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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年8月2日
【発行日】2019年11月14日
(54)【発明の名称】荷電粒子線装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/22 20060101AFI20191018BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20191018BHJP
【FI】
   H01J37/22 502H
   H01J37/28 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
【出願番号】特願2018-564047(P2018-564047)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年1月27日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 亮太
(72)【発明者】
【氏名】岩淵 裕子
(72)【発明者】
【氏名】淺尾 一成
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 誠
(72)【発明者】
【氏名】森 渉
(72)【発明者】
【氏名】山崎 実
【テーマコード(参考)】
5C033
【Fターム(参考)】
5C033UU05
5C033UU06
5C033UU08
(57)【要約】
本発明は、検出信号が少ない場合であっても、短時間で適正にブライトネスや、コントラストの調整、或いはフォーカス調整等を行う荷電粒子線装置の提供を目的とする。この目的を達成するための一態様として、荷電粒子源から放出された荷電粒子ビームの試料への照射に基づいて得られる荷電粒子を検出する検出器と、当該検出器の出力に基づいて得られる信号を処理する制御装置を備えた荷電粒子線装置であって、前記制御装置は、前記検出器の出力に基づいて生成される画像の所定領域の階調値の統計処理を行い、当該統計処理によって得られる統計値と、画像の階調値に関する参照データとの違いを補正する信号処理を実行する荷電粒子線装置を提案する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子源から放出された荷電粒子ビームの試料への照射に基づいて得られる荷電粒子を検出する検出器と、当該検出器の出力に基づいて得られる信号を処理する制御装置を備えた荷電粒子線装置において、
前記制御装置は、前記検出器の出力に基づいて生成される画像の所定領域の階調値の統計処理を行い、当該統計処理によって得られる統計値と、画像の階調値に関する参照データとの違いを補正する信号処理を実行することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御装置は、前記所定領域の階調値の平均値と、前記参照データとの違いを補正するように、前記検出器の出力信号に基づいて得られる画像のコントラスト、及びブライトネスを調整することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記制御装置は、複数のフレーム画像を積算して積算画像を生成する画像処理装置であって、前記信号処理を行うための装置条件の変更の後、当該変更された装置条件にて、前記積算画像を生成するための信号検出を行うことを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記制御装置は、複数のフレーム画像を積算して積算画像を生成する画像処理装置であって、当該積算のためのフレーム枚数より少ないフレームの信号を用いて、前記統計処理を実行することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記制御装置は、前記検出器の出力に基づいて生成される画像の複数領域で、それぞれの前記統計値を算出することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記制御装置は、前記画像の複数領域のそれぞれで算出された複数の統計値に基づいて、複数のピークを有する輝度ヒストグラムを生成することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項7】
請求項5において、
前記複数の領域は、試料上の欠陥領域とそれ以外の領域を含むことを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記制御装置は、複数のフレーム画像を積算して積算画像を生成する画像処理装置であって、前記荷電粒子ビームの試料への照射に基づいて得られる荷電粒子を検出する第1の検出器と、第2の検出器を備え、第1の検出器によって得られた信号に基づいて、前記統計処理を行い、第2の検出器の出力に基づいて、前記積算画像を生成することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記第1の検出器の出力に基づいて、前記信号処理を行うための装置条件の変更を行うことを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記第1の検出器は、2次電子を検出する検出器であることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項11】
