特表-18142908IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2018-142908ポリケトン組成物、ポリケトン膜、ポリケトン膜付基材、光学素子、画像表示装置、被覆部材、及び成形体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年8月9日
【発行日】2019年11月14日
(54)【発明の名称】ポリケトン組成物、ポリケトン膜、ポリケトン膜付基材、光学素子、画像表示装置、被覆部材、及び成形体
(51)【国際特許分類】
   C08L 73/00 20060101AFI20191018BHJP
   C08G 67/00 20060101ALI20191018BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20191018BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20191018BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20191018BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20191018BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20191018BHJP
【FI】
   C08L73/00
   C08G67/00
   C08K3/36
   C08J5/18CEZ
   B32B27/00 A
   B32B27/18 Z
   G02F1/1333 505
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】32
【出願番号】特願2018-566024(P2018-566024)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年1月15日
(31)【優先権主張番号】特願2017-15424(P2017-15424)
(32)【優先日】2017年1月31日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松谷 寛
(72)【発明者】
【氏名】古川 直樹
(72)【発明者】
【氏名】石川 洋平
(72)【発明者】
【氏名】松永 昌大
【テーマコード(参考)】
2H190
4F071
4F100
4J002
4J005
【Fターム(参考)】
2H190HB13
2H190HC05
2H190HD06
2H190JA07
2H190JB03
2H190JD13
2H190JD17
2H190LA09
4F071AA69
4F071AA86
4F071AB26
4F071AE17
4F071AF25
4F071AF30Y
4F071AF62
4F071AH07
4F071AH12
4F071BA02
4F071BA09
4F071BB02
4F071BC01
4F100AA01B
4F100AA20
4F100AA20B
4F100AK56
4F100AK56B
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA07
4F100DE01
4F100DE01B
4F100GB48
4F100JA02
4F100JA05
4F100JA07
4F100JJ03
4F100JK12
4F100JN01
4F100JN01B
4F100YY00B
4J002CJ001
4J002DA026
4J002DE076
4J002DE086
4J002DE096
4J002DE106
4J002DE126
4J002DE136
4J002DE146
4J002DE186
4J002DF016
4J002DJ006
4J002DJ016
4J002DJ036
4J002DJ046
4J002DJ056
4J002DK006
4J002FD016
4J002GP00
4J005AB00
(57)【要約】
ポリケトン組成物は、下記一般式(I)で表される構造単位を含むポリケトンと、無機粒子と、を含有し、前記ポリケトン及び前記無機粒子の合計量100質量部に対して、前記無機粒子の含有量が10質量部〜70質量部であり、前記無機粒子の平均粒子径が10nm〜200nmである。一般式(I)中、Xは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜50の2価の基を示し、Yは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基を示し、nは1〜1500の整数を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される構造単位を含むポリケトンと、無機粒子と、を含有し、前記ポリケトン及び前記無機粒子の合計量100質量部に対して、前記無機粒子の含有量が10質量部〜70質量部であり、前記無機粒子の平均粒子径が10nm〜200nmであるポリケトン組成物。
【化1】

〔一般式(I)中、Xは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜50の2価の基を示し、Yは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基を示し、nは1〜1500の整数を示す。〕
【請求項2】
厚さ10μmの膜としたときのヘイズが1%未満である請求項1に記載のポリケトン組成物。
【請求項3】
膜としたときの400nmの可視光の透過率が、膜厚1μm換算で85%以上である請求項1又は請求項2に記載のポリケトン組成物。
【請求項4】
前記一般式(I)において、Xが、それぞれ独立に、芳香環を含む炭素数6〜50の2価の基を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のポリケトン組成物。
【請求項5】
前記一般式(I)において、Xが、それぞれ独立に、下記一般式(II−1)〜(II−3)からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のポリケトン組成物。
【化2】


〔一般式(II−1)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、mは、それぞれ独立に、0〜3の整数を示す。〕
【化3】


〔一般式(II−2)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、mは、それぞれ独立に、0〜3の整数を示し、Zは、酸素原子又は下記一般式(III−1)〜(III−7)で表される2価の基を示す。〕
【化4】


〔一般式(III−1)〜(III−7)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、mは、それぞれ独立に、0〜3の整数を示し、nは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示し、pは、それぞれ独立に、0〜2の整数を示す。〕
【化5】

〔一般式(II−3)中、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、nは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示す。〕
【請求項6】
前記一般式(I)において、Yが、2価の飽和炭化水素基を含む、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のポリケトン組成物。
【請求項7】
前記一般式(I)において、Yが、2価の飽和脂環式炭化水素基を含む、請求項6に記載のポリケトン組成物。
【請求項8】
