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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年7月27日
【発行日】2018年8月9日
(54)【発明の名称】超音波医療装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 7/00 20060101AFI20180713BHJP
【FI】
   A61N7/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
【出願番号】特願2017-562200(P2017-562200)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年1月19日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
【住所又は居所】東京都八王子市石川町2951番地
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
【住所又は居所】東京都文京区本郷七丁目3番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】堀江 希依
【住所又は居所】東京都八王子市石川町2951番地 オリンパス株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】東 隆
【住所又は居所】東京都文京区本郷七丁目3番1号 国立大学法人東京大学内
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ34
4C160JJ35
4C160JJ36
4C160JJ38
4C160MM32
(57)【要約】
本発明の超音波医療装置(100)は、バブル発生用の第1の超音波(W1)および該第1の超音波(W1)よりも弱い第2の超音波(W2)を順番に超音波素子(5)から出力させるように該超音波素子(5)を駆動する駆動部(7)と、第2の超音波(W2)の照射によって発生するキャビテーションを検知するキャビテーション検知部(11)と、キャビテーションの検知結果に基づいて第2の超音波(W2)の出力を調整させるように駆動部(7)を制御する制御部(9)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織内にバブルを発生させるための第1の超音波および該第1の超音波よりも弱い第2の超音波を順番に治療超音波素子から出力させるように該治療超音波素子を駆動する駆動部と、
前記第2の超音波の照射によって前記生体組織内に発生するキャビテーションを検知するキャビテーション検知部と、
該キャビテーション検知部による前記キャビテーションの検知結果に基づいて前記第2の超音波の出力を調整させるように前記駆動部を制御する制御部とを備える超音波医療装置。
【請求項2】
前記キャビテーション検知部は、前記第2の超音波の照射によって前記生体組織で発生する前記第2の超音波の高調波および低調波のうちの少なくとも1つの強度が所定の閾値以上であるときに前記キャビテーションを検知する請求項1の超音波医療装置。
【請求項3】
観測超音波素子から出力される第3の超音波の反射エコーに基づいて前記生体組織の超音波画像を取得する画像取得部を備え、
該画像取得部が、前記治療超音波素子から前記第2の超音波が出力されている期間中に前記超音波画像を取得し、
前記キャビテーション検知部が、前記超音波画像の輝度値の時間変化量に基づいて前記キャビテーションを検知する請求項1または請求項2に記載の超音波医療装置。
【請求項4】
前記第1の超音波が集束する焦点を、前記治療超音波素子に近接および離間する方向に移動させる焦点位置調整部を備え、
該焦点位置調整部が、前記治療超音波素子から前記第1の超音波が出力されている期間中に、前記焦点を前記治療超音波素子から離間した位置から該治療超音波素子に近接する方向に移動させる請求項1から請求項3のいずれかに記載の超音波医療装置。
【請求項5】
前記生体組織を予熱するための第4の超音波を予熱超音波素子から出力させるように該予熱超音波素子を駆動する予熱用駆動部を備え、
前記制御部は、前記治療超音波素子から前記第1の超音波を出力させる前に、前記予熱超音波素子から前記第4の超音波を出力させるように、前記予熱用駆動部を制御する請求項1から請求項4のいずれかに記載の超音波医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波医療装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、熱効果およびキャビテーション効果をそれぞれ奏する2つの超音波を出力可能な体外式の超音波医療装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。熱効果は、生体組織が超音波を吸収することによって生じる熱エネルギを利用したものである。キャビテーション効果は、超音波振動による圧力低下により発生した微小なガスの泡が、さらなる周囲圧力の低下により膨らみ、臨界直径に達したときに、気泡の圧壊を通して高エネルギを局所的に放出し、近傍組織を破壊する物理的エネルギを利用したものである。