請求項1において、
前記制御装置は、前記所定領域の階調値とそのばらつきを算出することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項12】
荷電粒子源から放出された荷電粒子ビームを集束する対物レンズと、荷電粒子ビームの試料への照射に基づいて得られる荷電粒子を検出する検出器と、当該検出器の出力に基づいて得られる信号を処理する制御装置を備えた荷電粒子線装置において、
前記制御装置は、前記検出器の出力に基づいて生成される画像の所定領域の階調値の統計処理を行い、当該統計処理によって得られる統計値の評価に基づいて、前記対物レンズのレンズ条件を調整することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項13】
荷電粒子源から放出された荷電粒子ビームを集束する対物レンズと、荷電粒子ビームの試料への照射に基づいて得られる荷電粒子を検出する検出器と、当該検出器の出力に基づいて得られる信号を処理する制御装置を備えた荷電粒子線装置において、
前記制御装置は、前記検出器の出力に基づいて生成される画像の所定領域の階調値に基づいて得られる分散値が小さくなるように、前記対物レンズのレンズ条件を調整することを特徴とする荷電粒子線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、荷電粒子線装置に係り、特に、試料に対し、ビームを走査することによって得られる信号の処理を適正に行い得る荷電粒子線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
荷電粒子線装置の1つである走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)は、微細な対象物に対して電子ビームを走査することによって、試料から信号電子を出射させて検出器で検出し、当該検出信号に基づいて試料の観察や検査、寸法の計測等を行う装置である。
【0003】
検出信号に基づいて画像を生成する際の調整の1つに、画像のコントラストとブライトネスの調整がある。また、ブライトネスとコントラストを自動で調整する機能として、オードブライトネスコントラスト(Auto Brightness Contrast Control:ABCC)機能が知られている。特許文献1には視野内の関心領域の明るさが最適になるように検出器のブライトネスとコントラストを調整する方法が記載されている。特許文献2には、試料の孔底や溝底の情報を短時間で取得する方法および検出器のブライトネスとコントラストを調整する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−319366号公報
【特許文献2】特許第5655064号(対応米国特許USP8,841,612)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
微細な溝構造や穴構造の底部を観察する場合、検出器のブライトネスやコントラスト等の装置条件を、底部観察に適した値に設定する必要がある。特許文献1に示された方法では、視野内の関心領域を自動または手動で選択肢、ABCCを実施する。このとき、関心領域のコントラストが検知できる程度の画像積算が必要である。特許文献2では、信号検出数が1ピクセル当たり1個以下の場合、検出信号数に基づいて画像を出力することにより、S/Nを向上する方法が記載されている。本手法では、当該関心領域を描画するために使用できる階調の数は検出信号数程度に留まる。そのため、より強い信号弁別が必要な条件では、関心領域の画質にざらつきが発生してしまい、寸法計測や欠陥検査に十分な情報を得られない可能性がある。
【0006】
以下に、検出信号が少ない場合であっても、短時間で適正にブライトネスや、コントラストの調整、或いはフォーカス調整等を行うことを目的とする荷電粒子線装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための一態様として、荷電粒子源から放出された荷電粒子ビームの試料への照射に基づいて得られる荷電粒子を検出する検出器と、当該検出器の出力に基づいて得られる信号を処理する制御装置を備えた荷電粒子線装置であって、前記制御装置は、前記検出器の出力に基づいて生成される画像の所定領域の階調値の統計処理を行い、当該統計処理によって得られる統計値と、画像の階調値に関する参照データとの違いを補正する信号処理を実行する荷電粒子線装置を提案する。
【0008】
また、上記目的を達成するための他の態様として、荷電粒子源から放出された荷電粒子ビームを集束する対物レンズと、荷電粒子ビームの試料への照射に基づいて得られる荷電粒子を検出する検出器と、当該検出器の出力に基づいて得られる信号を処理する制御装置を備えた荷電粒子線装置であって、前記制御装置は、前記検出器の出力に基づいて生成される画像の所定領域の階調値の統計処理を行い、当該統計処理によって得られる統計値の評価に基づいて、前記対物レンズのレンズ条件を調整する荷電粒子線装置を提案する。
