特表-18155677IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年8月30日
【発行日】2019年12月19日
(54)【発明の名称】重合体粒子を含有する樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 51/06 20060101AFI20191122BHJP
   C08L 33/10 20060101ALI20191122BHJP
   C08F 265/06 20060101ALI20191122BHJP
   C08J 3/16 20060101ALI20191122BHJP
   C08J 3/20 20060101ALI20191122BHJP
【FI】
   C08L51/06
   C08L33/10
   C08F265/06
   C08J3/16CEY
   C08J3/20 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
【出願番号】特願2019-501858(P2019-501858)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年2月26日
(31)【優先権主張番号】特願2017-35483(P2017-35483)
(32)【優先日】2017年2月27日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000001085
【氏名又は名称】株式会社クラレ
(74)【代理人】
【識別番号】100109508
【弁理士】
【氏名又は名称】菊間 忠之
(72)【発明者】
【氏名】北出 康仁
(72)【発明者】
【氏名】小澤 宙
【テーマコード(参考)】
4F070
4J002
4J026
【Fターム(参考)】
4F070AA32
4F070AB08
4F070AB22
4F070AB23
4F070DA33
4F070DA38
4F070FA01
4F070FA11
4F070FA17
4F070FB07
4F070FC05
4J002BG052
4J002BN211
4J002GF00
4J002GG00
4J002GP01
4J026AA17
4J026AA45
4J026AC15
4J026BA05
4J026BA27
4J026BB02
4J026DA04
4J026DA07
4J026DA16
4J026DB04
4J026DB08
4J026DB16
4J026DB26
4J026FA04
4J026GA01
4J026GA02
(57)【要約】
メタクリル酸エステル単位80〜100質量%を有する硬質重合体cからなる最内層、アクリル酸エステル単位40〜99.9質量%および多官能単量体単位0.1〜5質量%を有し且つガラス転移温度が25℃未満である軟質重合体iからなる中間層、およびメタクリル酸エステル単位80〜100質量%を有する硬質重合体oからなる最外層からなる3層構造を成し、アセトン可溶分の重量平均分子量が70,000〜100,000で、且つ光散乱法による体積平均粒子径が150〜300nmである、重合体粒子Iと、メタクリル酸エステル単位80〜100質量%を有する硬質重合体sからなる層だけからなる単層構造を成し、アセトン可溶分の重量平均分子量が60,000〜90,000で、且つ光散乱法による体積平均粒子径が150nm以下である、重合体粒子IIとを、重合体粒子I/重合体粒子IIの質量比55/45〜75/25で含有する混合粒子と、熱可塑性樹脂とを含んで成る樹脂組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタクリル酸エステル単位80〜100質量%を有する硬質重合体cからなる最内層、アクリル酸エステル単位40〜99.9質量%および多官能単量体単位0.1〜5質量%を有し且つガラス転移温度が25℃未満である軟質重合体iからなる中間層、およびメタクリル酸エステル単位80〜100質量%を有する硬質重合体oからなる最外層からなる3層構造を成し、 アセトン可溶分の重量平均分子量が70,000〜100,000で、且つ 光散乱法による体積平均粒子径が150〜300nmである、重合体粒子Iと、
メタクリル酸エステル単位80〜100質量%を有する硬質重合体sからなる層だけからなる単層構造を成し、 アセトン可溶分の重量平均分子量が60,000〜90,000で、且つ 光散乱法による体積平均粒子径が150nm以下である、重合体粒子IIとを、
重合体粒子I/重合体粒子IIの質量比55/45〜75/25で含んで成る、
樹脂組成物。
【請求項2】
熱可塑性樹脂をさらに含有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
メタクリル酸エステル単位80〜100質量%を有する硬質重合体cからなる最内層、アクリル酸エステル単位40〜99.9質量%および多官能単量体単位0.1〜5質量%を有し且つガラス転移温度が25℃未満である軟質重合体iからなる中間層、およびメタクリル酸エステル単位80〜100質量%を有する硬質重合体oからなる最外層からなる3層構造を成し、アセトン可溶分の重量平均分子量が70,000〜100,000で、且つ光散乱法による体積平均粒子径が150〜300nmである、重合体粒子Iと、
メタクリル酸エステル単位80〜100質量%を有する硬質重合体sからなる層だけからなる単層構造を成し、アセトン可溶分の重量平均分子量が60,000〜90,000で、且つ光散乱法による体積平均粒子径が150nm以下である、重合体粒子IIとを、
重合体粒子I/重合体粒子IIの質量比55/45〜75/25で含有する混合粒子と、
熱可塑性樹脂と
を溶融混練して成る、樹脂組成物。
【請求項4】
熱可塑性樹脂がメタクリル樹脂である、請求項2または3に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
請求項2または3に記載の樹脂組成物からなるフィルム。
【請求項6】
メタクリル酸エステル80〜100質量%およびこれと共重合可能な他の単量体0〜20質量%の乳化重合、 アクリル酸エステル40〜99.9質量%、多官能単量体0.1〜5質量%およびこれらと共重合可能な他の単量体0〜59.9質量%の乳化重合、およびメタクリル酸エステル80〜100質量%およびこれと共重合可能な他の単量体0〜20質量%の乳化重合を、この順で行って、重合体粒子Iを含むラテックスを得ること、
メタクリル酸エステル80〜100質量%およびこれと共重合可能な他の単量体0〜20質量%の乳化重合を行って、重合体粒子IIを含むラテックスを得ること、および
重合体粒子Iを含むラテックスと重合体粒子IIを含むラテックスとを混ぜ合わせて、混合ラテックスを得ること
を有する、請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項7】
混合ラテックスを凝固させ、得られた凝固物を乾燥させて、重合体粒子Iおよび重合体粒子IIとを含有する混合粒子を得ることをさらに有する、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
混合粒子と熱可塑性樹脂とを溶融混練することをさらに有する、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
メタクリル酸エステル単位80〜100質量%を有する硬質重合体cからなる最内層、アクリル酸エステル単位40〜99.9質量%および多官能単量体単位0.1〜5質量%を有し且つガラス転移温度が25℃未満である軟質重合体iからなる中間層、およびメタクリル酸エステル単位80〜100質量%を有する硬質重合体oからなる最外層からなる3層構造を成し、アセトン可溶分の重量平均分子量が70,000〜100,000で、且つ光散乱法による体積平均粒子径が150〜300nmである、重合体粒子Iと、
メタクリル酸エステル単位80〜100質量%を有する硬質重合体sからなる層だけからなる単層構造を成し、アセトン可溶分の重量平均分子量が60,000〜90,000で、且つ光散乱法による体積平均粒子径が150nm以下である、重合体粒子IIとを、
重合体粒子I/重合体粒子IIの質量比55/45〜75/25で混ぜ合わせて、混合粒子を得ることと、
