう1枚の12インチのシリコンウェハ(キャリア基材)を、ウェハボンディング装置(東京エレクトロン(株)製、Synapse V)により真空下、190℃、0.11MPaの圧力で3分間圧着を行って、積層体を得た。尚、このときの仮接着膜の厚さは、40μmであった。
ついで、上記積層体の、先に用いたシリコンウェハ側を、バックグラインダーDFG8540((株)ディスコ製)を用いて35μmの厚さまで研磨し、薄型化した積層体を得た。
上記積層体の、薄型化したシリコンウェハの直径は299mmであった。
【0156】
<積層体の形成(実施例17)>
キャリア基材をガラス(コーニング製、EAGLE XG)に変えた他は、実施例1と同様に行って積層体を作製した。
【0157】
<薄型化後の端面処理(実施例1〜17、19〜21、比較例1〜9)>
薄型化した積層体を、キャリア基材を下面にして、ウェハボンディング装置(東京エレクトロン(株)製、Synapse V)により300rpmで回転させながら、シリコンウェハの端から20mmの位置にメシチレンを10秒間の間に15mL滴下した。次いで、回転数を1000rpmまで上げ、メシチレンを30秒間の間に45mL滴下した。その後、回転数を1000rpmに保持したまま20秒間回転させて、シリコンウェハ表面を乾燥させた。
得られた積層体を、複数のバンプが設けられた直径12インチシリコンウェハに対し垂直な方向から光学顕微鏡で観察した結果、キャリア基材の基材面の直径よりも仮接着膜の基材面の直径が250μm以上小さいことを確認できた。また、仮接着膜のキャリア基材と接している側の膜面の直径が、デバイスウェハと接している側の膜面の直径よりも大きかった。
【0158】
<積層体の形成(実施例18)>
薄型化後の端面処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様に行って積層体を作製した。
得られた積層体を、複数のバンプが設けられた直径12インチシリコンウェハの上部から光学顕微鏡で観察した結果、キャリア基材の直径に対し仮接着膜の直径が150μm以下であることを確認できた。また、仮接着膜のキャリア基材と接している側の膜面の直径が、デバイスウェハと接している側の膜面の直径よりも大きかった。
【0159】
<薄型化後のウェハの反り>
上記薄型化した積層体について、薄膜応力測定装置FLX−2320−S(東朋テクノロジー(株)製)を用いて反り(曲率半径)の計測を行い、以下の基準で評価を行った。なお、反りの方向に関わらず、絶対値をもって評価を行った。
A:反りの値が20μm以下
B:反りの値が20μmより大きく、40μm以下
C:反りの値が40μmより大きい
【0160】
<薄型化後の浮き評価>
上記薄型化した積層体について、ウェハエッジを観察し、以下の基準で評価を行った。
A:ウェハエッジが仮接着剤で完全に接着されている
B:ウェハエッジが一部剥離し、ウェハと仮接着剤とが離れている
C:ウェハエッジが全周に渡り剥離し、ウェハと仮接着剤とが離れている
【0161】
<薄型化後の剥離評価>
薄型化した積層体の研磨した面を下側にし、下側のシリコンウェハを、ダイシングテープマウンターを用いてダイシングテープ中央にダイシングフレームと共に固定した。その後、ウェハデボンダーウェハボンディング装置(東京エレクトロン(株)製、Synapse Z)を用いて、25℃で、上側のシリコンウェハを下側のシリコンウェハに対して垂直方向に、50mm/分の速さで引き上げて、他方のシリコンウェハが割れたりせずに、0.33N/mm以下の力で剥離できるかどうかを確認した。なお、力の測定は、フォースゲージ((株)イマダ製、ZTS−100N)にて行った。
表に、引き上げる側のシリコンウェハが割れたりせずに、剥離できたものは、「可能」と、それ以外を「不可」と示した。
【0162】
<仮接着膜の引張弾性率Eの測定>
本試験測定用の仮接着膜は、以下の方法により製造した。
8インチシリコンウェハの表面に、表1に記載の仮接着用組成物をスピンコーター(MS−A300、(株)ミカサ製)により50rpmで回転させながら、30秒間の間に15mL滴下した。回転数を600rpmまで上げて30秒間保持した。ホットプレートを用いて、110℃で3分加熱し、さらに、190℃で3分加熱することで、シリコンウェハの表面に仮接着膜を形成した。その後、仮接着膜をシリコンウェハから手動で剥離した。
