(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年6月29日
【発行日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】薄膜トランジスタの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20171201BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20171201BHJP
H01L 51/05 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
H01L29/78 619A
H01L29/78 618B
H01L29/28 100A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】32
【出願番号】特願2017-525426(P2017-525426)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年12月8日
(11)【特許番号】特許第6233548号(P6233548)
(45)【特許公報発行日】2017年11月22日
(31)【優先権主張番号】特願2015-249781(P2015-249781)
(32)【優先日】2015年12月22日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124970
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 通洋
(72)【発明者】
【氏名】餌取 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】境 駿希
【テーマコード(参考)】
5F110
【Fターム(参考)】
5F110AA05
5F110CC01
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5F110NN35
5F110NN36
5F110NN61
5F110NN65
5F110QQ06
(57)【要約】
より簡便な方法で、素子分離が実現されたTFTを提供するTFTの製造方法、該製造方法によって製造されたTFT、および、該TFTを含む電子装置の提供を課題とする。
半導体層を形成する半導体材料を溶解または分散せしめことができる溶媒を必須成分とするインクを、エラストマー製のブランケットまたはエラストマー製の版を用いた印刷法を用いて、チャネル領域が非画線画像部となり、かつ、画像部の境界が、該チャネル領域の外周縁を取り囲む閉曲線を形成するように、半導体層上に印刷することにより、課題を解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極およびドレイン電極と、
チャネル領域より広い範囲に形成された半導体層と、
半導体層形成後に形成されるオーバーコート層と、を有する薄膜トランジスタの製造方法であって、
前記オーバーコート層は、前記チャネル領域の外周縁の周囲を取り囲むように形成され、かつ前記半導体層と接触する接触部を有し、
前記接触部では、前記半導体層が下層であり前記オーバーコート層が上層であるようにして積層されており、
前記オーバーコート層は、前記半導体層を形成する半導体材料を溶解または分散せしめことができる溶媒を必須成分とするインクを使用して、印刷法によって形成され、
前記印刷法は、エラストマー製のブランケットまたはエラストマー製の版を用いた印刷法であり、かつ、エラストマー製のブランケット上またはエラストマー製の版上のインクを被印刷物上に転写する工程を有する印刷法である、
ことを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項2】
前記半導体層が、有機半導体材料を用いてなる半導体層である請求項1に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項3】
前記半導体層の形成方法が、真空蒸着法である請求項1または請求項2に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項4】
前記半導体層の形成方法が、湿式成膜法である請求項1または請求項2に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項5】
前記印刷法が凸版反転印刷法である請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項6】
前記印刷法がマイクロコンタクト印刷法である請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項7】
前記印刷法がグラビアオフセット印刷法である請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスタ(TFT)の製造方法
【背景技術】
【0002】
アモルファスシリコンや多結晶シリコンを半導体材料として用いてなる薄膜トランジスタ(TFT)が、液晶表示装置や有機EL表示装置などのスイッチング素子として広く用いられている。しかし、このようなシリコンを用いたTFTは、その製造において、高温熱処理プロセスを有することから、プラスチック基板を用いることになる次世代型フレキシブル表示装置には耐熱性の問題から展開できない。この課題を解決するために、シリコンに代えて、有機半導体材料を半導体層に用いてなる有機薄膜トランジスタ(有機TFT)が提案されている。
【0003】
有機半導体材料はインク化することで、低温で印刷成膜できるため、耐熱性の乏しいプラスチック基板に適用でき、フレキシブル表示装置への応用が、さらには、フレキシブルエレクトロニクス(電子タグやセンサーなどを軽量化およびフレキシブル化した電子装置)への応用が期待されている。
【0004】
また、有機半導体材料は、半導体特性の面でも、新規材料が開発されたことで、アモルファスシリコンの移動度を凌駕する半導体の提供を可能としている。
【0005】
例えば、特許文献1には、ジナフト[2,3−b:2´,3´−f]チエノ[3,2−b]チオフェン骨格を有する化合物が、真空蒸着薄膜で4.0cm
2/Vsの移動度を示すことが、特許文献2には、さまざまな置換基を有するV字型構造の化合物が、エッジキャスト法で成膜された単結晶薄膜で11cm
2/Vsという高い移動度を示すことが、非特許文献1には、2,7−ジオクチル[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(以下、2,7−ジオクチルBTBTと略することがある。)が、ダブルインクジェット印刷法で作製された単結晶薄膜で、特性のばらつきは大きいもの、最大で30cm
2/Vsという高い移動度を示すことが、また、特許文献3には、フェニル基を置換基として有するナフトジチオフェン化合物が0.7cm
2/Vsという移動度を示すことが、開示されている。このように、アモルファスシリコンの移動度(0.5cm
2/Vs)を超えた半導体特性を示す有機半導体材料の報告が相次いでいる。
【0006】
一方、有機TFTの実用化には、移動度の向上だけでなく、素子分離(任意の一つのTFTの半導体層を、該TFT周囲の電気配線(以下、配線と略することがある。)、該TFT周囲の電極、該TFTと隣接する他のTFTの半導体層、該TFTと隣接する他のTFTの電極等と、電気的に実質分離(絶縁)状態にすること)技術の確立が必要である。TFTを用いてなる電子装置は、通常、2個以上のTFT、その他の電子素子、配線、電極等のさまざまな導電体部等から構成されており、素子分離が図られていないと、寄生電流やリーク電流が、隣接TFT間、半導体層とゲート電極間、半導体層と配線間等に流れ、その結果、ON/OFF比などが悪化し、例えば表示装置に応用する場合、画像表示品質を損なうことになる。
【0007】
素子分離の方法としては、インクジェット印刷法(特許文献4)、ディスペンス法、またはドロップキャスト法により半導体層をパターン成膜する方法がある。しかしながら、これらの印刷法は、インクが着弾したのちの塗れ広がりを抑制するために、印刷前に、下層表面を親疎水パターン化したり、隔壁を形成したりするなどの余分な工程が必要である。また、低分子系有機半導体はこれらの印刷法で成膜すると特性にばらつきが生ずることが指摘されている。
その他の方法として、半導体層をいったんチャネル領域より広く塗布し、しかるのち、光、熱、酸化剤、プラズマ、樹脂、溶媒等を使用し、チャネル領域外の半導体層を不活性化する方法が報告されている(特許文献5から12)。しかしながら、これらの方法は、通常、不活性化工程の前に、半導体層に対して保護層を広めに形成することが必須であり、工程が煩雑化しコスト増となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2012/115236号
【特許文献2】国際公開第2013/125599号
【特許文献3】国際公開第2010/058692号
【特許文献4】特開2012−043926号公報
【特許文献5】特表2008−519445号公報
【特許文献6】特開平08−018125号公報
【特許文献7】特開2014−013912号公報
【特許文献8】特開2012−222203号公報
【特許文献9】特開2008−277381号公報
【特許文献10】特開2008−270494号公報
【特許文献11】特開2006−179855号公報
【特許文献12】特開2012−256784号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Nature、2011年、475巻、364頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、より簡便な製造方法で、素子分離が実現されたTFTの提供を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は前記目的を達成すべく、鋭意検討を重ね、半導体層を形成する半導体材料を溶解または分散せしめことができる溶媒を必須成分とするインクを使用して、エラストマー製のブランケットまたはエラストマー製の版を用いた印刷法を用いて形成したオーバーコート層を有し、前記オーバーコート層がチャネル領域の外周縁の周囲で半導体層と接触する接触部を有する素子構成にて、素子分離されたTFTを簡便に提供できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明では、