前記混合粒子と熱可塑性樹脂とを溶融混練することと
を含む、樹脂組成物の製造方法。
【請求項10】
熱可塑性樹脂がメタクリル樹脂である、請求項8または9に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物に関する。より詳細には、本発明は、凝集欠点が少なく、耐衝撃性および耐高温白化性に優れる樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
メタクリル樹脂のさまざまな物性を改良することを意図して架橋ゴム粒子をメタクリル樹脂に配合してなる樹脂組成物が種々提案されている。
例えば、特許文献1は、耐温水白化性の改良を狙ったものとして、メタクリル樹脂中にゴム粒子が分散されたアクリル系樹脂を開示している。
特許文献2は、耐衝撃性、滑性および艶消し性の改良を図ったものとして、メタクリル系樹脂60〜98質量%と多層構造重合体粒子40〜2質量%との合計100質量部およびシリコーン微粒子0.1〜5質量部からなるメタクリル系樹脂組成物を開示している。
特許文献3は、金属との密着性を良好にすることを図ったものとして、酸価が0.2mmol/g以上のアクリル系ゴム粒子を含有し、フィルムを構成する樹脂全体の酸価が0.15mmol/g以上1.5mmol/g以下である、(メタ)アクリル系樹脂フィルムを開示している。
特許文献4は、メチルメタクリレートのホモポリマーまたはメチルメタクリレートとアクリル酸エステルとのコポリマーと、アクリル系耐衝撃性改良剤とを含有する被覆用樹脂組成物を開示している。
特許文献5は、硬質の内層、軟質の中間層および硬質の外層を有するグラフト共重合体を含有する光学機能材料を開示している。
【0003】
特許文献6は、(1) アルキル基の炭素数が1〜8である少なくとも1種のアルキルアクリレート50〜99.9重量%、これらと共重合可能な不飽和単量体0〜50重量%、多官能架橋性単量体及び、または多官能グラフト単量体0.1〜5重量%からなる単量体混合物を重合してなる少なくとも1層の軟質重合体層と、アルキル基の炭素数が1〜4である少なくとも1種のアルキルメタクリレート50〜100重量%、これらと共重合可能な不飽和単量体0〜50重量%、多官能架橋性単量体および、または多官能グラフト単量体0〜5重量%からなる単量体混合物を重合してなる少なくとも1層の硬質重合体層との組み合わせからなり、最外層がアルキル基の炭素数が1〜4である少なくとも1種のアルキルメタクリレート50〜100重量%、これらと共重合可能な不飽和単量体0〜50重量%からなり、軟質重合体層と硬質重合体層との総量に対する最外層の割合が10重量%以上である単量体混合物を重合してなる硬質重合体層よりなる多層構造重合体40〜90重量部と、(2) アルキル基の炭素数が1〜4である少なくとも1種のアルキルメタクリレート50〜100重量%、これらと共重合可能な不飽和単量体0〜50重量%からなる単量体混合物を乳化重合してなる硬質熱可塑性重合体10〜60重量部をそれぞれラテックス状態で均一混合した後、凝固させて取り出し耐衝撃性改良剤を得、(3) 次いでアルキル基の炭素数が1〜4である少なくとも1種のアルキルメタクリレート50〜100重量%、これらと共重合可能な不飽和単量体0〜50重量%からなる単量体混合物を重合してなる硬質メタクリル系樹脂20〜90重量部と耐衝撃性改良剤10〜80重量部を溶融混合することを特徴とする多層構造重合体微粒子の分散性に優れたメタクリル系耐衝撃性樹脂組成物の製造方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−277528号公報
【特許文献2】特開2004−263034号公報
【特許文献3】WO2012/053190A1
【特許文献4】EP 0458520 A2
【特許文献5】WO2014/162370A1
【特許文献6】特開平7−300547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、凝集欠点が少なく、耐衝撃性および耐高温白化性に優れる樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成すべく検討を重ねた結果、以下の形態を包含する本発明を完成するに至った。
【0007】
〔1〕 メタクリル酸エステル単位80〜100質量%を有する硬質重合体cからなる最内層、アクリル酸エステル単位40〜99.9質量%および多官能単量体単位0.1〜5質量%を有し且つガラス転移温度が25℃未満である軟質重合体iからなる中間層、およびメタクリル酸エステル単位80〜100質量%を有する硬質重合体oからなる最外層からなる3層構造を成し、 アセトン可溶分の重量平均分子量が70,000〜100,000で、且つ 光散乱法による体積平均粒子径が150〜300nmである、重合体粒子Iと、
メタクリル酸エステル単位80〜100質量%を有する硬質重合体sからなる層だけからなる単層構造を成し、 アセトン可溶分の重量平均分子量が60,000〜90,000で、且つ 光散乱法による体積平均粒子径が150nm以下である、重合体粒子IIとを、
重合体粒子I/重合体粒子IIの質量比55/45〜75/25で含んで成る樹脂組成物。
【0008】
〔2〕 熱可塑性樹脂をさらに含む、〔1〕に記載の樹脂組成物。
〔3〕 メタクリル酸エステル単位80〜100質量%を有する硬質重合体cからなる最内層、アクリル酸エステル単位40〜99.9質量%および多官能単量体単位0.1〜5質量%を有し且つガラス転移温度が25℃未満である軟質重合体iからなる中間層、およびメタクリル酸エステル単位80〜100質量%を有する硬質重合体oからなる最外層からなる3層構造を成し、アセトン可溶分の重量平均分子量が70,000〜100,000で、且つ光散乱法による体積平均粒子径が150〜300nmである、重合体粒子Iと、
メタクリル酸エステル単位80〜100質量%を有する硬質重合体sからなる層だけからなる単層構造を成し、アセトン可溶分の重量平均分子量が60,000〜90,000で、且つ光散乱法による体積平均粒子径が150nm以下である、重合体粒子IIとを、
重合体粒子I/重合体粒子IIの質量比55/45〜75/25で含有する混合粒子と、
熱可塑性樹脂と
を溶融混練して成る、樹脂組成物。
〔4〕 熱可塑性樹脂がメタクリル樹脂である、〔2〕または〔3〕に記載の樹脂組成物。
〔5〕 前記〔2〕または〔3〕に記載の樹脂組成物からなるフィルム。
【0009】
〔6〕 メタクリル酸エステル80〜100質量%およびこれと共重合可能な他の単量体0〜20質量%の乳化重合、 アクリル酸エステル40〜99.9質量%、多官能単量体0.1〜5質量%およびこれらと共重合可能な他の単量体0〜59.9質量%の乳化重合、およびメタクリル酸エステル80〜100質量%およびこれと共重合可能な他の単量体0〜20質量%の乳化重合を、この順で行って、重合体粒子Iを含むラテックスを得ること、
メタクリル酸エステル80〜100質量%およびこれと共重合可能な他の単量体0〜20質量%の乳化重合を行って、重合体粒子IIを含むラテックスを得ること、および
重合体粒子Iを含むラテックスと重合体粒子IIを含むラテックスとを混ぜ合わせること
を有する〔1〕に記載の樹脂組成物の製造方法。
〔7〕 混合ラテックスを凝固させ、得られた凝固物を乾燥させて、重合体粒子Iおよび重合体粒子IIとを含有する混合粒子を得ることをさらに有する、〔6〕に記載の製造方法。
〔8〕 混合粒子と熱可塑性樹脂とを溶融混練することをさらに有する、〔7〕に記載の製造方法。
【0010】
〔9〕 メタクリル酸エステル単位80〜100質量%を有する硬質重合体cからなる最内層、アクリル酸エステル単位40〜99.9質量%および多官能単量体単位0.1〜5質量%を有し且つガラス転移温度が25℃未満である軟質重合体iからなる中間層、およびメタクリル酸エステル単位80〜100質量%を有する硬質重合体oからなる最外層からなる3層構造を成し、アセトン可溶分の重量平均分子量が70,000〜100,000で、且つ光散乱法による体積平均粒子径が150〜300nmである、重合体粒子Iと、
メタクリル酸エステル単位80〜100質量%を有する硬質重合体sからなる層だけからなる単層構造を成し、アセトン可溶分の重量平均分子量が60,000〜90,000で、且つ光散乱法による体積平均粒子径が150nm以下である、重合体粒子IIとを、
