特表-18143438IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2018-143438有機エレクトロニクス材料及びその利用
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  • 再表WO2018143438-有機エレクトロニクス材料及びその利用 図000039
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年8月9日
【発行日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】有機エレクトロニクス材料及びその利用
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20191129BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20191129BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20191129BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20191129BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20191129BHJP
   C08G 61/12 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   H05B33/22 D
   H05B33/14 A
   H01L27/32
   G09F9/30 365
   G09F9/00 334
   G02F1/13357
   C08G61/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】45
【出願番号】特願2018-566143(P2018-566143)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年2月2日
(31)【優先権主張番号】特願2017-18572(P2017-18572)
(32)【優先日】2017年2月3日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 智嗣
(72)【発明者】
【氏名】石塚 健一
(72)【発明者】
【氏名】吉成 優規
(72)【発明者】
【氏名】本名 涼
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 広貴
【テーマコード(参考)】
2H391
3K107
4J032
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2H391AA01
2H391AB07
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3K107BB01
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3K107BB08
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3K107DD72
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3K107GG06
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3K107GG08
4J032BA04
4J032BA05
4J032BA09
4J032BA14
4J032BA15
4J032BA21
4J032BB03
4J032BB09
4J032BC03
4J032BC12
4J032BD07
4J032CG01
5C094AA31
5C094AA43
5C094BA27
5G435AA14
5G435AA17
5G435BB05
5G435EE21
(57)【要約】
有機エレクトロニクス素子に利用でき、素子特性の改善を可能とする電荷輸送性ポリマーを含む電荷輸送性材料、及び該材料を含むインク組成物を提供する。また、優れた素子特性を有する有機エレクトロニクス素子、有機EL素子、並びにそれらを用いた表示素子、照明装置、及び表示装置を提供する。より詳細には、置換または非置換のジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を含む構造単位を少なくとも1つ有する電荷輸送性ポリマー又はオリゴマーを含む、有機エレクトロニクス材料を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
置換または非置換のジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を含む構造単位を少なくとも1つ有する電荷輸送性ポリマー又はオリゴマーを含む、有機エレクトロニクス材料。
【請求項2】
下記式(1)で表される構造単位を、少なくとも1つの末端に有する電荷輸送性ポリマー又はオリゴマーを含む、請求項1に記載の有機エレクトロニクス材料。
【化1】
(式(1)において、Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。Rは、それぞれ独立に置換基を表す。lは、0〜3の整数を表す。mは、0〜4の整数を表す。*は、他の構造単位との結合部位を表す。)
【請求項3】
前記電荷輸送性ポリマー又はオリゴマーが、3個以上の末端を有する、請求項2に記載の有機エレクトロニクス材料。
【請求項4】
前記電荷輸送性ポリマー又はオリゴマーが、前記式(1)で表される構造単位を、全末端数を基準として25%以上の末端に有する、請求項2又は3に記載の有機エレクトロニクス材料。
【請求項5】
前記電荷輸送性ポリマー又はオリゴマーが、正孔輸送性を有する構造単位を含むモノマーと、前記式(1)で表される構造単位を含むモノマーとの共重合体である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料。
【請求項6】
前記電荷輸送性ポリマー又はオリゴマーが、置換又は非置換のジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を有する2価の構造単位L1からなる群から選択される少なくとも1つを有する、請求項1に記載の有機エレクトロニクス材料。
【請求項7】
前記2価の構造単位L1が下式(L1a、L1b、L1c)で表される構造のうちいずれかを少なくとも1つ有する、請求項6に記載の有機エレクトロニクス材料。
【化2】
[式中Xは、酸素原子であるか、又は、硫黄原子を表す。Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。Rは、それぞれ独立に、−R、−OR、−SR、−OCOR、−COOR、−SiR、ハロゲン原子、及び、後述する重合性官能基を含む基からなる群から選択される。R〜Rは、それぞれ独立に、それぞれ独立して、水素原子であるか、又は、炭素数1〜22個の、直鎖、環状又は分岐の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びアルコキシ基、並びに炭素数2〜30個の、アリール基及びヘテロアリール基、重合成官能基を表す。l、m、p、qは、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、n、oは、それぞれ独立に0〜4の整数を表す。また、式(1)中の「*」は、他の構造単位との結合部位を表す。]
【請求項8】
前記電荷輸送性ポリマーが、ジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を含まない2価の構造単位L2からなる群から選択される少なくとも1つをさらに有する、請求項6又は7に記載の有機エレクトロニクス材料。
【請求項9】
前記電荷輸送性ポリマーが、ジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を含まない2価の構造単位L2をさらに有し、前記2価の構造単位L2が、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、ビチオフェン構造、ベンゼン構造、及びフルオレン構造からなる群から選択される構造を含む、請求項6〜8のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料。
【請求項10】
前記電荷輸送性ポリマーが、3方向以上に分岐した構造を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料。
【請求項11】
前記電荷輸送性ポリマーが、重合可能な置換基を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項記載の有機エレクトロニクス材料と、溶媒とを含む、インク組成物。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項記載の有機エレクトロニクス材料、又は請求項12記載のインク組成物を用いて形成された、有機層。
【請求項14】
請求項13記載の有機層を少なくとも1つ備える、有機エレクトロニクス素子。
【請求項15】
請求項13記載の有機層を少なくとも1つ備える、有機エレクトロルミネセンス素子。
【請求項16】
フレキシブル基板を更に備える、請求項15記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
【請求項17】
樹脂フィルム基板を更に備える、請求項15記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
【請求項18】
請求項15〜17のいずれか1項記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた、表示素子。
【請求項19】
請求項15〜17のいずれか1項記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた、照明装置。
【請求項20】
請求項19記載の照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えた、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、有機エレクトロニクス材料、インク組成物、有機層、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子(「有機EL素子」ともいう。)、表示素子、照明装置、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、例えば、白熱ランプ、ガス充填ランプ等の代替えとして、大面積ソリッドステート光源用途として注目されている。また、フラットパネルディスプレイ(FPD)分野における液晶ディスプレイ(LCD)に置き換わる最有力の自発光ディスプレイとしても注目されており、製品化が進んでいる。
【0003】
有機EL素子は、使用する有機材料から、低分子化合物を用いる低分子型有機EL素子と、高分子化合物を用いる高分子型有機EL素子の2つに大別される。有機EL素子の製造方法は、主に真空系で成膜が行われる乾式プロセスと、凸版印刷、凹版印刷等の有版印刷、インクジェット等の無版印刷などにより成膜が行われる湿式プロセスとの2つに大別される。簡易成膜が可能なため、湿式プロセスは、今後の大画面有機ELディスプレイには不可欠な方法として期待されている(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照)。一方、近年、ジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を有する化合物を使用して素子特性を向上させる技術が検討されている(特許文献2〜4)。しかし特許文献2〜4で開示されたジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を有する化合物は、いずれも低分子量であるため、湿式プロセスを適用して成膜を行うことは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−279007号公報
【特許文献2】特開2013−40105号公報
【特許文献3】特開2015−205860号公報