前記一般式(I)において、Yの炭素数が6〜30である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のポリケトン組成物。
【請求項9】
前記無機粒子がシリカ粒子である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のポリケトン組成物。
【請求項10】
さらに溶媒を含む、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のポリケトン組成物。
【請求項11】
請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のポリケトン組成物から形成されてなるポリケトン膜。
【請求項12】
基材と、前記基材の表面の少なくとも一部に設けられる請求項11に記載のポリケトン膜と、を有するポリケトン膜付基材。
【請求項13】
請求項11に記載のポリケトン膜、又は請求項12に記載のポリケトン膜付基材を有する、光学素子。
【請求項14】
請求項11に記載のポリケトン膜、請求項12に記載のポリケトン膜付基材、又は請求項13に記載の光学素子を有する、画像表示装置。
【請求項15】
部材と、前記部材の表面の少なくとも一部に設けられる請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のポリケトン組成物から形成されてなる被膜と、を有する、被覆部材。
【請求項16】
請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のポリケトン組成物から成形されてなる成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリケトン組成物、ポリケトン膜、ポリケトン膜付基材、光学素子、画像表示装置、被覆部材、及び成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
主鎖に芳香環とカルボニル基とを有する芳香族ポリケトンは、優れた耐熱性と機械特性を有しており、エンジニアリングプラスチックとして利用されている。芳香族ポリケトンに属する高分子のほとんどは、求核芳香族置換反応を利用して重合された芳香族ポリエーテルケトンであり、主鎖にエーテル結合を有している。これに対し、主鎖にエーテル結合を有していない芳香族ポリケトンは、芳香族ポリエーテルケトンよりもさらに優れた耐熱性及び耐薬品性に優れることが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
近年、脂環式ジカルボン酸と2,2’−ジアルコキシビフェニル化合物とをFriedel−Craftsアシル化により直接重合することで、高い透明性と耐熱性を両立した芳香族ポリケトンが得られることが報告され(例えば、特許文献3参照)、光学部品への応用が期待されている。
【0004】
芳香族ポリケトン等の樹脂材料を光学部品に応用する場合には、無機材料では得られない特性を発揮できることが望ましく、そのような特性としては、例えば、軽量性及び柔軟性が挙げられる。軽量性を活かした適用例としては、ポータブルデバイスのガラス代替材及びコート材が挙げられ、柔軟性を活かした適用例としては、フレキシブルディスプレイ等が挙げられる。なかでも、フレキシブルディスプレイへの樹脂材料の適用は、近年特に注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−7730号公報
【特許文献2】特開2005−272728号公報
【特許文献3】特開2013−53194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フレキシブルディスプレイ等の材料には、高い透明性及び耐熱性の他に、高い表面硬度及び低い熱膨張係数も求められる。しかし、上記文献に記載されている芳香族ポリケトンから形成される膜は、透明性及び耐熱性に優れるが、表面硬度及び熱膨張係数に改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上記現状に鑑みなされたものであり、膜としたときに、透明性及び耐熱性を維持しつつ、高い表面硬度及び低い熱膨張係数を示すポリケトン組成物、ポリケトン膜、ポリケトン膜付基材、光学素子、画像表示装置、被覆部材、及び成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 下記一般式(I)で表される構造単位を含むポリケトンと、無機粒子と、を含有し、前記ポリケトン及び前記無機粒子の合計量100質量部に対して、前記無機粒子の含有量が10質量部〜70質量部であり、前記無機粒子の平均粒子径が10nm〜200nmであるポリケトン組成物。
【化1】


〔一般式(I)中、Xは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜50の2価の基を示し、Yは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基を示し、nは1〜1500の整数を示す。〕
<2> 厚さ10μmの膜としたときのヘイズが1%未満である<1>に記載のポリケトン組成物。
<3> 膜としたときの400nmの可視光の透過率が、膜厚1μm換算で85%以上である<1>又は<2>に記載のポリケトン組成物。
<4> 前記一般式(I)において、Xが、それぞれ独立に、芳香環を含む炭素数6〜50の2価の基を含む、<1>〜<3>のいずれか1項に記載のポリケトン組成物。
<5> 前記一般式(I)において、Xが、それぞれ独立に、下記一般式(II−1)〜(II−3)からなる群より選択される少なくとも1種を含む、<1>〜<4>のいずれか1項に記載のポリケトン組成物。
【化2】


〔一般式(II−1)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、mは、それぞれ独立に、0〜3の整数を示す。〕
【化3】


〔一般式(II−2)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、mは、それぞれ独立に、0〜3の整数を示し、Zは、酸素原子又は下記一般式(III−1)〜(III−7)で表される2価の基を示す。〕
【化4】


〔一般式(III−1)〜(III−7)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、mは、それぞれ独立に、0〜3の整数を示し、nは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示し、pは、それぞれ独立に、0〜2の整数を示す。〕
【化5】


〔一般式(II−3)中、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、nは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示す。〕
<6> 前記一般式(I)において、Yが、2価の飽和炭化水素基を含む、<1>〜<5>のいずれか1項に記載のポリケトン組成物。
<7> 前記一般式(I)において、Yが、2価の飽和脂環式炭化水素基を含む、<6>に記載のポリケトン組成物。
<8> 前記一般式(I)において、Yの炭素数が6〜30である、<1>〜<7>のいずれか1項に記載のポリケトン組成物。
<9> 前記無機粒子がシリカ粒子である<1>〜<8>のいずれか1項に記載のポリケトン組成物。
<10> さらに溶媒を含む、<1>〜<9>のいずれか1項に記載のポリケトン組成物。
<11> <1>〜<10>のいずれか1項に記載のポリケトン組成物から形成されてなるポリケトン膜。
<12> 基材と、前記基材の表面の少なくとも一部に設けられる<11>に記載のポリケトン膜と、を有するポリケトン膜付基材。
<13> <11>に記載のポリケトン膜、又は<12>に記載のポリケトン膜付基材を有する、光学素子。