特許文献1の超音波医療装置は、皮膚における温度および音響場圧力をセンサによって測定し、測定された温度および音響場圧力に基づいて超音波の出力を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平7−505793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、キャビテーション効果を発生させるためには、焦点にて強く集束するビームを照射するか、もしくは素子に印加する電圧を大きくすることで得られる強力な超音波が必要となる。体内式の超音波医療装置に搭載される超音波素子は小型のものに限られるため、強く集束させるための大口径の素子を使用することや、大きな印加電圧を用いて強力な超音波を発生させることが難しい。さらに、特許文献1のように皮膚における温度および音響場圧力に基づいて超音波の出力を制御する方法では、キャビテーションが発生しているか否かを正確に検知することはできず、キャビテーションが確実に発生するように超音波の出力を適切に制御することが難しいという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、小型の超音波素子を用いてもキャビテーションを確実に発生させることができ、キャビテーションを利用して効率的に治療することができる超音波医療装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、生体組織内にバブルを発生させるための第1の超音波および該第1の超音波よりも弱い第2の超音波を順番に治療超音波素子から出力させるように該治療超音波素子を駆動する駆動部と、前記第2の超音波の照射によって前記生体組織内に発生するキャビテーションを検知するキャビテーション検知部と、該キャビテーション検知部による前記キャビテーションの検知結果に基づいて前記第2の超音波の出力を調整させるように前記駆動部を制御する制御部とを備える超音波医療装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、小型の超音波素子を用いてもキャビテーションを確実に発生させることができ、キャビテーションを利用して効率的に治療することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態に係る超音波医療装置の全体構成図である。
図2図1の超音波医療装置が出力する気泡化超音波および治療超音波の強度および出力タイミングを示す図である。
図3図1の超音波医療装置の動作を示すフローチャートである。
図4】本発明の第2の実施形態に係る超音波医療装置の全体構成図である。
図5図4の超音波医療装置が出力する気泡化超音波および治療超音波の強度および出力タイミングと、診断超音波の出力タイミングとを示す図である。
図6図4の超音波医療装置の動作を示すフローチャートである。
図7】本発明の第3の実施形態に係る超音波医療装置の全体構成図である。
図8図7の超音波医療装置の動作を示すフローチャートである。
図9】(a),(b)第1の期間における焦点の移動と、(c),(d)第2の期間における焦点の移動とを説明する図である。
図10】第2の期間における治療超音波の出力のタイミングを示す図である。
図11図7の超音波医療装置の動作の変形例を示すフローチャートである。
図12】本発明の第4の実施形態に係る超音波医療装置が出力する気泡化超音波、治療超音波および予熱超音波の強度および出力タイミングを示す図である。
図13】本発明の第4の実施形態に係る超音波医療装置の動作を示すフローチャートである。
図14】本発明の第4の実施形態に係る超音波医療装置の動作の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態に係る超音波医療装置100について図1から図3を参照して説明する。
本実施形態に係る超音波医療装置100は、図1に示されるように、体内に挿入可能な細長いプローブ1と、該プローブ1の基端に接続された筐体2と、該筐体2に接続された操作部3および表示部4とを備えている。
【0010】
プローブ1は、気泡化超音波(第1の超音波)W1および治療超音波(第2の超音波)W2を択一的に出力する治療超音波素子5と、生体組織において反射された音波を受信する受信素子6とを備えている。図1においては、治療超音波素子5および受信素子6の位置が離れているが、治療超音波素子5から出力された治療超音波W2によって焦点Fおよび焦点F近傍で発生する高調波および低調波が効率良く受信素子6によって受信されるように、また、治療超音波素子5および受信素子6が共に患部を向いて体内に挿入可能なように、治療超音波素子5および受信素子6の開口部は、互いに近接した位置に配置される。
【0011】
筐体2は、気泡化超音波W1または治療超音波W2を発生させるための駆動信号を生成して該駆動信号を治療超音波素子5に印加する駆動信号生成部(駆動部)7と、治療超音波素子5に発生させる超音波W1,W2を切り替える切替制御部8と、気泡化超音波W1および治療超音波W2の出力を制御する出力制御部9と、受信素子6によって受信された音波の中からキャビテーション信号Sを抽出する信号処理部10と、該信号処理部10によって抽出されたキャビテーション信号Sの強度に基づいてキャビテーションを検知するキャビテーション検知部11と、該キャビテーション検知部11による検知結果に基づいて出力制御部9を制御する中央制御部(制御部)12と、記憶部13とを備えている。