重合体粒子I/重合体粒子IIの質量比55/45〜75/25で混ぜ合わせて、混合粒子を得ることと
前記混合粒子と熱可塑性樹脂とを溶融混練することと
を含む、樹脂組成物の製造方法。
〔10〕 熱可塑性樹脂がメタクリル樹脂である、〔8〕または〔9〕に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の樹脂組成物は、凝集欠点が少なく、耐衝撃性および耐高温白化性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の樹脂組成物は、重合体粒子Iと重合体粒子IIとを含有するものである。重合体粒子Iと重合体粒子IIとは、樹脂組成物中にて混合粒子を成していることが好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、一つの重合体粒子Iの最外層が少なくとも一つの重合体粒子IIと融着していてもよいし、少なくとも二つの重合体粒子IIが相互に融着していてもよいし、少なくとも二つの重合体粒子Iが最外層において相互に融着していてもよい。また、本発明の樹脂組成物は、少なくとも二つの重合体粒子IIが一つの重合体粒子Iを取り囲んで相互に融着していてもよい。本発明の樹脂組成物は、重合体粒子Iと重合体粒子IIとが上記のような融着によって当該粒子の間に隙間がない状態になっていることが好ましい。
【0013】
重合体粒子Iは、最内層、中間層および最外層からなる3層構造を成している。
【0014】
重合体粒子Iの最内層は、硬質重合体cからなる。
硬質重合体cはメタクリル酸エステル単位を有する。
メタクリル酸エステル単位は、重合性不飽和炭素-炭素結合を1つだけ有するメタクリル酸エステルを重合したときに形成される高分子鎖中の一単位である。
メタクリル酸エステルとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレートなどのアルキルメタクリレート; フェニルメタクリレート、トリルメタクリレート、キシリルメタクリレート、ナフチルメタクリレートなどのアリールメタクリレート; シクロヘキシルメタクリレート、ノルボルニルメタクリレート、トリメチルノルボルニルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレートなどのシクロアルキルメタクリレート; ベンジルメタクリレート; テトラヒドロフルフリルメタクリレート; ヒドロキシメチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート; ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート グリシジルエーテル; などを挙げることができる。硬質重合体cにおいて用いられるメタクリル酸エステルは、アルキルメタクリレートが好ましく、メチルメタクリレートが最も好ましい。
硬質重合体cにおけるメタクリル酸エステル単位の質量は、硬質重合体cの質量に対して、80〜100質量%、好ましくは85〜99質量%、より好ましくは90〜97質量%である。
【0015】
硬質重合体cは、メタクリル酸エステル単位以外に他の単量体単位を有してもよい。他の単量体としては、アルキルアクリレート; フェニルアクリレート、トリルアクリレート、キシリルアクリレート、ナフチルアクリレートなどのアリールアクリレート; シクロヘキシルアクリレート、ノルボルニルアクリレート、トリメチルノルボルニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレートなどのシクロアルキルアクリレート; ベンジルアクリレート; テトラヒドロフルフリルアクリレート; ヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート; ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート グリシジルエーテル; スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニルモノマー; アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのビニルシアニド; ビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビニリデン; アクリルアミド、メタクリルアミド; アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸; 多官能単量体などを挙げることができる。
【0016】
硬質重合体cは、他の単量体単位として、アルキルアクリレート単位と多官能単量体単位とを有することが好ましい。
アルキルアクリレートとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート、ステアリルアクリレートなどを挙げることができる。これらのうち、メチルアクリレートが好ましい。
硬質重合体cにおけるアルキルアクリレート単位の質量は、硬質重合体cの質量に対して、好ましくは0.05〜20質量%、より好ましくは0.5〜15質量%、さらに好ましくは1〜10質量%である。
多官能単量体としては、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、モノアリルマレエート、ジアリルマレエート、モノアリルフマレート、ジアリルフマレート、クロチルアクリレート、クロチルメタクリレートなどを挙げることができる。これらのうちアリルメタクリレートが好ましい。
硬質重合体cにおける多官能単量体単位の質量は、硬質重合体cの質量に対して、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.03〜2質量%、さらに好ましくは0.06〜1質量%である。
【0017】
硬質重合体cは、ガラス転移温度が、好ましくは95〜125℃、より好ましくは100〜120℃である。なお、硬質重合体cのガラス転移温度(Tg)は、重合体粒子Iの製造工程中の硬質重合体cを形成させる過程における条件と同じ条件で硬質重合体cのみを製造し、それをJIS K 7121(1987)の「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠して測定した中間点ガラス転移温度である。
【0018】
硬質重合体cの質量は、重合体粒子Iの質量に対して、好ましくは22〜44質量%、より好ましくは28〜38質量%である。
【0019】
重合体粒子Iの中間層は、軟質重合体iからなる。
軟質重合体iは、アクリル酸エステル単位を有する。
アクリル酸エステル単位は、重合性不飽和炭素-炭素結合を1つだけ有するアクリル酸エステルを重合したときに形成される高分子鎖中の一単位である。
アクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート、ステアリルアクリレートなどのアルキルアクリレート; フェニルアクリレート、トリルアクリレート、キシリルアクリレート、ナフチルアクリレートなどのアリールアクリレート; シクロヘキシルアクリレート、ノルボルニルアクリレート、トリメチルノルボルニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレートなどのシクロアルキルアクリレート; ベンジルアクリレート; テトラヒドロフルフリルアクリレート; ヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート; ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート グリシジルエーテルなどを挙げることができる。これらのうち、アルキルアクリレートが好ましく、n−ブチルアクリレートがより好ましい。
軟質重合体iにおける、アクリル酸エステル単位の質量は、軟質重合体iの質量に対して、40〜99.9質量%、好ましくは55〜95質量%、より好ましくは60〜90質量%である。
【0020】
軟質重合体iは、多官能単量体単位を有する。
多官能単量体単位は、重合性不飽和炭素-炭素結合を2つ以上有する単量体を重合したときに形成される高分子鎖中の一単位である。多官能単量体単位は2以上の分子鎖の間を橋かけ結合させることができる。