得られた本試験測定用の仮接着膜について、仮接着膜の温度が25℃となる条件下で、JIS K 7161:1994に準拠して、引張弾性率Eを測定した。結果を下記表に示す。単位は、MPaである。
【0163】
<仮接着膜の表面自由エネルギーの測定>
本試験測定用の仮接着膜は、以下の方法により製造した。
8インチシリコンウェハの表面に、表1に記載の仮接着用組成物をスピンコーター(MS−A300、(株)ミカサ製)により50rpmで回転させながら、30秒間の間に15mL滴下した。回転数を600rpmまで上げて30秒間保持した。ホットプレートを用いて、110℃で3分加熱し、さらに、190℃で3分加熱することで、シリコンウェハの表面に仮接着膜を形成した。
得られた本試験測定用の仮接着膜の表面自由エネルギーは、仮接着膜に対して水、エチレングリコールおよびジヨードメタンをそれぞれ、3μL滴下したときの接触角を接触角計(協和界面科学(株)製、DM−301)で測定し、解析ソフトウェア「FAMAS」(上記DM−301に内蔵)を用いて、拡張Fowkes式から連立一次方程式を立て、解を求めることで得た。結果を下記表に示す。単位は、mJ/m2である。
【0164】
<仮接着膜のせん断貯蔵弾性率G’の測定>
上記仮接着膜の引張弾性率Eの測定において作製した試験測定用の仮接着膜を用い、仮接着膜の温度が190℃となる条件下で、JIS K 7244−6:1999に準拠し、せん断貯蔵弾性率G’を測定した。結果を下記表に示す。単位は、MPaである。
【0165】
<仮接着膜の引張貯蔵弾性率E’の測定>
上記仮接着膜の引張弾性率Eの測定において作製した試験測定用の仮接着膜を用い、仮接着膜の温度が25℃となる条件下で、JIS K 7244−4:1999に準拠し、引張貯蔵弾性率E’を測定した。結果を下記表に示す。単位は、MPaである。
【0166】
<溶融粘度>
本試験測定用の仮接着膜は、以下の方法により製造した。8インチシリコンウェハの表面に、表1に記載の仮接着用組成物をスピンコーター(MS−A300、(株)ミカサ製)により50rpmで回転させながら、30秒間の間に15mL滴下した。回転数を300rpmまで上げて30秒間保持した。ホットプレートを用いて、110℃で3分加熱し、さらに、190℃で3分加熱することで、シリコンウェハの表面に仮接着膜を形成した。その後、仮接着膜をウェハから手動で剥離した。
得られた本試験測定用の仮接着膜を用い、速度5℃/分で250℃まで昇温し、JIS K 6862:1984に準拠し、溶融粘度を測定した。
結果を下記表に示した。単位は、Pa・sである。
【0167】
<メルトフローレート(MFR)>
上記仮接着膜の溶融粘度において作製した試験測定用の仮接着膜を用い、JIS K 7210:1999に準拠し、仮接着膜の温度200℃、荷重10KgにおけるMFRを測定した。
結果を下記表に示した。単位は、g/10分である。
【0168】
<塑性変形開始圧力P60
シリコンウェハ上に、仮接着用組成物をスピンコート法で塗布して、40μmの厚さの仮接着膜を形成して、試験片を得た。得られた試験片を、仮接着膜が60℃になる条件下で、5mm×10mmのシリコンからなるチップを仮接着膜の膜面に対し垂直な方向から5秒間押し付けた。チップを除去した後、光学顕微鏡でチップが接触していた箇所を観察し、押し付けた箇所の膜厚が10μm以上低下していた時の力を塑性変形開始圧力とした。単位は、MPaである。
【0169】
【表3】
【表4】
【0170】
上記結果から明らかなとおり、本発明の積層体は、所定の条件で剥離可能であり、薄型化した後でも反りにくい積層体が得られた。これに対し、比較例の積層体は剥離ができなかった。
特に、シリコーン化合物の配合量を少量とすることにより、浮きを効果的に抑制することが可能になった。
【符号の説明】
【0171】
11、11a:仮接着膜
12:キャリア基材
60:デバイスウェハ
60a:薄型化デバイスウェハ
61:シリコン基板
61a:表面
61b、61b1:裏面
62:デバイスチップ
63:構造体
70:テープ
100、100a:接着性キャリア基材
図1
図2
図3
【国際調査報告】