【0012】
治療超音波素子5は、同一の焦点Fに集束する集束超音波(HIFU)を気泡化超音波W1および治療超音波W2として出力する。気泡化超音波W1は、ナノ液滴を気泡化させてマイクロバブルを発生させるためのものである。ナノ液滴は、脂質膜、蛋白質または高分子等の膜からなり、液体を封入したナノメートルサイズのカプセルである。膜には、生体内の患部に存在する特定の成分(例えば癌細胞)と特異的に結合するリガンドが保持されている。これにより、生体に投与されたナノ液滴は患部に集積するようになっている。マイクロバブルの残存および消失は、液滴の沸点と周囲温度との関係に依存する。液滴の沸点が気泡化時の周囲温度よりも低い場合はマイクロバブルは残存し、液滴の沸点が気泡化時の周囲温度よりも高い場合はマイクロバブルは消失する。液滴は、生体内において容易に気泡化するように、体温(37℃)以下の沸点を有する。
【0013】
ナノ液滴は、所定値以上の振幅を有する超音波が照射されることによって気泡化する。したがって、気泡化超音波W1は、所定値以上の振幅を有する。ナノ液滴に気泡化超音波W1が照射されると、ナノ液滴のカプセルが破壊されて、カプセル内に封入されていた液滴が生体組織内に分散し、液滴が気泡化することによって、マイクロメートルサイズの気泡であるマイクロバブルが発生する。液体の沸点は体温以下であるので、一度発生したマイクロバブルは長時間にわたって安定的に残存する。気泡化超音波W1は短パルスであり、生体には直接的に影響を与えない。
【0014】
治療超音波W2は、キャビテーションを発生させるためのものであり、気泡化超音波W1よりも小さい振幅を有する。キャビテーションとは、超音波振動によって液体の圧力が局所的に低下して気泡が発生し、さらに気泡が臨界直径に達したときに起きる圧壊現象に伴う断熱圧縮の結果生じる高エネルギを局所的に放出する現象である。治療超音波W2の照射によって生体組織内でキャビテーションが発生すると、治療超音波W2の焦点Fおよび該焦点Fの近傍において発生する治療超音波W2の高調波および低調波が増強される。これら高調波および低調波がキャビテーション信号Sとして受信素子6によって受信される。
【0015】
切替制御部8は、駆動信号生成部7に生成させる駆動信号の振幅を切り替えることによって、気泡化超音波W1と、該気泡化超音波W1よりも小さな振幅を有する治療超音波W2とを切り替える。ここで、切替制御部8は、図2に示されるように、第1の期間において気泡化超音波W1を治療超音波素子5に発生させ、第1の期間に続く第2の期間において治療超音波W2を治療超音波素子5に発生させるように、駆動信号生成部7を制御する。
【0016】
出力制御部9は、駆動信号生成部7に駆動信号を生成させるタイミングを制御することによって、気泡化超音波W1および治療超音波W2の出力の開始と終了とを制御する。また、気泡化超音波W1は気泡化のためのパルスであり、パルス長が過度に長いと気泡化超音波W1の照射中にキャビテーションが進んでしまう可能性があるので、適度な長さのパルス長に調整する必要がある。
【0017】
ここで、治療においては、図2に示されるサイクルの照射シーケンスが繰り返され、治療超音波W2の照射が終了してから次の気泡化超音波W1が照射が開始されるまでの間に1ミリ秒〜10ミリ秒程度の休止期間が設けられる。治療超音波W2によるキャビテーションの発生後、微小な気泡(残骸気泡)が発生し得る。残骸気泡に気泡化超音波W1が照射されると、残骸気泡がキャビテーション核となって第1の期間においてもキャビテーションが発生してしまい、ナノ液滴の効果をキャビテーション信号Sから正確に検出することができなくなる。休止期間を設けて残骸気泡の消失を待ってから次の気泡化超音波W1を照射することで、ナノ液滴の気泡化によって生じた安定的なマイクロバブルのみをキャビテーション核とすることができる。
【0018】
信号処理部10は、受信部によって受信された音波の中からキャビテーション信号Sを抽出する。すなわち、信号処理部10は、駆動信号の周波数(駆動周波数)のn(n=2,3,…)倍の周波数および1/m(m=2,3,…)倍の周波数を有する成分のうちのすくなとも1つを抽出する。特に、キャビテーションの発生によって2次、3次および4次の高調波が顕著に増強される。したがって、信号処理部10は、2次、3次、4次の高調波に相当する、駆動周波数の2倍、3倍、4倍の周波数を有する成分のうちのいずれかを抽出することが好ましい。
【0019】
キャビテーション検知部11は、信号処理部10によって抽出されたキャビテーション信号Sの強度を所定の閾値と比較する。キャビテーション信号Sの強度が所定の閾値以上である場合、キャビテーション検知部11は、キャビテーションが発生していると判断する。一方、キャビテーション信号Sの強度が閾値未満である場合、キャビテーション検知部11は、キャビテーションが発生していないと判断する。キャビテーション検知部11は、キャビテーションの検知結果を中央制御部12に送信する。
【0020】