<14> <11>に記載のポリケトン膜、<12>に記載のポリケトン膜付基材、又は<13>に記載の光学素子を有する、画像表示装置。
<15> 部材と、前記部材の表面の少なくとも一部に設けられる<1>〜<10>のいずれか1項に記載のポリケトン組成物から形成されてなる被膜と、を有する、被覆部材。
<16> <1>〜<10>のいずれか1項に記載のポリケトン組成物から成形されてなる成形体。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、膜としたときに、透明性及び耐熱性を維持しつつ、高い表面硬度及び低い熱膨張係数を示すポリケトン組成物、ポリケトン膜、ポリケトン膜付基材、光学素子、画像表示装置、被覆部材、及び成形体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
【0011】
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において組成物中の各成分の含有率又は含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において「層」又は「膜」との語には、当該層又は膜が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本開示において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本開示において「平均粒子径」とは、特に断りのない場合、「平均一次粒子径」と同義である。
【0012】
本開示において「透明性に優れる」とは、可視光の透過率(波長400nmの可視光の透過性)が85%以上(膜厚1μm換算)であることを意味する。
本開示において「耐熱性」とは、ポリケトンを含む部材においてガラス転移温度(Tg)が少なくとも180℃であることを意味する。
本開示において「高い表面硬度」とは、形成した膜の鉛筆硬度が2H以上であることを意味する。
本開示において「低い熱膨張係数」とは、形成した膜の熱膨張係数が50ppm/℃以下であることを意味する。
【0013】
<ポリケトン組成物>
本実施形態のポリケトン組成物は、下記一般式(I)で表される構造単位を含むポリケトン(以下、「特定ポリケトン」ともいう)と、無機粒子と、を含有し、前記ポリケトン及び前記無機粒子の合計量100質量部に対して、前記無機粒子の含有量が10質量部〜70質量部であり、前記無機粒子の平均粒子径が10nm〜200nmである。
【0014】
【化6】
【0015】
一般式(I)中、Xは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜50の2価の基を示し、Yは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基を示し、nは1〜1500の整数を示す。
【0016】
本実施形態のポリケトン組成物は、上記構成とすることで、膜としたときに、透明性及び耐熱性を維持しつつ、高い表面硬度及び低い熱膨張係数を示す。その理由は、明らかではないが以下のように推測される。
特定ポリケトンは、カルボニル基を含むため、耐熱性及び透明性に優れる。そして、無機粒子の含有率が、前記特定ポリケトン及び前記無機粒子の合計量100質量部に対して、前記無機粒子の含有量が10質量部〜70質量部であり、且つ無機粒子の平均粒子径が10nm〜200nmであるため、膜の透明性を維持しつつ、高い表面硬度及び低い熱膨張係数が達成される。
なお、特定ポリケトンは、ほぼC−C結合で形成されるため、分子鎖自身は薬液に対して安定性に優れるという利点も有する。
以下、各成分について説明する。
【0017】
(ポリケトン)
ポリケトン組成物は、特定ポリケトンを含有する。特定ポリケトンは、下記一般式(I)で表される構造単位を含む。
【0018】
【化7】
【0019】
一般式(I)中、Xは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜50の2価の基を表す。Yは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。nは1〜1500の整数を表し、2〜1000であることが好ましく、5〜500であることがより好ましい。なお、2価の基又は炭化水素基が置換基を有する場合、これらの基の炭素数には、置換基の炭素数を含めないものとする。以降、同様である。
【0020】
Xで表される2価の基の炭素数は、1〜50であり、1〜30であることが好ましく、1〜24であることがさらに好ましい。
【0021】
Xが有し得る置換基は、特に限定されず、具体的には、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基等が挙げられる。
【0022】
Xで表される2価の基は、炭化水素基であることが好ましく、芳香環を含む炭化水素基であることがより好ましい。Xが芳香環を有する炭化水素基であると、より耐熱性が向上する傾向にある。
【0023】
Xは、耐熱性が向上する観点から、芳香環を含む炭素数6〜50の2価の基であることが好ましい。芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ナフタセン環、クリセン環、ピレン環、トリフェニレン環、ペンタセン環、ベンゾピレン環等が挙げられる。
【0024】
さらに、Xは、複数の芳香環を含むことが好ましく、複数の芳香環は相互に非共役であるか、又は相互の共役関係が弱い2価の基(以下、「特定芳香環基」ともいう)であることがより好ましい。これにより、ポリケトン合成の際に低い反応温度で良好なジアシル化を実現することができ、分子量が高く耐熱性に優れるポリケトンとなる。特定芳香環基は、炭素数が12〜50であることが好ましい。
【0025】
ここで、「複数の芳香環は相互に非共役であるか、又は相互の共役関係が弱い」とは、複数の芳香環がエーテル結合若しくはメチレン結合を介して結合していること、又は2,2’−置換ビフェニルのように置換基による立体障害により、芳香環どうしの共役が抑えられることをいう。
【0026】
Xとしては、下記一般式(II−1)〜(II−3)で表される2価の基等が挙げられる。
【0027】
【化8】
【0028】
一般式(II−1)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、mは、それぞれ独立に、0〜3の整数を示す。波線を付した部分は、結合手を意味する。以降、同様である。
【0029】
耐熱性の観点から、Rで表される炭化水素基の炭素数は、1〜30であり、1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。
【0030】
で表される炭化水素基としては、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基等が挙げられる。
【0031】
で表される飽和脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−イコサニル基、n−トリアコンタニル基等が挙げられる。また、飽和脂肪族炭化水素基は、その末端部分に後述の脂環式炭化水素基を有するものであってもよい。
【0032】
で表される不飽和脂肪族炭化水素基としては、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、エチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。また、不飽和脂肪族炭化水素基は、その末端部分に後述の脂環式炭化水素基を有するものであってもよい。
【0033】
で表される脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基等のシクロアルキル基、シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基などが挙げられる。また、脂環式炭化水素基は、その脂環に、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基からなる群より選択される少なくとも1種を含むものであってもよい。
