特表-18146749IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年8月16日
【発行日】2019年12月12日
(54)【発明の名称】波長可変レーザ装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/022 20060101AFI20191115BHJP
   H01S 5/0687 20060101ALI20191115BHJP
【FI】
   H01S5/022
   H01S5/0687
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】26
【出願番号】特願2018-566689(P2018-566689)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年2月8日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川北 泰雅
(72)【発明者】
【氏名】清田 和明
(72)【発明者】
【氏名】比嘉 康貴
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AB03
5F173AB23
5F173AB44
5F173AB45
5F173AD30
5F173AH14
5F173MA02
5F173MB03
5F173ME03
5F173ME23
5F173MF04
5F173MF12
5F173MF23
5F173MF27
5F173MF29
5F173MF36
5F173MF39
5F173MF40
5F173SC02
5F173SE01
5F173SF03
5F173SF07
5F173SF32
5F173SF33
5F173SF43
5F173SF46
5F173SF65
5F173SF76
(57)【要約】
波長可変レーザ装置は、光共振器内に波長応答スペクトルが可変である複数の波長選択要素を有する波長可変レーザ要素と、前記波長可変レーザ要素から出力されるレーザ光が入力され、該レーザ光を増幅する半導体光増幅器と、前記波長可変レーザ要素と前記半導体光増幅器との間に配置される光アイソレータと、前記波長可変レーザ要素から出力され、前記半導体光増幅器に入力される前のレーザ光の強度変動を検出する光強度変動検出手段と、前記光共振器の共振器モードを波長軸上で変調する共振器モード用波長ディザを生成する波長ディザ生成手段と、前記光強度変動検出手段により検出される強度変動に基づいて、前記共振器モード用波長ディザをフィードバック制御する波長ディザフィードバック制御手段と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光共振器内に波長応答スペクトルが可変である複数の波長選択要素を有する波長可変レーザ要素と、
前記波長可変レーザ要素から出力されるレーザ光が入力され、該レーザ光を増幅する半導体光増幅器と、
前記波長可変レーザ要素と前記半導体光増幅器との間に配置される光アイソレータと、
前記波長可変レーザ要素から出力され、前記半導体光増幅器に入力される前のレーザ光の強度変動を検出する光強度変動検出手段と、
前記光共振器の共振器モードを波長軸上で変調する共振器モード用波長ディザを生成する波長ディザ生成手段と、
前記光強度変動検出手段により検出される強度変動に基づいて、前記共振器モード用波長ディザをフィードバック制御する波長ディザフィードバック制御手段と、
を備えることを特徴とする波長可変レーザ装置。
【請求項2】
前記波長ディザ生成手段は、前記複数の波長選択要素の少なくとも一つの波長応答スペクトルを波長軸上で変調する波長選択要素用波長ディザを生成することを特徴とする請求項1に記載の波長可変レーザ装置。
【請求項3】
前記波長応答スペクトルは反射スペクトルであって、前記共振器モード用波長ディザによって前記複数の波長選択要素の反射スペクトルの所定の帯域内に移動した共振器モードを、前記所定の帯域内の反射ピークと一致させることを特徴とする請求項1又は2に記載の波長可変レーザ装置。
【請求項4】
前記波長応答スペクトルは透過スペクトルであって、前記共振器モード用波長ディザによって前記複数の波長選択要素の透過スペクトルの所定の帯域内に移動した共振器モードを、前記所定の帯域内の透過ピークと一致させることを特徴とする請求項1又は2に記載の波長可変レーザ装置。
【請求項5】
前記複数の波長選択要素の応答スペクトルのうち、或るピーク同士が波長軸上で一致した状態で、前記光共振器の共振器モードを波長軸上で変調することを特徴とする請求項1に記載の波長可変レーザ装置。
【請求項6】
前記波長応答スペクトルは反射スペクトルであって、前記複数の波長選択要素のうちの一組の波長選択要素は、前記反射スペクトルのピーク間の間隔が互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の波長可変レーザ装置。
【請求項7】
前記半導体光増幅器から出力されたレーザ光の強度を検出する光強度検出手段と、
前記光強度検出手段により検出される強度に基づいて、前記半導体光増幅器をフィードバック制御する半導体光増幅器フィードバック制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の波長可変レーザ装置。
【請求項8】
前記波長可変レーザ要素は、位相調整信号が与えられて前記光共振器内の光の位相を変化させる位相調整要素を有し、
前記波長ディザ生成手段は、前記位相調整信号によって前記位相調整要素を制御することにより、前記共振器モード用波長ディザを生成し、
前記波長ディザフィードバック制御手段は、前記位相調整要素を制御することにより、前記共振器モード用波長ディザのフィードバック制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の波長可変レーザ装置。
【請求項9】
前記波長ディザ生成手段は、前記位相調整信号によって前記位相調整要素の屈折率を変調することを特徴とする請求項8に記載の波長可変レーザ装置。
【請求項10】
前記波長ディザ生成手段は、前記位相調整信号によって、前記位相調整要素を加熱するヒータの発熱量を制御することによって、前記位相調整要素の屈折率を変調することを特徴とする請求項9に記載の波長可変レーザ装置。
【請求項11】
前記波長ディザ生成手段は、前記波長選択要素の屈折率を変調することによって前記波長選択要素用波長ディザを生成することを特徴とする請求項2に記載の波長可変レーザ装置。
【請求項12】
前記波長ディザ生成手段は、2つの前記波長選択要素の屈折率を変調することによって前記波長選択要素用波長ディザを生成することを特徴とする請求項11に記載の波長可変レーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長可変レーザ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コヒーレント通信の普及に伴い、狭線幅の波長可変レーザの需要が高まっている。一般に、半導体レーザを狭線幅化するには光共振器を長くする必要がある(特許文献1、2、非特許文献1参照)。また、半導体レーザから出力されるレーザ光を半導体光増幅器で増幅して出力する構成の波長可変レーザが開示されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6665321号明細書
【特許文献2】国際公開第2016/152274号
【特許文献3】特許第5567226号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】N. Kobayashi et al., “Silicon Photonic Hybrid Ring-Filter External Cavity Wavelength Tunable Lasers,” J. Lightwave Technol., vol. 33, pp.1241-1246, 2015
