特表-18128159IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年7月12日
【発行日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】薬液の品質検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/00 20060101AFI20191129BHJP
   G01N 30/88 20060101ALI20191129BHJP
   G01N 30/72 20060101ALI20191129BHJP
   G01N 27/62 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   G01N33/00 B
   G01N30/88 H
   G01N30/72 A
   G01N30/88 G
   G01N27/62 V
   G01N27/62 X
   G01N27/62 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】72
【出願番号】特願2018-560393(P2018-560393)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年12月28日
(31)【優先権主張番号】特願2017-1181(P2017-1181)
(32)【優先日】2017年1月6日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2017-251121(P2017-251121)
(32)【優先日】2017年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】上村 哲也
【テーマコード(参考)】
2G041
【Fターム(参考)】
2G041CA01
2G041DA14
2G041EA04
2G041EA06
2G041FA09
2G041FA18
2G041FA19
2G041GA03
2G041GA06
2G041GA09
2G041HA01
2G041LA08
(57)【要約】
本発明は、簡便に欠陥性能を評価できる品質検査方法を提供することを課題とする。
本発明の品質検査方法は、半導体基板の製造に使用される薬液の品質検査方法であって、第1容器を準備するとともに、薬液の一部を用いて、接液部の少なくとも一部を洗浄する工程Wと、薬液の一部を洗浄後の第1容器を用いて濃縮してc液を得る工程Aと、c液中における特定成分の含有量を測定する工程Bと、特定成分の含有量をあらかじめ設定された基準値と比較する工程Cと、を、この順に有し、少なくとも工程W、及び、工程Aが、ISO14644−1:2015で定めるクラス4以上の清浄度を有するクリーンルーム内で実施され、濃縮が、Arガス、Heガス、及び、Nガスからなる群より選択される少なくとも1種の不活性ガス下で行われるか、又は、減圧下で行われ、測定が、所定の測定法により行われる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の製造に使用される薬液の品質検査方法であって、
接液部の少なくとも一部が、ガラス、含フッ素重合体、及び、電解研磨されたステンレス鋼からなる群より選択される少なくとも1種の材料からなる第1容器を準備するとともに、
前記薬液の一部をa液とし、前記a液を用いて、前記接液部の少なくとも一部を洗浄する工程Wと、
前記薬液の一部をb液とし、洗浄後の前記第1容器を用いて、前記b液を濃縮してc液を得る工程Aと、
前記c液中における特定成分の含有量を測定する工程Bと、
前記特定成分の含有量をあらかじめ設定された基準値と比較する工程Cと、を、
この順に有し、
少なくとも前記工程W、及び、前記工程Aが、国際標準化機構が定める国際標準ISO14644−1:2015で定めるクラス4以上の清浄度を有するクリーンルーム内で実施され、
前記濃縮が、Arガス、Heガス、及び、Nガスからなる群より選択される少なくとも1種の不活性ガス下で行われるか、又は、減圧下で行われ、
前記測定が、ガスクロマトグラフィー質量分析法、ガスクロマトグラフィータンデム質量分析法、ガスクロマトグラフィー原子発光検出法、ガスクロマトグラフィー四重極飛行時間型質量分析法、直接試料導入型質量分析法、高速液体クロマトグラフィー質量分析法、高速液体クロマトグラフィータンデム質量分析法、高速液体クロマトグラフィー飛行時間型質量分析法、誘導結合プラズマ質量分析法、誘導結合プラズマ発光分光分析法、加熱発生ガス質量分析法、イオンクロマトグラフィー法、核磁気共鳴分光法、及び、原子吸光法からなる群より選択される少なくとも1種の測定法により行われる、薬液の品質検査方法。
【請求項2】
前記工程Cにおいて、前記特定成分の含有量が、前記基準値を超えた場合、前記薬液を不適合とし、前記薬液を破棄する工程Dを有するか、又は、
前記工程Cにおいて、前記特定成分の含有量が、前記基準値を超えた場合、前記薬液を精製し、その後、前記工程W、前記工程A、前記工程B、及び、前記工程Cを再度実施する工程Eを有する、請求項1に記載の薬液の品質検査方法。
【請求項3】
更に前記工程Bを前記クリーンルーム内で実施する、請求項1又は2に記載の薬液の品質検査方法。
【請求項4】
前記工程Wが、前記第1容器の少なくとも前記接液部を、酸洗浄する工程、超音波洗浄する工程、及び、乾燥する工程からなる群より選択される少なくとも1種を更に有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の薬液の品質検査方法。
【請求項5】
前記工程Aにおいて、前記濃縮の倍率が2〜1000000倍である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の薬液の品質検査方法。
【請求項6】
前記工程Aにおいて、前記濃縮の倍率が10〜10000倍である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の薬液の品質検査方法。
【請求項7】
前記特定成分は、以下の式(1)〜(7)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の薬液の品質検査方法。
【化1】
【請求項8】
前記工程Aの濃縮の温度条件が10〜250度である請求項1〜7のいずれか一項に記載の薬液の品質検査方法。
【請求項9】
前記工程Aにおける前記b液の体積が、5L以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の薬液の品質検査方法。
【請求項10】
前記第1容器が、前記接液部の少なくとも一部が含フッ素重合体からなる含フッ素重合体容器である場合、前記含フッ素重合体容器は以下の試験における要件1又は要件2を満たす、請求項1〜9のいずれか一項に記載の薬液の品質検査方法。
試験:前記薬液の一部をd液とし、d液を用いて前記接液部を洗浄し、前記薬液の一部をe液とし、前記e液の質量に対する、洗浄後の前記含フッ素重合体容器の質量比が、前記e液の液温を25℃とした場合に、1.0となる条件で、洗浄後の前記含フッ素重合体容器を、液温25℃の前記e液に24時間浸漬する。
要件1:浸漬後の前記e液に、1種のフッ化物イオンが含有される場合、前記1種のフッ化物イオンの浸漬前後の増加量が、1質量ppm以下である。
要件2:浸漬後の前記e液に、2種以上のフッ化物イオンが含有される場合、前記2種以上のフッ化物イオンの浸漬前後の増加量の合計が、1質量ppm以下である。
【請求項11】
前記第1容器が、前記接液部の少なくとも一部が含フッ素重合体からなる含フッ素重合体容器である場合、前記接液部の少なくとも一部の表面において、
前記表面における、炭素原子の含有原子数に対する、フッ素原子の含有原子数の含有原子数比をM
前記表面を基準として、前記含フッ素重合体容器の厚み方向に10nmの位置における、炭素原子の含有原子数に対する、フッ素原子の含有原子数の含有原子数比をM、としたとき、
に対する、Mの比が、1.0を超える、請求項1〜10のいずれか一項に記載の薬液の品質検査方法。
【請求項12】
前記第1容器が、前記接液部の少なくとも一部が電解研磨されたステンレス鋼からなる電解研磨ステンレス鋼容器である場合、前記電解研磨ステンレス鋼容器は以下の試験における要件3又は要件4を満たす、請求項1〜9のいずれか一項に記載の薬液の品質検査方法。
試験:前記薬液の一部をf液とし、f液を用いて前記接液部を洗浄し、前記薬液の一部をg液とし、前記g液の質量に対する、洗浄後の前記電解研磨ステンレス鋼容器の質量比が、前記g液の液温を25℃とした場合に、0.25となる条件で、洗浄後の前記電解研磨ステンレス鋼容器を、液温25℃の前記g液に24時間浸漬する。
要件3:浸漬後の前記g液に、1種の金属成分が含有される場合、前記1種の金属成分の浸漬前後の増加量が、1質量ppm以下である。
要件4:浸漬後の前記g液に、2種以上の金属成分が含有される場合、前記2種以上の金属成分の浸漬前後の増加量の合計が、1質量ppm以下である。
【請求項13】
前記第1容器が、前記接液部の少なくとも一部が電解研磨されたステンレス鋼からなる電解研磨ステンレス鋼容器である場合、前記接液部の少なくとも一部の表面において、
前記表面における、鉄原子の含有原子数に対する、クロム原子の含有原子数の含有原子数比をP
前記表面を基準として、前記電解研磨ステンレス鋼容器の厚み方向に10nmの位置における、鉄原子の含有原子数に対する、クロム原子の含有原子数の含有原子数比をP、としたとき、
に対する、Pの比が、1.0を超える、請求項1〜9、及び、請求項12のいずれか一項に記載の薬液の品質検査方法。
【請求項14】
前記第1容器が、前記接液部の少なくとも一部が電解研磨されたステンレス鋼からなる電解研磨ステンレス鋼容器である場合、前記接液部の少なくとも一部の表面において、
前記表面を基準として、前記電解研磨ステンレス鋼容器の厚み方向に1nmの位置における、鉄原子の含有原子数に対する、クロム原子の含有原子数の含有原子数比が1.0以上である、請求項1〜9、及び、請求項12〜13のいずれか一項に記載の薬液の品質検査方法。
【請求項15】
前記薬液が、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、ジイソアミルエーテル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、イソプロパノール、及び、4−メチル−2−ペンタノールからなる群より選択される少なくとも1種の有機溶剤を含有する請求項1〜14のいずれか一項に記載の薬液の品質検査方法。
【請求項16】
前記測定が、前記c液中における有機成分の含有量を測定する、有機分析、及び、前記c液中における無機成分の含有量を測定する、無機分析を含む請求項1〜15のいずれか一項に記載の薬液の品質検査方法。
【請求項17】
前記測定が、ガスクロマトグラフィー質量分析法、ガスクロマトグラフィータンデム質量分析法、高速液体クロマトグラフィー質量分析法、高速液体クロマトグラフィータンデム質量分析法、及び、誘導結合プラズマ質量分析法からなる群より選択される少なくとも1種の測定法により行われる、請求項1〜16のいずれか一項に記載の薬液の品質検査方法。
【請求項18】
前記測定が、高速液体クロマトグラフィー質量分析法、及び、高速液体クロマトグラフィータンデム質量分析法からなる群より選択される少なくとも1種の測定法により行われる、請求項1〜17のいずれか一項に記載の薬液の品質検査方法。
【請求項19】
前記工程Bにおいて測定される特定成分の含有量、及び、工程Cにおいて比較される前記基準値が、絶対量である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の薬液の品質検査方法。
【請求項20】
前記工程Bにおいて測定される特定成分の含有量、及び、工程Cにおいて比較される前記基準値が、相対量である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の薬液の品質検査方法。
【請求項21】
前記特定成分は沸点が200℃以上の有機物を含む、請求項1〜20のいずれか一項に記載の薬液の品質検査方法。
【請求項22】
前記特定成分は沸点が300〜800℃の有機物を含む、請求項21に記載の薬液の品質検査方法。
【請求項23】
前記特定成分は分子量200以上の有機物を含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の薬液の品質検査方法。
【請求項24】
前記特定成分は分子量300〜1000の有機物を含む、請求項23に記載の薬液の品質検査方法。
【請求項25】
前記測定が、ガスクロマトグラフィー質量分析法、ガスクロマトグラフィータンデム質量分析法、高速液体クロマトグラフィー質量分析法、及び、高速液体クロマトグラフィータンデム質量分析法からなる群より選択される少なくとも1種の測定法により行われ、
前記特定成分は、m/Zが300〜1000の有機物を含む、請求項1〜24のいずれか一項に記載の薬液の品質検査方法。
【請求項26】
前記工程Wの前、又は、前記工程Wと前記工程Aとの間に、
接液部の少なくとも一部が、ガラス、含フッ素重合体、及び、電解研磨されたステンレス鋼からなる群より選択される少なくとも1種の材料からなる第3容器を準備するとともに、前記薬液の一部をh液とし、前記第3容器の接液部の少なくとも一部を、前記h液を用いて洗浄する工程W3と、
前記薬液の一部をi液とし、洗浄後の前記第3容器を用いて、前記i液を濃縮し、濃縮の倍率が異なる3種以上のj液を得る工程A3と、
前記j液におけるm/Zが300〜1000の有機物の含有量を高速液体クロマトグラフィー質量分析法、及び、ガスクロマトグラフィー質量分析法からなる群より選択される少なくとも1種の測定法で測定する工程B3と、
前記3種以上のj液の全てにおいて共通して検出される前記有機物が1種である場合、1種の前記有機物を前記特定成分と決定し、
前記3種以上のj液の全てにおいて共通して検出される前記有機物が2種以上である場合、
前記濃縮の倍率と、2種以上の前記有機物のそれぞれの含有量とを線形回帰したときの相関係数、及び、
前記濃縮の倍率と、2種以上の前記有機物の組み合わせにおける前記有機物の含有量の和とを線形回帰したときの相関係数から、
最大の相関係数を選択し、前記最大の相関係数が得られた前記有機物、又は、前記有機物の組み合わせを特定成分と決定する、工程C3と、をこの順に有する、特定成分決定工程、を更に有し、
少なくとも前記工程W3、及び、前記工程A3が、国際標準化機構が定める国際標準ISO14644−1:2015で定めるクラス4以上の清浄度を有するクリーンルーム内で実施され、
i液の濃縮が、Arガス、Heガス、及び、Nガスからなる群より選択される少なくとも1種の不活性ガス下で行われるか、又は、減圧下で行われる、請求項1〜25のいずれか一項に記載の薬液の品質検査方法。
【請求項27】
前記特定成分決定工程の後であって、前記工程Cの前に、前記基準値を決定する、基準値決定工程を更に有し、
前記基準値決定工程は、
接液部の少なくとも一部が、ガラス、含フッ素重合体、及び、電解研磨されたステンレス鋼からなる群より選択される少なくとも1種の材料からなるn個の第4容器を準備し、かつ、異なる製造方法により製造されたn種類の薬液を準備し、
前記n種類の薬液のそれぞれから、前記薬液の一部を2回ずつ取得し、それぞれp液、及び、p液とし、
それぞれの前記p液を用いて、ぞれぞれの前記第4容器の接液部の少なくとも一部を洗浄する工程W4と、
ぞれぞれの前記p液で洗浄した前記第4容器を用いて、対応する前記p液をそれぞれ濃縮し、n種類のq液を得る工程A4と、
前記q液中の前記特定成分の含有量を高速液体クロマトグラフィー質量分析法、及び、ガスクロマトグラフィー質量分析法からなる群より選択される少なくとも1種の測定法で測定する工程B4と、
前記n種類の薬液のそれぞれについて、欠陥検査装置を用いて欠陥抑制性能を評価する工程Sと
前記特定成分の含有量と前記欠陥抑制性能とを線形回帰して、検量線を作成する工程Tと、
前記検量線を用いて、所定の欠陥抑制性能に対応する前記特定成分の含有量を前記基準値とする工程Uと、をこの順に有し、
少なくとも前記工程W4、及び、前記工程A4が、国際標準化機構が定める国際標準ISO14644−1:2015で定めるクラス4以上の清浄度を有するクリーンルーム内で実施され、
液の濃縮が、Arガス、Heガス、及び、Nガスからなる群より選択される少なくとも1種の不活性ガス下で行われるか、又は、減圧下で行われ、
nが3以上の整数である、請求項26に記載の薬液の品質検査方法。
【請求項28】
前記測定が、前記c液中における無機成分の含有量を分析する無機分析を含み、かつ、前記工程Bにおいて測定される特定成分の含有量が絶対量であるとき、前記絶対量を求める方法が標準添加法である請求項1〜27のいずれか一項に記載の薬液の品質検査方法。
【請求項29】
前記測定が、前記c液中における無機物の含有量を測定する、無機分析を含み、
前記無機分析が、前記c液中におけるAg、Al、As、Au、Ba、Ca、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Ga、Ge、K、Li、Mg、Mn、Mo、Na、Nb、Ni、Pb、Sb、Sn、Sr、Ta、Th、Ti、Tl、V、W、Zn、及び、Zrからなる群より選択される少なくとも5種以上の原子の含有量の測定である、請求項1〜28のいずれか一項に記載の薬液の品質検査方法。
【請求項30】
前記5種以上の原子が、Al、Fe、及び、Tiからなる群より選択される少なくとも2種以上の原子を含む請求項29に記載の薬液の品質検査方法。
【請求項31】
前記工程Cにおいて、前記特定成分の含有量が前記基準値以下である場合、前記薬液を適合と判定する請求項1〜30のいずれか一項に記載の薬液の品質検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液の品質検査方法に関する。特に、有機溶剤を主成分とする(薬液の全質量に対して有機溶剤を98質量%以上含有する)薬液の品質検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造には、フォトリソグラフィープロセスが用いられている。フォトリソグラフィープロセスにおいては、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」ともいう。)等の基板をプリウェットし、次に、感活性光線性又は感放射線性組成物(以下、「レジスト組成物」ともいう。)を塗布し、感活性光線性又は感放射線性膜(以下、「レジスト膜」ともいう。)形成する。更に、形成されたレジスト膜を露光し、露光されたレジスト膜を現像して、現像後のレジスト膜をリンスして、ウェハ上にレジストパターンが形成される。
近年、半導体デバイスの微細化に伴い、フォトリソグラフィープロセスにおける欠陥の抑制が求められている。具体的には、プリウェット、レジスト膜形成、現像、及び、リンスの各プロセスにおいてウェハ上の欠陥の発生をより抑制することができる性能(以下、「欠陥抑制性能」ともいう。)を有する薬液が求められている。
そのような薬液の供給には、薬液が有する欠陥抑制性能の検査、言い換えれば、薬液の品質検査が必要である。
そのような薬液の品質検査方法として、特許文献1には、薬液(被検液)をシリコンウェハに塗布し、ウェハの表面欠陥をKLA−Tencor社製の欠陥検査装置で測定する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開第2015−049395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された方法によれば、欠陥抑制性能を評価するためには、実際に薬液をウェハに塗布しなければならず、操作が煩雑でコンタミネーションの原因になりやすく薬液の正確な欠陥抑制性能の評価が難しい場合があること、欠陥検査装置による検査にはもともと多くの時間が必要であるうえ、欠陥抑制装置が高価で多数を導入しにくいこと等から、結果として、薬液の欠陥抑制性能の評価に時間を要し、薬液の品質検査が困難である等の問題があった。
【0005】
そこで、本発明は薬液の欠陥抑制性能を簡便に評価できる薬液の品質検査方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
【0007】