【0009】
更に、上記目的を達成するための他の態様として、荷電粒子源から放出された荷電粒子ビームを集束する対物レンズと、荷電粒子ビームの試料への照射に基づいて得られる荷電粒子を検出する検出器と、当該検出器の出力に基づいて得られる信号を処理する制御装置を備えた荷電粒子線装置であって、前記制御装置は、前記検出器の出力に基づいて生成される画像の所定領域の階調値に基づいて得られる分散値が小さくなるように、前記対物レンズのレンズ条件を調整する荷電粒子線装置を提案する。
【発明の効果】
【0010】
上記構成によれば、検出信号が少ない場合であっても、短時間で適正にブライトネスや、コントラストの調整、或いはフォーカス調整等を行うことが可能となる
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】荷電粒子線装置の構成を示す図。
図2】荷電粒子線装置の構成を示す図。
図3】荷電粒子線装置によって得られる画像の一例を示す図。
図4】荷電粒子線装置によって得られる画像の一例を示す図。
図5】2つの検出器を備えた荷電粒子線装置の構成を示す図。
図6】荷電粒子線装置によって得られる画像の一例を示す図。
図7】荷電粒子線装置によって得られる画像の一例を示す図。
図8】荷電粒子線装置によって得られる画像の一例を示す図。
図9】荷電粒子線装置によって得られる画像の一例を示す図。
図10】溝状パターンの画像と、溝状パターン画像の各領域に輝度評価領域を設定した例を示す図。
図11】2つの検出器と、検出器出力を処理する制御装置を備えた荷電粒子線装置の概要を示す図。
図12】荷電粒子線装置のブライトネス、コントラスト調整工程を示すフローチャート。
図13】複数の輝度評価領域の階調値の統計処理に基づいて、合成ヒストグラムを生成する例を示す図。
図14】複数の輝度評価領域の階調値の統計処理に基づいて、合成ヒストグラムを生成する例を示す図。
図15】1フレーム走査によって得られた信号に基づくオートフォーカス処理工程を示すフローチャート。
図16】フォーカス条件を変化させたときの階調の分散値の変化を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に説明する実施例は、荷電粒子線装置に係り、特に試料からの信号について、視野内およびビーム走査回数に関する統計情報を抽出し、処理することができる荷電粒子線装置に関する。
【0013】
SEMを用いた信号検出および画像出力では、試料におけるユーザーの関心領域や関心のある特徴を明瞭に視覚化することが求められることがある。例えば、半導体デバイスの製造工程では、回路パターンの集積化に伴って、微細な溝構造や穴構造の寸法計測や、欠陥の抽出や検査、3次元構造の表面、底部および側壁の状態を観察する。このようなパターンを明瞭に観察するためには、試料から出射する信号の内、所望の特性情報を反映する成分を選択的に捉える検出器が求められる。
【0014】
以下に説明する実施例では、例えば、荷電粒子源と試料に対する当該荷電粒子源から放出されるビームの照射に基づいて得られる荷電粒子を検出する検出器と、当該検出器によって得られた検出信号から視野内の任意の領域およびフレーム積算に関する統計情報を抽出し演算する機能を持つことを特徴とする荷電粒子線装置について説明する。
【0015】
上記構成によれば、検出信号が少ない観察条件においても、短時間でばらつきの少ない階調値を取得することができる。そして、当該階調値に基づいて検出器のブライトネスとコントラストを調整することができる。
【0016】
以下の説明は、荷電粒子線装置に係り、特に荷電粒子線の照射に基づいて得られる検出信号の視野内やビーム走査回数に関する統計情報を抽出し、演算する機能を有する装置に関する。
【0017】
荷電粒子線装置には、SEMの他に集束イオンビーム装置がある。また、特定の用途に応じたSEMの例として、半導体ウエハ上に作成された回路パターンの寸法を計測する測長用電子顕微鏡や、異物や構造の欠陥を詳細に観察し、分析するレビュー用電子顕微鏡がある。
【0018】
SEMでは、検出信号に基づいて画像の各ピクセルに階調値を割り当てる。例えば、8bit画像の場合、検出信号を2の8乗個、すなわち256個の離散的な階調値に分類する。ディスプレイに表示する際には、階調値0を黒、255を白として、その間をグレースケールとする。ABCCは関心領域の視認性や寸法計測、或いは欠陥検査等の精度に適した階調値となるよう、検出器のブライトネスとコントラストを設定する。また、半導体パターン寸法の計測は、SEMの画像を元に関心領域における階調値の分布を取得し、解析することによって成される。そのため、階調値を高速で取得し、かつ、そのばらつきを低減する事が装置の計測、検査精度の向上や高スループット化にとって重要である。
【0019】
階調値のばらつきを低減する方法として、例えば以下の3つの方法が挙げられる。
【0020】
(1)ビームを複数回走査させることで多くの信号を取得する方法
(2)ビームを大電流化する方法
(3)信号電子の検出効率を上げる方法