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、光共振器が長い半導体レーザは、共振器モード(縦モード)の波長間隔(光周波数間隔)が狭いので、安定した単一モード発振性を実現することが困難な場合がある。また、半導体レーザから出力されるレーザ光を半導体光増幅器で増幅して出力する構成の波長可変レーザでは、レーザ光の波長の正確な制御が困難な場合がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、安定した単一モード発振性の実現及びレーザ光の波長の正確な制御が容易な波長可変レーザ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る波長可変レーザ装置は、光共振器内に波長応答スペクトルが可変である複数の波長選択要素を有する波長可変レーザ要素と、前記波長可変レーザ要素から出力されるレーザ光が入力され、該レーザ光を増幅する半導体光増幅器と、前記波長可変レーザ要素と前記半導体光増幅器との間に配置される光アイソレータと、前記波長可変レーザ要素から出力され、前記半導体光増幅器に入力される前のレーザ光の強度変動を検出する光強度変動検出手段と、前記光共振器の共振器モードを波長軸上で変調する共振器モード用波長ディザを生成する波長ディザ生成手段と、前記光強度変動検出手段により検出される強度変動に基づいて、前記共振器モード用波長ディザをフィードバック制御する波長ディザフィードバック制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係る波長可変レーザ装置は、前記波長ディザ生成手段は、前記複数の波長選択要素の少なくとも一つの波長応答スペクトルを波長軸上で変調する波長選択要素用波長ディザを生成することを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係る波長可変レーザ装置は、前記波長応答スペクトルは反射スペクトルであって、前記共振器モード用波長ディザによって前記複数の波長選択要素の反射スペクトルの所定の帯域内に移動した共振器モードを、前記所定の帯域内の反射ピークと一致させることを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様に係る波長可変レーザ装置は、前記波長応答スペクトルは透過スペクトルであって、前記共振器モード用波長ディザによって前記複数の波長選択要素の透過スペクトルの所定の帯域内に移動した共振器モードを、前記所定の帯域内の透過ピークと一致させることを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様に係る波長可変レーザ装置は、前記複数の波長選択要素の応答スペクトルのうち、或るピーク同士が波長軸上で一致した状態で、前記光共振器の共振器モードを波長軸上で変調することを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様に係る波長可変レーザ装置は、前記波長応答スペクトルは反射スペクトルであって、前記複数の波長選択要素のうちの一組の波長選択要素は、前記反射スペクトルのピーク間の間隔が互いに異なることを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様に係る波長可変レーザ装置は、前記半導体光増幅器から出力されたレーザ光の強度を検出する光強度検出手段と、前記光強度検出手段により検出される強度に基づいて、前記半導体光増幅器をフィードバック制御する半導体光増幅器フィードバック制御手段と、をさらに備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様に係る波長可変レーザ装置は、前記波長可変レーザ要素は、位相調整信号が与えられて前記光共振器内の光の位相を変化させる位相調整要素を有し、前記波長ディザ生成手段は、前記位相調整信号によって前記位相調整要素を制御することにより、前記共振器モード用波長ディザを生成し、前記波長ディザフィードバック制御手段は、前記位相調整要素を制御することにより、前記共振器モード用波長ディザのフィードバック制御を行うことを特徴とする。
【0015】
本発明の一態様に係る波長可変レーザ装置は、前記波長ディザ生成手段は、前記位相調整信号によって前記位相調整要素の屈折率を変調することを特徴とする。
【0016】
本発明の一態様に係る波長可変レーザ装置は、前記波長ディザ生成手段は、前記位相調整信号によって、前記位相調整要素を加熱するヒータの発熱量を制御することによって、前記位相調整要素の屈折率を変調することを特徴とする。
【0017】
本発明の一態様に係る波長可変レーザ装置は、前記波長ディザ生成手段は、前記波長選択要素の屈折率を変調することによって前記波長選択要素用波長ディザを生成することを特徴とする。
【0018】
本発明の一態様に係る波長可変レーザ装置は、前記波長ディザ生成手段は、2つの前記波長選択要素の屈折率を変調することによって前記波長選択要素用波長ディザを生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、安定した単一モード発振性の実現及びレーザ光の波長の正確な制御が容易な波長可変レーザ装置を実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施形態に係る波長可変レーザ装置の構成を示す模式図である。
図2図2は、波長可変レーザの構成例1及び制御器を示す模式図である。
図3A図3Aは、第一の櫛状反射スペクトル及び第二の櫛状反射スペクトルを示す図である。
図3B図3Bは、第一の櫛状反射スペクトル、第二の櫛状反射スペクトル及び共振器モードを示す図である。
図4図4は、第一の櫛状反射スペクトル、第二の櫛状反射スペクトル及びその重なりを示す図である。
図5図5は、第一の櫛状反射スペクトル、第二の櫛状反射スペクトル及び共振器モードの重なり並びに波長ディザを示す図である。
図6図6は、波長可変レーザの構成例2を示す模式図である。
図7図7は、波長可変レーザの構成例3を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一又は対応する要素には適宜同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、図中で適宜xyz座標軸を示し、これにより方向を説明する。
【0022】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る波長可変レーザ装置の構成を示す模式図である。波長可変レーザ装置100は、筐体1内に、温度調節素子2、支持部材3、波長可変レーザ要素としての波長可変レーザ4、コリメートレンズ5、温度調節素子6、支持部材7、光アイソレータ8、集光レンズ9、半導体光増幅器10、コリメートレンズ11、ビームスプリッタ12、13、光強度変動検出手段としてのパワーモニタ用フォトダイオード(Photo Diode:PD)14、エタロンフィルタ15、波長モニタ用PD16、ビームスプリッタ17、パワーモニタ用PD18、集光レンズ19、及び光ファイバ20の一端が収容され、モジュール化された構成を備える。このモジュールを波長可変レーザモジュールと記載する。さらに、波長可変レーザ装置100は、波長可変レーザモジュールの動作を制御する制御器21を備える。
【0023】
筐体1は、底板1aと、側壁部と、上部蓋とを有している。なお、図1では説明のために上部蓋は記載を省略している。紙面右側の側壁部には、集光レンズ19を収容し、かつ光ファイバ20の一端が挿通固定されるホルダ部1bが設けられている。筐体1は内部が気密構造となるように封止されている。底板1aは銅タングステン(CuW)などの熱伝導率が高い材料からなる。筐体1のその他の部分はKovar(登録商標)などの熱膨張係数が低い材料からなる。
【0024】
温度調節素子2は、たとえばペルチェ素子である。温度調節素子2は、筐体1内において、底板1aに載置されており、駆動電流が供給されることによって波長可変レーザ4を冷却してその温度を調節することができる。
【0025】