[1] 半導体基板の製造に使用される薬液の品質検査方法であって、接液部の少なくとも一部が、ガラス、含フッ素重合体、及び、電解研磨されたステンレス鋼からなる群より選択される少なくとも1種の材料からなる第1容器を準備するとともに、薬液の一部をa液とし、a液を用いて、接液部の少なくとも一部を洗浄する工程Wと、薬液の一部をb液とし、洗浄後の第1容器を用いて、b液を濃縮してc液を得る工程Aと、c液中における特定成分の含有量を測定する工程Bと、特定成分の含有量をあらかじめ設定された基準値と比較する工程Cと、を、この順に有し、少なくとも工程W、及び、工程Aが、国際標準化機構が定める国際標準ISO14644−1:2015で定めるクラス4以上の清浄度を有するクリーンルーム内で実施され、濃縮が、Arガス、Heガス、及び、Nガスからなる群より選択される少なくとも1種の不活性ガス下で行われるか、又は、減圧下で行われ、測定が、ガスクロマトグラフィー質量分析法、ガスクロマトグラフィータンデム質量分析法、ガスクロマトグラフィー原子発光検出法、ガスクロマトグラフィー四重極飛行時間型質量分析法、直接試料導入型質量分析法、高速液体クロマトグラフィー質量分析法、高速液体クロマトグラフィータンデム質量分析法、高速液体クロマトグラフィー飛行時間型質量分析法、誘導結合プラズマ質量分析法、誘導結合プラズマ発光分光分析法、加熱発生ガス質量分析法、イオンクロマトグラフィー法、核磁気共鳴分光法、及び、原子吸光法からなる群より選択される少なくとも1種の測定法により行われる、薬液の品質検査方法。
[2] 工程Cにおいて、特定成分の含有量が、基準値を超えた場合、薬液を不適合とし、薬液を破棄する工程Dを有するか、又は、工程Cにおいて、特定成分の含有量が、基準値を超えた場合、薬液を精製し、その後、工程W、工程A、工程B、及び、工程Cを再度実施する工程Eを有する、[1]に記載の薬液の品質検査方法。
[3] 更に工程Bをクリーンルーム内で実施する、[1]又は[2]に記載の薬液の品質検査方法。
[4] 工程Wが、第1容器の少なくとも接液部を、酸洗浄する工程、超音波洗浄する工程、及び、乾燥する工程からなる群より選択される少なくとも1種を更に有する[1]〜[3]のいずれかに記載の薬液の品質検査方法。
[5] 工程Aにおいて、濃縮の倍率が2〜1000000倍である、[1]〜[4]のいずれかに記載の薬液の品質検査方法。
[6] 工程Aにおいて、濃縮の倍率が10〜10000倍である、[1]〜[5]のいずれかに記載の薬液の品質検査方法。
[7] 特定成分は、後述する式(1)〜(7)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の薬液の品質検査方法。
[8] 工程Aの濃縮の温度条件が10〜250度である[1]〜[7]のいずれかに記載の薬液の品質検査方法。
[9] 工程Aにおけるb液の体積が、5L以下である、[1]〜[8]のいずれかに記載の薬液の品質検査方法。
[10] 第1容器が、接液部の少なくとも一部が含フッ素重合体からなる含フッ素重合体容器である場合、含フッ素重合体容器は以下の試験における要件1又は要件2を満たす、[1]〜[9]のいずれかに記載の薬液の品質検査方法。
試験:薬液の一部をd液とし、d液を用いて接液部を洗浄し、薬液の一部をe液とし、e液の質量に対する、洗浄後の含フッ素重合体容器の質量比が、e液の液温を25℃とした場合に、1.0となる条件で、洗浄後の含フッ素重合体容器を、液温25℃のe液に24時間浸漬する。
要件1:浸漬後のe液に、1種のフッ化物イオンが含有される場合、1種のフッ化物イオンの浸漬前後の増加量が、1質量ppm以下である。
要件2:浸漬後のe液に、2種以上のフッ化物イオンが含有される場合、2種以上のフッ化物イオンの浸漬前後の増加量の合計が、1質量ppm以下である。
[11] 第1容器が、接液部の少なくとも一部が含フッ素重合体からなる含フッ素重合体容器である場合、接液部の少なくとも一部の表面において、表面における、炭素原子の含有原子数に対する、フッ素原子の含有原子数の含有原子数比をM、表面を基準として、含フッ素重合体容器の厚み方向に10nmの位置における、炭素原子の含有原子数に対する、フッ素原子の含有原子数の含有原子数比をM、としたとき、Mに対する、Mの比が、1.0を超える、[1]〜[10]のいずれかに記載の薬液の品質検査方法。
[12] 第1容器が、接液部の少なくとも一部が電解研磨されたステンレス鋼からなる電解研磨ステンレス鋼容器である場合、電解研磨ステンレス鋼容器は以下の試験における要件3又は要件4を満たす、[1]〜[9]のいずれかに記載の薬液の品質検査方法。
試験:薬液の一部をf液とし、f液を用いて接液部を洗浄し、薬液の一部をg液とし、g液の質量に対する、洗浄後の電解研磨ステンレス鋼容器の質量比が、g液の液温を25℃とした場合に、0.25となる条件で、洗浄後の電解研磨ステンレス鋼容器を、液温25℃のg液に24時間浸漬する。
要件3:浸漬後のg液に、1種の金属成分が含有される場合、1種の金属成分の浸漬前後の増加量が、1質量ppm以下である。
要件4:浸漬後のg液に、2種以上の金属成分が含有される場合、2種以上の金属成分の浸漬前後の増加量の合計が、1質量ppm以下である。
[13] 第1容器が、接液部の少なくとも一部が電解研磨されたステンレス鋼からなる電解研磨ステンレス鋼容器である場合、接液部の少なくとも一部の表面において、表面における、鉄原子の含有原子数に対する、クロム原子の含有原子数の含有原子数比をP、表面を基準として、電解研磨ステンレス鋼容器の厚み方向に10nmの位置における、鉄原子の含有原子数に対する、クロム原子の含有原子数の含有原子数比をP、としたとき、Pに対する、Pの比が、1.0を超える、[1]〜[9]、及び、[12]のいずれかに記載の薬液の品質検査方法。
[14] 第1容器が、接液部の少なくとも一部が電解研磨されたステンレス鋼からなる電解研磨ステンレス鋼容器である場合、接液部の少なくとも一部の表面において、表面を基準として、電解研磨ステンレス鋼容器の厚み方向に1nmの位置における、鉄原子の含有原子数に対する、クロム原子の含有原子数の含有原子数比が1.0以上である、[1]〜[9]、及び、[12]〜[13]のいずれかに記載の薬液の品質検査方法。
[15] 薬液が、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、ジイソアミルエーテル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、イソプロパノール、及び、4−メチル−2−ペンタノールからなる群より選択される少なくとも1種の有機溶剤を含有する[1]〜[14]のいずれかに記載の薬液の品質検査方法。
[16] 測定が、c液中における有機成分の含有量を測定する、有機分析、及び、c液中における無機成分の含有量を測定する、無機分析を含む[1]〜[15]のいずれかに記載の薬液の品質検査方法。
[17] 測定が、ガスクロマトグラフィー質量分析法、ガスクロマトグラフィータンデム質量分析法、高速液体クロマトグラフィー質量分析法、高速液体クロマトグラフィータンデム質量分析法、及び、誘導結合プラズマ質量分析法からなる群より選択される少なくとも1種の測定法により行われる、[1]〜[16]のいずれかに記載の薬液の品質検査方法。
[18] 測定が、高速液体クロマトグラフィー質量分析法、及び、高速液体クロマトグラフィータンデム質量分析法からなる群より選択される少なくとも1種の測定法により行われる、[1]〜[17]のいずれかに記載の薬液の品質検査方法。
[19] 工程Bにおいて測定される特定成分の含有量、及び、工程Cにおいて比較される基準値が、絶対量である、[1]〜[18]のいずれかに記載の薬液の品質検査方法。
[20] 工程Bにおいて測定される特定成分の含有量、及び、工程Cにおいて比較される基準値が、相対量である、[1]〜[19]のいずれかに記載の薬液の品質検査方法。
[21] 特定成分は沸点200℃以上の有機物を含む、[1]〜[20]のいずれかに記載の薬液の品質検査方法。
[22] 特定成分は沸点が300〜800℃の有機物を含む、[21]に記載の薬液の品質検査方法。
[23] 特定成分は分子量200以上の有機物を含む、[1]〜[22]のいずれかに記載の薬液の品質検査方法。
[24] 特定成分は分子量300〜1000の有機物を含む、[23]に記載の薬液の品質検査方法。
[25] 測定が、ガスクロマトグラフィー質量分析法、ガスクロマトグラフィータンデム質量分析法、高速液体クロマトグラフィー質量分析法、及び、高速液体クロマトグラフィータンデム質量分析法からなる群より選択される少なくとも1種の測定法により行われ、特定成分は、m/Zが300〜1000の有機物を含む、[1]〜[24]のいずれかに記載の薬液の品質検査方法。
[26] 工程Wの前、又は、工程Wと工程Aとの間に、接液部の少なくとも一部が、ガラス、含フッ素重合体、及び、電解研磨されたステンレス鋼からなる群より選択される少なくとも1種の材料からなる第3容器を準備するとともに、薬液の一部をh液とし、第3容器の接液部の少なくとも一部を、h液を用いて洗浄する工程W3と、薬液の一部をi液とし、洗浄後の第3容器を用いて、i液を濃縮し、濃縮の倍率が異なる3種以上のj液を得る工程A3と、j液におけるm/Zが300〜1000の有機物の含有量を高速液体クロマトグラフィー質量分析法、及び、ガスクロマトグラフィー質量分析法からなる群より選択される少なくとも1種の測定法で測定する工程B3と、3種以上のj液の全てにおいて共通して検出される有機物が1種である場合、1種の有機物を特定成分と決定し、3種以上のj液の全てにおいて共通して検出される有機物が2種以上である場合、濃縮の倍率と、2種以上の有機物のそれぞれの含有量とを線形回帰したときの相関係数、及び、濃縮の倍率と、2種以上の有機物の組み合わせにおける有機物の含有量の和とを線形回帰したときの相関係数から、最大の相関係数を選択し、最大の相関係数が得られた有機物、又は、有機物の組み合わせを特定成分と決定する、工程C3と、をこの順に有する、特定成分決定工程、を更に有し、少なくとも工程W3、及び、工程A3が、国際標準化機構が定める国際標準ISO14644−1:2015で定めるクラス4以上の清浄度を有するクリーンルーム内で実施され、i液の濃縮が、Arガス、Heガス、及び、Nガスからなる群より選択される少なくとも1種の不活性ガス下で行われるか、又は、減圧下で行われる、[1]〜[25]のいずれかに記載の薬液の品質検査方法。
[27] 特定成分決定工程の後であって、工程Cの前に、基準値を決定する、基準値決定工程を更に有し、基準値決定工程は、接液部の少なくとも一部が、ガラス、含フッ素重合体、及び、電解研磨されたステンレス鋼からなる群より選択される少なくとも1種の材料からなるn個の第4容器を準備し、かつ、異なる製造方法により製造されたn種類の薬液を準備し、n種類の薬液のそれぞれから、薬液の一部を2回ずつ取得し、それぞれp液、及び、p液とし、それぞれのp液を用いて、ぞれぞれの第4容器の接液部の少なくとも一部を洗浄する工程W4と、ぞれぞれのp液で洗浄した第4容器を用いて、対応するp液をそれぞれ濃縮し、n種類のq液を得る工程A4と、q液中の特定成分の含有量を高速液体クロマトグラフィー質量分析法、及び、ガスクロマトグラフィー質量分析法からなる群より選択される少なくとも1種の測定法で測定する工程B4と、n種類の薬液のそれぞれについて、欠陥検査装置を用いて欠陥抑制性能を評価する工程Sと特定成分の含有量と欠陥抑制性能とを線形回帰して、検量線を作成する工程Tと、検量線を用いて、所定の欠陥抑制性能に対応する特定成分の含有量を基準値とする工程Uと、をこの順に有し、少なくとも工程W4、及び、工程A4が、国際標準化機構が定める国際標準ISO14644−1:2015で定めるクラス4以上の清浄度を有するクリーンルーム内で実施され、p液の濃縮が、Arガス、Heガス、及び、Nガスからなる群より選択される少なくとも1種の不活性ガス下で行われるか、又は、減圧下で行われ、nが3以上の整数である、[26]に記載の薬液の品質検査方法。
[28] 測定が、c液中における無機成分の含有量を分析する無機分析を含み、かつ、工程Bにおいて測定される特定成分の含有量が絶対量であるとき、絶対量を求める方法が標準添加法である[1]〜[27]のいずれかに記載の薬液の品質検査方法。
[29] 測定が、c液中における無機物の含有量を測定する、無機分析を含み、無機分析が、c液中におけるAg、Al、As、Au、Ba、Ca、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Ga、Ge、K、Li、Mg、Mn、Mo、Na、Nb、Ni、Pb、Sb、Sn、Sr、Ta、Th、Ti、Tl、V、W、Zn、及び、Zrからなる群より選択される少なくとも5種以上の原子の含有量の測定である、[1]〜[28]のいずれかに記載の薬液の品質検査方法。
[30] 5種以上の原子が、Al、Fe、及び、Tiからなる群より選択される少なくとも2種以上の原子を含む[29]に記載の薬液の品質検査方法。
[31] 工程Cにおいて、特定成分の含有量が基準値以下である場合、薬液を適合と判定する[1]〜[30]のいずれかに記載の薬液の品質検査方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、薬液の欠陥抑制性能を簡便に評価できる薬液の品質検査方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本発明において「準備」というときには、特定の材料を合成又は調合して備えることのほか、購入等により所定の物を調達することを含む意味である。
また、本発明において、「ppm」は「parts-per-million(10−6)」を意味し、「ppb」は「parts-per-billion(10−9)」を意味し、「ppt」は「parts-per-trillion(10−12)」を意味し、「ppq」は「parts-per-quadrillion(10−15)」を意味する。
また、本発明において、1Å(オングストローム)は、0.1nmに相当する。
また、本発明において、「重合体」は重量平均分子量が2000以上の化合物を意味する。
【0010】
[薬液の品質検査方法]
本発明の実施形態に係る薬液の品質検査方法は、半導体基板の製造に使用される薬液の品質検査方法であって、接液部の少なくとも一部が、ガラス、含フッ素重合体、及び、電解研磨されたステンレス鋼からなる群より選択される少なくとも1種の材料(以下、「耐腐食材料」ともいう。)からなる第1容器を準備するとともに、薬液の一部をa液とし、接液部の少なくとも一部を、a液を用いて洗浄する工程Wと、薬液の一部をb液とし、洗浄後の第1容器を用いて、b液を濃縮してc液を得る工程Aと、c液中における特定成分の含有量を測定する工程Bと、特定成分の含有量をあらかじめ設定された基準値と比較する工程Cと、を、この順に有し、少なくとも工程W、及び、工程Aが、国際標準化機構が定める国際標準ISO14644−1:2015で定めるクラス4以上の清浄度を有するクリーンルーム内で実施され、濃縮が、Arガス、Heガス、及び、Nガスからなる群より選択される少なくとも1種の不活性ガス下で行われるか、又は、減圧下で行われ、測定が、ガスクロマトグラフィー質量分析法、ガスクロマトグラフィータンデム質量分析法、ガスクロマトグラフィー原子発光検出法、ガスクロマトグラフィー四重極飛行時間型質量分析法、直接試料導入型質量分析法、高速液体クロマトグラフィー質量分析法、高速液体クロマトグラフィータンデム質量分析法、高速液体クロマトグラフィー飛行時間型質量分析法、誘導結合プラズマ質量分析法、誘導結合プラズマ発光分光分析法、加熱発生ガス質量分析法、イオンクロマトグラフィー法、核磁気共鳴分光法、及び、原子吸光法からなる群より選択される少なくとも1種の測定法により行われる、薬液の品質検査方法である。
【0011】
〔工程W〕
工程Wは、接液部が耐腐食材料からなる第1容器を準備するとともに、薬液の一部をa液とし、a液を用いて、接液部の少なくとも一部を、a液を用いて洗浄する工程である。以下では、工程Wについて、使用される部材、及び、方法を詳述する。
【0012】
<薬液>
上記薬液は、半導体基板の製造に使用される薬液である。上記薬液中の成分としては、溶剤、及び、特定成分が挙げられる。
【0013】
(溶剤)
薬液は溶剤を含有する。溶剤としては水、有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。なかでも、薬液としては有機溶剤を含有することが好ましい。なお、本明細書において、「有機溶剤」とは、25℃の大気圧下で液体である有機物であり、かつ、薬液の全質量に対して、10000質量ppm以上の含有量で含有される有機物を意味する。
薬液中における溶剤の含有量としては特に制限されないが、薬液の全質量に対して、一般に98質量%以上が好ましく、99質量%以上がより好ましく、99.9質量%以上が更に好ましく、99.99質量%以上が特に好ましく、99.999質量%以上が最も好ましい。
溶剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の溶剤を併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
【0014】
・有機溶剤
薬液が含有する有機溶剤としては、特に制限されないが、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4〜10)、環を有してもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、及び、ピルビン酸アルキル等が挙げられる。
また、有機溶剤としては、例えば、特開2016−57614号公報、特開2014−219664号公報、特開2016−138219号公報、及び、特開2015−135379号公報に記載のものを用いてもよい。
【0015】
また、有機溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、n−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、2,2−ジメチル−3−ペンタノール、2,3−ジメチル−3−ペンタノール、2,4−ジメチル−3−ペンタノール、4,4−ジメチル−2−ペンタノール、3−エチル−3−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−メチル−2−ヘキサノール、2−メチル−3−ヘキサノール、5−メチル−1−ヘキサノール、5−メチル−2−ヘキサノール、2−エチル−1−ヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、トリメチルシクロヘキサノール、4−メチル−3−ヘプタノール、6−メチル−2−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、2−プロピル−1−ペンタノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、2−ノナノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ブチルプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、tert−ブチルエチルエーテル、tert−ブチルプロピルエーテル、ジ−tert−ブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、ブロモメチルメチルエーテル、α,α−ジクロロメチルメチルエーテル、クロロメチルエチルエーテル,2−クロロエチルメチルエーテル、2−ブロモエチルメチルエーテル、2,2−ジクロロエチルメチルエーテル、2−クロロエチルエチルエーテル、2−ブロモエチルエチルエーテル、(±)−1,2−ジクロロエチルエチルエーテル、2,2,2−トリフルオロエチルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アリルエチルエーテル、アリルプロピルエーテル、アリルブチルエーテル、ジアリルエーテル、2−メトキシプロペン、エチル−1−プロペニルエーテル、cis−1−ブロモ−2−エトキシエチレン、2−クロロエチルビニルエーテル、アリル−1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、メチルシクロヘキサン、デカリン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、クメン、第2−ブチルベンゼン、サイメン、ジペンテン、ピルビン酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、クロロホルム、ジクロロメタン、1,4−ジオキサン、及び、テトラヒドロフラン等であってもよい。
【0016】
また、半導体基板の製造用として用いられる薬液であって、とくに、プリウェット液、現像液、及び、レジスト組成物中に含有される形態では、薬液は、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、シクロペンタノン(CyPn)、シクロペンタン(CyPe)、酢酸ブチル(nBA)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、シクロヘキサン(CyHe)、シクロヘキサノン(CyHx)、乳酸エチル(EL)、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル(HBM)、シクロペンタノンジメチルアセタール(DBCPN)、γ−ブチロラクトン(GBL)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)、iAA(酢酸イソアミル)、2−プロパノール(IPA)、メチルエチルケトン(MEK)、及び、4−メチル−2−ペンタノール(MIBC)からなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、PGMEA、MIBC、nBA、PGME、CyHe、GBL、EL、DMSO、iAA、HBM、PC、IPA及び、CyPeからなる群から選択される少なくとも1種を含有することがより好ましい。なお、有機溶剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0017】
