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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年6月13日
【発行日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】機能性部材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 59/02 20060101AFI20201120BHJP
   B23K 26/352 20140101ALI20201120BHJP
   B23K 26/067 20060101ALI20201120BHJP
【FI】
   B29C59/02 B
   B23K26/352
   B23K26/067
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
【出願番号】特願2019-558255(P2019-558255)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年12月5日
(31)【優先権主張番号】特願2017-233102(P2017-233102)
(32)【優先日】2017年12月5日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩間 真木
【テーマコード(参考)】
4E168
4F209
【Fターム(参考)】
4E168AB01
4E168CB04
4E168DA28
4E168DA45
4E168EA05
4E168EA06
4E168EA15
4E168FB03
4E168JA02
4E168JA03
4F209AF01
4F209AG05
4F209AH63
4F209PA02
4F209PB01
4F209PC05
4F209PQ11
(57)【要約】
機能性部材は、表面に複数のマイクロニードルが形成されており、隣接する前記マイクロニードル間の間隔が1〜500μmの範囲にあり、前記マイクロニードルは、直径が0.25〜250μmの範囲にあり、高さが5〜200μmの範囲にある。前記マイクロニードルの間における前記表面にマイクロホールが形成されていてもよい。前記マイクロホールは、前記マイクロニードルの直径に相当する内径を有していてもよい。前記マイクロニードルは、屈曲していてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に複数のマイクロニードルが形成されており、
隣接する前記マイクロニードル間の間隔が1〜500μmの範囲にあり、前記マイクロニードルは、直径が0.25〜250μmの範囲にあり、高さが5〜200μmの範囲にある
ことを特徴とする機能性部材。
【請求項2】
前記マイクロニードルの間における前記表面に、マイクロホールが形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の機能性部材。
【請求項3】
前記マイクロホールは、前記マイクロニードルの直径に相当する内径を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の機能性部材。
【請求項4】
前記マイクロニードルは、屈曲している
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の機能性部材。
【請求項5】
前記マイクロニードルの外形状は、前記表面側を底面として立設する略円錐形状の外周面の一部が凹状に窪んだ形状を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の機能性部材。
【請求項6】
前記マイクロニードルの先端部には、直径500nm以下の微細な凹凸が形成されている
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の機能性部材。
【請求項7】
ステンレス鋼またはアルミニウム系の金属からなる、又は樹脂からなる
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の機能性部材。
【請求項8】
接合部品又は触媒保持材として機能することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の機能性部材。
【請求項9】
金属からなる表面に複数のマイクロニードルが形成された機能性部材を製造する方法であって、
元部材の表面にレーザ光を照射し、第1の方向に間隔dで走査する工程を含み、
前記マイクロニードル間の間隔が1〜500μmの範囲にあり、前記マイクロニードルは、直径が0.25〜250μmの範囲にあり、高さが5〜200μmの範囲にあり、
前記レーザ光のスポットサイズ半径をωとし、ωに対して0<Δ<2ωが成立するパラメータΔを設定し、d<2ω+Δが成立するように間隔dを設定する
ことを特徴とする機能性部材の製造方法。
【請求項10】
前記レーザ光はサブナノ−ナノ秒パルスレーザ光である
ことを特徴とする請求項9に記載の機能性部材の製造方法。
【請求項11】
前記表面に前記レーザ光を前記第1の方向のみに走査する
ことを特徴とする請求項9または10に記載の機能性部材の製造方法。
【請求項12】
