特表-18173241IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2018-173241荷電粒子線装置、及び荷電粒子線装置の調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年9月27日
【発行日】2019年12月19日
(54)【発明の名称】荷電粒子線装置、及び荷電粒子線装置の調整方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/21 20060101AFI20191122BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20191122BHJP
   H01J 37/04 20060101ALI20191122BHJP
   H01J 37/20 20060101ALI20191122BHJP
   H01J 37/29 20060101ALI20191122BHJP
   H01J 37/22 20060101ALI20191122BHJP
【FI】
   H01J37/21 B
   H01J37/28 B
   H01J37/04 B
   H01J37/20 H
   H01J37/29
   H01J37/22 502H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
【出願番号】特願2019-506874(P2019-506874)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年3月24日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 正樹
(72)【発明者】
【氏名】尾方 智彦
(72)【発明者】
【氏名】兼岡 則幸
(72)【発明者】
【氏名】村越 久弥
(72)【発明者】
【氏名】小貫 勝則
【テーマコード(参考)】
5C001
5C030
5C033
【Fターム(参考)】
5C001BB07
5C001CC04
5C030AA08
5C030AB02
5C033MM05
5C033UU02
5C033UU03
5C033UU05
5C033UU10
(57)【要約】
本発明は、ビームの適正な評価に基づく装置調整を行う荷電粒子線装置の提供を目的とする。本発明では上記目的を達成するために、荷電粒子源から放出された荷電粒子ビームを収束するレンズを含む照射光学系と、試料に向かって前記荷電粒子ビームを照射することによって得られる荷電粒子を撮像素子に結像する結像光学系を備えた荷電粒子線装置であって、前記レンズを制御する制御装置を備え、当該制御装置は、前記試料に前記荷電粒子ビームを到達させることによって得られる特定輝度領域のサイズを、前記レンズの条件ごとに評価し、当該サイズ情報が所定の条件を満たすレンズ条件を選択する荷電粒子線装置を提案する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子源から放出された荷電粒子ビームを収束するレンズを含む照射光学系と、試料に向かって前記荷電粒子ビームを照射することによって得られる荷電粒子を撮像素子に結像する結像光学系を備えた荷電粒子線装置において、
前記レンズを制御する制御装置を備え、当該制御装置は、前記試料に前記荷電粒子ビームを到達させることによって得られる特定輝度領域のサイズを、前記レンズの条件ごとに評価し、当該サイズ情報が所定の条件を満たすレンズ条件を選択することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記試料に負電圧を印加する負電圧印加電源を備え、前記制御装置は、前記照射光学系から照射される荷電粒子ビームが前記試料に到達することなく反射される状態と、前記試料に到達する状態を切り替えるように、前記負電圧印加電源を制御し、前記制御装置は、前記荷電粒子ビームが試料に到達する状態に切り替えた状態で現れる前記特定輝度領域のサイズが所定の条件を満たすレンズ条件を選択することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記制御装置は、前記特定領域のサイズが、最大或いは所定値以上のレンズ条件を選択することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記試料に負電圧を印加する負電圧印加電源を備え、前記制御装置は、当該負電圧印加電源から前記試料に印加する負電圧を正側に変化させたときの前記特定領域のサイズが、最大或いは所定値以上のレンズ条件を選択することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記試料に負電圧を印加する負電圧印加電源を備え、前記制御装置は、前記レンズを複数の条件に設定し、当該複数の条件のそれぞれで前記試料に印加する電圧を変化させたときの前記特定輝度領域のサイズの変化を求めることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記制御装置は、前記特定輝度領域のサイズの変化が最小或いは所定値以下のレンズ条件を選択することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項7】