薬液中における有機溶剤の含有量としては特に制限されないが、薬液の全質量に対して、一般に98質量%以上が好ましく、99質量%以上がより好ましく、99.9質量%以上が更に好ましく、99.99質量%以上が特に好ましく、99.999質量%以上が最も好ましい。
有機溶剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の有機溶剤を併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
【0018】
(特定成分)
特定成分は、薬液に含有される、欠陥の原因となる成分、又は、その組み合わせを意味する。特定成分としては、無機物(以下「特定無機物」ともいう。)及び有機物(以下「特定有機物」ともいう。)が挙げられる。
なお、本明細書において、特定有機物は、薬液の全質量に対して、10000質量ppm以下の含有量にて含有される有機物を意味する。
【0019】
・特定有機物
特定成分である有機物としては特に制限されず、公知の有機物が挙げられる。薬液中における特定有機物の含有量としては特に制限されないが、1質量ppb以下であることが好ましく、100質量ppt以下であることがより好ましく、10質量ppt以下であることがより好ましい。
特定有機物としては、例えば、上記溶剤よりも沸点が高い高沸点有機物、具体的には、沸点が200℃以上の有機物が挙げられる。なかでも、沸点が300〜800℃の有機物は、その含有量と薬液の欠陥抑制性能とを線形回帰したとき、より高い相関係数が得られる。
また、特定有機物の分子量としては特に制限されないが、分子量が200以上である化合物と薬液の欠陥抑制性能とは、線形回帰したとき、より高い相関係数が得られ、分子量が300〜1000である化合物は更に高い相関係数が得られる。
【0020】
また、後述する工程Bにおける測定が、ガスクロマトグラフィー質量分析法、ガスクロマトグラフィータンデム質量分析法、高速液体クロマトグラフィー質量分析法、及び、高速液体クロマトグラフィータンデム質量分析法からなる群より選択される少なくとも1種の測定法により行われる場合においては、特定有機物としては、m/Zが300〜1000の有機物と薬液の欠陥抑制性能とは、線形回帰したとき、より高い相関係数が得られる。
【0021】
このような特定有機物は、有機溶剤の合成の際に用いられた未反応の原材料、有機溶剤の構造異性体、有機溶剤の酸化を防止するための安定化剤(例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT、沸点265℃)等)、及び製造装置等の部材から溶出して、薬液中に混入するものがある。
【0022】
製造装置等の部材から溶出することがある有機物として、プラスチック材料(例えば、O−リング等)中に含まれる樹脂成分又は可塑剤等も挙げられる。このような成分として、例えば、フタル酸ジオクチル(DOP、沸点385℃)、フタル酸ジイソノニル(DINP、沸点403℃)、アジピン酸ジオクチル(DOA、沸点335℃)、フタル酸ジブチル(DBP、沸点340℃)、及び、エチレンプロピレンゴム(EPDM、沸点300〜450℃)等が挙げられる。
【0023】
また、特定有機物としては、上記以外にも、例えば、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(DEHP)、フタル酸ビス(2−プロピルヘプチル)(DPHP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ベンジルブチル(BBzP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ジイソオクチル(DIOP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジイソブチル(DIBP)、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジイソノニル、トリメリット酸トリメチル(TMTM)、トリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)(TEHTM)、トリメリット酸トリス(n−オクチル−n−デシル)(ATM)、トリメリット酸トリス(ヘプチル,ノニル)(LTM)、トリメリット酸トリス(オクチル)(OTM)、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)(DEHA)、アジピン酸ジメチル(DMAD)、アジピン酸モノメチル(MMAD)、アジピン酸ジオクチル(DOA)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、セバシン酸ジブチル(DBS)、マレイン酸ジブチル(DBM)、マレイン酸ジイソブチル(DIBM)、アゼライン酸エステル、安息香酸エステル、テレフタレート(例:ジオクチルテレフタレート(DEHT))、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(DINCH)、エポキシ化植物油、アルキルスルホン酸フェニルエステル(ASE)、スルホンアミド(例:N−エチル−トルエンスルホンアミド(ETSA)、N−(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンスルホンアミド(HP BSA)、N−(n−ブチル)ベンゼンスルホンアミド(BBSA−NBBS))、有機リン酸エステル(例:リン酸トリクレジル(TCP)、リン酸トリブチル(TBP))、ジヘキサン酸トリエチレングリコール(3G6)、ジヘプタン酸テトラエチレングリコール(4G7)、アセチル化モノグリセリド、クエン酸トリエチル(TEC)、アセチルクエン酸トリエチル(ATEC)、クエン酸トリブチル(TBC)、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、クエン酸トリオクチル(TOC)、アセチルクエン酸トリオクチル(ATOC)、クエン酸トリへキシル(THC)、アセチルクエン酸トリへキシル(ATHC)、ブチリルクエン酸トリへキシル(BTHC)、クエン酸トリメチル(TMC)、エポキシ化大豆油、ニトログリセリン(NG)、ブタントリオールトリナイトレート(BTTN)、ジニトロトルエン(DNT)、三硝酸トリメチロールエタン(TMETN)、二硝酸ジエチレングリコール(DEGDN)、二硝酸トリエチレングリコール(TEGDN)、ビス(2,2−ジニトロプロピル)ホルマール(BDNPF)、ビス(2,2−ジニトロプロピル)アセタール(BDNPA)、2,2,2−トリニトロエチル−2−ニトロエチルエーテル(TNEN)、及び、ポリブテン等が挙げられる。
【0024】
なかでも、本発明者らは、薬液中に以下の式(1)〜(7)で表される特定有機物が含有される場合、その含有量と薬液の欠陥抑制性能とを線形回帰したとき、更に高い相関係数が得られることを知見している。本品質検査方法において、特定化合物が以下の式(1)〜(7)で表される有機物を含む場合、より正確に薬液の欠陥抑制性能を評価できる。
【化1】
【0025】
・特定無機物
特定成分である無機物(「特定無機物」)としては特に制限されず、公知の金属、及び、無機化合物等が挙げられる。薬液中における特定無機物の含有量としては特に制限されないが、薬液の全質量に対して、1質量ppb以下が好ましく、100質量ppt以下がより好ましく、10質量ppt以下が更に好ましい。
【0026】
特定無機物は、例えば、薬液の製造に用いられる製造装置の金属製のタンク、及び、薬液の精製に用いられるフィルタ等から、薬液に混入することがある。
特定無機物としては、例えば、Ag、Al、As、Au、Ba、Ca、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Ga、Ge、K、Li、Mg、Mn、Mo、Na、Nb、Ni、Pb、Sb、Sn、Sr、Ta、Th、Ti、Tl、V、W、Zn、及び、Zr等が挙げられる。なかでも、本発明者らの検討によれば、薬液が、Ag、Al、As、Au、Ba、Ca、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Ga、Ge、K、Li、Mg、Mn、Mo、Na、Nb、Ni、Pb、Sb、Sn、Sr、Ta、Th、Ti、Tl、V、W、Zn、及び、Zrからなる群より選択される少なくとも5種以上の原子を含有する場合、その合計含有量と薬液の欠陥抑制性能とを線形回帰したとき、より高い相関係数が得られることを知見している。更に、上記5種以上の原子が、Al、Fe、及び、Tiからなる群より選択される少なくとも2種以上の金属を含有する場合、その合計含有量と薬液の欠陥抑制性能とを線形回帰したとき、更に高い相関係数が得られることを知見している。
【0027】
<第1容器>
工程Wで準備する第1容器は、接液部の少なくとも一部が耐腐食材料からなれば、特に制限されず、公知の容器が使用できる。
容器の形状としては特に制限されないが、例えば、蓋付きのボトル状、すなわち、一端部に開口を有する容器と、容器の一端部に対して着脱可能に装着されて、上記開口を密閉する蓋部とを有し、容器と容器に装着された蓋とにより形成されるキャビティに液体を収容する形状であってもよい。また、容器としては、後述する濃縮工程で使用する装置(ロータリーエバポレータ等)に接続可能な形状(例えば、ナス型フラスコ等)であってもよい。
また、第1容器の容量としては特に制限されず、用途に応じて適宜選択可能である。
また、第1容器の厚みとしては特に制限されず、濃縮される薬液を保持し、必要に応じて容器の形状を保ち、自立できる程度の厚みを、使用する材料に応じて適宜選択すればよい。一般的には、第1容器の厚みとしては、1〜30mm程度が好ましい。
なお、本明細書において、「準備」というときには容器を製造すること、及び、容器を購入等により調達することが含まれる。
【0028】
上記第1容器の接液部の少なくとも一部は、耐腐食材料から形成される。本明細書において、接液部とは、第1容器に収容された液体(例えば、薬液)と接触する可能性のある部分のことを意味し、例えば、内壁、及び、内底等が挙げられる。
第1容器の接液部の少なくとも一部が、耐腐食材料から形成されていればよいが、より優れた本発明の効果が得られる点で、面積基準で接液部の少なくとも50%超が耐腐食材料から形成されることが好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましく、90%以上が特に好ましく、99%以上が最も好ましい。
なお上記第1容器は、接液部以外の部分も、耐腐食材料から形成されることが好ましい。接液部以外の部分としては例えば、外壁、及び、底等が挙げられる。
【0029】
第1容器の接液部が耐腐食材料から形成される形態は特に制限されないが、第1容器の少なくとも一部(好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは全体)が耐腐食材料で形成される形態、又は、容器の少なくとも一部(好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは全体)が、基材と、基材上に、基材の少なくとも一部を覆うように配置された耐腐食材料から形成される被覆層とを有する積層体からなり、被覆層が接液部を形成する形態が挙げられる。
【0030】
(耐腐食材料)
耐腐食材料は、ガラス、含フッ素重合体、及び、電解研磨されたステンレス鋼からなる群より選択される少なくとも1種であり、これらを併用してもよい。上記材料により形成された接液部を有する容器からは、内部に収容された液体(例えば薬液)に不純物が溶出しにくい。
【0031】
・ガラス
ガラスとしては特に制限されないが、例えば、例えば、ソーダライムガラス、及び、ホウケイ酸ガラス等が挙げられる。また、ガラスとしては、表面処理された表面処理済みガラスであってもよい。言い換えれば、ガラス基材と、ガラス基材上に、ガラス基材を覆うように配置された被覆層とを有する被覆層付きガラスであってもよい。
表面処理の方法としては特に制限されないが、例えば、特昭59−35043号公報、及び、特開平11−29148号公報等に記載された方法を参照できる。
【0032】
・含フッ素重合体
含フッ素重合体としては特に制限されず、公知のフッ素原子を含有する重合体が使用できる。含フッ素重合体としては、特に制限されないが、以下の式(1)で表される単位(「単位1」ともいう。)を有し、任意で更に、式(2)で表される単位(「単位2」ともいう。)を有していてもよい。
【0033】
【化2】
【0034】
式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又は、パーフルオロアルキル基を表し、R〜Rはそれぞれ同一でも異なってもよいが、R〜Rのうち少なくとも1つは、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を表す。
なかでも、より優れた本発明の効果が得られる点で、R〜Rはそれぞれ独立にフッ素原子又はパーフルオロアルキル基が好ましい。
また、更に優れた本発明の効果が得られる点で、含フッ素重合体は、式(1)で表される単位からなることが好ましい。なお、その場合であっても、含フッ素重合体は、1種の式(1)で表される単位のみを含有していても(例えば、ポリテトラフルオロエチレン等)であっても、2種以上の式(1)で表される単位を含有しても(例えば、パーフルオロアルコキシアルカン、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体等)であってもよい。
【0035】
単位1及び単位2の含フッ素重合体中における含有量(モル%)としては特に制限されず、用途に応じて適宜選択されればよい。
【0036】
上記のような含フッ素重合体としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(パーフルオロエチレンプロペン共重合体、FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及び、ポリフッ化ビニル(PVF)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、より優れた本発明の効果を有する部材が得られる点で、完全フッ素化された含フッ素重合体が好ましく、PTFE、PFA、又は、FEPがより好ましく、後述する末端安定化されたPFA、又は、PTFEが更に好ましい。
【0037】
一般に、上記含フッ素重合体は、その重合鎖末端に重合性基、及び/又は、分子量調整剤に由来する−CHOH及び−COOH等の基が残存していることが多い。上記のような基は不安定であり、成形時に熱分解して−COFを生成する。更にこの−COFが加水分解し、フッ素化物イオン等のフッ化物イオン(好ましくは分子量が1000以下)を薬液へと溶出する原因にもなることを本発明者は知見している。
【0038】
上記含フッ素重合体は、末端にパーフルオロアルキル基を有する含フッ素重合体が好ましい。言い換えれば、重合鎖末端がパーフルオロアルキル基で置換処理された(末端安定化された)処理済み含フッ素重合体であることが好ましい。パーフロオロアルキル基としては特に制限されないが、−CF−CF又は−CFが好ましい。
【0039】
置換処理の方法としては特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、特開昭60−240713号、特開昭62−104822号、及び、特開平3−250008号等に記載されている公知の方法が採用できる。
なお、処理済み含フッ素重合体における、−CHOH、−COOH、及び、−COFの含有量(個数)の合計は、処理済み含フッ素重合体の炭素数10個あたり、50個以下が好ましく、30個以下がより好ましい。
【0040】
・・含フッ素重合体容器の物性1(フッ化物イオンの溶出量)
第1容器が、接液部の少なくとも一部が、含フッ素重合体からなる含フッ素重合体容器である場合、含フッ素重合体容器は、以下の試験における要件1又は要件2を満たすことが好ましい。含フッ素重合体容器が以下の要件1又は要件2を満たす場合、より優れた本発明の効果が得られる。
【0041】
試験方法は、以下のとおりである。薬液の一部をd液とし、d液を用いて接液部を洗浄し、薬液の一部をe液とし、e液の質量に対する、含フッ素重合体容器の質量比が、e液の液温を25℃とした場合に、1.0となる条件で、洗浄後の含フッ素重合体容器を、液温25℃のe液に24時間浸漬する方法である。すなわち、品質検査の対象物である薬液自体に、その濃縮に使用する第1容器を浸漬する方法である。このとき、含フッ素重合体容器が200gであった場合、浸漬に使用されるe液の量は、e液の液温を25℃としたときに200gとなるようにする。e液の液温は、浸漬期間(24時間)中、25℃で一定となるように調整する。
浸漬は、後述するクリーンルーム内で実施するのが好ましい。環境中からのe液への不純物の混入(コンタミネーション)の影響をより抑制できる。
また、浸漬に使用する浸漬槽としては特に制限されないが、すでに述べた耐腐食材料で形成されていることが好ましく、また、使用前に接液部をd液で洗浄することが好ましい。
【0042】
次に、浸漬前後のe液中におけるフッ化物イオンの含有量の増加量を測定する。浸漬前のe液中におけるフッ化物イオンの含有量と、浸漬後のe液中におけるフッ化物イオンの含有量を測定して、その差を増加量とする。なお、浸漬液中のフッ化物イオンの含有量の測定は、イオンクロマトグラフ法により行う。具体的には、以下の装置及び条件、又は、これに相当する装置及び条件で行う。
装置:島津製作所製HIC−SPサブプレッサイオンクロマトグラフ
使用カラム :イオン交換樹脂 (内径 4.0 mm、長さ 25 cm)
移動相 :炭酸水素ナトリウム溶液 (1.7 mmol/L) − 炭酸ナトリウム溶液 (1.8 mmol/L) 流量 :1.5 mL/min
試料注入量 :25 μL
カラム温度 :40 ℃
サプレッサ :電気透析形 検出器 :電気伝導度検出器 (30 ℃)
【0043】
第1容器としては、上記方法により求めたフッ化物イオンの増加量(言い換えれば、フッ化物イオンの溶出量)が以下のいずれかを満たすことが好ましい。
要件1:浸漬後のe液に、1種のフッ化物イオンが含有される場合、1種のフッ化物イオンの浸漬前後の増加量が、1質量ppm以下である。
要件2:浸漬後のe液に、2種以上のフッ化物イオンが含有される場合、2種以上のフッ化物イオンの浸漬前後の増加量の合計が、1質量ppm以下である。
【0044】
なお、上記は、接液部の少なくとも一部が、ガラス、又は、電解研磨されたステンレス鋼で形成された第1容器においても満たされることが好ましい。
【0045】
・・含フッ素重合体容器の物性1(F/C比の分布)
含フッ素重合体容器は、接液部の少なくとも一部の表面において、表面における、炭素原子の含有原子数に対する、フッ素原子の含有原子数の含有原子数比をM、表面を基準として、容器の厚み方向に10nmの位置における、炭素原子の含有原子数に対する、フッ素原子の含有原子数の含有原子数比をM、としたとき、Mに対する、Mの比(M/M)が、1.0を超えることが好ましい。
/Mの上限値としては特に制限されないが、3.0以下が好ましい。
/Mが1.0を超える状態とは、第1容器の最表面において、その内部よりも炭素原子と比較したフッ素原子の原子数基準の存在比率(F/C)が高いことを意味し、結果として第1容器の表面における耐薬品性が向上し、結果として、より優れた本発明の効果が得られる。
/Mが3.0以下であると、接液部の最表面における遊離状態の(言いかれれば、含フッ素重合体に結合していない状態の)フッ化物イオンがより少なく、濃縮される薬液に、フッ化物イオンがより溶出し難いため、結果として、より優れた本発明の効果が得られる。
【0046】
なお、M及びMは、飛行時間二次イオン質量分析法により求められる。具体的には、以下の装置及び条件、又は、これに相当する装置及び条件で行う。
使用装置:飛行時間二次イオン質量分析計(ION−TOF社製、商品名「TOF−SIMS5」)
一次イオン:Bi2+
一次イオン加速電圧:25kV
測定面積:500μm角
測定温度:−100℃以下
エッチングは、Ar−GCIB(Arのガスクラスターイオンビーム)を照射し、一次イオン源としてBi3+を照射し、得られる二次イオンを飛行時間型の質量分析計を用いて分析し、スペクトルを得る。
【0047】
Ar−GCIB投入圧:3MPa
測定面:150μm角
測定モード:高質量分解能