前記レーザ光を前記第1の方向に走査する走査速度は20mm/s以下である
ことを特徴とする請求項9〜11のいずれか一つに記載の機能性部材の製造方法。
【請求項13】
前記レーザ光を、Nを2以上の整数として、互いに間隔Dだけ離間したN本のサブレーザ光に分岐して前記表面に照射し、前記N本のサブレーザ光のうち或るサブレーザ光の走査間隔をIとすると、
I=N×DまたはI=1/N×Dが成立する
ことを特徴とする請求項9〜12のいずれか一つに記載の機能性部材の製造方法。
【請求項14】
前記元部材を不活性ガス雰囲気下に置いて、前記レーザ光の照射による加工を行うことを特徴とする請求項9〜13のいずれか一つに記載の機能性部材の製造方法。
【請求項15】
前記間隔d、前記スポットサイズ半径ω、前記Δ、前記レーザ光または前記サブレーザ光のフルエンス、走査速度、及び加工雰囲気ガスの少なくとも一つを調整することによって、前記マイクロニードルの直径を調整する
ことを特徴とする請求項9〜14のいずれか一つに記載の機能性部材の製造方法。
【請求項16】
請求項9〜15のいずれか一つに記載の製造方法によって製造された機能性部材を金型として、前記複数のマイクロニードルを樹脂に転写して、表面に複数のマイクロニードルが形成された、樹脂からなる機能性部材を製造する
ことを特徴とする機能性部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性部材及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表面に針状の微小な突起であるマイクロニードルが複数形成された機能性部材は、その表面に発現する撥水性等を利用した様々なアプリケーションや、医療用のナノパッチへの適用が検討されている。マイクロニードルを形成する方法としては、例えばフェムト秒レーザ光をガラス基材に照射してアブレーション加工を行い複数の針状凹部を形成したマスターモールドを形成し、樹脂に針状凹部のパターンを転写して針状凸部を形成した二次モールドを形成し、さらに、三次モールドを形成し、最終的に樹脂からなる針状体を製造する方法が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−246492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の方法では、フェムト秒レーザによるアブレーション加工を用いているので、針状凹部および最終的に製造する針状体の大きさが、フェムト秒レーザ光のスポットサイズで制限される。また、最終製品を作製するまでに多段階でモールドを形成するので、製造工程が煩雑であるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、表面に複数のマイクロニードルが、自由度が高い大きさで形成された機能性部材およびその簡易な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る機能性部材は、表面に複数のマイクロニードルが形成されており、隣接する前記マイクロニードル間の間隔が1〜500μmの範囲にあり、前記マイクロニードルは、直径が0.25〜250μmの範囲にあり、高さが5〜200μmの範囲にあることを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様に係る機能性部材は、前記マイクロニードルの間における前記表面に、マイクロホールが形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係る機能性部材は、前記マイクロホールは、前記マイクロニードルの直径に相当する内径を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係る機能性部材は、前記マイクロニードルは、屈曲していることを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様に係る機能性部材は、前記マイクロニードルの外形状は、前記表面側を底面として立設する略円錐形状の外周面の一部が凹状に窪んだ形状を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様に係る機能性部材は、前記マイクロニードルの先端部には、直径500nm以下の微細な凹凸が形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様に係る機能性部材は、ステンレス鋼またはアルミニウム系の金属からなる、又は樹脂からなることを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様に係る機能性部材は、接合部品又は触媒保持材として機能することを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様に係る機能性部材の製造方法は、金属からなる表面に複数のマイクロニードルが形成された機能性部材を製造する方法であって、元部材の表面にレーザ光を照射し、第1の方向に間隔dで走査する工程を含み、前記マイクロニードル間の間隔が1〜500μmの範囲にあり、前記マイクロニードルは、直径が0.25〜250μmの範囲にあり、高さが5〜200μmの範囲にあり、前記レーザ光のスポットサイズ半径をωとし、ωに対して0<Δ<2ωが成立するパラメータΔを設定し、d<2ω+Δが成立するように間隔dを設定することを特徴とする。