(1)の方法は、走査回数の増大に伴って、画像取得時間が増大する。また(1)乃至(2)の方法では、試料の帯電やコンタミネーション、ダメージが発生しやすくなる。近年では、複雑な試料を観察する際、信号電子のエネルギーや試料上での出射角度を弁別することで関心領域を強調する方法が提案されている。信号の弁別によって信号の総量が減ってしまうため、(3)の方法もその効果は限定的である。本発明では、画像の各ピクセルにおいて、視野内や積算フレームに関する統計処理を行う演算部を備えることにより、少ないビーム走査回数または小電流条件における階調値のばらつきを低減させる方法を提案するものである。装置の一態様として、図1乃至図2の構成を提案する。ここで、統計処理部4および14では、それぞれ、画像の階調値や検出信号を入力とし、それらの平均値、分散値、頻度、確率分布関数の抽出および演算、統計論的な検定および推定を行う論理回路を有する。
【0021】
SEMでは、試料に対して電子ビームを2次元的に走査し、試料上の位置X=(x,y)とディスプレイのピクセルP=(p,q)を対応させる。各ピクセルには、信号の強度や頻度より算出される階調値が割り当てられる。1回のビーム走査に基づいて出力される階調値をS(P)と置くと、M回積算による階調値S(P)をS(P)の平均値、すなわち、
【0022】
【数1】
【0023】
によって定めることができる。簡単のため、特に断らない限り、以降ではピクセルに関する引数Pを明示しない。
【0024】
図3は半導体の溝パターンの観察像の模式図である。積算フレーム数Nが小さいとき、パターン像と共に各ピクセルの階調値のばらつき、所謂スパイクノイズ(あるいはごましおノイズと呼ばれる)が顕著になる。このため、階調値に基づいて算出されるラインプロファイルには、当該ノイズ成分が強く現れる。その結果、パターンの寸法を計測する場合には、寸法の計測ばらつきが大きくなってしまう。階調値のばらつきを低減するために、Nフレーム積算画像およびその積算過程から、統計処理を用いてM(>>N)積算時の階調値を算出する方法について説明する。統計処理の方法は、関心事項によって以下の(A)(B)に大別される。
【0025】
(A)階調ヒストグラム等、画像全体や一部領域の明るさに関する情報
(B)一つ一つのピクセルの階調値および周囲のピクセルとの差
(A)は検出器のブライトネスやコントラストを調整するために必要な情報である。(B)は寸法計測や欠陥検査時に必要な情報である。例えば、視野の広い低倍の画像や、複数のビームを同時に走査することによって広範囲の欠陥検査を行うニーズが高まっている。このような場合、視野内で関心領域が小さくなるため、関心領域において異常な階調値が得られたとしても、試料の異常か上記スパイクノイズかを高精度に見分ける必要がある。
【実施例1】
【0026】
(A)の方法について説明する。図3の溝の観察例では、底部21から出射した信号電子の一部は側壁に衝突して損失するため、底部21は表面22と比較して暗くなる。すなわち、小さい階調値が割り当てられる。表面22と底部21それぞれの領域では、ビーム照射時に出射する信号電子のエネルギーや出射角などの特性やその頻度は同じである。したがって、式(1)におけるnの和を同じ画像のピクセルの和に置き換えることができる。また、領域内のある1ピクセルにおいて、1フレーム分の階調値の平均をE、その分散をσと置くと、統計分布(E,σ)は領域内の各ピクセルで同一である。いっぽう、当該ピクセルのM(>>1)フレーム積算時の階調値の分布は確率論および統計論の中心極限定理によって、(E,σ/√M)の正規分布となる。つまり、ある一枚の画像から、所望の領域の階調値の分布(E,σ)を抽出すれば、当該領域のMフレームの階調ヒストグラムを計算することができる。
【0027】
二次電子を用いて試料を観察する場合、パターンのエッジ部が白くなる現象が知られている。このような場合、図3の表面と底部において階調は一様にならず、図4の様なグラデーションのある像が得られる。しかし、例えば、パターンのエッジからの距離を元に線状の領域25を指定することで、同様の処理が可能である。
【実施例2】
【0028】
上述の統計処理を用いて検出器のブライトネスとコントラストを自動調整するABCCを実施する方法を説明する。十分に信号量が多い場合には、1フレームあるいは低フレームの画像を用いて、(A)で述べた領域分けと、各領域における統計処理を同時に行うことができる。統計処理によって得られたMフレームの階調ヒストグラムを基に、以下(a)(b)に例示する、従来行われている方法を利用すればよい。
【0029】
(a)所望の1領域あるいは複数領域の階調値が所望の値となるようにブライトネスとコントラストを調整する。
【0030】
(b)全画像または所望の領域の階調値ヒストグラムにおけるピークの裾野が所望の値となるようにブライトネスとコントラストを調整する。
【0031】
なお、(b)の方式では、(A)で述べた中心極限定理の変わりに確率論および統計論の大偏差原理に基づいて階調値を算出したほうが高精度となる場合もある。
【0032】