中央制御部12は、第2の期間において、キャビテーション検知部11にキャビテーションの検知を実行させ、検知結果を受信し、受信した検知結果に基づいて出力制御部9を制御する。具体的には、中央制御部12は、キャビテーションが検知されるときには、図2の照射シーケンスを繰り返して超音波W1,W2の照射を継続し、一方キャビテーションが検知されないときには図2の照射シーケンスの繰り返しを終了させるように、出力制御部9を制御する。
【0021】
操作部3は、治療条件をユーザが入力することができるようになっている。治療条件とは、例えば、気泡化超音波W1および治療超音波W2の出力条件(振幅、出力時間、周波数)や、ナノ液滴の液体の沸点等である。操作部3に入力された治療条件は記憶部13に記憶される。中央制御部12は、記憶部13に記憶された治療条件に従って切替制御部8および出力制御部9を制御するようになっている。
【0022】
次に、このように構成された超音波医療装置100の作用について図3を参照して説明する。
まず、ユーザは、ナノ液滴を含む薬剤を生体に投与する。生体内に投与されたナノ液滴は、患部に集積する。次に、ユーザは、操作部3を用いて治療条件を入力する(ステップS1)。次に、ユーザは、気泡化超音波W1および治療超音波W2の焦点Fが患部に位置するように患部に対してプローブ1を位置合わせし、操作部3を操作することによって患部への超音波W1,W2の照射を開始する。
【0023】
まず、切替制御部8は、第1の期間において治療超音波素子5から気泡化超音波W1を出力させる(ステップS2)。これにより、患部においてマイクロバブルが発生する。次に、切替制御部8は、第2の期間において治療超音波素子5から気泡化超音波W1よりも弱い治療超音波W2を出力させる(ステップS3)。治療超音波W2が患部に照射されると、患部に存在するマイクロバブルによってキャビテーションが発生し、キャビテーション信号Sが受信素子6によって受信され(ステップS4)、信号処理部10によってキャビテーション信号Sが抽出される。キャビテーション検知部11は、治療超音波W2が出力されている間、キャビテーション信号Sの強度に基づいてキャビテーションが発生しているか否かを検知する(ステップS5)。
【0024】
患部にマイクロバブルが存在している間は、治療超音波W2の照射によってキャビテーションが強く発生するので、キャビテーション信号Sは閾値以上の強度を有する。気泡化超音波W1および治療超音波W2の照射が繰り返されると、ナノ液滴が減り、生成されるマイクロバブルの量が次第に少なくなるため、キャビテーションが弱まってキャビテーション信号Sの強度が閾値を下回るようになる。
【0025】
中央制御部12は、キャビテーション検知部11によってキャビテーションが検知されているときには(ステップS5のYES)、気泡化超音波W1および治療超音波W2を繰り返し出力し続けるように出力制御部9を制御する(ステップS2,S3)。一方、中央制御部12は、キャビテーション検知部11によってキャビテーションが検知されなくなったときに(ステップS5のNO)、気泡化超音波W1および治療超音波W2の繰り返し出力を停止させるように、出力制御部9を制御する(ステップS6)。これにより、ナノ液滴由来のマイクロバブルによってキャビテーションを発生させることが可能な間は、気泡化超音波W1および治療超音波W2が患部に照射され、患部にナノ液滴が無くなってマイクロバブルが生成されなくなり、キャビテーションが発生しなくなったときに、気泡化超音波W1および治療超音波W2の照射が自動的に停止する。
【0026】
このように、本実施形態によれば、患部においてキャビテーションが発生しているか否かを、キャビテーション信号Sに基づいて正確に検知することができる。そして、キャビテーション効果が得られる間は気泡化超音波W1および治療超音波W2の照射を繰り返し継続し、キャビテーション効果が得られなくなったときに気泡化超音波W1および治療超音波W2の照射を終了することによって、キャビテーションを利用して効率的に患部を治療することができるという利点がある。
【0027】
さらに、マイクロバブルは、該マイクロバブルが治療超音波W2の照射によって振動することによって、キャビテーションの発生を促進する。治療超音波W2をこのようなマイクロバブルと組み合わせることによって、低エネルギの治療超音波W2であってもキャビテーションを患部に発生させることができる。したがって、小型の治療超音波素子5を利用することができ、体内式の超音波医療装置100によるキャビテーション効果を利用した治療を可能とすることができるという利点がある。
【0028】
さらに、低エネルギの治療超音波W2によってキャビテーションが発生する領域は、マイクロバブルが存在する領域に限られる。したがって、生体組織の患部以外の領域に治療超音波W2が照射されたとしても、患部以外の領域においてキャビテーションが発生することを防ぐことができるという利点がある。
【0029】
より具体的には、キャビテーション核となる気泡が存在するとキャビテーションが発生し、キャビテーション発生後は微小な気泡が生成される。この微小気泡は速やかに消失するが、消失前に微小気泡に超音波が照射されると微小気泡がキャビテーション核となってキャビテーションが発生する可能性がある。したがって、治療超音波W2照射後に1ミリ秒〜10ミリ秒の超音波停止時間(休止期間)を設けることによって、キャビテーションによって発生した微小気泡(残骸気泡)を消失させ、ナノ液滴由来の残存マイクロバブルが存在する患部以外の領域においてキャビテーションが発生することを防ぐことができるという利点がある。