【0034】
で表される炭化水素基が有し得る置換基は、特に限定されず、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基等が挙げられる。
【0035】
一般式(II−1)中、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表す。耐熱性の観点から、Rで表される炭化水素基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。
【0036】
で表される炭素数1〜30の炭化水素基としては、Rで例示した炭素数1〜30の炭化水素基と同様のものが挙げられる。また、Rで表される炭化水素基が有し得る置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基等が挙げられる。
【0037】
一般式(II−1)中、mは、それぞれ独立に、0〜3の整数を示し、0〜2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
【0038】
【化9】
【0039】
一般式(II−2)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、mは、それぞれ独立に、0〜3の整数を示し、Zは酸素原子又は下記一般式(III−1)〜(III−7)で表される2価の基を示す。
【0040】
【化10】
【0041】
一般式(III−1)〜(III−7)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表す。mは、それぞれ独立に、0〜3の整数を示し、nは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示し、pは、それぞれ独立に、0〜2の整数を示す。
【0042】
一般式(III−1)におけるR及びRは、耐熱性の観点から、置換基を有していてもよい炭素数1〜5の炭化水素基であることが好ましい。R及びRで表される炭素数1〜30の炭化水素基としては、一般式(II−1)中のRで例示した炭素数1〜30の炭化水素基と同様のものが挙げられる。また、R及びRが有し得る置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基等が挙げられる。
【0043】
一般式(III−2)及び(III−3)におけるnは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示し、0〜2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
一般式(III−4)、(III−5)及び(III−7)におけるpは、それぞれ独立に、0〜2の整数を示し、0又は1であることが好ましい。
【0044】
一般式(II−2)中のR、R、及びmのそれぞれの詳細は、一般式(II−1)中のR、R、及びmと同様である。
【0045】
【化11】
【0046】
一般式(II−3)中、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、nは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示す。
耐熱性の観点から、Rで表される炭化水素基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。
で表される炭素数1〜30の炭化水素基としては、一般式(II−1)中のRで例示した炭素数1〜30の炭化水素基と同様のものが挙げられる。また、Rが有し得る置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基等が挙げられる。
【0047】
一般式(II−3)中、nは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示し、1〜4の整数であることが好ましく、1〜3の整数であることがより好ましく、1又は2であることがさらに好ましい。
【0048】
一般式(I)において、Yは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。Yで表される炭化水素基の炭素数は、1〜30であり、4〜30であることが好ましく、耐熱性の観点からは、6〜30であることがより好ましい。
【0049】
Yで表される炭化水素基は、透明性の観点から、飽和炭化水素基を含むことが好ましい。飽和炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であっても、飽和脂環式炭化水素基であってもよい。より高い耐熱性と透明性の両立の観点から、Yで表される炭化水素基は、飽和脂環式炭化水素基を含むことが好ましい。脂環式炭化水素基は、炭素数が同じ脂肪族炭化水素基に比べて嵩高いため、高い耐熱性と透明性を維持したまま、含窒素化合物及び溶媒への溶解性に優れる傾向にある。
また、Yで表される炭化水素基は、複数種の飽和脂肪族炭化水素基、又は複数種の飽和脂環式炭化水素基を含んでいてもよい。また、Yは、飽和脂肪族炭化水素基と、飽和脂環式炭化水素基と、を組み合わせて含んでいてもよい。
【0050】
Yで表される飽和脂肪族炭化水素基の炭素数は、1〜30であり、3〜30であることが好ましい。
飽和脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、エチルエチレン基、1,1−ジメチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、ペンチレン基、1−メチルテトラメチレン基、2−メチルテトラメチレン基、1−エチルトリメチレン基、2−エチルトリメチレン基、1,1−ジメチルトリメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基、1,2−ジメチルトリメチレン基、プロピルエチレン基、エチルメチルエチレン基、ヘキシレン基、1−メチルペンチレン基、2−メチルペンチレン基、3−メチルペンチレン基、1−エチルテトラメチレン基、2−エチルテトラメチレン基、1−プロピルトリメチレン基、2−プロピルトリメチレン基、ブチルエチレン基、1,1−ジメチルテトラメチレン基、2,2−ジメチルテトラメチレン基、1,2−ジメチルテトラメチレン基、1,3−ジメチルテトラメチレン基、1,4−ジメチルテトラメチレン基、1,2,3−トリメチルトリメチレン基、1,1,2−トリメチルトリメチレン基、1,1,3−トリメチルトリメチレン基、1,2,2−トリメチルトリメチレン基、1−エチル−1−メチルトリメチレン基、2−エチル−2−メチルトリメチレン基、1−エチル−2−メチルトリメチレン基、2−エチル−1−メチルトリメチレン基、2,2−エチルメチルトリメチレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、イコサニレン基、トリアコンタニレン基等が挙げられる。
【0051】
耐熱性の観点から、飽和脂肪族炭化水素基としては、ヘキシレン基、メチルペンチレン基、エチルテトラメチレン基、プロピルトリメチレン基、ブチルエチレン基、ジメチルテトラメチレン基、トリメチルトリメチレン基、エチルメチルトリメチレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、イコサニレン基、トリアコンタニレン基からなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0052】
Yで表される飽和脂環式炭化水素基の炭素数は、3〜30であり、4〜30であることが好ましく、6〜30であることがより好ましい。