【0048】
なお、上記は、接液部の少なくとも一部が、ガラス、又は、電解研磨されたステンレス鋼で形成された第1容器においても満たされることが好ましい。
【0049】
・電解研磨されたステンレス鋼
ステンレス鋼としては、特に制限されず、公知のステンレス鋼が使用できる。なかでも、ニッケルを8質量%以上含有するステンレス鋼が好ましく、ニッケルを8質量%以上含有するオーステナイト系ステンレス鋼がより好ましい。オーステナイト系ステンレス鋼としては、例えばSUS(Steel Use Stainless)304(Ni含有量8質量%、Cr含有量18質量%)、SUS304L(Ni含有量9質量%、Cr含有量18質量%)、SUS316(Ni含有量10質量%、Cr含有量16質量%)、及びSUS316L(Ni含有量12質量%、Cr含有量16質量%)等が挙げられる。
【0050】
ステンレス鋼を電解研磨する方法としては特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、特開2015−227501号公報の段落[0011]−[0014]、及び特開2008−264929号公報の段落[0036]−[0042]等に記載された方法を用いることができる。
【0051】
ステンレス鋼は、電解研磨されることにより表面の不動態層におけるクロムの含有量が、母相のクロムの含有量よりも多くなっているものと推測される。そのため、電解研磨されたステンレス鋼からは、濃縮される薬液中に金属成分が溶出しにくいため、結果として、より優れた本発明の効果が得られるものと推測される。
なお、ステンレス鋼は、バフ研磨されていることが好ましい。バフ研磨の方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。バフ研磨の仕上げに用いられる研磨砥粒のサイズは特に制限されないが、ステンレス鋼の表面の凹凸がより小さくなりやすい点で、#400以下が好ましい。
なお、バフ研磨は、電解研磨の前に行われることが好ましい。
また、ステンレス鋼は、研磨砥粒のサイズ等の番手を変えて行われる複数段階のバフ研磨、酸洗浄、及び、磁性流体研磨等を、1又は2以上組み合わせて処理されたものであってもよい。
【0052】
・・電解研磨されたステンレス鋼容器の物性1(金属成分の溶出量)
接液部の少なくとも一部が、電解研磨されたステンレス鋼からなる電解研磨ステンレス鋼容器である場合、電解研磨ステンレス鋼容器は、以下の試験における要件3又は要件4を満たすことが好ましい。電解研磨ステンレス鋼容器が以下の要件3又は要件4を満たす場合、より優れた本発明の効果が得られる。
【0053】
試験方法は、以下のとおりである。薬液の一部をf液とし、f液を用いて接液部を洗浄し、薬液の一部をg液とし、g液の質量に対する、電解研磨ステンレス鋼容器の質量比が、g液の液温を25℃とした場合に、0.25となる条件で、洗浄後の電解研磨ステンレス鋼容器を、液温25℃のg液に24時間浸漬する方法である。すなわち、品質管理の対象となる薬液自体に、その濃縮に使用する容器を浸漬する方法である。このとき、電解研磨ステンレス鋼容器が200gであった場合、浸漬に使用されるg液の量は、g液の液温を25℃としたときに50gとなるようにする。g液の液温は、浸漬期間(24時間)中、25℃で一定となるように調整する。
浸漬は、後述するクリーンルーム内で実施するのが好ましい。環境中からの薬液への不純物の混入(コンタミネーション)の影響をより抑制できる。
また、浸漬に使用する浸漬槽としては特に制限されないが、すでに述べた耐腐食材料で形成されていることが好ましく、また、使用前に接液部をf液で洗浄することが好ましい。
【0054】
次に、浸漬前後のe液中における金属成分の含有量の増加量を測定する。浸漬前のe液中における金属成分の含有量と、浸漬後のe液中における金属成分の含有量を測定して、その差を増加量とする。なお、金属成分とは、e液中において、金属イオンとして存在するもの(錯イオンを含む)、及び、粒子として存在するものの両方に由来する金属原子を意味する。e液中における金属成分の含有量は、誘導結合プラズマ質量分析法により測定できる。
【0055】
電解研磨ステンレス鋼容器としては、上記方法により求めた金属成分の増加量(言い換えれば、金属成分の溶出量)が以下のいずれかを満たすことが好ましい。
要件3:浸漬後のe液に、1種の金属成分が含有される場合、1種の金属成分の浸漬前後の増加量が、1質量ppm以下である。
要件4:浸漬後のe液に、2種以上の金属成分が含有される場合、2種以上の金属成分の浸漬前後の増加量の合計が、1質量ppm以下である。
【0056】
なお、上記は、接液部の少なくとも一部が、ガラス、又は、含フッ素重合体で形成された第1容器においても満たされることが好ましい。
【0057】
・・電解研磨ステンレス鋼容器の物性2(Cr/Fe比)
電解研磨ステンレス鋼容器は、接液部の少なくとも一部の表面において、表面を基準として、容器の厚み方向に1nmの位置における、鉄原子の含有原子数に対する、クロム原子の含有原子数の含有原子数比(Cr/Fe)が1.0以上であることが好ましい。
なお上限としては特に制限されないが、3.5以下が好ましく、3.0以下がより好ましく、2.5以下が更に好ましい。Cr/Feが1.0以上であると、電解研磨ステンレス鋼容器はより優れた耐薬品性を有し、結果としてより優れた本発明の効果が得られる。
【0058】
なお、本明細書における上記表面のCr/Feは以下の方法によって測定されるCr/Feを意味する。
測定方法:Arイオンエッチングを併用したX線光電子分光分析
【0059】
測定条件
X線源:Al−Kα
X線ビーム径:φ200μm
信号の取り込み角度:45°
【0060】
イオンエッチング条件
イオン種:Ar
電圧:2kV
面積:2×2mm
速度:6.3nm/min(SiO換算)
【0061】
なお、上記は、接液部の少なくとも一部が、ガラス、又は、含フッ素重合体で形成された第1容器においても満たされることが好ましい。
【0062】
<第1容器の洗浄方法>
本工程における第1容器の洗浄方法としては特に制限されない。薬液の一部から取り出したa液を用いて第1容器を洗浄する方法としては特に制限されないが、第1容器(特に接液部)にa液を噴射して洗浄する方法、容器内をa液で満たす方法、及び、第1容器をa液に浸漬する方法、並びに、これらの組合せが挙げられる。
【0063】
洗浄は1回だけ実施されてもよいし、複数回実施されてもよい。より優れた本発明の効果が得られる点で、洗浄は2回以上実施されることが好ましい。
また、洗浄において使用するa液は検査対象である薬液の一部(洗浄に用いられる薬液を以下「特定洗浄液」ともいう。)である。a液の使用量は特に制限されず、洗浄方法等によって適宜選択できる。また、a液の温度としては特に制限されないが、一般に10〜100℃程度が好ましい。
【0064】
また、本工程は、第1容器の少なくとも接液部を(好ましくは全部を)、酸洗浄する工程(酸を用いて洗浄する工程)、超音波洗浄する工程、及び、乾燥する工程からなる群より選択される少なくとも1種を更に有することが好ましく、酸洗浄する工程、超音波洗浄する工程、及び、乾燥する工程の全てを有することが好ましい。
【0065】
酸洗浄する工程において使用できる酸としては特に制限されない。第1容器の接液部等の材料に応じて適宜選択すればよい。
【0066】
超音波洗浄する工程において、超音波洗浄の発振周波数としては特に制限されず、一般に10〜200kHzが好ましい。一般に、発振周波数が低いと、より大きな粒子を除去でき、発振周波数が高いと、より小さな粒子を除去できる。発振周波数は除去すべき(除去の対象とすべき)粒子によって適宜選択可能であり、例えば、より小さな粒子を除去する場合には、発振周波数をより高くすればよい。
超音波洗浄の際の超音波出力としては特に制限されず、超音波振動子の大きさと、所望の超音波の出力密度によって適宜選択でき、一般に50〜300Wが好ましい。一般に超音波出力がより大きいほど、洗浄力はより高くなるため好ましい。
超音波洗浄の時間としては特に制限されず、一般に10秒以上が好ましい。なお、上限としては特に制限されないが、スループットがより向上する点では、100秒以下が好ましい。なかでも、超音波洗浄の時間としては、20〜50秒がより好ましい。
【0067】
超音波洗浄する工程において使用する洗浄液としては特に制限されないが、上記の特定洗浄液、酸、及び、純水からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
なかでも、特定洗浄液、及び、酸からなる群より選択される少なくとも1種を用いて超音波洗浄することが好ましい。
【0068】
乾燥工程は洗浄後の第1容器を乾燥させる工程である。容器を乾燥させる方法としては特に制限されず、公知の方法を使用でき、容器に温風を吹き付ける方法、及び、容器を温度及び/又は湿度が管理された雰囲気中に静置する方法等が挙げられる。
なかでも、温風及び雰囲気は、クリーンエアを使用することが好ましい。クリーンエアの発生方法としては特に制限されず公知の方法が使用でき、例えば、フィルタ(HEPAフィルタ:High Efficiency Particulate Air Filter、及び/又は、ULPAフィルタ:Ultra Low Penetration Air Filter)を通過した空気を使用する方法が挙げられる。
【0069】
既に説明した洗浄液を用いて第1容器の接液部を洗浄する工程と、酸洗浄する工程、超音波洗浄する工程の実施順序としては特に制限されない。使用第1容器の接液部の材質、及び、使用する薬液の種類等に応じて適宜選択できる。
なお、乾燥工程は、上記の各工程の終了後に実施することが好ましい。
【0070】
<クリーンルーム>
本発明の実施形態に係る薬液の品質検査方法は、工程W、及び、後述する工程Aがクリーンルーム内で実施される。なお、上記以外の工程(例えば、工程B、工程C、及び、その他の工程)についても同様のクリーンルーム内で実施されることが好ましく、少なくとも工程Bがクリーンルーム内で実施されることがより好ましく、すべての工程がクリーンルーム内で実施されることが更に好ましい。
なお、クリーンルームは、国際標準化機構が定める国際標準ISO14644−1:2015で定めるクラス4以上の清浄度を有し、クラス3が好ましく、クラス2がより好ましく、クラス1が更に好ましい。
【0071】
〔工程A〕
薬液の一部をb液とし、既に説明した洗浄後の第1容器を用いて、b液を濃縮してc液を得る工程である。なお、工程Aで用いられるb液、及び、上記工程Wで用いられたa液は、それぞれ同じ薬液から取り出された液に該当する。
b液を濃縮する方法としては特に制限されないが、加熱、及び/又は、減圧して濃縮する方法が挙げられる。
加熱により濃縮する場合(加熱法)のb液(、及び、濃縮中のb液)の温度(以下「温度条件」ともいう。)は、100〜250℃が好ましい。
一方、減圧して濃縮する場合(減圧法、言い換えれば、濃縮が減圧下で行われる場合)のb液(、及び、濃縮中のb液)の温度は、10〜100℃が好ましい。
b液の濃縮は加熱法と濃縮法を組み合わせて実施してもよい。加熱法を用いる場合、温度条件が100℃以上であると、濃縮にかかる時間がより短い点で好ましい。一方、温度条件が250℃以下であると、特定成分がより変化しにくい点で好ましい。なかでも、加熱法の場合の温度条件は、120〜230℃がより好ましく、150〜200℃が更に好ましい。
【0072】
なお、濃縮はArガス、Heガス、及び、Nガスからなる群より選択される少なくとも1種の不活性ガス下で行われるか、又は、減圧下で行われる。上記により、濃縮中に特定成分が変化するのが抑制される。
【0073】
工程Aにおける濃縮の倍率としては特に制限されないが、2〜1000000倍が好ましい。濃縮の倍率が2倍以上だと、濃縮液中における特定成分がより検出しやすくなり、濃縮の倍率が1000000倍以下だと、濃縮に必要な時間がより短くなり、かつ、特定成分がより変化しにくい点で好ましい。濃縮の倍率としては、10〜10000倍がより好ましく、100〜1000倍が更に好ましい。
【0074】
濃縮前のc液の体積としては特に制限されないが、一般に10L以下が好ましく、5L以下がより好ましい。濃縮前のc液の体積が5L以下であると、濃縮に必要な時間がより短くなる点で好ましい。
【0075】
〔工程B〕
工程Bは、工程Aにおいて得られたc液中における特定成分の含有量を測定する工程である。特定成分としては、薬液が含有する成分として既に説明したとおりである。
本工程においては、測定は、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)、ガスクロマトグラフィータンデム質量分析法(GC/MS/MS)、ガスクロマトグラフィー原子発光検出法(GC/AED)、ガスクロマトグラフィー四重極飛行時間型質量分析法(GC−Q−TOF/MS)、直接試料導入型質量分析法(DI−MS)、高速液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)、高速液体クロマトグラフィータンデム質量分析法(LC/MS/MS)、高速液体クロマトグラフィー飛行時間型質量分析法(LC/TOF/MS)、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)、加熱発生ガス質量分析法(TPD−MS)、イオンクロマトグラフィー法(IC)、核磁気共鳴分光法(NMR)、及び、原子吸光法からなる群より選択される少なくとも1種の測定法により行われる。
【0076】
これらの測定法は、濃縮液中における有機物の含有量を測定する、有機分析と、濃縮液中における無機物の含有量を測定する、無機分析とに分類される。
有機分析は、GC/MS、GC/MS/MS、GC/AED、GC−Q−TOF/MS、DI−MS、LC/MS、LC/MS/MS、LC/TOF/MS、TPD−MS、IC、及び、NMRであり、GC/MS、GC/MS/MS、GC/AED、GC−Q−TOF/MS、DI−MS、LC/MS、LC/MS/MS、LC/TOF/MS、TPD−MS、及び、NMRが好ましい。
無機分析は、GC/AED、ICP−MS、ICP−AES、TPD−MS、IC、及び、原子吸光法であり、ICP−MS、ICP−AES、IC、及び、原子吸光法が好ましい。
【0077】
なかでも、より優れた本発明の効果が得られる点で、測定は、GC/MS、GC/MS/MS、LC/MS、LC/MS/MS、及び、ICP−MSからなる群より選択される少なくとも1種の測定法により行われることが好ましく、GC/MS、LC/MS、LC/MS/MS、及び、ICP/MSからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、LC/MS、及び、LC/MS/MSからなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましい。
【0078】
本発明の実施形態に係る薬液の品質管理方法においては、上述のとおり、薬液中における特定有機物、及び、特定無機物の含有量をそれぞれ測定することが薬液の欠陥抑制性能をより正確に評価する点で好ましく、その点で、測定は、有機分析と、無機分析とをそれぞれ含むことが好ましい。
【0079】
なかでも、無機分析としては、c液中におけるAg、Al、As、Au、Ba、Ca、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Ga、Ge、K、Li、Mg、Mn、Mo、Na、Nb、Ni、Pb、Sb、Sn、Sr、Ta、Th、Ti、Tl、V、W、Zn、及び、Zrからなる群より選択される少なくとも5種以上の原子の含有量の測定が好ましく、5種以上の原子が、Al、Fe、及び、Tiからなる群より選択される少なくとも2種以上の原子を含むことがより好ましい。
また、有機分析としては、c液中における式(1)〜式(7)で表される化合物の含有量の測定が好ましい。
【0080】
上記の各測定法には、特定成分のうちでも得意とする分析対象物が異なるため、目的の対象物(特定成分)に応じて測定法を選定することが好ましい。以下に各測定法の好ましい濃縮倍率を示す。
【0081】
・GC/MS(/MS):ガスクロマトグラフィー(タンデム)質量分析法
濃縮の倍率が2〜100000倍
・GC−AED:ガスクロマトグラフィー原子発光検出法(使用装置は、原子発光検出器付ガスクロマトグラフ)
濃縮の倍率が2〜100000倍
・GC−Q−TOF/MS:ガスクロマトグラフィー四重極飛行時間型質量分析法
濃縮の倍率が2〜100000倍
・DI−MS:直接試料導入型質量分析法
濃縮の倍率が100〜1000000倍
・LC/MS(/MS):高速液体クロマトグラフィー(タンデム)質量分析法
濃縮の倍率が2〜100000倍
・LC−Q−TOF/MS:高速液体クロマトグラフィー四重極飛行時間型質量分析法
濃縮の倍率が2〜100000倍
・ICP−MS:誘導結合プラズマ質量分析法
濃縮の倍率が2〜100000倍
・ICP−AES:誘導結合プラズマ発光分光分析法
濃縮の倍率が2〜100000倍
・TPD−MS:加熱発生ガス質量分析法
濃縮の倍率が10〜100000倍
・IC:イオンクロマトグラフィー法
濃縮の倍率が2〜100000倍
・NMR:核磁気共鳴分光法
濃縮の倍率が10〜100000倍
・原子吸光法
濃縮の倍率が10〜100000倍
【0082】
(GC/MS(/MS))
GC(ガスクロマトグラフ)の検出器にはFID(水素炎イオン化型検出器)、及び、FPD(炎光光度検出器)等があるが,MS(質量分析計)はGCの検出器の1つである。MSを検出器としたガスクロマトグラフ及びそれを用いた分析方法のことをGC/MS(ガスクロマトグラフ質量分析計、ガスクロマトグラフィー質量分析法)と呼ぶ。GC/MSは,クロマト分離を行う(1)ガスクロマトグラフ(GC)、質量分離を行う(2)質量分析計(MS)という分離手法が異なる2つの装置から構成される。
分析したい混合物試料はGCで成分分離され,その各成分は,クロマトグラムと呼ばれるピークの列として出力される。GC/MSにおけるMSはGCからの出力成分をイオン化し質量分析する。MSはGCの検出器の中でも定性に優れており、定量も可能な検出器である。GC及びGC/MSは気体を分離分析する装置だが,試料自体は液体及び固体の両方に適用できる。液体試料では,GCの入り口で加熱、気化させてからGCに導入すればよい。GC及びGC/MS分析に適した特定成分としては、沸点が300℃度以下で気化するような特定有機物が好ましい。分析対象物の極性は特に制限されないが、無極性〜中極性の特定有機物が好ましい。
一方で、分子量が大きく、沸点のより高い特定有機物、及び、極性が強い特定有機物の分析は,後述するLC、及び、LC/MSが好ましい。
【0083】
(GC−AED)
GC−AEDは、GCにて分離された物質がヘリウムプラズマ中に誘導されて原子に分解され、励起された原子から発生する特有の光をフォトダイオードアレイ(PDA)により検出する測定方法(想定装置)である。PDAでは、多波長を同時に検出できるので、c液中に含有される複数の元素を同時に検出でき、各ピークについての発光線を確認して、他の元素の干渉と区別することで測定対象とする元素を正確に判定できる。
【0084】
(GC−Q−TOF/MS)
GC−Q−TOF/MSは、四重極MSを前段に、TOF−MS(飛行時間型質量分析計)を後段に組み合わせたハイブリッド型の分析装置で、高分解能でMS/MS測定ができる。ガスクロマトグラフによって分離された各成分は、イオン化され、四重極MS部を通り、TOF−MS部へ導かれる。TOF−MS部では、プッシャー(電極)によってパルス電圧が印加され、イオンはそれぞれの質量数に応じた速度で飛行することになる。イオンは同じ飛行距離を質量数固有の飛行時間をかけて飛行したあと検出器に到達し、この時間を観測することにより質量スペクトルが得られる。
【0085】
(DI−MS)
直接試料導入型質量分析法は,c液をガスクロマトグラフ(GC)に通さずイオン源に直接導入する方法である。そのため、GCでは分析が難しい難揮発性の特定有機物、熱により分解されやすい特定有機物を正確に定量することができる。また、c液の純度が高い場合は、ガスクロマトグラムの条件を検討する必要がなく、より簡便にマススペクトルが得られる。また、最高500℃程度まで昇温可能なため、高沸点の特定有機物の検出も可能である。また検出可能な質量範囲がm/Z=1024程度まであり、分子量のより大きい特定成分の定量にも有効である。
【0086】
(LC/MS(/MS))
LC(高速クロマトグラフィー分析法)は試料中の各成分の固定相と移動相と対する親和性(保持力)の差によって成分を分離し、成分の性質によって紫外可視吸光、蛍光、及び、電気伝導度等によって検出する測定法である。LCでは、検出対象物の定性は主に保持時間でから、定量はピーク強度及び/又は面積から行う。一方、MS(質量分析法)は試料成分をイオン化し、得られたイオンを真空中で質量と電荷の比(m/Z)によって分離し、各イオンの強度を測定する高感度な測定法である。得られるマススペクトルは、ある質量のイオンがどの程度存在するかを示すことができる為、定性分析に有効である。