多官能単量体としては、ビニルアクリレート、アリルアクリレート、メタリルアクリレート;モノアリルマレエート、ジアリルマレエート、モノアリルフマレート、ジアリルフマレート、クロチルアクリレート、クロチルメタクリレート;1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート;ビニルメタクリレート、アリルメタクリレート、メタリルメタクリレート;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート;ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン;エチレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル;ブタジエン;エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールポリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどを挙げることができる。これらのうち、アリルメタクリレートが好ましい。
軟質重合体iにおける、多官能単量体単位の質量は、軟質重合体iの質量に対して、0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜4.5質量%、より好ましくは1〜4質量%である。
【0021】
軟質重合体iは、アクリル酸エステル単位および多官能単量体単位以外に他の単量体単位を有してもよい。他の単量体としては、アルキルメタクリレート、アリールメタクリレート、シクロアルキルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート; ヒドロキシメチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート; ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート グリシジルエーテル; 芳香族ビニルモノマー、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのビニルシアニド; ビニルケトン; 塩化ビニル、塩化ビニリデン; アクリルアミド、メタクリルアミド; アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸などを挙げることができる。
【0022】
軟質重合体iは、他の単量体単位として、芳香族ビニルモノマー単位を有することが好ましい。芳香族ビニルモノマー単位は、重合性不飽和炭素-炭素結合を1つだけ有する芳香族化合物を重合したときに形成される高分子鎖中の一単位である。
芳香族ビニルモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−n−プロピルスチレン、m−n−プロピルスチレン、p−n−プロピルスチレン、o−イソプロピルスチレン、m−イソプロピルスチレン、p−イソプロピルスチレン、m−n−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、4−ブテニルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、メシチルスチレン;p−フェニルスチレン;o−フルオロスチレン、m−フルオロスチレン、p−フルオロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、o−ブロモスチレン、m−ブロモスチレン、p−ブロモスチレン、o−メチル−p−フルオロスチレン;o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレンなどを挙げることができる。
軟質重合体iにおける、芳香族ビニルモノマー単位の質量は、軟質重合体iの質量に対して、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは4〜35質量%、さらに好ましくは9〜30質量%である。
【0023】
軟質重合体iは、ガラス転移温度が、25℃未満、好ましくは−30〜20℃である。なお、軟質重合体iのガラス転移温度(Tg)は、重合体粒子Iの製造工程中の軟質重合体iを形成させる過程における条件と同じ条件で軟質重合体iのみを製造し、それをJIS K 7121(1987)の「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠して測定した中間点ガラス転移温度である。
【0024】
軟質重合体iの質量は、重合体粒子Iの質量に対して、好ましくは35〜57質量%、より好ましくは41〜51質量%である。
【0025】
最外層は、硬質重合体oからなる。
硬質重合体oは、メタクリル酸エステル単位を有する。
メタクリル酸エステル単位は、重合性不飽和炭素-炭素結合を1つだけ有するメタクリル酸エステルを重合したときに形成される高分子鎖中の一単位である。
メタクリル酸エステルとしては、硬質重合体cの説明において述べたものと同じものを挙げることができる。メタクリル酸エステルは、アルキルメタクリレートが好ましく、メチルメタクリレートが最も好ましい。
硬質重合体oにおける、メタクリル酸エステル単位の質量は、硬質重合体oの質量に対して、80〜100質量%、好ましくは85〜99質量%、より好ましくは90〜97質量%である。
【0026】
硬質重合体oは、メタクリル酸エステル単位以外に他の単量体単位を有してもよい。他の単量体としては、硬質重合体cの説明において述べたものと同じものを挙げることができる。他の単量体として、アルキルアクリレートが好ましく、アルキル基の炭素原子数1〜8のアルキルアクリレートがより好ましく、メチルアクリレートが最も好ましい。
硬質重合体oにおけるアルキルアクリレート単位の質量は、硬質重合体oの質量に対して、好ましくは0.05〜20質量%、より好ましくは0.5〜15質量%、さらに好ましくは1〜10質量%である。
【0027】
硬質重合体oは、ガラス転移温度が、好ましくは95〜125℃、より好ましくは100〜120℃、さらに好ましくは105〜120℃である。なお、硬質重合体oのガラス転移温度(Tg)は、重合体粒子Iの製造工程中の硬質重合体oを形成させる過程における条件と同じ条件で硬質重合体oのみを製造し、それをJIS K 7121(1987)の「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠して測定した中間点ガラス転移温度である。
【0028】
硬質重合体oの質量は、重合体粒子Iの質量に対して、好ましくは11〜31質量%、より好ましくは15〜25質量%である。
【0029】
重合体粒子Iは、アセトン可溶分の重量平均分子量が70,000〜100,000、好ましくは75,000〜95,000である。重合体粒子Iはアセトン不溶分の質量が重合体粒子Iの質量に対して好ましくは50質量%以上、より好ましくは60〜98質量%である。
【0030】
重合体粒子Iは、光散乱法による体積平均粒子径が、150〜300nm、好ましくは180〜250nmである。本発明の樹脂組成物は、当該値が150nm以上であることで耐衝撃性に優れ、当該値が300nm以下であることで、凝集欠点が少なく、かつ、耐高温白化性に優れる傾向にある。
【0031】
重合体粒子IIは、硬質重合体sからなる層だけからなる単層構造を成している。
【0032】
硬質重合体sは、メタクリル酸エステル単位を有する。
メタクリル酸エステル単位は、重合性不飽和炭素-炭素結合を1つだけ有するメタクリル酸エステルを重合したときに形成される高分子鎖中の一単位である。
メタクリル酸エステルとしては、硬質重合体cの説明において述べたものと同じものを挙げることができる。メタクリル酸エステルは、アルキルメタクリレートが好ましく、メチルメタクリレートが最も好ましい。
硬質重合体sにおける、メタクリル酸エステル単位の質量は、硬質重合体sの質量に対して、80〜100質量%、好ましくは82〜97質量%、より好ましくは83〜94質量%である。
【0033】