【0015】
本発明の一態様に係る機能性部材の製造方法は、前記レーザ光はサブナノ−ナノ秒パルスレーザ光であることを特徴とする。
【0016】
本発明の一態様に係る機能性部材の製造方法は、前記表面に前記レーザ光を前記第1の方向のみに走査することを特徴とする。
【0017】
本発明の一態様に係る機能性部材の製造方法は、前記レーザ光を前記第1の方向に走査する走査速度は20mm/s以下であることを特徴とする。
【0018】
本発明の一態様に係る機能性部材の製造方法は、前記レーザ光を、Nを2以上の整数として、互いに間隔Dだけ離間したN本のサブレーザ光に分岐して前記表面に照射し、前記N本のサブレーザ光のうち或るサブレーザ光の走査間隔をIとすると、I=N×DまたはI=1/N×Dが成立することを特徴とする。
【0019】
本発明の一態様に係る機能性部材の製造方法は、前記元部材を不活性ガス雰囲気下に置いて、前記レーザ光の照射による加工を行うことを特徴とする。
【0020】
本発明の一態様に係る機能性部材の製造方法は、前記間隔d、前記スポットサイズ半径ω、前記Δ、前記レーザ光または前記サブレーザ光のフルエンス、走査速度、及び加工雰囲気ガスの少なくとも一つを調整することによって、前記マイクロニードルの直径を調整することを特徴とする。
【0021】
本発明の一態様に係る機能性部材の製造方法は、前記の製造方法によって製造された機能性部材を金型として、前記複数のマイクロニードルを樹脂に転写して、表面に複数のマイクロニードルが形成された、樹脂からなる機能性部材を製造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、表面に複数のマイクロニードルが、自由度が高い大きさで形成された機能性部材を簡易に実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、実施形態に係る機能性部材の模式図である。
図2図2は、図1の機能性部材の表面の顕微鏡写真を示す図である。
図3図3は、図2に示されるマイクロニードルの先端部を拡大して示す図である。
図4図4は、図1の機能性部材の表面近傍の模式的断面図である。
図5図5は、図1の機能性部材の製造方法の一例を説明する図である。
図6図6は、マイクロニードルの形成について説明する図である。
図7図7は、サブレーザ光の走査パターンの一例を説明する図である。
図8図8は、サブレーザ光の走査パターンの別の一例を説明する図である。
図9図9は、樹脂からなる機能性部材の製造方法の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一又は対応する要素には適宜同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0025】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る機能性部材の模式図である。機能性部材1は、金属からなる。本実施形態では機能性部材1はステンレス鋼からなるが、たとえばアルミニウム系の金属などの他の金属からなっていてもよい。また、機能性部材1は、本実施形態では板状の形状であるが、その形状は特に限定されない。
【0026】
機能性部材1の表面1aには、複数のマイクロニードルが形成されている。図2は、機能性部材1の表面1aの顕微鏡写真を示す図である。なお、図2にはサイズを示す目盛が図示されており、1目盛は2.0μmである。図2に示すように、表面1aには複数のマイクロニードル1bが形成されている。マイクロニードル1bは、矢印Ar1で示す方向に、複数の列を成すように配置されている。
【0027】
図3は、マイクロニードル1bの先端部を拡大して示す図である。なお、図3にはサイズを示す目盛が図示されており、1目盛は0.5μmである。図3に示すように、マイクロニードル1bの先端部には、直径500nm以下の微細な凹凸が形成されている。
【0028】
図4は、機能性部材1の表面1aの近傍の模式的断面図である。マイクロニードル1bは、表面1aから高さ方向に延伸するように形成されている。隣接するマイクロニードル1b間の間隔は1〜500μmの範囲にある。ここで、隣接するマイクロニードル1b間の間隔とは、隣接するマイクロニードル1bの先端部の間の間隔である。また、マイクロニードル1bは、直径が0.25〜250μmの範囲にある。ここで、マイクロニードル1bの直径とは、マイクロニードル1bの表面1a側から先端部までの直径の平均値である。なお、マイクロニードル1bの断面の形状が円ではない場合には、断面の面積と同じ面積の円の直径を、その断面における直径とする。また、表面1aからのマイクロニードル1bの高さは、5〜200μmの範囲にある。
【0029】
マイクロニードル1bは、屈曲している。たとえば、表面1aに垂直な仮想的な直線lに対して、マイクロニードル1bは、表面1a側から、直線lと交わり、つづいて直線lと交わらず、つづいて直線lと交わるように延伸している。また、たとえば、マイクロニードル1bの外形状は、表面1a側を底面として立設する略円錐形状の外周面の一部が凹状に窪んだ形状を有する。円錐形状は直円錐や斜円錐などである。
【0030】