1.ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極およびドレイン電極と、
チャネル領域より広い範囲に形成された半導体層と、
半導体層形成後に形成されるオーバーコート層と、を有する薄膜トランジスタの製造方法であって、
前記オーバーコート層は、前記チャネル領域の外周縁の周囲を取り囲むように形成され、かつ前記半導体層と接触する接触部を有し、
前記接触部では、前記半導体層が下層であり前記オーバーコート層が上層であるようにして積層されており、
前記オーバーコート層は、前記半導体層を形成する半導体材料を溶解または分散せしめことができる溶媒を必須成分とするインクを使用して、印刷法によって形成され、
前記印刷法は、エラストマー製のブランケットまたはエラストマー製の版を用いた印刷法であり、かつ、エラストマー製のブランケット上またはエラストマー製の版上のインクを被印刷物上に転写する工程を有する印刷法である、
ことを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法、
2.前記半導体層が、有機半導体材料を用いてなる半導体層である1.に記載の薄膜トランジスタの製造方法、
3.前記半導体層の形成方法が、真空蒸着法である1.または2.に記載の薄膜トランジスタの製造方法、
4.前記半導体層の形成方法が、湿式成膜法である1.または2.に記載の薄膜トランジスタの製造方法、
5.前記印刷法が凸版反転印刷法である1.から4.までのいずれか1つに記載の薄膜トランジスタの製造方法、
6.前記印刷法がマイクロコンタクト印刷法である1から4までのいずれか1つに記載の薄膜トランジスタの製造方法、
7.前記印刷法がグラビアオフセット印刷法である1.から4.までのいずれか1つに記載の薄膜トランジスタの製造方法、
を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明による製造方法を用いることで、素子分離されたTFTを簡便に提供することができる。その結果、ON/OFF比が高いTFTを簡便に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ボトムゲートボトムコンタクト(BGBC)型TFTの概念断面図である
【図2】ボトムゲートトップコンタクト(BGTC)型TFTの概念断面図である。
【図3】トップゲートボトムコンタクト(TGBC)型TFTの概念断面図である。
【図4】トップゲートトップコンタクト(TGTC)型TFTの概念断面図である。
【図5】ソース電極形状、ドレイン電極形状、およびチャネル領域形状の一例を示す概略平面図である。
【図6】チャネル領域と「接触部」の位置関係の一例を示す概略図である。
【図7】本発明の製造方法を適用して製造されたBGBC型TFTの概略図である。上図が平面図。下図が上図のa−b線断面図である。
【図8】本発明の製造方法を適用して製造されたBGTC型TFTの概略図である。上図が平面図。下図が上図のa−b線断面図である。
【図9】本発明の製造方法を適用して製造されたBGTC型TFTの概略図である。上図が平面図。下図が上図のa−b線断面図である。
【図10】本発明の製造方法を適用して製造されたBGTC型TFTの概略図である。上図が平面図。下図が上図のa−b線断面図である。
【図11】本発明の製造方法を適用して製造されたBGBC型TFTの概略図である。上図が平面図。下図が上図のa−b線断面図である。
【図12】4個のTFTからなる電子装置における、チャネル領域と「接触部」の位置関係および「接触部」の形状の一例を示す概略図である。
【図13】4個のTFTからなる電子装置における、チャネル領域と「接触部」の位置関係および「接触部」の形状の一例を示す概略図である。
【図14】本発明の製造方法を適用して製造されたBGBC型TFTの概略図である。上図が平面図。下図が上図のa−b線断面図である。
【図15】本発明の製造方法を適用して製造されたBGTC型TFTの概略図である。上図が平面図。下図が上図のa−b線断面図である。
【図16】本発明の製造方法を適用して製造されたBGBC型TFTの概略図である。上図が平面図。下図が上図のa−b線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明ついて、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明は、後記する形態に限定されるものではない。後記形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に含まれる。
(TFTの構成)
まず、本発明の製造方法の対象となるTFTの基本構成について説明する。
TFTは、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極および半導体層を必須要素として有してなる電子素子であり、各電極と各層の配置によってさまざまな素子構成が可能であり(例えば、「材料科学の基礎第6号有機トランジスタの基礎(アルドリッチ社)」に記載されている構成など)、本発明の製造方法で製造されるTFTの構成としては、公知慣用の構成であれば特に限定されるものではなく、例えば、ボトムゲートボトムコンタクト(BGBC)型(図1)、ボトムゲートトップコンタクト(BGTC)型(図2)、トップゲートボトムコンタクト(TGBC)型(図3)、トップゲートトップコンタクト(TGTC)型(図4)等をあげることができる。図中の符号について、1は基板、2はゲート電極、3はゲート絶縁層、4は半導体層、5はソース電極、6はドレイン電極である。
本発明のTFTの製造方法で製造されるTFTの構成要素としては、少なくとも、基板、ゲート電極、ゲート絶縁層、半導体層、ソース電極、およびドレイン電極を有していればよく、必要に応じて、その他の構成要素として、半導体保護層、封止層、遮光層、プライマリー層、平坦化層等を有してもよい。
【0016】
(基板)
基板材料としては、板状、シート状、フィルム状等に加工できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、
シリコン;
石英ガラス、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等の無機系ガラス;
セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルローストリアセテート(TAC)、ポリアリレート、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン(PES)、ボリカーボネート(PC)、ポリシクロオレフィン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の樹脂や高分子化合物;等をあげることができる。
中でも、TFTの生産性を向上させるという観点からは、ガラス板やシリコンウエハー等無機系基板が好ましく、フレキシブルなTFTを得るという観点からは、ガラス製シート、樹脂製シート、プラスチックフィルム等が好ましく、フレキシブル性に加え、軽量化を図り、可搬性および耐衝撃性を高めるという観点からは、樹脂製シートやプラスチックフィルムが好ましい。
【0017】
(電極)
ゲート電極、ソース電極、およびドレイン電極の材料としては、導電性材料であれば特に限定されるものではなく、無機系導電性材料、有機系導電性材料などをあげることができる。無機系導電性材料としては、例えば、リチウム、ベリリウム、炭素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、銀、スズ、アンチモン、ハフニウム、タングステン、白金、金、グラファイト、グラッシーカーボン、酸化スズ、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、ナトリウム−カリウム合金、モリブデン−タンタル合金、マグネシウム−銅混合物、マグネシウム−銀混合物、マグネシウム−アルミニウム混合物、マグネシウム−インジウム混合物、リチウム−アルミニウム混合物、銀−酸化銀混合物、アルミニウム−酸化アルミニウム混合物、ドープシリコン、カーボンペースト、銀ペースト、銀インク、ナノ銀、銅ペースト、銅インク、ナノ銅等をあげることができる。一方、有機系導電性材料としては、例えば、導電性ポリアニリン、導電性ポリアニリン誘導体、導電性ポリピロール、導電性ポリピロール誘導体、導電性ポリチオフェン、導電性ポリチオフェン誘導体、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体(PEDOT−PSS)等のドーピングで電気伝導率を向上させた公知慣用の導電性高分子;
テトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン錯体などの電荷移動錯体;等をあげることができる。
【0018】
なお、各電極は、1種類の導電性材料からなるものであってもよく、2種類以上の導電性材料からなるものであってもよい。2種類以上の場合、混合して用いてもよく、積層して用いてもよい。また、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極において、同一の導電性材料が用いられていてもよく、それぞれの電極において異なる導電性材料が用いられていてもよい。
【0019】
電極の厚みは、該電極を形成するために用いられる導電性材料の種類に応じて、所望の電気伝導率を達成できる範囲内で適宜決定されるものであり、通常、1nmから1μmの範囲であることが好ましく、10nmから200nmの範囲であることがより好ましく、20nmから100nmの範囲であることがさらに好ましい。
【0020】