【特許文献4】特開2016−861142号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】廣瀬健吾、熊木大介、小池信明、栗山晃、池畑誠一郎、時任静士、第53回応用物理学関係連合講演会、26p−ZK−4(2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
湿式プロセスを用いて作製した有機EL素子は、低コスト化及び大面積化が容易であるという特長を有している。しかし、有機EL素子の特性に関しては、湿式プロセスを用いて作製した有機層を含む有機EL素子では、更なる改善が望まれている。
【0007】
本発明の一実施形態は、上記に鑑み、湿式プロセスに適し、かつ、有機エレクトロニクス素子の寿命特性の向上に適した有機エレクトロニクス材料及びインク組成物を提供する。本発明の他の実施形態は、有機エレクトロニクス素子の駆動電圧の低下及び寿命特性の向上に適した有機層を提供すること、さらには、駆動電圧が低下し、さらに寿命特性に優れる有機エレクトロニクス素子、有機EL素子、表示素子、照明装置、及び表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討した結果、ジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を有する特定の構造単位を含む電荷輸送性ポリマーが、有機エレクトロニクス素子の有機層を構成する電荷輸送性材料として好適であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明の一実施形態は、置換または非置換のジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を含む構造単位を少なくとも1つ有する電荷輸送性ポリマー又はオリゴマーを含む、有機エレクトロニクス材料を提供する。上記置換または非置換のジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を含む構造単位は、1価の構造単位であってもよく、2価の構造単位であってもよく、3価以上の構造単位であってもよい。
【0010】
本発明の一実施形態において、上記電荷輸送性ポリマー又はオリゴマーは、置換又は非置換のジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を有する、式(1)で表される1価の構造単位を有してよい。本発明の一実施形態は、式(1)で表される1価の構造単位を、少なくとも1つの末端に有する荷輸送性ポリマー又はオリゴマーを含む、有機エレクトロニクス材料を提供する。
【化1】
式(1)において、Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。Rは、それぞれ独立に、置換基を表す。lは、0〜3の整数を表す。mは、0〜4の整数を表す。式(1)中の「*」は、他の構造単位との結合部位を表す。
【0011】
前記電荷輸送性ポリマー又はオリゴマーは、3個以上の末端を有していてもよい。この場合、前記電荷輸送性ポリマー又はオリゴマーが、前記式(1)で表される構造単位を、全末端数を基準として25%以上の末端に有してもよい。
【0012】
前記電荷輸送性ポリマー又はオリゴマーは、正孔輸送性を有する構造単位を含むモノマーと、前記式(1)で表される構造単位を含むモノマーとの共重合体であってもよい。
【0013】
前記電荷輸送性ポリマー又はオリゴマーは、重合可能な置換基を有していてもよい。
【0014】
また、本発明の一実施形態において、上記電荷輸送性ポリマー又はオリゴマーは、置換又は非置換のジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を有する2価の構造単位L1からなる群から選択される少なくとも1つを有してよい。
【0015】
上記2価の構造単位L1は、下式(L1a、L1b、L1c)で表される構造のうちいずれかを少なくとも1つ有することが好ましい。
【化2】
[式中、Xは、酸素原子であるか、又は、硫黄原子を表す。Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。Rは、それぞれ独立に、−R、−OR、−SR、−OCOR、−COOR、−SiR、ハロゲン原子、及び、後述する重合性官能基を含む基からなる群から選択される。R〜Rは、それぞれ独立に、それぞれ独立して、水素原子であるか、又は、炭素数1〜22個の、直鎖、環状又は分岐の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びアルコキシ基、並びに炭素数2〜30個の、アリール基及びヘテロアリール基、重合成官能基を表す。l、m、p、qは、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、n、oは、それぞれ独立に0〜4の整数を表す。また、式(1)中の「*」は、他の構造単位との結合部位を表す。]
【0016】
上記電荷輸送性ポリマーが、ジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を含まない2価の構造単位L2からなる群から選択される少なくとも1つをさらに有することが好ましい。
【0017】
上記電荷輸送性ポリマーが、ジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を含まない2価の構造単位L2をさらに有し、前記2価の構造単位L2が、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、ビチオフェン構造、ベンゼン構造、及びフルオレン構造からなる群から選択される構造を含むことが好ましい。
【0018】
上記電荷輸送性ポリマーが、3方向以上に分岐した構造を有することが好ましい。
【0019】
上記電荷輸送性ポリマーが、重合可能な置換基を有することが好ましい。
【0020】
本発明の他の実施形態は、上記実施形態の有機エレクトロニクス材料と、溶媒とを含む、インク組成物を提供する。
【0021】
本発明の別の実施形態は、上記実施形態の有機エレクトロニクス材料、又は上記インク組成物を用いて形成された、有機層を提供する。
【0022】
本発明の更なる実施形態は、上記実施形態の有機層を少なくとも1つ備える、有機エレクトロニクス素子を提供する。
【0023】
本発明の他の実施形態は、上記実施形態の有機層を少なくとも1つ備える、有機エレクトロルミネセンス素子を提供する。
【0024】
本発明の別の実施形態は、フレキシブル基板を更に備える、上記実施形態の有機エレクトロルミネセンス素子を提供する。
【0025】
本発明の更なる実施形態は、樹脂フィルム基板を更に備える、上記実施形態の有機エレクトロルミネセンス素子を提供する。
【0026】
本発明の他の実施形態は、上記実施形態の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた、表示素子を提供する。
【0027】
本発明の別の実施形態は、上記実施形態の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた、照明装置を提供する。
【0028】
本発明の更なる実施形態は、上記実施形態の照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えた、表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0029】
本発明の実施形態である有機エレクトロニクス材料及びインク組成物は、湿式プロセスに適し、かつ、有機エレクトロニクス素子の駆動電圧の低下及び寿命特性の向上に適している。また、本発明の実施形態である有機層は、有機エレクトロニクス素子の駆動電圧低下及び寿命特性の向上に適している。さらに、本発明の実施形態である有機エレクトロニクス素子、有機EL素子、表示素子、照明装置、及び表示装置は、駆動電圧が低下し、寿命特性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明の実施形態である有機EL素子の一例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明がこれらの実施形態に限定されることはない。
【0032】
<有機エレクトロニクス材料>
本実施形態の有機エレクトロニクス材料は、ジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を含む構造単位を、少なくとも1つ有する電荷輸送性ポリマー又はオリゴマーを含むことを特徴とする。この有機エレクトロニクス材料は、電荷輸送性ポリマー又はオリゴマーを、一種のみ含有してもよく、又は、二種以上含有してもよい。電荷輸送性ポリマー又はオリゴマーは、低分子化合物と比較し、湿式プロセスにおける成膜性に優れるという点で好ましい。上記置換または非置換のジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を含む構造単位は、1価の構造単位であってもよく、2価の構造単位であってもよく、3価以上の構造単位であってもよい。
【0033】
[電荷輸送性ポリマー又はオリゴマー]
(電荷輸送性ポリマーの構造)
電荷輸送性ポリマー又はオリゴマー(以下の記載において、電荷輸送性ポリマー又はオリゴマーを、まとめて「電荷輸送性ポリマー」とも記す。)は、電荷を輸送する能力を有するポリマー又はオリゴマーである。電荷輸送性ポリマーは、直鎖状であっても、又は、分岐構造を有していてもよい。電荷輸送性ポリマーは、好ましくは、電荷輸送性を有する2価の構造単位Lと末端部を構成する1価の構造単位Tとを少なくとも含み、分岐部を構成する3価以上の構造単位Bを更に含んでもよい。電荷輸送性ポリマーは、各構造単位を、それぞれ1種のみ含んでいても、又は、それぞれ複数種含んでいてもよい。電荷輸送性ポリマーにおいて、各構造単位は、「1価」〜「3価以上」の結合部位において互いに結合している。
【0034】
電荷輸送性ポリマーに含まれる部分構造の例として、以下が挙げられる。電荷輸送性ポリマーは、以下の部分構造を有するものに限定されない。部分構造中、「L」は構造単位Lを、「T」は構造単位Tを、「B」は構造単位Bを表す。本明細書において式中の「*」は、他の構造単位との結合部位を表す。以下の部分構造中、複数のLは、互いに同一の構造単位であっても、互いに異なる構造単位であってもよい。T及びBについても、同様である。なお、電荷輸送性ポリマーは、以下の部分構造を有するものに限定されない。
【0035】
直鎖状の電荷輸送性ポリマー
【化3】
【0036】
分岐構造を有する電荷輸送性ポリマー
【化4】
後述するが、本実施形態の電荷輸送性ポリマーは、置換又は非置換のジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を含む構造単位を少なくとも1つ含むことを特徴として備えている。すなわち、上記の「末端部を構成する1価の構造単位T」、「2価の構造単位L」、および「3価以上の構造単位B」の少なくとも一部は、ジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を含む構造単位である。
【0037】
本発明の一実施形態において、電荷輸送性ポリマーは、その少なくとも1つのポリマー末端に、式(1)で表される構造単位を含む。すなわち、前記の「末端部を構成する1価の構造単位T」の少なくとも1つは、上記式(1)で表される構造単位(以下、これを「構造単位T1」とも記す。)である。なお、この式(1)で表される構造単位T1は、ポリマー末端以外に存在してもよく、前記の「2価の構造単位L」及び/又は「3価以上の構造単位B」の置換基として含まれていても良い。
【0038】
本発明の一実施形態において、電荷輸送性ポリマーを構成する「2価の構造単位L」は、置換又は非置換のジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を有する2価の構造単位L1からなる群から選択される少なくとも1つを有してよい。本実施形態において、上記2価の構造単位L1は、下記に詳述する通り、好ましくは(L1a、L1b、L1c)で表される構造のうちいずれかを少なくとも1つ有する構造単位を含む。このジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を含む構造単位は、2価の構造単位L以外に存在してもよく、上記の「1価の構造単位T」及び/又は「3価以上の構造単位B」の置換基として含まれていても良い。