荷電粒子源から放出された荷電粒子ビームを調整する光学素子を含む照射光学系と、試料に向かって前記荷電粒子ビームを照射することによって得られる荷電粒子を撮像素子に結像する結像光学系と、前記撮像素子によって検出された荷電粒子に基づいて画像を生成する画像処理装置を備えた荷電粒子線装置において、
前記試料に負電圧を印加する負電圧印加電源と、当該負電圧印加電源を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記照射光学系から照射される荷電粒子ビームが前記試料に到達することなく反射される状態と、前記試料に到達する状態を切り替えるように、前記負電圧印加電源を制御し、前記制御装置は、前記荷電粒子ビームが試料に到達する状態に切り替えた状態で前記撮像素子に到達する荷電粒子の検出に基づいて、特定輝度領域のサイズ及び位置の少なくとも1つを求め、当該特定輝度領域のサイズ及び位置の少なくとも1つが所定の条件となるように前記光学素子を調整することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記制御装置は、前記特定輝度領域の中心が、前記画像処理装置によって生成される画像の中心と一致するように、前記光学素子を制御することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項9】
荷電粒子源から放出された荷電粒子ビームを調整する光学素子を含む照射光学系と、試料に向かって前記荷電粒子ビームの照射することによって得られる荷電粒子を撮像素子に結像する結像光学系を備えた荷電粒子線装置の調整方法であって、
前記試料に荷電粒子ビームが到達した状態となるように、前記試料に負電圧を印加し、当該負電圧印加状態で得られる荷電粒子を前記撮像素子で検出し、当該荷電粒子の検出に基づいて、前記荷電粒子ビームの到達領域を示す特定輝度領域を含む画像を生成し、当該画像に含まれる特定輝度領域のサイズ及び位置が所定の条件を満たすように、前記光学素子を調整することを特徴とする荷電粒子線装置の調整方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記光学素子はレンズであって、前記特定輝度領域のサイズが最も大きくなるように、或いは所定値以上のサイズとなるように、前記レンズの条件を調整することを特徴とする荷電粒子線装置の調整方法。
【請求項11】
請求項9において、
前記光学素子は、前記荷電粒子ビームを収束するレンズの理想光軸に前記荷電粒子ビームの軸合わせを行う偏向器であって、前記特定輝度領域の中心と前記画像の中心が一致するように前記偏向器を調整することを特徴とする荷電粒子線装置の調整方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はウェハの欠陥検査等に用いられる荷電粒子線装置に係り、特に荷電粒子線の照射条件を調整する機能が備えられた荷電粒子線装置、及び荷電粒子線装置の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハに含まれる欠陥を検出する装置として、電子顕微鏡等の荷電粒子線装置が用いられている。特許文献1には、電子ビームを試料面に対して垂直に入射することによって生じるミラー電子を検出することによって、欠陥の有無を判定するミラー電子顕微鏡が開示されている。また、特許文献1には、試料に入射する電子束の平行度とコンデンサレンズの条件との関係をテーブル化しておき、平行度の選択に基づいて、レンズ条件を調整する電子顕微鏡が説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4253576号(対応米国特許USP7,288,948)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている紫外光照射による結晶欠陥の局所帯電状態で、特許文献1に開示されているようなミラー電子顕微鏡による観察を行うことによって、帯電した欠陥を顕在化することができる。しかし欠陥には様々な種類があり、帯電量も異なっている。ミラー電子顕微鏡を用いて帯電量による欠陥の弁別を行うには、帯電量の大きさに合わせてミラー電子像のコントラストに反映される必要がある。ミラー電子顕微鏡の像形成原理から、視野全体に亘って同一の帯電量が同一のコントラストとして像に反映されるためには、照射された電子線が、照射領域全体に亘ってウェハ表面法線に平行な軌道を有するように、電子光学系が調整されていなければならない。同じ帯電量を持った欠陥があったとしても、照射される電子線の方向が同じでなければ反射の軌道が異なってしまい、従ってミラー電子像には異なるコントラストとして現れるからである。
【0005】