ソース電極およびドレイン電極の形状は、互いに、実質一定の間隔(後記するチャネル長(L)に相当)を持って対抗するように形成されていれば、特に限定されるものではない。図5はその形状パターンについて、実施形態の一例を示すものである。なお、図5において、符号8が前記「一定の間隔」に相当する部分であり、この部分の長さが、チャネル長(L)に相当する。
【0021】
ソース電極およびドレイン電極間の長さ(前記「一定の間隔」部の長さ=チャネル長(L))は、通常、0.1μmから1mmの範囲であることが好ましく、0.5μmから200μmの範囲であることがより好ましく、1μmから100μmの範囲であることがさらに好ましい。
【0022】
ここで、チャネル領域について説明する。ソース電極およびドレイン電極は、前記したように、互いに、実質一定の間隔を持って対抗するように形成されており、この一定の間隔で隔てられた、両電極間に設けられた領域が、チャネル領域となる。したがって、チャネル領域は、ソース電極およびドレイン電極の形状に応じた形状となり、ソース電極とドレイン電極に一定の間隔で挟まれた形状であれば、多様な形状で形成することができる。図5において、縦線模様が描かれた領域がこれに当たり(図中、符号7で示した領域)、図5は実施形態の一例を示すものである。図5(a)および(b)は、直線で囲まれた(単純な矩形型の)チャネル領域を表し、図5(c)は、ソース電極とドレイン電極がくし型に配置され、平面上隔てられた複数の「単位チャネル領域」が組み合わさって一つのチャネル領域を形成する場合を表し、図5(d)は、曲線で囲まれたチャネル領域を表す。
【0023】
電極の形成方法としては、「材料科学の基礎第6号有機トランジスタの基礎(アルドリッチ社)」に記載されているような公知慣用の方法をあげることができ、所望のパターン形状および所望の厚みの電極を形成することができる方法であれば、特に限定されるものではなく、例えば、
まず、湿式成膜法または乾式成膜法を用いて、いったん、広い範囲に導電膜を形成し(または導電膜を基板上にべた(全面)形成し)、次に、該導電膜上にレジスト膜を、フォトリソグラフィまたは印刷法によりパターン形成し、しかるのち、該レジスト膜パターンをマスクとして利用して、エッチングする方法;
レジストを、フォトリソグラフィまたは印刷法によりパターン形成し、しかるのち、広い範囲に導電膜を形成し、レジスト膜を除去する方法(リフトオフ法);
湿式成膜法または乾式成膜法を用いて、いったん、広い範囲に導電膜を形成し(または導電膜を基板上にべた(全面)形成し)、次に、該導電膜をマスクを介さずにレーザーアブレーションなどでパターン化する方法(ドライエッチング);
マスクを介した乾式成膜法にて、ダイレクトにパターン化する方法;
導電膜形成用インクを材料にして、印刷法を用いてダイレクトにパターン化する方法;等をあげることができる。
【0024】
前記乾式成膜法としては、例えば、プラズマCVD法、熱CVD法、レーザーCVD法等の化学蒸着(CVD)法;真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着(PVD)法;等を、
前記湿式成膜法としては、例えば、電解メッキ法、浸漬メッキ法、無電解メッキ法、ゾルゲル法、有機金属分解(MOD)法、塗布法、印刷法等をあげることができる。
前記塗布法としては、ESD(Electro Spray Deposition)法、ESDUS(Evaporative Spray Deposition from Ultra−dilute Solution)法、エアドクターコート法、エアナイフコート法、エッジキャスト法、含浸コート法、キスコート法、キャストコート法、スクイズコート法、スピンコート法、スリットコート法、静電コート法、静電スプレイコート法、ダイコート法、超音波スプレイコート法、超臨界スプレー法、ディスペンス法、ディップコート法、ドクターブレードコート法、トランスファーロールコート法、ドロップキャスト法、バーコート法、ブレードコート法、リバースコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法等を、
前記印刷法としては、インクジェット印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、スクリーン印刷法、ディスペンス法、凸版印刷法、凸版反転印刷法、ドロップキャスト法、フレキソ印刷法、平版印刷法、マイクロコンタクト印刷法等をあげることができる。
【0025】
中でも、製造コスト低減の観点から、真空環境が不要となる、湿式成膜法を用いる方法が好まく、湿式成膜法の中、工程数が少ない、印刷法を用いる方法がより好ましい。
【0026】
(ゲート絶縁層)
ゲート絶縁層は、ゲート電極とソース電極、ゲート電極とドレイン電極、ゲート電極と半導体層を電気的に絶縁する機能を有するものである。したがって、ゲート絶縁層の材料としては、電気的絶縁性材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、シアノエチルプルラン、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルローストリアセテート(TAC)、テフロン(登録商標)、ポリアリレート、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ボリカーボネート(PC)、ポリシクロオレフィン、ポリスチレンおよびポリスチレン誘導体、ポリパラキシリレン誘導体(例えば、日本パリレン製パリレンシリーズ)、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、ポリフェニレンスルフィド、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリル樹脂、アモルファスフッ素樹脂(例えば、旭硝子製サイトップシリーズ)、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、電子線硬化性樹脂(例えば、電子線硬化性アクリル系樹脂や電子線硬化性メタクリル系樹脂)、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、メラミン樹脂、UV硬化性樹脂(例えば、UV硬化性アクリル系樹脂やUV硬化性メタクリル系樹脂)等の高分子化合物;
Al
2O
3、SiO
2、Ba
xSr
(1−x)TiO
3、BaTi
xZr
(1−x)O
3等の無機化合物;等をあげることができる。
【0027】
なお、ゲート絶縁層は、1種類の絶縁性材料からなるものであってもよく、2種類以上の絶縁性材料からなるものであってもよい。また、反応(重合)開始剤、架橋剤、架橋補助剤等を含んでいてもよい。
2種類以上の絶縁性材料からなる場合、各絶縁性材料は単純に混合されていてもよく、絶縁性材料間で共有結合が形成されていてもよい。さらに、反応(重合)開始剤、架橋剤、架橋補助剤を含んでいる場合、これらの材料と絶縁性材料は単純に混合されていてもよく、これらの材料間で共有結合が形成されていてもよい。
ゲート絶縁層の厚みは、該ゲート絶縁層を形成するために用いられる絶縁性材料の種類に応じて、所望の絶縁性を達成できる範囲内で適宜決定されるものであり、通常、10nmから5μmの範囲であることが好ましい。
【0028】
ゲート絶縁層の形成方法としては、ゲート電極とソース電極間、ゲート電極とドレイン電極間、およびゲート電極と半導体層間を電気的に絶縁できる膜や層を形成することができれば特に限定されるものではなく、例えば、公知慣用の乾式成膜法および湿式成膜法をあげることができる。
【0029】
乾式成膜法としては、例えば、プラズマCVD法、熱CVD法、レーザーCVD法等の化学蒸着(CVD)法;真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着(PVD)法;等を、
湿式成膜法としては、例えば、電解メッキ法、浸漬メッキ法、無電解メッキ法、ゾルゲル法、有機金属分解(MOD)法、塗布法、印刷法等をあげることができる。
前記塗布法としては、ESD(Electro Spray Deposition)法、ESDUS(Evaporative Spray Deposition from Ultra−dilute Solution)法、エアドクターコート法、エアナイフコート法、エッジキャスト法、含浸コート法、キスコート法、キャストコート法、スクイズコート法、スピンコート法、スリットコート法、静電コート法、静電スプレイコート法、ダイコート法、超音波スプレイコート法、超臨界スプレー法、ディスペンス法、ディップコート法、ドクターブレードコート法、トランスファーロールコート法、ドロップキャスト法、バーコート法、ブレードコート法、リバースコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法等を、
前記印刷法としては、インクジェット印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、スクリーン印刷法、ディスペンス法、凸版印刷法、凸版反転印刷法、ドロップキャスト法、フレキソ印刷法、平版印刷法、マイクロコンタクト印刷法等をあげることができる。
【0030】
中でも、製造コスト低減の観点からは、真空環境が不要となる、湿式成膜法を用いる方法が好ましい。
なお、パターン化が必要な場合、「電極」の項において説明した内容と同様の方法にてパターン化することができる。
【0031】
(半導体層)
半導体層の材料としては、半導体特性を有する半導体層を形成できる材料であれば特に限定されるものではなく、公知慣用の半導体材料を用いることができる。このような半導体材料としては、π共役系有機低分子化合物、π共役系有機高分子化合物、有機ケイ素化合物、有機色素材料、有機顔料材料、有機染料材料等をあげることができる。
【0032】