さらに、キャビテーションに伴う気泡によって反射された超音波が、所望の超音波音圧分布とは異なる場所に音圧の強い場所を生じさせることでキャビテーション生成領域の制御性が低下することを、防ぐこともできる。
【0030】
本実施形態においては、第2の期間において、中央制御部12が、キャビテーション信号に基づいて治療超音波W2の出力を停止させる(すなわち、治療超音波W2の振幅をゼロに調整する)こととしたが、これに代えて、またはこれに加えて、キャビテーション信号の強度に応じて治療超音波W2の振幅を調整するように駆動信号生成部7を制御してもよい。
【0031】
例えば、キャビテーション信号の強度の低下に応じて治療超音波W2の強度を低下させるように、中央制御部12が駆動信号生成部7を制御してもよい。このようにすることで、治療超音波W2が過剰に患部に照射されることを防ぐことができる。
上記の方法により、薬剤が存在する部分に局所的にキャビテーションが発生するように制御することによって、薬剤表面の抗体の集積性を用いた選択的な治療が可能となる。
【0032】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る超音波医療装置101について図4から図6を参照して説明する。
本実施形態に係る超音波医療装置101は、治療超音波W2の高調波および低調波に代えて、超音波画像の輝度値の時間変化量をキャビテーション信号として用いる点において、第1の実施形態に係る超音波医療装置100と主に異なっている。以下、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
本実施形態に係る超音波医療装置101において、図4に示されるように、プローブ1には、受信素子6に代えて、観測超音波(第3の超音波)W3を出力する観測超音波素子14が設けられている。筐体2には、観測超音波素子14を駆動するための駆動信号生成部15と、観測超音波W3の反射エコーに基づいて超音波画像を生成する画像取得部16とがさらに設けられている。
【0034】
駆動信号生成部15は、中央制御部12による制御に従って、観測超音波素子14に観測超音波W3を発生させるための駆動信号を生成し、該駆動信号を超音波素子に印加する。
【0035】
観測超音波素子14は、駆動信号生成部15から駆動信号が印加されることによってパルス超音波である観測超音波W3を出力し、観測超音波W3の反射エコーを受信し、受信した反射エコーを電気信号に変換し、電気信号を信号処理部10に送信する。観測超音波素子14は、治療超音波W2の焦点Fを含む範囲に観測超音波W3を照射するように配置されている。マイクロバブルは、観測超音波W3を生体組織よりも高い反射率で反射する。したがって、焦点Fおよび該焦点Fの近傍において発生したマイクロバブルが、高輝度領域として超音波画像内で観察されるようになっている。
【0036】
本実施形態においては、図5に示されるように、第1の期間と第2の期間との間に第3の期間が設けられている。中央制御部12は、第3の期間および第2の期間において観測超音波W3を観測超音波素子14に発生させるように、出力制御部9および駆動信号生成部15を制御する。したがって、第3の期間および第2の期間において超音波画像が取得される。ここで、第2の期間において治療超音波W2と観測超音波W3との干渉を避けるため、治療超音波W2が間欠的に出力され、治療超音波W2とは異なるタイミングで観測超音波W3が出力される。あるいは、観測超音波素子14によって受信された反射エコーの電気信号に対して治療超音波W2由来のノイズを除去する信号処理が施され、処理後の電気信号から超音波画像が生成される。第3の期間は、ミリ秒オーダーよりも長く設定されており、数秒〜数分程度であることが好ましい。
【0037】
本実施形態において、信号処理部10は、観測超音波素子14から受信した電気信号を輝度値に変換し、輝度値をキャビテーション検知部11および画像取得部16に送信する。
画像取得部16は、信号処理部10から受信した輝度値を用いて超音波画像を生成し、超音波画像を表示部4に出力して該表示部4に表示させる。
【0038】
キャビテーション検知部11は、信号処理部10から受信した輝度値を時系列に記憶し、輝度値の時間変化量をキャビテーション信号として算出する。キャビテーション検知部11は、算出されたキャビテーション信号を所定の閾値と比較する。キャビテーション信号が所定の閾値以上である場合、キャビテーション検知部11は、キャビテーションが発生していると判断する。一方、キャビテーション信号が閾値未満である場合、キャビテーション検知部11は、キャビテーションが発生していないと判断する。キャビテーション検知部11は、キャビテーションの検知結果を中央制御部12に送信する。
【0039】
次に、このように構成された超音波医療装置101の作用について図6を参照して説明する。
第1の実施形態と同様にしてナノ液滴を含む薬剤を生体に投与し、治療条件を入力し(ステップS1)、患部への超音波W1,W2,W3の照射を開始する。