硬質重合体sは、メタクリル酸エステル単位以外に他の単量体単位を有してもよい。他の単量体としては、硬質重合体cの説明において述べたものと同じものを挙げることができる。他の単量体として、アルキルアクリレートが好ましく、アルキル基の炭素原子数1〜8のアルキルアクリレートがより好ましく、メチルアクリレートが最も好ましい。
硬質重合体sにおけるアルキルアクリレート単位の質量は、硬質重合体sの質量に対して、好ましくは0.05〜20質量%、より好ましくは0.5〜18質量%、さらに好ましくは1〜17質量%である。
【0034】
硬質重合体sは、ガラス転移温度が、好ましくは95℃以上、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは105℃以上である。なお、硬質重合体sのガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121(1987)の「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠して測定した中間点ガラス転移温度である。
【0035】
重合体粒子IIは、アセトン可溶分の重量平均分子量が60,000〜90,000、好ましくは65,000〜85,000、より好ましくは、65,000〜75,000である。重合体粒子IIのアセトン可溶分の重量平均分子量は、重合体粒子Iのアセトン可溶分の重量平均分子量に比べて、5000以上小さいことが好ましい。重合体粒子IIはアセトン不溶分の質量が重合体粒子IIの質量に対して好ましく5質量%以下、より好ましくは2質量%以下、最も好ましくは0質量%である。本発明の樹脂組成物は、当該値が上記範囲内にあることで、凝集欠点が少なくなる傾向にある。
【0036】
重合体粒子IIは、光散乱法による体積平均粒子径が、150nm以下、好ましくは85〜135nmである。本発明の樹脂組成物は、当該値が上記範囲内にあることで、凝集欠点が少なくなる傾向にある。重合体粒子IIの体積平均粒子径は重合体粒子Iの体積平均粒子径よりも小さいことが好ましく、重合体粒子IIの体積平均粒子径と重合体粒子Iの体積平均粒子径との差が、好ましくは50nm以上、より好ましくは90nm以上である。
【0037】
本発明に用いられる混合粒子における、重合体粒子I/重合体粒子IIの質量比は、55/45〜75/25、好ましくは57/43〜72/28、より好ましくは60/40〜70/30である。本発明の樹脂組成物は、当該値が55/45以上であることで耐衝撃性に優れ、当該値が75/25以下であることで、凝集欠点が少なく、かつ、耐高温白化性に優れる傾向にある。
【0038】
本発明の樹脂組成物は、混合粒子以外に、熱可塑性樹脂をさらに含有してもよい。本発明に用い得る熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、マレイン酸系共重合体、メタクリル樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂、ポリシクロオレフィン、ポリオレフィンなどを挙げることができる。これらのうち、メタクリル樹脂が好ましい。本発明の樹脂組成物における、熱可塑性樹脂/混合粒子の質量比は、好ましくは10/90〜90/10、より好ましくは20/80〜80/20である。本発明の熱可塑性樹脂は、重合体粒子Iと重合体粒子IIと熱可塑性樹脂が相互に融着して重合体粒子I、重合体粒子IIおよび熱可塑性樹脂の間に隙間がない状態になっていることが好ましい。また、重合体粒子IIの少なくとも一部が熱可塑性樹脂と融合していてもよい。
【0039】
本発明の樹脂組成物において用い得るメタクリル樹脂は、メチルメタクリレート単位と必要に応じてアクリル酸エステル単位とを有する樹脂である。メタクリル樹脂は、メチルメタクリレート以外の他のメタクリル酸エステル単位やその他の単量体単位を有しても良い。メタクリル樹脂におけるメチルメタクリレート単位の質量は、メタクリル樹脂の質量に対して、好ましくは85〜100質量%、より好ましくは92〜100質量%である。メタクリル系樹脂におけるアクリル酸エステル単位の質量は、メタクリル樹脂の質量に対して、好ましくは0〜15質量%、より好ましくは0〜8質量%である。アクリル酸エステルは、アルキル基の炭素数が1〜6であるアルキルアクリレートが好ましい。本発明の樹脂組成物におけるメタクリル樹脂/混合粒子の質量比は、好ましくは20/80〜80/20、より好ましくは30/70〜50/50である。
【0040】
本発明の樹脂組成物に用いられるメタクリル樹脂は、ガラス転移温度が、好ましくは95℃以上、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは105℃以上である。メタクリル樹脂のガラス転移温度は、JIS K 7121(1987)の「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠して測定した中間点ガラス転移温度である。
該メタクリル樹脂は、230℃ 、3.8kg荷重下でのメルトフローレート(ASTM−D1238準拠)が、好ましくは0.5〜20g/10分、より好ましくは0.8〜10g/10分である。前記メタクリル樹脂は、その製造方法によって特に制限されない。例えば、ラジカル重合反応、アニオン重合反応などの公知の重合反応によって製造することができる。メタクリル樹脂の製造における重合反応は、塊状重合法、溶液重合法などで行うことができる。
【0041】
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、老化防止剤、可塑剤、高分子加工助剤、滑剤、染料、顔料などの公知の樹脂用添加剤が含まれていてもよい。樹脂用添加剤の総含有量は樹脂組成物100質量%に対して20質量%以下であることが好ましい。
【0042】
本発明の樹脂組成物は、その製造方法によって、特に限定されない。
本発明の樹脂組成物の製造に好適な一つの方法は、メタクリル酸エステルおよびこれと共重合可能な他の単量体の乳化重合c、 アクリル酸エステル、多官能単量体およびこれらと共重合可能な他の単量体の乳化重合i、およびメタクリル酸エステルおよびこれと共重合可能な他の単量体の乳化重合oを、この順で行って、重合体粒子Iを含むラテックスを得ること、
メタクリル酸エステルおよびこれと共重合可能な他の単量体の乳化重合sを行って、重合体粒子IIを含むラテックスを得ること、および
重合体粒子Iを含むラテックスと重合体粒子IIを含むラテックスとを混ぜ合わせることを有する。
【0043】
メタクリル酸エステルおよびこれと共重合可能な他の単量体の乳化重合cは、硬質重合体cを構成するのに必要な所定量のメタクリル酸エステルおよびこれと共重合可能な他の単量体、具体的に、メタクリル酸エステル80〜100質量%、好ましくは85〜99質量%、より好ましくは90〜97質量%、およびこれと共重合可能な他の単量体0〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは3〜10質量%を用意し、それらを乳化させて、行う。これによって、硬質重合体cからなる層だけからなる単層構造を成した重合体粒子cを含むラテックスを得ることができる。
【0044】
アクリル酸エステル、多官能単量体およびこれらと共重合可能な他の単量体の乳化重合iは、軟質重合体iを構成するのに必要な所定量のアクリル酸エステル、多官能単量体およびこれらと共重合可能な他の単量体、具体的に、アクリル酸エステル40〜99.9質量%、好ましくは55〜95質量%、より好ましくは60〜90質量%、多官能単量体0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜4.5質量%、より好ましくは1〜4質量%、およびこれらと共重合可能な他の単量体0〜59.9質量%、好ましくは0〜44.5質量%、より好ましくは0〜39質量%を用意し、それらを重合体粒子cを含むラテックスに添加し、乳化させて、行う。これによって、硬質重合体cからなる層および軟質重合体iからなる層からなる2層構造を成した重合体粒子iを含むラテックスを得ることができる。
【0045】