【0039】
(構造単位T)
構造単位Tは、電荷輸送性ポリマーの末端部を構成する1価の構造単位である。電荷輸送性ポリマーは構造単位Tを3個以上有することが好ましい。構造単位Tは、上記置換又は非置換のジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を有する1価の構造単位(以下、これを「構造単位T1」とも記す。)、および上記置換又は非置換のジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を有しない1価の構造単位(以下、これを「構造単位T2」とも記す。)を含む。
【0040】
(構造単位T1)
本実施形態においては、前記のとおり、構造単位Tの少なくとも1つが、式(1)で表される構造単位(すなわち「構造単位T1」)である。電荷輸送性ポリマーは、構造単位T1を、一種のみ有していてもよいし、又は、二種以上有していてもよい。電荷輸送性ポリマーが末端部に重合性官能基を有する場合、構造単位T1において、式(1)のRのいずれか少なくとも1つが、重合性官能基を含む基であってもよい。
【0041】
(式(1)で表される構造単位)
式(1)で表される構造単位について説明する。
【0042】
【化5】
【0043】
前記式(1)中、Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。Rは、それぞれ独立に、置換基を表す。好ましくは、Rは、それぞれ独立に、−R、−OR、−SR、−OCOR、−COOR、−SiR、ハロゲン原子、及び、後述する重合性官能基を含む基からなる群から選択される。
は、炭素数1〜22個の、直鎖、環状又は分岐の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びアルコキシ基、並びに炭素数2〜30個の、アリール基及びヘテロアリール基、からなる群から選択される少なくとも1種である。
〜Rは、それぞれ独立に、水素原子であるか、又は、炭素数1〜22個の、直鎖、環状又は分岐の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びアルコキシ基、並びに炭素数2〜30個の、アリール基及びヘテロアリール基、からなる群から選択される少なくとも1種である。前記アリール基及びヘテロアリール基は更に置換基を有していてもよい。Rは、好ましくは1〜22個の、直鎖、環状又は分岐の、アルキル基又はヘテロアリール基である。ヘテロアリール基としては、例えば、カルバゾール構造を含む基が挙げられ、カルバゾール構造を含む基の具体例としては、例えば、9−カルバゾリル基が挙げられる。
アリール基またはヘテロアリール基が更に置換基を有する場合の置換基の例として、式(1)のRで表される置換基の例として挙げられるものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。電荷輸送性ポリマーが末端部に重合性官能基を有する場合、Rのいずれか少なくとも1つが、重合性官能基を含む基であってもよい。Rが複数存在するとき、複数のRは互いに同一であっても異なってもよい。
lは、0〜3の整数を表し、mは、0〜4の整数を表す。また、式(1)中の「*」は、他の構造単位との結合部位を表す。
【0044】
本明細書において、アリール基は、芳香族炭化水素から水素原子1個を除いた原子団である。ヘテロアリール基は、芳香族複素環から水素原子1個を除いた原子団である。
また、芳香族炭化水素としては、単環、縮合環、又は、単環及び縮合環から選択される2個以上が単結合を介して結合した多環が挙げられる。芳香族複素環としては、単環、縮合環、又は、単環及び縮合環から選択される2個以上が単結合を介して結合した多環が挙げられる。
【0045】
式(1)で表される構造単位の好ましい具体例を以下に列挙する。式(1)で表される構造単位は、下記式で表される構造に限定されない。下記式中、Rは、前記式(1)におけるRと同様である。
【0046】
【化6】
【0047】
電荷輸送性ポリマー又はオリゴマーが式(1)で表される構造単位を少なくとも1つの末端に有することで、正孔輸送性が向上すると考えられる。特に、電荷輸送性ポリマー又はオリゴマーが、正孔輸送性を有する構造単位と、末端に、式(1)で表される構造単位とを有する場合、電荷輸送性ポリマー又はオリゴマーにおいて、π共役系が拡大し、高い正孔輸送能を有するため、有機エレクトロニクス材料として高い性能を発揮することができると考えられる。
【0048】
(構造単位T2)
一実施形態において、電荷輸送性ポリマーは、末端の構造単位Tとして、前記構造単位T1に加え、構造単位T1以外の、すなわち式(1)で表される構造を有さない構造単位(すなわち「構造単位T2」)を含んでいてもよい。電荷輸送性ポリマーは、構造単位T2を、一種のみ有してもよいし、二種以上有してもよい。
【0049】
構造単位T2は、特に限定されず、例えば、置換又は非置換の、芳香族炭化水素構造、芳香族複素環構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択される。一実施形態において、構造単位T2は、電荷の輸送性を低下させずに耐久性を付与するという観点から、置換又は非置換の芳香族炭化水素構造であることが好ましく、置換又は非置換のベンゼン構造であることがより好ましい。また、他の実施形態において、後述するように、電荷輸送性ポリマーが末端部に重合性官能基を有する場合、構造単位T2は重合可能な構造(すなわち、例えば、ピロール−イル基等の重合性官能基)であってもよく、重合性官能基を有してもよい。構造単位T2は、価数が異なることを除き、構造単位L2及び/又はBと同じ構造を有していてもよく、又は、異なる構造を有していてもよい。
【0050】
構造単位T2の具体例として、以下が挙げられる。構造単位T2は、以下に限定されない。
【化7】
【0051】
前記式中、Rは、構造単位L2におけるRと同様である(ただし、ヘテロアリール基が式(1)の構造を含むものを除く。)。電荷輸送性ポリマーが末端部に重合性官能基を有する場合、好ましくは、Rのいずれか少なくとも1つが、重合性官能基を含む基である。
【0052】
電荷輸送性ポリマーの全末端における構造単位T1の割合は、有機エレクトロニクス素子の特性向上の観点から、全末端数を基準として25%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは35%以上である。上限は特に限定されず、100%以下である。全末端における割合は、電荷輸送性ポリマーを合成するために使用した、末端の構造単位に対応するモノマーの仕込み量比(モル比)により求めることができる。
【0053】
電荷輸送性ポリマーが構造単位T2を有する場合、全末端における構造単位T2の割合は、有機エレクトロニクス素子の特性向上の観点から、全末端数を基準として、好ましくは75%以下、より好ましくは70%以下、更に好ましくは65%以下である。下限は特に限定されないが、後述する重合可能な置換基の導入、成膜性、ぬれ性等の向上のための置換基の導入などを考慮すると、例えば、5%以上とすることができる。
【0054】
(構造単位L)
構造単位Lは、電荷輸送性を有する2価の構造単位である。構造単位Lは、上記置換又は非置換のジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を有する2価の構造単位(以下、これを「構造単位L1」とも記す。)、および上記置換又は非置換のジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を有しない2価の構造単位(以下、これを「構造単位L2」とも記す。)を含む。
【0055】
一実施形態において、上記電荷輸送性ポリマーは、ジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を含む構造単位L1を含むことが好ましい。以下、各構造単位についてより具体的に説明する。
【0056】
(構造単位L1)
一実施形態において、構造単位L1は、ジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を有する有機基である。構造単位L1の一例として、以下(L1a、L1b、L1c)が挙げられるが、これらに限定されない。
【化8】
【0057】
Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。好ましくは、Rは、それぞれ独立に、−R、−OR、−SR、−OCOR、−COOR、−SiR、ハロゲン原子、及び、後述する重合性官能基を含む基からなる群から選択される。R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子であるか、又は、炭素数1〜22個の、直鎖、環状又は分岐の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びアルコキシ基、並びに炭素数2〜30個の、アリール基及びヘテロアリール基、からなる群から選択される少なくとも1種である。上記アリール基及びヘテロアリール基は更に置換基を有していてもよい。Rは、好ましくは1〜22個の、直鎖、環状又は分岐の、アルキル基又はヘテロアリール基又は水素原子である。電荷輸送性ポリマーが末端部に重合性官能基を有する場合、Rのいずれか少なくとも1つが、重合性官能基を含む基であってもよい。l、m、p、qは、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、n、oは、それぞれ独立に0〜4の整数を表す。また、式中の「*」は、他の構造単位との結合部位を表す。
【0058】
構造単位L1の好ましい具体例を以下に列挙する。構造単位L1は、以下に限定されない。
【化9】
【0059】
電荷輸送性ポリマー又はオリゴマーが上記のような2価の構造単位L1を有することで、正孔輸送性が向上すると考えられる。特に、電荷輸送性ポリマー又はオリゴマーが、他の正孔輸送性を有する構造単位と、2価の構造単位L1とを有する場合、電荷輸送性ポリマー又はオリゴマーにおいて、π共役系が拡大し、高い正孔輸送能を有するため、有機エレクトロニクス材料として高い性能を発揮することができると考えられる。
【0060】
(構造単位L2)
構造単位L2は、ジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を有する構造単位を含まない、電荷輸送性を有する2価の構造単位である。構造単位L2は、電荷を輸送する能力を有する原子団を含んでいればよく、特に限定されない。例えば、構造単位L2は、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、フルオレン構造、ベンゼン構造、ビフェニレン構造、ターフェニレン構造、ナフタレン構造、アントラセン構造、テトラセン構造、フェナントレン構造、ジヒドロフェナントレン構造、ピリジン構造、ピラジン構造、キノリン構造、イソキノリン構造、キノキサリン構造、アクリジン構造、ジアザフェナントレン構造、フラン構造、ピロール構造、オキサゾール構造、オキサジアゾール構造、チアゾール構造、チアジアゾール構造、トリアゾール構造、ベンゾチオフェン構造、ベンゾオキサゾール構造、ベンゾオキサジアゾール構造、ベンゾチアゾール構造、ベンゾチアジアゾール構造、ベンゾトリアゾール構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択される。式(1)で表される構造単位を含まない芳香族アミン構造は、好ましくはトリアリールアミン構造であり、より好ましくはトリフェニルアミン構造である。
【0061】
一実施形態において、構造単位L2は、優れた正孔輸送性を得る観点から、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、フルオレン構造、ベンゼン構造、ピロール構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択されることが好ましい。置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択されることがより好ましい。他の実施形態において、構造単位L2は、優れた電子輸送性を得る観点から、置換又は非置換の、フルオレン構造、ベンゼン構造、フェナントレン構造、ピリジン構造、キノリン構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択されることが好ましい。