一方、特許文献1に説明されているように、ビームが平行となる装置条件を予めテーブル化しておくことによって、ある程度、平行度の高いビームを形成することができるが、レンズを制御する電源に高い再現性が求められる。僅かな帯電量の変化に応じた欠陥の識別を行うためには極めて高い平行度が要求されるため、ビームが高い精度で平行照射されているか確認することが望ましいが、特許文献1には平行度を評価する手法については論じられていない。このように、ミラー電子顕微鏡方式の検査装置においては照射電子線の軌道の調整が重要であるが、ウェハ表面法線方向に対して軌道が平行かどうかを測定する手段は無く、調整者の経験に依存することになり、高い再現性を維持することが困難である。そこで、照射電子線の軌道調整等を定量的に実施でき、安定して欠陥識別感度性能を維持することが重要であるとの認識に基づき、以下にビームの適正な評価に基づく装置調整を行うことを目的とする荷電粒子線装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための一態様として、以下に荷電粒子源から放出された荷電粒子ビームを収束するレンズを含む照射光学系と、試料に向かって前記荷電粒子ビームを照射することによって得られる荷電粒子を撮像素子に結像する結像光学系を備えた荷電粒子線装置であって、前記レンズを制御する制御装置を備え、当該制御装置は、前記試料に前記荷電粒子ビームを到達させることによって得られる特定輝度領域のサイズを、前記レンズの条件ごとに評価し、当該サイズ情報が所定の条件を満たすレンズ条件を選択する荷電粒子線装置を提案する。
【0007】
また、上記目的を達成するための他の態様として、荷電粒子源から放出された荷電粒子ビームを調整する光学素子を含む照射光学系と、試料に向かって前記荷電粒子ビームを照射することによって得られる荷電粒子を撮像素子に結像する結像光学系と、前記撮像素子によって検出された荷電粒子に基づいて画像を生成する画像処理装置を備えた荷電粒子線装置であって、前記試料に負電圧を印加する負電圧印加電源と、当該負電圧印加電源を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記照射光学系から照射される荷電粒子ビームが前記試料に到達することなく反射される状態と、前記試料に到達する状態を切り替えるように、前記負電圧印加電源を制御し、前記制御装置は、前記荷電粒子ビームが試料に到達する状態に切り替えた状態で前記撮像素子に到達する荷電粒子の検出に基づいて、特定輝度領域のサイズ及び位置の少なくとも1つを求め、当該特定輝度領域のサイズ及び位置の少なくとも1つが所定の条件となるように前記光学素子を調整する荷電粒子線装置を提案する。
【0008】
更に、上記目的を達成するための更に他の態様として、荷電粒子源から放出された荷電粒子ビームを調整する光学素子を含む照射光学系と、試料に向かって前記荷電粒子ビームの照射することによって得られる荷電粒子を撮像素子に結像する結像光学系を備えた荷電粒子線装置の調整方法であって、前記試料に荷電粒子ビームが到達した状態となるように、前記試料に負電圧を印加し、当該負電圧印加状態で得られる荷電粒子を前記撮像素子で検出し、当該荷電粒子の検出に基づいて、前記荷電粒子ビームの到達領域を示す特定輝度領域を含む画像を生成し、当該画像に含まれる特定輝度領域のサイズ及び位置が所定の条件を満たすように、前記光学素子を調整する荷電粒子線装置の調整方法を提案する。
【発明の効果】
【0009】
上記構成によれば、目視できない荷電粒子ビームの軌道を適正に評価でき、適正な装置条件の調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ミラー電子顕微鏡検査装置の概略を説明する図。
図2】電子顕微鏡の光学条件によって、ビームの軌道が変化する例を説明する図。
図3】電子顕微鏡の光学条件によって、ビームの軌道が変化する例を説明する図。
図4】電子顕微鏡の光学条件によって、特定輝度領域のサイズが変化する例を説明する図。
図5】特定輝度領域のサイズと光学条件の関係を示すグラフ。
図6】投射されるビームと装置の理想光軸が一致していない状態を説明する図。
図7】光学条件評価用の標準試料を搭載した試料ホルダの一例を示す図。
図8】画像評価に基づいてレンズ条件を調整する工程を示すフローチャート。
図9】試料への印加電圧とレンズ条件の変更によって、得られる画像情報が変化する状態を示す図。
図10】画像評価に基づいてレンズ条件を調整する工程を示すフローチャート。
図11】画像評価に基づいて装置条件を調整する工程を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
半導体デバイス製造工程では、鏡面状に研磨された半導体ウェハ上に微細な回路を形成する。このようなウェハ上に異物や傷、あるいは結晶欠陥や結晶の変質層などが存在すると、回路パターンの形成過程において欠陥や材質劣化が生じ、製造されたデバイスが正常に動作しなくなったり、動作の信頼性が劣化したりし製品として完成しない。
【0012】
SiCを用いたパワーデバイスの場合、Siに比べ高い絶縁破壊耐圧など、パワーデバイス材料としての諸特性に優れているが、化学的安定性に優れ、かつ、硬いため、結晶擾乱の無いウェハ表面への加工、研磨が難しく、加工によって発生する結晶変質層の完全な除去は困難である。また、結晶成長中に発生した転位などの結晶欠陥も残存しており、SiCパワーデバイスの信頼性確保のためには、ウェハに存在するこれら欠陥の管理が必要である。