LC/MS(高速液体クロマトグラフ質量分析計)は分離能力に優れたLC(高速液体クロマトグラフ)と定性能力に優れたMS(質量分析計)とを結合した装置で、スキャン測定より得られるマススペクトルでは溶出成分に分子量と構造情報を与え、他のLC検出器(例えば、PDA等)より得られる保持時間による定性分析を補完する。
LC/MSでは、移動相(液体)に溶解さえすれば、GC/MSでは不得意な成分である難揮発性及び/又は熱不安定な特定成分の定量が可能である。すなわち、LC/MSには分析対象物の適用範囲が広いといった利点がある。
【0087】
(LC−Q−TOF/MS)
TOF/MS(飛行時間型質量分析計)は、加速させたイオンを飛行時間によって分離し、その飛行時間を測定することにより分子質量を高い分解能で精密に測定することができる。LC−Q−TOF/MSは、TOF−MSの前に四重極及び四重極イオンガイドが設けられ、トリプル四重極の機能も備えており、未知物質の構造解析のために有用なフラグメントイオンや分子イオンにおける精密質量データの収集ができる。
【0088】
(ICP−MS)
ICP−MSは、高感度な多元素分析を高いサンプルスループットで実現する元素分析装置である。高周波誘導結合プラズマ(ICP)をイオン源として使用し、発生したイオンを質量分析計(MS)で検出する。周期表上のほとんどすべての元素を同時に測定可能であり、測定元素についてサブng/L(ppt)の濃度レベルで測定できる。また、定性分析、半定量分析、及び、定量分析を実行でき、質量分析であるため同位体比測定も可能である。
【0089】
(ICP−AES)
ICP発光分析計(ICP−AES)は、高温アルゴンプラズマ中に液体試料を霧化して導入し、熱エネルギーにて励起されて、発生させた光を分光器で元素特有のスペクトルに分けて、波長により定性、強度により定量を行う装置である。発光分析法は相対分析のため、既知濃度の元素標準液と強度を比較して、測定試料の濃度を測定する。
【0090】
(TPD−MS)
TPD−MSは、温度コントローラ付き特殊加熱装置に質量分析計(MS)が直結された装置である。加熱発生ガス質量分析法は決められた昇温プログラムに従い加熱されたc液から発生する気体の濃度変化を温度又は時間の関数として追跡する手法である。オンラインでの分析であるため、一度の測定で水分などの無機成分、及び、有機成分を同時検出することが可能である。また、捕集されたトラップ物をGC/MS分析することにより有機成分の定性が可能である。
【0091】
(IC)
イオンクロマトグラフィーは、固定相にイオン交換樹脂、移動相(溶離液)に電解質の水溶液を使った高速液体クロマトグラフィー(イオン交換クロマトグラフィー)法である。得られたクロマトグラムのピークについて、標準液との保持時間の一致により成分を特定する。検出器としては、例えば、電気伝導度計が好ましい。検出器の前にイオン交換膜を設置するサプレッサ方式では、c液中に含有されるイオンを高感度に測定することができる。
【0092】
(NMR)
核磁気共鳴分光法(NMR)は、原子核を磁場の中に入れて核スピンの共鳴現象を観測することで、物質の分子構造を原子レベルで解析する測定法である。分子構造を原子核レベルで解析する分析装置としては、他に電子顕微鏡及びX線回折装置等があるが、NMR装置は分析対象物を非破壊で分析できる特長がある。
【0093】
(原子吸光法)
分析対象物をフレーム中に噴霧、又は、黒鉛炉内で加熱する等して測定元素を原子蒸気化(原子化)し、これに測定元素特有の波長の光を透過させると基底状態の原子が光を吸収して励起状態に遷移する。この光の吸収(吸光度)から元素濃度を測定することができる。
【0094】
本工程において測定される特定成分の含有量は、絶対量であってもよいし、相対量であってもよい。なお、含有量が絶対量である場合、上記絶対量を求める方法としては、絶対検量線法、標準添加法、及び、内部標準法等が挙げられる。
絶対検量線法では、特定成分の含有量を段階的に変化させた数点の標準試料(特定成分の含有量は既知である)を調整し、各含有量の標準試料に対する測定機器からの応答を縦軸にプロットして検量線を作成する。その後、濃縮液を同一条件で測定し、得られた応答から、濃縮液中の特定成分の含有量を求める。
標準添加法では、濃縮液に対して、特定成分を添加して、特定成分の添加量を段階的に変化させた数点の試料を調整し、濃縮液そのものとともに測定し、上記と同様の検量線を作成する。検量線の縦軸がゼロとなる点を外挿し、濃縮液中にもともと含有されていた特定成分の含有量を求める。
内部標準法では、特定成分の含有量を段階的に変化させた数点の試料に内部標準物質を一定量加えた標準試料を準備し、検量線を作成する。その後、濃縮液に既知量の内部標準物質を添加し、検量線から濃縮液中の特定成分の含有量を求める。
なかでも、より優れた本発明の効果が得られる点で、内部標準法が好ましい。
また、特定成分を相対量とする場合、同一条件で測定した際の装置の応答値(吸光度、及び、イオンカウント等)を含有量とすることができる。
【0095】
各装置によってc液中の特定成分の含有量が特定できる。但し、その特定成分が既知の構造の場合には、その基準物質を用いて検量線を引くことで絶対濃度を求めることが出来る。または、NMR法に代表されるように基準物質をあらかじめ添加しておくことで、その基準物質とのピークの強度差によって濃度を算出することも可能である。
ところで、最先端の半導体用の薬液等ではこれまで以上に微量な化合物を検出する必要がある。その為に、前処理として濃縮工程が必須である。しかしながら、濃縮工程を経ても僅かなピークしか検出されない化合物も多く、こういった化合物を同定することは非常に難しい。更に、GC/MSではピークのライブラリがある為、そのピーク形状から化合物が同定できる。一方、LC/MSではその様なピークを同定するライブラリが世の中に存在していない。その為、LC/MSで検出できてもその化合物が何であるかが同定することが難しいことがある。その場合には、基準物質(同定化合物)によって絶対量を管理することは難しいために、相対量で管理することになる。
【0096】
〔工程C〕
本品質検査方法は、上記工程Bにおいて得られた特定成分の含有量を予め設定された基準値と比較する工程を有する。
上記基準値は、工程Bにおいて測定される特定成分の含有量の値が絶対量である場合には、絶対量として予め定められ、工程Bにおける特定成分の含有量の値が相対量である場合には、相対量として予め定められる。なお、基準値は、特定成分の種類、及び、測定法等に応じて複数定められてもよいし、特定成分の種類、及び、測定法等に応じて、絶対量である基準値と、相対量である基準値とがあってもよい。
【0097】
基準値は予め定められていれば、その値としては特に制限されないが、より優れた本発明の効果が得られる点で、後述する基準値決定工程に記載した方法により定めることが好ましい。
【0098】
〔工程D〕
本品質検査方法は、特定成分の含有量が基準値を超えた場合、薬液を不適合とし、破棄する工程Dを更に有していてもよい。
【0099】
〔工程E〕
本品質検査方法は、特定成分の含有量が基準値を超えた場合、上記薬液を精製し、その後、工程W、工程A、工程B、及び、工程Cを再度実施する工程を有していてもよい。
なお、この場合の薬液の精製方法については後述する。
【0100】
〔その他の工程〕
本品質検査方法は、本発明の効果を奏する範囲内において、他の工程を更に有していてもよい。他の工程としては、工程W3、工程A3、工程B3、及び、工程C3をこの順に含む特定成分決定工程、工程W4、工程A4、工程B4、工程S、及び、工程Uをこの順に有する基準値決定工程、及び、工程Xの薬液取り出し工程等が挙げられる。
【0101】
<特定成分決定工程>
本品質検査方法は、既に説明した工程Wの前か、工程Wと工程Aとの間に、特定成分決定工程を更に有していてもよい。特定成分の決定工程は、工程W3、工程A3、工程B3、及び、工程C3をこの順に含む。
【0102】
(工程W3)
工程W3は、接液部の少なくとも一部が、既に説明した耐腐食材料からなる第3容器を準備するとともに、薬液の一部をh液とし、第3容器の接液部の少なくとも一部を、h液を用いて洗浄する工程である。
本工程において使用する第3容器としては接液部の少なくとも一部が耐腐食材料で形成されていれば特に制限されず、工程Wにおいて使用される第1容器の形態と同様である。
また、h液を用いて第3容器の接液部の少なくとも一部を洗浄する方法としては、特に制限されず、a液を用いて第1容器の接液部の少なくとも一部を洗浄する方法として説明した形態と同様である。
【0103】
(工程A3)
工程A3は、薬液の一部をi液とし、洗浄後の第3容器を用いて、i液を濃縮し、濃縮の倍率が異なる3種以上のj液を得る工程である。また、この濃縮は、Arガス、Heガス、及び、Nガスからなる群より選択される少なくとも1種の不活性ガス下で行われるか、又は、減圧下で行われ、工程W3と、工程A3とは、国際標準化機構が定める国際標準ISO14644−1:2015で定めるクラス4以上の清浄度を有するクリーンルーム内で実施される。
なお、i液を濃縮する方法としては特に制限されず、工程Aにおいてb液を濃縮する方法として既に説明した形態と同様である。
本工程では、濃縮の倍率が異なる3種以上のj液が得られる。それぞれの濃縮の倍率としては特に制限されないが、濃縮率が数倍〜100倍程度異なることが好ましい。例えば、100倍、300倍、500倍、及び、1000倍等の組み合せが好ましい。
【0104】
(工程B3)
工程B3は、j液におけるm/Zが300〜1000の有機物の含有量を高速液体クロマトグラフィー質量分析法、及び、ガスクロマトグラフィー質量分析法からなる群より選択される少なくとも1種の測定法で測定する工程である。なお、m/Zはマススペクトルにおける横軸すなわち、検出される特定成分の質量数を電荷で除した値である。
【0105】
(工程C3)
工程C3は、3種以上のj液の全てにおいて共通して検出される有機物が2種以上である場合、濃縮の倍率と、2種以上の有機物のそれぞれの含有量とを線形回帰(線形近似)したときの相関係数、及び、濃縮の倍率と、2種以上の有機物の組み合わせにおける有機物の含有量の和とを線形回帰したときの相関係数から、最大の相関係数を選択し、最大の相関係数が得られた有機物、又は、有機物の組み合わせを特定成分と決定する工程である。
【0106】
3種以上のj液の全てにおいて共通して検出される有機物は、薬液に含有される成分である可能性がより高い。言い換えれば、j液の調製段階で混入してしまった不純物ではない可能性がより高い。結果として、上記のような有機物を特定成分とすることで、薬液が有する欠陥抑制性能をより正確に評価できる。
また、3種以上のj液の全てにおいて共通して検出される有機物が2種以上ある場合には、まず、以下の2種類の相関係数の中から、最大の(正の)相関係数を選択する。
・濃縮の倍率と、2種以上の有機物のそれぞれの含有量とを線形回帰したときの相関係数
・濃縮の倍率と、2種以上の有機物の組み合わせにおける有機物の含有量の和とを線形回帰(線形近似)したときの相関係数
なお、相関係数は、最小自(二)乗法で回帰式Y=aX+bとしたときの相関係数を意味する。
【0107】
その含有量と濃縮の倍率、及び、2種以上の有機物からなる群より選択される任意の2種以上の有機物の含有量の和と濃縮の倍率、の間で線形回帰したときに最も高い正の相関係数が得られる有機物、又は、その組み合わせを特定成分と決定することで、薬液の欠陥抑制性能がより正確に測定できる。
なお、3種以上のj液の全てにおいて共通して検出される有機物が2種以上あり、それらの含有量、及び、それらの組み合わせの含有量と、濃縮の倍率から得られる相関係数が同一である場合には、2種以上の有機物、又は、その組み合わせを特定成分とすればよい。
【0108】
<基準値決定工程>
本品質検査方法は、既に説明した特定成分決定工程の後であって、工程Cの前に、基準値を決定する基準値決定工程を更に有することが好ましい。
【0109】
基準値決定工程は、以下の工程をこの順に有する。
・接液部の少なくとも一部が、耐腐食材料からなるn個の第4容器を準備し、かつ、異なる製造方法により製造されたn種類の薬液を準備し、n種類の薬液のそれぞれから、薬液の一部を2回ずつ取得し、それぞれp液、及び、p液とし、それぞれのp液を用いて、ぞれぞれの前記第4容器の接液部の少なくとも一部を洗浄する工程W4
・ぞれぞれのp液で洗浄した第4容器を用いて、対応するp液をそれぞれ濃縮し、n種類のq液を得る工程A4
・q液中の特定成分の含有量を高速液体クロマトグラフィー質量分析法、及び、ガスクロマトグラフィー質量分析法からなる群より選択される少なくとも1種の測定法で測定する工程B4
・n種類の薬液のそれぞれについて、欠陥検査装置を用いて欠陥抑制性能を評価する工程S
・特定成分の含有量と欠陥抑制性能とを線形回帰して、検量線を作成する工程T
・検量線を用いて、所定の欠陥抑制性能に対応する特定成分の含有量を基準値とする工程U
【0110】
なお、少なくとも、上記工程W4及び工程A4は、国際標準化機構が定める国際標準ISO14644−1:2015で定めるクラス4以上の清浄度を有するクリーンルーム内で実施される。クリーンルームの形態としては、既に説明したのと同様であるので、説明を省略する。
【0111】
(工程W4)
工程W4では、まず、所定の第4容器をn個準備する。第4容器としては、接液部の少なくとも一部が耐腐食材料で形成されていれば特に制限されない。具体的には、既に説明した第1容器を用いることができ、その形態も同様である。
ここで、nは3以上の整数であり、4以上が好ましく、一般に10以下が好ましい。nが3以上であると、後述する検量線が、3つ以上の測定点をもとにして作成されるため、より正確な基準値の決定が可能である。
【0112】
次に、異なる製造方法により製造されたn種類の薬液を準備する。薬液の製造方法としては、後述のとおりであり、異なる製造方法としては特に制限されないが、典型的には、フィルタを用いて被精製物をろ過して薬液を得る薬液の製造方法の場合には、用いるフィルタの数、フィルタの細孔構造、フィルタの細孔径、フィルタの材料、及び、循環回数からなる群より選択される少なくとも1種が異なることが好ましい。上記が異なることで、得られる薬液中における特定成分の含有量が異なる。
なお、上記n種類の薬液の準備と、n個の第4容器の準備の順序は特に制限されない。
【0113】
次に、上記n種類の薬液のそれぞれから、薬液の一部を2回ずつ取り出し、それぞれp液、及び、p液とする。例えば、異なる製造方法により製造された3種類の薬液を準備し、これをC、C、及び、Cとした場合、Cからp液(p1−1)及びp液(p2−2)を取得する。このとき、p1−1液とP2−1液の成分は同一である。このようにしてそれぞれの薬液から、p液、及び、p液を取得する。すなわち、Cからはp1−2及びp2−2を取得し、Cからはp1−3及びp2−3を取得する。
【0114】
次に、それぞれのp液を用いて、第4容器の接液部の少なくとも一部を洗浄する。
このとき、洗浄方法としては、工程Wにおいて、第1容器の接液部の少なくとも一部をa液を用いて洗浄する方法と同様の方法が適用でき、その説明は省略する。
【0115】
3個の第4容器を準備した場合、各第4容器をすでに説明したp1−1液、p1−2液、及び、p1−3液で洗浄する。すなわち、異なる製造方法により製造された薬液のそれぞれに対応するp液を用いて、各第4容器を洗浄する。
【0116】
(工程A4)
工程A4はそれぞれのp液で洗浄した第4容器を用いて、対応するp液をそれぞれ濃縮して、q液を得る工程である。この際、濃縮は、Arガス、Heガス、及び、Nガスからなる群より選択される少なくとも1種の不活性ガス下で行われるか、又は、減圧下で行われる。その他の濃縮の方法としては、工程Aにおいて既に説明した方法と同様であり、説明を省略する。
【0117】
それぞれのp液で洗浄した第4容器を用いて、対応するp液をそれぞれ濃縮する、とは、p1−1液で洗浄した第4容器では、p2−1液を濃縮し、p1−2液で洗浄した第4容器では、p2−2液を濃縮し、p1−3液で洗浄した第4容器では、p2−3液を濃縮することを表わしている。
【0118】
(工程B4)
工程B4は上記で得られたq液中の特定成分の含有量をLC/MS、及び、GC/MSからなる群より選択される少なくとも1種の測定方法で測定する工程である。測定方法等は工程Bにおいて説明したのと同様であり、説明を省略する。
なお、q液は、準備した薬液の個数と同様の個数得られており(n個)、本工程では、それぞれのq液に対応する特定成分の含有量の測定結果(絶対量でも相対量でもよい)が得られる。
【0119】
(工程S)
工程Sは、欠陥検査装置を用いて、上記n種類の薬液のそれぞれの欠陥抑制性能を評価する。欠陥検査装置とは、ウェハ上に塗布された薬液にレーザー光線を照射し、ウェハ上に存在する欠陥によって散乱されたレーザー光線を検出して、ウェハ上に存在する欠陥を検知する装置である。レーザー光線の照射の際に、ウェハを回転させながら測定することにより、ウェハの回転角度と、レーザー光線の半径位置から、異物及び欠陥の座標位置を割り出すことができるものである。このような装置としては、KLA Tencor製のSP−5が挙げられるが、それ以外にも「SP−5」の分解能以上の分解能を有するウェハ上表面検査装置(典型的には「SP−5」の後継機等)であってもよい。
欠陥検査装置を用いて欠陥抑制性能を評価する方法としては、実施例に記載したとおりである。
【0120】
(工程T)
工程Uは、(n種類の)q液に係る特定成分の含有量と、それぞれの薬液に係る欠陥抑制性能(の評価結果)とを線形回帰して、検量線を作成する工程である。線形回帰の方法としては、特定成分決定工程において説明した方法が適用でき、説明を省略する。
具体的には、q液に係る特定成分の含有量を横軸に、対応する薬液に係る欠陥抑制性能を縦軸にとって、Y=aX+bの一次関数に回帰することによって得られる。
【0121】
(工程U)
工程Uは、得られた検量線を用いて、所定の欠陥抑制性能に対応する特定成分の含有量を基準値とする工程である。所定の欠陥抑制性能とは、例えば、薬液の欠陥抑制性能として、適合であると考えられる程度の欠陥抑制性能(又は、それから一定の安全率を見込んだ値)を意味する。上記欠陥抑制性能に対応する特定成分の含有量を検量線を用いて計算し、これを基準値とする。
【0122】
<薬液取り出し工程>
(工程X)
本品質検査方法は、工程Wの前に、蓋付き容器と、蓋付き容器に密封された薬液と、を有する薬液収容体から、クリーンルーム内において、薬液を取り出す工程Xを更に有していてもよい。
薬液の製造後、品質検査にいたるまでの間、薬液収容体を開封せず、更にクリーンルーム内で開封することで、より優れた本発明の効果が得られる。
【0123】
[薬液の製造方法]
本発明の実施形態に係る薬液の製造方法は、有機溶剤を含有する薬液の製造方法であって、有機溶剤を含有する被精製物を精製して、精製済み被精製物を得る工程Pと、接液部の少なくとも一部が、ガラス、含フッ素重合体、及び、電解研磨されたステンレス鋼からなる群より選択される少なくとも1種の材料からなる第1容器を準備するとともに、精製済み被精製物の一部をa2液とし、接液部の少なくとも一部を、a2液を用いて洗浄する工程W2と、精製済み被精製物の一部をb2液とし、上記第1容器を用いて、b2液を濃縮してc2液を得る工程A2と、c2液中における特定成分の含有量を測定する工程B2と、特定成分の含有量をあらかじめ設定された基準値と比較する工程C2と、特定成分の含有量が、基準値を超える場合、精製済み被精製物をあらたな被精製物とし、工程P、工程W2、工程A2、工程B2、及び、工程C2をこの順に繰り返す、工程Eと、精製済み被精製物を、適合と判定し、薬液とする工程Zと、をこの順に有し、少なくとも工程P、工程W2、及び、工程A2は国際標準化機構が定める国際標準ISO14644−1:2015で定めるクラス4以上の清浄度を有するクリーンルーム内で実施され、工程A2の濃縮が、Arガス、Heガス、及び、Nガスからなる群より選択される少なくとも1種の不活性ガス下で行われるか、又は、減圧下で行われ、工程B2の測定が、ガスクロマトグラフィー質量分析法、ガスクロマトグラフィータンデム質量分析法、ガスクロマトグラフィー原子発光検出法、ガスクロマトグラフィー四重極飛行時間型質量分析法、直接試料導入型質量分析法、高速液体クロマトグラフィー質量分析法、高速液体クロマトグラフィータンデム質量分析法、高速液体クロマトグラフィー飛行時間型質量分析法、誘導結合プラズマ質量分析法、誘導結合プラズマ発光分光分析法、加熱発生ガス質量分析法、イオンクロマトグラフィー法、核磁気共鳴分光法、及び、原子吸光法からなる群より選択される少なくとも1種の測定法により行われる、薬液の製造方法である。
【0124】
以下では、上記薬液の製造方法について工程ごとにその形態を説明する。
【0125】
〔工程P〕
工程Pは、有機溶剤を含有する被精製物を精製して、精製済み被精製物を得る工程である。
有機溶剤としては特に制限されないが、既に説明した、薬液中に含有される有機溶剤が好ましい。被精製物中における有機溶剤の含有量としては特に制限されないが、一般に、被精製物の全質量に対して、90質量%以上が好ましい。被精製物は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の被精製物を併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