いっぽうで、反射電子の検出時やエネルギーフィルタを使用することによる信号弁別を行う際に、低フレームの画像ではパターンを確認できない。このような場合に対処するため、図5に示す副検出器35を付帯する。副検出器35と統計処理36を用いて主検出器34のABCCを実施する。追加された副検出器35では、信号弁別のため主検出器34では捉えない信号電子、例えば、二次電子を検出する。すると、主検出器34と比較して副検出器35の信号数は多く、低フレームの積算でもパターンを認識することができる。また、二次電子の特性で、視野内のパターン形状を明瞭に検知することができる。そこで、図6に示す様に、1フレームのビーム走査に基づき、副検出器35の画像を元に主検出器34の視野の領域分け49を行う。そして、主検出器の画像を元に各領域の階調値の分布を(A)で述べた方法で統計処理する。当該統計処理によって得られたMフレームの階調ヒストグラムが得られる。当該ヒストグラムを用いて(a)や(b)の方法でABCCを実行する。このようにして、1フレーム以下のビーム走査乃至数フレームのビーム走査によって、M(>>1)フレームの画像に対するABCCを実施することができる。
【0033】
上記の方法では、複数の検出器を用い、領域分けと階調値ヒストグラムを同時に抽出、処理する。副検出器に相当する機能を持つ検出器を持たない装置においても、検出器のパラメータやビーム照射量を変化させて複数回のビーム走査を行うことで、同様のABCCを実施することができる。例えば、エネルギーフィルタのON、OFFによって信号弁別の有無を制御する場合を考える。エネルギーフィルタOFFの条件でビーム走査を行い、得られた画像から視野の領域分けを行う。そして、エネルギーフィルタをONに切り替えてABCCを実施するためのビーム走査を行う。領域分けを行うために、ビーム走査速度や、電子ビームの照射電流量を変更しても良い。これらの方法では、副検出器を用いる場合よりもABCCの実行時間が長くなる。また、条件の切り替えによって、視野ずれ等が発生し、統計処理の演算精度が悪化する可能性がある。
【0034】
観察するサンプルやABCCに求められる精度によってはフレーム積算中の試料帯電やコンタミネーションが問題となることがある。この場合、nフレームのビーム走査による階調値の分布の変動を補正すれば良い。例えば、Mフレーム積算時のnフレーム目において当該分布を抽出し、そのトレンドをモニタする。そして、平均値Eが許容値を超えて変動した場合に、以降のABCCでは当該画像を取得する過程で得たトレンドを補正する。補正方法はトレンドの要因に依存するため、状況に合わせて最適なものを選択すれば良い。例えば、補正項εや補正因子ηを導入し、EをE+ε、σをσ×√ηの様に置き換える。
【0035】
(A)で用いた中心極限定理は補正値を含めて成立するため、試料帯電やコンタミネーションが発生していても同様のABCCを実行できる。
【0036】
以下、より具体的な実施例を、図10〜14を用いて説明する。図11は、荷電粒子線装置の一種である走査電子顕微鏡の概要を示す図である。図11は、試料に電子ビームを照射したときに得られる信号を処理する処理回路を主に説明するための図である。電子源1301から図示しない引出電極によって引き出され、加速電極によって加速された電子ビーム1302は、走査信号発生部1303から供給される走査信号に応じて電子ビームを走査する走査偏向器1304によって、試料1305に走査される。試料1305に対する電子ビーム1302の走査によって試料1305から放出される2次電子(Secondary Electron:SE)や、後方散乱電子(Backscattered Electron:BSE)等の放出電子1306は、下段検出器1307の検出面1308(蛍光体)へ衝突し、光を発生させる。発生した光はライトガイド1309によって、光電子増倍管1310に導かれる。光電子増倍管1301は、光電効果を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する素子であり、光エネルギーを増大させて電気信号に変換することができる。図11に例示する走査電子顕微鏡には、下段検出器1307の他に、上段検出器1320が設けられている。下段検出器1307の検出面1308に設けられた開口を通過した放出電子1322は、偏向器1321によって電子ビーム1302の光軸から偏向され、上段検出器1320の検出面1308に衝突する。
【0037】
図11に例示する走査電子顕微鏡では、試料1305に負電圧(リターディング電圧)が印加されており、試料から放出された電子は電子源1301の方向に向かって加速される。また、本実施例の光学系の場合、対物レンズ1324の集束作用によって、後方散乱電子に対して相対的にエネルギーの低い2次電子が、電子ビーム光軸から離軸するように分散する。よって、相対的に多くの2次電子が下段検出器1308によって検出される。その一方で上段検出器1320と、偏向器1321との間にエネルギーフィルタ1326を設置し、リターディング相当の電圧を印加しておくことによって、上段検出器1320によって後方散乱電子を選択的に検出することもできる。また、試料からの放出エネルギーが低い電子(例えば2次電子)は、電子源1301の方向に向かって加速されるため、エネルギーフィルタがなければ多くの2次電子等を、上段検出器1320に到達させることもできる。2次電子に対し、比較的エネルギーの高い電子(例えば後方散乱電子)は、試料1305に対するリターディング電圧によって形成される電界の影響を受けにくく、放出軌道から軌道を大きく変えることなく散乱するため、下段検出器1307に多く到達させることもできる。このように装置条件によって、検出器による検出対象を切り替えることができる。
【0038】