【0062】
構造単位L2の具体例として、以下が挙げられる。但し、構造単位L2は、以下に限定されない。
【化10】
【0063】
【化11】
【0064】
上記式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。好ましくは、Rは、それぞれ独立に、−R、−OR、−SR、−OCOR、−COOR、−SiR、ハロゲン原子、及び、後述する重合性官能基を含む基からなる群から選択される。
〜Rは、それぞれ独立に、水素原子;炭素数1〜22個の直鎖、環状又は分岐アルキル基;又は、炭素数2〜30個のアリール基又はヘテロアリール基を表す。アリール基は、芳香族炭化水素から水素原子1個を除いた原子団である。ヘテロアリール基は、芳香族複素環から水素原子1個を除いた原子団である。アルキル基は、更に、炭素数2〜20個のアリール基又はヘテロアリール基により置換されていてもよく、アリール基又はヘテロアリール基は、更に、炭素数1〜22個の直鎖、環状又は分岐アルキル基により置換されていてもよい。
Rは、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキル置換アリール基である。
Arは、炭素数2〜30個のアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。Arは、好ましくはアリーレン基であり、より好ましくはフェニレン基である。ヘテロアリーレン基は、芳香族複素環から水素原子2個を除いた原子団である。Arは、好ましくはアリーレン基であり、より好ましくはフェニレン基である。
【0065】
芳香族炭化水素としては、単環、縮合環、又は、単環及び縮合環から選択される2個以上が単結合を介して結合した多環が挙げられる。芳香族複素環としては、単環、縮合環、又は、単環及び縮合環から選択される2個以上が単結合を介して結合した多環が挙げられる。
【0066】
(構造単位B)
構造単位Bは、電荷輸送性ポリマーが分岐構造を有する場合に、分岐部を構成する3価以上の構造単位である。構造単位Bは、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、好ましくは6価以下であり、より好ましくは3価又は4価である。構造単位Bは、電荷輸送性を有する単位であることが好ましい。例えば、構造単位Bは、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、縮合多環式芳香族炭化水素構造、及び、これらの1種又は2種以上を含有する構造から選択される。構造単位Bは、構造単位L2と同じ構造を有していても、又は、異なる構造を有していてもよく、また、構造単位T2と同じ構造を有していても、又は、異なる構造を有していてもよい。
【0067】
構造単位Bの具体例として、以下が挙げられる。構造単位Bは、以下に限定されない。
【化12】
【0068】
Wは、3価の連結基を表し、例えば、炭素数2〜30個のアレーントリイル基又はヘテロアレーントリイル基を表す。上述のとおり、アレーントリイル基は、芳香族炭化水素から水素原子3個を除いた原子団である。ヘテロアレーントリイル基は、芳香族複素環から水素原子3個を除いた原子団である。Arは、それぞれ独立に2価の連結基を表し、例えば、それぞれ独立に、炭素数2〜30個のアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。
Arは、好ましくはアリーレン基、より好ましくはフェニレン基である。Yは、2価の連結基を表し、例えば、構造単位LにおけるR(ただし、重合性官能基を含む基を除く。)のうち水素原子を1個以上有する基から、更に1個の水素原子を除いた2価の基が挙げられる。
Zは、炭素原子、ケイ素原子、又はリン原子のいずれかを表す。構造単位B中、ベンゼン環及びArは、置換基を有していてもよく、置換基の例として、構造単位L2におけるRが挙げられる。構造単位Bにおいて、W、ベンゼン環及びArは、置換基として、式(1)で表される構造を有していてもよい。
【0069】
一実施形態において、電荷輸送性ポリマーを構成する3価以上の構造単位Bは、3方向以上に分岐した構造を有することが好ましい。「3方向以上に分岐した構造」とは、電荷輸送性ポリマー1分子中の種々の鎖の中で、最も重合度の大きくなる鎖を主鎖とした時に、主鎖に対して重合度が同じか、それよりは重合度の小さい、1以上の側鎖が存在することを意味する。本発明において上記重合度とは、電荷輸送性ポリマーを合成する際に用いられるモノマーの単位が、電荷輸送性ポリマー1分子当たりにいくつ含まれるかを表す。本開示において側鎖は、電荷輸送性ポリマーの主鎖とは異なる鎖であり、少なくとも1つの構成単位を有しているものをいい、それ以外は側鎖ではなく置換基とみなす。
【0070】
(重合性官能基)
一実施形態において電荷輸送性ポリマーは、重合反応により硬化させ、溶剤への溶解度を変化させる観点から、重合性官能基(「重合可能な置換基」とも記す。)を少なくとも1つ有することが好ましい。「重合性官能基」とは、熱及び/又は光を加えることにより、互いに結合を形成し得る官能基をいう。重合性官能基は、式(1)で表される構造単位中に含まれていてもよく、式(1)で表される構造単位以外の構造単位中に含まれていてもよい。
【0071】
重合性官能基としては、炭素−炭素多重結合を有する基(例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、エチニル基、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、メタクリロイルアミノ基、ビニルオキシ基、ビニルアミノ基等)、小員環を有する基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基等の環状アルキル基;エポキシ基(オキシラニル基)、オキセタン基(オキセタニル基)等の環状エーテル基;ジケテン基;エピスルフィド基;ラクトン基;ラクタム基等)、複素環基(例えば、フラン−イル基、ピロール−イル基、チオフェン−イル基、シロール−イル基)などが挙げられる。これらの基が置換されている場合の置換基は特に限定されないが、例えば、炭素数1〜22個(より好ましくは炭素数1〜10個)の直鎖、環状又は分岐アルキル基が挙げられる。重合性官能基としては、置換または非置換の、環状エーテル構造を有する基、炭素−炭素多重結合を有する基等が好ましく、特に、置換または非置換の、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、及びオキセタン基が好ましく、反応性及び有機エレクトロニクス素子の特性の観点から、置換または非置換の、ビニル基、オキセタン基、又はエポキシ基がより好ましく、置換または非置換のオキセタン基が最も好ましい。
【0072】
重合性官能基の自由度を上げ、重合反応を生じさせやすくする観点からは、電荷輸送性ポリマーの主骨格と重合性官能基とが、アルキレン鎖、例えば炭素数1〜8の直鎖状のアルキレン鎖で連結されていることが好ましい。また、例えば、電極上に有機層を形成する場合、ITO等の親水性電極との親和性を向上させる観点からは、エチレングリコール鎖、ジエチレングリコール鎖等の親水性の鎖で連結されていることが好ましい。さらに、重合性官能基を導入するために用いられるモノマーの調製が容易になる観点からは、電荷輸送性ポリマーは、アルキレン鎖及び/又は親水性の鎖の末端部、すなわち、これらの鎖と重合性官能基との連結部、及び/又は、これらの鎖と電荷輸送性ポリマーの骨格との連結部に、エーテル結合又はエステル結合を有していてもよい。前述の「重合性官能基を含む基」とは、重合性官能基それ自体、又は、重合性官能基とアルキレン鎖等とを合わせた基を意味する。重合性官能基を含む基として、例えば、国際公開第WO2010/140553号に例示された基を好適に用いることができる。
【0073】
重合性官能基は、電荷輸送性ポリマーの末端部(すなわち、構造単位T)に導入されていても、末端部以外の部分(すなわち、構造単位L又はB)に導入されていても、末端部と末端以外の部分の両方に導入されていてもよい。硬化性の観点からは、少なくとも末端部に導入されていることが好ましく、硬化性及び電荷輸送性の両立を図る観点からは、末端部のみに導入されていることが好ましい。また、電荷輸送性ポリマーが分岐構造を有する場合、重合性官能基は、電荷輸送性ポリマーの主鎖に導入されていても、側鎖に導入されていてもよく、主鎖と側鎖の両方に導入されていてもよい。
【0074】
重合性官能基は、溶解度の変化に寄与する観点からは、電荷輸送性ポリマー中に多く含まれる方が好ましい。一方、電荷輸送性を妨げない観点からは、電荷輸送性ポリマー中に含まれる量が少ない方が好ましい。重合性官能基の含有量は、これらを考慮し、適宜設定できる。
【0075】
例えば、電荷輸送性ポリマー1分子あたりの重合性官能基数は、十分な溶解度の変化を得る観点から、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。また、重合性官能基数は、電荷輸送性を保つ観点から、1,000個以下が好ましく、500個以下がより好ましい。
【0076】
電荷輸送性ポリマー1分子あたりの重合性官能基数は、電荷輸送性ポリマーを合成するために使用した、重合性官能基の仕込み量(例えば、重合性官能基を有するモノマーの仕込み量)、各構造単位に対応するモノマーの仕込み量、電荷輸送性ポリマーの重量平均分子量等を用い、平均値として求めることができる。また、重合性官能基の数は、電荷輸送性ポリマーのH NMR(核磁気共鳴)スペクトルにおける重合性官能基に由来するシグナルの積分値と全スペクトルの積分値との比、電荷輸送性ポリマーの重量平均分子量等を利用し、平均値として算出できる。簡便であることから、仕込み量が明らかである場合は、好ましくは、仕込み量を用いて求めた値を採用する。
【0077】
(数平均分子量)
電荷輸送性ポリマーの数平均分子量は、溶剤への溶解性、成膜性等を考慮して適宜、調整できる。数平均分子量は、電荷輸送性に優れるという観点から、500以上が好ましく、1,000以上がより好ましく、2,000以上が更に好ましい。また、数平均分子量は、溶媒への良好な溶解性を保ち、インク組成物の調製を容易にするという観点から、1,000,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましく、50,000以下が更に好ましい。
【0078】
(重量平均分子量)
電荷輸送性ポリマーの重量平均分子量は、溶剤への溶解性、成膜性等を考慮して適宜、調整できる。重量平均分子量は、電荷輸送性に優れるという観点から、1,000以上が好ましく、5,000以上がより好ましく、10,000以上が更に好ましい。また、重量平均分子量は、溶媒への良好な溶解性を保ち、インク組成物の調製を容易にするという観点から、1,000,000以下が好ましく、700,000以下がより好ましく、400,000以下が更に好ましく、300,000以下が最も好ましい。
【0079】
数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定することができる。
【0080】
(構造単位の割合)
電荷輸送性ポリマーに含まれる構造単位L2の割合は、十分な電荷輸送性を得る観点から、全構造単位を基準として、10モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、30モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Lの割合は、構造単位T及び必要に応じて導入される構造単位Bを考慮すると、95モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、85モル%以下が更に好ましい。また構造単位L1の割合は、十分な電荷輸送性を得ることや有機EL素子の長寿命化の観点から、全構造単位Lを基準として3モル%以上が好ましく、5モル%以上が好ましく、7モル%以上が更に好ましい。
【0081】
電荷輸送性ポリマーに含まれる構造単位T(構造単位T1とT2の合計)の割合は、有機エレクトロニクス素子の特性向上の観点、又は、粘度の上昇を抑え、電荷輸送性ポリマーの合成を良好に行う観点から、全構造単位を基準として、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、15モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Tの割合は、十分な電荷輸送性を得る観点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下が更に好ましい。