【0126】
被精製物は有機溶剤以外の成分を含有していてもよい。有機溶剤以外の成分としては、例えば、既に説明した特定成分が挙げられる。被精製物中における特定成分の含有量としては特に制限されないが、一般に、被精製物の全質量に対して、10質量%以下が好ましい。
被精製物は、特定成分を、1種を単独で含有しても、2種以上を含有していてもよい。被精製物が2種以上の特定成分を含有する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
【0127】
被精製物は、購入等により調達してもよいし、原料を反応させて生成させてもよい。被精製物としては、すでに説明した特定成分の含有量が少ないものを使用するのが好ましい。そのような被精製物の市販品としては、例えば、「高純度グレード品」と呼ばれるものが挙げられる。
【0128】
精製工程とは、言い換えれば、被精製物中における特定成分が所望の含有量になるように精製する工程である。
なお、精製工程は、原材料を反応させて有機溶剤を含有する被精製物を得る、反応工程を更に有していてもよい。
被精製物を精製する方法としては特に制限されないが、例えば、以下の精製処理II〜IVが挙げられ、更に、精製処理Iを有していてもよい。
【0129】
精製処理Iは、反応工程において、原材料に対して精製を行う処理である。
精製処理IIは、反応工程において被精製物を得る際、及び/又は得た後に、被精製物の精製を行う処理である。
精製処理IIIは、2種以上の有機溶剤を含有する薬液を製造するために、反応工程において、1種ごとの有機溶剤を含有する被精製物を得て、それらを混合する場合に、それぞれの被精製物の精製を行う処理である。
精製処理IVは、2種以上の有機溶剤を含有する薬液を製造するために、反応工程において、1種ごとの有機溶剤を含有する被精製物を得て、それらを混合する場合に、各被精製物を混合した後に、混合物された被精製物の精製を行う処理である。
また、被精製物の市販品を用いる場合には、精製処理IIを実施することにより、特定成分の含有量を調整すればよい。
精製処理I〜IVは、それぞれ、1回のみ実施されてもよいし、2回以上実施されてもよい。
【0130】
具体的な精製方法としては、被精製物のイオン交換処理を行う第1イオン交換処理、第1イオン交換処理後の被精製物の脱水を行う脱水処理、脱水処理後の被精製物の蒸留を行う蒸留処理、蒸留処理後の被精製物のイオン交換処理を行う第2イオン交換処理、及び、第2イオン交換処理後の被精製物の有機成分の除去を行う有機成分除去処理、をこの順に実施する形態が挙げられる。
なお、精製方法としては上記に制限されない。精製方法としては、被精製物の脱水を行う脱水処理を実施し、脱水処理後の被精製物の蒸留を行う蒸留処理、被精製物のイオン交換処理を行う第1イオン交換処理、及び、第1イオン交換処理後の被精製物の有機成分の除去を行う有機成分除去処理、をこの順に実施する形態であってもよい。
【0131】
第1イオン交換処理によれば、被精製物中のイオン成分(例えば、金属成分等)を被精製物から除去することができる。
第1イオン交換処理では、イオン交換樹脂等の第1イオン交換手段が用いられる。第1イオン交換樹脂としては、カチオン交換樹脂又はアニオン交換樹脂を単床で設けたもの、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とを複床で設けたもの、及び、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とを混床で設けたもの等が使用できる。
また、イオン交換樹脂としては、イオン交換樹脂から被精製物へ水分がより溶出しにくい点で、水分の含有量が少ない乾燥樹脂を使用することが好ましい。このような乾燥樹脂の市販品としては、オルガノ社製の15JS−HG・DRY(商品名、乾燥カチオン交換樹脂、水分2%以下)、及び、MSPS2−1・DRY(商品名、混床樹脂、水分10%以下)等が挙げられる。
【0132】
脱水処理によれば、被精製物中の水を除去できる。また、脱水処理において後述するゼオライト(特に、ユニオン昭和社製のモレキュラーシーブ(商品名)等)を使用した場合には、被精製物中の有機物(例えば、オレフィン類)も除去できる。
脱水処理に用いられる脱水手段としては、脱水膜、被精製物に不溶である水吸着剤、乾燥した不活性ガスを用いたばっ気置換装置、及び、加熱又は真空加熱装置等が挙げられる。
脱水膜を用いる場合には、浸透気化(PV)又は蒸気透過(VP)による膜脱水を行う。脱水膜は、例えば、透水性膜モジュールとして構成されるものである。脱水膜としては、ポリイミド系、セルロース系及びポリビニルアルコール系等の高分子系又はゼオライト等の無機系の素材からなる膜を用いることができる。
水吸着剤は、被精製物に添加して用いられる。水吸着剤としては、ゼオライト、5酸化2リン、シリカゲル、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、無水塩化亜鉛、発煙硫酸、及び、ソーダ石灰等が挙げられる。
【0133】
蒸留処理によれば、脱水膜から溶出した不純物、第1イオン交換処理では除去しにくい被精製物中の金属成分、微粒子(金属成分が微粒子である場合には、これも含む)、及び、被精製物中の水を除去できる。
蒸留手段は、例えば、単段の蒸留装置によって構成される。蒸留処理によって蒸留装置内等で不純物が濃縮するが、この濃縮された不純物の一部が流出することを防ぐために、蒸留手段には、不純物が濃縮されている液の一部を定期的に、又は、定常的に外部に排出する手段を設けることが好ましい。
【0134】
第2イオン交換処理によれば、蒸留装置内で蓄積した不純物が流出した場合にこれを除去でき、送液ラインとして利用されるステンレス鋼(SUS)等の配管からの溶出物を除去できる。
第2イオン交換手段としては、塔状の容器内にイオン交換樹脂を充填したもの、及び、イオン吸着膜が挙げられ、高流速での処理が可能である点からイオン吸着膜が好ましい。イオン吸着膜としては、ネオセプタ(商品名、アストム社製)が挙げられる。
【0135】
上述した各処理は、密閉状態でかつ、被精製物に水の混入する可能性が低い不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。
また、各処理は、水分の混入を極力抑えるために、露点温度が−70℃以下の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。−70℃以下の不活性ガス雰囲気下では、気相中の水分濃度が2質量ppm以下であるため、被精製物中に水分が混入する可能性が低くなるためである。
【0136】
精製工程としては、上記の処理の他に、国際公開第2012/043496号に記載されている、炭化ケイ素を用いた金属成分の吸着精製処理等が挙げられる。
【0137】
有機物除去処理によれば、蒸留処理後の被精製物中に含まれ、蒸留処理では除去しにくい高沸点の有機物等を除去できる。
有機物の除去手段としては、例えば、有機物を吸着可能な有機物吸着フィルタを備えた有機物吸着部材により実施することができる。なお、有機物吸着部材は、通常、上記有機物吸着フィルタと上記有機物吸着フィルタを固定する基材とを備えて構成される。
有機物吸着フィルタは、有機物の吸着性能が向上するという観点から、有機物と相互作用可能な有機物骨格を表面に有すること(換言すると、有機物と相互作用可能な有機物骨格によって表面が修飾されていること)が好ましい。なお、有機物と相互作用可能な有機物骨格を表面に有する、とは、後述する有機物吸着フィルタを構成する基材の表面に上記有機物と相互作用可能な有機物骨格が付与されている形態が一例として挙げられる。
有機物と相互作用可能な有機物骨格としては、例えば、有機物と反応して有機物を有機物吸着フィルタに捕捉できるような化学構造が挙げられる。より具体的には、被精製物が、有機物としてフタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、アジピン酸ジオクチル、又はフタル酸ジブチルを含有する場合には、有機物骨格としては、ベンゼン環骨格が挙げられる。また、被精製物が、有機物としてエチレンプロピレンゴムを含有する場合には、有機物骨格としては、アルキレン骨格が挙げられる。また、被精製物が、有機物としてn−長鎖アルキルアルコール(溶媒として1−長鎖アルキルアルコールを用いた場合の構造異性体)を含有する場合には、有機物骨格としては、アルキル基が挙げられる。
有機物吸着フィルタを構成する基材(材質)としては、活性炭を担持したセルロース、ケイソウ土、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及び含フッ素重合体等が挙げられる。
また、有機不純物除去フィルタには、特開2002−273123号公報及び特開2013−150979号公報に記載の活性炭を不織布に固着したフィルタも使用できる。
【0138】
また、上記有機物除去処理は、上述したような有機物を吸着可能な有機物吸着フィルタを用いた態様に限定されず、例えば有機物を物理的に補足する形態であってもよい。250℃以上の比較的高い沸点を有する有機物は粗大である場合が多く(例えば、炭素数8以上の化合物)、このため孔径が1nm程度のフィルタを用いることで物理的に補足することも可能である。
例えば、有機物としてフタル酸ジオクチルを含有する場合、フタル酸ジオクチルの構造は10Å(=1nm)よりも大きい。そのため、孔径が1nmの有機物除去フィルタを用いることで、フタル酸ジオクチルはフィルタの孔を通過できない。つまり、フタル酸ジオクチルは、フィルタによって物理的に捕捉(言い換えればフルイ効果により除去)されるので、被精製物から除去される。このように、有機物の除去は、化学的な相互作用だけでなく物理的な除去方法を適用することでも可能である。ただし、この場合には、3nm以上の孔径のフィルタが後述する「ろ過部材」として用いられ、3nm未満の孔径のフィルタが「有機物除去フィルタ」として用いられる。
本明細書において、1Å(オングストローム)は、0.1nmに相当する。
【0139】
また、精製工程は、さらに、例えば、後述する精製処理V及び精製処理VIを有していてもよい。精製処理V及び精製処理VIは、いずれのタイミングで実施されてもよく、例えば、精製工程IVを実施した後等が挙げられる。
精製処理Vは、被精製物から金属イオンを除去する目的で金属イオン吸着部材を用いたフィルタリング処理である。
また、精製処理VIは、粗大な粒子を除去するためのろ過処理である。
以下、精製処理V及び精製処理VIについて説明する。
【0140】
精製処理Vにおいて、金属イオンの除去手段としては、金属イオン吸着フィルタを備えた金属イオン吸着部材を用いたフィルタリングがその一例として挙げられる。
金属イオン吸着部材は、金属イオン吸着フィルタを少なくとも1つ備えた構成であり、また、目的とする精製レベルに応じて金属イオン吸着フィルタを複数重ねた構成であってもよい。金属イオン吸着部材は、通常、上記金属イオン吸着フィルタと上記金属イオン吸着フィルタを固定する基材とを備えて構成される。
金属イオン吸着フィルタは、被精製物中の金属イオンを吸着する機能を備える。また、金属イオン吸着フィルタは、イオン交換可能なフィルタであることが好ましい。
ここで、吸着対象となる金属イオンとしては、特に限定されないが、半導体デバイスの欠陥の原因になりやすいという点から、Fe、Cr、Ni及びPbであることが好ましい。
金属イオン吸着フィルタは、金属イオンの吸着性能が向上するという観点から、表面に酸基を有することが好ましい。酸基としては、スルホ基及びカルボキシ基等が挙げられる。
金属イオン吸着フィルタを構成する基材(材質)としては、セルロース、ケイソウ土、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、及び、含フッ素重合体等が挙げられる。
【0141】
また、金属イオンの除去手段の他の一例としては、ポリイミド及び/又はポリアミドイミドを含有する材質で構成されているフィルタを用いたフィルタリングが挙げられる。例として、特開2016―155121号公報に記載されているポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質膜を金属イオン吸着フィルタとして備えた金属イオン吸着部材を用いたフィルタリングが挙げられる。これらで用いられるポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質膜は、カルボキシ基、塩型カルボキシ基及び−NH−結合からなる群より選択される少なくとも1つを有するものであってもよい。
耐溶剤性の観点からは、フッ素化ポリイミド及び/又はフッ素化ポリアミドイミドを用いることが好ましい。
【0142】
精製処理VIにおいて、ろ過手段としては、孔径が20nm以下であるフィルタを備えたろ過部材を用いて実施する形態が一例として挙げられる。被精製物が、上記フィルタを通過することにより、被精製物から粒子状の特定成分を除去できる。ここで、「粒子状の特定成分」としては、被精製物の製造時に使用される原料に不純物として含まれる塵、埃、有機成分及び無機成分等の粒子、並びに、被精製物の精製時に汚染物として持ち込まれる塵、埃、有機成分及び無機成分の粒子などが挙げられ、最終的に被精製物中で溶解せずに粒子として存在するものが該当する。
また、「粒子状の特定成分」には、金属原子を含有するコロイド化した金属成分も含まれる。金属原子としては、特に制限されない。なかでも、被精製物中におけるNa、K、Ca、Fe、Cu、Mg、Mn、Li、Al、Cr、Ni、Zn、及び、Pb(好ましくは、Fe、Cr、Ni、及び、Pb)からなる群より選択される少なくとも1種の金属原子の含有量が特に少ない場合(例えば、被精製物中の上記金属原子の含有量がそれぞれ1000質量ppt以下の場合)、これらの金属原子を含有する金属成分がコロイド化しやすい。上記金属イオン吸着部材では、コロイド化した金属成分の除去が困難になりやすい。したがって、孔径が20nm以下であるフィルタ(例えば、孔径が20nm以下の精密濾過膜)を用いることにより、コロイド化した不純物の除去が効果的に行われる。
【0143】
粒子状の特定成分は、孔径が20nm以下であるフィルタで除去されるサイズを有することが多く、言い換えれば、その直径が20nm以上の粒子であることが多い。なお、本明細書において、粒子状の特定成分を「粗大粒子」ということがある。
なかでも、上記フィルタの孔径は、1〜15nmが好ましく、1〜12nmがより好ましい。孔径が15nm以下であることで、より微細な粒子状の特定成分を除去でき、孔径が1nm以上であることで、被精製物のろ過効率が向上する。
ここで、孔径とは、フィルタが除去可能な粒子の最小サイズを意味する。例えば、フィルタの孔径が20nmである場合には、直径20nm以上の粒子を除去可能である。
上記フィルタの材質としては、例えば、6−ナイロン、6、6−ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、及び、含フッ素重合体等が挙げられる。ポリイミド、及び、ポリアミドイミドは、カルボキシ基、塩型カルボキシ基及び−NH−結合からなる群より選択される少なくとも1つを有するものであってもよい。ポリイミド、及び、ポリアミドイミドは、耐溶剤性の観点から、フッ素化ポリイミド、及び、フッ素化ポリアミドイミドとしてもよい。
【0144】
ろ過部材は、更に、孔径が50nm以上のフィルタ(例えば、孔径が50nm以上の微粒子除去用の精密濾過膜)を備えていてもよい。溶液中に、コロイド化した不純物、特に鉄又はアルミニウムのような金属原子を含有するコロイド化した特定成分以外にも微粒子が存在する場合には、孔径が20nm以下であるフィルタ(例えば、孔径が20nm以下の精密濾過膜)を用いて濾過する前に、孔径が50nm以上のフィルタ(例えば、孔径が50nm以上の微粒子除去用の精密濾過膜)を用いて被精製物の濾過を実施することで、孔径が20nm以下であるフィルタ(例えば、孔径が20nm以下の精密濾過膜)のろ過効率が向上し、粗大粒子の除去性能がより向上する。
【0145】
なお、上述した精製工程の一例として、各処理が全て行われる場合を示したが、これに限定されず、上記各処理を単独で行ってもよいし、上記処理を複数組み合わせて行ってもよい。また、上記各処理は、1回行われてもよいし、複数回行われてもよい。
【0146】
フィルタリングに用いられるフィルタは、従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に限定されることなく用いることができる。フィルタを構成する材料としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の含フッ素重合体、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、及び、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む)等が挙げられる。これらの中でも、ポリアミド系樹脂、PTFE、及び、ポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)が好ましく、これらの素材により形成されたフィルタを使用することで、被精製物から、特定成分を効果的に除去できる。
【0147】
フィルタの臨界表面張力として、下限値としては70mN/m以上が好ましい。上限値としては、95mN/m以下が好ましい。なかでも、フィルタの臨界表面張力は、75mN/m以上85mN/m以下がより好ましい。
なお、臨界表面張力の値は、メーカの公称値である。臨界表面張力が上記範囲のフィルタを使用することで、被精製物から、特定成分を効果的に除去できる。
【0148】
フィルタリングに用いられるフィルタは、従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に限定されない。フィルタを構成する材料としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の含フッ素重合体、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、及び、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む)等が挙げられる。これらの中でも、ポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)及びナイロンが好ましい。
フィルタの孔径は、0.001〜1.0μm程度が好ましく、0.01〜0.5μm程度がより好ましく、0.01〜0.1μm程度が更に好ましい。フィルタの孔径を上記範囲とすることで、ろ過詰まりを抑えつつ、被精製物中の微細な特定成分を確実に除去できる。
【0149】
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせてもよい。その際、第1のフィルタでのフィルタリングは、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。異なるフィルタを組み合わせて2回以上フィルタリングを行う場合には、各フィルタは、互いに同じ種類のものであってもよいし、互いに種類の異なるものであってもよいが、互いに種類の異なるものであることが好ましい。典型的には、第1のフィルタと第2フィルタとは、孔径及び構成素材のうちの少なくとも一方が異なっていることが好ましい。
1回目のフィルタリングの孔径より2回目以降の孔径が同じ、又は、小さい方が好ましい。また、上述した範囲内で異なる孔径の第1のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照できる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール社、アドバンテック東洋社、日本インテグリス社(旧日本マイクロリス社)又はキッツマイクロフィルタ社等が提供する各種フィルタの中から選択できる。また、ポリアミド製の「P−ナイロンフィルター(孔径0.02μm、臨界表面張力77mN/m)」;(日本ポール社製)、高密度ポリエチレン製の「PE・クリーンフィルタ(孔径0.02μm)」;(日本ポール社製)、及び高密度ポリエチレン製の「PE・クリーンフィルタ(孔径0.01μm)」;(日本ポール社製)も使用することができる。
【0150】
特に制限されないが、例えば、精製済み被精製物の保管中に粒子性メタルの含有量が増加するのを抑制する観点からは、被精製物と、フィルタリングに使用するフィルタの材質との関係は、フィルタリングに使用するフィルタの材質から導き出せるハンセン溶解度パラメータ(HSP)空間における相互作用半径(R0)と、被精製物中の有機溶剤から導き出せるハンセン空間の球の半径(Ra)とした場合のRaとR0の関係式(Ra/R0)≦1を満たす組み合わせであって、これらの関係式を満たすフィルタ材質でフィルタリングすることが好ましい。なかでも、(Ra/R0)≦0.98であることが好ましく、(Ra/R0)≦0.95であることがより好ましい。下限としては、0.5以上であることが好ましく、0.6以上であることがより好ましく、0.7以上であることが更に好ましい。メカニズムは定かではないが、この範囲内であると、精製済み被精製物を長期保管した際にも、精製済み被精製物中で、粒子性メタルの形成がより抑制され、又は、粒子性メタルの成長がより抑制される。