【0013】
ウェハの欠陥検査のためのひとつの技術として、試料に荷電粒子ビームを照射することによって得られる電子を検出することによって形成される画像を評価する電子線装置がある。以下に説明する実施例では、主に、電子ビーム照射に基づいて得られる画像信号に基づいて欠陥を検出する欠陥検査装置について説明する。例えば、照射する電子線の加速電圧にほぼ等しい負電圧をウェハに印加することで、ウェハ表面上の検査視野全体に照射した電子線をウェハ表面近傍で反転させ、反転した電子を電子レンズで結像し検査用の電子像を得る、ミラー電子顕微鏡を応用した方式の検査装置について説明する。
【0014】
ミラー電子顕微鏡の用途として、半導体結晶の欠陥の検出がある。紫外線を照射した状態で得られるミラー電子像が、SiCエピタキシアル層の積層欠陥検出に適しているため、ミラー電子顕微鏡には試料に対して紫外光を照射する紫外光源を設けておくことが望ましい。紫外線照射によって試料内部で発生した電荷が、SiCエピタキシアル層の積層欠陥部分に捕獲され、局所的に帯電することにより、表面の等電位面を歪ませる。わずかな等電位面の歪でもミラー電子像に濃淡を発生させるため、ミラー電子顕微鏡を用いて積層欠陥の検出が高感度で可能となる。
【0015】
以下に説明する実施例では、導電性材料からなる平坦な表面を持った標準試料を用い、本標準試料に印加する電位を、照射される全電子が反発する負電位値から正方向に変化させながら、標準試料表面のミラー電子像視野内の画像信号強度の分布を測定し、この画像信号強度分布の、印加電位に対する変化を元に照射電子光学系を調整する欠陥検査装置を提案する。
【0016】
上記構成によれば、照射電子線の軌道調整が定量的かつ再現性よく決定され、欠陥識別感度性能を維持できる欠陥検査装置の安定的な生産が可能となる。
【実施例1】
【0017】
ミラー電子顕微鏡を用いた検査装置について、図1を用いて説明する。但し、図1には真空排気用のポンプやその制御装置、排気系配管、被検査ウェハの搬送系などは略されている。また、電子線の軌道は、説明のため実際の軌道より誇張されている。
【0018】
まず、電子線照射に係わる部分について説明する。電子銃101から放出された照射電子線100aは、コンデンサレンズ102によって収束されながら、セパレータ103により偏向されて、検査対象となるウェハ104に略平行束の電子線となって照射される。電子銃101には、光源径が小さく大きな電流値が得られる、Zr/O/W型のショットキー電子源が用いられるが、より高い電流値が得られるLaB6電子源やより輝度の高い冷陰極電子源等の電子源を用いてもよい。
【0019】
また、電子銃101は、電子源近傍に磁界レンズを配する磁界重畳型電子銃であってもよい。電子銃101の引出電圧、引き出された電子線の加速電圧、および電子源フィラメントの加熱電流などの、電子銃の運転に必要な電圧と電流は電子銃制御装置105により供給、制御されている。電子源にショットキー電子源や冷陰極電子源が用いられている場合には、電子銃101内は、10−6Pa以下といった超高真空に維持される必要があるため、メンテナンス時等において真空維持のための遮蔽バルブが備えられている。
【0020】
コンデンサレンズ102は1つのレンズとして図中描かれているが、複数のレンズや多極子を組み合わせた電子光学システムであっても良い。対物レンズ106は、複数の電極からなる静電レンズあるいは磁界レンズ、または、これらの組合せである。
【0021】
セパレータ103は、被検査ウェハ104に向かう照射電子線と、被検査ウェハ104から戻ってくるミラー電子線とを分離するために設置される。本実施例では、E×B偏向器を利用したセパレータを用いている。E×B偏向器は、上方から来た電子線を偏向し、下方から来た電子線を直進させるように設定できる。この場合、図のように照射電子線を供給する電子光学鏡筒は傾斜され、反射された電子を結像する電子光学鏡筒は直立する。
セパレータによって照射電子線100aが偏向されるとき発生する収差を補正する必要がある場合は、収差補正器を追加配置してもよい。また、セパレータ103が磁界偏向器の場合は、補助的なコイルを設けて補正する。また、これらの光学素子に加え、レンズ等の理想光軸に沿ってビームを通過させるようにビームを偏向するアライメント偏向器を搭載するようにしても良い。
【0022】
照射電子線100aが照射する被検査ウェハ104上の領域は、例えば、10000μm平方等といった面積を有する。対物レンズ106は、被検査ウェハ104表面上方にミラー電子を引き上げるための陽極を備えている。
【0023】
移動ステージ制御装置107によって制御されている移動ステージ108の上に、絶縁部材を介してウェハホルダ109が設置され、その上に被検査ウェハ104は戴置されている。移動ステージ108の駆動方式は、直交する二つの直進運動、または、被検査ウェハ104の中心を回転中心とした回転運動及びウェハの半径方向への直進運動、あるいはこれらの組合せである。またこれらに加えて、上下方向の直進運動や,傾き方向の運動が追加されてもよい。移動ステージ108はこれらの運動により,被検査ウェハ104表面上の全面あるいは一部分を,電子線照射位置すなわち対物レンズ106の光軸上に位置させる。