なお、図11の例では試料から放出された電子を蛍光体等に直接衝突させて信号を検出する検出器を採用しているが、例えば図11に例示する検出面の位置に、電子の衝突によって更なる2次電子を発生させる二次電子変換電極を設置しておき、当該二次電子変換電極で発生した2次電子を、吸引電界によって検出器の検出面に引き込むような検出方式を採用することも可能である。
【0039】
また、後述するように、光電子増倍管1310は、増幅率の制御が可能であり、増幅率の制御によって、画像のコントラストの調整を行うことができる。光電子増倍管1312の出力信号は、制御装置1311(画像生成装置)に含まれるプリアンプ(P)とメインアンプ(M)を含むアンプ回路1312に入力され、アンプ回路1312によって増幅される。また、後述するように、アンプ回路1312はバイアス制御が可能であり、明るさ(ブライトネス)の調整が可能である。アンプ回路1312の出力は、A/Dコンバーター1313によってデジタル信号に変換され、その信号はフレームメモリ1314、1323に記憶される。フレームメモリ1316は、走査信号発生部1303の走査信号に同期して、図示しない表示装置の画素に対応するアドレスにA/Dコンバーター1315の出力信号を記憶する。
【0040】
演算処理部1315は、フレームメモリ1314、1323に記憶された信号を読み出し、後述するような演算を行うことによって、コントラスト調整部1316、及びブライトネス調整部1317への制御信号を生成する。
【0041】
制御装置1311は、図12に例示するような工程を経て、Nフレームの積算画像を生成する。図12に例示するような工程からなる画像処理を実行するための動作プログラムは、予め図示しない記憶媒体に記憶され、制御装置1311はこの動作プログラムに従って、画像生成処理を実行する。
【0042】
まず、制御装置1313は、少フレーム(図12の例では1フレーム)走査を行い、画像信号を取得することによって画像を生成する(ステップ1401、1402、1403)。本実施例ではまず下段検出器1307の出力に基づいて、画像を生成する。図10(a)は、溝状パターンに電子ビームを走査することによって得られる信号に基づいて生成した画像の一例を示す図である。図10(b)は溝状パターンの断面図である。上述したように、下段検出器1307は後方散乱電子に対し、量が多い2次電子を多く検出することができ、少フレーム画像からでも図10(a)に例示するように、パターンの形状を特定するに足る信号を得ることができる。次に、下段検出器1307の出力に基づいて生成された画像について、図10(c)に例示するような領域分けを実行する(ステップ1405)。ステップ1405の領域分けは、例えばフレームメモリ1323に記憶された画像信号を用いて行う。図10に例示するような溝状パターンの場合、溝底1202が暗く、試料表面1203が明るくなる傾向にある。また、エッジ部1204が最も高い輝度を持つことになるため、高輝度部で区切られた2つの領域を、その明るさに応じて分類するようにする。図10に例示した画像の場合、エッジ部1204に対応する高輝度領域によって、区切られる領域A1205と、領域B1206に画像領域を分割する。領域分割は他の画像処理法を用いても良い。
【0043】
次に、領域分けされた各領域単位で、輝度ヒストグラムを生成する(ステップ1405)。輝度ヒストグラムを生成する対象は上段検出器1320の出力に基づいて生成された画像であり、下段検出器の出力に基づいて特定された画像領域に対応する上段検出器の出力画像領域について、輝度ヒストグラムを生成する。図13(a)は領域A1205の輝度分布1501を、図13(b)は領域B1206の輝度分布1502を例示している。図13は、各画素の階調(グレーレベル)とその頻度を表すヒストグラムの一例を示している。分布1501、1502は、1フレーム走査によって得られる階調とその頻度を示している。分布1501、1502の特徴として、試料上に形成されたパターンのエッジ等を示す輝度情報に乏しく、検出器のノイズに起因する低階調の信号が多く含まれる傾向にある。
【0044】
上段検出器1320によって検出される電子は、主に後方散乱電子であり、2次電子と比較して量が少ない。よって、少フレーム画像では、パターンの形状を特定できる程の画像を生成することが困難である。本実施例ではこのような後方散乱電子の収率の低さに鑑み、主に2次電子を検出する下段検出器出力を用い、後方散乱電子検出に基づいて生成される画像の領域分けを行う。
【0045】
次に、演算処理部1315は、領域A、領域Bに含まれる画素の輝度値の統計値を算出する(ステップ1406)。より具体的には、領域A、Bのそれぞれに含まれる画素の輝度値の加算平均値を求めることで、GaAVG、GbAVGを算出する。更に、分散D、Dを[数2]、[数3]のような演算式を用いて求める。
【0046】
【数2】
【0047】
【数3】
【0048】
s(x,y)はピクセル座標(x,y)の階調値、Eは階調値の平均、Mは領域(ROI:Region Of Interest)内の画素数である。これらの演算に基づいて、ピーク位置をGaAVG、ピーク幅をDとするピーク1503と、ピーク位置をGbAVG、ピーク幅をDとするピーク1504を算出する(ステップ1407)。
【0049】