具体的には、「材料科学の基礎第1号有機EL素子の基礎及びその作製技術(アルドリッチ社)」、「材料科学の基礎第6号有機トランジスタの基礎(アルドリッチ社)」、「Material Materrs第2号有機エレクトロニクス(アルドリッチ社)」、「Material Materrs第4号有機および分子エレクトロニクス(アルドリッチ社)」等に記載されている有機半導体材料などをあげることができ、π共役系有機低分子化合物としては、例えば、テトラセンおよびその誘導体、ルブレン、クリセンおよびクリセン誘導体、ピレンおよびピレン誘導体、トリフェニレンおよびトリフェニレン誘導体、ペンタセンおよびペンタセン誘導体(例えば、6,13−ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセンなどのトリアルキルシリルエチニル置換ペンタセン)、ピセンおよびピセン誘導体、コロネンおよびコロネン誘導体、ベンゾジチオフェン誘導体、ナフトジチオフェン誘導体、アントラジチオフェン誘導体、ベンゾチエノベンゾチオフェン誘導体、ジナフトチオフェン誘導体、ジチエノベンゾジチオフェン誘導体、ジナフトチエノチオフェン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィラジン誘導体、オリゴチオフェン(例えば、4T、5T、6T)およびオリゴチオフェン誘導体、ペリレンテトラカルボン酸ジイミドおよびペリレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体、ペリレンテトラカルボン酸アンハイドライドおよびペリレンテトラカルボン酸アンハイドライド誘導体、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドおよびナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体、ナフタレンテトラカルボン酸アンハイドライドおよびナフタレンテトラカルボン酸アンハイドライド誘導体、ベンゾビス(チアジアゾール)誘導体、フラーレン誘導体等を、π共役系有機高分子化合物としては、例えば、ポリピロール、ポリ(N−置換ピロール)、ポリ(3−置換ピロール)、ポリ(3,4−二置換ピロール)等のポリピロール誘導体;ポリチオフェン、ポリ(3−置換チオフェン)、ポリ(3,4−二置換チオフェン)、ポリベンゾチオフェン等のポリチオフェン誘導体;ポリイソチアナフテンなどのポリイソチアナフテン誘導体;ポリチエニレンビニレンなどのポリチエニレンビニレン誘導体;ポリ(p−フェニレンビニレン)などのポリ(p−フェニレンビニレン)誘導体;ポリアニリン、ポリ(N−置換アニリン)などのポリアニリン誘導体;ポリアセチレン、ポリジアセチレンなどのポリアセチレン誘導体;ポリアズレンなどのポリアズレン誘導体;チオフェン、チオフェン誘導体、チエノチオフェン、チエノチオフェン誘導体、ジケトピロロピロール、ジケトピロロピロール誘導体、インジコ等を構成単位として有する共重合体;等をあげることができる。なお、半導体層は、1種類の半導体材料からなるものであってもよく、2種類以上の半導体材料からなるものであってもよい。また、公知慣用の高分子化合物を含んでいてもよい。このような高分子化合物としては、混合によって半導体層の半導体特性を著しく低下させるようなものでなければ特に限定されるものではなく、例えば、ポリスチレン、ポリスチレン誘導体(例えば、ポリ−α−メチルスチレン)、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルカルバゾール、ポリトリアリルアミン等をあげることができる。
【0033】
半導体層の厚みは、半導体層を形成するために用いられる半導体材料の種類に応じて、所望の半導体特性を達成できる範囲内で適宜決定されるものであり、通常、0.5nmから1μmの範囲であることが好ましく、5nmから500nmの範囲であることがより好ましく、10nmから300nmの範囲であることがさらに好ましい。
【0034】
半導体層の形成方法としては、チャネル領域を覆うように半導体層を形成することができる方法(すなわち、「チャネル領域を含む、チャネル領域より広い範囲」に半導体層を形成することができる方法)であれば特に限定されるものではなく、例えば、公知慣用の乾式成膜法および湿式成膜法をあげることができる。
【0035】
乾式成膜法としては、例えば、プラズマCVD法、熱CVD法、レーザーCVD法等の化学蒸着(CVD)法;真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着(PVD)法;等を、
湿式成膜法としては、例えば、電解メッキ法、浸漬メッキ法、無電解メッキ法、ゾルゲル法、有機金属分解(MOD)法、塗布法、印刷法等をあげることができる。
前記塗布法としては、ESD(Electro Spray Deposition)法、ESDUS(Evaporative Spray Deposition from Ultra−dilute Solution)法、エアドクターコート法、エアナイフコート法、エッジキャスト法、含浸コート法、キスコート法、キャストコート法、スクイズコート法、スピンコート法、スリットコート法、静電コート法、静電スプレイコート法、ダイコート法、超音波スプレイコート法、超臨界スプレー法、ディスペンス法、ディップコート法、ドクターブレードコート法、トランスファーロールコート法、ドロップキャスト法、バーコート法、ブレードコート法、リバースコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法等を、
前記印刷法としては、インクジェット印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、スクリーン印刷法、ディスペンス法、凸版印刷法、凸版反転印刷法、ドロップキャスト法、フレキソ印刷法、平版印刷法、マイクロコンタクト印刷法等をあげることができる。
【0036】
中でも、製造コスト低減の観点からは、真空環境が不要となる、湿式成膜法を用いる方法が好ましい。一方、均質な膜や層を得るという観点からは、乾式成膜法または塗布法を用いる方法が好ましく、中でも、広い範囲にわたって均質膜を簡便に形成することができる、真空蒸着法、スピンコート法、エッジキャスト法、ブレードコート法、ディップコート法を用いる方法がより好ましい。
【0037】
また、半導体層の形成に当たっては、半導体材料の結晶性を高め半導体特性の向上を図ることを目的に、必要に応じて、前記のようにして成膜したのちにアニーリングを実施してもよい。アニーリングの温度は50℃から200℃の範囲であることが好ましく、70℃から200℃の範囲であることがより好ましく、アニーリングの時間は10分から12時間の範囲であることが好ましく、1時間から10時間の範囲であることがより好ましく、30分から10時間の範囲であることがさらに好ましい。
【0038】
(オーバーコート層)
本発明の製造方法を用いてなるTFTは、オーバーコート層を有し、該オーバーコート層は、チャネル領域の外周縁の周囲で、チャネル領域を取り囲むように形成され、かつ、半導体層と接触する接触部を有し、該接触部では、半導体層が下層でありオーバーコート層が上層であるようにして積層している。また、該オーバーコート層は、半導体層形成工程よりあとの工程により形成される。
まず、前記接触部について平面図(図6)を参照しながら説明する。接触部は、オーバーコート層が、チャネル領域の外周縁の周囲で前記半導体層と接触する部分である。「チャネル領域の外周縁」は、図6における、符号12(点線)に相当し、「チャネル領域の外周縁の周囲」は、チャネル領域(符合7)を取り囲む部分、すなわち、符号12(点線)の外側の領域に相当する。具体的には、接触部(符合10)は、図6(a)から(d)に示すように、チャネル領域の外周縁の外方周囲を取り囲んでいてもよく、または、図6(e)に示すように、チャネル領域の外周縁に接して取り囲んでいてもよい。
接触部のチャネル領域側の縁(符合11)は、チャネル領域を取り囲む形状であるため、閉じた直線または曲線であり、例えば、図6(a)、(c)から(e)に示すように、直線で構成される矩形型であってもよいし、図6(b)に示すように、曲線で構成されていてもよい。接触部の平面図上の様態としては、チャネル領域(符合7)の外周縁(符合12)の外方周囲を取り囲んでいれば特に限定されるものではなく、例えば、図6(a)、(c)から(e)のように直線(符合11の一点鎖線)で取り囲んでもよいし、図6(b)のように曲線(符合11の一点鎖線)で取り囲んでもよい。
なお、図6(a)、(b)、(e)のチャネル領域は、図5の(a)、(b)に相当し、図6(c)のチャネル領域は、図5(c)様の複合チャネル領域に相当し、図6(d)のチャネル領域は、図5(d)のチャネル領域に相当する。
前記したとおり、TFTを用いた電子装置は、通常、2個以上のTFTで構成される。図12および図13は、4個のTFTからなる電子装置における、チャネル領域と「接触部」の位置関係および「接触部」の形状の一例を示す概略図である。図中の符合7a、7b、7c、7dが4個のTFTそれぞれのチャネル領域を示している。接触部(符号10)は、図12および図13に示したように、各TFTそれぞれのチャネル領域の外周縁(符号12)を取り囲むように形成されていればよく、幅を有する線状に形成されていてもよく(図13(a))、接触部の縁(符号11)に対して、チャネル領域の外側の全領域に形成されていてもよく(図12(a)、図13(b))、接触部領域内に、接触部が形成されていない領域が形成されていてもよい(図12(b))。
【0039】
次に、オーバーコート層について説明する。オーバーコート層は、半導体層形成工程より後の工程で、後記する方法で形成され、チャネル領域の外周縁の周囲で半導体層と接触する前記接触部を有し、該接触部では、半導体層が下層でありオーバーコート層が上層であるようにして積層している、層であれば特に限定されるものではない。次に、その具体例を、図7から図11を参照しながら説明するが、これらの形態は、例示であり、本発明のオーバーコート層を限定するものではない。
図7は、本発明の製造方法を、BGBC型TFTに適用した図であり、上図が平面図、下図が上図のa−b線断面図である。オーバーコート層(符合15)は、チャネル領域の外周縁(符合12)の周囲で、半導体層(符合4)と接触部(符合10)を介して接触し、接触部においてオーバーコート層が半導体層に上層になっている。