被検査ウェハ104表面に負電位を形成するため、高圧電源110(負電圧印加電源)は、電子線の加速電圧とほぼ等しい負電圧をウェハホルダ109に印加している。照射電子線100aは、ウェハホルダ109(試料支持部材)に印加された負電圧によって形成される減速電界によって被検査ウェハ104の手前で減速される。ウェハホルダ109に印加する負電圧は、被検査ウェハ104に衝突する前に反対方向に電子軌道が反転する様に、微調整しておく。ウェハで反射された電子は、ミラー電子100cとなる。
【0024】
ミラー電子100cは対物レンズ106やその他の結像レンズによって集束され、撮像素子に投影されることによって、画像信号に変換される。セパレータ103は本実施例ではE×B偏向器であるので、下方から進行した電子線に対しては偏向作用を持たないように制御でき、ミラー電子100cは直立した結像系カラム方向に直進し、該第1の像は中間電子レンズ111、投影電子レンズ112によって順次結像される。
【0025】
これらの中間レンズ111及び投影レンズ112は、静電または磁界レンズである。最終的な電子像は画像検出部113に拡大投影される。図1では投影電子レンズ112は1つの電子レンズとして描かれているが、高い倍率の拡大や像歪みの補正などのために複数の電子レンズや多極子で構成される場合もある。本図には記されていないが、電子線をより詳細に調整するための偏向器や非点補正器などが必要に応じて装備されている。
【0026】
紫外線光源113からの紫外線は、分光器114により分光されて、紫外線光学素子115により、被検査ウェハ104に照射される。被検査ウェハ104は真空中に保持されているため、紫外線を透過する材料(例えば石英など)で作成された窓で大気側と真空側とを分け、紫外線光学素子115から発せられた紫外線を、窓越しに照射する。あるいは、紫外線光源113を真空内に設置してもよい.その場合は、分光器114による波長選択ではなく、特定の発光波長の紫外光を放出する固体素子などを用いることも可能である。紫外線光源113、分光器114、紫外線光学素子115の間は、光ファイバーなどで紫外線を伝達される。または、紫外線光源113、分光器114は一体化した構成でもよい。また、紫外線光源113に特定の範囲の波長のみを透過するフィルターを備えることができる場合は、分光器114を使用しない場合もある。
【0027】
画像検出部116(撮像素子)はミラー電子100cの像を電気信号に変換し、欠陥判定部117に送る。画像検出部116は、一例として、電子線を可視光に変換する蛍光板、蛍光板の電子像を撮像するカメラから構成される場合、また別の一例として、電子を検出するCCD素子など2次元検出器から構成される場合、などがある。電子像の強度や蛍光の強度を増倍する機構を備えていてもよい。欠陥判定部117は画像処理装置として機能し、後述するような画像処理を実行する。
【0028】
ウェハ104表面の各場所のミラー電子像は、移動ステージ108を駆動しながら、画像検出部116から出力される。移動ステージ108は各撮像時に停止する場合と、あるいは、停止しないで一定の速度を保って移動を続ける場合とがある。後者の場合は、画像検出部116は時間遅延積分(TDI;Time Delay Integration)型の撮像を行う。各撮像において移動ステージ108を逐次停止する必要が無く高速の検査動作が可能となるが、移動ステージ108の移動速度と、画像素子の信号転送速度(ラインレート)とを同期させる必要がある。
【0029】
上記のTDI撮像動作の条件をはじめ、様々な装置各部の動作条件は、検査装置制御部118から入出力される。検査装置制御部118には、予め電子線発生時の加速電圧、電子線偏向幅・偏向速度、ステージ移動速度、画像検出素子からの画像信号取り込みタイミング、紫外線照射条件等々の諸条件が入力されており、移動ステージ制御装置107、各電子光学素子を制御する電子光学系制御装置119、紫外線光源113や分光器114の制御系、などを総括的に制御する。検査装置制御部118は、役割を分担し通信回線で結合された複数の計算機から構成される場合もある。また、モニタ付入出力装置120が設置されており、ユーザーによる検査装置の調整、動作条件の入力、検査の実行、などが行える。また、上記各制御部(制御装置)を動作させる動作プログラムは、図示しない記憶媒体に予め記憶されており、指示コマンドに応じた制御が行われる。
【0030】
以上説明したミラー電子顕微鏡方式の検査装置が、正しくウェハ内の欠陥を検出し分類できるためには、電子光学系が正しく調整されていなければならない。特に重要な調整は、照射電子線100aが被検査ウェハ104の表面法線に対し平行な軌道をもって照射されるようにすることである。これは、照射電子線100aがコンデンサレンズ102によって対物レンズ106の後焦点100bに収束されることによって実現される。後焦点100bの位置は、対物レンズ106の動作条件によって変化し、また、セパレータ103や対物レンズ106の各極子が存在するため蛍光板などを設置できないので、後焦点100bの位置に電子線が収束されているかを直接観察することはできない。