メタクリル酸エステルおよびこれと共重合可能な他の単量体の乳化重合oは、硬質重合体oを構成するのに必要な所定量のメタクリル酸エステルおよびこれと共重合可能な他の単量体、具体的に、メタクリル酸エステル80〜100質量%、好ましくは85〜99質量%、より好ましくは90〜97質量%、およびこれと共重合可能な他の単量体0〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは3〜10質量%を用意し、それらを重合体粒子iを含むラテックスに添加し、乳化させて、行う。これによって、硬質重合体cからなる最内層、軟質重合体iからなる中間層および硬質重合体oからなる最外層からなる3層構造を成した重合体粒子Iを含むラテックスを得ることができる。
【0046】
メタクリル酸エステルおよびこれと共重合可能な他の単量体の乳化重合sは、硬質重合体sを構成するのに必要な所定量のメタクリル酸エステルおよびこれと共重合可能な他の単量体、具体的に、メタクリル酸エステル80〜100質量%、好ましくは82〜97質量%、より好ましくは83〜94質量%、およびこれと共重合可能な他の単量体0〜20質量%、好ましくは3〜18質量%、より好ましくは6〜17質量%を用意し、それらを乳化させて、行う。これによって、硬質重合体sからなる層だけからなる単層構造を成した重合体粒子IIを含むラテックスを得ることができる。
【0047】
上記の各重合において、連鎖移動剤を、分子量の調節のために、使用することができる。各重合に使用される連鎖移動剤は、特に限定されない。連鎖移動剤としては、例えば、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン類; ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィドなどのキサントゲンジスルフィド類; テトラチウラムジスルフィドなどのチウラムジスルフィド類; 四塩化炭素、臭化エチレンなどのハロゲン化炭化水素などを挙げることができる。連鎖移動剤の使用量は、各重合において重合体を所定の分子量に調節できる範囲で適宜設定できる。特に、重合体粒子Iのアセトン可溶分の重量平均分子量を調整するために、乳化重合oにおいて使用される連鎖移動剤の量は、乳化重合oにおいて使用される単量体100質量部に対して、好ましくは0.05〜0.5質量部、より好ましくは0.1〜0.4質量部である。
【0048】
上記の各重合において、単量体を乳化させるために、乳化剤を使用することができる。乳化剤の使用量を変更することによって重合体粒子の体積平均粒子径を変更することができる。各重合に使用される乳化剤は、特に限定されない。乳化剤としては、例えば、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤などを挙げることができる。各重合に使用される乳化剤の量は、乳化剤の種類によって、多少異なる。各重合に使用される乳化剤の使用量は、所定の重合体粒子の大きさになるようなミセルを形成できる限り特に制限されない。なお、乳化重合c、乳化重合iおよび乳化重合oにおいて使用される単量体の質量比から各重合体の体積比を推算する。体積比の立方根から各乳化重合終了後に得られる重合体粒子c、iおよびoの粒子径の比率を推算できる。これに基づいてミセルの大きさを設定できる。
【0049】
重合体粒子Iを含むラテックスと重合体粒子IIを含むラテックスとの混合は、混合粒子を構成するのに必要な所定量の重合体粒子Iを含むラテックスと重合体粒子IIを含むラテックスにて行う。そして、必要に応じて、得られた混合ラテックスを凝固させてスラリーを得、該スラリーを洗浄および脱水し、次いで脱水されたスラリーを乾燥させることによって、重合体粒子Iおよび重合体粒子IIが凝固した粉末の混合粒子乾燥品からなる本発明の樹脂組成物を得ることができる。
【0050】
ラテックスの凝固は、公知の方法で行うことができる。凝固法としては、凍結凝固法、塩析凝固法、酸析凝固法などを挙げることができる。これらのうち、凍結凝固法または塩析凝固法が好ましい。
【0051】
スラリーの洗浄および脱水によって、乳化剤や触媒などの水溶性成分をスラリーから除去できる。スラリーの洗浄および脱水は、例えば、フィルタープレス、ベルトプレス、ギナ型遠心分離機、スクリューデカンタ型遠心分離機などで行うことができる。生産性、洗浄効率の観点からスクリューデカンタ式遠心分離機を用いることが好ましい。スラリーの洗浄および脱水は、少なくとも2回行うことが好ましい。洗浄および脱水の回数が多いほど水溶性成分の残存量が下がる。しかし、生産性の観点から、洗浄および脱水の回数は、3回以下が好ましい。
【0052】
スラリーの乾燥は、水分率が、好ましくは1.0質量%未満、より好ましくは0.5質量%未満、さらに0.3質量%未満になるように行う。
【0053】
本発明の樹脂組成物の製造に好適な別の一つの方法は、 メタクリル酸エステル単位80〜100質量%を有する硬質重合体cからなる最内層、アクリル酸エステル単位40〜99.9質量%および多官能単量体単位0.1〜5質量%を有し且つガラス転移温度が25℃未満である軟質重合体iからなる中間層、およびメタクリル酸エステル単位80〜100質量%を有する硬質重合体oからなる最外層からなる3層構造を成し、アセトン可溶分の重量平均分子量が70,000〜100,000で、且つ光散乱法による体積平均粒子径が150〜300nmである、重合体粒子Iと、メタクリル酸エステル単位80〜100質量%を有する硬質重合体sからなる層だけからなる単層構造を成し、アセトン可溶分の重量平均分子量が60,000〜90,000で、且つ光散乱法による体積平均粒子径が150nm以下である、重合体粒子IIとを、重合体粒子I/重合体粒子IIの質量比55/45〜75/25で混ぜ合わせて、混合粒子を得ることと、前記混合粒子と熱可塑性樹脂とを溶融混練することとを含む。
【0054】
混合粒子は、重合体粒子Iを含むラテックスと重合体粒子IIを含むラテックスとを混ぜ合わせて、混合ラテックスを得、次いで混合ラテックスを凝固させ、得られた凝固物を乾燥させることによって、得てもよい。
熱可塑性樹脂と混合粒子との溶融混練は、従来から知られる方法によって行うことができる。溶融混練においては、例えば、単軸混練押出機、二軸混練押出機、多軸混練機などの連続式混練機、インターナルミキサー、加圧ニーダーなどのバッチ式混練機などを用いることができる。
【0055】
本発明の樹脂組成物は、運搬、保管、成形などを容易にするために、ペレット化することが好ましい。このペレット化の際に、熱可塑性樹脂、樹脂用添加剤などを混合粒子と溶融混練してもよい。ペレット化する際に用いる押出機はベントを備えることが好ましい。ベントは真空ベントまたはオープンベントであることが好ましい。ベントは樹脂溶融開始部より下流側に少なくとも1個設けることが好ましい。なお、真空ベントにおける圧力は、50Torr以下が好ましく、30Torr以下がより好ましく、10Torr以下がさらに好ましい。該真空ベントにおける圧力が上記範囲内にあれば、脱揮効率がよく、残存水分および単量体を少なくすることができる。
ペレット化のために使用する押出機は単軸スクリュー方式または二軸スクリュー方式であることが好ましい。特に、単軸スクリュー式押出機は、樹脂組成物に与えるせん断エネルギーが小さく、重合体の熱分解を抑えることができる。
【0056】
ペレット化のために使用する押出機のシリンダ加熱温度は、好ましくは210〜270℃、より好ましくは220〜260℃、さらに好ましくは230〜250℃である。押出機での滞留時間は、好ましくは7分間以下、より好ましくは5分間以下、さらに好ましくは3分間以下である。シリンダ加熱温度が高いほどまたは滞留時間が長いほど、樹脂組成物に与えるせん断エネルギーが大きく、重合体の熱分解が進行しやすく、耐高温白化性が低下する傾向がある。
【0057】
本発明の樹脂フィルムは、混合粒子と熱可塑性樹脂とを含有する樹脂組成物からなる。本発明の好ましい態様の樹脂フィルムは、混合粒子とメタクリル樹脂とを含有する樹脂組成物からなる。本発明の樹脂フィルムは、例えば、前記樹脂組成物を押出成形することによって得ることができる。前記樹脂組成物における、熱可塑性樹脂/混合粒子の質量比は、好ましくは20/80〜80/20、より好ましくは30/70〜50/50である。
【0058】