【0040】
まず、第1の期間において、切替制御部8が、治療超音波素子5から気泡化超音波W1を出力させる(ステップS2)。これにより、患部においてマイクロバブルが発生する。次に、第3の期間において、中央制御部12が、観測超音波素子14から観測超音波W3を出力させる(ステップS7)。これにより、焦点Fを含む範囲の超音波画像が画像取得部16によって生成され、超音波画像が表示部4に表示される。超音波画像において、マイクロバブルが存在する患部は周辺よりも高い輝度値を有する。したがって、ユーザは、超音波画像において患部を明瞭に観察することができる。
【0041】
次に、第2の期間において、切替制御部8が、治療超音波素子5から気泡化超音波W1よりも弱い治療超音波W2を出力させる(ステップS3)。さらに、中央制御部12が、観測超音波素子14から観測超音波W3を出力させることにより、超音波画像が取得され続け、超音波画像の輝度値の時間変化量がキャビテーション信号としてキャビテーション検知部11によって取得される(ステップS4)。
【0042】
治療超音波W2が患部に照射されると、患部に存在するマイクロバブルによってキャビテーションが発生し、観測超音波素子14によって受信される反射エコーの強度の時間変化量が増大し、超音波画像の輝度値の変化量が増加する。治療超音波W2の照射によって次第にマイクロバブルが消滅してマイクロバブルの量が減ると、キャビテーションが弱まって超音波画像の輝度値の変化量が低下する。このように、マイクロバブルが存在している間は、超音波画像の輝度値が大きく変動するので、キャビテーション信号が閾値以上となる。
ステップS5,S6は、第1の実施形態と同一であるので、説明を省略する。
【0043】
キャビテーションが発生しているときには、気泡の生成および消滅が繰り返されることにより、超音波画像の輝度値の時間変化量が大きくなる。したがって、本実施形態によれば、超音波画像の輝度値の時間変化量に基づいても、患部においてキャビテーションが発生しているか否かを正確に検知することができる。また、超音波医療装置のプローブに一般的に設けられている超音波画像取得用の観測超音波素子14を利用してキャビテーション信号を取得することができるという利点がある。また、沸点を調整したナノ液滴を、このような照射シーケンスと組み合わせることによって、第1の期間と第2の期間との間に、数秒〜数分のオーダーの第3の期間を設けることが可能となり、マイクロバブルが集積している患部の様子を確認することができるという利点がある。
本実施形態のその他の効果は第1の実施形態と同一であるので説明を省略する。
【0044】
本実施形態においては、キャビテーション信号として、超音波画像の輝度値の時間変化量を用いることとしたが、これに代えて、観測超音波素子14から出力される電気信号の振幅の時間変化量をキャビテーション信号として用いてもよい。
このようにしても、輝度値の時間変化量を用いた場合と同一の効果を得ることができる。
【0045】
また、本実施形態においては、観測超音波素子14がプローブ1に設けられていることとしたが、これに代えて、観測超音波素子14がプローブ1とは別体に設けられ、体外から患部に向かって観測超音波W3を照射するように構成されていてもよい。
このようにすることで、プローブ1の細径化を図ることができる。
【0046】
また、本実施形態においては、観測超音波素子14が、第2の期間において観測超音波W3を送受信することとしたが、これに代えて、第2の期間において観測超音波W3の出力を停止し、第1の実施形態における受信素子6と同様に、焦点Fおよび該焦点Fの近傍において発生し、キャビテーションによって増強される治療超音波W2の高調波および低調波をキャビテーション信号として受信するように構成されていてもよい。
【0047】
また、本実施形態においては、治療超音波素子5とは別体の観測超音波素子14によって反射エコーを受信して輝度値を得ることとしたが、これに代えて、治療超音波素子5を用いて治療超音波W2の出力と反射エコーの受信とを行い、治療超音波素子5によって受信された反射エコーの強度の時間変化量、または増強される治療超音波W2の高調波および低調波をキャビテーション信号として用いてもよい。この場合、第2の期間中に、治療超音波素子5は、治療超音波W2の出力と、該治療超音波W2の送受信とを交互に行ってもよい。このようにすることで、観測超音波素子14が不要となり、装置構成をさらに簡略にすることができる。
【0048】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る超音波医療装置102について図7から図11を参照して説明する。
本実施形態に係る超音波医療装置102は、図7に示されるように、治療超音波素子5の焦点Fの位置を調整する焦点位置調整部17を備えている点において、第1および第2の実施形態に係る超音波医療装置100,101と主に異なっている。以下、第1および第2の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
なお、図7には、第2の実施形態の超音波医療装置101に焦点位置調整部17を追加した構成が示されているが、第1の実施形態の超音波医療装置100に焦点位置調整部17を追加してもよい。