【0082】
電荷輸送性ポリマーが構造単位Bを含む場合、構造単位Bの割合は、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、全構造単位を基準として、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Bの割合は、粘度の上昇を抑え、電荷輸送性ポリマーの合成を良好に行う観点、又は、十分な電荷輸送性を得る観点から、50モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましく、30モル%以下が更に好ましい。
【0083】
電荷輸送性ポリマーが重合性官能基を有する場合、重合性官能基の割合は、電荷輸送性ポリマーを効率よく硬化させるという観点から、全構造単位を基準として、0.1モル%以上が好ましく、1モル%以上がより好ましく、3モル%以上が更に好ましい。また、重合性官能基の割合は、良好な電荷輸送性を得るという観点から、70モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましく、50モル%以下が更に好ましい。なお、ここでの「重合性官能基の割合」とは、重合性官能基を有する構造単位の割合をいう。
【0084】
電荷輸送性、耐久性、生産性等のバランスを考慮すると、構造単位L及び構造単位Tの割合(モル比)は、L:T=100:1〜70が好ましく、100:3〜50がより好ましく、100:5〜30が更に好ましい。また、電荷輸送性ポリマーが構造単位Bを含む場合、構造単位L、構造単位T、及び構造単位Bの割合(モル比)は、L:T:B=100:10〜200:10〜100が好ましく、100:20〜180:20〜90がより好ましく、100:40〜160:30〜80が更に好ましい。
【0085】
構造単位の割合は、電荷輸送性ポリマーを合成するために使用した、各構造単位に対応するモノマーの仕込み量を用いて求めることができる。また、構造単位の割合は、電荷輸送性ポリマーのH NMRスペクトルにおける各構造単位に由来するスペクトルの積分値を利用し、平均値として算出することができる。簡便であることから、仕込み量が明らかである場合は、好ましくは、仕込み量を用いて求めた値を採用する。
【0086】
好ましい一実施形態において、電荷輸送性ポリマーは、正孔輸送性を有する構造単位と、式(1)で表される構造単位T1及び/又はL1とを少なくとも含むことが好ましい。特に好ましい一実施形態において、電荷輸送性ポリマーは、高い正孔注入性、正孔輸送性等を有する観点から、芳香族アミン構造を有する構造単位及び/又はカルバゾール構造を有する構造単位を主要な構造単位(主骨格)とする化合物であることが好ましい。また、電荷輸送性ポリマーは、多層化を容易に行う観点から、少なくとも2個以上の重合可能な置換基を有する化合物であることが好ましい。重合可能な置換基は、優れた硬化性を有する観点から、環状エーテル構造を有する基、炭素−炭素多重結合を有する基等であることが好ましい。
【0087】
(製造方法)
本実施形態の電荷輸送性ポリマーは、正孔輸送性を有する構造単位を含むモノマーと、式(1)で表される構造単位を含むモノマーとを少なくとも含むモノマーの共重合体であることが好ましい。すなわち、上記構造単位L2を含む一種以上のモノマーと、上記構造単位T1及び/又はL1を含む一種以上のモノマーとを含み、任意にその他の一種以上のモノマー(例えば上記構造単位T2を含むモノマー及び/又は上記構造単位Bを含むモノマー)を含んでもよいモノマー混合物を用いて、これらのモノマーを共重合させることにより、好ましく製造することができる。共重合の形式は、交互、ランダム、ブロック又はグラフト共重合体であってもよいし、それらの中間的な構造を有する共重合体、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよい。
【0088】
電荷輸送性ポリマーは、種々の合成方法により製造でき、特に限定されない。例えば、鈴木カップリング、根岸カップリング、園頭カップリング、スティルカップリング、ブッフバルト・ハートウィッグカップリング等の公知のカップリング反応を用いることができる。鈴木カップリングは、芳香族ボロン酸誘導体と芳香族ハロゲン化物の間で、Pd触媒を用いたクロスカップリング反応を起こさせるものである。鈴木カップリングによれば、所望とする芳香環同士を結合させることにより、電荷輸送性ポリマーを簡便に製造できる。
【0089】
カップリング反応では、触媒として、例えば、Pd(0)化合物、Pd(II)化合物、Ni化合物等が用いられる。また、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)等を前駆体とし、ホスフィン配位子と混合することにより発生させた触媒種を用いることもできる。電荷輸送性ポリマーの合成方法については、例えば、国際公開第WO2010/140553号の記載を参照できる。
【0090】
[ドーパント]
有機エレクトロニクス材料は、任意の添加剤を含むことができ、例えばドーパントを更に含有してよい、ドーパントは、有機エレクトロニクス材料に添加することでドーピング効果を発現させ、電荷の輸送性を向上させ得るものであればよく、特に制限はない。ドーピングには、p型ドーピングとn型ドーピングがあり、p型ドーピングではドーパントとして電子受容体として働く物質が用いられ、n型ドーピングではドーパントとして電子供与体として働く物質が用いられる。正孔輸送性の向上にはp型ドーピング、電子輸送性の向上にはn型ドーピングを行うことが好ましい。有機エレクトロニクス材料に用いられるドーパントは、p型ドーピング又はn型ドーピングのいずれの効果を発現させるドーパントであってもよい。また、1種のドーパントを単独で添加しても、複数種のドーパントを混合して添加してもよい。
【0091】
p型ドーピングに用いられるドーパントは、電子受容性の化合物であり、例えば、ルイス酸、プロトン酸、遷移金属化合物、イオン化合物、ハロゲン化合物、π共役系化合物等が挙げられる。具体的には、ルイス酸としては、FeCl、PF、AsF、SbF、BF、BCl、BBr等;プロトン酸としては、HF、HCl、HBr、HNO、HSO、HClO等の無機酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、1−ブタンスルホン酸、ビニルフェニルスルホン酸、カンファスルホン酸等の有機酸;遷移金属化合物としては、FeOCl、TiCl、ZrCl、HfCl、NbF、AlCl、NbCl、TaCl、MoF;イオン化合物としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、AsF(ヘキサフルオロ砒酸イオン)、BF(テトラフルオロホウ酸イオン)、PF(ヘキサフルオロリン酸イオン)等のパーフルオロアニオンを有する塩、アニオンとして前記プロトン酸の共役塩基を有する塩など;ハロゲン化合物としては、Cl、Br、I、ICl、ICl、IBr、IF等;π共役系化合物としては、TCNE(テトラシアノエチレン)、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)等が挙げられる。また、特開2000−36390号公報、特開2005−75948号公報、特開2003−213002号公報等に記載の電子受容性化合物を用いることも可能である。好ましくは、ルイス酸、イオン化合物、π共役系化合物等である。
【0092】
n型ドーピングに用いられるドーパントは、電子供与性の化合物であり、例えば、Li、Cs等のアルカリ金属;Mg、Ca等のアルカリ土類金属;LiF、CsCO等のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩;金属錯体;電子供与性有機化合物などが挙げられる。
【0093】
電荷輸送性ポリマーが重合性官能基を有する場合は、有機層の溶解度の変化を容易にするために、ドーパントとして重合性官能基に対する重合開始剤として作用し得る化合物を用いることが好ましい。
【0094】
[他の任意成分]
有機エレクトロニクス材料は、電荷輸送性低分子化合物、他のポリマー等を更に含有してもよい。
【0095】
[含有量]
有機エレクトロニクス材料中の電荷輸送性ポリマーの含有量は、良好な電荷輸送性を得る観点から、有機エレクトロニクス材料の全質量に対して50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。電荷輸送性ポリマーの含有量の上限は特に限定されず、100質量%とすることも可能である。ドーパント等の添加剤を含むことを考慮し、電荷輸送性ポリマーの含有量を、例えば95質量%以下、90質量%以下、等としてもよい。
【0096】
ドーパントを含有する場合、その含有量は、有機エレクトロニクス材料の電荷輸送性を向上させる観点から、有機エレクトロニクス材料の全質量に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましい。また、成膜性を良好に保つ観点から、有機エレクトロニクス材料の全質量に対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
【0097】
<インク組成物>
本発明の実施形態であるインク組成物は、前記実施形態の有機エレクトロニクス材料と、該材料を溶解又は分散し得る溶媒とを含有する。インク組成物を用いることによって、塗布法といった簡便な方法によって有機層を容易に形成できる。
【0098】
[溶媒]
溶媒としては、水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を使用できる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール;ペンタン、ヘキサン、オクタン等のアルカン;シクロヘキサン等の環状アルカン;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン等の芳香族炭化水素;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトン、クロロホルム、塩化メチレンなどが挙げられる。好ましくは、芳香族炭化水素、脂肪族エステル、芳香族エステル、脂肪族エーテル、芳香族エーテル等である。
【0099】
[重合開始剤]
電荷輸送性ポリマーが重合性官能基を有する場合、インク組成物は、好ましくは、重合開始剤を含有する。重合開始剤として、公知のラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤等を使用できる。インク組成物を簡便に調製できる観点から、ドーパントとしての機能と重合開始剤としての機能とを兼ねる物質を用いることが好ましい。
そのような物質として、例えば、前記イオン化合物が挙げられる。
【0100】
[添加剤]
インク組成物は、更に、任意成分として添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、重合禁止剤、安定剤、増粘剤、ゲル化剤、難燃剤、酸化防止剤、還元防止剤、酸化剤、還元剤、表面改質剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、界面活性剤等が挙げられる。
【0101】
[含有量]
インク組成物における溶媒の含有量は、種々の塗布方法へ適用することを考慮して定めることができる。例えば、溶媒の含有量は、溶媒に対し電荷輸送性ポリマーの割合が、0.1質量%以上となる量が好ましく、0.2質量%以上となる量がより好ましく、0.5質量%以上となる量が更に好ましい。また、溶媒の含有量は、溶媒に対し電荷輸送性ポリマーの割合が、20質量%以下となる量が好ましく、15質量%以下となる量がより好ましく、10質量%以下となる量が更に好ましい。
【0102】
<有機層>
本発明の実施形態である有機層は、前記実施形態の有機エレクトロニクス材料、又はインク組成物を用いて形成された層である。インク組成物を用いることによって、塗布法により有機層を良好かつ簡便に形成できる。塗布方法としては、例えば、スピンコーティング法;キャスト法;浸漬法;凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、平版印刷、凸版反転オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の有版印刷法;インクジェット法等の無版印刷法などの公知の方法が挙げられる。塗布法によって有機層を形成する場合、塗布後に得られた有機層(塗布層)を、ホットプレート又はオーブンを用いて乾燥させ、溶媒を除去してもよい。