次に、以上のようにして求められた2つのピーク1503、1504を合成することによって、合成ヒストグラム(図13(c)の実線で示す波形)を生成する。このように生成された合成ヒストグラムと、参照ヒストグラム(GaR、GbRの2つのピークを持つ波形)を比較することによって、その差分(Δa、Δb)やピーク幅の違い(分散値の違い)を求め、その差分を補正するようなコントラストとブライトネスの調整量を算出する(ステップ1409、1410)。この際、ピークの差分と、ゲイン等の調整量との関係を示す演算式、或いは両者の関係を示すテーブルを予め所定の記憶媒体に記憶しておき、ピークの差分値演算に基づいて、適正なゲイン調整量等を求め、コントラスト調整部1316等による調整を実行する(ステップ1411)。
【0050】
以上のようにして調整されたゲイン値やバイアス値によって信号処理を行いつつ、所定数(Nフレーム)の走査を行うことによって、Nフレームの画像信号を生成し、Nフレームの画像を積算することによって、積算画像を生成する(ステップ1412、1413)。本実施例によれば、Nフレームを走査する前に、適切な信号処理条件を見出すことができ、結果として、所望の画像を生成するための信号処理条件を短時間で設定することが可能となる。特に、多数のフレーム画像を積算することで初めてパターンを認識できる後方散乱電子画像を生成する際に、実際に多数フレームの走査を行う前に、適正なABCC条件を求めることができる。
【0051】
なお、視野内にホールやトレンチパターン(領域A)が含まれた画像の場合、ホールやトレンチに対して、試料表面(領域B)の面積が大きいと、試料表面側の画素数が多くなるため、図14に例示するように、その統計値に基づいてピーク位置(GAVG_A、GAVG_B)とピーク幅を求める場合に、領域の大きさに応じた分布高さとすることが望ましい。
【0052】
また、試料の種類に応じた複数の参照ヒストグラムを予め記憶しておくことによって、2次電子を用いたパターン形状特定に応じて、適切なABCCの調整量を求めることが可能となる。
【実施例3】
【0053】
本実施例では、異物等の座標情報に基づいて、その異物等のレビューを行うために、電子顕微鏡の視野を位置づける際の装置条件決定法について説明する。このような装置では、視野内の異物の詳細形状ではなく、材料コントラストを検知したいというニーズがある。後方散乱電子は、材料の種類に応じたコントラスト像を生成するのに適しており、本実施例では後方散乱電子の検出に基づいて異物等の検査を行う場合に、自動的に装置条件を設定することが可能な電子顕微鏡について説明する。
【0054】
本実施例では、実施例2で説明した方法で、各領域の分布(E,σ)を求めた後、各領域に当該分布に基づく階調値を割り当てることで画像を出力することができる。領域の境界線は、黒や白で表示しても良いし、事前に信号が無い場合の階調値を取得しておき、割り当てても良い。後者の方法では、各領域における信号の有無を確認することができる。
【0055】
より具体的には、まず、少フレーム走査(例えば、1フレーム)によって得られた2次電子画像を用いて、異物等の欠陥とそれ以外の領域の識別を行う。実施例2にて説明したように、2次電子像は、材料の違いに応じたコントラストは付きにくいものの、異物等のエッジの特定が容易であり、高精度に形状判定を行うことができる。そこで、異物とそれ以外の領域を識別し、図12に例示するような工程に沿って、画像生成を行うことによって、適切なABCC条件における積算画像を生成することが可能となる。
【0056】
また、ステップ1407までの演算を行うことによって得られる各領域の輝度情報から、各領域に含まれる組成を同定するようにしても良い。例えば、輝度情報と組成情報の関連を記憶したテーブルを用意しておき、当該テーブルに輝度情報を参照することによって、組成を同定するようにしても良い。また、半導体デバイスを構成するシリコン等との輝度差(放出電子量のイールド差)を予め求めておき、レビュー対象となる異物や欠陥の輝度とシリコン等との輝度差を参照情報に参照することによって、組成の同定を行うようにしても良い。
【実施例4】
【0057】
半導体の3次元パターンの溝や穴構造に置いて、底部の計測や検査を行う場合に、パターン底部にフォーカスを合わせるニーズがある。表面の開口部に対して溝や穴構造が深いとき、底部を観察するためには強い信号弁別が必要となる。フォーカスを合わせるためには底部を視認する必要があるため、この画像を得るためにスループットが低下してしまう。このような場合に、実施例6で説明した方法を用いて高速にフォーカス情報を抽出する方法を提案する。
【0058】
図7の底部領域52に注目する。底部にフォーカスが合っていないとき、この領域には底面とエッジの情報が含まれる。そのため、底部の階調値Eは、エッジの階調値の影響を受けて、ジャストフォーカス時より小さく、または、大きくなる。同様に、分散σは大きくなる。フォーカスを変化させて、Eの極大または極小、或いはσの極小を探索する。そして、該当条件に設定することでフォーカスを合わせることができる。
【0059】
図8に示す様に底部の領域をさらに複数の領域53乃至55に分けても良い。この場合、それら複数の領域のEやσが最適となるような条件を探索する。また、底部エッジを含むような領域と底面中央部の領域を設定し、当該2領域の階調値の差が最大となる条件を探索しても良い。
【0060】
フォーカスを自動で合わせる機能、所謂オートフォーカスを実施する場合には、上述のフォーカス情報に基づいて、従来同様の制御を行えばよい。すなわち、対物レンズの励磁電流等を用いてビームのフォーカス位置を変化させ、上記フォーカス情報の指標が最大、或いは最小となる条件を探索し、設定するという制御である。