【0050】
焦点位置調整部17としては、電気的または機械的に焦点Fを移動させる任意の方式が用いられる。例えば、治療超音波素子5が複数の振動子の配列からなり、焦点位置調整部17が、各振動子に印加する駆動信号の位相を制御することによって、焦点Fを移動させるように構成されていてもよい。または、治療超音波素子5が単一の振動子からなり、焦点位置調整部17が、治療超音波素子5を図示しないアクチュエータによって移動または変形させるように構成されていてもよい。例えば、焦点位置調整部17が、振動子の曲率を変更させることによって焦点Fを移動させるように構成されていてもよい。
【0051】
中央制御部12は、第1の期間において、気泡化超音波W1の焦点Fを、治療超音波素子5から離間した位置から治療超音波素子5に近接させる方向に移動させるように、焦点位置調整部17を制御する。
【0052】
次に、このように構成された超音波医療装置102の作用について図8から図10を参照して説明する。
本実施形態においては、図8に示されるように、第1の期間において、中央制御部12が、焦点位置調整部17によって焦点Fを、治療超音波素子5から離れた位置から治療超音波素子5に近接する方向に移動させながら、気泡化超音波W1を出力させる(ステップS2’)。これにより、図9(a),(b)に示されるように、生体組織Aの深い位置から浅い位置に向かって順番にマイクロバブルBが発生する。
【0053】
ステップS2’の後、治療超音波W2の生体組織Aへの照射が開始され(ステップS3’)、キャビテーションが検知されなくなるまで(ステップS5のYES)、治療超音波W2の照射が継続する。したがって、図9(c),(d)に示されるように、第2の期間において焦点Fを移動させながら治療超音波W2を生体組織Aに照射すると、ステップS2’において発生させたマイクロバブルBが無くなったときに(ステップS5のNO)、治療超音波W2の照射が停止する(ステップS6’)。
【0054】
マイクロバブルBは気泡化超音波W1をほとんど透過させないので、マイクロバブルBよりも深い位置には気泡化超音波W1が照射されない。したがって、治療超音波素子5から遠い位置から、治療超音波素子5に近い位置へ向かって気泡化超音波W1の焦点Fを移動させることによって、生体組織Aの奥行き方向に満遍なくマイクロバブルBを発生させることができるという利点がある。
【0055】
このとき、図10に示さるように、治療超音波W2が照射される第2の期間において、治療超音波W2の出力が一時的に停止する1ミリ秒〜10ミリ秒の停止時間が定期的に設けられる。この停止時間は、ナノ液滴由来の気泡のみをキャビテーション核とするため、キャビテーション発生に伴って発生した微小気泡(残骸気泡)の消失を待つ時間である。このようにすることで、ナノ液滴由来の残存マイクロバブルが存在する患部以外の領域においてキャビテーションが発生することを防ぐことができる。また、キャビテーションが発生しなくなったことは、ナノ液滴が生体に作用しなくなったことと等価であるため、治療が完了したことを確認することができる。
なお、本実施形態においては、患部の各位置において、気泡化超音波W1が照射されてから治療超音波W2が照射されるまでの間に時間間隔が発生する。この時間間隔は、ミリ秒オーダーよりも長くなる。
【0056】
本実施形態においては、ステップS1とステップS2’との間、または、ステップS2’とステップS7との間に、治療プランを選択するステップをさらに含んでいてもよい。治療プランは、気泡化超音波W1の焦点Fの移動の順序を定めたプランである。患部の形状や寸法に適した治療プランを選択することによって、患部全体により確実にマイクロバブルを発生させることができる。
【0057】
本実施形態においては、気泡化超音波W1が照射される第1の期間において焦点Fを移動さることとしたが、これに代えて、図11に示されるように、気泡化超音波W1および治療超音波W2の照射(ステップS2〜S5)の後に焦点Fを移動させ(ステップS9)、その後に次の気泡化超音波W1の照射(ステップS2)を行ってもよい。
このようにすることで、より広範囲を治療することができる。
【0058】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る超音波医療装置について図12から図14を参照して説明する。
本実施形態に係る超音波医療装置は、図12に示されるように、第1の期間の前に、患部を予熱するための予熱超音波(第4の超音波)W4を出力する点において、第1から第3の実施形態に係る超音波医療装置100,101,102と主に異なっている。本実施形態の超音波医療装置の装置構成は、第1から第3の実施形態の超音波医療装置のいずれかの装置構成と同一である。以下、第1から第3の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1から第3の実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0059】
本実施形態において使用されるナノ液滴の液体は、体温(37℃)よりも高く、かつ、患部の治療温度(第2の期間における治療超音波W2による加温温度)よりも低い沸点を有する。