【0103】
電荷輸送性ポリマーが重合性官能基を有する場合、光照射、加熱処理等により電荷輸送性ポリマーの重合反応を進行させ、有機層の溶解度を変化させることができる。溶解度を変化させた有機層を積層することで、有機エレクトロニクス素子の多層化を容易に図ることが可能となる。有機層の形成方法については、例えば、国際公開第WO2010/140553号の記載を参照できる。
【0104】
乾燥後又は硬化後の有機層の厚さは、電荷輸送の効率を向上させる観点から、好ましくは0.1nm以上であり、より好ましくは1nm以上であり、更に好ましくは3nm以上である。また、有機層の厚さは、電気抵抗を小さくする観点から、好ましくは300nm以下であり、より好ましくは200nm以下であり、更に好ましくは100nm以下である。
【0105】
<有機エレクトロニクス素子>
本発明の実施形態である有機エレクトロニクス素子は、少なくとも1つ以上の前記実施形態の有機層を有する。有機エレクトロニクス素子として、例えば、有機EL素子、有機光電変換素子、有機トランジスタ等が挙げられる。有機エレクトロニクス素子は、好ましくは、少なくとも一対の電極の間に有機層が配置された構造を有する。
【0106】
<有機EL素子>
本発明の実施形態である有機EL素子は、少なくとも1つ以上の前記実施形態の有機層を有する。有機EL素子は、通常、発光層、陽極、陰極、及び基板を備えており、必要に応じて、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層等の他の機能層を備えている。各層は、蒸着法により形成してもよく、塗布法により形成してもよい。有機EL素子は、好ましくは、前記有機層を発光層又は他の機能層として有し、より好ましくは機能層として有し、更に好ましくは正孔注入層及び正孔輸送層の少なくとも一方として有する。
【0107】
図1は、有機EL素子の一実施形態を示す断面模式図である。図1の有機EL素子は、多層構造の素子であり、基板8、陽極2、正孔注入層3及び正孔輸送層6、発光層1、電子輸送層7、電子注入層5、並びに陰極4をこの順に有している。以下、各層について説明する。
【0108】
[発光層]
発光層に用いる材料として、低分子化合物、ポリマー、デンドリマー等の発光材料を使用できる。ポリマーは、溶媒への溶解性が高く、塗布法に適しているため好ましい。発光材料としては、蛍光材料、燐光材料、熱活性化遅延蛍光材料(TADF)等が挙げられる。
【0109】
蛍光材料として、ペリレン、クマリン、ルブレン、キナクドリン、スチルベン、色素レーザー用色素、アルミニウム錯体、これらの誘導体等の低分子化合物;ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリビニルカルバゾール、フルオレンーベンゾチアジアゾール共重合体、フルオレン−トリフェニルアミン共重合体、これらの誘導体等のポリマー;これらの混合物等が挙げられる。
【0110】
燐光材料として、Ir、Pt等の金属を含む金属錯体などを使用できる。Ir錯体としては、例えば、青色発光を行うFIr(pic)(イリジウム(III)ビス[(4,6−ジフルオロフェニル)−ピリジネート−N,C]ピコリネート)、緑色発光を行うIr(ppy)(ファク トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム)、赤色発光を行う(btp)Ir(acac)(ビス〔2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナート−N,C〕イリジウム(アセチル−アセトネート))、Ir(piq)(トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム)等が挙げられる。Pt錯体としては、例えば、赤色発光を行うPtOEP(2、3、7、8、12、13、17、18−オクタエチル−21H、23H−フォルフィンプラチナ)等が挙げられる。
【0111】
発光層が燐光材料を含む場合、燐光材料の他に、更にホスト材料を含むことが好ましい。ホスト材料としては、低分子化合物、ポリマー、又はデンドリマーを使用できる。低分子化合物としては、例えば、CBP(4,4’−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)ビフェニル)、mCP(1,3−ビス(9−カルバゾリル)ベンゼン)、CDBP(4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−2,2’−ジメチルビフェニル)、これらの誘導体等が、ポリマーとしては、前記実施形態の有機エレクトロニクス材料、ポリビニルカルバゾール、ポリフェニレン、ポリフルオレン、これらの誘導体等が挙げられる。
【0112】
熱活性化遅延蛍光材料としては、例えば、Adv. Mater., 21, 4802-4906 (2009);Appl. Phys. Lett., 98, 083302 (2011);Chem. Comm., 48, 9580 (2012);Appl. Phys. Lett., 101, 093306 (2012);J. Am. Chem. Soc., 134, 14706 (2012);Chem. Comm., 48, 11392 (2012);Nature, 492, 234 (2012);Adv. Mater., 25, 3319 (2013);J. Phys. Chem. A, 117, 5607 (2013);Phys. Chem. Chem. Phys., 15, 15850 (2013);Chem. Comm., 49, 10385 (2013);Chem. Lett., 43, 319 (2014)等に記載の化合物が挙げられる。
【0113】
[正孔注入層、正孔輸送層]
上記の有機エレクトロニクス材料を用いて形成された有機層を、正孔注入層及び正孔輸送層の少なくとも一方として使用することが好ましく、少なくとも正孔輸送層として使用することが一層好ましい。上述のとおり、有機エレクトロニクス材料を含むインク組成物を用いることにより、これらの層を容易に形成することができる。
有機EL素子が、上記の有機エレクトロニクス材料を用いて形成された有機層を正孔輸送層として有し、さらに正孔注入層を有する場合、正孔注入層には公知の材料を使用できる。また、有機EL素子が、上記の有機エレクトロニクス材料を用いて形成された有機層を正孔注入層として有し、更に正孔輸送層を有する場合、正孔輸送層には公知の材料を使用できる。
【0114】
正孔注入層にトリフェニルアミンからなる材料を用いた場合、正孔の移動に対してエネルギー準位の観点から、正孔輸送層に本実施形態の有機エレクトロニクス材料を用いることが好適である。特に、正孔注入層に重合開始剤を含み、かつ正孔輸送層に、上記の電荷輸送性ポリマーとして、重合性置換基を有する分岐ポリマーを用いた場合、正孔輸送層を硬化可能となり、よって、さらにその上層にインク等からなる発光層を塗布することが可能となる。この場合、正孔注入層に重合開始剤を用いてもよい。
【0115】
[電子輸送層、電子注入層]
電子輸送層及び電子注入層に用いる材料としては、例えば、フェナントロリン誘導体、ビピリジン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレン、ペリレンなどの縮合環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、キノキサリン誘導体、アルミニウム錯体等が挙げられる。また、前記実施形態の有機エレクトロニクス材料も使用できる。
【0116】
[陰極]
陰極材料としては、例えば、Li、Ca、Mg、Al、In、Cs、Ba、Mg/Ag、LiF、CsF等の金属又は金属合金が用いられる。
【0117】
[陽極]
陽極材料としては、例えば、金属(例えば、Au)又は導電性を有する他の材料が用いられる。他の材料として、例えば、酸化物(例えば、ITO:酸化インジウム/酸化錫)、導電性高分子(例えば、ポリチオフェン−ポリスチレンスルホン酸混合物(PEDOT:PSS))が挙げられる。
【0118】
[基板]
基板として、ガラス、プラスチック等を使用できる。基板は、透明であることが好ましく、また、フレキシブル性を有するフレキシブル基板であることが好ましい。石英ガラス、光透過性樹脂フィルム等が好ましく用いられる。
【0119】
樹脂フィルムとしては、光透過性樹脂フィルムが好ましい。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等からなるフィルムが挙げられる。
【0120】
樹脂フィルムを用いる場合、水蒸気、酸素等の透過を抑制するために、樹脂フィルムへ酸化珪素、窒化珪素等の無機物をコーティングして用いてもよい。
【0121】
[封止]
有機EL素子は、外気の影響を低減させて長寿命化させるため、封止されていてもよい。封止に用いる材料としては、ガラス、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルム、又は酸化珪素、窒化ケイ素等の無機物を用いることができるが、これらに限定されることはない。
封止の方法も、特に限定されず、公知の方法で行うことができる。
【0122】
[発光色]
有機EL素子の発光色は特に限定されるものではない。白色の有機EL素子は、家庭用照明、車内照明、時計又は液晶のバックライト等の各種照明器具に用いることができるため好ましい。
【0123】
白色の有機EL素子を形成する方法としては、複数の発光材料を用いて複数の発光色を同時に発光させて混色させる方法を用いることができる。複数の発光色の組み合わせとしては、特に限定されないが、青色、緑色及び赤色の3つの発光極大波長を含有する組み合わせ、青色と黄色、黄緑色と橙色等の2つの発光極大波長を含有する組み合わせなどが挙げられる。発光色の制御は、発光材料の種類と量の調整により行うことができる。
【0124】
<表示素子、照明装置、表示装置>
本発明の実施形態である表示素子は、前記実施形態の有機EL素子を備えている。例えば、赤、緑及び青(RGB)の各画素に対応する素子として、有機EL素子を用いることで、カラーの表示素子が得られる。画像の形成方法には、マトリックス状に配置した電極でパネルに配列された個々の有機EL素子を直接駆動する単純マトリックス型と、各素子に薄膜トランジスタを配置して駆動するアクティブマトリックス型とがある。
【0125】
また、本発明の実施形態である照明装置は、本発明の実施形態の有機EL素子を備えている。さらに、本発明の実施形態である表示装置は、照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えている。例えば、表示装置は、バックライトとして本発明の実施形態である照明装置を用い、表示手段として公知の液晶素子を用いた表示装置、すなわち液晶表示装置とすることができる。
【実施例】
【0126】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
【0127】
<Pd触媒の調製>
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、室温下、サンプル管にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(73.2mg、80μmol)を秤取り、アニソール(15ml)を加え、30分間攪拌した。同様に、サンプル管にトリス(t−ブチル)ホスフィン(129.6mg、640μmol)を秤取り、アニソール(5ml)を加え、5分間攪拌した。これらの溶液を混合し、室温で30分間攪拌して、触媒とした。触媒の調製において、全ての溶媒は、30分間以上窒素バブルにより脱気した後、使用した。
【0128】
<電荷輸送性ポリマー1の合成>
三口丸底フラスコに、下記モノマーL2−1(5.0mmol)、下記モノマーB−1(2.0mmol)、下記モノマーT2−1(2.0mmol)、下記モノマーT2−2(2.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。30分撹拌した後、10%テトラエチルアンモニウム水酸化物水溶液(20mL)を加えた。全ての溶媒は30分以上、窒素バブルにより脱気した後、使用した。この混合物を2時間、加熱還流した。ここまでの全ての操作は窒素気流下で行った。
【0129】
【化13】
【0130】