支持部材3は、温度調節素子2に載置されている。支持部材3は、波長可変レーザ4及びコリメートレンズ5を載置するものであり、窒化アルミニウム(AlN)などの熱伝導率が高い材料からなる。波長可変レーザ4は、支持部材3を介して温度調節素子2に載置されている。
【0026】
波長可変レーザ4は、たとえばバーニア効果を利用した波長可変レーザであるが、その構成例は後に詳述する。波長可変レーザ4は、制御器21によって制御されてレーザ光L1を出力する。レーザ光L1の波長は光通信用に用いられる波長帯(たとえば1520nm〜1620nm)内の波長である。
【0027】
コリメートレンズ5は、支持部材3に載置され、波長可変レーザ4のレーザ光出力側(前方側)に配置されている。コリメートレンズ5は、波長可変レーザ4から出力されたレーザ光L1を平行光に変換する。
【0028】
温度調節素子6は、筐体1内において、底板1aに載置され、波長可変レーザ4の前方側に配置されている。温度調節素子6はたとえばペルチェ素子である。温度調節素子6は、駆動電流が供給されることによって載置する各要素の温度を調節することができる。
【0029】
支持部材7は、温度調節素子6に載置されている。支持部材7は、熱伝導率が高い材料で構成されており、光アイソレータ8、集光レンズ9、半導体光増幅器10、コリメートレンズ11、ビームスプリッタ12、13、光強度変動検出手段としてのパワーモニタ用PD14、エタロンフィルタ15、波長モニタ用PD16、ビームスプリッタ17、パワーモニタ用PD18の各要素を載置している。各要素は温度調節素子6によって温度調節される。
【0030】
光アイソレータ8は、波長可変レーザ4と半導体光増幅器10との間に配置されている。光アイソレータ8は、紙面左側から入力されたレーザ光L1を紙面右側に通過させ、かつ、紙面右側から紙面左側への光の通過を阻止する。これによって、波長可変レーザ4に戻り光(反射光や半導体光増幅器10が発生するASE(Amplified Spontaneous Emission)光が入力されることが防止される。このことは、波長可変レーザ4の動作の安定に寄与するとともに、レーザ光L1の狭線幅化に寄与する。
【0031】
集光レンズ9は、コリメートレンズ5によって平行光にされ、光アイソレータ8を通過したレーザ光L1を半導体光増幅器10に集光して入力させる。
【0032】
半導体光増幅器10は、波長可変レーザ4とは分離して設けられており、活性層を含むストライプ状の埋め込みメサ構造の光導波路である光増幅部10aを有している。半導体光増幅器10は、光増幅部10aに入力されたレーザ光L1を光増幅して出力する。このとき、半導体光増幅器10は、制御器21によって電力を供給され、レーザ光L1が所望の光強度になるように光増幅する。
【0033】
コリメートレンズ11は、半導体光増幅器10から出力された増幅されたレーザ光L1を平行光にする。集光レンズ19は、コリメートレンズ11によって平行光にされたレーザ光L1を光ファイバ20に集光して光結合させる。光ファイバ20はレーザ光L1を所定の装置等まで伝送する。
【0034】
ビームスプリッタ12は、光アイソレータ8と集光レンズ9との間に配置されている。ビームスプリッタ12は、たとえばハーフミラーであり、光アイソレータ8を通過したレーザ光L1の大部分を透過して集光レンズ9に入力させるとともに、レーザ光L1の一部(レーザ光L2)をパワーモニタ用PD14に向けて反射させる。ビームスプリッタ13は、たとえばハーフミラーであり、レーザ光L2の一部(レーザ光L3)をエタロンフィルタ15に反射させる。
【0035】
パワーモニタ用PD14は、レーザ光L2の強度を検出し、検出された強度に応じた電気信号を制御器21に出力する。
【0036】
エタロンフィルタ15は、波長に対して周期的な透過特性(透過波長特性)を有し、その透過波長特性に応じた透過率で、ビームスプリッタ13が反射したレーザ光L3を選択的に透過して波長モニタ用PD16に入力する。波長モニタ用PD16は、エタロンフィルタ15を透過したレーザ光L3の強度を検出し、検出された強度に応じた電気信号を制御器21に出力する。エタロンフィルタ15の透過波長特性の周期としては、光周波数で表すとたとえば50GHz、33.3GHz、25GHzなどである。
【0037】
パワーモニタ用PD14及び波長モニタ用PD16によって検出されたレーザ光L2、L3の強度は、制御器21による波長ロック制御(波長可変レーザ4から出力されるレーザ光L1を所望の波長にするための制御)に用いられる。
【0038】
具体的には、波長ロック制御では、制御器21は、パワーモニタ用PD14によって検出されたレーザ光L2の強度と、波長モニタ用PD16によって検出された、エタロンフィルタ15透過後のレーザ光L3の強度との比が、レーザ光L1の強度及び波長が所望の強度及び波長になるときの比になるように、波長可変レーザ4の駆動電流と温度とを変化させる制御をする。これにより、レーザ光L1の波長を所望の波長(ロック波長)に制御することができる。このように、ビームスプリッタ12、13、パワーモニタ用PD14、エタロンフィルタ15、及び波長モニタ用PD16は、レーザ光L1の波長の変化をモニタする波長モニタ機構として機能する。
【0039】
また、ビームスプリッタ17は、半導体光増幅器10によって光増幅され、半導体光増幅器10から出力されたレーザ光L1の一部(レーザ光L4)を反射させる。光強度検出手段としてのパワーモニタ用PD18は、レーザ光L4の強度を検出し、検出された強度に応じた電気信号を制御器21に出力する。制御器21は、パワーモニタ用PD18によって検出されたレーザ光L4の強度に基づいて半導体光増幅器10をフィードバック制御(出力一定制御)する。具体的には、制御器21は、レーザ光L4の強度に基づいて、レーザ光L1が所望の強度になるように半導体光増幅器10に供給する電力を制御してフィードバック制御を行う。
【0040】
制御器21は、波長可変レーザ4及び半導体光増幅器10をそれぞれ駆動するための駆動部と、これらの駆動部の制御のための各種演算処理を行う演算処理部と、演算処理部が演算処理を行うために使用する各種プログラムやデータ等が格納されるROMなどの記憶部と、演算処理部が演算処理を行う際の作業スペースや演算処理部の演算処理の結果等を記憶する等のために使用されるRAMなどの記憶部とを備えている。制御器21は、半導体光増幅器10をフィードバック制御する半導体光増幅器フィードバック制御手段、並びに、後述する波長ディザ生成手段、波長ディザフィードバック制御手段としての機能を有する。
【0041】
つぎに、波長可変レーザ4の構成例及びその制御について説明する。図2は、波長可変レーザ4の構成例1及び制御器を示す模式図である。
【0042】
波長可変レーザ4は、共通の基部B上に形成された、第1の導波路部410と第2の導波路部420とを備えている。基部Bはたとえばn型InPからなる。なお、基部Bの裏面にはn側電極430が形成されている。n側電極430は、たとえばAuGeNiを含んで構成され、基部Bとオーミック接触する。
【0043】
第1の導波路部410は、導波路部411と、半導体積層部412と、p側電極413と、Tiからなるマイクロヒータ415とを備えている。第1の導波路部410は、埋込み導波路構造を有しており、導波路部411は、半導体積層部412内にz方向に延伸するように形成されている。第1の導波路部410内には、利得部411aと、波長選択要素としてのDBR(Distributed Bragg Reflector)型の回折格子層411bとが配置されている。利得部411aは、InGaAsPからなる多重量子井戸構造と光閉じ込め層とを有する活性層である。また、回折格子層411bは、InGaAsPとInPとからなる標本化回折格子で構成されている。半導体積層部412は、InP系半導体層が積層して構成されており、導波路部411に対してクラッド部の機能等を備える。
【0044】
