再表2019-124156IP Force 特許公報全文掲載

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年6月27日
【発行日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化性組成物、その硬化物、及び、レンズ
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/26 20060101AFI20201127BHJP
   C08F 220/10 20060101ALI20201127BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20201127BHJP
【FI】
   C08F220/26
   C08F220/10
   G02B1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
【出願番号】特願2019-560993(P2019-560993)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年12月11日
(31)【優先権主張番号】特願2017-246419(P2017-246419)
(32)【優先日】2017年12月22日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124143
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 嘉久
(72)【発明者】
【氏名】服部 巌
(72)【発明者】
【氏名】井口 優子
【テーマコード(参考)】
4J100
【Fターム(参考)】
4J100AL08Q
4J100AL66P
4J100AL66Q
4J100BA02Q
4J100BA03Q
4J100BA04Q
4J100BA22P
4J100BC04P
4J100BC07Q
4J100BC12Q
4J100BC28Q
4J100BC53Q
4J100CA04
4J100DA25
4J100DA62
4J100DA63
4J100FA03
4J100JA33
(57)【要約】
本発明は、カーボネート構造を有する(メタ)アクリル化合物(A)と、環状構造を有する(メタ)アクリル化合物(B)とを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物を提供するものである。また、本発明は、前記活性エネルギー線硬化性組成物により形成されたことを特徴とする硬化物を提供するものである。また、本発明は、前記活性エネルギー線硬化性組成物により形成されたことを特徴とするレンズを提供するものである。前記前記(メタ)アクリル化合物(A)と前記(メタ)アクリル化合物(B)との質量比[(A)/(B)]は、10/90〜99/1の範囲であることが好ましい。前記レンズは、アッベ数が53以上、かつ、23℃の水に24時間浸漬させた際の吸水率が1%以下であることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボネート構造を有する(メタ)アクリル化合物(A)と、環状構造を有する(メタ)アクリル化合物(B)とを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項2】
前記(メタ)アクリル化合物(A)と前記(メタ)アクリル化合物(B)との質量比[(A)/(B)]が、10/90〜99/1の範囲である請求項1記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項3】
前記(メタ)アクリル化合物(A)が、炭素原子数が1〜10の直鎖グリコール、及び/又は、脂環構造を有するグリコール由来の構造を有するものである請求項1又は2記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項4】
前記(メタ)アクリル化合物(B)が、トリシクロデカン構造、ジシクロペンテニル構造、イソボルニル構造、及び、酸素原子をヘテロ原子とする複素環構造からなる群より選ばれる1種以上の環状構造を有するものである請求項1〜3のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化性組成物により形成されたことを特徴とする硬化物。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化性組成物により形成されたことを特徴とするレンズ。
【請求項7】
アッベ数が53以上、かつ、23℃の水に24時間浸漬させた際の吸水率が1%以下である請求項6記載のレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化性組成物
【背景技術】
【0002】
CCDやCMOSイメージセンサーを用いたレンズモジュールのレンズユニットの製造には、これまでシクロオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂を溶融させてレンズ形状に成形するメインジェクションモールド製法が広く利用されてきた。しかしながら、かかる方法では、前記熱可塑性樹脂は、レンズ形状の部分と、スプールおよびランナー部分とが連結したものとして成形され、このうち実際のレンズ製造に使用されるのはレンズ形状の部分のみであり、約97%を占めるその他の部分は不要品となってしまう極めて無駄の多い製法であった。
【0003】
そこで、その代替として、液状樹脂をウエハー上に塗布した後、レンズ型で挟み込み、形状転写することで、数百個のレンズを1回で硬化成形し、その後、レンズ1つ1つに裁断するWLO(ウエハーレベルオプティクス)製法の検討が進められている。この方法によれば、メインジェクションモールド製法と異なり、材料の無駄がほとんど生じないというメリットがある。
【0004】
前記WLO製法に用いることができる液状樹脂としては、熱硬化性樹脂および光硬化性樹脂の2種類が挙げられる。中でも、硬化性が高く生産性の良好な光硬化性樹脂の使用が望ましいとされており、近年、種々の検討がなされ始めている。
【0005】
前記WLO製法に用いることができる光硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレートを含有する光硬化性樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。しかしながら、かかる組成物では、高いアッベ数を有するレンズを得ることができず、色収差を小さくすることができないとの問題があった。