図8は、本発明の製造方法を、BGTC型TFTに適用した図であり、上図が平面図、下図が上図のa−b線断面図である。オーバーコート層(符合15)は、チャネル領域の外周縁(符合12)の周囲で、半導体層(符合4)と接触部(符合10)を介して接触し、接触部においてオーバーコート層が半導体層に上層になっている。
図9は、本発明の製造方法を、BGTC型TFTに適用した図であり、上図が平面図、下図が上図のa−b線断面図である。オーバーコート層(符合15)は、チャネル領域の外周縁(符合12)の周囲で、半導体層(符合4)と接触部(符合10)を介して接触し、接触部においてオーバーコート層が半導体層に上層になっている。図8のTFTとの相違は、オーバーコート層がソース電極およびドレイン電極の形成後に形成されて、ソース電極およびドレイン電極の上層となる部分を有する点にある。
図10は、本発明の製造方法を、BGTC型TFTに適用した図であり、上図が平面図、下図が上図のa−b線断面図である。オーバーコート層(符合15)は、チャネル領域の外周縁(符合12)の周囲で、半導体層(符合4)と接触部(符合10)を介して接触し、接触部においてオーバーコート層が半導体層に上層になっている。図9のTFTとの相違は、オーバーコート層がソース電極およびドレイン電極の形成前に形成され、ソース電極およびドレイン電極がオーバーコート層の上層となる部分を有する点にある。
図11は、本発明の製造方法を、BGBC型TFTに適用した図であり、上図が平面図、下図が上図のa−b線断面図である。オーバーコート層(符合15)は、チャネル領域の外周縁の周囲で、半導体層(符合4)と接触部(符合10)を介して接触し、接触部においてオーバーコート層が半導体層に上層になっている。図7のTFTとの相違は、オーバーコート層が半導体層形成後に形成された半導体保護層の形成後に形成され、したがって、その一部が半導体保護層の上層となる部分を有する点にある。
次に、オーバーコート層の形成方法について説明する。オーバーコート層は、半導体層を形成する半導体材料を溶解または分散せしめことができる溶媒を必須成分とするインクを使用して、エラストマー製のブランケットまたはエラストマー製の版を用いた印刷法により、形成されるものである。
【0040】
まず、前記インクについて説明する(以下、本インクと略する。)。本インクは、半導体層を形成する半導体材料を溶解または分散せしめことができる溶媒を必須成分として含有しているインクである。
ここで、「半導体材料を溶解または分散せしめことができる」溶媒について説明する。該溶媒は、「概溶媒に、半導体層を形成する半導体材料を濃度が10
−8mol/L以上となるように混合して、概溶媒と半導体材料からなる混合液を作製し、しかるのち、この混合液をサンプルとして用いて、市販の紫外可視吸収スペクトル分光光度計(例えば、日立ハイテクサイエンス製分光光度計U−3900、日本分光製V−700シリーズ、島津製作所製UV−2600/2700等)にて、該半導体材料の吸収スペクトルを検出できる」溶媒である。
【0041】
このような溶媒としては、半導体材料の種類に応じて、適宜選択されるものであり、例えば、エトキシエチルプロピオネート(EEP)、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、酢酸ノルマルプロピル、プロピレンカーボネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)、3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテート等のエステル系溶媒;
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、1,3−ブタンジオール、1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、工業用高級アルコール(例えば、三菱化学製ダイヤドールシリーズ)等のアルコール系溶媒;
ペンタン、n−ヘキサン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−オクタン、n−デカン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;
ベンゼン、トルエン、クメン、n−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、n−ペンチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、p−シメン、1,4−ジエチルベンゼン、メシチレン、1,3,5−トリエチルベンゼン、アニソール、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、2,5−ジメチルアニソール、1,3−ジメトキシベンゼン、3,5−ジメトキシトルエン、2,4−ジメチルアニソール、フェネトール、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、テトラリン、1,5−ジメチルテトラリン、1−メチルナフタレン、工業用芳香族系溶媒(例えば、エクソンモービル製ソルベッソ100、ソルベッソ150など)等の芳香族系溶媒;
【0042】
テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル(モノグライム)、ジグライム、トリグライム、エチレングリコールモノメチルエーテル(セロソルブ)、エチルセロソルブ、プロピオセロソルブ、ブチロセロソルブ、フェニルセロソルブ、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ベンジルエチルエーテル、エチルフェニルエーテル、ジフェニルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテルベンゾ二トリルプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル等のエーテル系溶剤;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ブチロフェノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;
N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の非プロトン性極性溶媒;等をあげることできる。
【0043】
なお、本インクに用いられる溶媒は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。また、本インクは前記「半導体材料を溶解または分散せしめことができる溶媒」を含んでいれば、この要件から外れる溶媒を含んでいてもよい。
【0044】
「半導体材料を溶解または分散せしめことができる溶媒」のインク中の濃度は、前記「発明の効果」を達成できる範囲内であれば特に限定されるものではなく、通常、0.01から99.00質量%の範囲であることが好ましい。
【0045】
本インクは、その他の成分として、高分子化合物や樹脂、体質成分、界面活性剤、離型剤等を含んでいてもよい。これらの成分は、本インクに、印刷適性および造膜性(膜形成能)を付与するために、必要に応じて加えられる。
【0046】
高分子化合物や樹脂としては、公知慣用の絶縁性高分子化合物や絶縁性樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、シアノエチルプルラン、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルローストリアセテート(TAC)、テフロン(登録商標)、ポリアリレート、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ボリカーボネート(PC)、ポリシクロオレフィン、ポリスチレンおよびポリスチレン誘導体、ポリパラキシリレン誘導体(例えば、日本パリレン製パリレンシリーズ)、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、ポリフェニレンスルフィド、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリル樹脂、アモルファスフッ素樹脂(例えば、旭硝子製サイトップシリーズ)、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、電子線硬化性樹脂(例えば、電子線硬化性アクリル系樹脂や電子線硬化性メタクリル系樹脂)、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、メラミン樹脂、UV硬化性樹脂(例えば、UV硬化性アクリル系樹脂やUV硬化性メタクリル系樹脂)等の高分子化合物をあげることができる。
なお、本インクに用いられる高分子化合物や樹脂は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
高分子化合物や樹脂のインク中の濃度は、前記「発明の効果」を達成できる範囲内であれば特に限定されるものではなく、通常、1から10質量%の範囲であることが好ましく、3から7質量%の範囲であることがより好ましい。
【0047】
体質成分としては、公知慣用の電気的絶縁性の無機系微粒子や公知慣用の電気的絶縁性の顔料であれば特に限定されるものではなく、例えば、エボニックジャパン製アエロジルシリーズ、富士シリシア化学製シリカ材料(サイリシア、サイロホービック、サイロピュート、サイロページ、サイロピュア、サイロスフェア、サイロマスク、シルウェル、フジバルーン等)、日産化学工業製コロイド材料(PMA−ST、IPA−STなど)、ビックケミー製コロイド材料(NANOBIC3600シリーズ、NANOBIC3800シリーズなど)等の無機系微粒子;
DIC製顔料材料(EXCEDIC BLUE0565、EXCEDIC RED0759、EXCEDIC YELLOW 0599、EXCEDIC GREEN0358、EXCEDIC YELLOW0648等)等の顔料;等をあげることができる。なお、本インクに用いられる体質成分は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