p側電極413は、半導体積層部412上において、利得部411aに沿うように配置されている。なお、半導体積層部412には後述するSiN保護膜が形成されており、p側電極413はSiN保護膜に形成された開口部を介して半導体積層部412に接触している。マイクロヒータ415は、半導体積層部412のSiN保護膜上において、回折格子層411bに沿うように配置されている。マイクロヒータ415は、制御器21から電流を供給されることによって発熱し、回折格子層411bを加熱する。制御器21が通電量を制御することによって回折格子層411bの温度が変化し、その屈折率が変化する。
【0045】
第2の導波路部420は、2分岐部421と、2つのアーム部422、423と、リング状導波路424と、Tiからなるマイクロヒータ425とを備えている。
【0046】
2分岐部421は、1×2型の多モード干渉型(MMI)導波路421aを含む1×2型の分岐型導波路で構成され、2ポート側が2つのアーム部422、423のそれぞれに接続されるとともに1ポート側が第1の導波路部410側に接続されている。2分岐部421により、2つのアーム部422、423は、その一端が統合され、回折格子層411bと光学的に結合される。
【0047】
アーム部422、423は、いずれもz方向に延伸し、リング状導波路424を挟むように配置されている。アーム部422、423はリング状導波路424と近接し、いずれも同一の結合係数κでリング状導波路424と光学的に結合している。κの値はたとえば0.2である。アーム部422、423とリング状導波路424とは、リング共振器フィルタRF1を構成している。また、リング共振器フィルタRF1と2分岐部421とは、波長選択要素としての反射ミラーM1を構成している。マイクロヒータ425はリング状であり、リング状導波路424を覆うように形成されたSiN保護膜上に配置されている。マイクロヒータ425は、制御器21から電流を供給されることによって発熱し、リング状導波路424を加熱する。制御器21が通電量を制御することによってリング状導波路424の温度が変化し、その屈折率が変化する。
【0048】
2分岐部421、アーム部422、423、及びリング状導波路424は、いずれも、InGaAsPからなる光導波層420aがInPからなるクラッド層によって挟まれたハイメサ導波路構造を有している。
【0049】
また、アーム部423の一部のSiN保護膜上には、マイクロヒータ426が配置されている。アーム部423のうちマイクロヒータ426の下方の領域は、光の位相を変化させる位相調整要素である位相調整部427として機能する。マイクロヒータ426は、制御器21から電流を供給されることによって発熱し、位相調整部427を加熱する。制御器21が通電量を制御することによって位相調整部427の温度が変化し、その屈折率が変化する。
【0050】
第1の導波路部410と第2の導波路部420は、互いに光学的に接続された一組の波長選択要素である回折格子層411bと反射ミラーM1とにより構成される、光共振器C1を構成している。利得部411aと位相調整部427とは光共振器C1内に配置される。
【0051】
つぎに、回折格子層411bとリング共振器フィルタRF1との反射特性について図3A、Bを用いて説明する。図3A、Bにおいて縦軸は反射率(Reflectance)を示している。回折格子層411bは、図3Aに凡例「SG」で曲線を示すように、波長応答スペクトルとして、略所定の波長間隔で略周期的な反射特性を有する第一の櫛状反射スペクトルを生成する。一方、リング共振器フィルタRF1は、図3Aに凡例「Ring」で曲線を示すように、波長応答スペクトルとして、所定の波長間隔で周期的な反射特性を有する第二の櫛状反射スペクトルを生成する。図3B図3Aの反射スペクトルの1550nm近傍を拡大して示した図である。図3Bにおいて、凡例「Mode」は、光共振器C1の共振器モードを示している。共振器モードは少なくとも図3Aに示す1530nm〜1570nmの波長範囲に亘って存在している。図3A、Bに示すように、第二の櫛状反射スペクトルは、第一の櫛状反射スペクトルのピークSC1の半値全幅よりも狭い半値全幅のピークSC2を有し、第一の櫛状反射スペクトルの波長間隔とは異なる波長間隔で略周期的な反射特性を有する。但し、屈折率の波長分散を考慮すると、スペクトル成分は厳密には等波長間隔になっていないことに注意が必要である。
【0052】
各櫛状反射スペクトルの特性について例示すると、第一の櫛状反射スペクトルのピーク間の波長間隔(自由スペクトル領域:FSR)は光の周波数で表すと373GHzであり、各ピークの半値全幅は光の周波数で表すと43GHzである。また、第二の櫛状反射スペクトルのピーク間の波長間隔(FSR)は光の周波数で表すと400GHzであり、各ピークの半値全幅は光の周波数で表すと25GHzである。すなわち、第二の櫛状反射スペクトルの各ピークの半値全幅(25GHz)は第一の櫛状反射スペクトルの各ピークの半値全幅(43GHz)より狭い。
【0053】
また、第二の櫛状反射スペクトルのピークは波長に対して急峻に変化する形状を有しており、波長に対する反射率の2次微分がピークより短波長側及び長波長側で正値をとる波長域がある。第二の櫛状反射スペクトルのピークは例えば二重指数分布(ラプラス分布)型の形状である。一方、第一の櫛状反射スペクトルのピークは、第二の櫛状反射スペクトルのピークに比して、波長に対して緩やかに変化する形状を有しており、波長に対する反射率の2次微分がピークに対して短波長側及び長波長側で負値をとる波長域がある。第一の櫛状反射スペクトルのピークは例えばガウシャン型の形状である。
【0054】
波長可変レーザ4において、レーザ発振を実現するために、第一の櫛状反射スペクトルのピークの一つと第二の櫛状反射スペクトルのピークの一つとを波長軸上で重ね合わせ可能に構成されている。図4は、第一の櫛状反射スペクトル、第二の櫛状反射スペクトル及びその重なりを示す図である。凡例「Overlap」で示す曲線がスペクトルの重なりを示す。図4に示す例では、波長1550nmにて重なりがもっとも大きくなる。
【0055】
なお、このような重ね合わせは、マイクロヒータ415及びマイクロヒータ425の少なくともいずれか一つを用いて、マイクロヒータ415により回折格子層411bを加熱して熱光学効果によりその屈折率を変化させて第一の櫛状反射スペクトルを波長軸上で全体的に移動させて変化させる、及び、マイクロヒータ425によりリング状導波路424を加熱してその屈折率を変化させて第二の櫛状反射スペクトルを波長軸上で全体的に移動させて変化させる、の少なくともいずれか一つを行うことにより、実現することができる。
【0056】
一方、波長可変レーザ4において、図3Bにその一部を示すように、光共振器C1による共振器モードが存在する。波長可変レーザ4においては、共振器モードの間隔(縦モード間隔)は25GHz以下となるように光共振器C1の共振器長が設定されている。この設定の場合、光共振器C1の共振器長は1800μm以上となり、発振するレーザ光の狭線幅化が期待できる。
【0057】
波長可変レーザ4は、制御器21により、n側電極430及びp側電極413から利得部411aへ電流を注入し、利得部411aを発光させると、第一の櫛状反射スペクトルのスペクトル成分のピーク、第二の櫛状反射スペクトルのスペクトル成分のピーク、及び光共振器C1の共振器モードの一つが一致した波長、例えば1550nmでレーザ発振し、レーザ光L1を出力するように構成されている。なお、光共振器C1の共振器モードの波長は、マイクロヒータ426を用いて位相調整部427を加熱してその屈折率を変化させて共振器モードの波長を波長軸上で全体的に移動させることにより微調整することができる。すなわち、位相調整部427は、光共振器C1の光路長を能動的に制御するための部分である。
【0058】
つぎに、波長可変レーザ4におけるレーザ発振波長の選択方法を説明する。波長可変レーザ4では、バーニア効果を利用してレーザ発振波長の選択を行っている。
【0059】
図3A、B、図4にも示すように、第一の櫛状反射スペクトルと第二の櫛状反射スペクトルとのFSRは、わずかに異なるように設計されている。なお、ピークがより鋭い第二の櫛状反射スペクトルのFSRの方を大きくすることで、スペクトルの重なりのピークが最も高い1550nmに隣接する重なり(例えば、1547nm付近の重なり)のピークの高さが相対的に小さくなる。その結果、スペクトルの重なりのピークが最も高い波長に隣接する重なりのピークの波長でのレーザ発振が抑制されることとなるので、サイドモード抑圧比を高くできる。