また、マイクロニードル1bの間における表面1aに、マイクロホール1cが形成されている(図2も参照)。マイクロホール1cは、たとえばマイクロニードル1bの直径に相当する内径を有する。マイクロホール1cは、たとえば、隣接する2つのマイクロニードル1bの略中間の位置に形成されている。マイクロホール1cの内径とは、表面1aの縁におけるマイクロホール1cの内径を意味する。
【0031】
機能性部材1は、その表面1aに複数のマイクロニードル1bが、自由度が高い様々な大きさで形成されているので、撥水性が高い。また、機能性部材1を、樹脂等と接触させて接合させる接合部品として機能させて使用する場合には、アンカー効果が高くなって密着性が高くなるので、接合性が高くなる。また、機能性部材1を触媒保持材として機能させて使用する場合には、触媒の吸着性が高くなるので、触媒の保持性が高くなる。特に、この機能性部材1では、マイクロニードル1bが屈曲しているため、撥水性や接合性や触媒の保持性がさらに高くなる。
【0032】
(製造方法)
つぎに、機能性部材1の製造方法の一例を、図5、6を参照して説明する。本製造方法を実施するための加工装置100は、レーザ装置101と、ガルバノスキャナ102と、回折光学素子103と、fθレンズ104とを備えている。元部材2は、加工して機能性部材1を製造するための元部材であり、ステンレス鋼からなる板状の部材である。
【0033】
レーザ装置101は、例えば光ファイバレーザ等のレーザ光源を備えており、例えばパルス幅が0.1ナノ秒から999ナノ秒の範囲のサブナノ−ナノ秒パルスレーザ光であるレーザ光Lを出力する。このように、サブナノ−ナノ秒パルスレーザ光を用いることによって、フェムト秒パルスレーザ光を用いるよりも走査速度(加工速度)を速くすることができる。その結果、機能性部材1の生産性を向上させることができる。
【0034】
ガルバノスキャナ102は、それぞれが電動モータで回転駆動されるガルバノミラー102a、102bを備えており、レーザ装置101が出力したレーザ光Lを、回転するガルバノミラー102a、102bで反射させて、レーザ光Lを走査させる。
【0035】
回折光学素子103は、Nを2以上の整数として、レーザ光LをN本のサブレーザ光に分岐する。本製造方法では、回折光学素子103は、レーザ光Lを3本のサブレーザ光L1、L2、L3に分岐するとする。
【0036】
fθレンズ104は、ガルバノスキャナ102が等角度走査したレーザ光を所定の平面上に集光し、かつ該平面上で等速度走査させるものである。上記の所定の平面は、不図示のステージに載置された元部材2の表面2aに一致するように設定されている。その結果、サブレーザ光L1、L2、L3はfθレンズ104によって元部材2の表面2aに集光した状態で照射され、走査される。サブレーザ光L1、L2、L3を、元部材2の表面2aに照射することで、マイクロニードル1bおよびマイクロホール1cの内径を形成することができる。
【0037】
また、マイクロニードル1bおよびマイクロホール1cを形成する際は、加工対象である元部材2を、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下に置いて、レーザ光Lの照射による加工を行うことが望ましい。酸素による加工の促進を回避することで、安定してマイクロニードル1bおよびマイクロホール1cを形成することができる。
【0038】
図6は、マイクロニードル1bの形成について説明する図である。図6に示すように、元部材2の表面2aにサブレーザ光L1、L2を照射し、ガルバノスキャナ102で第1の方向(矢印Ar2で示す)に間隔dで走査する。なお、サブレーザ光L3についても、第1の方向にサブレーザ光L2と間隔dで走査をするが、説明を簡単にするために、サブレーザ光L3に関する図示および説明を適宜に省略している。
【0039】
ここで、表面2aにおけるサブレーザ光L1、L2のビームスポットBS1、BS2のスポットサイズ半径をωとする。このとき、ωに対して0<Δ<2ωが成立するパラメータΔを設定し、d<2ω+Δが成立するように間隔dを設定する。すると、サブレーザ光L1、L2を走査した場合に、サブレーザ光L1、L2のビームスポットBS1、BS2の各中心から或る範囲までは元部材2の材料が溶解して除去されるが、サブレーザ光L1、L2の間の領域で元部材2の材料が溶け残り、マイクロニードル1bの列となる。同様に、サブレーザ光L2、L3の間の領域にもマイクロニードル1bの列が形成される。サブレーザ光L1、L2により形成されるマイクロニードル1bの列と、サブレーザ光L2、L3により形成されるマイクロニードル1bの列との間隔は、およそ間隔dとなる。
【0040】
マイクロニードル1bの直径は、間隔d、スポットサイズ半径ω、Δ、レーザ光Lまたはサブレーザ光L1、L2、L3のフルエンス、走査速度、及び加工雰囲気ガスの少なくとも一つを調整することによって調整することができる。マイクロニードル1bの列を形成する上で、Δを適正に設定することが望ましい。走査速度は、例えば20m/s以下である程度小さい値とするのが好ましい。間隔dはたとえば10μmであり、スポットサイズ半径ωはたとえば10μmである。特に、間隔dとスポットサイズ半径ωを調整することによってマイクロニードル1bの直径を調整することが好ましい。
【0041】