予熱超音波W4は、治療超音波素子(予熱超音波素子)5または観測超音波素子(予熱超音波素子)14から出力される。予熱超音波W4の照射によって、液体の沸点以上かつ患部の治療温度よりも低い予熱温度(例えば、40℃〜43℃)まで患部が加温されるように、予熱超音波W4の振幅および出力時間が調整される。
【0060】
次に、このように構成された超音波医療装置の作用について図13を参照して説明する。
本実施形態においては、中央制御部12が、気泡化超音波W1の出力に先立って、予熱超音波W4を治療超音波素子5または観測超音波素子14から出力させる(ステップS10)。これにより、患部が予熱超音波W4の照射によって予熱される。次に、気泡化超音波W1が患部に照射される(ステップS2)。図12に示されるように、予熱超音波W4の振幅は気泡化超音波W1の振幅以下である必要がある。
【0061】
液体の沸点以上の温度に予熱された領域に気泡化超音波W1が照射されると、マイクロバブルが容易に発生し、一度発生したマイクロバブルは安定的に残存し続ける。一方、予熱されていない領域に気泡化超音波W1が照射されたとしてもマイクロバブルは発生し難く、マイクロバブルが発生したとしても速やかに消滅する。したがって、予熱された領域において選択的にマイクロバブルを安定的に発生させることができる。
【0062】
したがって、本実施形態によれば、患部以外の領域にナノ液滴が存在していたとしても、予熱超音波W4によって予熱された領域においてのみナノバブルおよびキャビテーションを発生させることができる。これにより、意図しない領域においてキャビテーションが発生することを防止し、意図しない領域をキャビテーションから保護することができるという利点がある。
【0063】
また、液体の沸点以上の温度に予熱された領域において一度発生したマイクロバブルは、その後に患部の温度が予熱温度から低下したとしても安定的に残存し続けるため、治療超音波W2による治療可能な時間を長く確保することができる。つまり、一度マイクロバブルを発生させた後は、予熱超音波W4の照射の必要はなく、治療超音波W2の照射のみを行えばよいので、作業を簡素化することができる。
【0064】
なお、本実施形態においては、治療超音波素子5または観測超音波素子14を予熱超音波素子として用いることとしたが、これに代えて、治療超音波素子5および観測超音波素子14とは別体のもう1つの超音波素子をプローブ1に設け、該もう1つの超音波素子を予熱超音波素子として用いてもよい。
【0065】
本実施形態においては、第3の実施形態と同様に、図14に示されるように、第2の期間において、キャビテーションが検知されなくなるまで、治療超音波W2の出力を続けてもよい。この場合にも、第2の期間には、治療超音波W2の出力が一時的に停止する停止時間(図10参照。)が定期的に設けられる。
【符号の説明】
【0066】
1 プローブ
2 筐体
3 操作部
4 表示部
5 治療超音波素子
6 受信素子
7 駆動信号生成部(駆動部)
8 切替制御部
9 出力制御部
10 信号処理部
11 キャビテーション検知部
12 中央制御部(制御部)
13 記憶部
14 観測超音波素子
15 駆動信号生成部(予熱用駆動部)
16 画像取得部
17 焦点位置調整部
W1 気泡化超音波(第1の超音波)
W2 治療超音波(第2の超音波)
W3 観測超音波(第3の超音波)
W4 予熱超音波(第4の超音波)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14

【手続補正書】
【提出日】2017年5月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織内にバブルを発生させるための第1の超音波および該第1の超音波よりも弱いキャビテーションを発生させるための第2の超音波を順番に治療超音波素子から出力させるように該治療超音波素子を駆動する駆動部と、
観測超音波素子から出力される第3の超音波の反射エコーに基づいて前記生体組織の超音波画像を取得する画像取得部と、
前記超音波画像の輝度値の時間変化量に基づいて、前記第2の超音波の照射によって前記生体組織内に発生する前記キャビテーションを検知するキャビテーション検知部と、
該キャビテーション検知部による前記キャビテーションの検知結果に基づいて前記第2の超音波の出力を調整させるように前記駆動部を制御する制御部と
を備える超音波医療装置。
【請求項2】
前記第1の超音波が集束する焦点を、前記治療超音波素子に近接および離間する方向に移動させる焦点位置調整部を備え、
該焦点位置調整部が、前記治療超音波素子から前記第1の超音波が出力されている期間中に、前記焦点を前記治療超音波素子から離間した位置から該治療超音波素子に近接する方向に移動させる請求項1に記載の超音波医療装置。
【請求項3】
前記生体組織を予熱するための第4の超音波を予熱超音波素子から出力させるように該予熱超音波素子を駆動する予熱用駆動部を備え、
前記制御部は、前記治療超音波素子から前記第1の超音波を出力させる前に、前記予熱超音波素子から前記第4の超音波を出力させるように、前記予熱用駆動部を制御する請求項1または請求項2に記載の超音波医療装置。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
(削除)
【国際調査報告】