これらのフィルタ及び、有機溶剤の組み合わせとしては、特に限定されないが、米国US2016/0089622号公報のものが挙げられる。
【0151】
第2のフィルタは、上述した第1のフィルタと同様の材料で形成されたフィルタを使用できる。上述した第1のフィルタと同様の孔径のものが使用できる。第2のフィルタの孔径が第1のフィルタより小さいものを用いる場合には、第2のフィルタの孔径と第1のフィルタの孔径との比(第2のフィルタの孔径/第1のフィルタの孔径)が0.01〜0.99が好ましく、0.1〜0.9がより好ましく、0.2〜0.9が更に好ましい。第2フィルタの孔径を上記範囲とすることにより、被精製物中の微細な特定成分がより確実に除去される。
【0152】
また、用いられるフィルタは、被精製物を濾過する前に洗浄することが好ましい。この洗浄に用いられる洗浄液は、特に制限されないが、被精製物が含有する有機溶剤、薬液そのもの、又は、薬液を希釈したものであると、より特定成分の含有量が低い精製済み被精製物が得られる。
【0153】
また、洗浄液としては特に制限されず、水、及び、有機溶剤等も使用できる。有機溶剤としては、薬液が含有し得る有機溶剤、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4〜10)、環を有してもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、及び、ピルビン酸アルキル等であってもよい。
【0154】
より具体的には、洗浄液としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルスルホキシド、n−メチルピロリドン、ジエチレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、スルフォラン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、及び、γ−ブチロラクトン、並びに、これらの混合物等が挙げられる。
【0155】
フィルタリングを行う場合には、フィルタリング時の温度の上限値は、室温(25℃)以下が好ましく、23℃以下がより好ましく、20℃以下が更に好ましい。また、フィルタリング時の温度の下限値は、0℃以上が好ましく、5℃以上がより好ましく、10℃以上が更に好ましい。
フィルタリングでは、粒子性の特定成分が除去できるが、上記温度で行われると、被精製物中における粒子性の特定成分の含有量を少なくなるため、フィルタリングがより効率的に行われる。
【0156】
特に、被精製物中における金属成分の含有量の調整の観点からは、上記の温度で濾過することが好ましい。メカニズムは定かではないが、金属成分の多くは粒子性のコロイド状態で存在していることが考えられる。上記の温度でフィルタリングすると、コロイド状に浮遊している金属成分の一部が凝集するため、この凝集しているものが、フィルタリングにより効率的に除去されるので、金属成分の含有量を所定の量に調整しやすくなることが考えられる。
【0157】
濾過圧力は濾過精度に影響を与えることから、濾過時における圧力の脈動は可能な限り少ない方が好ましい。
2つ以上のフィルタを用いる場合、それぞれのフィルタに通過させる前後の差圧(以下、「濾過差圧」ともいう。)としては特に制限されないが、250kPa以下が好ましく、200kPa以下が好ましい。下限としては特に制限されないが、50kPa以上が好ましい。濾過差圧が250kPa以下であると、フィルタに過剰な圧が掛かるのを防止できるためフィルタから被精製物への溶出物の低減が期待できる。
【0158】
被精製物の精製において、濾過速度は特に制限されないが、1.0L/分/m以上が好ましく、0.75L/分/m以上がより好ましく、0.6L/分/m以上が更に好ましい。
フィルタにはフィルタ性能(フィルタが壊れない)を保障する耐差圧が設定されており、この値が大きい場合には濾過圧力を高めることで濾過速度を高めることができる。つまり、上記濾過速度上限は、通常、フィルタの耐差圧に依存するが、通常、10.0L/分/m以下が好ましい。
【0159】
被精製物の精製において、濾過圧力は、本発明の効果により優れる観点から、0.001MPa以上1.0MPa以下が好ましく、0.003MPa以上0.5MPa以下がより好ましく、0.005MPa以上0.3MPa以下が特に好ましい。
特に、孔径が小さいフィルタを使用する場合には、濾過の圧力を上げることで溶液中に溶解している粒子状の異物または不純物の量を効率的に低下させることができる。孔径が20nmより小さいフィルタを使用する場合には、濾過の圧力を0.005MPa以上0.3MPa以下とすることが特に好ましい。
【0160】
また、濾過フィルタのポアサイズが小さくなると濾過速度が低下するが、例えば、同種の濾過フィルタが搭載されたフィルタを、複数個で、並列に接続することで濾過面積が拡大して濾過圧力を下がるので、これにより、濾過速度低下を補償することが可能になる。
【0161】
なお、上記精製工程は、被精製物(及び/又は、精製済み被精製物)の除電をする、除電工程を更に有していてもよい。除電すれば、被精製物の帯電電位を低減できる。
除電方法としては特に制限されず、公知の除電方法を用いることができる。除電方法としては、例えば、上記精製液等を導電性材料に接触させる方法が挙げられる。
上記精製物等を導電性材料に接触させる接触時間は、0.001〜60秒が好ましく、0.001〜1秒がより好ましく、0.01〜0.1秒が更に好ましい。導電性材料としては、ステンレス鋼、金、白金、ダイヤモンド、及びグラッシーカーボン等が挙げられる。
精製物等を導電性材料に接触させる方法としては、例えば、導電性材料からなる接地されたメッシュを管路内部に配置し、ここに精製物等を通す方法等が挙げられる。
【0162】
(その他の工程)
なお、上記除電工程は、精製工程だけでなく、本製造方法により製造された薬液を容器に充填する際に実施されてもよい。とくに容器に薬液を充填する前に、除電工程を行うことが好ましい。これにより、容器等に由来する特定成分が、精製物等に混入するのを抑制することができる。
【0163】
〔工程W2〕
工程W2は、既に説明した工程Wにおいて、薬液に代えて精製済み被精製物を使用すること以外は工程Wの形態と同様であり、a2液の形態としては、薬液に代えて精製済み被精製物を使用すること以外は、a液の形態と同様である。工程W2の説明は省略する。
【0164】
〔工程A2〕
工程A2は、既に説明した工程Aにおいて、薬液に代えて精製済み被精製物を使用すること以外は工程A2の形態と同様であり、b2液、c2液の形態としては、薬液に代えて精製済み被精製物を使用すること以外はb液、c液の形態と同様である。工程A2の説明は省略する。
【0165】
〔工程B2〕
工程B2は、既に説明した工程Bと同様の形態である。工程B2の説明は省略する。
【0166】
〔工程C2〕
工程C2は、既に説明した工程Cと同様の形態であり、その説明は省略する。
【0167】
〔工程E〕
工程Eは、特定成分の含有量が、工程C2における基準値を超える場合、精製済み被精製物をあらたな被精製物として、工程P、工程W2、工程A2、工程B2、及び、工程C2をこの順に繰り返す工程である。
工程C2において、特定成分の含有量が基準値を超えた場合、この精製済み被精製物(例えば、その製造ロットの精製済み被精製物)は、それ自体をあらたな被精製物として、再度精製され、また、再度検査される。本工程Eは精製済み被精製物中における特定成分が、基準値以下になるまで繰り返して実施される。
【0168】
〔工程Z〕
工程C2、又は、工程Eにおいて、特定成分の含有量が基準値以下となったことが確認された精製済み被精製物は、適合と判断され、工程Zにおいて薬液とされる。
【0169】
〔その他の工程〕
<特定成分決定工程>
上記薬液の製造方法は、工程Pと工程W2の間、又は、工程W2と工程A2の間に、特定成分決定工程を更に有していてもよい。特定成分の決定工程は、以下の工程W4、工程A4、工程B4、及び、工程C4をこの順に含む。
【0170】
(工程W4)
工程W4は、接液部の少なくとも一部が、既に説明した耐腐食材料からなる第3容器を準備するとともに、精製済み被精製物の一部をk液とし、第3容器の接液部の少なくとも一部を、k液を用いて洗浄する工程である。
本工程において使用する第3容器としては接液部の少なくとも一部が耐腐食材料で形成されていれば特に制限されず、工程Wにおいて使用される第1容器の形態と同様である。
また、k液を用いて第3容器の接液部の少なくとも一部を洗浄する方法としては、特に制限されず、k液を用いて第1容器の接液部の少なくとも一部を洗浄する方法として説明した形態と同様である。
【0171】
(工程A4)
工程A4は、精製済み被精製物の一部をl液とし、洗浄後の第3容器を用いて、l液を濃縮し、濃縮の倍率が異なる3種以上のm液を得る工程である。また、この濃縮は、Arガス、Heガス、及び、Nガスからなる群より選択される少なくとも1種の不活性ガス下で行われるか、又は、減圧下で行われ、工程W3と、工程A3とは、国際標準化機構が定める国際標準ISO14644−1:2015で定めるクラス4以上の清浄度を有するクリーンルーム内で実施される。
なお、l液を濃縮する方法としては特に制限されず、工程Aにおいてb液を濃縮する方法として既に説明した形態と同様である。
本工程では、濃縮の倍率が異なる3種以上のm液が得られる。それぞれの濃縮の倍率としては特に制限されないが、濃縮率が数倍〜100倍程度異なることが好ましい。例えば、100倍、300倍、500倍、及び、1000倍等の組み合せが好ましい。
【0172】
(工程B4)
工程B4は、m液におけるm/Zが300〜1000の有機物の含有量を高速液体クロマトグラフィー質量分析法、及び、ガスクロマトグラフィー質量分析法からなる群より選択される少なくとも1種の測定法で測定する工程である。
【0173】
(工程C4)
工程C4は、3種以上のm液の全てにおいて共通して検出される有機物が1種である場合、1種の有機物を特定成分と決定し、3種以上のj液の全てにおいて共通して検出される有機物が2種以上である場合、濃縮の倍率と2種以上の有機物のそれぞれの含有量、及び、濃縮の倍率と、2種以上の有機物からなる群より選択される任意の2種以上の有機物の含有量の和とを線形回帰したとき、最も高い(正の)相関係数が得られる有機物、又は、有機物の組み合せを特定成分と決定する工程である。
【0174】
3種以上のm液の全てにおいて共通して検出される有機物は、精製済み被精製物に含有される成分である可能性がより高い。言い換えれば、k液の調製段階で混入してしまった不純物ではない可能性がより高い。結果として、上記のような有機物を特定成分とすることで、精製済み被精製物が有する欠陥抑制性能をより正確に評価できる。
また、3種以上のm液の全てにおいて共通して検出される有機物が2種以上ある場合には、その含有量と濃縮の倍率、及び、2種以上の有機物からなる群より選択される任意の2種以上の有機物の含有量の和と濃縮の倍率、の間で線形回帰したときに最も高い相関係数が得られる有機物、又は、その組み合わせを特定成分と決定することで、精製済み被精製物の欠陥抑制性能がより正確に測定できる。
なお、3種以上のm液の全てにおいて共通して検出される有機物が2種以上あり、それらの含有量、及び、それらの組み合わせの含有量と、濃縮の倍率から得られる相関係数が同一である場合には、2種以上の有機物、又は、その組み合わせを特定成分とすればよい。
【0175】
<基準値決定工程>
本実施形態に係る薬液の製造方法は、工程C4の前であって、特定成分決定工程の後に、更に基準値決定工程を有していてもよい。基準値決定工程としては、薬液に代えて、精製済み被精製物を使用すること以外は、薬液の品質検査方法において説明した基準値決定工程とその形態は同一であり、説明は省略する。
【0176】
本実施形態に係る薬液の製造方法によれば、優れた欠陥抑制性能を有する薬液が簡便に得られる。
【0177】
[薬液収容体の製造方法]
本発明の実施形態に係る薬液収容体の製造方法は、既に説明した製造方法により製造された薬液を、第2容器に充填して、第2容器と、第2容器に収容された薬液とを有する、薬液収容体を得る、充填工程を有する。
第2容器への薬液の充填方法としては特に制限されないが、公知の充填方法が使用できる。
【0178】
〔第2容器〕
薬液収容体に用いられる第2容器としては特に制限されず、公知の容器が使用できる。
第2容器としては、容器内のクリーン度が高く、収容された薬液に特定成分が溶出しにくいものが好ましい。
第2容器としては、例えば、アイセロ化学社製の「クリーンボトル」シリーズ、及び、コダマ樹脂工業社製の「ピュアボトル」等が挙げられるが、これらに制限されない。この容器の接液部は、非金属材料により形成されたものであることが好ましい。
【0179】
非金属材料としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン−ポリプロピレン樹脂、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP)、四フッ化エチレン−エチレン共重合体樹脂(ETFE)、三フッ化塩化エチレン−エチレン共重合樹脂(ECTFE)、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、三フッ化塩化エチレン共重合樹脂(PCTFE)、及びフッ化ビニル樹脂(PVF)からなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
特に、上記のなかでも、接液部がフッ素系樹脂である容器を用いる場合、接液部がポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又は、ポリエチレン−ポリプロピレン樹脂である容器を用いる場合と比べて、エチレン又はプロピレンのオリゴマーの溶出という不具合の発生を抑制できる。
【0180】
このような内壁がフッ素系樹脂である容器の具体例としては、例えば、Entegris社製 FluoroPurePFA複合ドラム等が挙げられる。また、特表平3−502677号公報の第4頁等、国際公開第2004/016526号の第3頁等、及び、国際公開第99/46309号の第9頁及び16頁等に記載の容器も用いることができる。
なお、非金属材料の接液部とする場合、非金属材料中の有機成分の溶液への溶出が抑制されていることが好ましい。
【0181】
また、第2容器の接液部には、上述した非金属材料の他に、石英又は金属材料(より好ましくは、電解研磨された金属材料、言い換えれば、電解研磨済みの金属材料)も好ましく用いられる。
上記金属材料(特に、電解研磨された金属材料の製造に用いられる金属材料)は、クロムを金属材料の全質量に対して25質量%を超えて含有するものが好ましく、例えばステンレス鋼が挙げられる。
金属材料におけるクロムの含有量は、金属材料の全質量に対して30質量%以上がより好ましい。また、その上限値としては特に制限されないが、一般的に90質量%以下が好ましい。
【0182】
これらの第2容器は、薬液を充填する前に内部が洗浄されることが好ましい。洗浄に用いる洗浄液としては、薬液、又は、薬液を希釈したものが好ましい。薬液は、製造後にガロン瓶又はコート瓶等の第2容器にボトリングし、輸送、保管されてもよい。ガロン瓶はガラス材料を使用したものであってもそれ以外であってもよい。
【0183】
保管における溶液中の成分の変化を防ぐ目的で、容器内を純度99.99995体積%以上の不活性ガス(チッソ、又はアルゴン等)で置換しておいてもよい。特に、含水率が少ないガスが好ましい。また、輸送、保管に際しては、常温でもよいが、変質を防ぐため、−20℃から20℃の範囲に温度制御してもよい。
【0184】
また、第2容器は、既に説明した被検液の濃縮に用いられる第1容器と同様の容器を用いることもできる。
【0185】
[薬液の用途]
本品質検査方法により品質検査された薬液は、半導体基板製造用である。具体的には、リソグラフィ工程、エッチング工程、イオン注入工程、及び、剥離工程等を含有する半導体基板の製造工程(特に、10nmノード以下の半導体の製造工程)において、各工程の終了後、又は、次の工程に移る前に、有機物を処理するために使用され、具体的にはプリウェット液、現像液、リンス液、及び、剥離液等として好適に用いられる。例えばレジスト塗布前後の半導体基板のエッジエラインのリンスにも使用することができる。なかでも、上記薬液は、プリウェット液であることが好ましい。言い換えれば、プリウェト用であることが好ましい。
また、上記薬液は、レジスト組成物に含有される樹脂の希釈液としても用いることができる。すなわち、レジスト組成物に含有される溶剤としても用いることができる。
【0186】
また、上記薬液は、半導体基板の製造用以外の他の用途にも用いることができ、ポリイミド、センサー用レジスト、レンズ用レジスト等の現像液、及び、リンス液等としても使用できる。
また、上記薬液は、医療用途又は洗浄用途の溶媒としても用いることができる。特に、容器、配管、及び、基板(例えば、ウェハ、及び、ガラス等)等の洗浄に好適に用いることができる。
【実施例】
【0187】
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0188】
[試験例1:薬液の調製]
表1に示した有機溶剤を含有し、精製方法の異なる薬液1−1〜薬液1〜4を、以下の方法により調製した。
【0189】
〔薬液1−1〕
薬液1−1は、表1に記載した有機溶剤を含有する被精製物を蒸留し、次に、以下のフィルタにこの順に被精製物を通過させて精製して得た。すなわち、被精製物を、第1フィルタ:PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製の孔径15nmのフィルタ、第2フィルタ:Entegris社製の12nm PTFE(PTFE製の孔径12nmのフィルタ。)、第3フィルタ:Entegris社製の10nm IEX PTFE(PTFE製の基材の表面にスルホ基を有する孔径10nmのフィルタ)用いて多段ろ過して製造した。これを「精製方法A」という。
【0190】
〔薬液1−2〕
薬液1−2は、有機溶剤を含有する被精製物を蒸留し、次に、第1フィルタ:Entegris社製の12nm PTFE(PTFE製の孔径12nmのフィルタである。)、第2フィルタ:Entegris社製の10nm IEX PTFE(PTFE製の基材の表面にスルホ基を有する孔径10nmのフィルタ)を用いて多段ろ過して製造した。これを精製方法「B」という。
【0191】
〔薬液1−3〕
薬液1−3は、有機溶剤を含有する被精製物を蒸留し、次に、Entegris社製の10nm IEX PTFE(PTFE製の基材の表面にスルホ基を有する孔径10nmのフィルタ)のみを用いてろ過して製造した。これを精製方法「C」という。
【0192】
〔薬液1−4〕
薬液1−4は、nBAを含有する被精製物を蒸留し、次に、PTFE(PTFE製の孔径15nmのフィルタである。)のみを用いてろ過して製造した。これを精製方法「D」という。
【0193】
なお、各被精製物は、表1に記載した有機溶剤の純度99質量%以上の「高純度グレード」を用い、クリーンルーム(クラス1)内にて精製した。
使用した被精製物が含有する有機溶剤、製造した薬液を収容した第2容器を表1に示した。
【0194】
[試験例1:特定成分の決定]
薬液1−1と同様の方法により作成した薬液をPFA(パーフルオロアルコキシアルカン)製のクリーンボトルに収容し、蓋をして密封し、薬液収容体を得た。
次に、上記薬液収容体をクラス1のクリーンルーム内で開封し、ソックスレー抽出器を用いて、減圧下で濃縮し、濃縮の倍率が100倍、300倍、500倍、及び、1000倍となった時点でそれぞれ取り出して、測定用試料とした。
【0195】
なお、薬液の濃縮には、ガラス製容器であって、希釈したHF及びHNOを用いて酸による洗浄を実施した後に、超純水で洗浄し、次に、上記薬液によって洗浄した後、乾燥させたものを用いた。
【0196】
次に、上記各測定試料について、m/Zが300〜1000の化合物の含有量(マスクロマトグラムにおける信号強度の積分値)をLC/MS、及び、GC/MSを用いて一斉分析した。検出された成分の含有量(信号強度の積分値:相対量)、及び、成分の組み合わせの含有量の和(信号強度の積分値の和:相対量)を縦軸により、濃縮の倍率を横軸としての測定結果をプロットした。
次に、線形回帰したとき最も高い相関係数が得られる成分、又は、その組み合わせを探索し、各実施例において表1に記載した成分の組み合わせを特定成分として決定した。
【0197】
・特定成分A:式(1)〜式(7)の化合物を含む、m/Z=300〜1000の化合物の組み合わせ(「特定成分Aの含有量」は、上記各化合物の含有量の和)