体質成分のインク中の濃度は、前記「発明の効果」を達成できる範囲内であれば特に限定されるものではなく、通常、有効成分で0から20質量%の範囲であることが好ましい。
【0048】
界面活性剤としては、公知慣用の電気的絶縁性の界面活性剤であれば特に限定されるものではなく、例えば、炭化水素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等をあげることができる。中でも、直鎖状のパーフルオロアルキル基を有し、鎖長がC6以上のフッ素系界面活性剤(例えば、DIC製メガファックシリーズ)が好ましい。なお、本インクに用いられる界面活性剤は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
界面活性剤のインク中の濃度は、前記「発明の効果」を達成できる範囲内であれば特に限定されるものではなく、通常、有効成分で0.01から5.00質量%の範囲であることが好ましく、有効成分で0.05から1.0質量%の範囲であることがより好ましい。
【0049】
離型剤としては、公知慣用の電気的絶縁性のシリコーン系化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、ジメチルシリコーンオイル、ジメチルシリコーンゴム、シリコーンレジン、有機変性シリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、長鎖アルキル変性シリコーンオイル、フッ素化合物とシリコーンポリマーの混合物、フッ素変性シリコーン等をあげることができる。中でも、共栄社化学製グラノールシリーズ、信越化学工業製KF−96Lシリーズが、離型性や前記樹脂との相溶性の観点から好ましい。なお、本インクに用いられる離型剤は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。また、離型剤のインク中の濃度は、前記「発明の効果」を達成できる範囲内であれば特に限定されるものではなく、通常、有効成分で0.0から5.0質量%の範囲であることが好ましく、有効成分で0.0から3.0質量%の範囲であることがより好ましい。
【0050】
また、本インクは、その他に、任意の成分として、レベリング剤、分散剤、消泡剤等を適宜含むことができる。
【0051】
本インクは、少なくとも「半導体材料を溶解または分散せしめことができる溶媒」を含んでいればよいが、印刷適性および造膜性を向上させる観点から、「半導体材料を溶解または分散せしめことができる溶媒」、樹脂、および界面活性剤からなることが好ましく、「半導体材料を溶解または分散せしめことができる溶媒」、樹脂、界面活性剤、離型剤、および体質成分からなることが、より好ましい。本インクにおける、構成成分の混合比は、前記「発明の効果」を達成できる範囲内で適宜決定される。
【0052】
本インクを製造するに当たっての、構成成分の混合方法としては、均質なインクを与えることができれば特に限定されるものではなく、例えば、加熱処理、撹拌処理、分散攪拌処理、分散均一化処理、超音波照射処理、超音波攪拌処理、超音波均一化処理、超音波分散処理、レーザー照射処理等の公知慣用の分散法、混合法、攪拌法等をあげることができる。
【0053】
次に、オーバーコート層を形成するための印刷法(以下、本印刷法と略する。)について説明する。本印刷法は、本インクを使用して、エラストマー製のブランケットまたはエラストマー製の版を用いる印刷法であって、かつ、エラストマー製のブランケット上またはエラストマー製の版上のインクを被印刷物上に転写する工程を有する印刷法ある。
【0054】
本印刷法としては、エラストマー製のブランケットまたはエラストマー製の版を用いる印刷法であって、かつ、エラストマー製のブランケット上またはエラストマー製の版上のインクを被印刷物上に転写する工程を有する印刷法であれば特に限定されるものではない。
この中で、エラストマー性のブランケットを用いた印刷法としては、凸版反転印刷法、グラビアオフセット印刷法などを、エラストマー製の版を用いた印刷方法としては、マイクロコンタクト印刷(μCP)法をあげることができる。
凸版反転印刷法(例えば「Advanced Electronic Materials、2015年、1巻、1500145頁」に詳細が記載されている。)とは、エラストマーからなる平滑な離型性表面を有するブランケットにインクを塗布し、このインク塗布面に抜き版となる凸版を押圧し、該凸版に接触するインク部分をブランケット表面から除去し、残存するブランケット上のインクを基板などの被印刷物に押圧することで、残存パターン(前記凸版パターンのネガパターン)を転写する方法である。
グラビアオフセット印刷法とは、凹版にインクを充てんし、該充てんインクをエラストマーからなるブランケットへ移行させたのち、このブランケット上のインクを基板などの被印刷物に押圧することで、凹版パターンを転写する方法である。
マイクロコンタクト印刷法(例えば、「日本印刷学会誌、2009年、46巻、2頁」に詳細が記載されている。)とは、エラストマーからなる凸版に、インクを塗布し、このエラストマー製の凸版を基板などの被印刷物に押圧することで、凸版上のインク(凸版パターン)を転写する方法である。
エラストマーとしては、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレン共重合体ゴム、エピクロルヒドリンエチレンオキシド共重合ゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエピクロルヒドリンゴム、ブタジエンゴム等をあげることができ、中でも、シリコーンゴムが好ましい。
シリコーンゴムの材料としては、例えば、ポリジメチルシロキサンおよびその共重合体、フッ素基含有ポリジメチルシロキサンおよびその共重合体、ポリビニルメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン等をあげることができる。
前記印刷法の中でも、オーバーコート層の印刷に微細形状が必要な場合には、微細印刷に優れた、凸版反転印刷法およびマイクロコンタクト印刷法が好ましい。
【0055】
オーバーコート層形成工程は、時系列上、前記接触部が形成されるように、半導体層形成よりのちの工程であればよく、半導体層形成の次の工程でもよく(図7を参照)、半導体層を形成したのち電極を形成したあとの工程でもよく(図9を参照)、半導体層を形成したのち半導体保護層を形成したあとの工程でもよく(図11を参照)、半導体層を形成したのち電極を形成し、さらに、半導体保護層を形成したあとの工程であってもよい。
【0056】
次に、本発明における素子分離の機構について、図7から図11を参照しながら説明する。
図7から図11において、上図が平面図、下図が上図のa−b線断面図である。オーバーコート層(符合15)は、チャネル領域の外周縁(符合12)の周囲で、半導体層(符合4)と接触部(符合10)を介して接触し、接触部においてオーバーコート層が半導体層に上層になっている。
【0057】
したがって、接触部(符号10)直下の半導体層内の領域(符号14)は、上層のオーバーコート層から、本インクが含有する、半導体材料を溶解または分散させしめる溶媒が浸透(作用)し、その結果、半導体層内の、符合14で示す領域の半導体特性が悪化する。悪化の機構は、必ずしも明確ではないが、符合14で示す領域において、該溶媒が作用することで、半導体層を構成する半導体材料の結晶系が変質する、半導体層を構成する半導体材料の結晶サイズが小さくなる、半導体層のモルフォロジーが変質する、半導体層が不連続化する、等の現象が生じ、こういったことに起因すると考えられる。
【0058】
このようにして生じた半導体特性が悪化した領域は、接触部直下の領域であり、図7から図11の上図のとおり、チャネル領域を取り囲むようにして生ずる。したがって、チャネル領域は、他の領域と実質電気的に絶縁された状態となり、素子分離の効果が得られることになる。
【0059】
ここで、オーバーコート層を公知慣用の印刷法で印刷した場合と本発明の「エラストマー製のブランケットまたはエラストマー製の版を介した」印刷法で印刷した場合の相違点を説明する。
公知慣用の印刷法でオーバーコート層を印刷した場合、オーバーコート層中の溶媒が接触部を介してチャネル領域まで浸透し、チャネル領域の半導体特性をも悪化せしめる可能性がある(例えば、後記比較例4)。
一方、本発明によれば、本インクが、エラストマー製のブランケットまたはエラストマー製の版を介して転写印刷される過程で、本インクは、いったん、エラストマー製のブランケットまたはエラストマー製の版上にてインク液膜となり、その際、該インク液膜中の溶媒が、部分的にエラストマーに吸収されるため、該インク液膜は半乾きとなったのち転写印刷される。したがって、本発明の特徴である「エラストマー製のブランケットまたはエラストマー製の版を介しての」印刷法の利用は、印刷直後のオーバーコート層中の溶媒量が、公知慣用の他の印刷法を利用した場合と比較して極端に少ない。このため、前記したような、オーバーコート層の印刷でチャネル領域の半導体特性が悪化するようなことが、本発明では起きないことになる。
【0060】
なお、符号14で表される「半導体特性が悪化した領域」を、半導体層内に、より効率的に形成させるために、本工程を実施後、加熱処理を実施してもよい。加熱温度は、素子分離の効果を阻害しない範囲内であれば特に限定されるものではなく、30から200℃の範囲であることが好ましく、40から150℃の範囲であることがより好ましい。
【0061】
(半導体保護層)
本発明の製造法で製造されるTFTは、半導体層の劣化などを防ぐことを目的に、半導体層チャネル領域を覆うように、半導体保護層を有してもよい(例えば、図11、図16)。