【0060】
波長可変レーザ4における可変波長範囲は、バーニア効果により、FSRの最小公倍数で決定される。第一の櫛状反射スペクトルのピークの一つと第二の櫛状反射スペクトルのピークの一つが重ね合わせられ、そのピークが一致した波長で反射率が最大となり、レーザ発振が起こる。つまり、回折格子層411bとリング共振器フィルタRF1のバーニア効果により大まかなレーザ発振波長が決定される(スーパーモード)。より精密には、レーザ発振波長は、光共振器C1内において、回折格子層411bから、2分岐部421、リング共振器フィルタRF1のアーム部422、423のうちの一方、リング状導波路424、アーム部422、423のうちの他方、2分岐部421を順に経由して回折格子層411bに帰還する経路(共振器長)で定義される共振器モードの波長とスーパーモードとの重なりで決定される。すなわち、重ね合わされた第一の櫛状反射スペクトルのピークと第二の櫛状反射スペクトルのピークの重なり領域に、光共振器C1の共振器モードの一つを一致させ、その一致した共振器モードの波長でレーザ発振することとなる。したがって、波長可変レーザ4では、回折格子層411bに対するマイクロヒータ415とリング共振器フィルタRF1に対するマイクロヒータ425とにより第一の櫛状反射スペクトルと第二の櫛状反射スペクトルとをそれぞれチューニングすることで粗調、位相調整部427に対するマイクロヒータ426により共振器長をチューニングすることで微調を行う波長可変動作が実現される。
【0061】
図3A、Bに示す状態(第1の状態とする)では、第一の櫛状反射スペクトルと第二の櫛状反射スペクトルとは波長1550nmで重なりが最も大きい(スーパーモード)。第1の状態ではレーザ発振波長は1550nm付近に粗調されている状態である。第1の状態で位相調整部427をチューニングすることで共振器モードを微調することで、波長1550nmでのレーザ発振を得ることができる。
【0062】
つぎに、レーザ発振波長を変更する場合は、リング共振器フィルタRF1のチューニングを固定した状態で、回折格子層411bのみマイクロヒータ415で加熱する。すると、熱光学効果により回折格子層411bの屈折率が上昇し、回折格子層411bの反射スペクトル(第一の櫛状反射スペクトル)は全体的に長波側にシフトする。その結果、1550nm付近のリング共振器フィルタRF1の反射スペクトル(第二の櫛状反射スペクトル)のピークとの重なりが解かれ、長波側に存在する別のピーク(1556nm付近)に重なり、第2の状態となる。これにより、別のスーパーモードへの遷移が実現する。さらに、位相調整部427をチューニングして共振器モードを微調することで、1556nm付近でのレーザ発振を実現できる。なお、レーザ発振波長を短波側に変更する際は、回折格子層411bのチューニングを固定し、リング共振器フィルタRF1のみマイクロヒータ425で加熱して、リング共振器フィルタRF1の櫛状反射スペクトルを全体的に長波側にシフトさせればよい。
【0063】
ここで、本実施形態に係る波長可変レーザ装置100では、重ね合わされた第一の櫛状反射スペクトルのピークと第二の櫛状反射スペクトルのピークの重なり領域に、光共振器C1の共振器モードの一つを一致させるために、制御器21が以下の制御を行う。
【0064】
すなわち、制御器21は、光共振器C1の共振器モードを波長軸上で変調する共振器モード用波長ディザを生成し、光強度変動検出手段であるパワーモニタ用PD14により検出される光の強度変動に基づいて、共振器モード用波長ディザをフィードバック制御する。
【0065】
具体的には、制御器21からマイクロヒータ426を発熱させるために供給する電流を強度変調電流とした位相調整信号にすることによって、マイクロヒータ426の発熱量を制御し、これによって位相調整部427を制御し、その温度及び屈折率を強度変調する。すると、共振器モードは、図5の矢印D1で示すよう波長軸上で所定の波長幅で全体的に変調する。この変調(共振器モード用波長ディザ)により、第一の櫛状反射スペクトルのピークと第二の櫛状反射スペクトルのピークの重なり領域と、光共振器C1の共振器モードとの重なりの程度も変動されるため、波長可変レーザ4から出力されるレーザ光L1の強度が変動する。この光強度変動はパワーモニタ用PD14により検出される。制御器21は、検出された光強度変動の変動量が小さく、かつ光強度が大きくなるように共振器モード用波長ディザの変調の振幅をフィードバック制御する。すなわち、位相調整信号で位相調整部427を制御することによって、共振器モード用波長ディザのフィードバック制御を行う。このようなフィードバック制御は、例えば、検出される光強度変動の変動量が設定値範囲内、かつ光強度が設定値範囲内の状態を維持するように継続して行われる。
【0066】
なお、半導体光増幅器10は一般に利得飽和の状態で動作させるため、レーザ光L1の強度変動は半導体光増幅器10によって緩和される。そのため、半導体光増幅器10よって増幅されたレーザ光L1においては、共振器モード用波長ディザに対する応答としての光強度変動が検出しづらくなる。特に、本実施形態に係る波長可変レーザ装置100のように半導体光増幅器10を出力一定制御している場合では、振器モード用波長ディザによる光強度変動が出力一定制御の影響を受けてさらに緩和され、検出しづらくなる。
【0067】
しかしながら、この波長可変レーザ装置100では、パワーモニタ用PD14が、波長可変レーザ4から出力されて半導体光増幅器10に入力される前のレーザ光L1の強度変動を検出する構成であるので、利得飽和や出力一定制御の影響を受けず、共振器モード用波長ディザに対する応答としての本来の光強度変動が検出しやすくなる。その結果、共振器モード用波長ディザによって所定の帯域内の2つの櫛状反射スペクトルのピークの重なり領域に光共振器C1の共振器モードの1つを移動させて一致させる制御を、より一層正確に行うことができる。特に、第二の櫛状反射スペクトルのピークは波長に対して急峻に変化する形状を有しているため、共振器モード用波長ディザに対する応答としての光強度変動が大きくなる。その結果、2つの櫛状反射スペクトルのピークの重なり領域に光共振器C1の共振器モードの1つを正確に一致させやすくなる。なお、図5では、共振器モードMODE1が2つの櫛状反射スペクトルのピークの重なり領域に一致している状態を示している。
【0068】
また、光アイソレータ8により、共振器モード用波長ディザに対する応答としての光強度変動が戻り光の影響を受けにくくなり、より一層正確に行うことができる。また、2つの櫛状反射スペクトルのピークの重なり領域に光共振器C1の共振器モードの1つを移動させて一致させる制御をより一層正確に行うことができるので、波長可変レーザ4の安定した単一モード発振性の実現が容易にできる。
【0069】
なお、波長可変レーザ装置100の波長可変レーザ4において、制御器21が、波長ディザ生成手段として、複数の波長選択要素である回折格子層411b及び反射ミラーM1の少なくとも一つの波長応答スペクトル(櫛状反射スペクトル)を波長軸上で変調する波長選択要素用波長ディザをさらに生成するように制御器21を構成としてもよい。この場合、制御器21は、共振器モード用波長ディザ及び波長選択要素用波長ディザを生成し、光強度変動検出手段であるパワーモニタ用PD14により検出される光の強度変動に基づいて、共振器モード用波長ディザ及び波長選択要素用波長ディザをフィードバック制御する。
【0070】