【0031】
そこで、本実施例ではウェハ104に負電位を与える高圧電源110の出力電圧を変化させることで、間接的に後焦点100bへの電子線の収束状況を観察する。
【0032】
ウェハ104は、プラチナや金など酸化膜を形成しない金属を真空蒸着等の方法でコーティングした試料である。この試料は、パターンが形成されていないか、電子線照射領域より大きい範囲で何もパターンの無い領域を有する。この試料は、例えばSiウェハなどである。ウェハの材質はウェハホルダ109と導通が取れ、表面が平坦であれば、何でもよい。例えば石英ガラスウェハに裏面や側面も含め表面に金属コートを施したウェハでもよい。
【0033】
図2は、コンデンサレンズ102からの電子線が対物レンズ106の後焦点100bに収束されていない場合の一例(図2(a))と、収束されている場合(図2(b))とを示した図である。図2では、ウェハ104の近傍の電子軌道を横から眺めた様に模式的に図示している。説明のため、各軌道の傾き等は誇張されて描かれている。後焦点100bに電子線が収束されていない場合、図2(a)の様に、照射電子線100aの軌道は光軸上を除いてウェハ104表面法線に平行にならない。一方、後焦点100bに電子線が収束されている場合、図2(b)の様に、照射電子線100aの軌道はウェハ104表面法線にほぼ平行になる。従って、照射電子線の運動エネルギーの内、ウェハ104表面法線方向の成分は、図2(a)の例では照射領域の中心から外側に行くほど小さく、図2(b)の場合は照射領域全体に亘ってほぼ等しくなっている。
【0034】
この様な状況の下で、ウェハ104に与える負電位を変化させる。図3にウェハ104の電位を変化させたときの様子を模式的に示した。図3(a)の上図(白抜き矢印の上)は、後焦点100bに収束されていない場合に、ウェハ104の表面電位を、照射電子線100bの中心部がウェハ表面の極近傍で軌道反転するように調整した様子である。点線は負電圧印加によって設定された反射電位の等電位面の位置を示している。中心部の電子線はウェハ表面法線に平行なため反射電位位置に到達するが、周縁部の電子は横方向の運動エネルギー成分を持つため、設定された反射電位に到達する前に軌道反転する(反転した軌道は図示せず)。
【0035】
図3(a)の下図(白抜き矢印の下)は試料電位を負に保ちつつも、さらにウェハの電位をプラス側に変化させ、中心部の電子線が軌道反転する電位がウェハ表面より下(ウェハの内部)になるようにした場合を示す。このとき、電子線照射領域中心部の電子はウェハ表面に衝突する。ウェハが導電性でありウェハホルダ109と導通(接地)しているために衝突した電子はウェハホルダ109の方へ流れ失われるので、ミラー電子はなくなることになる。一方、外側のウェハ表面法線方向成分が小さい電子は、表面に衝突せずに軌道反転する。
【0036】
一方、図3(b) の上図(白抜き矢印の上)は、後焦点100bに収束されている場合に、ウェハ104の表面電位を、照射電子線100bがウェハ表面の極近傍で軌道反転するように調整した様子である。この場合、全ての電子線はウェハ法線方向にほぼ平行であるため、電子の運動エネルギーのウェハ法線成分はほぼ同じであり、全ての電子が設定された反射電位位置に到達して軌道反転する(反転した軌道は図示せず)。
【0037】
下図(白抜き矢印の下)はさらにウェハの電位をプラス側に変化させ、軌道反転する電位がウェハ表面より下(ウェハの内部)になるようにした場合を示す。このとき、図3(a)のように照射電子線の一部ではなく、照射領域の全面に亘って電子はウェハ表面に衝突することになる。
【0038】
上記の様子をミラー電子像の視野の模式図で図4に示した。後焦点100bに電子線が収束されていない場合の図4(a)では、上述したようにウェハの電位を正に変化させたとき、ミラー電子像の視野全体の明るさのうち、ウェハ表面に衝突する部分が暗くなる(白抜き矢印の上から下の様に変化)。一方、後焦点100bに電子線が収束されている図4(b)では、ウェハの電位を正に変化させたとき、ミラー電子像の視野全体が、ウェハ表面に衝突するため暗くなる(白抜き矢印の上から下の様に変化)。
【0039】
ウェハ電位を正に変化させたときに暗くなる領域の大きさを図4中にRで示した。大きさRの値は、ミラー電子像の画像強度に一定の閾値を設け、その閾値より小さい画像強度の範囲の大きさなどとして決定すればよい。例えば所定の閾値以下の低輝度領域(所定の階調値以下の画素領域)の画素数をカウントすることによって、大きさを評価する。
【0040】
本実施例ではこの暗くなった領域の大きさRを評価指標とし、コンデンサレンズ102からの電子線が対物レンズ106の後焦点100bに収束される様、光学系が調整されたかどうかを判定する。
【0041】