【0006】
また、レンズ用途に実使用されるためには、アッベ数のみならず、継時使用によりボヤケが生じる等のレンズ性能が悪化しないよう吸水性の低い材料であることも重要である。しかしながら、これらを高いレベルで両立する材料は未だ見出されていないのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2008/149766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、高いアッベ数を有し、かつ、吸水性の低いレンズを製造することができる活性エネルギー線硬化性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、カーボネート構造を有する(メタ)アクリル化合物(A)と、環状構造を有する(メタ)アクリル化合物(B)とを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物、その硬化物、及び、レンズを提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物により形成されるレンズは、高いアッベ数を有するものであり、色収差を小さくすることができる。また、前記レンズは、吸水性が低いことから、継時使用によりレンズ性能が悪化しにくいものである。
【0011】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線の照射によって簡便に硬化できるものであり、WLO製法によるレンズ製造に好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、カーボネート構造を有する(メタ)アクリル化合物(A)と、環状構造を有する(メタ)アクリル化合物(B)とを必須成分として含有するものである。
【0013】
前記カーボネート構造を有する(メタ)アクリル化合物(A)は高アッベ数、低吸水性および優れた透明性(特に低吸水性)を得ること、および、硬化物に柔軟性を付与し、レンズとして好適に使用できるために必須の成分である。前記(メタ)アクリル化合物(A)としては、例えば、ポリカーボネートポリオールと、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルとを反応させた少なくとも1つ以上の(メタ)アクリル基を有する化合物を用いることができる。
【0014】
なお、本発明において、「(メタ)アクリル化合物」とは、アクリル化合物とメタクリル化合物の一方又は両方をいい、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸の一方又は両方をいい、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルとメタクリロイルの一方又は両方をいい、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの一方又は両方をいう。
【0015】
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、水酸基を2個以上有する化合物と炭酸エステルとの反応物を用いることができる。
【0016】
前記水酸基を2個以上有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,8−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0017】
前記炭酸エステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0018】
前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート等を用いることができる。これらの(メタ)アクリル酸エステルは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0019】
前記(メタ)アクリル化合物(A)としては、前記したものの中でも、より一層高いアッベ数および屈折率が得られ、かつ、より一層優れた低吸水性、柔軟性、透明性および耐熱性が得られる点から、下記一般式(1)で示される化合物を用いることが好ましい。
【0020】
【化1】
(一般式(1)中、R1はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を示し、R2はそれぞれ独立して炭素原子数が1〜10の直鎖グリコール残基又は脂環構造を有するグリコール残基を示し、nは4〜34の整数を示す。)
【0021】
前記脂環構造を有するグリコールとしては、例えば、下記一般式(2)で示される化合物を用いることができる。
【0022】
【化2】
(一般式(2)中、R3はそれぞれ独立して炭素原子数1〜4のアルキレン基を示す。)
【0023】
前記(メタ)アクリル化合物(A)としては、前記一般式(1)で示される化合物の中でも、より一層高いアッベ数および屈折率が得られ、かつ、より一層優れた低吸水性、透明性、柔軟性および耐熱性が得られる点から、下記一般式(1)中、R2が炭素原子数4〜8の直鎖グリコール残基、及び/又は、一般式(2)中、R3が炭素原子数1〜2のアルキレン基を示す脂環構造を有するグリコール残基を示し、nが5〜10の整数を示すものを用いることが好ましく、その中でも更に結晶化やレンズの継時的な反りを防止しやすい点から、下記一般式(1)中のR2が、炭素原子数4〜8の直鎖グリコール残基及び一般式(2)中、R3が炭素原子数1〜2のアルキレン基を示す脂環構造を有するグリコール残基である化合物を用いることが特に好ましい。
【0024】
前記した特に好ましい化合物を用いる場合の、前記炭素原子数4〜8の直鎖グリコール残基と、一般式(2)中、R3が炭素原子数1〜2のアルキレン基を示す脂環構造を有するグリコール残基との質量割合としては、10/90〜90/10の範囲であることが好ましく、20/80〜80/20の範囲がより好ましく、55/45〜80/20の範囲が更に好ましい。
【0025】
前記環状構造を有する(メタ)アクリル化合物(B)は高アッベ数および低吸水性を得るうえで必須の成分である。
【0026】