飽和脂環式炭化水素基としては、シクロプロパン骨格、シクロブタン骨格、シクロペンタン骨格、シクロヘキサン骨格、シクロヘプタン骨格、シクロオクタン骨格、キュバン骨格、ノルボルナン骨格、トリシクロ[5.2.1.0]デカン骨格、アダマンタン骨格、ジアダマンタン骨格、ビシクロ[2.2.2]オクタン骨格、デカヒドロナフタレン骨格等を有する2価の基が挙げられる。
【0053】
耐熱性の観点から、飽和脂環式炭化水素基としては、シクロヘキサン骨格、シクロヘプタン骨格、シクロオクタン骨格、キュバン骨格、ノルボルナン骨格、トリシクロ[5.2.1.0]デカン骨格、アダマンタン骨格、ジアダマンタン骨格、ビシクロ[2.2.2]オクタン骨格、デカヒドロナフタレン骨格からなる群より選択される骨格を有する2価の基を少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0054】
Yで表される炭化水素基が有し得る置換基としては、アミノ基、オキソ基、水酸基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0055】
Yは、下記一般式(IV)及び下記一般式(V−1)〜(V−3)からなる群より選択される2価の基を少なくとも一種含むことが好ましく、下記一般式(IV)で表される2価の炭化水素基を少なくとも含むことがより好ましい。
【0056】
【化12】
【0057】
【化13】
【0058】
【化14】
【0059】
【化15】
【0060】
一般式(IV)におけるアダマンタン骨格の水素原子、一般式(V−1)におけるシクロヘキサン骨格の水素原子、一般式(V−2)におけるデカリン骨格の水素原子、及び一般式(V−3)におけるノルボルナン骨格の水素原子は、それぞれ独立に、炭化水素基、アミノ基、オキソ基、水酸基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。また、一般式(IV)、(V−1)、(V−2)及び(V−3)中、Zは、それぞれ独立に、単結合、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の飽和炭化水素基を表す。
【0061】
柔軟な膜が得られる観点からは、Zは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の飽和炭化水素基であることが好ましく、耐熱性の観点から、Zは炭素数1〜5の2価の飽和炭化水素基であることが好ましい。
【0062】
Zで表される2価の飽和炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、エチルエチレン基、1,1−ジメチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、ペンチレン基、1−メチルテトラメチレン基、2−メチルテトラメチレン基、1−エチルトリメチレン基、2−エチルトリメチレン基、1,1−ジメチルトリメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基、1,2−ジメチルトリメチレン基、プロピルエチレン基、エチルメチルエチレン基、ヘキシレン基、1−メチルペンチレン基、2−メチルペンチレン基、3−メチルペンチレン基、1−エチルテトラメチレン基、2−エチルテトラメチレン基、1−プロピルトリメチレン基、2−プロピルトリメチレン基、ブチルエチレン基、1,1−ジメチルテトラメチレン基、2,2−ジメチルテトラメチレン基、1,2−ジメチルテトラメチレン基、1,3−ジメチルテトラメチレン基、1,4−ジメチルテトラメチレン基、1,2,3−トリメチルトリメチレン基、1,1,2−トリメチルトリメチレン基、1,1,3−トリメチルトリメチレン基、1,2,2−トリメチルトリメチレン基、1−エチル−1−メチルトリメチレン基、2−エチル−2−メチルトリメチレン基、1−エチル−2−メチルトリメチレン基、2−エチル−1−メチルトリメチレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等が挙げられる。
【0063】
Zが有し得る置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基等が挙げられる。なお、Zが置換基を有する場合、Zの2価の飽和炭化水素基の炭素数には置換基の炭素数を含めないものとする。以下同様である。
【0064】
一般式(IV)で表される2価の基は、下記一般式(IV−1)であってもよい。
一般式(V−1)で表される2価の基は、下記一般式(VI−1)であってもよい。
一般式(V−2)で表される2価の基は、下記一般式(VI−2)であってもよい。
一般式(V−3)で表される2価の基は、下記一般式(VI−3)であってもよい。
【0065】
【化16】
【0066】
一般式一般式(IV−1)、(VI−1)、(VI−2)及び(VI−3)におけるZは、一般式(IV)、(V−1)、(V−2)及び(V−3)におけるZと同様のものが挙げられる。
【0067】
Yとして、上記一般式(IV)を含む一般式(I)で表される構造単位と、上記一般式(V−1)〜(V−3)からなる群より選択される少なくとも1種を含む一般式(I)で表される構造単位と、の両方を含むポリケトンであってもよい。上記一般式(IV)と、上記一般式(V−1)〜(V−3)からなる群より選択される少なくとも1種の基との両方を含むとき、一般式(IV)の含有量と、一般式(V−1)〜(V−3)の総含有量との質量比((IV):(V−1)〜(V−3))は特に限定されない。耐熱性及び成膜性の観点から、前記質量比は5:95〜95:5であることが好ましく、5:95〜90:10であることがより好ましい。
【0068】
特定ポリケトンの重量平均分子量(Mw)は、耐熱性を維持する観点から、ポリスチレン換算の標準GPC(ゲル浸透クロマトグラフ、gel permeation chromatography)で500以上であることが好ましく、より高い耐熱性の観点から、10,000〜1,000,000であることがより好ましい。さらに高い耐熱性が必要な場合には、重量平均分子量(Mw)は、20,000〜1,000,000であることがさらに好ましい。特定ポリケトンの重量平均分子量(Mw)は、実施例に記載の方法で測定した値をいう。
【0069】
特定ポリケトンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ポリケトン組成物は、特定ポリケトン以外の他のポリケトンを含んでいてもよい。以降、特定ポリケトンと他のポリケトンを総称して「ポリケトン」という場合がある。膜としたときの耐熱性及び透明性の観点からは、ポリケトンの総量に対する、特定ポリケトンの含有率は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
【0070】
膜としたときの透明性の観点から、ポリケトンの総含有量は、ポリケトン及び無機粒子の合計量100質量部に対して、30質量部〜90質量部であることが好ましく、40質量部〜80質量部であることがより好ましい。
【0071】
(無機粒子)
無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、天然マイカ、合成マイカ、タルク、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アンチモン、チタン酸バリウム、カオリン、ベントナイト、珪藻土、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化セシウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、及びグラファイトの粒子が挙げられる。透明性の観点からは、シリカ粒子を用いることが好ましい。
無機粒子は1種を単独で使用しても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0072】