【0061】
フォーカスの精度は領域分けの方法に依存する。パターンの開口部の形状と大きさや深さ、或いはその比に基づいて、領域分けの形状や領域の大きさを設定する等の方法で、自動設定することができる。
【0062】
以下、オートフォーカスの具体的な処理内容について、図面を用いて説明する。図11に例示する走査電子顕微鏡には、対物レンズ1324と、対物レンズ1425の励磁電流を制御するレンズ条件制御部1325が設けられている。制御装置1311は、図15に例示するようなオートフォーカス処理を実行する。まず、レンズ条件制御部1325は、所定のレンズ条件となるように、対物レンズ1425に励磁電流を供給する(ステップ1701)。なお、本実施例では電磁型対物レンズを例にとって説明するが、静電型の対物レンズであっても良い。次に、設定されたレンズ条件を維持した状態で、少フレーム走査を行い、図7に例示するような画像を取得する(ステップ1702)。次に底部領域52(トレンチの底部に設定されたROI)に含まれる複数の画素の輝度値を加算平均(統計処理、ステップ1704)することによって、ROIの輝度ヒストグラムの波形位置(GAVG)と、その分散σを求める。なお、分散σは数2、数3を用いて求められるDをσに置き換えて使用する(ステップ1704)。
【0063】
図16は、フォーカス条件を(a)から(e)まで変えたときの輝度ヒストグラムの分散σの変化を示す図である。図16を見ると、(a)から(e)の内、最も分散が小さいのは(c)のレンズ条件であることがわかる。すなわち(c)の条件のとき、トレンチの底部のみにビームが照射され、エッジには当たっていないことから、輝度分布の範囲が狭くなっていることがわかる。このように分散が最小となるレンズ条件を見出すまでレンズ条件変化を繰り返すことによって、ベストフォース条件を決定する(ステップ1705)。また、ベストフォーカス条件を決定するために、所定数のフォーカス調整を行い、その中で最も分散が小さくなるフォーカス条件を見出すようにしても良い。
【0064】
以上のように決定されたフォーカス条件でビームをフォーカスしつつ、所定フレーム数の走査に基づく画像積算を行うことによって、トレンチやホールの底部に適したフォーカス条件でビーム走査を行うことができる。
【0065】
なお、図15では画像上にROIを設定しておき、当該ROI内の画素値の統計処理を行う例を説明したが、実施例2で説明したように、上段検出器によるパターン形状認識に基づいて、トレンチ内に選択的にROIを設定するようにしても良い。
【0066】
また、上述の例では分散σの評価に基づいて、ジャストフォーカスのためのレンズ条件を求める例について説明したが、輝度分布の輝度平均Eやピーク高さhの評価に基づいて、レンズ条件を求めるようにしても良い。後方散乱電子像の場合、エッジ部分が暗くなる傾向にあるため、エッジ部分を含まないジャストフォーカスビームによって形成される画像は、エッジ部分が含まれる画像に対して相対的に明るくなる。この現象を利用して輝度平均Eが最も大きい(或いは所定値以上)レンズ条件や、ピーク高さhが最も高い(或いは所定値以上)レンズ条件を見出すことによって、ジャストフォーカスのためのレンズ条件を見出すことが可能となる。
【実施例5】
【0067】
(B)で説明した方法で画像を保存する際、各ピクセルの階調値と共に分散等の統計情報を付帯することで、階調値の測定ばらつきおよびそれに由来する寸法値のばらつきを検出することができる。分散値を階調値の様に見立て、画像情報として付帯しても良いし、算出された数値をそのまま付帯しても良い。また、階調値や分散を算出するための母関数を主情報とし、積算によって取得した階調値に基づく画像を付帯させても良い。これら統計情報に基づいて、当該装置外の計算機やパーソナルコンピュータを用いて解析を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0068】
1・・・荷電粒子線装置、2・・・鏡体、3・・・信号変換部、4・・・統計処理部、5・・・ディスプレイ、6・・・検出器、7・・・荷電粒子源、8・・・荷電粒子ビーム、9・・・試料、10・・・信号、11・・・荷電粒子線装置、12・・・鏡体、13・・・信号変換部、14・・・統計処理部、15・・・ディスプレイ、16・・・検出器、17・・・荷電粒子源、18・・・ビーム、19・・・試料、20・・・信号、21・・・底部、22・・・表面、23・・・底部、24・・・表面、25・・・線状領域の例、34・・・主検出器、35・・・副検出器、36・・・統計処理部、37・・・検出器パラメータ算出部、38・・・統計演算部、39・・・統計抽出部、40・・・パターン検出部、41・・・ディスプレイ、42・・・信号変換部、43・・・荷電粒子源、44・・・荷電粒子ビーム、45・・・試料、46・・・信号、47・・・変換電極、48・・・副検出器の画像、49・・・底部領域、50・・・主検出器の画像、51・・・底部領域、52・・・領域、53・・・領域、54・・・領域、55・・・領域、56・・・溝パターン、57・・・座標軸、58・・・Eq(x)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】