半導体保護層の材料としては、半導体層の電気特性を著しく低下させるものでなければ特に限定されるものではなく、例えば、シアノエチルプルラン、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルローストリアセテート(TAC)、テフロン(登録商標)、ポリアリレート、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ボリカーボネート(PC)、ポリシクロオレフィン、ポリスチレンおよびポリスチレン誘導体、ポリパラキシリレン誘導体(例えば、日本パリレン製パリレンシリーズ)、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、ポリフェニレンスルフィド、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリル樹脂、アモルファスフッ素樹脂(例えば、旭硝子製サイトップシリーズ)、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、電子線硬化性樹脂(例えば、電子線硬化性アクリル系樹脂や電子線硬化性メタクリル系樹脂)、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、メラミン樹脂、UV硬化性樹脂(例えば、UV硬化性アクリル系樹脂やUV硬化性メタクリル系樹脂)等の高分子化合物;
Al
2O
3、SiO
2、Ba
xSr
(1−x)TiO
3、BaTi
xZr
(1−x)O
3等の無機化合物;等をあげることができる。
中でも、テフロン(登録商標)、ポリパラキシリレン誘導体、ポリビニルアルコール、アモルファスフッ素樹脂、フッ素樹脂、フッ素原子を有する置換基を有するポリイミド、フッ素原子を有する置換基を有するアクリル樹脂が好ましい。
【0062】
なお、半導体保護層は、1種類の材料からなるものであってもよく、2種類以上の材料からなるものであってもよい。また、反応(重合)開始剤、架橋剤、架橋補助剤等を含んでいてもよい。
2種類以上の材料からなる場合、各材料は単純に混合されていてもよく、材料間で共有結合が形成されていてもよい。さらに、反応(重合)開始剤、架橋剤、架橋補助剤を含んでいる場合、これらの材料と該材料は単純に混合されていてもよく、これらの材料間で共有結合が形成されていてもよい。
半導体保護層の厚みは、用いられる絶縁性材料の種類に応じて、所望の性能を達成できる範囲内で適宜決定されるものであり、通常、10nmから5μmの範囲であることが好ましい。
【0063】
半導体保護層の形成方法としては、所望の性能を達成することができれば特に限定されるものではなく、例えば、公知慣用の乾式成膜法および湿式成膜法をあげることができる。
【0064】
乾式成膜法としては、例えば、プラズマCVD法、熱CVD法、レーザーCVD法等の化学蒸着(CVD)法;真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着(PVD)法;等を、
湿式成膜法としては、例えば、電解メッキ法、浸漬メッキ法、無電解メッキ法、ゾルゲル法、有機金属分解(MOD)法、塗布法、印刷法等をあげることができる。
前記塗布法としては、ESD(Electro Spray Deposition)法、ESDUS(Evaporative Spray Deposition from Ultra−dilute Solution)法、エアドクターコート法、エアナイフコート法、エッジキャスト法、含浸コート法、キスコート法、キャストコート法、スクイズコート法、スピンコート法、スリットコート法、静電コート法、静電スプレイコート法、ダイコート法、超音波スプレイコート法、超臨界スプレー法、ディスペンス法、ディップコート法、ドクターブレードコート法、トランスファーロールコート法、ドロップキャスト法、バーコート法、ブレードコート法、リバースコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法等を、
前記印刷法としては、インクジェット印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、スクリーン印刷法、ディスペンス法、凸版印刷法、凸版反転印刷法、ドロップキャスト法、フレキソ印刷法、平版印刷法、マイクロコンタクト印刷法等をあげることができる。
【0065】
なお、パターン化が必要な場合、「電極」の項において説明した内容と同様の方法にてパターン化することができる。
【実施例】
【0066】
以下、本発明について、実施例により、詳細に説明する。なお、本発明は、後記する実施例に限定されるものではない。後記実施例は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0067】
(実施例1)
本発明の製造方法を、基板中に10個のBGBC型TFTが碁盤目状に配置された集積TFT(電子装置)の製造に適用する場合について、図14を用いて、説明する。なお、図14は、碁盤目状に配置した10個のTFTのうち隣接する4個のTFTを抜粋した概略図である。
【0068】
〈ゲート電極、ゲート絶縁層、ならびにソースおよびドレイン電極形成工程〉
ガラス基板(符合1)上に、金属マスクを用いた真空蒸着法にて、アルミニウムを30nmの厚さで成膜して、ゲート電極を形成した(符合2)。ここに、パリレン蒸着装置(日本パリレン製ラボコーターPDS2010)を用いて、ジクロロ−ジパラキシリレン(日本パリレン製DPX−C)を原料にして、ポリパラクロロキシリレン(パリレンC)よりなるゲート絶縁層を厚さ500nmで成膜し(符合3)、さらに、金属マスクを用いた真空蒸着法によって、金薄膜からなるソースおよびドレイン電極を厚さ40nmでパターン形成した(符合5と符合6)。なお、ソース電極−ドレイン電極間間隔(チャネル長(L))(符合8)を75μm、チャネル幅(W)を5mmとした。次に、このようにして得られた基板を、ペンタフルオロチオフェノールの0.1質量%エタノール溶液に1時間浸漬したのち、窒素ブローで乾燥した。
【0069】
〈半導体層形成工程〉
前記ソースおよびドレイン電極を覆うように前記ゲート絶縁層上に、昇華精製を3回繰り返したペンタセンを原料に用いて、真空蒸着法によって、ペンタセンよりなる半導体層を、厚さ30nmとなるように、べた(全面)成膜した(符合4)。
【0070】
〈オーバーコート層形成工程〉
本工程で用いるインクを、「半導体材料を溶解または分散せしめことができる溶媒」としてp−キシレン(0.32g)、樹脂として丸善石油化学製マルカリンカーM(0.23g)、体質成分として日産化学工業製PMA−ST(3.76g)、離型剤として信越化学工業製シリコーンオイルKF96L−1cs(0.23g)、界面活性剤としてDIC製TF−1303(0.12g)、その他の溶媒としてプロピレンカーボネート(0.60g)、その他の溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(2.41g)、その他の溶媒としてイソプロピルアセテート(1.97g)を混合することで調製した。次に、このようにして調整したインクを、反転印刷法によって、チャネル領域が非画像部(オーバーコート層が印刷されない部分)となるように前記半導体層上に印刷し(符号15)、該インクよりなるオーバーコート層(符号15)を、厚さ500nmとなるように形成した。なお、オーバーコート層のパターン形状につき、非画像部(オーバーコート層が印刷されない部分)は一辺の長さが10mmの矩形形状であり(すなわち、画像部(オーバーコート層が印刷された部分)が、チャネル領域の外周縁の周囲を、一辺の長さ(符号17)が10mmとなる矩形状に取り囲み)、一方、各非画像部間の間隔(符号18)は10mmである。
【0071】
〈半導体特性(移動度およびON/OFF比)ならびに移動度のばらつき評価〉
このようにして得られたTFTについて、移動度は、ソース電極を接地し、ドレイン電極に−80Vを印加した状態で、デジタルマルチメーター(ケースレー製SMU237)を用いて、ゲート電極に電圧(V
g)をスイープ印加(0から−80V)しながら、ドレイン電極に流れる電流(I
d)を測定し、√I
d−V
gの傾きから、式1を用いて求めた。単位はcm
2/Vsである。
I
d=(W/2L)・C・μ・(V
g−V
T)
2 ・・・(式1)
(式中、Wはチャネル幅、Lはチャネル長、μは移動度、Cはゲート絶縁層の単位面積当たりの電気容量、V
Tは閾値電圧を表す。)
【0072】
一方、ON/OFF比は、測定したI
dについて、最大値/最小値で求めた。
【0073】
移動度のばらつきは、前記10個のTFTの移動度の平均値および標準偏差より、変動係数(C.V.値)を、式2を用いて求め、これにより評価した。
(C.V.値)=(作製した10個のTFTの移動度の標準偏差)/(作製した10個のTFTの移動度の平均値)・・・(式2)
結果を表1に示す。
【0074】
(実施例2)
実施例1と同様にして10個のTFTよりなる集積TFTを製造したのち、該集積TFTを、窒素雰囲気下にて、100℃で10分間加熱した。半導体特性および移動度のばらつき評価は実施例1と同様にして実施した。結果を表1に示す。
【0075】
(実施例3)
〈ゲート電極、ゲート絶縁層、ならびにソースおよびドレイン電極形成工程〉
実施例1と同様にして、ゲート電極、ゲート絶縁層、ならびにソースおよびドレイン電極を形成した。
【0076】
〈半導体層形成工程〉
前記ソースおよびドレイン電極を覆うように前記ゲート絶縁層上に、2,7−ジオクチル[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェンのp−キシレン0.5質量%溶液を用いて、スピンコート法(1000rpm、30秒)によって、2,7−ジオクチル[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェンよりなる半導体層を厚さ30nmとなるように、べた(全面)成膜した。
【0077】
〈オーバーコート層形成工程〉
実施例1と同様にして本工程を実施した。
〈半導体特性(移動度およびON/OFF比)ならびに移動度のばらつき評価〉
実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0078】
(実施例4)
本発明の製造方法を、基板中に10個のBGTC型TFTが碁盤目状に配置された集積TFT(電子装置)の製造に適用する場合について、図15を用いて、説明する。なお、図15は、碁盤目状に配置した10個のTFTのうち隣接する2個のTFTを抜粋した概略図である。