反応終了後、有機層を水洗し、有機層をメタノール−水(9:1)に注いだ。生じた沈殿を吸引ろ過により回収し、メタノール−水(9:1)で洗浄した。得られた沈殿をトルエンに溶解し、メタノールから再沈殿した。得られた沈殿を吸引ろ過により回収し、トルエンに溶解し、金属吸着剤(Strem Chemicals社製「Triphenylphosphine, polymer-bound on styrene-divinylbenzene copolymer」、沈殿物100mgに対して200mg)を加えて、一晩撹拌した。撹拌終了後、金属吸着剤と不溶物とをろ過して取り除き、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した。濃縮液をトルエンに溶解した後、メタノール−アセトン(8:3)から再沈殿した。生じた沈殿を吸引ろ過により回収し、メタノール−アセトン(8:3)で洗浄した。得られた沈殿を真空乾燥し、電荷輸送性ポリマー1を得た。
【0131】
得られた電荷輸送性ポリマー1の数平均分子量は5,200、重量平均分子量は41,200であった。電荷輸送性ポリマー1は、構造単位L2−1、構造単位B−1、構造単位T2−2、及びオキセタン基を有する構造単位T2−1を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、45.5%、18.2%、18.2%、及び18.2%であった。
【0132】
数平均分子量及び質量平均分子量は、溶離液にテトラヒドロフラン(THF)を用いたGPC(ポリスチレン換算)により測定した。測定条件は以下のとおりである。
送液ポンプ :L−6050 (株)日立ハイテクノロジーズ
UV−Vis検出器:L−3000 (株)日立ハイテクノロジーズ
カラム :Gelpack(登録商標) GL−A160S/GL−A150S 日立化成(株)
溶離液 :THF(HPLC用、安定剤を含まない) 和光純薬工業(株) 流速 :1mL/min
カラム温度 :室温
分子量標準物質 :標準ポリスチレン
【0133】
<電荷輸送性ポリマー2の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーL−1(5.0mmol)、下記モノマーB−2(2.0mmol)、下記モノマーT1−1(3.0mmol)、前記モノマーT2−1(1.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に前記調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降、電荷輸送性ポリマー1の合成と同様にして、電荷輸送性ポリマー2の合成を行った。
【0134】
【化14】
【0135】
得られた電荷輸送性ポリマー2の数平均分子量は9,600、重量平均分子量は66,400であった。電荷輸送性ポリマー2は、構造単位L−1、構造単位B−2、構造単位T1−1、及びオキセタン基を有する構造単位T2−1を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、45.5%、18.2%、27.2%、及び9.1%であった。
【0136】
<電荷輸送性ポリマー3の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーL−1(5.0mmol)、前記モノマーB−2(2.0mmol)、下記モノマーT1−2(3.0mmol)、前記モノマーT2−1(1.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に前記調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降、電荷輸送性ポリマー1の合成と同様にして、電荷輸送性ポリマー3の合成を行った。
【0137】
【化15】
【0138】
得られた電荷輸送性ポリマー3の数平均分子量は15,600、重量平均分子量は57,900であった。電荷輸送性ポリマー3は、構造単位L−1、構造単位B−2、構造単位T1−2、及びオキセタン基を有する構造単位T2−1を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、45.5%、18.2%、27.2%、及び9.1%であった。
【0139】
<電荷輸送性ポリマー4の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーL−1(5.0mmol)、前記モノマーB−2(2.0mmol)、下記モノマーT1−3(3.0mmol)、前記モノマーT2−1(1.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に前記調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降、電荷輸送性ポリマー1の合成と同様にして、電荷輸送性ポリマー4の合成を行った。
【0140】
【化16】
【0141】
得られた電荷輸送性ポリマー4の数平均分子量は16,600、重量平均分子量は71,100であった。電荷輸送性ポリマー4は、構造単位L−1、構造単位B−2、構造単位T1−3、及びオキセタン基を有する構造単位T2−1を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、45.5%、18.2%、27.2%、及び9.1%であった。
【0142】
<電荷輸送性ポリマー5の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーL−1(5.0mmol)、前記モノマーB−2(2.0mmol)、下記モノマーT1−4(3.0mmol)、前記モノマーT2−1(1.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に前記調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降、電荷輸送性ポリマー1の合成と同様にして、電荷輸送性ポリマー5の合成を行った。
【0143】
【化17】
【0144】
得られた電荷輸送性ポリマー5の数平均分子量は13,500、重量平均分子量は60,000であった。電荷輸送性ポリマー5は、構造単位L−1、構造単位B−2、構造単位T1−4、及びオキセタン基を有する構造単位T2−1を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、45.5%、18.2%、27.2%、及び9.1%であった。
【0145】
<電荷輸送性ポリマー6の合成>
電荷輸送性ポリマー6の合成に先立ち、モノマーT1−5を合成した。
(モノマーT1−5の合成)
窒素雰囲気下、二口丸底フラスコに2−ブロモ−8−ヨードジベンゾフラン3.7g(10mmol)、カルバゾール1.7g(10mmol)、リン酸カリウム4.2g(20mmol)、ヨウ化銅0.19g(1mmol)、1,2−シクロヘキサンジアミン0.23g(2mmol)、ジオキサン(20ml)を加えて100℃で12時間加熱攪拌した。空冷した後、水を加えて有機層を分取し、分取した有機層から溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで酢酸エチルとヘキサンの混合溶媒を使用し精製した後、トルエン/ヘキサン混合溶媒で再結晶し、白色固体の目的化合物モノマーT1−5を得た(2.9g,収率70%)
【0146】
<電荷輸送性ポリマー6の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーL−1(5.0mmol)、前記モノマーB−2(2.0mmol)、先に調製した下記モノマーT1−5(3.0mmol)、前記モノマーT2−1(1.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に前記調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降、電荷輸送性ポリマー1の合成と同様にして、電荷輸送性ポリマー6の合成を行った。
【0147】
【化18】
【0148】
得られた電荷輸送性ポリマー6の数平均分子量は13,000、重量平均分子量は62,600であった。電荷輸送性ポリマー6は、構造単位L−1、構造単位B−2、構造単位T1−5、及びオキセタン基を有する構造単位T2−1を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、45.5%、18.2%、27.2%、及び9.1%であった。
【0149】
<電荷輸送性ポリマー7の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーL−1(5.0mmol)、前記モノマーB−2(2.0mmol)、下記モノマーT2−3(3.0mmol)、前記モノマーT2−1(1.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に前記調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降、電荷輸送性ポリマー1の合成と同様にして、電荷輸送性ポリマー7の合成を行った。
【0150】
【化19】
【0151】
得られた電荷輸送性ポリマー7の数平均分子量は15,300、重量平均分子量は112,600であった。電荷輸送性ポリマー7は、構造単位L−1、構造単位B−2、構造単位T2−3、及びオキセタン基を有する構造単位T2−1を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、45.5%、18.2%、27.2%、及び9.1%であった。
【0152】
<電荷輸送性ポリマー8の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーL−1(5.0mmol)、前記モノマーB−2(2.0mmol)、下記モノマーT2−4(3.0mmol)、前記モノマーT2−1(1.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に前記調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降、電荷輸送性ポリマー1の合成と同様にして、電荷輸送性ポリマー8の合成を行った。
【0153】
【化20】
【0154】
得られた電荷輸送性ポリマー8の数平均分子量は14,500、重量平均分子量は53,900であった。電荷輸送性ポリマー8は、構造単位L−1、構造単位B−2、チオフェン構造を含む構造単位T2−4、及びオキセタン基を有する構造単位T2−1を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、45.5%、18.2%、27.2%、及び9.1%であった。
【0155】
<電荷輸送性ポリマー9の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーL2−1(5.0mmol)、下記モノマーB−2(2.0mmol)、下記モノマーT2−5(3.0mmol)、前記モノマーT2−1(1.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降、電荷輸送性ポリマー1の合成と同様にして、電荷輸送性ポリマー9の合成を行った。
【0156】
【化21】
【0157】
得られた電荷輸送性ポリマー9の数平均分子量は9,600、重量平均分子量は66,400であった。電荷輸送性ポリマー9は、構造単位L2−1、構造単位B−2、構造単位T2−3、及びオキセタン基を有する構造単位T2−1を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、45.5%、18.2%、27.3%、及び9.1%であった。
【0158】
<電荷輸送性ポリマー10の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーL2−1(2.5mmol)、下記モノマーL1−1(2.5mmol)、前記モノマーB−2(2.0mmol)、前期モノマーT2−3(3.0mmol)、前記モノマーT2−1(1.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降、電荷輸送性ポリマー1の合成と同様にして、電荷輸送性ポリマー10の合成を行った。
【0159】
【化22】
【0160】