反射ミラーM1に対する波長選択要素用波長ディザを生成する場合を例にして説明する。制御器21からマイクロヒータ425を発熱させるために供給する電流を強度変調電流とした反射スペクトル調整信号にすることによって、マイクロヒータ425の発熱量を制御し、これによって反射ミラーM1を制御し、その温度及び屈折率を強度変調する。すると、第一の櫛状反射スペクトルは、図5の矢印D2で示すよう波長軸上で所定の波長幅で全体的に変調する。なお、共振器モードも矢印D1で示すよう波長軸上で所定の波長幅で全体的に変調する。この2つの変調により、第一の櫛状反射スペクトルのピークと第二の櫛状反射スペクトルのピークの重なり領域と、光共振器C1の共振器モードとの重なりの程度も変動されるため、波長可変レーザ4から出力されるレーザ光L1の強度が変動する。この光強度変動はパワーモニタ用PD14により検出される。制御器21は、検出された光強度変動の変動量が小さく、かつ光強度が大きくなるように波長選択要素用波長ディザ及び共振器モード用波長ディザの変調の振幅をフィードバック制御する。すなわち、位相調整信号で位相調整部427を制御し、反射スペクトル調整信号で反射ミラーM1を制御することによって、波長選択要素用波長ディザ及び共振器モード用波長ディザのフィードバック制御を行う。このようなフィードバック制御は、例えば、検出される光強度変動の変動量が設定値以下、かつ光強度が設定値以上の状態を維持するように継続して行われる。
【0071】
さらに回折格子層411bに対する波長選択要素用波長ディザを生成する場合は、制御器21からマイクロヒータ415に供給する電流を強度変調電流とした反射スペクトル調整信号にすることによって、マイクロヒータ415の発熱量を制御し、これによって回折格子層411bを制御し、その温度及び屈折率を強度変調する。すると、第二の櫛状反射スペクトルは、図5の矢印D3で示すよう波長軸上で所定の波長幅で全体的に変調する。これら矢印D1、D2、D3の3つの変調により、第一の櫛状反射スペクトルのピークと第二の櫛状反射スペクトルのピークの重なり領域と、光共振器C1の共振器モードとの重なりの程度も変動されるため、波長可変レーザ4から出力されるレーザ光L1の強度が変動する。制御器21は、パワーモニタ用PD14により検出された光強度変動の変動量が小さく、かつ光強度が大きくなるように2つの波長選択要素用波長ディザ及び共振器モード用波長ディザの変調の振幅をフィードバック制御する。このようなフィードバック制御は、例えば、検出される光強度変動の変動量が設定値以下、かつ光強度が設定値以上の状態を維持するように継続して行われる。
【0072】
(波長可変レーザの構成例2)
実施形態の波長可変レーザ装置100において、波長可変レーザ4は他の様々な構成の波長可変レーザ要素に置き換えることができる。図6は、波長可変レーザの構成例2を示す模式図である。構成例2に係る波長可変レーザ4Aは、半導体増幅素子401Aと、コリメートレンズ5と、エタロンフィルタ402A、403Aと、エタロンフィルタ402A、403Aがそれぞれ載置される、基台404A、405Aと、反射膜付き光アイソレータ8Aの光アイソレータ8の端面に形成された反射膜406Aと、半導体増幅素子401Aから出力されるレーザ光の波長において透明な光学要素407Aと、光学要素407Aが載置されるヒータ付き基台408Aと、を含んで構成されている。波長可変レーザ4Aと反射膜付き光アイソレータ8Aは波長可変レーザ装置100の波長可変レーザ4、光アイソレータ8と置き換えることができる。なお、反射膜付き光アイソレータ8Aは支持部材3に載置してもよい。
【0073】
半導体増幅素子401Aは、後端面に、例えば反射率が90%以上の高反射膜401Aaが形成され、前端面に無反射膜401Abが形成されており、前端面側からレーザ光を出力する。半導体増幅素子401Aは例えば埋め込み導波路構造を有するファブリーペロー型の半導体レーザ素子である。
【0074】
エタロンフィルタ402A、403Aは、それぞれ、波長応答スペクトルとして、透過率が波長に対して略周期的に変化する透過スペクトルを生成する波長選択要素である。エタロンフィルタ402A、403Aは、半導体増幅素子401Aから出力されたレーザ光の光軸に対してそれぞれの主表面が互いに異なる角度で傾斜して配置されている。これにより、エタロンフィルタ402A、403Aのそれぞれの透過スペクトルの透過率の変化の周期は互いに異なっている。エタロンフィルタ402A、403Aは、半導体増幅素子401Aから出力されたレーザ光を、レーザ光の波長におけるそれぞれの透過率で透過させる。
【0075】
エタロンフィルタ402A、403Aにはヒータが設けられており、ヒータは、それぞれ、制御器21から電流を供給されることによって発熱し、エタロンフィルタ402A、403Aをそれぞれ加熱する。制御器21が通電量を制御することによってエタロンフィルタ402A、403Aの温度及び屈折率がそれぞれ変化する。これにより、エタロンフィルタ402A、403Aの透過スペクトルを波長軸上で全体的に移動させることができる。
【0076】
光学要素407Aは、エタロンフィルタ402A、403Aを透過したレーザ光を透過させる。ヒータ付き基台408Aは、制御器21から電流を供給されることによって発熱し、光学要素407Aを加熱する。制御器21が通電量を制御することによって光学要素407Aの温度及び屈折率がそれぞれ変化する。これによって光学要素407Aは光の位相を変化させる位相調整要素として機能する。
【0077】
反射膜406Aは例えば反射率が10%〜30%程度の低反射膜であり、半導体増幅素子401Aの高反射膜401Aaとともに波長可変レーザ4Aの光共振器C2を構成している。波長可変レーザ4Aは、光共振器C2を構成する一方の反射膜406Aが半導体増幅素子401Aの外部にある、いわゆる外部共振器型の構成であるので、共振器長を長くできる。
【0078】
波長可変レーザ4Aでは、エタロンフィルタ402A、403Aのそれぞれの透過スペクトルの透過率の変化の周期は互いに異なっており、かつヒータによってそれぞれの透過スペクトルを波長軸上で全体的に移動させることができる(すなわち可変である)ので、波長可変レーザ4Aはバーニア効果を利用した波長可変レーザとして機能する。
【0079】
さらに、波長可変レーザ4Aに対して、重ね合わされた2つの透過スペクトルのピークの重なり領域に、光共振器C2の共振器モードの一つを一致させるために、制御器21が以下の制御を行うことができる。
【0080】
すなわち、制御器21は、光共振器C2の共振器モードを波長軸上で変調する共振器モード用波長ディザを生成し、光強度変動検出手段であるパワーモニタ用PD14により検出される光の強度変動に基づいて、共振器モード用波長ディザをフィードバック制御する。具体的には、制御器21からヒータ付き基台408Aのヒータを発熱させるために供給する電流を強度変調電流とした位相調整信号にすることによって、ヒータの発熱量を制御し、これによって光学要素407Aを制御し、その温度及び屈折率を強度変調する。制御器21は、検出された光強度変動の変動量が小さく、かつ光強度が大きくなるように共振器モード用波長ディザの変調の振幅をフィードバック制御する。すなわち、位相調整信号で光学要素407Aを制御することによって、共振器モード用波長ディザのフィードバック制御を行う。
【0081】
波長可変レーザ装置100において波長可変レーザ4Aを用いた場合も、共振器モード用波長ディザによって所定の帯域内の2つの透過スペクトルのピークの重なり領域に光共振器C2の共振器モードの1つを移動させて一致させる制御を、より一層正確に行うことができる。その結果、安定した単一モード発振性の実現及びレーザ光の波長の正確な制御が容易になる。
【0082】
なお、波長可変レーザ4Aにおいて、制御器21が、エタロンフィルタ402A、403Aの少なくとも一つの透過スペクトルを波長軸上で変調する波長選択要素用波長ディザをさらに生成するように制御器21を構成してもよい。この場合、制御器21は、共振器モード用波長ディザ及び波長選択要素用波長ディザを生成し、光強度変動検出手段であるパワーモニタ用PD14により検出される光の強度変動に基づいて、共振器モード用波長ディザ及び波長選択要素用波長ディザをフィードバック制御する。
【0083】