【0079】
〈ゲート電極およびゲート絶縁層形成工程〉
ガラス基板(符合1)上に金属マスクを用いてアルミニウムを真空蒸着法にて約30nmの厚さで成膜して、ゲート電極を形成した(符合2)。ここに、パリレン蒸着装置(日本パリレン製ラボコーターPDS2010)を用いて、ジクロロ−ジパラキシリレン(日本パリレン製DPX−C)を原料にして、ポリパラクロロキシリレン(パリレンC)よりなるゲート絶縁層を厚さ500nmで成膜した(符合3)。
【0080】
〈半導体層ならびにソースおよびドレイン電極形成工程〉
前記ゲート絶縁層上に、2,7−ジオクチル[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェンのp−キシレン0.5質量%溶液を用いて、スピンコート法(1000rpm、30秒)によって、2,7−ジオクチル[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェンよりなる半導体層を厚さ30nmとなるようにべた(全面)成膜した(符合4)。次に、金属マスクを用いた真空蒸着法によって、金薄膜からなるソースおよびドレイン電極を厚さ40nmでパターン形成した(符合5と符合6)。ここで、ソース電極−ドレイン電極間間隔(チャネル長(L))(符合8)を75μm、チャネル幅(W)(符合9)を5mmとした。
【0081】
〈オーバーコート層形成工程〉
実施例1と同様にして本工程を実施した。
〈半導体特性(移動度およびON/OFF比)ならびに移動度のばらつき評価〉
実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例3において、オーバーコート層を、グラビアオフセット印刷法で形成した以外は、実施例3と同様にして、TFTを製造した。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例3において、オーバーコート層を、マイクロコンタクト印刷法で形成した以外は、実施例3と同様にして、TFTを製造した。結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1において、オーバーコート層形成用インクに、「国際公開第2014/125990号の実施例6に記載の絶縁インキ(F−1)に対して、p−キシレンを5.0質量%加えることで調整したインク」を用いた以外は実施例1と同様にして、TFTを製造した。結果を表1に示す。
(実施例8)
本発明の製造方法を、基板中に10個の「半導体保護層を有するBGBC型TFT」を実施例1と同様の配置で有する集積TFT(電子装置)の製造に適用する場合について、図16を用いて、説明する。なお、図16は、前記10個のTFTのうち隣接する2個のTFTを抜粋した概略図である。
〈ゲート電極、ゲート絶縁層、ならびにソースおよびドレイン電極形成工程〉
実施例1と同様にして、ゲート電極、ゲート絶縁層、ならびにソースおよびドレイン電極を形成した。
【0082】
〈半導体層および半導体保護層形成工程〉
前記ソースおよびドレイン電極を覆うように前記ゲート絶縁層上に、6,13−ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン(以下、TIPS−ペンタセンと略することがある。)のトルエン0.5質量%溶液を用いて、スピンコート法(2500rpm、30秒)によって、TIPS−ペンタセンよりなる半導体層を厚さ30nmとなるように、べた(全面)成膜した(符合4)。しかるのち、アモルファスフッ素樹脂(旭硝子製サイトップシリーズCTL809M)(5.00g)およびフッ素系溶媒(旭硝子製CT−SOLV180)(0.50g)からなる配合物を用いて、インクジェット印刷法によって、アモルファスフッ素樹脂よりなる半導体保護層を、チャネル領域を覆うようにパターン成膜した(符号16)。
【0083】
〈オーバーコート層形成工程〉
実施例1と同様にして本工程を実施した。
〈半導体特性(移動度およびON/OFF比)ならびに移動度のばらつき評価〉
実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0084】
(比較例1)
オーバーコート層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、半導体特性(移動度およびON/OFF比)ならびに移動度のばらつき評価を実施した。
(比較例2)
オーバーコート層を形成しなかった以外は、実施例3と同様にして、半導体特性(移動度およびON/OFF比)ならびに移動度のばらつき評価を実施した。
(比較例3)
〈ゲート電極、ゲート絶縁層、ならびにソースおよびドレイン電極形成工程〉
実施例1と同様にして、ゲート電極、ゲート絶縁層、ならびにソースおよびドレイン電極を形成した。
〈半導体層形成工程〉
10対ある前記ソースおよびドレイン電極それぞれを覆うように(すなわち、10個あるチャネル領域それぞれを覆うように)、前記ゲート絶縁層上に、2,7−ジオクチル[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェンのp−キシレン0.5質量%溶液を、それぞれのチャネル領域について0.05μLドロップキャストした。
【0085】
〈半導体特性(移動度およびON/OFF比)ならびに移動度のばらつき評価〉
実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
(比較例4)
〈ゲート電極、ゲート絶縁層、ソースおよびドレイン電極、半導体層、ならびに半導体保護層形成工程〉
実施例8と同様にして、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソースおよびドレイン電極、半導体層、半導体保護層を形成した。
〈オーバーコート層形成工程〉
実施例1で製造したオーバーコート層形成用インクを用いて、スピンコート法(2500rpm、30秒)によって、オーバーコート層の形成を試みた。
〈半導体特性(移動度およびON/OFF比)ならびに移動度のばらつき評価〉
実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0086】
(表1)
【0087】
表1に示したように、本発明の製造方法によって製造したTFTは、ON/OFF比が大きく、移動度のばらつきが小さい。一方、オーバーコート層を形成しなかった比較例1および比較例2はON/OFF比が小さい。これは、素子分離がなされていないためである。また、半導体層をドロップキャストによって形成した比較例3は、半導体層がパターン形成されているため(素子分離がおこなわれているため)、ON/OFF比は高いが、半導体特性(移動度)のばらつきが大きい。この大きなばらつきは、前記のとおり、ドロップキャスト法やインクジェット印刷法で成膜した低分子系半導体に見られる一般的傾向である。さらに、本発明外の成膜法であるスピンコート法を用いてオーバーコート層の形成を試みたところ、半導体層上に保護膜を形成しているにもかかわらず、半導体層が破壊され(オーバーコート層形成用インクによって流出したものと推察される。)TFT特性を示さなかった。本発明外の成膜法は、印刷液膜上の溶媒量が多いため、下層が該溶媒によって侵されるためである。
以上、本発明による製造方法を用いることで、素子分離がなされたTFTを簡便に得ることができ、延いては、ON/OFF比が高いTFTを簡便に得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の製造方法によって製造されたTFTおよび該TFTを含む電子装置は、ON/OFF比が高く、フレキシブルエレクトロニクスへの利用が可能である。
【符号の説明】
【0089】
1:基板
2:ゲート電極
3:ゲート絶縁層
4:半導体層
5:ソース電極
6:ドレイン電極
7:チャネル領域
7´:チャネル領域上の半導体層
7aから7b:複数個のTFTからなる電子装置上のチャネル領域
8:チャネル長(L)
9:チャネル幅(W)
10:オーバーコート層と半導体層の接触部
11:接触部の縁
12:チャネル領域の外周縁
14:半導体層のうち接触部直下の領域
15:オーバーコート層
16:半導体保護層
17:オーバーコート層パターン形状のうち、非画像部の一辺の長さ
18:オーバーコート層パターン形状のうち、非画像部間の間隔(長さ)
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【手続補正書】
【提出日】2017年7月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極およびドレイン電極と、
チャネル領域より広い範囲に形成された半導体層と、
半導体層形成後に形成されるオーバーコート層と、を有する薄膜トランジスタの製造方法であって、
前記オーバーコート層は、前記チャネル領域の外周縁の周囲を取り囲むように形成され、かつ前記半導体層と接触する接触部を有し、
前記接触部では、前記半導体層が下層であり前記オーバーコート層が上層であるようにして積層されており、
前記オーバーコート層は、前記半導体層を形成する半導体材料を溶解または分散せしめことができる溶媒を必須成分とするインクを使用して、印刷法によって形成され、
前記印刷法は、凸版反転印刷法またはグラビアオフセット印刷法である、
ことを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項2】
前記半導体層が、有機半導体材料を用いてなる半導体層である請求項1に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項3】
前記半導体層の形成方法が、真空蒸着法である請求項1又は2に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項4】
前記半導体層の形成方法が、湿式成膜法である請求項1又は2に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【国際調査報告】