無機粒子の形状は、特に限定されず、ポリケトン組成物の透明性の観点から、球状が好ましい。
【0073】
無機粒子は、例えば、国際公開第96/31572号に記載されている火炎加水分解法、火炎熱分解法、プラズマ法等の公知の方法で製造することができる。無機粒子としては、安定化されたコロイド状無機粒子のナノ分散ゾル等を好ましく用いることができ、株式会社アドマテックス製のコロイダルシリカ、メルク社製のTiOゾル、日産化学工業株式会社製のSiO、ZrO、Al及びSbゾル、日本アエロジル株式会社製のシリカ(製品名、アエロジル)等の市販品が入手可能である。
【0074】
無機粒子は、その表面が改質されたものであってもよい。無機粒子の表面改質は、公知の表面改質剤を用いて行うことができる。このような表面改質剤としては、例えば、無機粒子の表面に存在する官能基と共有結合、錯形成等の相互作用が可能な化合物、重合体マトリックスと相互作用可能な化合物などを用いることができる。このような表面改質剤としては、例えば、分子内にカルボキシ基、(第1級、第2級又は第3級)アミノ基、4級アンモニウム基、カルボニル基、グリシジル基、ビニル基、(メタ)アクリロキシ基、メルカプト基等の官能基を有する化合物などを用いることができる。表面改質剤は、通常、標準温度及び圧力条件下で液体のものが好ましい。
【0075】
表面改質剤としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸等の炭素数1〜12の飽和又は不飽和モノ及びポリカルボン酸類(好ましくは、モノカルボン酸類);これらのエステル類(好ましくはメタクリル酸メチル等の炭素数1〜4のアルキルエステル類);アミド類;アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、アセト酢酸、炭素数1〜4のアルキルアセト酢酸類等のβ−ジカルボニル化合物;シランカップリング剤などが挙げられる。
【0076】
無機粒子の平均粒子径は、10nm〜200nmであり、10nm〜150nmが好ましく、10nm〜100nmがより好ましい。10nm以上であると所望の表面硬度が得られやすくなり、200nm以下であるとヘイズの上昇が抑えられる傾向がある。平均粒子径が10nm未満の無機粒子は、分散安定性上、製造が困難であり入手し難い。
【0077】
本開示において、無機粒子の平均粒子径は、実施例に記載の方法を用いて、成膜した後に測定された値とする。
【0078】
無機粒子の含有量は、ポリケトン及び無機粒子の合計量100質量部に対して、10質量部〜70質量部であり、20質量部〜60質量部であることが好ましい。10質量部以上であるとポリケトン膜の表面硬度が効果的に向上する傾向があり、70質量部以下であるとポリケトン膜の透明性に優れ、ヘイズの上昇が抑えられ、靭性に優れる傾向がある。
【0079】
無機粒子として、安定化されたコロイド状無機粒子のナノ分散ゾル等を用いる場合、無機粒子を含む分散液をそのまま用いてもよい。
【0080】
(溶媒)
ポリケトン組成物は、さらに溶媒を含有してもよい。溶媒は、各成分を溶解又は分散するものであれば特に制限されない。溶媒としては、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、n−ブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート、3−メチルメトキシプロピオネート、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリルアミド、テトラメチレンスルホン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、ジイソプロピルベンゼン、ヘキシルベンゼン、アニソール、ジグライム、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン等が挙げられる。溶媒には、前記無機粒子で説明の分散液の溶媒も含まれる。これらの溶媒は1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0081】
ポリケトン組成物が溶媒を含有する場合、溶媒の含有量は、ポリケトン、無機粒子及び溶媒の合計量100質量部に対して、5質量部〜95質量部であることが好ましく、10質量部〜90質量部であることがより好ましい。
【0082】
(その他の添加剤)
ポリケトン組成物は、さらにその他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、接着助剤、界面活性剤、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤等が挙げられる。
【0083】
<ポリケトン膜>
本実施形態のポリケトン膜は、本実施形態のポリケトン組成物から形成されてなる。
本実施形態のポリケトン膜の製造方法は、特に限定されない。例えば、溶媒を含む本実施形態のポリケトン組成物を基材の表面に付与して組成物層を形成し、必要に応じて乾燥して組成物層から溶媒を除去することで、本実施形態のポリケトン膜を製造することができる。製造したポリケトン膜は、基材から分離せずにポリケトン膜付基材として用いても、基材から分離して用いてもよい。
ポリケトン組成物を基材に付与する方法は特に制限されず、浸漬法、スプレー法、スクリーン印刷法、バーコート法、スピンコート法等が挙げられる。
【0084】
また、ポリケトン組成物が溶媒を含有する場合には、乾燥を行ってもよい。乾燥方法は特に限定されず、例えば、ホットプレート、オーブン等の装置を用いて熱処理する方法及び自然乾燥する方法等が挙げられる。熱処理することで乾燥を行う条件は、ポリケトン組成物中の溶媒が充分に揮散する条件であれば特に制限はなく、通常、50℃〜150℃で、1分間〜90分間程度である。
【0085】
必要に応じて、乾燥した本実施形態のポリケトン膜は、残存溶媒を飛ばし切るために、さらに熱処理してもよい。熱処理の方法は特に限定されず、箱型乾燥機、熱風式コンベアー型乾燥機、石英チューブ炉、ホットプレート、ラピッドサーマルアニール、縦型拡散炉、赤外線硬化炉、電子線硬化炉、マイクロ波硬化炉、真空乾燥機等のオーブンを用いて行なうことができる。また、熱処理工程における雰囲気条件としては特に限定されず、大気中、窒素等の不活性雰囲気中などが挙げられる。熱処理を行う条件は、特に制限はなく、150℃〜250℃で、1分間〜90分間程度である。さらに熱処理を行うことで、得られるポリケトン膜の膜密度が高くなる傾向にある。
【0086】
ポリケトン膜のヘイズは、厚さ10μmの膜としたときに1%未満であることが好ましい。また、ポリケトン膜は、400nmの可視光の透過率が、膜厚1μm換算で85%以上であることが好ましい。
【0087】
<ポリケトン膜付基材>
本実施形態のポリケトン膜付基材は、基材と、前記基材の表面の少なくとも一部に設けられる本実施形態のポリケトン膜と、を有する。本実施形態のポリケトン膜付基材は、基材の一方の面にポリケトン膜を有していても、両面にポリケトン膜を有していてもよい。また、基材上に形成されるポリケトン膜は、一層の単層構造であっても、二層以上が積層された複層構造であってもよい。
【0088】
基材の種類は、特に制限されない。例えば、ガラス基板、半導体基板、金属酸化物絶縁体基板(例えば、酸化チタン基板及び酸化ケイ素基板)、窒化ケイ素基板等の無機基板、トリアセチルセルロース、ポリイミド、ポリカルボナート、アクリル系樹脂、及びシクロオレフィン樹脂等の樹脂基板を挙げることができる。基材は透明であっても、透明でなくてもよい。基材の形状は特に限定されず、板状、フィルム状等が挙げられる。
【0089】
<光学素子及び画像表示装置>
本実施形態の光学素子及び画像表示装置は、それぞれ本実施形態のポリケトン膜又はポリケトン膜付基材を有する。基材が透明基材であれば、光学素子に好適に用いることができる。