エタロンフィルタ402Aに対する波長選択要素用波長ディザを生成する場合を例にして説明する。制御器21から、エタロンフィルタ402Aに設けられたヒータを発熱させるために供給する電流を、強度変調電流とした透過スペクトル調整信号にすることによって、ヒータの発熱量を制御する。これによってエタロンフィルタ402Aを制御し、その温度及び屈折率を強度変調する。すると、エタロンフィルタ402Aの透過スペクトルは、波長軸上で所定の波長幅で全体的に変調する。なお、共振器モードも波長軸上で所定の波長幅で全体的に変調する。この2つの変調により、2つの透過スペクトルのピークの重なり領域と、光共振器C2の共振器モードとの重なりの程度も変動されるため、波長可変レーザ4Aから出力されるレーザ光の強度が変動する。制御器21は、パワーモニタ用PD14によって検出された光強度変動の変動量が小さく、かつ光強度が大きくなるように波長選択要素用波長ディザ及び共振器モード用波長ディザの変調の振幅をフィードバック制御する。すなわち、位相調整信号で光学要素407Aを制御し、透過スペクトル調整信号でエタロンフィルタ402Aを制御することによって、波長選択要素用波長ディザ及び共振器モード用波長ディザのフィードバック制御を行う。このようなフィードバック制御は、例えば、検出される光強度変動の変動量が設定値以下、かつ光強度が設定値以上の状態を維持するように継続して行われる。
【0084】
(波長可変レーザの構成例2)
図7は、波長可変レーザの構成例3を示す模式図である。構成例3に係る波長可変レーザ4Bは、半導体増幅素子401Bと、波長選択要素部402Bと、マイクロヒータ403B、404B、405Bと、を含んで構成されている。波長可変レーザ4Bは波長可変レーザ装置100の波長可変レーザ4と置き換えることができる。
【0085】
半導体増幅素子401Bは、後端面に波長選択要素部402Bが接続され、前端面に例えば反射率が10%〜30%程度の低反射膜401Baが形成されており、前端面側からレーザ光を出力する。半導体増幅素子401Bは例えば埋め込み導波路構造を有するファブリーペロー型の半導体レーザ素子である。半導体増幅素子401Bは導波路である活性層401Bbを備えている。
【0086】
波長選択要素部402Bは、例えばシリコンフォトニクスにおいて用いられるシリコン導波路回路によって構成される。波長選択要素部402Bは、接続導波路402Baと、導波路型のリング共振器フィルタ402Bb、402Bcと、反射部402Bdとを備えている。接続導波路402Baは半導体増幅素子401Bの活性層401Bbに光学的に接続される。リング共振器フィルタ402Bb、402Bcは、それぞれ、2つのアーム部とリング状導波路とを備えている。リング共振器フィルタ402Bbの一方のアーム部は接続導波路402Baに光学的に接続され、他方のアーム部はリング共振器フィルタ402Bbの一方のアーム部と光学的に接続している。リング共振器フィルタ402Bbの他方のアーム部は反射部402Bdに接続している。リング共振器フィルタ402Bb、402Bcは、それぞれ、波長応答スペクトルとして、透過率が波長に対して略周期的に変化する櫛状透過スペクトルを生成する波長選択要素である。リング共振器フィルタ402Bb、402Bcのリング状導波路は、互いに異なる直径を有する。これにより、リング共振器フィルタ402Bb、402Bcのそれぞれの櫛状透過スペクトルの透過率の変化の周期は互いに異なっている。リング共振器フィルタ402Bb、402Bcは、半導体増幅素子401Bから出力された自然放出光を、レーザ光の波長におけるそれぞれの透過率で透過させる。
【0087】
マイクロヒータ403Bは、接続導波路402Baの上方に設けられている。マイクロヒータ404B、405Bは、それぞれ、リング共振器フィルタ402Bb、402Bcのリング状導波路のそれぞれの上方に設けられている。マイクロヒータ403B、404B、405Bは、それぞれ、制御器21から電流を供給されることによって発熱し、接続導波路402Ba、リング共振器フィルタ402Bb、402Bcをそれぞれ加熱する。制御器21がマイクロヒータ404B、405Bのそれぞれの通電量を制御することによって、リング共振器フィルタ402Bb、402Bcの温度及び屈折率がそれぞれ変化する。これにより、リング共振器フィルタ402Bb、402Bcの櫛状透過スペクトルを波長軸上で全体的に移動させることができる。また、制御器21がマイクロヒータ403B通電量を制御することによって接続導波路402Baの温度及び屈折率がそれぞれ変化する。これによって接続導波路402Baは光の位相を変化させる位相調整要素として機能する。
【0088】
反射部402Bdは例えば反射率が90%以上であり、半導体増幅素子401Bの低反射膜401Baとともに波長可変レーザ4Bの光共振器C3を構成している。波長可変レーザ4Bは、外部共振器型の構成であるので、共振器長を長くできる。
【0089】
波長可変レーザ4Bでは、リング共振器フィルタ402Bb、402Bcのそれぞれの櫛状透過スペクトルの透過率の変化の周期は互いに異なっており、かつマイクロヒータ404B、405Bによってそれぞれの櫛状透過スペクトルを波長軸上で全体的に移動させることができる(すなわち可変である)ので、波長可変レーザ4Bはバーニア効果を利用した波長可変レーザとして機能する。
【0090】
さらに、波長可変レーザ4Bに対して、重ね合わされた2つの櫛状透過スペクトルのピークの重なり領域に、光共振器C3の共振器モードの一つを一致させるために、制御器21が以下の制御を行うことができる。
【0091】
すなわち、制御器21は、光共振器C3の共振器モードを波長軸上で変調する共振器モード用波長ディザを生成し、光強度変動検出手段であるパワーモニタ用PD14により検出される光の強度変動に基づいて、共振器モード用波長ディザをフィードバック制御する。具体的には、制御器21からマイクロヒータ403Bを発熱させるために供給する電流を強度変調電流とした位相調整信号にすることによって、マイクロヒータ403Bの発熱量を制御し、これによって接続導波路402Baを制御し、その温度及び屈折率を強度変調する。制御器21は、検出された光強度変動の変動量が小さく、かつ光強度が大きくなるように共振器モード用波長ディザの変調の振幅をフィードバック制御する。すなわち、位相調整信号で接続導波路402Baを制御することによって、共振器モード用波長ディザのフィードバック制御を行う。
【0092】
波長可変レーザ装置100において波長可変レーザ4Bを用いた場合も、共振器モード用波長ディザによって所定の帯域内の2つの櫛状透過スペクトルのピークの重なり領域に光共振器C3の共振器モードの1つを移動させて一致させる制御を、より一層正確に行うことができる。その結果、安定した単一モード発振性の実現及びレーザ光の波長の正確な制御が容易になる。
【0093】
なお、波長可変レーザ4Bにおいて、制御器21が、リング共振器フィルタ402Bb、402Bcの少なくとも一つの透過スペクトルを波長軸上で変調する波長選択要素用波長ディザをさらに生成するように制御器21を構成としてもよい。この場合、制御器21は、共振器モード用波長ディザ及び波長選択要素用波長ディザを生成し、光強度変動検出手段であるパワーモニタ用PD14により検出される光の強度変動に基づいて、共振器モード用波長ディザ及び波長選択要素用波長ディザをフィードバック制御する。
【0094】
リング共振器フィルタ402Bbに対する波長選択要素用波長ディザを生成する場合を例にして説明する。制御器21からマイクロヒータ404Bを発熱させるために供給する電流を強度変調電流とした透過スペクトル調整信号にすることによって、マイクロヒータ404Bの発熱量を制御し、これによってリング共振器フィルタ402Bbを制御し、その温度及び屈折率を強度変調する。すると、リング共振器フィルタ402Bbの櫛状透過スペクトルは、波長軸上で所定の波長幅で全体的に変調する。なお、共振器モードも波長軸上で所定の波長幅で全体的に変調する。この2つの変調により、2つの櫛状透過スペクトルのピークの重なり領域と、光共振器C3の共振器モードとの重なりの程度も変動されるため、波長可変レーザ4Bから出力されるレーザ光の強度が変動する。制御器21は、パワーモニタ用PD14によって検出された光強度変動の変動量が小さく、かつ光強度が大きくなるように波長選択要素用波長ディザ及び共振器モード用波長ディザの変調の振幅をフィードバック制御する。すなわち、位相調整信号で接続導波路402Baを制御し、透過スペクトル調整信号でリング共振器フィルタ402Bbを制御することによって、波長選択要素用波長ディザ及び共振器モード用波長ディザのフィードバック制御を行う。このようなフィードバック制御は、例えば、検出される光強度変動の変動量が設定値以下、かつ光強度が設定値以上の状態を維持するように継続して行われる。