図5に、この判定のためのグラフの一例を示す。横軸に光学パラメータをとる。例えば、対物レンズ106に与える電圧やコンデンサレンズ102に与える電流値(コンデンサレンズ102が磁界レンズの場合)などのレンズ条件である。各光学パラメータ値に対して、ウェハ104の電圧を一定量正にしたときの、ミラー電子像において暗くなる領域の大きさRをプロットする。この暗くなる大きさが円では無い場合は、暗くなった領域を外接する円の半径などとして、指標を決定する。図4はこのようにプロットされた点の変化を表しており、ある光学パラメータ値に対して値Rは最大値をとる。このRが最大となる、或いは所定値以上となる光学パラメータを最適値と設定する。この時、対物レンズ106の後焦点100bに電子線が収束され照射電子線がウェハ表面法線方向に平行に照射されている、図4(b)の状況に近い調整が達成されている。
【0042】
また、図5の光学パラメータを対物レンズ106の電圧値にした例において、その他のパラメータ、例えばコンデンサレンズ102の複数の電流値に対して繰り返しグラフを作成し、最も大きいRを与える対物レンズ106の電圧値とコンデンサレンズ102の電流値の組み合わせを最適値として選ぶ、というように複数の光学パラメータに対して最適値を決定することもできる。
【0043】
この様にして決定されたRの最大値の、ミラー電子像視野の大きさに対する比を計算し、この比をもって照射電子線の照射平行度の指標とすれば、各装置における電子線照射の状況を定量的に表すことができる。
【0044】
本実施例では、ウェハ104を用いた調整法を示したが、表面が平坦でかつ導電性があれば他の試料でも同様に本発明に含まれる。例えば、ウェハホルダ109上のウェハが戴置されない場所に設置された試料片でもよい。例えば図7に例示するように、移動ステージ108上に絶縁部材701を介して搭載されたウェハホルダ109のウェハ104の搭載位置とは別の位置に、ウェハ104と同電位となるように、負電圧印加電源702から負電圧が印加されたウェハホルダ109に導通された標準試料703を用いて上記調整を行うようにしても良い。
【0045】
本実施例によれば、ミラー電子顕微鏡を用いた検査装置において、対物レンズの後焦点面に電子像観察機器を設けることなく、照射電子線がウェハ表面法線方向に平行に照射されている状況を定量的に評価できる。
【0046】
なお、上述の例では複数のレンズ条件の中から、試料電位を一定量変化させたときに現れる低輝度領域の大きさ情報が所定の条件を満たす(面積が最大、或いは所定値以上)レンズ条件を選択する例について説明したが、面積の絶対量ではなく試料電位の変化に応じた面積の変化量を判断指標とすることも可能である。図8はその工程を示すフローチャートである。装置に取り付けられた制御装置は、後述するようなフローチャートに従って装置を動作させるプログラムを記憶した記憶媒体を備えており、図1に例示するような装置では装置の自動調整を行うことができる。
【0047】
図8に例示する自動調整工程では、まず、レンズ条件を初期値に設定する(ステップ801)。そして試料に所定の負電圧を印加した状態(ステップ802)で、試料に向かってビームを投射することによって、画像を生成し、当該画像内の輝度評価を行う(ステップ803)。この場合、輝度値(グレーレベル)が所定値以下の画素をカウントし、低輝度領域の面積評価を行う。このような面積評価を、複数の試料電位条件で行うことによって、或るレンズ条件における試料電位の変化に応じた低輝度領域の面積の変化を評価する。図9は複数のレンズ条件(本例では3つのレンズ条件(a)〜(c))で得られる低輝度領域908の大きさが、試料への印加電圧の変化によって変化する様子を示す図である。試料への印加電圧の変化により、投射電子が到達する試料高さ(深さ)が位置901から903に変化する様子を示している。
【0048】
レンズ条件A(レンズ条件が理想値より弱い)、及びレンズ条件C(レンズ条件が理想値より強い)の場合、試料への電圧印加条件を変化させると、それぞれ低輝度領域のサイズがRA1〜RA3、RC1〜RC3に変化する。一方、レンズ条件Bの場合、レンズ条件が適正に設定されており、試料表面の法線方向からビームが投射されるため、試料への印加電圧を変化させても、低輝度領域Rのサイズは変わらない。図8に例示する手法では、各レンズ条件について異なる試料電位における低輝度領域のサイズを求め、低輝度領域のサイズの変化が最も少ないレンズ条件を装置条件として設定する(ステップ804)。
【0049】
このように低輝度領域のサイズが変わらないレンズ条件を見出すことによって、適切なレンズ条件を設定することが可能となる。
【0050】
図10は、最初に低輝度領域を評価する試料電位を決定した上で、レンズ条件を変更して低輝度領域のサイズを評価する工程を示すフローチャートである。図5に例示したように、低輝度領域のサイズが最も大きい(或いは所定値以上)となるレンズ条件が適切なレンズ条件となるため、まず低輝度領域のサイズの評価が可能となる程度に、電子を試料に到達させ、その上でレンズ条件を変更しながら低輝度領域のサイズを評価する。そのためにレンズ条件の初期値を設定(ステップ1001)した後、試料への電圧条件を変化(ステップ1002)させつつ、照射領域の輝度評価(ステップ1003)を行うことによって、低輝度領域のサイズが高精度評価に足る大きさをもっているかを評価する。低輝度領域の大きさが小さい場合や、十分に試料に電子が到達しておらず、低輝度領域の画像認識が困難となる場合、適正な評価を行うことができなくなるため、負電圧を徐々に正側に変化させることで、適度なサイズの低輝度領域を発生させ、その状態でレンズ条件を変化させる(ステップ1004)。その上で低輝度領域のサイズが所定の条件を満たすレンズ条件を見出し(ステップ1004)、そのレンズ条件を装置条件として決定する(ステップ1005)。なお、所定数のレンズ条件を設定した後、ベスト条件を見出すようにしても良いし、ベスト条件が判明した段階で自動調整を終了するようにしても良い。また、内挿によって低輝度領域の大きさが最も大きくなるとみなせるレンズ条件を選択するようにしても良い。