【0090】
光学素子及び画像表示装置は、例えば、ポリケトン膜付基材を、粘着剤、接着剤等を介してLCD(液晶ディスプレイ)、ELD(エレクトロルミネッセンスディスプレイ)等の適用箇所に貼り付けて得ることができる。
【0091】
ポリケトン膜又はポリケトン膜付基材を用いた偏光板等の各種光学素子は、液晶表示装置等の各種画像表示装置に好ましく用いることができる。画像表示装置は、本実施形態のポリケトン膜又はポリケトン膜付基材を用いる以外は、従来の画像表示装置と同様の構成であってよい。画像表示装置が液晶表示装置である場合は、液晶セル、偏光板等の光学素子、及び必要に応じ照明システム(バックライト等)等の各構成部品を適宜に組み立てて駆動回路を組み込むことなどにより製造できる。液晶セルとしては、特に制限されず、TN型、STN型、π型等の様々なタイプを使用できる。
【0092】
画像表示装置の用途としては、特に限定されず、デスクトップパソコン、ノートパソコン、コピー機等のOA機器、携帯電話、時計、デジタルカメラ、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機等の携帯機器、ビデオカメラ、テレビ、電子レンジ等の家庭用電気機器、バックモニター、カーナビゲーションシステム用モニター、カーオーディオ等の車載用機器、商業店舗用インフォメーション用モニター等の展示機器、監視用モニター等の警備機器、介護用モニター等の介護機器、及び医療用モニター等の医療機器などが挙げられる。
【0093】
<被覆部材>
本実施形態の被覆部材は、部材と、前記部材の表面の少なくとも一部に設けられる本実施形態のポリケトン組成物から形成されてなる被膜と、を有する。
被覆対象である部材は特に制限されず、デスクトップパソコン、ノートパソコン、コピー機等のOA機器、携帯電話、デジタルカメラ、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機等の携帯機器、ビデオカメラ、テレビ、各種ディスプレイ、窓ガラス、車載ガラス、カメラレンズなどが挙げられる。
ポリケトン組成物を用いて被覆部材を形成する方法は特に制限されず、例えば、ポリケトン膜をラミネート等の方法で被覆対象である部材に接着することで被覆を形成してもよく、液状のポリケトン組成物を被覆対象である部材に付与してから乾燥して被覆部材を形成してもよい。
【0094】
<成形体>
本実施形態の成形体は、本実施形態のポリケトン組成物から成形されてなる。成形体の製造方法は特に制限されず、当該技術分野で既知の方法を用いることができる。例えば、押出成形法、射出成形法、カレンダー成形法、ブロー成形法、FRP(Fiber Reinforced Plastic)成形法、積層成形法、注型法、粉末成形法、溶液流延法、真空成形法、圧空成形法、押出複合成形法、延伸成形法、及び発泡成形法が挙げられる。
【0095】
本実施形態の成形体は、必要に応じて所望の機能の付与、特性の改善、成形性の向上等のために、種々の添加剤を加えてもよい。添加剤としては、摺動剤(ポリテトラフルオロエチレン粒子等)、光拡散剤(アクリル架橋粒子、シリコーン架橋粒子、極薄ガラスフレーク、炭酸カルシウム粒子等)、蛍光染料、無機系蛍光体(アルミン酸塩を母結晶とする蛍光体等)、帯電防止剤、結晶核剤、無機及び有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子等)、架橋剤、硬化剤、反応促進剤、赤外線吸収剤(熱線吸収剤)、フォトクロミック剤などが挙げられる。
【実施例】
【0096】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0097】
<ポリケトンの分子量測定>
ポリケトンの分子量(重量平均分子量及び数平均分子量)は、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用いて、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)法によって測定し、標準ポリスチレン換算にて求めた。詳細は次のとおりである。
【0098】
・装置名:Ecosec HLC−8320GPC(東ソー株式会社)
・カラム:TSKgel Supermultipore HZ−M(東ソー株式会社)
・検出器:UV検出器、RI検出器併用
・流速:0.4ml/min
【0099】
<ポリケトンの合成>
(合成例1)ポリケトンPK−1の合成
モノマとして、2,2’−ジメトキシビフェニル10mmolと1,3−アダマンタンジカルボン酸10mmolが入ったフラスコに、五酸化二リン及びメタンスルホン酸の混合液(質量比1:10)を30ml加え、60℃で撹拌した。反応後、内容物をメタノール500ml中に投じ、生成した析出物を濾取した。得られた固体を蒸留水とメタノールで洗浄した後、乾燥し、ポリケトンPK−1を得た。
得られたポリケトンPK−1の重量平均分子量は20,000、数平均分子量は8,000であった。なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、上述の方法で測定し、算出したものである。後述のポリケトンPK−2〜PK−11の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)についても同様である。
【0100】
(合成例2)ポリケトンPK−2の合成
モノマとして、2,2’−ジメトキシビフェニル10mmolと1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(cisとtransの混合体、cis:trans(モル比)=7:3)10mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリケトンPK−2を得た。得られたポリケトンPK−2の重量平均分子量は25,000であり、数平均分子量は9,000であった。
【0101】
(合成例3)ポリケトンPK−3の合成
モノマとして、2,2’−ジメトキシビフェニル10mmolと1,3−アダマンタン二酢酸10mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリケトンPK−3を得た。得られたポリケトンPK−3の重量平均分子量は42,000であり、数平均分子量は12,000であった。
【0102】
(合成例4)ポリケトンPK−4の合成
モノマとして、2,2’−ジメトキシビフェニル10mmolと1,3−アダマンタンジカルボン酸5mmolとドデカン二酸5mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリケトンPK−4を得た。得られたポリケトンPK−4の重量平均分子量は36,000であり、数平均分子量は13,000であった。
【0103】
(合成例5)ポリケトンPK−5の合成
モノマとして、2,2’−ジメトキシビフェニル10mmolと1,3−アダマンタン二酢酸5mmolとドデカン二酸5mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリケトンPK−5を得た。得られたポリケトンPK−5の重量平均分子量は39,000であり、数平均分子量は12,000であった。
【0104】
(合成例6)ポリケトンPK−6の合成
モノマとして、2,2’−ジメトキシビフェニル10mmolと1,3−アダマンタン二酢酸5mmolとヘキサン二酸5mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリケトンPK−6を得た。得られたポリケトンPK−6の重量平均分子量は39,000であり、数平均分子量は12,000であった。
【0105】
(合成例7)ポリケトンPK−7の合成