前記環状構造を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、シクロ環、ベンゼン環、トリシクロデカン構造、ジシクロペンテニル構造、イソボルニル構造、酸素原子をヘテロ原子とする複素環構造等を有する(メタ)アクリル化合物を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0027】
前記シクロ環を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0028】
前記ベンゼン環を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0029】
前記トリシクロデカン(ジシクロペンタニル)構造を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層高いアッベ数、及び低吸水性が得られる点から、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレ−ト、及び/又は、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0030】
前記ジシクロペンテニル構造を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレ−ト等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0031】
前記イソボルニル構造を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニルジ(メタ)アクリレート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層高いアッベ数、及び低吸水性が得られる点から、イソボルニル(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
【0032】
前記酸素原子をヘテロ原子とする複素環構造等を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、環状トリメチルロールプロパンホルマールアクリレート、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層高いアッベ数、及び低吸水性が得られる点から、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、及び/又は、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
【0033】
前記(メタ)アクリル化合物(B)としては、前記した中でも、より一層高いアッベ数、及び低吸水性が得られる点から、トリシクロデカン構造、ジシクロペンテニル構造、イソボルニル構造、及び、酸素原子をヘテロ原子とする複素環構造からなる群より選ばれる1種以上の環状構造を有する(メタ)アクリル化合物を用いることが好ましい。
【0034】
以上の中でも、(メタ)アクリル化合物(B)として、トリシクロデカン構造を有する(メタ)アクリル化合物を用いる場合には、より一層高いアッベ数および屈折率が得られ、より一層優れた低吸水性、柔軟性、透明性および耐熱性が得られ、かつ、結晶化やレンズの継時的な反りを防止しやすい点から、前記(メタ)アクリル化合物(A)と前記(メタ)アクリル化合物(B)との組み合わせとしては以下のものが特に好ましい。
【0035】
(メタ)アクリル化合物(A)として、前記一般式(1)中、R1が水素原子を示し、R2が、炭素原子数4〜8の直鎖グリコール残基及び一般式(2)中、R3が炭素原子数1〜2のアルキレン基を示す脂環構造を有するグリコール残基を示し、nが5〜10の整数を示す化合物、
(メタ)アクリル化合物(B)として、トリシクロデカン構造を有するメタクリル化合物。
【0036】
(メタ)アクリル化合物(A)として、前記一般式(1)中、R1が水素原子を示し、R2が、炭素原子数4〜8の直鎖グリコール残基及び一般式(2)中、R3が炭素原子数1〜2のアルキレン基を示す脂環構造を有するグリコール残基を示し、nが5〜10の整数を示す化合物、
(メタ)アクリル化合物(B)として、トリシクロデカン構造を有するアクリル化合物。
【0037】
前記(メタ)アクリル化合物(A)と前記(メタ)アクリル化合物(B)との質量比[(A)/(B)]としては、より一層高いアッベ数および屈折率が得られ、かつ、より一層優れた低吸水性、柔軟性、透明性および耐熱性が得られる点から、10/90〜99/1の範囲であることが好ましく、40/60〜90/10の範囲がより好ましく、50/50〜90/10の範囲が更に好ましく、60/40〜80/20の範囲が特に好ましい。
【0038】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線を照射することで硬化物やレンズとすることができる。この活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線をいう。活性エネルギー線として紫外線を照射する場合には、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物中に光重合開始剤(C)を添加し、硬化性を向上することが好ましい。また、必要であればさらに光増感剤(D)を添加して、硬化性を向上することもできる。一方、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線を用いる場合には、光重合開始剤(C)や光増感剤(D)を用いなくても速やかに硬化するので、特に光重合開始剤(C)や光増感剤(D)を添加する必要はない。
【0039】
前記光重合開始剤(C)としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン系化合物;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンジル(ジベンゾイル)、メチルフェニルグリオキシエステル、オキシフェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステル、オキシフェニル酢酸2−(2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ)エチルエステル等のベンジル系化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;ミヒラ−ケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルサルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルサルフォニル)プロパン−1−オン等を用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0040】