フィルム成形に供する前に樹脂組成物を乾燥させて水分率を減らすことが好ましい。押出成形に供する前における樹脂組成物の水分率は、好ましくは0.2質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満である。水分率が高いほど、シルバーストリークの発生、耐高温白化性の低下を招きやすい。
樹脂組成物には、紫外線吸収剤を含有させることが好ましい。紫外線吸収剤としては、例えば2−[2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾールなどの反応性紫外線吸収剤を挙げることができる。紫外線吸収剤の含有量は、混合粒子および熱可塑性樹脂の合計量100質量部に対して、好ましくは0.05〜5質量部である。
【0059】
フィルム成形のために使用する押出機はベントを備えることが好ましい。ベントは真空ベントまたはオープンベントであることが好ましい。ベントは樹脂溶融開始部より下流側に少なくとも1個設けることが好ましい。真空ベントにおける圧力は、50Torr以下が好ましく、30Torr以下がより好ましく、10Torr以下がさらに好ましい。フィルム成形のために使用する押出機は、単軸スクリュー方式または同方向回転二軸スクリュー方式であることが好ましい。
【0060】
フィルム成形のために使用する押出機のシリンダ加熱温度は、好ましくは220〜300℃、より好ましくは230〜290℃、さらに好ましくは240〜280℃である。フィルム成形のために使用する押出機での滞留時間は、好ましくは7分間以下、より好ましくは5分間以下、さらに好ましくは3分間以下である。シリンダ加熱温度が高いほどまたは滞留時間が長いほど、樹脂組成物に与えるせん断エネルギーが大きく、重合体の熱分解が進行しやすく、耐高温白化性が低下する傾向がある。よって、フィルム形成のための押出成形は、押出機での滞留時間を5分間以下および樹脂温度を280℃以下にして行うことが好ましい。
【0061】
本発明の樹脂フィルムは、耐衝撃性に優れ、しかも耐高温白化性に優れており温水および沸水に曝されても白化が生じにくい。本発明の樹脂フィルムは、他の重合体、特に熱可塑性重合体との接着性にも優れているので、本発明の樹脂フィルムと熱可塑性重合体成形品とを有する積層体に使用することができる。
積層体に使用される他の熱可塑性重合体は、特に制限されない。他の熱可塑性重合体として、ポリカーボネート系重合体、塩化ビニル系重合体、フッ化ビニリデン系重合体、酢酸ビニル系重合体、マレイン酸系共重合体、メタクリル系重合体、ABS樹脂、AES樹脂、またはAS樹脂は、本発明の樹脂フィルムとの接着性が良好なので好ましい。熱可塑性重合体成形品は、フィルム、シート、および板などのような面状成形品であってもよいし、管、棒などの線状成形品であってもよいし、レンズ、プリズム、容器などのような各種形状の成形品であってもよい。積層体は、その製造法によって特に制限されない。積層体は、例えば、共押出成形、被覆押出成形、インサート成形、プレス成形、熱融着、接着などによって得ることができる。
【0062】
以下に製造例、実施例、および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらにより何ら制限されるものではない。なお、「部」は質量部を表し、「%」は質量%を表す。
【0063】
(体積平均粒子径)
重合体粒子を含有するラテックスについて、堀場製作所社製レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−950V2を用いて光散乱法によって体積平均粒子径Dvを決定した。
【0064】
(重量平均分子量)
重合体粒子乾燥品をアセトンに一晩漬けて溶液を得た。溶液を遠心分離してアセトン不溶分とアセトン可溶分とに分けた。不溶分の乾燥質量を測定した。
アセトン可溶分を乾燥固化させた。
固化させたアセトン可溶分の重量平均分子量Mwを、次の条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフ法によって、決定した。
装置:東ソー社製GPC装置HLC−8320
分離カラム:東ソー社製のTSKguardcolumSuperHZ−HとTSKgelHZM−MとTSKgelSuperHZ4000とを直列に連結
溶離剤:テトラヒドロフラン
溶離剤流量:0.35mL/分
カラム温度:40℃
検出方法:示差屈折率(RI)
検量線:標準ポリメチルメタクリレート
【0065】
(ガラス転移温度)
硬質重合体c、軟質重合体i、硬質重合体oのガラス転移温度(Tg)は、重合体粒子Iの製造工程中の各重合体を形成させる過程における条件と同じ条件で各重合体のみを各々製造し、それをJIS K 7121(1987)の「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠して測定した中間点ガラス転移温度である。
硬質重合体sのガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121(1987)の「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠して測定した中間点ガラス転移温度である。
【0066】
(凝集欠点)
樹脂組成物ペレットをFSAフィルム検査ラインに投入し、1cm2当たりのサイズ30μm以上のフィッシュアイの数を計測し、凝集欠点を以下の基準で評価した。
〇 : 7個/cm2未満:
△ : 7個/cm2以上10個/cm2未満
× : 10個/cm2以上
なお、FSAフィルム検査ラインは、押出機、巻取機およびカメラユニットからなる検査装置であり、ペレットの投入により自動的に所定サイズのフィルムを製造し、そのフィルムを自動観察してフィッシュアイの数を計測できる。
【0067】
(耐高温白化性)
樹脂組成物を熱プレスして厚さ3mmの平板を作製し、該平板を50℃の乾燥機内に4時間放置し、その後、平板のヘイズを測定した。耐高温白化性を以下の基準で評価した。
2.5%未満:○
2.5%以上:×
【0068】
(耐衝撃性)
樹脂組成物を熱プレスして厚さ3mmの平板を作製した。平板からJIS−K7111に規定する厚さ3mmのシャルピー衝撃試験片を作製した。この試験片について、温度23℃、湿度47%の条件において、衝撃値をJIS−K7111に準拠した方法で測定した。10回の測定を行ない、その平均値を採用した。
【0069】
<製造例1>
コンデンサ、温度計および撹拌機を有し且つグラスライニングが施された反応容器にイオン交換水100部を入れ、次いでポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム(NIKKOL−ECT−3NEX)0.017部および炭酸ナトリウム0.10部を添加して溶解させた。反応容器内を窒素ガスで置換して実質的に酸素がない状態にした。その後、反応容器内を加熱して水溶液を80℃にした。
前記水溶液に、過硫酸カリウム0.035部を加え、さらにメタクリル酸メチル32.6部、アクリル酸メチル2.1部およびメタクリル酸アリル0.07部からなる混合物cを50分間かけて間断なく添加した。混合物cの添加終了後40分間保持し、乳化重合を行ってラテックスcを得た。
次いで、ラテックスcに、過硫酸カリウム0.045部を添加し、さらにアクリル酸ブチル36.6部、スチレン7.9部およびメタクリル酸アリル0.89部からなる混合物iを60分間かけて間断なく添加した。混合物iの添加終了後90分間保持し、シード乳化重合を行ってラテックスiを得た。
次いで、このラテックスiに、過硫酸カリウム0.02部を添加し、さらにメタクリル酸メチル18.6部、アクリル酸メチル1.2部およびn−オクチルメルカプタン0.04部からなる混合物oを30分間かけて間断なく添加した。混合物oの添加終了後60分間保持し、シード乳化重合を行ってラテックスI-1を得た。ラテックスI-1に含まれる重合体粒子I-1の物性を表1に示す。
【0070】
<製造例2>
コンデンサ、温度計および撹拌機を有し且つグラスライニングが施された反応容器にイオン交換数150部を入れ、次いでポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム(NIKKOL−ECT−3NEX)0.120部および炭酸ナトリウム0.10部を添加して溶解させた。反応容器内を窒素ガスで置換して実質的に酸素がない状態にした。その後、反応容器内を加熱して水溶液を80℃にした。