・特定成分B:式(1)〜式(7)の化合物の組み合わせ(「特定成分Bの含有量」は、式(1)〜式(7)の化合物の含有量の和)
【0198】
[試験例1:濃縮液の準備]
薬液1−1〜薬液1−4について、後述する測定方法ごとに定めた濃縮倍率となるように、ソックスレー抽出器を用いて減圧下で濃縮し、窒素雰囲気下で回収した。なお、上記操作はクラス1のクリーンルーム内で実施した。
【0199】
(容器の洗浄)
なお、薬液の濃縮に使用した第4容器は、ガラス製であって、希釈したHF及びHNOを用いて酸による洗浄を実施した後に、超純水で洗浄し、次に、薬液1−1〜薬液1−4(特定洗浄液)のそれぞれによって洗浄した後、乾燥させた。
【0200】
<P、及び、Pの測定>
、Pは飛行時間二次イオン質量分析計(ION−TOF社製、商品名「TOF−SIMS5」)を用いて、以下の条件により測定した。
一次イオン:Bi2+
一次イオン加速電圧:25kV
測定面積:500μm角
測定温度:−100℃以下
エッチングは、Ar−GCIB(Arのガスクラスターイオンビーム)を照射し、一次イオン源としてBi3+を照射し、得られる二次イオンを飛行時間型の質量分析計を用いて分析し、スペクトルを得た。
【0201】
Ar−GCIB投入圧:3MPa
測定面:150μm角
測定モード:高質量分解能
【0202】
<溶出試験>
洗浄後の第1容器について、各薬液の一部を浸漬液とし、浸漬液の質量に対する、洗浄後の第1容器の質量の質量比(g/g)が1.0となる条件で、各浸漬液に液温25℃で24時間浸漬した。浸漬前後の浸漬液に含有されるフッ化物イオンの含有量の増加量について以下の方法により測定し、結果を表1に示した。なお表1中「<」とあるのは、測定結果が、表に記載されている数値未満であったことを表わしている。また、表1中「フッ化物イオン」「金属成分」欄において「ppm」とあるのは、「質量ppm」を意味する。
【0203】
(フッ化物イオン)
測定には、島津製作所製HIC−SPサブプレッサイオンクロマトグラフを用いた。測定条件は以下のとおりである。
【0204】
・測定条件
使用カラム :イオン交換樹脂 (内径 4.0 mm、長さ 25 cm)
移動相 :炭酸水素ナトリウム溶液 (1.7 mmol/L) − 炭酸ナトリウム溶液 (1.8 mmol/L) 流量 :1.5 mL/min
試料注入量 :25 μL
カラム温度 :40 ℃
サプレッサ :電気透析形 検出器 :電気伝導度検出器 (30 ℃)
【0205】
(金属成分)
測定には、Agilent 8800 トリプル四重極ICP−MS(半導体分析用、オプション#200)を用いた。測定結果をもとに、金属粒子及び金属イオンの含有量をそれぞれ求めた。
【0206】
・測定条件
サンプル導入系は石英のトーチと同軸型PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)ネブライザ(自吸用)、及び、白金インターフェースコーンを使用した。クールプラズマ条件の測定パラメータは以下のとおりである。
・RF(Radio Frequency)出力(W):600
・キャリアガス流量(L/min):0.7
・メークアップガス流量(L/min):1
・サンプリング深さ(mm):18
【0207】
[試験例1:測定]
得られた濃縮液について、以下の方法により、特定成分の含有量を測定した。
【0208】
〔LC/MS〕
サンプルは1000倍濃縮品を用いた。液体クロマトグラフ質量分析装置(製品名「UPLC−H−Class, Xevo G2−XS QTof」、サーモフィーシャーズ社製、測定条件は以下のとおり)をLC/MSとして用いて測定した。特定成分としては、既に説明した方法で測定した、m/XZが300〜1000の化合物(式(1)〜式(7)で表される化合物を含む)とした。結果は、薬液1−1の濃縮液の信号強度を1.0とする指数(相対量)で表わした。
【0209】
(測定条件)
・LC条件
装置: UPLC H−Class
カラム: ACQUITY UPLC C8 1.7um, 2.1×100mm
カラム温度: 40°C
移動相: A:0.1%ギ酸, B:0.1%ギ酸含有MeOH
流速: 0.5 mL/min
注入量: 2 μL
【0210】
・MS条件
装置: Xevo G2−XS Q−Tof
イオン化モード: ESI ポジティブ / ネガティブ
キャピラリー電圧: 1.0 kV /2.5 kV
脱溶媒ガス: 1000 L/hr, 500°C
コーンガス: 50 L/hr
コーン電圧: 40 V (オフセット 80 V)
コリジョンエナジー: 2 eV
測定範囲: m/z 100-1000
測定モード: MS Sensitivity Mode (分解能/30,000)
【0211】
〔GC/MS〕
サンプルは1000倍濃縮品を用いた。各測定試料中の沸点が200℃以上の有機不純物の含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析装置(製品名「GCMS−2020」、島津製作所社製、測定条件は以下のとおり)を用いて測定した。特定成分としては、既に説明した方法で決定した、m/Zが300〜1000の化合物(式(1)〜式(7)で表される化合物を含む)とした。結果は、薬液1−1の濃縮液の信号強度を1.0とする指数(相対量)で表わした。
【0212】
(測定条件)
キャピラリーカラム:
InertCap 5MS/NP 0.25mmI.D.×30m df=0.25μm
試料導入法:スプリット 75kPa 圧力一定
気化室温度 :250℃
カラムオーブン温度:80℃(2min)−500℃(13min)昇温速度15℃/min
キャリアガス:ヘリウム
セプタムパージ流量:5mL/min
スプリット比:25:1
インターフェイス温度:250℃
イオン源温度:200℃
測定モード:Scan m/z=85〜500
試料導入量:1μL
【0213】
〔DI−MS〕
サンプルは1000000倍濃縮品を用いた。各測定試料中の沸点が200℃以上の有機不純物の含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析装置(製品名「GCMS−QP2010 Ultra」、島津製作所社製、測定条件は以下のとおり)を用いて測定した。特定成分としては、式(1)〜式(7)で表される化合物の総量とした。結果は、薬液1−1の濃縮液の信号強度を1.0とする指数(相対量)で表わした。
【0214】
(測定条件)
試料導入法:DI(直接導入、GC部分不使用)
イオン源温度:230C
インターフェイス温度:240C
イオン化モード:SEI
測定モード:Scan m/z=30〜1000
【0215】
〔NMR〕
サンプルは10000倍濃縮品を用いた。特定成分としては、式(1)〜式(7)で表される化合物の総量とした。結果は、絶対量(質量ppb)とした。
【0216】
(測定条件)
装置:日本電子製 AL400型
測定核:
溶媒:CDCl3
【0217】
〔ICP−MS〕
サンプルは100倍濃縮品を用いた。各測定試料中の金属原子の含有量を、ICP−MS質量分析装置(製品名「Agillent8800」、Agillent社製、測定条件は以下のとおり)を用いて測定した。特定成分としては、Ag、Al、As、Au、Ba、Ca、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Ga、K、Li、Mg、Mn、Mo、Na、Nb、Ni、Pb、Sb、Sn、Sr、Ta、Th、Ti、Tl、V、W、Zn、Zr、及び、Moの含有量の合計とした。結果は絶対量(質量ppt)とした。
【0218】
(測定条件)
測定装置:Agilent8800
RF 出力 (W) 600
キャリアガス流量 (L/min) 0.7
メークアップガス流量 (L/min) 1
サンプリング位置 (mm) 18
【0219】
〔欠陥抑制性能の評価〕
まず、直径約300mm(12インチ)のシリコン酸化膜基板を準備した。
次に、ウェハ上表面検査装置(SP−5;KLA Tencor製)を用いて、上記基板上に存在する直径17nm以上の欠陥数を計測した(これを初期値とする。)。
次に、東京エレクトロン社製「CLEAN TRACK LITHIUS(商品名)」を用いて、各薬液を、1500rpmで回転塗布し、その後、基板をスピン乾燥した。
次に、上記装置(SP−5)を用いて、薬液塗布後の基板に存在する欠陥数を計測した(これを計測値とする。)。次に、初期値と計測値の差を(計測値−初期値)を計算し、総欠陥数とした。この総欠陥数は、薬液の欠陥抑制性能を表わしており、数値が小さいほど優れた欠陥抑制性能を有すると判断される。
【0220】
また、上記欠陥の座標をアプライドマテリアルズ社製全自動欠陥レビュー装置「SEMVisionG6」で読み込み、エネルギー分散型X線分光法により各欠陥の組成を分析し、金属原子を含有する欠陥を、金属欠陥数として数え上げた。この金属欠陥数は、薬液の欠陥抑制性能を表わしており、数値が小さいほど優れた欠陥抑制性能を有すると判断される。なお、表1中における総欠陥数、及び、金属欠陥数の単位は、個/12inchWf(12インチのウェハ上の個数、なお、12インチは、約300mm)である。
【0221】
[試験例1:結果の確認]
特定成分の含有量が異なる薬液1−1〜薬液1−4についての特定成分の含有量の測定結果(LC/MS、GC/MS、DI−MS、及び、NMR)と総欠陥数とを線形回帰したときの相関係数、及び、特定成分の含有量の測定結果(ICP−MS)と金属欠陥数とを線形回帰したときの相関係数を求めた。結果を表1に示した。数値が1に近いほど、より高い正の相関係数が得られたことを表わしている。
【0222】
[試験例2〜試験例22]
試験例2〜試験例22は、それぞれ表1に記載した有機溶剤を含有する被精製物を既に説明した精製方法A〜Dにより精製して、表1に記載した第2容器に収容して、薬液収容体を製造した。なお、表1において、薬液の番号として、「(番号1)−(番号2)」とあるのは、(番号1)が試験例の番号に対応し、(番号2)は精製方法、すなわち、1ならA、2ならB、3ならC、4ならDに対応するものである。
次に、上記薬液収容体をクラス1のクリーンルーム内で開封し、表1に記載された材料で形成された接液部を有する第4容器を用いて表1に記載した方法で濃縮した。
なお、使用した第4容器についての接液部の物性及び、溶出試験結果は表1に記載したとおりである。
なお、表1中、「電解研磨SUS」とあるのは、接液部が、電解研磨されたステンレス鋼である容器を意味し、「PTFE容器」とあるのは、接液部が、ポリテトラフルオロエチレン製である容器を意味し、「水洗浄」とあるのは、酸洗浄を実施せず、超純水で洗浄したことを表わし、「−」とあるのは、その処理を実施しなかったことを表わし、「大気下」とあるのは、クリーンルーム内で実施しなかったことを表わし、「加熱濃縮N2」とあるのは、Nガス環境下で加熱濃縮したことを表わし、「加熱濃縮Ar」とあるのは、Arガス環境下で加熱濃縮したことを表わす。
【0223】
濃縮液については、試験例1と同様の方法で特定成分の含有量を測定し、試験例1と同様の方法で測定した欠陥抑制性能と比較した。なお、特定成分の含有量について、相対値としたものは、精製方法Aにより精製されたもの(薬液の番号が、「(番号1)−1」であるもの)の濃縮液の具体的な信号強度を1.0とした指数で表わした。
【0224】
以上の結果から、試験例1〜22においては、特定成分の含有量の測定値と、欠陥検査装置で測定した欠陥数(欠陥抑制性能)とが、優れた相関関係を有していることがわかった。
【0225】
また、表1に示した結果から、所定のクリーンルーム内で実施した試験例1は、試験例2と比較して、特定成分の含有量と、欠陥検査装置で測定した欠陥数(欠陥抑制性能)とを線形回帰したとき、より高い相関係数が得られることがわかった。
また、表1に示した結果から、有機溶剤がPGME、PGEE、PGMEA、EL、MPM、CyPe、CyHe、γBL、DIAE、MIBC、PGMEAとPGMEの混合物(体積比で7:3)であると、特定成分の含有量と、欠陥検査装置で測定した欠陥数(欠陥抑制性能)とを線形回帰したとき、より高い相関係数が得られることがわかった。
また、表1に示した結果から、第4容器の接液部がガラスである試験例10は、第4容器の接液部がPTFEである試験例17と比較して、特定成分(特に特定有機物)の含有量と、欠陥検査装置で測定した欠陥数(欠陥抑制性能)とを、線形回帰した際、より高い相関係数が得られることがわかった。
また、薬液収容体における第2容器の接液部が含フッ素重合体で形成された試験例10は、第2容器の接液部が電解研磨されたステンレス鋼で形成された試験例18と比較して、特定成分(特に特定有機物)の含有量と、欠陥検査装置で測定した欠陥数(欠陥抑制性能)とを線形回帰したとき、より高い相関係数が得られることがわかった。
また、表1に示した結果から、酸洗浄を実施した試験例10は、酸洗浄を実施しなかった試験例21と比較して、特定成分(特に特定有機物)の含有量と、欠陥検査装置で測定した欠陥数(欠陥抑制性能)とを線形回帰したとき、より高い相関係数が得られることがわかった。
また、表1に示した結果から、超音波洗浄を実施した試験例10は、超音波洗浄を実施しなかった試験例22と比較して、特定成分(特に特定有機物)の含有量と、欠陥検査装置で測定した欠陥数(欠陥抑制性能)とを線形回帰したとき、より高い相関係数が得られることがわかった。
【0226】
【表1】
【0227】
【表2】
【0228】
【表3】
【0229】
【表4】
【0230】
【表5】
【0231】
【表6】
【0232】
【表7】
【0233】
【表8】
【0234】
【表9】
【0235】
【表10】
【0236】
【表11】
【0237】
【表12】
【0238】
【表13】
【0239】
【表14】
【0240】
【表15】
【0241】
【表16】
【0242】
[実施例1]
試験例1において得られた薬液1−1〜1−4の濃縮液中の特定成分の含有量と、上記各薬液の欠陥数とを線形回帰し、検量線を作成した。次に、検量線に基づき、適合と不適合とを区別する総欠陥数を400個/12inchWfとし、(言い換えれば、所望の欠陥抑制性能を400個/12inchWfとし、)これに対応する、LC/MS、及び、GC/MSのそれぞれで測定される特定成分の含有量を検量線から求めて、これを基準値と決定した。
【0243】
次に、薬液1−1、及び、薬液1−4と同様の方法で、且つ、薬液1−1、及び、薬液1−4の製造とは別日に、薬液1−1(2)、及び、薬液1−4(2)を製造した。
次に、上記薬液1−1(2)、及び、薬液1−4(2)を用いて、試験例1と同様の方法で濃縮液を準備し、試験例1と同様の方法で特定成分の含有量を測定した。
【0244】
次に、得られた測定結果を、上記で定めた基準値と比較したところ、薬液1−1(2)は基準値以下であり、適合と判断された。一方、薬液1−4(2)は基準値を超えており、不適合と判断された。
【0245】
次に、上記薬液1−1(2)及び、薬液1−4(2)について、試験例1と同様の方法にて欠陥抑制性能を評価したところ、薬液1−1(2)の総欠陥数は121(個/12inchWf)であり、薬液1−4(2)の総欠陥数は、490(個/12inchWf)であった。
上記によって、本薬液の品質検査方法によれば、薬液の欠陥抑制性能を簡便に評価できることがわかった。
【0246】
[実施例2]
試験例2において得られた薬液2−1〜2−4の濃縮液中の特定成分の含有量と、上記各薬液の欠陥数とを線形回帰し、検量線を作成した。次に、検量線に基づき、総欠陥数400個/12inchWfに対応する、LC/MS、及び、GC/MSのそれぞれで測定される特定成分の含有量(相対量)を基準値と決定した。
【0247】
次に、薬液2−1、及び、薬液2−4と同様の方法で、且つ、薬液2−1、及び、薬液2−4の製造とは別日に、薬液2−1(2)、及び、薬液2−4(2)を製造した。
次に、上記薬液2−1(2)、及び、薬液2−4(2)を用いて、試験例2と同様の方法で濃縮液を準備し、試験例2と同様の方法で特定成分の含有量を測定した。
【0248】
次に、得られた測定結果を、上記で定めた基準値と比較したところ、薬液2−1(2)は基準値以下であり、適合と判断された。一方、薬液2−4(2)は基準値を超えており、不適合と判断された。
【0249】
次に、上記薬液2−1(2)及び、薬液2−4(2)について、試験例1と同様の方法にて欠陥抑制性能を評価したところ、薬液2−1(2)の総欠陥数は122(個/12inchWf)であり、薬液2−4(2)の総欠陥数は、491(個/12inchWf)であった。
【0250】
[実施例3〜22]
上記と同様にして、試験例(番号1)に対応する、薬液(番号1)−1、及び、薬液(番号1)−4の薬液を、別日に製造し、各試験例(番号1)に対応する方法で、濃縮して特定成分の含有量を分析し、予め定めた基準値と比較し、適合、及び、不適合を判断した。更に、上記各薬液について、欠陥抑制性能を評価した。その結果、特定成分の含有量から検量線で求められる欠陥抑制性能の予測値と、実際に測定した欠陥抑制性能がほぼ一致し、上記方法によれば、薬液の欠陥抑制性能を簡便に評価できることがわかった。
【0251】
[比較例1]
試験例1において得られた薬液1−1〜1−4の濃縮液中の特定成分の含有量と、上記各薬液の欠陥数とを線形回帰し、検量線を作成した。次に、検量線に基づき、総欠陥数400個/12inchWfに対応する、LC/MS、及び、GC/MSのそれぞれで測定される特定成分の含有量を基準値と決定した。
【0252】
次に、薬液1−1、及び、薬液1−4と同様の方法で、且つ、薬液1−1、及び、薬液1−4の製造とは別日に、薬液1−1(2)、及び、薬液1−4(2)を製造した。
次に、上記薬液1−1(2)、及び、薬液1−4(2)を用いて、濃縮をクリーンルーム内で実施せず、大気下で実施したことを除いては、実施例1と同様の方法にて特定成分の含有量を測定した。
【0253】
次に、得られた測定結果を、上記で定めた基準値と比較したところ、薬液1−1(2)、及び、薬液1−4(2)は基準値を超えており、いずれも、不適合と判断された。
【0254】
次に、上記薬液1−1(2)及び、薬液1−4(2)について、試験例1と同様の方法にて欠陥抑制性能を評価したところ、薬液1−1(2)の総欠陥数は121(個/12inchWf)であり、薬液1−4(2)の総欠陥数は、490(個/12inchWf)であった。
上記によって、濃縮を所定のクリーンルーム内で実施しなければ薬液の欠陥抑制性能を正確に評価できないことがわかった。
【0255】
[比較例2]
試験例1において得られた薬液1−1〜1−4の濃縮液中の特定成分の含有量と、上記各薬液の欠陥数とを線形回帰し、検量線を作成した。次に、検量線に基づき、総欠陥数400個/12inchWfに対応する、LC/MS、及び、GC/MSのそれぞれで測定される特定成分の含有量を基準値と決定した。
【0256】
次に、薬液1−1、及び、薬液1−4と同様の方法で、且つ、薬液1−1、及び、薬液1−4の製造とは別日に、薬液1−1(2)、及び、薬液1−4(2)を製造した。
次に、上記薬液1−1(2)、及び、薬液1−4(2)を用いて、第1容器を洗浄せずに用いたことを除いては、実施例1と同様の方法にて特定成分の含有量を測定した。
【0257】
次に、得られた測定結果を、上記で定めた基準値と比較したところ、薬液1−1(2)、及び、薬液1−4(2)は基準値を超えており、いずれも、不適合と判断された。
【0258】
次に、上記薬液1−1(2)及び、薬液1−4(2)について、試験例1と同様の方法にて欠陥抑制性能を評価したところ、薬液1−1(2)の総欠陥数は121(個/12inchWf)であり、薬液1−4(2)の総欠陥数は、490(個/12inchWf)であった。
上記によって、第1容器を所定の方法で洗浄しなければ欠陥抑制性能を正確に評価できないことがわかった。
【0259】
[比較例3]
試験例1において得られた薬液1−1〜1−4の濃縮液中の特定成分の含有量と、上記各薬液の欠陥数とを線形回帰し、検量線を作成した。次に、検量線に基づき、総欠陥数400個/12inchWfに対応する、LC/MS、及び、GC/MSのそれぞれで測定される特定成分の含有量を基準値と決定した。
【0260】
次に、薬液1−1、及び、薬液1−4と同様の方法で、且つ、薬液1−1、及び、薬液1−4の製造とは別日に、薬液1−1(2)、及び、薬液1−4(2)を製造した。
次に、上記薬液1−1(2)、及び、薬液1−4(2)を用いて、濃縮を空気下で加熱濃縮としたことを除いては、実施例1と同様の方法にて特定成分の含有量を測定した。
【0261】
次に、得られた測定結果を、上記で定めた基準値と比較したところ、薬液1−1(2)、及び、薬液1−4(2)は基準値を超えており、いずれも、不適合と判断された。
【0262】
次に、上記薬液1−1(2)及び、薬液1−4(2)について、試験例1と同様の方法にて欠陥抑制性能を評価したところ、薬液1−1(2)の総欠陥数は121(個/12inchWf)であり、薬液1−4(2)の総欠陥数は、490(個/12inchWf)であった。
上記によって、濃縮を所定の条件下で実施しなければ、欠陥抑制性能を正確に評価できないことがわかった。
【国際調査報告】