また、前記光増感剤(D)としては、例えば、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリブチルアミン等の3級アミン化合物、o−トリルチオ尿素等の尿素化合物、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルホネート等の硫黄化合物などを用いることができる。これらの光増感剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0041】
の光重合開始剤(C)及び光増感剤(D)を用いる場合の合計使用量としては、前記(メタ)アクリル化合物(A)及び(メタ)アクリル化合物(B)の合計質量100質量部に対し、それぞれ0.05〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。
【0042】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には、の成分(A)〜(D)以外にもその他の添加剤を配合してもよい。
【0043】
前記その他の添加剤としては、例えば、重合禁止剤、表面調整剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、有機顔料、無機顔料、顔料分散剤、シリカビーズ、有機ビーズ等の添加剤;酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、ジルコニア、五酸化アンチモン等の無機充填剤などを配合することができる。これらその他の配合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0044】
前記活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物を得る方法としては、例えば、基材上に前記活性エネルギー線硬化性組成物を塗工し、その後活性エネルギー線を照射する方法が挙げられる。
【0045】
前記基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン−1等のポリオレフィン系樹脂;セルロースアセテート(ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等)、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレート、セルロースアセテートフタレート、硝酸セルロース等のセルロース系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂;ポリビニルアルコール;エチレン−酢酸ビニル共重合体;ポリスチレン;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリイミド、ポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂;ノルボルネン系樹脂(例えば、日本ゼオン株式会社製「ゼオノア」)、変性ノルボルネン系樹脂(例えば、JSR株式会社製「アートン」)、環状オレフィン共重合体(例えば、三井化学株式会社製「アペル」)などの樹脂フィルム;ウエハー;ガラスなどを用いることができる。
【0046】
前記フィルム基材に本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を塗工する方法としては、例えば、ダイコート、マイクログラビアコート、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、エアナイフコート、キスコート、スプレーコート、ディップコート、スピンナーコート、刷毛塗り、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、ディスペンサー、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷等が挙げられる。
【0047】
前記活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させる活性エネルギー線としては、の通り、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線である。ここで、活性エネルギー線として紫外線を用いる場合、その紫外線を照射する装置としては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ(フュージョンランプ)、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、太陽光、LEDランプ等が挙げられる。
【0048】
前記活性エネルギー線の照射量(積算光量)としては、例えば、100〜5,000mJ/cm2の範囲である。なお、前記活性エネルギー線の照射量は、岩崎電気株式会社アイ紫外線積算照度計 UVPF−A1(PD−365)を用いて測定した値を基準とする。
【0049】
前記本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物の膜厚としては、硬化物の硬さを十分なものとすることができる点から、1〜100μmの範囲が好ましい。
【0050】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物によりレンズを製造する方法としては、前記活性エネルギー線硬化性組成物を、ウエハーや鋳型に塗工や注入し、活性エネルギー線を照射して前記組成物を硬化させる。所望の形状に裁断等する方法が挙げられる。前記活性エネルギー線硬化性組成物の塗工方法や、活性エネルギー線の照射方法等は、前記活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物を得る際の方法と同様の方法が挙げられる。
【0051】
前記レンズのアッベ数としては、53以上であることが好ましく、53〜60の範囲であることがより好ましく、55〜59の範囲が更に好ましく、56〜59の範囲が特に好ましい。なお、前記レンズのアッベ数の測定方法は実施例にて記載する。