前記水溶液に、過硫酸カリウム0.10部を加え、さらにメタクリル酸メチル90.0部、アクリル酸メチル6.0部およびn−オクチルメルカプタン0.44部からなる混合物sを120分間かけて間断なく添加した。混合物sの添加終了後60分間保持し、乳化重合を行ってラテックスII-1を得た。ラテックスII-1に含まれる重合体粒子II-1の物性を表2に示す。
【0071】
実施例1
撹拌機を備えた容器に、ラテックスI-1 65部(固形分)とラテックスII-1 35部(固形分)とを入れて、均一混合した。その後、硫酸マグネシウム水溶液を添加して、塩析凝固させた。凝固物を水洗し、脱水し、乾燥させて、混合粒子を得た。
混合粒子60部とメタクリル樹脂(パラペット「G−1000」、クラレ社製)40部をペレット製造用押出機に投入して樹脂組成物ペレットを得た。樹脂組成物の評価結果を表3に示す。
【0072】
実施例2
ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウムの量を0.014部に変更した以外は製造例1と同じ方法でラテックスI-2を得た。ラテックスI-2に含まれる重合体粒子I-2の物性を表1に示す。
撹拌機を備えた容器に、ラテックスI-2 60部(固形分)とラテックスII-1 40部(固形分)とを入れて、均一混合した。その後、硫酸マグネシウム水溶液を添加して、塩析凝固させた。凝固物を水洗し、脱水し、乾燥させて、混合粒子を得た。
混合粒子60部とメタクリル樹脂(パラペット「G−1000」、クラレ社製)40部をペレット製造用押出機に投入して樹脂組成物ペレットを得た。樹脂組成物の評価結果を表3に示す。
【0073】
実施例3
ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウムの量を0.035部に変更し、且つn−オクチルメルカプタンの量を0.05部に変更した以外は製造例1と同じ方法でラテックスI-3を得た。ラテックスI-3に含まれる重合体粒子I-3の物性を表1に示す。
単量体組成を表2の如く変更し、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウムの量を0.175部に変更し、且つn−オクチルメルカプタンの量を0.50部に変更した以外は製造例2と同じ方法でラテックスII-2を得た。ラテックスII-2に含まれる重合体粒子II-2の物性を表2に示す。
撹拌機を備えた容器に、ラテックスI-3 70部(固形分)とラテックスII-2 30部(固形分)とを入れて、均一混合した。その後、硫酸マグネシウム水溶液を添加して、塩析凝固させた。凝固物を水洗し、脱水し、乾燥させて、混合粒子を得た。
混合粒子60部とメタクリル樹脂(パラペット「G−1000」、クラレ社製)40部をペレット製造用押出機に投入して樹脂組成物ペレットを得た。樹脂組成物の評価結果を表3に示す。
【0074】
比較例1
撹拌機を備えた容器に、ラテックスI-1 85部(固形分)とラテックスII-1 15部(固形分)とを入れて、均一混合した。その後、硫酸マグネシウム水溶液を添加して、塩析凝固させた。凝固物を水洗し、脱水し、乾燥させて、混合粒子を得た。
混合粒子60部とメタクリル樹脂(パラペット「G−1000」、クラレ社製)40部をペレット製造用押出機に投入して樹脂組成物ペレットを得た。樹脂組成物の評価結果を表3に示す。
【0075】
比較例2
ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウムの量を0.004部に変更した以外は製造例1と同じ方法でラテックスI-4を得た。ラテックスI-4に含まれる重合体粒子I-4の物性を表1に示す。
撹拌機を備えた容器に、ラテックスI-4 65部(固形分)とラテックスII-1 35部(固形分)とを入れて、均一混合した。その後、硫酸マグネシウム水溶液を添加して、塩析凝固させた。凝固物を水洗し、脱水し、乾燥させて、混合粒子を得た。
混合粒子60部とメタクリル樹脂(パラペット「G−1000」、クラレ社製)40部をペレット製造用押出機に投入して樹脂組成物ペレットを得た。樹脂組成物の評価結果を表3に示す。
【0076】
比較例3
n−オクチルメルカプタンの量を0.08部に変更した以外は製造例1と同じ方法でラテックスI-5を得た。ラテックスI-5に含まれる重合体粒子I-5の物性を表1に示す。
撹拌機を備えた容器に、ラテックスI-5 65部(固形分)とラテックスII-1 35部(固形分)とを入れて、均一混合した。その後、硫酸マグネシウム水溶液を添加して、塩析凝固させた。凝固物を水洗し、脱水し、乾燥させて、混合粒子を得た。
混合粒子60部とメタクリル樹脂(パラペット「G−1000」、クラレ社製)40部をペレット製造用押出機に投入して樹脂組成物ペレットを得た。樹脂組成物の評価結果を表3に示す。
【0077】
比較例4
n−オクチルメルカプタンの量を0.20部に変更した以外は製造例2と同じ方法でラテックスII-3を得た。ラテックスII-3に含まれる重合体粒子II-3の物性を表2に示す。
撹拌機を備えた容器に、ラテックスI-1 65部(固形分)とラテックスII-3 35部(固形分)とを入れて、均一混合した。その後、硫酸マグネシウム水溶液を添加して、塩析凝固させた。凝固物を水洗し、脱水し、乾燥させて、混合粒子を得た。
混合粒子60部とメタクリル樹脂(パラペット「G−1000」、クラレ社製)40部をペレット製造用押出機に投入して樹脂組成物ペレットを得た。樹脂組成物の評価結果を表3に示す。
【0078】
比較例5
n−オクチルメルカプタンの量を0.80部に変更した以外は製造例2と同じ方法でラテックスII-4を得た。ラテックスII-4に含まれる重合体粒子II-4の物性を表2に示す。
撹拌機を備えた容器に、ラテックスI-1 65部(固形分)とラテックスII-4 35部(固形分)とを入れて、均一混合した。その後、硫酸マグネシウム水溶液を添加して、塩析凝固させた。凝固物を水洗し、脱水し、乾燥させて、混合粒子を得た。
混合粒子60部とメタクリル樹脂(パラペット「G−1000」、クラレ社製)40部をペレット製造用押出機に投入して樹脂組成物ペレットを得た。樹脂組成物の評価結果を表3に示す。
【0079】
比較例6
ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウムの量を0.070部に変更した以外は製造例1と同じ方法でラテックスI-6を得た。ラテックスI-6に含まれる重合体粒子I-6の物性を表1に示す。
撹拌機を備えた容器に、ラテックスI-6 65部(固形分)とラテックスII-1 35部(固形分)とを入れて、均一混合した。その後、硫酸マグネシウム水溶液を添加して、塩析凝固させた。凝固物を水洗し、脱水し、乾燥させて、混合粒子を得た。
混合粒子60部とメタクリル樹脂(パラペット「G−1000」、クラレ社製)40部をペレット製造用押出機に投入して樹脂組成物ペレットを得た。樹脂組成物の評価結果を表3に示す。
【0080】
比較例7
ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウムの量を0.041部に変更した以外は製造例2と同じ方法でラテックスII-5を得た。ラテックスII-5に含まれる重合体粒子II-5の物性を表2に示す。
撹拌機を備えた容器に、ラテックスI-1 65部(固形分)とラテックスII-5 35部(固形分)とを入れて、均一混合した。その後、硫酸マグネシウム水溶液を添加して、塩析凝固させた。凝固物を水洗し、脱水し、乾燥させて、混合粒子を得た。
混合粒子60部とメタクリル樹脂(パラペット「G−1000」、クラレ社製)40部をペレット製造用押出機に投入して樹脂組成物ペレットを得た。樹脂組成物の評価結果を表3に示す。
【0081】
比較例8
撹拌機を備えた容器に、ラテックスI-1 50部(固形分)とラテックスII-1 50部(固形分)とを入れて、均一混合した。その後、硫酸マグネシウム水溶液を添加して、塩析凝固させた。凝固物を水洗し、脱水し、乾燥させて、混合粒子を得た。
混合粒子60部とメタクリル樹脂(パラペット「G−1000」、クラレ社製)40部をペレット製造用押出機に投入して樹脂組成物ペレットを得た。樹脂組成物の評価結果を表3に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【国際調査報告】