2,2’−ジメトキシビフェニル10mmolと1,3−アダマンタン二酢酸5mmolとcis−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸5mmol用いた以外は実施例1と同様にして、ポリケトンPK−7を得た。得られたポリケトンPK−7の重量平均分子量は45,000であり、数平均分子量は11,000であった。
【0106】
(合成例8)ポリケトンPK−8の合成
モノマとして、2,2’−ジメトキシビフェニル10mmolと1,3−アダマンタン二酢酸5mmolとデカリン−2,6−ジカルボン酸5mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリケトンPK−8を得た。得られたポリケトンPK−8の重量平均分子量は33,000であり、数平均分子量は10,000であった。
【0107】
(合成例9)ポリケトンPK−9の合成
モノマとして、2,2’−ジメトキシビフェニル10mmolと1,3−アダマンタン二酢酸5mmolとノルボルナンジカルボン酸(2,4−、2,5−混合体)5mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリケトンPK−9を得た。得られたポリケトンPK−9の重量平均分子量は27,000であり、数平均分子量は9,200であった。
【0108】
(合成例10)ポリケトンPK−10の合成
モノマとして、2,2’−ビス(2−メトキシフェニル)プロパン10mmolと1,3−アダマンタン二酢酸5mmolと1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(cisとtransの混合体、cis:trans(モル比)=7:3)5mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリケトンPK−10を得た。得られたポリケトンPK−10の重量平均分子量は28,000であり、数平均分子量は8,300であった。
【0109】
(合成例11)ポリケトンPK−11の合成
モノマとして、ジフェニルエーテル10mmolと1,3−アダマンタン二酢酸5mmolと1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(cisとtransの混合体、cis:trans(モル比)=7:3)5mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリケトンPK−11を得た。得られたポリケトンPK−11の重量平均分子量は27,000であり、数平均分子量は8,000であった。
【0110】
<ポリケトン組成物の調製>
(実施例1)
得られたポリケトン(PK−1)0.90gをN−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと称す)3.30gに溶解し、その後、シリカ(粒子A)のシクロヘキサノン分散液(日産化学工業株式会社製、CHO−ST−M)0.33g(固形分0.1g)を加え、攪拌し、ポリテトラフルオロエチレン製のメンブレンフィルター(孔径5μm)で濾過して、ポリケトン組成物を得た。
【0111】
(実施例2〜15及び比較例1〜4)
表1に示す配合に変更した以外は実施例1と同様な方法でポリケトン組成物を得た。表1中の数値は、ポリケトンと無機粒子の合計量を100質量部としたときの各成分の質量部を表す。粒子B(シリカ)としては、株式会社アドマテックス製、SC1050−SXTを用いた。粒子C(酸化チタン)としては、Sigma−Aldrich社製、Aldrich 637254を用いた。粒子D(シリカ)としては株式会社アドマテックス製、SO−E2を用いた。
【0112】
【表1】

【0113】
<評価用サンプルの作製及び評価>
得られたポリケトン組成物を用いて、以下の方法により膜を作製し、後述の評価用のサンプルを準備し、下記評価を行った。
【0114】
(1)平均粒子径の測定
得られたポリケトン組成物を、バーコート法によりガラス基板の上に塗布し、120℃に加熱したホットプレート上で3分間乾燥して、厚さ10μmのポリケトン膜を有するポリケトン膜付ガラス基板を作製した。このポリケトン膜付ガラス基板を、窒素置換したイナートガスオーブンを用い200℃で1時間熱処理した後、ダイヤモンドカッターを用いて切断し、切断面(膜断面)を、走査型電子顕微鏡(株式会社Philips製、XL−30)を用いて観察を行った。得られた観察画像から、無機粒子の一次粒子50個について長径を測定し、その平均値を平均粒子径とした。
【0115】
ここで、長径とは、前記切断面に現れる粒子について、その粒子の外側に接する二つの平行線の組み合わせを、粒子を挟むように選択し、それらの組み合わせのうち最長間隔になる二つの平行線の距離である。
【0116】
(2)ヘイズ測定
得られたポリケトン組成物を、バーコート法によりガラス基板の上に塗布し、120℃に加熱したホットプレート上で3分間乾燥して、厚さ10μmのポリケトン膜を有するポリケトン膜付ガラス基板を作製した。このポリケトン膜付ガラス基板を、窒素置換したイナートガスオーブンを用い200℃で1時間熱処理した後、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、NDH 2000)を用い、ポリケトン膜の付いていないガラス基板をブランクとしてヘイズを測定した。得られたヘイズを表2に示す。
【0117】
(3)透明性の評価
得られたポリケトン組成物を、バーコート法によりガラス基板の上に塗布し、120℃に加熱したホットプレート上で3分間乾燥して、厚さ10μmのポリケトン膜を有するポリケトン膜付ガラス基板を作製した。このポリケトン膜付ガラス基板を、窒素置換したイナートガスオーブンを用い200℃で1時間熱処理した後、波長400nmの可視光の透過率を、紫外可視分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス、U−3310 Spectrophotometer)を用いた紫外可視吸収スペクトル法によって測定した。ポリケトン膜の付いていないガラス基板をリファレンスとして、膜厚1μmに換算した透過率(%)を表2に示す。膜厚は、触針式段差計(「Dektak3 ST」、アルバック株式会社(Veeco))を用いて3点測定した値の算術平均値とした。
【0118】
(4)耐熱性の評価
得られたポリケトン組成物を、バーコート法によりポリイミド(カプトン)フィルムの上に塗布し、120℃に加熱したホットプレート上で3分間乾燥して、厚さ10μmのポリケトン膜を有するポリケトン膜付ポリイミド基材を作製した。ポリイミド基材からポリケトン膜を剥がし、窒素置換したイナートガスオーブンで、200℃で1時間熱処理した。その後、ポリケトン膜のガラス転移点を、動的粘弾性測定装置(Rheometrics社製、RSA−II)を用いた動的粘弾性測定法(引張りモード)によって測定した。得られたガラス転移点(Tg)の値(℃)を表2に示す。
【0119】
(5)鉛筆硬度の評価
透明性の評価と同様の方法でポリケトン膜付ガラス基板を作製し、鉛筆硬度試験により評価した。試験は、JIS K5600−5−4:1999に従って行った。試験結果を表2に示す。
【0120】
(6)熱膨張係数(CTE)の測定
耐熱性の評価と同様の方法でポリケトン膜を作製し、熱機械分析装置(セイコーインスツル株式会社製、TMA/SS6000)を用いて、チャック間距離15mm、測定温度範囲20℃〜300℃、昇温速度5℃/min、ポリケトン膜の断面積に対して0.5MPaとなる引っ張り荷重の条件で測定を行い、50℃〜200℃の温度範囲における平均の熱膨張係数を算出した。試験結果を表2に示す。
【0121】
【表2】
【0122】
実施例のポリケトン組成物は、膜としたときに、耐熱性及び透明性を維持しつつ、高い表面硬度及び低い熱膨張係数を示すことがわかる。
【0123】
2017年1月31日に出願された日本国特許出願2017−15424号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【国際調査報告】