得られた電荷輸送性ポリマー10の数平均分子量は14,600、重量平均分子量は54,900であった。電荷輸送性ポリマー10は、構造単位L2−1、構造単位L1−1、構造単位B−2、構造単位T2−3、及びオキセタン基を有する構造単位T2−1を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、22.8%、22.8%、18.2%、27.3%、及び9.1%であった。
【0161】
<電荷輸送性ポリマー11の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーL2−1(2.5mmol)、下記モノマーL1−2(2.5mmol)、前記モノマーB−2(2.0mmol)、前期モノマーT2−3(3.0mmol)、前記モノマーT2−1(1.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降、電荷輸送性ポリマー1の合成と同様にして、電荷輸送性ポリマー11の合成を行った。
【0162】
【化23】
【0163】
得られた電荷輸送性ポリマー11の数平均分子量は15,600、重量平均分子量は61,100であった。電荷輸送性ポリマー11は、構造単位L2−1、構造単位L1−2、構造単位B−2、構造単位T2−3、及びオキセタン基を有する構造単位T2−1を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、22.8%、22.8%、18.2%、27.3%、及び9.1%であった。
【0164】
<電荷輸送性ポリマー12の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーL2−1(2.5mmol)、下記モノマーL1−3(2.5mmol)、前記モノマーB−2(2.0mmol)、前期モノマーT2−3(3.0mmol)、前記モノマーT2−1(1.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降、電荷輸送性ポリマー1の合成と同様にして、電荷輸送性ポリマー12の合成を行った。
【0165】
【化24】
【0166】
得られた電荷輸送性ポリマー12の数平均分子量は17,100、重量平均分子量は72,100であった。電荷輸送性ポリマー12は、構造単位L2−1、構造単位L1−3、構造単位B−2、構造単位T2−3、及びオキセタン基を有する構造単位T2−1を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、22.8%、22.8%、18.2%、27.3%、及び9.1%であった。
【0167】
<電荷輸送性ポリマー13の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーL2−1(2.5mmol)、下記モノマーL1−4(2.5mmol)、前記モノマーB−2(2.0mmol)、前期モノマーT2−3(3.0mmol)、前記モノマーT2−1(1.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降、電荷輸送性ポリマー1の合成と同様にして、電荷輸送性ポリマー13の合成を行った。
【0168】
【化25】
【0169】
得られた電荷輸送性ポリマー13の数平均分子量は16,800、重量平均分子量は73,400であった。電荷輸送性ポリマー13は、構造単位L2−1、構造単位L1−4、構造単位B−2、構造単位T2−3、及びオキセタン基を有する構造単位T2−1を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、22.8%、22.8%、18.2%、27.3%、及び9.1%であった。
【0170】
<電荷輸送性ポリマー14の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーL2−1(2.5mmol)、下記モノマーL1−5(2.5mmol)、前記モノマーB−2(2.0mmol)、前期モノマーT2−3(3.0mmol)、前記モノマーT2−1(1.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降、電荷輸送性ポリマー1の合成と同様にして、電荷輸送性ポリマー14の合成を行った。
【0171】
【化26】
【0172】
得られた電荷輸送性ポリマー14の数平均分子量は12,700、重量平均分子量は41,100であった。電荷輸送性ポリマー14は、構造単位L2−1、構造単位L1−5、構造単位B−2、構造単位T2−3、及びオキセタン基を有する構造単位T2−1を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、22.8%、22.8%、18.2%、27.3%、及び9.1%であった。
【0173】
<電荷輸送性評価素子の作製>
[実施例1〜5および比較例1〜2、並びに実施例11〜15及び比較例11]
窒素雰囲気下で、電荷輸送性ポリマー1(10.0mg)、下記電子受容性化合物1(0.5mg)、及びトルエン(2.3mL)を混合し、正孔注入層形成用のインク組成物を調製した。ITOを1.6mm幅にパターニングしたガラス基板上に、前記インク組成物を回転数3,000min−1でスピンコートした後、ホットプレート上で220℃、10分間加熱して硬化させ、正孔注入層(25nm)を形成した。
【0174】
【化27】
【0175】
次に、表1A及び表1Bに示した電荷輸送性ポリマー2〜14のいずれか1種(10.0mg)及びトルエン(1.15mL)を混合し、正孔輸送層形成用のインク組成物を調製した。上記で形成した正孔注入層の上に、前記インク組成物を回転数3,000min−1でスピンコートした後、ホットプレート上で200℃、10分間加熱して硬化させ、正孔輸送層(40nm)を形成した。各実施例及び比較例において、正孔注入層を溶解させることなく、正孔輸送層を形成することができた。
【0176】
上記で得た基板を、真空蒸着機中に移し、正孔輸送層上に、Al(100nm)を蒸着法で成膜し、封止処理を行って電荷輸送性評価素子を作製した。
【0177】
これらの電荷輸送性評価素子のITOを正極、アルミニウムを陰極として電圧を印加した。50mA/cm通電時の印加電圧を表1A及び表1Bに示す。
【0178】
【表1A】
【0179】
【表1B】
【0180】
<有機EL素子の作製>
[実施例6〜10及び比較例3〜4、並びに実施例16〜20及び比較例12]
窒素雰囲気下で、電荷輸送性ポリマー1(10.0mg)、下記電子受容性化合物1(0.5mg)、及びトルエン(2.3mL)を混合し、正孔注入層形成用のインク組成物を調製した。ITOを1.6mm幅にパターニングしたガラス基板上に、前記インク組成物を回転数3,000min−1でスピンコートした後、ホットプレート上で220℃、10分間加熱して硬化させ、正孔注入層(25nm)を形成した。
【0181】
【化28】
【0182】
次に、表2A及び表2Bに示した電荷輸送性ポリマー2〜14のいずれか1種(10.0mg)及びトルエン(1.15mL)を混合し、正孔輸送層形成用のインク組成物を調製した。上記で形成した正孔注入層の上に、前記インク組成物を回転数3,000min−1でスピンコートした後、ホットプレート上で200℃、10分間加熱して硬化させ、正孔輸送層(40nm)を形成した。各実施例及び比較例において、正孔注入層を溶解させることなく、正孔輸送層を形成することができた。
【0183】
【表2A】
【0184】
【表2B】
【0185】
上記で得た基板を、真空蒸着機中に移し、正孔輸送層上に、CBP:Ir(ppy)(94:6、30nm)、BAlq(10nm)、TPBi(30nm)、LiF(0.8nm)、及びAl(100nm)をこの順に蒸着法で成膜し、封止処理を行って有機EL素子を作製した。
【0186】
実施例6〜10及び比較例3〜4、並びに実施例16〜20及び比較例12で得た有機EL素子に電圧を印加したところ、緑色発光が確認された。それぞれの素子について、発光輝度1,000cd/mにおける発光効率、駆動電圧及び初期輝度5,000cd/mにおける発光寿命(輝度半減時間)を測定した。
測定結果を表3A及び表3Bに示す。
【0187】
【表3A】
【0188】
【表3B】
【0189】
表3A及び表3Bに示したとおり、実施例6〜10及び比較例3〜4、並びに実施例16〜20及び比較例12の比較から、本発明の実施形態である有機エレクトロニクス材料を正孔輸送層に用いることで、発光効率が高く、かつ駆動電圧の低い駆動安定性に優れた長寿命の素子が得られた。
【0190】
<白色有機EL素子(照明装置)の作製>
[実施例21]
窒素雰囲気下で、電荷輸送性ポリマー1(10.0mg)、前記電子受容性化合物1(0.5mg)、及びトルエン(2.3mL)を混合し、正孔注入層形成用のインク組成物を調製した。ITOを1.6mm幅にパターニングしたガラス基板上に、前記インク組成物を回転数3,000min−1でスピンコートした後、ホットプレート上で220℃、10分間加熱して硬化させ、正孔注入層(25nm)を形成した。
【0191】
電荷輸送性ポリマー2(20mg)及びトルエン(1.15mL)を混合し、正孔輸送層形成用のインク組成物を調製した。正孔注入層の上に、前記インク組成物を回転数3,000min−1でスピンコートした後、ホットプレート上で200℃、10分間加熱して硬化させ、正孔輸送層(40nm)を形成した。正孔注入層を溶解させることなく、正孔輸送層を形成することができた。
【0192】
窒素中、CDBP(15mg)、FIr(pic)(0.9mg)、Ir(ppy)(0.9mg)、(btp)Ir(acac)(1.2mg)、及びジクロロベンゼン(0.5mL)を混合し、発光層形成用のインク組成物を調製した。正孔輸送層上に、前記インク組成物を回転数3,000min−1にてスピンコートし、ホットプレート上で80℃、5分間加熱して乾燥させ、発光層(40nm)を形成した。正孔輸送層を溶解させることなく、発光層を形成することができた。
【0193】
正孔注入層、正孔輸送層、及び発光層がこの順に積層されたガラス基板を真空蒸着機中に移し、発光層上にBAlq(10nm)、TPBi(30nm)、LiF(0.5nm)、及びAl(100nm)をこの順に、蒸着法で成膜した。その後、封止処理して白色有機EL素子を作製した。得られた白色有機EL素子は、照明装置として使用することができた。
【0194】
[実施例22]
実施例21の電荷輸送性ポリマー2を電荷輸送性ポリマー10に変えた以外は、実施例21と同様に、白色有機EL素子を作製した。得られた白色有機EL素子は、照明装置として使用することができた。
【0195】
[比較例5]
電荷輸送性ポリマー2を電荷輸送性ポリマー7に変えた以外は、実施例21と同様にして、白色有機EL素子を作製した。正孔輸送層を溶解させることなく、発光層を形成することができた。また、白色有機EL素子は、照明装置として使用することができた。
【0196】
実施例21及び比較例5で得た白色有機EL素子に電圧を印加して、初期輝度1,000cd/mとして発光寿命(輝度半減時間)を測定した。実施例21における発光寿命を1とすると、比較例5では0.17であった。また、実施例21における輝度1,000cd/mにおける電圧を1とすると、比較例5では1.13であった。
実施例21の白色有機EL素子は、優れた発光寿命及び駆動電圧を示した。
【0197】
[比較例13]
電荷輸送性ポリマー2を電荷輸送性ポリマー9に変えた以外は、実施例21と同様にして、白色有機EL素子を作製した。正孔輸送層を溶解させることなく、発光層を形成することができた。また、白色有機EL素子は、照明装置として使用することができた。
【0198】
実施例22及び比較例13で得た白色有機EL素子に電圧を印加して、初期輝度1,000cd/mとして発光寿命(輝度半減時間)を測定した。実施例22における発光寿命を1とすると、比較例13では0.7であった。また、実施例22における輝度1,000cd/mにおける電圧を1とすると、比較例13では1.1であった。
実施例22の白色有機EL素子は、優れた発光寿命及び駆動電圧を示した。
【0199】
以上に、実施例を用いて本発明の実施形態の効果を示した。実施例において使用した電荷輸送性ポリマー以外にも、上記で説明した、置換または非置換のジベンゾフラン構造あるいはジベンゾチオフェン構造を含む構造単位を少なくとも1つ有する電荷輸送性ポリマーを用い、長寿命を有する有機EL素子を得ることが可能であり、同様に優れた効果を示すものである。
【符号の説明】
【0200】
1 発光層
2 陽極
3 正孔注入層
4 陰極
5 電子注入層
6 正孔輸送層
7 電子輸送層
8 基板
図1
【国際調査報告】