【0051】
通常、電子を試料に到達させることのない状態で画像を生成する装置に、部分的に電子を試料に到達させることによるビーム評価モードを設けておくことによって、適正なビームコンディションのもと、検査等を行うことができる。
【実施例2】
【0052】
コンデンサレンズ102によって、対物レンズ106の後焦点面100bに電子線が収束されたとしても、対物レンズ106の光軸上ではない場合は、図6(a)に示したように、軌道の傾き方が偏ってしまう。この場合は、ウェハの電位を正に変化させ電子線の一部が表面に衝突させるようにしたとき、ミラー電子像視野の中で暗くなる部分が図6(b)の様に視野中心からずれてしまう。この位置ずれが無くなり、視野中心で暗くなるように、電子銃101、セパレータ103を含む照射電子光学系の軸あわせを行えば、コンデンサレンズ102からの電子線が正しく対物レンズ106の光軸上で収束される状況を実現できる。
【0053】
上記の調整により対物レンズの光軸上に電子線が通るようになった後、対物レンズ106の後焦点面100bへの収束度は実施例1によって調整すればよい。
本実施例によれば、対物レンズの後焦点面に電子像観察機器を設けることなく、セパレータを含めた照射電子光学系の軸調整ができる。
【0054】
図11は、ビームの軌道の傾きの評価に基づいて、装置条件を調整する工程を示すフローチャートである。まず、装置条件検証モードに切り替えることによって、試料への電子の到達が可能な装置条件とする(ステップ1101)。次に、試料の負電位状態を維持しつつ、試料電位を正側に変更し、その上で照射領域の輝度評価を行う(ステップ1102、1103)。低輝度領域のサイズ評価が可能な程度の画像が得られるまで、ステップ1102、1103を繰り返す。所定のサイズの低輝度領域が画像に現れたら、次に画像中心と低輝度領域中心との間のずれを評価する(ステップ1104)。低輝度領域の中心を特定するための手法としては、低輝度領域と高輝度領域の境界を特定した上で距離画像等を作成することによって、その中心を求めたりすることが考えられる。また、一般的な重心位置を特定する手法を採用することも可能である。
【0055】
このずれ量を補正するように、光軸調整を実行する(ステップ1105)。ずれの補正には、例えば対物レンズ光軸に対する軸調整を行うアライナ(偏向器)を設けておき、ずれ量とアライナ条件の関係を予め記憶したテーブルを参照することによって、調整するようにしても良いし、セパレータ103のウィーン条件を適正化することによって、軸調整を行うようにしても良い。
【0056】
通常、電子を試料に到達させることのない状態(第1の照射モード)で画像を生成する装置で、電子を試料に到達させるための調整モード(第2の照射モード)を設けることによって、適正な装置条件を見出すことが可能となる。実サンプルの検査中、或いは検査後に装置条件の調整を行う場合、図7に例示するような標準試料703、或いは装置条件調整のために定めたウェハ上の領域に、電子ビームが照射されるように、移動ステージ制御装置107は移動ステージ108を制御し、高圧電源110は、照射電子線100aがウェハ或いは標準試料に到達するように、検査時にウェハホルダ109に印加する負電圧を正側に変更する。ビームがウェハに到達した状態で、上述したような画像評価、及び装置条件の調整を行うことによって、適正なビーム評価と調整を行うことが可能となる。
【0057】
なお、上記照射モードの切り替えは、装置の立ち上げ時、或いは検査開始から所定時間経過した後に、上記第2の照射モードに切り替わるように、予め動作プログラム(レシピ)を用意しておいても良いし、モニタ付入出力装置120から、装置条件調整の指示に基づいて、切り替えるようにしても良い。
【符号の説明】
【0058】
100a…照射電子線、100b…後焦点、100c…ミラー電子線、101…電子銃、102…コンデンサレンズ、103…セパレータ、104…被検査ウェハ、105…電子銃制御装置、106…対物レンズ、107…移動ステージ制御装置、108…移動ステージ、109…ウェハホルダ、110…高圧電源、111…中間電子レンズ、112…投影電子レンズ、113…紫外線光源、114…分光器、115…紫外線光学素子,116…画像検出部、117…欠陥判定部、118…検査装置制御部、119…電子光学系制御装置、120…モニタ付入出力装置、121…ミラー電子像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】