【0052】
前記レンズの屈折率としては、1.5〜1.6の範囲であることが好ましく、1.5〜1.56の範囲がより好ましい。なお、前記レンズの屈折率は、JIS試験方法K7142:2014のA法に準拠して測定した値を示す。
【0053】
前記レンズのガラス転移温度(Tg、中間点ガラス転移温度)としては、より一層優れた耐熱性が得られる点から、50℃〜270℃の範囲であることが好ましく、100〜165℃の範囲がより好ましい。なお、前記レンズのガラス転移温度は、JIS試験方法K7121:2012に準拠して測定した値を示す。
【0054】
前記レンズを23℃の水に24時間浸漬させた際のレンズの吸水率としては、継時使用によるレンズ性能の悪化を抑制できる点から、1%以下であることが好ましく、0.05〜0.5%以下であることがより好ましい。なお、前記レンズの吸水率は、レンズを23℃の水に24時間浸漬させた際の、浸漬前後のレンズの質量変化により算出した値を示し、測定方法は実施例にて具体的に記載する。
【0055】
以上、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物により形成されるレンズは、高いアッベ数を有するものであり、色収差を小さくすることができる。また、前記レンズは、吸水性が低いことから、継時使用によりレンズ性能が悪化しにくいものである。
【0056】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線の照射によって簡便に硬化できるものであり、WLO製法によるレンズ製造に好適に使用することができる。
【実施例】
【0057】
以下に実施例により本発明をより具体的に説明する。
【0058】
[実施例1]
下記3つの成分を混合し、50℃に加温後、ホモディスパ―を使用して回転数1,000ppmで10分間撹拌混合して活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。
<(メタ)アクリル化合物(A)>
一般式(1)で示される化合物のうち、R1が水素原子、R2が1,6−ヘキサンジオール残基及び一般式(2)中、R3がメチレン基を示す脂環構造を有するグリコール残基(質量比:3/1)を示し、nが7の整数を示すもの(以下、(A−1)と略記する。);50質量部、
<(メタ)アクリル化合物(B)>
ジメチロールトリシクロデカンジメタクリレート(以下、(B−1)と略記する。);50質量部
<光重合開始剤(C)>
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(以下、「Irg184」と略記する。);1質量部
【0059】
[実施例2〜20、比較例1〜2]
(メタ)アクリル化合物(A)および(メタ)アクリル化合物(B)の種類及び/又は量を表1〜3に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。
【0060】
[アッベ数の測定方法]
実施例および比較例で得られた活性エネルギー線硬化性組成物を三角プリズム型(厚さ5mm、1辺の長さ10mm)に流し込み、アイグラフィックス株式会社製ベルトコンベアー式紫外線照射装置(120Wメタルハライドランプ)を使用して、3,000mJ/cm2の紫外線を照射して三角プリズム形状のレンズを作製した。得られたレンズを株式会社島津製作所製カルニュー精密屈折計「KPR−3000」を使用してアッベ数を測定した。
【0061】
[吸水率の測定方法]
実施例および比較例で得られた活性エネルギー線硬化性組成物をガラス板上に紫外線硬化後の厚さが200μmとなるように塗工し、アイグラフィックス株式会社製ベルトコンベアー式紫外線照射装置(120Wメタルハライドランプ)を使用して、3,000mJ/cm2の紫外線を照射してレンズシートサンプルを作製した。このサンプルを5cm×5cmに裁断し、23℃の純粋に24時間浸漬し、浸漬前後のサンプルの質量変化(質量増加)により吸水率を算出した。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
表1〜3中の略語は以下のものを示す。
「(A−2)」;
一般式(1)で示される化合物のうち、R1がメチル基、R2が1,6−ヘキサンジオール残基及び一般式(2)中、R3がメチレン基を示す脂環構造を有するグリコール残基(質量比:3/1)を示し、nが7の整数を示すもの。
「(A−3)」;
一般式(1)で示される化合物のうち、R1がメチル基、R2が1,6−ヘキサンジオール残基及び一般式(2)中、R3がメチレン基を示す脂環構造を有するグリコール残基(質量比:1/3)を示し、nが7の整数を示すもの。
「(A−4)」;
一般式(1)で示される化合物のうち、R1が水素原子、R2が1,6−ヘキサンジオール残基を示し、nが8の整数を示すもの。
「(A−5)」;
一般式(1)で示される化合物のうち、R1がメチル基、R2が1,6−ヘキサンジオール残基を示し、nが8の整数を示すもの。
【0066】
「(B−2)」;
ジメチロールトリシクロデカンジメタクリレート
「(B−3)」;
ジシクロペンテニルオキシエチメタクリレート
「(B−4)」;
イソボルニルアクリレート
「(B−5)」;
テトラヒドロフルフリルアクリレート
「(B−6)」;
ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート
【0067】
「(UA1)」;ポリプロピレングリコール(数平均分子量;1,000)、トルエンジイソシアネート、及び、2−ヒドロキシエチルアクリレートを、ポリプロピレングリコールOH1当量と、トルエンジイソシアネート1モル、及び、2−ヒドロキシエチルアクリレート1モルの割合で反応させて得られたウレタンアクリレート
【0068】
表1〜3の評価結果より、実施例1〜20の本発明の活性エネルギー線硬化性組成物により形成されたレンズは、高いアッベ数を有し、かつ、吸水性が低いことが分かった。また、実施例1〜8のレンズシートサンプルは屈折率が1.5以上であり、硬化後の反りもなく、割れやヒビもなく外観も良好であった。
【0069】
一方、比較例1〜2は、(メタ)アクリル化合物(A)の代わりにウレタンアクリレートを用いた態様であるが、アッベ数も48台と低く、吸水率も1%を超えており吸水性が高かった。
【国際調査報告】

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