第1回目の走査として、サブレーザ光L1、L2、L3を、マイクロニードル1bを形成したい範囲の第1の端部から、第1の方向にて第1の端部と対向する第2の端部まで、走査し終えたら、第1回目の走査を終了し、第2回目の走査を行う。第2回目の走査では、サブレーザ光L1、L2、L3の照射開始位置を、第1の端部における第1回目の走査における照射位置から、第1の方向とは垂直の方向にずれた位置として、第1の方向に走査を行う。以降、同様にして走査方向を第1の方向のみとして、第3回目以降の走査を行い、所望の範囲に多数のマイクロニードル1bを形成する。これにより、機能性部材1を製造することができる。
【0042】
このように、レーザ光Lをサブレーザ光L1、L2、L3に分岐して走査し、マイクロニードル1bを形成することによって、レーザ光Lを走査してマイクロニードル1bを形成する場合のタクト時間を例えば1/3程度にすることができる。
【0043】
図7は、サブレーザ光L1、L2、L3の走査パターンの一例を説明する図である。図7は元部材2の表面2aに垂直な方向から走査パターンを見た図である。この走査パターンは、サブレーザ光が互いに間隔Dだけ離間したN本のときに、N本のサブレーザ光のうち或るサブレーザ光の走査間隔を間隔Iとすると、I=N×Dが成立する走査パターンである。
【0044】
具体的には、図7においてNは3である。そして、1回目の走査S1のときには互いに間隔D=dだけ離間したサブレーザ光L1、L2、L3を走査する。つづいて、2回目の走査S2のときには1回目のサブレーザ光L1の走査と2回目のサブレーザ光L1の走査との走査間隔を間隔I=3dとする。同様に、3回目の走査S3のときには2回目のサブレーザ光L1の走査と3回目のサブレーザ光L1の走査との走査間隔を間隔I=3dとする。サブレーザ光L2、L3についても走査間隔は間隔I=3dである。これにより、サブレーザ光L1、L2、L3は等間隔dで走査される。
【0045】
図8は、サブレーザ光L1、L2、L3の走査パターンの別の一例を説明する図である。図8は元部材2の表面2aに垂直な方向から走査パターンを見た図である。この走査パターンは、サブレーザ光が互いに間隔Dだけ離間したN本のときに、N本のサブレーザ光のうち或るサブレーザ光の走査間隔を間隔Iとすると、I=1/N×Dが成立する走査パターンである。
【0046】
具体的には、図8においてNは3である。そして、1回目の走査S1のときには互いに間隔D=dだけ離間したサブレーザ光L1、L2、L3を走査する。つづいて、2回目の走査S2のときには1回目のサブレーザ光L1の走査と2回目のサブレーザ光L1の走査との走査間隔を間隔I=1/3×dとする。同様に、3回目の走査S3のときには2回目のサブレーザ光L1の走査と3回目のサブレーザ光L1の走査との走査間隔を間隔I=1/3×dとする。サブレーザ光L2、L3についても走査間隔は間隔I=1/3×dである。これにより、サブレーザ光L1、L2、L3は等間隔I=1/3×dで走査される。このときの間隔Iは間隔dに相当する。
【0047】
図7、8ではNは3であるが、Nが2以上の整数のときに、I=N×DまたはI=1/N×Dが成立するようにすれば、N本のサブレーザ光を等間隔で走査できる。なお、レーザ光Lをサブレーザ光に分岐しないときには、N=1としてI=N×DおよびI=1/N×Dが成立する。このときは、レーザ光Lは間隔DまたはIで走査されることとなる。また、Nが2以上の場合にはタクト時間を例えば1/N程度にすることができる。
【0048】
なお、上記製造方法によって製造された機能性部材1を金型として、複数のマイクロニードル1bを樹脂に転写することによって、表面に複数のマイクロニードルが形成された、樹脂からなる機能性部材を製造することができる。
【0049】
図9は、樹脂からなる機能性部材の製造方法の一例を説明する図である。はじめに、表面1aに複数のマイクロニードル1bが形成された機能性部材1を金型として、表面1a側に熱硬化性樹脂等の樹脂3を塗布し、その後樹脂3を硬化させ、機能性部材1から分離する。これにより、表面4aに複数のマイクロホール4bが形成された樹脂からなる機能性部材4が製造される。マイクロホール4bはマイクロニードル1bの形状が転写されたものである。
【0050】
つづいて、機能性部材4を金型として、表面4a側に熱硬化性樹脂等の樹脂5を塗布し、その後樹脂5を硬化させ、機能性部材4から分離する。これにより、表面6aに複数のマイクロニードル6bが形成された樹脂からなる機能性部材6が製造される。マイクロニードル6bは機能性部材1のマイクロニードル1bの形状が転写されたものである。
【0051】
なお、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のように、本発明に係る機能性部材及びその製造方法は、たとえば撥水性等を利用した様々なアプリケーションや、医療用のナノパッチに適用して好適なものである。
【符号の説明】
【0053】
1、4、6 機能性部材
1a、2a、4a、6a 表面
1b、6b マイクロニードル
1c、4b マイクロホール
2 元部材
100 加工装置
101 レーザ装置
102 ガルバノスキャナ
102a、102b ガルバノミラー
103 回折光学素子
104 fθレンズ
Ar1、Ar2 矢印
BS1、BS2 ビームスポット
L レーザ光
L1、L2、L3 サブレーザ光
S1、S2、S3 走査
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】