【0095】
なお、上記実施形態に係る波長可変レーザでは、波長可変動作を実現するために、マイクロヒータによる熱光学効果を利用しているが、波長可変動作を実現するために電流注入によるキャリアプラズマ効果も利用可能にするようにしてもよい。この場合は電流注入により屈折率が下がるため、反射スペクトルは全体的に短波側にシフトし、それまでスーパーモードが形成されていた波長より短波側に存在する別のピークにおいて重なりが生じ、新たなスーパーモードを形成することが可能である。
【0096】
また、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上のように、本発明に係る波長可変レーザ装置は、主に光通信の用途に利用して好適なものである。
【符号の説明】
【0098】
1 筐体
1b ホルダ部
2、6 温度調節素子
3、7 支持部材
4、4A、4B 波長可変レーザ
5、11 コリメートレンズ
8 光アイソレータ
8A 反射膜付き光アイソレータ
9、19 集光レンズ
10 半導体光増幅器
10a 光増幅部
12、13、17 ビームスプリッタ
14、18 パワーモニタ用PD
15、402A、403A エタロンフィルタ
16 波長モニタ用PD
20 光ファイバ
21 制御器
100 波長可変レーザ装置
401A、401B 半導体増幅素子
401Aa 高反射膜
401Ab 無反射膜
401Ba 低反射膜
401Bb 活性層
402B 波長選択要素部
402Ba 接続導波路
402Bb、402Bc リング共振器フィルタ
402Bd 反射部
403B、404B、405B、415、425、426 マイクロヒータ
404A、405A、基台
408A ヒータ付き基台
406A 反射膜
407A 光学要素
410 第1の導波路部
411 導波路部
411a 利得部
411b 回折格子層
412 半導体積層部
413 p側電極
420 第2の導波路部
420a 光導波層
421a 導波路
422、423 アーム部
424 リング状導波路
427 位相調整部
430 n側電極
B 基部
C1、C2、C3 光共振器
D1、D2、D3 矢印
L1、L2、L3、L4 レーザ光
M1 反射ミラー
MODE1 共振器モード
RF1 リング共振器フィルタ
SC1、SC2 ピーク
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7

【手続補正書】
【提出日】2017年8月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光共振器内に波長応答スペクトルが可変である複数の波長選択要素を有する波長可変レーザ要素と、
前記波長可変レーザ要素から出力されるレーザ光が入力され、該レーザ光を増幅する半導体光増幅器と、
前記波長可変レーザ要素と前記半導体光増幅器との間に配置される光アイソレータと、
前記波長可変レーザ要素から出力され、前記半導体光増幅器に入力される前のレーザ光の強度変動を検出する光強度変動検出手段と、
前記光共振器の共振器モードを波長軸上で変調する共振器モード用波長ディザを生成する波長ディザ生成手段と、
前記光強度変動検出手段により検出される強度変動に基づいて、前記共振器モード用波長ディザをフィードバック制御する波長ディザフィードバック制御手段と、
前記半導体光増幅器から出力されたレーザ光の強度を検出する光強度検出手段と、
前記光強度検出手段により検出される強度に基づいて、前記半導体光増幅器をフィードバック制御する半導体光増幅器フィードバック制御手段と、
を備え、
前記半導体光増幅器フィードバック制御手段は、前記半導体光増幅器を、出力一定の状態に制御し、
前記半導体光増幅器に入力される前の前記レーザ光は、前記光強度変動検出手段により、前記波長ディザ生成手段が生成した前記共振器モード用波長ディザによる強度変動が緩和されること無く検出されることを特徴とする波長可変レーザ装置。
【請求項2】
前記波長ディザ生成手段は、前記複数の波長選択要素の少なくとも一つの波長応答スペクトルを波長軸上で変調する波長選択要素用波長ディザを生成することを特徴とする請求項1に記載の波長可変レーザ装置。
【請求項3】
前記波長応答スペクトルは反射スペクトルであって、前記共振器モード用波長ディザによって前記複数の波長選択要素の反射スペクトルの所定の帯域内に移動した共振器モードを、前記所定の帯域内の反射ピークと一致させることを特徴とする請求項1又は2に記載の波長可変レーザ装置。
【請求項4】
前記波長応答スペクトルは透過スペクトルであって、前記共振器モード用波長ディザによって前記複数の波長選択要素の透過スペクトルの所定の帯域内に移動した共振器モードを、前記所定の帯域内の透過ピークと一致させることを特徴とする請求項1又は2に記載の波長可変レーザ装置。
【請求項5】
前記複数の波長選択要素の応答スペクトルのうち、或るピーク同士が波長軸上で一致した状態で、前記光共振器の共振器モードを波長軸上で変調することを特徴とする請求項1に記載の波長可変レーザ装置。
【請求項6】
前記波長応答スペクトルは反射スペクトルであって、前記複数の波長選択要素のうちの一組の波長選択要素は、前記反射スペクトルのピーク間の間隔が互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の波長可変レーザ装置。
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
前記波長可変レーザ要素は、位相調整信号が与えられて前記光共振器内の光の位相を変化させる位相調整要素を有し、
前記波長ディザ生成手段は、前記位相調整信号によって前記位相調整要素を制御することにより、前記共振器モード用波長ディザを生成し、
前記波長ディザフィードバック制御手段は、前記位相調整要素を制御することにより、前記共振器モード用波長ディザのフィードバック制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の波長可変レーザ装置。
【請求項9】
前記波長ディザ生成手段は、前記位相調整信号によって前記位相調整要素の屈折率を変調することを特徴とする請求項8に記載の波長可変レーザ装置。
【請求項10】
前記波長ディザ生成手段は、前記位相調整信号によって、前記位相調整要素を加熱するヒータの発熱量を制御することによって、前記位相調整要素の屈折率を変調することを特徴とする請求項9に記載の波長可変レーザ装置。
【請求項11】
前記波長ディザ生成手段は、前記波長選択要素の屈折率を変調することによって前記波長選択要素用波長ディザを生成することを特徴とする請求項2に記載の波長可変レーザ装置。
【請求項12】
前記波長ディザ生成手段は、2つの前記波長選択要素の屈折率を変調することによって前記波長選択要素用波長ディザを生成することを特徴とする請求項11に記載の波長可変レーザ装置。
【請求項13】
前記半導体光増幅器フィードバック制御手段は、前記半導体光増幅器を、前記出力一定の状態でかつ利得飽和した状態に制御することを特徴とする請求項1に記載の波長可変レーザ装置。
【請求項14】
前記半導体光増幅器は、前記波長可変レーザ要素とは分離して設けられ、
前記分離して設けられた半導体光増幅器を、出力一定の状態に制御する前記半導体光増幅器フィードバック制御手段と、
緩和していないレーザ光の強度変動に基づいて、前記共振器モード用波長ディザをフィードバック制御する前記波長ディザフィードバック制御手段と、
を備える制御器を有することを特徴とする請求項1に記載の波長可変レーザ装置。
【請求項15】
前記半導体光増幅器は、前記波長可変レーザ要素とは分離して設けられ、
前記分離して設けられた半導体光増幅器を、出力一定の状態に制御する前記半導体光増幅器フィードバック制御手段と、
緩和していないレーザ光の強度変動に基づいて、前記共振器モード用波長ディザをフィードバック制御する前記波長ディザフィードバック制御手段と、
を備える制御器を有することを特徴とする請求項13に記載の波長可変レーザ装置。
【国際調査報告】